説明

USBストレージ装置

【課題】メモリカードが装着されないときは内部に予め記録されたデータを読み出す仮想CDROMドライブ装置として動作し、メモリカードが装着された場合は装着されたメモリカードのメモリカードリーダライタとして機能するUSBマスストレージデバイスを実現する。
【解決手段】メモリカードリーダライタにメモリカードが装着されたことを検知する検知手段と内蔵メモリを設け、該検知手段の出力がメモリカード非装着状態を出力している場合はメモリカードリーダライタが内蔵メモリのデータを読み出して仮想CDROMドライブとして振る舞う一方、該検知手段がメモリカード装着装着状態を出力している場合は装着されたメモリカード内のデータの書込み読み出し動作を行うメモリカードリーダライタとして振舞うストレージ装置を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USBストレージデバイスとして動作するメモリカードのデータを読み出し・書込み可能なメモリカードリーダライタに関する。更に詳しくは、随時データの記憶が可能なメモリカードが装着された場合はメモリカードリーダライタとして動作し、装着されない場合は内蔵の半導体メモリに記憶されたデータを読み出す仮想CDドライブ装置として動作するUSBストレージデバイス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるWindows(登録商標) やMac OS−X(登録商標)といった汎用のオペレーティングシステムを搭載したパーソナルコンピュータ(パソコン)とりわけノートタイプの省スペースパソコンは、固定した設置場所を必要としないなどの特徴から家庭から大規模オフイスに至るまで個人用途として広く普及し様々な用途に利用されているが、そうした流れの中で、特に屋外への持ち運びの利便性を考慮し機能をある程度絞った更に小型の通称ネットブックなどと呼ばれる超小型パソコンが登場し、一部用途に受け入れられている。
【0003】
しかし、このいわゆるネットブックと呼ばれる超小型パソコンは、小型軽量化するために光学式ドライブ、いわゆるCD/DVDドライブを内蔵せず、CDROMのデータなどを読込む場合にはUSBインタフェース等で外付けにされたCD/DVDドライブを利用するのが普通である。
【0004】
一方、メモリカードはデジタルカメラや携帯音楽プレーヤー用、あるいは携帯電話用などとしてますます広く普及してきており、パソコンにメモリカードを読み込ませるためのカードリーダも各種のものが実用化されているが、メモリカードは規格統一がされておらず市場には数種類が併存するために必ずしもパソコン本体のカードスロットに直接挿入できるメモリカードばかりではなく、このためUSBインタフェースを用いた外付けのメモリカードリーダも広く利用されている。
【0005】
また、上記ネットブックを含むパソコンが普及することにより、個人が使用するパソコンも1台だけとは限らなくなってきており場所や用途に応じて複数のパソコンを使用することも珍しくはなく、そうした複数台数のパソコン間でデータを簡単に受け渡すことができるいわゆるUSBメモリと呼ばれる小型のスティック状の外部半導体メモリ装置も普及しているが、その一方でそうしたUSBメモリを紛失してその中に記録されている個人情報などの重要なデータを漏えいする問題も発生している。
【0006】
一方、メモリカードを使用するデジタルカメラや携帯電話などの携帯デジタル機器では、メモリカード内のデータを利用するためのソフトウェアや説明書、あるいはそうした情報を記載したWebのURLなどの情報をCDROMに記録して製品に添付して配布することが一般的になっているが、パソコンが広く普及するに従ってユーザによってはCDROMからアプリケーションプログラムをインストールして使ったり、メモリカード内のデータをパソコンで利用することが苦手なユーザが多いという問題や、あるいはそうしたCDROMは購入後保存し続けるユーザは少なく持ち歩くユーザはさらに一層少ないため、実際にCDROM内のデータをパソコンで使用する場面でCDROM内の情報を利用できないケースも多い。
【特許文献1】特開2004−54896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記の状況にかんがみてなされたもので、超小型で持ち運びやすくCDROMドライブとしての機能とメモリカードリーダとしての機能が自動で切り替わり、さらにメモリカード未装着の状態で接続するとCDROMドライブとしての機能により内蔵のプログラムが自動実行され、その後メモリカードを装着すると該自動実行されたプログラムにより、予め決められた処理が装着されたメモリカード内のデータなどに対して行われる事を可能とする装置を提供するものである。
【0008】
またパソコンユーザの中にはパソコンの操作に関して慣れない人も多く、デジタルカメラや携帯電話に使用しているメモリカード内のデータをパソコンとの間で利用しようとしても、操作が複雑で使えない人も多いが、それらのデータはパソコンに取り込んで処理することで最もメリットを生かせるのであって、メモリカードをUSBメモリカードリーダライタに装着しただけでその中のデータに対してデジタルカメラや携帯電話ごとの機器に応じた処理が自動で行われるようになれば多くの人にとってデジタルカメラや携帯電話のデータが使いやすく価値あるものとなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、メモリカードを装着しない状態で使用すると超小型ながら消去されないデータを記憶した仮想CDROMドライブとして動作し、プログラムが自動で起動し予め決められた処理を行うことを可能にするためパソコンに不慣れなユーザにとっても、説明書が自動で表示されて処理の手順を分かりやすく示した後にメモリカードを装着して利用し、あるいはメモリカード内のデータを利用するためのプログラムが予め実行された状態でメモリカードを装着することが可能になるためほぼ自動でメモリカード内のデータの処理を行なえたり操作を補助したりすることを可能とするものである。
【0010】
また、特許文献1に示したような常に複数の領域がストレージデバイスとして機能し、そのうちの一つの領域にCDROMドライブ機能を持たせるような装置の場合、この装置をパソコンに接続するたびに自動実行プログラムが実行されるので、そうした処理が必ずしも必要ない上級ユーザからみると煩わしく感じるものであるが、そうした上級ユーザは最初からメモリカードを装着したままで本発明のメモリカードリーダをパソコンに装着することで、単なるメモリカードリーダライタとして動作するのでそうした煩わしさもない。
【0011】
このように、例えば複雑なメモリカード内のデータの処理手順を示す補助プログラムや処理プログラムそのものを内蔵半導体メモリに記憶しておけば、それらが誤って消去改変される恐れもなく、本発明のメモリカードリーダを利用してメモリカードの読み出しを行う場合には本メモリカードリーダライタをUSBホスト機器に装着後にメモリカードを装着すれば必ずそのプログラムの実行が行われるので、ユーザにとっても分かりやすく、また携帯電話やデジタルカメラの販売促進用の販促品として利用価値も高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載のメモリカードリーダ装置は、USBホスト機器(例えばパーソナルコンピュータ)への着脱が可能であり、メモリカードコネクタと、内蔵の半導体メモリを用いて情報を記憶する記憶手段と、USBホスト機器とUSBプロトコルに基づいた通信を行う通信手段と、通信手段を介してホスト機器から受け取った指令に基づいて、内蔵メモリに対して情報の読み出しと、装着されたメモリカードに対してデータの読み出し書き込み及び削除を実行する制御手段とを備える。
【0013】
そして、この制御手段は、USBホスト機器が有するUSBマスストレージクラスドライバの対応するコマンドセットに定義された論理ユニット番号に対応する領域として一つの領域をUSBマスストレージクラスドライバに認識させるための情報を保持し、メモリカード未装着時にはUSBマスストレージクラスドライバに本メモリカードリーダをCDROMドライブとして、メモリカード装着時には読み出し書き込みが可能なマスストレージデバイスとして認識させるように構成されている。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明の実施例であるUSBストレージデバイスを示す構成図であり10は本発明のストレージデバイスが装着されるパソコンなどのUSBホスト機器であり、内部構成は本発明の説明に必要な機能のみを図示している。
【0015】
20は本発明のストレージデバイスであり、21はUSBプロトコルに基づきUSBホスト機器との通信を行うインタフェース回路であり、パケット送受信手段(22)、パケット生成分解手段(23)、USBパワー制御手段などのUSBストレージデバイスとして必要な構成を備え、25は内蔵メモリや装着されたメモリカード内のデータをUSBプロトコルに基づいてホスト機器との間で送受信するために必要なコントロールを行うコントローラでメモリ制御手段(26)、メモリ情報記憶手段(27)、USBインタフェース制御手段(28)、メモリカードインタフェース(29)などを備え、30は不揮発性のフラッシュメモリからなる内蔵メモリ、31はメモリカードを装着して電気的な接続を行うメモリカードコネクタ、32はメモリカードコネクタにメモリカードが装着された場合に切り替え信号を出力するメモリカード装着検知手段を示す。
【0016】
40は、本発明のUSBストレージデバイスに着脱して内部のデータをパソコンから読み出し・書込みなどが行えるメモリカードである。
【0017】
このような構成において、本発明のUSBストレージデバイスがUSBホスト機器(パソコン)に接続された場合の動作について説明する。
まずメモリカードが装着されない状態で本デバイスがパソコンに接続されると、検知手段32の出力信号に基づきコントローラ25はUSBインタフェース回路21に対して、パソコンのマスストレージクラスドライバ13にサブクラスCDROMとしての応答を行わせる。
【0018】
プラグアンドプレイ機能によりパソコン側では、CDROMドライブの装着が行われたと認識されるので、装填されたCDROMの読み出し動作が行われるが、コントローラ25は内蔵メモリ30に記録されているデータをUSBインタフェースに対して渡して読み出し動作を行う。内蔵メモリ30には例えばISO9660フォーマットに基づいたファイルが記録されており、パソコン側ではUSBプロトコルに基づいて読み出された情報に従い処理が行われる。例えばルートに自動実行を示すファイル(autorun.inf)が存在する場合は、そのファイルの指示するファイルの実行が行われる。
【0019】
このように構成されたデバイスの動作では、例えば
【特許文献1】などに記載されている公知の動作を行ない、プログラムの自動実行や記録ファイルやURLの自動表示とか、あるいは記録データが通常手順では消去されないなどの特徴も同様である。
【0020】
次に、このように構成されたUSBストレージデバイスに対してユーザがメモリカードを装着した場合の動作に関して説明する。
パソコンに対して本USBストレージデバイスを装着した状態で、さらにメモリカードを挿入するとメモリカード装着検知手段32からコントローラ25に対してメモリカード装着信号が出力される。コントローラ25はUSBインタフェース回路21に対してまずプラグアンドプレイコマンドにより読み出しオンリーの装置種類の取り外しコマンドをパソコンに対して送出し、パソコン側では一旦当該ポートのUSBストレージデバイスが取り外されたと認識される。
【0021】
しかる後にコントローラ25は再びプラグアンドプレイコマンドを送出しUSB機器が取り付けられたことをパソコンに対して知らせ、書込み・読み出し装置種類の取り付けコマンドを送出する。これよってパソコンは同一ポートに新たに書込み・読み出し・消去が可能なUSBマスストレージ装置が接続されたと認識し、書込み読み出しおよび削除コマンドを送出することが可能となり、コントローラ25はこれらのコマンドに対応して装着されたメモリカード内の記憶データの書込み読み出しおよび削除動作を行う。
【0022】
本発明のUSBストレージデバイスは前記の説明のとおりの動作を行うが、本発明の特徴は内蔵メモリ30に記録されたデータによって最も発揮される。
【0023】
例えば、ユーザがデジタルカメラで撮影した画像ファイルをパソコンに装着する場合には、画像ファイルの閲覧やコピー、削除といった画像ファイル操作を行うことが目的であり、内蔵メモリ30にそうしたプログラムが自動実行されるように記録されていれば、どのパソコンを使う場合であってもプログラムのインストールなどの煩わしい手順を踏むことなく、直ちに目的の処理が行える。
【0024】
あるいは、携帯音楽プレーヤで使用するメモリカードをパソコンに装着する場合、パソコン内やWeb若しくは音楽CDなどの媒体から音楽曲をメモリカードに決められたフォーマットに変換して記録することが目的であり、本発明のメモリカードリーダライタを使用すればどのパソコンを使用する場合でもそのために必要なプログラムが実行されおり、メモリカードを装着した時点でその操作が行えるので、パソコンに不慣れなユーザでも戸惑うことが少ない。
【0025】
上記のように、USBストレージデバイスがパソコンに装着された場合自動実行され、メモリカードが装着されたときにそのメモリカード内のデータに対して処理が行われるようなプログラムは、常駐プログラムとかサービスとか呼ばれるパソコンのメインメモリに対して読込まれて特段の終了処理をしなければ動作が継続するプログラムであることが好ましいが、このようなプログラムはパソコンに対して通常のインストール処理を行った場合、メモリカードを装着しない場合であっても常に読込まれてパソコンのメインメモリを占有するため、パソコンの起動に時間がかかったりメインメモリやハードディスクの空き容量を圧迫する、あるいは異なった周辺機器で使用したメモリカードを装着してもいつも同じプログラムが立ち上がってしまいパソコンに不慣れなユーザは混乱するなどという問題があるが、本発明に基づくUSBストレージデバイスを周辺機器と一緒に、しかも周辺機器とペアであるようなデザインで販売するなどの工夫を行えば、ユーザはいつも同じ周辺機器のメモリカードを決められたUSBストレージデバイスで読込ませることが容易に分かり、使用するパソコンや場所にとらわれずいつも同じ操作が可能になるため利便性が高い。
【0026】
また、携帯電話やデジタルカメラなどの装置は大切な個人情報を記録していることが多い。メモリカードを脱着したり使い回しているとこうした情報が不用意に漏えいしたり、メモリカードそのものを紛失する危険性が高くなる。従ってこうした機器でデータを記録する場合、そのデータは簡単に他人から読み取られないように暗号化して記録することが望ましいが、一方で暗号化したデータは復号化するプログラムや復号化キーが必要になるため利便性の低下を招くという問題があり一般には普及していない。本発明のUSBストレージデバイスを製品とセットにして販売し、その中に製品の暗号化に対応した復号化のプログラムを記録しておくことにより前述の説明通り自動で復号化プログラムの実行が行え簡単な復号化キーの入力だけで復号化が可能となり、メモリカードを紛失した場合には記録されたデータは読み取られる心配がなくセキュリティも向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】USBマスストレージ装置と、USBホスト機器、装着されるメモリカードの構成を示す説明図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0028】
10 USBホスト機器
20 USBマスストレージ装置(メモリカードリーダライタ)
21 USBインタフェース回路
25 コントローラ
30 内蔵メモリ(フラッシュメモリ)
31 メモリカードコネクタ
32 メモリカード装着検知手段
40 メモリカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
USBホスト機器への着脱が可能なコネクタを含むUSBインタフェースと、少なくとも一つのメモリカードが装着可能なカードコネクタを有するUSBストレージデバイスであって、
該USBストレージデバイスはさらに、
前記カードコネクタにメモリカードが装着された場合に検知信号を出力するメモリカード装着検知手段と、内蔵半導体メモリと、前記USBホスト機器とUSBプロトコルに基づいた通信を行う通信手段と、該通信手段を介して前記USBホスト機器から受け取った指令に基づいて、前記内蔵半導体メモリに対して記憶データの読み出しと、装着されたメモリカードに対して記憶データの読み出しと書き込みおよび削除動作を実行する制御手段とを備え、
前記メモリカード装着検知手段の出力がメモリカード装着を検知しない場合においては前記通信手段が読み出しオンリーの装置種類コマンドを送出し、USBホスト機器からの読み出しコマンドに対しては前記制御手段が内蔵半導体メモリの記憶データを送出するようになし、
メモリカード装着検知手段によりメモリカードの装着が検出された場合には、前記通信手段はまずプラグアンドプレイコマンドにより読み出しオンリーの装置種類の取り外しコマンドを送出し、しかる後に書込み・読み出し装置種類の取り付けコマンドを送出することによってUSBホスト機器にUSBマスストレージ装置の切り替え動作を行わせ、USBホスト機器からの書込み読み出しおよび削除コマンドに対応して前記制御手段が装着されたメモリカード内の記憶データの書込み読み出しおよび削除動作を行うことを可能としたUSBストレージデバイス。
【請求項2】
請求項1のUSBストレージデバイスは、前記内蔵半導体メモリに少なくとも自動実行ファイル autorun.infファイルを記録していることを特徴とするUSBストレージデバイス。
【請求項3】
請求項2のUSBストレージデバイスは、内蔵半導体メモリに更に特定の実行プログラムおよび該実行プログラムの動作に必要なデータを記憶し、該実行プログラムが autorun.inf ファイルに登録されることにより、メモリカードが未装着の状態でUSBホスト機器に装着された場合、まず前記実行プログラムがUSBホスト機器によって実行され、しかる後に当該メモリカードリーダライタにメモリカードが装着された場合前記実行中のプログラムによって、メモリカードに記録されたデータが処理されることを特徴としたUSBストレージデバイス。

【図1】
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【公開番号】特開2011−70460(P2011−70460A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221720(P2009−221720)
【出願日】平成21年9月26日(2009.9.26)
【出願人】(708000627)
【Fターム(参考)】