説明

PEG化ウリカーゼ療法における血清尿酸をモニタリングすることにより注入反応の危険性および抗体媒介性効果消失を予測するための方法およびキット

痛風患者における静脈内PEG化ウリカーゼ療法における注入反応の危険性および抗体媒介性効果消失を予測するための方法およびキットが提供される。日常的なSUAモニタリングを用いて、PEG化ウリカーゼを施されているが、もはや治療から利益を得ることができず、注入反応の危険性が大きな患者を同定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年6月25日に出願された米国仮出願第61/269,669号、2009年10月5日に出願された米国仮出願第61/248,698号、2010年1月27日に出願された米国仮出願第61/298,718号の優先権および利益を主張する。
【0002】
本発明は、PEG化ウリカーゼ療法における免疫原性および注入反応をモニタリングする方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本出願の全体では、本文中において、各種の刊行物が参照される。これらの刊行物の開示は、参照によりそれらの全体が本出願に組み込まれており、この目的は、それらにおいて、本明細書で説明および主張される発明の当時の当業者に知られる最新技術をより完全に説明するためである。
【0004】
痛風とは、関節および軟部組織に尿酸一ナトリウムの結晶が結果として沈着する、慢性的な尿酸代謝障害であり、炎症、ならびに患者によっては最終的に、破壊的な慢性関節症を随伴させる。痛風は、男性において最も高頻度な関節炎形態であり、男女いずれの高齢者においても、発症率および有病率が増大しつつある。従来の療法に不応な慢性痛風(GRT)は、血清尿酸レベルを飽和未満の範囲内に低減および維持することにより、尿酸結晶の沈着を予防するのに適用可能な療法に対する不忍容性または不応性から結果として生じる進行性痛風の、一般的ではないが重篤な転帰である。
【0005】
血清尿酸の増加は、痛風の顕著な特徴を示す生化学マーカーである。血漿尿酸(PUA)レベルまたは血清尿酸(SUA)レベルの上昇が持続すると、関節および軟部組織に尿酸が結果として沈着する。尿酸の全身負荷が増大すると、再発性疼痛性の痛風炎症を特徴とする関節炎、ならびに慢性疼痛/炎症を結果として伴い、その結果として身体機能の喪失を伴う、痛風結節および関節変形の発生を含めた痛風の徴候および症状が結果として生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,653,974号
【特許文献2】PCT/US2006/013660
【特許文献3】米国仮出願第60/670,573号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Gennaro, A R (編) (1990)、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Easton、Pa.: Mack Publishing Co.
【非特許文献2】Lasic, Dら(編) (1995)、Stealth Liposomes、Boca Raton、FIa.: CRC Press
【非特許文献3】Kelly S Jら、J Am Soc Nephrol 2001、12:1001〜1009頁
【非特許文献4】Ganson N Jら、Arthritis Res Ther 2005、8(1):R12頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
奏効するPEG化ウリカーゼ療法の有効性評価項目は、免疫原性プロファイルを低く維持し、かつ、PEG化ウリカーゼの静脈内注射と関連する注入反応の危険性を低く維持しながら、CGR患者における血清尿酸レベルを正常化することである。しかし、PEG化ウリカーゼ作用の消失、ならびに注入反応が、PEG化ウリカーゼの投与に随伴し得ることを踏まえるなら、療法を中断するのに適切な時点について、医療者は助言を受けるべきである。したがって、当技術分野では、注入反応ならびにそれらに随伴する安全性に対する危険性を最小化する目的で、PEG化ウリカーゼ療法をいつ中断すべきかについて医師を導く新規な方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、患者のPEG化ウリカーゼ療法における注入反応を予防する方法であって、a)前記患者にPEG化ウリカーゼを投与するステップと;b)前記患者から生物学的試料を得るステップと;c)前記生物学的試料中の尿酸レベルを決定するステップと;d)前記尿酸レベルが約4mg/dlを超える場合に、療法を中断して注入反応を予防し得ることを示唆するステップとを含む方法を提供する。本発明の一態様では、前記尿酸レベルが約5mg/dlを超える場合に、PEG化ウリカーゼ療法を中断することができる。本発明の別の態様では、前記尿酸レベルが約6mg/dlを超える場合に、PEG化ウリカーゼ療法を中断することができ、本発明のさらに別の態様では、前記尿酸レベルが約7mg/dlを超える場合に、PEG化ウリカーゼ療法を中断することができる。
【0010】
本発明の別の態様では、隔週約8mgの投与量でPEG化ウリカーゼを投与する。一実施形態では、3週間ごとに約8mgの投与量でPEG化ウリカーゼを投与する。別の実施形態では、4週間ごとに約8mgの投与量でPEG化ウリカーゼを投与する。さらに別の実施形態では、隔週約4mgの投与量でPEG化ウリカーゼを投与する。さらに別の実施形態では、4週間ごとに約12mgの投与量でPEG化ウリカーゼを投与する。
【0011】
本発明の方法は、血液、血清、および血漿からなる群から選択される生物学的試料を提供する。一実施形態では、前記生物学的試料中の前記尿酸レベルを、ステップ(a)で定義される投与の少なくとも2時間後に決定する。別の実施形態では、前記生物学的試料中の前記尿酸レベルを、ステップ(a)で定義される投与の少なくとも6時間後に決定する。さらに別の実施形態では、前記生物学的試料中の前記尿酸レベルを、ステップ(a)で定義される投与の少なくとも24時間後に決定する。さらに別の実施形態では、前記生物学的試料中の前記尿酸レベルを、ステップ(a)で定義される投与の2週間後に決定する。ならびにさらに別の実施形態では、前記生物学的試料中の前記尿酸レベルを、ステップ(a)で定義される投与の4週間後に決定する。
【0012】
本発明の方法は、痛風を患う患者に関する。一実施形態では、前記痛風が不応性である。別の実施形態では、前記痛風が慢性または結節性である。さらに別の実施形態では、PEG化ウリカーゼを静脈内投与する。
【0013】
本発明の方法は、PEG化ウリカーゼで治療された患者が、注入反応を発生させるかどうかを予測し、該方法は、a)前記患者にPEG化ウリカーゼを投与するステップと;b)前記患者から生物学的試料を得るステップと;c)前記生物学的試料中の尿酸レベルを決定するステップと;d)尿酸レベルが約4mg/dl未満で維持されている場合に、注入反応が起こる可能性が低いことと前記レベルが関連することを示唆するか、または前記レベルが少なくとも約4mg/dlと測定される時点において、注入反応が起こる可能性が高いことと前記決定された尿酸レベルが関連することを示唆するステップとを含む。
【0014】
本発明の一態様では、前記尿酸レベルが約5mg/dl未満で維持されている場合に、注入反応が起こる可能性が低いことと前記レベルが関連するか、または前記レベルが少なくとも約5mg/dlと測定される時点において、注入反応が起こる可能性が高いことと前記決定された尿酸レベルが関連する。本発明の別の態様では、前記尿酸レベルが約6mg/dl未満で維持されている場合に、注入反応が起こる可能性が低いことと前記レベルが関連するか、または前記レベルが少なくとも約6mg/dlと測定される時点において、注入反応が起こる可能性が高いことと前記決定された尿酸レベルが関連する。本発明のさらに別の態様では、前記尿酸レベルが約7mg/dl未満で維持されている場合に、注入反応が起こる可能性が低いことと前記レベルが関連するか、または前記尿酸レベルが少なくとも約7mg/dlと測定される時点において、注入反応が起こる可能性が高いことと前記尿酸レベルが関連する。
【0015】
本発明の別の態様では、前記生物学的試料中の尿酸レベルを、ステップ(a)で定義される投与の少なくとも3日後に決定する。本発明の別の態様では、前記生物学的試料中の前記尿酸レベルを、ステップ(a)で定義される投与の少なくとも1週間後に決定する。本発明の別の態様では、前記生物学的試料中の前記尿酸レベルを、ステップ(a)で定義される投与の少なくとも2週間後に決定する。本発明の別の態様では、前記生物学的試料中の前記尿酸レベルを、ステップ(a)で定義される投与の少なくとも4週間後に決定する。
【0016】
本発明の方法は、抗PEG化ウリカーゼ抗体力価および抗PEG抗体力価を測定することなく、PEG化ウリカーゼで治療された患者が、抗体媒介性PEG化ウリカーゼクリアランスを発生させるかどうかを予測し、該方法は、a)前記患者にPEG化ウリカーゼを投与するステップと;b)前記患者から生物学的試料を得るステップと;c)前記生物学的試料中の尿酸レベルを決定するステップと;d)尿酸レベルが約4mg/dl未満で維持されている場合に、抗体媒介性PEG化ウリカーゼクリアランスが起こる可能性が低いことと前記レベルが関連することを示唆するか、または前記尿酸レベルが少なくとも約4mg/dlと測定される時点において、抗体媒介性PEG化ウリカーゼクリアランスが起こる可能性が高いことと前記決定された尿酸レベルが関連することを示唆するステップとを含む。
【0017】
本発明の一態様では、前記尿酸レベルが約5mg/dl未満で維持されている場合に、抗体媒介性PEG化ウリカーゼクリアランスが起こる可能性が低いことと前記レベルが関連するか、または前記尿酸レベルが少なくとも約5mg/dlと測定される時点において、抗体媒介性PEG化ウリカーゼクリアランスが起こる可能性が高いことと前記決定された尿酸レベルが関連する。本発明の別の態様では、前記尿酸レベルが約6mg/dl未満で維持されている場合に、抗体媒介性PEG化ウリカーゼクリアランスが起こる可能性が低いことと前記レベルが関連するか、または前記尿酸レベルが少なくとも約6mg/dlと測定される時点において、抗体媒介性PEG化ウリカーゼクリアランスが起こる可能性が高いことと前記決定された尿酸レベルが関連する。本発明のさらに別の態様では、前記尿酸レベルが約7mg/dl未満で維持されている場合に、抗体媒介性PEG化ウリカーゼクリアランスが起こる可能性が低いことと前記レベルが関連するか、または前記尿酸レベルが少なくとも約7mg/dlと測定される時点において、抗体媒介性PEG化ウリカーゼクリアランスが起こる可能性が高いことと前記決定された尿酸レベルが関連する。
【0018】
本発明の別の態様では、前記生物学的試料中の前記尿酸レベルを、ステップ(a)で定義される投与の少なくとも3日後に決定する。本発明の別の態様では、前記生物学的試料中の前記尿酸レベルを、ステップ(a)で定義される投与の少なくとも1週間後に決定する。本発明の別の態様では、前記生物学的試料中の前記尿酸レベルを、ステップ(a)で定義される投与の少なくとも2週間後に決定する。本発明の別の態様では、前記生物学的試料中の前記尿酸レベルを、ステップ(a)で定義される投与の少なくとも4週間後に決定する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】隔週でペグロチカーゼを施される患者における、平均抗ペグロチカーゼ抗体力価を示す図である。
【図2】隔週のペグロチカーゼ投与について、時間-濃度プロファイルを示す図である。
【図3】隔週のペグロチカーゼ投与について、抗体力価とAUCとの関係を示す図である。
【図4】隔週のペグロチカーゼ投与について、最初に効果消失が検出されたときのSUA値を示す図である。
【図5】隔週のペグロチカーゼ投与について、効果消失時の抗PEG化ウリカーゼ抗体力価を示す図である。
【図6】4週間ごとのペグロチカーゼ投与について、時間-濃度プロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
この詳細な説明では、以下の略号および定義が適用される。本明細書で用いられる通り、文脈から別段に明確に指定されない限り、単数形の「a」、「an」、および「the」は、複数の指示対象を包含することに留意しなければならない。
【0021】
驚くべきことに、SUAレベルをモニタリングすると、PEG化ウリカーゼ療法における抗体媒介性効果消失、ならびに大半の注入反応が予測されることが発見された。大半の注入反応は、SUA応答が消失した後で生じることが見出されている。したがって、日常的なSUAモニタリングを用いて、PEG化ウリカーゼを施されているが、もはや治療から利益を得ることができず、注入反応の危険性が大きな患者を前望的に同定することができる。
【0022】
本明細書で用いられる「治療有効性」という用語は、具体的な治療レジメンの有効性を指す。具体的には、治療有効性は、6mg/dl未満であるか約6mg/dlの血清尿酸レベルを達成することと定義される。これには、有効性、毒性(例えば、製剤または投与量単位についての副作用および患者忍容性)、患者の服薬順守などが含まれる。
【0023】
本明細書では、「治療すること」、「治療」などの用語が、所望の薬理学的作用および生理学的作用を得ることを指すのに用いられる。作用は、疾患、その症状、もしくはその状態の予防もしくは部分的予防との関連で予防的な場合もあり、かつ/または疾患、状態、症状、もしくは該疾患を原因とする有害作用の部分的または完全な治癒との関連で治療的な場合もある。本明細書で用いられる「治療」という用語は、ヒトなどの哺乳動物における疾患に対する任意の治療を対象とし、(a)疾患に対する素因を示し得るが、まだそれを有するとは診断されていない患者において疾患が生じるのを予防すること、すなわち、疾患に対する素因を示し得るが、まだ疾患の症状を経験していないまたは示してはいない患者において、疾患の臨床症状が発生しないようにすること;(b)疾患を阻害すること、すなわち、疾患またはその臨床症状の発生を停止させるかまたは抑制すること;および(c)疾患を緩和すること、すなわち、疾患および/またはその症状もしくは状態を退縮させることを含む。病理学的炎症に関連する疾患を患う患者を治療することが意図されている。長期間にわたり、病理学的炎症の原因となる有害作用、および/または長期間にわたり生体系内に存在する不適切な炎症に対する生理学的応答により引き起こされる有害作用を予防、阻害、または緩和することもまた意図されている。
【0024】
本明細書で用いられる「免疫原性」という用語が、PEG修飾ウリカーゼまたは非PEG修飾ウリカーゼ(抗原)の調製物を注射することにより免疫応答が誘導されることを指すのに対し、「抗原性」とは、既に存在する抗体との抗原の反応を指す。集合的に、抗原性および免疫原性を「免疫活性」と称する。PEG化ウリカーゼについての先行研究では、免疫活性を、1) in vitroにおいて、PEG化ウリカーゼが、既に形成されている抗体と反応すること;2)誘導された抗体合成の測定;および3)注射を反復した後にPEG化ウリカーゼのクリアランス速度が加速化されることを含めた各種の方法により評価する。
【0025】
本明細書で用いられる「注入反応」という用語は、PEG化ウリカーゼまたはプラセボの注入後2時間以内に生じ、別の原因に帰することが正当ではありえない、PEG化ウリカーゼの望ましくない作用および意図されない作用である。特に、予防、診断、または療法に用いられる用量で有害な薬物反応が生じる。
【0026】
本発明のPEG化ウリカーゼコンジュゲートは、哺乳動物、好ましくはヒトの体液および組織中の尿酸レベルを低下させるのに有用であり、したがって、痛風、痛風結節、腎不全、臓器移植、および悪性疾患を含めた状態と関連する尿酸レベルの上昇を治療するのに用いることができる。PEG化ウリカーゼコンジュゲートは、静脈内経路、皮下経路、皮内経路、筋肉内経路、および腹腔内経路を含めた多数の経路のうちのいずれかにより、尿酸レベルが過剰な哺乳動物へと注射することができる。
【0027】
一実施形態では、薬学的に許容される賦形剤または希釈剤中のPEG化ウリカーゼを隔週8mgで投与することができる。別の実施形態では、4週間ごとに8mgでPEG化ウリカーゼを投与することができる。さらに別の実施形態では、3週間ごとに8mgでPEG化ウリカーゼを投与することができる。
【0028】
本発明の他の態様では、隔週4mgでPEG化ウリカーゼは投与することができる。本発明のさらに別の態様では、4週間ごとに12mgでPEG化ウリカーゼは投与することができる。
【0029】
PEG化ウリカーゼを含有する医薬製剤は、例えば、Gennaro, A R (編) (1990)、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Easton、Pa.: Mack Publishing Co.で説明されている従来の技法により調製することができる。注射溶液を調製するのに適する賦形剤には、例えば、リン酸緩衝生理食塩液、乳酸加リンゲル液、水、ポリオール、およびグリセロールが含まれる。非経口注射用の医薬組成物は、薬学的に許容される滅菌水溶液または滅菌非水溶液、滅菌分散剤、滅菌懸濁剤、または滅菌エマルジョンのほか、使用直前に滅菌注射溶液または滅菌分散剤へと再構成するための滅菌粉末を含む。これらの製剤は、例えば、防腐剤、溶解剤、安定化剤、保湿剤、乳化剤、緩衝剤、抗酸化剤、および希釈剤などさらなる成分を含有し得る。
【0030】
PEG化ウリカーゼはまた、個体内に植え込んで、体液中の尿酸レベルの上昇を継続的に管理するための放出制御組成物としても提供することができる。例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、再生コラーゲン、ポリ-L-リシン、アルギン酸ナトリウム、ゲランガム、キトサン、アガロース、多重膜リポソーム、ならびに他の多くの従来型デポ製剤は、生物学的に活性な成分とともに調合され得る生体侵食性または生体分解性物質を含む。これらの物質は、植え込まれるかまたは注射されると、徐々に分解されて、活性物質を周囲の組織へと放出する。例えば、PEG化ウリカーゼを封入する1つの方法は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,653,974号で開示されている方法を含む。生体侵食性または生体分解性のデポ製剤ならびに他のデポ製剤の使用は、本発明で顕示的に意図されている。PEG化ウリカーゼを送達するための注入ポンプならびにマトリックスによる封入系の使用もまた、本発明の範囲内にある。PEG化ウリカーゼはまた、ミセルまたはリポソーム内に封入しても有利であり得る。リポソームの封入法は、当技術分野でよく知られている。例えば、Lasic, Dら(編) (1995)、Stealth Liposomes、Boca Raton、FIa.: CRC Pressを参照されたい。
【0031】
PEG化ウリカーゼで用いられるウリカーゼは、アミノ末端もしくはカルボキシ末端またはアミノ末端およびカルボキシ末端の両方で約1〜13アミノ酸切断された哺乳動物のウリカーゼアミノ酸配列を含むことが可能であり、46位近傍においてアミノ酸置換をさらに含み得る。切断型ウリカーゼは、アミノ末端のアミノ酸をさらに含むことが可能であり、このアミノ末端のアミノ酸は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれている、同時係属のPCT/US2006/013660および米国仮出願第60/670,573号で説明されている通り、アラニン、グリシン、プロリン、セリン、またはトレオニンである。
【0032】
実施例で示す通り、第3相試験が完了した。本発明の一態様では、尿酸を少なくとも約3.5mg/dLに正常化することを、PEG化ウリカーゼの薬力学作用を反映するために、主要転帰尺度として選択した。本発明の別の態様では、尿酸を少なくとも約4.0mg/dLに正常化することを、PEG化ウリカーゼの薬力学作用を反映するために、主要転帰尺度として選択した。本発明のさらに別の態様では、尿酸を少なくとも約5.0mg/dLに正常化することを、PEG化ウリカーゼの薬力学作用を反映するために、主要転帰尺度として選択した。本発明のさらに別の態様では、尿酸を少なくとも約6.0mg/dLに正常化することを、PEG化ウリカーゼの薬力学作用を反映するために、主要転帰尺度として選択した。本発明の別の態様では、尿酸を少なくとも約7.0mg/dLに正常化することを、PEG化ウリカーゼの薬力学作用を反映するために、主要転帰尺度として選択した。
【0033】
血漿尿酸(PUA)レベルまたは血清尿酸(SUA)レベルの上昇が持続すると、関節および軟部組織に尿酸が結果として沈着することが知られている。尿酸の全身負荷が増大すると、再発性疼痛性の痛風炎症を特徴とする関節炎、ならびに慢性疼痛/炎症を結果として伴い、その結果として身体機能の喪失を伴う、痛風結節および関節変形の発生を含めた痛風の徴候および症状が結果として生じる。
【0034】
隔週(q2 wk) 8mgのPEG化ウリカーゼは、尿酸(PUAおよびSUA)の顕著な減少を結果としてもたらし、これは、一部の患者における痛風結節の完全寛解、ならびに圧痛関節数の減少と関連する。治療はまた、療法の3カ月後において、痛風炎症の発生率および頻度がプラセボと比較して低下し、少なくとも18カ月までの長期投与により炎症の発生率および頻度が持続的に低下することとも関連する。これらの利益は、慢性で重症であることが多い疾患を有し、現在適用可能な他の療法を施されていない患者において生じる。持続的奏効例(persistent responder)は、PEG化ウリカーゼの反復的な注入に応答して、低SUA値を維持する患者である。低SUA値の維持は、抗PEG化ウリカーゼ抗体応答が見られないかまたは低度であることと関連する(力価<2430)。
【0035】
血漿尿酸(PUA)の測定値と血清尿酸(SUA)の測定値との関係は、第3相試験において、すべての患者に由来する一連の試料から評価した。この評価の根拠は、すべてのPEG化ウリカーゼ試験の主要評価項目の尺度としてのPUAの使用と関連したが、臨床の現場ではSUAを用いる。試料を操作および処理してPUAを決定することははるかにより複雑であるが、この処理を低温で実施し、トリクロロ酢酸を用いてPEG化ウリカーゼを不活化して沈殿させ、PEG化ウリカーゼが継続的に尿酸を酸化させないようにした。しかし、実験結果は、すべての時点において、かつ、尿酸値に関わらず、両方の尿酸値間に密接な相関が見られることを明白に示す。
【0036】
PEG化ウリカーゼまたはプラセボの注入時または注入後2時間以内に生じ、別の原因に帰することが正当ではありえなかった任意の有害事象として注入反応を定義した。プロトコールにより指定される注入反応予防的な治療を施したが、q2 wk PEG化ウリカーゼで治療された患者のうちの26%で注入反応が生じ、4週間ごとの(q4 wk) PEG化ウリカーゼでは40%で注入反応が生じた。
【0037】
PEG化ウリカーゼで治療された患者のうちの約90%で、抗PEG化ウリカーゼ抗体が観察された。高力価(>1:2430)の抗体は、PEG化ウリカーゼクリアランスの増大、ならびにPEG化ウリカーゼ活性の消失と関連したが、高力価は、尿酸レベルが上昇してからある程度の時間が経過するまでは検出されないことが多く、場合によっては、PEG化ウリカーゼ応答が消失してから数週間が経過した。試験の全体にわたりPEG化ウリカーゼによる尿酸降下活性を維持し、持続的奏効例と称された患者に対して、当初PEG化ウリカーゼが奏効したが、後の時点では効果を消失させた患者を、一過性奏効例(transient responder)と称した。PUAが上昇した後に、抗体力価上昇の証拠が見られる。
【0038】
抗体力価を上昇させた(力価を低下させるのではない)患者は、PUA応答を消失させる可能性が高かった。療法を開始した4カ月後までに、すべての患者において一過性奏効の証拠が明らかとなった。免疫原性の臨床的作用は、療法の最初の数カ月間におけるSUAレベルを定期的にモニタリングすることにより容易に検出される。高力価の抗体を発生させた患者では注入反応の発生率が高かったが、抗体力価と、注入反応の重症度との間に明らかな関係は見られなかった。
【0039】
本明細書における結果は、高力価の抗PEG化ウリカーゼ抗体ならびに任意の力価の抗PEG抗体の発生が、SUA/PUA応答の消失を説明することを示唆する。最終的にPEG化ウリカーゼに対する高力価の抗体を発生させる患者においては、注入反応の危険性が高まる。大半の注入反応は、SUA/PUA応答が消失した後に生じ、結果として、SUAの注意深いモニタリングにより、不要な投与が回避され、また、大半の注入反応も予防され得ることが重要である。一過性奏効例の大半では、作用消失が最初の4か月以内に生じるので、その期間において血清尿酸をモニタリングすることが極めて重要である。最後に、PEG化ウリカーゼの作用消失は、抗PEG化ウリカーゼ抗体力価が上昇する前に頻繁に生じ得るので、SUA/PUA応答が消失する前または消失するときの、抗PEG化ウリカーゼ抗体の力価、または任意の力価の抗PEG抗体の存在と、該応答消失との間には相関が見られない。抗体力価とSUA/PUA応答との間には関連がないことから、痛風治療の失敗した患者に対するPEG化ウリカーゼ療法において抗体力価をモニタリングすることは無効であることが確認される。
【実施例】
【0040】
(実施例1)
隔週8mgの静脈内ペグロチカーゼ投与の免疫原性プロファイルおよび注入反応プロファイル
臨床試験の材料、方法、およびデザイン
治験薬
本実施例で用いられるPEG化ウリカーゼであるペグロチカーゼは、四量体酵素によるサブユニット1つ当たりの平均分子量が10kDaである複数のモノメトキシPEG鎖(10K mPEG)とコンジュゲートさせた組換え哺乳動物ウリカーゼ(主に、ブタウリカーゼであるが、ヒヒウリカーゼに由来するC末端配列も伴う)からなる(Kelly S Jら、J Am Soc Nephrol 2001、12:1001〜1009頁;およびGanson N Jら、Arthritis Res Ther 2005、8(1):R12頁)。
【0041】
第III相試験のデザイン
患者
症候性痛風を有する患者において、多施設(45施設)、多連、二重盲検、プラセボ対照試験を実施した。
【0042】
すべての患者に、隔週で静脈内(i.v.)注入(ペグロチカーゼまたはプラセボ)を施した。治療群は、隔週(q2 wk) i.v.プラセボ群(N=43)、q2 wk 8mg i.v.ペグロチカーゼ群(N=84)からなった。
【0043】
すべての患者は、アロプリノール療法が禁忌である(例えば、過敏性、非忍容性、または毒性の病歴)か、または有効ではなかった(表示の最高用量(800mg/日)または毒性もしくは用量制限的共存症に基づく医療上適切な低用量での≧3カ月間にわたるアロプリノール治療によりSUAを正常化することに失敗したこととして定義される)という病歴を報告した。組入れ時における主要な除外基準には、不安定な狭心症、管理不良の喘息、非代償性うっ血性心不全、管理不良の高血圧(150/95mmHg超)、透析、臓器移植レシピエント、妊娠、その他が含まれた。
【0044】
これらの実験では、すべての患者が、無作為化の≧1週間前にすべての尿酸降下療法を中断し、試験全体においてこのような薬剤を用いることを差し控えた。
【0045】
すべての患者に、注入反応(IR)の予防法:経口フェキソフェナジン(注入の前の晩および注入直前に60mg)、ならびに各回注入前のアセトアミノフェン(1000mg)およびヒドロコルチゾンIV(200mg)を施した。被験薬は、250mLの生理食塩液中で2〜4時間の全注入時間にわたり投与した。
【0046】
免疫原性
被験試料を解析するのに用いられた定性的ELISAアッセイおよび定量的ELISAアッセイは、受容されている免疫アッセイの指針(Mire-Sluisら)に従う「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準」に照らして妥当性を確認した。ELISAアッセイを用いて抗体を決定するための試料は、ベースライン、ならびにペグロチカーゼまたはプラセボによる治療の開始後3、5、9、13、17、21、および25週目におけるすべての患者から採取した。
【0047】
抗ペグロチカーゼ抗体の検出
全ペグロチカーゼ抗体を決定するため、被験試料をアッセイ緩衝液中で1/30に希釈し、ペグロチカーゼまたはPEGでコーティングしたマイクロ滴定ELISAプレートウェルを用いてアッセイした。全ペグロチカーゼ抗体ならびにIgM抗体およびIgG抗体を検出するための陽性対照として、ペグロチカーゼ抗体を含有するヒト血清を用いた。ウサギ抗ヒトIgMおよびウサギ抗ヒトIgGの組合せを二次抗体として用いた一方で、各々の抗体を、それぞれ、IgMによる抗ペグロチカーゼ抗体およびIgGによる抗ペグロチカーゼ抗体(Sigma、St. Louis、Mo.)についてのアッセイに個別に用いた。
【0048】
これらの実験では、ウサギIgGに対する西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートマウスモノクローナル抗体を用いて検出を行った。精製ヒトIgGおよびIgMでコーティングしたマイクロ滴定プレートウェルを、抗ヒトIgG二次抗体および抗ヒトIgM二次抗体の結合についての免疫グロブリン陽性対照として用いた。
【0049】
薬物干渉濃度は300μg/mLであると決定され、これは、被験試料中で決定された循環ペグロチカーゼ濃度の測定値よりはるかに高濃度であった。したがって、循環ペグロチカーゼは、抗ペグロチカーゼ抗体の測定には干渉しないと予測される。
【0050】
抗ペグロチカーゼ抗体の特性
第3相の患者に由来する試料の大半について、抗体応答は、IgM抗体およびIgG抗体の両方に関与していた。
【0051】
抗ペグロチカーゼ抗体の検出
これらの実験では、サロゲートマーカーの陽性対照を初期の被験試料解析に用いたことを除き、抗ペグロチカーゼ抗体の解析法が、抗ペグロチカーゼ抗体アッセイの一般的方法と類似する。この陽性対照は、プールされたヒト血清に添加され、PBSによるブロッカーカゼイン溶液中で1/10に希釈された、マウスモノクローナル抗PEG IgG1抗体およびマウスモノクローナル抗PEG IgM抗体の混合物からなった。被験試料解析の終了間近に、ヒト陽性対照をアッセイに導入した。これらの実験では、アッセイ感度が500ng/mLであったが、これはまた、8.6%の低い偽検出率にも反映されている。
【0052】
安全性の評価-注入反応
これらの実験では、盲検化した被験薬の注入後2時間以内に生じ、別の原因に帰することが正当ではありえなかった任意の有害事象として注入反応を定義した。注入反応は、ペグロチカーゼおよびプラセボの注入時に生じた。重篤な注入反応の徴候および症状には、呼吸困難、低血圧、高血圧、腫脹、気管支痙攣、胸痛、悪心、嘔吐、ならびに腹部の疼痛および痙攣が含まれた。
【0053】
図1に示す通り、投与後のすべての時点において、q2 wk群内の持続的奏効例は、一過性奏効例と比較して、平均抗ペグロチカーゼ抗体力価が低かった。例えば、試験中のすべての時点において抗ペグロチカーゼ抗体力価<1:810の患者は、持続的奏効と関連することが観察された。したがって、隔週投与群の持続的奏効例のうちの68%では、力価が1:810を超えなかった。一方、隔週投与群の一過性奏効例のうち、力価が<1:810であるのは23%に過ぎなかった。したがって、低力価は持続的奏効と関連した。
【0054】
抗ペグロチカーゼ抗体はペグロチカーゼの薬物動態および薬力学に影響を及ぼす
図2に示す通り、隔週投与されるペグロチカーゼの薬物動態は、ペグロチカーゼ抗体の存在により大きな影響を受ける。持続的奏効例は、いずれの群においても、一過性奏効例と比較して、ペグロチカーゼのピーク濃度(Cmax)が高かった。図2に示す通り、q2 wk投与群の一過性奏効例は、3週間後において、ペグロチカーゼのピーク濃度が低下したことを示した。さらに、一過性奏効例のペグロチカーゼ濃度は、15週目までに検出レベル(0.6μg/mL)未満となった。q2 wk群における持続的奏効例のペグロチカーゼ濃度は、0.5〜0.7μg/mLの範囲内にあった。
【0055】
図3に示す通り、一過性奏効例では、抗ペグロチカーゼ抗体力価の上昇が、時間-濃度曲線下面積(AUC)により評価される、持続的奏効例におけるペグロチカーゼレベルと比較したペグロチカーゼレベルの顕著な低下と関連した。効果消失と、抗ペグロチカーゼ抗体力価の上昇との間には関連が見られるが、効果消失は、抗体力価の上昇と同時に生じる場合もあり、それ以前に生じる場合もあった。したがって、力価を決定しても、ペグロチカーゼの効果消失を予測することにはならない。
【0056】
抗ペグロチカーゼ抗体はSUA/PUA応答に影響を及ぼす:生理学的関与性を示す抗ペグロチカーゼ抗体のサロゲートマーカーとしてのSUA/PUA
q2 wk 8mgペグロチカーゼの投与後、一過性奏効例群において6mg/dLを超えるSUAの増加が生じるのはいつであるかについてさらに調査した。図4の上パネル内の各点は、最初に6mg/dLの閾値を超えたときのSUA測定値、ならびにq2 wk群における各個の一過性奏効例にこのイベントが生じた時点を表す。図5は、ウリカーゼ効果が消失する時点またはそれ以前に測定された、対応する抗体力価を示す。しかし、q2 wkペグロチカーゼ治療の結果として、一般に、SUA値が3mg/dL未満となることを踏まえるなら、ペグロチカーゼの効果消失を表すSUA閾値を、さらに低い値、例えば、約3.5mg/dLから約7mg/dlの間に設定することができる。しかし、ペグロチカーゼの効果消失に起因するSUAの上昇は一般に急速なので、尿酸降下薬により尿酸を管理するのに受容されている閾値の1つは6mg/dLである。しかし、これらの実験では、4mg/dLおよび5mg/dLも、尿酸降下薬により尿酸を管理するための閾値として用いて奏効し得る。
【0057】
図5に示す通り、q2 wk群においてSUA正常化が消失する時点、すなわち、SUAが6mg/dLを超える時点では、この効果消失に対応する抗体力価の閾値が見てとれないように、抗ペグロチカーゼ抗体力価が広範囲に及んだ。具体的には、尿酸応答が消失する時点において、q2 wk群の平均抗ペグロチカーゼ抗体力価は、q2 wk群における持続的奏効例の平均最高力価である1:686と比較して、1:3032であった。
【0058】
注入反応およびSUA正常化の消失
大半の患者(90.9%)は、ペグロチカーゼ活性が消失した後、すなわち、SUA値が5mg/dL以上となったときに注入反応を示した(Table 1 (表1))。
【0059】
【表1】

【0060】
Table 1 (表1)に示す通り、q2 wk群では、SUA≧5mg/dLとなった時点でペグロチカーゼ療法を中断していたなら、注入反応の90.9%が予防されたであろう。
【0061】
まとめると、抗ペグロチカーゼ抗体は、ペグロチカーゼの薬物動態特性および薬力学特性に直接的な影響を及ぼし、生理学的関与性を示す抗体を発生させる患者におけるペグロチカーゼの一過性作用を説明する。結果としてSUA/PUA応答を消失させるペグロチカーゼクリアランスの増大は、抗ペグロチカーゼ抗体によって媒介されるが、クリアランス増大の開始は、抗ペグロチカーゼ抗体力価と相関しない。したがって、抗ペグロチカーゼ抗体力価を測定してもSUA/PUAの応答消失を予測することにはならないのに対し、SUA/PUAのモニタリングは、投与されたペグロチカーゼのクリアランスを増大させる抗ペグロチカーゼ抗体の発生を測定する極めて良好なサロゲート法である。最も重要なことに、特に、ペグロチカーゼによる治療を開始した後の最初の4カ月間において、SUA値をモニタリングし、SUA値が約3.5〜4mg/dLを超えるレベルまで上昇したらペグロチカーゼによる治療を停止することは、ペグロチカーゼの効果が消失し、注入反応を経験する危険性が高い個体を同定する簡便な方法である。
【0062】
(実施例2)
第III相臨床試験の免疫原性プロファイルおよび注入反応プロファイル:4週間ごとに8mgの静脈内ペグロチカーゼ投与
ペグロチカーゼの注入を用いる臨床試験
上記の実施例1で示した通りに、多施設、無作為化、二重盲検のプラセボ対照臨床試験を実施した。高尿酸血症および痛風を有する患者に、4週間ごとに8mgの静脈内ペグロチカーゼ(N=84)またはプラセボ(N=43)を施した。治療の投与は24週間にわたった。
【0063】
患者は、被験薬を施される前の少なくとも1週間にわたりすべての尿酸降下剤を中断し、試験全体においてこのような薬剤を用いることを差し控えなければならない。
【0064】
q4 wk 8mgペグロチカーゼ群では、抗ペグロチカーゼ抗体が検出されたのが、患者のうちの88%であったが、プラセボ群では15%に過ぎなかった。
【0065】
図6に示す通り、4週間ごとに投与されたペグロチカーゼの薬物動態は、抗ペグロチカーゼ抗体の存在により大きな影響を受ける。いずれの群においても、持続的奏効例は、一過性奏効例と比較して、ペグロチカーゼのピーク濃度(Cmax)が高かった。
【0066】
Table 2 (表2)は、注入反応を示した患者の大半(76.5%)のSUA値が、注入反応が生じた時点で6mg/dL以上であったことを示す。SUA値が≧6mg/dLとなった時点でペグロチカーゼ投与を中断していたなら、注入反応は予防することができたであろう。SUAが6mg/dL未満であるときに注入反応を示した患者は4例であり、初回投与で注入反応を示した患者も4例であった(SUA値をモニタリングすることによっても、これらの注入反応を予防することはできなかったであろう)。
【0067】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者のPEG化ウリカーゼ療法における注入反応を予防する方法であって、
a)前記患者にPEG化ウリカーゼを投与するステップと;
b)前記患者から生物学的試料を得るステップと;
c)前記生物学的試料中の尿酸レベルを決定するステップと;
d)前記尿酸レベルが約4mg/dlを超える場合に、療法を中断して注入反応を予防し得ることを示唆するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記尿酸レベルが約5mg/dlを超える場合に、前記療法を中断して注入反応を予防し得る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記尿酸レベルが約6mg/dlを超える場合に、前記療法を中断して注入反応を予防し得る、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記尿酸レベルが約7mg/dlを超える場合に、前記療法を中断して注入反応を予防し得る、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
隔週約8mgの投与量でPEG化ウリカーゼが投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
3週間ごとに約8mgの投与量でPEG化ウリカーゼが投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
4週間ごとに約8mgの投与量でPEG化ウリカーゼが投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
隔週約4mgの投与量でPEG化ウリカーゼが投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
4週間ごとに約12mgの投与量でPEG化ウリカーゼが投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記生物学的試料が、血液、血清、および血漿からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記生物学的試料中の前記尿酸レベルが、ステップ(a)で定義される投与の少なくとも2時間後に決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記生物学的試料中の前記尿酸レベルが、ステップ(a)で定義される投与の少なくとも6時間後に決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記生物学的試料中の前記尿酸レベルが、ステップ(a)で定義される投与の少なくとも24時間後に決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記生物学的試料中の前記尿酸レベルが、ステップ(a)で定義される投与の2週間後に決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記生物学的試料中の前記尿酸レベルが、ステップ(a)で定義される投与の4週間後に決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記患者が痛風を患っている、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記痛風が不応性である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記痛風が慢性または結節性である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
PEG化ウリカーゼが静脈内投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
PEG化ウリカーゼで治療された患者が、注入反応を発生させるかどうかを予測する方法であって、
a)前記患者にPEG化ウリカーゼを投与するステップと;
b)前記患者から生物学的試料を得るステップと;
c)前記生物学的試料中の尿酸レベルを決定するステップと;
d)尿酸レベルが約4mg/dl未満で維持されている場合に、注入反応が起こる可能性が低いことと前記レベルが関連することを示唆するか、または前記レベルが少なくとも約4mg/dlと測定される時点において、注入反応が起こる可能性が高いことと前記決定された尿酸レベルが関連することを示唆するステップと
を含む方法。
【請求項21】
前記尿酸レベルが約5mg/dl未満で維持されている場合に、注入反応が起こる可能性が低いことと前記レベルが関連するか、または前記レベルが少なくとも約5mg/dlと測定される時点において、注入反応が起こる可能性が高いことと前記決定された尿酸レベルが関連する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記尿酸レベルが約6mg/dl未満で維持されている場合に、注入反応が起こる可能性が低いことと前記レベルが関連するか、または前記レベルが少なくとも約6mg/dlと測定される時点において、注入反応が起こる可能性が高いことと前記決定された尿酸レベルが関連する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記尿酸レベルが約7mg/dl未満で維持されている場合に、注入反応が起こる可能性が低いことと前記レベルが関連するか、または前記レベルが少なくとも約7mg/dlと測定される時点において、注入反応が起こる可能性が高いことと前記決定された尿酸レベルが関連する、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記生物学的試料中の前記尿酸レベルが、ステップ(a)で定義される投与の少なくとも2時間後に決定される、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記生物学的試料中の前記尿酸レベルが、ステップ(a)で定義される投与の少なくとも6時間後に決定される、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記生物学的試料中の前記尿酸レベルが、ステップ(a)で定義される投与の少なくとも24時間後に決定される、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記生物学的試料中の前記尿酸レベルが、ステップ(a)で定義される投与の2週間後に決定される、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記生物学的試料中の前記尿酸レベルが、ステップ(a)で定義される投与の4週間後に決定される、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
抗PEG化ウリカーゼ抗体力価および抗PEG抗体力価を測定することなく、PEG化ウリカーゼで治療された患者が、抗体媒介性PEG化ウリカーゼクリアランスを発生させるかどうかを予測する方法であって、
a)前記患者にPEG化ウリカーゼを投与するステップと;
b)前記患者から生物学的試料を得るステップと;
c)前記生物学的試料中の尿酸レベルを決定するステップと;
d)尿酸レベルが約4mg/dl未満で維持されている場合に、抗体媒介性PEG化ウリカーゼクリアランスが起こる可能性が低いことと前記レベルが関連することを示唆するか、または前記尿酸レベルが少なくとも約4mg/dlと測定される時点において、抗体媒介性PEG化ウリカーゼクリアランスが起こる可能性が高いことと前記決定された尿酸レベルが関連することを示唆するステップと
を含む方法。
【請求項30】
前記尿酸レベルが約5mg/dl未満で維持されている場合に、抗体媒介性PEG化ウリカーゼクリアランスが起こる可能性が低いことと前記レベルが関連するか、または前記レベルが少なくとも約5mg/dlと測定される時点において、抗体媒介性PEG化ウリカーゼクリアランスが起こる可能性が高いことと前記決定された尿酸レベルが関連する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記尿酸レベルが約6mg/dl未満で維持されている場合に、抗体媒介性PEG化ウリカーゼクリアランスが起こる可能性が低いことと前記レベルが関連するか、または前記レベルが少なくとも約6mg/dlと測定される時点において、抗体媒介性PEG化ウリカーゼクリアランスが起こる可能性が高いことと前記決定された尿酸レベルが関連する、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記尿酸レベルが約7mg/dl未満で維持されている場合に、抗体媒介性PEG化ウリカーゼクリアランスが起こる可能性が低いことと前記レベルが関連するか、または前記レベルが少なくとも約7mg/dlと測定される時点において、抗体媒介性PEG化ウリカーゼクリアランスが起こる可能性が高いことと前記決定された尿酸レベルが関連する、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記生物学的試料中の前記尿酸レベルが、ステップ(a)で定義される投与の少なくとも2時間後に決定される、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記生物学的試料中の前記尿酸レベルが、ステップ(a)で定義される投与の少なくとも6時間後に決定される、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記生物学的試料中の前記尿酸レベルが、ステップ(a)で定義される投与の少なくとも24時間後に決定される、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記生物学的試料中の前記尿酸レベルが、ステップ(a)で定義される投与の2週間後に決定される、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
前記生物学的試料中の前記尿酸レベルが、ステップ(a)で定義される投与の4週間後に決定される、請求項29に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−531596(P2012−531596A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517793(P2012−517793)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/040082
【国際公開番号】WO2010/151823
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(511312702)サヴィエント・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】