説明

PIN型有機発光ダイオードの積層体および製造方法

【課題】有機層の積層の構造上の配置が簡略化された、PIN型有機発光ダイオードの積層体および製造方法を説明し提供する。
【解決手段】本発明は、電極と対電極とを備え、上記電極と上記対電極との間に有機層の積層を備え、上記有機層の積層は、k(k=1,2,3…)層の有機基材を含む発光層と、上記電極と上記発光層との間に設けられる、添加電荷担体輸送層と、上記対電極と上記発光層との間に設けられる、追加添加電荷担体輸送層と、上記添加電荷担体輸送層の一方と上記発光層との間に設けられる阻止層とを備えているPIN型有機発光ダイオードの積層体に関する。上記有機層の積層は、n(n≦k+2)層の有機基材によって形成され、上記n層の有機基材は、上記発光層のk層の有機基材を含んでいる。上記有機層の積層はまた、阻止層を備えない方法で構成可能であり、その場合、上記発光層と添加電荷担体輸送層とが、1つの有機基材から形成される。さらに、上記積層体の製造方法も述べる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PIN型有機発光ダイオード(OLED)の積層体および製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Tangらによる低駆動電圧の立証以来(C.W.Tang他:Appl.Phys.Lett.51(12)、913(1987)参照)、有機発光ダイオードは新たな照明素子または表示素子の実現のための有力な候補となった。有機発光ダイオードは、望ましくは真空で蒸着された有機物、又はポリマー形状にスピンコートされた有機物の一連の薄層を含んでいる。金属層による電気的接触の後、薄層は、ダイオード、発光ダイオード、フォトダイオードやトランジスタといった様々な電子工学又は光電子工学の構造素子を形成する。構造素子のそれぞれの特性により、それらの構造素子は、無機層を基礎として確立された構造素子との競争を繰り広げている。
【0003】
有機発光ダイオードの場合、電荷担体、言い換えれば一方から電子を、他方から正孔を注入することにより、その接点から隣接している有機層へ外部から電圧を加えた結果、活性帯において励起子(電子−正孔対)が形成される。その後、これらの励起子が再結合し光を放つことにより、光が発生し発光ダイオードから放出される。
【0004】
そのような有機物を主成分とした構造素子の、従来の無機物を主成分とした構造素子、例えばシリコンやガリウム砒素に対する利点は、非常に大きな表面を持った素子、すなわち大画面素子(モニター、スクリーン)を生産できることである。有機物を主成分とした物質は、無機物に比べて比較的安価である。その上、これらの物質は無機物に比べて生産温度が低いので、柔らかい回路基盤に蒸着させることができる。この事実によりディスプレイや照明の技術における新たな一連の全面的な適用への道が切り開かれる。
【0005】
米国特許第5,093,698号において、PIN型有機発光ダイオードは、有機発光ダイオードに、添加電荷担体輸送層を含むと記述されている。特に、3つの有機層が使用され、それらは2つの電極の間に設けられている。N型およびP型の添加層は、ここで電荷担体の注入や、対応する添加層での正孔と電子との輸送を改善する。その結果として、提案された構造は少なくとも5つの物質からなる少なくとも3つの層で構成されている。
【0006】
HOMO(「最高占有分子軌道」)とLOMO(「最低非占有分子軌道」)とのエネルギーレベルは、電子と正孔との効率的な再結合を確保するために、両方の電荷担体が発光帯において「捕獲される」ことによって選択されるのが好ましい。電荷担体の発光帯への制限は、後述するように、イオン化エネルギーおよび/又は、発光帯および/又は電荷担体輸送層の電子親和力の適切な選択により実現される。
【0007】
米国特許第5,093,698号から知られる素子構造は、その接点から有機層への電荷担体の注入を大幅に改善している。さらに、添加層の導電率が高くなると、OLEDが動作している間、その位置での電圧の低下が抑制される。このため、添加された構造素子が必要な電圧は、所望の輝度を得るために類似の無添加の構造よりも著しく低い。しかし、これに関して、そのような添加された素子構造のさらなる試験は、必ずしもこのようになるとは限らないことを示している。最初のPIN構造では、励起錯体構造だけでなく、いわゆる発光クエンチング効果も問題外とすることはできず、このことは電界発光の量子効率にマイナスの効果を与えている。発光クエンチングは特に、P添加物同士又はN添加物同士が近接している時、すなわち、P添加物同士又はN添加物同士が、発光帯に隣接している有機層に存在している時に起こる。
【0008】
これらの理由のため、ドイツ特許文献DE 100 58 578 C2では、阻止層が、中心の発光層と少なくも一つの電荷担体輸送層との間に挿入される。この場合、電荷担体輸送層も、アクセプタ又はドナーのいずれかで添加される。光放出帯を電子と正孔とで満たすために、阻止体のエネルギーレベルがどのように選択されるべきかが説明されている。このように、追加中間層も、添加物阻止位置において以前から起こりうるクエンチング効果に対する緩衝帯として働くように、周知の構造は実際に高効率が可能である。
【0009】
発光クエンチングは、いくつかの影響により引き起こされうる。考えられるメカニズムの一つは、励起錯体構造として知られている。この場合、実際に発光帯の発光分子において互いに再結合している正孔および電子は、発光層との境界面のうちの1つにおける2つの異なった分子に位置する。このいわゆる励起錯体状態は、関与する分子が異なった性質を持っている電荷輸送励起子として理解できる。阻止帯および発光帯のそれぞれについて、物質の選択が適当でない場合、この励起錯体はエネルギー的に可能な最も低い励起状態であるため、発光分子における実際に望ましい励起子のエネルギーを、この励起錯体の状態に変化させることができる。その結果として、このことが電界発光の量子効率の低下を招く。ある事例では、励起錯体の赤方偏移した電界発光も観察された。しかし一般に、これは非常に小さな量子効率によってそのように特徴づけることができる。
【0010】
OLEDにおいて発生する発光クエンチングの更なるメカニズムは、一方における荷電した添加分子と荷電していない添加分子とによる励起子、および/又は他方における電荷担体による励起子の交互作用の結果として生じる。第1のメカニズムは、短い範囲の交互作用に基づく無添加阻止層の使用によって効果的に抑制される。OLEDを駆動している間、電荷担体は必ず発光帯および発光帯の付近に存在しなければならない。このため、例えば帯域が不連続ならば、電荷担体の蓄積が回避される程度にしか最適化できない。特にこのことは、電荷担体の注入および、それに続く電荷担体の蓄積に対する障害を回避するために、発光体と阻止体としてのテープ層との選択を要求する。
【0011】
ドイツ特許文献DE 100 58 578 C2によると、PIN構造はすでに、ドイツ特許文献DE 100 58 578 C2により詳細に説明されているように、それぞれの単層の相関関係が特定のエネルギーレベルに密接に連結されている事実により、6つの異なる有機体を備えた5つの単層を備えている。
【0012】
簡略化の第一段階は、バソフェナントロリン(BPhen)又はBPhenとセシウム(Cs)との共蒸着層により提供される(He他:Appl.Phys.Lett.85(17)、3911(2004)参照)。このシステムは、直接隣り合った正孔阻止層と電子輸送層との両方において、同一の基材、すなわちBPhenを使用している。しかし、この周知のシステムでは、BPhenのLUMOと発光帯に使用される基材のHOMOとの間の決定的なエネルギーギャップのために、適切な励起錯体の形成は妨げられる。実際、正孔阻止層としてトリアゾール(TAZ)を選択することにより、構成素子が改善することが報告されている。その結果、BPhen又はBPhenとCsとの共蒸着層は、構造素子の効率を維持するけれども、層構造の簡略化に対応しない。構造素子の効率の維持は、関連する材料の特定の選択によって行われる。特に、周知のシステムは、その位置で選択された発光材料の化合物と適合しない。その上、He他が述べている構造は、少なくとも4つの基材を含んでいる。
【0013】
さらに、発光層と電荷担体輸送層とが、同一の有機基材で構成されている構造が知られている(J.Kido,Proc.1stInt. ディスプレイ製造会議 IDMC 2000、ソウル、2000参照)。ここで、有機光を放出する構造素子には、発光層としてアルミニウム・キノリノール錯体(Alq3)層を使用すると説明されている。Alq3層の上に、さらにリチウム(Li)添加のAlq3電子輸送層が隣接している。この共蒸着は、正孔輸送層のアクセプタだけでなく電子輸送層のドナーも存在するPIN型OLEDの構造には組み込まれていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、有機層の積層の構造上の配置が簡略化された、PIN型有機発光ダイオードの積層体および製造方法を説明し、提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この課題は、請求項1に記載のPIN型有機発光ダイオードの積層体によって解決され、同様に請求項15に記載のPIN型有機発光ダイオードの有機層の積層の製造方法によって解決される。
【0016】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題として記載されている。
【0017】
本発明の一つの特徴によれば、電極と対電極とを備え、上記電極と上記対電極との間に有機層の積層を備え、上記有機層の積層は、k(k=1,2,3…)層の有機基材を含む発光層と、上記電極と上記発光層との間に設けられる、添加電荷担体輸送層と、上記対電極と上記発光層との間に設けられる、追加添加電荷担体輸送層と、上記添加電荷担体輸送層のうちの1つと上記発光層との間に設けられる、少なくとも1つの阻止層とを備えているPIN型有機発光ダイオードの積層体が実現される。上記有機層の積層は、n(n≦k+2)層の有機基材によって形成され、上記n層の有機基材は、上記発光層のk層の有機基材を含んでいる。
【0018】
本発明の他の特徴によれば、電極と対電極とを備え、上記電極と上記対電極との間に阻止層のない有機層の積層を備え、上記阻止層のない有機層の積層は、発光層と、上記電極と上記発光層との間に設けられる、添加電荷担体輸送層と、上記対電極と上記発光層との間に設けられる、追加添加電荷担体輸送層と、を備えているPIN型有機発光ダイオードの積層体が実現される。上記阻止層のない有機層の積層の、上記発光層と上記添加電荷担体輸送層とは、有機基材から形成されている。
【0019】
上記構成によれば、有機層の積層のいくつかの層、すなわち発光層と、添加電荷担体輸送層と、追加添加電荷担体輸送層とを、1つの同じ基材から形成することに加えて、阻止層が省かれるために、使用される有機基材の総数および層の総数は減少する。
【0020】
本発明のさらなる他の特徴によれば、簡略化されたPIN型有機発光ダイオードのための有機層の積層を製造するための方法であって、有機基材が、分離形成装置によって処理される方法が実現される。この有機基材は、上記積層のいくつかの有機層に使用される。
【0021】
本発明において有機基材は、概して1:100000〜5:1のモル濃度で、さらに添加物又は発光物質といった材料を混合する(添加)ことが可能な、あらゆる有機の主材料を意味する。さらに、無添加層、例えば阻止層の唯一の構成物質は、基材として設計されている。蛍光性の発光材料又は燐光性の発光材料は、発光層のための添加物として選択可能である。さらに、添加せずに発光する発光層も存在する。この場合、基材が発光体となる。
【0022】
PIN型OLEDの簡略化された積層体は、通常の特性データに関しては、関連する不具合はないことを示している。そして、特性の点で周知の複雑な構造と同じ性能である。このような積層体を使用する発光ダイオードは、要求される輝度の範囲では高効率である。
【0023】
PIN型OLEDの新たな積層体は、その分野の研究における包括的な努力の結果である。簡単であるだけでなく効率の良いPIN型OLEDの構造を実現できる程度にまで、有機層の積層における材料の特性に対する、様々な、そして部分的に相反して作用する要求を最適化することにおいて成功が収められた。無添加の電荷担体輸送層を用いた従来の有機発光ダイオードと比較すると、選択される基材に関する様々な要求の多様性は、電荷担体輸送層への想定された添加によって、PIN型有機発光ダイオードに関して実質的にはさらに複雑である。
【0024】
本発明の利点は、従来の積層体よりも少ない層で構成され、かつ/又は、少ない有機基材で構成される、PIN型OLEDのための積層体が実現可能であるということである。簡略化された構成素子の構成では、1つの同じ有機基材がいくつかの機能の層のために使用されるので、選択される有機基材の数および選択される層の数は、限定される。このアプローチは、OLEDの構造素子の、複雑でない製造工程が可能である点と信頼性の高い製造とに基づく質の保証を容易にする。その上、製造工場のための投資と消費コストを最小限に抑えることができる。
【0025】
実質的に簡略化された工程に加えて、必要な材料の数が限られていることも、本発明の利点である。その上、層の分離形成のために必要な供給源の数を減らすことができるので、製造工程が簡略化される。連続したいくつかの層が、1つの同じ有機基材によって形成される場合、結果として製造工程は簡略化される。例えば、より好ましい1つの実施形態において、この基材のための蒸着供給源は、絶えず作動させることができ、いずれの場合も、追加物質ための閉じられた供給源を開放するのは、ごく短期間ですむ。
【0026】
層構造の例を示す実施形態において、阻止層および電荷担体輸送層だけでなく、発光層も規定された基材で構成されるならば、基材の原料と発光添加物および電子添加物の両方の原料とが必要となる。その場合、層構造は以下のように製造することができる。すなわち、有機基材の供給源を連続して作動させながら、まず、発光添加物の供給源が開放され、阻止層の形成のために再度閉じられ、最後に、電荷担体輸送層の分離のために、電子添加物の供給源が開放される。例えば、「有機気相成長法」(OVPD)(M.Baldo他、Adv.Mater.10(18),1505(1998)参照)によって層を分離形成する間だけでなく、高真空中での従来の熱蒸着によって製造する間であっても、これらの利点は有効である。
【0027】
本発明の様々なより好ましい実施形態により、有機層の積層の製造のために使用される有機基材の総数nをさらに減らすことができる。したがって、k(k=1,2,3…)が、発光層において使用される有機基材の数とすると、n≦k+1が適用され、又はn=kであっても適用される。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一つの特徴によれば、電極と対電極とを備え、上記電極と上記対電極との間に有機層の積層を備え、上記有機層の積層は、k(k=1,2,3…)層の有機基材を含む発光層と、上記電極と上記発光層との間に設けられる、添加電荷担体輸送層と、上記対電極と上記発光層との間に設けられる、追加添加電荷担体輸送層と、上記添加電荷担体輸送層のうちの1つと上記発光層との間に設けられる、少なくとも1つの阻止層とを備えているPIN型有機発光ダイオードの積層体が実現される。上記有機層の積層は、n(n≦k+2)層の有機基材によって形成され、上記n層の有機基材は、上記発光層のk層の有機基材を含んでいる。
【0029】
本発明の利点は、従来の積層体よりも少ない層で構成され、かつ/又は、少ない有機基材で構成される、PIN型OLEDのための積層体が実現可能であるということである。簡略化された構成素子の構成では、1つの同じ有機基材がいくつかの機能の層のために使用されるので、選択される有機基材の数および選択される層の数は、限定される。このアプローチは、OLEDの構造素子の、複雑でない製造工程が可能である点と信頼性の高い製造とに基づく質の保証を容易にする。その上、製造工場のための投資と消費コストを最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】多数の層を備える発光構造の積層体の概略図である。
【図2A】少なくとも2つの隣接する層が同一の有機基材で作られている有機層の積層体における、エネルギーレベルの概略図である。
【図2B】少なくとも2つの隣接する層が同一の有機基材で作られている有機層の積層体における、エネルギーレベルの概略図である。
【図2C】少なくとも2つの隣接する層が同一の有機基材で作られている有機層の積層体における、エネルギーレベルの概略図である。
【図3A】実施形態c’)による構造に基づく構造素子の、電流密度および輝度の特性データのグラフである。
【図3B】実施形態c’)による構造に基づく構造素子の、電流発光効率および発光効率の特性データのグラフである。
【図4A】実施形態a’)による構造に基づく構造素子の、電流密度および輝度の特性データのグラフである。
【図4B】実施形態a’)による構造に基づく構造素子の、電流発光効率および発光効率の特性データのグラフである。
【図5A】実施形態n)による構造に基づく構造素子の、電流密度および輝度の特性データのグラフである。
【図5B】実施形態n)による構造に基づく構造素子の、電流発光効率および発光効率の特性データのグラフである。
【図6】実施形態o’),p’),r’)による構造素子の電流密度の特性データのグラフである。
【図7】実施形態o’),p’),r’)による構造素子の輝度の特性データのグラフである。
【図8】同一の基材に同一の濃度で添加した場合の、互いに異なった添加物である、F4−TCNQを添加した正孔輸送層の層厚に対する表面抵抗と、2−(6−ジシアノメチレン−1,3,4,5,7,8−ヘキサフルオロ−6H−ナフタレン−2−イリデン)−マロンニトリルを添加した正孔輸送層の層厚に対する表面抵抗とを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照した実施形態に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
【0032】
図1は、有機発光ダイオード(OLED)の一般的な構造を示している。ベース電極1は、例えばガラスやポリシリコンといった担体基板Sの上に、構造化された状態で積層されている。その次の段階で、有機層の積層が層状に熱蒸着され分離形成される。有機層の特性は、以下でさらに正確に詳細に述べる。最後に、カバー電極5が蒸着される。カバー電極は、あらかじめ処理された上部の有機層の積層を覆っている。
【0033】
少なくとも一方の電極は、光を放出させるためにいかなる場合でも透明である。発生した光が基板から放出される「底面発光」有機ダイオードの場合、ベース電極1だけでなく基板Sも透明でなければならない。しかし、「上面発光」有機ダイオードであっても、カバー電極5および被包された構造素子が、十分に透明である必要がある。構造素子の両側が透明であるので、ダイオードは透明に見えるとも考えられる。
【0034】
電極1および電極5の両方から電子又は正孔が注入されるという点は強調されるべきである。しかし、この構造素子の実際の極性に関して、制限は設けられない。これにより、本発明は、時間がかからずコストの安い製造工程を含めて、非反転構造素子(アノードとしてのベース電極)だけでなく反転構造素子(カソードとしてのベース電極)と共に実施することができる。
【0035】
非反転の有機層の積層は、5つの基礎的な構成要素を備えている。その構成要素は、P型添加正孔輸送層2、正孔側の無添加中間層、すなわち電子阻止層3、k(k=1,2,3…)の層からなる発光層4、電子側の無添加中間層、すなわち正孔阻止層3’、およびN型添加電子輸送層2’である。
【0036】
しかし、反転構造が選択されるならば、N型添加電子輸送層2、続いて電子側の無添加中間層、すなわち正孔阻止層3、続いてk(k=1,2,3…)の層からなる発光層4、正孔側の無添加中間層、すなわち電子阻止層3’、そしてP型添加正孔輸送層2’の順番で積層することになる。
【0037】
添加物に関しては、P型添加のためのアクセプタ分子として、キノン類から選択するのが好ましい(この趣旨についてもDE 103 57 044.6 を参照)。よく知られた例として、正孔輸送有機層に添加するためによく使用されるF4−TCNQが挙げられる。これは、例えばPfeifferによって詳細に説明されている(Appl.Phys.Lett.,73,22(1998)参照)。代わりに、例えばFeCl3等の他の酸化物質もP添加に適用される(J.Endo他:Jpn.J.Appl.Phys.Pt.2,41,L358(2002)参照)。N添加には、アルカリ金属類(例えばLi,Cs)やアルカリ土類金属(例えばMg)から素子を選択するのが一般的である。しかし、分子ドナーを使用してもよい。
【0038】
有機層の積層は以下のようにさらに詳細に説明される。ここで、O1〜O4は、一般に異なる有機基材を示す。有機基材O1〜O4は、部分的に添加可能で、N添加および/又はP添加により選択的に添加可能である。まず、同一の有機基材O1が、層2および層3の積層に使用される。同時に、他の有機基材O2が、2つの層2’および層3’の基材として使用される。
【0039】
P添加O1/O1/4/O2/N添加O2
この積層体は、有機基材O1からなるP添加正孔輸送層、有機基材O1からなる電子阻止層、発光層4、有機基材O2からなる正孔阻止層、および有機基材O2からなるN添加電子輸送層、で構成される有機層の積層に相当する。これらの実施形態は、P添加正孔輸送層および隣接する電子阻止層として、同一の有機基材O1が使用され、N添加電子輸送層および隣接する正孔阻止層として、同一の有機基材O2が使用されている点で共通している。P添加正孔輸送層、およびそれに関連する隣接した電子阻止層は、同一の有機基材で構成されている。同様にN添加電子輸送層、およびそれに関連する隣接した正孔阻止層も同一の有機基材で構成されている。そして、輸送層が添加されている一方、阻止層は添加されていない。このため、輸送層と阻止層とからなる2つの基材の内部で、いずれの場合も添加の度合いの勾配が形成されている。
【0040】
原則としてPIN構造では、有機層の積層に使用されている有機基材の総数と、発光層に使用されている有機基材の数との差が2以内であると認識されている。発光層4に使用されている有機材料は燐光だけでなく、蛍光も発する。それゆえ、発光層は、
a) O1又は
b) O2又は
c) O3又は
a’) 基材O1:発光体からなる系又は
b’) 基材O2:発光体からなる系又は
c’) 基材O3:発光体からなる系
から構成されている、単層の発光層(k=1)として設計することが可能である。
【0041】
「基材Ox:発光体」の表示は、発光層が有機基材Ox(x=1,2、…)から形成され、発光材料が加えられていることを意味する。しかし、発光層4は、
d) 正孔側にO1、電子側にO3又は
e) 正孔側にO3、電子側にO2又は
f) 正孔側にO1、電子側にO2又は
g) 正孔側にO3、電子側にO4
が配列されている、2層の発光層(k=2)として構成することができる。
【0042】
発光層4はさらに、1つまたは数個の追加された発光体の有機基材として、以下のように選択することができる。すなわち、発光層4は、
d’) 正孔側にO1、電子側にO3又は
e’) 正孔側にO3、電子側にO2又は
f’) 正孔側にO1、電子側にO2又は
g’) 正孔側にO3、電子側にO4
が配列されている、2層の発光層として設計することもできる。
【0043】
それゆえ、輸送層の有機基材は、いずれの場合も隣接する阻止層、又は発光層の構成要素と同一である。しかし、このための必要条件は、有機基材O1(および/又はO2)がアクセプタ(ドナー)によって添加されることができ、同時に有機層の積層における電子(正孔)の障壁として機能でき、さらにその間に、正孔(電子)が発光層に接近することができる、ということである。例外は、発光層の有機基材が阻止層の有機基材と異なる実施形態c)、c’)、g)およびg’)である。
【0044】
上記の構造は、包括的な試験の結果であり、例えば、ドイツ特許文献DE 100 58 578 C2に記載されている周知の複合構造と比較して、実質的に簡略化されている。これに加えて、重要な要素が決定されていた。この重要な要素は、特定の機能を有する個々の材料を好適に含むものであり、特定の機能とは、すなわち、添加電荷担体輸送層、阻止層又は発光層としての機能である。特にこれらの要素は、この分子の荷電された、および/又は励起された状態のエネルギー位置である。これらの要素は以下で説明する。
【0045】
これらの試験は、その性質により複数の要求される機能に応用できる材料の識別のための、一連の包括的な試験と組み合わされた。さらに詳細な理解を得るために、OLEDのシミュレーションを、特に先進のプログラムにより行った。その手段は、以下のような模範的な方法で述べる。そして、そこから導き出されるデザインルールだけでなく知識も述べる。
【0046】
その手段を、アノードに隣接する正孔輸送層を例に説明する。周知のように(He他、Appl.Phys.Lett.,85(17),3911(2004)参照)、正孔輸送層としてMeO−TPD、電子阻止層としてスピロ(Spiro)−TAD、アノード側の発光基材としてTAZを使用するPIN型OLEDが配置されている。関係する物質のイオン化エネルギーの観測から、正孔が正孔輸送層から電子阻止層へ移動するための障壁は0.3eVであることが分かる。正孔を電子阻止層から発光層へ注入すると、障壁がなくなる効果がある。(Pfeiffer他:Adv.Mat.,14(22),1633(2002)参照)。アノードから正孔輸送層へ正孔を注入するための障壁は、およそ0.5eVである。Med−TPDといった同じイオン化エネルギーを持つ正孔輸送材料を含むインジウムスズ酸化物(ITO)からなるアノードは、オーム接触を形成する。関係する物質の電位層に関しては、現在までPIN型OLEDの阻止層として使われる最初の例として、Zhouらによって報告された(Appl.Phys.Lett.80(1),139(2002))物質と、Heらが述べているアノード側のOLED構造とは、本質的に一致する。
【0047】
単純なOLED構造を実現するために、使用される基材の数は減らされた。実現されている周知の効率的なPIN型OLEDでは、正孔輸送層と電子輸送層とで異なる基材が使用されている。なぜならば、正孔輸送層の添加性能のために要求される特性と、電子阻止層の良好な機能のために要求される特性とは、これらの層において全く異なるからである。
【0048】
まず、P添加正孔輸送層は、スピロ−TADから形成されていた。スピロ−TADには、通常使用されるアクセプタ分子であるF4−TCNQを、十分に添加することができないことが明白であった。その結果、インジウムスズ酸化物(ITO)への接触はもはやオーム接触ではなく、光の放出は、比較的高い駆動電圧の場合でないと観察できない。その上、電子阻止層は、無添加のスピロ−TTB(2,2’,7,7’−テトラキス(Tetrakis)−(N,N−ジトリルアミノ(ditolylamino))−9,9’―スピロビフルオレン(spirobifluorene)) から製造されている。一方、正孔輸送層は、P添加のスピロ−TTBで構成されている。F4−TCNQのイオン化エネルギーと添加性能に関して、この物質はMeO−TPDと同等なものであるとみなすことができる。
【0049】
ここで、インジウムスズ酸化物(ITO)へのオーム接触が形成されるにも関わらず、他方で、ここで使用される発光層への正孔の注入のための障壁が高いため、発光効率は小さくなることが発見された。その原因は、励起錯体の形成の結果として生じるクエンチング効果、および、阻止層と発光層との間の境界面において蓄積された正孔での発光クエンチングである。その上、他の正孔輸送材料であって、MeO−TPDよりもイオン化エネルギーは高いけれども、スピロ−TADよりもイオン化エネルギーは低い正孔輸送材料が、P添加正孔輸送層および電子阻止層として使用されていた。ここで、添加された場合、どの材料もインジウムスズ酸化物(ITO)へのオーム接触は形成しない一方、同時に発光層においてクエンチング効果が起こらないことが発見された。電気によるシミュレーションによると、2つの有機層の間の障壁が約200meVの場合は、まだ実質的には電流に影響はないけれども、2つの有機層の間の障壁が約400meVの場合は、すでに相当の蓄積が起こることが示された。
【0050】
もし、F4−TCNQよりも丈夫なアクセプタ分子を使用するならば、その問題は解決できるということは認識されていた。このようにして、Med−TPD又はスピロ−TTBよりもイオン化エネルギーの高い物質にも添加することができた。そして、スピロ−TADにさえも、特定の環境で添加することができた。しかし、F4−TCNQよりも丈夫なアクセプタ分子は、今日に至るまで当業者に知られていなかった。F4−TCNQよりも丈夫なアクセプタ分子は使用されており、それは、2−(6−ジシアノメチレン(dicyanomethylene)−1,3,4,5,7,8−ヘキサフルオロ(hexafluoro)−6H−ナフタレン−2−イリデン(ylidene))−マロノニトリル(malononitrile)であり、自己組織化膜(SAM)(図8参照)として以下のように設計されている。スピロ−TADへの添加は、そのような方法で実際に成功することが発見された。そのような方法で、同一の物質(スピロ−TAD)から、添加された正孔輸送層や電子阻止層を形成することができた。そして同時にそのような方法で、インジウムスズ酸化物(ITO)で形成されたアノードからの良好な注入や、放出層との境界面におけるクエンチング効果の減少を保証することができた。
【0051】
最終的に、スピロ−TADは、赤色三重項発光体の基材としても使用され、このことはOLEDのさらなる簡略化を可能にした(上記の適用例a’参照)。
【0052】
次の段階で、新たな層構造として一体どの程度の数の阻止層が必要であるのかを調べた。陰性のクエンチング効果を回避するために阻止層を配置することができる。今まで、PIN構造の効率の良いOLEDは全て、2つの阻止層を備えており、いずれの場合も一方の阻止層はカソード側で他方の阻止層はアノード側に備えられていた。
【0053】
クエンチング効果を理解するための重要な要素は、PIN型OLEDの再結合帯の位置を知ることである。有機層における励起子は、一般に10nm規模の長さまでしか拡散せず、構成素子においては励起子の密度は感知できるほどしかなく、拡散領域の内部でも励起子の密度は感知できるほどしかない。一般に、クエンチング効果は、励起子の短時間の交互作用に起因する。このため、これらの効果を生むソースは、効率を著しく悪化させるために、再結合領域の周辺の拡散領域の内部に存在しなければならない。PIN型OLEDにおける発光帯の位置については、少ししか知られていない。いわゆる「添加板(doped-slab)」技術を用いた実験が、従来のOLEDで行われた。この場合、様々なOLEDが同一の構造を用いて製造された。その構造では、いずれの場合も、非常に薄い励起子検出層が発光帯の様々な位置で導入されていた。励起子検出層の発光信号は、局所的に励起子の密度に比例すると仮定する。従来のOLEDでは、いわゆる高電子密度の構造および/又は低電子密度の構造の間で差異があった。前者の場合、再結合領域は主に発光層のアノード側であり、一方、後者の場合、再結合領域は主に発光層のカソード側である。電子の超過および/又は電子の不足の原因は、電子および正孔のそれぞれ大きく異なった輸送性に加えて、特に電荷担体注入に対する障壁である。
【0054】
さらに、PINダイオードの試験、すなわち原子核の光学模型を用いて輸送層の厚さを変化させることによるOLEDの比較のために、別の方法が選択された。この変化により、発光層の反射電極からの距離が変化する。なお、反射電極は、大抵カソードである。発光スペクトラムにおける変位、減結合効率の変化、および発光特性は、もともとの薄膜層組織における干渉の結果として生じる。
【0055】
積層した発光帯の位置を変化させることによる光学的シミュレーションと、実験との比較は、構造素子における実際の位置の決定を可能にする。これらの実験の結果、PIN型OLEDについて、発光帯の位置は、電荷担体注入の障壁によってではなく、むしろ主に発光層における電子と正孔との移動の関係によって確立されることが発見された。そのため、電子が不足したOLEDと電子が過剰なOLEDとの間の区別は、その元来の意義を失う。仮に、電子の輸送性が、実際に発光している層における正孔の輸送性との関係で、優勢であるならば、再結合は電子阻止層の近傍で起こる。このことは、以下の事を意味する。すなわち、この場合、つまり発光層が十分な厚さを持っている場合は、正孔阻止層における励起子の密度は非常に小さい。この境界面におけるクエンチング効果は、このように問題にならず、正孔阻止層は必要ではない。類推すると、電子阻止層は、正孔の輸送性を抑制することにより必要ではなくなる。試験の目的のために、正孔の輸送性を抑制して、正孔輸送層と発光層との間に無添加中間層を挿入しないOLEDを製造した(以下を参照)。実際に境界面における全てのタイプの発光クエンチングのための条件は立証されているので、通常そのようなOLEDでは、強いクエンチング効果が予想される。その条件は、言い換えれば、荷電された添加陰イオンの存在、発光層に対する高い障壁に起因する高密度の正孔の蓄積、および励起錯体を形成するためのエネルギーの受入れである。実際、これらの効率は非常に高いことが観察された。しかし、以下で述べる理由により、驚くべき結果を説明することができる。
【0056】
効率的であるにもかかわらず複雑でないOLEDの製造のために、関係する材料のエネルギーレベルに関する特性を、以下のようにまとめる。
【0057】
利用できるアクセプタ(ドナー)の添加度合いは限られているので(電子親和力および/又はイオン化エネルギーによる)、イオン化エネルギーの最大値(電子親和力の最小値)は、有機基材O1〜O4のそれぞれに起因する。さらに電子(正孔)障壁としての機能を果たすためには、有機基材のイオン化エネルギーの最大値(電子親和力の最小値)がさらに必要となる。
【0058】
商業的に利用できるアクセプタ分子であるF4−TCNQは、正孔輸送材料においてP添加物として利用できる。F4−TCNQの電子親和力EA(A)は、約5.3eVである(チクロボルタンメトリー(cyclovoltammetry)からの概算)。そのため、F4−TCNQを基材O1に添加するためには、イオン化エネルギーIP(O1)は最大限のものとして0.5eVだけさらに大きいことが必要である。(チクロボルタンメトリー(cyclovoltammetry)からの概算)。セシウム原子はしばしばドナーとして利用される。原子のセシウムのイオン化エネルギーは3.9eVである。しかし、基材と添加物(複合構造)との間の強い交互作用に基づくと、はるかに小さい電子親和力で基材に添加することは可能である。例えば、よく知られた基材であるBPhenの電子親和力は、3.0eV(イオン化エネルギーおよび光学的バンドギャップからの概算)〜2.4eV(チクロボルタンメトリー(cyclovoltammetry)からの概算)である。しかし、電子親和力が0.5eVだけ小さい材料に関しては、セシウムの添加効果は得られないことが予想される。N添加物である分子に関して、P添加物に関する詳細に基づくと、結局、基材の電子親和力EA(O2)は、ドナーのイオン化エネルギーIP(D)から0.5eVだけ減じた値を当然下回ってはならない。
【0059】
したがって、添加性能の要求から以下の関係式が導かれる。すなわち、IP(O1)<EA(A)+0.5eVかつ/又はEA(O2)>IP(D)−0.5eV。EA(O2)>1.9eVの関係式は、セシウムの添加の場合に適用される。
【0060】
障壁の特性を満たすためには、発光層のポテンシャルレベルに起因して、EA(O1)および/又はIP(O2)が必要となる。発光層の電子親和力EA(E)のレベルで活発に動く電子は、低い確率でしか層O1に接近することができないであろう。その結果は、EA(O1)<(E)−0.2eVとなる。同時に、発光層のイオン化エネルギーIP(E)のレベルで活発に動く正孔は、低い確率でしか層O2に接近することができないであろう。すなわち、IP(O2)>IP(E)+0.2eV。ここで再び、以下の事実について注意しなければならない。すなわち、障壁特性の条件は、全てのOLEDの積層で満たされてはいけない。もし、発光帯が正孔輸送層に近いならば、カソード側の発光積層に隣接する層が、正孔のための障壁となることは、しばしば不必要となる。アノード側の発光積層に隣接する層が、電子のための障壁となることは、しばしば不必要となるという点で、同様なことが発光帯が電子輸送層の近くに存在するOLEDに当てはまる。
【0061】
個々の電荷担体輸送層および/又は阻止層から発光層へ、電荷担体を効率的に注入するためには、この場合、電荷担体が乗り越えなければならない障壁は、大きすぎてはならない。すなわち、障壁は0.5eV未満でなければならない。ここで、障壁が高すぎる場合、予想される駆動電圧が増加することになることを強調する。一方、発光層に対する境界面に蓄積された電荷担体の密度が、発光層において励起子の発光しない再結合の増加の原因となるならば、発光効率の減少も起こりうる。一般に、次の基準が導かれる。すなわち、IP(O1)>IP(E)−0.5eV、およびEA(O2)<EA(E)+0.5eVという基準である。
【0062】
まず驚くべきことに、障壁が最大で0.5eVまでならば、発光層への電荷担体の効率的な注入は可能である。しかしその一方、発光層から阻止層への注入のための障壁が0.2eVしかないならば、ダイオードの性能に悪影響を及ぼす。これは、電子と正孔との望ましい再結合は、阻止層へと電荷担体が失われるという競合するプロセスとして、発光層の内部で起こることに起因する。この理由により、発光層における障壁の近辺での電荷担体の滞留時間は、単極の担体輸送層の場合よりも著しく短い。このため、障壁が同様に小さければ、電荷担体の損失も制限される。材料の例として、セシウムを添加することができるBPhenがある。しかし、同時に正孔阻止層として、および緑色発光分子であるIr(ppy)3のための基材としても使用することができる。
【0063】
正孔側において、スピロ−TADは、例えば、同時にP添加物としての可能性、電子阻止層としての可能性も提供し、さらに赤色発光のための基材としても機能する。
【0064】
以下では、PIN型有機発光ダイオードに関して、有機層の積層における層の積層体のさらなる実施形態を、さらに詳細に説明する。前述のようにO1〜O4は、一般に異なる有機基材を示す。
【0065】
m) P添加O1/O1/O1:発光体/O3/N添加O2
n) P添加O1/O3/O2:発光体/O2/N添加O2
すでに一例として説明したように、このような積層体によって、発光層の片方側だけにおいて一種の一様な転移が形成される。そしていずれの場合も、発光層は、以下の実施形態において下線を引いた語句として示されている。本発明において一様な転移とは、均一な基材によって電荷担体輸送層から発光層まで形成される層の連続を意味する。発光帯が発光層の中央に位置するならば、阻止層は必要ではない。これにより構造m)およびn)が導き出される。
【0066】
) P添加O1/O1:発光体/N添加O2
) P添加O1/O2:発光体/N添加O2
層材料(以下の実施形態o),o),p),p),q)を参照)の段階的な適応の後、実施形態r),s),t)が実現できる。実施形態r),s),t)では、同一の基材を完全に全ての層にわたって使用しているので、HOMOレベルとLUMOレベルとが完全に同化している。
【0067】
o) P添加O1/O1/O1:発光体/O2/N添加O1
) P添加O1/O1:発光体/O2/N添加O1
p) P添加O1/O2/O1:発光体/N添加O1
) P添加O1/O2/O1:発光体/O1/N添加O1
q) P添加O1/O2/O1:発光体/O3/N添加O1
r) P添加O1/O1/O1:発光体/N添加O1
s) P添加O1/O1:発光体/O1/N添加O1
t) P添加O1/O1:発光体/N添加O1
さらに発光層は、有機基材O1、O2およびO3のうちの1つだけを材料とした場合であっても、実施形態m)〜t)の構造中に存在していてもよい。
m’) P添加O1/O1/O3/N添加O2
m”) P添加O1/O1/N添加O2
n’) P添加O1/O3/O2/N添加O2
n”) P添加O1/O2/N添加O2
o’) P添加O1/O1/O2/N添加O1
p’) P添加O1/O2/O1/N添加O1
q’) P添加O1/O2/O1/O3/N添加O1
r’=s’=t’) P添加O1/O1/N添加O1
基板とカバー電極の極性次第で、以上に列挙した層の全ての組合せは、反転OLEDおよび非反転OLEDに使用できる。実施形態m)〜t’)における構造は全て、1つの単一基材からなる発光層を1つだけ備えている。それゆえ、k=1が適用される。しかし、k=1,2、3…であっても、類似化合物によって、実施形態m)〜q)およびm’)〜q’)における構造においても、上記の簡略化が可能である。特に、白色OLEDに関して、白色スペクトラムは異なる色の混色により生じるので、kはしばしば1よりも大きい。
【0068】
P添加およびN添加として同一の基材を使用したOLEDを構成する間の、最も卓越した試みにより、N添加物としてだけでなくP添加物としても添加されうる基材が発見されている。そのため、その基材は、正孔輸送層および電子輸送層において使用することができる。この材料が、発光体又は発光体ホスト(emitter host)としても使用される場合、HOMOとLUMOとの間のエネルギーギャップは、電子および正孔が発光帯の内部に入り込んで、発光する態様で再結合できる範囲でなければならない。基材の軌道レベルに関する明らかにされた詳細は、有機基材O1およびO2の同一性による上述した考察により直接導き出される。例えば使用されている材料は、ZnPcやCuPcといったフタロシアニン、および、例えばZnOEP、PtOEP、イリジウム(III)トリス(1−フェニルイソキノリン)といったフォルフィリン(phorphyrine)である。
【0069】
以下、図2A〜図2Cを参照する。例えば、実施形態r’)のように、上記に示されている3層体系によって、最も簡単な構造を実現することができる。原則として、境界面の両側に同一の基材が含まれているならば、HOMOレベルとLUMOレベルとは、すべての境界面において完全に一致する。このことは、有機物内のそのようなOLEDには、LUMOの軌道を通る電子にとってのエネルギー障壁も、HOMOの軌道を通る正孔にとってのエネルギー障壁も、どちらも確実に存在しないことを意味する。
【0070】
OLEDの駆動電圧を低くするために、両方の電荷担体輸送層は添加される。これは、基材がP添加もN添加も両方可能であることを前提としている。高い電流発光効率のために均衡させなければならない2つの電荷担体の型のバランスは、P添加およびN添加の程度によって決めることができる。
【0071】
この構成の最大の利点は、その単純な処理過程である。ただしこの場合、電荷担体のバランスを決めなければならない。言い換えれば、これは印加電圧と、それに続く輝度とによって決まる。さらに配慮しなければならない要素は、励起子の拡散距離である。励起子が発光帯の外部に拡散できるほど、拡散距離が大きいならば、その効率は減少することになる。
【0072】
必要に応じて、発光層において正孔および電子を制限するために、1つ(図2Bおよび図2C、実施形態o),o’),p),p’)参照)又は2つ(実施形態o),q),p)およびq’)参照)の阻止層を設けなければならない。この場合、層3のLUMO又は層3’のHOMOと発光層4(図1参照)とのエネルギー差は、非反転構造での電子又は正孔にとっての障壁として働く。このことは、反転構造にとっても類推により当てはまる。このように、電荷担体は発光層に蓄積され、実際に結果として再び光が効率的に発生する。
【0073】
OLEDの構造では、時折、ここで述べる層構造と接点との間に、さらに層が設けられることがある。例えば、これらの層は電荷担体の注入を改善したり、有機層における接点の付着を改善するために役立っている。上記の層構造はまた、ここで述べる層の積層に加えて、このタイプの層を含む、そのようなOLEDにとって重要であることが分かる。このことは、カラーOLEDだけでなく白色OLEDにも当てはまる。
【0074】
特に注目すべきは、いわゆる「積層型」OLEDに使用される積層の発明による簡略化である。「PIN積層型」OLEDは通常、いくつかのPIN層が連続して互いに積み重なっているOLEDを意味するものと理解されている。これらのOLEDは、個々のサブ−PIN型OLEDにおいて様々な発光層を積層させることにより、高い電流発光効率および混色が可能である。特に、10以上の層で構成されているこれらのOLEDでは、それぞれの層の節約は、より高い生産歩留まり、およびよりコストの安い工程によって保証されている。
【0075】
赤色、緑色および青色のサブ画素によるフルカラーディスプレイに、OLEDを適用することは意義深い。PIN構造もこのように適用できる。互いに異なる3色のサブ画素の型を得るために、シャドーマスクにより発光層の積層のみ、および/又は、発光層のみによる構成方法で、蒸着することによって製造することが試みられている。他のすべての層、すなわち例えば輸送層や阻止層は、3色を形成するために一緒に蒸着される。しかしこのことは、OLEDが3色全てと同等な機能をこのような方法で簡略化するならば、例えば電子側の阻止層だけしか省くことができないことを意味する。獲得された知識により、発光基材は今や、同一の阻止体を省くやり方で、3色全ての代わりに特に選択される。例えば、発光基材は、主に正孔を輸送し、続いて環境によるが、電子輸送層を省くことができるので、発光基材を3色全ての代わりにを選択することができる。
【0076】
以下では、すでに述べた実施形態に加えて、構造の簡略化実現のためのさらなる実施形態を説明する。ここで、自己組織化膜(SAM)はP添加物として使用される。
【0077】
i) 実施形態c’)による構造の例
赤色底面発光OLEDは、正孔輸送層および電子阻止層のための有機基材として、スピロ−TTBと一緒にインジウムスズ酸化物(ITO)の上に処理されていた。電子側では、無添加のBPhenとセシウム添加のBPhenとの化合物が使用されていた。反射するアルミニウムのカソードは、カバー電極として蒸着されていた。発光層は、発光システムNPD,すなわちイリジウム(III)(2−メチルジベンゾ(methyldibenzo)[f,h]−キノキサリン)(アセチルアセトン)から構成される。その特性データを図3Aおよび図3Bに示す。2.6Vの場合のみ、100cd/mの輝度および6.6lm/Wの効率の光が放出される。
【0078】
ii) 実施形態a’)による構造の例
前述の例とは対照的に、ここではスピロ−TADは、正孔輸送層として、中間層3として、および発光着色のための基材であるイリジウム(III)トリス(フェニルイソキノリン(phenylisoquinoline))として供給される。他の全ての層は、前述の例からの類推によって形成された。その特性データを、図4Aおよび図4Bに示す。その性能効率は100cd/mの輝度および3.7Vの駆動電圧で、5.7lm/Wに達する。
【0079】
iii) 実施形態n)による構造の例
高い導電率を確保するためにセシウム添加BPhen基材によって、電子側での一様な変化が実現される。BPhenはさらに、正孔阻止層として、および緑色発光体であるIr(ppy)3のための基材としても使用される。P側において、かつSAMとともに、P添加スピロ−TTBは、透明なインジウムスズ酸化物(ITO)の上に蒸着されており、この上には、発光帯において電子を制限する電子阻止層としての無添加のスピロ−TADが、分離形成されている。その特性データを図5Aおよび図5Bに示す。急勾配の電流−電圧特性曲線が測定されている。2.75Vの駆動電圧および22.2lm/Wの発光効率において、1000cd/mが得られた。
【0080】
iv) 実施形態o’),p‘),r’)による構造の例
赤色発光基材であるイリジウム(III)トリス(1−フェニルイソキノリン(phenylisoquinoline)は、適当な有機基材であり、アクセプタに添加してもドナーに添加しても導電率が高くなる。この基材に基づく3つのOLEDが製造されていた。すなわち、阻止層を備えていないダイオード、電子阻止層(EB)として供給されたMeT−TPDを備えたダイオード、および正孔阻止層として4,7−ジフェニル−2,9−ジシアノ−1,10−フェナントロリン(phenanthroline)(バソフェナントロリン(bathophenanthroline))を備えたダイオードである。セシウムはN添加物として使用されていた。これらのダイオードの特性データを、図6および図7に示す。全ての例が、良好なダイオード特性を示している。電子阻止層(EB)を備えたダイオードは、2.9Vで100cd/mの輝度の赤色光を発する。ダイオードの輝度が阻止層の使用によって増加することは、全く明白である。
【0081】
全体として、上述した有機層の積層体によって、阻止層と電荷担体輸送層と発光層との間の相互作用に関する新たな積層体の選択が可能となる。簡略化されたOLEDの構造を基礎として進歩するにつれて、どのようにしてOLEDが著しく、そしてさらに簡単に製造できるのかについて、さらなる方法が生み出された。その開始のポイントは、いくつかの層に同一の有機基材を使用することである。有機基材は、例えば、P添加物のための基材、電子阻止物、および発光層としての基材である。そのような積層体を作ることにより、周知の工程で蒸着されなければならない、さらなる基材のための1つ又はいくつかの蒸着供給源を節約できる。さらに、基材のための供給源は、頻繁に作動することが可能である。初めに、P添加物の基材への同時蒸着が行われる(正孔輸送層の蒸着)。その後、P添加物の供給源のふたを閉鎖して、基材のみをさらに蒸着する(電子阻止層の蒸着)。その後、発光着色のためのふたを開け、発光色素を基材と一緒に同時蒸着する(発光層の蒸着)。この手順により、基材の供給源の加熱および冷却の時間を節約でき、その上、基材のために1つの供給源しか使用しないために、コストも削減できる。
【0082】
要約すると、本発明は以下の知識に基づいている。すなわち、PIN型有機発光ダイオードにおいて、電荷担体の輸送、電荷担体の阻止、および発光のための有機基材を選択し、組合せることによって実現される複数の基準は、結果として必ずしも、組合せに関して基材が異ならなければならないことを条件とするわけではないということである。例えば、添加能力の基準と、発光層への正孔の注入の障壁を小さくする基準とが、互いに対立しているとしても、例えば、スピロ−TADといった1つの同じ有機基材は、正孔輸送層のための基材として使用できるだけでなく、それに加えて阻止層としても使用できることが分かる。ここで、例えばSAMといった新型のアクセプタを混合すると、P添加できる基材の分類がかなり拡大する。特に、以前は阻止材料として専ら使用されていた材料も、現在はP添加正孔輸送材料として使用できる。
【0083】
実施形態において、特に発光帯が反対側の発光層と離れていて、一方の型の電荷担体の輸送性が、他の型の電荷担体の輸送性よりも大きいならば、一方の型の電荷担体にとって阻止層の使用は不要となる。この場合、発光層が高い輸送性の型の電荷担体の輸送層となるように同一の基材を選択することも可能である。例えば、TCTA:Ir(ppy)3を備える発光層の場合、公知の技術としてスピロ−TAD又は類似物を備えた構造は、常に言及されているが、例えばスピロ−TADから構成される電子阻止物を省くことができる(例えば、He他:Apply.Phys.Lett.,85(17),3911(2004))。そしてこの場合も、発光層および正孔輸送層は、基材であるスピロ−TADから構成することができる。このことは、10年以上前に知られていたPIN型有機発光ダイオードとしては驚くべきことである。
【0084】
さらに、実施形態において、1つの同じ材料を、正孔輸送層だけではなく、電子輸送層のための基材として使用できることが分かった。ここで、両方の型の電荷担体の添加性能の条件、および発光層への電荷担体の注入の障壁を低くする条件は対立しており、一方で、両方の型の電荷担体の添加性能の条件、および励起錯体形成の排除のための条件も対立している。アクセプタおよび/又はドナーの化合物は選択可能であると考えられており、それらの化合物は、赤色発光層への電荷担体の注入を保証することができる強力なものである。
【0085】
上記の有機層の積層体によって、OLEDの全ての構造は、著しく簡略化されたにも関わらず、高効率の構造素子が依然として製造されている。この場合、その原因は、電極から有機層積層体への電荷担体の注入が複雑でないこと、および、効率の良い発光層での再結合だけでなく添加に基づく輸送層における電荷担体の輸送においてほとんど損失がないことである。
【0086】
上記説明、図面および請求項において開示された本発明の特徴は、それぞれ重要であり、同様に本発明の実現のための任意の組合せにおける本発明の様々な実施形態もまた重要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極と対電極とを備え、上記電極と上記対電極との間に有機層の積層を備え、
上記有機層の積層は、
k(k=1,2,3…)層の有機基材を含む発光層と、
上記電極と上記発光層との間に設けられる、添加電荷担体輸送層と、
上記対電極と上記発光層との間に設けられる、追加添加電荷担体輸送層と、
上記添加電荷担体輸送層と上記発光層との間に設けられる阻止層とを備えているPIN型有機発光ダイオードの積層体であって、
上記有機層の積層は、n(n≦k+2)層の有機基材によって形成され、
上記n層の有機基材は、上記発光層のk層の有機基材を含み、
上記追加添加電荷担体輸送層と上記発光層との間に、追加阻止層をさらに備え、
上記添加電荷担体輸送層と上記阻止層とが、第1有機基材で作られ、
該第1有機基材は、上記n層の有機基材に含まれ、
上記追加添加電荷担体輸送層と上記追加阻止層とは、第2有機基材から作られ、
該第2有機基材は、上記n層の有機基材に含まれていることを特徴とするPIN型有機発光ダイオードの積層体。
【請求項2】
上記発光層は、上記第1有機基材からなる少なくとも1つの層を有し、上記阻止層と近接して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
上記発光層は、上記第2有機基材からなる少なくとも1つの層を有し、上記追加阻止層と近接して設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
上記発光層は、第3有機基材からなる少なくとも1つの層又は第4有機基材からなる少なくとも1つの層を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項5】
上記発光層は、少なくとも1つの発光材料を添加されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項6】
上記少なくとも1つの発光材料は、蛍光性であることを特徴とする請求項5に記載の積層体。
【請求項7】
上記少なくとも1つの発光材料は、燐光性であることを特徴とする請求項5に記載の積層体。
【請求項8】
上記電極および上記対電極の少なくともいずれかは、透明な材料で作られていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項9】
上記積層又は上記阻止層のない有機層の積層は、反転PIN型有機発光ダイオードのための反転構造として機能することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項10】
上記積層および/又は上記阻止層のない有機層の積層は、非反転PIN型有機発光ダイオードのための非反転構造として機能することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層体を少なくとも1つ備えることを特徴とするPIN型有機発光ダイオード。
【請求項12】
発光素子を備える照明装置であって、
該発光素子は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層体を少なくとも1つ含むことを特徴とする照明装置。
【請求項13】
発光素子を備える自発光ディスプレイ装置であって、
該発光素子は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層体を少なくとも1つ含むことを特徴とする自発光ディスプレイ装置。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層体を少なくとも1つ備えるディスプレイ装置であって、特にアクティブマトリクスディスプレイ又はパッシブマトリクスディスプレイであるディスプレイ装置。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のPIN型有機発光ダイオードのための有機層の積層を製造するための方法であって、
有機基材が、分離形成装置によって処理され、
上記有機基材は、上記積層のいくつかの有機層に使用され、
上記積層に含まれる複数の有機層は、上記有機基材を蒸着することにより形成され、
該有機基材は、上記分離形成装置に備えられた単一の蒸着源から蒸着されることを特徴とする方法。
【請求項16】
上記複数の有機層は、上記第1有機基材を蒸着することによって形成され、
連続する基材における複数の層の少なくとも一部は、上記積層における上記第1有機基材から形成されていることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
上記第1有機基材から上記連続する基材を形成する間、中間の段階において、
添加電荷担体輸送層は、添加材料の同時蒸着によって形成され、
かつ/又は、阻止層が形成され、
かつ/又は、発光層が、発光材料の同時蒸着によって形成され、
かつ/又は、追加阻止層が形成され、
かつ/又は、追加添加電荷担体輸送層が、追加添加材料の同時蒸着によって形成されることを特徴とする請求項16に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−302586(P2009−302586A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224562(P2009−224562)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【分割の表示】特願2006−110358(P2006−110358)の分割
【原出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(506126233)ノヴァレッド アクチエンゲゼルシャフト (3)
【Fターム(参考)】