説明

RAの処置のためのカルシトニンの使用

【課題】
本発明は、関節リウマチでのカルシトンの新規使用、およびほ乳動物、とりわけヒトでの関節リウマチおよびそれに関連する状態を処置および/または予防する方法を提供する。
【解決手段】
本発明は、特に、患者に、薬学的に許容される経口送達形態で、遊離形または塩形の治療上有効量のカルシトニン、例えば、サケカルシトニンを投与することを含む、処置を必要とする患者における関節リウマチを予防または/および処置する方法を提供し、ここで、治療上有効量のカルシトニンは、カルシトニンおよびカルシトニン送達剤を含む組成物で、経口で送達される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節リウマチでのカルシトンの新規使用、およびほ乳動物、とりわけヒトでの関節リウマチを処置および/または予防する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明のカルシトニン、例えば、サケ、(Asu1−7)−ウナギまたはヒトカルシトニンは、ほ乳動物では甲状腺の傍濾胞細胞により、鳥類および魚類では後鰓体(ultimobranchial gland)により分泌される長鎖ポリペプチドホルモンである化合物である。カルシトニンは、破骨細胞骨吸収の有力な阻害剤として既知であり、それは、破骨細胞の骨結合および酵素分解に関係している。さらに、ヒトの若年性特発性関節炎において(Siamopoulou A. et al, 2001, Calcif Tissue Int 69: 25−30)ならびにヒトの関節リウマチで骨の侵食および骨量減少の予防において(Sileghem A., 1992, Annals of Rheumatic Diseases 51: 761−764)、経鼻サケカルシトニンの効果があることが見出された。分解過程は、様々なプロテアーゼおよびメタロプロテアーゼの合成、不活性なプロ酵素の活性化および活性な酵素の阻害に関連する(Leloup G, 1994, J Bone Miner Res, 9, 891−902)。カルシトニンは、破骨細胞退縮を誘導し(Zheng MH, et al., 1992, Exper Mole Pathol, 57: 105−115)、そして少なくとも骨吸収の酵素学的過程のいくつかの工程を妨害する(Einhorn TA et al., 1991, Clin Orthop 262: 286−297)ことが既知である。関節軟骨でのカルシトニンの効果に関するいくつかの報告された研究が存在する。インビトロで、カルシトニンは、動物骨端軟骨での(Baxter et al., 1984, Endocrinology 114: 1196−1202)ならびにウサギおよびヒト軟骨での(Franchimont P, 1989, J Clin End Metab 69: 259−266)プロテオグリカンおよびコラーゲン合成を刺激することが見出された。
【0003】
本発明にしたがって、驚くべきことに、カルシトニン、例えば、サケカルシトニン、(Asu 1−7)−ウナギカルシトニンまたはヒトカルシトニンの経口送達が、ほ乳動物、とりわけ、ヒトでの関節リウマチの予防および処置において有用であることが、本発明で見出された。
【0004】
該カルシトニンの経口送達は、驚くべきことに、他の送達経路よりも改善した結果を示し、したがって、それは、確実に吸収され、便利で、相対的に容易でおよび一般的に無痛であり、その結果、他の送達の形態と比較してより高い患者のコンプライアンスを生じるため、選択される送達経路である。
【0005】
該カルシトニンの経口送達は、驚くべきことに、より改善された吸収を示し、次いで、より適当な薬物動態学的プロフィール(PKプロフィール)およびより低い変動性を示す。
【0006】
慢性、全身性、炎症性の自己免疫疾患である関節リウマチ(RA)は、その主要な標的として、滑膜組織を有する。該疾患を放置しておくと、重大な障害および早期の死を生じる。それは、世界中の成人の約0.8パーセントに影響を与え、女性でより一般的であり(3対1の割合で)、そして女性でのより早期の、しばしば、出産適齢期で開始する発症を有する。
【0007】
関節障害は、関節リウマチの進行の早期に起こり;30パーセントの患者が、診断時に、骨浸食のX線写真の証拠を有し、この割合は、2年間で60パーセントまで増加する。診断は、単一の臨床検査または手順で確立できないが、臨床因子を支持する7つの診断基準の使用により補助され、したがって、臨床医の鋭い質問およびしばしば微妙な早期の身体所見の認識に依存する。診断基準は、朝のこわばり、3つまたはそれ以上の関節領域の関節炎、手関節の関節炎、対称性の関節炎、リウマチ結節、高められたレベルの血清リウマチ因子、および画像的変化の存在である。何週間か続く自己限定性ウイルス状態を含む多くの他の症候群は、関節リウマチを模倣する。
【0008】
関節リウマチは、骨格関節、とりわけ、四肢の小関節の炎症および腫脹により特徴付けられ、軟骨および骨の浸食および破壊を生じる。本発明は、軟骨および骨の侵食ならびに破壊を阻止するか、停止するかまたはさらに回復させるために、および関節リウマチに付随する疼痛を減らすために使用し得る。
【発明の概要】
【0009】
本発明の特定の発見にしたがって、下記のものが提供される:
1.1 患者に、薬学的に許容される経口送達形態で、治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニン、例えば、サケカルシトニンを投与することを含む、処置を必要とする患者での関節リウマチを予防または/および処置する方法であって、ここで、治療上有効量のカルシトニンを、カルシトニンおよびカルシトニン送達剤を含む組成物で、経口で送達する、方法。
【0010】
1.2 患者に、薬学的に許容される経口送達形態で、治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニン、例えば、サケカルシトニンを投与することを含む、処置を必要とする患者での関節リウマチを予防または/および処置する方法であって、ここで、治療上有効量のカルシトニンを、ポリマー分子に結合したカルシトニンを含む組成物で、経口で送達する、方法。
【0011】
1.3 患者に、薬学的に許容される経口送達形態で、治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニン、例えば、サケカルシトニンを経口で投与することを含む、処置を必要とする患者での関節の炎症を阻止するための方法。
【0012】
1.4 患者に、薬学的に許容される経口送達形態で、治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニン、例えば、サケカルシトニンを経口で投与することを含む、処置を必要とする患者での骨格関節の腫脹を阻止するための方法。
【0013】
1.5 患者に、薬学的に許容される経口送達形態で、治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニン、例えば、サケカルシトニンを経口で投与することを含む、処置を必要とする患者での軟骨および骨の侵食ならびに破壊を阻止するか、停止するかまたは回復させるための方法。
【0014】
1.6 患者に、薬学的に許容される経口送達形態で、治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニン、例えば、サケカルシトニンを経口で投与することを含む、処置を必要とする患者での関節リウマチに付随する疼痛を減少させる方法。
【0015】
1.7 薬学的に許容される経口送達形態で、治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニン、例えば、サケカルシトニンおよび第2薬剤物質の共投与を含む、上記した方法。
【0016】
適当な第2薬剤物質は、異なる起源のカルシトニン、例えば、サケ、(Asu 1−7)−ウナギもしくはヒトカルシトニン、カルシトニン類似体またはその誘導体、COX−2阻害剤、例えば、ルミラコキシブ(Prexige(登録商標))、セレコキシブ(Celebrex(登録商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(登録商標))、バルデコキシブ (Bextra(登録商標))、エトリコキシブ(Arcoxia(登録商標))、または混合COX−1およびCOX−2阻害剤、例えば、ジクロフェナク、エタネルセプト(Enbrel(登録商標))、鎮痛剤(例えば、アスピリン、パラセタモール)、骨形成剤および骨再吸収阻害剤を含み得る。
【0017】
1.8 薬学的に許容される経口送達形態で、治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニン、例えば、サケカルシトニンおよび第2薬剤物質の共投与を含む、上記した方法であって、該第2薬剤物質が、遊離形または塩形のサケ、(Asu 1−7)−ウナギもしくはヒトカルシトニン、カルシトニン類似体またはその誘導体である、方法。
【0018】
1.9 薬学的に許容される経口送達形態で、治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニン、例えば、サケカルシトニンおよび第2薬剤物質の共投与を含む、上記した方法であって、該第2薬剤物質が、遊離形または塩形のCOX−2阻害剤、例えば、ルミラコキシブ(Prexige(登録商標))、セレコキシブ (Celebrex(登録商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(登録商標))、バルデコキシブ(Bextra(登録商標))、エトリコキシブ(Arcoxia(登録商標))である、方法。
【0019】
2. 薬学的に許容される経口送達形態で、治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニン、例えば、サケカルシトニンおよび第2薬剤物質の共投与を含む、上記した方法であって、該第2薬剤物質が、遊離形または塩形の混合COX−1およびCOX−2阻害剤、例えば、ジクロフェナクである、方法。
【0020】
2.1 薬学的に許容される経口送達形態で、治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニン、例えば、サケカルシトニンおよび第2薬剤物質の共投与を含む、上記した方法であって、該第2薬剤物質が、遊離形または塩形の鎮痛剤(例えば、アスピリン、パラセタモール)である、方法。
【0021】
2.2 薬学的に許容される経口送達形態で、治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニン、例えば、サケカルシトニンおよび第2薬剤物質の共投与を含む、上記した方法であって、該第2薬剤物質が、遊離形または塩形のエタネルセプト(Enbrel(登録商標))である、方法。
【0022】
エタネルセプト(Enbrel(登録商標))は、ヒト75キロダルトン腫瘍壊死因子受容体(TNFR)の細胞外リガンド結合部分からなる二量体融合タンパク質である。それは、TNF受容体に特異的に結合する抗TNFであり、細胞表面TNF受容体とのその相互作用を妨害する。
【0023】
他の態様では、本発明は、カルシトニン、例えば、サケカルシトニンのための特定の用量範囲を提供し、それは、有効であり、そして十分に許容され、すなわちそれは、摂取する患者のために安全である。好ましくは、患者、例えば、ヒト、例えば、約70 kgの平均的なヒトのために、0.4 mgから2.5 mgのサケカルシトニンの範囲である。より好ましくは、約0.8 mg、例えば、0.6 mgから1.2 mgの用量である。また好ましくは、1 mg以下であるが、0.4 mg以上の用量である。さらにより好ましくは、約0.6−0.8 mg、例えば、0.8 mgの用量である。最も好ましくは、約0.8 mg、例えば、0.8 mgから1.2 mgの用量であり、1日に1回、処置を必要とする患者に投与する。本発明にしたがって該用量を含む医薬組成物は、経口送達のために適当である。投与レジメンは、1日に1回、または1日に2回,であり得て、好ましくは、朝に1回、および夕に1回である。
【0024】
2.3 患者に、0.4 mgから2.5 mg、好ましくは、0.6 mgから1.2 mgのカルシトニン、例えば、サケカルシトニンを含む医薬組成物を経口で投与することを含む、処置を必要とする患者での関節リウマチを予防または/および処置するための方法。
【0025】
2.4 カルシトニンを、0.4 mgから2.5 mg、好ましくは、0.6 mgから1.2 mgのカルシトニン、例えば、サケカルシトニンを含む経口で投与される医薬組成物で提供する、関節リウマチを処置および/または予防するための医薬の製造でのカルシトニン、例えば、サケカルシトニンの使用。
【0026】
2.5 0.4 mgから2.5 mg、好ましくは、0.6 mgから1.2 mgのカルシトニン、例えば、サケカルシトニンを含む、関節リウマチを処置または/および予防することでの経口使用のための医薬組成物。
【0027】
本明細書で使用するとき、“共投与”または“組合せ投与”などの用語は、単一の患者への選択した治療剤の投与を包含することを意味し、該薬剤が、必ずしも、同じ投与経路または同じ時間で投与されない、処置レジメンを含むことを意図する。
【0028】
上記したものの他に、本発明はまた、下記を提供する:
2.6. 上記1.1から2.3で定義したいずれかの方法での使用のための、薬学的に許容される経口送達形態で、遊離形または塩形のカルシトニン、例えば、サケ、(Asu 1−7)−ウナギもしくはヒトカルシトニン;または
【0029】
2.7. 上記1.1から1.6で定義したいずれかの記載での医薬の製造での使用のための、薬学的に許容される経口送達形態で、遊離形または塩形のカルシトニン、例えば、サケ、(Asu 1−7)−ウナギもしくはヒトカルシトニン;または
【0030】
2.8. 薬学的に許容される経口送達形態で、遊離形または塩形のカルシトニン、例えば、サケ、(Asu 1−7)−ウナギもしくはヒトカルシトニンを、したがって、1個またはそれ以上の薬学的に許容される希釈剤もしくは担体と共に含む、上記1.1から1.6で定義したいずれかの記載での使用のための医薬組成物。
【0031】
2.9. a) 薬学的に許容される経口送達形態で、遊離形または塩形のカルシトニン、例えば、サケ、(Asu 1−7)−ウナギもしくはヒトカルシトニンである第1剤、および
b) サケ、(Asu 1−7)−ウナギもしくはヒトカルシトニン、カルシトニン類似体もしくはその誘導体、COX−2阻害剤、例えば、ルミラコキシブ(Prexige(登録商標))、セレコキシブ (Celebrex(登録商標))、ロフェコキシブ (Vioxx(登録商標))、バルデコキシブ (Bextra(登録商標))、エトリコキシブ (Arcoxia(登録商標))、または混合COX−1およびCOX−2阻害剤、例えば、ジクロフェナク、エタネルセプト (Enbrel(登録商標))、鎮痛剤(例えば、アスピリン、パラセタモール)、骨形成剤および骨再吸収阻害剤、例えば、上記したものからなる群から選択される共薬剤
を含む、医薬的組合せ剤。
【0032】
3. a) 薬学的に許容される経口送達形態で、遊離形または塩形のカルシトニン、例えば、サケ、(Asu 1−7)−ウナギもしくはヒトカルシトニンである第1剤、および
b) サケ、(Asu 1−7)−ウナギもしくはヒトカルシトニン、カルシトニン類似体もしくはその誘導体、COX−2阻害剤、例えば、ルミラコキシブ(Prexige(登録商標))、セレコキシブ (Celebrex(登録商標))、ロフェコキシブ (Vioxx(登録商標))、バルデコキシブ(Bextra(登録商標))、エトリコキシブ(Arcoxia(登録商標))、または混合COX−1およびCOX−2阻害剤、例えば、ジクロフェナク、エタネルセプト(Enbrel(登録商標))、鎮痛剤(例えば、アスピリン、パラセタモール)、骨形成剤および骨再吸収阻害剤からなる群から選択される共薬剤
を含む、関節リウマチの予防および/または処置での使用のための複数パーツのキット。
【0033】
特に、本発明は、患者に、治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニン、とりわけ、サケカルシトニン、(Asu 1−7)−ウナギもしくはヒトカルシトニン、しかしよりとりわけ、サケカルシトニンおよびカルシトニン送達剤を経口で投与することを含む、処置を必要とする患者での、関節リウマチまたはそれに付随する状態、例えば、関節の炎症、骨格関節の腫脹、軟骨および骨の侵食ならびに破壊を予防または処置する方法に関する。
【0034】
本発明の1つの態様では、方法は、患者に治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニンおよびカルシトニン送達剤を経口で投与することを含む、処置を必要とする患者での関節リウマチに付随する疼痛を減少させるために提供する。
【0035】
他の態様では、本発明は、患者に、治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニン、とりわけ、サケカルシトニンおよびカルシトニン送達剤を経口で投与することを含む、処置を必要とする患者での、関節リウマチまたはそれに付随する状態を予防または処置する方法に関し、ここで、送達剤は、下記の式I
【化1】

[式中、
R1、R2、R3、およびR4は、独立して、水素、−OH、−NR6R7、ハロゲン、C1−C4アルキル、またはC1−C4アルコキシであり;
R5は、置換または非置換のC2−C16アルキレン、置換または非置換のC2−C16アルケニレン、置換または非置換のC1−C12アルキル(アリーレン)、または置換または非置換のアリール(C1−C12アルキレン)であり;そして
R6およびR7は、独立して、水素、酸素、またはC1−C4アルキルである]
で示される化合物ならびにその二ナトリウム塩、水和物およびアルコール溶媒和物である。
【0036】
特に、送達剤は、5−CNAC、SNADおよびSNAC、ならびにそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択されるが;とりわけ、5−CNACの二ナトリウム塩、SNADの二ナトリウム塩、およびSNACの二ナトリウム塩である。
【0037】
他の態様では、本発明に記載の方法で使用する送達剤は、微粉化形態、特には、40マイクロメーター以下の、より特には、20マイクロメーター以下の、さらにより特には、10マイクロメーター以下の平均粒径を有する微粉化形態で提供する。
【0038】
また他の態様では、治療上有効量のカルシトニンを、ポリマー分子に結合するカルシトニンを含む組成物で、経口で送達する方法を、本発明にしたがって提供する。
【0039】
さらなる態様では、治療上有効量のカルシトニンを、カルシトニン、少なくとも1個の薬学的に許容されるpH低下剤、少なくとも1個の吸収促進剤、および腸溶コーティングを含む治療上有効な単位用量で送達する方法を、本発明にしたがって提供する。
【0040】
特に、本発明は、患者に、治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニン、とりわけ、サケカルシトニンおよびカルシトニン送達剤を経口で投与することを含む、処置を必要とする患者での、関節リウマチまたはそれに付随する状態を予防または処置する方法に関し、ここで、治療上有効量のカルシトニンは、カルシトニン送達剤と共に、患者、例えば、ヒト、例えば、約70 kgの平均的なヒトのために、0.4 mgから2.5 mgの用量範囲である。より特には、約0.8 mg、例えば、0.6 mgから1.2 mgの用量を、本発明に記載の方法で使用し得て、さらによりとりわけ、1 mg以下ではあるが0.4 mg以上の用量で、例えば、約0.6−0.8 mg、例えば、0.8 mgの用量で、しかし典型的には、約0.8 mg、例えば、0.8 mgから1.2 mgの用量で使用し得る。該用量を、単回または複数回投与形態で投与するが、とりわけ、1日に1回、またはあるいは1日に2回投与する。
【0041】
またさらなる態様では、本発明は、処置を必要とする患者での関節リウマチの予防または処置のための、治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニン、とりわけ、サケカルシトニン、(Asu 1−7)−ウナギもしくはヒトカルシトニン、しかしよりとりわけ、サケカルシトニンおよびカルシトニン送達剤を含む、経口投与のための医薬の製造のためのカルシトニンの使用に関し、とりわけ、送達剤は、下記の式I
【化2】

[式中、
R1、R2、R3、およびR4は、独立して、水素、−OH、−NR6R7、ハロゲン、C1−C4アルキル、またはC1−C4アルコキシであり;
R5は、置換または非置換のC2−C16アルキレン、置換または非置換のC2−C16アルケニレン、置換または非置換のC1−C12アルキル(アリーレン)、または置換または非置換のアリール(C1−C12アルキレン)であり;そして
R6およびR7は、独立して、水素、酸素、またはC1−C4アルキルである]
で示される化合物ならびにその二ナトリウム塩、水和物およびアルコール溶媒和物である。
【0042】
特に、送達剤は、5−CNAC、SNADおよびSNAC、ならびにそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択し;特に、5−CNACの二ナトリウム塩、SNADの二ナトリウム塩、およびSNACの二ナトリウム塩である。
【0043】
本発明の他の態様では、本発明に記載の送達剤は、とりわけ、40マイクロメーター以下の、より特には、20マイクロメーター以下の、さらにより特には、10マイクロメーター以下の平均粒径を有する微粉化形態で提供する。
【0044】
本発明の他の態様では、カルシトニンを、ポリマー分子と結合して使用する。
【0045】
また他の態様では、カルシトニンを、少なくとも1個の薬学的に許容されるpH低下剤、少なくとも1個の吸収促進剤、および腸溶コーティングと共に使用する。
【0046】
特に、カルシトニンは、カルシトニン送達剤と共に、患者、例えば、ヒト、例えば、約70 kgの平均的なヒトのために、0.4 mgから2.5 mgの用量範囲で、遊離形または塩形の治療上有効量で使用する。より特には、約0.8 mg、例えば、0.6 mgから1.2 mgの用量を、本発明に記載の方法で使用し得て、さらによりとりわけ、1 mg以下ではあるが0.4 mg以上の用量で、例えば、約0.6−0.8 mg、例えば、0.8 mgの用量で、しかし典型的には、約0.8 mg、例えば、0.8 mgから1.2 mgの用量で使用し得る。該用量を、単回または複数回投与形態で投与するが、とりわけ、1日に1回、またはあるいは1日に2回投与する。
【0047】
また本発明の他の態様では、遊離形または塩形のカルシトニン、とりわけ、サケカルシトニン、(Asu 1−7)−ウナギもしくはヒトカルシトニン、しかしよりとりわけ、サケカルシトニンおよびカルシトニン送達剤を、したがって、1個またはそれ以上の薬学的に許容される希釈剤もしくは担体と共に含む、処置を必要とする患者での、関節リウマチまたはそれに付随する状態の経口での予防または処置における使用のための医薬組成物を提供する。
【0048】
特に、本発明は、医薬組成物に関し、本発明に記載のおよび上記した医薬組成物に関し、ここで、送達剤は、下記の式I
【化3】

[式中、
R1、R2、R3、およびR4は、独立して、水素、−OH、−NR6R7、ハロゲン、C1−C4アルキル、またはC1−C4アルコキシであり;
R5は、置換または非置換のC2−C16アルキレン、置換または非置換のC2−C16アルケニレン、置換または非置換のC1−C12アルキル(アリーレン)、または置換または非置換のアリール(C1−C12アルキレン)であり;そして
R6およびR7は、独立して、水素、酸素、またはC1−C4アルキルである]
で示される化合物ならびにその二ナトリウム塩、水和物およびアルコール溶媒和物である。
【0049】
より特には、本発明は、本発明に記載のおよび上記した医薬組成物に関し、ここで、送達剤は、5−CNAC、SNADおよびSNAC、ならびにそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択されるが;とりわけ、5−CNACの二ナトリウム塩、SNADの二ナトリウム塩、およびSNACの二ナトリウム塩である。
【0050】
他の態様では、本発明にしたがって使用する送達剤は、微粉化形態、特には、40以下の、より特には、20以下の、さらにより特には、10マイクロメーター以下の平均粒径を有する微粉化形態で提供する。
【0051】
また他の態様では、本発明は、ポリマー分子に結合する治療上有効量のカルシトニンを含む、本発明に記載の経口送達のための医薬組成物に関する。
【0052】
また他の態様では、治療上有効量のカルシトニンおよび少なくとも1個の薬学的に許容されるpH低下剤、少なくとも1個の吸収促進剤、および腸溶コーティングを含む、本発明に記載の医薬組成物に関する。
【0053】
本発明の他の態様では、医薬組成物は、カルシトニン送達剤と共に、0.4 mgから2.5 mgの用量範囲で、治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニンを含む、処置を必要とする患者での、関節リウマチまたはそれに付随する状態を予防または処置する方法を提供する。より特には、医薬組成物は、約0.8 mg、例えば、0.6 mgから1.2 mg、さらによりとりわけ、1 mg以下ではあるが0.4 mg以上の用量範囲で、例えば、約0.6−0.8 mg、例えば、0.8 mgの用量範囲で、しかし典型的には、約0.8 mg、例えば、0.8 mgから1.2 mgの用量範囲でカルシトニンを含む。該用量を、単回または複数回投与形態で投与するが、とりわけ、1日に1回、またはあるいは1日に2回投与する。
【0054】
また他の態様では、本発明は、
a) カルシトニンが、0.4 mgから2.5 mgの用量範囲で存在し、カルシトニン、特に、サケカルシトニン、(Asu 1−7)−ウナギもしくはヒトカルシトニン、より特には、サケカルシトニンである第1剤、および
b) サケ、(Asu 1−7)−ウナギもしくはヒトカルシトニン、カルシトニン類似体もしくはその誘導体、COX−2阻止剤、例えば、ルミラコキシブ(Prexige(登録商標))、セレコキシブ (Celebrex(登録商標))、ロフェコキシブ (Vioxx(登録商標))、バルデコキシブ (Bextra(登録商標))、エトリコキシブ (Arcoxia(登録商標))、または混合COX−1およびCOX−2阻止剤、例えば、ジクロフェナク、エタネルセプト (Enbrel(登録商標))、鎮痛剤(例えば、アスピリン、パラセタモール)、骨形成剤および骨再吸収阻止剤からなる群から選択される共薬剤
を含む、処置を必要とする患者での関節リウマチの経口処置または予防での使用のための医薬的組合せ剤を提供する。
【0055】
本明細書で使用するとき、“経口”なる用語は、あらゆる種類の経口送達経路を含む(口腔および舌下経路を含む)。
【0056】
本明細書で使用するとき、“送達剤”は、治療剤の経口送達において有用な担体化合物または担体分子のことを言う。“送達剤”は、本明細書では、“担体”と交換可能に使用し得る。
【0057】
本発明にしたがって経口投与形で提供する“治療上有効量の”カルシトニンは、ヒトまたは動物患者で、関節リウマチに付随する状態の臨床的に顕著な改善、例えば、関節の炎症もしくは骨格関節の腫脹の阻止、軟骨および骨の侵食ならびに破壊の阻止、停止および/または回復、ならびに/または疼痛の減少を達成するのに十分な、または該状態の発症を予防するのに十分なカルシトニンの量として理解されるべきである。
【0058】
本明細書で使用するとき、“患者”なる用語は、上記の1.1から2.3で定義したあらゆる方法で、関節リウマチを処置または予防する必要がある患者を意味し、一方で、患者は、ほ乳動物、例えば、齧歯類、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、および霊長類、とりわけヒトを意味する。
【0059】
本明細書で使用するとき、“医薬的組合せ剤”なる用語は、2以上の有効成分の混合または組合せから生じる生成物を意味し、有効成分の固定化および非固定組合せ剤の両方を含む。
【0060】
“固定化組合せ剤”なる用語は、有効成分、例えば、サケカルシトニンおよび共薬剤の両方が、単一の物または用量の形態で、患者に同時に投与されることを意味する。
【0061】
“非固定化組合せ剤”なる用語は、有効成分、例えば、サケカルシトニンおよび共薬剤の両方が、分離した物として、同時に、共に、または連続して(特別な時間的制限は有さない)患者に投与されることを意味する(ここで、該投与は、患者の体内で2化合物の治療上有効量のレベルを提供する)。
【0062】
“経口単位用量形”は、ヒトおよび動物消費のために適当な物理的に分離した単位のことを言い、当分野で既知であるとおり、個々にパッケージされている。本発明の目的のために、治療上有効量のカルシトニンおよび送達剤を含む本発明の用量形は、治療効果を達成するために、1個またはそれ以上の単位用量(例えば、錠剤、カプセル)を含み得ることを意図する。
【0063】
“複数回投与”なる用語は、とりわけ、経口単位用量形で、治療上有効量のカルシトニンおよび送達剤を含む本発明に記載の医薬組成物を、該組成物のために適当な用量間隔にしたがって、少なくとも2回の投与で、ヒトまたは動物患者に投与することを意味する。
【0064】
“単回投与”なる用語は、とりわけ、経口単位用量形で、治療上有効量のカルシトニンおよび送達剤を含む本発明に記載の医薬組成物を、ヒトまたは動物患者に単回投与で投与することを意味する。
【0065】
好ましくは、遊離形または薬学的に許容される塩形でのカルシトニン、例えば、サケカルシトニンを、プロテアーゼ阻害剤、例えば、カテプシン阻害剤、例えば、カテプシンK阻害剤と共投与する。
【0066】
1.1から1.10で定義したいずれかの方法または上記したいずれかの医薬組成物での使用に関して、薬学的に許容される経口送達形態で、遊離形または塩形でのカルシトニン、例えば、サケカルシトニンの有用性は、動物試験法および臨床で証明し得る。
【0067】
本発明の態様では、遊離形または塩形のカルシトニン、とりわけ、サケカルシトニンおよびカルシトニン送達剤、ならびに、所望により、慣用的な薬学的に許容される賦形剤を含む、処置を必要とする患者での関節リウマチまたはそれに付随する状態の経口での予防または処置において使用するための医薬組成物を提供する。
【0068】
カルシトニンは、その天然、合成もしくは組み換え起源、ならびに、カルシトニン誘導体、例えば、1,7−Asu−ウナギカルシトニンを含む、あらゆるカルシトニンであり得る。該組成物は、単一カルシトニンまたは2種もしくはそれ以上のカルシトニンの任意の組合せを含み得る。好ましいカルシトニンは、合成サケカルシトニンである。
【0069】
サケ、ブタおよびウナギカルシトニンを含む様々なカルシトニンが、商業的に入手可能であるか、または既知の方法で合成し得る。
【0070】
経口投与のための剤形は、錠剤、カプセル、トローチ剤、糖衣錠、ウエハース、顆粒、シロップ、懸濁液、溶液、エマルジョン、再構成のための粉末のような経口液剤を含む。
【0071】
本発明の目的のために、治療上有効量は、一般に、約0.4 mg/日から約2.5 mg/日、とりわけ、約0.6 mg/日から約1.2 mg/日、およびよりとりわけ、約0.6 mg/日から約0.8 mg/日または約0.8 mg/日から約1.2 mg/日であり、それは、1回または複数回投与で、とりわけ、1日に1回もしくは2回、患者に、例えば、ヒトに、例えば、約70 kgの平均的なヒトに投与し得る。
【0072】
薬理学的に活性な薬剤が、サケカルシトニンであるとき、適当な用量は、当然に、例えば、宿主ならびに処置される状態の性質および重篤度に依存して変わる。特に、あらゆる特定の患者のための本発明の化合物の特定の用量レベルは、様々な要因、例えば、処置される患者の年齢、性別、体重、一般の健康状態、食事、個々の応答、投与の時間、処置される疾患の重篤度、適用される特定の化合物の活性、用量形、適用の形態および併用薬に依存する。ある状態のための治療上有効量は、通常の実験により容易に決定され、一般の臨床医または医師の技術および判断の範囲内である。
【0073】
しかしながら、一般には、満足のいく結果は、全身で、約0.5 μg/kgから約10 μg/kg動物体重、好ましくは、1 μg/kgから約6 μg/kg 体重の1日投与量で取得される。約70 kgの平均的なヒトのために、これは、約0.035 mgから0.7 mg、特に、約0.07 mgから約0.42 mgの1日投与量であると解釈される。
【0074】
本発明の他の態様では、治療上有効量のカルシトニンは、一般に、約0.035 mg/日から0.7 mg/日、特に、約0.07 mg/日から約0.42 mg/日であるが、とりわけ、約0.42 mg/日から約0.7 mg/日である。
【0075】
カルシトニンの経口製剤で使用する薬学的に許容される不活性な賦形剤は、例えば、製剤もしくは本発明により意図する固体経口用量形の製造を補助するか、または胃腸環境での固体経口組成物の放出を補助する、ポリマーおよび不活性な化合物を含み得る。上記した薬学的に不活性な成分は、例えば、所望により、クロスポビドンおよびポビドンを含み、あらゆるクロスポビドンおよびポビドンであり得る。クロスポビドンは、1,000,000またはそれ以上の分子量を有するN−ビニル−2−ピロリドンの合成架橋ホモポリマーである(また、1−エチニル−2−ピロリジノンと呼ばれる)。商業的に入手可能なクロスポビドンは、ISPから入手可能なPolyplasdone XL、Polyplasdone XL−10、Polyplasdone INF−10、BASF Corporation から入手可能なKollidon CLを含む。好ましいクロスポビドンは、Polyplasdone XLである。ポビドンは、一般に、2,500から3,000,000の分子量を有する直鎖1−ビニル−2−ピロリジノン基からなる合成ポリマーである。商業的に入手可能なポビドンは、BASF Corporation から入手可能なKollidon K−30、Kollidon K−90FならびにISPから入手可能なPlasdone K−30およびPlasdone K−29/32を含む。上記したとおり、クロスポビドンおよびポビドンは、商業的に入手可能である。あるいは、それらは、既知の工程で合成し得る。クロスポビドン、ポビドンまたはその組合せは、一般に、全体の医薬組成物の全重量と比較して、重量が0.02から50パーセントの量で、特に、重量が0.5から50パーセントの量で、好ましくは、2から25パーセントの量で、より好ましくは、重量が5から20パーセントの量での組成物で存在するが、とりわけ、医薬組成物の全重量と比較して、重量が3から7パーセントの量で存在する。
【0076】
製剤、例えば、経口製剤で有用な送達剤は、特定の薬理学的に活性な薬剤を送達するために有用なあらゆる薬剤である。適当な送達剤は、上記の米国特許第5,866,536号で開示された修飾アミノ酸のいずれか1個または上記の米国特許第5,773,647号で開示された修飾アミノ酸のいずれか1個またはその任意の組合せである。上記の米国特許第5,773,647号および第5,866,536号の内容は、それらの全体を引用により本明細書の一部とする。さらに、送達剤は、上記の修飾アミノ酸ならびにそのエタノール溶媒和物および水和物のいずれかの二ナトリウム塩であり得る。適当な化合物は、下記の式I
【化4】

[式中、
R1、R2、R3、およびR4は、独立して、水素、−OH、−NR6R7、ハロゲン、C1−C4アルキル、またはC1−C4アルコキシであり;
R5は、置換または非置換のC2−C16アルキレン、置換または非置換のC2−C16アルケニレン、置換または非置換のC1−C12アルキル(アリーレン)、または置換または非置換のアリール(C1−C12アルキレン)であり;そして
R6およびR7は、独立して、水素、酸素、またはC1−C4アルキルである]
で示される化合物およびその水和物ならびにアルコール溶媒和物を含む。式Iの化合物ならびにそれらの二ナトリウム塩およびそのアルコール溶媒和物および水和物は、それらを製造するための方法と共に、WO 00/059863で開示されている。
【0077】
二ナトリウム塩は、当業者に既知の方法で、エタノール溶媒和物を蒸発乾固することによりエタノール溶媒和物から製造し得て、無水二ナトリウム塩を形成する。乾燥は、一般に、約80℃から約120℃、好ましくは、85℃から約90℃、および最も好ましくは、約85℃の温度で行う。乾燥工程は、一般に、26”Hgまたはそれ以上の圧力で行う。無水二ナトリウム塩は、一般に、無水二ナトリウム塩の100%全重量に基づき、エタノールの重量の約5%以下、および好ましくは、エタノールの重量の約2%以下を含む。送達剤の二ナトリウム塩はまた、水で送達剤のスラリーを製造し、2モル当量の水性水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシドなどを加えることにより、製造し得る。適当なナトリウムアルコキシドは、非限定的に、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、およびその組合せを含む。二ナトリウム塩を製造するまたさらなる方法は、送達剤を、1モル当量の水酸化ナトリウムと反応させ、二ナトリウム塩を産生することによる。二ナトリウム塩は、真空蒸留により、二ナトリウム塩を含む溶液を濃厚なペーストに濃縮することにより、固体として単離し得る。このペーストを、真空オーブンで乾燥させ、固体として送達剤の二ナトリウム塩を取得し得る。固体はまた、二ナトリウム塩の水溶液を噴霧乾燥することにより、単離し得る。送達剤は、当分野で既知の方法、例えば、上記したとおりの米国特許第5,773,647号および第5,866,536号に記載された方法により製造し得る。上記のWO 00/059863に記載されたエタノール溶媒和物は、非限定的に、分子もしくはイオン性のエタノール溶媒の分子もしくはイオン性複合体を、分子もしくはイオン性の送達剤の二ナトリウム塩と共に含む。典型的には、エタノール溶媒和物は、送達剤の二ナトリウム塩のすべての分子に関して、約1個のエタノール分子またはイオンを含む。送達剤の二ナトリウム塩のエタノール溶媒和物は、エタノールで送達剤を溶解することにより、製造し得る。典型的には、送達剤の各グラムを、エタノールの約1から約50mLに溶解し、一般には、エタノールの約2から約10mLに溶解する。次いで、送達剤/エタノール溶液を、送達剤に対してモル過剰のナトリウム含有塩、例えば、一ナトリウム含有塩と反応させ、すなわち、送達剤のすべてのモルについて1モルを越えるナトリウムカチオンが存在し、エタノール溶媒和物を生成する。適当な一ナトリウム塩は、非限定的に、水酸化ナトリウム;ナトリウムメトキシドおよびナトリウムエトキシドのようなナトリウムアルコキシド;および上記の任意の組合せを含む。好ましくは、少なくとも約2モル当量の一ナトリウム含有塩をエタノール溶液に添加し、すなわち、送達剤のすべてのモルについて少なくとも約2モルのナトリウムカチオンが存在する。一般に、反応は、混合物の還流温度またはそれ以下、例えば、室温で行う。エタノール溶媒和物は、次いで、当業者に既知の方法(例えば、大気圧蒸留での生じたスラリーの濃縮、濃縮スラリーの冷却および固体のろ過)により回収する。次いで、回収した固体を真空で乾燥させ、エタノール溶媒和物を取得し得る。送達剤の二ナトリウム塩の水和物は、上記に記載したエタノール溶媒和物を乾燥させ、無水二ナトリウム塩を形成し、無水二ナトリウム塩を水和することにより製造し得る。好ましくは、二ナトリウム塩の一水和物が形成される。無水二ナトリウム塩は、非常に吸湿性であるので、大気水分に曝すと、水和物が形成される。一般に、水和工程は、およそ室温から約50℃で、好ましくは、室温から約30℃で、少なくとも50%の相対湿度を有する環境で行う。あるいは、無水二ナトリウム塩は、スチームで水和し得る。
【0078】
好ましい送達剤は、N−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸 (5−CNAC)、N−(10−[2−ヒドロキシベンゾイル]アミノ)デカン酸 (SNAD)、N−(8−[2−ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリル酸 (SNAC)ならびにそれらの薬学的に許容される塩、好ましくは、それらの一ナトリウムおよび二ナトリウム塩、それらのナトリウム塩のエタノール溶媒和物およびそれらのナトリウム塩の一水和物およびその任意の組合せである。
【0079】
最も好ましい送達剤は、5−CNACの二ナトリウム塩およびその一水和物である。好ましくは、二ナトリウム塩は、組成物中に存在する5−CNACの全重量あたり90%重量以上の量で存在する。
【0080】
有効成分と送達剤の割合は、特に、1/25から1/600、より特には、1/25から1/400、さらにより特には、それぞれ、1/200および1/300および1/400および1/600で存在し、sCT/5−CNAC組成物の場合での最も好ましい割合は、0.5 mg−1 mgのsCTと200 mg−300 mgの5−CNAC二ナトリウム塩である。
【0081】
送達剤、5 CNAC、SNAD、およびSNACは、非常に水溶性であり、微粉化また粗形態で摂取されるかを問わず、ほとんど完全に、すなわち、90%以上胃腸管に吸収される。しかしながら、驚くべきことに、これらの送達剤の1個の微粉化形態を組成物中で使用するとき、本発明の組成物の薬理学的に活性な薬剤の吸収が、より完全に、血流に吸収されることが見出された。本発明の固体経口投与形態の製造で利用する送達剤の微粉化形態は、薬理学的に活性な薬剤および薬学的に不活性な成分の本発明の組成物混合物に加えるとき、40マイクロメーター以下の平均粒径を有する送達剤と定義する。所望により、本発明の送達剤は、20ミクロン以下の平均粒径として定義する微粉化形態を有する。より興味深いことに、本発明の送達剤は、10ミクロン以下の平均粒径として定義する微粉化形態を有する。本発明の送達剤の微粉化形態は、医薬成分を破砕するために許容され、そして微細なおよび均一の微粉化粒径に医薬成分および/または送達剤を破砕することができる製粉機で破砕することにより、製造し得る。そのような製粉機の例は、Air Jet Mill Gem T (登録商標) (Copley Scientific, Ltd., Nottingham, UK)である。微細に砕かれた送達剤を別々に、または微細に砕かれた送達剤プラス本発明の微細に砕かれたさらなる成分のあらゆる組合せを、次いで、例えば、適当な孔を有するメッシュスクリーンで篩過し得て、必要な粒径を有するそれらの成分のみが通過するのを可能にし、本発明での使用のために収集し得る。本発明の医薬組成物は、典型的には、送達有効量の、すなわち、望む効果のために活性な薬剤を送達するのに十分な量の、1個またはそれ以上の送達剤を含む。一般には、送達剤は、重量が2.5%から99.4%の量で、より好ましくは、重量が25%から50%の量で存在する。
【0082】
好ましくは、遊離形または塩形でのカルシトニン、例えば、サケカルシトニンを、カルシトニンおよびカルシトニン送達剤を含む経口医薬組成物として送達する。より特には、該医薬組成物は、5−CNAC、SNAD、およびSNACからなる群から選択される送達剤を含む。より好ましくは、該経口医薬組成物は、5−CNACの二ナトリウム塩、SNADの二ナトリウム塩、およびSNACの二ナトリウム塩からなる群から選択される送達剤を含む。より好ましくは、該経口医薬組成物は、微粉化形態での送達剤を含む。
【0083】
本発明に記載の医薬組成物の薬学的に許容される経口送達形態は、さらに、希釈剤を含み得る。
【0084】
希釈剤は、例えば、Avicel PH 102または101であり得る。希釈剤は、全組成物に基づく90wt%までの医薬組成物で存在し得るか、または望む医薬組成物重量と実際の最終医薬組成物重量の間のあらゆる差異を埋めるために使用し得て、例えば、600mgまで、例えば、500mgであり得る。好ましくは、結合剤は、全組成物に基づく20から70 wt%、例えば、40から60 wt%、例えば、50 wt %の量で存在する。最終医薬組成物重量が500mgであるとき、これは、例えば、100 mgから350 mgの量と同一である。
【0085】
本発明の好ましい態様では、希釈剤は、微結晶セルロースである。
【0086】
あるいは、カルシトニンは、また、W0 94/26778;米国特許第5,359,030号;米国特許第5,438,040号;米国特許第5,681,811号;米国特許第6,191,105号;米国特許第6,309,633号;米国特許第6,380,405号;米国特許第6,436,990号;米国特許第6,458,776号;および米国特許第6,479,692号(その内容は、引用によりその全体を本明細書の一部とする)に記載されたような他の技術を用いて経口で送達し得る。要するに、そのような経口製剤は、一般に、結合安定化(ポリ)ペプチドおよびタンパク質組成物に関する。
【0087】
より特には、そのような経口送達形態は、1つの広い組成の局面において、共有的に結合したカルシトニン複合体に関し、そこでは、該カルシトニンは、その統合部分として親水性部分、例えば、直鎖ポリアルキレングリコールを組み込んだポリマーの1個またはそれ以上の分子に共有的に結合し、そしてそこでは、該ポリマーは、疎水性部分をその統合部分として組み込む。1つの特定の局面では、そのような経口送達形は、(i) 直鎖ポリアルキレングリコール部分および(ii) 疎水性部分を含むポリマーに共有結合した生理学的に活性なペプチドを含む、生理学的に活性なカルシトニン組成物に関し、ここで、ペプチド、直鎖ポリアルキレングリコール部分、および疎水性部分は、互いに関連して配座的に配置され、その結果、生理学的に活性なカルシトニン組成物中の生理学的に活性なペプチドは、生理学的に活性なカルシトニンのみ(すなわち、それに結合したポリマーがない非結合形態で)と比較して、インビボでの酵素分解に対する高められた耐性を有する。他の局面では、そのような経口送達形は、(i) 直鎖ポリアルキレングリコール部分および(ii)疎水性部分を含むポリソルベート複合体に共有結合した生理学的に活性なカルシトニンを含む、三次元構造の生理学的に活性なカルシトニン組成物に関し、ここで、生理学的に活性なカルシトニン、直鎖ポリアルキレングリコール部分および疎水性部分は、互いに関連して配座的に配置され、その結果、(a) 疎水性部分は、三次元構造の外部で利用でき、そして(b)生理学的に活性なカルシトニン組成物中の生理学的に活性なカルシトニンは、生理学的に活性なカルシトニンのみと比較して、インビボでの酵素分解に対する高められた耐性を有する。さらなる局面では、そのような経口送達形は、トリグリセリド骨格部分を含む複数リガンド結合カルシトニン複合体に関し:トリグリセリド骨格部分の炭素原子に結合したポリアルキレングリコールスペーサー基を介して、トリグリセリド骨格部分と共有的に結合した生物活性;およびトリグリセリド骨格部分の炭素原子と直接、共有的に結合するか、またはポリアルキレングリコールスペーサー部分を介して共有的に加わる、少なくとも1個の脂肪酸部分を有する。そのような複数リガンド結合カルシトニン複合体では、トリグリセリド生物活性部分のdおよびB炭素原子は、それに直接共有結合により結合するか、またはポリアルキレングリコールスペーサー部分を介して、それに間接的に共有結合する、脂肪酸部分を有し得る。あるいは、脂肪酸部分は、トリグリセリド骨格部分のaおよびd炭素に、直接、またはポリアルキレングリコールスペーサー部分を介して、共有的に結合し得て、生物活性カルシトニンは、トリグリセリド骨格部分の13炭素と共有的に結合し、それに直接共有結合するか、またはポリアルキレングリコールスペーサー部分を介して、それに間接的に結合する。そのような複数リガンド結合カルシトニン複合体では、生物活性カルシトニンは、有利には、アルキルスペーサー基、またはあるいは本発明の広い範囲内の他の許容されるスペーサー基を介して、トリグリセリド修飾骨格部分と共有的に結合し得る。そのような状況で使用するとき、スペーサー基の受容性は、立体的な、合成的な、そして最終用途適用特異的な受容性特性のことを言う。また他の局面では、そのような経口送達形は、トリグリセリド骨格および官能基を含んだポリソルベート部分を含むポリソルベート複合体に関し、それは:(i)脂肪酸基;および(ii)それに共有的に結合した生理学的に活性な部分を有するポリエチレングリコール基を含み、例えば、生理学的に活性な部分は、ポリエチレングリコール基の適当な官能基に共有的に結合する。
【0088】
そのような共有結合は、例えば、ポリエチレンフリコール基のヒドロキシル末端官能基に直接であり得るか、またはあるいは、共有結合は、ポリエチレンフリコール基のヒドロキシル基末端を、カルボキシル官能基スペーサー基で反応的にキャップし、その結果、生じたキャップポリエチレングリコール基が、生理学的に活性な部分が共有的に結合し得る、末端カルボキシル官能基を有することにより、間接的であり得る。そのような経口送達形は、さらなる局面では、生理学的に適合したポリエチレングリコール修飾糖脂質部分に、共有的に結合した生理学的に活性なカルシトニンを含む、安定した水溶性結合カルシトニン複合体に関する。そのような複合体では、生理学的に活性なカルシトニンは、生理学的に適合したポリエチレングリコール修飾糖脂質部分に、ポリペプチドのT字形アミノ酸基での不安定共有結合により、共有的に結合し得る。生理学的に適合したポリエチレングリコール修飾糖脂質部分は、有利には、ポリソルベートポリマー、例えば、モノパルミテート、ジパルミテート、モノラウレート、ジラウレート、トリラウレート、モノオレート、ジオレート、トリオレート、モノステアレート、ジステアレート、およびトリステアレートからなる群から選択される脂肪酸エステルを含むポリソルベートポリマーを含み得る。そのような複合体では、生理学的に適合したポリエチレングリコール修飾糖脂質部分は、適当には、脂肪酸のポリエチレングリコールエステル、および脂肪酸のポリエチレングリコールエステル(ここで、脂肪酸は、例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、およびステアリン酸からなる群から選択される脂肪酸からなる)からなる群から選択されるポリマーを含み得る。上記の複合体では、生理学的に活性なカルシトニンは、例示の方法で、インスリン、カルシトニン、ACTH、グルカゴン、ソマトスタチン、ソマトトロピン、ソマトメジン、副甲状腺ホルモン、エリスロポエチン、視床下部放出因子、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン、エンドルフィン、エンケファリン、バソプレシン、非自然に生じるオピオド、スーパーオキシドジスムターゼ、インターフェロン、アルパラギナーゼ、アルギナーゼ、アルギニンデアミナーゼ、アデノシンデアミナーゼリボヌクレアーゼ、トリプシン、キモトリプシンおよびパパインからなる群から選択されるカルシトニンを含み得る。他の局面では、本発明は、インスリン欠損の仲介のための経口投与用量形に関し、薬学的に許容される担体および生理学的に適合したポリエチレングリコール修飾糖脂質部分に、共有的に結合したインスリンまたはプロインスリンを含む、安定した水溶性結合インスリン複合体を含む。
【0089】
さらに、本発明にしたがって使用し得るさらなる第2の他の経口送達用量形は、W0 97/33531;米国特許第5,912,014号および米国特許第608618号(その内容は、その全体を引用により本明細書の一部とする)に記載された技術である。要するに、そのようなさらなる経口送達形態は、カルシトニンが胃および腸を通過するとき、それを酸性環境および消化性酵素から保護し、血流へのカルシトニンの侵入を促進する。カルシトニンが安全に血流に入ると、それは、その治療効果を発揮し得る。そのような経口送達形態、すなわち、サケカルシトニンの経口送達のための医薬組成物は、(A) 治療上有効量の該サケカルシトニン;(B) 少なくとも1個の薬学的に許容されるpH低下剤;(C) 該サケカルシトニンのバイオアベイラビリティを促進するのに有効な少なくとも1個の吸収促進剤;および(D) 腸溶コーティングを含み、ここで、該pH低下剤は、0.1M 水性重炭酸ナトリウムの10ミリリットルに加えるとき、該溶液のpHを5.5以下に低くするのに十分な量で、該組成物中に存在する。医薬組成物は、該腸溶コーティングが、該腸溶コーティングを除く該医薬組成物の、残りの重量の20%以下である重量で存在する。上記の医薬組成物は、該腸溶コーティングが、該腸溶コーティングを除く該医薬組成物の、残りの重量の5−15%以下である重量で存在する。
【0090】
関節リウマチの処置でのカルシトニンの有効性を示す経口医薬組成物は、軟ゲルカプセルを含むカプセル、錠剤、他の固形経口剤形として提供し得て、そのすべては、当分野で既知の方法により製造し得る。
【0091】
本発明の固体医薬組成物は、最初に、送達剤または本発明の組成物のさらなる成分の任意の組合せを有する送達剤を、微粒子サイズまで粉砕することにより製造し得る。微粉化送達剤または微粉化送達剤プラス本発明の微粉化添加成分を、次いで、さらに、慣用的な方法により、例えば、1個またはそれ以上の活性薬剤、送達剤、クロスポビドンまたはポビドンおよび/または他の成分の混合物を混合し、混練し、カプセルに充填するか、またはカプセルに充填する代りに成形し、その後、さらに、錠剤化するか、または圧縮成型することにより錠剤を得ることにより加工し得る。さらに、固体分散は、既知の方法により形成し得て、その後さらに、錠剤またはカプセルを形成するために加工し得る。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】図1は、溶解プロフィールを示す。
【図2】図2は、関節炎の評価結果を示す。
【実施例】
【0093】
下記の実施例は、さらに、本発明を例示するのに役立ち、当業者により容易に理解される。実施例は、決して本発明の限定を意味しない。
【0094】
実施例
A. 製剤実施例
実施例1:製剤1(3バッチ)
微粉化5−CNACの製造: 微粉化される粗5−CNACを、80セラミックパンケーキジェットミル、8 cmの直径、6バールN2、約700 g/hの手動の仕込みを有する0.5 mmノズルを用いて、噴出製粉機(Air Jet Mill Gem T (登録商標) Copley Scientific, Ltd., Nottingham, UK)に加える。粗5−CNACを、噴出製粉し、参照尺度測定(reference ruler measurements)を用いて、顕微鏡下で定期的にサンプリングし、望む平均微粉化粒径が得られるときを同定する。3つの異なるバッチを、平均粒径、すなわち、D50 = 6 um、35 um、および46 umバッチを製造するために破砕する。次いで、分離した微粉化バッチの個々の篩を、U10、813 um円錐篩過、円形攪拌機を装備した円錐篩過製粉機(Quadro Comil, Quadro Engineering Incorporated 613 Colby Drive, Waterloo, Ontario, Canada N2V 1A1)を用いて行い、約150 kg/hの スループットで、1500 rpmで操作する。
製剤I−3. 異なる粒径の5−CNACを含むサケカルシトニン製剤
【表1】

【0095】
製剤1の製造:3つの異なる錠剤のバッチを、3つの異なる微粉化5−CNAC二ナトリウムのバッチを用いて製造し、第1の錠剤バッチは、平均46ミクロンの5−CNAC二ナトリウム粒径を有し(バッチA)、第2の錠剤は、平均6ミクロンの5−CNAC二ナトリウム粒径を有し(バッチB)、そして第3の錠剤は、平均35ミクロンの5−CNAC二ナトリウム粒径を有する(バッチC)。
【0096】
40メッシュスクリーンを介して先に篩にかけた0.50 gのサケカルシトニン、35メッシュスクリーンを介して篩にかけた57. gの微粉化5−CNAC二ナトリウム塩、および10 gのPolyplasdone XL (クロスポビドン, NF, International Specialty Products, 1361 Alps Road, Wayne, New Jersey, 07470, USA)を、500 mLジャーの中で合わせて、46 RPMのスピードで100回転、Turbula混合機を用いて混合する。さらに、35メッシュスクリーンを介して篩にかけた57. gの微粉化5−CNAC二ナトリウム塩および36.75 gのAvicel PH 102 (登録商標)をジャーに加え、46 RPMのスピードで500回転混合する。さらに36.75 gのAvicel PH 102 (登録商標)をジャーに加え、46 RPMのスピードでさらに100回転混合する。2.0 gのステアリン酸マグネシウムを、35メッシュスクリーンを用いて、ジャーの中で篩にかけ、46 RPMのスピードで1分間混合する。最終混合物を、Manesty B3B打錠機を用いて、錠剤に圧縮する。錠剤重量は、およそ400 mgである。
【0097】
実施例2:製剤2−3の製造:
あるいは、さらに、下記の製剤を提供する:
製剤2:
【表2】

5−CNAC二ナトリウム塩として記載した単位重量(a+b)は、200mgの5−CNAC遊離酸の合わせた重量に相当する。
Avicel PH 101 (I)および(II)の単位重量(a+b)は、Avicel PH 101の合わせた重量に相当する。
【0098】
製剤3
【表3】

5−CNAC二ナトリウム塩として記載した単位重量(a+b+c)は、200mgの5−CNAC遊離酸の合わせた重量に相当する。
Avicel PH 101 (I)および(II)の単位重量(a+b)は、Avicel PH 101の合わせた重量に相当する。
【0099】
上記製剤の製造工程は、実施例1に記載したものに類似している。しかしながら、下記に記載したいくらかの逸脱が存在する:
【表4】

1. 0.25gのsCT DSを計り取る;
2. パートIの5−CNACと混合する;
3. 工程2からの混合材料を、#60 (0.25mm)スクリーンを介して篩過する;
4. 工程3からのスクリーンを、パートIIの5−CNACですすぐ;
5. Aerosil 200PHおよびパートIのAvicel PH101を、#20 (0.85mm)メッシュスクリーンを介して篩過する;
6. Avicel PH101 (パートII)、工程5から篩過した材料、5−CNAC(パートIII)、工程4から篩過した材料、クロスポビドンを拡散ミキサーの中に加え、150回転、混合する;
7. 混合材料を、#20メッシュ(0.85mm)スクリーンを介して篩過する;
8. ステアリン酸マグネシウムを、#20メッシュ(0.85mm)スクリーンを介して篩過し、工程7からの混合物に加える;
9. 50回転、潤滑化する
10. 混合物を12 mm丸型FFBE錠剤に圧縮し、NVR/984でエンボス加工する。
使用するすべての装置は、実施例1に記載したものと同じである。
【0100】
実施例3:製剤4の製造:
上記の製剤2を、Manesty BetaプレスまたはFette 3090を用いて、異なる圧搾力で、様々な硬度で錠剤に圧搾する。異なる溶解プロフィールを有する生じた錠剤を、sCTの経口吸収に関して、アカゲザルで試験した。錠剤およびそれらの物理的特性を、下記の表1および2に示す:
【表5】

【0101】
【表6】

ここで:
RSDは、相対標準偏差であり;そして
DTは、崩壊時間であり、
そして、それらの溶解プロフィールを、下記の図1で示す。
【0102】
実施例4:関節炎の誘導および評価
II型コラーゲン(CII)の全身投与によりげっ歯類で誘導された関節炎は、RAと多くの類似点を有する実験モデルであり、広く、疾患過程を研究するために使用される(Wooley PH, Chapedelaine JM. Immunogenetics of collagen−induced arthritis. Crit Rev Immunol 1987;8: 1−22;and Trentham DE. Collagen arthritis as a relevant model for rheumatoid arthritis. Arth Rheum 1982;25: 911−6を参照のこと)。
【0103】
完全フロイントアジュバントで精製したCIIを用いた免疫化で、遺伝学的に影響を受けやすいげっ歯類の系統は、CIIに対する細胞性および体液性免疫応答により特徴付けられる関節炎を発症する。RAと同様に、コラーゲン誘導性関節炎(CIA)は、関節の炎症の早期発症、その後の軟骨および骨の浸食により特徴付けられる。
【0104】
高度に精製したウシCIAII型コラーゲンは、Chondrex, Inc., 2607 151st Place NE, Redmond, Washington 98052, USAから取得し得る。
【0105】
動物(雄ルイスラットまたは雄DBA/1 Jマウス(H−2q) (Harlan Laboratories UK, Oxford, UK)を、完全フロイントアジュバント(Difco, Detroit, MI, USA)でエマルジョン化した100 μg CIIの単回注射で、8−10週齢で、尾の根元部分に皮内注射する。
【0106】
動物を、免疫化後の1週間、毎日、関節炎の指標に関してモニターし、臨床スコア法を採用し、そこでは、各四肢に、浮腫および/または紅斑の視覚的指標に基づき、下記のとおり臨床スコアを与える:0=正常、1=後肢の根元でわずかに腫脹および/または紅斑、2=後肢全体を含む頻繁な腫脹および紅斑、2・5 = 再起不能の四肢可動を生じる明らかな腫脹および紅斑、3=以前、Malfait AM, Butler DM, Presky DH et al.に記載された強直。コラーゲン誘導関節炎(CIA)の誘導の間のIL−12の妨害は、顕著に、関節炎の重篤度を減らす。Clin Exp Immunol 1998;111: 377−83。
【0107】
各四肢を、この方法で段階分けし、動物につき12の最大可能性スコアを生じる。後肢はまた、キャリパーの助けで、後肢腫脹に関して毎日測定する(最小検出可能変化=0・1 mm, Kroeplin, Schluchtern, Germany)。
【0108】
本研究では、関節リウマチを、ブタII型コラーゲンの皮内注射により、ルイスラット(8−9週齢)で、コラーゲン誘導関節炎モデル(CIA−モデル)で誘導した。
【0109】
非処理コラーゲン注射群(CIA群)では、疾患が、11−14日目に生じた。
【0110】
処理群では、ラットを、50mg/kg 5−CNAC、50mg/kg 5−CNAC+カルシトニン2mg/kgのどちらかで、1日に2回処理した。
【0111】
結果を図2で示し、そこでは、コラーゲン注射後21日目のコントロールの%中、II型コラーゲンの血清c末端テロペプチド(血清CTX−II)を、異なる集団に関して示す(コントロール、CIAおよびCIA+カルシトニン)。
【0112】
疾患を、コントロールと比較して、II型コラーゲンの血清c末端テロペプチド(血清CTX−II)の有意な増加により、CIA集団で検出した。カルシトニンを用いた処理は、これを33%まで減少させることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニンおよびカルシトニン送達剤を経口投与することを含む、処置を必要とする患者において関節リウマチを予防または処置する方法。
【請求項2】
患者に治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニンおよびカルシトニン送達剤を経口投与することを含む、処置を必要とする患者において関節リウマチに付随する関節の炎症を阻止するための、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
患者に治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニンおよびカルシトニン送達剤を経口投与することを含む、処置を必要とする患者において関節リウマチに付随する骨格関節の膨張を阻止するための、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
患者に治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニンおよびカルシトニン送達剤を経口投与することを含む、処置を必要とする患者において関節リウマチに付随する軟骨および骨の侵食ならびに破壊を阻止するか、停止するかまたは回復させるための、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
患者に治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニンおよびカルシトニン送達剤を経口で投与することを含む、処置を必要とする患者において関節リウマチに付随する疼痛を減少させるための、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
該カルシトニンが、サケカルシトニンである、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
送達剤が、下記の式I
【化1】

[式中、
R1、R2、R3、およびR4は、独立して、水素、−OH、−NR6R7、ハロゲン、C1−C4アルキル、またはC1−C4アルコキシであり;
R5は、置換または非置換のC2−C16アルキレン、置換または非置換のC2−C16アルケニレン、置換または非置換のC1−C12アルキル(アリーレン)、または置換または非置換のアリール(C1−C12アルキレン)であり;そして
R6およびR7は、独立して、水素、酸素、またはC1−C4アルキルである]
で示される化合物およびその水和物ならびにアルコール溶媒和物である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
送達剤が、式Iで示される化合物の二ナトリウム塩、アルコール溶媒和物または水和物である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
送達剤が、5−CNAC、SNAD、およびSNACならびにそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
該医薬組成物が、5−CNACの二ナトリウム塩、SNADの二ナトリウム塩、およびSNACの二ナトリウム塩からなる群から選択される送達剤を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
該医薬組成物が、微粉化形態の送達剤を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
該微粉化送達剤が、40マイクロメーター以下の、特に20マイクロメーター以下の、より特に10マイクロメーター以下の平均粒径を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
治療上有効量のカルシトニンを、ポリマー分子に結合したカルシトニンを含む組成物で経口で送達する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
治療上有効量のカルシトニンを、カルシトニン、少なくとも1個の薬学的に許容されるpH低下剤、少なくとも1個の吸収促進剤、および腸溶コーティングを含む有効量の経口医薬組成物で送達する、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
患者に0.4 mgから2.5 mgの用量範囲での治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニンおよびカルシトニン送達剤を経口投与することを含む、処置を必要とする患者において関節リウマチを予防または処置するための、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
該用量範囲が、0.6 mgから1.2 mgの範囲である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
該用量が1日に1回投与される、請求項15および16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
該用量が1日に2回投与される、請求項15および16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
処置を必要とする患者における関節リウマチの予防または処置のための、治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニンおよびカルシトニン送達剤を含む、経口投与のための医薬の製造のためのカルシトニンの使用。
【請求項20】
該カルシトニンが、サケカルシトニンである、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
該カルシトニンが、カルシトニンおよび送達剤を含む経口医薬組成物の形態で送達され、該送達剤が、下記の式I
【化2】

[式中、
R1、R2、R3、およびR4は、独立して、水素、−OH、−NR6R7、ハロゲン、C1−C4アルキル、またはC1−C4アルコキシであり;
R5は、置換または非置換のC2−C16アルキレン、置換または非置換のC2−C16アルケニレン、置換または非置換のC1−C12アルキル(アリーレン)、または置換または非置換のアリール(C1−C12アルキレン)であり;そして
R6およびR7は、独立して、水素、酸素、またはC1−C4アルキルである]
で示される化合物およびその水和物ならびにアルコール溶媒和物である、請求項19または20に記載の使用。
【請求項22】
送達剤が、式Iで示される化合物の二ナトリウム塩、アルコール溶媒和物または水和物である、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
該送達剤が、5−CNAC、SNAD、およびSNACならびにそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項21または22に記載の使用。
【請求項24】
該医薬組成物が、5−CNACの二ナトリウム塩、SNADの二ナトリウム塩、およびSNACの二ナトリウム塩からなる群から選択される送達剤を含む、請求項21から23のいずれか一項に記載の使用。
【請求項25】
該医薬組成物が、微粉化形態での送達剤を含む、請求項19から24のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
該微粉化送達剤が、40マイクロメーター以下の、特に20マイクロメーター以下の、より特に10マイクロメーター以下の平均粒径を有する、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
該カルシトニンを、ポリマー分子に結合するカルシトニンを含む経口医薬組成物で送達する、請求項19または26に記載の使用。
【請求項28】
該カルシトニンを、少なくとも1個の薬学的に許容されるpH低下剤、少なくとも1個の吸収促進剤、および腸溶コーティングを含む経口医薬組成物で送達する、請求項19から27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
0.4 mgから2.5 mgの用量範囲での治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニンおよびカルシトニン送達剤を、処置を必要とする患者に投与する、請求項19から28のいずれか一項に記載の使用。
【請求項30】
該用量範囲が、0.6 mgから1.2 mgの範囲である、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
該用量が1日に1回投与される、請求項29および30のいずれか一項に記載の使用。
【請求項32】
該用量が1日に2回投与される、請求項29および30のいずれか一項に記載の使用。
【請求項33】
遊離形または塩形のカルシトニンおよびカルシトニン送達剤を、1個またはそれ以上の薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む、処置を必要とする患者における関節リウマチの経口処置または予防での使用のための医薬組成物。
【請求項34】
該カルシトニンが、サケカルシトニンである、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
送達剤が、下記の式I
【化3】

[式中、
R1、R2、R3、およびR4は、独立して、水素、−OH、−NR6R7、ハロゲン、C1−C4アルキル、またはC1−C4アルコキシであり;
R5は、置換または非置換のC2−C16アルキレン、置換または非置換のC2−C16アルケニレン、置換または非置換のC1−C12アルキル(アリーレン)、または置換または非置換のアリール(C1−C12アルキレン)であり;そして
R6およびR7は、独立して、水素、酸素、またはC1−C4アルキルである]
で示される化合物およびその水和物ならびにアルコール溶媒和物である、請求項32から34のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
送達剤が、式Iで示される化合物の二ナトリウム塩、アルコール溶媒和物または水和物である、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
送達剤が、5−CNAC、SNAD、およびSNACならびにそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項32から36のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
該医薬組成物が、5−CNACの二ナトリウム塩、SNADの二ナトリウム塩、およびSNACの二ナトリウム塩からなる群から選択される送達剤を含む、請求項32から37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
該医薬組成物が、微粉化形態の送達剤を含む、請求項32から38のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項40】
該微粉化送達剤が、40マイクロメーター以下の、特20マイクロメーター以下の、より特に10マイクロメーター以下の平均粒径を有する、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項41】
治療上有効量のカルシトニンを、ポリマー分子に結合するカルシトニンを含む組成物で経口で送達する、請求項32から40のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項42】
治療上有効量のカルシトニンを、カルシトニン、少なくとも1個の薬学的に許容されるpH低下剤、少なくとも1個の吸収促進剤、および腸溶コーティングを含む有効量の経口医薬組成物で送達する、請求項32から41のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項43】
患者に0.4 mgから2.5 mgの用量範囲での治療上有効量の遊離形または塩形のカルシトニンおよびカルシトニン送達剤を経口で投与することを含む、処置を必要とする患者において関節リウマチを予防または処置するための、請求項32から42のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項44】
用量範囲が、0.6 mgから1.2 mgである、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項45】
c. カルシトニンである第1剤、および
d. サケ、(Asu 1−7)−ウナギもしくはヒトカルシトニン;カルシトニン類似体もしくはその誘導体;COX−2阻害剤、例えば、ルミラコキシブ(Prexige(登録商標))、セレコキシブ(Celebrex(登録商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(登録商標))、バルデコキシブ(Bextra(登録商標))、エトリコキシブ(Arcoxia(登録商標));または混合COX−1およびCOX−2阻害剤、例えば、ジクロフェナク;エタネルセプト(Enbrel(登録商標));鎮痛剤(例えば、アスピリン、パラセタモール);骨形成剤および骨再吸収阻害剤からなる群から選択される共薬剤
を含む、処置を必要とする患者における関節リウマチの経口処置または予防での使用のための医薬組合せ剤。
【請求項46】
0.4 mgから2.5 mgのカルシトニンを含む、請求項45に記載の医薬的組合せ剤。
【請求項47】
該カルシトニンを、0.4 mgから2.5 mgのカルシトニンを含む経口医薬組成物で提供する、関節リウマチを処置または予防するための医薬の製造のための、請求項19から28のいずれか一項に記載のカルシトニンの使用。
【請求項48】
該カルシトニンが、0.6 mgから1.2 mgのカルシトニンを含む経口医薬組成物で提供される、請求項47に記載の使用。
【請求項49】
該患者に0.4 mgから2.5 mgのカルシトニンを含む経口医薬組成物を投与することを含む、処置を必要とする患者での関節リウマチを予防または処置する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−75908(P2013−75908A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−288014(P2012−288014)
【出願日】平成24年12月28日(2012.12.28)
【分割の表示】特願2008−539312(P2008−539312)の分割
【原出願日】平成18年11月3日(2006.11.3)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【出願人】(506025523)ノルディック・バイオサイエンス・アクティーゼルスカブ (5)
【氏名又は名称原語表記】NORDIC BIOSCIENCE A/S
【Fターム(参考)】