説明

RFIDタグを用いた改ざん防止装置

【課題】本発明は、RFIDタグを用いた改ざん防止装置に関するものであり、電子機器が不正に改ざんされた場合、再度使用できなくすることを目的とする。
【解決手段】改ざん防止装置32は、電子機器を収納した筐体1hを封印すると共に、破断部に印刷で回路部が形成されているRFIDタグ2と、RFIDタグ2のタグ情報の読み取りに基づいて改ざんを検出する改ざん検出部と、改ざん検出部により改ざんが検出された場合、電子機器の機能を停止させる機能停止部とを備え、改ざん検出部と機能停止部を筐体1hの内部に配置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばカード読み取り装置を備えた金融端末などのような各種電子機器が悪意の第三者により改造されるのを防止するRFIDタグを用いた改ざん防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クレジットカードや携帯端末により商品決済を行う金融端末が普及してきている。この金融端末は、例えばブックストアやコンビニエンスストアなどの店舗に設置されている。利用者は現金を持ち歩かなくても、利用者が所持しているクレジットカードを金融端末に設けたカード読み取り装置で入力して商品決済をしていた。また、利用者が所持している携帯端末を金融端末の携帯端末対応入力部にかざし、携帯端末と金融端末とを携帯端末対応入力部を介して交信させ、携帯端末の内部に記憶保持されている決済情報により商品決済をしていた。
【0003】
金融端末は利用者の利便性を向上させる一方で、金融端末が悪意の第三者に改造され、重要なデータが盗まれ悪用されてしまう、といった危険性があった。
【0004】
このような中で、改ざんを防止する技術が提案されている。例えば、従来の改ざん防止装置は、電子機器を収納する筐体が閉じた場合にONし、開いた場合にOFFするスイッチと、スイッチのONまたはOFFを検出するスイッチ検出部とを有し、スイッチ検出部によりスイッチがOFFしたときに電子機器の機能を停止していた(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2002−7215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の改ざん防止装置は、電子機器の筐体を開いたときにOFFになるスイッチを改ざんする前の閉じた状態(スイッチがON)に修復すれば、電子機器を再度使用することができるといった課題があった。
【0006】
そこで本発明は、改ざんされたときに電子機器を再度使用できなくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明のRFIDタグを用いた改ざん防止装置は、電子機器を収納した筐体を封印すると共に、破断部に印刷で回路部が形成されているRFIDタグ、RFIDタグのタグ情報の読み取りに基づいて改ざんを検出する改ざん検出部と、改ざん検出部により改ざんが検出された場合、電子機器の機能を停止させる機能停止部とを備え、改ざん検出部と機能停止部を筐体内に配置していることを特徴とする。このような構成により、初期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明は、電子機器を収納した筐体を封印すると共に、破断部に印刷で回路部が形成されているRFIDタグと、RFIDタグのタグ情報の読み取りに基づいて改ざんを検出する改ざん検出部と、改ざん検出部により改ざんが検出された場合、電子機器の機能を停止させる機能停止部とを備えているので、筐体を開封したときにRFIDタグの回路部が破断し、改ざんできないものである。すなわち、本発明のRFIDタグを用いた改ざん防止装置は、RFIDタグの回路部が破断することで改ざん検出部によりRFIDタグからタグ情報が読み取れなくなり、その後、機能停止部により電子機器の機能が停止される。これにより、不正な改ざんを検出すると共に電子機器の機能を停止させ、その後で再度使用できなくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0010】
(実施の形態)
まず、図1および図2を参照しながら、本発明の実施の形態における金融端末1について説明する。図1は本発明の実施の形態における金融端末1の外観斜視図、図2は本発明の実施の形態におけるRFIDシステム60の回路ブロック図である。ここでは、金融端末1の電子機器を収納した筐体1hをRFID(Radio Frequency IDentification)タグ2で封印した例について説明する。
【0011】
図1に示すように、クレジットカードの商品決済をするために、店舗には金融端末1が設置されている。この金融端末1は、クレジットカードを読み取るカードリーダ部1aと、暗証番号、商品情報などを入力する入力部1bと、カード情報や入力情報を暗号化し、問い合わせ情報を生成する情報処理部1cと、外部のクレジット会社が管理している決済管理装置30とネットワークまたは電話網31を介して接続され、問い合わせ情報および応答情報を入出力する通信部1dと、決済処理に係る情報を表示する表示部1e、決済内容を印字する印字部1f、時間を計測するタイマ1gとを備えている。
【0012】
このような構成により、商品を購入したときに、この金融端末1のカードリーダ部1aでクレジットカードを読み取り、商品の決済をすることができる。
【0013】
しかしながら、金融端末1の情報処理部1cを改造し、決済情報の搾取や不正な改ざんが行われる危険性がある。
【0014】
そこで、本実施の形態の金融端末1は、例えば情報処理部1c、通信部1dおよびタイマ1gを収納した筐体1hをRFIDタグ2で封印し、筐体1hを再度開けることができないようにし、情報処理部1c、通信部1dおよびタイマ1gの改ざんを防止している。すなわち、筐体1hを封印したRFIDタグ2を剥ぎ取るなどして破断させない限り筐体1hを開けることはできず、これにより情報処理部1c、通信部1dおよびタイマ1gなどの電子機器の改造行為を防止している。
【0015】
このようにRFIDタグ2で金融端末1の筐体1hを封印することで、金融端末1に不正な改造行為が行われること正規のRFIDタグ2が破断し、改ざんしたことが一目でわかるようになっている。これにより、改ざんされた金融端末1を再度使用することができないようにしている。
【0016】
一方、正規のRFIDタグ2と異なる別の偽造RFIDタグ2を金融端末1に貼付される危険性がある。そこで、本実施の形態の金融端末1は、筐体1hの内部からRFIDタグ2を認証することができる改ざん防止装置32を備えている。改ざん防止装置32は、情報処理部1c、通信部1d、タイマ1gなどの各種機能を実行する電子機器と共に筐体1hの内部に収納されている。このように、金融端末1は、RFIDタグ2で封印した筐体1hの内部からRFIDタグ2を認証するようにしたため、筐体1hの内部に配置されている電子機器および改ざん防止装置32を改ざんするにはRFIDタグ2を破断させる以外に方法はなくなり、改ざんを防止することができる。
【0017】
具体的には、改ざん防止装置32は、筐体1hを封印したRFIDタグ2と、RFIDタグ2のタグ情報を読み取るRFIDリーダ装置50と、RFIDリーダ装置50によるRFIDタグ2のタグ情報の読み取りに基づいて改ざんを防止する制御部1iとを備えている。制御部1iの詳細については後述する。
【0018】
このような構成によって、RFIDリーダ装置50がRFIDタグ2のタグ情報を読み取り、所定の情報と比較することで、RFIDタグ2が不正に偽造されたものであるか否かを判断する。また、不正な改ざん行為を行うのにRFIDタグ2で封印した筐体1hを開けた場合、RFIDタグ2が破断する。これにより、改ざん防止装置32は、RFIDリーダ装置50によりRFIDタグ2のタグ情報を読み取ることができなくなり、このことから不正な改ざんが行われたものと判断する。
【0019】
以下具体的に、図2および図3を参照しながら、改ざん防止装置32について説明する。図3は、本発明の実施の形態における改ざん防止装置32の動作を説明するためのフローチャートである。
【0020】
図2に示すように、RFIDシステム60は、金融端末1の各種機能を実行する電子機器を筐体1hの内部に封印するためのRFIDタグ2と、改ざん防止装置32に設けられたRFIDリーダ装置50とを備えている。RFIDリーダ装置50は、各種機能を実行する電子機器の一部(例えば情報処理部1c、通信部1d、タイマ1gなど)と共に筐体1hに配置されている。
【0021】
また、RFIDタグ2は回路部3を備え、回路部3はタグ情報を記憶保持しているタグ回路部11とタグアンテナ部12とを有している。よって、RFIDタグ2の回路部3が破断すると、タグ情報を読み取ることができなくなる。
【0022】
改ざん防止装置32は改ざんを防止する制御部1iを備え、この制御部1iによりRFIDリーダ装置50を制御する。RFIDリーダ装置50は、制御部1iからの制御命令により、RFIDタグ2のタグ情報を所定のタイミングとして所定の時間間隔で読み取り、メモリ部40に記憶する。なお、制御部1iは、タイマ1gの計測により所定の時間を計測する。
【0023】
制御部1iは、RFIDリーダ装置50によりRFIDタグ2のタグ情報を読み取り、これに基づいて改ざんを検出する改ざん検出部1kと、改ざん検出部1kにより改ざんが検出された場合、各種機能を実行する電子機器を停止させる機能停止部1jとを備えている。各種機能を実行する電子機器として、例えばカードリーダ部1a、入力部1b、情報処理部1c、通信部1d、表示部1e、印字部1f、タイマ1gなどがある。
【0024】
改ざん検出部1kは、タイマ1gの計測に同期して、所定の時間の間隔でRFIDリーダ装置50のメモリ部40からタグ情報を取得し、制御部1iの記憶部(図示せず)に記憶保持している所定の情報である端末情報1Lと比較し、RFIDタグ2が正規なものであるか否かを判断することで、改ざんを検出する。ここで、端末情報1Lは、各金融端末1に予め付与される認証情報であり、決済する場合にも認証情報としても使用される。
【0025】
また、改ざん検出部1kは、メモリ部40からRFIDタグ2のタグ情報を取得した後、メモリ部40の内容をクリアする。このメモリ部40をクリアする理由は、不正な改ざん行為を監視するためである。すなわち、悪意の第三者が筐体1hに孔を開けようとしたとき、RFIDタグ2の回路部3が破断する。これにより、RFIDリーダ装置50はRFIDタグ2との交信ができなくなり、RFIDタグ2のタグ情報を取得できなくなり、メモリ部40に新たにタグ情報を記憶することができなくなる。よって、改ざん防止装置32は、メモリ部40からRFIDタグ2のタグ情報を読み取れなくなり、このことから不正な改ざんが行われたことを検出することができる。
【0026】
機能停止部1jは、改ざん検出部1kにより改ざんが検出されたとき各種機能部を停止させ、金融端末1での決済情報が搾取され、決済情報が改ざんされるのを防止することができる。
【0027】
このように、改ざん防止装置32は、RFIDリーダ装置50によりRFIDタグ2のタグ情報を所定のタイミングとして所定の時間間隔で読み取り、RFIDタグ2のタグ情報の読み取りに基づいて改ざんを検出し、金融端末1での決済情報の改ざんを防止することができる。なお、他の所定のタイミングとして、金融端末1で決済されるときにも行うようにしてもよい。例えば、金融端末1のカードリーダ部1aでクレジットカードを読み取るタイミングで行ってもよい。これによっても、金融端末1で決済されるときに、不正な改ざんがないかを確認することができ、改ざんによる不正を防ぐことができる。
【0028】
次に、図2および図3を参照しながら、改ざん防止装置32の動作について説明する。
【0029】
まず、図3に示すように、初期設定時間を計測し、改ざん防止装置32を作動させる(S10)。初期設定時間として、例えば60分を設定する。これにより、金融端末1の各種機能部の初期設定時間、各種機能部の検査時間、電源を投入してからRFIDタグ2で筐体1hを封印するまでの時間などを確保している。初期設定時間が経過した後は、初期設定の完了情報を制御部1iの記憶部(図示せず)に記憶する。これにより、制御部1iは改ざん防止の各ステップ(S12〜S22)を実行する。これにより、一度、改ざん防止の各ステップが実行され場合、筐体1hの外部から制御部1iを停止させることができないようにし、改ざん行為を防止している。
【0030】
次に、改ざん防止装置32は、RFIDリーダ装置50により、RFIDタグ2の回路部3と交信を開始する。RFIDリーダ装置50は、送信アンテナ48を介して問い合わせ信号を回路部3に送信し、回路部3からの応答信号を受信アンテナ49で受信し、後述するように、復調してRFIDタグ2のタグ情報を読み取る(S12)。そして、RFIDリーダ装置50は、RFIDタグ2のタグ情報をメモリ部40に記憶する。
【0031】
まず、RFIDリーダ装置50は、回路部3に、例えば「認証コードは存在するのか?」という問い合わせが行われる。
【0032】
次に、この問い合わせは、変調回路42により、送信回路43、送信アンテナ48を介して、回路部3に向けて出力される。回路部3は、タグアンテナ部12で問い合わせ信号(無線信号)を受信すると共に、受信した無線信号から生成した電力をダイオード24で整流し、直流電圧(以下、「DC電圧」と記す)を生成する。このDC電圧をコンデンサ25に充電すると共に、このDC電圧をタグ回路部11に供給し、タグ回路部11を起動する。これによって、タグ回路部11の制御回路28、復調回路29、変調回路21、メモリ22が起動する。よって、RFIDタグ2は、電池などの電源を搭載していなくてもタグ回路部11を動作させることができる。
【0033】
次に、制御回路28からの指示で復調回路29は、受信した無線信号から上記「認証コードは存在するか?」という問い合わせを復調する。
【0034】
また、制御回路28は、上記復調回路29への指示と同時にメモリ22に記憶保持している認証情報を読み出している。
【0035】
メモリ22に記憶保持されたタグ情報、すなわち、金融端末1を特定する正規の認証情報が「認証コードABC」であった場合には、制御回路28は、その問い合わせに対して「認証コードABC」が存在することを、変調回路21を介してスイッチ27をON、OFFさせて応答する。
【0036】
すなわち、スイッチ27がONすれば、タグアンテナ部12の端子aと端子bとが短絡され、スイッチ27がOFFされれば、タグアンテナ部12の端子aと端子bとが開放される。これによって、RFIDリーダ装置50から送信された電波を反射するか否かをタグ情報に応じて制御し、そのタグ情報の内容を伝達することができる。すなわち、タグ情報の「1」と「0」に対応させてスイッチ27をONまたはOFFさせ、このスイッチ27のON、OFFの繰り返しパターンにより、タグアンテナ部12からRFIDリーダ装置50に応答出力し、「認証コードABC」が存在することが報告される。例えば、タグ情報が「1」のときはスイッチ27をONにし、タグ情報が「0」のときはスイッチ27をOFFにする。なお、回路部3はタグアンテナ部12の端子aと端子bを開放させたときに、反射が起きないように、インピーダンスをマッチングさせるコンデンサ26を有している。
【0037】
RFIDリーダ装置50は、受信アンテナ49を介して受信回路44で応答信号を受信し、復調回路45に伝達する。そして、制御回路41は復調した信号により、「認証コードABC」の存在を確認する(S14)。
【0038】
改ざん防止装置32は、制御部1iの記憶部(図示せず)に予め正規の認証情報、例えば、認証コードを含む端末固有の端末情報1Lを記憶している。改ざん検出部1kは、RFIDタグ2のタグ情報(認証コードABC)を取得した後、メモリ部40をクリアする。そして、改ざん検出部1kは端末情報1LとRFIDタグ2のタグ情報とを比較、照合する(S16)。その結果、改ざん検出部1kは、照合が一致(YES)すれば、金融端末1を正規の端末と判断する(S18)。この場合は、所定の時間を計測し(S22)、所定の時間が経過した後で、再度、RFIDタグ2のタグ情報を確認するためにステップ12(S12)に戻る。所定の時間とは、0.5秒や2秒などを設定する。これにより、改ざん行為が行われるのを監視し、改ざん行為が行われたときに各種処理機能の動作を停止する。なお、所定の時間は、タイマ1gから得られる時間により制御部1iで計測される。
【0039】
一方、「認証コードABC」がメモリ部40に記憶されていない場合、または異なる認証コードが記憶されている場合など、照合が一致しない場合(NO)には、金融端末1を非正規の端末と判断する(S18)。この場合は不正な改ざんが行われたものと判断し、情報処理部1c、通信部1d、表示部1e、印字部1fの各種処理機能の動作を停止する(S20)。さらに、制御部1iの記憶部(図示せず)に記憶保持されている認証情報としての端末情報1Lをクリアし、再度、タグ情報の照合処理ができないようする。これにより、各種処理機能を停止させた後、再び作動できないようにしている。端末情報1Lをクリアすることで、金融端末1で決済を行うのに必要な認証情報もなくなるため、再度、金融端末1を使用することができなくなる。
【0040】
このように、改ざん防止装置32は、RFIDリーダ装置50でRFIDタグ2のタグ情報を読み取り、制御部1iに予め設定・記憶保持されている端末情報1Lと照合処理することで、金融端末1が正規の端末であるか否かを判断することができる。また、改ざん防止装置32は、RFIDタグ2のタグ情報をメモリ部40から読み取れない場合、RFIDタグ2が破断されているものと判断でき、改ざんを検出することができる。
【0041】
なお、図2において、RFIDリーダ装置50は、変調、同期を行うためのクロック回路46と、各回路にDC電圧を供給するための電源回路47を備えている。電源回路47は、例えば、DC電圧を発生させる電池などを有する。
【0042】
次に、図4〜図6を参照しながら、本発明の実施の形態におけるRFIDタグ2について説明する。図4は同実施の形態におけるRFIDタグ2の上面図、図5は同実施の形態における図4のA−A線による分離断面図、図6は同実施の形態におけるRFIDタグ2内の回路部3の構成を示す上面図である。
【0043】
図4に示すように、RFIDタグ2は、内部にタグ情報を記憶保持した回路部3を備えている。そして、RFIDタグ2は、金融端末1から剥離されると、回路部3を後述する破断部4の箇所で破断するように形成されている。
【0044】
具体的には、図5に示すように、RFIDタグ2は、薄く、四角形状をした基材5の印刷面6に回路部3を印刷によって形成している。
【0045】
基材5は、例えば、プラスチックシートで形成する。また、基材5は多数の破断部4を有する。また、基材5は印刷面6と反対側に粘着剤が塗布されている接着面10を有している。この接着面10を、例えば、金融端末1の筐体1hに接着する。これにより、基材5は筐体1hに固定される。
【0046】
図6に示すように、回路部3は、タグ情報を記憶保持するタグ回路部11と、このタグ回路部11の端子a、bに電気的に接続され、無線信号を受信するタグアンテナ部12とを有している。回路部3を、例えば、公知の有機高分子で形成する。よって、回路部3の製造方法として、塗布製膜により高品質薄膜層を作成できることから、インクジェットや輪転機などの印刷プロセスを利用することができる。このような印刷プロセスでタグ回路部11の有機薄膜トランジスタなどの回路を形成でき、基材5上の印刷面に回路部3を印刷することができる。タグアンテナ部12は導電インクにより形成する。
【0047】
また、図5に示すように、破断部4は、基材5に設けた多数の窪みに剥離層を形成した剥離部7と、全面に粘着剤を塗布した接着面9を有し、この接着面9で剥離部7上に印刷された回路部3全体を接着する外装部8とを備えている。外装部8は、少なくとも回路部3を覆う大きさとした。このような構成により、破断部4は、剥離部7の上面に印刷した回路部3を剥離しやすくすると共に、接着面9で印刷面6および回路部3に接着する。
【0048】
破断部4は、外装部8を基材5から剥離すると、剥離しやすい部分で、回路部3を接着面9に接着したまま剥離する。すなわち、破断部4は、剥離部7の上面に印刷した回路部3を基材5から剥離すると共に、回路部3を破断する。この回路部3の破断の詳細については後述する。
【0049】
従来のタグICチップは硬い外装で形成されているために破断することが困難であったが、本実施の形態のRFIDタグ2は、印刷で回路部3を形成しているため、容易に破断することができる。よって、RFIDタグ2は外装部8を剥離すると、タグ回路部11およびタグアンテナ部12を破断し、再度使用しにくくしている。タグ回路部11は薄膜を複雑に重ねて形成されているので、破断した後に修復しにくい。このため、RFIDタグ2は、以後の使用ができなくなり、改ざんを防止することができる。また、タグ回路部11およびタグアンテナ部12は有機高分子で回路を形成しているため、印刷プロセスを用いて形成できるので生産性が高い。
【0050】
次に、図1、図7および図8を参照しながら、金融端末1に貼付したRFIDタグ2を剥離させた場合の回路部3の破断について、詳細に説明する。図7は本発明の実施の形態におけるRFIDタグ2を金融端末1に貼付したときの概略断面図、図8は同実施の形態におけるRFIDタグ2の破断を説明する図である。
【0051】
RFIDタグ2は、図7に示すように、基材5の接着面10で金融端末1(図1)の筐体1hに接着している。これにより、金融端末1は、RFIDタグ2で封印されているため、内部に収納した情報処理部1cと通信部1dとをRFIDタグ2を破断することなく改ざんすることができない。
【0052】
これにより、金融端末1からRFIDタグ2を剥離しようとすると、回路部3が外装部8の接着面9に接着しているため、剥離部7上に印刷した回路部3が一緒に剥離する。剥離した後は、図8(a)に示すように、基材5において剥離部7上の回路部3のみが剥離された状態となる。これにより、回路部3を破断できる。
【0053】
また、図8(b)で示すように、破断した後、基材5に残った回路部3の部分と、外装部8に接着した回路部3の部分とを張り合わせて修復しようとしても、タグ回路部11とタグアンテナ部12は複雑に破断されるため、修復しにくい。特に、薄膜を複雑に重ねて形成されているタグ回路部11は修復しにくい。
【0054】
このように、金融端末1からRFIDタグ2を剥離し、情報処理部1cと通信部1dを改ざんしようとすると、RFIDタグ2の回路部3が破断し、破断した後、再度使用しにくくすることができる。その結果、金融端末1は、改ざん検出部1kで改ざんを検出したことより機能停止部1jで停止させた各種機能部(例えば情報処理部1c、通信部1d、RFIDリーダ装置50)を再度使用しにくくすることができる。
【0055】
次に、図9を参照しながら、本実施の形態におけるRFIDタグ20の他の実施例について説明する。
【0056】
図9に示すように、RFIDタグ20は、基材5を破断する破断部13を備え、この基材5を破断して印刷面6に印刷された回路部3を破断する。すなわち、破断部13は、タグ回路部11およびタグアンテナ部12の印刷領域に所定の間隔で孔部列を有し、この孔部列に沿ってタグ回路部11とタグアンテナ部12とを破断する。例えば、基材5に設けた一方の切り抜き部14から他方の切り抜き部14まで孔部列に沿って破断する。なお、破断部13は、少なくとも基材5のタグ回路部11の印刷領域を破断する。また、孔部列は直線に限定されない。例えば、ノコギリの歯のように複雑なジグザグ状に配列する。これにより、さらに修復しにくくすることができる。
【0057】
このように、基材5を破断する破断部13を備えることで、タグ回路部11およびタグアンテナ部12を破断できる。これにより、RFIDタグ20は、破断した後修復しにくく、再度使用しにくい。
【0058】
以上述べたように、本実施の形態における金融端末1のRFIDタグ2を用いた改ざん防止装置32によれば、電子機器を収納した筐体1hを封印すると共に、破断部13に印刷で回路部3が形成されているRFIDタグ2と、RFIDタグ2のタグ情報の読み取りに基づいて改ざんを検出する改ざん検出部1kと、改ざん検出部1kにより改ざんが検出された場合、電子機器の機能を停止させる機能停止部1jとを備えているので、筐体1hを開封したときにRFIDタグ2の回路部3が破断し、改ざんできないものである。すなわち、本発明の実施の形態における改ざん防止装置32は、回路部3が破断することで改ざん検出部1kによりRFIDタグ2からタグ情報が読み取れなくなり、その後、機能停止部1jにより電子機器の機能が停止される。これにより、不正な改ざんを検出すると共に電子機器の機能を停止させ、その後で再度使用できなくすることができる。
【0059】
また、改ざん防止装置32は、RFIDタグ2のタグ情報と認証情報である端末情報1Lとを比較し、RFIDタグ2が正規なものでない場合に改ざんと判断することができ、機能停止部1jにより各種電子機器の機能を停止させることができる。
【0060】
また、RFIDタグ2は、破断部4に印刷で回路部3を形成しているので容易に破断することができる。回路部3は、タグ回路部11とタグアンテナ部12とを有している。破断部4は、基材5に設けた多数の窪みに剥離層を形成した剥離部7と、全面に粘着剤を塗布した接着面9を有し、この接着面9で剥離部7上に印刷された回路部3全体を接着する外装部8とを備えている。このような構成により、外装部8を剥離すると、剥離部7上に印刷した回路部3のみを基材5から剥離し、回路部3を破断する。よって、タグ回路部11およびタグアンテナ部12を破断し、破断した後、再度使用できなくなる。その結果、金融端末1は、各種機能を実行する電子機器を改ざん検出より停止させた後、再度使用できなくすることができる。
【0061】
また、本実施の形態におけるRFIDタグ20は、基材5を破断する破断部13を備え、この基材5を破断して印刷面6に印刷された回路部3を破断する。すなわち、破断部13は、タグ回路部11およびタグアンテナ部12の印刷領域に所定の間隔で孔部列を有し、この孔部列に沿ってタグ回路部11とタグアンテナ部12とを破断するようにしてもよい。これにより、タグ回路部11とタグアンテナ部12とが破断しやすくなり、破断した後再度使用できなくなる。その結果、金融端末1は、各種機能を実行する電子機器を改ざん検出より停止させた後、再度使用できなくすることができる。
【0062】
なお、図1において、RFIDタグ2で筐体1hの一部を封印するようにしたが、これに限定されない。例えば、RFIDタグ2で筐体1hの全体を封印するようにしてもよい。RFIDタグ2の回路部3は印刷で形成されているため、筐体1hの表面における図案の一部に含むデザインとしてもよい。これにより、筐体1hの表面の一部に悪意の第三者が孔を開けて改ざん行為を行う場合であってもRFIDタグ2の動作が停止するため、改ざん防止装置32により改ざんを検出し、各種機能を実行する電子機器を停止させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上のように本発明は、破断部に印刷で回路部が形成されているRFIDタグで電子機器を収納した筐体を封印しているため、筐体を開封したときにRFIDタグの回路部が破断する。これにより、RFIDタグのタグ情報を取得できなくなり、この後、電子機器の機能が停止される。したがって、電子機器に不正な改ざんが行われた後、再度使用できなくすることを可能とするRFIDタグを用いた改ざん防止装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態における金融端末の外観斜視図
【図2】本発明の実施の形態におけるRFIDシステムの回路ブロック図
【図3】本発明の実施の形態における改ざん防止装置の動作を説明するためのフローチャート
【図4】同実施の形態におけるRFIDタグの上面図
【図5】同実施の形態の図4におけるA−A線による分離断面図
【図6】同実施の形態におけるRFIDタグの回路部の構成を示す上面図
【図7】同実施の形態におけるRFIDタグの概略断面図
【図8】同実施の形態におけるRFIDタグの破断を説明する図
【図9】同実施の形態におけるRFIDタグの他の例を示す上面図
【符号の説明】
【0065】
1 金融端末
1a カードリーダ部
1b 入力部
1c 情報処理部
1d 通信部
1e 表示部
1f 印字部
1g タイマ
1h 筐体
1i 制御部
1j 機能停止部
1k 改ざん検出部
1L 端末情報
2,20 RFIDタグ
3 回路部
4,13 破断部
5 基材
6 印刷面
7 剥離部
8 外装部
9,10 接着面
11 タグ回路部
12 タグアンテナ部
14 切り抜き部
21,42 変調回路
22 メモリ
24 ダイオード
25,26 コンデンサ
27 スイッチ
28,41 制御回路
29,45 復調回路
30 決済管理装置
31 ネットワークまたは電話網
32 改ざん防止装置
40 メモリ部
43 送信回路
44 受信回路
46 クロック回路
47 電源回路
48 送信アンテナ
49 受信アンテナ
50 RFIDリーダ装置
60 RFIDシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を収納した筐体を封印すると共に、破断部に印刷で回路部が形成されているRFIDタグと、
前記RFIDタグのタグ情報の読み取りに基づいて改ざんを検出する改ざん検出部と、
前記改ざん検出部により改ざんが検出された場合、前記電子機器の機能を停止させる機能停止部とを備え、
前記改ざん検出部と前記機能停止部を前記筐体内に配置していることを特徴とするRFIDタグを用いた改ざん防止装置。
【請求項2】
前記改ざん検出部はRFIDリーダ装置を有し、
前記RFIDリーダ装置により前記RFIDタグのタグ情報を所定のタイミングで検出し、前記タグ情報の読み取りができない場合、改ざんと検出することを特徴とする請求項1に記載のRFIDタグを用いた改ざん防止装置。
【請求項3】
前記改ざん検出部はRFIDリーダ装置を有し、
前記RFIDリーダ装置により前記RFIDタグのタグ情報を所定のタイミングで検出し、前記タグ情報と所定の情報との比較により前記RFIDタグが正規なものでないと判断した場合、改ざんと検出することを特徴とする請求項1に記載のRFIDタグを用いた改ざん防止装置。
【請求項4】
前記回路部は、タグ情報を記憶保持するタグ回路部と、
このタグ回路部に電気的に接続され無線信号を受信するタグアンテナ部とを有していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のRFIDタグを用いた改ざん防止装置。
【請求項5】
前記破断部は、少なくとも前記タグ回路部を破断するように形成されていることを特徴とする請求項4に記載のRFIDタグを用いた改ざん防止装置。
【請求項6】
前記破断部は、印刷面に設けられた多数の窪みに剥離層を形成した剥離部と、
粘着剤を塗布した接着面を有し、この接着面で前記回路部を接着する外装部とを備え、
前記外装部で前記剥離部の上面に印刷された回路部を剥離できると共に、破断できることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のRFIDタグを用いた改ざん防止装置。
【請求項7】
前記破断部は、前記タグ回路部の印刷領域に所定の間隔で孔部列を有し、この孔部列に沿って破断できることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載のRFIDタグを用いた改ざん防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−258822(P2009−258822A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104446(P2008−104446)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】