説明

RTPパケットのための動的QOSタグ付け

【課題】デジタルネットワークにおいてRTPストリームの処理を改善する方法を提供する。
【解決手段】コントローラ、ブリッジ、又はアクセスポイントのような、デジタルネットワーク内のスイッチング装置が、装置を通って流れるストリームを検査する。装置は、所定数のパケットを監視するまで、ストリームの最初のUDPパケットを監視する。装置は、UDPパケットのヘッダ部分を監視してフィンガープリントを生成し、RTPヘッダのビットパターンを探し、特定のRTPパケットタイプを無視し、他のものをキャッシュに入れる。このフィンガープリンティングプロセスは、キャッシュに入れられたパケットヘッダ情報をストリーム内の次のパケットと照合して、RTPストリームを検出しようと試みるものである。ストリームがRTPストリームであると判断された場合、パケットヘッダからのRTPタイプを用いて、そのストリームにタグ付けする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル・ネットワークに関し、より具体的には、RTPストリームの信頼性の高い配信の配信及び管理に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル・ネットワークは、急速に多くの大小の企業のバックボーンになってきている。このようなネットワークは、様々な種類のトラフィックを処理するために用いられる。RFC1889及びRFC3550に定義されるようなRTP(リアルタイム転送プロトコル)は、一般に、音声、映像、電話通信などに用いられるストリーミング・メディアの処理を定める。
【0003】
RTPを用いて音声又は映像といったストリーミング・メディアを配信する多くのアプリケーションは、そのシグナリング・セッションにおいて終端間暗号化を実行し、これにより、ファイアウォールの一部としてのアプリケーション・レベル・ゲートウェイ(ALG)が役に立たなくなる。暗号化によりこれらのRTPペイロードがディープ・パケット・インスペクションに使用できなくなるので、RTPストリームの暗号化は、簡単なパターン認識、及び/又は、RTPペイロード・データの正規表現の照合に基づいてRTPストリームを認識しようとする試みを無効にする。さらに、小さい静的ヘッダ・パターンのために、単にプロトコル・ヘッダ・フィールドに基づいてRTPパケットを識別することが、誤検出をもたらすことがある。RTP認識プロセスは、RTP識別プロセスにおける決定性を確実にするために、次のRTPパケットにおいて反復フィールドを考慮する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
必要とされるのは、ネットワークを通過するRTPストリームの処理を改善する方法である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、デジタル・ネットワークにおいてRTPストリームの処理を改善する方法に関する。
【0006】
本発明によると、コントローラ、ブリッジ、又はアクセス・ポイントのような、デジタル・ネットワークにおけるスイッチング・装置が、装置を流れるストリームを検査する。装置がセッションが開始されたことを検出すると、装置は、所定数のパケットが監視されるまで、そのストリームの最初のUDPパケットを監視する。装置は、UDPパケットのヘッダ部分を監視してフィンガープリントを生成し、RTPヘッダのビット・パターンを探し、特定のRTPパケット・タイプを無視し、他のものをキャッシュに入れる。このフィンガープリンティング・プロセスは、RTPストリームを決定論的に検出するために、キャッシュに入れられたパケット・ヘッダ情報をストリーム内の次のパケットと照合しようとする試みを続ける。ストリームがRTPストリームであると判断された場合には、パケット・ヘッダからのRTPタイプを用いて、そのストリームにタグ付けする。1つの実施形態において、このようなタグはQoSタグである。タグ付けはまた、使用される制御セッションのポートに基づくこともできる。
【0007】
本発明は、本発明の実施形態を示すのに用いられる以下の説明及び添付図面を参照することにより、最も良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ネットワークにおけるクライアントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、各々がプロセッサ110、メモリ階層120及び入力・出力インターフェース130を含む、アクセス・ポイント(AP)100が、特別の目的のために作られたデジタル装置である、ネットワークを示す。本発明の1つの実施形態において、Cavium又はRMIからのもののようなMIPSクラスのプロセッサが用いられる。インテル又はAMDからのもののような他の好適なプロセッサを用いることもできる。メモリ階層120は、伝統的に、動作中にプロセッサ・データ及び命令を保持するための高速の読み出し/書き込みメモリと、ファイル及びシステム起動情報を格納するための、EEPROM及び/又はフラッシュのような不揮発性メモリとを含む。有線インターフェース140は、典型的には、スイッチのような他のネットワーク機器、又はコントローラへの有線接続のために用いられるIEEE802.3イーサネット(登録商標)・インターフェースである。無線インターフェース130は、WiMAX、3G、4G、及び/又はIEEE802.11無線インターフェースとすることができる。本発明の1つの実施形態において、APは、LINUX(登録商標)オペレーティングシステムの制御下で動作し、専用のプログラムがホスト・コントローラ及びアクセス・ポイントの機能を与える。アクセス・ポイント100は、典型的には、同じくプロセッサ410、メモリ階層420、及び通常は複数の有線インターフェース440を有する専用のデジタル装置であるコントローラ400と通信する。アクセス・ポイント100はまた、ブリッジ、リモート・アクセス・ポイント等として動作する機器を含むこともできる。コントローラ400は、プライベート・イントラネット又は公衆インターネットとすることができるネットワーク500へのアクセスを与える。
【0010】
クライアント装置200は、主として入力/出力機器が異なる類似のアーキテクチャを有し、ラップトップ・コンピュータは通常大きいLCDを含み、一方、手持ち式無線スキャナは、典型的には、ずっと小さいディスプレイを有するが、レーザー・バーコード・スキャナを含む。
【0011】
本発明は、RFC1889及びRFC3550に定義され、かつ、引用によりここに組み入れられるような、RTP(リアルタイム転送プロトコル)データ・ストリームを扱う。RTPストリームは、典型的には、音声及び/又は映像のようなストリーミング・メディアを、リアルタイムで、終端間で転送するのに用いられる。RTPは、UDP、すなわちコネクションレス型プロトコルに基づいている。UDPは、信頼性、パケットの順序付け、又はデータ完全性を提供するための、暗黙のハンドシェーク・ダイアログを有していない、RFC768に定義される簡単な転送プロトコルである。たとえあったにしてもエラー検出及び訂正が必要ないか、又は、クライアント・アプリケーションにおいて実行されると仮定して、UDPは、信頼性の保証なしにサービスを提供すること、及び、UDPデータグラムは、アウト・オブ・オーダー方式で到達し、複製された状態で現れ、又は予告なしに行方不明になることがありことが理解される。
【0012】
RTPパケットのペイロード部分を暗号化し、検査に使用可能なRTPヘッダのみを残すことは、RTPストリームを用いるアプリケーションには一般的である。マイクロソフトOCS又はSIP−over−IPSECなどのアプリケーションによって適用されるようなこの暗号化により、RTPペイロードのディープ・パケット・インスペクションによりRTPストリームを識別する方法が機能しなくなる。さらに、小さい静的ヘッダ・パターンのために、単にプロトコル・ヘッダ・フィールドに基づいてRTPパケットを識別しようと試みることが、誤検出をもたらすことがある。RTP識別プロセスは、RTP識別プロセスにおける決定性を確実にするために、次のRTPパケットにおいて反復フィールドを考慮する必要がある。
【0013】
本発明によると、コントローラ、ブリッジ又はアクセス・ポイントのようなネットワーク装置が、RTPストリームを検出し、タグ付けするために、配信しているトラフィックを監視する。パケットのフィンガープリントを生成してキャッシュに入れ、キャッシュに入れられた情報を用いて、そのストリームがRTPストリームであるかどうかを判断する。
【0014】
装置は、既定のパケット・カウントに達するまで、セッションにおけるUDPパケットを監視する。例えば、サーバがTCP:2000又はTCP:5060などのSIPクライアントについてリッスンするポート上に予め構成される制御セッションなどのアクティブな制御セッションの開始に基づいて検出をトリガすることによって、付加的な最適化を適用することができる。1つの実施形態において、NATトラバーサルを確立するのに用いられる、STUN、TURN及びICEのような最初のパケットは無視される。
【0015】
フィンガープリンティング・プロセスの一部として、RTPヘッダのビット・パターンに合致するパケットがキャッシュに入れられる。このキャッシュに入れられた情報は、SSRC、CSRC及びRTPタイプのようなRTPのフロー状態についての選択的なRTPヘッダ情報を含む。パケット全体をキャッシュに入れることができ、又はフィンガープリント生成済み情報を含むパケット・ヘッダのヘッダ部分だけをキャッシュに入れることもできる。
【0016】
ストリームについてのこれらのキャッシュに入れられたパケットは、ストリームがRTPストリームであるかどうかを判断するために、ストリームにおける次のパケットを試行し、照合するために用いられる。
【0017】
所定数の合致が生じる場合、そのストリームは、RTPストリームとして識別される。
【0018】
ひとたびストリームがRTPストリームとして識別されると、RTPヘッダからのRTPタイプのフィールドを用いて、ストリームに属しているパケットにタグ付けすることができる。一例として、QoS(サービス品質)タグを付加して、映像又は音声ストリームとして識別されるRTPストリームの信頼性の高い配信を加速することができる。適用されるタグのタイプは、制御セッションのポートによっても決まり得る。
【0019】
本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせの形で実現することができる。本発明は、AP100のような1つのコンピュータ・システムに集中した形で実現してもよく、又は、異なる要素が幾つかの相互接続されたコンピュータ・システムにわたって散在する分散した形で実現してもよい。ハードウェアとソフトウェアとの典型的な組み合わせは、ロードされて実行されたときにコンピュータ・システムを制御して、ここで説明される方法を実行させる、コンピュータ・プログラムを伴ったコントローラ又はアクセス・ポイントとすることができる。
【0020】
本発明はまた、ここで説明される方法の実施を可能にする全ての特徴を備えており、また、コンピュータ・システムにロードされるときに、これらの方法を実行することができるコンピュータ・プログラム製品に、一時的ではない方法で組み込むこともできる。本文脈におけるコンピュータ・プログラムとは、情報処理能力を有するシステムに、特定の機能を、直接的に実施させるか、又は、a)別の言語、コード、又は表記法への変換、b)異なる材料形態における複製のいずれか、或いはその両方の後で実施させることを意図される1組の命令の、いずれかの言語、コード又は表記法でのいずれかの表現を意味する。
【0021】
本発明は、その精神又は本質的な属性から逸脱することなく、他の形態で具体化することができる。したがって、本発明の範囲を示すのに、前述の明細書ではなく以下の特許請求の範囲を参照すべきである。
【符号の説明】
【0022】
100:アクセス・ポイント
110、410:プロセッサ
120、420:メモリ階層
130:無線インターフェース
140、440:有線インターフェース
200:クライアント装置
400:コントローラ
500:ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル・ネットワークに取り付けられた装置におけるRTPストリームを識別する方法であって、
前記装置が受信するストリームにおける既定数のRTPパケットのフィンガープリントを生成するステップと、
前記フィンガープリント生成済みRTPパケットをキャッシュに格納するステップと、
前記キャッシュに格納されたフィンガープリント生成済みRTPパケットを入ってくるRTPパケットと照合するステップと、
所定数の合致が生じた場合には、前記ストリームをRTPストリームとして識別するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
RTPパケットのフィンガープリント生成は、RTPセッションの検出によって開始されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
RTPパケットのフィンガープリント生成は、特定のRTPパケットを除外することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記除外されるRTPパケットは、STUN、TURN及びICEパケットを含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記識別されたRTPストリームにタグ付けするステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記識別されたRTPストリームは、RTPタイプに基づいてタグ付けされることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記識別されたRTPストリームは、制御ポートに基づいてタグ付けされることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記識別されたRTPストリームは、QoSタグでタグ付けされることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
デジタル・ネットワークに取り付けられた装置上で実行されるとき、
前記装置が受信するストリームにおける既定数のRTPパケットのフィンガープリントを生成するステップと、
前記フィンガープリント生成済みRTPパケットをキャッシュに入れるステップと、
前記キャッシュに入れられたフィンガープリント生成済みRTPパケットを入ってくるRTPパケットと照合するステップと、
所定数の合致が生じた場合には、前記ストリームをRTPストリームとして識別するステップと、
前記合致したRTPストリームにタグ付けするステップと、
を含む、1組の動作を実行させる1組の命令が不揮発性の形態で内部に格納された機械可読媒体。
【請求項10】
前記所定数のRTPパケットのフィンガープリントを生成するステップは、STUN、TURN及びICEパケットを含む特定のRTPパケットを除外することを特徴とする、請求項9に記載の機械可読媒体。
【請求項11】
前記RTPストリームは、RTPタイプに基づいてタグ付けされることを特徴とする、請求項9に記載の機械可読媒体。
【請求項12】
前記RTPストリームは、制御ポートに基づいてタグ付けされることを特徴とする、請求項9に記載の機械可読媒体。

【図1】
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【公開番号】特開2012−100274(P2012−100274A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−252034(P2011−252034)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(511280722)アルバ ネットワークス インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】