説明

UVナノインプリント成型体の製造方法

【課題】樹脂基材との間の密着性が高いUVナノインプリント成型体を得ることができるUVナノインプリント成型体の製造方法を提供すること。
【解決手段】UV硬化樹脂3は、樹脂全体に対して水酸基を含む樹脂を25重量%〜60重量%含有する。本発明の方法により得られたUVナノインプリント成型体は、図2に示すように樹脂基材2とUV硬化樹脂3とが結合していると考えられる。すなわち、樹脂基材2、例えばPETフィルムの表面には、酸素で終端された分子が存在する。本発明の方法で用いるUV硬化樹脂3は、樹脂全体に対して水酸基を含む樹脂を25重量%〜60重量%含有するので、図2に示すように、水酸基(OH基)が多く存在する。このため、樹脂基材2表面の酸素とUV硬化樹脂3の水酸基との間で水素結合が形成されることとなる。これにより、樹脂基材2とUV硬化樹脂3との間の密着性が高いUVナノインプリント成型体を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品などに用いられるUVナノインプリント成型体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノインプリント技術は、射出成型では不可能なナノメータサイズからマイクロメータサイズの部品を、金型を使いて基材に転写する方法であり、UV(Ultra-Violet)ナノインプリント法と熱ナノインプリント法の2種類がある。UVナノインプリント法は、金型に流入したUV硬化樹脂にUV光を照射してUV硬化樹脂を硬化させて成型する方法であり、熱ナノインプリント法は、金型に流入した熱可塑性樹脂に熱及び圧力を加えて成型する方法である。UVナノインプリント法では、硬化時間が数秒程度で短いが、UV硬化樹脂材料の種類が少ない。一方、熱ナノインプリント法では、加熱冷却工程があるため、成形時間が比較的長いが、熱可塑性材料の種類が多い。このように、両ナノインプリント法にはそれぞれ長所・短所があるが、生産性を考慮すると、UVナノインプリント法が望ましい方法である。
【0003】
例えば、UVナノインプリント法で光学部品を製造する場合においては、PET(ポリエステル)フィルムなどの樹脂基材上にUVナノインプリント成型体を設けることが行われる(特許文献1)。特許文献1に開示されている方法では、樹脂基材上にUV硬化樹脂のような感光性樹脂層を形成し、マスクパターンを介して感光性樹脂層を露光して硬化させることにより、樹脂基材上に成型体を形成している。
【特許文献1】国際公開第2001−022165号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
樹脂基材と感光性樹脂、特にUV硬化樹脂とは、密着性が良好ではなく、樹脂基材から成型体が容易に剥離してしなうという問題がある。このような問題に対して、樹脂基材と感光性樹脂製成型体との間の密着性を高めるために、樹脂基材の表面にプラズマ処理を施して樹脂基材の表面を粗面化することが行われる。しかしながら、このように樹脂基材の表面にプラズマ処理を施す場合、工程数が増えてしまうことに加え、樹脂基材と感光性樹脂との間の密着性もそれほど向上されないのが現状である。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、樹脂基材との間の密着性が高いUVナノインプリント成型体を得ることができるUVナノインプリント成型体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のUVナノインプリント成型体の製造方法は、樹脂全体に対して水酸基を含む樹脂を20重量%〜60重量%含有するUV硬化樹脂を所定形状のキャビティを有する型の前記キャビティに流入する工程と、前記UV硬化樹脂に接触するように樹脂基材を前記型上に配設する工程と、前記UV硬化樹脂にUV光を照射することにより前記UV硬化樹脂を硬化させて、前記樹脂基材上に前記所定形状のナノインプリント成型体を得る工程と、を具備することを特徴とする。
【0007】
樹脂基材の表面には、酸素で終端された分子が存在する。また、本発明の方法で用いるUV硬化樹脂は、樹脂全体に対して水酸基を含む樹脂を25重量%〜60重量%含有するので、水酸基(OH基)が多く存在する。このため、樹脂基材表面の酸素とUV硬化樹脂の水酸基との間で水素結合が形成されることとなる。これにより、樹脂基材とUV硬化樹脂との間の密着性が高いUVナノインプリント成型体を得ることができる。
【0008】
本発明のUVナノインプリント成型体の製造方法においては、前記水酸基を含む樹脂の平均分子量に対する水酸基の分子量の割合が40%以上であることが好ましい。
【0009】
本発明のUVナノインプリント成型体の製造方法においては、前記UV硬化樹脂が、ラジカル重合型UV硬化樹脂又はカチオン重合型UV硬化樹脂であることが好ましい。
【0010】
本発明のUVナノインプリント成型体の製造方法においては、前記樹脂基材が透明フィルムであり、前記透明フィルム側を介して前記UV硬化樹脂にUV光を照射することが好ましい。
【0011】
本発明のUVナノインプリント成型体の製造方法においては、前記UVナノインプリント成型体が光学部品であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のUVナノインプリント成型体の製造方法は、樹脂全体に対して水酸基を含む樹脂を20重量%〜60重量%含有するUV硬化樹脂を所定形状のキャビティを有する型の前記キャビティに流入し、前記UV硬化樹脂に接触するように樹脂基材を前記型上に配設し、前記UV硬化樹脂にUV光を照射することにより前記UV硬化樹脂を硬化させて、前記樹脂基材上に前記所定形状のナノインプリント成型体を得るので、樹脂基材との間の密着性が高いUVナノインプリント成型体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明のUVナノインプリント成型体の製造方法を説明するための図である。本発明のUVナノインプリント成型体の製造方法は、図1に示すように、樹脂全体に対して水酸基を含む樹脂を20重量%〜60重量%含有するUV硬化樹脂3を所定形状のキャビティを有する型1の前記キャビティに流入し、前記UV硬化樹脂3に接触するように樹脂基材2を前記型上に配設し、前記UV硬化樹脂3にUV光を照射することにより前記UV硬化樹脂3を硬化させて、前記樹脂基材2上に前記所定形状のナノインプリント成型体を得ることを特徴とする。
【0014】
本発明のUVナノインプリント成型体の製造方法においては、図1に示すように、樹脂基材2が透明フィルムであり、前記透明フィルム側を介して前記UV硬化樹脂3にUV光を照射することが好ましい。このような構成にすることにより、型1を透明にする必要がなく、型の材質の自由度を大きくすることができる。
【0015】
本発明のUVナノインプリント成型体の製造方法において、UV硬化樹脂3は、樹脂全体に対して水酸基を含む樹脂を20重量%〜60重量%含有する。本発明の方法により得られたUVナノインプリント成型体は、図2に示すように樹脂基材2とUV硬化樹脂3とが結合していると考えられる。すなわち、樹脂基材2、例えばPETフィルムの表面には、酸素で終端された分子が存在する。本発明の方法で用いるUV硬化樹脂3は、樹脂全体に対して水酸基を含む樹脂を20重量%〜60重量%含有するので、図2に示すように、水酸基(OH基)が多く存在する。このため、樹脂基材2表面の酸素とUV硬化樹脂3の水酸基との間で水素結合が形成されることとなる。これにより、樹脂基材2とUV硬化樹脂3との間の密着性が高いUVナノインプリント成型体を得ることができる。
【0016】
UV硬化樹脂としては、ラジカル重合型UV硬化樹脂又はカチオン重合型UV硬化樹脂を挙げることができる。ラジカル重合型UV硬化樹脂に含まれる反応系モノマーとしては、アクリル酸エステル、アクリレートなどがあり、例えばビスフェノールAジアクリレート、ベンジルジメタクリレートなどを挙げることができる。ラジカル重合型UV硬化樹脂に含まれる開始剤としては、αヒドロキシアルキルフェノンなどを挙げることができる。カチオン重合型UV硬化樹脂に含まれる反応系モノマーとしては、エポキシ環、オキセタン環などを有する化合物などを用いることができ、例えばフェニルグリシジルエーテル、エポキシフルオレン、脂環型エポキシ、オキセタンアルコールを挙げることができる。カチオン重合型UV硬化樹脂に含まれる開始剤としては、ヨードニウム塩系光カチオン重合開始剤などが用いられ、例えばヨードニウム(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフルオロフォスフェート(1−)プロピレンカーボネートを挙げることができる。
【0017】
本発明において用いるUV硬化樹脂は、水酸基を含む樹脂を含有する。この樹脂は、図2に示すように、樹脂基材2表面の酸素とUV硬化樹脂3の水酸基との間で有効に水素結合が形成されるようにするために、UV硬化樹脂全体に対して25重量%〜60重量%含むことが好ましい。また、樹脂基材2表面の酸素とUV硬化樹脂3の水酸基との間で有効に水素結合が形成されるようにするために、水酸基を含む樹脂の平均分子量に対する水酸基の分子量の割合が40%以上であることが好ましい。
【0018】
UV硬化樹脂は、本発明の効果を損なわない質的、量的範囲内で他の成分を含有しても良い。例えば、UV硬化樹脂は、UVナノインプリント成型体を光学部品に適用する場合などには、高屈折率成分を含有させても良く、UV光の吸収率を高めるために、増感剤などを含有させても良い。
【0019】
上記UV硬化樹脂を用いて成型されたUVナノインプリント成型体は、光導波路型照光フィルム、光導波路、レンズなどの光学部品に適用することができる。
【0020】
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。なお、以下の説明では、モノマーの配合比、添加剤の添加量共にモノマー全体に対する重量%で示すため、全量を合計すると100%を超える。また、数字の端数処理の影響で、モノマー量の合計で100%にならない場合もある。
【0021】
(実施例1)
水酸基を有するアクリル系のラジカル重合型UV硬化樹脂M600−A(共栄社化学社製、商品名)40重量%、通常の(相対的に水酸基が非常に少ない)アクリル系のラジカル重合型UV硬化樹脂TO−1463(東亜合成社製、商品名)60重量%、並びに開始剤IRGA84(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名)2重量%を含むラジカル重合型UV硬化樹脂を準備した。なお、水酸基を有するラジカル重合型UV硬化樹脂の硬化後の赤外線吸収スペクトルは、図3(a)に示すように、水酸基の吸収Xが相対的に大きく、通常のラジカル重合型UV硬化樹脂の硬化後の赤外線吸収スペクトルは、図3(b)に示すように、水酸基の吸収Xが相対的に小さい。
【0022】
このUV硬化樹脂を用いて、図1に示すようにして、UVナノインプリント成型体を成型した。すなわち、UV硬化樹脂を型のキャビティに流入し、UV硬化樹脂3に接触するようにPETフィルムを型上に配設し、PETフィルムを介してUV硬化樹脂にUV光を照射することによりUV硬化樹脂を硬化させて、PETフィルム上にナノインプリント成型体を得た。このとき、UV光の照射エネルギーを1200mJ/cmとした。
【0023】
得られたUVナノインプリント成型体について、JIS K5600−5−6に準拠した方法で密着度判定を行った。ナノインプリント成型体に、1mmの格子状の切れ込みを入れ、粘着テープにて剥離試験を行った時、剥がれがない場合を◎とし、微少な剥がれが確認される場合を○とし、それ以外で剥がれが大きい場合を×とした。その結果を下記表1に示す。また、OH基を含む樹脂の平均分子量に対するOH基の分子量の割合についても併記した。
【0024】
(実施例2)
水酸基を有するアクリル系のラジカル重合型UV硬化樹脂M600−A(共栄社化学社製、商品名)11重量%及びG201P(共栄社化学社製、商品名)11重量%、通常のアクリル系のラジカル重合型UV硬化樹脂TO−1463(東亜合成社製、商品名)55重量%及びM−220(東亜合成社製、商品名)22重量%、並びに開始剤IRGA84(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名)2重量%を含むラジカル重合型UV硬化樹脂を準備した。
【0025】
このUV硬化樹脂を用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上にナノインプリント成型体を得た。得られたUVナノインプリント成型体について、実施例1と同様にして密着度判定を行った。その結果を下記表1に併記する。
【0026】
(実施例3)
水酸基を有するアクリル系のラジカル重合型UV硬化樹脂G201P(共栄社化学社製、商品名)50重量%、通常のアクリル系のラジカル重合型UV硬化樹脂TO−1463(東亜合成社製、商品名)50重量%、並びに開始剤IRGA84(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名)2重量%を含むラジカル重合型UV硬化樹脂を準備した。
【0027】
このUV硬化樹脂を用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上にナノインプリント成型体を得た。得られたUVナノインプリント成型体について、実施例1と同様にして密着度判定を行った。その結果を下記表1に併記する。
【0028】
(比較例1)
通常のアクリル系のラジカル重合型UV硬化樹脂TO−1463(東亜合成社製、商品名)100重量%、及び開始剤IRGA84(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名)2重量%を含むラジカル重合型UV硬化樹脂を準備した。
【0029】
このUV硬化樹脂を用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上にナノインプリント成型体を得た。得られたUVナノインプリント成型体について、実施例1と同様にして密着度判定を行った。その結果を下記表1に併記する。
【0030】
(比較例2)
通常のアクリル系のラジカル重合型UV硬化樹脂TO−1463(東亜合成社製、商品名)50重量%及びM−220(東亜合成社製、商品名)50重量%、並びに開始剤IRGA84(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名)2重量%を含むラジカル重合型UV硬化樹脂を準備した。
【0031】
このUV硬化樹脂を用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上にナノインプリント成型体を得た。得られたUVナノインプリント成型体について、実施例1と同様にして密着度判定を行った。その結果を下記表1に併記する。
【0032】
(実施例4)
水酸基を有するオキセタン系のカチオン重合型UV硬化樹脂OXT101(東亜合成社製、商品名)60重量%、通常のエポキシ系のカチオン重合型(相対的に水酸基が非常に少ない)UV硬化樹脂セロキサイド3000(ダイセル化学社製、商品名)40重量%、並びに開始剤IRGA250(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名)1.5重量%及びIRGA184(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名)0.5重量%を含むカチオン重合型UV硬化樹脂を準備した。なお、水酸基を有するカチオン重合型UV硬化樹脂の硬化後の赤外線吸収スペクトルは、図4(a)に示すように、水酸基の吸収Yが相対的に大きく、通常のカチオン重合型UV硬化樹脂の硬化後の赤外線吸収スペクトルは、図4(b)に示すように、水酸基の吸収Yが相対的に小さい。
【0033】
このUV硬化樹脂を用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上にナノインプリント成型体を得た。得られたUVナノインプリント成型体について、実施例1と同様にして密着度判定を行った。その結果を下記表1に併記する。
【0034】
(実施例5)
水酸基を有するオキセタン系のカチオン重合型UV硬化樹脂OXT101(東亜合成社製、商品名)50重量%、通常のエポキシ系のカチオン重合型UV硬化樹脂セロキサイド3000(ダイセル化学社製、商品名)50重量%、並びに開始剤IRGA250(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名)1.5重量%及びIRGA184(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名)0.5重量%を含むカチオン重合型UV硬化樹脂を準備した。
【0035】
このUV硬化樹脂を用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上にナノインプリント成型体を得た。得られたUVナノインプリント成型体について、実施例1と同様にして密着度判定を行った。その結果を下記表1に併記する。
【0036】
(実施例6)
水酸基を有するオキセタン系のカチオン重合型UV硬化樹脂OXT101(東亜合成社製、商品名)60重量%、通常のエポキシ系のカチオン重合型UV硬化樹脂セロキサイド3000(ダイセル化学社製、商品名)30重量%及びOXT212(東亜合成社製、商品名)10重量%、並びに開始剤IRGA250(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名)1.5重量%及びIRGA184(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名)0.5重量%を含むカチオン重合型UV硬化樹脂を準備した。
【0037】
このUV硬化樹脂を用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上にナノインプリント成型体を得た。得られたUVナノインプリント成型体について、実施例1と同様にして密着度判定を行った。その結果を下記表1に併記する。
【0038】
(実施例7)
水酸基を有するオキセタン系のカチオン重合型UV硬化樹脂OXT101(東亜合成社製、商品名)40重量%、通常のエポキシ系のカチオン重合型UV硬化樹脂セロキサイド2021P(ダイセル化学社製、商品名)60重量%、並びに開始剤IRGA250(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名)1.5重量%及びIRGA184(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名)0.5重量%を含むカチオン重合型UV硬化樹脂を準備した。
【0039】
このUV硬化樹脂を用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上にナノインプリント成型体を得た。得られたUVナノインプリント成型体について、実施例1と同様にして密着度判定を行った。その結果を下記表1に併記する。
【0040】
(実施例8)
水酸基を有するオキセタン系のカチオン重合型UV硬化樹脂OXT101(東亜合成社製、商品名)25重量%、通常のエポキシ系のカチオン重合型UV硬化樹脂セロキサイド2021P(ダイセル化学社製、商品名)50重量%及びオグソールEG(大阪ガスケミカル社製、商品名)25重量%、並びに開始剤IRGA250(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名)2.5重量%、PI2074(ローディア・ジャパン社製、商品名)1重量%及びIRGA184(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名)0.5重量%を含むカチオン重合型UV硬化樹脂を準備した。
【0041】
このUV硬化樹脂を用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上にナノインプリント成型体を得た。得られたUVナノインプリント成型体について、実施例1と同様にして密着度判定を行った。その結果を下記表1に併記する。
【0042】
(比較例3)
通常のオキセタン系のカチオン重合型UV硬化樹脂OXT121(東亜合成社製、商品名)20重量%、OXT221(東亜合成社製、商品名)15重量%、通常のエポキシ系のカチオン重合型UV硬化樹脂セロキサイド3000(ダイセル化学社製、商品名)35重量%及びオグソールEG(大阪ガスケミカル社製、商品名)30重量%、並びに開始剤PI2074(ローディア・ジャパン社製、商品名)1重量%及びIRGA184(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名)0.5重量%を含むカチオン重合型UV硬化樹脂を準備した。
【0043】
このUV硬化樹脂を用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上にナノインプリント成型体を得た。得られたUVナノインプリント成型体について、実施例1と同様にして密着度判定を行った。その結果を下記表1に併記する。
【0044】
(比較例4)
通常のオキセタン系のカチオン重合型UV硬化樹脂OXT121(東亜合成社製、商品名)20重量%、OXT221(東亜合成社製、商品名)15重量%、通常のエポキシ系のカチオン重合型UV硬化樹脂セロキサイド3000(ダイセル化学社製、商品名)35重量%及びオグソールEG(大阪ガスケミカル社製、商品名)30重量%、並びに開始剤IRGA250(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名)1.5重量%及びIRGA184(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名)0.5重量%を含むカチオン重合型UV硬化樹脂を準備した。
【0045】
このUV硬化樹脂を用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上にナノインプリント成型体を得た。得られたUVナノインプリント成型体について、実施例1と同様にして密着度判定を行った。その結果を下記表1に併記する。
【表1】

【0046】
表1から分かるように、本発明に係るUVナノインプリント成型体(実施例1から実施例8)は、水酸基が相対的に多く含まれているUV硬化樹脂を用いているので、PETフィルムとUVナノインプリント成型体との間の水素結合により密着性が優れていた。一方、比較例1から比較例4のUVナノインプリント成型体は、水酸基が相対的に非常に少ないUV硬化樹脂を用いているので、PETフィルムとUVナノインプリント成型体との間の密着性が悪かった。
【0047】
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。本発明は、図1に示すUVナノインプリント成型体の製造方法に限定されず、適宜変更して実施することができる。また、上記実施の形態においては、UVナノインプリント成型体が光学部品に適用される場合について説明しているが、本発明はこれに限定されず、UVナノインプリント成型体が他の用途に用いられる場合にも同様に適用することができる。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のUVナノインプリント成型体は、光導波路型照光フィルム、光導波路、レンズなどの光学部品に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態に係るUVナノインプリント成型体の製造方法を説明するための図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るUVナノインプリント成型体の製造方法により得られたUVナノインプリント成型体の密着性を説明するための図である。
【図3】(a),(b)は、ラジカル重合型UV硬化樹脂の赤外線吸収を示す図である。
【図4】(a),(b)は、カチオン重合型UV硬化樹脂の赤外線吸収を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 型
2 樹脂基材
3 UV硬化樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂全体に対して水酸基を含む樹脂を20重量%〜60重量%含有するUV硬化樹脂を所定形状のキャビティを有する型の前記キャビティに流入する工程と、前記UV硬化樹脂に接触するように樹脂基材を前記型上に配設する工程と、前記UV硬化樹脂にUV光を照射することにより前記UV硬化樹脂を硬化させて、前記樹脂基材上に前記所定形状のナノインプリント成型体を得る工程と、を具備することを特徴とするUVナノインプリント成型体の製造方法。
【請求項2】
前記水酸基を含む樹脂の平均分子量に対する水酸基の分子量の割合が40%以上であることを特徴とする請求項1記載のUVナノインプリント成型体の製造方法。
【請求項3】
前記UV硬化樹脂が、ラジカル重合型UV硬化樹脂又はカチオン重合型UV硬化樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のUVナノインプリント成型体の製造方法。
【請求項4】
前記樹脂基材が透明フィルムであり、前記透明フィルム側を介して前記UV硬化樹脂にUV光を照射することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のUVナノインプリント成型体の製造方法。
【請求項5】
前記UVナノインプリント成型体が光学部品であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のUVナノインプリント成型体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−58466(P2010−58466A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228973(P2008−228973)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】