説明

UHF帯RFIDを活用した対象物位置管理システム

【課題】特に生産現場での対象物位置管理システムにおいて、安価でかつ簡単な管理システムで対象物の位置を検知することができるようなシステムを開発すること。
【解決手段】対象物位置管理システムにおいて、各検知エリア内A〜Cには隣り合う複数のアンテナ90,110が互いに干渉する位置に設置され、サーバ10は、DB20内にある第2のテーブル500に一定期間の履歴を保存しておき、位置検索クライアント50から送られてきた識別データに対し、検知された最新のエリアを現在エリア位置と判定するエリア判定手段と、エリア判定手段により判定された現在エリア位置内で履歴の検出個数を遡って最も多いアンテナ位置を現在アンテナ位置と判定するアンテナ判定手段と、から成る位置判定手段によって現在エリア位置と現在アンテナ位置を判定するように構成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はUHF帯RFIDを活用した対象物位置管理システムであって、特に生産現場での対象物位置管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
生産現場において、対象物の位置管理するために最近ではUHF帯RFIDを活用した対象物位置管理システムが採用されている。
そこで採用されている一般的な管理システムは、サーバ、データベース、複数のリーダライタ、複数のアンテナを備え、これらはネットワークにより接続されており、サーバによりシステム全体の制御・管理が行われるものであって、サーバには書き込みクライアントと、読取り制御クライアント、位置検索クライアントが設けられ、上記システムでは書き込みエリアと複数の検知エリアとが設定されており、各エリアに対応して上記リーダライタおよび上記アンテナが設けられており、対象物の識別情報(製造No.)のデータが書き込みクライアントから書き込みエリアのリーダライタに送られ、当該リーダライタによりICタグに上記識別情報(製造No.)のデータが書き込まれ、上記書き込みと並行してサーバ側では、上記ICタグの識別情報(タグID)と上記で書き込んだ対象物の識別情報(製造No.)とを対応づけてデータベース内の第1のテーブルに記憶し、上記各検知エリアに持ち込まれるパレットに上記ICタグと上記対象物とがセットで収納され、読取り制御クライアントからの制御により上記各検知エリアのリーダライタはアンテナを設定間隔でオンにし、各アンテナの交信領域内に存在するICタグの情報(タグID,製造No.)を読取ってサーバに送信し、サーバは、各リーダライタから送られてきた情報(タグID,製造No.)とその情報の送信元のリーダライタに対応する検知エリアとを対応づけてデータベース内の第2のテーブルに記憶し、位置検索クライアントから検索対象の識別情報(製造No.)が入力され、当該識別情報(製造No.)がサーバに送られ、サーバは、データベース内の第2のテーブルを参照して、当該識別情報(製造No.)に対応するエリア、アンテナを抽出し、抽出したエリア、アンテナを位置検索クライアントのディスプレイに表示するように構成されている。
【0003】
このような対象物位置管理システムでは、各検知エリア内においてアンテナ位置は互いに干渉しない形で設置されていることが一般的である。
しかし、干渉しない位置で設置したアンテナだけで対象物の位置を判定すると、生産現場によっては置き場所によって対象物の位置を検知できない死角が発生する場合がある。
またUHF帯RFID機器の特性上、電波の強さは同一地点でも刻々と変化しており、位置検知対象物が静止した状態では読めないケースが発生する場合がある。
【0004】
このような問題を解決する対象物位置管理システムとして、特開2007−85826号公報に記載されている対象物位置管理システムがある。
この対象物位置管理システムは対象物の位置を正確に検知するために、検知エリア内を網羅するように複数のアンテナが干渉するように配置されるとともに、位置タグと呼ばれる位置を表すタグを検知エリア内の位置情報を捉えたい単位に格子状に床に垂直に埋め込んで設置し、対象物の位置を検知する場合は、位置タグと検知対象物に垂直に取り付けられたタグの両方をアンテナで読取り、位置タグと検知対象物のタグの両方のデータから位置を判定している。
【0005】
すなわち、検知エリア内に複数のアンテナ及び位置情報が既知の位置タグを設置し、複数のアンテナからの電波の出力を変動させ、出力の変動分で新たに検知できた位置タグの検知結果及び検知対象物のタグの検知結果を蓄積し、その検知結果の重複検知されている検知対象物のタグ及び位置タグを特定し、位置タグの位置情報を用いて対象物の位置を特定するものである。
【特許文献1】特開2007−85826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開2007−85826号公報に記載されているシステム構成では高精度に位置判定を実現するものであるが、位置タグと呼ばれるICタグを検知エリアの床上に垂直な状態で複数埋め込んで設置する必要があり、既存の生産現場では新たに床への設置は困難である。また、流通しているタグの大半が指向性を持つために検知対象物に設置するタグも垂直に設置する必要があり、面倒である。
【0007】
また、このシステムの方法では出力を変動させることのできる高度なアンテナが必要であり、高価なものとなる。
実際の生産現場では、特開2007−85826号公報に記載されているシステムのようなピンポイントで対象物の位置を特定する必要はなく、アンテナ位置が特定できる精度で対象物の位置が判定できれば十分である。
そこでこのような位置タグや高価なアンテナを設置せずに、安価でかつ簡単な管理システムで対象物の位置を検知することができるような対象物位置管理システムが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために本発明のUHF帯RFIDを活用した対象物位置管理システムは、
管理システムは、サーバ、データベース、複数のリーダライタ、複数のアンテナを備え、これらはネットワークにより接続されており、サーバによりシステム全体の制御・管理が行われるものであって、
サーバには書き込みクライアントと、読取り制御クライアント、位置検索クライアントが設けられ、
上記システムでは書き込みエリアと複数の検知エリアとが設定されており、各エリアに対応して上記リーダライタおよび上記アンテナが設けられており、
対象物を特定する製造番号等の識別データが書き込みクライアントから書き込みエリアのリーダライタに送られ、当該リーダライタによりICタグに上記識別データが記録され、
上記書き込みと並行してサーバ側では、上記ICタグを識別するタグIDと上記識別データとを対応づけてデータベース内の第1のテーブルに記憶し、
上記各検知エリアに持ち込まれるパレットに上記ICタグと上記対象物とがセットで収納され、
読取り制御クライアントからの制御により上記各検知エリアのリーダライタはアンテナを設定間隔でオンにし、各アンテナの検知領域に存在するICタグに記録されているタグIDと識別データを読取ってサーバに送信し、
サーバは、各リーダライタから送られてきたタグIDと識別データをその情報の送信元のリーダライタに対応する検知エリアとを対応づけてデータベース内の第2のテーブルに記憶し、
位置検索クライアントから検索対象を特定する識別データが入力され、識別データがサーバに送られ、
サーバは、データベース内の第2のテーブルを参照して、識別データに対応するエリア、アンテナを抽出し、抽出したエリア、アンテナを位置検索クライアントのディスプレイに表示する対象物位置管理システムにおいて、
各エリア内には隣り合う複数のアンテナが互いに干渉する位置に設置され、
サーバは、上記第2のテーブルの一定期間の履歴をデータベース内に保存しておき、
位置検索クライアントから送られてきた識別データに対し、検知された最新のエリアを現在エリア位置と判定するエリア判定手段と、エリア判定手段により判定された現在エリア位置内で履歴の検出個数を遡って最も多いアンテナ位置を現在アンテナ位置と判定するアンテナ判定手段と、から成る位置判定手段によって現在エリア位置と現在アンテナ位置を判定し、
これら判定された現在エリア位置と現在アンテナ位置を位置検索クライアントのディスプレイに表示するように構成したことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明は現在エリア位置内で履歴の検出個数を遡って最も多いアンテナ位置を現在アンテナ位置と判断する際に、アンテナ位置が同数となった場合は、それを解消するための解消手段を持っていることを特徴とするものである。
また、設定間隔は変更可能であることを特徴とするものである。
また、履歴の検出個数は変更可能であることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の特徴の1つ目は、対象物をエリア内で確実に検知するために、また検知できない死角が発生しないように各検知エリア内には隣り合う複数のアンテナが互いに干渉する位置に設置したことである。
しかしこのような配置では対象物のタグは複数のアンテナに検知されるケースがあり、アンテナ位置を1つに特定することが困難という問題点がある。
また、このようにアンテナを干渉するように配置したエリア内においても、仕掛品が金属の場合、タグと金属の位置関係によりスキャンしても読取れないという問題点がある。
本発明の2つ目の特徴はこれらの問題点を解決するためにエリア判定とアンテナ判定というソフト的な手段により解決したことである。
【0011】
本発明のエリア判定は、新しいエリアへの持込みの際に、確実に対象物のタグが読取られるような持込み方法、例えばエリアの入り口にある特定のアンテナの下を必ず通過させるような運用を採用することによってエリアの移動を確実に認識できるので、エリア判定として最新のエリアを現在のエリアとして判定するようにしている。
また、アンテナ判定はエリア判定が確実にできるようにした上で、アンテナ位置を判定するために確定したエリアの過去の読取り履歴を遡って確率的に数の多いアンテナを現在アンテナとして判定するようにしている。
【0012】
このようにすることによって、実際の対象物の位置は対象物位置管理システムの判定結果とズレる可能性はあるが、新しいエリアへの移動は確実に認識してエリア判定を行っているため、そのズレは同一エリア内でのズレでしかなく、その場合はズレがあったとしても、現場では干渉するアンテナの配置関係から隣接するアンテナ位置で、容易に対象物を見つけることができるので、十分に運用可能な対象物位置管理システムとなっている。
本発明では、設定間隔を変更できるようにしており、エリアへの持込みの際の移動速度とサーバの処理能力を考慮する必要があり、一般的には1秒から10秒の範囲で調整するのがよい。
また、本発明では履歴の検出個数を変更できるようにしており、履歴の検出個数は生産現場の複数アンテナでの重複判定状態を観察し、何個遡れば確率的に判定可能かで調整するのが良い。
検出個数は一般的には1〜5個が採用される。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、位置タグのような余分なタグを必要とせず、また出力を変化できるような高度なアンテナも必要とせず、各検知エリア内に隣り合う複数のアンテナを互いに干渉する位置で配置するだけで良いため、安価で実現できる。
また、エリア判定手段とアンテナ判定手段により現在エリア位置と現在アンテナ位置を判定するため、アンテナの干渉により複数アンテナで同時に読取られ、アンテナ位置が確定できないケースやタグが静止状態にありスキャンにより読取れないケースが発生した場合であっても、過去の検知履歴により判定を行うため、アンテナの干渉やタグが静止状態にある場合にスキャンにより確実に読取れないことにより構築できないと判断されてきた位置管理システムを構築することが可能である。
このことにより、UHF帯RFIDの活用を促進することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図面において実質的に同一の部分には同じ参照符号を付けてその説明は繰り返さない。
【0015】
本発明の実施形態による管理システムの全体構成を図1に示す。このシステムはUHF帯RFIDを活用して対象物を管理するためのシステムであり、ここでは、工場の現場において対象物の位置を管理するためのシステムを想定している。
本システムは、サーバ10、データベース20、書き込みクライアント30、読取り制御クライアント40、位置検索クライアント50、リーダライタ60,80,100、アンテナ70,90(ANT1,ANT2,ANT3,ANT4),110(ANT5,ANT6,ANT7,ANT8)を備えている。これらはLAN等のネットワークにより接続されており、サーバ10によりシステム全体の制御・管理が行われる。
【0016】
このシステムでは書き込みエリアと複数の検知エリアA〜nが設定されている。各エリアに対応してリーダライタ60,80,100およびアンテナ70,90(ANT1,ANT2,ANT3,ANT4),110(ANT5,ANT6,ANT7,ANT8)が設けられている。本システムではUHF帯RFIDの中距離到達特性を活かして各エリアの天井にアンテナ90(ANT1,ANT2,ANT3,ANT4),110(ANT5,ANT6,ANT7,ANT8)を吊し、図1下図の鳥瞰イメージのように、複数のアンテナで立体的な検知エリアを構成することで位置情報の検知手段として活用している。また図2に記載されているように、確実にアンテナに対象物を検知させるため、同一エリア内に隣り合うアンテナを干渉する位置で配置している。図2のアンテナの検知領域360が干渉領域370を持つような位置に配置している。
このようにすることで工場内の対象物の移動に支障をきたさないようにでき、各検知エリアA〜nのタグ情報をリアルタイムに確実に監視できる。
また、図1では1台のリーダライタで1つのエリアを構成しているが、複数台のリーダライタにより、より広大なエリアを構成することもできる。
【0017】
次に、本システムによる処理の流れについて図3のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0018】
まず、ST210について説明すると、図4に示されるように製造指示書310の発行と同じタイミングでICタグインレット320へ識別データとして製造No.を書き込む。具体的には、発行された製造指示書310に記載されている製造No.のデータが書き込みクライアント30から書き込みエリアのリーダライタ60に送られ、リーダライタ60によりICタグインレット320のメモリに製造No.のデータが書き込まれる。これと並行してサーバ10側では、図5に示すように、ICタグインレット320のID(タグID)と書き込んだ製造No.とを対応づけてデータベース20内のテーブル400に記憶する。テーブル400にはさらに図番等の属性情報がタグIDと対応づけて記憶される。
次に、ST220において、図4に示すようにICタグインレット320と製造指示書310とをポリ袋340に入れ、これを対象物(仕掛品)とセットにしてパレット350に収納する。
【0019】
次にST230について説明すると、上記パレット350は作業工程に従って各エリア(図1の検知エリアA〜n)に持ち込まれることで、仕掛品として位置管理がスタートする。
また、このとき各エリア内へ複数のパレット350を重ねたまま持ち込むと検知されないタグが発生するため、パレット平置き状態で各エリアに持ち込むことが望ましい。
【0020】
本システムでは、読取り制御クライアント40からの制御により各検知エリアA〜nのリーダライタ80,100はアンテナ90(ANT1,ANT2,ANT3,ANT4),110(ANT5,ANT6,ANT7,ANT8)を設定間隔(例えば5秒間隔)でONにし、各アンテナの交信領域(各検知エリアA〜n)内に存在するICタグインレット320の情報(タグID)を読取る。各リーダライタ80,100により読取られた情報はサーバ10に送られる。サーバ10側では、図7に示すように、各リーダライタ80,100から送られてきた情報(タグID)とその情報の送信元のリーダライタに対応する検知エリアとアンテナを対応づけてデータベース20内のテーブル500に記憶する。サーバ10は、各リーダライタ80,100から情報が送られてくるたびにこのテーブル500を逐次更新するとともに一定期間の履歴をデータベース20内に保存しておく。
【0021】
次にST240について説明すると、本システムでは、作業工程中の対象物(仕掛品)がどのエリアに存在するかを位置検索クライアント50を利用して以下のように検索可能である。この検索機能は複数の位置検索クライアント50からアクセス可能なようにWebアプリとしており、特別なセットアップ作業はしなくてよい(Webブラウザによる検索)。なお、図1では便宜上1つの位置検索クライアント50のみを示している。
【0022】
まず、図6上段に示すように、位置検索クライアント50から検索対象の製造No.が入力され、これがサーバ10に送られる。サーバ側10では、データベース20内の最新のテーブル500(図7)を参照して、この製造No.に対応するエリアとアンテナ位置(ここではエリアA、ANT2とする)を抽出し、抽出したエリアA、ANT2をたとえばマップ上に強調表示する等の手段により位置検索クライアント50のディスプレイに表示する。なお、サーバ10側でテーブル400(図5)とテーブル500(図7)とを参照するようにすれば、位置検索クライアント50から入力される検索キーとして製造No.以外にも図番等の属性情報を利用することができる。
【0023】
本システムでは、確実にアンテナに対象物を検知させるため、複数のアンテナを干渉する位置で配置しているため、複数のアンテナで検知されてしまうケースがありえる。このためサーバ10側では、位置検索クライアント50から入力された検索キーに対応するアンテナが複数検出されたときは、テーブル500(図7)の過去の履歴を参照し、その検索キーに対応するタグIDに対してデータ内で履歴の数を遡って、後述しているタグの位置を決定する方法により最も多いアンテナ位置を判定して位置検索クライアント50のディスプレイに表示する。
【0024】
また、本システムでは、図6下段に示すように、指定したエリア、アンテナ位置内のタグ情報を検索することもできる。この場合、位置検索クライアント50から検索対象の検知エリア、アンテナ(ここではエリアA、アンテナ2)が入力され、これがサーバ10に送られる。サーバ側10では、データベース20内の最新のテーブル500(図7)を参照して、エリアA、アンテナ2に対応するタグIDおよび製造No.を抽出し、さらにこのタグIDおよび製造No.に対応する属性情報をテーブル400(図5)を参照して抽出し、これら抽出した情報すなわち指定されたエリアA、アンテナ2のタグ情報を位置検索クライアント50のディスプレイに一覧表示する。
【0025】
次にST250について説明すると、すべての作業工程が終了すると、図8に示すように、各ポリ袋340から製造指示書310とICタグインレット320が取り出される。
【0026】
次にST260について説明すると、書き込みクライアント30からの制御により書き込みエリアのリーダライタ60はアンテナ70をONにし、取り出されたICタグインレット320の情報(タグID,製造No.)を読取ってサーバ10へ送信する。この際、複数のICタグインレット320の情報をまとめて一度に読取ることが可能である(RFIDの利点)。サーバ10側では、送られてきたタグID,製造No.に対する完了報告を行い、仕掛品から完了品にステータスを更新する。完了処理終了後のICタグインレット320は再利用することが可能である。
【0027】
次に位置判定フロー図9を用いてタグの位置を決定する方法を説明する。
図9 例)ではタグID=00001,00002,00003,00004の4つのタグに対する判定事例を示している。
【0028】
次にST270について説明すると、システムにおいて判定個数を設定する。
図9 例)では4個を設定している。
システムでは履歴テーブル500(図7)に対して、判定のためにサンプリングするために遡る個数を設定できる。
【0029】
次にST280について説明すると、システムにおいて位置判定対象タグIDを設定する。
図9 例)ではタグID=00001,00002,00003,00004の4つのタグを設定している。
【0030】
次にST290について説明すると、システムは対象タグIDで履歴テーブル500(図7)を最新のデータから遡り、一致するタグIDの1番目の検索データから最新のエリアを判定する。
例ではタグ00001:B、タグ00002:B、タグ00003:B、タグ00004:C
【0031】
次にST300について説明すると、システムはST290で判定最新エリア内で設定数分履歴を遡ってアンテナ位置を判定する。
具体的にはシステムでは履歴テーブル500(図7)に対して、最新のエリアと一致するデータを遡って判定個数分のサンプリングを行い、サンプリング結果から最も多いアンテナ番号を現在のアンテナ位置と判定する。
※最新エリア内でサンプリングしている理由はエリアを移動した場合は、それ以前のエリアでは検索しないようにするため。(アンテナが干渉する場所は同一エリアとし、アンテナが干渉しない場所は別エリアとして運用するため。)
例ではタグ00004は最新エリアC内でC−9のみがサンプリングされ、C−9を判定結果としている。
また、タグ00003では最新エリアB内で3つのデータがサンプリングされ、B−7(2)>B−6(1)でB−7を判定結果としている。
しかし、タグ00001では最新エリアB内で4つのデータがサンプリングされ、B−6(2)=B−5(2)で判定できない。
タグ00002も同様、B−6(2)=B−7(2)で判定できない。
【0032】
次にST310について説明すると、システムはST300で判定に使用したサンプリング結果で同数となり、判定できない場合(タグ00001、00002の事例)の解消手段により判定を行う実施例として、同数となった該当データのタイムスタンプの新しいデータを採用している。
タグ00002ではB−6(09:59’55”)>B−7(09:59’50”)でB−6を判定結果としている。
しかし、タグ00001ではB−6(10:10’00”)=B−5(10:10’00”)で判定できない。
【0033】
次にST320について説明すると、システムはST310でタイムスタンプが同一で判定できない場合(タグ00001の事例)は、システム毎に最終判定ルールを決めて1つのデータを採用する。
例えばアンテナ番号の大きいデータを採用する。
例のタグ00001ではB−6>B−5のため、B−6を判定結果としている。
尚、同数となった場合の解消手段としては、タイムスタンプの新しいデータを採用したり、アンテナ番号の大きいデータを採用する以外の手段を採用しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、確実にアンテナに対象物を検知させるため、複数のアンテナを干渉する位置で配置した位置管理システムとして生産現場以外でも有用である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態による管理システムの全体構成
【図2】アンテナ間の配置検知範囲設置方法
【図3】図1に示した管理システムによる処理の流れを示すフローチャート
【図4】対象物(仕掛品)に製造指示書およびICタグをセットするまでの流れを示す図
【図5】タグIDと製造No.の紐付けデータを示す図
【図6】対象物(仕掛品)の検索の流れを示す図
【図7】タグの位置情報履歴データの例を示す図
【図8】出荷〜完了処理の流れを示す図
【図9】エリアの特定とアンテナの判定ロジックを示す図
【符号の説明】
10 サーバ
20 データベース
30 書き込みクライアント
40 読取り制御クライアント
50 位置検索クライアント
60,80,100 リーダライタ
70,90,110(ANT5,ANT6,ANT7,ANT8) アンテナ
310 製造指示書
320 タグインレット
340 タグインレットと製造指示書を収納するケース
350 パレット
360 アンテナの検知領域
370 検知領域が干渉している領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理システムは、サーバ、データベース、複数のリーダライタ、複数のアンテナを備え、これらはネットワークにより接続されており、サーバによりシステム全体の制御・管理が行われるものであって、
サーバには書き込みクライアントと、読取り制御クライアント、位置検索クライアントが設けられ、
上記システムでは書き込みエリアと複数の検知エリアとが設定されており、各エリアに対応して上記リーダライタおよび上記アンテナが設けられており、
対象物を特定する製造番号等の識別データが書き込みクライアントから書き込みエリアのリーダライタに送られ、当該リーダライタによりICタグに上記識別データが記録され、
上記書き込みと並行してサーバ側では、上記ICタグを識別するタグIDと上記識別データとを対応づけてデータベース内の第1のテーブルに記憶し、
上記各検知エリアに持ち込まれるパレットに上記ICタグと上記対象物とがセットで収納され、
読取り制御クライアントからの制御により上記各検知エリアのリーダライタはアンテナを設定間隔でオンにし、各アンテナの検知領域に存在するICタグに記録されているタグIDと識別データを読取ってサーバに送信し、
サーバは、各リーダライタから送られてきたタグIDと識別データをその情報の送信元のリーダライタに対応する検知エリアとを対応づけてデータベース内の第2のテーブルに記憶し、
位置検索クライアントから検索対象を特定する識別データが入力され、識別データがサーバに送られ、
サーバは、データベース内の第2のテーブルを参照して、識別データに対応するエリア、アンテナを抽出し、抽出したエリア、アンテナを位置検索クライアントのディスプレイに表示する対象物位置管理システムにおいて、
各検知エリア内には隣り合う複数のアンテナが互いに干渉する位置に設置され、
サーバは、上記第2のテーブルの一定期間の履歴をデータベース内に保存しておき、
位置検索クライアントから送られてきた識別データに対し、検知された最新のエリアを現在エリア位置と判定するエリア判定手段と、エリア判定手段により判定された現在エリア位置内で履歴の検出個数を遡って最も多いアンテナ位置を現在アンテナ位置と判定するアンテナ判定手段と、から成る位置判定手段によって現在エリア位置と現在アンテナ位置を判定し、
これら判定された現在エリア位置と現在アンテナ位置を位置検索クライアントのディスプレイに表示するように構成したことを特徴とするUHF帯RFIDを活用した対象物位置管理システム。
【請求項2】
現在エリア位置内で履歴の検出個数を遡って最も多いアンテナ位置を現在アンテナ位置と判定する際に、アンテナ位置が同数となった場合は、それを解消するための解消手段を持っていることを特徴とするUHF帯RFIDを活用した対象物位置管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の設定間隔は変更可能であることを特徴とするUHF帯RFIDを活用した対象物位置管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の履歴の検出個数は変更可能であることを特徴とするUHF帯RFIDを活用した対象物位置管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−96734(P2010−96734A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289258(P2008−289258)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(503447759)エイジシステム株式会社 (5)
【Fターム(参考)】