説明

S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩の使用方法、並びに、加硫ゴム組成物の発熱抑制方法

【課題】加硫ゴム組成物の発熱を抑制する方法を提供する。
【解決手段】加硫ゴム組成物の発熱抑制方法は、ゴム成分と、充填剤と、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩とを混練する前混練工程A;上記前混練工程Aで得られた混練物Aと、硫黄成分および加硫促進剤とを混練する後混練工程B;上記後混練工程Bで得られた混練物Bを熱処理して加硫ゴム組成物を得る熱処理工程C;を含んでいる。上記S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩は、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸の金属塩であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加硫ゴム組成物に低発熱性を付与するための技術に関するものであり、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩の使用方法、並びに、加硫ゴム組成物の発熱抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴム組成物は種々の分野にて使用されており、特に自動車のタイヤの原料として用いられている。タイヤの原料として、天然ゴム、合成ゴムなどのゴム成分以外にも種々の物質が配合されてゴム組成物が得られる。例えば、カーボンブラックなどの充填剤、加硫に必要な硫黄成分、加硫を促進させる加硫促進剤などである。また、その他にもゴム成分に所定の特性を付与するために種々の物質が配合される。例えば、ゴム・金属間の接着を促進させる物質が特許文献1に開示されている。具体的にはゴム/金属接着促進剤として、6−アミノヘキシルチオ硫酸S−エステルを用いることが開示されている(特許文献1の実施例24)。
【0003】
ところで、近年における製品開発では環境に対する技術が求められている。例えば、ゴム組成物を加硫した加硫ゴム組成物の物性改善による自動車タイヤの燃費向上(すなわち、低燃費化)、製品寿命の長期化などである。加硫ゴム組成物は大量に使用されるため、これらの技術により環境への負荷を大きく軽減することが可能である。
【0004】
上記製品寿命の長期化に着目すると、具体的な物性として、加硫ゴム組成物の耐久性が挙げられる。耐久性が付与された加硫ゴム組成物には亀裂が生じ難く、最終製品であるタイヤを長寿命化させることができる(非特許文献1参照)。このため、加硫ゴム組成物の耐久性を改善させる方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平5−15173号公報(1993年2月26日公開)
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】発行者:小城武彦、編著者:日本ゴム協会、文献名:ゴム技術入門、発行所:丸善株式会社、発行日:平成16年3月10日、126〜128頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、環境への負荷を軽減する技術は製品寿命の長期化に係る技術のみに留まらない。例えば、上記自動車タイヤの燃費向上に着目すると、具体的な物性として、加硫ゴム組成物の低発熱性が挙げられる。低発熱性が付与された、つまり、走行時における圧縮・伸長応力等の応力による発熱が抑制された加硫ゴム組成物は、自動車の走行エネルギ(運動エネルギ)がタイヤの昇温(熱エネルギ)に変換されて失われる割合が小さくなるので、低発熱性が付与されていない加硫ゴム組成物と比較して、自動車タイヤの燃費を向上させることができる。ところが、上記特許文献1および非特許文献1には、加硫ゴム組成物に低発熱性を付与するための技術に関しては一切開示されていない。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その主たる目的は、加硫ゴム組成物に対して低発熱性を付与する方法、つまり、発熱を抑制する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩の使用方法は、上記課題を解決するために、加硫ゴム組成物の原料であるゴム成分に添加して当該加硫ゴム組成物の発熱を抑制することを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る加硫ゴム組成物の発熱抑制方法は、上記課題を解決するために、ゴム成分と、充填剤と、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩とを混練する前混練工程A;上記前混練工程Aで得られた混練物Aと、硫黄成分および加硫促進剤とを混練する後混練工程B;上記後混練工程Bで得られた混練物Bを熱処理して加硫ゴム組成物を得る熱処理工程C;を含むことを特徴としている。
【0011】
上記の発明によれば、ゴム成分とS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩とを混練することにより、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩が発熱抑制剤として作用し、得られる加硫ゴム組成物の発熱を抑制することができる。その結果、例えば加硫ゴム組成物を自動車のタイヤの原料として用いた場合には、自動車の走行エネルギ(運動エネルギ)がタイヤの昇温(熱エネルギ)に変換されて失われる割合が小さくなるので、低発熱性が付与されていない加硫ゴム組成物と比較して、自動車タイヤの燃費を向上させることができる。
【0012】
また、本発明に係る使用方法では、上記S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩が、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸の金属塩であることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る加硫ゴム組成物の発熱抑制方法では、上記S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩が、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸の金属塩であることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る使用方法では、加硫ゴム組成物の原料である硫黄成分1重量部に対するS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩の重量が、0.05重量部以上、2.5重量部以下であることが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る加硫ゴム組成物の発熱抑制方法では、上記硫黄成分1重量部に対するS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩の重量が、0.05重量部以上、2.5重量部以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩の使用方法は、以上のように、加硫ゴム組成物の原料であるゴム成分に添加して当該加硫ゴム組成物の発熱を抑制する方法である。
【0017】
また、本発明に係る加硫ゴム組成物の発熱抑制方法は、以上のように、ゴム成分と、充填剤と、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩とを混練する前混練工程A;上記前混練工程Aで得られた混練物Aと、硫黄成分および加硫促進剤とを混練する後混練工程B;上記後混練工程Bで得られた混練物Bを熱処理して加硫ゴム組成物を得る熱処理工程C;を含む方法である。
【0018】
それゆえ、ゴム成分とS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩とを混練することにより、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩が発熱抑制剤として作用し、得られる加硫ゴム組成物の発熱を抑制することができる。その結果、例えば加硫ゴム組成物を自動車のタイヤの原料として用いた場合には、自動車の走行エネルギ(運動エネルギ)がタイヤの昇温(熱エネルギ)に変換されて失われる割合が小さくなるので、低発熱性が付与されていない加硫ゴム組成物と比較して、自動車タイヤの燃費を向上させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩の使用方法(以下、「本発明の使用方法」と適宜略す)について詳細に説明する。本発明の使用方法は、加硫ゴム組成物の原料であるゴム成分に添加して当該加硫ゴム組成物の発熱を抑制する方法である。
【0020】
また、本発明に係る加硫ゴム組成物の発熱抑制方法(以下、「本発明の発熱抑制方法」と適宜略す)は、ゴム成分と、充填剤と、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩とを混練する前混練工程A;上記前混練工程Aで得られた混練物Aと、硫黄成分および加硫促進剤とを混練する後混練工程B;上記後混練工程Bで得られた混練物Bを熱処理して加硫ゴム組成物を得る熱処理工程C;を含む方法である。
【0021】
以下、前混錬工程Aおよび後混練工程Bで用いる各成分について説明する。まず、前混錬工程Aで用いる各成分(各物質)について説明する。
【0022】
〔ゴム成分〕
ゴム成分としては、天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、脱蛋白天然ゴムおよびその他の変性天然ゴムのほか、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム(NBR)、イソプレン・イソブチレン共重合ゴム(IIR)、エチレン・プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、ハロゲン化ブチルゴム(HR)等の各種の合成ゴムが例示される。この中でも天然ゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム等の高不飽和性ゴムが好ましく用いられる。特に好ましくは天然ゴムである。また、天然ゴムとスチレン・ブタジエン共重合ゴムとの併用、天然ゴムとポリブタジエンゴムとの併用等、数種のゴム成分を組み合わせることも有効である。
【0023】
天然ゴムの例としては、RSS#1、RSS#3、TSR20、SIR20、SMR20等のグレードの天然ゴムを挙げることができる。
【0024】
エポキシ化天然ゴムとしては、エポキシ化度10〜60モル%のものが好ましく、例えばクンプーラン_ガスリー社製のENR25やENR50を挙げることができる。脱蛋白天然ゴムとしては、総窒素含有率が0.3重量%以下である脱蛋白天然ゴムが好ましい。その他の変性天然ゴムとしては、天然ゴムに予め4−ビニルピリジン、N,N−ジアルキルアミノエチルアクリレート(例えばN,N−ジエチルアミノエチルアクリレート)、2−ヒドロキシアクリレート等を反応させた、極性基を含有する変性天然ゴムが好ましく用いられる。
【0025】
SBRの例としては、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」(平成6年1月20日社団法人_日本ゴム協会発行)の210〜211頁に記載されている乳化重合SBRおよび溶液重合SBRを挙げることができる。とりわけトレッド用ゴム組成物としては溶液重合SBRが好ましく用いられ、更には日本ゼオン社製「ニッポール(登録商標)NS116」等の4,4’−ビス−(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノンを用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、JSR社製「SL574」等のハロゲン化スズ化合物を用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、旭化成社製「E10」、「E15」等のシラン変性溶液重合SBR等の市販品や、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素系化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物(例えばトリアルコキシシラン化合物等)、アミノシラン化合物のいずれかを単独で用いて、または、スズ化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物や、アルキルアクリルアミド化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物等、上述した互いに異なる複数の化合物を2種以上用いて、それぞれ分子末端を変性して得られる当該分子末端に窒素、スズ、ケイ素のいずれか、またはそれら複数の元素を有する溶液重合SBRが、特に好ましく用いられる。また、乳化重合SBRおよび溶液重合SBRに重合後、プロセスオイルやアロマオイル等のオイルを添加した油展SBRは、トレッド用ゴム組成物等として好ましく用いることができる。
【0026】
BRの例としては、シス1,4結合が90%以上の高シスBRや、シス結合が35%前後の低シスBR等の溶液重合BRが例示され、高ビニル含量の低シスBRが好ましく用いられる。更には日本ゼオン製「Nipol(登録商標)BR_1250H」等のスズ変性BRや、4,4’−ビス−(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、ハロゲン化スズ化合物、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素系化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物(例えばトリアルコキシシラン化合物等)、アミノシラン化合物のいずれかを単独で用いて、または、スズ化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物や、アルキルアクリルアミド化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物等、上述した互いに異なる複数の化合物を2種以上用いて、それぞれ分子末端を変性して得られる当該分子末端に窒素、スズ、ケイ素のいずれか、またはそれら複数の元素を有する溶液重合BRが、特に好ましく用いられる。これらBRは、トレッド用ゴム組成物やサイドウォール用ゴム組成物として好ましく用いることができ、通常はSBRおよび/または天然ゴムとのブレンドで使用される。ブレンド比率は、トレッド用ゴム組成物においては、総ゴム重量に対して、SBRおよび/または天然ゴム60〜100重量%、BR0〜40重量%のブレンドが好ましく、サイドウォール用ゴム組成物においては、総ゴム重量に対して、SBRおよび/または天然ゴム10〜70重量%、BR30〜90重量%のブレンドが好ましく、更には総ゴム重量に対し、天然ゴム40〜60重量%、BR40〜60重量%のブレンドが特に好ましい。この場合、変性SBRと非変性SBRとのブレンドや、変性BRと非変性BRとのブレンドも好ましい。
【0027】
〔充填剤〕
充填剤としては、ゴム分野で通常使用されているカーボンブラック、シリカ、タルク、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化チタン等が例示されるが、カーボンブラックおよびシリカが好ましく用いられ、更にはカーボンブラックが特に好ましく使用される。カーボンブラックとしては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の494頁に記載されたものが挙げられる。中でもHAF(High Abrasion Furnace)、SAF(Super Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate SAF)、FEF(Fast Extrusion Furnace)、MAF、GPF(General Purpose Furnace)、SRF(Semi-Reinforcing Furnace)等のカーボンブラックが好ましい。タイヤトレッド用ゴム組成物にはCTAB(Cetyl Tri-methyl Ammonium Bromide)表面積40〜250m/g、窒素吸着比表面積20〜200m/g、粒子径10〜50nmのカーボンブラックが好ましく用いられ、CTAB表面積70〜180m/gであるカーボンブラックが更に好ましく、その例としてはASTMの規格において、N110、N220、N234、N299、N326、N330、N330T、N339、N343、N351等である。また、カーボンブラックの表面にシリカを0.1〜50重量%付着させた表面処理カーボンブラックも好ましい。更には、カーボンブラックとシリカとの併用等、数種の充填剤を組み合わせることも有効であり、タイヤトレッド用ゴム組成物においてはカーボンブラック単独、またはカーボンブラックおよびシリカの両方を用いることが好ましい。カーカス、サイドウォール用ゴム組成物においてはCTAB表面積20〜60m/g、粒子径40〜100nmのカーボンブラックが好ましく用いられ、その例としてはASTMの規格において、N330、N339、N343、N351,N550、N568、N582、N630、N642、N660、N662、N754、N762等である。
【0028】
かかる充填剤の使用量は特に限定されるものではないが、ゴム成分100重量部あたり5〜100重量部の範囲が好ましい。特に好ましくはカーボンブラックのみを充填剤として使用する場合には30〜80重量部の範囲であり、トレッド部材用途においてシリカと併用して用いる場合には5〜50重量部の範囲である。
【0029】
シリカとしては、CTAB表面積50〜180m/gや、窒素吸着比表面積50〜300m/gのシリカが例示され、東ソー・シリカ(株)社製「AQ」、「AQ−N」、デグッサ社製「ウルトラジル(登録商標)VN3」、「ウルトラジル(登録商標)360」、「ウルトラジル(登録商標)7000」、ローディア社製「ゼオシル(登録商標)115GR」、「ゼオシル(登録商標)1115MP」、「ゼオシル(登録商標)1205MP」、「ゼオシル(登録商標)Z85MP」、日本シリカ社製「ニップシール(登録商標)AQ」等の市販品が好ましく用いられる。また、pHが6〜8であるシリカや、ナトリウムを0.2〜1.5重量%含むシリカ、真円度が1〜1.3の真球状シリカ、ジメチルシリコーンオイル等のシリコーンオイルやエトキシシリル基を含有する有機ケイ素化合物、エタノールやポリエチレングリコール等のアルコールで表面処理したシリカ、二種類以上の異なった窒素吸着比表面積を有するシリカを配合することも好ましく用いられる。
【0030】
かかる充填剤の使用量は特に限定されるものではないが、乗用車用トレッド用ゴム組成物にはシリカが好ましく用いられ、ゴム成分100重量部あたり10〜120重量部の範囲が好ましい。また、シリカを配合する場合、カーボンブラックを5〜50重量部配合することが好ましく、シリカ/カーボンブラックの配合比率は0.7/1〜1/0.1が特に好ましい。また通常、充填剤としてシリカを用いる場合にはビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(デグッサ社製「Si−75」)、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド、オクタンチオ酸S−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エステル(ジェネラルエレクトロニックシリコンズ社製「NXTシラン」)、オクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)エトキシシリル}プロピル]エステルおよびオクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)メチルシリル}プロピル]エステルフェニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシランおよび3−イソシアナートプロピルトリエトキシシランからなる群から選択される1種以上のシランカップリング剤等、シリカと結合可能なケイ素等の元素またはアルコシキシラン等の官能基を有する化合物を添加することが好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(デグッサ社製「Si−75」)、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン(ジェネラルエレクトロニックシリコンズ社製「NXTシラン」)が特に好ましい。
【0031】
これらの化合物の添加時期は特に限定されないが、シリカと同時期にゴム成分に配合することが好ましく、配合量はシリカに対して、好ましくは2〜10重量%の範囲、更に好ましくは7〜9重量%の範囲である。配合する場合の配合温度は80〜200℃の範囲が好ましく、更に好ましくは110〜180℃の範囲である。更には充填剤としてシリカを用いる場合には、シリカ、シリカと結合可能なケイ素等の元素またはアルコシキシラン等の官能基を有する化合物に加えて、エタノール、ブタノール、オクタノール等の1価アルコールや、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ポリエーテルポリオール等の2価以上のアルコール、N−アルキルアミン、アミノ酸、分子末端がカルボキシル変性またはアミン変性された液状ポリブタジエン等を配合することも好ましい。
【0032】
水酸化アルミニウムとしては、窒素吸着比表面積5〜250m/g、DOP給油量50〜100ml/100gの水酸化アルミニウムが例示される。
【0033】
〔S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩〕
本発明において使用されるS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸は、下記式(1)
N−(CH−SSOH …(1)
で示される化合物であり、その塩は、下記式(2)
(HN−(CH−SSO・Mn+ …(2)
(式中、Mn+はカチオンを表し、nはその価数を表す。)
で示される化合物であり、上記塩のうちの金属塩は、上記Mn+で示されるカチオンが金属イオンである化合物である。
【0034】
n+で示されるカチオンとしては、NBu等の有機物イオンおよび金属イオンが挙げられ、金属イオンがより好ましい。Mn+で示される金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン、コバルトイオン、銅イオンまたは亜鉛イオンが好ましく、リチウムイオン、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンがより好ましい。金属イオンにおけるnは金属イオンの価数を表し、当該金属において可能な範囲であれば、特に限定されない。例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオンのようなアルカリ金属イオンの場合、nは通常1であり、コバルトイオンの場合、nは通常2または3であり、銅イオンの場合、nは通常1〜3の整数であり、亜鉛イオンの場合、nは通常2である。
【0035】
S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩の使用量は、硫黄成分1重量部に対して0.05重量部以上、2.5重量部以下であることが好ましい。
【0036】
また、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩を前混錬工程Aで配合する場合の配合温度は、80℃以上、200℃以下の範囲が好ましく、更に好ましくは110℃以上、180℃以下の範囲である。
【0037】
S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸またはその塩のメディアン径は、好ましくは0.05〜100μm、より好ましくは1〜100μmの範囲である。かかるメディアン径は、レーザー回析法にて測定することができる。
【0038】
S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸の金属塩は、例えば、3−ハロプロピルアミンとチオ硫酸ナトリウムとを反応させる方法;フタルイミドカリウム塩と1,3−ジハロプロパンとを反応させ、得られた化合物とチオ硫酸ナトリウムとを反応させ、次いで、得られた化合物を加水分解する方法;等の、任意の公知の方法により製造することができる。なお、上記製法によれば、通常、ナトリウム塩が得られるが、必要に応じてカチオン交換すればよい。また、プロトン酸を用いてS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸の金属塩を中和することにより、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸を製造することができる。更に、例えばNBuCl等の4級アンモニウム塩と、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸の金属塩とを反応させることにより、Mn+で示されるカチオンが有機物イオンであるS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸の塩を製造することができる。S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩の製法は、特に限定されるものではなく、任意の公知の方法により製造することができる。
【0039】
また、本発明にはS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のみで用いることができ、その塩のみで用いることもできる。また、複数種類の塩を併用してもよく、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸およびその塩を、それらの混合物として用いてもよい。本発明においては、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩が、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸の金属塩であることが特に好ましい。
【0040】
上記混合物は、例えば、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸およびその塩を混合する方法;S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸の2種類以上の塩を混合する方法;金属アルカリ(上記Mで示される金属を含有する水酸化物、炭酸塩および炭酸水素塩、等)を用いてS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸の一部を金属塩化する方法;プロトン酸を用いてS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸の金属塩の一部を中和する方法;等の方法により製造することができる。このようにして製造したS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸またはその塩は、濃縮、晶析等の操作により単離することができ、単離されたS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸またはその塩は、通常0.1%〜5%程度の水分を含む。
【0041】
S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩は、予め担持剤と配合しておくことも可能である。かかる担持剤としては先に例示した充填剤および日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の510〜513頁に記載されている「無機充てん剤、補強剤」が挙げられる。カーボンブラック、シリカ、焼成クレイ、水酸化アルミニウムが好ましい。かかる担持剤の使用量は特に限定されるものではないが、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩100重量部あたり、10重量部以上、1000重量部以下の範囲であることが好ましい。
【0042】
〔酸化亜鉛〕
前混錬工程Aでは、ゴム成分と共に酸化亜鉛を混錬することが好ましい。酸化亜鉛の使用量は、ゴム成分100重量部あたり、1〜15重量部の範囲であることが好ましく、3〜8重量部の範囲であることがより好ましい。
【0043】
〔粘弾性改善剤〕
従来からゴム分野で用いられている、粘弾性特性を改善する添加剤(粘弾性改善剤)を前混錬工程Aおよび/または後混錬工程Bにおいてゴム成分に配合し、混錬することが可能である。粘弾性改善剤は必要に応じて添加すればよい。
【0044】
粘弾性改善剤としては、例えば、N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ヘキサンジアミン(住友化学社製「スミファイン(登録商標)1162」)、特開昭63−23942号公報に記載のジチオウラシル化合物、特開昭60−82406号公報に記載の5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン(NQ−58)等のニトロソキノリン化合物、田岡化学製「タッキロール(登録商標)AP、V−200」、ペンウォールト社製「バルタック2、3、4、5、7、710」等の特開2009−138148号公報に記載のアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、およびビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(デグッサ社製「Si−75」)、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド、オクタンチオ酸S−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エステル、オクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)エトキシシリル}プロピル]エステルおよびオクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)メチルシリル}プロピル]エステルフェニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤、1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン(バイエル社製「KA9188」)、1,6−ヘキサメチレンジチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物、1,3−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン(フレキシス社製「パーカリンク900」)、1−ベンゾイル−2−フェニルヒドラジド、1−または3−ヒドロキシ−N’−(1−メチルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、特開2004−91505号公報に記載の1−または3−ヒドロキシ−N’−(1−メチルプロピリデン)−2−ナフトエン酸ヒドラジド、1−または3−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジドおよび1−または3−ヒドロキシ−N’−(2−フリルメチレン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド等のカルボン酸ヒドラジド誘導体、特開2000−190704号公報に記載の3−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジフェニルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジドおよび3−ヒドロキシ−N’−(1−メチルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、特開2006−328310号公報に記載のビスメルカプトオキサジアゾール化合物、特開2009−40898号公報に記載のピリチオン塩化合物、特開2006−249361号公報に記載の水酸化コバルト化合物が挙げられる。
【0045】
中でも、N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ヘキサンジアミン(住友化学社製「スミファイン(登録商標)1162」)、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン(NQ−58)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(デグッサ社製「Si−75」)、1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)−ヘキサン(バイエル社製「KA9188」)、ヘキサメチレンビスチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物、1,3−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン(フレキシス社製「パーカリンク900」)、田岡化学製「タッキロール(登録商標)AP、V−200」等のアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物が好ましい。
【0046】
粘弾性改善剤の使用量は、ゴム成分100重量部あたり、0.1〜10重量部の範囲であることが好ましい。
【0047】
次に、後混錬工程Bで用いる各成分(各物質)について説明する。
【0048】
〔硫黄成分〕
硫黄成分としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、および高分散性硫黄等が挙げられる。通常は粉末硫黄が好ましく、ベルト用部材等の硫黄量が多いタイヤ部材に用いる場合には不溶性硫黄が好ましい。なお、本発明において、上記硫黄成分には、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸およびその塩、並びに、加硫促進剤は含まれないものとする。
【0049】
硫黄成分の使用量は、ゴム成分100重量部あたり、0.3〜10重量部の範囲であることが好ましく、0.5〜5重量部の範囲であることがより好ましい。
【0050】
〔加硫促進剤〕
加硫促進剤の例としては、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の412〜413頁に記載されているチアゾール系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が挙げられる。なお、本発明において、上記加硫促進剤には、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸およびその塩は含まれないものとする。
【0051】
具体的には、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、ジフェニルグアニジン(DPG)等が挙げられる。また、公知の加硫剤であるモルフォリンジスルフィドを用いることもできる。
【0052】
充填剤としてカーボンブラックを用いる場合には、加硫促進剤としてN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、または、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)とジフェニルグアニジン(DPG)とを併用することが好ましい。充填剤としてシリカとカーボンブラックとを併用する場合には、加硫促進剤としてN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)のいずれかとジフェニルグアニジン(DPG)とを併用することが好ましい。
【0053】
加硫促進剤の使用量は、硫黄成分1重量部に対して、0.1〜5重量部の範囲であることが好ましく、0.3〜3重量部の範囲であることがより好ましい。
【0054】
〔その他の配合剤〕
前混錬工程Aおよび/または後混錬工程Bでの混錬に、必要に応じて配合可能な各種の配合剤を以下に示す。かかる配合剤としては、例えば、老化防止剤;オイル;ステアリン酸等の脂肪酸類;日鉄化学(株)のクマロン樹脂NG4(軟化点81〜100℃)、神戸油化学工業(株)のプロセスレジンAC5(軟化点75℃)等のクマロン・インデン樹脂;テルペン樹脂、テルペン・フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂等のテルペン系樹脂;三菱瓦斯化学(株)の「ニカノール(登録商標)A70」(軟化点70〜90℃)等のロジン誘導体;水素添加ロジン誘導体;ノボラック型アルキルフェノール系樹脂;レゾール型アルキルフェノール系樹脂;C5系石油樹脂;液状ポリブタジエン;等が挙げられる。
【0055】
上記オイルとしては、プロセスオイル、植物油脂等が挙げられる。プロセスオイルとしては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等が挙げられる。
【0056】
上記老化防止剤としては、例えば日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の436〜443頁に記載されたものが挙げられる。中でも、N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、アニリンとアセトンとの反応生成物(TMDQ)、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−)ジヒドロキノリン(松原産業社製「アンチオキシダントFR」)、合成ワックス(パラフィンワックス等)、植物性ワックスが好ましく用いられる。
【0057】
また、しゃっ解剤やリターダーを配合し、混練してもよく、さらには、一般の各種ゴム薬品や軟化剤等を必要に応じて配合し、混練してもよい。
【0058】
リターダーとしては、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、N−ニトロソジフェニルアミン、N−(シクロヘキシルチオ)−フタルイミド(CTP)、スルホンアミド誘導体、ジフェニルウレア、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト等が例示され、N−(シクロヘキシルチオ)−フタルイミド(CTP)が好ましく用いられる。
【0059】
リターダーは、前混練工程Aで配合し、混錬してもよいが、後混練工程Bで配合し、混錬することが好ましい。かかるリターダーの使用量は特に限定されるものではないが、ゴム成分100重量部あたり、0.01〜1重量部の範囲であることが好ましい。特に好ましくは0.05〜0.5重量部の範囲である。
【0060】
〔各成分の組み合わせ〕
本発明の発熱抑制方法によれば、上記ゴム成分等を前混錬工程Aおよび後混錬工程Bにて混錬し、熱処理工程Cにて後混錬工程Bで得られた混錬物Bを熱処理することによって、種々の用途に用いることのできる加硫ゴム組成物を得ることができる。
【0061】
トラックやバス、ライトトラック、建設用重機等の大型タイヤに適したトレッド部材に好適なゴム配合のうち、ゴム成分としては、天然ゴム単独、または天然ゴムを主成分とするSBRおよび/またはBRとのブレンドが好ましく用いられる。また、充填剤としては、カーボンブラック単独、またはシリカを主成分とするカーボンブラックとのブレンドが好ましく用いられる。更に、N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ヘキサンジアミン(住友化学社製「スミファイン(登録商標)1162」)、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン(NQ−58)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(Si−69)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(Si−75)、1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)−ヘキサン(バイエル社製「KA9188」)、ヘキサメチレンビスチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物、1,3−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン(フレキシス社製「パーカリンク900」)、田岡化学製「タッキロール(登録商標)AP、V−200」等のアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、等の粘弾性改良剤を併用することが好ましい。
【0062】
乗用車タイヤに適したトレッド部材に好適なゴム配合のうち、ゴム成分としては、ケイ素化合物で分子末端を変性した溶液重合SBR単独、または当該変性した溶液重合SBRを主成分とする、非変性の溶液重合SBR、乳化重合SBR、天然ゴムおよびBRからなる群から選ばれる少なくとも1種のゴムとのブレンドが好ましく用いられる。また、充填剤としては、シリカを主成分とするカーボンブラックとのブレンドが好ましく用いられる。更に、N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ヘキサンジアミン(住友化学社製「スミファイン(登録商標)1162」)、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン(NQ−58)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(Si−69)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(Si−75)、1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)−ヘキサン(バイエル社製「KA9188」)、ヘキサメチレンビスチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物、1,3−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン(フレキシス社製「パーカリンク900」)、田岡化学製「タッキロール(登録商標)AP、V−200」等のアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、等の粘弾性改良剤を併用することが好ましい。
【0063】
サイドウォール部材に好適なゴム配合のうち、ゴム成分としては、BRを主成分とする、非変性の溶液重合SBR、乳化重合SBRおよび天然ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種のゴムとのブレンドが好ましく用いられる。また、充填剤としては、カーボンブラック単独、またはカーボンブラックを主成分とするシリカとのブレンドが好ましく用いられる。更に、N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ヘキサンジアミン(住友化学社製「スミファイン(登録商標)1162」)、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン(NQ−58)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(Si−69)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(Si−75)、1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)−ヘキサン(バイエル社製「KA9188」)、ヘキサメチレンビスチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物、1,3−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン(フレキシス社製「パーカリンク900」)、田岡化学製「タッキロール(登録商標)AP、V−200」等のアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、等の粘弾性改良剤を併用することが好ましい。
【0064】
カーカス、ベルト部材に好適なゴム配合のうち、ゴム成分としては、天然ゴム単独、または天然ゴムを主成分とするBRとのブレンドが好ましく用いられる。また、充填剤としては、カーボンブラック単独、またはカーボンブラックを主成分とするシリカとのブレンドが好ましく用いられる。更に、N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ヘキサンジアミン(住友化学社製「スミファイン(登録商標)1162」)、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン(NQ−58)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(Si−69)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(Si−75)、1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)−ヘキサン(バイエル社製「KA9188」)、ヘキサメチレンビスチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物、1,3−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン(フレキシス社製「パーカリンク900」)、田岡化学製「タッキロール(登録商標)AP、V−200」等のアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、等の粘弾性改良剤を併用することが好ましい。
【0065】
以下に、本発明の使用方法、および本発明の発熱抑制方法に係る各工程について説明する。
【0066】
〔前混錬工程A〕
前混錬工程Aは、ゴム成分と、充填剤と、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩とを混錬して混錬物Aを得る工程である。また、本発明の使用方法は、ゴム成分にS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩を添加する方法であり、当該添加方法としては、前混錬工程Aと同様の混練工程を採用することが好ましい。
【0067】
各成分(各物質)を混錬する装置としては、ミキサーが好ましく、具体的には、バンバリーミキサーなどを挙げることができる。
【0068】
混錬時のミキサーの回転数は、用いるゴム成分の種類、所望の分子量によって異なるが、概して10rpm以上、100rpm以下とすることができる。また、混錬時間も適宜設定すればよく、概して1分以上、20分以下とすることができる。前混錬工程Aにてゴム成分等を混錬することにより、混錬物Aを得ることができる。前混錬工程Aでは、ミキサーを所定の温度に設定した後、各成分を混錬することが好ましい。ゴム成分等の各成分は、混練による発熱によって昇温する(もしくは所定の温度に維持される)。混錬物Aの排出温度は、200℃以下が好ましく、より好ましくは120℃以上、180℃以下である。
【0069】
なお、ゴム成分として天然ゴムを用いる場合、前混錬工程Aには混錬の前段階としてゴム成分を素練りする工程が含まれていてもよい。素練りによって天然ゴムの分子鎖が切断され、分子量が小さくなるので天然ゴムの加工が容易となる。
【0070】
〔後混錬工程B〕
後混錬工程Bは、前混錬工程Aで得られた混錬物Aと、硫黄成分と、加硫促進剤とを混錬して混錬物Bを得る工程である。後混錬工程Bは、前混錬工程Aにおける混錬が終了した後、速やかに行うことが好ましい。
【0071】
各成分(各物質)を混錬する装置としては、ミキサーが好ましく、具体的には、オープンミキサー(オープンロール機)、バンバリーミキサーなどを挙げることができる。
【0072】
後混錬工程Bにおける混錬時間は、ゴム成分等の各成分の種類に応じて適宜設定すればよい。ゴム成分等の種類にもよるが、ミキサーの設定温度(温度条件)は、概して60℃以上、120℃以下であることが好ましい。
【0073】
〔混錬物Bを特定の状態に加工する工程〕
本発明の発熱抑制方法には、後混錬工程Bおよび熱処理工程Cの間に、後混錬工程Bで得られた混錬物Bを特定の状態(形状)に加工する加工工程bが含まれていてもよい。
【0074】
ここで、該混練物Bを「特定の状態(形状)に加工する工程」、つまり加工工程bとは、例えばタイヤの分野においては、該混練物Bを、「スチールコードに被覆する工程」、「カーカス繊維コードに被覆する工程」、「トレッド用部材の形状に加工する工程」等が挙げられる。なお、加工工程bには、混錬物Bを所望の形状の成型体に成型する成型工程が含まれることとする。
【0075】
また、これらの工程によりそれぞれ得られるベルト、カーカス、インナーライナー、サイドウォール、トレッド(キャップトレッドまたはアンダートレッド)等の各部材は、通常、その他の部材とともに、タイヤの分野で通常行われる方法により、さらにタイヤの形状に成型され、すなわち該混練物Bをタイヤに組み込む工程を経て、該混練物Bを含む生タイヤの状態となる。
【0076】
〔熱処理工程C〕
熱処理工程Cは、後混練工程Bで得られた混練物Bを熱処理して加硫ゴム組成物を得る工程である。つまり、熱処理工程Cは、後混錬工程Bまたは加工工程bの後に行われる加硫処理工程である。上記後混錬工程Bで得られた混錬物Bまたは加工工程bで得られた成型体は、熱処理工程Cにおいて熱処理を施されることにより加硫され、加硫ゴム組成物または成型物とされる。かかる熱処理は、通常、常圧または加圧下で行われる。
【0077】
熱処理工程Cの熱処理における設定温度(温度条件)は、120℃以上、180℃以下であることが好ましい。120℃未満であるとゴム組成物の加硫速度が遅くなり、加硫の進行度合いを判断し難くなるおそれがあり、180℃を超えるとゴム組成物の加硫速度が速くなり、加硫の進行速度を制御し難くなるおそれがある。また、熱処理における好適な加熱時間(加硫時間)は、ゴム組成物の具体的な組成により異なる。
【0078】
上記熱処理を施すことによって、後混錬工程Bで得られた混錬物Bから加硫ゴム組成物を得ることができる。また、熱処理が加工工程bの後に行われる場合、成型体から成型物が得られることとなる。
【0079】
なお、熱処理工程Cでの熱処理に用いる装置としては、例えば、加硫機、加硫プレス、加圧プレスなどを用いることができる。
【0080】
かくして得られる加硫ゴム組成物を用いて、通常の方法によって空気入りタイヤを製造することができる。すなわち、熱処理工程C(加硫処理工程)前の段階のゴム組成物をトレッド用部材に押出し加工し、タイヤ成型機上で通常の方法により貼り付け成型し、生タイヤを成型した後、この生タイヤを加硫機中で加熱加圧する(熱処理工程Cを行う)ことにより、タイヤが得られる。このようにして得られるタイヤは、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩が発熱抑制剤として作用し、自動車の走行エネルギ(運動エネルギ)がタイヤの昇温(熱エネルギ)に変換されて失われる割合が小さくなるので、低発熱性が付与されていないタイヤと比較して、自動車タイヤの燃費を向上させることができる。
【0081】
〔加硫ゴム組成物の物性〕
加硫ゴム組成物の物性を、以下に示す。
【0082】
<発熱性>
加硫ゴム組成物をタイヤの原料として用いる場合、タイヤの発熱性がより低いことが望ましい。タイヤの発熱性が高いと、自動車の走行エネルギ(運動エネルギ)がタイヤの昇温(熱エネルギ)に変換されて消費されるからである。本発明の使用方法および本発明の発熱抑制方法によれば、加硫ゴム組成物に対して低発熱性付与の効果を得ること、つまり、発熱を抑制する効果を付与することができる。
【0083】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0084】
本発明について、実施例および比較例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、以下の実施例および比較例における加硫ゴム組成物の発熱性は、次のようにして評価した。
【0085】
〔発熱性〕
JIS_K_6265に準拠し、定応力のフレキソメータを用いて加硫ゴム組成物の発熱性を測定した。測定条件は、フレキソ用試験片を用いて、静荷重196N、動荷重800N、周波数10Hz、測定時間15分とした。
【0086】
〔製造例1〕
S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩の製造:
反応容器を窒素置換し、当該反応容器に3−ブロモプロピルアミン臭素酸塩25g(0.11mol)、チオ硫酸ナトリウム・5水和物28.42g(0.11mol)、メタノール125mlおよび水125mlを仕込み、得られた混合物を70℃で4.5時間還流した。反応混合物を放冷し、減圧下でメタノールを除去した。メタノールを除去した反応混合物に、水酸化ナトリウム4.56gを加え、室温で30分間攪拌した。減圧下で溶媒を完全に除去した後、エタノール200mlを加えて1時間還流した。その後、熱ろ過により副生成物である臭化ナトリウムを除去した。ろ液を減圧下で、結晶が析出するまで濃縮し、その後、静置した。結晶をろ取し、エタノール、ヘキサンで洗浄することにより得られた結晶を真空乾燥して、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩を得た。 H−NMRの測定結果を以下に示す。
【0087】
H−NMR(270.05MHz,MeOD)δppm:3.1(2H,t,J=6.3Hz),2.8(2H,t,J=6.2Hz),1.9−2.0(2H,m)
島津製作所製SALD−2000J型を用い、レーザー回折法により測定したところ、得られたS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩のメディアン径(50%D)は66.7μmであった。かかるS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩をメディアン径(50%D)が14.6μmになるように粉砕した後、実施例1にて使用した。
【0088】
<測定操作>
得られたS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩を下記の分散溶媒(トルエン)と分散剤(10重量%スルホこはく酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム/トルエン溶液)との混合溶液に室温で分散させ、得られた分散液に超音波を照射しながら、該分散液を5分間攪拌して試験液を得た。該試験液を回分セルに移し、1分後に測定した(屈折率:1.70−0.20i)。
【0089】
S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩10.0gを水30mlに溶解させて得られる水溶液のpHは11〜12であった。
【0090】
〔製造例2〕
S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のカリウム塩の製造:
反応容器を窒素置換し、当該反応容器に3−クロロプロピルアミン塩酸塩10.0g(76.9mmol)、メタノール25mlおよび水25mlを仕込んで溶解させ、得られた溶液を50℃に昇温した。次に、上記溶液にチオスルホン酸カリウム14.6gを加え、得られた混合物を80℃に昇温して8時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水酸化カリウム4.3gを加えた。次いで、反応物を濃縮乾固し、エタノール250mlを加えて1時間、加熱還流した。その後、不溶解物を熱ろ過により除去し、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のカリウム塩10.5gを得た。 H−NMRの測定結果を以下に示す。また、上記製造例1と同様の方法で試験液を得た。
【0091】
H−NMR(270.05MHz,CDOD)δppm:1.88−1.99(2H,m),2.79(2H,t),3.12(2H,t)
〔製造例3〕
S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸の製造:
反応容器を窒素置換し、当該反応容器にS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩26.0gおよび水45mlを仕込み、5mol/lの塩酸を加えてpHを5〜6に調整した。次に、得られた溶液を減圧下で、結晶が析出するまで濃縮し、その後、静置した。析出した結晶をろ取し、真空乾燥して、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸を得た。 H−NMRの測定結果を以下に示す。また、上記製造例1と同様の方法で試験液を得た。
【0092】
H−NMR(270.05MHz,DO)δppm:3.0−3.1(4H,m),2.0−2.1(2H,m)
〔製造例4〕
S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のNBu塩の製造:
反応容器を窒素置換し、当該反応容器に1−アミノプロパン−3−チオスルホン酸6.0g(35mmol)および水60mlを仕込んで溶解させた。一方、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシドの32%水溶液28g(35mmol)を水28mlで希釈した。そして、この希釈液を上記反応容器中の溶液に室温で滴下し、滴下終了後、1時間攪拌した。攪拌終了後のpHは10であった。その後、溶媒を留去して乾燥した混合物17.6gを得た。次いで、この混合物にエタノール20mlを加えて30分間、攪拌した。その後、不溶解物をろ過により除去し、ろ液を濃縮してS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のNBu塩14.2gを得た。 H−NMRの測定結果を以下に示す。また、上記製造例1と同様の方法で試験液を得た。
【0093】
H−NMR(300.13MHz,DO)δppm:0.84(12H,t),1.20−1.32(8H,m),1.49−1.60(8H,m),1.77−1.86(2H,m),2.65(2H,t),3.01−3.12(10H,m)
〔実施例1〕
<前混錬工程A>
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)の温度を110℃に設定し、当該バンバリーミキサーに対して、天然ゴム(RSS#1)100重量部を2分間かけて25rpmの回転数にて投入した。次に、投入した天然ゴムを5分間、50rpmの回転数にて素練りを行った。その後、上記天然ゴムを10rpmの回転数にて混錬しながら、カーボンブラック(旭カーボン社製、商品名「HAFブラックN330」)45重量部、ステアリン酸3重量部、亜鉛華(酸化亜鉛)5重量部および上記製造例1で得たS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩1.0重量部を当該天然ゴムに投入した。
【0094】
上記カーボンブラック等を投入した後、5分間、10rpmの回転数にて混錬し、その後、ミキサーの回転数を50rpmに増加させて5分間混錬することにより混錬物Aを得た。さらに、混錬物Aを設定温度50〜60℃のオープンロールに通過させ、1.5mmのシート状に加工した。
【0095】
<後混錬工程B>
オープンロール機の設定温度を60〜80℃として、前混錬工程Aで得られた混錬物Aと、硫黄2重量部、加硫促進剤(N−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド)1重量部および老化防止剤(N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン:商品名「アンチゲン(登録商標)6C」住友化学株式会社製)1重量部とを混練し、混錬物Bを得た。さらに、混錬物Bを2.0mmのシート状に加工した。その後、該混錬物Bを一晩(およそ12時間)熟成させた。
【0096】
<熱処理工程C>
加圧プレスを用いて、後混錬工程Bで得られた混錬物Bを14.5分間、145℃で熱処理(加硫処理)を行い、加硫ゴム組成物を得た。
【0097】
得られた加硫ゴム組成物に対して発熱性を測定した。測定結果を表1に示す。
【0098】
〔実施例2〕
前混錬工程Aで、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩の代りにS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のカリウム塩を配合した以外は実施例1と同様に混錬を行い、加硫ゴム組成物を得た。得られた加硫ゴム組成物に対して発熱性を測定した。測定結果を表1に示す。
【0099】
〔実施例3〕
前混錬工程Aで、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩の代りにS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸を配合した以外は実施例1と同様に混錬を行い、加硫ゴム組成物を得た。得られた加硫ゴム組成物に対して発熱性を測定した。測定結果を表1に示す。
【0100】
〔実施例4〕
前混錬工程Aで、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩の代りにS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のNBu塩を配合した以外は実施例1と同様に混錬を行い、加硫ゴム組成物を得た。得られた加硫ゴム組成物に対して発熱性を測定した。測定結果を表1に示す。
【0101】
〔比較例1〕
前混錬工程Aで、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩を配合しなかった以外は実施例1と同様に混錬を行い、比較用の加硫ゴム組成物を得た。得られた加硫ゴム組成物に対して発熱性を測定した。測定結果を表1に示す。
【0102】
【表1】

【0103】
実施例1〜4と比較例1との比較から、加硫ゴム組成物の原料であるゴム成分にS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩を添加することにより、加硫ゴム組成物の発熱を抑制することができることが判る。特に、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸、およびそのナトリウム塩を添加することにより、加硫ゴム組成物の発熱をより一層抑制することができることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明により、加硫ゴム組成物に低発熱性を付与すること、すなわち、加硫ゴム組成物の発熱を抑制することが可能となる。したがって、本発明は、加硫ゴム組成物を用いる分野、特にタイヤの分野において特に好適に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加硫ゴム組成物の原料であるゴム成分に添加して当該加硫ゴム組成物の発熱を抑制することを特徴とするS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩の使用方法。
【請求項2】
上記S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩が、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸の金属塩であることを特徴とする請求項1に記載の使用方法。
【請求項3】
加硫ゴム組成物の原料である硫黄成分1重量部に対するS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩の重量が、0.05重量部以上、2.5重量部以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の使用方法。
【請求項4】
ゴム成分と、充填剤と、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩とを混練する前混練工程A;
上記前混練工程Aで得られた混練物Aと、硫黄成分および加硫促進剤とを混練する後混練工程B;
上記後混練工程Bで得られた混練物Bを熱処理して加硫ゴム組成物を得る熱処理工程C;
を含むことを特徴とする加硫ゴム組成物の発熱抑制方法。
【請求項5】
上記S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩が、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸の金属塩であることを特徴とする請求項4に記載の発熱抑制方法。
【請求項6】
上記硫黄成分1重量部に対するS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその塩の重量が、0.05重量部以上、2.5重量部以下であることを特徴とする請求項4または5に記載の発熱抑制方法。

【公開番号】特開2012−12457(P2012−12457A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149035(P2010−149035)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】