説明

PTFE多孔体を用いた複合体

【課題】肌理の細かいPTFE多孔体を使用した複合体を提供すること。
【解決手段】PTFE粉末100重量部に対し、7重量部以上の造孔剤を含み、且つ上記造孔剤の粘性により当該造孔剤が上記PTFE粉末に保持されたPTFEペースト体を所定形状に成形した後、上記造孔剤を除去することによって得た気孔を有するポリテトラフルオエチレン多孔体を、フッ素ゴム成形体に保持させてなることを特徴とする複合体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す。)多孔体を用いた複合体に係るものであり、特に、肌理の細かいPTFE多孔体を使用した複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
PTFE多孔体は、耐熱性、耐薬品性に優れ、且つ比誘電率、エネルギー損失角などの電気特性に優れるため、電線被覆材、同軸ケーブルの誘電体、フィルタ、ガスケット、断熱材、分離膜、人工血管、カテーテル、培養器など多くの用途に使用されている。このようなPTFE多孔体の製造方法としては、PTFE粉末と結着剤との混合物を微粉砕した後、公知の方法にて成形し、この成形体を焼成する製造方法が広く一般的に知られている。又、他の製造方法として、PTFE粉末と造孔剤との混合物を所定形状に成形した後、上記造孔剤を除去することによって気孔を設ける製造方法が広く一般的に知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、未焼成PTFEをPTFEの融点以上の温度で焼成し、この焼成したPTFEを粉砕して焼成PTFE粉末とし、次いで、この粉末を1g/cm〜800kg/cmの圧力で所定形状に成形し、再度PTFEの融点以上の温度で焼成することでPTFE多孔体を製造する方法が開示されている。
【0004】
例えば、特許文献2には、PTFE粉末と、融点がPTFEよりも低く且つ分解温度がPTFEの焼成温度よりも高い結着剤とを混合する工程、この混合物をゲル化した後に微粉砕する工程、微粉砕された粉末をラム押出成形して予備成形体を作成する工程、予備成形体を無拘束下で焼成する工程からなるPTFE多孔体の製造方法が開示されている。
【0005】
例えば、特許文献3には、造孔剤として作用する液状潤滑剤を含むPTFEを成形した後、延伸した状態で加熱することで多孔体を製造する方法が開示されている。又、従来技術として、PTFEと造孔剤として作用する液状潤滑剤を混和して成形した後、この液状潤滑剤を除去することで多孔体を製造する方法が開示されている。ここで、液状潤滑剤としては、ナフサ、ホワイトオイル、トルオール、キシロールなどが挙げられている。
【0006】
又、特許文献4には、PTFE粉末に造孔剤として作用する発泡剤及び液状潤滑剤を加えた混和物を所定形状に成形し、この混和物を加熱して発泡させることで無数の微細気孔を形成した後、延伸をすることで多孔体を製造する方法が開示されている。ここで、発泡剤としては、アゾ系発泡剤、ヒドラジド系発泡剤、セミカルバジド系発泡剤、ニトロソ系発泡剤、炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、亜硝酸アンモニウムなどが挙げられている。液状潤滑剤としては、流動パラフィン、ナフサ、ホワイトオイル、トルエン、キシレンなどが挙げられている。
【0007】
又、特許文献5には、PTFE粉末と、造孔剤として作用する細孔形成剤、膨張剤、及び、潤滑油とを混合して冷間押出し、上記潤滑油の蒸発と、上記細孔形成剤及び上記膨張剤の昇華又は分解と、PTFEの焼結とを順次行う製造方法が開示されている。ここで、潤滑油としては、脂肪族炭化水素の混合物が挙げられている。細孔形成剤としては、ベンゼン、トルエン、ナフタレン、ベンズアルデヒド、アニリンの如き化合物又はこれら化合物のモノハロゲン化もしくはポリハロゲン化誘導体が挙げられている。膨張剤としては、アゾジカルボンアミド、改質アゾジカルボンアミド、5-フェニルテトラゾール及びその誘導体又はヒドラジンの芳香族誘導体が挙げられている。
【0008】
又、特許文献6,7には、造孔剤を含有したPTFEを加熱焼成し、その際に造孔剤の作用によってPTFEを多孔化させることが開示されている。ここで、造孔剤としては、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムが挙げられている。
【0009】
又、特許文献8には、造孔剤として作用する発泡剤を含むPTFEを押出成形した後、この発泡剤を除去することで多孔体を製造する方法が開示されている。ここで、発泡剤としては、アゾ化合物、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、ヒドラジン、テトラゾール、ベンゾキサジン、セミカルバジドなどが挙げられている。
【0010】
【特許文献1】特開昭61−66730号公報
【特許文献2】特開平5−93086号公報
【特許文献3】特公昭42−13560号公報
【特許文献4】特公昭57−30059号公報
【特許文献5】特開昭60−93709号公報
【特許文献6】特開平11−124458号公報
【特許文献7】特開2001−67944号公報
【特許文献8】特表2004−500261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1,2で開示されたような、微粉砕したPTFE粉末を再度成形する製造方法では、気孔の径が粗大になるため肌理の細かい成形体を得ることができないだけでなく、気孔率の高い成形体を得ることや、気孔率を制御することが非常に困難である。又、バッチ式の金型成形あるいはラム押出しによる連続成形は可能であるが、ペースト押出しによる連続成形が非常に困難である。
【0012】
又、上記したように、特許文献3〜8で開示されている造孔剤や、造孔剤として作用する液状潤滑剤、発泡剤、細孔形成剤、膨張剤、及び、潤滑油は、低粘度の液体若しくは粉体のものである。又、従来から広く一般的に使用されている造孔剤はナフサであり、これも低粘度の液体である。これらのような造孔剤を使用すると、以下のような問題が発生する。
【0013】
まず、造孔剤が低粘度の液体のみからなる場合には、低粘度の液体がPTFE粉末に所定量しか保持されず、過剰分は滲み出てしまうため、25%を越えるような気孔率の多孔体を製造することは困難である。しかも、このような多孔体を完全焼成したような場合には、気孔が潰れて気孔率が減少してしまうという問題がある。
【0014】
次に、造孔剤が粉体の場合には、粉体粒子の抜けた部分が気孔になるので気孔が粗大になってしまうとともに、粉体粒子が継粉状になり易いことにより、更に気孔が粗大になってしまうため、肌理の細かい多孔体を製造することができない。このような粗大な気孔が存在していると、多孔体に曲げなどの外力が加わった際に、気孔部分で応力集中が発生し割れや切れが発生するというように、機械的強度が低下してしまう。又、粉体の造孔剤を多量に混合させた場合には、押出成形をする際、管壁抵抗が大きくなることから押出機内部の圧力が高くなるため、押出成形性が悪くなるという問題がある。
【0015】
次に、造孔剤が低粘度の液体と粉体を混合したものである場合には、上記の造孔剤が粉体の場合や、造孔剤が低粘度の液体である場合と同様の問題が生じる。即ち、粉体粒子の抜けた部分が気孔になるので気孔が粗大になってしまうとともに、液体の粘度が低いために粉体粒子を分散した状態で保持することができず粉体粒子が継粉状になり易いことにより、更に気孔が粗大になってしまうため、肌理の細かい多孔体を製造することができない。又、低粘度の液体の造孔剤を多量に混合すると、過剰分が滲み出てしまう。又、粉体の造孔剤を多量に混合すると、押出成形をする際、管壁抵抗が大きくなることから押出機内部の圧力が高くなるため、押出成形性が悪くなる。
【0016】
又、特許文献3、4のように延伸を行う場合には、特殊な装置が必要になり、工程が増加するため生産性が低下してしまう。更に、延伸の場合は、気孔率の制御が困難である。
【0017】
本発明はこのような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、特に、肌理の細かいPTFE多孔体を使用した複合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するべく、本発明の請求項1による複合体は、ポリテトラフルオロエチレン粉末100重量部に対し、7重量部以上の造孔剤を含み、且つ上記造孔剤の粘性により当該造孔剤が上記ポリテトラフルオロエチレン粉末に保持されたポリテトラフルオロエチレンペースト体を所定形状に成形した後、上記造孔剤を除去することによって得た気孔を有するポリテトラフルオエチレン多孔体を、フッ素ゴム成形体に保持させてなることを特徴とするものである。
又、請求項2による複合体は、請求項1記載の複合体において、上記PTFE多孔体と、上記フッ素ゴム成形体とを、接着剤により接着したことを特徴とするものである。
又、請求項3による複合体は、請求項1記載の複合体において、上記フッ素ゴム成形体が未加硫又は半加硫の状態で、上記PTFE多孔体を保持位置に配置し、その後に上記フッ素ゴム成形体と上記PTFE多孔体を加熱して上記フッ素ゴム成形体を加硫することで、上記フッ素ゴム成形体と上記PTFE多孔体とを一体化したことを特徴とするものである。
又、請求項4による複合体は、請求項1記載の複合体において、上記PTFE多孔体に溝又は突起が形成され、上記フッ素ゴム成形体に上記PTFE多孔体の溝又は突起に対応した突起又は溝が形成され、それぞれに形成された溝と突起とを嵌合させるようにして、上記PTFE多孔体を上記フッ素ゴム成形体に保持したことを特徴とするものである。
又、請求項5による複合体は、請求項1記載の複合体において、上記PTFE多孔体の周囲に環状部材が配置されていることを特徴とするものである。
又、請求項6による複合体は、請求項1〜請求項5記載の複合体において、上記PTFE多孔体が金属メッキされたものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明で得られる複合体によれば、肌理の細かいPTFE多孔体を用いた複合体とすることができるとともに、PTFEへの造孔剤の混合量を自由に設定することにより、気孔率を容易に制御することが可能であり、高気孔率の多孔体を製造することも可能である。加えて、管壁抵抗が大きくなるようなこともないため、押出成形をする際に、押出成形性を低下させることもない。
【0020】
PTFE多孔体の肌理が細かいことにより、以下のような効果を得ることができる。まず、気孔の大きさが微細且つ均一であり、粗大な気孔がないため、曲げなどの外力が加わっても応力が分散され、割れや切れが起き難く機械的強度に優れたものとなる。又、断熱材の用途で使用した場合は、気孔が微細であるため、熱伝導の一要素である輻射による熱伝達を低減させることができる。又、ガスケットなどシール材の用途で使用した場合は、表面平滑性が向上するため、シール性を向上させることができる。又、電線被覆など絶縁体の用途で使用した場合は、絶縁破壊強度を向上させることができる。又、同軸ケーブルなど誘電体の用途で使用した場合、気孔部分とPTFEが存在する部分で誘電率が異なるため、気孔が粗大で不均一であると、部分部分での信号の遅延時間にムラを生じてしまうが、気孔が微細且つ均一であればこのようなムラを防止することができる。
【0021】
又、PTFE多孔体を高気孔率とすることにより、以下のような効果を得ることができる。まず、多孔体全体としての比重を小さくすることができるため、軽量化の要求に対応することができる。又、断熱材の用途で使用する場合は、熱伝導率が低い空気の含有量が増加することになるため、断熱効果を向上させることができる。又、フィルタの用途で使用する場合は、導通路が多くなるため、目詰まりまでの寿命を長くすることができる。又、誘電体の用途で使用する場合、多孔体の実効比誘電率(ε)は、PTFEの比誘電率(ε)と気孔率(V)により、
ε=ε1−V
の式によって導かれるため、実効比誘電率を低くすることができる。そして、信号の遅延時間(τ)は多孔体の実効比誘電率(ε)により、
τ=3.33561√ε(ns/m)
の式によって導かれることから、高気孔率とすることで信号の遅延時間を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の複合体に用いられるPTFEペースト体用のPTFE粉末と混合される造孔剤の一態様としては、粘性を有しているものが挙げられる。造孔剤が粘性を発現するケースとしては種々のものがあるが、例えば、造孔剤成分が部分的に溶融して粘性を発現するケース、造孔剤自体が組成変形可能な粘性体であるケース、造孔剤がコロイド、即ち液体に固体が分散して粘性を発現するケースなどが考えられる。
【0023】
粘性を有している造孔剤としては、PTFE粉末と造孔剤とを混合するとき、及び、PTFE粉末と造孔剤との混合物を所定形状に成形するとき、の環境条件における粘度が5mPa・s以上の粘性体を含有するものが挙げられる。粘性体の粘度は、例えば、回転粘度計などを用いて測定することができる。この際、測定条件の設定は、混合時及び成形時の温度や圧力などの環境条件を考慮して行えば良い。
【0024】
このような粘性体を含んでいるものであれば、造孔剤は、圧力を加えることによって容易にその形状を変えて流動し、PTFE粉末などの粉体の粒子間に容易且つ均等に侵入して保持され、更に、一旦浸透した後はその粘性により保持される。これらの造孔剤は、粉体の粒子間に一旦保持されれば、ナフサ、トルエンといった低粘度の流体をそのまま造孔剤として使用したときとは異なり、所定形状に成形する際の圧力が加わっても造孔剤のみが滲み出て、PTFE粉末と造孔剤とが分離するようなことは起こらない。又、粉体粒子が凝集して継粉となることを防ぎ、且つ、そのような微小な状態の粉体粒子を分散して保持されることができるため、微細且つ均一な気孔を形成することができる。尚、造孔剤として複数の成分を混合して使用する場合、造孔剤を構成する各成分は、単体で存在している状態では粉体や低粘度の液体のものであっても良い。要は、造孔剤を構成する各成分を混合した状態で、粘性体を含むようになっていれば良い。
【0025】
又、造孔剤が上記した特定粘度の粘性体であれば、粉体粒子の形状に起因した気孔が発生することがなくなることから、より微細且つ均一な気孔を形成することができため、より好ましい。
【0026】
又、造孔剤は、空気中での加熱により気化する性質を有するものであれば、加熱によって造孔剤を気化させて除去することが容易であるため、好ましい。造孔剤を気化させて除去する場合、例えば、造孔剤を熱分解させて除去する場合に比べて、PTFE中に造孔剤の残渣を残しにくく、残渣による電気諸特性への悪影響を防止することができる。このような空気中での加熱により気化する性質を有する造孔剤として、例えば、沸点が300℃以下のものであれば、特別な装置を必要とせず、通常用いられる加熱炉などにより容易に造孔剤を除去することができるため、好ましい。又、造孔剤の沸点が300℃以下のものであれば、PTFEの焼成の温度(370〜400℃)より低い温度で造孔剤が除去されるため、造孔剤成分が焼成中に引火するような事故を防ぐことができる。
【0027】
上記のような条件を満足する好ましい造孔剤としては、例えば、テルペン類を主成分としたものが使用できる。テルペン類としては、例えば、ショウノウ、メントール、カンフェン、ボルネオールなどが挙げられる。これらの中でも、ショウノウ、メントールから選択された少なくとも1種を主成分とすることが好ましい。
【0028】
造孔剤が特定粘度の粘性体を含んでいるようにするため、有機溶剤を造孔剤の一成分として使用しても良い。例えば、メントールやショウノウは、常温で固体の物質であるが、有機溶剤と混合することで特定粘度の粘性体とすることができる。又、有機溶剤の混合量により、造孔剤の粘度を調整できるため、PTFE粉末への造孔剤の混合量や、PTFE粉末と造孔剤の混合物を成形する際の成形方法などに応じて、適宜に有機溶剤の混合量を設定することができる。
【0029】
有機溶剤としては、例えば、流動パラフィン、ナフサ、ホワイトオイル、灯油等の炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類などの溶剤が挙げられ、これらの中でも、PTFEとの浸透性からナフサなどの石油系溶剤を使うことが好ましい。但し、PTFEを焼成させる場合、通常370〜400℃程度の温度で焼成させるので、焼成時の高温まで溶剤が残っていると引火する危険性があり、焼成前に完全に溶剤が蒸発していることが必要になるため、有機溶剤の沸点は300℃以下のものが好ましい。
【0030】
尚、ショウノウとメントール両方を含有する場合は、これらを混合することにより液化するため、有機溶剤がなくても特定粘度の粘性体とすることが可能である。勿論、ショウノウとメントールの混合物に有機溶剤を加えても構わない。
【0031】
上記のような造孔剤は、PTFE粉末100重量部に対し、7重量部以上を混合することになる。造孔剤の混合量が7重量部未満であると、造孔剤を除去しても充分な気孔の量を得ることができない。特に、PTFEを焼成した際には、僅かに気孔が残っていても全て潰れてしまい、気孔が全く残らなくなってしまう。
【0032】
又、PTFE粉末と混合される造孔剤の他の態様として、上記したショウノウなどのテルペン類をそのまま粉末として使用しても良い。ショウノウなどのテルペン類は、それ自身が塑性変形しやすい柔軟性を有しているため、粘性体を含有していない粉末のまま造孔剤として使用しても、PTFE粉末の粒子間に容易且つ均等に侵入して保持され、更に、その後も塑性変形した状態で保持されることになる。そのため、このような造孔剤を混合したPTFEペースト体であれば、微細且つ均一な気孔が形成されたPTFE多孔体を得ることができる。勿論、テルペン類が粉末ではなく、粘性体の状態であっても構わない。
【0033】
上記のような造孔剤とPTFE粉末を、タンブラーなどで攪拌して混合し、PTFEペースト体を得る。この際、造孔剤の混合量を変えることにより、気孔率を容易に制御することができる。尚、造孔剤として複数の成分を混合して使用する場合、予め造孔剤を構成する各成分を混合しておけば、造孔剤が均質となるため、より肌理の細かいPTFE多孔体を作製することができ好ましいが、造孔剤を構成する各成分をPTFE粉末に別に加えた後、攪拌などによりこれらを一括して混合しても良い。
【0034】
又、PTFEペースト体の他の態様としては、PTFE粉末と粉末又は粘性体の造孔剤とが一体化した粒子となるように混合したものがある。このように、PTFE粉末と造孔剤とが一体化した粒子となるように混合すれば、例え造孔剤が粉末のものであっても、上記した特許文献2〜7のように、気孔が粗大になってしまうことがないため、肌理の細かいPTFE多孔体を得ることができる。又、管壁抵抗が大きくなることもなく、押出成形性も良好なものとなる。ここで「一体化した粒子」とは、PTFE粉末の粒子と造孔剤の粒子とが、別々の粒子としてはほぼ観察されず、容易にそれぞれの粒子に分離しない状態となっていることを示す。
【0035】
上記のように、PTFE粉末と造孔剤とが一体化した粒子となるように混合した場合、造孔剤としては特に限定はない。例えば、上記したテルペン類、ナフタレン、アニリン、安息香酸、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムなどが挙げられ、これらの中でも、PTFE粉末の焼成温度未満で気化するものであれば、残渣を残しにくいため好ましい。更に、上記したテルペン類、特にショウノウは、残渣を残しにくいだけでなく、PTFE粉末と一体化させ易いため特に好ましい。勿論、これらの造孔剤に上記したような有機溶剤を混合しても構わない。
【0036】
PTFE粉末と造孔剤とが一体化した粒子となるように混合する方法としては、PTFE粉末と造孔剤を混合した後、あるいは混合しながら、PTFE粉末と造孔剤との間にせん断応力を加えることにより一体化する方法が挙げられる。具体的には、例えば、PTFE粉末と造孔剤とをロール等で練って一体化させた後、粉砕して微粉末化させることや、ミキサー等の高速回転する刃でPTFE粉末と造孔剤との間にせん断応力を加えることにより一体化することが挙げられる。この内の後者は、一体化と粉砕微粉末化が同時工程でできるため好ましい。尚、上記した有機溶剤等を添加する場合には、一体化する前に添加しても良いし、一体化した後に添加しても良い。又、一部の量を一体化する前に添加し、残りを一体化した後に添加しても良い。
【0037】
上記のPTFEペースト体を所定形状に成形し、造孔剤を除去することにより、PTFEに気孔が設けられ、PTFE多孔体が作製される。PTFEペースト体の成形に際して、一般に知られている種々の成形方法により成形をすることができる。例えば、金型成形などにより成形してバルク状の素材に仕上げても良いし、圧延成形などにより成形して膜状の素材に仕上げても良い。更に、管壁抵抗が大きくなることがないことから押出成形を行うこともできるため、押出成形により導体上に被覆成形して電線としても良い。又、造孔剤を除去する方法としては、設備の簡便さから加熱により造孔剤を気化させること好ましいが、減圧により造孔剤を気化させることも考えられる。
【0038】
尚、PTFEペースト体を成形する際、又は、成形した後に、表面にせん断応力をかけることにより、PTFE多孔体にスキン層を形成することができる。スキン層を形成する具体的な態様として、例えば、上記した押出成形により成形することが挙げられる。
【0039】
尚、本発明の複合体に用いられるPTFE多孔体は、200℃程度の加熱処理などにより造孔剤を除去し、その後に焼成を行わず、未焼成PTFE多孔体として使用しても良い。又、造孔剤を除去した後、更に370℃以上の焼成を行い、完全焼成PTFEとして使用しても良い。又、焼成温度を調節することで未焼成と完全焼成が混在したPTFE多孔体としても良い。尚、これらのPTFE多孔体に、更に延伸加工を加えても構わない。
【0040】
このようにして得られたPTFE多孔体は、完全焼成で且つ非延伸であっても、気孔率が5%以上、平均気孔径が300μm以下、硬度がA95未満のものとすることができる。このようなPTFE多孔体であれば、例えば、優れた比誘電率を有する同軸ケーブルの誘電体や、バルクフィルタとしても好適に使用することができる。特に、平均気孔径が100μm以下であれば、気体(空気、水蒸気など)と液体(水など)、あるいは、気体(空気、水蒸気など)と固体(粉体など)を分離する目的のフィルターとして、高いフィルター機能を発現するため好ましい。又、造孔剤の混合量を増加させることにより、例えば気孔率80%以上のPTFE多孔体を得ることも可能である。
【0041】
又、上記のようにして得られたPTFE多孔体は、気孔状態を制御することも可能であり、例えば、気孔率5%以上40%未満では独立気孔を主体とし、気孔率40%以上50%未満では独立気孔と連続気孔をともに有し、気孔率50%以上では独立気孔を主体とする、というような気孔状態とすることができる。
【0042】
上記のようにして得られたPTFE多孔体は、フッ素ゴム成形体に保持して複合体とされる。このようにPTFE多孔体をフッ素ゴム成形体に保持した複合体は、高温環境での使用が可能なため、例えば、酸素センサに使用されるフィルタ付きグロメットなどに好適に使用することが可能である。
【0043】
複合体の具体的な例としては、例えば、図25に示すようなものが挙げられる。図25は、貫通穴を設けた形状に成形したフッ素ゴム成形体2の貫通孔に、PTFE多孔体1を保持させたものである。この際、フッ素ゴム成形体2及び/又はPTFE多孔体1に接着剤を塗布し、フッ素ゴム成形体2とPTFE多孔体1とを接着しても良い。接着剤としては、例えば、フッ素ゴム系接着剤、シラン溶液、チタネート溶液、アルミネート溶液などが挙げられる。又、フッ素ゴム成形体2が未加硫又は半加硫の状態で、フッ素ゴム成形体2の貫通孔にPTFE多孔体1を配置し、その後にこれらフッ素ゴム成形体2及びPTFE多孔体1を加熱し、フッ素ゴム成形体2を加硫することで、フッ素ゴム成形体2とPTFE多孔体1とを一体化しても良い。又、PTFE多孔体1を所定位置に配置し、その周囲にフッ素ゴムを射出成形等により成形して、フッ素ゴム成形体2にPTFE多孔体1を保持させても良い。
【0044】
複合体の他の具体的な例としては、例えば、図26に示すようなものが挙げられる。図26は、貫通穴を設けた形状に成形したフッ素ゴム成形体2の貫通孔に、PTFE多孔体1を保持させたものであり、PTFE多孔体1の側面に溝11を形成し、フッ素ゴム成形体2の貫通孔に突起12を形成し、これら溝11と突起12とを嵌合させるようにしている。これにより、PTFE多孔体1がフッ素ゴム成形体2から抜けてしまうことがなく、確実に保持することができる。勿論、PTFE多孔体1の側面に突起を形成し、フッ素ゴム成形体2の貫通孔に溝を形成しても良い。又、溝や突起の形状にも限定はなく、嵌め易く抜け難い形状を適宜選定すれば良い。
【0045】
又、複合体の他の具体的な例としては、例えば、図27に示すようなものが挙げられる。図27は、貫通穴を設けた形状に成形したフッ素ゴム成形体2の貫通孔に、PTFE多孔体1を保持させたものであり、PTFE多孔体1の周囲には、環状部材3が固定配置されている。このように、環状部材3がPTFE多孔体1の周囲に固定配置されているので、PTFE多孔体1がフッ素ゴム成形体2から抜けてしまうことがなく、確実に保持することができる。尚、環状部材3の形状等に限定はなく、例えば、筒形状のものや、コイル形状のものを用いても良いし、複数個の環状部材3を用いても良い。又、環状部材3が金属製のものであれば、カシメ加工などにより、PTFE多孔体1との間に隙間がないように環状部材3を固定配置できるとともに、フッ素ゴムは金属材料と接着し易い性質を有していることから、フッ素ゴム成形体2と環状部材3との間の隙間も容易になくすことができる。
【0046】
又、フッ素ゴム成形体2とPTFE多孔体1とを隙間なく接着することを目的として、PTFE多孔体1に表面処理を施しても良い。表面処理としては、例えば、コロナ放電やプラズマ放電による放電処理、放射線処理、UV処理、レーザー処理、火炎処理、金属メッキ層の形成などが挙げられる。これらの中でも、上記したようにフッ素ゴムは金属材料と接着し易い性質を有していることから、金属メッキ層の形成が好ましい。金属メッキ層の形成方法としては、例えば、金属コロイド溶液によるメッキ、真空蒸着によるメッキ、溶融金属によるメッキ、電解メッキなどが挙げられ、これらの中から適宜に選択すれば良く、又、これらを適宜に組合せても良い。
【0047】
以上は、本発明の複合体に用いられるPTFE多孔体をフィルタとして活用した態様を示したが、例えば、上記のPTFE多孔体を導体上に被覆して絶縁電線(リード線)とし、この絶縁電線をフッ素ゴム成形体に保持させて、リード線付きグロメットとしても良い。
【実施例】
【0048】
以下、本発明複合体に用いられるPTFE多孔体の実施例と、比較例を説明する。
【0049】
実施例1〜12
ナフサと、ショウノウと、メントールとを表1に示す重量部数により混合し、乳鉢上ですりつぶして粘性体を含んだ造孔剤を得た。この造孔剤とPTFE粉末100重量部を混合したPTFEペースト体を内径4mmの円筒状の金型に入れ、約40kgf/cmで30秒間圧縮成形した後取り出し、250℃で10分間加熱処理して造孔剤を気化させて除去した後、400℃で約10分間の加熱焼成処理をしてサンプル片を作製した。
【0050】
実施例13
ナフサと、ショウノウ(粉末)と、PTFE粉末とを表2に示す重量部数により混合し、PTFEペースト体を得た。このPTFEペースト体を内径7mmの円筒状の金型に入れ約40kgf/cmで30秒間仮圧縮成形したのち、外径7mm、内径4mmの円筒を上記金型に押し込み外径約4mmの円柱状の成形体を押出し成形した。この成形体を250℃で10分間加熱処理して造孔剤を気化させて除去した後、400℃で約10分間の加熱焼成処理をしてサンプル片を作製した。
【0051】
実施例14〜19
ナフサと、ショウノウ(粉末)と、PTFE粉末とを表2に示す重量部数により混合し、回転刃を有するミキサーにて一体化処理を約3分間行い、PTFEペースト体を得た。このPTFEペースト体をこのPTFEペースト体を内径7mmの円筒状の金型に入れ約40kgf/cmで30秒間仮圧縮成形したのち、外径7mm、内径4mmの円筒を上記金型に押し込み外径約4mmの円柱状の成形体を押出し成形した。この成形体を250℃で10分間加熱処理して造孔剤を気化させて除去した後、400℃で約10分間の加熱焼成処理をしてサンプル片を作製した。
【0052】
比較例1〜3
乳鉢ですりつぶし微粉化した炭酸水素アンモニウムと、ナフサと、PTFE粉末を表3に示す重量部数で混合し、この混合物について、第1の実施形態と同じ方法によりサンプル片を作製した。
【0053】
比較例4、5
ナフサとPTFE粉末を表3に示す重量部数で混合し、この混合物について、第1の実施形態と同じ方法によりサンプル片を作製した。
【0054】
比較例6
PTFE粉末を約360℃で熱処理して焼成した後、これを粉砕機にて粉砕して平均粒径約100μmの粉末を作成した。さらに370℃にて金型プレス成形し、直径2mm、長さ15.6mmの円柱状のサンプル片を作製した。
【0055】
ここで、本発明の実施例1〜12によるサンプル片の気孔率及び気孔状態を表1に、本発明の実施例13〜19によるサンプル片の気孔率及び気孔状態を表2に、比較例1〜6によるサンプル片の気孔率及び気孔状態を表3に示す。尚、気孔率は、造孔剤を混合しない他は実施例1と同じ方法により作製したサンプル片を指標サンプル片とし、
気孔率=100−(サンプル片の比重/指標サンプル片の比重)×100
の式により計算した。又、気孔状態は、サンプル片をナイフでカットした面を顕微鏡で観察した。又、図1〜19は実施例1〜19によるサンプル片の気孔状態を示す写真であり、図20〜22は比較例1〜3によるサンプル片の気孔状態を示す写真であり、図23は比較例6によるサンプル片の気孔状態を示す写真である。
【0056】
又、実施例13〜18、及び、比較例6のサンプル片については、通気量、通水量、及び、硬度について測定を行った。通気量は、サンプル片に側面からの漏れ防止のためのシールテープを巻いた後、チューブを被せ、サンプル片の片側から0.5kgf/cmの気圧をかけ、透過空気を水上置換法にてメスシリンダー内に収集し単位時間内に貯まった体積を計測した。通水量は、同じく側面からの漏れ防止のためのシールテープを巻いた後、チューブを被せ、サンプル片の片側から0.5kgf/cmの水圧をかけ、透過した水をメスシリンダー内に収集し単位時間内に貯まった体積を計測した。硬度は、JIS K6253(ISO7619)に準拠し、デュロメータA硬度計により測定した。これら通気量、通水量、及び、硬度の測定結果については、表2及び表3に併せて示す。
【0057】
又、実施例1〜19によるサンプル片と、比較例1〜6によるサンプル片について、JIS K7122プラスチックの転移熱測定方法により示差走査熱量測定(DSC)を実施して、それによって得られた結晶融解曲線において、吸熱ピークを確認した。このDSCによれば、何れのサンプル片も、完全焼成PTFEに特徴的な320〜330℃付近のピークが見られていることから、400℃で10分間の加熱焼成処理により完全焼成PTFEとなっていることが確認できる。図24に実施例1の結晶融解曲線を示す。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

【0061】
本実施例においては、粘性体を含有する造孔剤を使用した実施例1〜12、特定の粉体の造孔剤を使用した実施例13、粉体の造孔剤とPTFE粉末とを一体化した粒子とした実施例14〜19の何れであっても、造孔剤の配合量により気孔率を任意に変えることが可能であった。又、何れの実施例も気孔の状態が微細で均一であり、気孔率の高低に関わらず肌理の細かいPTFE多孔質1となっていることが確認された。尚、本実施例では、3.8%〜81.0%の気孔率のものを作製したが、勿論、3.8%未満の気孔率のものや81.0%を超える気孔率のものを作製することも可能である。
【0062】
又、実施例13〜19は、押出成型によって成形したことにより、円筒形状の側面部分にせん断応力がかかることとなったため、この側面部分にスキン層が形成されていることが確認された。
【0063】
造孔剤として粉体の炭酸水素アンモニウムを使用した比較例1〜3においても、造孔剤の配合量により気孔率を任意に変えることが可能であった。しかしながら、気孔率が36.2%と比較的低い比較例1において、数個のやや粗大な気孔2が見られ肌理がやや粗い状態となっており、気孔率51%の比較例2と69.1%の比較例3に至っては、粗大な気孔2が多数見受けられ、肌理が細かいとはとてもいえない状態であった。
【0064】
造孔剤として低粘度の液体であるナフサのみを使用した比較例4、5について、比較例4は、造孔剤の混合量が少なかったため、加熱焼成処理により気孔が潰れてしまい、気孔率が0%となってしまった。比較例4よりも造孔剤の量を増やした比較例5では、混合物を成形する際に造孔剤であるナフサが滲み出てしまい、比較例4と同程度の量の造孔剤しかPTFE粉末の粒子間に保持されなかったため、比較例4と同様に気孔率が0%となってしまった。
【0065】
通気量及び通水量の試験結果を見ると、PTFE粉体と粉末の造孔剤とを一体化した粒子としていない実施例13は、通気量が非常に多くなっている半面、通水量も多くなっている。これに対して、PTFE粉体と粉末の造孔剤とを一体化した粒子とした実施例14〜18は、気孔率を制御することで良好な通気量を得ることができるとともに、通水量が非常に少ないという結果となっている。これは、実施例13の気孔径が実施例14〜18の気孔径よりもやや大きくなっていたことに起因する。又、比較例6については、気孔径は大きいが高気孔率のものが得られないため、通気量が非常に少なくなっている。
【0066】
以上、実施例1〜12によると、造孔剤が粘性体を含んでいるものであるため、気孔率の高低に関わらず微細且つ均一な気孔を有する肌理の細かいPTFE多孔体を得ることができる。又、造孔剤の混合量を設定することで、気孔率を容易に制御することができる。尚、造孔剤自体の粘度は、配合成分の比率によって変えることができるので、良好な成形性を併せ持たせることも可能である。
【0067】
又、実施例13によると、造孔剤が特定の粉体(テルペン類)からなるものであるため、比較的微細且つ均一な気孔を有する肌理の細かいPTFE多孔体を得ることができる。又、造孔剤の混合量を設定することで、気孔率を容易に制御することも可能である。又、実施例13によると、上記のようにやや大きい気孔が均一に形成されることにより、通気量が非常に多くなるため、気−固分離用フィルタとして非常に有用なものとなる。
【0068】
又、実施例14〜19によると、造孔剤が粉体の造孔剤とPTFE粉末とを一体化した粒子としたものであるため、気孔率の高低に関わらず微細且つ均一な気孔を有する肌理の細かいPTFE多孔体を得ることができる。又、造孔剤の混合量を設定することで、気孔率を容易に制御することができる。又、実施例14〜18によると、通気量が多く、通水量が非常に少ないため、気−液分離用フィルタとして非常に有用なものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明によれば、特に、肌理が細かいPTFE多孔体を用いた複合体を得ることができ、且つ、PTFE多孔体の気孔率を容易に制御することが可能である。このようなPTFE多孔体は、例えば、電線被覆材、同軸ケーブルの誘電体、フィルタ、ガスケット、断熱材、分離膜、人工血管、カテーテル、培養器など多くの用途に対して好適に使用することができる。又、このようなPTFE多孔体をフッ素ゴム成形体に保持した複合体は、高温環境での使用が可能なため、例えば、酸素センサに使用されるフィルタ付きグロメットなどに好適に使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施例1を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す図である。
【図2】実施例2を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す図である。
【図3】実施例3を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す図である。
【図4】実施例4を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す図である。
【図5】実施例5を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す図である。
【図6】実施例6を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す図である。
【図7】実施例7を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す図である。
【図8】実施例8を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す図である。
【図9】実施例9を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す図である。
【図10】実施例10を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す図である。
【図11】実施例11を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す図である。
【図12】実施例12を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す図である。
【図13】実施例13を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す図である。
【図14】実施例14を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す図である。
【図15】実施例15を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す図である。
【図16】実施例16を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す図である。
【図17】実施例17を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す図である。
【図18】実施例18を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す図である。
【図19】実施例19を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す図である。
【図20】比較例1を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す図である。
【図21】比較例2を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す図である。
【図22】比較例3を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す図である。
【図23】比較例6を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す図である。
【図24】実施例1の示差走査熱量測定(DSC)による結晶融解曲線を示す図である。
【図25】フッ素ゴム成形体にPTFE多孔体を保持した複合体を示す図で、(A)は斜視図、(B)は(A)におけるb−b´断面図である。
【図26】フッ素ゴム成形体にPTFE多孔体を保持した複合体を示す図で、(A)は斜視図、(B)は(A)におけるb−b´断面図である。
【図27】フッ素ゴム成形体にPTFE多孔体を保持した複合体を示す図で、(A)は斜視図、(B)は(A)におけるb−b´断面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 PTFE多孔体
1a 粗大な気孔
2 フッ素ゴム成形体
3 環状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリテトラフルオロエチレン粉末100重量部に対し、7重量部以上の造孔剤を含み、且つ上記造孔剤の粘性により当該造孔剤が上記ポリテトラフルオロエチレン粉末に保持されたポリテトラフルオロエチレンペースト体を所定形状に成形した後、上記造孔剤を除去することによって得た気孔を有するポリテトラフルオエチレン多孔体を、フッ素ゴム成形体に保持させてなることを特徴とする複合体。
【請求項2】
上記ポリテトラフルオロエチレン多孔体と、上記フッ素ゴム成形体とを、接着剤により接着したことを特徴とする請求項1記載の複合体。
【請求項3】
上記フッ素ゴム成形体が未加硫又は半加硫の状態で、上記ポリテトラフルオロエチレン多孔体を保持位置に配置し、その後に上記フッ素ゴム成形体と上記ポリテトラフルオロエチレン多孔体を加熱して上記フッ素ゴム成形体を加硫することで、上記フッ素ゴム成形体と上記ポリテトラフルオロエチレン多孔体とを一体化したことを特徴とする請求項1記載の複合体。
【請求項4】
上記ポリテトラフルオロエチレン多孔体に溝又は突起が形成され、上記フッ素ゴム成形体に上記ポリテトラフルオロエチレン多孔体の溝又は突起に対応した突起又は溝が形成され、それぞれに形成された溝と突起とを嵌合させるようにして、上記ポリテトラフルオロエチレン多孔体を上記フッ素ゴム成形体に保持したことを特徴とする請求項1記載の複合体。
【請求項5】
上記ポリテトラフルオロエチレン多孔体の周囲に環状部材が配置されていることを特徴とする請求項1記載の複合体。
【請求項6】
上記ポリテトラフルオロエチレン多孔体が金属メッキされたものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の複合体。

【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2007−90892(P2007−90892A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303977(P2006−303977)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【分割の表示】特願2005−77885(P2005−77885)の分割
【原出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000129529)株式会社クラベ (125)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】