説明

SCR触媒保護及び多数の排出物抑制を目的とするシステム及び方法

【課題】SCR中の触媒が被毒する前に、燃焼工程からの気体カリウム化合物、ナトリウム化合物、これらの元素種、又はイオン種を除去するための、経済的及び環境的に適切な方法及び/又はシステムを提供する。
【解決手段】SCR触媒活性の寿命を延ばすための方法であって、以下のステップを含む方法:
(a)排煙に対してSCRを行う前に、炉又はボイラーの燃焼ゾーン又は排煙部に、カオリンを含有する少なくとも1種の化合物を、投与するステップ;及び
(b)排煙に対してSCRを行う前に、カオリンを含有する少なくとも1種の前記化合物を、前記燃焼ゾーン又は前記排煙部に存在する気体カリウム化合物及び/若しくは気体ナトリウム化合物又は気体カリウム含有化合物及び/若しくは気体ナトリウム含有化合物と反応可能にさせるステップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ボイラー、ヒーター、炉、又は他の排煙若しくは燃焼ガス発生装置(例えば発電所や処理プラント等に存在する物)のための排出抑制装置の分野に関する。具体的には、SCR触媒の被毒及び/又は汚染を抑制又は防止するための新規且つ有用な方法又は装置に関する。別の実施形態においては、SCR触媒を保護することを目的として、本発明の方法及び装置を設計する。
【背景技術】
【0002】
NOXとは、燃焼の際に発生する、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、及び他の微量の窒素酸化物種の累積的な排出物を意味する。化石燃料を燃焼させるとNOXがある程度のレベルで発生する。原因としては、高温であること、並びに空気及び燃料の両方からの酸素及び窒素が利用可能であることによる。しかし、低NOX燃焼技術や燃焼後技術を用いることによって、NOXの排出を抑制することができる。前記燃焼後技術の1つとして、選択触媒還元(SCR)システムがあり、該システムでは、NOXと薬剤(通常はアンモニア)間の化学反応を触媒が促進して窒素分子と水蒸気を生成する。
【0003】
燃焼源からのNOX排出を抑制するため、SCR技術が世界中で使用されている。該技術は、ユーティリティボイラーからのNOXを抑制する目的で、日本では1970年代後半から、ドイツでは1980年代後半から、米国では1990年代から、広く使用されてきた。そして、工業的スケールでのSCRは、500°F〜900°F、最も多いケースとして550°F〜750°Fの温度範囲で原則として稼動させるために設計されてきた。また、最大限許容可能なアンモニアスリップで特定のNOX還元効率を満たすように、通常SCRは設計される。ここで、アンモニアスリップとは、体積ppmで表される濃度であって、SCRから排出される未反応のアンモニアの濃度である。
【0004】
工業分野及び発電産業で使用されるNOX除去技術に関する更に詳細な内容に関しては、「Steam/its generation and use,41st Edition,Kitto and Stultz,Eds.,Copyright 2005,The Babcock&Wilcox Company,Barberton,Ohio,U.S.A.」(特に「Chapter 34−Nitrogen Oxides Control」)を参照されたい。前記文献の内容は全て本明細書に組み込む。
【0005】
米国環境保護庁(EPA)が発行した規制では、SCRを備えたユーティリティボイラーの割合を増やすことを約束している。SCRは、最大で約90%の効率になるように通常は設計される。前記上限は、より高度なNOX分解レベルを達成するためのSCR能力に関する理論的な限界から設定されたものではない。むしろ、過剰なレベルのアンモニアスリップを防止するために設けられた現実面からの限界値である。この問題点については以降で説明する。
【0006】
SCRにおいては、以下(a)〜(d)の1種以上の化学両論的反応に従って、アンモニアがNOXと反応する。
4NO+4NH3+O2→4N2+6H2O (a)
12NO2+12NH3→12N2+18H2O+3O2 (b)
2NO2+4NH3+O2→3N2+6H2O (c)
NO+NO2+2NH3→2N2+3H2O (d)
【0007】
適切な触媒を用いれば上述した触媒反応が起こる。そして、適切な触媒については、例えば、Chuらによる米国特許番号5,540,897;5,567,394;及び5,585,081で議論されている。これらの文献の内容全てを本明細書中に組み込む。触媒配合物は、通常卑金属、ゼオライト、貴金属の3つのカテゴリーのうち1つに属する。
【0008】
卑金属触媒では、少量のバナジウム、モリブデン、タングステン又は活性を有する他の幾つかの化学薬剤の組合せと共に、酸化チタンが使用される。卑金属触媒は選択的であり、特定の温度範囲で作用する。卑金属触媒の主な欠点は、SO2をSO3に酸化させる該触媒の潜在能力にある;即ち、触媒の化学的な配合状態に基づいて酸化の程度が変化することにある。生成された所定量のSO3は、未反応のアンモニアと反応して、様々なアンモニウム硫酸塩を生成し得る。
【0009】
ゼオライト触媒は、卑金属触媒と同様に機能するアルミノケイ酸塩物質である。ゼオライト触媒の潜在的な利点の1つとして、約970°F(521℃)という高温で、より作用することが挙げられる。また、これらの触媒もSO2からSO3へ酸化させることができ、排煙条件に合致させるよう注意しなければならない。
【0010】
貴金属触媒は一般的に白金又はロジウムから製造される。また、貴金属触媒では、排煙成分と作用温度について注意深く考慮する必要がある。NOX還元に効果的である一方で、これらの触媒は酸化触媒としても機能し得るので、適切な温度条件ではCOをCO2に変換させることができる。しかし、SO2からSO3へ酸化させてしまうこと、及び材料コストが高いことから、貴金属触媒はしばしばその魅力に欠ける。
【0011】
また、当業者にとって既知であるが、酸化リン(PO)又は五酸化二リン(P25)等の特定のリン化合物を含む(しかし、これらに限定されない)様々な化合物で種々のSCR触媒が汚染されると該SCR触媒は被毒してしまう。更に言えば、種々の石炭を基礎とした燃料中に見られる或いは該燃料によって発生するカリウム(K)、ナトリウム(Na)、及びリン(P)を含む特定の化合物は、フルスケールユニットでもスリップストリームユニットでも、SCR触媒を急速に不活化させることが知られている。
これらの燃料においては、カリウム及びナトリウムは主に有機的に結合した無機物又は水可溶性の塩の形態である(Steenari et al.;Energy and Fuels;Vol.18(2004)6,pp.1870−1876参照)。燃料中で前記形態で結合していると、カリウムやナトリウムは燃焼の際に簡単に蒸発してしまう。また、リンも燃料中では、有機的に結合した状態(バイオマスの場合も同様である)や無機的に結合した状態(パウダーリバーベイスン(PRB)石炭のケースも同様である)で存在し得る。炭燃焼中に起こる炭素熱還元反応により、リンは下記のように気相中に放出される:
25(固相化合物)+3C(固相)→2PO(気相)+3CO(気相)
(例えばHino,et.al.;ISIJ International,Vol.48(2008)7,pp.912−917を参照)。
特にバイオマスに関して、リンは燃料と或いは燃料中で有機的に結合しているため、燃焼が段階的なものか否かに関わらず、燃焼工程そのものの結果として、リンが気相中に放出される。
【0012】
より具体的に言えば、SCR触媒はダストを含んだ排煙に曝されているため、該触媒を不活化させたり、経時的に該触媒の性能を低下させたりする数多くの機構が存在し、ブラインディング、マスキング、及び被毒等が挙げられる。国内東部の石炭(即ち米国東部で発掘された石炭)を燃焼させる際に直面する最もありふれた触媒毒はヒ素である。また、国内西部の石炭(即ち米国西部で発掘された石炭)を燃焼させる際に直面する最もありふれた触媒毒はリンやカルシウム硫酸塩であり、最も典型的なマスキング機構である。そして、バイオマスを燃焼させる際に直面する最もありふれた触媒毒は、典型的にはカリウム及びナトリウム、又はカリウム及びナトリウム含有化合物である。使用済触媒をリサイクルする方法の1つとして、再生洗浄又は再活性化(regeneration washing or rejuvenation)と呼ばれる方法がある。前記再生方法の最初のステップでは、触媒毒が可溶する種々の化学浴で触媒を処理することによって、これらの触媒毒を除去することが行われる。前記処理方法が所望の触媒毒を除去するのに優れた機能を発揮する一方で、該方法では高濃度のヒ素を含む廃水が生じてしまう。
【0013】
更に言えば、当業者にとって既知であるが、選択触媒還元(SCR)技術は、高温(550°F〜750°F)での燃焼源からのNOX排出を抑制するために、世界中で使用されている。高温SCR技術は、ユーティリティボイラーからのNOXを抑制する目的で、日本では1970年代後半から、ドイツでは1980年代後半から、米国では1990年代から、そして中国では2000年から使用されてきた。SCRシステムの機能は、NOXをアンモニア(NH3)及び酸素と反応させて、窒素分子及び水分子を形成することである。NOX排出限度を下げる要求が予想されることから、亜炭を燃やす火力発電からのNOX排出を抑制する必要性が米国やカナダで高まっている。NOXを抑制するために、亜炭燃焼ユニットに既にSCRを追加導入している最中のところもあれば、近い将来他のユニットもそれにならうところもある。また、既存のユニットで、SCRを用いて又は用いることなく、石炭とバイオマスを共燃焼させる傾向が強まっている。幾つかの古いユニットでは、粉砕した石炭燃焼から、粉砕したバイオマス燃焼へ完全に切り替えたところもある。これらのユニットでは、バイオマスのみ、又は石炭とバイオマスの共燃焼を用いているものの、厳格なNOX排出に従わなければならなくなるだろう。低NOX排出要求を満たす最も効果的な方法は、SCR技術を用いることである。これらのユニット上でのSCR機能に関する主な課題として、触媒の不活性化が挙げられる。亜炭及びバイオマスの両方の燃料には、カリウム、ナトリウム、及びリン、並びに/又は種々のカリウム化合物、ナトリウム化合物、及びリン化合物が含まれており、これらは触媒毒として知られている。これらの触媒毒は触媒を攻撃し、結果として経時的に触媒を不活化させ、それによって触媒の活性寿命サイクルを短くしてしまう。不活化された結果、触媒は機能せず、より長期間にわたって効率的にNOX還元を行うことができない。こうした点から、前記不活化によって触媒の効果的なライフサイクルが短くなり、その結果として、NOX規制を遵守するためにより頻繁に触媒を交換する必要が生じる。幾つかの触媒ベンダーでは、触媒配合物の中にモリブデンを使用することにより、ヒ素による触媒の被毒に対抗できることを主張しているものの、これまでのところ、種々のカリウム化合物、ナトリウム化合物及びリン化合物、これらの元素種、又はこれらのイオン種による被毒に対抗可能な触媒は市場には登場して来ていない。
【0014】
更には、様々な州、EPA及び/又は大気浄化法の規制を遵守するために、NOX排出抑制に加えて、他の排出物抑制を考慮し、及び/又はこれらの基準を満たさなければならない。ボイラー、ヒーター、炉、又は他の排煙若しくは燃焼ガス発生装置(例えば発電所や処理プラント等に存在する物)に関して言えば、考慮する必要がある他の排出物抑制対象物として、水銀、SOX、及び特定の微粒子が挙げられるがこれらに限定されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第5540897号明細書
【特許文献2】米国特許第5567394号明細書
【特許文献3】米国特許第5585081号明細書
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Steam/its generation and use,41st Edition,Kitto and Stultz,Eds.,Copyright 2005,The Babcock&Wilcox Company,Barberton,Ohio,U.S.A.
【非特許文献2】Steenari et al.;Energy and Fuels;Vol.18(2004)6,pp.1870−1876
【非特許文献3】Hino,et.al.;ISIJ International,Vol.48(2008)7,pp.912−917
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述したように、任意のリン化合物等によってSCR中の触媒が被毒する前に、燃焼工程からの気体カリウム化合物、ナトリウム化合物及びリン化合物、これらの元素種、又はイオン種を除去するための、経済的及び環境的に適切な方法及び/又はシステムを提供するための方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、概して、ボイラー、ヒーター、炉、又は他の排煙若しくは燃焼ガス発生装置(例えば発電所や処理プラント等に存在する物)のための排出抑制装置の分野に関する。具体的には、SCR触媒の被毒及び/又は汚染を抑制又は防止するための新規且つ有用な方法又は装置に関する。別の実施形態においては、SCR触媒を保護するために、本発明の方法及び装置を設計する。
【0019】
従って、本発明の一つの態様は、
SCR触媒活性の寿命を延ばすための方法であって、以下のステップを含む方法である:
(a)排煙に対してSCRを行う前に、炉又はボイラーの燃焼ゾーン又は排煙部に、カオリンを含有する少なくとも1種の化合物(compound)を投与するステップ;及び
(b)排煙に対してSCRを行う前に、カオリンを含有する少なくとも1種の前記化合物を、前記燃焼ゾーン又は前記排煙部に存在する気体カリウム化合物及び/若しくは気体ナトリウム化合物又は気体カリウム含有化合物及び/若しくは気体ナトリウム含有化合物と反応可能にさせるステップ。
【0020】
本発明の別の態様は、
SCR触媒活性の寿命を延ばすための方法であって:
(i)炉又はボイラーの燃焼ゾーンに、カオリンを含有する少なくとも1種の化合物を投与するステップ;並びに
(ii)排煙に対してSCRを行う前に、カオリンを含有する少なくとも1種の前記化合物を、前記燃焼ゾーンに存在する気体カリウム化合物及び/若しくは気体ナトリウム化合物又は気体カリウム含有化合物及び/若しくは気体ナトリウム含有化合物と反応可能にさせるステップを含み、カオリンを含有する前記化合物が、カオリンを含有する1種以上のクレイ、カオリナイトを含有する1種以上のクレイ、1種以上のカオリナイト、又はこれら2以上の混合物から選択される、該方法である。
【0021】
本発明の更なる別の態様は、
1種以上のカリウム化合物及び/若しくはナトリウム化合物又はカリウム含有化合物及び/若しくはナトリウム含有化合物を、1種以上の反応性が低いアルミノケイ酸ナトリウム含有化合物及び/又はアルミノケイ酸カリウム含有化合物の形態で隔離するための方法であって、該方法は以下のステップを含む:
(A)炉又はボイラーの燃焼ゾーン又は排煙部に、カオリンを含有する少なくとも1種の化合物を投与するステップ;並びに
(B)カオリンを含有する少なくとも1種の前記化合物を、前記燃焼ゾーン又は前記排煙部に存在するカリウム化合物及び/若しくはナトリウム化合物、又はカリウム含有化合物及び/若しくはナトリウム含有化合物と反応させて、前記1種以上の反応性が低いアルミノケイ酸ナトリウム化合物及び/又はアルミノケイ酸カリウム化合物を形成することを可能にさせるステップ。
【0022】
本発明の更なる別の態様は、
ガス中の水銀を同時に抑制しながら、SCR触媒活性の寿命を延ばすための方法であって、以下のステップを含む方法である:
(I)排煙に対してSCRを行う前に、炉又はボイラーの燃焼ゾーン又は排煙部に、カオリンを含有する少なくとも1種の化合物を、投与するステップ;
(II)排煙に対してSCRを行う前に、炉又はボイラーの燃焼ゾーン又は排煙部に、少なくとも1種の鉄含有ハロゲン化化合物を投与するステップ;
(III)排煙に対してSCRを行う前に、カオリンを含有する少なくとも1種の前記化合物のカオリン部分を、前記燃焼ゾーン又は前記排煙部に存在する気体カリウム化合物及び/若しくは気体ナトリウム化合物又は気体カリウム含有化合物及び/若しくは気体ナトリウム含有化合物と反応可能にさせるステップ。
(IV)排煙に対してSCRを行う前に、少なくとも1種の前記鉄含有ハロゲン化化合物の鉄部分を、前記燃焼ゾーン又は前記排煙部に存在する気体リン化合物、又は気体リン含有化合物と反応可能にさせるステップ;並びに
(V)少なくとも1種の前記鉄含有ハロゲン化化合物のハロゲン部分を、前記燃焼ゾーン又は前記排煙部に存在する気体水銀化合物又は気体水銀含有化合物と反応可能にさせるステップ。
【0023】
本発明の更なる別の態様は、
1種以上のカリウム化合物及び/若しくはナトリウム化合物又はカリウム含有化合物及び/若しくはナトリウム含有化合物を、1種以上の反応性が低いアルミノケイ酸ナトリウム含有化合物及び/又はアルミノケイ酸カリウム含有化合物の形態で隔離し、並びに水銀を同時に隔離しながら、1種以上のリン化合物又はリン含有化合物を、1種以上の反応性が低い鉄リン含有化合物の形態で隔離するための方法であって、該方法は以下のステップを含む:
(1)炉又はボイラーの燃焼ゾーン又は排煙部に、カオリンを含有する少なくとも1種の化合物を投与するステップ;
(2)炉又はボイラーの燃焼ゾーン又は排煙部に、少なくとも1種の鉄含有ハロゲン化化合物を投与するステップ;
(3)カオリンを含有する少なくとも1種の前記化合物のカオリン部分を、前記燃焼ゾーン又は前記排煙部に存在する気体カリウム化合物及び/若しくは気体ナトリウム化合物、又は気体カリウム含有化合物及び/若しくは気体ナトリウム含有化合物と反応させて、1種以上の反応性が低いアルミノケイ酸ナトリウム含有化合物及び/又はアルミノケイ酸カリウム含有化合物を形成することを可能にさせるステップ;
(4)少なくとも1種の前記鉄含有ハロゲン化化合物の鉄部分を、前記燃焼ゾーン又は前記排煙部に存在する気体リン化合物、又は気体リン含有化合物と反応させて、1種以上の反応性が低い鉄リン含有化合物を形成することを可能にさせるステップ;並びに
(5)少なくとも1種の前記鉄含有ハロゲン化化合物のハロゲン部分を、前記燃焼ゾーン又は前記排煙部に存在する気体水銀化合物又は気体水銀含有化合物と、反応可能にさせるステップ。
【0024】
本発明を特徴付ける種々の新規な特徴は、本開示に添付された又は本開示の一部を形成する特許請求の範囲に具体的に示されている。本発明、本発明の作用利点、及び本発明を使用することによって得られる特定の利益をより深く理解できるように、本発明の例示的な実施形態が示されている添付図面及び記述事項に言及する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、SCRシステムを用いた典型的な化石燃料燃焼設備を概念的に表したものであり、本発明の一実施形態に係る方法を実践するためのシステムを包含する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
アンモニアはしばしば経済的理由から好ましいものとされるため、アンモニアをNOX還元剤として使用するSCRシステムの観点から本発明を記述するが、本発明はアンモニアに基づくシステムに限定されるものではない。本発明の概念は、アンモニア化合物を使用する任意のシステムでも使用することができる。本開示で使用されているが、アンモニア化合物は、アンモニア(NH3)のみならず、尿素、アンモニウム硫酸塩、シアヌル酸、及び有機アミン等の化合物を含むことを意味する用語である。アンモニアのほかにこれらの化合物が還元剤として使用することができる。しかし、上述したように、アンモニアがしばしば経済的な理由から好ましいものとされている。また、一酸化炭素又はメタン等の非アンモニア化合物も同様に使用可能であるが効果が劣る。
【0027】
本明細書中で使用される用語、「含有化合物」、「含有する化合物」は相互に交換可能に使用される。例えば「カオリン含有化合物」と「カオリンを含有する化合物」は同一の意味で解釈され、上述したように相互に交換して使用される。明白なことではあるが、こうした区別は本明細書中に記載された同一の構成を用いる全ての用語に等しくあてはまる。更に、本明細書中で使用されるが、用語「気相」は、気体状態における一種の化合物又は複数種の化合物、並びにエアロゾル状態におけるこれらの一種の化合物又は複数種の化合物を含む。また、本明細書で使用されるが、用語「種」とは、イオン形態/状態における化合物及び/又は元素の両方、並びに原子状態/形態における化合物及び/又は元素の両方を含む。
【0028】
ボイラー、又は化石燃料ボイラーに関連付けて本発明を記述するが、本発明はこれらのみに制限されるものではない。むしろ、燃焼源がボイラーに関連して用いられるか、蒸気発生機と関連して用いられるかに関係なく、本発明はNOXを発生させる任意の燃焼源に応用することができる。例えば、本発明は炉やヒーターと組み合せて使用可能である。或いは、NOXを含有する排煙又は燃焼ガスを、全体として又は部分的に発生させる燃焼処理を行う任意の他のタイプと組み合せて使用することも可能である。
【0029】
図に示すように、本発明は、硫黄酸化物を排煙ガスから除去するために、湿式排煙脱硫(wet flue gas desulfurization(WFGD)、又は湿式スクラバー、図右上部分参照)を使用するボイラー設備に応用可能である。こうした構成においては、湿式スクラバーは、通常(システム内で排煙が流れる方向から見て)、微粒子回収装置(particulate collection device (PCD))、有利な物として繊維フィルターバッグハウス(fabric filter (FF) bag house)、又は電気集塵機(electrostatic precipitator (ESP))の後に続く。必要であれば、微細な微粒子又はSO3に関する最終「ポリッシング」段階として、湿式電気集塵機(wet ESP又はWESP)を設けても良い。或いは、本発明は、硫黄酸化物を排煙ガスから除去するために、スプレードライヤー装置(spray dryer apparatus、SDA、図右下部分参照)又は乾式スクラバーを使用するシステムに応用可能である。こうした構成においては、通常(システム内で排煙が流れる方向から見て)、SDA又は乾式スクラバーの後には、微粒子回収装置(PCD),有利な物として繊維フィルター(FF)バッグハウス、電気集塵機(ESP)、又は更に湿式電気集塵機(wet ESP)が続く。
【0030】
更には、本発明は以下の触媒毒による悪影響を受ける任意のSCR触媒に応用可能である:リンベースの化合物、例えば、H3PO4、PO又はP25が挙げられるがこれらに限定されない;カリウムベースの化合物、例えば塩化カリウム(KCl)及び/又は硫酸カリウム(K2SO4)が挙げられるがこれらに限定されない;ナトリウムベースの化合物、例えば塩化ナトリウム(NaCl)及び/又は硫酸ナトリウム(Na2SO4)が挙げられるがこれらに限定されない。このように、本発明はSCR触媒の中のいずれか1種に限定されるものではない。むしろ、広範なSCR触媒系に幅広く応用可能なものである。本発明が応用可能な適切な触媒系として、ハニカム型、プレート型、又はコルゲート型の構成が挙げられるがこれらに限定されない。
【0031】
一実施形態において、本発明は、PRB炭燃焼ユニット上でのSCR触媒の不活化割合を減少させることを目的としている。留意すべきこととして、本発明はPRB炭に関連づけて記述しているが本発明はこれに制限されるものではない。むしろ、1種以上の気体リン化合物、1種以上の気体カリウム化合物、1種以上の気体ナトリウム化合物及び/又はこれら化合物2種以上の任意の組合せによってSCR触媒が被毒する任意の状況に対して、本発明は幅広く応用可能である。
【0032】
一実施形態において、PRB炭中のリンは、段階的な燃焼及び他のユニット内で急速な不活化を引き起こすと推測される。そして、該不活化は、炭素熱還元反応によって放出された気相のリンが引き起こしていると推測される。酸素が欠乏した条件下での前記反応において、リン含有化合物が、以下の反応によって気相リンを放出する。
25(固相化合物)+3C(固相)→2PO(気相)+3CO(気相)
【0033】
前記気相リンは触媒の活性部位に結合し、NOX還元のための部位を不活化させる。その結果、SCR触媒は、未使用の触媒と同等のレベルで、NOX還元処理を行うことができなくなる。
【0034】
別の実施形態において、PRB炭及び/又はバイオマス中のカリウム、ナトリウム、カリウム含有化合物、及び/又はナトリウム含有化合物は、段階的な燃焼及び他のユニット内で急速な不活化を引き起こすと推測される。本発明が以下の理論によって限定されることを意図するものではないが、種々のカリウム化合物及び/又はナトリウム化合物が石炭及び/又はバイオマス中に存在することが原因となって、気相カリウム及び/又は気相ナトリウムが燃焼処理によって放出され、前記不活化を引き起こしていると推測される。こうした状況においては、石炭及び/又はバイオマスを燃焼させ、続いて前述したカリウム化合物及び/又はナトリウム化合物を蒸発及び/又は解離させるために用いられる温度が原因となって、前記アルカリ金属イオン及び/又は原子の放出が起こる。
【0035】
前記気相カリウム及び/又は気相ナトリウムのイオン及び/又は原子は、触媒の活性部位に結合し、NOX還元のための部位を不活化させる。その結果、SCR触媒は、未使用及び/又はフレッシュな触媒と同等の性能レベルで、NOX還元処理を行うことができなくなる。
【0036】
一実施形態において、本発明は、燃焼環境中で気相カリウム種、気相ナトリウム種、及び/又は気相リン種が形成されることを防止すること、それによって、SCRの不活化割合を減少させ、軽減させ及び/又は解消させるためのシステム及び方法に関するものである。一実施形態において、カオリンを含有する少なくとも1種の化合物、鉄を含有する少なくとも1種の化合物、又はこれらの任意の適切な組合せを、PRB石炭に、燃焼前に添加することによって、本発明は前述した目的を達成している。
【0037】
一実施形態において、本発明のカオリンを含有する化合物(複数可)は、任意のカオリンを含有する化合物である(例えば、カオリンクレイ中に含まれる鉱物であって、Al2Si25(OH)4の化学組成を有するカオリナイト)。従って、本明細書中で使用される「カオリン」は、充分な量のカオリンを内部に含有する任意のクレイ(例えば、少なくとも25重量%のカオリンを含有する任意のクレイ)、又は充分な量の鉱物カオリナイト(Al2Si25(OH)4)を含有する任意のクレイ若しくは他の化合物(例えば、少なくとも25重量%のカオリナイトを含有する任意のクレイ又は化合物)を意味し、又は包含する。別の実施形態では、カオリンを含有する化合物中のカオリン量は、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、又は少なくとも約95重量%である。更に別の実施形態において、カオリン含有量が少なくとも約10重量%である限りは、カオリン含有量に関わらず、任意のカオリンを含有する化合物を本発明と関連付けて使用することができる。ここで、本明細書及び特許請求の範囲内の他の箇所に記載された範囲の数値以外にも、個々の数値範囲を組み合せて別の及び/又は開示していない範囲を(本発明の目的を達成できる数値範囲として)形成することができる。本発明が以下の理論によって限定されることを意図するものではないが、石炭及び/又はバイオマスには、種々のカリウム化合物、ナトリウム化合物、及び/又はリン化合物が含まれており、該石炭及び/又は該バイオマスが燃焼することによって「フリー」なカリウムイオン及び/又はナトリウムイオンが発生し、該「フリー」なカリウムイオン及び又はナトリウムイオンが、カオリン内のアルミノケイ酸塩部分と反応し、アルミノケイ酸カリウム化合物又はアルミノケイ酸ナトリウム化合物(例えばNaAlSi38及びKAlSi38)が生成されると考えられる。このことにより、さもなければ「フリー」状態でSCR触媒を被毒させるであろうカリウム及び/又はナトリウムのイオン及び/又は原子を隔離することが可能となる。
【0038】
燃焼ガス中に含まれる任意のリン化合物に関して言えば、上述したカオリンを含有する化合物と組み合せて、鉄を含有する1種以上の化合物を含めることによって、該リン化合物は隔離される。従って、一実施形態において、本発明によって、カリウム、ナトリウム、リン、及びこれらの任意の組合せから選択される複数の化学種を隔離することができる。
【0039】
一実施形態において、鉄を含有する本発明の化合物(複数可)は、ボイラー、炉、発電所等に共通する燃焼環境で還元を行うことが可能な鉄化合物(例えば酸化鉄化合物)である。特定の一実施形態において、鉄を含有する化合物は、赤酸化鉄として又はヘマタイトとしても知られている酸化鉄(III)(Fe23)である。酸化鉄(III)を使用する前記実施形態において、ボイラー又は炉の燃焼部において発生し、対象となる反応は以下の通りである:
3Fe23(固相)+CO(気相)→2Fe34(固相)+CO2(気相)(1)
Fe34(固相)+CO(気相)→3FeO(固相)+CO2(気相)(2)
【0040】
留意すべき点として、上述した第一の反応中の(黒酸化鉄又はマグネタイトとしても知られている)Fe34は、より正確に書くと、FeO・Fe23と記述することもできる。Fe23の還元により発生するFeO又は酸化鉄(II)は、酸化第一鉄としても知られているが、該FeOが利用可能となり、SCRに至る前に、ボイラー又は炉の燃焼ゾーン又は排煙部に存在する任意のPOガスと結合したり(tie−up、bind)、及び/又は該ガスを隔離したりする。その後、SCRに至る前に、前記POガスは、特定相のFe−P及び/又はFe−P−O化合物を形成する。微粒子は触媒を通過して、触媒の不活化を回避する。
【0041】
別の実施形態では、以下の反応により燃焼ゾーン中で所望の酸化鉄(II)に変換される炭酸鉄(II)を本発明では使用することができる。
FeCO3(固相)→FeO(固相)+CO2(気相)(3)
【0042】
更に別の実施形態において、本発明は1種以上の鉄ハロゲン化物を使用することができる。適切な鉄ハロゲン化物として、臭化鉄(II)、臭化鉄(III)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、ヨウ化鉄(II)、ヨウ素酸鉄(III)(Fe(IO33)、又はこれら2種以上の任意の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。更に別の実施形態において、任意の1種以上の鉄ハロゲン化物は、別のハロゲン非含有鉄含有化合物(例えば炭酸鉄(II))と組み合せて使用することもできる。更に別の実施形態において、排煙又は燃焼ガス中の水銀化合物又は水銀含有化合物を抑制することを同時に可能にしながら、臭化鉄(II)及び/又は臭化鉄(III)と炭酸鉄(II)とを本発明は組合せて利用し、排煙又は燃焼ガス中のリンの量を抑制する。本明細書中で述べる水銀化合物又は水銀含有化合物には、酸化された水銀や結合された元素としての水銀の何れかを含む任意の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。更に別の実施形態において、酸化された水銀を主に含む、又はそれのみを含む水銀化合物又は水銀含有化合物を抑制することを同時に可能とすることを目的としている。本明細書中で使用される、任意の鉄化合物、ハロゲン化物、その他については、水和形態又は非水和形態で用いることができる。従って、本明細書中での任意の鉄化合物に言及した場合には、その定義としては、具体的に化学式で記述されているか否かに関係なく、存在する任意の水和形態も含むものとする。
【0043】
当分野では公知であるが(例えば、Downsらによる米国特許出願公開番号2008/0107579を参照、該文献の全内容を本明細書に援用する)、ハロゲン化物含有化合物は、排煙又は燃焼ガス中に存在する元素としての水銀を酸化するために使用される。この酸化反応を介して、適当なハロゲン化物含有化合物中のハロゲン化部分によって、元素としての水銀を変換することが可能となる。即ち、1種以上の適切な環境コントロール技術(例えば、湿式スクラバー、スプレー乾燥吸収機(spray dry absorber、SDA)、排煙脱硫システム(FGD)、粉末活性化炭システム(powdered activated carbon system、PAC)、又は、繊維フィルター(FF)若しくは電気集塵機(ESP)等の微粒子回収システム)を用いて捕捉又は隔離を続いて行うが、該捕捉又は隔離目的のためにより好ましい形態に元素としての水銀を変換することが可能となる。また、一例として、公知ではあるが、1種以上の適切なハロゲン化物化合物を添加することにより、微粒子と結合した水銀量が増加する。適切なハロゲン化物含有化合物により排煙又は燃焼ガスからの水銀回収を向上させることを可能にする方法については、数多くの特許文献又は特許出願公開文献に詳述されているので、本明細書での記載を簡潔にする目的で詳細な議論は割愛する。
【0044】
更に別の実施形態では、上述したように、様々な気相のカリウム、ナトリウム、リン及び水銀の化合物、イオン、及び/又は原子を多面的に抑制できるように、少なくとも1種のハロゲン化鉄化合物と組み合せて、カオリンを含有する少なくとも1種の化合物を用いることを、本発明は包含する。
【0045】
上述した実施形態のいずれかにおいて、カオリンを含有する1種以上の適切な化合物、鉄を含有する1種以上の適切な化合物、1種以上の適切なハロゲン化鉄化合物、又はこれらの任意の混合物を、粉砕機中で石炭に添加することができる。更に別の実施形態では、本発明のカオリンを含有する1種以上の適切な化合物、本発明の鉄を含有する1種以上の適切な化合物、本発明の1種以上の適切なハロゲン化鉄化合物、又はこれらの任意の混合物を、1種以上の粉末化した化合物をボイラー及び/又は炉の燃焼ゾーンに送るために設計された適切な供給ラインを介して、該ボイラー及び/又は炉の燃焼ゾーンに添加することができる。この目的のために、図1では、こうした結果を達成するための適切な設計概念図に関する幾つかの実施形態を表している。
【0046】
図1を参照すると、典型的な化石燃料燃焼設備を概念的に表したものが示されており、SCRシステムと共に、本発明の方法を実践するためのシステムを包含する形で、全体が10として示されている。図に示すように、酸化剤、典型的には空気を用いて燃焼させることによる石炭等の化石燃料燃焼反応から熱を取り出すために、ボイラー(12)が設けられている。熱は水等の作動流体に伝導し、蒸気が発生し、該蒸気は、タービン発電装置(図示しない)を介した膨張による発電か、又は工業用の処理及び/若しくは加熱のいずれかに使用される。
【0047】
粗炭(14)は所望の微粉度に粉砕し、燃焼を促進させるために乾燥させなければならない。粗炭(14)は石炭庫(16)に一時的に貯蔵され、その後重量式又は容積式フィーダー(18)を用いた方法により、1以上の石炭粉砕機(20)に送られる。図1に示した実施形態においては、6つの石炭粉砕機が存在し、石炭粉砕機A〜Fで識別される。当業者にとって既知であるが、各石炭粉砕機(20)は所望の微粉度になるまで石炭を砕く(例えば200メッシュで70%程度)。また、粉砕する際には、一次空気ファン(図示しない)から熱い一次空気を各石炭粉砕機(20)に送る。そして、粉砕しながら所望のレベルまで予熱し、石炭から湿気を除去する。また、一次空気は、粉砕した石炭(PC)を、各石炭粉砕機(20)から、複数の粉砕石炭供給ライン(前記バーナーラインの1つは図中ではAで識別される;単一の石炭粉砕機(20)が、4〜8の粉砕石炭供給ラインを通して石炭を供給することもできる)に沿って、ボイラー(12)の前後壁にあるバーナー(22)に送るために使用される。典型的には、バーナー(22)は、ボイラー(12)の対向する前後壁の何れか若しくは両側の立面(elevation)空間、又は隅角燃焼ユニット(corner−fired or tangentially−fired units、図示しない)として知られる設備中のボイラーの角に位置する。本発明は、単壁燃焼ユニット、対向壁燃焼ユニット及び隅角燃焼ユニットと関連して用いることができるがこれらだけに限られない。典型的には、単一の石炭粉砕機(20)は、壁上のバーナー(22)の単一の立面部にのみ石炭を供給する。従って、図1に示した実施形態においては、6つの石炭粉砕機A〜Fは、対応するバーナー立面A〜Fに供給を行う。しかし、当業者にとって既知であるが、他の粉砕機又は他のバーナーの設計が知られており(例えば、単一の粉砕機がバーナーに対して複数の壁及び/又は立面に供給を行ったり、或いは複数の粉砕機がバーナーに対して単一の立面に供給を行ったりする等)、本発明はそのような任意の設計にも応用できる。
【0048】
燃焼工程は、ボイラー(12)の炉(26)の燃焼ゾーン(24)中で開始され、熱を放出し、熱排煙(28)を生成する。そして、該排煙(28)は、長方形(32)で概念的に示した伝熱面を通って、ボイラー(12)上部(30)に向かって送られる。その後排煙は、垂直対流経路(pendant convection pass、34)中の伝熱面を通って、水平対流経路(horizontal convection pass、38)上部(36)へ送られる。その後排煙(28)は、該排煙中のNOXが還元される選択触媒還元(SCR)装置(40)を通過し、その後42で概念的に示した一次及び二次空気ヒーター装置を通る。前記空気ヒーター(42)は、排煙(28)から更に熱を取り出し、排煙の温度を下げる。そして、燃焼に用いるための流入する空気を予熱する。
【0049】
図1及び空気ヒーター(42)の下流に示しているが、排煙(28)については更に微粒子及び硫黄酸化物を除去するための処理が行われる。これらの作業を完遂するために用いられる2つの典型的な下流装置の構成を図1の右側に示す。図中上側の装置構成では、微粒子回収装置(PCD)を備えており、概念的に44で表されており、排煙(28)から微粒子を除去することを目的としている。そして、実際には繊維フィルターや電気集塵機を備えることもできる。PCD(44)の下流には、湿式排煙脱硫(WFGD)装置が設けられており、該装置は湿式スクラバーとしても知られており、排煙(28)から硫黄酸化物を除去することを目的としている。浄化され、スクラブされた排煙は、(任意で)微細粒子又はSO3を除去する目的で湿式ESP(47)を経て、放出目的でスタック(48)に送られ、その後大気中に放出される。
【0050】
図中下側の装置構成では、スプレードライヤー装置(SDA)を備えており、概念的に50で表されており、乾式スクラバーとしても知られており、排煙(28)から硫黄酸化物を除去することを目的としている。SDA(50)の下流には、上述したように微粒子回収装置(PCD)(44)が設けられており、排煙(28)から微粒子を除去することを目的とする。その後、浄化され、スクラブされた排煙は放出目的でスタック(48)に送られ、さらに大気中に放出される。
【0051】
更にNOX排出を抑制するために、幾つかのボイラー(12)では段階的な燃焼を行っても良い。ここで、効率が100%である燃焼工程が無いと言う事実から必要とされる任意の過剰な空気は、オーバーファイアーエアー(OFA)ポート(52)を介して、バーナーゾーン(24)上部に供給される。それと共に、空気の化学量論的な量の一部のみが、メインのバーナーゾーン(24)に、燃焼のための空気のバランスを調整しながら供給される。もし、ボイラー(12)中で段階的な燃焼が行われれば、バーナーゾーン(24)に供給される空気の量が減少しているので、ホッパー部位(54)を含めた炉(26)の下部には還元性雰囲気が生じる。
【0052】
本発明の第一の実施形態に従って、粉砕した石炭を1以上のバーナー(22)に提供する前に、カオリンを含有する適切な1種の化合物、鉄を含有する適切な1種の化合物、適切な1種以上のハロゲン化鉄化合物、又はこれらの任意の混合物を1以上の石炭粉砕機(20)に添加する。前記所望の結果を達成するためのシステム及び装置を図1にも示し、該システム及び装置を全体として100で表す。該システム(100)は:カリウム、ナトリウム、リン及び/又は水銀を還元/隔離するための化合物(全体として110で表す)を一時的に貯蔵するための貯蔵手段(120);所望の場所に前記化合物(複数可、110)を送るための運送手段(130、135)(ここで該運送手段は必要に応じてバルブ、シール等を備える);及びコントロール手段(150)、有利なものとしてマイクロプロセッサーベースのコントロール手段(ここで前記コントロール手段は、ヒトオペレーターインターフェース(I/O)ステーション(160)を介したオペレーターを介してアクセスされ、必要に応じて表示手段、データ収集手段、及び保存手段を備える)。図1中、化合物(複数可)(110)が添加される粗炭(14)は、140で表される。化合物(複数可)(110)は、フィーダー(18)を介して、粗炭(14)と一緒に供給されるのが有利である。ここで、粗炭(14)と化合物(複数可)(110)の両方を石炭粉砕機(20)に送ることを精密にコントロール及び測定することを可能にする。或いは、化合物(複数可)(110)は、石炭粉砕機(20)に直接供給しても良く、及び/又は個々のバーナー(22)に粉砕した石炭を供給する1以上の個々のバーナーラインA−Fに直接供給しても良い。ここで、石炭粉砕機(20)やバーナー供給ラインA−F内の陽圧に対抗する適切なシーリング装置を用いる。運送手段については、特定の化合物(複数可)(110)及び排煙(28)に投入する量や場所による必要性に応じて、スラリーベースでもよく、空気式でもよい。コントロールライン又はシグナルライン(170、180、190及び195)を相互接続するように配置することによって、前述した各種装置が相互接続され、以下のシグナルが送られる:コントロールシグナル;(センサー(200)からの)化合物(複数可)(110)レベルシグナル;並びに(センサー(200)からの)排煙中(28)のカリウム、ナトリウム、リン及び/又は水銀レベルシグナル。そして、これらのシグナルにより、カリウム、ナトリウム、リン及び/又は水銀を還元/隔離する化合物(複数可)(110)を排煙(28)中に投入することが可能となる。そして、前記投入はヒトによる操作で又は自動的にコントロールされる。しかし、もし、排煙(28)中の気体のカリウム、ナトリウム、リン及び/又は水銀のレベルを測定するための適切なリアルタイムセンサー(200)が利用不可能である場合、代わりに排煙サンプルを、適切な試験方法によって、後でラボ分析するために、200の位置に送っても良い。試験方法として、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)を用いても良い。その後は、カリウム、ナトリウム、リン、及び/又は水銀を還元/隔離するための排煙(28)に投入される化合物(110)の量に関するコントロール手段(150)に対して、ラボでの結果に基づいて所望のセットポイントを手動で入力するために、ヒトオペレーターが、オペレーターインターフェース(160)を使用する。もし、その後のラボ分析で、排煙(28)中の気体のカリウム、ナトリウム、リン及び/又は水銀のレベルが充分な変化を示さないときには、カリウム、ナトリウム、リン及び/又は水銀を還元/隔離する化合物(複数可)(110)の投入について、リアルタイムで精密なコントロールは必要なくなる可能性もある。代わりに、カリウム、ナトリウム、リン及び/又は水銀を還元/隔離し、且つ排煙(28)に投入される化合物(複数可)(110)の量は、単純にボイラー負荷(boiler load)と石炭供給割合値の関数になる可能性もある。
【0053】
更に別の実施形態において、本発明では、カオリンを含有する少なくとも1種の化合物を、酸化鉄(II)と組み合せて用いる。該実施形態において、還元反応を起こすことの必要性がなくなり、従って、該実施形態での酸化鉄(II)を添加するポイントは、上述した実施形態よりも幅広くなる。この場合、ボイラー又は炉の排煙に存在する任意の「フリー」な気体のカリウム、ナトリウム、リン、及び/又は水銀の化合物、イオン、及び/又は原子を捕捉、還元、結合及び/又は隔離する目的で、カオリンを含有する前記化合物及び酸化鉄(II)を、SCRに至る前に、燃焼後〜SCR前の適切な任意のポイントで添加することができる。特にリン還元化合物は、図中に示したG〜Qの1以上の場所で供給することができる。また、より詳細には、カリウム、ナトリウム、リン、及び/又は水銀を還元/隔離する化合物(複数可)は、(例えば、ばらばらに、独立して、又は組み合せての何れかで)以下の1以上の場所で排煙(28)に投入することができる:
G:バーナー(22)とは別の手段を介して、前面壁、背面壁、若しくは側面壁の1以上からバーナーゾーン(24)内若しくはその下部へ投入;
H:前面壁、背面壁、若しくは側面壁の1以上からバーナーゾーン(24)上部の炉(26)へ投入;
I,J:前面壁又は背面壁の何れか若しくは両方のOFAポート(52)を介して若しくはその付近から炉(26)へ投入;
K:垂直対流経路(34)からボイラー(12)へ投入;
L:水平対流経路(38)の上部(36)からボイラー(12)へ投入;
M、N、O、P:水平対流経路(38)からボイラー(12)へ投入;及び/又は
Q:水平対流経路(38)のホッパー部位からボイラー(12)へ投入。
【0054】
上記のことから、本発明の還元された鉄又は酸化鉄(II)は、鉄リン酸化物化合物からオーバーファイアーエアーと接触するように接近する鉄リン合金の形態で気相リンを捕捉、還元、結合、及び/又は隔離することができる。一方でカオリンを含有する化合物は、任意の気相カリウム及び/又はナトリウム化合物を捕捉、還元、結合、及び/又は隔離することができる。このことにより、SCR触媒中で、気相のカリウム、ナトリウム、及び/又はリンが蓄積する量が著しく抑制される。本発明の別の利点としては、カオリン及び/又は鉄を添加することにより、存在している有効量の任意のカリウム、ナトリウム、及び/又はリンがアルミノケイ酸結合及び/又は鉄結合状態となる。
【0055】
本発明が以下の理論によって限定されることを意図するものではないが、燃焼工程及び/又はSCRユニット中で通常見られる条件では、アルカリアルミノケイ酸塩は、気相状態になる可能性がより低いと考えられている。このことにより、SCR触媒に送られるカリウム及びナトリウムの量を最小限にすることができ、従ってSCR触媒が被毒する量を最小限にすることができる。更には、鉄結合リン化合物は浸出しにくく(less leachable)、そのことにより、SCR触媒にリンが送られることを最小限にとどめる。また、鉄化合物(例えば酸化鉄)に結合した(associated with and/or bound to)リンは、カルシウム化合物(例えば酸化カルシウム)に結合したリンよりも安定である。こうしたことから、本発明はある実施形態においては、燃焼又は排煙中に存在する大半のカリウム、ナトリウム及び/又はリンを、適切なアルカリアルミノケイ酸化合物及び/又は鉄リン酸素含有化合物中に隔離し、それによって、SOXと反応することができる実質的に「フリー」な気体のカリウム/ナトリウム含有化合物及び/又はカルシウム/リン/酸素含有化合物の量を減らす状況に向いている。こうしたことにより、SCR触媒を被毒させる気体のカリウム/ナトリウム含有化合物の量を実質的に次々と減少させていく。更には、種々のSOX化合物と反応して、望ましくないSCR触媒被毒を起こす気体のリン化合物又はリン/酸素化合物が不本意ながら生じるという結果をもたらす、燃焼及び/又は排煙ガス中に存在するカルシウム/リン/酸素含有化合物の量を制限することによって、燃焼及び/又は排煙ガス中に生じる気体のリンの量を実質的に減らしている。
【0056】
更に別の実施形態において、本発明のカオリンを含有する1種以上の化合物及び/又は鉄を含有する1種以上の化合物は、任意の適切な方法で添加することができ、図に詳述された方法も挙げられる。適切なカオリンを含有する化合物については上述した通りである。適切な鉄を含有する化合物については、鉄ハロゲン化物(例えば、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、又はヨウ素酸鉄)、金属鉄、1種以上の酸化鉄、炭酸鉄、又はこれら2種以上の混合物など、鉄を含有する化合物の水性及び可溶性形態が挙げられるがこれらに限定されない。もし既存のスキッドを用いる場合、1種以上の水性薬剤を、容積移送式真空ポンプで、貯蔵タンクから1以上の石炭フィーダーへポンプで押し出すことができる。ここで、石炭が粉砕機の上流にあるフィーダーベルト上を通過した際に、前記薬剤は石炭に噴射される。
【0057】
ある実施形態において、既存のSCR(レトロフィット)及び新規SCRの両方に応用できるという点で、本発明は有利である。また、本発明はバイオマスを化石燃料として使用するプラントにも応用できる。ある実施形態において、必要な鉄化合物を燃焼工程に供給するように設計された低コストのハードウェアを利用するコストに優れた態様で、本発明を実施することができる。また、本発明はボイラーやSCRに関しての現在の設計に何ら影響をあたえることもない。
【0058】
ある実施形態において、本発明と関連して用いられる1種以上のカオリンを含有する化合物及び/若しくは鉄化合物、又は複数の化合物の量は、燃焼する石炭中のリンの量によって異なる。当業者にとっては既知であるが、石炭及び/又はバイオマスのカリウム、ナトリウム、及び/又はリンの量は既知の様々な方法で測定することができる。従って、こうした場合に本発明は、供給される/使用されるカオリンを含有する化合物及び/又は鉄を含有する化合物について任意の一の範囲又は量に限定されるものではない。代わりに化学量論比が用いられる。ある実施形態において、カオリンを含有する化合物に対するカリウム及び/又はナトリウムの化学量論比は、約1:3〜約3:1、又は約1:2〜約2:1、又は約1:1.5〜約1.5:1、又は約1:1.25〜約1.25:1、又は約1:1の範囲である。ある実施形態において、リンに対する鉄の化学量論比は、約1:3〜約3:1、又は約1:2〜約2:1、又は約1:1.5〜約1.5:1、又は約1:1.25〜約1.25:1、又は約 1:1の範囲である。ここで、本明細書及び特許請求の範囲内の他の箇所に記載された範囲の数値以外にも、個々の数値範囲を組み合せて別の及び/又は開示していない範囲を(本発明の目的を達成できる数値範囲として)形成することができる。
【0059】
別の実施形態において、本発明と関連して使用されるカオリンを含有する化合物若しくは複数の化合物、及び/又は鉄を含有する化合物若しくは複数の化合物の量は、使用される燃料がPRB炭/亜炭、バイオマス、又はこれらの任意の組合せであるときに、所与の範囲内となる。該実施形態において、PRB炭/亜炭、バイオマス、又はこれらの任意の組合せに対する、カオリンを含有する化合物若しくは複数の化合物、及び/又は鉄を含有する化合物若しくは複数の化合物の量は、石炭及び/又はバイオマス1000ポンドあたりの、カオリンを含有する化合物若しくは複数の化合物、及び/又は鉄を含有する化合物若しくは複数の化合物(以降では単に「カオリン」及び/又は「鉄」と呼ぶ)のポンド量で表される。ある実施形態において、使用されるカオリン及び/若しくは鉄化合物、又は複数の化合物の量は、1000ポンドの石炭及び/又はバイオマスあたり、約0.7〜約6ポンドである。別の実施形態において、使用されるカオリン及び/若しくは鉄化合物、又は複数の化合物の量は、1000ポンドの石炭及び/又はバイオマスあたり、約1〜約5.5ポンド、又は約1.5ポンド〜約5ポンド、又は約2ポンド〜約4.5ポンド、又は約2.5ポンド〜約4ポンド、又は約3ポンド〜約3.5ポンドである。ここで、本明細書及び特許請求の範囲内の他の箇所に記載された範囲の数値以外にも、個々の数値範囲を組み合せて別の及び/又は開示していない範囲を(本発明の目的を達成できる数値範囲として)形成することができる。
【0060】
別の実施形態では、100MWeの石炭及び/又はバイオマス発電での排煙又は燃焼ガス中での様々な化合物を抑制するために使用される本発明の鉄部分は、臭化鉄(II)及び炭酸鉄(II)の両方であるが、前記炭酸鉄(II)の注入速度は上述した通りである。一方で臭化鉄(II)については、溶液として供給され、その量は約0.25ガロン/h〜約10ガロン/h、又は約0.5ガロン/h〜約5ガロン/h、又は約1ガロン/h〜約4ガロン/hの範囲にわたる。別の実施形態では、単にハロゲン化鉄を使用しており(例えば、臭化鉄(II)及び/又は臭化鉄(III))、排煙又は燃焼ガスに供給されるハロゲン化鉄の量は、約10ppm〜約200ppm、又は約25ppm〜約175ppm、又は約50ppm〜約150ppmの範囲の濃度の臭化物を産生するのに充分な量である。留意すべき点として、排煙又は燃焼ガスが生じる装置上の所定の位置での排出コントロール技術によるが、下流の排出技術等にあらゆる種類の悪影響を及ぼすことを防止する目的から、低濃度の臭化物を用いることが望ましい可能性もある。ある例の実施形態において、臭化物濃度は、約10ppm〜約125ppm、又は約25ppm〜約100ppm、又は約50ppm〜約75ppmの範囲である。ここで、本明細書及び特許請求の範囲内の他の箇所に記載された範囲の数値以外にも、個々の数値範囲を組み合せて別の及び/又は開示していない範囲を(本発明の目的を達成できる数値範囲として)形成することができる。
【0061】
上記観点から、本発明の方法に従って、排煙又は燃焼ガスに所望量のカオリン、鉄及び/又はハロゲンを供給するために必要となるカオリン化合物及び/又は鉄化合物の量は、前記排煙又は燃焼ガスを発生させる装置の規模によって変わる事を、当業者であれば理解するであろう。従って、本発明は特定の供給速度又は供給範囲に限定されるものではない。
【0062】
別の実施形態において、100MWeの石炭及び/又はバイオマス発電に関して、排煙又は燃焼ガスに供給される臭化鉄(II)溶液(25重量%溶液)の量は、約0.25ガロン/h〜約6ガロン/h、又は約0.5ガロン/h〜約5ガロン/h、又は約1ガロン/h〜約4ガロン/hの範囲である。ここで、本明細書及び特許請求の範囲内の他の箇所に記載された範囲の数値以外にも、個々の数値範囲を組み合せて別の及び/又は開示していない範囲を(本発明の目的を達成できる数値範囲として)形成することができる。しかし、上述したように本発明はこれらの供給速度のみに限定されるものではない。むしろ、臭化物及び/又は鉄について所望の濃度を達成するために、任意の供給速度を用いることができる。当業者にとって明白なことではあるが、本発明の様々な実施形態と関連して供給される鉄を含有する化合物量が、他の追加要素によって変動し得る。該追加要素として:石炭又は他の燃焼可能な燃料中に存在するリンの量及び/又は種類;ボイラー、ヒーター、炉、又は他排煙若しくは燃焼ガス発生装置のサイズ及び/又は出力(output);達成されるべき所望の化学量論比;燃焼の種類及び/又は方法;任意の応用可能な装置又は構造の種類及び/又は配置等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
別の実施形態において、本発明に関連して用いられる1種以上のカオリン化合物及び/又は1種以上の鉄化合物は、任意の粒子径及び/又は任意の粒子幾何学形態であってよい。適切な粒子幾何学形態として、球状、血小板状、不規則形状、楕円形状、長方形状、又は異なる粒子幾何学形態2以上の組合せが挙げられるがこれらに限定されない。ある実施形態において、本発明の1種以上のカオリン化合物及び/又は1種以上の鉄化合物は、水可溶性及び/又は懸濁可能でれば、溶液形態及び/又は懸濁液形態で供給することができる。前記の場合において、1種以上の可溶性及び/又は懸濁性であるカオリン化合物及び/又は鉄化合物について、少なくとも約15重量%の溶液及び/又は懸濁液濃度が用いられる。別の実施形態において、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約45重量%、又は少なくとも約50重量%の溶液及び又は懸濁液である、1種以上の可溶性及び/又は懸濁性のカオリン化合物及び/又は鉄化合物が、本発明に関連して使用される。ここで、本明細書及び特許請求の範囲内の他の箇所に記載された範囲の数値以外にも、個々の数値範囲を組み合せて別の及び/又は開示していない範囲を(本発明の目的を達成できる数値範囲として)形成することができる。当業者であれば理解できるであろうが、ある実施形態においては、任意の1種以上の水可溶性及び/又は懸濁性のカオリン化合物及び/又は鉄化合物の溶液濃度及び/又は懸濁液濃度は、1種以上の鉄化合物に関する溶解度量を超えるべきではない。
【0064】
更に別の実施形態では、本発明の1種以上のカオリン化合物及び/又は鉄化合物を、粉末形態、溶液形態、水性懸濁液形態、又は任意のこれらの組み合わせで供給することができる。水性懸濁液の場合には、本発明に関連して使用される1種以上のカオリン化合物及び/又は鉄化合物は適切な粒子径を持つべきである。更に言えば、本発明の1種以上のカオリン化合物及び/又は鉄化合物を水性溶液に入れることが望まれない場合であっても、1種以上のカオリン化合物及び/又は鉄化合物は、排煙ガス又は燃焼ガスに接触した際に充分な度合いで反応を促進する適切な粒子径を持つべきである。ある実施形態において、1種以上のカオリン化合物及び/又は鉄化合物については、個々に又は組み合わせのどちらでも良いが、これらの条件を両方とも満たすことができ、ここで、少なくとも約95%の粒子が粒子径約400μm(ミクロン)未満、約350μm(ミクロン)未満、約300μm(ミクロン)未満、約250μm(ミクロン)未満、約200μm(ミクロン)未満、又は約175μm(ミクロン)未満である。ここで、本明細書及び特許請求の範囲内の他の箇所に記載された範囲の数値以外にも、個々の数値範囲を組み合せて別の及び/又は開示していない範囲を(本発明の目的を達成できる数値範囲として)形成することができる。
【0065】
次の物に限られないが、本発明に関連して使用するための適切な鉄化合物としては、Prince Agri Products(New Jersey州Ridgefield ParkにあるPhibro Animal Health Corporationの子会社)から入手可能な炭酸鉄(II)がある。該炭酸鉄(II)は粉末化合物であり、少なくとも約95%の粒子が粒径200μm(ミクロン)未満である。更に該製品の炭酸鉄(II)濃度は約80重量%であり、残部20重量%は実質的に本発明での使用の観点から見て非反応性である。
【0066】
本発明に関連して水性懸濁液を用いる場合、前記水性懸濁液は、沈降防止剤、沈殿防止剤、増粘安定剤(thickening agent)、又は乳化剤のうち1種以上を更に適量含むことができる。適切な沈降防止剤、沈殿防止剤、増粘安定剤、又は乳化剤として、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボマー、アクリレート、無機増粘安定剤等が挙げられるがこれらに限定されない。この他にも適切な沈降防止剤、沈殿防止剤、増粘安定剤、又は乳化剤が当業者に知られているが、簡潔にするため本明細書ではこの点について議論を割愛する。別の実施形態では、撹拌することによって適切に懸濁化又は乳化することができ、必ずしも前述した1種以上の沈降防止剤、沈殿防止剤、増粘安定剤、又は乳化剤を必要とするわけではない。別の実施形態では、1種以上の沈降防止剤、沈殿防止剤、増粘安定剤、又は乳化剤の組み合わせを、撹拌と併用することができる。
【0067】
更に別の実施形態では、本発明の1種以上のカオリン化合物及び/又は鉄化合物の純度は、少なくとも約50重量%、少なくとも約55重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、若しくは少なくとも約99重量%又はそれ以上である。ここで、本明細書及び特許請求の範囲内の他の箇所に記載された範囲の数値以外にも、個々の数値範囲を組み合せて別の及び/又は開示していない範囲を(本発明の目的を達成できる数値範囲として)形成することができる。
【0068】
1種以上のカオリン化合物及び/又は鉄化合物のうち、カオリン化合物でもなく鉄化合物でもない部分に関して言うと、本発明に関連して存在する環境下では該不純物は非反応性であるべきである。或いは、もし反応性であったとしても、該不純物は、捕捉、除去及び隔離のいずれかが容易に行える物であるべきである。或いは、任意の触媒下流に更なる汚染物として有意に加えられるものにならないようにするべきである。更なる別の実施形態では、本発明に関連して用いられる任意の1種以上のカオリン化合物及び/又は鉄化合物中において、カリウム、ナトリウム、及び/又はリンを含有する化合物の不純物量は、約5重量%未満、約2.5重量%未満、約1重量%未満、約0.5重量%未満、約0.25重量%未満、約0.1重量%未満、又は約0.01重量%未満であるべきである。ここで、本明細書及び特許請求の範囲内の他の箇所に記載された範囲の数値以外にも、個々の数値範囲を組み合せて別の及び/又は開示していない範囲を(本発明の目的を達成できる数値範囲として)形成することができる。更に別の実施形態において、本発明に関連して用いられる任意の1種以上のカオリン化合物及び/又は鉄化合物中において、カリウム、ナトリウム、及び/又はリンを含有する化合物の不純物量はゼロであるべきである。即ち、該実施形態においては、本発明に関連して用いられる任意の1種以上のカオリン化合物及び/又は鉄化合物は、いかなるカリウム、ナトリウム、及び/又はリンを含有する化合物も含むできではない。
【0069】
本発明が以下の理論によって限定されることを意図するものではないが、SCR触媒の増強された活性、機能、寿命に対して悪影響を及ぼす種々のカリウム、ナトリウム及び/若しくはリンの化合物、又はカリウム、ナトリウム、及び/若しくはリンを含有する化合物を隔離するために、これらの化合物間での好ましい種々の反応を本発明では利用していると考えられている。従って、他の更なる反応が燃焼及び/又は排煙ガス中で起こり得るという点で、本明細書中で議論する反応は、本発明を限定するものとして解釈すべきではない。
【0070】
本発明の応用及び原理を示すために、詳細に本発明に係る特定の実施形態について図示及び記述をしてきたが、本発明は該実施形態に制限することを意図するものではなく、また本発明は前記原理を逸脱することなく別の形態で実施することが可能であることが理解されよう。本発明に係る幾つかの実施形態において、本発明の特定の特徴は、時として、対応する他の特徴を使用せずともその利益を享受するために利用可能なものである。従って、そのような適切な改変及び実施形態全てが、以下の特許請求の範囲内に属する。
【符号の説明】
【0071】
10 化石燃料燃焼設備
12 ボイラー(BLR)
14 粗炭
16 石炭庫(COAL BUNKER)
18 フィーダー(FEEDER)
20 石炭粉砕機(COAL PULV.)
22 バーナー
24 燃焼ゾーン
26 炉
28 排煙
30 ボイラー上部
32 伝熱面
34 垂直対流経路
36 水平対流経路上部
38 水平対流経路
40 選択触媒還元(SCR)装置
42 空気ヒーター装置(AH)
44 微粒子回収装置
46 湿式排煙脱硫(WFGD)装置
47 湿式電気集塵機(WESP)
48 スタック(STACK)
50 スプレードライヤー装置(SDA)
52 オーバーファイアーエアー(OFA)ポート
54 ホッパー部位
100 本発明の一実施形態に係るシステム
110 カリウム、ナトリウム、リン及び/又は水銀を還元/隔離するための化合物
120 貯蔵手段
130 運送手段
135 運送手段
140 粗炭
150 コントロール手段(MP CONTROL)
160 オペレーターインターフェース(O/I)
170 コントロールライン又はシグナルライン
180 コントロールライン又はシグナルライン
190 コントロールライン又はシグナルライン
195 コントロールライン又はシグナルライン
200 センサー
A〜F バーナー供給ライン
G〜Q 化合物投入ポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SCR触媒活性の寿命を延ばすための方法であって、以下のステップを含む方法:
(a)排煙に対してSCRを行う前に、炉又はボイラーの燃焼ゾーン又は排煙部に、カオリンを含有する少なくとも1種の化合物を、投与するステップ;及び
(b)排煙に対してSCRを行う前に、カオリンを含有する少なくとも1種の前記化合物を、前記燃焼ゾーン又は前記排煙部に存在する気体カリウム化合物及び/若しくは気体ナトリウム化合物又は気体カリウム含有化合物及び/若しくは気体ナトリウム含有化合物と反応可能にさせるステップ。
【請求項2】
カオリンを含有する前記化合物が、カオリンを含有する1種以上のクレイ、カオリナイトを含有する1種以上のクレイ、1種以上のカオリナイト、又はこれら2以上の混合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
カオリンを含有する前記化合物がカオリナイトから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
カオリンを含有する少なくとも1種の前記化合物を前記燃焼ゾーンに投与することが、粉砕した石炭、バイオマス、又はこれらの混合物に添加することによる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
カオリンを含有する少なくとも1種の前記化合物を前記燃焼ゾーンに投与することが、専用の供給ラインを通して行われる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
更に以下のステップを含む請求項1に記載の方法:
(c)排煙に対してSCRを行う前に、炉又はボイラーの燃焼ゾーン又は排煙部に、鉄を含有する少なくとも1種の化合物を投与するステップ;及び
(d)排煙に対してSCRを行う前に、鉄を含有する少なくとも1種の前記化合物を、燃焼ゾーン又は排煙部に存在する気体リン化合物又は気体リン含有化合物と反応可能にさせるステップ。
【請求項7】
SCR触媒活性の寿命を延ばすための方法であって:
(i)炉又はボイラーの燃焼ゾーンに、カオリンを含有する少なくとも1種の化合物を投与するステップ;並びに
(ii)排煙に対してSCRを行う前に、カオリンを含有する少なくとも1種の前記化合物を、前記燃焼ゾーンに存在する気体カリウム化合物及び/若しくは気体ナトリウム化合物又は気体カリウム含有化合物及び/若しくは気体ナトリウム含有化合物と反応可能にさせるステップを含み、カオリンを含有する前記化合物が、カオリンを含有する1種以上のクレイ、1種以上のカオリナイトを含有する1種以上のクレイ、カオリナイト、又はこれら2以上の混合物から選択される、該方法。
【請求項8】
カオリンを含有する少なくとも1種の前記化合物を前記燃焼ゾーンに投与することが、粉砕した石炭、バイオマス、又はこれらの混合物に添加することによる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
カオリンを含有する少なくとも1種の前記化合物を前記燃焼ゾーンに投与することが、専用の供給ラインを通して、水性懸濁液又は粉末形状のいずれかで行われることによる請求項7に記載の方法。
【請求項10】
更に以下のステップを含む、請求項7に記載の方法:
(iii)炉又はボイラーの燃焼ゾーンに、鉄を含有する少なくとも1種の化合物を投与するステップ;及び
(iv)排煙に対してSCRを行う前に、鉄を含有する少なくとも1種の前記化合物を、燃焼ゾーンに存在する気体リン化合物又は気体リン含有化合物と反応可能にさせるステップ。
【請求項11】
1種以上のカリウム化合物及び/若しくはナトリウム化合物又はカリウム含有化合物及び/若しくはナトリウム含有化合物を、1種以上の反応性が低いアルミノケイ酸ナトリウム含有化合物及び/又はアルミノケイ酸カリウム含有化合物の形態で隔離するための方法であって、以下のステップを含む方法:
(A)炉又はボイラーの燃焼ゾーン又は排煙部に、カオリンを含有する少なくとも1種の化合物を投与するステップ;並びに
(B)カオリンを含有する少なくとも1種の前記化合物を、前記燃焼ゾーン又は前記排煙部に存在するカリウム化合物及び/若しくはナトリウム化合物又はカリウム含有化合物及び/若しくはナトリウム含有化合物と反応させて、1種以上の反応性が低いアルミノケイ酸ナトリウム化合物及び/又はアルミノケイ酸カリウム化合物を形成することを可能にさせるステップ。
【請求項12】
カオリンを含有する前記化合物が、カオリンを含有する1種以上のクレイ、カオリナイトを含有する1種以上のクレイ、1種以上のカオリナイト、又はこれら2以上の混合物から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
カオリンを含有する前記化合物がカオリナイトから選択される請求項11に記載の方法。
【請求項14】
更に以下のステップを含む、請求項11に記載の方法:
(C)炉若しくはボイラーの燃焼ゾーン又は炉若しくはボイラーの排煙部に、鉄を含有する少なくとも1種の化合物を、投与するステップ;及び
(D)鉄を含有する少なくとも1種の前記化合物を、前記燃焼ゾーン又は前記排煙部に存在する気体リン化合物又は気体リン含有化合物と反応させ、1種以上の反応性が低い鉄リン含有化合物を形成することを可能にさせるステップ。
【請求項15】
鉄を含有する少なくとも1種の前記化合物が、鉄ハロゲン化物、ヨウ素酸鉄、金属鉄、酸化鉄、炭酸鉄、又はこれら2以上の混合物から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
鉄を含有する少なくとも1種の前記化合物が、酸化鉄(III)、炭酸鉄(II)、酸化鉄(II)、又はこれら2以上の混合物から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
鉄を含有する前記化合物が、酸化鉄(III)、炭酸鉄(II)、臭化鉄(II)、臭化鉄(III)、又はこれら2以上の混合物から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
カオリンを含有する少なくとも1種の前記化合物を前記燃焼ゾーンに投与することが、粉砕した石炭、バイオマス、又はこれらの混合物に添加することによる請求項11に記載の方法。
【請求項19】
カオリンを含有する少なくとも1種の前記化合物を前記燃焼ゾーンに投与することが、粗炭、バイオマス、又はこれらの組合せに添加し、その後粉砕する又は微小化することによる請求項11に記載の方法。
【請求項20】
カオリンを含有する少なくとも1種の前記化合物を前記燃焼ゾーンに投与することが、専用の供給ラインを通して行われる請求項11に記載の方法。
【請求項21】
ガス中の水銀を同時に抑制しながら、SCR触媒活性の寿命を延ばすための方法であって、以下のステップを含む方法:
(I)排煙に対してSCRを行う前に、炉又はボイラーの燃焼ゾーン又は排煙部に、カオリンを含有する少なくとも1種の化合物を投与するステップ;
(II)排煙に対してSCRを行う前に、炉又はボイラーの燃焼ゾーン又は排煙部に、少なくとも1種の鉄含有ハロゲン化化合物を投与するステップ;
(III)排煙に対してSCRを行う前に、カオリンを含有する少なくとも1種の前記化合物のカオリン部分を、前記燃焼ゾーン又は前記排煙部に存在する気体カリウム化合物及び/若しくは気体ナトリウム化合物又は気体カリウム含有化合物及び/若しくは気体ナトリウム含有化合物と反応可能にさせるステップ;
(IV)排煙に対してSCRを行う前に、少なくとも1種の前記鉄含有ハロゲン化化合物の鉄部分を、前記燃焼ゾーン又は前記排煙部に存在する気体リン化合物、又は気体リン含有化合物と反応可能にさせるステップ;並びに
(V)少なくとも1種の前記鉄含有ハロゲン化化合物のハロゲン部分を、前記燃焼ゾーン又は排煙部に存在する気体水銀化合物又は気体水銀含有化合物と反応可能にさせるステップ。
【請求項22】
カオリンを含有する前記化合物が、カオリンを含有する1種以上のクレイ、カオリナイトを含有する1種以上のクレイ、1種以上のカオリナイト、又はこれら2以上の混合物から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
カオリンを含有する前記化合物がカオリナイトから選択される請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記鉄含有ハロゲン化化合物が、臭化鉄(II)、臭化鉄(III)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、ヨウ化鉄(II)、ヨウ素酸鉄(III)又はこれら2以上の混合物から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記鉄含有ハロゲン化化合物が、臭化鉄(II)である請求項21に記載の方法。
【請求項26】
1種以上のハロゲン非含有・鉄含有化合物を、少なくとも1種の前記鉄含有ハロゲン化化合物と組み合せて供給するステップを更に含み、1種以上の前記ハロゲン非含有・鉄含有化合物は、酸化鉄(III)、炭酸鉄(II)、酸化鉄(II)又はこれら2以上の混合物から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1種の前記鉄含有ハロゲン化化合物と組み合わせて、炭酸鉄(II)を供給するステップを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
臭化鉄(II)又は臭化鉄(III)の1以上と組み合せて、炭酸鉄(II)を供給するステップを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
1種以上のカリウム化合物及び/若しくはナトリウム化合物又はカリウム含有化合物及び/若しくはナトリウム含有化合物を、1種以上の反応性が低いアルミノケイ酸ナトリウム含有化合物及び/又はアルミノケイ酸カリウム含有化合物の形態で隔離し、並びに水銀を同時に隔離しながら、1種以上のリン化合物又はリン含有化合物を、1種以上の反応性が低い鉄リン含有化合物の形態で隔離するための方法であって、以下のステップを含む方法:
(1)炉又はボイラーの燃焼ゾーン又は排煙部に、カオリンを含有する少なくとも1種の化合物を投与するステップ;
(2)炉又はボイラーの燃焼ゾーン又は排煙部に、少なくとも1種の鉄含有ハロゲン化化合物を投与するステップ;
(3)カオリンを含有する少なくとも1種の前記化合物のカオリン部分を、前記燃焼ゾーン又は排煙部に存在する気体カリウム化合物及び/若しくは気体ナトリウム化合物又は気体カリウム含有化合物及び/若しくは気体ナトリウム含有化合物と反応させて、1種以上の反応性が低いアルミノケイ酸ナトリウム含有化合物及び/又はアルミノケイ酸カリウム含有化合物を形成することを可能にさせるステップ;
(4)少なくとも1種の前記鉄含有ハロゲン化化合物の鉄部分を、前記燃焼ゾーン又は排煙部に存在する気体リン化合物、又は気体リン含有化合物と反応させて、1種以上の反応性が低い鉄リン含有化合物を形成することを可能にさせるステップ;並びに
(5)少なくとも1種の前記鉄含有ハロゲン化化合物のハロゲン部分を、前記燃焼ゾーン又は排煙部に存在する気体水銀化合物又は気体水銀含有化合物と反応可能にさせるステップ。
【請求項30】
カオリンを含有する前記化合物が、カオリンを含有する1種以上のクレイ、カオリナイトを含有する1種以上のクレイ、1種以上のカオリナイト、又はこれら2以上の混合物から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
カオリンを含有する前記化合物がカオリナイトから選択される請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記鉄含有ハロゲン化化合物が、臭化鉄(II)、臭化鉄(III)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、ヨウ化鉄(II)、ヨウ素酸鉄(III)又はこれら2以上の混合物から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記鉄含有ハロゲン化化合物が、臭化鉄(II)又は臭化鉄(III)の1以上から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
1種以上のハロゲン非含有・鉄含有化合物を、少なくとも1種の前記鉄含有ハロゲン化化合物と組み合せて、供給するステップを更に含み、1種以上の前記ハロゲン非含有・鉄含有化合物は、酸化鉄(III)、炭酸鉄(II)、酸化鉄(II)又はこれら2以上の混合物から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも1種の前記鉄含有ハロゲン化化合物と組み合せて、炭酸鉄(II)を供給するステップを更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
臭化鉄(II)又は臭化鉄(III)の1以上と組み合せて、炭酸鉄(II)を供給するステップを更に含む、請求項29に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−86214(P2012−86214A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231851(P2011−231851)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(509106500)バブコック・アンド・ウィルコックス・パワー・ジェネレイション・グループ・インコーポレイテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】BABCOCK & WILCOX POWER GENERATION GROUP,INC.
【住所又は居所原語表記】20 South Van Buren Avenue,Barberton,OH 44203,U.S.A.
【Fターム(参考)】