説明

RNA依存性RNAウイルス感染の治療用のリボヌクレオシド環状アセタール誘導体

本発明は、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼのインヒビターの前駆体またはプロドラッグである構造式Iのリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールを提供する。これらの化合物はRNA依存性RNAウイルス複製のインヒビターの前駆体であり、RNA依存性RNAウイルス感染の治療に有用である。それらはC型肝炎ウイルス(HCV)NS5Bポリメラーゼのインヒビターの前駆体またはプロドラッグとして、HCV複製のインヒビターの前駆体またはプロドラッグとして、および/またはC型肝炎感染の治療に特に有用である。本発明はまた、そのようなリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールを単独で又はRNA依存性RNAウイルス感染、特にHCV感染に対して活性な他の物質と共に含有する医薬組成物を記載する。本発明のリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールでRNA依存性RNAポリメラーゼを阻害するための、および/またはRNA依存性RNAウイルス複製を阻害するための、および/またはRNA依存性RNAウイルス感染を治療するための方法も開示する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリボヌクレオシドの2’,3’−環状アセタールならびにその或る種の類似体および誘導体、それらの合成、ならびにRNA依存性RNAウイルスポリメラーゼのインヒビターの前駆体またはプロドラッグとしてのそれらの使用に関する。本発明の化合物はRNA依存性RNAウイルス複製のインヒビターの前駆体またはプロドラッグであり、RNA依存性RNAウイルス感染の治療に有用である。それらは、C型肝炎ウイルス(HCV)NS5Bポリメラーゼのインヒビターの前駆体またはプロドラッグとして、HCV複製のインヒビターの前駆体またはプロドラッグとして、およびC型肝炎ウイルス感染の治療に特に有用である。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染は、世界人口の2から15%と見積られる感染個体のかなりの数において肝硬変および肝細胞癌のような慢性肝臓疾患を引き起こす重大な健康問題である。U.S.Center for Disease Controlによると、米国だけでも推定390万人の感染者が存在し、これはヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染者数の約5倍である。世界保健機関によると、全世界には1億7千万人以上の感染者が存在し、毎年少なくとも300万から400万人が感染している。感染すると、感染者の約20%は該ウイルスを排除するが、残りの感染者は生涯にわたりHCVを体内に留めることになる。慢性感染者の10から20%が最終的に、肝臓を破壊する肝硬変または癌を発症する。該ウイルス疾患は、汚染された血液および血液製剤、汚染された針により非経口的に、または性行為により感染し、また、感染している母親またはキャリアーである母親から彼女らの子供へと垂直感染する。HCV感染に対する現在の治療は、組換えインターフェロンαのみによる又はヌクレオシド類似体リバビリンと組合された免疫療法に限られており、限られた臨床的有用性しか有していない。さらに、HCVに対する確立されたワクチンは存在しない。したがって、慢性HCV感染に有効に対処する改良された治療剤が緊急に必要とされている。HCV感染の治療における最先端の技術が概説されており、以下の刊行物が参考になる:B.Dymockら,“Novel approaches to the treatment of hepatitis C virus infection,”Antiviral Chemistry & Chemotherapy,11:79−96(2000);H.Rosenら,“Hepatitis C virus:current understanding and prospects for future therapies,”Molecular Medicine Today,5:393−399(1999);D.Moradpourら,“Current and evolving therapies for hepatitis C,”European J.Gastroenterol.Hepatol.,11:1189−1202(1999);R.Bartenschlager,“Candidate Targets for Hepatitis C Virus−Specific Antiviral Therapy,”Intervirology,40:378−393(1997);G.M.LauerおよびB.D.Walker,“Hepatitis C Virus Infection,”N.Engl.J.Med.,345:41−52(2001);B.W.Dymock,“Emerging therapies for hepatitis C virus infection,”Emerging Drugs,6:13−42(2001);ならびにC.Crabb,“Hard−Won Advances Spark Excitement about Hepatitis C,”Science:506−507(2001)(それらの内容の全体を参照により本明細書に組み入れることとする)。
【0003】
HCVの治療に対する種々のアプローチが行われており、それらには、ウイルスセリンプロテアーゼ(NS3プロテアーゼ)、ヘリカーゼおよびRNA依存性RNAポリメラーゼ(NS5B)の阻害、ならびにワクチンの開発が含まれる。
【0004】
HCVビリオンは、約3,010アミノ酸のポリタンパク質をコードする約9600塩基の単一のオリゴリボヌクレオチドゲノム配列を有する包膜プラス鎖RNAウイルスである。HCV遺伝子のタンパク質産物は、構造タンパク質C、E1およびE2ならびに非構造タンパク質NS2、NS3、NS4A、およびNS5AおよびNS5Bよりなる。非構造(NS)タンパク質はウイルス複製のための触媒装置を提供すると考えられている。NS3プロテアーゼは、RNA依存性RNAポリメラーゼであるNS5Bをポリタンパク質鎖から遊離する。HCV NS5Bポリメラーゼは、HCVの複製周期において鋳型として機能する一本鎖ウイルスRNAからの二本鎖RNAの合成に要求される。したがって、NS5BポリメラーゼはHCV複製複合体における必須成分であるとみなされる[K.Ishiら,“Expression of Hepatitis C Virus NS5B Protein:Characterization of Its RNA Polymerase Activity and RNA Binding,”Hepatology,29:1227−1235(1999)およびV.Lohmannら,“Biochemical and Kinetic Analyses of NS5B RNA−Dependent RNA Polymerase of the Hepatitis C Virus,”Virology,249:108−118(1998)を参照されたい]。HCV NS5Bポリメラーゼの阻害は二本鎖HCV RNAの形成を妨げ、したがって、HCV特異的抗ウイルス療法の開発のための魅力的なアプローチとなる。
【0005】
HCV感染の治療の可能性を秘めたHCV NS5Bポリメラーゼのインヒビターの開発が以下の刊行物に概説されている:M.P.Walkerら,“Promising candidates for the treatment of chronic hepatitis C,”Expert Opin.Invest.Drugs,12:1269−1280(2003);P.Hoffmannら,“Recent patents on experimental therapy for hepatitis C virus infection(1999−2002),“Expert Opin. Ther. Patents,”13:1707−1723(2003);およびV.Brassら,“Recent developments in target identification against HCV,”Expert Opin.Ther.Targets,”8:295−307(2004)。プリンリボヌクレオシドによるHCV複製の阻害がA.E.Eldrupら,“Structure−Activity Relationship of Purine Ribonucleosides for Inhibition of HCV RNA−Dependent RNA Polymerase,”J.Med.Chem.,47:2283−2295(2004)に報告されている。HCV療法に対する治療アプローチとしてのHCVポリメラーゼのインヒビターとしての構造的に多様なヌクレオシド誘導体が依然として必要とされている。
【発明の開示】
【0006】
あるリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールならびにその類似体および誘導体がRNA依存性RNAウイルス複製、特にHCV複製の強力なインヒビターの前駆体またはプロドラッグであることが、本発明において見出された。該環状アセタールは、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼ、特にHCV NS5Bポリメラーゼのインヒビターであるリボヌクレオシド2’,3’−ジオールおよびその5’−三リン酸誘導体の前駆体またはプロドラッグである。したがって、本発明の化合物はRNA依存性RNAウイルス感染、特にHCV感染の治療に有用である。
【0007】
したがって、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼのインヒビターの前駆体またはプロドラッグ、特にHCV NS5Bポリメラーゼのインヒビターの前駆体またはプロドラッグとして有用であるリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールならびにその或る類似体および誘導体を提供することが、本発明の目的である。
【0008】
RNA依存性RNAウイルスの複製のインヒビターの前駆体またはプロドラッグ、特にC型肝炎ウイルスの複製のインヒビターの前駆体またはプロドラッグとして有用であるリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールならびにその或る類似体および誘導体を提供することが、本発明のもう1つの目的である。
【0009】
RNA依存性RNAウイルス感染の治療、特にHCV感染の治療に有用であるリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールならびにその或る類似体および誘導体を提供することが、本発明のもう1つの目的である。
【0010】
本発明のリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールならびにその或る類似体および誘導体を医薬上許容される担体と共に含む医薬組成物を提供することが、本発明のもう1つの目的である。
【0011】
RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼのインヒビターの前駆体またはプロドラッグとして、特にHCV NS5Bポリメラーゼのインヒビターとして使用するための本発明のリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールならびにその或る類似体および誘導体を含む医薬組成物を提供することが、本発明のもう1つの目的である。
【0012】
RNA依存性RNAウイルス複製のインヒビターの前駆体またはプロドラッグとして、特にHCV複製のインヒビターの前駆体またはプロドラッグとして使用するための本発明のリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールならびにその或る類似体および誘導体を含む医薬組成物を提供することが、本発明のもう1つの目的である。
【0013】
RNA依存性RNAウイルス感染の治療、特にHCV感染の治療に使用するための本発明のリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールならびにその或る類似体および誘導体を含む医薬組成物を提供することが、本発明のもう1つの目的である。
【0014】
本発明のリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールならびにその或る類似体および誘導体をRNA依存性RNAウイルス(特にHCV)に対して活性な他の物質と共に含む医薬組成物を提供することが、本発明のもう1つの目的である。
【0015】
RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼの阻害、特にHCV NS5Bポリメラーゼの阻害のための方法を提供することが、本発明のもう1つの目的である。
【0016】
RNA依存性RNAウイルス複製の阻害、特にHCV複製の阻害のための方法を提供することが、本発明のもう1つの目的である。
【0017】
RNA依存性RNAウイルス感染の治療方法、特にHCV感染の治療方法を提供することが、本発明のもう1つの目的である。
【0018】
RNA依存性RNAウイルスに対して活性な他の物質と組合されたRNA依存性RNAウイルス感染の治療方法、特にHCVに対して活性な他の物質と組合されたHCV感染の治療方法を提供することが、本発明のもう1つの目的である。
【0019】
RNA依存性RNAウイルス複製の阻害および/またはRNA依存性RNAウイルス感染の治療のための、特にHCV複製および/またはHCV感染の治療のための医薬としての本発明のリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールならびにその或る類似体および誘導体ならびにそれらの医薬組成物を提供することが、本発明のもう1つの目的である。
【0020】
RNA依存性RNAウイルス複製の阻害および/またはRNA依存性RNAウイルス感染の治療、特にHCV複製の阻害および/またはHCV感染の治療のための医薬の製造のための、本発明のリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールならびにその或る類似体および誘導体ならびにそれらの医薬組成物の使用を提供することが、本発明のもう1つの目的である。
【0021】
これらの及び他の目的は以下の詳細な説明から容易に理解されるであろう。
【0022】
発明の概要
本発明は、示されている立体化学配置の構造式I:
【0023】
【化8】

[式中、
Bは
【0024】
【化9】

であり;
YはNまたはCR10であり;
は、水素、フルオロ、アミノ、ヒドロキシおよびメトキシよりなる群から選ばれ;
は、
1−12アルキル、
3−8シクロアルキル、
アリールおよび
ヘテロアリール
よりなる群から選ばれ、
ここで、アルキルおよびシクロアルキルは置換されていないか、または独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシおよびC1−4アルコキシから選ばれる1から3個の置換基で置換されおり、アリールおよびヘテロアリールは置換されていないか、または独立して、Rから選ばれる1から5個の置換基で置換されており;
は、水素、C1−16アルキルカルボニル、C2−18アルケニルカルボニル、C1−10アルキルオキシカルボニル、C3−6シクロアルキルカルボニル、C3−6シクロアルキルオキシカルボニル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、構造式:
【0025】
【化10】

のアミノアシル残基または構造式:
【0026】
【化11】

の残基よりなる群から選ばれ、
ここで、アルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、シクロアルキルカルボニルおよびシクロアルキルオキシカルボニルは置換されていないか、または独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、C1−4アルコキシ、アミノ、C1−4アルキルアミノおよびジ(C1−4アルキル)アミノから選ばれる1から3個の置換基で置換されており、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールカルボニルおよびヘテロアリールオキシカルボニルは置換されていないか、または独立して、Rから選ばれる1から5個の置換基で置換されており、Arは、置換されていないフェニルであるか、または独立して、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、トリフルオロメチル、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルカルボニルオキシおよびC1−4アルキルオキシカルボニルよりなる群から選ばれる1から3個の置換基で置換されたフェニルであり;
は水素、ハロゲン、メチル、アジド、シアノまたはアミノであり;
、RおよびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C3−6シクロアルキルアミノまたはジ(C3−6シクロアルキル)アミノであり;
は水素、C1−3アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4アルキルアミノ、CFまたはハロゲンであり;
各Rは、独立して、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルホニル、シアノ、ニトロ、アミノ、フェニル、カルボキシ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルカルボニルオキシおよびC1−4アルキルオキシカルボニルよりなる群から選ばれ;
10は水素、フッ素、シアノ、C1−3アルキル、NHCONH、C(=O)NR1515、C(=S)NR1515、C(=O)OR15、C(=NH)NH、ヒドロキシ、C1−3アルコキシ、アミノ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C2−4アルケニルまたはC2−4アルキニルであり;
11は水素、C1−5アルキルまたはフェニルC0−2アルキルであり;
12は水素、C1−4アルキル、C1−4アシル、ベンゾイル;、C1−4アルキルオキシカルボニル、フェニルC0−2アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルアミノカルボニル、フェニルC0−2アルキルアミノカルボニル、C1−4アルキルスルホニルまたはフェニルC0−2アルキルアミノスルホニルであり;
13は水素、C1−5アルキル、フェニルまたはベンジルであり、
ここで、アルキルは置換されていないか、またはヒドロキシ、メトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、グアニジノ、メルカプト、メチルチオ、1H−イミダゾリルおよび1H−インドール−3−イルよりなる群から選ばれる1個の置換基で置換されており、フェニルおよびベンジルは置換されていないか、または独立して、水素、ヒドロキシおよびメトキシよりなる群から選ばれる1から2個の置換基で置換されており;
14は水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニルまたはベンジルであり、
ここで、アルキルおよびシクロアルキルは置換されていないか、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、C1−4アルコキシから選ばれる1から3個の置換基で置換されており、フェニルおよびベンジルは置換されていないか、または独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルコキシおよびトリフルオロメチルから選ばれる1から3個の置換基で置換されており;
各R15は、独立して、水素またはC1−6アルキルである]
のリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールまたはその医薬上許容される塩に関する。
【0027】
式Iの化合物は、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼ、特にHCV NS5Bポリメラーゼのインヒビターの前駆体またはプロドラッグとして有用である。それらは、RNA依存性RNAウイルス複製、特にHCV複製のインヒビターの前駆体またはプロドラッグでもあり、RNA依存性RNAウイルス感染の治療、特にHCV感染の治療に有用である。
【0028】
また、該化合物を単独で又はRNA依存性RNAウイルス(特にHCV)に対して活性な他の物質と共に含有する医薬組成物、ならびにRNA依存性RNAウイルス複製の阻害のための及びRNA依存性RNAウイルス感染の治療のための方法も、本発明に含まれる。
【0029】
発明の詳細な説明
本発明は、示されている立体化学配置の構造式I:
【0030】
【化12】

[式中、
Bは
【0031】
【化13】

であり;
YはNまたはCR10であり;
は、水素、フルオロ、アミノ、ヒドロキシおよびメトキシよりなる群から選ばれ;
は、
1−12アルキル、
3−8シクロアルキル、
アリールおよび
ヘテロアリール
よりなる群から選ばれ、
ここで、アルキルおよびシクロアルキルは置換されていないか、または独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシおよびC1−4アルコキシから選ばれる1から3個の置換基で置換されおり、アリールおよびヘテロアリールは置換されていないか、または独立して、Rから選ばれる1から5個の置換基で置換されており;
は、水素、C1−16アルキルカルボニル、C2−18アルケニルカルボニル、C1−10アルキルオキシカルボニル、C3−6シクロアルキルカルボニル、C3−6シクロアルキルオキシカルボニル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、構造式:
【0032】
【化14】

のアミノアシル残基または構造式:
【0033】
【化15】

の残基よりなる群から選ばれ、
ここで、アルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、シクロアルキルカルボニルおよびシクロアルキルオキシカルボニルは置換されていないか、または独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、C1−4アルコキシ、アミノ、C1−4アルキルアミノおよびジ(C1−4アルキル)アミノから選ばれる1から3個の置換基で置換されており、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールカルボニルおよびヘテロアリールオキシカルボニルは置換されていないか、または独立して、Rから選ばれる1から5個の置換基で置換されており、Arは、置換されていないフェニルであるか、または独立して、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、トリフルオロメチル、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルカルボニルオキシおよびC1−4アルキルオキシカルボニルよりなる群から選ばれる1から3個の置換基で置換されたフェニルであり;
は水素、ハロゲン、メチル、アジド、シアノまたはアミノであり;
、RおよびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C3−6シクロアルキルアミノまたはジ(C3−6シクロアルキル)アミノであり;
は水素、C1−3アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4アルキルアミノ、CFまたはハロゲンであり;
各Rは、独立して、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルホニル、シアノ、ニトロ、アミノ、フェニル、カルボキシ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルカルボニルオキシおよびC1−4アルキルオキシカルボニルよりなる群から選ばれ;
10は水素、フッ素、シアノ、C1−3アルキル、NHCONH、C(=O)NR1515、C(=S)NR1515、C(=O)OR15、C(=NH)NH、ヒドロキシ、C1−3アルコキシ、アミノ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C2−4アルケニルまたはC2−4アルキニルであり;
11は水素、C1−5アルキルまたはフェニルC0−2アルキルであり;
12は水素、C1−4アルキル、C1−4アシル、ベンゾイル、C1−4アルキルオキシカルボニル、フェニルC0−2アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルアミノカルボニル、フェニルC0−2アルキルアミノカルボニル、C1−4アルキルスルホニルまたはフェニルC0−2アルキルアミノスルホニルであり;
13は水素、C1−5アルキル、フェニルまたはベンジルであり、
ここで、アルキルは置換されていないか、またはヒドロキシ、メトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、グアニジノ、メルカプト、メチルチオ、1H−イミダゾリルおよび1H−インドール−3−イルよりなる群から選ばれる1個の置換基で置換されており、フェニルおよびベンジルは置換されていないか、または独立して、水素、ヒドロキシおよびメトキシよりなる群から選ばれる1から2個の置換基で置換されており;
14は水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニルまたはベンジルであり、
ここで、アルキルおよびシクロアルキルは置換されていないか、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、C1−4アルコキシから選ばれる1から3個の置換基で置換されており、フェニルおよびベンジルは置換されていないか、または独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルコキシおよびトリフルオロメチルから選ばれる1から3個の置換基で置換されており;
各R15は、独立して、水素またはC1−6アルキルである]
の化合物またはその医薬上許容される塩に関する。
【0034】
式Iの化合物は宿主内で、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼのインヒビターである対応するリボヌクレオシド5’−三リン酸へと代謝される。式Iの化合物は、RNA依存性RNAウイルス複製のインヒビターの前駆体またはプロドラッグとして、およびRNA依存性RNAウイルス感染の治療に有用である。特に、それらはHCV感染の治療に有用である。
【0035】
本発明の化合物の実施形態の1つにおいては、Bは構造式:
【0036】
【化16】

のプリン塩基である。この実施形態のクラスにおいては、YはNである。このクラスのサブクラスにおいては、RおよびRは水素であり、Rはアミノである。この実施形態のもう1つのクラスにおいては、YはCR10である。このクラスのサブクラスにおいては、R10は水素またはフルオロであり、RおよびRは水素であり、Rはアミノである。
【0037】
もう1つの実施形態においては、Bは構造式:
【0038】
【化17】

のピリミジン塩基である。この第2の実施形態のクラスにおいては、Rは水素であり、Rはアミノである。
【0039】
本発明の化合物の第3の実施形態においては、Rは、置換されていないフェニルまたはナフチルであるか、または独立して、Rから選ばれる1から3個の置換基で置換されたフェニルまたはナフチルである。この実施形態のクラスにおいては、Rは、置換されていないフェニルであるか、または独立して、Rから選ばれる1から3個の置換基で置換されたフェニルである。
【0040】
本発明の化合物の第4の実施形態においては、Rは、置換されていないC1−6アルキルであるか、または独立して、フルオロ、ヒドロキシ、カルボキシおよびC1−4アルコキシから選ばれる1から3個の置換基で置換されたC1−6アルキルである。
【0041】
本発明の化合物の第5の実施形態においては、Rは、水素、C1−6アルキルカルボニル、C3−6シクロアルキルカルボニル、フェニルカルボニルまたはヘテロアリールカルボニルであり、ここで、フェニルカルボニルおよびヘテロアリールカルボニルは置換されていないか、または独立して、Rから選ばれる1から3個の置換基で置換されており、アルキルカルボニルおよびシクロアルキルカルボニルは置換されていないか、または独立して、フッ素、ヒドロキシ、カルボキシ、C1−4アルコキシ、アミノ、C1−4アルキルアミノおよびジ(C1−4アルキル)アミノから選ばれる1から3個の置換基で置換されている。
【0042】
本発明の化合物の第6の実施形態においては、Rは水素またはフルオロである。この実施形態の1つのクラスにおいては、Rは水素である。
【0043】
RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼのインヒビターの前駆体またはプロドラッグとして有用な構造式Iの本発明の化合物の例示的な具体例(限定的なものではない)を以下に示す。
【0044】
【化18】



およびそれらの医薬上許容される塩。
【0045】
本発明の1つの実施形態においては、本発明のリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールは、プラス鎖一本鎖RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼのインヒビターの前駆体もしくはプロドラッグとして、プラス鎖一本鎖RNA依存性RNAウイルス複製のインヒビターの前駆体もしくはプロドラッグとして、および/またはプラス鎖一本鎖RNA依存性RNAウイルス感染の治療に有用である。この実施形態の1つのクラスにおいては、プラス鎖一本鎖RNA依存性RNAウイルスはフラビウイルス科(Flaviviridae)またはピコルナウイルス科(Picornaviridae)ウイルスである。このクラスの1つのサブクラスにおいては、ピコルナウイルス科ウイルスはライノウイルス、ポリオウイルスまたはA型肝炎ウイルスである。このクラスの第2のサブクラスにおいては、フラビウイルス科ウイルスは、C型肝炎ウイルス、黄熱ウイルス、デングウイルス、ウエストナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、バンジウイルスおよびウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)よりなる群から選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいては、フラビウイルス科ウイルスはC型肝炎ウイルスである。
【0046】
本発明のもう1つの態様は、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼの阻害方法、RNA依存性RNAウイルス複製の阻害方法および/またはRNA依存性RNAウイルス感染の治療方法(それを要する哺乳動物におけるもの)であって、構造式Iの化合物の治療的有効量を該哺乳動物投与することを含む方法に関する。
【0047】
本発明のこの態様の1つの実施形態においては、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼはプラス鎖一本鎖RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼである。この実施形態の1つのクラスにおいては、プラス鎖一本鎖RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼはフラビウイルス科(Flaviviridae)ウイルスポリメラーゼまたはピコルナウイルス科(Picornaviridae)ウイルスポリメラーゼである。このクラスの1つのサブクラスにおいては、ピコルナウイルス科ウイルスポリメラーゼはライノウイルスポリメラーゼ、ポリオウイルスポリメラーゼまたはA型肝炎ウイルスポリメラーゼである。このクラスの第2のサブクラスにおいては、フラビウイルス科ウイルスポリメラーゼは、C型肝炎ウイルスポリメラーゼ、黄熱ウイルスポリメラーゼ、デングウイルスポリメラーゼ、ウエストナイルウイルスポリメラーゼ、日本脳炎ウイルスポリメラーゼ、バンジウイルスポリメラーゼおよびウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)ポリメラーゼよりなる群から選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいては、フラビウイルス科ウイルスポリメラーゼはC型肝炎ウイルスポリメラーゼである。
【0048】
本発明のこの態様の第2の実施形態においては、RNA依存性RNAウイルス複製はプラス鎖一本鎖RNA依存性RNAウイルス複製である。この実施形態の1つのクラスにおいては、プラス鎖一本鎖RNA依存性RNAウイルス複製はフラビウイルス科(Flaviviridae)ウイルス複製またはピコルナウイルス科(Picornaviridae)ウイルス複製である。このクラスの1つのサブクラスにおいては、ピコルナウイルス科ウイルス複製はライノウイルス複製、ポリオウイルス複製またはA型肝炎ウイルス複製である。このクラスの第2のサブクラスにおいては、フラビウイルス科ウイルス複製は、C型肝炎ウイルス複製、黄熱ウイルス複製、デングウイルス複製、ウエストナイルウイルス複製、日本脳炎ウイルス複製、バンジウイルス複製およびウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)複製よりなる群から選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいては、フラビウイルス科ウイルス複製はC型肝炎ウイルス複製である。
【0049】
本発明のこの態様の第3の実施形態においては、RNA依存性RNAウイルス感染はプラス鎖一本鎖RNA依存性RNAウイルス感染である。この実施形態の1つのクラスにおいては、プラス鎖一本鎖RNA依存性RNAウイルス感染はフラビウイルス科(Flaviviridae)ウイルス感染またはピコルナウイルス科(Picornaviridae)ウイルス感染である。このクラスの1つのサブクラスにおいては、ピコルナウイルス科ウイルス感染はライノウイルス感染、ポリオウイルス感染またはA型肝炎ウイルス感染である。このクラスの第2のサブクラスにおいては、フラビウイルス科ウイルス感染は、C型肝炎ウイルス感染、黄熱ウイルス感染、デングウイルス感染、ウエストナイルウイルス感染、日本脳炎ウイルス感染、バンジウイルス感染およびウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)感染よりなる群から選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいては、フラビウイルス科ウイルス感染はC型肝炎ウイルス感染である。
【0050】
特定の作用メカニズムに限定されるものではないが、本発明の式Iのリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールは、HCV感染性の主要器官である肝臓への抗HCVリボヌクレオシド2’,3’−ジオールの標的化運搬を示す。ヌクレオシド化合物での抗HCV療法の目標は依然として、肝臓への選択的運搬であり、肝臓において、該ヌクレオシド化合物はHCVポリメラーゼのインヒビター、すなわち、ヌクレオシド5’−三リン酸誘導体へ変換されうる。本発明のリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールは、親リボヌクレオシドに比べて改善された薬物動態学的特性、例えば、改善された経口バイオアベイラビリティを示す。肝臓に入ると、該環状アセタールはシトクロムP450酵素複合体、特にアイソザイムシトクロムCYP3A4(これは主として肝臓において発現される)により選択的に酸化されうる。該酸化はNADPH依存的過程である。該親リボヌクレオシドは肝臓においてリボヌクレオシドキナーゼにより、生物学的に活性なリボヌクレオシド5’−三リン酸へ変換され、これは、該環状アセタールの経口または非経口投与の後、宿主の肝臓において検出されうる。この非限定的なメカニズムに関する証拠は、以下のスキームに示す酸化/加水分解/三リン酸化過程の副産物IIからVの分析により示される。
【0051】
【化19】

【0052】
本出願の全体にわたり、以下の用語は、示されている意義を有する。
「アルキル」、ならびに接頭語「アルク(alk)」を有する他の基、例えばアルコキシおよびアルキルチオは、炭素鎖が特に定義されていない限り直鎖状または分枝状およびそれらの組合せでありうる炭素鎖を意味する。アルキル基の具体例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−およびtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどが含まれる。特記されている炭素原子数が許容される場合(例えば、C3−10)には、アルキルなる語は、シクロアルキル基、およびシクロアルキル構造と組合された直鎖状または分枝状アルキル鎖の組合せをも含む。
【0053】
「シクロアルキル」はアルキルのサブセットであり、特記された数の炭素原子を有する飽和炭素環を意味する。シクロアルキルの具体例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが含まれる。シクロアルキル基は一般に、特に示されていない限り単環式である。シクロアルキル基は、特に示されていない限り飽和基である。
【0054】
「アルケニル」なる語は、2から6個またはこの範囲内の任意の数の総炭素原子数の直鎖状または分枝状アルケン(例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニルなど)を意味する。
【0055】
「アルキニル」なる語は、2から6個またはこの範囲内の任意の数の総炭素原子数の直鎖状または分枝状アルキン(例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルなど)を意味する。
【0056】
「アルコキシ」なる語は、特記されている炭素原子数(例えば、C1−4アルコキシ)またはこの範囲内の任意の炭素原子数の直鎖状または分枝状アルコキシド[すなわち、メトキシ(MeO−)、エトキシ、イソプロポキシなど]を意味する。
【0057】
「アルキルチオ」なる語は、特記されている炭素原子数(例えば、C1−4アルキルチオ)またはこの範囲内の任意の炭素原子数の直鎖状または分枝状アルキルスルフィド[すなわち、メチルチオ(MeS−)、エチルチオ、イソプロピルチオなど]を意味する。
【0058】
「アルキルアミノ」なる語は、特記されている炭素原子数(例えば、C1−4アルキルアミノ)またはこの範囲内の任意の炭素原子数の直鎖状または分枝状アルキルアミン[すなわち、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、t−ブチルアミノなど]を意味する。
【0059】
「アルキルスルホニル」なる語は、特記されている炭素原子数(例えば、C1−6アルキルスルホニル)またはこの範囲内の任意の炭素原子数の直鎖状または分枝状アルキルスルホン[すなわち、メチルスルホニル(MeSO−)、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニルなど]を意味する。
【0060】
「アルキルオキシカルボニル」なる語は、特記されている炭素原子数(例えば、C1−4アルキルオキシカルボニル)またはこの範囲内の任意の炭素原子数の本発明のカルボン酸誘導体の直鎖状または分枝状エステル[すなわち、メチルオキシカルボニル(MeOCO−)、エチルオキシカルボニルまたはブチルオキシカルボニル]を意味する。
【0061】
「アルキルカルボニル」なる語は、特記されている炭素原子数(例えば、C1−4アルキルカルボニル)またはこの範囲内の任意の炭素原子数の直鎖状または分枝状アルキルアシル基[すなわち、メチルカルボニル(MeCO−)、エチルカルボニルまたはブチルカルボニル]を意味する。
【0062】
「アリール」なる語は、炭素環原子を含有する単環式または多環式芳香環系を意味する。好ましいアリールは単環式または二環式6から10員芳香環系である。フェニル、1−ナフチルおよび2−ナフチルが、好ましいアリールである。最も好ましいアリールはフェニルである。
【0063】
「アリールカルボニル」なる語は、フェニルカルボニル[PhC(C=)]およびナフチルカルボニル[Naph(C=O)]を意味する。
【0064】
「アリールオキシカルボニル」なる語は、フェニルオキシカルボニル[PhOC(=O)−]およびナフチルオキシカルボニル[NaphO(C=O)−]を意味する。
【0065】
「ヘテロアリール」なる語は、O、SおよびNから選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含有する芳香族または部分芳香族複素環を意味する。ヘテロアリールには、他の種類の環、例えばアリール、シクロアルキルおよび芳香族ではない複素環に縮合したヘテロアリールも含まれる。ヘテロアリール基の具体例には、ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、2−オキソ−(1H)−ピリジニル(2−ヒドロキシ−ピリジニル)、オキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、トリアジニル、チエニル、ピリミジニル、ピラジニル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリニル、ピリダジニル、インダゾリル、イソインドリル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、ベンゾジオキソリル、キノキサリニル、プリニル、フラザニル、イソベンジルフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、インドリル、イソキノリル、ジベンゾフラニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、[1,2,4−トリアゾロ][4,3−a]ピリジニル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル、[1,2,4−トリアゾロ][1,5−a]ピリジニル、2−オキソ−1,3−ベンゾオキサゾリル、4−オキソ−3H−キナゾリニル、3−オキソ−[1,2,4]−トリアゾロ[4,3−a]−2H−ピリジニル、5−オキソ−[1,2,4]−4H−オキサジアゾリル、2−オキソ−[1,3,4]−3H−オキサジアゾリル、2−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾリル、3−オキソ−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾリルなどが含まれる。ヘテロシクリルおよびヘテロアリールの場合、1から3個の環を形成する3から15個の原子を含有する環および環系が含まれる。
【0066】
「ヘテロアリールカルボニル」なる語は、ヘテロアリール部分が前記「ヘテロアリール」と同意義を有するヘテロアリールC(=O)−残基を意味する。
【0067】
「ヘテロアリールオキシカルボニル」なる語は、ヘテロアリール部分が前記「ヘテロアリール」と同意義を有するヘテロアリールOC(=O)−残基を意味する。
【0068】
「ハロゲン」なる語は、ハロゲン原子であるフッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含むと意図される。
【0069】
「ホスホリル」なる語は−P(O)(OH)を意味する。
【0070】
「ジホスホリル」なる語は、構造:
【0071】
【化20】

を有する基を意味する。
【0072】
「トリホスホリル」なる語は、構造
【0073】
【化21】

を有する基を意味する。
【0074】
「置換」なる語は、挙げられている置換基による複数の置換度を含むとみなされるものとする。複数の置換基部分が開示または特許請求されている場合、該置換化合物は、独立して、開示または特許請求されている置換基部分の1以上により単数または複数個、置換されうる。
【0075】
のアミノアシル残基実施形態におけるR11
【0076】
【化22】

において水素以外である場合、該アミノアシル残基は不斉中心を含有し、個々のR−およびS−立体異性体ならびにRS−ジアステレオ異性体混合物を含むと意図される。
【0077】
が構造式:
【0078】
【化23】

の残基である本発明の化合物の1つの実施形態においては、Arは、置換されていないフェニルである。
【0079】
本発明の化合物の第2の実施形態においては、R13は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、イソブチル、2−メチル−1−プロピル、ヒドロキシメチル、メルカプトメチル、カルボキシメチル、カルバモイルメチル、1−ヒドロキシエチル、2−カルボキシエチル、2−カルバモイルエチル、2−メチルチオエチル、4−アミノ−1−ブチル、3−アミノ−1−プロピル、3−グアニジノ−1−プロピル、1H−イミダゾール−4−イルメチル、フェニル、4−ヒドロキシベンジルおよび1H−インドール−3−イルメチルよりなる群から選ばれる。この実施形態の1つのクラスにおいては、R13はメチルまたはベンジルである。
【0080】
本発明の化合物の第3の実施形態においては、R14はC1−6アルキル、シクロヘキシル、フェニルまたはベンジルである。この実施形態のクラスにおいては、R14はメチルである。
【0081】
本発明の化合物の第4の実施形態においては、Rは、R13が結合している立体生成性(stereogenic)炭素中心において、示されている立体配置を有する以下の構造式の残基である。
【0082】
【化24】

【0083】
本発明の化合物のこの第4の実施形態の1つのクラスにおいては、Arは、置換されていないフェニルであり、R13はメチルまたはベンジルであり、R14はメチルである。
【0084】
「医薬組成物」におけるような「組成物」なる語は、有効成分と、担体を構成する不活性成分とを含む産物、ならびに任意の2以上の成分の組合せ、複合体化または集合から、あるいは1以上の成分の解離から、あるいは1以上の成分の他のタイプの反応または相互作用から、直接的または間接的に生じる任意の産物を包含すると意図される。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と医薬上許容される担体とを混合することにより製造される任意の組成物を包含する。
【0085】
化合物の「投与」および化合物を「投与する」なる語は、本発明の化合物または本発明の化合物のプロドラッグを、それを要する個体に供給することを意味すると理解されるべきである。
【0086】
本発明のもう1つの態様は、HCV感染の治療に有用な1以上の物質と組合された本発明の化合物を使用する、HCV NS5Bポリメラーゼの阻害方法、HCV複製の阻害方法またはHCV感染の治療方法に関する。HCVに対して活性であるそのような物質には、リバビリン、レボビリン、ビラミジン、チモシンアルファ−1、インターフェロン−β、インターフェロン−α、ペグ化(pegylated)インターフェロン−α(ペグインターフェロン(peginterferon)−α)、インターフェロン−αとリバビリンとの組合せ、ペグインターフェロン−αとリバビリンとの組合せ、インターフェロン−αとレボビリンとの組合せ、ならびにペグインターフェロン−αとレボビリンとの組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。インターフェロン−αには、組換えインターフェロン−α2a(例えば、Hoffmann−LaRoche,Nutley,NJから入手可能なRoferonインターフェロン)、ペグ化インターフェロン−α2a(Pegasys(商標))、インターフェロン−α2b(例えば、Schering Corp.,Kenilworth,NJから入手可能なIntron−Aインターフェロン)、ペグ化インターフェロン−α2b(PegIntron(商標))、組換えコンセンサスインターフェロン(例えば、インターフェロンアルファコン−1)および精製インターフェロン−α製品が含まれるが、これらに限定されるものではない。Amgenの組換えインターフェロンは商品名Infergen(登録商標)を有する。レボビリンは、リバビリンに類似した免疫調節活性を示している、リバビリンのL−エナンチオマーである。ビラミジンは、WO 01/60379(ICN Pharmaceuticalsに譲渡された)に開示されているリバビリンの類似体を代表するものである。本発明の方法においては、該組合せの個々の成分は、治療の経過中の異なる時点で別々に、あるいは分割された又は単一の組合せ形態で同時に投与されうる。したがって、本発明は同時または連続的な治療の全てのそのような計画を含むと理解されるべきであり、「投与」なる語は、それに相応して解釈されるべきである。HCV感染の治療に有用な他の物質との本発明の化合物の組合せの範囲は、原則として、HCV感染の治療のための任意の医薬組成物との任意の組合せを含むと理解されるであろう。本発明の化合物またはその医薬上許容される塩を、HCVに対して活性な第2の治療用物質と組合せて使用する場合、各化合物の用量は、該化合物を単独で使用する場合の用量と同一または異なりうる。
【0087】
HCV感染の治療には、本発明の化合物はまた、HCV NS3セリンプロテアーゼのインヒビターである物質と組合せて投与されうる。HCV NS3セリンプロテアーゼは必須のウイルス酵素であり、HCV複製の阻害のための優れた標的であると記載されている。HCV NS3プロテアーゼインヒビターの、基質に基づくインヒビターおよび基質に基づかないインヒビターの両方が、WO 98/22496、WO 98/46630、WO 99/07733、WO 99/07734、WO 99/38888、WO 99/50230、WO 99/64442、WO 00/09543、WO 00/59929、GB−2337262、WO 02/48116、WO 02/48172、WO 05/037214および米国特許第6,323,180号に開示されている。HCV感染の治療のための及びHCV複製のインヒビターの開発のための標的としてのHCV NS3プロテアーゼが、B.W.Dymock,“Emerging therapies for hepatitis C virus infection,”Emerging Drugs,6:13−42(2001)において考察されている。本発明の化合物と組合せ可能な特異的HCV NS3プロテアーゼインヒビターには、BILN2061、VX950、SCH6およびSCH7が含まれる。
【0088】
リバビリン、レボビリンおよびビラミジンは、細胞内酵素であるイノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ(IMPDH)の阻害を介して、グアニンヌクレオチドの細胞内プールをモジュレーションすることにより、それらの抗HCV効果を発揮しうる。IMPDHはde novoグアニンヌクレオチド生合成における生合成経路上の律速酵素である。リバビリンは細胞内で容易にリン酸化され、該一リン酸誘導体はIMPDHのインヒビターである。したがって、IMPDHの阻害は、HCV複製のインヒビターの発見のためのもう1つの有用な目標となる。したがって、本発明の化合物はまた、IMPDHのインヒビター、例えばWO 97/41211およびWO 01/00622(Vertexに譲渡された)に開示されているVX−497、もう1つのIMPDHインヒビター、例えばWO 00/25780(Bristol−Myers Squibbに譲渡された)に開示されているもの、またはミコフェノラートモフェチル[A.C.AllisonおよびE.M.Eugui,Agents Action,44(Suppl.):165(1993)を参照されたい]と組合せて投与されうる。
【0089】
HCV感染の治療には、本発明の化合物はまた、抗ウイルス物質であるアマンダジン(1−アミノアダマンタン)[この物質の包括的な説明は、J.Kirschbaum,Anal.Profiles Drug Subs.12:1−36(1983)を参照されたい]と組合せて投与されうる。
【0090】
本発明の化合物はまた、HCV感染の治療のために、以下の刊行物に開示されている抗ウイルス性2’−C−分枝リボヌクレオシドと組合されうる:R.E.Harry−O’kuruら,J.Org.Chem.,62:1754−1759(1997);M.S.Wolfeら,Tetrahedron Lett.,36:7611−7614(1995);米国特許番号3,480,613号(1969年11月25日);米国特許第6,777,395号(2004年8月17日);米国特許第6,914,054号(2005年7月5日);国際公開番号WO 01/90121(2001年11月29日);WO 01/92282(2001年12月6日);WO 02/32920(2002年4月25日);WO 02/057287(2002年7月25日);WO 02/057425(2002年7月25日);WO 04/002422(2004年1月8日);WO 04/002999(2004年1月8日);WO 04/003000(2004年1月8日);WO 04/002422(2004年1月8日);米国特許出願公開2005/0107312;US 2005/0090463;US 2004/0147464;およびUS 2004/0063658(これらのそれぞれの内容の全体を参照により本明細書に組み入れることとする)。そのような2’−C−分枝リボヌクレオシドには、2’−C−メチルシチジン、2’−フルオロ−2’−C−メチルシチジン、2’−C−メチルウリジン、2’−C−メチルアデノシン、2’−C−メチルグアノシンおよび9−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−2,6−ジアミノプリン;フラノースC−2’、C−3’およびC−5’ヒドロキシルの対応アミノ酸エステル(例えば、3’−O−(L−バリル)−2’−C−メチルシチジン二塩酸塩(バロピシタビン二塩酸またはNM−283とも称される)および3’−O−(L−バリル)−2’−フルオロ−2’−C−メチルシチジン)、ならびにそれらの5’−リン酸誘導体の、対応する所望により置換されていてもよい環状1,3−プロパンジオールエステルが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0091】
本発明の化合物はまた、HCV感染の治療のために、抗HCV特性を有する他のヌクレオシド、例えば以下の刊行物に開示されているものと組合されうる:米国特許第6,864,244(2005年3月8日);WO 02/51425(2002年7月4日)(Mitsubishi Pharma Corp.に譲渡された);WO 01/79246、WO 02/32920およびWO 02/48165(2002年6月20日)(Pharmasset,Ltd.に譲渡された);WO 01/68663(2001年9月20日)(ICN Pharmaceuticalsに譲渡された);WO 99/43691(1999年9月2日);WO 02/18404(2002年3月7日)(Hoffmann−LaRocheに譲渡された);U.S.2002/0019363(2002年2月14日);WO 02/100415(2002年12月19日);WO 03/026589(2003年4月3日);WO 03/026675(2003年4月3日);WO 03/093290(2003年11月13日):US 2003/0236216(2003年12月25日);US 2004/0006007(2004年1月8日);WO 04/011478(2004年2月5日);WO 04/013300(2004年2月12日);US 2004/0063658(2004年4月1日);ならびにWO 04/028481(2004年4月8日)。
【0092】
1つの実施形態においては、本発明のリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールと組合せて使用されるヌクレオシドHCV NS5Bポリメラーゼインヒビターは以下の化合物から選ばれる:4’−アジド−シチジン;4−アミノ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(2−C−ヒドロキシメチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(2−C−フルオロメチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−5−フルオロ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;2−アミノ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オン;4−アミノ−7−(2−C,2−O−ジメチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;ならびにそれらの医薬上許容される塩およびプロドラッグ。
【0093】
本発明の化合物はまた、HCVの治療のために、HCVポリメラーゼの非ヌクレオシドインヒビター、例えばWO 01/77091(2001年10月18日)(Tularik,Inc.に譲渡された);WO 01/47883(2001年7月5日)(Japan Tobacco,Inc.に譲渡された);WO 02/04425(2002年1月17日)(Boehringer Ingelheimに譲渡された);WO 02/06246(2002年1月24日)(Istituto di Ricerche di Biologia Moleculare P. Angeletti S.P.A.に譲渡された);WO 02/20497(2002年3月3日);WO 2005/016927(特にJTK003)(Japan Tobacco,Inc.に譲渡された)(それらのそれぞれの内容の全体を参照により本明細書に組み入れることとする)に開示されているもの、およびHCV−796(Viropharma Inc.)と組合されうる。
【0094】
1つの実施形態においては、本発明のリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールと組合されうる非ヌクレオシドHCV NS5Bポリメラーゼインヒビターは以下の化合物から選ばれる:14−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−6−(2−モルホリン−4−イルエチル)−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−3−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−3−メトキシ−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;メチル({[(14−シクロヘキシル−3−メトキシ−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−イル)カルボニル]アミノ}スルホニル)アセタート;({[(14−シクロヘキシル−3−メトキシ−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−イル)カルボニル]アミノ}スルホニル)酢酸;14−シクロヘキシル−N−[(ジメチルアミノ)スルホニル]−3−メトキシ−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−α][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキサミド;3−クロロ−14−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;N’−(11−カルボキシ−14−シクロヘキシル−7,8−ジヒドロ−6H−インドロ[1,2−e][1,5]ベンゾオキサゾシン−7−イル)−N,N−ジメチルエタン−1,2−ジアミニウム ビス(トリフルオロアセタート);14−シクロヘキシル−7,8−ジヒドロ−6H−インドロ[1,2−e][1,5]ベンゾオキサゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−6−メチル−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−α][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−3−メトキシ−6−メチル−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−3−メトキシ−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−6−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−7−オキソ−6−(2−ピペリジン−1−イルエチル)−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−6−(2−モルホリン−4−イルエチル)−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−6−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−6−(1−メチルピペリジン−4−イル)−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−N−[(ジメチルアミノ)スルホニル]−7−オキソ−6−(2−ピペリジン−1−イルエチル)−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキサミド;14−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−[(ジメチルアミノ)スルホニル]−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−α][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキサミド;14−シクロペンチル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−α][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;6−アリル−14−シクロヘキシル−3−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロペンチル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;14−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸;13−シクロヘキシル−5−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロフロ[3’,2’:6,7][1,4]ジアゾシノ[1,8−α]インドール−10−カルボン酸;15−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−7−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2,6]ベンゾジアゾニン−12−カルボン酸;15−シクロヘキシル−8−オキソ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−インドロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾニン−12−カルボン酸;13−シクロヘキシル−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[1,2−d][1,4]ベンゾジアゼピン−10−カルボン酸;およびその医薬上許容される塩。
【0095】
「医薬上許容される」なる語は、該担体、希釈剤または賦形剤が該製剤のその他の成分に適合可能でなければならずその被投与者に有害であってはならないことを意味する。
【0096】
本発明には、本発明のリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールならびにその類似体および誘導体と医薬上許容される担体とを含む医薬組成物も含まれる。本発明のもう1つの例は、前記の化合物のいずれかと医薬上許容される塩とを組合せることにより製造される医薬組成物である。本発明のもう1つの例は、前記の化合物のいずれかと医薬上許容される担体とを組合せることを含む、医薬組成物の製造方法である。
【0097】
本発明には、本発明の化合物の有効量と医薬上許容される担体とを含む、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼ、特にHCV NS5B RNAポリメラーゼを阻害するのに有用な医薬組成物も含まれる。RNA依存性RNAウイルス感染、特にHCV感染の治療に有用な医薬組成物、およびRNA依存性RNAウイルスポリメラーゼ、特にHCV NS5Bポリメラーゼの阻害方法、およびRNA依存性ウイルス複製、特にHCV複製の治療方法も本発明に含まれる。また、本発明は、RNA依存性RNAウイルス、特にHCVに対して活性な別の物質の治療的有効量と組合された本発明の化合物の治療的有効量を含む医薬組成物に関する。HCVに対して活性な物質には、リバビリン、レボビリン、ビラミジン、チモシンアルファ−1、HCV NS3セリンプロテアーゼのインヒビター、インターフェロン−α、ペグ化(pegylated)インターフェロン−α(ペグインターフェロン(peginterferon)−α)、インターフェロン−αとリバビリンとの組合せ、ペグインターフェロン−αとリバビリンとの組合せ、インターフェロン−αとレボビリンとの組合せ、ならびにペグインターフェロン−αとレボビリンとの組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。インターフェロン−αには、組換えインターフェロン−α2a(例えば、Hoffmann−LaRoche,Nutley,NJから入手可能なRoferonインターフェロン)、インターフェロン−α2b(例えば、Schering Corp.,Kenilworth,NJから入手可能なIntron−Aインターフェロン)、コンセンサスインターフェロン、および精製インターフェロン−α製品が含まれるが、これらに限定されるものではない。リバビリンおよびHCVに対するその活性の考察は、J.O.SaundersおよびS.A.Raybuck,“Inosine Monophosphate Dehydrogenase:Consideration of Structure,Kinetics,and Therapeutic Potential,”Ann.Rep.Med.Chem.,35:201−210(2000)を参照されたい。
【0098】
本発明のもう1つの態様は、RNA依存性RNAウイルス複製、特にHCV複製の阻害および/またはRNA依存性RNAウイルス感染、特にHCV感染の治療のための医薬の製造のための、本発明のリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールならびにその類似体および誘導体ならびにそれらの医薬組成物の使用を提供する。本発明の更にもう1つの態様は、RNA依存性RNAウイルス複製、特にHCV複製の阻害および/またはRNA依存性RNAウイルス感染、特にHCV感染の治療のための医薬として使用するための、フッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物およびその誘導体ならびにそれらの医薬組成物を提供する。
【0099】
本発明の医薬組成物は、有効成分としての構造式Iの化合物またはその医薬上許容される塩を含み、また、医薬上許容される担体、場合によっては治療用成分をも含有しうる。
【0100】
該組成物には、経口、直腸、局所、非経口(皮下、筋肉内および静脈内を含む)、眼内(眼科)、肺(鼻腔内または頬側吸入)または鼻腔内投与に適した組成物が含まれるが、いずれかの与えられた場合に最も適した経路は、治療する状態の性質および重症度ならびに有効成分の性質に左右される。それらは単位投与形として簡便に提供されることが可能であり、薬学の分野でよく知られた方法のいずれかにより製造されうる。
【0101】
実際の使用においては、構造式Iの化合物は有効成分として、通常の薬剤製剤化技術により医薬担体と密接に混合されて組合されうる。該担体は、例えば経口または非経口(静脈内を含む)のような、投与に望ましい製剤形態に応じて多種多様な形態をとりうる。経口剤形用の組成物の製造においては、通常の医薬媒体のいずれかが使用されうる。例えば懸濁剤、エリキシル剤および水剤(溶液剤)のような経口液体製剤の場合には、例えば水、グリコール、油、アルコール、香味剤、保存剤、着色剤などが使用されうる。例えば散剤、硬および軟カプセル剤ならびに錠剤のような経口固体製剤の場合には、担体、例えばデンプン、糖、微晶質セルロース、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などが使用されうる。固体経口製剤のほうが液体製剤より好ましい。
【0102】
錠剤およびカプセル剤は、それらの投与の容易性のため、最も有利な経口単位投与形を代表するものであり、それらの場合には明らかに固体医薬担体が使用される。所望により、錠剤は標準的な水性または非水性技術によりコーティングされうる。そのような組成物および製剤は少なくとも0.1%の活性化合物を含有すべきである。これらの組成物中の活性化合物の比率は勿論、様々でありうるが、簡便には該単位の重量の約2%から約60%でありうる。そのような治療的に有用な組成物中の活性化合物の量は、有効な投与量が得られるようなものである。該活性化合物は例えば液滴剤または噴霧剤として鼻腔内にも投与されうる。
【0103】
錠剤、丸剤、カプセル剤などは、結合剤、例えばトラガカントゴム、アカシア、トウモロコシデンプンまたはゼラチン;賦形剤、例えばリン酸二カルシウム;崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム;および甘味剤、例えばスクロース、ラクトースまたはサッカリンを含有しうる。投与単位形がカプセル剤である場合、それは、前記のタイプの物質に加えて、脂肪油のような液体担体を含有しうる。
【0104】
種々の他の物質が、コーティングとして、または剤形の物理的形態を修飾するために存在しうる。例えば、錠剤は、セラック、糖またはそれらの両方でコーティングされうる。シロップ剤またはエリキシル剤は、該有効成分に加えて、甘味剤としての糖、保存剤としてのメチルおよびプロピルパラベン、色素および香味剤、例えばチェリーまたはオレンジの香料を含有しうる。
【0105】
構造式Iの化合物はまた、非経口的に投与されうる。これらの活性化合物の水剤(溶液剤)または懸濁剤は、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適切に混合された水中で製造されうる。分散液(分散剤)はまた、油中のグリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物中で製造されうる。保存および使用の通常の条件下、これらの製剤は、微生物の増殖を妨げるための保存剤を含有する。
【0106】
注射可能な使用に適した医薬形態には、無菌水性溶液または分散液、および無菌注射溶液または分散液の要時調合用製剤のための無菌散剤が含まれる。いずれの場合も、該形態は無菌でなければならず、容易な注射可能性が確保される程度の流体でなければならない。それは製造および保存の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌のような微生物の汚染作用に対して防護されなければならない。該担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、それらの適当な混合物および植物油を含有する溶媒または分散媒でありうる。
【0107】
哺乳動物、特にヒトに本発明の化合物の有効量を投与するためには、任意の適当な投与経路が用いられうる。例えば、経口、直腸、局所、非経口、眼内、肺、鼻腔内経路などが用いられうる。剤形には、錠剤、トローチ剤、分散剤(分散液)、懸濁剤、水剤(溶液剤)、カプセル剤、クリーム剤、軟膏剤、エアゾール剤などが含まれる。好ましくは、構造式Iの化合物は経口投与される。
【0108】
ヒトへの経口投与の場合、投与量範囲は分割量で0.01から1000mg/kg体重である。1つの実施形態においては、投与量範囲は分割量で0.1から100mg/kg体重である。もう1つの実施形態においては、投与量範囲は分割量で0.5から20mg/kg体重である。経口投与の場合、該組成物は、治療すべき患者の症状に応じて調節された投与量の、好ましくは1.0から1000ミリグラムの有効成分、特に1、5、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、750、800、900および1000ミリグラムの有効成分を含有する錠剤またはカプセル剤の形態で提供される。
【0109】
使用される有効成分の有効量は、使用する個々の化合物、投与様式、治療する状態および治療する状態の重症度によって様々となりうる。そのような投与量は当業者により容易に確認されうる。この投与計画は、最適な治療応答が得られるよう調節されうる。
【0110】
本発明の化合物は1以上の不斉中心を含有し、したがって、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物ならびに個々のジアステレオマーとして存在しうる。本発明は、以下の構造式VIに示すとおり5員フラノース環に関してβ−D立体化学配置を有するリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタール、すなわち、5員フラノース環のC−1およびC−4における置換基がβ立体化学配置(太線により示された「紙面手前」向きの配向)を有するリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールを包含すると意図される。
【0111】
【化25】

【0112】
特に、本発明のリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールは、以下の構造式VIIにおいて*で示された立体生成性(stereogenic)炭素中心において不斉中心を含有する。
【0113】
【化26】

【0114】
本発明は、以下の構造式VIIIおよびIXの両方のジアステレオマーを、純粋な単一のジアステレオマーとして個別に又はそれらの2つのジアステレオマーの種々の混合物として含むと意図される。
【0115】
【化27】

【0116】
本明細書に記載の化合物のいくつかはオレフィン二重結合を含有し、特に示さない限り、EおよびZの両方の幾何異性体を含むと意図される。
【0117】
本明細書に記載の化合物のいくつかはケト−エノールおよびイミン−エナミン互変異性体のような互変異性体として存在しうる。個々の互変異性体およびその混合物は構造式Iの化合物に含まれる。本発明の化合物に含まれると意図されるケト−エノールおよびイミン−エナミン互変異性体の具体例を以下に例示する。
【0118】
【化28】


【0119】
構造式Iの化合物は、例えば適当な溶媒(例えばメタノールまたは酢酸エチルまたはそれらの混合物)からの分別晶出により、または光学活性固定相を使用するキラルクロマトグラフィーにより、それらの個々のジアステレオマーへと分離されうる。
【0120】
好都合なことに、光学的に純粋な出発物質または既知立体配置の試薬を使用する立体特異的合成により、構造式Iの化合物の任意の立体異性体が得られうる。
【0121】
本発明の化合物は、医薬上許容される塩の形態で投与されうる。「医薬上許容される塩」なる語は、無機または有機塩基および無機または有機酸を含む医薬上許容される無毒性塩基または酸から製造される塩を意味する。「医薬上許容される塩」なる語に含まれる塩基性化合物の塩は、一般には、遊離塩基を適当な有機または無機酸と反応させることにより製造される本発明の化合物の無毒性塩を意味する。本発明の塩基性化合物の代表的な塩には以下のものが含まれるが、それらに限定されるものではない:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、ブロミド、カムシラート、炭酸塩、クロリド、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシラート、エストラート、エシラート、フマル酸塩、グルセプタート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシナート、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨージド、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチルブロミド、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナプシラート、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボナート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、スバセタート、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩。テオクラート、トシル酸塩、トリエチオジドおよび吉草酸塩。さらに、本発明の化合物が酸性部分を含有する場合、その適当な医薬上許容される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、第一マンガン、第二マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などを含む無機塩基から誘導された塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。特に好ましいのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩である。医薬上許容される有機無毒性塩基から誘導される塩には、第一級、第二級および第三級アミン、環状アミンならびに塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩が含まれる。
【0122】
また、本発明の化合物中に存在するカルボン酸(−COOH)、リン酸[−OP(O)(OH)]またはアルコール基の場合、カルボン酸誘導体の医薬上許容されるプロドラッグエステル、例えばメチル、エチルまたはピバロイルオキシメチルエステル;リボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールの5’−リン酸誘導体(5’−一リン酸、5’−二リン酸および5’−三リン酸を含む)の医薬上許容されるプロドラッグエステル;リボースC5ヒドロキシルのプロドラッグアシル誘導体、例えばO−アセタート、O−マレアートおよびO−アミノアシルが使用されうる。徐放性またはプロドラッグ製剤として使用するための、バイオアベイラビリティ、組織分布、溶解度および加水分解特性を修飾するための当技術分野で公知のそれらのエステルおよびアシル基が含まれる。意図される誘導体は、必要な化合物へとインビボで容易に変換される。したがって、本発明の治療方法において、「投与する」および「投与」なる語は、具体的に開示されている化合物または具体的には開示されていないかもしれないが哺乳動物(ヒト患者を含む)への投与後にインビボで特定の化合物に変換される化合物での、記載されているウイルス感染の治療を含むと意図される。適当なプロドラッグ誘導体の選択および製造のための通常の手法は、例えば“Design of Prodrugs,”H.Bundgaard編,Elsevier,1985(その全体を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されている。
【0123】
本発明の化合物の製造
本発明のリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールは、ヌクレオシド化学の実施において十分に確立されている以下の合成法に従い製造されうる。また、1,2−ジオールの環状アセタールの製造のための合成法は“Protective Groups in Organic Synthesis,”T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts編,2nd Edition,pp.118−135,1991に記載されている。
【0124】
典型的な方法はスキーム1に記載する。この方法においては、リボヌクレオシド1aを、適当なプロトン性または非プロトン性有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、THF、DMF、DMSO、ジオキサン、クロロホルムおよびジクロロメタン中、適当な酸触媒、例えばp−トルエンスルホン酸およびテトラフルオロホウ酸の存在下、式1bのジメチルアセタールと反応させる。
【0125】
【化29】

【0126】
適用される条件に応じて、リボヌクレオシド2’,3’−環状アセタール1cは、立体生成性(stereogenic)アセタール炭素原子における単一のジアステレオマーの形態またはジアステレオマーの混合物として得られうる。それぞれの純粋なジアステレオマーは分別晶出またはクロマトグラフィー法によっても得られうる。
【0127】
スキーム2に示すとおり、本発明のヌクレオシドアセタールは、適当な有機溶媒、例えばTHF、ベンゼンおよびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中、ルイス酸触媒、例えば塩化亜鉛およびホウ素トリフルオリドエテラート、またはプロトン性酸、例えばp−トルエンスルホン酸の存在下、場合によってはトリアルキルオルトホルマート、例えばトリメチルおよびトリエチルオルトホルマートの存在下、構造式1aのリボヌクレオシドを式2aのアルデヒドと反応させることにより製造されうる。該反応は氷温から反応溶媒の還流温度までの温度で行われる。
【0128】
【化30】

【0129】
以下の実施例においては、本発明の化合物の製造に用いる条件の具体例を記載する。これらの実施例は本発明の範囲を何ら限定するものではなく、該実施例はそのように解釈されるべきである。本発明のこれらの及び他の化合物を製造するために、以下の製造操作の条件および方法の公知の変更が行われうることが、ヌクレオシドおよびヌクレオチド合成の分野の当業者に容易に理解されるであろう。特に示さない限り、すべての温度は摂氏度である。
【実施例】
【0130】
実施例1
【0131】
【化31】

【0132】
乾燥テトラヒドロフラン(20mL)中の2’−C−メチルアデノシン[J.Med.Chem.,41:1708(1998)に記載の条件に従い製造されたもの](6.50g,23.1mmol)、塩化亜鉛(II)(15.8g,115.5mmol)およびp−クロロベンズアルデヒド(32.5g,231mmol)を60℃で12時間攪拌した。該反応を水酸化ナトリウムの水溶液(150mL,2N)でクエンチし、粗生成物をクロロホルム(2×250mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、該溶媒を真空中で除去した。9:1のジクロロメタン/メタノールを溶離液として使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより残渣を更に精製して、2つのジアステレオマー生成物の混合物(5:1の比)を白色粉末として得た。H NMR(500MHz,ジメチルスルホキシド−d):主異性体:δ=8.40(s,1H),8.15(s,1H),7.65(d,J=8.24,2H),7.54(d,J=8.23,2H),7.36(brs,2H),6.40(s,1H),6.18(s,1H),5.42(t,J=5.49,1H),4.71(d,J=3.43,1H),4.28(q,J=3.54,1H),3.75(m,1H),1.19(s,3H)。副異性体:δ=8.40(s,1H),8.15(s,1H),7.54(d,J=8.23,2H),7.49(d,J=8.46,2H),6.40(s,1H),6.33(s,1H),5.39(t,J=5.72,1H),4.67(d,J=4.58,1H),4.31(q,J=3.89,1H),3.75(m,1H),1.12(s,3H)。13C NMR(500MHz,ジメチルスルホキシド−d):主異性体:δ=156.1,152.8,148.9,139.1,135.4,134.3,129.0,128.6,128.5,118.8,104.8,102.3,91.3,90.8,86.4,84.4,61.3,16.9。
質量スペクトル:C1818としての計算値403.10,実測値404.3[M+H]
【0133】
実施例2
【0134】
【化32】

【0135】
乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(4mL)中の2’−C−メチルアデノシン(140mg,0.5mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物(144mg,0.75mmol)およびプロピオンアルデヒドジメチルアセタール(417mg,4mmol)を25℃で12時間攪拌した。追加的なプロピオンアルデヒドジメチルアセタール(417mg,4mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(432mg,2.25mmol)を加え、該混合物を50℃まで3時間加熱した。該反応を飽和炭酸水素ナトリウムの水溶液(5mL)でクエンチし、粗生成物をtert−ブチルメチルエーテル(4×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。質量誘導性(directed)HPLCクロマトグラフィー(逆相,Waters Sunfire Prep C18 ODB 10μm[30×100mm],アセトニトリル[0.1% TFA]/水[0.1% TFA]勾配)により残渣を更に精製して生成物を透明な油として得た。H ΝMR(500MHz,ジメチルスルホキシド−d):δ=8.55(s,1H),8.35(s,1H),6.24(s,1H),5.19(t,J=4.46,1H),4.51(d,J=3.20,1H),4.20(q,J=3.51,1H),3.72(dd,J’=3.78,J”=12.13,2H),1.74(m,2H),1.08(s,3H),0.97(t,J=7.55,3H)。13C ΝMR(500MHz,メタノール−d):δ=147.4,143.2,109.5,94.4,91.7,87.8,86.8,62.8,28.0,17.4,8.1。質量スペクトル:C1419としての計算値321.33,実測値322.4[M+H]
【0136】
実施例3
【0137】
【化33】

【0138】
2’−C−メチルアデノシン(240mg,0.85mmol)、塩化亜鉛(II)(581mg,4.3mmol)およびp−トリフルオロメチルベンズアルデヒド(2mL)の懸濁液を60℃で12時間攪拌した。該アルデヒドを蒸留により除去した。質量誘導性(directed)HPLCクロマトグラフィー(逆相,Waters Sunfire Prep C18 ODB 10μm[30×100mm],アセトニトリル[0.1% TFA]/水[0.1% TFA]勾配)により残渣を精製して純粋な生成物(白色粉末)を2つのジアステレオマーの混合物(4:1の比)として得た。H NMR(500MHz,メタノール−d):主異性体:δ=8.68(s,1H),8.38(s,1H),7.84(d,J=8.23,2H),7.77(d,J=8.24,2H),6.54(s,1H),6.32(s,1H),4.80(d,J=2.97,1H),4.44(q,J=3.00,1H),3.96(dd,J’=3.43,J”=12.36,1H),3.88(dd,J’=3.43,J”=12.35,1H),1.28(s,3H)。副異性体:δ=8.68(s,1H),8.38(s,1H),7.73(m,4H),6.56(s,1H),6.39(s,1H),4.75(d,J=4.57,1H),4.44(q,J=3.00,1H),4.04(dd,J’=2.75,J”=12.36,1H),3.92(dd,J’=3.21,J”=12.36,1H),1.20(s,3H)。13C NMR(500MHz,メタノール−d):主異性体:δ=152.5,149.8,146.3,146.2,143.5,128.7,126.5,126.4,107.0,104.4,94.2,93.1,92.5,88.6,86.4,62.8,62.6,17.4。質量スペクトル:C1419としての計算値437.37,実測値438.34[M+H]
【0139】
2’−C−メチルアデノシンの以下の追加的な2’,3’−環状アセタールを前記の方法に従い製造した。
【0140】
【化34】

【0141】
【表1】

【0142】
本発明のリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールの5’−エステル誘導体を、スキーム3に示すとおり及び実施例24に記載のとおりに製造した。
【0143】
【化35】

【0144】
実施例24
【0145】
【化36】

【0146】
実施例1の化合物(70mg,0.17mmol)、ピバロイルクロリド(22μL,0.17mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP,10mg)を乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(1mL)に溶解し、25℃で12時間攪拌した。該溶液を真空中で濃縮し、溶離液として酢酸エチルを使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して、生成物を白色粉末の形態の2つのジアステレオマーの混合物(3:1の比)として得た。H ΝMR(500MHz,メタノール−d):主異性体:δ=8.22(m,2H),7.62(d,J=8.46,2H),7.45(d,J=8.24,2H),6.44(s,1H),6.21(s,1H),4.77(d,J=4.35,1H),4.53(m,1H),4.46(d,J=5.49,1H),4.42(dd,J’=1.60,J”=4.57,1H),1.28(m,3H),1.23(s,3H),1.20(m,6H)。副異性体:δ=8.22(m,2H),7.54(d,J=8.47,2H),7.41(d,J=8.47,2H),6.43(s,1H),6.33(s,1H),4.69(d,J=4.58,1H),4.51(m,1H),4.49(d,J=4.57,1H),4.44(m,1H),1.28(m,3H),1.20(m,3H),1.17(m,6H)。13C ΝMR(500MHz,メタノール−d):主異性体:δ=179.6,157.4,154.2,140.8,136.9,136.5,129.7,129.6,129.5,107.4,104.7,92.3,92.0,87.9,83.2,80.6,65.0,39.8,27.8,27.6,27.5,19.9,17.5。質量スペクトル:C1419としての計算値487.16,実測値488.1[M+H]
【0147】
本発明のリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールの以下の追加的な5’−エステル誘導体を実施例24に記載の方法に従い製造した。
【0148】
【化37】

【0149】
【表2】


【0150】
実施例39
【0151】
【化38】

【0152】
2’−C−メチルシチジン[Carbohyd.Res.,166:219−232(1987)に記載の条件に従い製造されたもの](64mg,0.25mmol)、塩化亜鉛(II)(170mg,1.25mmol)および2−エチルブチルアルデヒド(1mL)を60℃で12時間攪拌した。該反応を水酸化ナトリウムの水溶液(5mL,2N)でクエンチし、粗生成物を85/15 クロロホルム/イソプロピルアルコール(3×15mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、該溶媒を真空中で除去した。9:1のジクロロメタン/メタノールを溶離液として使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより残渣を更に精製して、所望の生成物を白色粉末の形態の2つのジアステレオマー生成物の3:1混合物として得た。H NMR(500MHz,メタノール−d):主異性体:δ=7.95(d,J=7.55,1H),6.12(s,1H),5.89(m,1H),5.15(d,J=4.35,1H),4.35(d,J=4.34,1H),4.11(q,J=3.66,1H),3.84(dd,J’=2.92,J”=12.36,1H),3.75(dd,J’=3.66,J”=12.36,1H),1.56(m,2H),1.43(m,2H),1.18(s,3H),0.94(m,6H)。副異性体:δ=7.91(d,J=8.01,1H),6.10(s,1H),5.89(m,1H),5.23(d,J=3.89,1H),4.32(d,J=5.26,1H),4.07(m,1H),3.90(dd,J’=2.52,J”=12.13,1H),3.78(m,1H),1.56(m,2H),1.43(m,2H),1.14(s,3H),0.94(m,6H)。13C NMR(500 MHz,メタノール−d):主異性体:δ=167.6,158.2,143.2,110.4,95.6,92.0,86.8,86.0,62.5,45.8,22.3,22.0,19.7,17.4,11.8,11.7。質量スペクトル:C1818としての計算値339.39,実測値340.31[M+H]
【0153】
2’−C−メチルシチジンの以下の追加的な2’,3’−環状アセタールを前記の方法に従い製造した。
【0154】
【化39】

【0155】
【表3】

【0156】
実施例46
ヌクレオシド5’−三リン酸
構造式Vの5’−三リン酸をChem.Rev.100:2047(2000)に記載の一般的方法に従い製造した。
【0157】
実施例47
ヌクレオシド5’−三リン酸の精製および純度分析
50mM Tris(pH8)のバッファー系と共に30×100mm Mono Qカラム(Pharmacia)を使用するアニオン交換(AX)クロマトグラフィーにより三リン酸を精製した。溶出勾配は、典型的には、6.5mL/分での2カラム体積中の40mM NaClから0.8M NaClまでであった。アニオン交換クロマトグラフィーからの適当な画分を集め、Luna C18 250×21mmカラム(Phenomenex)を使用する10ml/分の流速の逆相(RP)クロマトグラフィーにより脱塩した。溶出勾配は、一般には、一定濃度の5mM 酢酸トリエチルアンモニウム(TEAA)中14分間で1%から95%までのメタノールであった。
【0158】
精製された三リン酸の質量スペクトルを、Hewlett−Packard(Palo Alto,CA)MSD 1100上でオンラインHPLC質量分析を用いて決定した。Phenomenex Luna(C18(2))(150×2mm、+30×2mmガードカラム、粒径3μm)をRP HPLCに使用した。20mM TEAA(酢酸トリエチルアンモニウム)(pH7)中のアセトニトリルの0から50%までの直線勾配(15分)溶出を、負イオン化モードの質量スペクトル検出と連続させて行った。窒素ガスおよび空気式煙霧器を使用してエレクトロスプレーを生成させた。150から900の質量範囲をサンプル採取した。HP Chemstation分析パッケージを使用して分子質量を測定した。
【0159】
精製された三リン酸の純度を分析用RPおよびAX HPLCにより測定した。Phenomonex LunaまたはJupiterカラム(250×4.6mm)(粒径5μm)を使用するRP HPLCを、典型的には、100mM TEAA(pH7)中、2から70%までのアセトニトリル勾配で15分間実施した。AX HPLCは1.6×5mm Mono Qカラム(Pharmacia)上で行った。一定濃度の50mM(pH8)での0から0.4MまでのNaClの勾配を用いて三リン酸を溶出した。該三リン酸の純度は一般には80%を上回った。
【0160】
生物学的アッセイ
A.インビトロ肝リボヌクレオシド2’,3’−環状アセタール変換スクリーニング
シトクロムP450混合機能オキシダーゼに必要なNADPH補因子の存在下または非存在下でラット、イヌまたはヒト肝S9ホモジネートと共にインキュベートされた場合の本発明のリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールから構造式IVの対応リボヌクレオシドへの変換を評価するために、インビトロアッセイを行った。雄Sprague−Dawleyラット(N=2)からの新鮮な肝臓の約8グラムの断片(カルシウム依存性エステラーゼ−パラオキソナーゼの不可逆性不活性化を防ぐためのEDTA非含有バッファー中、3 w/v)をホモジナイズし、遠心分離(10,000g、4℃で30分間)することにより、ラット肝S9を調製した。ウシ血清アルブミン(BSA)標準に対するビシンコニニック(bicinchoninic)(BCA)タンパク質アッセイを用いて、上清(S−9)のタンパク質濃度を推定した。
【0161】
10μMの濃度の構造式Iのリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールを、100mM リン酸ナトリウムバッファー(pH7.4)および1mM NADPH(NADPH再生系を伴う)中、4mg/mL ラット肝S9と共に37℃で60分間インキュベートした。NADPHおよびNADPH再生系の両方の非存在下、4mg/mL ラット肝S9(残留NADPHを除去するために透析されたもの)の存在下で対照インキュベーションを行った。インキュベーションを2倍容量のアセトニトリル(0.2 v/v% ギ酸を含有)の添加により停止させ、ボルテックスし、遠心分離した。上清を水で10倍希釈し、正イオン選択反応モニターモードのLC−ESI MS/MSにより直接的に分析した。リボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールからその対応リボヌクレオシドへの変換を標準に対して定量した。
【0162】
B.インビトロ肝リボヌクレオチド測定
リボヌクレオシドまたはリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールを、比較ヌクレオシドである2’−C−メチルアデノシンおよび2’−C−メチルシチジンの5mg/kgに等しいモルの用量で、経口ガバージュによりラットに投与した。投与後の特定の時点(例えば、30分、1時間、2時間および5時間)で、動物にイソフルランを投与し、腹腔を開いた。門のサンプル(約200μL)および全身血のサンプル(約5mL)をそれぞれ門脈または下大静脈から直接的に採取した。動物を深いイソフラン麻酔下に置きなが、液体窒素中で予め冷却されたブラスクランプを使用して肝臓の1から2個の切片をインビボで凍結−クランプした。ついで凍結肝臓切片を、分析まで−70℃で保存した。選択されたプロドラッグに関する対応トリチウム化放射性トレーサーを投与し、Packard自動酸化装置上での燃焼およびそれに続く液体シンチレーション計数(LSC)の後、全肝臓放射能レベルを測定した。
【0163】
凍結肝臓の断片を、3 v/w 70/30 メタノール/20mM 水性EDTA/EGTA(pH7.0)中、氷上でホモジナイズした。マグネシウムをキレート化して、一リン酸、二リン酸および三リン酸の平衡を引き起こす残留アデニル酸キナーゼ活性を最小にするために、EDTA/EGTAの添加が必要であった。ホモジネートを遠心分離し、上清のアリコートを、HPLC−MS/MS−放射化学的プロファイリング/分析により完全乾燥させ水で還元(reconstitute)するか(方法A、後記)、または固相抽出(SPE)法により更に純化させた後でLC−ESI MS/MSによる分析に付した(方法B、後記)。後者の方法を用いて、対応する5’−リン酸化リボヌクレオシドの肝臓レベルを標準に対して直接的に測定した。
【0164】
クロマトグラフィー分析法A:
Waters ODS−AQ 120A 4.6×25cm HPLCカラムを1mL/分の流速で使用して(流量分割:Thermo−Electron Quantum ESI MS源へ200μL/分および放射能流動分析装置へ800μL/分)、還元肝臓ホモジネートを分析した。放射能プロファイリングの実施のためにヌクレオチド、ヌクレオシドプロドラッグ、ヌクレオシドおよびプロドラッグ代謝産物を分離するために、以下の勾配法を用いた:0から15分:0から15% 溶媒B;15から25分:15から90% B;25から27分:90から0% B;27から30分:100% A(ここで、溶媒A=10mM 水性酢酸アンモニウム(pH未調節)および溶媒B=100% アセトニトリル)。ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび対応代謝産物の同一性が正イオンエレクトロスプレー(ESI)モードのLC−MS/MSにより確認された。
【0165】
クロマトグラフィー分析法B:
肝臓ホモジネートを、Phenomenex Strata−X−AW 30mg弱アニオン交換96ウェルプレートを使用する固相抽出(SPE)により純化した。SPE後、アナライトを逆相クロマトグラフィー法により分離し、Sciex API 3000質量分析装置上で検出した。該分離は、100% A:10mM 水性酢酸アンモニウム+0.1% ジメチルヘキシルアミンから40% 溶媒B:10mM 酢酸アンモニウム+0.1% ジメチルヘキシルアミン(95/5 アセトニトリル/水中)までの溶媒勾配を6分の勾配時間にわたって用おり;ACE C18カラム(0.2×5cm)上で行った。流速は0.5mL/分であった。一リン酸、二リン酸および三リン酸同化産物をTurboIonspray源においてイオン化し、負イオンモードの選択反応モニタリング(SRM)により測定した。ヌクレオチド標準を対照肝臓ホモジネート内に加え、サンプルと同様に加工した。肝臓内の各アナライトの既知濃度に対してピーク面積比(アナライト対内部標準)をプロットすることにより、検量線を得た。未知サンプルにおける各アナライトの濃度を該検量線からの内挿により決定した。
【0166】
血液を冷却アセトニトリル(0.2 v/v% ギ酸を含有する)に直ちに加えて(1:2)、エステラーゼおよび/またはデアミナーゼ活性を不活性化した。このようにして得られた血液サンプルの上清において、リボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールレベルおよび/または代謝産物レベルをLC−MSにより測定して、各リボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールの腸吸収および腸分解/代謝の度合の両方を確認した。選択されたリボヌクレオシド2’,3’−環状アセタールに関する対応トリチウム化放射性トレーサーを調製し、Packard自動酸化装置上での燃焼およびそれに続く液体シンチレーション計数(LSC)の後、全血液放射能レベルを測定した。放射化学的プロファイリングでのLC分析も行った。
【0167】
HCV NS5B RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)のインヒビターとしての構造式Vの5’−三リン酸誘導体の有効性を以下のアッセイにおいて測定した。
【0168】
HCV NS5Bポリメラーゼの阻害に関するアッセイ:
ヘテロマーRNA鋳型上のC型肝炎ウイルス(HCV)のRNA依存性RNAポリメラーゼ(NS5B)の酵素活性を阻害する構造式Vの5’−三リン酸誘導体の能力を測定するために、このアッセイを用いた。
【0169】
方法:
アッセイバッファー条件:(50μL−合計/反応)
20mM Tris,pH7.5
50μM EDTA
5mM DTT
2mM MgCl
80mM KCl
0.4U/μL RNアシン(Promega,ストックは40単位/μL)
0.75μg t500(C型肝炎ゲノムのNS2/3領域からの配列を使用するT7ランオフ転写を用いて製造された500−nt RNA)
1.6μgの精製C型肝炎NS5B(C末端切断された21アミノ酸を有する形態)
1μM A、C、U、GTP(ヌクレオシド三リン酸混合物)
[アルファ−32P]−GTPまたは[アルファ−33P]−GTP
【0170】
リボヌクレオシド三リン酸を100μMの最終濃度までの種々の濃度で試験した。
【0171】
酵素および鋳型t500を含有する適当な容量の反応バッファーを調製した。本発明のリボヌクレオシド三リン酸を96ウェルプレートのウェル内にピペッティングした。放射能標識GTPを含むヌクレオシド三リン酸(NTP、ヌクレオシド三リン酸混合物)を調製し、96ウェルプレートのウェル内にピペッティングした。該反応を該酵素−鋳型反応溶液の添加により開始させ、室温で1から2時間進行させた。
【0172】
該反応を20μLの0.5M EDTA(pH8.0)の添加によりクエンチした。該反応バッファーの添加の前に該NTPに該クエンチ溶液を加えたブランク反応を含めた。
【0173】
50μLの該クエンチ反応液をDE81フィルターディスク(Whatman)上にスポットし、30分間乾燥させた。該フィルターを0.3M ギ酸アンモニウム(pH8)(150mL)で洗浄した(1mLの洗液中のcpmが100未満になるまで洗浄した;通常は6回の洗浄)。該フィルターをシンチレーションカウンター内の5mLのシンチレーション流体中で計数した。
【0174】
阻害の比率を以下の式により計算した:%阻害=[1−(試験反応におけるcpm−ブランクにおけるcpm)/(対照反応におけるcpm−ブランクにおけるcpm)]×100。
【0175】
該HCV NS5Bポリメラーゼアッセイにおいて試験した代表的なリボヌクレオシド三リン酸は50マイクロモル未満のIC50を示した。
【0176】
医薬製剤の実施例
本発明の化合物の経口組成物の具体的な実施形態として、50mgの実施例1の化合物を十分な微細化ラクトースで製剤化して、サイズOの硬ゼラチンカプセルに充填するための総量580から590mgを得る。
【0177】
本発明はその特定の実施形態に関して記載され例示されているが、それにおいては本発明の精神および範囲から逸脱することなく種々の変更、修飾および置換が施されうると当業者は理解するであろう。例えば、HCV感染の重症度に関する治療されているヒトの応答性における変動の結果として、前記の本明細書中に記載されている好ましい用量以外の有効量が適用可能でありうる。同様に、観察される薬理学的応答は個々の活性化合物、あるいは医薬担体が存在するかどうか、ならびに製剤のタイプおよび用いる投与様式に相応して及びそれに応じて変動しうる。そのような予想される変動または結果における相違は本発明の目的および実施に相応して想定される。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定され、そのような特許請求の範囲は、合理的な範囲で広く解釈されると意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
示されている立体化学配置を有する構造式I:
【化1】

の化合物またはその医薬上許容される塩
[式中、
Bは
【化2】

であり;
YはNまたはCR10であり;
は、水素、フルオロ、アミノ、ヒドロキシおよびメトキシよりなる群から選ばれ;
は、
1−12アルキル、
3−8シクロアルキル、
アリールおよび
ヘテロアリール
よりなる群から選ばれ、
ここで、アルキルおよびシクロアルキルは置換されていないか、または独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシおよびC1−4アルコキシから選ばれる1から3個の置換基で置換されおり、ならびにアリールおよびヘテロアリールは置換されていないか、または独立して、Rから選ばれる1から5個の置換基で置換されており;
は、水素、C1−16アルキルカルボニル、C2−18アルケニルカルボニル、C1−10アルキルオキシカルボニル、C3−6シクロアルキルカルボニル、C3−6シクロアルキルオキシカルボニル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、構造式:
【化3】

のアミノアシル残基または構造式:
【化4】

の残基よりなる群から選ばれ、
ここで、アルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、シクロアルキルカルボニルおよびシクロアルキルオキシカルボニルは置換されていないか、または独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、C1−4アルコキシ、アミノ、C1−4アルキルアミノおよびジ(C1−4アルキル)アミノから選ばれる1から3個の置換基で置換されており、ならびにアリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールカルボニルおよびヘテロアリールオキシカルボニルは置換されていないか、または独立して、Rから選ばれる1から5個の置換基で置換されており、Arは、置換されていないフェニルであるか、または独立して、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、トリフルオロメチル、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルカルボニルオキシおよびC1−4アルキルオキシカルボニルよりなる群から選ばれる1から3個の置換基で置換されたフェニルであり;
は水素、ハロゲン、メチル、アジド、シアノまたはアミノであり;
、RおよびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C3−6シクロアルキルアミノまたはジ(C3−6シクロアルキル)アミノであり;
は水素、C1−3アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4アルキルアミノ、CFまたはハロゲンであり;
各Rは、独立して、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルホニル、シアノ、ニトロ、アミノ、フェニル、カルボキシ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルカルボニルオキシおよびC1−4アルキルオキシカルボニルよりなる群から選ばれ;
10は水素、フッ素、シアノ、C1−3アルキル、NHCONH、C(=O)NR1515、C(=S)NR1515、C(=O)OR15、C(=NH)NH、ヒドロキシ、C1−3アルコキシ、アミノ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C2−4アルケニルまたはC2−4アルキニルであり;
11は水素、C1−5アルキルまたはフェニルC0−2アルキルであり;
12は水素、C1−4アルキル、C1−4アシル、ベンゾイル、C1−4アルキルオキシカルボニル、フェニルC0−2アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルアミノカルボニル、フェニルC0−2アルキルアミノカルボニル、C1−4アルキルスルホニルまたはフェニルC0−2アルキルアミノスルホニルであり;
13は水素、C1−5アルキル、フェニルまたはベンジルであり、
ここで、アルキルは置換されていないか、またはヒドロキシ、メトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、グアニジノ、メルカプト、メチルチオ、1H−イミダゾリルおよび1H−インドール−3−イルよりなる群から選ばれる1個の置換基で置換されており、ならびにフェニルおよびベンジルは置換されていないか、または独立して、ハロゲン、ヒドロキシおよびメトキシよりなる群から選ばれる1から2個の置換基で置換されており;
14は水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニルまたはベンジルであり、
ここで、アルキルおよびシクロアルキルは置換されていないか、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、C1−4アルコキシから選ばれる1から3個の置換基で置換されており、ならびにフェニルおよびベンジルは置換されていないか、または独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルコキシおよびトリフルオロメチルから選ばれる1から3個の置換基で置換されており;および
各R15は、独立して、水素またはC1−6アルキルである]。
【請求項2】
Bが構造式:
【化5】

のプリン塩基である、請求項1の化合物。
【請求項3】
YがNである、請求項2の化合物。
【請求項4】
およびRが水素であり、ならびにRがアミノである、請求項3の化合物。
【請求項5】
YがCR10である、請求項2の化合物。
【請求項6】
およびRが水素であり、ならびにRがアミノである、請求項5の化合物。
【請求項7】
Bが構造式:
【化6】

のピリミジン塩基である、請求項1の化合物。
【請求項8】
が水素であり、およびRがアミノである、請求項7の化合物。
【請求項9】
が、置換されていないフェニルであるか、または独立して、Rから選ばれる1から3個の置換基で置換されたフェニルである、請求項1の化合物。
【請求項10】
は、置換されていないC1−6アルキルであるか、または独立して、フルオロ、ヒドロキシ、カルボキシおよびC1−4アルコキシから選ばれる1から3個の置換基で置換されたC1−6アルキルである、請求項1の化合物。
【請求項11】
が、水素、C1−6アルキルカルボニル、C3−6シクロアルキルカルボニル、フェニルカルボニルまたはヘテロアリールカルボニルであり、ここで、フェニルカルボニルおよびヘテロアリールカルボニルが置換されていないか、または独立して、Rから選ばれる1から3個の置換基で置換されており、ならびにアルキルカルボニルおよびシクロアルキルカルボニルが置換されていないか、または独立して、フッ素、ヒドロキシ、カルボキシ、C1−4アルコキシ、アミノ、C1−4アルキルアミノおよびジ(C1−4アルキル)アミノから選ばれる1から3個の置換基で置換されている、請求項1の化合物。
【請求項12】
【化7】



よりなる群から選ばれる化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項13】
請求項1の化合物と医薬上許容される担体とを含んでなる医薬組成物。
【請求項14】
哺乳動物におけるC型肝炎ウイルス感染の治療のための請求項1の化合物の使用。
【請求項15】
哺乳動物におけるC型肝炎ウイルス感染の治療のための医薬の製造における請求項1の化合物の使用。

【公表番号】特表2009−513564(P2009−513564A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526091(P2008−526091)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2006/030549
【国際公開番号】WO2007/021610
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】