説明

P2P(PeertoPeer)ネットワークにおける中継対価付与方法および認証課金サーバ

【課題】P2Pネットワークにおける中継ノードに中継対価を付与する。
【解決手段】P2P通信手段によりコンテンツを中継するユーザノード2を備えるP2Pシステムにおいて、認証課金サーバ3は、コンテンツの購入要求を送信したユーザノード2eから、このコンテンツのメタデータを受信したとき、メタデータに示される識別情報のノードを、前記コンテンツを中継したノードと判断し、このノードの中継対価を記憶手段に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、P2Pネットワークによるコンテンツ流通技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なB2C(Business to Consumer)コンテンツ販売ビジネスでは、コンテンツの販売者であるコンテンツ発信者(発信者)が大量のコンテンツを保持し、消費者(コンテンツ購入者)は、この発信者から直接コンテンツを受信する。
【0003】
このようなB2Cビジネスにおいて、発信者は、コンテンツを保持するための巨大なストレージを用意したり、コンテンツ配信用のネットワーク帯域を確保したりする必要がある。このため、資金力のある発信者でないと、コンテンツ販売ビジネスを行うことが難しくなり、コンテンツ流通が活発にならないという問題がある。
【0004】
そこで、このような問題を解決するため、いわゆるP2P技術を利用して、コンテンツ販売を行う技術が提案されている(非特許文献1参照)。
【0005】
このP2Pコンテンツ販売ビジネスにおいて、発信者は、販売したいコンテンツを暗号化し、P2Pネットワーク上を転送させていく。つまり、コンテンツをノード間でバケツリレーのように転送させる。そして、このコンテンツを受信した消費者は、認証課金サーバにアクセスし、そのコンテンツの復号鍵を購入し、その復号鍵によりコンテンツを再生する。
【0006】
このようにすれば、コンテンツの発信者は、巨大なストレージを用意したり、ネットワーク帯域を確保したりする必要がなくなる。また、消費者がコンテンツを再生するには認証課金サーバから復号鍵を購入する必要があるので、発信者は認証課金サーバ経由でこのコンテンツの対価(代金)を得ることができる。
【0007】
なお、前記したP2Pコンテンツ販売ビジネスにおいて、コンテンツ購入後、知人や友人に暗号化されたコンテンツをコピー配布し、その人たちもそのコンテンツを購入した場合、そのコンテンツのコピー元のユーザに対し、コンテンツ紹介の対価を与える仕組みも提案されている。このような仕組みによれば、コンテンツをコピー配布、つまり中継したユーザにも対価が支払われるので、より多くのユーザにP2Pネットワークに参加するよう促すことができる。
【0008】
【非特許文献1】わざアリ、[online]、[2006年4月14日検索]、インターネット、<URL:http://www.ntt.com/release/2003NEWS/0011/1105.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、前記した従来技術において、ノードのユーザがコンテンツを購入せずに、そのまま他のノードに転送した場合に、そのコンテンツを転送したユーザ(中継者)に対価を支払うことについては考慮されていない。また、前記した従来技術において、コンテンツ紹介の対価の支払いには、そのノードのユーザがコンテンツ購入の際に送信したライセンス情報が用いられる。つまり、中継者がコンテンツ中継の対価を得るには、中継者自身が認証課金サーバへライセンス情報を送信し、確かにその中継者がコンテンツを中継した旨を通知する必要がある。したがって、このようなライセンス情報の送信のために、認証課金サーバおよび中継者のノードの処理負荷が増大したり、ネットワークトラフィックが増大したりするという問題がある。
【0010】
さらに、このようなP2Pネットワークにより、コンテンツを転送する場合、ノード間をコンテンツが延々と転送され続けてしまうおそれがある。また、コンテンツによっては、あまり多数のノードを経由して欲しくない場合もあるが、そのような問題への対処はとられていない。
【0011】
そこで、本発明は前記した問題を解決し、P2Pネットワークによるコンテンツ流通を活性化する中継対価付与方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記した課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、P2P通信手段により接続される1以上のノードによりコンテンツが中継されるP2Pネットワークにおいて、前記コンテンツを中継したノードにこのコンテンツの中継対価を付与する中継対価付与方法であって、前記ノードのうち、前記コンテンツの発信者となる発信者ノードは、前記コンテンツのメタデータを作成し、この作成したメタデータを前記P2P通信手段により接続される他のノードへ送信し、前記コンテンツのメタデータを受信したノードは、この受信したメタデータに自身のノードの識別情報を付加して、前記P2P通信手段により接続される他のノードへ転送し、前記P2Pネットワークに接続される認証課金サーバは、前記コンテンツの購入要求を受信し、前記受信したコンテンツの購入要求の送信元であるノードから、前記コンテンツのメタデータを受信したとき、前記メタデータに示される識別情報のノードを、前記コンテンツを中継したノードと判断し、このノードの中継対価を記憶手段に記憶する方法とした。
【0013】
この方法によれば、認証課金サーバは、コンテンツの購入要求を送信したノードから、このコンテンツを中継するノードの識別情報を受信するので、このメタデータに示されるノードに中継対価を付与すればよいことが分かる。このとき、認証課金サーバは、コンテンツを中継するノードそれぞれからコンテンツを中継した旨の情報を受信する必要はないので、ネットワークトラフィックが増大するのを防止できる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1の中継対価付与方法において、前記発信者ノードは、さらに、前記メタデータに、前記コンテンツごとの経路ポイント初期値を経路ポイント値として含めて送信し、前記コンテンツごとの経路ポイント初期値を、前記課金サーバへ送信し、前記認証課金サーバは、前記発信者ノードから送信された、前記コンテンツごとの経路ポイント初期値を前記記憶手段に記憶し、前記コンテンツのメタデータを受信したノードはそれぞれ、さらに、前記受信したコンテンツのメタデータに含まれる経路ポイント値に対し、所定の計算式を用いて演算処理を行い、前記演算処理の結果である経路ポイント値を前記メタデータに含めて、前記P2P通信手段により接続される他のノードへ転送し、前記認証課金サーバが、前記ノードから、前記コンテンツのメタデータを受信したとき、前記メタデータに含まれる経路ポイント値および前記ノードの識別情報の数と、前記所定の計算式とに基づき、前記コンテンツの経路ポイント初期値を逆算し、前記逆算した経路ポイント初期値と、前記記憶手段に記憶された前記コンテンツに関する経路ポイント初期値とが同じとき、前記メタデータに示される識別情報のノードを、前記コンテンツを中継したノードと判断し、このノードの中継対価を記憶手段に記憶する方法とした。
【0015】
この方法によれば、認証課金サーバは、発信者ノードから送信された経路ポイント初期値と、ノード間を転送されてきた経路ポイント値とを用いて、このメタデータが、確かに発信者ノードを出発点として転送されてきたものか否かの判断をすることができる。つまり、認証課金サーバは、メタデータに示されるノードが確かにコンテンツを中継した(あるいは中継する)ノードか否かを判断することができる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の中継対価付与方法において、前記所定の計算式は、前記受信したメタデータに含まれる経路ポイント値を減算する計算式であり、前記ノードはそれぞれ、前記所定の計算式を用いた演算処理の結果、前記経路ポイント値が所定の閾値以下となったとき、前記メタデータを他のノードへ転送しない方法とした。
【0017】
この方法によれば、メタデータがノード間を延々と転送され続けてしまうのを防止できる。
【0018】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の中継対価付与方法において、前記経路ポイント値は、第1の経路ポイント値および第2の経路ポイント値を含んでなり、前記所定の計算式は、前記受信したメタデータにおける前記第1の経路ポイント値および前記第2の経路ポイント値の少なくとも一方の値を減算する計算式であり、前記認証課金サーバは、前記コンテンツの経路ポイント初期値を逆算するとき、前記第1の経路ポイント値および前記第2の経路ポイント値を逆算し、この逆算した第1の経路ポイント値および前記第2の経路ポイント値の組み合わせが、前記記憶手段に記憶された前記コンテンツの前記第1の経路ポイント値および前記第2の経路ポイント値と同じとき、前記メタデータに示される識別情報のノードを、前記コンテンツを中継したノードと判断し、このノードの中継対価を前記記憶手段に記憶する方法とした。
【0019】
この方法によれば、認証課金サーバは、メタデータに示されるノードが確かにコンテンツを中継した(あるいは中継する)ノードか否かの判断を、より厳密に行うことができる。
【0020】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の中継対価付与方法において、前記認証課金サーバは、前記ノードからの要求に応じて、前記ノードごとのアフィリエイトIDを送信し、前記アフィリエイトIDをこのアフィリエイトIDの要求元のノードの識別情報と対応付けて前記記憶手段に記憶し、前記ノードは、前記メタデータに、前記送信されたアフィリエイトIDと前記コンテンツの宣伝情報とを含め、前記P2P通信手段により接続される他のノードへ転送し、前記認証課金サーバは、前記ノードから、前記アフィリエイトIDを含む前記コンテンツの購入要求を受信したとき、前記記憶手段の情報を参照して、前記アフィリエイトIDに対応するノードを特定し、この特定したノードによる前記コンテンツの宣伝対価を前記記憶手段に記憶する方法とした。
【0021】
この方法によれば、コンテンツを購入したノードが、他のノードに当該コンテンツの宣伝をすることで、この宣伝に対する対価を得ることができる。したがって、このようなP2Pネットワークにおけるコンテンツ流通を活発化させることができる。
【0022】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の中継対価付与方法において、前記コンテンツのメタデータを受信したノードは、このメタデータの送信元であるノードの識別情報およびこのメタデータの送信先であるノードの識別情報を、前記コンテンツを送信するときの経路テーブルとして記憶手段に記憶し、前記P2P通信手段により前記メタデータの送信元であるノードからこのメタデータに対応するコンテンツを受信したとき、前記コンテンツを、前記経路テーブルにおいて前記コンテンツのメタデータの送信先として記憶されているノードへ転送する方法とした。
【0023】
この方法によれば、P2Pネットワークにおけるコンテンツの転送経路は、認証課金サーバで受信したメタデータに示される転送経路と同じものとなる。
【0024】
また、請求項7に記載の発明は、P2P通信手段により接続される1以上のノードによりコンテンツが中継されるP2Pネットワークにおいて、前記コンテンツを中継したノードにこのコンテンツの中継対価を付与する認証課金サーバであって、前記コンテンツの購入要求の送信元であるノードから、前記P2P通信手段により前記コンテンツの中継を行うノードの識別情報を示した前記コンテンツのメタデータを受信したとき、前記受信したメタデータに示される識別情報のノードの中継対価を記憶手段に記憶する課金処理部を備える構成とした。
【0025】
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の認証課金サーバにおいて、前記コンテンツのメタデータは、前記コンテンツの発信者ノードを出発点として、前記コンテンツを購入するノードまで、前記P2P通信手段により接続される1以上のノードのそれぞれにより、前記自身のノードの識別情報を付加して転送されたメタデータである構成とした。
【0026】
この構成によれば、認証課金サーバは、コンテンツの購入要求を送信したノードから、このコンテンツを中継するノードの識別情報を受信するので、このメタデータに示されるノードに中継対価を付与すればよいことが分かる。このとき、認証課金サーバは、コンテンツを中継するノードそれぞれからコンテンツを中継した旨の情報を受信する必要はないので、ネットワークトラフィックが増大するのを防止できる。
【0027】
また、請求項9に記載の発明は、請求項7または請求項8に記載の認証課金サーバにおいて、前記記憶手段は、前記発信者ノードから受信した、前記コンテンツごとの経路ポイント初期値をさらに記憶し、前記コンテンツを購入要求の送信元であるノードから、前記コンテンツのメタデータを受信したとき、前記メタデータに含まれる経路ポイント値および前記ノードの識別情報と、前記所定の計算式とに基づき、前記コンテンツの経路ポイント初期値を逆算し、前記逆算した経路ポイント初期値と、前記記憶手段に記憶された前記コンテンツに関する経路ポイント初期値とが同じか否かを判断する経路情報照合部をさらに備え、前記課金処理部は、前記逆算した経路ポイント初期値と、前記記憶手段に記憶された前記コンテンツに関する経路ポイント初期値とが同じとき、前記メタデータに示される識別情報のノードを、前記コンテンツを中継したノードと判断し、このノードの中継対価を記憶手段に記憶することを特徴とする構成とした。
【0028】
この構成によれば、認証課金サーバは、発信者ノードから送信された経路ポイント初期値と、ノード間を転送されてきたメタデータに含まれる経路ポイントを用いて、このメタデータが、確かに発信者ノードを出発点として転送されてきたものか否かの判断をすることができる。つまり、認証課金サーバは、メタデータに示されるノードが確かにコンテンツを中継した(あるいは中継する)ノードか否かを判断することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、コンテンツを購入せずに、つまりコンテンツを復号化せずにそのまま他のノードに転送した場合にも、認証課金サーバはその中継者に対価を与えることができる。また、中継者がコンテンツ中継の対価を得るために、中継者自身が認証課金サーバへライセンス情報等を送信して、確かにその中継者がコンテンツを中継した旨を通知する必要がなくなる。さらに、このようなP2Pネットワークにより、コンテンツを転送する場合、コンテンツの転送が延々と続いてしまうことがなくなる。これにより、P2Pネットワークでコンテンツ販売をした場合におけるネットワークトラフィックの増大を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
<第1の実施の形態>
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)を、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態におけるP2Pシステムの構成例を示した図である。
【0031】
本実施の形態のP2Pシステム(P2Pネットワーク)は、コンテンツの発信を行う発信者ノード1と、P2P通信手段により接続されたユーザノード(ノード)2(2a,2b,2c,2d,2e,2f)と、このコンテンツの中継対価や、コンテンツの代金の課金処理を行う認証課金サーバ3とを含んで構成される。
【0032】
なお、この発信者ノード1、ユーザノード2および認証課金サーバ3は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理手段、メインメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶手段、インターネット等のネットワーク経由で通信を行うための通信インタフェース、キーボードやマウス等の入力装置や液晶モニタ等の出力装置とのインタフェースである入出力インタフェース等を備えるコンピュータにより実現される。
【0033】
また、発信者ノード1およびユーザノード2は、P2P通信手段(P2P通信部)を備える。発信者ノード1およびユーザノード2は、このP2P通信部により接続される他のユーザノード2へコンテンツ、このコンテンツのメタデータ等、各種データを転送する。なお、一般的なP2P通信手段としては、(1)中央サーバの媒介を要するものと、(2)バケツリレー式にデータを運ぶものと2種類あるが、本実施の形態では(2)のバケツリレー式にデータを運ぶものを用いるものとする。
【0034】
本実施の形態において、発信者ノード1からP2Pネットワーク経由で転送されるコンテンツは、暗号化されたコンテンツであり、このコンテンツの購入者(消費者)は、認証課金サーバ3から復号鍵を購入し、その復号鍵でコンテンツを復号化し、再生する。つまり、認証課金サーバ3は、発信者ノード1に代わりコンテンツの代金の課金処理を行う。なお、このコンテンツの代金の課金処理は、発信者ノード1自身が行うようにしてももちろんよい。
また、以下の説明において、ユーザノード2eは、このコンテンツの購入者ノードとし、ユーザノード2a,2c,2dはコンテンツを転送する中継者ノードとして説明するが、これに限定されるものではない。
【0035】
なお、本実施の形態の認証課金サーバ3は、各ユーザノード2が送信した経路テーブル(詳細は後記)をもとに、どのユーザノード2が当該コンテンツの中継ノードかを判断する。
ここでユーザノード2における経路テーブルの転送手順を簡単に説明する。
例えば、ユーザノード2aが発信者ノード1から、初期値としてこの発信者の識別情報(ノードID)が記されている経路テーブルを受信すると、この経路テーブルに自身のノードのノードID「#a」を付加して、P2P通信手段により接続されるユーザノード2b,2cへ転送する。そして、この経路テーブルを受信したユーザノード2cは、さらに自身のノードID「#c」を付加し、P2P通信手段により接続されるユーザノード2dへ転送する…という手順を繰り返し、最終的には、この経路テーブルは認証課金サーバ3へ到達する。そして、認証課金サーバ3は、受信した経路テーブルに示されるユーザノード2のノードID{発信者,#a,#c,#d,#e}をもとに、どのユーザノード2に中継対価を付与すればよいかを判断する。つまり、認証課金サーバ3は、図1に例示したユーザノード2a,2c,2dに中継対価を付与すればよく、ユーザノード2bには中継対価を付与する必要がないことを知ることができる。すなわち、実際にコンテンツの中継に貢献したユーザノード2のみに、中継対価を付与することになるので、P2Pネットワークを用いたコンテンツの販売コストを低減することができる。
【0036】
なお、認証課金サーバ3は、実際にはコンテンツを転送していないユーザノード2(例えば、ユーザノード2f)からも、経路テーブルを受信する可能性があるが、このときの判断処理については、後記する図8等を用いて詳細に説明する。
【0037】
次に、図2〜図4を用いて前記した発信者ノード1、ユーザノード2および認証課金サーバ3の機能を説明する。
【0038】
<発信者ノード>
図2は、図1の発信者ノードを機能展開して示したブロック図である。
図2に示すように、発信者ノード1は、発信者のIDや発信者ノードのID等を認証課金サーバ3に登録する発信者情報登録部11と、コンテンツの暗号化およびこのコンテンツの復号鍵を生成する暗号化処理部12と、生成した復号鍵を認証課金サーバ3に登録する復号鍵登録部13と、このコンテンツのメタデータを作成するメタデータ作成部14と、暗号化したコンテンツおよびこのコンテンツのメタデータをネットワーク上で公開するコンテンツ/メタデータ公開部15と、P2P通信手段を備える他のノードとコンテンツやこのコンテンツのメタデータを送受信するためのP2P通信部16と、コンテンツごとに経路ポイント初期値を発行する経路ポイント発行部17と、暗号化したコンテンツやこのコンテンツのメタデータを記憶するコンテンツ/メタデータ記憶部18とを備える。
【0039】
この発信者情報登録部11、暗号化処理部12、復号鍵登録部13、メタデータ作成部14、コンテンツ/メタデータ公開部15、P2P通信部16および経路ポイント発行部17は、この発信者ノード1のCPUが、記憶手段に記憶された所定のプログラムを実行することにより実現される。なお、メタデータ作成部14により作成されるメタデータは、コンテンツのダウンロード元となる発信者ノード1のアドレス(発信者ノードID)やURL(Uniform Resource Locator)、コンテンツID、このコンテンツの経路ポイント初期値および経路テーブル等を含むデータである。つまり、このコンテンツのメタデータを受信したユーザノード2は、このメタデータに示されるアドレスやURLに基づき、どの発信者ノード1に当該コンテンツのダウンロード要求を行えばよいかを知ることができる。また、この経路ポイント初期値とは、各ユーザノード2により計算される経路ポイント(経路ポイント値)の初期値であり、乱数等を用いてコンテンツごとにユニークな値が発行される。
【0040】
なお、ここでは、経路ポイント(経路ポイント初期値)としてn(第2の経路ポイント値)と、m(第1の経路ポイント値)の2種類の値を用いることとするが、nのみを用いるようにしてもよいし、m、n以外の値と3種類以上の値を用いるようにしてもよい。経路テーブルは、前記したとおり、この経路テーブルを受信したユーザノード2が自身のノードIDを追加して、次のユーザノード2へ転送する情報である。経路ポイントおよび経路テーブルの詳細は、後記する図8等を用いて詳細に説明する。なお、コンテンツ/メタデータ記憶部18は、この発信者ノード1の記憶手段の所定領域に形成される。このような発信者ノード1の機能の詳細は、図5、図6のフローチャートを用いて後記する。
【0041】
<ユーザノード>
図3は、図1のユーザノードを機能展開して示したブロック図である。
図3に示すように、ユーザノード2は、このユーザノード2のユーザIDやノードIDを認証課金サーバ3に登録するユーザ情報登録部21と、他のノードから受信したコンテンツやメタデータを一時的に記憶するコンテンツ/メタデータキャッシュ部22と、認証課金サーバ3へ、復号鍵(コンテンツ)の購入要求を送信し、このコンテンツの復号鍵を取得する復号鍵取得部23と、他のノードから受信したメタデータに含まれる経路テーブルに自身のノードIDを追加した経路テーブルを作成したり、この経路ポイントを自身のユーザノード2で計算した経路ポイントに書き換えたりするメタデータ追加部25と、受信したメタデータをこのユーザノード2の表示部(図示せず)に表示させるメタデータ表示部26と、コンテンツやこのコンテンツのメタデータをP2Pで他のノードと送受信するためのP2P通信部27と、このユーザノード2が作成した経路テーブルを記憶する経路テーブル記憶部28と、受信したメタデータに含まれる経路ポイントを、この所定の計算式に代入して計算する経路ポイント計算部29とを備える。
【0042】
なお、このユーザ情報登録部21、メタデータ追加部25、メタデータ表示部26、P2P通信部27および経路ポイント計算部29は、ユーザノード2のCPUが記憶手段に記憶された所定のプログラムを実行することにより実現される。コンテンツ/メタデータキャッシュ部22および経路テーブル記憶部28は、前記したユーザノード2のメインメモリ等の記憶手段の所定領域に形成される。なお、アフィリエイトID取得部24については、後記する第2の実施の形態の項で述べる。
【0043】
<認証課金サーバ>
図4は、図1の認証課金サーバを機能展開して示したブロック図である。
図4に示すように、認証課金サーバ3は、この発信者ノード1により提供されるコンテンツごとの課金情報を示した発信者課金情報記憶部31と、ユーザノード2それぞれの中継対価や、コンテンツ購入による課金情報等を示したユーザ課金情報記憶部32と、発信者ノード1から送信されたコンテンツごとの復号鍵を記憶する復号鍵記憶部33と、ユーザノード2から送信されたメタデータに含まれる経路情報(経路ポイントおよび経路テーブル)に基づき逆算した経路ポイント初期値と、経路情報記憶部39に記憶されるこのコンテンツの経路ポイント初期値とを照合する経路情報照合部35と、発信者ノード1やユーザノード2に対する課金の計算を行い、この課金の計算結果を発信者課金情報記憶部31やユーザ課金情報記憶部32に記憶する課金処理部36と、発信者ノード1からの登録情報やユーザノード2からのユーザ登録情報を受信し、発信者課金情報記憶部31やユーザ課金情報記憶部32に当該発信者ノード1やユーザノード2のレコードを追加する登録処理部37と、発信者ノード1から送信された経路ポイント初期値を記憶する経路情報記憶部39と、ユーザノード2からの要求に応じて復号鍵記憶部33に記憶されている復号鍵を送信する復号鍵送信部40とを備える。
【0044】
発信者課金情報記憶部31に記憶される発信者課金情報は、以下の表1に例示するように、発信者ID(発信者ノードID)およびコンテンツごとに、このコンテンツの販売により得た対価を記憶したものである。例えば、発信者ID「AAA」の発信者ノード1はコンテンツID「BBB」についてコンテンツ販売対価「CCC」を得ていることを示す。このコンテンツ販売対価は、ユーザノード2へこのコンテンツの販売(コンテンツの復号鍵の販売)をするたびに加算される。
【0045】
【表1】

【0046】
ユーザ課金情報記憶部32に記憶されるユーザ課金情報は、以下の表2に例示するように、ユーザノード2のノードID(またはユーザID)ごとに、このユーザノード2に対する課金情報を示したものである。この課金情報には、ユーザノード2の中継対価(コンテンツ中継により得た対価)と、コンテンツ購入対価(ユーザノード2がコンテンツの購入のために支払った対価)とが示される。例えば、ID「FFF」のユーザノード2は、中継対価として「GGG」を得ており、また、コンテンツ購入対価として、「HHH」という対価を支払っていることを示す。
【0047】
【表2】

【0048】
復号鍵記憶部33は、以下の表3に例示するように、コンテンツIDごとに、このコンテンツに対応する復号鍵を記憶する。例えば、コンテンツID「BBB」のコンテンツに対応する復号鍵として復号鍵「XXX」が記憶されていることを示す。
この復号鍵は、コンテンツの発信発信者ノード1から送信されたものであり、登録処理部37により登録される。また、認証課金サーバ3が、ユーザノード2からコンテンツIDを含むこのコンテンツの復号鍵の取得要求を受信したとき、復号鍵送信部40はこのコンテンツIDをキーとして、この復号記憶部33から当該コンテンツの復号鍵を検索し、ユーザノード2へ送信する。
【0049】
【表3】

【0050】
経路情報記憶部39に記憶される経路情報は、以下の表4に例示するように、コンテンツIDごとに、このコンテンツの発信者ノード1から送信された経路ポイント初期値(詳細は後記)を示した情報である。例えば、コンテンツID「JJJ」の経路ポイント初期値は「m=7、n=100」であり、このコンテンツの発信者ノードIDは「LLL」であることを示す。
【0051】
【表4】

【0052】
なお、経路情報照合部35、課金処理部36、登録処理部37および復号鍵送信部40は、認証課金サーバ3のCPUが、記憶手段に記憶された所定のプログラムを実行することにより実現される。また、発信者課金情報記憶部31、ユーザ課金情報記憶部32、復号鍵記憶部33および経路情報記憶部39は前記した認証課金サーバ3の記憶手段の所定領域に形成される。
なお、アフィリエイトID発行部34およびアフィリエイトID記憶部38については、後記する第2の実施の形態の項で述べる。
【0053】
次に、図1〜図4を参照しつつ、図5および図6のフローチャートを用いて図1のP2Pシステムの処理手順を説明する。
【0054】
図5および図6は、図1のP2Pシステムの処理手順を示すフローチャートである。
なお、認証課金サーバ3は、予め、登録処理部37(図4参照)により、各ユーザノード2のユーザ課金情報の欄をユーザ課金情報記憶部32に登録しておくものとする。
【0055】
まず、発信者ノード1(図2参照)は、入力部(図示せず)からの指示入力に基づき、発信者情報登録部11により認証課金サーバ3へ発信者の情報を送信する(S1)。このとき送信する発信者の情報は、例えば、発信者ノード1のノードID(発信者ノードID)や発信者のID等である。
認証課金サーバ3は、この発信者ノードIDを受信すると、登録処理部37により発信者課金情報記憶部31にこの発信者の発信者ノードIDを登録する(S2)。つまり、登録処理部37は、発信者課金情報記憶部31に、この発信者により販売されるコンテンツの料金を記憶するための欄(表1参照)を作成する。
【0056】
次に、発信者ノード1は、自身が販売したいコンテンツを暗号化し、その復号鍵を認証課金サーバ3へ送信する(S3)。
【0057】
すなわち、まず、発信者ノード1の暗号化処理部12は販売対象のコンテンツを暗号化し、このコンテンツの復号鍵を生成する。そして、復号鍵登録部13は、生成した復号鍵を認証課金サーバ3へ送信する。なお、復号鍵登録部13が復号鍵を送信するときは、この復号鍵により復号されるコンテンツのコンテンツID(コンテンツの識別情報)と、発信者ノードIDとを併せて送信する。また、このとき暗号化したコンテンツは、コンテンツ/メタデータ記憶部18に記憶しておく。
【0058】
認証課金サーバ3は、発信者ノード1から復号鍵を受信すると、登録処理部37により、この復号鍵をコンテンツIDと対応付けて復号鍵記憶部33に登録する(S4)。
【0059】
次に、発信者ノード1のメタデータ作成部14は、S3で暗号化したコンテンツのメタデータを作成する(S5)。ここで作成するメタデータは、このコンテンツのコンテンツID、発信者ノード1のURL等を示したものである。また、このメタデータには、このコンテンツの経路ポイント初期値と、経路テーブルとを含むものである。なお、ここでの経路テーブルには、発信者ノード1の発信者ノードIDのみが記載され、まだ他のユーザノード2のノードIDは記載されない。
【0060】
この経路ポイント初期値は、経路ポイント発行部17がコンテンツごとに乱数等を用いて、第三者に予想されにくい値を作成するものとする。経路ポイント初期値をこのような値とするのは、後に認証課金サーバ3が、コンテンツの消費者のユーザノード2(2e)から経路テーブルを受信したとき、この経路テーブルが確かにコンテンツの中継を行う(または行った)ユーザノード2間を転送されてきたものか否かを判断するためである。つまり、その経路テーブルに示されるユーザノード2が実際にコンテンツの中継を行う(または行った)中継者か否かを判断するためである。このときの判断処理の詳細については、図8等を用いて詳細に説明する。
【0061】
経路ポイント発行部17によりこのコンテンツに関する経路ポイント初期値が作成されると、発信者情報登録部11は、このコンテンツの経路ポイント初期値を、このコンテンツのコンテンツIDおよび発信者ノードIDとともに認証課金サーバ3へ送信する(S6)。ここでは、例えば、経路ポイント初期値n,mとして{n=100,m=7}を設定する。
【0062】
認証課金サーバ3の登録処理部37は、経路ポイント初期値を受信すると、この経路ポイント初期値を経路情報記憶部39に登録する(S7)。このときの経路ポイント初期値は、後に当該ユーザノード2が実際にコンテンツの中継を行う(または行った)中継者か否かを判断する際に用いられる。
【0063】
次に、発信者ノード1のコンテンツ/メタデータ公開部15は、コンテンツ/メタデータ記憶部18に記憶された暗号化済みコンテンツと、このコンテンツのメタデータとをP2Pネットワーク上に公開する(S8)。公開状態になったメタデータは、P2P通信部16(図2参照)により接続している他のユーザノード2a(図1参照)へ、プッシュ転送される。つまり、発信者ノード1は、コンテンツのURL、経路ポイント(経路ポイント初期値、{n=100,m=7})および経路テーブル{発信者}を含むメタデータを他のユーザノード2(2a)へ転送する。
【0064】
ユーザノード2aは、P2P通信部27によりメタデータを受信すると、このメタデータに含まれる経路ポイント初期値をもとに、所定の計算式により経路ポイントを計算する。また、このメタデータに含まれる経路テーブルに、自身のノードIDを付加し、メタデータを更新する(S9)。
例えば、ユーザノード2aは、経路ポイント計算部29(図3参照)により、メタデータに含まれる経路ポイント初期値{n=100,m=7}を、所定の計算式{n´=n−m´,m´=m+1}に代入して経路ポイントを計算する。すなわち、経路ポイント計算部29は、前記した計算式に{n=100,m=7}を代入し、経路ポイント{n´=92,m´=8}を得る。そして、このようにして得た経路ポイントはメタデータ追加部25によりメタデータに反映される。また、メタデータ追加部25は、メタデータに含まれる経路テーブル{発信者}に、自身のノードID(例えば、#a)を追加して、{発信者,#a}とする。なお、前記した計算式は各ユーザノード2において共通のものを用いる。
このようにしてメタデータ追加部25によりメタデータが更新されると、P2P通信部27は、更新したメタデータをP2P通信部27により他のノードに送信する(S10)。
【0065】
S10の後、ユーザノード2aは、S9で受信したメタデータに含まれる経路テーブルに、メタデータの送信先(例えば、ユーザノード2c)のノードIDを付加した経路テーブルを経路テーブル記憶部28に記憶する。つまり、ユーザノード2aは、メタデータを、ユーザノード2cへ送信した場合、このユーザノード2cのノードID(#c)を追加した経路テーブル{発信者,#a,#c}を経路テーブル記憶部28に記憶する。この経路テーブル記憶部28の経路テーブルは、このユーザノード2が、P2P通信部27により暗号化済みのコンテンツを転送するときに参照される。
【0066】
このようにしてユーザノード2(2a)から送信されたメタデータは、順次P2Pネットワーク上のユーザノード2に転送され、それぞれのユーザノード2において、前記したのと同様のメタデータ更新が行われる。このときのメタデータの更新手順の詳細は、図8等を用いて後記に説明する。
【0067】
この後、メタデータを受信したユーザノード2が、このメタデータに対応するコンテンツを購入するときには、以下のような手順を実行する。ここでは、ユーザノード2eがコンテンツを購入する場合を例に説明する。
【0068】
ユーザノード2eは、他のユーザノード2からメタデータを受信すると、メタデータ表示部26によりメタデータに含まれるコンテンツIDやURLを出力装置(図示せず)に表示させる。ここでユーザノード2eに接続された入力装置(図示せず)から、当該コンテンツの購入要求(ダウンロード要求)が入力されたとき、P2P通信部27は当該URLをもとに発信者ノード1にアクセスし、当該コンテンツのダウンロード要求を行う(図6のS11)。
【0069】
なお、このときのダウンロード要求は、ダウンロードの対象であるコンテンツのコンテンツIDを含むものである。そして、ユーザノード2(2e)は、他のユーザノード2から、受信したメタデータについて、図5のS9と同様に、経路ポイントを計算し、経路テーブルに自身のノードIDを付加し、メタデータを更新する(S12)。そして、この更新したメタデータを認証課金サーバ3へ送信する(S13)。
【0070】
発信者ノード1は、このユーザノード2eからダウンロード要求を受信すると、コンテンツ/メタデータ記憶部18から暗号化済みコンテンツを読み出し、この暗号化済みコンテンツを、まず、ユーザノード2(2a)へ送信する(S14)。このときのコンテンツ送信は、発信者ノード1のP2P通信部16により接続されたユーザノード2aへプッシュ転送することにより行われる。
【0071】
暗号化済みコンテンツを受信したユーザノード2aは、コンテンツ/メタデータキャッシュ部22にこの暗号化済みコンテンツを記憶する。そして、このユーザノード2aのP2P通信部27は、経路テーブル記憶部28に記憶された経路テーブルをもとに、この暗号化済みコンテンツを転送する(S15)。
【0072】
このようにしてユーザノード2(2a)から送信された暗号化済みコンテンツは、順次P2Pネットワーク上のユーザノード2に転送され、このコンテンツの要求元であるユーザノード2eに到達する。
ユーザノード2eは、暗号化済みコンテンツを受信すると、このコンテンツの復号鍵を認証課金サーバ3へ要求する(S16)。すなわち、ユーザノード2eは、まず、受信した暗号化済みコンテンツをコンテンツ/メタデータキャッシュ部22に記憶する。そして、復号鍵取得部23により、このコンテンツのコンテンツID、ユーザノード2eのユーザノードIDを含む復号鍵の取得要求(コンテンツの購入要求)を送信する。なお、この復号鍵の取得要求の送信は、S13におけるメタデータの送信と同時あるいは、メタデータの送信よりも前に行うようにしてもよい。
つまり、ユーザノード2eはメタデータを受信し、ユーザノード2eの利用者からこのメタデータに対応するコンテンツの購入要求をする旨の指示入力を受け付けたとき、認証課金サーバ3へこのコンテンツのメタデータおよび購入要求を送信するようにしてもよい。
【0073】
認証課金サーバ3の復号鍵送信部40は、復号鍵の取得要求を受信すると、この取得要求の送信元(ユーザノード2e)との間で、ユーザID、パスワード等を用いた所定の認証処理等を行った後、この当該コンテンツの復号鍵を送信する(S17)。復号鍵を送信した後、課金処理部36は、当該コンテンツ代金を課金する(S18)。すなわち、課金処理部36は、ユーザ課金情報記憶部32におけるユーザノード2eのユーザ課金情報に当該コンテンツのコンテンツ購入対価を加算し、発信者課金情報記憶部31における発信者ノード1の発信者課金情報に、当該コンテンツのコンテンツ販売対価を加算する。
【0074】
このようにして、ユーザノード2eが復号鍵を取得すると、この復号鍵によりコンテンツを復号化する(S19)。すなわち、ユーザノード2eは、コンテンツ/メタデータキャッシュ部22から暗号化済みコンテンツを読み出し、認証課金サーバ3から取得した復号鍵により復号化する。
このようにして、ユーザノード2eは、コンテンツを復号化する。
【0075】
この後、認証課金サーバ3は、各ユーザノード2の中継対価を計算する(S20)。すなわち、ユーザノード2から送信されたメタデータの経路テーブルに示されるユーザノード2(中継者)それぞれに対し、コンテンツの中継対価を課金する。つまり、ユーザ課金情報記憶部32にユーザノード2(中継者)の中継対価を加算したものを記録する。
【0076】
ここで、図7を用いて、各ユーザノード2においてメタデータに含まれる経路ポイントおよび経路テーブルがどのように更新されるかを説明する。
図7は、図1のユーザノードそれぞれにおいて経路ポイントおよび経路テーブルの更新手順を概念的に説明した図である。
【0077】
図7に示すように、発信者ノード1は、まず、経路ポイント初期値として、{n=100,m=7}を設定する。そして経路テーブルには、{発信者(自身のノードID)}を設定する。そして、発信者ノード1は、この経路ポイント初期値(経路ポイント)および経路テーブルを、当該コンテンツのメタデータとしてユーザノード2aへ転送する。
【0078】
ユーザノード2aは、発信者ノード1から経路ポイント{n=100,m=7}を受信すると、この値を経路ポイント計算式{n´=n−m´,m´=m+1}に代入して、経路ポイント{n´=92,m´=8}を得る。また、ユーザノード2aは、経路テーブル{発信者}を受信すると、自身のノードID(#a)を追加して経路テーブル{発信者,#a}を作成する。そして、経路ポイント{n=92,m=8}および経路テーブル{発信者,#a}を、当該コンテンツのメタデータとしてユーザノード2cへ転送する。
【0079】
ユーザノード2cは、経路ポイント{n=92,m=8}を受信すると、前記した経路ポイント計算式に代入して、経路ポイント{n´=83,m´=9}を得る。また、ユーザノード2cは、経路テーブル{発信者,#a}を受信すると、自身のノードID(#c)を追加して経路テーブル{発信者,#a,#c}を作成する。そして、{n=83,m=9}および経路テーブル{発信者,#a,#c}を、当該コンテンツのメタデータとしてユーザノード2dへ転送する。
【0080】
ユーザノード2dは、経路ポイント{n=83,m=9}を受信すると、前記した経路ポイント計算式に代入して、経路ポイント{n´=73,m´=10}を得る。また、ユーザノード2cは、経路テーブル{発信者,#a,#c}を受信すると、自身のノードID(#d)を追加して経路テーブル{発信者,#a,#c,#d}を作成する。そして、経路ポイント{n=73,m=10}および経路テーブル{発信者,#a,#c,#d}を、当該コンテンツのメタデータとしてユーザノード2eへ転送する。
【0081】
ユーザノード2eは、経路ポイント{n=73,m=10}を受信すると、前記した経路ポイント計算式に代入して、経路ポイント{n´=62,m´=11}を得る。また、ユーザノード2eは、経路テーブル{発信者,#a,#c,#d}を受信すると、自身のノードID(#e)を追加して経路テーブル{発信者,#a,#c,#d,#e}を作成する。そして、経路ポイント{n=62,m=11}および経路テーブル{発信者,#a,#c,#d,#e}を、当該コンテンツのメタデータとして図1の認証課金サーバ3へ転送する。
【0082】
このようにして、メタデータに含まれる経路ポイントおよび経路テーブルは、各ユーザノード2において順次更新され、最終的にユーザノード2e(コンテンツの消費者)から認証課金サーバ3へ送信される。
【0083】
なお、ユーザノード2の経路ポイント計算部29がポイント計算に用いる計算式は、メタデータがユーザノード2を経由するたびに経路ポイントnの値が小さくなるようにしている。また、経路ポイント計算部29は、受信したメタデータに含まれる経路ポイントを計算した結果、nの値が所定の閾値(例えば、「0」)以下になった場合、その旨をP2P通信部27に通知し、メタデータを他のノードへ転送しないようにする。このようにすることで、メタデータの転送が延々と続いてしまうのを防止できる。
【0084】
また、発信者ノード1がこのコンテンツの経路ポイント初期値のnの値を小さく設定しておけば、このメタデータは多数のユーザノード2間で転送されない。つまり、このメタデータに対応するコンテンツが転送されるユーザノード2の数も少なくすることができる。
すなわち、発信者ノード1のユーザが、多数のユーザノード2間を転送してもかまわないコンテンツについてはnの値を大きくし、あまり多数のユーザノード2間で転送してほしくなければnの値を小さくするといった調整を行うことができる。
【0085】
なお、認証課金サーバ3は、ユーザノード2eから送信された経路テーブルに、実際にコンテンツの中継をしていないユーザノード2の識別情報が含まれる可能性がある。このようなケースについて、図8を用いて、説明する。図8は、本実施の形態のP2Pシステムの構成例を示した図である。
【0086】
図8に示すように、本来、認証課金サーバ3が受信する経路テーブルは、ユーザノード2e(消費者)が、発信者ノード1を出発点としてコンテンツが転送される経路と同じになるはずなので、この経路テーブルに示されるユーザノード2(2a,2c,2d)に対し、コンテンツ中継の対価を支払えばよい。
【0087】
ところが、中継者であるユーザノード2dにP2P接続されるユーザノード2f等が、不正な割り込みにより自身のノードの識別情報を含む経路テーブル{発信者,#a,#f}を送信する可能性もある。このような割り込みをすると、認証課金サーバ3は、発信者ノード1を出発点とした正当な経路テーブル{発信者,#a,#c,#d,#e}のほかに、不正な経路テーブル{発信者,#a,#f,#d,#e}を受信することになる。
【0088】
認証課金サーバ3がこのような不正な経路テーブルに基づく中継対価の課金を行ったのでは、実際にはコンテンツの中継に貢献しないユーザノード2fにまで中継対価を支払うことになる。そこで、このような不正な中継対価の請求を防止するため、認証課金サーバ3は、中継対価計算処理を行う際、ユーザノード2eから送信された経路ポイントと、発信者ノード1から送信された当該コンテンツの経路ポイント初期値とを用いて、当該経路テーブルは不正な中継者のノードIDを含むか否かの判断を行う。
【0089】
図1〜図8を参照しつつ、図9を用いて、図6のS20(各ユーザノード2の中継対価計算処理)を詳細に説明する。
図9は、図6のS20(各ユーザノード2の中継対価計算処理)を詳細に説明するフローチャートである。
【0090】
まず、認証課金サーバ3は、図1のユーザノード2eから復号鍵の取得要求(コンテンツの購入要求)を受信すると、この取得要求に含まれるコンテンツIDをキーとして、経路情報照合部35が経路情報記憶部39から、当該コンテンツの経路ポイント初期値を読み出す。つまり、発信者ノード1から送信された当該コンテンツの経路ポイント初期値を読み出す(S201)。例えば、当該コンテンツの経路ポイント初期値{n=100,m=7}を読み出す。
【0091】
次に、経路情報照合部35は、ユーザノード2e(コンテンツの消費者)から送信されたメタデータに含まれる当該コンテンツの経路ポイントおよび経路テーブルをもとに、経路ポイント初期値を逆算する(S202)。
【0092】
例えば、ユーザノード2eから経路ポイント{n=62,m=11}および経路テーブル{発信者,#a,#c,#d,#e}を受信したとき、この経路ポイントは「#a,#c,#d,#e」の4つのユーザノード2において経路計算をされた結果であることが分かる。したがって、この経路ポイント{n=62,m=11}をもとに経路ポイント計算式{n´=n−m´,m´=m+1}の逆算を4回行う。そうすると、経路ポイント{n=100,m=7}になる。
【0093】
一方、ユーザノード2eから経路ポイント{n=72,m=7}および経路テーブル{発信者,#a,#f,#d,#e}を受信した場合(図8参照)も、この経路ポイントも「#a,#f,#d,#e」の4つのユーザノード2において経路計算をされた結果であることが分かる。したがって、この経路ポイント{n=72,m=7}をもとに経路ポイント計算式{n´=n−m´,m´=m+1}の逆算を4回行う。そうすると、経路ポイント{n=94,m=3}になる。
【0094】
次に、経路情報照合部35は、S202で計算した経路ポイント(経路ポイント初期値)が、発信者ノード1から送信された当該コンテンツの経路ポイント初期値と同じか否かを判断する(S203)。ここで、計算した経路ポイント初期値が、当該コンテンツの経路ポイント初期値と同じであれば(S203のYes)、ユーザノード2eから受信した経路テーブルに示されるユーザノード2(中継者)に中継対価を付与する(S204)。つまり、ユーザ課金情報記憶部32にユーザノード2(中継者)の中継対価を加算したものを記録する。
【0095】
一方、ここで、計算した経路ポイント初期値が、当該コンテンツの経路ポイント初期値と異なる値であれば(S203のNo)、この経路テーブルを破棄する(S205)。つまり、この経路テーブルに示されるユーザノード2には中継対価を付与しないと判断する。
【0096】
例えば、前記した例でいうと、この経路ポイント{n=62,m=11}をもとに逆算した経路ポイント{n=100,m=7}は、両方とも発信者ノード1から送信された当該コンテンツの経路ポイント初期値の組み合わせと同じである。したがって、この経路テーブルに示されるユーザノード2a,2c,2dに中継対価を付与してよいと判断する。
一方、経路ポイント{n=72,m=7}をもとに、逆算した経路ポイント{n=94,m=3}は、発信者ノード1から送信された当該コンテンツの経路ポイント初期値とは異なる。したがって、この経路テーブルに示されるユーザノード2a,2f,2dは中継対価を付与の対象としないと判断する。
【0097】
このようにして、認証課金サーバ3は、確かにコンテンツを中継したと推定されるユーザノード2にユーザ課金情報記憶部32に当該コンテンツの中継対価を加算する旨の情報を書き込む。つまり、認証課金サーバ3は、確かにコンテンツを中継したと推定されるユーザノード2のみに中継対価を支払うことになるので、P2Pネットワークによりコンテンツを販売するときのコストを低減することができる。
【0098】
なお、前記した実施の形態において経路ポイント計算部29がポイント計算に用いる計算式は、{n´=n−m´,m´=m+1}という式としたが、経路ポイント初期値n,mの値が推定しにくく、かつnの値がユーザノード2を経由するたびに少なくなるような計算式であればこれに限定されない。また、経路ポイントの値としてnのみを用いるようにしてももちろんよい。この場合、何回逆算を行えばよいかは、認証課金サーバ3が受信したメタデータに含まれる経路テーブルにおいて記録されているユーザノード2の個数(ノードIDの個数)をもとに判断する。
なお、このように複数の経路ポイント値を用いる場合、経路ポイント計算部29が用いる計算式は、これらの値のうち、少なくとも1つの値を減算する計算式であればよい。このようにすることで、ユーザノード2間でメタデータが転送される場合において、その値が所定の閾値以下になったとき、当該ユーザノード2においてメタデータの転送を停止することができる。つまり、メタデータが延々とユーザノード2間を転送されるのを防止できる。
【0099】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。第2の実施の形態は、コンテンツを購入したユーザノード2(一次消費者)が、ユーザノード2(二次消費者)にコンテンツの宣伝文を含むメタデータを転送する。そして、このメタデータをみたユーザノード2(二次消費者)が当該コンテンツを購入したとき、認証課金サーバ3がユーザノード2(一次消費者)に対し、宣伝ポイント(宣伝の対価)を付与することを特徴とする。
【0100】
この第2の実施の形態を図2〜図4および図10を用いて、説明する。前記した第1の実施の形態と同様の構成要素は同じ符号を付して、説明を省略する。
【0101】
図10は、第2の実施の形態のP2Pシステムの概要を説明する図である。
【0102】
一次消費者であるユーザノード2eは、前記した第1の実施の形態と同様の手順によりコンテンツを購入する。また、ユーザノード2eは、この購入したコンテンツに関するアフェリアイトIDを認証課金サーバ3から取得する。そして、このユーザノード2eは、当該コンテンツの宣伝文(宣伝情報)と、アフィリエイトIDとを含む宣伝付きメタデータを生成する。そして、ユーザノード2eは、P2P通信部27によりユーザノード2gへ、宣伝文付きメタデータを送信する。なお、ここでの宣伝文とは、例えば、当該コンテンツのバナー広告等である。ここで、このメタデータをみたユーザノード2gが、当該メタデータに示されるコンテンツを購入したとき、つまり、認証課金サーバ3が、ユーザノード2gからアフィリエイトIDを含むこのコンテンツの復号鍵の購入要求を受信したとき、認証課金サーバ3はこのアフィリエイトIDに対応するユーザノード2、つまり、ユーザノード2eに宣伝ポイント(宣伝対価)を付与する。
【0103】
つまり、一次消費者であるユーザノード2eは、二次消費者であるユーザノード2gにコンテンツを宣伝したことによる対価を得ることができる。
【0104】
このような第2の実施の形態のユーザノード2の構成は、図3に示すように、認証課金サーバ3からアフィリエイトIDを取得するアフィリエイトID取得部24をさらに含む。また、メタデータ追加部25は、他のノードからメタデータを受信すると、このメタデータにコンテンツの宣伝文(宣伝情報)と、このアフィリエイトIDとを追加する。さらに、P2P通信部27は、このようなコンテンツの宣伝文と、ユーザノード2のアフィリエイトIDとを含むメタデータを、他のユーザノード2へ転送する。
また、このユーザノード2の復号鍵取得部23は、認証課金サーバ3に対し復号鍵を取得するとき、つまりコンテンツの購入要求をするとき、このメタデータに含まれるアフィリエイトIDを併せて送信する。
【0105】
また、第2の実施の形態の認証課金サーバ3の構成は、図4に示すように、ユーザノード2からの要求に応じて、このユーザノード2のアフィリエイトIDを発行し、送信するアフィリエイトID発行部34と、発行したアフィリエイトIDをこのユーザノード2のノードIDと対応付けて記憶するアフィリエイトID記憶部38とを備える。
また、復号鍵送信部40は、ユーザノード2からアフィリエイトIDを含む復号鍵の取得要求、つまりコンテンツの購入要求を受信したとき、アフィリエイトID記憶部38から、このアフィリエイトIDに対応するユーザノード2(2e)を特定する。そして、このユーザノード2(2e)、このコンテンツの宣伝対価を付与する。すなわち、ユーザ課金情報記憶部32における、当該ユーザノード2eの情報にこのコンテンツの宣伝対価を加算する。
【0106】
このようにすることで、ユーザノード2がコンテンツを購入した場合にも、このユーザノード2にこのコンテンツをP2Pで他のノードに転送(中継)するインセンティブを与えることができる。つまり、このようなP2Pシステムにおけるコンテンツの流通を活発化させることができる。
【0107】
本実施の形態に係る認証課金サーバ3は、前記したような処理を実行させる認証課金サーバ用プログラムによって実現することができ、また、ユーザノード2についても、前記したような処理を実行させるP2P通信プログラムによって実現することができる。さらに、発信者ノードについても、前記したような処理を実行させるコンテンツ配信プログラムによって実現することができる。また、これらのプログラムをコンピュータによる読み取り可能な記憶媒体(CD−ROM等)に記憶して提供することが可能である。また、そのプログラムを、インターネット等のネットワークを通して提供することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本実施の形態におけるP2Pシステムの構成例を示した図である。
【図2】図1の発信者ノードを機能展開して示したブロック図である。
【図3】図1のユーザノードを機能展開して示したブロック図である。
【図4】図1の認証課金サーバを機能展開して示したブロック図である。
【図5】図1のP2Pシステムの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】図1のP2Pシステムの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図1のユーザノードそれぞれにおいて経路ポイントおよび経路テーブルの更新手順を概念的に説明した図である。
【図8】本実施の形態のP2Pシステムの構成例を示した図である。
【図9】図6のS20(各ユーザノード2の中継対価計算処理)を詳細に説明するフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態のP2Pシステムの概要を説明する図である。
【符号の説明】
【0109】
1 発信者ノード
2(2a,2b,2c,2d,2e,2f,2g) ユーザノード(ノード)
3 認証課金サーバ
11 発信者情報登録部
12 暗号化処理部
13 復号鍵登録部
14 メタデータ作成部
15 メタデータ公開部
16,27 P2P通信部(P2P通信手段)
17 経路ポイント発行部
18 コンテンツ/メタデータ記憶部
21 ユーザ情報登録部
22 メタデータキャッシュ部
23 復号鍵取得部
24 アフィリエイトID取得部
25 メタデータ追加部
26 メタデータ表示部
28 経路テーブル記憶部
29 経路ポイント計算部
31 発信者課金情報記憶部
32 ユーザ課金情報記憶部
33 復号鍵記憶部
34 アフィリエイトID発行部
35 経路情報照合部
36 課金処理部
37 登録処理部
38 アフィリエイトID記憶部
39 経路情報記憶部
40 復号鍵送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
P2P通信手段により接続される1以上のノードによりコンテンツが中継されるP2Pネットワークにおいて、前記コンテンツを中継したノードにこのコンテンツの中継対価を付与する中継対価付与方法であって、
前記ノードのうち、前記コンテンツの発信者となる発信者ノードは、前記コンテンツのメタデータを作成し、この作成したメタデータを前記P2P通信手段により接続される他のノードへ送信し、
前記コンテンツのメタデータを受信したノードは、この受信したメタデータに自身のノードの識別情報を付加して、前記P2P通信手段により接続される他のノードへ転送し、
前記P2Pネットワークに接続される認証課金サーバは、
前記コンテンツの購入要求を受信し、
前記受信したコンテンツの購入要求の送信元であるノードから、前記コンテンツのメタデータを受信したとき、前記メタデータに示される識別情報のノードを、前記コンテンツを中継したノードと判断し、このノードの中継対価を記憶手段に記憶することを特徴とする中継対価付与方法。
【請求項2】
前記発信者ノードは、
前記メタデータに、前記コンテンツごとの経路ポイント初期値を経路ポイント値として含めて送信し、
前記コンテンツごとの経路ポイント初期値を、前記課金サーバへ送信し、
前記認証課金サーバは、
前記発信者ノードから送信された、前記コンテンツごとの経路ポイント初期値を前記記憶手段に記憶し、
前記コンテンツのメタデータを受信したノードはそれぞれ、
前記受信したコンテンツのメタデータに含まれる経路ポイント値に対し、所定の計算式を用いて演算処理を行い、前記演算処理の結果である経路ポイント値を前記メタデータに含めて、前記P2P通信手段により接続される他のノードへ転送し、
前記認証課金サーバが、
前記ノードから、前記コンテンツのメタデータを受信したとき、前記メタデータに含まれる経路ポイント値および前記ノードの識別情報の数と、前記所定の計算式とに基づき、前記コンテンツの経路ポイント初期値を逆算し、
前記逆算した経路ポイント初期値と、前記記憶手段に記憶された前記コンテンツに関する経路ポイント初期値とが同じとき、
前記メタデータに示される識別情報のノードを、前記コンテンツを中継したノードと判断し、このノードの中継対価を前記記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1に記載の中継対価付与方法。
【請求項3】
前記所定の計算式は、
前記受信したメタデータに含まれる経路ポイント値を減算する計算式であり、
前記ノードはそれぞれ、
前記所定の計算式を用いた演算処理の結果、前記経路ポイント値が所定の閾値以下となったとき、前記メタデータを他のノードへ転送しないことを特徴とする請求項2に記載の中継対価付与方法。
【請求項4】
前記経路ポイント値は、第1の経路ポイント値および第2の経路ポイント値を含んでなり、
前記所定の計算式は、
前記受信したメタデータにおける前記第1の経路ポイント値および前記第2の経路ポイント値の少なくとも一方の値を減算する計算式であり、
前記認証課金サーバは、
前記コンテンツの経路ポイント初期値を逆算するとき、前記第1の経路ポイント値および前記第2の経路ポイント値を逆算し、この逆算した第1の経路ポイント値および前記第2の経路ポイント値の組み合わせが、前記記憶手段に記憶された前記コンテンツの前記第1の経路ポイント値および前記第2の経路ポイント値と同じとき、
前記メタデータに示される識別情報のノードを、前記コンテンツを中継したノードと判断し、このノードの中継対価を前記記憶手段に記憶することを特徴とする請求項3に記載の中継対価付与方法。
【請求項5】
前記認証課金サーバは、
前記ノードからの要求に応じて、前記ノードごとのアフィリエイトIDを送信し、
前記アフィリエイトIDをこのアフィリエイトIDの要求元のノードの識別情報と対応付けて前記記憶手段に記憶し、
前記ノードは、
前記メタデータに、前記送信されたアフィリエイトIDと前記コンテンツの宣伝情報とを含め、前記P2P通信手段により接続される他のノードへ転送し、
前記認証課金サーバは、
前記ノードから、前記アフィリエイトIDを含む前記コンテンツの購入要求を受信したとき、
前記記憶手段の情報を参照して、前記アフィリエイトIDに対応するノードを特定し、この特定したノードによる前記コンテンツの宣伝対価を前記記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の中継対価付与方法。
【請求項6】
前記コンテンツのメタデータを受信したノードは、
このメタデータの送信元であるノードの識別情報およびこのメタデータの送信先であるノードの識別情報を、前記コンテンツを送信するときの経路テーブルとして記憶手段に記憶し、
前記P2P通信手段により前記メタデータの送信元であるノードからこのメタデータに対応するコンテンツを受信したとき、前記コンテンツを、前記経路テーブルにおいて前記コンテンツのメタデータの送信先として記憶されているノードへ転送することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の中継対価付与方法。
【請求項7】
P2P通信手段により接続される1以上のノードによりコンテンツが中継されるP2Pネットワークにおいて、前記コンテンツを中継したノードにこのコンテンツの中継対価を付与する認証課金サーバであって、
前記コンテンツの購入要求の送信元であるノードから、前記P2P通信手段により前記コンテンツの中継を行うノードの識別情報を示した前記コンテンツのメタデータを受信したとき、前記受信したメタデータに示される識別情報のノードの中継対価を記憶手段に記憶する課金処理部を備えることを特徴とする認証課金サーバ。
【請求項8】
前記コンテンツのメタデータは、
前記コンテンツの発信者ノードを出発点として、前記コンテンツを購入するノードまで、前記P2P通信手段により接続される1以上のノードのそれぞれにより、前記自身のノードの識別情報を付加して転送されたメタデータであることを特徴とする請求項7に記載の認証課金サーバ。
【請求項9】
前記記憶手段は、
前記発信者ノードから受信した、前記コンテンツごとの経路ポイント初期値をさらに記憶し、
前記コンテンツを購入要求の送信元であるノードから、前記コンテンツのメタデータを受信したとき、前記メタデータに含まれる経路ポイント値および前記ノードの識別情報と、前記所定の計算式とに基づき、前記コンテンツの経路ポイント初期値を逆算し、前記逆算した経路ポイント初期値と、前記記憶手段に記憶された前記コンテンツに関する経路ポイント初期値とが同じか否かを判断する経路情報照合部をさらに備え、
前記課金処理部は、
前記逆算した経路ポイント初期値と、前記記憶手段に記憶された前記コンテンツに関する経路ポイント初期値とが同じとき、
前記メタデータに示される識別情報のノードを、前記コンテンツを中継したノードと判断し、このノードの中継対価を記憶手段に記憶することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の認証課金サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−293704(P2007−293704A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−122387(P2006−122387)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】