説明

PMセンサの異常検出装置及び方法

【課題】PMセンサの異常を正確に検出する技術を提供する。
【解決手段】内燃機関の排気通路に配置され、内燃機関から排出された排気中のPMが堆積した堆積量に応じた値を出力するPMセンサと、PMセンサに堆積したPMを燃焼除去する検出部再生制御と、当該検出部再生制御によってPMセンサに堆積したPMを燃焼除去しているときの、PMセンサの抵抗値の変化に基づいて、PMセンサの異常を検出する異常検出制御と、を実行するECUと、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PMセンサの異常検出装置及びPMセンサの異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン等の内燃機関では、内燃機関から排出される排気中のPM(Particulate Matter)を除去するために、PMを捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ(Diesel Particulate Filter、以下、DPFという)が排気通路に配置される。DPF
は、電極に堆積するPM量を検出するPMセンサの検出値に基づいて捕集したPMを燃焼除去される場合がある。ここで、複数のPMセンサに堆積したPMを燃焼除去するときの一つのPMセンサのPM燃焼除去時間と、他のPMセンサのPM燃焼除去時間と、に基づいて、PMセンサの異常の有無を診断する技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1の技術では、PMセンサを複数設ける必要がある。また、全部のPMセンサが正常の場合と異常の場合との区別ができるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−144512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、PMセンサの異常を正確に検出する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にあっては、以下の構成を採用する。すなわち、本発明は、
内燃機関の排気通路に配置され、前記内燃機関から排出された排気中のPMが堆積した堆積量に応じた値を出力するPMセンサと、
前記PMセンサに堆積したPMを燃焼除去する燃焼除去手段と、
前記燃焼除去手段によって前記PMセンサに堆積したPMを燃焼除去しているときの、前記PMセンサから取得する物理量であって前記PMセンサの出力としての物理量又は当該出力に準ずる物理量の変化に基づいて、前記PMセンサの異常を検出する異常検出手段と、
を備えたことを特徴とするPMセンサの異常検出装置である。
【0006】
PMセンサに堆積したPMを燃焼除去しているときには、PMセンサから取得する物理量の変化が、PMセンサが正常の場合と異常の場合で異なる。本発明によると、PMセンサから取得する物理量の変化に基づいて、PMセンサの異常を正確に検出することができる。
【0007】
前記PMセンサから取得する物理量が、電極間にPMが堆積する程前記PMセンサの抵抗値が減少することを用いることによる、前記PMセンサの抵抗値であり、
前記異常検出手段は、燃焼除去時間に対する前記抵抗値の変化に基づいて、前記PMセンサの異常を検出するとよい。
【0008】
PMセンサに堆積したPMを燃焼除去しているときには、PMセンサの抵抗値の変化が、PMセンサが正常の場合と異常の場合で異なる。本発明によると、PMセンサの抵抗値の変化に基づいて、PMセンサの異常を正確に検出することができる。
【0009】
前記異常検出手段は、前記PMセンサから取得する物理量の変化と、正常なPMセンサから取得した物理量の変化と、を比較することにより、前記PMセンサの異常を検出するとよい。
【0010】
本発明によると、PMセンサから取得する物理量の変化と、正常なPMセンサから取得した物理量の変化と、を比較することにより、PMセンサの異常を正確に検出することができる。
【0011】
前記異常検出手段は、前記PMセンサに堆積したPMが完全に燃焼除去される直前の、前記PMセンサから取得する物理量の変化に基づいて、前記PMセンサの異常を検出するとよい。
【0012】
PMセンサに堆積したPMが完全に燃焼除去される直前の、PMセンサから取得する物理量は、他の時期の物理量に比して大きく変化する。本発明によると、PMセンサが正常の場合と異常の場合とでPMセンサから取得する物理量の変化の差異が大きく、PMセンサの異常を正確に検出することができる。
【0013】
前記異常検出手段は、燃焼除去開始後の所定時の前記PMセンサから取得する物理量と、同条件での正常なPMセンサから取得する物理量と、の差が、前記PMセンサが正常か異常かの閾値となる所定値以上の場合に、前記PMセンサが異常であると判定するとよい。
【0014】
本発明によると、PMセンサの異常を正確に検出することができる。ここで、所定時とは、PMセンサに堆積したPMを燃焼除去している最中における燃焼除去開始後の予め定められた時である。また、所定値とは、燃焼除去開始後の所定時のPMセンサから取得する物理量と、同条件での正常なPMセンサから取得する物理量と、の差が、その所定値以上であるとPMセンサが異常であると判定できる値であり、PMセンサが正常か異常かの閾値となる値である。
【0015】
前記燃焼除去手段は、前記PMセンサに堆積したPMを、単位時間あたりに燃焼除去するPMが一定量となるよう一定の速度で燃焼除去するとよい。
【0016】
本発明によると、PMセンサから取得する物理量の変化が、PMセンサに堆積したPMを一定の速度で燃焼除去するときのものとなり、PMを燃焼除去する速度が変わることによるPMセンサから取得する物理量の変化の誤差要因が無くなり、PMセンサの異常を正確に検出することができる。
【0017】
本発明は、
内燃機関の排気通路に配置され、前記内燃機関から排出された排気中のPMが堆積した堆積量に応じた値を出力するPMセンサの異常検出方法であって、
前記PMセンサに堆積したPMを燃焼除去しているときの、前記PMセンサから取得する物理量であって前記PMセンサの出力としての物理量又は当該出力に準ずる物理量の変化に基づいて、前記PMセンサの異常を検出することを特徴とするPMセンサの異常検出方法である。
【0018】
PMセンサに堆積したPMを燃焼除去しているときには、PMセンサから取得する物理量の変化が、PMセンサが正常の場合と異常の場合で異なる。本発明によると、PMセンサから取得する物理量の変化に基づいて、PMセンサの異常を正確に検出することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、PMセンサの異常を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1に係る内燃機関の概略構成を示す図である。
【図2】実施例1に係るPMセンサの概略構成を示す図である。
【図3】実施例1に係るPMセンサが正常の場合と異常の場合とのPM堆積量と抵抗値の関係1を示す図である。
【図4】実施例1に係るPMセンサが正常の場合と異常の場合とのPM堆積量と抵抗値の関係2を示す図である。
【図5】実施例1に係るPMセンサが正常の場合と異常の場合とのPM堆積量と抵抗値の関係3を示す図である。
【図6】実施例1に係るPMセンサが正常の場合と異常の場合との燃焼除去時間に対する抵抗値の関係1を示す図である。
【図7】実施例1に係るPMセンサが正常の場合と異常の場合との燃焼除去時間に対する抵抗値の関係2を示す図である。
【図8】実施例1に係るPMセンサの異常検出制御ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の具体的な実施例を説明する。
【0022】
<実施例1>
(内燃機関)
図1は、本発明の実施例1に係るPMセンサの異常検出装置を適用する内燃機関の概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は、気筒を4つ有する水冷式の4ストロークサイクル・ディーゼルエンジンである。内燃機関1は、車両に搭載されている。なお、内燃機関1は、ガソリンエンジン等の他の内燃機関であってもよい。
【0023】
内燃機関1には、排気通路2が接続されている。排気通路2には、酸化触媒3が配置されている。酸化触媒3の後段には、DPF4が配置されている。DPF4は、排気通路2内を流通する排気中のPMを捕集する。DPF4は、ハニカム状となるコーディエライト等の耐熱性セラミックスの基材を用い、排気の流路となる多数のセルを入口側又は出口側が互い違いとなるように目封じされて構成されている。DPF4のセル壁は多孔性を有する。DPF4に流入した排気は、セル壁を通過しながら下流へ流れ、その間にPMがセル壁の孔部やセル壁面に捕集されて堆積していく。
【0024】
DPF4よりも下流の排気通路2には、PMセンサ5が設けられている。PMセンサ5は、DPF4で捕集されずに流れて来るPMを検出部51に堆積させて検出部51に堆積したPM堆積量(微粒子堆積量)に応じた電流値を出力し、排気中のPM量等を検出する。このPMセンサ5の出力に基づいて、PMセンサ5に堆積したPMを燃焼除去することもできるし、PMセンサ5が排気中のPM量の許容量以上の増加を検出した場合には、DPF4が劣化や破損等により故障したと判断することもできる。
【0025】
図2は、PMセンサの概略構成を示す図である。PMセンサ5は、図2に示すように、排気通路2内に配置される2つの櫛歯電極52が隙間を空けて互い違いに組み合わされた検出部51を有する。検出部51は、櫛歯電極52間にPMが堆積し、絶縁破壊が起こると電流が流れる。検出部51では、櫛歯電極52間のPM堆積量が多くなる程、櫛歯電極52間(PMセンサ5)の抵抗値が低下し、電流が多く流れる。よって検出部51は、堆積したPM堆積量に応じて高まる電流値をECU6に出力し、本実施例ではECU6はそ
の出力された電流値で供給電圧値を割ってPMセンサ5の抵抗値として記憶する。一方、PMセンサ5の検出部51の周りには、ヒータ53が設けられている。そして、PMが検出部51に規定量以上に堆積すると、ヒータ53で検出部51を800℃に加熱し、堆積したPMを燃焼させて除去する。
【0026】
以上述べたように構成された内燃機関1には、内燃機関1を制御するための電子制御ユニットであるECU6が併設されている。ECU6は、内燃機関1の運転条件や運転者の要求に応じて内燃機関1の運転状態を制御するユニットである。ECU6には、PMセンサ5、クランクポジションセンサ7、アクセルポジションセンサ8等の各種センサが電気配線を介して接続され、これら各種センサの出力信号がECU6に入力される。ECU6は、クランクポジションセンサ7、アクセルポジションセンサ8等の出力信号を受けて内燃機関1の運転状態を判別し、判別された機関運転状態に基づいて内燃機関1等を電気的に制御する。
【0027】
例えば、ECU6は、燃料噴射制御などの既知の制御の他に、DPF4のPM捕集能を再生する制御(以下、フィルタ再生制御という)を実行する。フィルタ再生制御は、DPF4にPMが規定量以上に捕集された場合に、排気通路2に配置される燃料添加弁から排気中へ燃料添加することや、内燃機関1での主噴射とは別のポスト噴射をすること等によって燃料をDPF4の前段の酸化触媒3に供給し、燃料の酸化反応によってDPF4を例えば600℃等に昇温させ、DPF4に捕集されているPMを酸化及び除去する。
【0028】
また、ECU6は、PMセンサ5の検出部51に堆積したPMを除去する制御(以下、検出部再生制御という)を実行する。検出部再生制御は、PMセンサ5の検出部51に規定量以上のPMが堆積した場合に、ヒータ53で検出部51を800℃程度に加熱し、堆積したPMを燃焼除去する。検出部再生制御を行うと、検出部51にPMが無い状態に戻るので、PMセンサ5の出力も零付近にまで下がることになる。本実施例の検出部再生制御を実行するECU6が、本発明の燃焼除去手段に対応する。
【0029】
(異常検出制御)
ところで、PMセンサ5に異常が生じてしまうと、DPF4が故障して下流にPMが多量に流出していても分からず、排気エミッションの悪化を招くおそれがある。このため、従来、複数のPMセンサを備える場合には、検出部再生制御を実行するときの一つのPMセンサのPM燃焼除去時間と、他のPMセンサのPM燃焼除去時間と、に基づいて、PMセンサの異常の有無を診断していた。しかし、このような技術では、PMセンサを複数配置する必要があり、部品点数が増加しコストアップを招く。また、全部のPMセンサが正常の場合と異常の場合との区別ができるものではなかった。このため、全部のPMセンサが異常となった場合に、PMセンサの異常を検出することができなかった。
【0030】
そのため、PMセンサに所定量以上のPMが堆積した後の飽和したPMセンサの出力である電流値に準じるPMセンサの抵抗値を用いて、PMセンサの異常を検出することが考えられた。図3及び図4はPMセンサに所定量以上のPMが堆積した後の飽和したPMセンサの抵抗値から、PMセンサの異常を検出する場合を示す図である。図3及び図4の丸で囲った部分に示すように、PMセンサに所定量以上のPMが堆積した後の飽和したPMセンサの抵抗値が、正常なPMセンサの抵抗値から所定範囲を超えて乖離すれば、PMセンサが異常であると判断できる。これにより、一つのPMセンサでもPMセンサの異常を検出することができる。しかしながら、図5に示すようにPMセンサに所定量以上のPMが堆積した後の飽和したPMセンサの抵抗値が、正常なPMセンサの抵抗値から所定範囲を超えないようなPMセンサの異常も存在する。図5はPMセンサに所定量以上のPMが堆積した後の飽和したPMセンサの抵抗値から、PMセンサの異常が検出できない場合を示す図である。図5の丸で囲った部分に示すように、PMセンサに所定量以上のPMが堆
積した後の飽和したPMセンサの抵抗値が、正常なPMセンサの抵抗値からの所定範囲を超えない。しかし、PMセンサへのPM堆積量に対する抵抗値の変化の特性は、PM堆積量が少ないときに異常である。
【0031】
そこで、本実施例では、検出部再生制御中に、PMセンサ5から取得するPMセンサ5の抵抗値の変化に基づいて、PMセンサ5の異常を検出するようにした。本制御を異常検出制御といい、異常検出制御を実行するECU6が、本発明の異常検出手段に対応する。なお、PMセンサ5の抵抗値は、PMセンサ5の出力である電流値に準じる物理量である。本実施例では、PMセンサ5から取得する物理量として、PMセンサ5の抵抗値を用いるが、他の物理量であってもよい。例えば、PMセンサ5の出力としての物理量である電流値であってもよいし、当該出力に準ずる他の物理量であってもよい。
【0032】
具体的な異常検出制御の実行では、検出部再生制御を、単位時間あたりに燃焼除去するPMが一定量となり一定の速度でPMセンサ5に堆積したPMを燃焼除去するよう、実行する。これにより、PMセンサ5の抵抗値の変化が、PMセンサ5に堆積したPMを一定の速度で燃焼除去するときのものとなり、PMを燃焼除去する速度が変わることによるPMセンサ5の抵抗値の変化の誤差要因が無くなり、PMセンサ5の異常を正確に検出することができる。
【0033】
そして、検出部再生制御中の、燃焼除去時間に対するPMセンサ5の抵抗値の変化をECU6に記憶して行く。
【0034】
検出部再生制御が完了すると、ECU6に記憶した燃焼除去時間に対するPMセンサ5の抵抗値の変化についての特性を、予めECU6に記憶させてある燃焼除去時間に対する正常なPMセンサの抵抗値の変化についての特性と比較する。図6及び図7は、燃焼除去時間に対するPMセンサの抵抗値の変化についての特性を示す図である。本実施例では、図6及び図7の丸で囲った部分である、検出部再生制御中における、PMセンサ5に堆積したPMが完全に燃焼除去される直前の、PMセンサ5の抵抗値の変化と正常なPMセンサの抵抗値の変化とを比較する。図6に示すように、PMセンサ5に所定量以上のPMが堆積した後の飽和したPMセンサ5の抵抗値が、正常なPMセンサの抵抗値から所定範囲を超えて乖離する場合には、丸で囲ったPMセンサ5に堆積したPMが完全に燃焼除去される直前も、PMセンサ5の抵抗値と正常なPMセンサの抵抗値とは乖離する。また、図7に示すように、PMセンサ5に所定量以上のPMが堆積した後の飽和したPMセンサ5の抵抗値が、正常なPMセンサの抵抗値から所定範囲を超えて乖離しないが、PMセンサ5へのPM堆積量に対する抵抗値の変化の特性が異常である場合にも、丸で囲ったPMセンサ5に堆積したPMが完全に燃焼除去される直前は、PMセンサ5の抵抗値と正常なPMセンサの抵抗値とは乖離する。これによって、図3,図4及び図5のいずれの場合のPMセンサ5の異常も検出することができる。
【0035】
詳しくは、図6及び図7のような燃焼除去時間に対するPMセンサ5の抵抗値の変化についての特性のマップを用意し、PMセンサ5に堆積したPMが完全に燃焼除去される直前として、検出部再生制御の燃焼除去開始後の所定時のPMセンサ5の抵抗値と、同条件での正常なPMセンサの抵抗値と、を比較する。このとき比較した2つの抵抗値の差が、PMセンサ5が正常か異常かの閾値となる所定値以上となるか否かを判別する。そして、2つの抵抗値の差が所定値以上となる場合に、PMセンサ5が異常であると判定する。
【0036】
ここで、所定時は、例えば、正常なPMセンサに堆積したPMが完全に燃焼除去される直前となる予め定められた時期である。2つの抵抗値の差についての、PMセンサ5が正常か異常かの閾値となる所定値は、予め定められた値である。また本実施例以外にも、燃焼除去時間に対するPMセンサ5の抵抗値の変化についての特性の、PMセンサ5に堆積
したPMが完全に燃焼除去される直前の部分で、PMセンサ5が正常か異常かを判別してもよい。
【0037】
なお、本実施例とは異なり、燃焼除去時間に対するPMセンサ5の抵抗値の変化についての特性の、PMセンサ5に堆積したPMが完全に燃焼除去される直前ではない部分で、PMセンサ5が正常か異常かを判別してもよい。このようなことは、PMセンサ5の抵抗値と正常なPMセンサの抵抗値とを比較する、検出部再生制御の燃焼除去開始後の所定時を変更することで達成できる。例えば、図3及び図4のPMセンサ5の異常を検出する場合と、図5のPMセンサ5の異常を検出する場合と、で所定時を変更するものでもよい。この場合、図3及び図4のPMセンサ5の異常を検出する場合の所定時が、図5のPMセンサ5の異常を検出する場合の所定時よりも短く設定される。
【0038】
以上説明した本実施例によると、図3,図4及び図5のいずれの場合のPMセンサ5の異常も正確に検出することができる。
【0039】
(異常検出制御ルーチン)
PMセンサ5の異常検出制御ルーチンについて、図8に示すフローチャートに基づいて説明する。図8は、PMセンサの異常検出制御ルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンは、所定の時間毎に繰り返しECU6によって実行される。本ルーチンを実行するECU6が、本発明の異常検出手段に対応する。
【0040】
図8に示すルーチンが開始されると、S101では、検出部再生制御が実行される時期であるか否かを判別する。検出部再生制御が実行される時期としては、PMセンサ5の検出部51に規定量以上のPMが堆積した場合である。例えば、前回の検出部再生制御から一定期間以上内燃機関1が機関運転した場合等にPMセンサ5の検出部51に規定量以上のPMが堆積したと判断できる。S101において、検出部再生制御が実行されると肯定判定された場合には、S102へ移行する。S101において、検出部再生制御が実行されないと否定判定された場合には、本ルーチンを一旦終了する。
【0041】
S102では、内燃機関1から排出されるPMが一定の状態又はPMが全く排出されない状態か否かを判別する。内燃機関1から排出されるPMが一定の状態とは、アイドリング状態等である。内燃機関1からPMが全く排出されない状態とは、機関停止時である。S102において、肯定判定された場合には、S103へ移行する。S102において、否定判定された場合には、本ステップに戻る。
【0042】
S103では、検出部再生制御を、単位時間あたりに燃焼除去するPMが一定量となり一定の速度でPMセンサ5に堆積したPMを燃焼除去するよう、ヒータ53の温度を例えば800℃のように一定にして、実行する。
【0043】
S104では、検出部再生制御中の、燃焼除去時間に対するPMセンサ5の抵抗値の変化をECU6に記憶して行く。PMセンサ5の抵抗値は、PMセンサ5の出力である電流値で供給電圧値を割ることで求めることができる。
【0044】
S105では、検出部再生制御が完了したか否かを判別する。例えば、PMセンサ5の抵抗値が絶縁抵抗値になった場合に、検出部再生制御が完了する。S105において、検出部再生制御が完了したと肯定判定された場合には、S106へ移行する。S105において、検出部再生制御が完了していないと否定判定された場合には、本ステップに戻る。
【0045】
S106では、PMセンサ5に堆積したPMが完全に燃焼除去される直前の、PMセンサ5の抵抗値と、正常なPMセンサの抵抗値と、の差が、PMセンサ5が正常か異常かの
閾値となる所定値以上となるか否かを判別する。なお、PMセンサ5の抵抗値と正常なPMセンサの抵抗値とを比較する時期は、PMセンサ5に堆積したPMが完全に燃焼除去される直前から変えてもよいし、複数個所設けてもよい。S106において、2つの抵抗値の差が所定値以上と肯定判定された場合には、S107でPMセンサ5は異常であると判定する。S106において、2つの抵抗値の差が所定値以上ではないと否定判定された場合には、S108でPMセンサ5は正常であると判定する。S107,S108の処理の後本ルーチンを一旦終了する。
【0046】
以上の本ルーチンであると、検出部再生制御における、PMセンサ5の抵抗値の変化と、正常なPMセンサの抵抗値の変化と、を比較することにより、排気通路2に一つだけ配置されたPMセンサ5の異常を正確に検出することができる。
【0047】
<その他>
本発明に係るPMセンサの異常検出装置は、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもよい。なお、上記実施例でのPMセンサの異常検出は、図5の場合のPMセンサの異常検出に特化させるものでもよい。また、上記実施例は、PMセンサの異常検出装置だけでなくPMセンサの異常検出方法の実施例でもある。
【符号の説明】
【0048】
1:内燃機関、2:排気通路、3:酸化触媒、4:DPF、5:PMセンサ、6:ECU、7:クランクポジションセンサ、8:アクセルポジションセンサ、51:検出部、52:櫛歯電極、53:ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に配置され、前記内燃機関から排出された排気中のPMが堆積した堆積量に応じた値を出力するPMセンサと、
前記PMセンサに堆積したPMを燃焼除去する燃焼除去手段と、
前記燃焼除去手段によって前記PMセンサに堆積したPMを燃焼除去しているときの、前記PMセンサから取得する物理量であって前記PMセンサの出力としての物理量又は当該出力に準ずる物理量の変化に基づいて、前記PMセンサの異常を検出する異常検出手段と、
を備えたことを特徴とするPMセンサの異常検出装置。
【請求項2】
前記PMセンサから取得する物理量が、電極間にPMが堆積する程前記PMセンサの抵抗値が減少することを用いることによる、前記PMセンサの抵抗値であり、
前記異常検出手段は、燃焼除去時間に対する前記抵抗値の変化に基づいて、前記PMセンサの異常を検出することを特徴とする請求項1に記載のPMセンサの異常検出装置。
【請求項3】
前記異常検出手段は、前記PMセンサから取得する物理量の変化と、正常なPMセンサから取得した物理量の変化と、を比較することにより、前記PMセンサの異常を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載のPMセンサの異常検出装置。
【請求項4】
前記異常検出手段は、前記PMセンサに堆積したPMが完全に燃焼除去される直前の、前記PMセンサから取得する物理量の変化に基づいて、前記PMセンサの異常を検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のPMセンサの異常検出装置。
【請求項5】
前記異常検出手段は、燃焼除去開始後の所定時の前記PMセンサから取得する物理量と、同条件での正常なPMセンサから取得する物理量と、の差が、前記PMセンサが正常か異常かの閾値となる所定値以上の場合に、前記PMセンサが異常であると判定することを特徴とする請求項3又は4に記載のPMセンサの異常検出装置。
【請求項6】
前記燃焼除去手段は、前記PMセンサに堆積したPMを、単位時間あたりに燃焼除去するPMが一定量となるよう一定の速度で燃焼除去することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のPMセンサの異常検出装置。
【請求項7】
内燃機関の排気通路に配置され、前記内燃機関から排出された排気中のPMが堆積した堆積量に応じた値を出力するPMセンサの異常検出方法であって、
前記PMセンサに堆積したPMを燃焼除去しているときの、前記PMセンサから取得する物理量であって前記PMセンサの出力としての物理量又は当該出力に準ずる物理量の変化に基づいて、前記PMセンサの異常を検出することを特徴とするPMセンサの異常検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−77716(P2012−77716A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225584(P2010−225584)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】