説明

T形管継手

【目的】本発明は、接合部の外観を向上させ、接合部が目立たないように竪管を分岐接続させることができる、T形の管継手を提供する。更に、製造コストの高騰を招くことなく、且つ優れた外観を有する屈曲した形状の管継手を提供することを目的としたものである。
【構成】この目的を達成するため、第1差込口、第2差込口及び第3差込部を有するT字形状の本体に、帯付補助継手と傾斜付管が内嵌・外嵌挿着されたT形管継手で、帯付補助継手は環状帯を有し、傾斜付管は傾斜面が形成されており、前記第2差込口と帯付補助継手及び第3差込部と傾斜付管は、接着材により接合され、各部材の端部及び傾斜面にて嵌着接合し、前記第1差込口に縮管部に接着材が塗布された竪管が嵌挿接合され、嵌挿挿着された帯付補助継手の竪管差込部には、接着材が塗布された縮管部が形成され、竪管の端部が嵌挿接合され、嵌挿挿着された傾斜付管には、差込口に縮管部に接着材が塗布された枝管が嵌挿接合される接合構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竪管の接続に使用するT形管継手の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のT形管継手においては、竪管の上管側、枝管側に竪管を受け入れて接続するために管径の内外径を拡管・縮管する拡管部或いは縮管部を形成した。即ち、一般に下管側或いは枝管側は竪管或いは枝管を差し込んで接続するために管径の外径が縮管する縮管部を有し、各管接続部が枝管状に分岐するものが使用されている。
更に又、従来技術を含め一般的に上管及び下管側と枝管側を接続する配管方法として通常溶接工法が用いられている。(例えば、実公平5−19451号公報参照)。
【特許文献1】実公平5−19451号(第5頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来のT形管継手では、各接続受け口に竪管等の端部を嵌合させると受け口の端面が表面に露出してしまう。つまり、T形管継手と竪管等の接合境目に段差が形成され、竪管等の接合部が外観的に目立ち、建物の美観を損なう点とその段差にゴミが付着し易くなる問題があった。
【0004】
又、継手と竪管や枝管の配管接合に通常は溶接技術を伴うが、溶接部分の露出により美感を損ね、更に、溶接技術の優劣により施工品質にバラツキが生じ、悪いと水漏れや破損等問題点を顕著に露見してしまう事ともなった。更に又、溶接工法が配管コストの高騰を招き経済性にも課題が認められた。
【0005】
そこで、従来のT形管継手と比較して、本発明の第1の目的は、接合部の外観を向上させ、竪管及び枝管を容易にかつ迅速に分岐接合させることができるT形の管継手を提供する。
又、管継手と竪管等の配管接合に当たり取扱者の溶接等の技術的優劣を解消し、簡便にかつ迅速に接合ができ、特段熟練した高度の技術を要する溶接工程も必要としない施工性及び経済性に優れたT形管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための手段として、本発明のT形管継手は、本体に凸状の枝管差込部を形成し帯付補助継手と傾斜付管から構成されている。
【0007】
本体上部の第1差込口には竪管の縮管部が差込可能であり、その下部の第2差込口には、帯付補助継手が内嵌挿着されて竪管差込部に竪管が差込可能となる。
更に、本体の凸状の枝管差込部には、傾斜付管が外側から被さり外嵌挿着されて枝管差込口を形成し枝管の縮管部が差込可能となる。
【0008】
本発明のT形管継手は、本体に凸状の枝管差込部を作成すべく管の中程にバーリング加工により枝管差込部である凸状部を形成したことを一つの特徴とするが、バーリング加工に限定することはなく同様の形状を形成する技術は材質により認められる。
又傾斜付管や帯付補助継手及び竪管・枝管は接着材で固着させる構成としているものである。
【0009】
第1差込口と傾斜付管の枝管差込口には、竪管及び枝管の縮管部がストレートに差込可能であり、第2差込口には、帯付補助継手の竪管差込部に竪管がストレートに差込可能となる。
【0010】
前記第1差込口と傾斜付管の外径は、嵌挿する竪管と同一に形成され、本体の帯付補助継手の継手差込部や、竪管差込部と凸状の枝管差込部及び竪管や、枝管の縮管部の周面及び周縁には接着材が塗布され、帯付補助継手、傾斜付管、竪管、枝管を接触させ押し込んで接合固着し配管組立てすることができる。
【0011】
T形管継手と竪管との接合に当たり段差部に生ずる隙間は、竪管の縮管部の周面及び周縁と帯付補助継手の竪管差込部の周面及び周縁にそれぞれ接着材を塗布して密封することで解消する。
【発明の効果】
【0012】
上記T形管継手は、容易にかつ簡便にしかも迅速に本体の第2差込口に帯付補助継手の継手差込部が内嵌挿着され、凸状の枝管差込部には傾斜付管の傾斜面に被せられ外嵌挿着でき、挿着部は接着材の塗布で接着固定するので、特に、熟練した高度の溶接技術を要することなく作業効率を高め、部品点数も少なく、竪管及び枝管の配管接合が容易でかつ迅速に配管作業が可能となった。
よって、管継手であるT形管継手により竪管と枝管との配管が、外観上綺麗にしかも安価に提供できるものである。
【0013】
本発明のT形管継手を使用して竪管を相互に接合させる場合には、まず、帯付補助継手の継手差込部の周面及び周縁に接着材を塗布し、本体の第2差込口に環状帯まで嵌着挿着し、それから凸状の枝管差込部に接着材を塗布し、傾斜付管を嵌着挿着して成る。
【0014】
次に、本体の第1差込口に周面及び周縁に接着材511が塗布された竪管の縮管部を差し込ませ、又嵌着済みの帯付補助継手の竪管差込部34の周面及び周縁に接着材312を塗布し環状帯まで竪管の端部を差し込ませ、更に、傾斜付管を本体の凸状の枝管差込部の周面及び周縁に接着材131を塗布し嵌着させ、枝管差込口を形成し枝管の先端縮管部に接着材を塗布して差し込ませれば、竪管及び枝管とのT形管継手の配管接合が容易に完成できる。
【0015】
このようにして、本体の第2差込口に差し込ませた帯付補助継手と凸状の枝管差込部に差し込んだ傾斜付管とを接続することができ、竪管及び枝管を容易にかつ迅速に分岐させることができる。
そして、本体の第1差込口側の竪管の段差部と傾斜付管の差込口の枝管の段差部を突き合せ、帯付補助継手の竪管差込部は環状帯まで竪管の端面を突き合せ嵌挿させることにより、T形管継手と各竪管の接合境目から段差をなくすことができる。
【実施例】
【0016】
本発明の実施例を図1、図2、図3、図4に基づいて詳述する。図1はT形管継手Yの分解状態を示す斜視図、図2はT形管継手Yの組立状態を示す透視図で、図3はT形管継手Yを使用して竪管Tを接続する前の状態を示す斜視図で、図4はT形管継手Yを使用して竪管T1、T2及び枝管T3を接続した状態を示す斜視図である。
図中の1は本体、2は傾斜付管、3は帯付補助継手である。
【0017】
前記T字形状の本体1は、竪管T1の端部である縮管部51が、差込可能な第1差込口11と帯付補助継手の継手差込部を第2差込口に挿入内嵌し、環状帯32まで嵌着挿着した帯付補助継手3の竪管差込部34と竪管T2の端部53が差込可能で、更に、凸状の枝管差込部に傾斜付管2が外に被さり外嵌挿着し、枝管T3の端部である縮管部61に接着材611が塗布されて枝管差込口22に差込可能な円筒形のT字形状に構成されている。
尚、前記第1差込口11と帯付補助継手3の環状帯32及び傾斜付管2の外径14、33、23は、竪管T1、T2及び枝管T3の外径と同一の径に形成されている。
【0018】
前記帯付補助継手3は、本体1の第2差込口12に内嵌挿着可能な継手差込部31と竪管T2の端部53が差込可能な竪管差込部34を有し、嵌着時の境には、環状帯32を有し、環状帯32の外径33は竪管T2と同一の外径で形成されている。
【0019】
傾斜付管2は、枝管差込口22に枝管T3の縮管部61が差し込まれるため本体1の凸状の枝管差込部13より長く、本体1の凸状の枝管差込部13にフィットするように外嵌挿着し、その際のズレの防止のため傾斜面24と傾斜面25が形成されている。
【0020】
T字形状の本体1と帯付補助継手3と傾斜付管2の接続は、まず、第2差込口12に帯付補助継手3の継手差込部31の周面及び周縁に接着材311を塗布し、環状帯32まで内嵌挿着し、それから凸状の枝管差込部13に接着材131を塗布し、傾斜付管2の傾斜面24、25を本体1の外径14に沿って外嵌挿着する。
【0021】
帯付補助継手3は、押出成形により製造でき、傾斜付管2は、一方の端面を傾斜面24、25からなる山形端面に加工するだけで同じく押出成形により製造できる。
【0022】
次に、実施例の作用を説明する。
本実施例のT形管継手Yを使用して竪管T1,T2を接続すると共に、枝管T3を分岐接合させる場合には、まず、T字形状の本体1の第2差込口12に帯付補助継手3の継手差込部31を内嵌挿着する。次に、凸状の枝管差込部13に傾斜付管2を被せて外嵌挿着する。
【0023】
次に、T字形状の本体1の第1差込口11に竪管T1の縮管部51を差し込ませ、嵌着した帯付補助継手3の竪管差込部34に竪管T2を差し込ませると共に、傾斜付管2の枝管差込口22に枝管T3の縮管部61を差し込ませる。
【0024】
それから、第1差込口11側の竪管T1の段差部52を突き合せると共に、帯付補助継手3の竪管差込部34側の環状帯32まで竪管T2の端面53を突き合せ、かつ、傾斜付管2の枝管差込口22側の端面まで枝管T3の段差部62を突き合せる。
【0025】
このようにして、T字形状の本体1の第1差込口11に差し込んだ竪管T1と、帯付補助継手3の竪管差込部34に差し込ませた竪管T2とを相互に接続させることができると共に、傾斜付管2の枝管差込口22に差し込んだ枝管T3を分岐させることができる。
【0026】
本体1の第1差込口11側の竪管T1の段差部52と本体1の第1差込口11の端面とを突き合せると共に、帯付補助継手3の竪管差込部34側の竪管T2の端面53を環状帯32まで突き合せ、かつ、傾斜付管2の枝管差込口22の枝管T3の段差部62と傾斜付管2の端面とを突き合せたことで、図4に示すようにT形管継手Yと各竪管及び枝管の接合境目から段差をなくすことができる。
従って、接合部が目立たないように竪管Tを相互に配管接合することができると共に、枝管を外観上綺麗に分岐接合させることができる。
【0027】
又、本実施例のT形管継手Yは、T字形状の本体1と傾斜付管2の接続の際、傾斜付管2の傾斜面24、25を本体1の外径に沿って嵌着接合すればよいので容易にかつ迅速にでき、帯付補助継手3は継手差込部31を本体1の第2差込口12に環状帯32まで内嵌し、簡便な差込方式で押し込んで組立てることができるので嵌着接合が非常に容易な構造で形成されている。
【0028】
更に、T字形状の本体1と傾斜付管2、帯付補助継手3は各接合面、凸状の枝管差込部13、継手差込部31には、夫々接着材を塗布して固定することができ、配管接合に熟練した高度な技術を要する溶接を必要とせず、従前に比して製品単価を格安に提供できる経済的効果が認められる。
【0029】
以上、本発明の実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0030】
例えば、実施例では、傾斜付管2の傾斜面24、25は先端が鋭角に形成されているが楕円形に形成しても良い。
【0031】
又、T形管継手Yの本体1と傾斜付管2、帯付補助継手3の断面形状も、実施例に示した円筒形状には限られず、竪管及び枝管と外径が同一形状であれば、その他の形状例えば方形であってもよい点明らかである。
【0032】
更に又、帯付補助継手を第1差込口、第2差込口や枝管差込口に嵌挿しておけば、竪管及び枝管の接合先端部の外径を縮管にすることなく接合ができ、本件発明に係るT形管継手を利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上説明したように、本発明のT形管継手にあっては、T字形状の本体に差し込んだ帯付補助継手の環状帯と傾斜付管の端面に竪管の端面を突き合せ嵌着接合することができる。各差込口、差込部は、容易にかつ迅速に組立ができる部品として形成されているので、T字形状の本体の各差込口、差込部に押し込んで端面で突き合わせ嵌着し、T字形状の本体に傾斜付管を被せ、帯付補助継手は内嵌挿着して固定することができ、熟練した技術を要する溶接を必要とせず、安価に提供することができ、更に、T形管継手と竪管及び枝管との接合部分から段差をなくすことができる。
従って、接合部が目立たないように竪管を相互に接合させると共に、枝管を分岐させることができるという、従前にないT形管継手が提供でき大いに需要が見込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例のT形管継手の分解状態を示す斜視図である。
【図2】該T形管継手のカバー部材の組み立て透視図である。
【図3】該T形管継手の組立状態を示す斜視図である。
【図4】該T形管継手を使用して竪管を接続した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
T1 竪管
T2 竪管
T3 枝管
51 縮管部
511 接着材
52 段差部
53 端部
Y T形管継手
1 本体
11 第1差込口
12 第2差込口
13 凸状の枝管差込部
131 接着材
14 外径
2 傾斜付管
22 枝管差込口
23 外径
24 傾斜面
25 傾斜面
3 帯付補助継手
31 継手差込部
32 環状帯
33 外径
34 竪管差込部
311 接着材
312 接着材
61 縮管部
611 接着材
62 段差部





【特許請求の範囲】
【請求項1】
T形管継手の本体上部の第1差込口には、竪管の縮管部に接着材を塗布して内嵌挿着し、本体下部の第2差込口には、帯付補助継手が内嵌挿着されるが、当該帯付補助継手は継手差込部に接着材が塗布されて内嵌挿着し竪管差込部を形成する、その竪管差込部には接着材が塗布された竪管が外嵌挿着され、本体の凸状の枝管差込部には接着材が塗布され傾斜付管が外嵌挿着され枝管差込口を形成し、そこに縮管部に接着材が塗布された枝管が外嵌挿着され、竪管及び枝管が夫々嵌着接合される構造を有するT形管継手。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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