説明

RNA合成に有用な水酸基の新規保護基を有する化合物

【課題】 安価な導入試薬を用いてリボヌクレオシドの2’−水酸基に導入可能でかつ、リン酸ジエステルの転位に対して不活性な酸性条件下で除去可能な2’−水酸基の保護基を提供する。
【解決手段】 一般式(I)
【化1】


〔式(I)中、R、Rは同一または異なってアルコキシ基などを表わし、Rは水素原子などを表わし、Rは水素原子などを表わし、Xは酸素原子などを表わし、Yは保護基を有してもよい核酸塩基を表わす。〕
で表わされる化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2’−水酸基に保護基もしくは修飾基として用いうる基を有するヌクレオシドおよびそのホスホロアミダイト誘導体、それらを用いたオリゴヌクレオチドの合成法、その合成法によって合成されたオリゴヌクレオチド、並びに前記保護基等を導入するための試薬に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでにオリゴリボヌクレオチド(RNA)の合成法が盛んに開発されてきた。その中でも、2’−水酸基の保護基は効率的なRNA合成のために最も重要なもののひとつである。これまでに数多くの2’−水酸基の保護基が報告されているが、現在の核酸化学で実用化されているものは数種類しかない。RNA合成に適した2’−水酸基の保護基には以下の性質が要求される。1)保護基の導入試薬が安価である。2)2’−水酸基に容易に高収率で導入できる。3)オリゴヌクレオチド合成の条件下で安定であること。4)容易かつ選択的に脱保護できること。
【0003】
現在用いられている代表的な2’−水酸基の保護基としては非特許文献1に記載のtert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)基、非特許文献2に記載のトリイソプロピルシリルオキシメチル(TOM)基などケイ素を利用したものがある。しかし、一般にケイ素を含む保護基はその導入試薬が高価であり、経済的な観点からは最良のものとはいえない。また非特許文献3にはTBDMS基の脱保護時に、3’位のリン酸ジエステル結合が遊離になった2’−水酸基に転位した問題も報告されており、これらの問題の解決が必要である。
【0004】
【非特許文献1】Sudhir Agrawal編 Protocols for Oligonucleotides and Analogs−synthesis and properties−, Chapter 5 Masad,J.Damha,Kelvin,K Ogilvie著 Oligoribonucleotide synthesis.
【非特許文献2】S. Pitsch,P.A.Weiss,L.Jenny,A.Stutz,X.Wu Helvetica Chimica Acta 84巻 3773ページ 2001年
【非特許文献3】M.A.Morgan,S.A.Kazakov,S.M.Hecht Nucleic Acids Research 23巻 3949ページ 1995年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、安価な導入試薬を用いてリボヌクレオシドの2’−水酸基に導入可能でかつ、リン酸ジエステルの転位に対して不活性な酸性条件下で除去可能な2’−水酸基の保護基を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意検討した結果、ジオキソラン−もしくはジチオラン−4,5−ジカルボン酸誘導体からなる基をリボヌクレオシドの2’−水酸基の保護基として用いることに思い至り、これによって本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明は、以下の(1)〜(11)を提供するものである。
【0008】
(1)一般式(I)
【0009】
【化1】

〔式(I)中、R、Rは同一または異なってアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、又はジアルキルアミノ基を表わし、Rは水素原子、置換基を有してもよいトリチル基、又は置換基を有してもよいシリル基を表わし、Rは水素原子、又は一般式(II)
【0010】
【化2】

(式(II)中、Rはリン酸基の保護基を表わし、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、又はふたつのRが互いに結合して環を形成した基を表わす。)
で表わされる基を表わし、Xは酸素原子、又は硫黄原子を表わし、Yは保護基を有してもよい核酸塩基を表わす。〕
で表わされる化合物。
【0011】
(2)一般式(I)におけるR、Rが、アルコキシ基、又はアミノ基を表わすことを特徴とする(1)記載の化合物。
【0012】
(3)一般式(I)におけるRが、水素原子、又は4,4’−ジメトキシトリチル基を表わすことを特徴とする(1)又は(2)記載の化合物。
【0013】
(4)一般式(II)におけるRが、2−シアノエチル基、2−(4−ニトロフェニル)エチル基、2−トリメチルシリルエチル基、又はメチル基を表わすことを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか記載の化合物。
【0014】
(5)一般式(II)におけるRが、イソプロピル基を表わすことを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか記載の化合物。
【0015】
(6)一般式(I)におけるXが、酸素原子を表わすことを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか記載の化合物。
【0016】
(7)一般式(I)におけるYが、保護基を有してもよいウラシル−1−イル基、チミン−1−イル基、アデニン−9−イル基、又はグアニン−9−イル基を表わすことを特徴とする(1)乃至(6)のいずれか記載の化合物。
【0017】
(8)(1)乃至(7)のいずれか記載の化合物を用いることを特徴とするオリゴヌクレオチドの合成法。
【0018】
(9)(8)記載の合成法によって合成されたオリゴヌクレオチド。
【0019】
(10)一般式(III)
【0020】
【化3】

〔式(III)中、R、Rは同一または異なってアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、又はジアルキルアミノ基を表わし、Rはアルキル基を表わす。〕
で表わされる化合物からなることを特徴とする水酸基への保護基導入試薬。
【0021】
(11)一般式(III)におけるR、Rが、アルコキシ基、又はアミノ基を表わすことを特徴とする(10)記載の水酸基への保護基導入試薬。
【発明の効果】
【0022】
本発明の化合物は、安価な導入試薬を用いてリボヌクレオシドの2’−水酸基に保護基を導入することで容易に得られ、かつその保護基はリン酸ジエステルの転位に対して不活性な酸性条件下で除去可能であることからリボヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド合成に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0024】
【化4】

【0025】
上記一般式(I)において、R、Rは同一または異なってアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、又はジアルキルアミノ基を表わす。ここでアルコキシ基とは、例えば、炭素数1から5のアルコキシ基を表わし、イソプロピル基のように分岐したものも含まれる。アルキルアミノ基とは、例えば、窒素原子上に炭素数1から5のアルキル基がひとつ結合したアルキルアミノ基を表わし、ジアルキルアミノ基とは、例えば、窒素原子上に炭素数1から5のアルキル基がふたつ結合したジアルキルアミノ基を表わす。Rは水素原子、置換基を有してもよいトリチル基、又は置換基を有してもよいシリル基を表わす。置換基を有してもよいトリチル基とは、例えば、4,4’−ジメトキシトリチル基、4−メトキシトリチル基などをさす。置換基を有してもよいシリル基とは、例えば、tert−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基基、ビス(トリメチルシリルオキシ)(シクロヘキシルオキシ)シリル基などを表わす。Rは水素原子または一般式(II)で表わされる基を表わす。
【0026】
【化5】

【0027】
ここで、一般式(II)中、Rは2−シアノエチル基、2−(4−ニトロフェニル)エチル基、2−トリメチルシリルエチル基、メチル基などのリン酸基の保護基を表わし、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などを表わす。また、ふたつのRが互いに結合して環を形成して、ピペリジン、モルホリン、ピロリジンなどの環を形成してもよい。
【0028】
Xは、酸素原子、硫黄原子を表わし、酸素原子が好ましい。
【0029】
Yは保護基を有してもよい核酸塩基を表わす。ここで保護基とはDNAおよびRNAの合成において核酸塩基部の保護基として用いうるものであれば特に限定されないが、例えばベンゾイル基、アセチル基、イソブチリル基、フェノキシアセチル基、(4−tert−ブチルフェニル)オキシアセチル基、(4−イソプロピルフェニル)オキシアセチル基などのアシル基や、N,N−ジメチルアミノメチレン基、(ピロリジン−1−イル)メチレン基などのメチレン基などを例示することができる。
【0030】
核酸塩基とは、天然の生物のDNAおよびRNAに含まれるヌクレオチドの塩基部部分全般を示すが、特にアデニン−9−イル、グアニン−9−イル、シトシン−1−イル、ウラシル−1−イル、チミン−1−イルなどの基が挙げられる。また、これらの保護基が核酸塩基に導入された例としては、6−N−ベンゾイルアデニン−9−イル、6−N−フェノキシアセチルアデニン−9−イル、2−N−イソブチリルグアニン−9−イル、2−N−(4−tert−ブチルフェニル)オキシアセチルグアニン−9−イル、4−N−アセチルシトシン−1−イル、4−N−ベンゾイルシトシン−1−イルなどを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0031】
一般式(I)で表わされる化合物は、例えば、ウリジンの5’及び3’水酸基を保護した誘導体から、式(III)で表される保護基導入試薬を用いて、カンファースルホン酸やトシル酸などの酸触媒またはBF3やTiCl4などのルイス酸を用いてオルトエステル交換反応によって合成できる。触媒としてはカンファースルホン酸が好ましい。
【0032】
【化6】

【0033】
上記一般式(III)において、R、Rは、一般式(I)におけるR、Rと同様の基を表わす。Rは、例えば、炭素数1から5のアルキル基を表わす。一般式(III)で表わされる化合物は、水酸基(主にリボヌクレオシドの2’−水酸基)への保護基導入試薬として利用することができる。
【0034】
次に、本発明のオリゴヌクレオチド合成法について説明する。ここで述べるオリゴヌクレオチドとは、例えば、リボヌクレオチドの2から100量体からなるオリゴマー、リボヌクレオチドとデオキシヌクレオチドが任意の配分および任意の配列で重合した2から100量体からなるオリゴマーなどを指す。リボヌクレオチドやデオキシヌクレオチドとしてはアデニル酸、デオキシアデニル酸、グアニル酸、デオキシグアニル酸、シチジル酸、デオキシシチジル酸、ウリジル酸、チミジル酸を例示することができるが、それらに限定されるものでない。また、完全に脱保護されたオリゴヌクレオチドを合成する工程の途中に得られる、2’−水酸基に一般式(III)で表わされる化合物によって導入された保護基を有した状態の化合物も含む。
【0035】
これらのオリゴヌクレオチドは、一般式(I)で表わされる化合物のうち、Rが水素原子以外であり、Rが一般式(II)で表わされる基である化合物(ホスホロアミダイト化合物)を用い、当業者に公知の固相条件もしくは液相条件でのホスホロアミダイト法により合成が可能である。ホスホロアミダイト法としては、例えばホスホロアミダイトと1H−テトラゾールを用いて、ヌクレオシドやオリゴヌクレオチドの5’水酸基にヌクレオチドユニットを伸長する縮合反応、未反応の水酸基を無水酢酸などを用いてアセチル化するキャップ化反応、縮合反応により生成したホスファイトトリエステルを酸化する酸化反応、5’末端の4,4−ジメトキシトリチル基などを酸性条件下で除去するデブロック反応の四つの工程を繰り返し、オリゴヌクレオチドを伸長する反応を指し、最後に濃アンモニアなどによる核酸塩基部とリン酸部の脱保護を行う。完全に脱保護されたオリゴヌクレオチドを合成する際には、さらに引き続き、本発明の保護基をpH2〜5の条件下除去することで得ることができる。
【0036】
本発明のオリゴヌクレオチドは例えばPCR用のオリゴヌクレオチドプライマー、オリゴヌクレオチド医薬品素材(アンチセンスオリゴヌクレオチド、デコイオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドを利用した遺伝子修復用の資材)および遺伝子解析プローブ、人工酵素、アプタマーなどとして用いることができる。
【実施例】
【0037】
以下本発明品を実施例により更に詳細に説明する。なお、本発明の範囲は、かかる実施例に限定されないことはいうまでもない。
【0038】
〔原料合成例1〕
2−エトキシ-1,3−ジオキソラン-4,5−ジカルボン酸ジエチル
【0039】
【化7】

【0040】
D,L−酒石酸ジエチル(10 g, 48 mmol)をトルエン(50 mL)に溶解し、オルトギ酸トリエチル (19.4 g,131 mmol)とカンファースルホン酸(20 mg, 0.086 mmol)を加え、エタノールの留去が終了するまで95℃で反応させた。反応系をピリジン(1 mL)を加えて中和し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標題化合物(12 g, 95%)を得た。
【0041】
D体: 1H MNR (CD3Cl; 500MHz) δ(ppm): 1.19-1.29 (t, 3H); 1.3-1.35 (m, 6H); 3.66-3.70 (m, 2H);4.27-4.32 (m, 4H); 4.726-4.734 (d, 1H, J-4.15Hz); 5.05-5.06 (d, 1H, J-4.151Hz);6.09 (s, 1H).
L体: 1H MNR (CD3Cl; 500MHz) δ(ppm): 1.2-1.23 (t, 3H); 1.3-1.35 (m, 6H); 3.67-3.7 (m, 2H);4.28-4.3 (m, 4H); 4.71-4.72 (d, 1H, J-4.395Hz); 5.04-5.05 (d, 1H, J-4.395Hz); 6.083 (s, 1H)
【0042】
〔原料合成例2〕
2’−O−(3,4−ビス(エトキシカルボニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)−3’,5’−O−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)ウリジン
【0043】
【化8】

【0044】
3’,5’−O−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)ウリジン (10 mmol)をトルエン(30 mL)に溶解し、D体もしくはL体の2−エトキシ-1,3−ジオキソラン-4,5−ジカルボン酸ジエチル(50 mmmol)とカンファースルホン酸(5 mmmol)を加え、105℃から115℃に保ち、エタノールの留去が終了するまで撹拌した。反応系にピリジン(1 mL)を加えて中和し、溶媒を減圧下留去した。残渣をクロロホルム(50 mL)に溶解し、水(50 mL)で2回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した後、濾液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標題化合物をD体85%、L体80%で得た。
【0045】
D体:1H MNR (CDCl3; 500MHz) δ(ppm): 0.93-1.09 (m, 28H); 1.28-1.34 (m, 6H); 3.94-4.06 (d.m,2H);4.21-4.29 (m, 4H); 4.45-4.46 (d, 1H, J-4.639Hz); 4.74-4.76 (d, 1H, J-5,372Hz);5.09-5.1 (d, 1H, J-5.127Hz); 5.67-5.68 (d, 1H, J-7.787Hz); 5.81 (s, 1H); 6.495 (s, 1H); 7.8-7.81 (d, 1H, J-8.057Hz); 9.45 (s, 1H)
13C MNR (CDCl3; 500MHz)δ(ppm): 12,62-14.34; 17.02; 17.17--17.7; 59.6; 62.29; 62.36;
67.57; 75.74; 76.57; 76.97; 89.62; 101.79; 116.49; 140.13; 150.07;164.15; 168.68; 168.93
L体:1H MNR (CDCl3; 500MHz) δ(ppm): 0.93-1.1 (m, 28H); 1.29-1.35 (m, 6H); 3.95-3.98 (d.m,2H);4.15-4.33 (m, 4H); 4.39-4.41 (d, 1H, J-3.349Hz); 4.78-4.79 (d, 1H, J-5.127Hz);5.02-5.21 (d, 1H, J-5.127Hz); 5.64(s, 1H,); 5.65-5.67 (d, 1H, J-8.057); 6.52 (s, 1H); 7.8-7.81 (d, 1H, J-8.301Hz); 8.90 (s, 1H)
13C MNR (CDCl3; 500MHz)δ(ppm): 12.74-14.37; 17.02-17.67; 59.49; 62.37;62.68; 68.86,
72.3; 75.28; 76.81; 81.83; 89.5; 101.74; 115.55; 139.61; 149.85; 163.63; 168.73;168.16
【0046】
〔原料合成例3〕
6−N−ベンゾイル−2’−O−(3,4−ビス(エトキシカルボニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)−3’,5’−O−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)アデノシン
【0047】
【化9】

【0048】
6−N−ベンゾイル−3’,5’−O−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)アデノシン(10 mmol)をトルエン(30 mL)に溶解し、D体もしくはL体の2−エトキシ-1,3−ジオキソラン-4,5−ジカルボン酸ジエチル(50 mmmol)とカンファースルホン酸(5 mmmol)を加え、105℃から115℃に保ち、エタノールの留去が終了するまで撹拌した。反応系にピリジン(1 mL)を加えて中和し、溶媒を減圧下留去した。残渣をクロロホルム(50 mL)に溶解し、水(50 mL)で2回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した後、濾液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標題化合物を74%で得た。
【0049】
1H MNR (CDCl3; 500MHz) δ(ppm): 1.03-1.1(m, 28H); 1.26-1.33(m, 6H); 4.19-4.29 (m, 6H);
4.77-4.78 (d, 1H, J-4.883); 4.88-(m, 3H); 5.18-5.19(d, 1H, J-4.883); 60.3 (s, 1H); 6.53 (s, 1H); 7.49-7.5 (d.m, 3H,); 8.03-8.85 (d, 2H, J-7.324); 8.27 (s, 1H); 8.73 (s, 1H); 9.45 (s, 1H)
13C MNR (CDCl3; 500MHz)δ(ppm): 12.79-14.33; 17.08-17.62; 59.99; 61.92; 62.21; 62.38;
62.45; 62.47; 62.52; 69.56; 72.33; 74.1; 75.37; 76.24; 76.34; 76.66;7.76; 81.75; 89.12; 115.97; 116.88; 123.9, 128.17; 128.95; 132.872; 133.93, 141.79; 149.82; 151.18; 152;78; 168;67; 168.71
【0050】
〔実施例1〕
2’−O−(3,4−ビス(エトキシカルボニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)ウリジン
【0051】
【化10】

【0052】
D体もしくはL体の2’−O−(3,4−ビス(エトキシカルボニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)−3’,5’−O−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)ウリジン(1 mmol)をTHF(10 mL)に溶解し、フッ化テトラブチルアンモニウム(5 mmol)を加え室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧下留去し残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標題化合物をD体95%、L体98%で得た。
【0053】
D体:1H MNR (CDCl3; 500MHz) δ(ppm): 1.30-1.35 (m, 6H); 3.0-3.04 (b, signals 2H); 3.82-3.97
(d.m, 2H); 4.06-4.08 (m, 1H); 4.26-4.31 (m, 4H); 4.45-4.47 (m, 1H); 4.73-4.74 (d, 1H, J-3.906Hz); 4.75-4.78 (m, 1H); 4.97-4.98 (d, 1H, J-3.906Hz); 5.7-5.72 (d, 1H, J-8.057Hz); 5.85-5.86 (d, 1H, J- 4.639Hz); 6.32 (s, 1H); 7.69-7.71 (d, 1H, J-8.057Hz); 8.61-8.63 (m, 1H)
13C MNR (CDCl3; 500MHz)δ(ppm): 14.28; 14.31; 61.96; 62.95; 63.03; 69.79; 75.72; 76.48; 76.52;85.37; 91.02; 102.49; 117.01; 124.05; 136.38; 142.76; 149.9; 150.67; 163.74;168.62; 169.44
L体:1H MNR (CDCl3; 500MHz) δ(ppm): 1.29-1.34 (m, 6H); 3.25 (b, signals 2H); 3.7-3.75
(d.m, 2H); 4.02-4.02 (m, 1H); 4.24-4.29 (m, 4H); 4.3-4.45 (m, 1H); 4.799-4.808 (d, 1H, J-4.151Hz); 5.041-5.049 (d, 1H, J-4.151); 5.60-5.62 (d, 1H, J-8.057Hz);6.01-6.02 (d, 1H, J-5.616Hz); 6.27 (s, 1H); 7.98-7.99 (d, 1H, J-8.057Hz)
13C MNR (CDCl3; 500MHz)δ(ppm): 13.89; 13.92; 39.49-39.99; 40.16; 61.02; 61.93; 62.33;69.74; 75.83; 76.29; 85.23; 85.99; 102.17; 117.17; 140.4;150.76; 163.512;168.05; 169.23
【0054】
〔実施例2〕
4−N−ベンゾイル−2’−O−(3,4−ビス(エトキシカルボニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)シチジン
【0055】
【化11】

【0056】
4−N−ベンゾイル−3’,5’−O−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)シチジン(10 mmol)をトルエン(30 mL)に溶解し、D体もしくはL体の2−エトキシ-1,3−ジオキソラン-4,5−ジカルボン酸ジエチル(50 mmmol)とカンファースルホン酸(5 mmmol)を加え、105℃から115℃に保ち、エタノールの留去が終了するまで撹拌した。反応系にピリジン(1 mL)を加えて中和し、溶媒を減圧下留去した。残渣をクロロホルム(50 mL)に溶解し、水(50 mL)で2回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した後、濾液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標題化合物の粗精製物を得た。このうち1 mmolをTHF(10 mL)に溶解し、フッ化テトラブチルアンモニウム(5 mmol)を加え室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧下留去し残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標題化合物を60%で得た。
【0057】
1H MNR (CDCl3;500MHz) δ(ppm): 1.2- 1.28 (m, 6H); 3.77-3.96 (d.m, 2H); 4.13-4.195
(m, 4H); 4.21-4.25 (m, 1H); 4.35-4.46 (m, 1H); 4.71-4.72 (d, 1H, J-3.662Hz);4.79-4.82 (t, 1H); 4.93-4.94 (d, 1H, J-3.663); 5.66-5.67 (d, 1H, J-4.395); 6.35 (s. 1H); 7.39-7.53 (d.m, 3H); 7.81-78.3 (m, 2H); 9.0 (s, 1H)
13C MNR (CDCl3; 500MHz)δ(ppm): 14.29-14.55; 17.4; 17.46; 61.68; 62.76; 63.25; 69.65;
76.36; 77.91; 78.2; 86.23; 93.15; 118.79; 124.03; 127.96; 129.19; 133.22;133.39; 147.74; 149.98; 163.05; 168.37; 170.48
【0058】
〔実施例3〕
6−N−ベンゾイル−2’−O−(3,4−ビス(エトキシカルボニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)アデノシン
【0059】
【化12】

【0060】
6−N−ベンゾイル−2’−O−(3,4−ビス(エトキシカルボニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)−3’,5’−O−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)アデノシン(1 mmol)をTHF(10 mL)に溶解し、フッ化テトラブチルアンモニウム(5 mmol)を加え室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧下留去し残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標題化合物を定量的収率で得た。
【0061】
1H MNR (DMSO; 500MHz) δ(ppm): 1.2-1.27 (m, 6H); 3.65-3.68 (m, 1H); 3.67-3.79 (m,1H);3.95-4.14 (d.m, 1H); 4.16-201 (m, 4H); 4.40-4.45(m,1H); 4.94-4.95 (d. J-4.151Hz); 4.99-5.04 (d, 1H, J-4.15Hz); 5.08-5.09 (d, 1H, J-4.15Hz); 5.16-5.17 (d, 1H,J-4.151Hz); 5.23-5.32 (group m, 2H); 5.96-5.97 and 6.2-6.23 (d.d, 1H J-3.907Hz and J-6.348Hz); 6.3 and 6.44 (d.s. 1H); 7.52-7.68 (d.m, 3H); 8.03-8.09 (d,d. 2H, J- 7.324Hz, J-7.568Hz); 8.34 (s, 1H); 8.76-8.78 (d.s, 1H);11.25-11.33 (d.s, 1H)
13C MNR (DMSO; 500MHz)δ(ppm): 14.52-14.62; 60.58; 62.0; 62.33; 62.54; 62.59; 68.97;
70.55; 76.03; 76.08; 76.28; 76.73; 77.97;79.9; 85.46; 85.74; 86.95; 88.49;96.98; 116.68; 116.74; 126.38; 129.17; 129.19; 133,19; 133.48; 133.83; 134.07;143.71; 145.98; 151.17; 152.46; 153.05; 166.31; 168.94; 16912; 169.67; 169.71
【0062】
〔実施例4〕
5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(3,4−ビス(エトキシカルボニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)ウリジン
【0063】
【化13】

【0064】
実施例1で得られたDまたはL体の2’−O−(3,4−ビス(エトキシカルボニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)ウリジン(1 mmol)をピリジン(35 mL)に溶解し、ここに4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(1.5 mmol)を加え室温で2時間攪拌した。溶媒を減圧下留去し、塩化メチレン−水(50 mL−50 mL)で希釈した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した後、濾液を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標題化合物をD体94%、L体96%で得た。
【0065】
D体1H MNR (CDCl3; 500MHz) δ(ppm): 1.29-1.33 (m, 6H); 3.0 (b.d, 1H); 3.52-3.53 (m, 2H);3.793-3.796 (d, 6H, J-1.465Hz); 4.01-4.02 (m, 1H); 4.24-4.3 (m, 4H); 4.53-4.55 (m, 2H); 4.77-4.78 (d, 1H, J-4.151Hz); 5.05-5.06 (d, 1H, J-4.395Hz); 5.31-5.32 (d, 1H, J-9.766Hz); 6.051-6.054 (d, 1H, J-1.465); 6.44 (s, 1H); 6.83-6.86 (d, 4H, 9.033Hz); 7.23-7.31 (m, 8H); 3.38-3.74 (m, 2H); 7.92-7.93 (d, 1H, J-8.301);9.08 (b,s, 1H)
13C MNR (CDCl3; 500MHz)δ(ppm): 14.03-14.09; 55.249; 61.50; 62.43; 62.75; 68.53; 75.86;
76.52; 83.33; 86.99; 88.05; 102.05; 113.27; 113.29; 116.43; 123.75;127.11; 127.99; 128.15; 130.11; 130.19; 135.13; 135.35; 136.01; 140.17; 144.39;149.79; 150.05; 158.66; 158.66; 158.69; 163.26; 168.26; 169.38
L体:1H MNR (CDCl3; 500MHz) δ(ppm): 1.31-1.36 (m, 6H); 3.51-3.53 (m, 2H); 3.785-3.794 (d,6Hz, 4.639Hz); 4.14-4.15 (t, 1H); 4.27-4.33 (m, 4H); 4.44-4.6 (m, 1H); 4.46-4.51 (m, 1H); 4.83-4.84 (d, 1H, J-3.906Hz); 5.02-5.03 (d, 1H, 3.907Hz); 5.29-5.31 (d, 1H, 8.301Hz); 6.02-6.03 (d, 1H, J-3.418Hz); 6.38 (s, 1H); 6.8-6.85 (m, 4H,);7.19-7.45 (m, 10H); 7.88-7.89 (d, 1H, J-8.057Hz); 8.85 (s, 1H)
13C MNR (CDCl3; 500MHz)δ(ppm): 14.32; 14.36; 55.44; 55.50; 59.44; 62.27; 62.7; 6.28;
63.33; 69.54;76.42; 79.97; 83.81; 86.09; 87.35; 87.53; 102.48; 113.21; 113.55;113.56; 118.61; 126.8; 127.41;127.96; 128.28; 128.38; 130.19; 130.34; 130.43;135.28; 135.52; 137.0; 140.24; 144.67; 150.02; 150.37; 158.53; 158.91; 158.96;163.33; 168.3; 170.33
【0066】
〔実施例5〕
4−N−ベンゾイル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(3,4−ビス(エトキシカルボニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)シチジン
【0067】
【化14】

【0068】
実施例2で得られた4−N−ベンゾイル−2’−O−(3,4−ビス(エトキシカルボニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)シチジン(1 mmol)をピリジン(35 mL)に溶解し、ここに4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(1.5 mmol)を加え室温で2時間攪拌した。溶媒を減圧下留去し、塩化メチレン−水(50 mL−50 mL)で希釈した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した後、濾液を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標題化合物を90%で得た。
【0069】
1H MNR (CDCl3;500MHz) δ(ppm):1.3-1.73 (m, 6H); 3.58-3.59 (m, 2H); 3.826-3.828 (d, 6H,J-1.221Hz); 4.14-4.16 (m, 1H);4.19-4.21 (m, 1H); 4.29-4.31 (m, 4H); 4.46-4.5 (d.m, 2H); 4.83-4.84 (d, 1H;3.906Hz); 5.02-5.03 (d. 1H, 3.662Hz); 5.96 (s, 1H); 6.69-6.89 (m, 4H);7.25-7.35 (m, 8H); 7.43-7.45 (m, 2H); 7.5-7.59 (m, 2H); 7.6-7.68 (d.m, 2H); 7.88-7.89 (b.d, 1H, J-7.324Hz); 8.61-8.62 (b.d, 1H)
13C MNR (CDCl3; 500MHz)δ(ppm): 14.31; 14.34; 55.43; 59.43; 62.72; 63.15; 76.41; 78.11;
79.95; 83.43; 87.24; 113.22; 113.59; 118.54; 123.99; 126.79; 127.382;127.83; 127.95; 128.31; 128.39; 128.53; 129.25; 129.25; 130.19; 130.31; 133.36;135.61; 135.95; 136.25; 137.01; 144.43; 150.03; 158.54; 158.92; 168.38; 170.66
【0070】
〔実施例6〕
6−N−ベンゾイル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(3,4−ビス(エトキシカルボニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)アデノシン
【0071】
【化15】

【0072】
実施例3で得られた6−N−ベンゾイル−2’−O−(3,4−ビス(エトキシカルボニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)アデノシン(1 mmol)をピリジン(35 mL)に溶解し、ここに4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(1.5 mmol)を加え室温で2時間攪拌した。溶媒を減圧下留去し、塩化メチレン−水(50 mL−50 mL)で希釈した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した後、濾液を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標題化合物を98%で得た。
【0073】
1H MNR (CDCl3; 500MHz) δ(ppm): 1.22-1.34 (m, 6H); 3.58-3.59 (m, 2H); 3.77-3.82 (d,6H); 4.14-4.16 (m, 5H); 4.22-4.46 (m, 2H); 4.83-4.84 (d, 1H, J-3.907Hz); 5.02-5.03 (d, 1H, J-3.096Hz); 5.42-5.44 (m, 1H); 5.97 (s, 1H); 6.22-6.24 (s,d, 1H); 6.68 (s, 1H); 6.78-6.88 )m, 4H); 7.16-7.67 (g m, 14H); 7.88-7.9 (d, 1H); 8.6 (d, 1H)
13C MNR (CDCl3; 500MHz)δ(ppm): 14.29; 14.14.32; 55.42; 55.46; 61.19; 62.71; 62.81;
63.13; 63.41; 76.4; 78.89; 79.93; 83.42; 84.91; 87.23; 113.20-113.578; 118.533;118.99; 123.961; 127.37-129.39; 130.18; 130.29; 130.39; 133.34; 135.61; 135.9;136.19; 144.42; 150.1; 158.79; 158.9; 168.37; 170.64
【0074】
〔実施例7〕
5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(3,4−ビス(エトキシカルボニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)ウリジン 3’−(2−シアノエチル N, N−ジイソプロピルホスホロアミダイト)
【0075】
【化16】

【0076】
実施例4で合成した5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(3,4−ビス(エトキシカルボニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)ウリジン(0.76 g,1 mmol)を塩化メチレン(10 mL)に溶解し、ここにN,N−ジイソプロピルエチルアミン(125 mg, 1.1 mmol)とクロロ(2−シアノエトキシ)(N, N−ジイソプロピルアミノ)ホスフィン(280 mg, 1.2 mmol)を加え、室温で一晩反応させた。溶媒を減圧下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標題化合物(570 mg,60%)を得た。
【0077】
1H MNR (CDCl3; 500MHz) δ(ppm): 1.02-1.35 (d.m, 20H); 2.63-2.72 (m, 2H); 3.52-3.87(m,
11H); 4.19-4.31 (m, 4H); 4.55-5.6 (m,1H); 5.563-5.66 (m, 1H); 4.69-4.74 (d.d, 1H, J1-4.634; J1-5.127 Hz); 5.00-5.04 (d.d, 1H, J1-4.639;J1-5.127 Hz); 5.27-5.34 (d.d, 1H, J1-8.056; J1-8.057Hz);6.02-6.03 (d.d, 1H, J-2.442), 6.27-6.34 (d.s, 1H); 6.83-6.86 (m, 4H); 7.24-7.75 (m, 8H); 7.28-7.42 (m, 2H); 7.77-7.81 (d.d, 1H J-8.301)
13C MNR (CDCl3; 500MHz)δ(ppm): 13.35; 14.30; 14.34; 17.35; 17.37; 20.53; 20.58; 23.09;
13.11; 23.18; 24.7; 24.75; 24.81; 24.87; 43.38; 43.61; 45.50; 45.55; 55.44;59.16; 59.29; 62.42; 62.48; 75.46; 75.9; 76.67; 76.97; 83.15; 83.19; 87.32;87.56; 102.58; 113.48; 115.94; 118.28; 123.98; 127.36; 128.17; 128.17-128.54;130.43; 130.48; 135.2; 135.41; 135.45; 136.29; 140.38; 144.36; 149.9; 150.61;158.92; 163.69; 168.46; 168.59
31P NMR (CDCl3; 500MHz)δ(ppm):152.157; 151.205 (64.98; 35.02)
ESI-MS (ES+) m/z calcd. for C48H59N4O15P 962.97362; found (M+Na) 987.17017
【0078】
〔実施例8〕
ウリジンジヌクレオチド
【0079】
【化17】

【0080】
実施例7で合成した5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(3,4−ビス(エトキシカルボニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)ウリジン 3’−(2−シアノエチル N, N−ジイソプロピルホスホロアミダイト)(232 mg,0.28 mmol)、2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン(76 mg, 0.57 mmol)、1H−テトラゾール(40 mg,0.57 mmol)を減圧下60℃で6時間乾燥し、乾燥塩化メチレン(5 mL)に溶解した。10分後、1%ヨウ素(水−ピリジン,1:9,v/v)を2 mL加え、室温で5分間反応させた。反応を3 mLの飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えて停止したのち、塩化メチレン(25 mL)で希釈後、水(10 mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過し、濾液を減圧下濃縮した。残渣をメタノールに溶解し、濃アンモニア水を加え2時間反応させた後、溶媒を減圧下留去した。残渣を25%酢酸/メタノールで処理し濃アンモニア水を加え中和したのち、C18逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物を得た。
【0081】
ESI-MS (ES-) m/z calcd. for C26H33N6O18P 747.53599; found 747.79985 31P NMR (D2O; 500MHz)δ(ppm): -0.299
【0082】
〔実施例9〕
2’−O−(3,4−ビス(カルバモイル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)ウリジン
【0083】
【化18】

【0084】
実施例1で合成した、2’−O−(3,4−ビス(エトキシカルボニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)ウリジン(460 mg, 1.0 mmol)をメタノール(5 mL)に溶解し、そこに濃アンモニア水(5 mL)を加え、室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標題化合物を定量的に得た。
【0085】
1H MNR (DMSO ; 500MHz) δ(ppm): 3.52-3.64 (d.m, 2H); 3.81-3.83 (m,1H); 4.09-4.12 (m,1H);4.41-4.45 (m, 3H); 4.64-4.65 (d, 1H, J-5.127Hz); 5.15 (b.s, 1H); 5.32 (b.s, 1H); 5.62-5.64 (d, 1H, J-5.056); 5.84-5.85 (d, 1H, J-4.883); 6.199 (s, 1H); 7.491-7.497 (d, 2H); 7.59 (b,s. 1H); 7.69 (b.s, 1H); 7.87-7.89 (d, 1H, J-8.322Hz)
13C MNR (DMSO; 500MHz)δ(ppm): 61.0; 67.02; 69.35; 76.57; 77.29; 78.13; 85.49; 86.97;
102.54; 116.94; 141,13; 151.47; 163.82; 171.01; 171.49.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

〔式(I)中、R、Rは同一または異なってアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、又はジアルキルアミノ基を表わし、Rは水素原子、置換基を有してもよいトリチル基、又は置換基を有してもよいシリル基を表わし、Rは水素原子、又は一般式(II)
【化2】

(式(II)中、Rはリン酸基の保護基を表わし、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、又はふたつのRが互いに結合して環を形成した基を表わす。)
で表わされる基を表わし、Xは酸素原子、又は硫黄原子を表わし、Yは保護基を有してもよい核酸塩基を表わす。〕
で表わされる化合物。
【請求項2】
一般式(I)におけるR、Rが、アルコキシ基、又はアミノ基を表わすことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
一般式(I)におけるRが、水素原子、又は4,4’−ジメトキシトリチル基を表わすことを特徴とする請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
一般式(II)におけるRが、2−シアノエチル基、2−(4−ニトロフェニル)エチル基、2−トリメチルシリルエチル基、又はメチル基を表わすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
一般式(II)におけるRが、イソプロピル基を表わすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
一般式(I)におけるXが、酸素原子を表わすことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の化合物。
【請求項7】
一般式(I)におけるYが、保護基を有してもよいウラシル−1−イル基、チミン−1−イル基、アデニン−9−イル基、又はグアニン−9−イル基を表わすことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項記載の化合物を用いることを特徴とするオリゴヌクレオチドの合成法。
【請求項9】
請求項8記載の合成法によって合成されたオリゴヌクレオチド。
【請求項10】
一般式(III)
【化3】

〔式(III)中、R、Rは同一または異なってアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、又はジアルキルアミノ基を表わし、Rはアルキル基を表わす。〕
で表わされる化合物からなることを特徴とする水酸基への保護基導入試薬。
【請求項11】
一般式(III)におけるR、Rが、アルコキシ基、又はアミノ基を表わすことを特徴とする請求項10記載の水酸基への保護基導入試薬。

【公開番号】特開2006−77013(P2006−77013A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−260564(P2005−260564)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】