説明

UV吸収性灰色ガラス組成物

新規なガラス組成物が開示されている。そのガラス組成物は、65〜75重量%のSiO、10〜20重量%のNaO、5〜15重量%のCaO、0〜5重量%のMgO、0〜5重量%のAl、0〜5重量%のKO、0〜5%のB、及び0〜0.5%のMnOから構成された基礎ガラス組成物と、0.65重量%までの全鉄、2ppm〜10ppmの範囲のSe、CeO、V、TiO、及びMoOから選択された少なくとも一種類のUV吸収剤、20ppmまでのCoO、及び75ppmまでのCr、を含む着色剤及び性質修正材料部分とを含み、然も、そのガラス組成物は0.2〜0.6の範囲のレドックス比を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス組成物、特に良好な紫外線(UV)吸収性を有する灰色ガラス組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス基体は、自動車用途、建築用途、宇宙船用途、等のような種々の用途で用いられている。ガラス基体の最終用途により、ガラス基体が、或る性質、(a)美的性質、例えば、色(それらに限定されるものではない)及び(b)太陽光調節性、例えば、全太陽エネルギー透過率(TSET)、赤外線透過率、及び紫外線透過率(それらに限定されるものではない)を示すことが望ましいであろう。
【0003】
例えば、ガラス基体は、自動車視界パネル(即ち、前面窓、側面窓、等)として自動車用途で用いられている。自動車視界パネルは、望ましい色を示す必要がある。現在自動車の視界パネルに望ましい色には、青、緑、及び灰色が含まれる。更に、自動車視界パネルを、米国で運転される乗り物の前面風防ガラスとして用いる場合、70%に等しいか又はそれより大きい可視光透過率(Lta)を示さなければならないであろう。米国以外の国では、前面風防ガラスに対するLta条件は異なっている。
【0004】
ガラス基体の美的性質及び太陽光調節性を修正する一つのやり方は、ガラス基体の化学的組成(即ち、ガラス組成物を構成する材料の種類及び/又はガラス組成物中の種々の材料の重量%)を変化させることが含まれる。屡々ガラス組成物の太陽光調節性を修正することができる着色剤及び/又は他の材料を、ソーダ・石灰・シリカ基礎ガラス組成物のようなよく知られた基礎ガラス組成物に添加し、独特の性能特性を示すことができるガラス基体を与える。ガラス組成物の太陽光調節性を修正することができる一種類の着色剤又は一種類の材料の効果は知られていることがある〔例えば、基礎ガラス組成物にFeOを添加すると、そのガラス組成物の赤外(IR)吸収性を増大することが知られている〕が、本発明の本質は、ガラス組成物の太陽光調節性を修正することができる種々の着色剤及び/又は材料を使用し、夫々の着色剤又は材料は独特の効果を夫々生ずることができるものであり、それらを使用して集約的に性能特性の組合せを達成することにある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明により、ソーダ・石灰・シリカ基礎ガラス組成物に新規な材料を新規な量で添加し、希望の美的及び太陽光調節性を示すことができるガラス基体を与える。本発明の基体として3.9mm(0.1535in)の厚さのガラス組成物により実現される希望の美的及び太陽光調節性の組合せは、次の通りである:
1. 480〜580nmの範囲の主要波長及び8%に等しいか又はそれより小さい刺激純度を特徴とする中間灰色;
2. 60%以上の可視光透過率(Lta);
3. 40%に等しいか又はそれより小さい全太陽赤外線透過率(TSIR);
4. 60%に等しいか又はそれより小さい全太陽エネルギー透過率(TSET);及び
5. 30%に等しいか又はそれより小さい全太陽紫外線透過率(ISOUV)。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、65〜75重量%のSiO、10〜20重量%のNaO、5〜15重量%のCaO、0〜5重量%のMgO、0〜5重量%のAl、0〜5重量%のKO、0〜5重量%のB、及び0〜0.5重量%のMnO、を含み、更に着色剤及び性質修正材料(property modifying material)部分で、0.65重量%までの全鉄、2ppm〜10ppmの範囲のSe、CeO、V、TiO、及びMoOから選択された少なくとも一種類のUV吸収剤、20ppmまでのCoO、及び75ppmまでのCrを含むガラス組成物であり、然も、0.2〜0.6の範囲のレドックス比を有するガラス組成物を一つの態様とするが、それらに限定されるものではない。
【0007】
別の態様として、本発明は、65〜75重量%のSiO、10〜20重量%のNaO、5〜15重量%のCaO、0〜5重量%のMgO、0〜5重量%のAl、0〜5重量%のKO、0〜5重量%のB、及び0〜0.5%のMnOを含む基礎ガラス組成物と、着色剤及び性質修正材料部分で、0.65重量%までの全鉄、2ppm〜10ppmの範囲のSe、CeO、V、TiO、及びMoOから選択された少なくとも一種類のUV吸収剤、20ppmまでのCoO、及び75ppmまでのCrを含む材料部分とを含むガラス組成物で、然も、0.2〜0.6の範囲のレドックス比を有するガラス組成物から形成されたガラスシートであって、3.9mm(0.1535in)の厚さで次の性質:(a)480〜580nmの範囲の主要波長及び8%に等しいか又はそれより小さい刺激純度を特徴とする灰色;(b)65%に等しいか又はそれより大きいLta;(c)35%に等しいか又はそれより小さい全太陽赤外線透過率(TSIR);(d)55%に等しいか又はそれより小さい全太陽エネルギー透過率(TSET);及び(e)30%に等しいか又はそれより小さい全太陽紫外線透過率(ISOUV);の一つ以上を示すガラスシートにある。
【0008】
本発明の説明
ここで用いられているように、本明細書及び特許請求の範囲で用いられている大きさ、物理的特性、処理パラメーター、成分の量、反応条件、等々を表す全ての数値は、どの場合でも用語「約」によって修正されるものと理解すべきである。従って、反することが示されていない限り、次の明細書及び特許請求の範囲に記載された数値は、本発明によって得られるように求められている希望の性質に依存して変化するであろう。少なくとも、特許請求の範囲に均等論を適用することを限定しようとするものではなく、夫々の数値は、報告された重要な数字の数を考慮にいれ、通常の数字を丸める方法を適用することにより、少なくとも解釈されるべきである。更にここに記載する全ての範囲は、範囲の初めと終わりの値、及びそこに含まれるどのような全ての従属範囲でも包含されるものと理解すべきである。例えば、「1〜10」と言う記載された範囲は、1の最小値と10の最大値の間の(それらの数字も含め)どのような全ての従属範囲、即ち、1以上の最小値から始まって、10以下の最大値で終わる全ての従属範囲、例えば、1.0〜3.8、6.6〜9.7、及び5.5〜10も含まれるものと考えるべきである。
【0009】
ここで用いられている用語「重量%」は、ガラス組成物中の材料の量を記述するのに用いられた場合、ガラス組成物の全重量に基づく重量%を意味する。
【0010】
本発明のガラス組成物は、(a)基礎ガラス部分、及び(b)着色剤及び太陽光性能修正部分を含む。本発明による基礎ガラス部分は、特定の量で下の表1に示す成分を含む。
【0011】
【表1】

【0012】
記載した基礎ガラス部分は、当分野では「ソーダ・石灰・シリカ」ガラス組成物と呼ばれている。
【0013】
本発明によれば、種々の着色剤及びガラスの太陽光性能特性を修正することができる材料を基礎ガラス組成物に添加する。着色剤と、ガラスの太陽光性能特性を修正することができる材料との両方を、「着色剤及び性質修正材料」としてここでは言及する。本発明のガラス組成物の着色剤及び性質修正材料には、酸化鉄(Fe及びFeO)、酸化セリウム(CeO)、セレン(Se)、酸化チタン(TiO)、酸化エルビウム(Er)、酸化ネオジム(Nd)、酸化バナジウム(V)、酸化コバルト(CoO)、酸化クロム(Cr)、及び酸化ニッケル(Ni);が含まれる。
【0014】
本発明によれば、鉄は、酸化第二鉄(Fe)及び酸化第一鉄(FeO)の両方としてガラス組成物中に存在することができる。当分野でよく知られているように、Feは紫外線の強い吸収剤であり、黄色の着色剤である。当分野でよく知られているように、FeOは赤外線の強い吸収剤であり、青色着色剤である。
【0015】
本発明のガラス組成物中に存在する「全鉄」は、工業的に標準的なやり方のように、「Fe」として表す。これは、ガラス組成物中に存在する鉄の全てがFeの形になっていることを意味するものではない。本発明のガラス組成物中の全鉄は、ガラス組成物の全重量%に基づき0.65重量%までの範囲、例えば、0.28〜0.6重量%、又は0.3〜0.35重量%の範囲にある。
【0016】
本発明のガラス組成物中の第一鉄状態で存在する鉄の量は、工業的に標準的なやり方として、「FeO」として表されている。第一鉄状態の鉄の量はFeOとして表されているが、第一鉄状態の全量が、実際にFeOとしてガラス中に存在していなくいもよい。
【0017】
本発明のガラス組成物は、或る「レドックス比」を有する。ここで用いられる「レドックス比」は、第一鉄状態の鉄(「FeO」として表されている)量を、全鉄(Feとして表されている)量で割ったものである。本発明によるガラス組成物は、0.2〜0.6の範囲、例えば、0.25〜0.55、又は0.45〜0.55の範囲のレドックス比を有する。
【0018】
本発明によれば、Seを本発明のガラス組成物に添加する。Seはピンク色の着色剤として当分野で知られている。ガラス組成物中のSeの量は、2ppm〜10ppm、例えば、3ppm〜7ppmの範囲にある。
【0019】
本発明によれば、CeO、V、TiO、及び/又は酸化モリブデン(MoO)のようなよく知られたUV吸収剤をガラス組成物に添加する。典型的には、ガラスのレドックス比が高くなる程、Feにより与えられるUV吸収性の損失を補充するために必要になるUV吸収剤は多くなる。本発明の一つの態様として、CeOは、0.2重量%〜3.0重量%、例えば、0.5重量%〜2.5重量%の範囲の量でガラス組成物に添加されるが、それらに限定されるものではない。本発明の別の態様として、TiOを、ガラス組成物に0.1重量%〜1.0重量%、例えば、0.2重量%〜0.5重量%の範囲の量で添加するが、それらに限定されるものではない。本発明の更に別の態様として、MoOをガラス組成物に、0.005重量%〜0.075重量%、例えば、0.015重量%〜0.045重量%の範囲の量で添加するが、それらに限定されるものではない。
【0020】
本発明によれば、酸化バナジウム(V)をガラス組成物に添加してもよい。バナジウムは、その原子価状態によりUV及びIRの両方の輻射線の吸収剤及び黄緑色の着色剤として当分野で知られている。+5の原子価状態のVはUV吸収剤である。+4原子価状態のVは、IR吸収剤である。本発明の態様として、ガラス組成物中のVの量は、0.3重量%に等しいか又はそれより少なく、例えば、0.2重量%に等しいか又はそれより少なく、0.1重量%に等しいか又はそれより少ない。
【0021】
本発明によれば、Erをガラス組成物に添加してもよい。Erはピンク色の着色剤として当分野で知られている。本発明の態様として、ガラス組成物中のErの量は、3重量%に等しいか又はそれより少なく、例えば、0.1重量%〜2重量%、又は0.5重量%〜1.7重量%であるが、それらに限定されるものではない。
【0022】
本発明によれば、Ndをガラス組成物に添加することができる。Ndは当分野で青色着色剤として知られている。本発明の態様として、ガラス組成物中のNdの量は3重量%に等しいか又はそれより少なく、例えば、0.1重量%〜1重量%、又は0.1重量%〜0.5重量%である。
【0023】
本発明によれば、CoOをガラス組成物に添加する。CoOは青色着色剤として当分野で知られている。本発明の一つの態様として、ガラス組成物中のCoOの量は、20ppmに等しいか又はそれより少なく、例えば、15ppmに等しいか又はそれより少なく、或は11ppmに等しいか又はそれより少ないが、それらに限定されるものではない。
【0024】
本発明によれば、Crをガラス組成物に添加する、Crは緑色着色剤及びUV吸収剤として当分野で知られている。本発明の一つの態様として、ガラス組成物中のCrの量は、75ppmに等しいか又はそれより少なく、例えば、50ppmに等しいか又はそれより少ない。
【0025】
本発明によれば、Niをガラス組成物に添加してもよい。Niは褐色着色剤として当分野で知られている。本発明の一つの態様として、ガラス組成物中のNiの量は、50ppmに等しいか又はそれより少なく、例えば、25ppmに等しいか又はそれより少なく、或は10ppmに等しいか又はそれより少ない。
【0026】
本発明のガラス組成物は、慣用的ガラス製造方法により製造することができる。例えば、ガラス組成物は、坩堝溶融物によるバッチ材料、シート引張り法、フロートガラス法、等により形成することができる。典型的には、よく知られたバッチ材料を、着色剤及び性質修正材料と混合し、処理して本発明のガラス組成物にする。一つの態様として、本発明のガラス組成物は、当分野でよく知られているフロートガラス法により形成されるが、それらに限定されるものではない。
【0027】
ガラス組成物を形成するのに用いた原料/装置の結果として、SrO及びZrOのような或る不純物が最終的ガラス組成物中に存在するようになり易い。そのような材料はガラス組成物中に僅かな量で存在し、ここでは「トランプ(tramp)材料」として言及する。トランプ材料は、もしあったとしても、ガラスの性質に与える影響は最小限である。
【0028】
本発明の一つの態様として、ガラス組成物をガラス基体に形成するが、それらに限定されるものではない。種々の厚さを有するガラス基体を形成することができる。例えば、24mmまでの厚さを有するガラス基体を形成することができる。
【0029】
一つの態様として、本発明は、次の性能特性を示す3.9mm(0.1535in)の厚さを有するガラス基体を包含するが、それらに限定されるものではない:
1. 480〜580nm、例えば、490〜570nm、又は500〜560nmの範囲の主要波長及び8%に等しいか又はそれより小さく、例えば、6%に等しいか又はそれより小さく、或は4%に等しいか又はそれより小さい刺激純度を特徴とする灰色;
2. 60%に等しいか又はそれより大きく、例えば、65%に等しいか又はそれより大きく、或は70%に等しいか又はそれより大きいLta;
3. 40%に等しいか又はそれより小さく、例えば、35%に等しいか又はそれより小さく、或は30%に等しいか又はそれより小さい全太陽赤外線透過率(TSIR);
4. 60%に等しいか又はそれより小さく、例えば、55%に等しいか又はそれより小さく、或は50%に等しいか又はそれより小さい全太陽エネルギー透過率(TSET);及び
5. 30%に等しいか又はそれより小さく、例えば、25%に等しいか又はそれより小さく、或は20%に等しいか又はそれより小さい全太陽紫外線透過率(ISOUV)。
【0030】
上記性能特性は、下に記載したようにして測定する:
1.可視光透過率(Lta)は、380〜770nmの波長範囲に亙って10nmの間隔でC.I.E.1931、標準照明「A」を用いて測定した。
2.全太陽紫外線透過率(ISOUV)は、280〜380nmの波長範囲に亙って5nmの間隔でISO 9050に従い測定した。
3.全太陽赤外線透過率(TSIR)は、800〜2100nmの波長範囲に亙って50nmの間隔で測定した。
4.全太陽エネルギー透過率(TSET)は、50nmの間隔で300〜2100nmの測定された透過率に基づく計算値を表す。
5.色は、C.I.E.1931、標準照明「C」を用い、2°の観察方向で、主波長及び刺激純度に関して測定した。
【0031】
全ての太陽光透過率データーは、ペリー・ムーン・エアー・マス(Parry Moon air mass)2.0太陽照度データーを用いて計算した。当分野でよく知られているように、透過率値は、台形法則(Trapezoidal Rule)を用いて波長範囲に亙って積分した。
【0032】
ここに与えたスペクトル性は、直角の入射角で報告してある。もし表面垂線に対する入射角が増大すると、反射光と吸収光の両方の大きさを変化させ、透過光の大きさを変化させる結果になるであろう。
【0033】
表面垂線に対する入射角が増大すると、それに比例して物品による吸収により失われる光も多くなる。これは、有限の厚さの透明物品を通って移動する光の有効通路が、入射角のコサインの逆数に比例して増大するからである。
【0034】
要するに、ガラスのような透明物品を通る非偏光の透過量は、一般に垂直に入射した場合よりも非直角の入射角の方が少なくなる。上で述べたことは、どのような与えられた波長でも当て嵌まり、ISOUV、Lta、TSET、等のような積分スペクトル性に対し当て嵌まる。一例として、設置角度の自動車風防ガラスが透過する紫外線、可視光、又は赤外エネルギー又は光の量は、垂直に入射して測定された同じ物品によるよりも少ない。
【0035】
本発明の一つの態様として、ガラス基体をガラス視界パネルとして用いるが、それらに限定されるものではない。本発明の別の態様として、少なくとも一つのガラス基体を用いて、自動車風防ガラスのような積層物品を形成するが、それらに限定されるものではない。
【実施例】
【0036】
本発明を、次の例で例示するが、それらに限定されるものではない。例1〜10は、次のやり方で製造された。表2に示した成分を秤量し、混合した。半分のバッチ材料を4インチシリカ坩堝に入れて1,343℃(2,450°F)に加熱した。次に坩堝の温度を30分間1,343℃(2,450°F)に維持した。次に溶融バッチ材料を1,371℃(2,500°F)へ加熱し、その温度に30分間維持した。次にその溶融バッチ材料を1,399℃(2,550°F)の温度に加熱し、残りの半分のバッチ材料をその坩堝に添加した後、それをその温度に30分間維持した。次にその溶融バッチ材料を1,427℃(2,600°F)の温度に加熱し、その温度に1時間維持した。次に、溶融ガラスを水に入れてフリットにし、乾燥し、白金坩堝で1,454℃(2,650°F)に2時間再び加熱した。次に溶融したガラスを坩堝から流出させ、板を形成し、アニールした。その板から試料を切断し、分析するため研磨した。
【0037】
【表2】

【0038】
夫々の例のガラス組成物を、RIGAKU3370蛍光X線分光計を用いて決定した。分析の結果を表3に示す。
【0039】
【表3】

【0040】
それら例のスペクトル性能特性は、パーキン・エルマー・ラムダ(Perkin-Elmer Lambda)9UV/VIS/NIR分光計を用いて決定した。3.9mm厚の試料についての性能特性を表4に示す。
【0041】
【表4】

【0042】
表4に基づき、本発明のガラス組成物を用いて、種々の性能特性を示すガラス基体を形成することができる。例は、次の性質を有する灰色ガラス組成物を形成することができることを示しているが、それらに限定されるものではない:60%〜80%、例えば、65%〜77%の範囲のLta;5%〜27%、例えば、10%〜25%の範囲のISOUV;25%〜55%、例えば、30%〜50%の範囲のTSIR;40%〜65%、例えば、45%〜60%の範囲のTSET;510nm〜582nm、例えば、515nm〜577nmの範囲の主波長(DW);及び6.5%までの刺激純度(Pe)。
【0043】
上の記載で開示された概念から離れることなく、本発明に修正を行うことができることは当業者には容易に認められるであろう。そのような修正は、本発明の範囲内に含まれるものと考えるべきである。従って、上に詳細に記述した特定の態様は、単に例示のためであり、本発明の範囲に関する限定ではなく、添付の特許請求の範囲及びそれとの如何なる均等物全ての全範囲に本発明の範囲は与えられるべきである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiO 65〜75 重量%、
Na O 10〜20 重量%、
CaO 5〜15 重量%、
MgO 0〜5 重量%、
Al 0〜5 重量%、
O 0〜5 重量%、
0〜5 %、及び
MnO 0〜0.5%、
を含む基礎ガラス組成物と、
0.65重量%までの全鉄、
2ppm〜10ppmの範囲のSe、
CeO、V 、TiO、及びMoOから選択された少なくとも一種類のUV吸収剤、
20ppmまでのCoO、及び
75ppmまでのCr
を含む着色剤及び性質修正材料部分とを含み、
0.2〜0.6の範囲のレドックス比を有するガラス組成物。
【請求項2】
UV吸収剤が、0.2重量%〜3.0重量%の範囲の量で存在するCeOである、請求項1に記載のガラス組成物。
【請求項3】
UV吸収剤が、0.1重量%〜1.0重量%の範囲の量で存在するTiOである、請求項1に記載のガラス組成物。
【請求項4】
全鉄が、0.28〜0.6重量%の範囲にある、請求項1に記載のガラス組成物。
【請求項5】
Seが、3ppm〜7ppmの範囲にある、請求項1に記載のガラス組成物。
【請求項6】
更に、0.1重量%〜2重量%の範囲のErを含む、請求項1に記載のガラス組成物。
【請求項7】
更に、0.1重量%〜1重量%の範囲のNdを含む、請求項1に記載のガラス組成物。
【請求項8】
UV吸収剤が、0.2重量%に等しいか又はそれより少ない量で存在するVである、請求項1に記載のガラス組成物。
【請求項9】
UV吸収剤が、0.005〜0.075重量%の範囲の量で存在するMoOである、請求項1に記載のガラス組成物。
【請求項10】
CoOが、15ppmに等しいか又はそれより少ない、請求項1に記載のガラス組成物。
【請求項11】
Crが、50ppmに等しいか又はそれより少ない、請求項1に記載のガラス組成物。
【請求項12】
更に、50ppmに等しいか又はそれより少ない量でNiを含む、請求項1に記載のガラス組成物。
【請求項13】
レドックス比が0.25〜0.55の範囲にある、請求項1に記載のガラス組成物。
【請求項14】
請求項1に記載された組成物から製造されたガラスシート。
【請求項15】
3.9mm(0.1535in)の厚さで次の性質:(a)480〜580nmの範囲の主要波長及び8%に等しいか又はそれより小さい刺激純度を特徴とする灰色;(b)60%に等しいか又はそれより大きいLta;(c)40%に等しいか又はそれより小さい全太陽赤外線透過率(TSIR);(d)60%に等しいか又はそれより小さい全太陽エネルギー透過率(TSET);及び(e)30%に等しいか又はそれより小さい全太陽紫外線透過率(ISOUV);の一つ以上を示す、請求項14に記載のガラスシート。
【請求項16】
3.9mm(0.1535in)の厚さで次の性質:(a)65%に等しい又はそれより大きいLta;(b)35%に等しいか又はそれより小さい全太陽赤外線透過率(TSIR);(c)55%に等しいか又はそれより小さい全太陽エネルギー透過率(TSET);及び(d)25%に等しいか又はそれより小さい全太陽紫外線透過率(ISOUV);の一つ以上を示す、請求項15に記載のガラスシート。
【請求項17】
請求項14に記載のガラスシートを組込んだ積層物品。
【請求項18】
SiO 65〜75 重量%、
Na O 10〜20 重量%、
CaO 5〜15 重量%、
MgO 0〜5 重量%、
Al 0〜5 重量%、及び
O 0〜5 重量%、
0〜5 %、及び
MnO 0〜0.5%、
を含む基礎ガラス組成物と、
0.65重量%までの全鉄、
2ppm〜10ppmの範囲のSe、
CeO、V 、TiO、及びMoOから選択された少なくとも一種類のUV吸収剤、
20ppmまでのCoO、及び
75ppmまでのCr
を含む着色剤及び性質修正材料部分と、
を含むガラス組成物で、然も、0.25〜0.55の範囲のレドックス比を有するガラス組成物から形成されたガラスシートであり、然も、
3.9mm(0.1535in)の厚さで次の性質:(a)480〜580nmの範囲の主要波長及び8%に等しいか又はそれより小さい刺激純度を特徴とする灰色;(b)65%に等しいか又はそれより大きいLta;(c)35%に等しいか又はそれより小さい全太陽赤外線透過率(TSIR);(d)55%に等しいか又はそれより小さい全太陽エネルギー透過率(TSET);及び(e)25%に等しいか又はそれより小さい全太陽紫外線透過率(ISOUV);の一つ以上を示すガラスシート。

【公表番号】特表2009−507753(P2009−507753A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530088(P2008−530088)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/033524
【国際公開番号】WO2007/030354
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(399074983)ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド (60)
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
【Fターム(参考)】