説明

PC鋼コンクリート合成桁橋及びその架設方法

【課題】鋼少数主桁橋に比べ経済的に有利なPC鋼コンクリート合成桁橋を提供する。
【解決手段】下端に鋼フランジ12を取付けた波形鋼板ウエブ11の上端に波形鋼ウエブ11と一体のコンクリートフランジ13を形成してプレキャストコンクリート橋桁セグメント100を製造し、2つのプレキャストコンクリート橋桁セグメント100を地組して連結したプレキャストコンクリート橋桁セグメント101をベント架設又はガーダ架設により順次橋台21と橋脚22との間に架設し、各プレキャストコンクリート橋桁セグメント101間のコンクリートフランジ13の端面を当接させ、波形鋼板ウエブ11を結合し、鋼フランジ12を橋軸方向に結合して、橋台21と橋脚22との間に単純桁として支持させ、上床版23を施工した後、橋梁の橋軸方向に外ケーブル30を用いて橋台21と橋脚22との間の桁橋にプレストレスを導入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PC鋼コンクリート合成桁橋及びその架設方法に関し、さらに詳しくは、支間40m〜60m程度の橋梁であって、波形鋼板ウエブを有し、場所打ちコンクリート床版もしくはプレキャストPC床版を合成させた、PC鋼コンクリート合成桁橋及びその架設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来ウエブに波形鋼板を用いたコンクリートT桁では、上下フランジがコンクリート製であったため、重量が重くなった。また、下フランジに大きな圧縮応力度を導入する必要があることから、大容量のプレストレスが必要であり、また大容量のプレストレスを導入することにより発生する導入直後の圧縮応力度に抵抗するため、大きな下フランジが必要となり、重量の増加を招いていた。
【0003】
さらに、波形鋼板ウエブを用いたT桁では、プレキャストセグメント構造の桁を接合するときに、接合部の応力度をフルプレストレス状態にする必要があり、構造上の弱点となっていた。また、桁端部には大容量のPC鋼材を定着するため、曲げ上げ配置する必要があり、コンクリートを巻き立てることから重量増の原因にもなっていた。
【0004】
支間が40〜60m程度の橋梁では、従来の波形鋼板ウエブT桁に対して鋼少数主桁橋が設計上有利と考える設計者もあり、山間部を除く通常の多径間の連続高架橋の多くで鋼少数主桁橋が採用される場合も見受けられる。
【0005】
しかし、従来の鋼桁は、鋼桁の上フランジが、大きな圧縮力を受け持つため、高価な鋼を多く使用する。また、ウエブは、平鋼板を使用しているが、座屈に対して補剛するために、鉛直補剛材及び水平補剛材を数多く溶接で取り付ける必要がある。
【0006】
従来の鋼桁にプレストレスを与えると、鉛直のウエブが拘束し、主桁にプレストレスが導入されない。通常上床版はコンクリート製であるため、鋼フランジとの接合が難しく、非合成構造となっているものが多い。合成構造とする場合には、スタッドを数多く溶植する必要があり、プレキャスト床版との接合に対しては難があった。
【0007】
鋼ウエブの下端に鋼フランジを備え、上端に鉄筋コンクリートフランジを備えた鋼コンクリート複合桁がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
この桁は桁高を小さくし、ウエブに平鋼板を用い、中小支間に架設する単純桁であって、鉄筋コンクリートフランジを横締めして橋面を形成するものである。
【特許文献1】特開2007−126813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、波形鋼板ウエブを用いるコンクリート桁に改良を加え、支間40〜60m程度の橋梁において、鋼少数主桁橋に比べ経済的に有利になるような新規なPC鋼コンクリート合成桁橋及びその架設方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、その技術手段は、波形鋼板ウエブの下端に鋼フランジを備え、上端にこの波形鋼板ウエブの上端と一体のコンクリートフランジを備え、橋梁の橋軸方向に外ケーブルを張設したことを特徴とするPC鋼コンクリート合成桁橋である。
【0011】
本発明のPC鋼コンクリート合成橋桁は、ウエブに波形鋼板を使用することにより、座屈に強く桁軸方向のプレストレスが導入し易い。本発明では、波形鋼板ウエブの下フランジが鋼製であるため、上下フランジがコンクリート製である従来の橋桁に比して、桁の重量を軽量化することができる。この鋼フランジと波形鋼板ウエブとの接合は、溶接による。
【0012】
このようなPC鋼コンクリート合成桁橋は次の手段によって実現することができる。すなわち本発明方法は、下端に鋼フランジを取付けた波形鋼板ウエブの上端に、この波形鋼板ウエブと一体のコンクリートフランジを形成してプレキャストコンクリート橋桁セグメントを製造し、このプレキャストコンクリート橋桁セグメントをベント架設又はガーダ架設により順次橋脚間に架設し、各プレキャストコンクリート橋桁セグメント間のコンクリートフランジ端面を当接させ、波形鋼板ウエブを結合し、鋼フランジを橋軸方向に結合して、橋桁を橋脚間に単純桁として支持させ、上床版を施工した後、橋梁の橋軸方向に外ケーブルを用いて橋脚間の橋桁にプレストレスを導入することを特徴とするPC鋼コンクリート合成桁橋の架設方法である。
【0013】
本発明の架設方法では、波形鋼板ウエブの下端に設けた鋼フランジに自重により引張り力が生じた後に外ケーブルで橋軸方向にプレストレスを与えるため、この鋼フランジが座屈しにくい。
【0014】
波形鋼板ウエブの上端のコンクリートフランジの接合は、プレキャストセグメント構造となるが、常時圧縮状態となるため構造上不利とならない。
【0015】
波形鋼板ウエブの上フランジがコンクリートのため、上床版コンクリートとの接合性が良く、鉄筋によるジベル筋により合成構造とすることが容易である。
【0016】
本発明の架設方法は、また、径間が複数の場合、橋桁を連続させ、複数径間に亘る橋軸方向に配置された外ケーブルを用いて橋桁にプレストレスを導入することとすればよく、複数の径間に亘る連続桁構造では、外ケーブルを適切に配置することにより、プレストレス2次力によって、中間支点部の上縁の引張りおよび下縁の圧縮応力が改善される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、下フランジを鋼製とすることで、重量を軽量化することができ、波形鋼板ウエブを使用することにより座屈に強くプレストレスが導入し易い。また、下フランジに自重により引張り力が生じた後にプレストレスを与えるため、下フランジが座屈しにくい。
【0018】
また、上フランジがコンクリートのため、上床版コンクリートとの接合性が良く、ジベル筋により合成構造とすることが容易である。
【0019】
さらに、連続桁構造に外ケーブルを適切に配置することにより、プレストレス2次力によって、中間支点部の上縁の引張りおよび下縁の圧縮応力が改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態であるPC鋼コンクリート合成桁橋1の側面図であり、図2は、図1に示すPC鋼コンクリート合成桁橋1の平面図である。また、図3は、図1に示すA−A断面図であり、図4は、図1に示すB−B断面図(但し橋台21は除く)である。また、図5は、図1,図2に示す主桁10の断面図である。尚、図2の右半分は、上床版23上から主桁10を透視した図である。
【0022】
図1,図2に示すPC鋼コンクリート合成桁橋1は、ウエブに波形鋼板を用いた2径間連続PC鋼コンクリート合成桁橋である。このPC鋼コンクリート合成桁橋1の主桁10は、波形鋼板ウエブ11の下端に鋼フランジ12を備え、波形鋼板ウエブ11の上端にこの上端と一体のコンクリートフランジ13を備えたものである。また、主桁10の上には上床版23が施工されている。主桁10と上床版23とは、主桁10のコンクリートフランジ13の上面13aから突出する鉄筋によるジベル筋131により合成構造とされている。また、波形鋼板ウエブ11と鋼フランジ12とは溶接によって接合されている。また、このPC鋼コンクリート合成桁橋1は、プレキャストコンクリート橋桁セグメント101を結合してなる主桁10を橋台21と橋脚22との間に架設した桁橋である。
【0023】
また、主桁10におけるプレキャストコンクリート橋桁セグメント101端部の鋼フランジ12と波形鋼板ウエブ11との交点近傍に、外ケーブル30を案内する鋼製のディビエータ(偏向部)31が配備されている。また、橋台21の上方に位置するコンクリート部材からなる端支点横桁211に、外ケーブル30の端部を定着する定着部32が配備されている。そして、PC鋼コンクリート合成桁橋1には、ディビエータ(偏向部)31により偏心案内され端部が定着部32に定着された2径間に亘る外ケーブル30で支間に張設されることによって、桁軸方向のプレストレスが導入されている。
【0024】
本実施形態のPC鋼コンクリート合成桁橋1は、ウエブに波形鋼板を使用することにより、座屈に強く桁軸方向のプレストレスが導入し易い。また、本実施形態では、波形鋼板ウエブ11の下フランジが鋼製であるため、上下フランジがコンクリート製である従来の橋桁に比して、桁の重量を軽量化することができる。また、本実施形態のPC鋼コンクリート合成桁橋1によれば、2径間に亘って張設された外ケーブル30によるプレストレス2次力によって、中間支点部の上縁の引張りおよび下縁の圧縮応力が改善される。
【0025】
次に、本発明のPC鋼コンクリート合成桁橋1の架設方法の一実施形態を説明する。
【0026】
まず、下端に鋼フランジ12が溶接接合された波形鋼板ウエブ11を工場で製造する。この波形鋼板ウエブ11をプレキャストコンクリート工場に運搬し、波形鋼板ウエブ11の上端にコンクリートフランジ13を施工してプレキャストコンクリート橋桁セグメント100を製造する。
【0027】
以下、図6〜図10を参照して、下端に鋼フランジ12が溶接接合された波形鋼板ウエブ11の上端にコンクリートフランジ13を施工する工程を説明する。
【0028】
図6は、波形鋼板ウエブ配設工程を示す側面図である。
【0029】
図6には図1,図2に示すPC鋼コンクリート合成桁橋1に用いられる、下端に鋼フランジ12が溶接接合された波形鋼板ウエブ11のうちの隣接する桁の波形鋼板ウエブ111,112の接合端部近傍の部分が示されている。図6に示すように、桁長手方向に隣接する波形鋼板ウエブ111,112同士を、接合端部間に隙間40をあけて突合せて配設する(波形鋼板ウエブ配設工程)。各波形鋼板ウエブ111,112の突合される接合端部の近傍には、後述する仮添接板や本添接板を取付けるための孔111a,112aが設けられている。
【0030】
次に、図7に示す波形鋼板ウエブ結合工程に入る。図7は、波形鋼板ウエブ結合工程を示す側面図である。
【0031】
波形鋼板ウエブ配設工程で隙間40をあけて突合せて配設した各波形鋼板ウエブ111,112に設けられた孔111a,112a(図6参照)に仮添接板51をボルト61で固定することによって、図7に示すように、波形鋼板ウエブ111,112同士を結合する(波形鋼板ウエブ結合工程)。
【0032】
次に、図8に示す型枠取付工程に入る。図8は、型枠取付工程を示す側面図である。
【0033】
図8に示すように、波形鋼板ウエブ結合工程で隙間40をあけて仮添接板51で結合した波形鋼板ウエブ111,112それぞれの上端部111b,112bの周囲にフランジ型枠80(80a,80b)を組立てる。このとき、隣接するフランジ型枠80a,80b間に隙間40の寸法よりも薄い仕切板70を挟み込む(型枠取付工程)。尚、仕切板70を挟み込むに当たっては、仕切板70の厚さ方向の中央と隙間40の中央とが一致するように挟み込む。また、隙間40の寸法と仕切板70の厚さ寸法との差は、コンクリートフランジ13の桁長手方向収縮量と等しいか又はこれより僅か大きい値に定める(例えば、本実施形態では、隙間40の寸法を12mmとし、仕切板70の厚さ寸法を9mmとした。)。こうすることにより、製造された各プレキャストコンクリート橋桁セグメント100のコンクリートフランジ13長手方向長さが収縮したとき、収縮しない波形鋼板ウエブの突合端部がコンクリート端面より突出することが回避され、コンクリート端面同士、および波形鋼板ウエブ111,112同士を、精度良く接合することができる。また、本実施形態では、波形鋼板ウエブ111,112とコンクリートフランジ13とを埋め込み接合方式で接合することから、波形鋼板ウエブ111,112それぞれの上端部111b,112bが、フランジ型枠80のコンクリートが打設される部分に配置される。
【0034】
次に、図9に示すコンクリート打設工程に入る。図9は、コンクリート打設工程を示す側面図である。
【0035】
図9に示すように、型枠取付工程で組立てられたフランジ型枠80にコンクリート13を打設して養生し、フランジ型枠80を脱枠する(コンクリート打設工程)。波形鋼板ウエブ111,112それぞれの上端部111b,112bは、コンクリートフランジ13中に埋設されて、波形鋼板ウエブ111,112とコンクリートフランジ13とが接合される。尚、コンクリート13の打設は、隣接するフランジ型枠80a,80b間に仕切板70が挟まれた状態で行う。これにより、隙間40の寸法(例えば12mm)と仕切板70の厚さ寸法(例えば9mm)との差分(例えば3mm)だけ、それぞれの波形鋼板ウエブ111,112が、隣接するコンクリートフランジ13の端面よりも引っ込んだ状態で配設されることとなる。
【0036】
次に、図10に示すセグメント分離工程に入る。図10は、セグメント分離工程を示す側面図である。
【0037】
波形鋼板ウエブ111,112を結合している仮添接板51を撤去し、図10に示すように、コンクリート打設工程でフランジ型枠80を脱枠した各プレキャストコンクリート橋桁セグメント100を水平に移動することによって切り離す(セグメント分離工程)。また、隣接するコンクリートフランジ13間に挟み込まれている仕切板70も撤去する。
【0038】
以上図6〜図10を参照して説明した各工程を経て製造されるプレキャストコンクリート橋桁セグメント100のセグメント長やセグメント重量は、例えば運搬に使用するトレーラーの長さや最大積載量等から決定する。ここでは、一例として、セグメント長は約6m、セグメント重量は30t以下とされている。
【0039】
図11は、セグメント連結工程を示す側面図である。
【0040】
6m程度のプレキャストコンクリート橋桁セグメント100をトレーラーで現場に運搬し、2つのプレキャストコンクリート橋桁セグメント100のコンクリートフランジ13の端面にエポキシ樹脂系接着剤またはアクリル樹脂系接着剤を塗布して、コンクリートフランジ13の端面同士を引き寄せて接合する。また、図11に示すように、各波形鋼板ウエブ111,112に設けられた孔111a,112aに本添接板52をボルト62で固定することによって、波形鋼板ウエブ111,112同士を結合する。また、波形鋼板ウエブ11の下端に溶接接合された鋼フランジ12同士を、添接板53をボルト63で固定することによって結合する。このようにして2つのプレキャストコンクリート橋桁セグメント100を地組して連結し、12m程度のプレキャストコンクリート橋桁セグメント101にする。
【0041】
尚、図6〜図10を参照して説明した各工程を経て製造されたプレキャストコンクリート橋桁セグメント100のコンクリートフランジ13が完全硬化するまでの間にコンクリートが硬化収縮しても、隙間40の寸法(12mm)と仕切板の厚さ寸法(9mm)との差分(3mm)で、コンクリートフランジ13の桁長手方向収縮量が相殺され、波形鋼板ウエブ111,112の接合端部同士がコンクリートフランジ13の端面より突出していないので、製造された各プレキャストコンクリート橋桁セグメント100のコンクリートフランジ13の端面同士が容易に精度良く接合される。
【0042】
図12は、地組したプレキャストコンクリート橋桁セグメント101の架設工程を示す側面図である。
【0043】
まず、多数のベント90を地上から立設する。
【0044】
次に、図12に示すように、地組したプレキャストコンクリート橋桁セグメント101を、トラッククレーン等を用いてベント90上に継ぎ目部が来るように順次架設し、橋台21と橋脚22との間に1径間に亘って連結する。また、図12では図示を省略した他方の橋台21と橋脚22との間にも、地組したプレキャストコンクリート橋桁セグメント101を1径間に亘って連結する。
【0045】
地組したプレキャストコンクリート橋桁セグメント101を、ベント90上に継ぎ目部が来るように架設して連結した後、ベント90を撤去し、桁が単純桁として自重を受け持つ構造とする。
【0046】
この連結は、図11を参照して説明したセグメント連結工程と同様に、地組したプレキャストコンクリート橋桁セグメント101の、コンクリートフランジ13の端面にエポキシ樹脂系接着剤またはアクリル樹脂系接着剤を塗布して、コンクリートフランジ13の端面同士を引き寄せて接合する。また、各波形鋼板ウエブに設けられた孔に本添接板をボルトで固定することによって、波形鋼板ウエブ同士を結合する。また、波形鋼板ウエブの下端に溶接接合された鋼フランジ同士を、添接板をボルトで固定することによって結合する。
【0047】
次いで、橋脚22上方の連結部上を除く部分に上床版23の施工を行い、主構造の自重を単純桁に載せる。
【0048】
尚、床版工は、主桁10の上にプレキャスト床版を載せていく方法であってもよく、あるいは、場所打ち床版を移動型枠等を用いて打設していく方法であってもよい。
【0049】
最後に、橋脚22上方の連結部における波形鋼板ウエブ同士を、本添接板をボルトで固定することによって結合し、橋脚22上方の連結部上の隙間にコンクリートを打設し、外ケーブル30を2径間に亘る支間に張設して桁軸方向のプレストレスを導入して、構造系が完成する。
【0050】
尚、トラッククレーン等によるベント架設が出来ないような箇所では、通常のガーダ架設によってセグメントの搬送、架設を行う。
【0051】
橋面工、支承工、落橋防止構造工などは、従来工法と同様に行う。
【0052】
本実施形態の架設方法では、波形鋼板ウエブ11の下端に設けた鋼フランジ12に自重により引張り力が生じた後に外ケーブル30で橋軸方向にプレストレスを与えるため、この鋼フランジ12が座屈しにくい。
【0053】
波形鋼板ウエブ11の上端のコンクリートフランジ13の接合は、プレキャストセグメント構造となるが、常時圧縮状態となるため構造上不利とならない。
【0054】
波形鋼板ウエブ11の上フランジがコンクリートのため、上床版コンクリートとの接合性が良く、鉄筋によるジベル筋により合成構造とすることが容易である。
【0055】
尚、上述した実施形態では、本発明のPC鋼コンクリート合成桁橋として、2径間連続PC鋼コンクリート合成桁橋の例を挙げたが、本発明はこれに限られるものではなく、1径間のPC鋼コンクリート合成桁橋や3径間以上のPC鋼コンクリート合成桁橋であってもよい。
【0056】
また、上述した実施形態では、外ケーブルを2径間に亘る支間に張設して桁軸方向のプレストレスを導入した例を挙げたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、外ケーブルを1径間の支間に張設して桁軸方向のプレストレスを導入したり、複数の橋桁を連続桁とし、複数径間に亘る外ケーブルを用いて橋桁にプレストレスを導入したり、複数径間のうちの数径間ごとに亘る外ケーブルを用いて橋桁にプレストレスを導入してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態であるPC鋼コンクリート合成桁橋の側面図である。
【図2】図1に示すPC鋼コンクリート合成桁橋1の平面図である。
【図3】図1に示すA−A断面図である。
【図4】図1に示すB−B断面図である。
【図5】図1,図2に示す主桁10の断面図である。
【図6】波形鋼板配設工程を示す側面図である。
【図7】波形鋼板結合工程を示す側面図である。
【図8】型枠取付工程を示す側面図である。
【図9】コンクリート打設工程を示す側面図である。
【図10】セグメント分離工程を示す側面図である。
【図11】セグメント連結工程を示す側面図である。
【図12】地組したプレキャストコンクリート橋桁セグメントの架設工程を示す側面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 PC鋼コンクリート合成桁橋
10 主桁
11,111,112 波形鋼板ウエブ
111a,112a 孔
111b,112b 上端部
12 鋼フランジ
13 コンクリートフランジ
13a 上面
131 ジベル筋
100,101 プレキャストコンクリート橋桁セグメント
21 橋台
211 端支点横桁
22 橋脚
221 中間支点横桁
23 上床版
30 外ケーブル
31 ディビエータ(偏向部)
32 定着部
40 隙間
51 仮添接板
52 本添接板
53 添接板
61,62,63 ボルト
70 仕切板
80,80a,80b フランジ型枠
90 ベント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波形鋼板ウエブの下端に鋼フランジを備え、上端に該波形鋼板ウエブの上端と一体のコンクリートフランジを備え、橋梁の橋軸方向に外ケーブルを張設したことを特徴とするPC鋼コンクリート合成桁橋。
【請求項2】
下端に鋼フランジを取付けた波形鋼板ウエブの上端に、該波形鋼板ウエブと一体のコンクリートフランジを形成してプレキャストコンクリート橋桁セグメントを製造し、該プレキャストコンクリート橋桁セグメントをベント架設又はガーダ架設により順次橋脚間に架設し、各プレキャストコンクリート橋桁セグメント間のコンクリートフランジ端面を当接させ、波形鋼板ウエブを結合し、鋼フランジを橋軸方向に結合して、橋桁を橋脚間に単純桁として支持させ、上床版を施工した後、橋梁の橋軸方向に外ケーブルを用いて橋脚間の橋桁にプレストレスを導入することを特徴とするPC鋼コンクリート合成桁橋の架設方法。
【請求項3】
径間が複数の橋桁を連続させ、複数径間に亘る橋軸方向に配置された外ケーブルを用いて橋桁にプレストレスを導入することを特徴とする請求項2記載のPC鋼コンクリート合成桁橋の架設方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−221714(P2009−221714A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66208(P2008−66208)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000112196)株式会社ピーエス三菱 (181)
【Fターム(参考)】