説明

RFIDタグ

【課題】RFIDチップに格納された情報の保護やその真正性保証のために、これを備えたシール型RFIDタグの被着体に貼付されたときの堅牢さを確保しながら、当該被着体から剥がされた時点でRFIDチップと外部端末との無線交信を確実に遮断する。
【解決手段】
粘着層が塗布された基材の実装面にRFIDチップを固定して成り、その粘着層で被着体に貼り付けられるシール型RFIDタグにおいて、RFIDチップとともにその主面に形成されたアンテナが粘着層に埋め込まれ、且つ当該アンテナの粘着層への接着強度をそのRFIDチップへの接合強度より高くする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグ(特にシール型RFIDタグと呼ばれるもの)の構造と製造方法に関し、シールを被着体(adherend)から剥がした際に当該RFIDタグを機能させなくすることにより、当該被着体の管理に無用となったRFIDタグに格納された情報の外部装置による読み出し防止(プライバシー保護)や、当該RFIDが被着体から剥がされていないこと(RFIDの真正性)の保証に好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路(IC)から成る記憶媒体を備え且つ当該記憶媒体とその外部回路(外部端末)との間で無線により情報を授受するように設計された無線ICタグ(非接触型記憶チップ・タグ)を代表するRFIDタグ(Radio Frequency IDentification-tag)が、下記特許文献1に開示されている。RFIDタグは、大規模物流システムにおける荷物管理や製品のライフサイクル管理に普及しつつある。昨今では、前者における荷主等のプライバシー保護、及び製品、紙幣、並びに有価証券の偽造・変造防止のために、RFIDに装着したアンテナが機械的に破壊され易く設計されたRFIDタグが多用されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−227037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
RFIDタグの一種として、その基材に粘着面を設け、又は粘着材を含む基材を用いて成るシール型RFIDタグは、荷物や製品に接着されて、その外部端末(非接触型のリーダ及び/又はライタ)とともに当該荷物や製品を管理し、当該荷物又は製品から剥離されてその管理の役目を終える。シール型RFIDタグを荷物や製品の梱包に用いる(例えば、ガムテープ代わりとする)とき、当該梱包の開封によりシール型RFIDタグは用済みとなる。管理対象(荷物や製品)から剥がされたシール型RFIDタグは、当該管理対象に粘着されていたときより、その外部端末と情報を交信し易くなり、故に当該シール型RFIDタグの記憶媒体に格納された情報の不正な読み出しや改竄の危険性が浮上してきた。
【0005】
本発明は、シール型RFIDタグに格納されたプライバシーの保護やその真正性証明のために、その管理対象からの剥離又は管理対象の開封により用済みとなったシール型RFIDタグの外部端末との通信機能を確実に失わせることを目的とする。本発明の更なる目的は、当該通信機能の除去を目視でも確認できるように、シール型RFIDタグが管理対象から剥がされるや否や、そのRFIDチップとアンテナとを確実に切断する構造を提供することにある。
【0006】
RFIDタグに搭載される集積回路素子からなる記憶媒体(以下、RFIDチップとも記す)は、これと外部端末との間での通信に用いられるアンテナがRFIDチップ自体(例えば、その主面上)に形成された群と、これがRFIDチップ以外の部材(例えばRFIDチップが搭載される基材)に形成された群(RFIDチップに対してアンテナが言わば外付けされた群)とに概ね分けられる。RFIDチップに対して外付けされたアンテナは比較的大きいため、アンテナとRFIDチップの接続が破壊されても手作業で修復できる可能性は否めない。一方、RFIDチップ上に形成されたアンテナは、当該RFIDチップと堅固な電気的接続を成し、これに脆弱な部分を形成することが困難であった。従って、シール型RFIDタグに備えられたアンテナが上述した2種類のいずれであっても、その用済み後にRFIDチップに格納された情報が読み出され又は改竄される可能性は否めない。本発明は、これらの課題を解決するに好適な構造を有するRFIDタグ(シール型RFIDタグ)を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的に鑑み、本発明は以下に例示されるRFIDタグを提供する。
【0008】
このRFIDタグは、「主面の一方側に配置されたアンテナとこのアンテナに電気的に接続された回路(記憶回路等)とを有するチップ」と、「粘着層が塗布された実装面を有し且つこの粘着層により前記チップが前記主面の他方を実装面に向けて固定されている基材」とを備え、
前記アンテナは、その前記回路と電気的に接続される第1部分と前記チップの前記一方の主面から離された第2部分とから成り、且つ
前記チップは、前記一方の主面及びその上部に延在する前記アンテナが前記粘着層に覆われるようにして当該粘着層内に埋め込まれていることを特徴とする。
【0009】
このRFIDタグは、前記粘着層の前記基材(前記実装面)とは反対側の面で被着体に貼り付けられ、これが被着体から剥がされるときの粘着層の変形が前記アンテナを破壊する。
【0010】
本発明によるRFIDタグの具体的な第1例は、前記アンテナが、前記チップの一方の主面に形成された第1導体膜のパターンにめっきされた第2導体膜からなり、この第1導体膜はアンテナの前記第1部分と接する部分を残してチップの一方の主面から除去され、且つアンテナの前記第2部分と該チップの一方の主面とは前記粘着層により隔てられていることを特徴とする。さらに、前記第1導体膜と前記アンテナを成す前記第2導体膜とは密着層を介して接合され、「密着層を介した第1導体膜と第2導体膜との接合強度」は「第2導体膜と粘着層との接合強度」より高く、且つ当該「第2導体膜と粘着層との接合強度」は「粘着層と前記チップの一方の主面との接合強度」より高いことを特徴とする。
【0011】
この第1例のRFIDタグは、次の製造工程にも特徴付けられる。即ち、RFIDチップの主面(又はその主面に形成された保護膜)、及びこの主面に形成されたアンテナ接続用電極(RFIDチップに設けられた回路に導通される所謂パッド、例えばアルミ電極)を、その各々に高い密着性を示す第1導体膜(TiやCrなどの層)で覆う。さらに第1導体膜上にはCuなどの通電層を積層してもよい。この第1導体膜上にフォトレジストでアンテナパターンを形成した後、電気めっきによって第1フォトレジストから露出された第1導体膜(又は通電層)上にアンテナとなる第2導体膜を形成する。これにより、RFIDチップの回路とアンテナ(第2導体膜)との電気的な接続は、アンテナ接続用電極と第1導体膜(TiやCrの密着層)との強い接合により確固となり、RFIDタグの動作も安定化する。また、RFIDチップの主面のアンテナ接続用電極が形成された部分以外から第1導体膜を除去することにより、第2導体膜の「アンテナ」として機能する部分(前記第2部分)をRFIDチップの主面から浮かせ、これらの間を粘着層で充填できる。これにより、RFIDタグが被着体から剥がされる際に、アンテナは粘着層の変形(伸張)により破壊され、例えばその第1部分と第2部分との間で切断される。
【0012】
なお、TiやCrなどの密着層(第1導体膜)や通電用の銅薄膜のRFIDチップ(例えばウェハ)の主面上への形成には、スパッタなどを用いるとよく、この第1導体膜や通電層(銅薄膜)上へのめっきによるアンテナパターンの形成には、銅や金などの電気抵抗の低い材料を用いることが望ましい。さらに、めっきにより形成されたアンテナパターンとRFIDチップの主面との間からTiやCrからなる密着層を短時間で除去するには、そのサイドエッチを加速するようにアンテナパターンを設計することが望ましい。例えば、アンテナ(第2導体膜)の前記第2部分の幅を、その前記第1部分(アンテナ接続用電極との接続部)に比べ細くすると、密着層のサイドエッチングの完了も速まる。
【0013】
本発明によるRFIDタグの具体的な第2例は、前記チップの前記一方の主面には、前記回路と前記アンテナの前記第1部分とを接続させる開口を有する絶縁膜が形成され、アンテナの前記第2部分は、開口から絶縁膜上に延在するように形成されていることを特徴とする。さらに、前記アンテナを成す導体膜は、前記絶縁膜より前記粘着層に対して強い接着力を示すことを特徴とする。
【0014】
第2例のRFIDタグでは、上述した密着層を形成せずに、RFIDチップのアンテナが形成される。RFID回路製造工程の完了後(RFIDチップの完成後)、RFIDチップ(ウェハ)の主面から露出したアンテナ接続用アンテナ(アルミニウム電極)上に、金などの「アルミニウムとは容易に反応し且つRFIDチップ表面の保護膜とは密着強度の弱い金属」を蒸着し、この金膜上にフォトレジストから成るアンテナパターンを形成する。その後、この金膜をヨウ素−ヨウ化アンモニウムの溶液などでフォトレジスト・パターンを通してエッチングして、アンテナに成形する。このようにして形成された金膜のアンテナは、RFIDチップ主面を覆う保護膜(絶縁膜)と剥離し易い。このため、金膜のアンテナの剥離を避けるために、エッチングに用いたフォトレジスト材料は除去せずに保護膜上に残し、金のアンテナとともに粘着層に埋め込むことで、予測外のアンテナの剥離を防ぐことが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるRFIDタグは、これを被着体から剥がす外力により、その基材にRFIDチップを固定し且つRFIDタグを被着体に固定する粘着剤が伸び、粘着剤に密着したRFIDチップ上のアンテナが基材から被着体側に引き剥がされる。これにより、アンテナとRFIDチップのアンテナ接続用電極との接合が切断される。このため、剥がす外力によって、RFIDチップが読取機(リーダ)またはリーダ/ライタ(読取/書込機)等の外部端末から読めなくなり、プライバシー保護や変造防止が達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明によるRFIDタグの実施形態について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0017】
本実施例では、RFIDチップの主面に形成された電極に密着層を介さずにアンテナをRFIDチップと接続するRFIDタグの製造プロセスについて、図1を用いて説明する。通常、RFIDチップ(例えば、半導体素子)は、その基材(例えば、半導体ウェハ)の主面に複数のRFIDチップの回路を形成し、その後、複数のRFIDチップに対応する電極の各々に一括してアンテナを形成するという所謂「ウェハ単位の処理」で作製される。基材主面内に形成された複数のRFIDチップは、基材の切断により、図2乃至4の各々に示されるRFIDチップ9毎に分離される。なお、図1には、RFIDチップの製造工程が、基材から切り出されたウェハの個片2の断面により簡略化されて示されるが、この図示は例えば(d)及び(e)に示されるアンテナパターンなどのフォトリソ工程のウェハ単位での処理を排除しない。図1に示されたRFIDチップの断面、及び図2及び図4に示される当該RFIDチップが搭載されたシール型RFIDタグ12,12aの断面は、シール型RFIDタグ12の平面構造をこれに搭載されたRFIDチップ9の主面の透視像とともに示す図3のA−A断面として模式的に描かれている。
【0018】
図1(a)には、珪素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム砒素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)等の半導体材料の単結晶からなる基材2aの主面に、フォトリソグラフィ等により複数のトランジスタ(図示せず)を形成し、当該トランジスタから成る信号処理回路や記憶回路を設ける所謂RFID回路製造工程を経たウェハ2の断面構造が示される。基材2aの主面には、当該基材(例えば半導体材料)より低い導電性を示す材料(例えば、基材の酸化物や窒化物、又は絶縁性の有機材料又は無機材料)の膜2bが形成され、上述した信号処理回路や記憶回路が保護される。膜2bには基材2aの主面を露出する開口が設けられ、当該開口から基材2aの主面に形成され且つ信号処理回路や記憶回路に結線された導体膜が露呈される。この導体膜はアンテナ接続用電極1として示される。本実施例のみならず以降に説明されるRFIDチップでは、基材2aとその主面に形成される膜2bとを纏めて「ウェハ2」と記し、そのアンテナ接続用電極1が露出した面を当該「ウェハ2の主面」と記す。本実施例において、アンテナ接続用電極1はアルミニウム(Al)又はこれを含む合金で形成されるが、その材料は特に限定されない。膜2bが半導体材料の酸化物や窒化物等で比較的堅固に形成されているとき、その開口を通して、当該開口で露呈された基材2aの部分に不純物を拡散させて、当該部分をアンテナ接続用電極1に変えてもよい。
【0019】
RFID回路が形成されたウェハ2の主面には、金(Au)の薄膜3が1マイクロメートル(μm)程度の厚みで蒸着される(図1(b)参照)。さらに当該ウェハ2を300℃で5分程度の加熱して、金薄膜3とアンテナ接続用電極1の材料であるアルミニウムとを反応させ、これらの界面に金属間化合物4を形成する(図1(c)参照)。本実施例では、アンテナ接続用電極1がアルミニウム(Al)又はこれを含む合金で形成されているため、上記薄膜(導体膜)3の材料としてアルミニウムとは容易に反応し且つウェハ2の主面を覆う膜2bとは密着強度の弱い「金」が用いられている。
【0020】
その後、フォトレジスト5によりアンテナパターンが薄膜3上に形成され(図1(d)参照)、さらにヨウ素−ヨウ化アンモニウム溶液によりフォトレジスト5のパターンを通して薄膜3(金蒸着膜)がエッチングされ、アンテナ6に成形される(図1(e)参照)。これにより、アンテナ接続用電極1との電気的接続は良好で且つチップ保護膜(上記膜2b)と剥離しやすいアンテナ6が形成される。
【0021】
上述のように形成されたRFIDチップ9は、図2に示される如く、そのウェハ2の裏面(アンテナ6が形成された主面とは反対側の他の主面)で粘着材7によりRFIDタグの基材となる表装紙(Paper Board)8の主面に固定される。表装紙8の主面に塗工された粘着材7の上面には、これが乾燥される前にRFIDチップ9が置かれる。粘着材7は、その塗布膜にRFIDチップ9が徐々に沈む間に乾燥される。図2に示されたRFIDタグでは、RFIDチップ9のアンテナ6が形成された主面(これに形成されたチップ保護膜2bの上面)が粘着材7の上面から露出されるが、このRFIDチップ9を粘着材7(の塗布膜)に完全に埋没させてもよい。さらに表装紙8の主面(粘着材7の上面)には粘着材10が塗布され、この塗布膜が適度に乾燥された後、当該塗布膜の上面に剥離紙11が密着される。これにより、RFIDチップ9が粘着材7,10に埋め込まれたシール型RFIDタグ(アンテナ付RFIDシールタグ)12が完成する。図3にはシール型RFIDタグ12の平面構造が、剥離紙11及び粘着材10を通して透視されるRFIDチップ9の平面構造(アンテナ6が形成された主面)とともに示される。
【0022】
RFIDチップ9の製造工程でエッチングに用いたフォトレジスト5は、そのRFIDタグへの搭載に用いた粘着剤7または粘着剤10との密着性が良いため、RFIDチップ9のアンテナ(導体膜)6上に残しておくことで、RFIDタグ12が被着体から剥離される際のアンテナ6の破壊確率が高まり且つRFIDタグ12の製造工程における高い歩留まりも確保される。
【0023】
図4(a)には、被着体15に貼り付けられた本実施例のRFIDタグ12aの断面が示され、図4(b)には、被着体15から剥離されることにより外部端末(非接触型のリーダ及び/又はライタ)との通信機能が奪われたRFIDチップ9の残骸(表装紙8上に残されたウェハ2)の断面が示される。被着体15は、例えば封筒や包装紙の一端を示し、その他端には参照番号14が付される。例えば、図4(a)にはRFIDタグ12aで封止された封筒が、図4(b)にはRFIDタグ12aの剥離により開封された封筒が、それぞれ示される。図4(a)に示されたRFIDタグ12aは、図4(b)においてRFIDタグの体を成さないが、本明細書では、図4(b)に示されたRFIDタグの欠片の集合体を「用済みとなったRFIDタグ」と呼ぶ。因みに、RFIDタグ12は、図2に示された断面を有する状態(未使用状態)で販売され、またはユーザに配られる。図4(b)には、被着体15からのRFIDタグ12aの剥離に伴って生じた粘着材の破断面7b,10bが示されるが、2層の粘着材7,10はこれらの接合界面沿いで破断されるとは限らない。RFIDチップ9のアンテナ6として形成された導体膜は、その大部分6a,6bがRFIDチップ9の主面から被着体15の主面に残された粘着材の層に転写されるが、これとアンテナ接続用電極1との間に形成された金属間化合物層4に接するごく一部6cはRFIDチップ9の主面に残留する。
【0024】
図2に示されたRFIDタグ12は、剥離紙11の剥離で露出された粘着材10aが被着体の一端15に、表装紙8の裏面(RFIDチップ9搭載面の反対側の主面)に塗布された粘着層13が被着体の他端14に夫々押し当てられて、図4(a)に示される如く被着体に貼り付けられる。一方、被着体の一端15とその他端14との間にこれらを引き離す力を掛けると、RFIDタグ12aは粘着層13により被着体の他端14に留まり続けるが、粘着材7,10の少なくとも一つ又はその界面は、この力により破壊される。粘着材7,10の少なくとも一つの破壊は凝集破壊と呼ばれ、これらの界面における剥離は界面破壊と呼ばれる。
【0025】
RFIDチップ9のアンテナ接続用電極1に金属間化合物層4を介して接合されるアンテナ6が、粘着材7,10の凝集破壊及び界面破壊のいずれかで断線されることにより、RFIDチップ9は外部端末と交信できなくなる。用済みとなったRFIDタグ12のRFIDチップ9に格納された情報が外部端末により読み出されなくし且つ改竄されなくするには、RFIDチップ9に電気的に接続されたアンテナ6をそのウェハ2の主面から除去することが重要である。本発明によるRFIDタグ12は、これが被着体に添付されている期間にて、RFIDチップ9とアンテナ6との電気的な接続を良好に保ちながら、これが被着体から剥がされたときにRFIDチップ9を表装紙8の主面に残し且つアンテナ6を成す導体膜を表装紙8から分離される粘着材7,10のいずれかに転写するように構成される。
【0026】
本発明者らは、斯様なRFIDタグ12の着想に際し、下記の項目に着眼した。
項目1:粘着材7,10と金属や合金で形成されたアンテナ6との接着強度を高めるには、粘着材として、その硬化体のガラス転移温度(Tg)が低いものを用いるとよい。
項目2:粘着材7と粘着材10との溶解度パラメータ(δ,凝集エネルギーの1/2乗)の値が近いほど、相互の接着強度は高められる。
項目3:アンテナ6はそのパターニングに用いたフォトレジスト5とこれに接する粘着材7,10との接着強度を高めることで、粘着材7,10に転写され易くなる。
【0027】
半導体材料のウェハ2と、当該ウェハ2の主面に形成された半導体材料の酸化物や窒化物からなるチップ保護膜2bと、チップ保護膜2b上に当該チップ保護膜2bとの接着強度の低い金等の金属又は合金で形成されたアンテナ6とを備えたRFIDチップ9を用い、上記3項目を考慮して作製されたRFIDタグ12を以下に例示する。
【0028】
その第1例は、表装紙8としてポリエチレンテレフタレート(PET,δ=10.7)からなるイミテーションを、粘着材7としてポリアクリル酸ブチル(δ=8.8〜9.1,Tg=−57℃)を、さらに粘着材10としてエポキシ系接着剤(δ=9.7)をそれぞれ用いる。エポキシ系接着剤のガラス転移温度も100℃を下回らないため、RFIDチップ9はそのアンテナ6も含めて粘着材7で覆う。ポリアクリル酸ブチルの粘着材7はRFIDチップ9をポリエチレンテレフタレートの表装紙8に固定する一方、そのエポキシ系接着剤から成る粘着材10に接する部分には、被着体の一端15から粘着材10を通してこれに加わる力による凝集破壊が生じる。アンテナ6を成す金属又は合金の薄膜の大部分は、粘着材10に付着してRFIDチップ9から剥がされる粘着材7の一部に形成された破断面に転写される。
【0029】
その第2例では、正真正銘の紙(セルロース,δ=15.6)から成る表装紙8と、ポリアクリロニトリル(δ=15.4)から成る粘着材7と、シス−1,4−ポリイソプレン(δ=18,Tg=−47〜−24℃)からなる粘着材10とが用いられる。第2例では、0℃以下のガラス転移温度を有する粘着材10をアンテナ6に接触させるために、RFIDチップ9の少なくとも上面は、これに形成されたアンテナ6とともに粘着材7から露出させる。被着体の一端15から粘着材10に加わる力は、粘着材10と粘着材7との間の界面破壊、又は粘着材7の凝集破壊を発生させるが、いずれの場合においても、アンテナ6を成す金属又は合金の薄膜の大部分は、粘着材10に転写される。
【0030】
RFIDチップ9も上述した構造に限定されず、例えばチップ保護膜2bをエポキシ樹脂やアクリル樹脂等のガラス転移温度の高い樹脂で形成し、その上にスクリーン印刷等でアンテナ6を形成してもよい。この場合、アンテナ6を形成する導電性の材料の選択範囲が広げられる。
【0031】
一方、剥離紙11は、これと粘着材10との接着強度が、粘着材10とRFIDチップ9との接着強度や粘着材7,10間の接着強度より小さくなるように、その材料が選択され又はその粘着材10との接合面の表面処理が為される。剥離紙11の材料として、シリコーン樹脂、四フッ化エチレン樹脂等が利用できる。また、剥離紙11として、粘着材10との接合面がシリコーン樹脂や、マレイン酸の長鎖アルキル誘導体の共重合体でコーティングされた紙(セルロース)も用いられる。
【0032】
粘着層13は、「その凝集破壊」、並びに「それと表装紙8及び被着体の他端14との間における界面破壊」を、粘着材7,10の凝集破壊、粘着材7,10間の界面破壊、及び粘着材7,10とRFIDチップ9(チップ保護膜2b)との間の界面破壊が生じる前に起こさない接着剤で形成される。RFIDタグ12は、図4の如く、粘着層13で被着体14に接着されなくともよい。例えば、その表装紙8を粘着材10の膜より広げてRFIDタグ12の所謂プルタブ(Pull-tab)とすれば、この表装紙8を被着体15から引き離すことにより、RFIDチップ9から外部端末との通信機能を奪える。
【実施例2】
【0033】
本実施例では、RFIDチップの主面に形成された電極(アンテナ接続用電極)とその主面上に配されるアンテナとが密着層(例えば、付加的な金属又合金の層)を挟んで接続されたRFIDチップの製造工程と、これが搭載されたRFIDタグ(シール型RFIDチップ)の構造及び被着体への貼付形態とが、図5乃至7の参照により説明される。図5に示されたRFIDチップ900(ウェハ110)の断面、及び図6に示される当該RFIDチップが搭載されたシール型RFIDタグ1200の断面は、シール型RFIDタグ1200の平面構造をこれに搭載されたRFIDチップ900の主面の透視像とともに示す図7のA−A断面として模式的に描かれている。本明細書において、密着層とは、これを介して接合される一対の部材の接合強度(例えば、部材Aと密着層との界面破壊、及び密着層と部材Bとの界面破壊の生じ難さ)を、直接接合された当該一対の部材間の接合強度(例えば、部材Aと部材Bとの界面破壊の生じ難さ)より高める物体を指し、これに適用される材料は部材の夫々とともに特に限定されない。しかし、本願発明が適用される殆どのRFIDチップにおいて、密着層及びこれを介して接合される部材の各々は、金属又は合金から成る。
【0034】
図5には、本実施例におけるRFIDチップ900の製造プロセスの流れが、その基材となるウェハ110の断面構造の変化として示される。
【0035】
図5(a)には、実施例1に記された半導体材料の単結晶等からなる基材110aの主面に、信号処理回路や記憶回路を成す複数のトランジスタ(図示せず)がフォトリソグラフィ等により形成され、続いて、当該主面に当該基材より低い導電性を示す材料(例えば、基材の酸化物や窒化物、又は絶縁性の有機材料又は無機材料)の膜110bが形成されて上記信号処理回路や上記記憶回路が保護された所謂RFID回路製造工程を経たウェハ110の断面構造が示される。実施例1と同様に、本実施例の纏めて「ウェハ110」も基材110aとその主面に形成される膜(以下、チップ保護膜)110bとを備えたものとして定義される。基材110aの主面を覆うチップ保護膜110bには当該主面を露出する開口が設けられ、当該開口から基材110aの主面に形成され且つ信号処理回路や記憶回路に結線された導体膜(アンテナ接続用電極100)が露呈される。本実施例でも、アンテナ接続用電極100はアルミニウム(Al)又はこれを含む合金で形成されるが、その材料は特に限定されない。チップ保護膜110bが半導体材料の酸化物や窒化物等で比較的堅固に形成されているとき、その開口を通して、当該開口で露呈された基材110aの部分に不純物を拡散させて、当該部分をアンテナ接続用電極100に変えてもよい。
【0036】
本実施例のRFIDチップ900の製造プロセスと実施例1のそれとの相違は、図5(b)以降に現れる。図5(b)に示されるように、アンテナ接続用電極100が露出されるウェハ110の主面(チップ保護膜110b)上にはTiやCrなどから成る厚さ50nm(ナノメートル)程度の密着層120が、この密着層120上には100nm程度の後述されるめっき給電用の銅薄膜130が、スパッタ法等により夫々形成される。銅薄膜130上にはめっきレジスト500によりアンテナパターンが形成される。その後、図5(b)に示された断面を呈するウェハ110の上記上面は、導体材料を含む電解液に漬される。めっきレジスト500により露出された銅薄膜130の表面は、これと電解液に漬された他の電極との電位差に応じて、当該導体材料でめっきされる。ウェハ110の主面に電気めっきされる導体材料として、金などの腐食しにくく且つ電気抵抗の低い導体(例えば、金属や合金)を用いるとよく、これにより、RFIDチップ900のアンテナ600が図5(c)に示される如く形成される。
【0037】
図5(d)は、めっきレジスト500が剥離されたウェハ110の断面を示す。アンテナ600の下側には、その形成(電気めっきによる成膜)に用いた銅薄膜130と銅薄膜130の下地膜である密着層120とからなる積層構造上が、ウェハ110の主面のほぼ全域に広がる。この積層構造により、アンテナ600と外部端末との間で伝播される電磁波が減衰され又は遮断されることを防ぐために、積層構造の「アンテナ600とアンテナ接続用電極100との電気的接続に寄与しない部分」、換言すれば「アンテナ600と保護膜110bとに挟まれた部分」をエッチングにより除去する。特に隣接する導体層と強く接合するTi又はCrの密着層120のエッチングによる除去において、アンテナ600の下に形成された密着層120のサイドエッチを積極的に進めることは重要であり、これを長時間エッチングすることが望ましい。Tiから成り又はこれを主成分とする密着層120のエッチングには硫酸と過酸化水素を混合した水溶液を用いるとよく、Crから成り又はこれを主成分とする密着層120のエッチングにはアルカリ性過マンガン酸水溶液を用いるとよい。これによって、特にアンテナパターン直下の密着層120は容易に取り除くことができる。
【0038】
図5(e)には、密着層120及び銅薄膜130の言わば不要部分がエッチングで除去されたウェハ110の断面が示される。図5(c)及び(d)に示されたアンテナ(めっき層)600は、その銅薄膜130及び密着層120を介してアンテナ接続用電極100に接続する部分(アンテナ接続用端子)と、それ以外の部分(狭義のアンテナパターン)とで異なる参照番号が宛がわれている。後者(アンテナパターン)の参照番号600Aに対して、前者(アンテナ接続用端子)の参照番号は600Bとなる。上記積層構造の除去工程にて、密着層120のサイドエッチはRFIDチップ900のアンテナ接続用電極100付近でも進行する。しかし、アンテナパターン600Aの平面的な広がりを、アンテナ接続用端子600Bのそれに比べて細くする(抑える)ように夫々の形状(めっきレジスト500のパターン)を設計することで、アンテナパターン600Aの近傍における密着層120のサイドエッチングは相対的に早く完了する。換言すれば、アンテナ接続用電極100とアンテナ接続用端子600Bとの間に、密着層120と銅薄膜130とからなる積層構造が十分な広さで残されるため、RFIDチップ900と外部端末との通信機能は確実に維持される。
【0039】
図6(a)には上述したRFIDチップ(アンテナ内蔵チップ)900が搭載されたRFIDタグ1200の断面構造が示され、図6(b)には被着体15に貼付されていたRFIDタグ1200の当該被着体15から剥がされたときの断面形状が夫々示される。なお、参照番号600a〜600cは、上述した600A,600Bと同様に、広義のアンテナ(めっき層)600に由来する部材を指すが、その定義は後述される。RFIDチップ900は、そのウェハ110の底面(アンテナ600が形成された主面の反対側)をシール部材800に塗工した粘着剤700上に押し付け、その後、当該ウェハ110のアンテナ面(アンテナ600が形成された主面)と未乾燥状態にある粘着剤700の上面とに1層の粘着剤1000が塗工される。その後、粘着剤1000に適度の粘弾性を保たせながら、粘着剤700,1000を乾燥し、粘着剤1000の上面を剥離紙1100と密着させる。これにより、図6(a)に示される粘着剤に埋め込まれたアンテナを備えたシール型RFIDタグ(シールタグ)1200が完成する。本実施例では、アンテナ600が電気めっきにより形成されるため、その表面(成長面)に生じた凹凸が、これとこれに接する粘着剤700又は粘着剤1000との接触面積を広げる。蒸着やスパッタにより形成されるアンテナは、平坦性がよく、更には光沢のある表面を有するため、これと高い強度で接着し得る粘着剤の種類も限られる。しかし、アンテナ600の表面が粗くなることにより、当該表面に対して高い接着強度を示す粘着剤の選択範囲も広がる。例えば、ガラス転移温度(Tg)の高いエポキシ樹脂でもアンテナ600に強く接着する。その結果、アンテナ600(特にアンテナパターン600A)の粘着剤への転写によるRFIDチップ900の破壊は容易となる。
【0040】
RFIDタグ1200において、アンテナ600(アンテナ面)は、図6(a)に示す如く、ウェハ110のシール部材800(RFIDタグ1200の基材)の反対側に向けることが推奨されるが、その用途に応じてシール部材800に対向させてもよく、一定の効果が奏される。本実施例によるRFIDタグ12は、図6(a)に示された断面を有する状態(未使用状態)で販売され又はユーザに配られ、図6(b)に示された断面を呈した時点で「用済み」となる。
【0041】
本実施例で説明されるRFIDタグ1200の用途は、実施例1のRFIDタグ12のそれとほぼ同じ同様であり、例えば、シール部材800の裏面に接着剤を塗布し、当該接着剤と粘着剤1000との双方で被着体に接着させることもできる。図6(b)には、粘着剤1000の膜より外側に延びたシール部材800を「プルタブ」として備えたRFIDタグ1200が例示される。アンテナ600が電気めっきで形成されたRFIDチップ900を備える本実施例のRFIDタグ1200では、被着体15から剥がされたときのアンテナ600の壊れ方も実施例1のそれと若干相違する。まず、アンテナパターン600Aは、粘着剤700,1000の少なくとも一方に埋め込まれるため、RFIDチップ900に痕跡を残すことなく、これからきれいに除去される。その残骸600aは、被着体15にこびりついた粘着剤の残滓1000Rに埋もれている。アンテナ接続用端子600Bも、これに強く接着した粘着剤700,1000により、その残滓の殆ど600bが粘着剤の残滓1000Rに転写される。しかし、アンテナ接続用端子600Bと銅薄膜130を介して接触する密着層120により、その残滓の一部600cがRFIDチップ900の主面のアンテナ接続用電極100上に留まる。その結果、めっきレジスト500により形成されたアンテナ600の殆どは被着物15(粘着剤の残滓1000R)に転写され、そのアンテナパターン600Aを成す部分はRFIDチップ900の主面上から消える。従って、RFIDチップ900に格納された情報が外部端末により読み出され又は改竄されることはない。また、RFIDタグ1200にこれを被着体15から剥離せしめる外力が加わらない限り、換言すれば、粘着剤700,1000からなる層が破壊されない限り、アンテナ600のRFIDチップ900(アンテナ接続用電極100)との電気的接続は保たれ、さらに密着層120によりその堅牢性(信頼性)は更に高まる。
【0042】
なお、本実施例にて説明されたRFIDタグ1200において、シール部材800、粘着剤700,1000、及び剥離紙1100には、実施例1で説明した表装紙8、粘着材7,10、及び剥離紙11として夫々例示された材料が利用できる。また、粘着剤700,1000の選択範囲は実施例1のそれより更に広がる。
【実施例3】
【0043】
実施例1及び実施例2にて説明したRFIDタグ1200は、これに搭載されたRFIDチップ900のループ状又はスパイラル状のアンテナで、外部端末と信号(情報)の授受を行う。しかし、ループ状アンテナやスパイラル状アンテナによる無線通信の搬送周波数はHF帯(3〜30MHz)に留まり、RFIDタグ1200と外部端末との距離を数cm以内に保たないと、その間で信号が授受されない。
【0044】
一方、ダイポールアンテナを備えたRFIDタグでは、UHF帯(300〜3000MHz)の搬送周波数で外部端末と無線通信できるため、当該RFIDタグが外部端末より数m離されても、その間で信号が授受される。
【0045】
本実施例にて説明されるRFIDタグ12000は、図8に示される如く、実施例1や実施例2で説明されたようなRFIDチップ9000を、これに形成されたアンテナ2000と誘導結合し得る外部アンテナ3000(ブースターアンテナ)が主面に形成されたシート8000に搭載して成る。RFIDチップ9000は、そのアンテナ面とは反対側でシート8000の主面に第1の粘着剤(例えば、実施例1の粘着剤7)で接着される。シート8000の主面は、RFIDチップ9000が搭載される部分以外も第1の粘着剤で覆われ、この主面に銀(Ag)等の導体ペーストで形成された外部アンテナ3000も第1の粘着剤に覆われる。外部アンテナ3000は、RFIDチップ9000の周縁沿いに伸びる部分(誘導結合部と規定する,半円状の部分として図示)と、その両端から夫々延伸する一対の部分(交信部と規定する)とで構成される。外部アンテナ3000の長さは、その交信部の一方の端からその他方の端に至る距離として定義され、この長さにより無線通信可能な周波数帯が決まる。
【0046】
シート8000の主面に塗布された第1の粘着剤の上面及びこれに接着されたRFIDチップ9000のアンテナ面は、第2の粘着剤(例えば、実施例1の粘着剤10)で覆われ、更に第2の粘着剤の膜上には剥離紙が貼られる。RFIDタグ12000は、剥離紙が剥がされて露出された第2の粘着剤の上面で図示されない被着体に貼り付けられる。この状態で、RFIDチップ9000は、その主面に形成されたアンテナ2000とこれに誘導結合される外部アンテナ3000とを介して外部端末、例えばリーダ機又はリーダ/ライタ機と無線で交信する。
【0047】
一方、RFIDタグ12000は、被着体から剥がされる際にRFIDチップ9000のアンテナ2000が破壊されることで、外部端末との無線通信の機能を失う。即ち、アンテナ2000を成す導体膜の殆どが第2の粘着剤等に接着された状態で被着体に残るため、剥離されたRFIDタグ12000において、RFIDチップ9000は外部アンテナ3000と電磁気的に結合しなくなる。このため、外部端末からの電波により外部アンテナ3000に誘起された電界をRFIDチップ9000は認識できない。
【0048】
RFIDチップ9000と外部端末との交信を更に確実に遮断する手法として、シート8000の少なくとも裏面(外部アンテナ3000が形成された主面の反対側)に外部アンテナ3000と重なる「切れ込み4000」を入れることが推奨される。シート8000の裏面は、人目につき易いため、ラベルとして利用されることもある。上記第1の粘着剤やその等価物がシート8000の主面に塗布されたRFIDタグ12000においては、当該切れ込み4000を、シート8000の当該裏面から当該主面に到らせてもよく、さらに外部アンテナ3000に到らせてもよい。RFIDタグ12000に過剰な力、即ちこれを被着体から引き剥がすような力が加わらない限り、第1の粘着剤はシート8000や外部アンテナ3000の部分的な切断部を一時的に修復し、外部アンテナ3000に切れ込み4000が入っても、これに外部端末からの受信電波に応じた電界を誘起せしめる。RFIDタグ12000が被着体から剥離されると、第1の粘着剤により一時的に修復されていた切れ込み4000が、シート8000を寸断し、外部アンテナ3000を破壊して、RFIDチップ9000と外部端末との交信を完全に断つ。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明にかかるRFIDシールタグは、剥がすことで不用意に読まれなくなるプライバシー保護タグとして、また、開封されていないことを保証する真正性保証タグとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施例1にて説明されるアンテナ付きRFIDチップの製造プロセスをその断面構造の変化で示すプロセス図。
【図2】アンテナ付きRFIDチップが埋め込まれた実施例1のシール型RFIDタグ(シールタグ)の断面模式図。
【図3】アンテナ付きRFIDチップが埋め込まれた実施例1のシールタグの平面模式図。
【図4】実施例1のシールタグの被着体への貼付及びこれからの剥離を示す断面模式図。
【図5】実施例2にて説明される密着層を備えたアンテナ付きRFIDチップ製造プロセスをその断面構造の変化で示すプロセス図。
【図6】アンテナ付きRFIDチップが埋め込まれた実施例2のシールタグとその被着体から剥離されたときの形状を示す断面模式図。
【図7】アンテナ付きRFIDチップが埋め込まれた実施例2のシールタグの平面模式図。
【図8】ブースターアンテナと組み合わせた実施例3のシールタグの平面模式図。
【符号の説明】
【0051】
1:RFIDウェハ上のアンテナ接続用電極,2:RFIDを形成したウェハの一部,3:蒸着により形成した金薄膜,4:金とアルミニウムの金属間化合物,5:フォトレジスト,6:アンテナ,7:粘着剤,8:シールの表装紙,9:チップ表面にアンテナが形成されたRFIDチップ,10:粘着剤,11:剥離紙,12:シールタグ,100:RFIDウェハ上のアンテナ接続用電極,110:RFIDを形成したウェハの一部,120:密着層,130:銅薄膜,500:めっきレジスト,600:アンテナ,700:粘着剤,800:粘着剤,1000:RFIDシールタグ,2000:RFIDチップ上のアンテナ,3000:外部アンテナ,4000:切れ込み。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面の一方側に配置されたアンテナと該アンテナに電気的に接続された回路とを有するチップと、
粘着層が塗布された実装面を有し且つ該粘着層により前記チップが前記主面の他方を該実装面に向けて固定されている基材とを備えたRFIDタグであって、
前記アンテナは、その前記回路と電気的に接続される第1部分と前記チップの前記一方の主面から離された第2部分とから成り、
前記チップは、前記一方の主面及びその上部に延在する前記アンテナが前記粘着層に覆われるようにして該粘着層内に埋め込まれていることを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
前記チップの前記一方の主面には、前記回路と前記アンテナの前記第1部分とを接続させる開口を有する絶縁膜が形成され、
該アンテナの前記第2部分は、該開口から該絶縁膜上に延在するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項3】
前記アンテナを成す導体膜は、前記絶縁膜より前記粘着層に対して強い接着力を示すことを特徴とする請求項2に記載のRFIDタグ。
【請求項4】
前記アンテナは、前記チップの一方の主面に形成された第1導体膜のパターンにめっきされた第2導体膜からなり、
該第1導体膜は該アンテナの前記第1部分と接する部分を残して該チップの一方の主面から除去され、
該アンテナの前記第2部分と該チップの一方の主面とは前記粘着層により隔てられていることを特徴とする請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項5】
前記第1導体膜と前記アンテナを成す前記第2導体膜とは、密着層を介して接合され、
該密着層を介した該第1導体膜と該第2導体膜との接合強度は、該第2導体膜と前記粘着層とのそれより高く、
該第2導体膜と該粘着層との接合強度は、該粘着層と前記チップの一方の主面とのそれより高いことを特徴とする請求項4に記載のRFIDタグ。
【請求項6】
前記粘着層は、前記基材の実装面に互いに種類の異なる粘着材料の複数の層を積層して成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のRFIDタグ。
【請求項7】
前記基材の実装面には前記チップに備えられた前記アンテナとは別の外部アンテナが形成され、
該外部アンテナは前記粘着層に埋め込まれ且つ該粘着層により隔てられた該チップの該アンテナと電磁気的に結合していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のRFIDタグ。
【請求項8】
前記チップに備えられた前記アンテナはループ状に形成され、
前記外部アンテナは前記アンテナの外周に沿って延びる第1部と、該第1部の両端から夫々延在する第2部とからなるロッド状アンテナであることを特徴とする請求項7に記載のRFIDタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−93507(P2009−93507A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265071(P2007−265071)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】