説明

UV硬化可能なハイブリッド硬化インクジェットインク組成物およびそれを使用するソルダマスク

本出願は、ソルダマスクとして適切な潜在性インクジェットインク製剤を提供する。この組成物は、以下のものを一般的に含む:(a)少なくとも1種の自己架橋可能な化合物(USM);(b)少なくとも1種のフェノール樹脂;(c)少なくとも1種の溶媒;(d)少なくとも1種の無機充填剤;(e)少なくとも1種のポリオール;および(f)少なくとも1種の光開始剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般的に、インクジェット付与のためのハイブリッドソルダマスク製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
インクジェットインクは、インクジェットプリンタによって分離した液滴として基材に付与される特別な液体である。インクジェット技術は、他の従来的な印刷技術と比較して、スクリーンおよびフォトマスクの必要性なしで画像の形成を可能にする。液滴が要求されるか(ドロップ-オン-デマンド(drop-on-demand))、または液滴が連続的であるかのいずれかの場合にインクが付与される。従って、結果的に、対費用効果が高く、ユーザの立場から高度の柔軟性を提供する。
【0003】
関心対象の分野の1つは電子機器製造、とりわけ、印刷基板(PCB)製造であり、ここでは、ソルダマスク、マーキングインク(レジェンドまたはマーキングインク)、およびコンフォーマルマスキングインクが、スクリーン印刷によって、またはフォトリソグラフィーが後に続くコーティングによって付与される。
【0004】
重要な応用は、ソルダレジスト(ソルダマスク)であり、これは、部品(パッド、半導体デバイスに接続されたコネクタ、受動素子、および他の電子回路)と連絡する必要がある領域のみがコーティングされないままであるような様式で、PCBの外層上のパターン化された導線、パッド、およびバイア上に付与される。すべての他のコーティングされる領域はインクによって覆われ、処理液、ハンダ付け、および環境的な損傷から保護される。ソルダレジストは、処理媒体に対する化学的抵抗性、アセンブリープロセス、およびアセンブルドボードとしての長期間の耐久性に関連するすべての要件に合致しなければならない。
【0005】
穏やかな環境に供されるグラフィックアートのインクとは異なり、ソルダマスクは、ハンダ付け(ホットエアレベルハンダ付け、流れの存在下でのウェーブおよびリフロー、本明細書中以後ではすべてHASLと呼ぶ)、銅のパッドおよび表面の表面仕上げ、例えば、無電解スズ、無電解ニッケル、および金メッキ(本明細書中以後ではENIGと呼ぶ)、および有機ハンダ付け保存剤(本明細書中以後ではOSPと呼ぶ)などのPCB製造の間に厳しい環境に曝露される。ソルダマスクはまた、変化する温度および湿度の下で長時間の間、長期的な環境ストレスに持ちこたえる必要もある。
【0006】
ソルダマスクの要件は、IPC SM-840C、the Institute of Interconnecting and Packaging Electronic Circuitsによって確立された国際規格標準に列挙されている。これらの要件は、PCB製造の間に利用される条件のみならず、PCB表面へのソルダマスク製剤の付与の方法とも協調する必要がある。
【0007】
インクジェット製剤およびとりわけ工業用プリンターは、非常に潜在性である(すなわち、適用温度および1000〜100,000秒-1の範囲のずり速度(shear rate)での粘度が、保存および操作の間に、通常少なくとも2ヶ月、より典型的には3〜6ヶ月の期間にわたって2〜10 Cpsより多く増加するべきではない)インクを必要とする。エポキシなどの、最も商業的に利用可能であるソルダマスクにおいて見い出される高性能熱硬化性樹脂の多くは、十分に潜在性ではない。従来的なエポキシソルダマスク(例えば、ジシアンジアミド(DICY)によって硬化されるNovolacエポキシまたはイミダゾールもしくは無水物もしくは芳香族アミンによって硬化されるNovolacエポキシなど)がインクジェットプリンタにロードされる場合、ノズルが詰まり、インクジェット系が不可逆的に損傷するレベルまで、粘度が数時間から数日間までの期間内に増加する。他方、プリンター中の長期間の滞留を克服するために十分に潜在性である熱硬化性樹脂(例えば、アミノ樹脂)は、典型的には、十分に化学的に耐性ではない。例えば、ポリオールの導入によって、高い架橋密度が達成されている場合でさえ、加水分解安定性は、印刷基板(PCB)工業において使われるハンダ付けおよび表面仕上げ媒体に耐えるためには十分ではない。
【0008】
アクリレートおよびメタクリレートなどの不飽和モノマーおよびオリゴマーをベースとするUV硬化可能インクは、アミノ樹脂をベースとするインクよりもより化学的に安定であるが、硬化の間の高程度の収縮のために、基板への付着性が乏しい。
【0009】
欧州特許第EP 1543704号(特許文献1)は、有機溶媒を実質的に含まない非水性ソルダマスクインクを導電性金属回路を含む誘電性基板に付与する工程を含む、電子デバイスを作製するためのプロセスを提供し、ここで、このソルダマスクインクは、アクリレート官能基モノマー、金属付着促進用有機化合物、開始剤、ポリマーおよび/またはプレポリマー、着色剤、ならびに界面活性剤を含む。
【0010】
ソルダマスク、およびエポキシ樹脂またはオキシラン基化合物の光開始カチオン性硬化をベースとする露出した金属回路の領域を有する印刷基板を作製するためのプロセスを開示している米国特許出願第2006/0019077号(特許文献2)は、EP1543704(特許文献1)に開示された種類のフリーラジカル硬化およびアクリレートベースのソルダマスクの乏しい性能に関して論評している。
【0011】
この米国特許出願は、無電解メッキにおいて使用される還元剤および/またはpH/熱条件が、フリーラジカル硬化でありかつアクリレートベースである公知のインクジェットインクを積極的に攻撃する傾向があることを具体的に記述している。このような攻撃の機構は理解されてはいないが、目に見える観察(フリーラジカル硬化したアクリレートベースのソルダマスクが典型的な無電解メッキ条件に曝露されたとき)は、ソルダマスクが崩壊し、および/または層が剥離することである。この米国特許出願では、無電解メッキに対するフリーラジカル硬化およびアクリレートベースのインクの乏しい性能が、水性加水分解および/または使用した還元剤による化学的攻撃の結果である可能性があると仮定している。
【0012】
カチオン性硬化をベースとするエポキシマスクも、同様に欠点が存在しないわけではない:このような技術の主要な欠点は、湿度または塩基の夾雑による硬化の阻害、ならびに印刷ヘッドおよびインク系における「暗硬化」のリスク(硬化剤の自然な解離によって供給される遅い架橋の反応であり、ここでは、酸性副産物が、暗環境下においてさえ、数日間、そして数週間までも活性である)である。
【0013】
ENIGおよび同様の表面仕上げは、PCB工業においてますます一般的になりつつあるので、一方ではこれらの仕上げに対して耐性が改善され、他方では適切な化学的および物理的な特性を有するソルダマスクを提供することが非常に重要であり、従って、これはインクジェットによって付与されてもよい。
【0014】
【特許文献1】欧州特許第EP 1543704号
【特許文献2】米国特許出願第2006/0019077号
【発明の開示】
【0015】
発明の概要
本明細書に開示される発明の発明者らは、とりわけ、硬化の間の収縮および該収縮の結果としての乏しい接着、ならびに不十分な架橋密度に関して欧州特許第EP 1543704号に開示されるもの、ならびに湿度または塩基性夾雑物による硬化阻害、ならびに印刷ヘッドおよびインク系における「暗硬化」のリスクに関して米国特許出願第2006/0019077号に開示されるものなどの既存のソルダマスク製剤の欠点を克服するように適応されているインク製剤(本明細書では、交換可能に「インク製剤」、「インク」、または「本発明の製剤」という)を首尾よく開発した。
【0016】
本発明によって提供されるインクは、インクジェットによって印刷基板(PCB)に塗布されるように設計され、光への曝露によって不粘着状態まで部分的に架橋され、および熱硬化によって完全に架橋され、その結果、硬く、および高度に耐薬品性かつ耐熱性のソルダマスクを与える。
【0017】
従って、本発明の1つの局面において、(a)自己架橋可能な少なくとも1種の化合物(本明細書中以後ではUSMと呼ぶ);(b)少なくとも1種のフェノール樹脂;(c)少なくとも1種の溶媒;(d)少なくとも1種の無機充填剤;(e)少なくとも1種のポリオール;および(f)少なくとも1種の光開始剤を含む、インクジェットインク製剤が提供される。
【0018】
1つの態様において、このインク製剤は潜在性である。
【0019】
別の態様において、該インク製剤はソルダマスクとしての使用のために適切である。本明細書では、「ソルダレジスト」は、「ソルダマスク」という用語と交換可能に使用される。両方の用語は、線、バイア(via)、およびスペースを覆いかつ保護する様式でPCBの外層または他の機能的相互接続デバイスに付与され、かつ機能的部分のみを、他の電子デバイス、ワイヤ、またはボードと同様に、半導体デバイス、キャパシタ、ダイオード、および抵抗と相互接続することに対して開いたままにする、永続的な絶縁層をいう。
【0020】
本明細書で使用される場合、「潜在性インク」という用語、または任意のその言語上のバリエーションは、製剤が常温で(すなわち、約22〜25℃の温度で)少なくとも3ヶ月間保存された後に、100℃より下のジェット噴射温度、少なくとも1,000秒-1のずり速度において測定された、最大で10 Cps(センチポアズ)の該インク製剤の粘度変化をいう。「Cps」(センチポアズ)という単位は、本明細書で使用される場合、ポアズの100分の1(10-2)に等しい動的粘度のセンチメートル-グラム-秒単位として定義される粘度測定単位をいう。
【0021】
本明細書の製剤は、以下の硬化前特性を示した:
(1)100℃(摂氏温度)よりも低い温度で測定されるような10〜100,000秒-1のずり速度における50 Cpsよりも低い粘度、および同じ温度で測定される40ダイン/cmよりも低い表面張力;ならびに
(2)適切な潜在性-常温またはそれ以下の温度で保存したときに、製剤の粘度はより長時間の間、変化しないままであった。
【0022】
「粘度」という用語は、ずり応力(shear stress)およびずり速度の間の比率をいう。ポリマーインクの粘度は通常非ニュートン性であり、すなわち、粘度は、ずり速度が変化するにつれて変化する。大部分のインクにおいて、粘度は、ずり速度が変化するにつれて減少する(いわゆる、ずり流動化(shear-thinning)効果)。
【0023】
「ずり速度」という用語は、液体の速度と、2つのずり面(shearing plane)(例えば、管壁、ノズル直径)の間の距離との間の比率をいう:

【0024】
「表面張力」という用語は、表面または表面の近傍での不安定な分子凝集力から生じる液体の特性をいい、その結果として、表面は収縮する傾向があり、引き伸ばされた弾性膜の特性に類似する特性を有する。メートルあたりのニュートン(N.m-1)またはcmあたりのダインで測定される表面張力は、σまたはγまたはTの記号で表され、表面に対して垂直な単位長の線に沿った力として、または単位面積あたりに行われる仕事として定義される。
【0025】
硬化したインクは以下の特性を示した:
(1)基板、例えば、PCBまたは印刷配線板(PWB)または電子機器製造において使用される任意の他の固体層の上に印刷された後で、および紫外照射または可視光への曝露によって部分的に架橋された後での、不粘着および無流動状態;
(2)紫外照射または可視光への曝露によって部分的に架橋され、続いて120〜200℃の間の温度で熱的に完全に架橋された後での、フィルムの耐久性;
(3)PCB製造の厳しい環境および製造後の使用条件に関連する化学的および熱的ストレスに対する高い耐性;ならびに
(4)硬化したフィルム中での高い架橋密度ならびに塩素および可動イオンの低い滞留性から生じる電気的信頼性。
【0026】
「不粘着」という用語は、本明細書で使用される場合、フィルムの外表面が乾燥し、かつインクジェットプリンターテーブルまたは隣接するPCBボードもしくは基板の表面に粘着を有さない架橋および/または乾燥の状態をいう。「無流動」という用語は、液体インクが粘稠な液体または固体であり、基板上で流動を示さない架橋および/または乾燥の状態をいう。
【0027】
本発明の1つの態様において、該製剤は、100℃よりも低い温度で測定した場合に、10〜100,000秒-1のずり速度において50 Cpsよりも低い粘度、および同じ温度で40ダイン/cmよりも低い表面張力を有することによって特徴付けられる。
【0028】
本発明の状況において、該「自己架橋可能な少なくとも1つの化合物」(本明細書では不飽和モノマーまたはUSMと呼ぶ)は、フリーラジカル機構を介して自己架橋可能である不飽和モノマーまたはオリゴマーである。好ましくは、該USMは少なくとも80℃のガラス転移温度(Tg)を有する。
【0029】
1つの態様において、該自己架橋は、アクリル、メタクリル、ビニル、フマリル、アリルエーテル、アリルエステル、およびそれらの任意の組み合わせから非限定的な様式で選択された少なくとも1つの不飽和基を介して達成され、該不飽和基は、多価アルコール、イソシアヌル酸およびその誘導体、ノボラック樹脂、ウレタン含有オリゴマー、アミド含有オリゴマー、エポキシ樹脂およびその誘導体、イソボルニルおよびその誘導体、イミド含有オリゴマー、少なくとも1つの脂環式環を有する脂環式環系、トリアジンおよびその誘導体などの複素環式環系から非限定的な様式で選択されたバックボーンに共有結合されている。
【0030】
別の態様において、USMは、5,000ダルトンより小さな分子量、より好ましくは、2,000ダルトンよりも小さな分子量によって特徴付けられる。
【0031】
なお別の態様において、USMは、100℃よりも低い温度における500 Cpsよりも低い粘度によって特徴付けられる。
【0032】
本明細書で使用される場合、有機基、遊離基、および置換基は、当業者に公知の最も広い定義が与えられる。
【0033】
1つの態様において、該USMは、アクリル酸イソボルニルまたはメタクリル酸イソボルニル;短いポリオールおよび多価アルコールのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル;アクリル酸ウレタンまたはメタクリル酸ウレタン;短いジオールのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル;アルコキシル化ポリオールのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル;イソシアヌル酸トリス-2-ヒドロキシエチル(THEIC)のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル;脂環式ジオールおよびポリオールのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル;高官能性ポリアクリレートまたはメタクリレート;アリルエーテル;アリルエステル;トリアジンベースアクリレートまたはメタクリレート;樹枝状ポリオールアクリレートまたはメタクリレート;イミド基含有アクリレートまたはメタクリレート;ならびにノボラックエポキシ樹脂またはビスフェノールベースエポキシ樹脂とのアクリル酸またはメタクリル酸の反応生成物から選択される。
【0034】
本発明の製剤において利用されるフェノール樹脂はフェノールベースの樹脂である。
【0035】
1つの態様において、該フェノール樹脂は、(a)その水素添加グレードを含む、フェノールアルデヒド縮合物(ノボラック樹脂として公知);(b)その水素添加グレードを含むアルケニルポリオールのホモポリマーおよびコポリマー;(c)スチレン、アクリル酸、またはメタクリル酸およびそのエステルなどの他の不飽和モノマーとの(ビニルフェノール)のコポリマーを含み、ならびに該ホモポリマーおよびコポリマーの水素添加グレードを含む、ポリ(ビニルフェノール)樹脂;(d)その水素添加グレードを含む、フェノール単位および非芳香族性環状アルコール単位を含むオリゴマーおよびポリマー、ならびに(e)N-ヒドロキシフェニル-マレイミドのホモポリマーおよびコポリマーから非限定的な様式で選択される。
【0036】
別の態様において、該フェノール樹脂は、そのコポリマーおよび水素添加グレードを含むポリ(ビニルフェノール)樹脂である。
【0037】
さらなる態様において、該フェノール樹脂はエーテル化されている。
【0038】
一部の市販のフェノール樹脂は固体材料として提供され、通常、本明細書で次に開示されるように、適切な溶媒中にあらかじめ溶解される必要がある。他の市販のフェノール樹脂は、あらかじめ溶解された溶液として提供され、通常は該溶液の約15〜50%が溶媒である。好ましくは、該溶媒は、エーテル、アルコール、グリコール、ラクトン、エステル、環状アミド、環状エステル、エーテル-エステル、アルキルカーボネート、ケトン、芳香族化合物、脂肪族化合物、アミド、脂環式化合物(cycloaliphatic)、シリル溶媒(主鎖にSi-O連結を含む溶媒)、およびそれらの組み合わせから非限定的な様式で選択される有機溶媒である。より好ましくは、該溶媒は、本明細書に定義されるような揮発性ヒドロキシル化溶媒である。最も好ましくは、該ヒドロキシル化溶媒はエタノール、プロパノール、ブタノール、またはイソ-ブタノールである。
【0039】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシル化溶媒」という用語は、そこに置換される少なくとも1個のOH基を有する有機溶媒である。この用語は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ-プロパノール、ブタノール、ヒドロキシアセトン、アミルアルコール、およびイソ-ブタノールなどの一ヒドロキシル化(一価)溶媒;エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびトリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、および1,4-ブタンジオールなどの二ヒドロキシル化(二価)溶媒;ならびに多ヒドロキシル化(多価)溶媒を含む。
【0040】
「揮発性」という用語は、1気圧において280℃よりも低い沸点、より好ましくは230℃よりも低い沸点を有する溶媒をいう。
【0041】
例えば、フェノール樹脂の溶解のために使用される溶媒は、本発明の第1の局面に従う発明の製剤中で利用される溶媒と同じであってもよいし、同じでなくてもよい。本発明の状況において、製剤によって利用される「溶媒」は、常温で1〜15 Cpsの範囲の粘度を有する不活性液体(すなわち、保存の間にUSMおよび/またはフェノール樹脂と非反応性であり、乾燥および硬化段階の間に印刷されたインクから蒸発する溶媒)である。
【0042】
1つの態様において、該少なくとも1種の溶媒は、エーテル、アルコール、グリコール、ラクトン、環状エステルおよび環状アミドエステル、エーテル-エステル、アルキルカーボネート、ケトン、芳香族化合物、脂肪族化合物、アミド、脂環式化合物、シリル溶媒、およびそれらの組み合わせからから非限定的な様式で選択される。好ましくは、該少なくとも1種の溶媒は、本明細書で以前に定義された揮発性ヒドロキシル化溶媒である。最も好ましくは、該少なくとも1種の溶媒は、エタノール、プロパノール、ブタノール、またはイソ-ブタノールである。
【0043】
本明細書で使用される場合、該「無機充填剤」は粒子材料であり、各粒子は1から5の間のアスペクト比を有する実質的に球形または卵形の形状を有する。該粒子の各々の平均粒子サイズは、好ましくは5ミクロン未満、より好ましくは2ミクロン未満であり、ここで、該平均粒子サイズとは、平均した最大半径をいう。従って、複数の該粒子である無機充填剤は、不規則な形状および/または多孔性の充填剤粒子を実質的に含まない。
【0044】
1つの態様において、この無機充填剤は、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属リン酸塩、アルモシリケート(alumosilicate)、カオリン、タルク、珪灰石、雲母、シリカ、およびケイ酸塩から非限定的な様式で選択される。1つの好ましい態様において、該金属炭酸塩は炭酸カルシウムであり、該金属硫酸塩は硫酸バリウムであり、および該ケイ酸塩は石英である。
【0045】
特定の態様において、該充填剤は100 m2/grよりも小さな表面積を有する。
【0046】
別の態様において、該無機充填剤は、例えば、約10〜60ミクロンの間の厚さにおいてでも、UV照射または可視光がそれを完全に透過可能である所望の透明度を硬化前印刷に提供するために、約1.4〜1.7の範囲の屈折率を有し、従って、光誘導性架橋が、マスク印刷層の断面に沿って可能にされる。
【0047】
「ポリオール」と呼ばれる製剤の成分は、該フェノール樹脂および他の架橋剤に対して反応性である、少なくとも1つのヒドロキシル(-OH)基を含む非揮発性化合物である。
【0048】
1つの態様において、ポリオールは、約120〜220℃の温度で該フェノール樹脂に対して反応性であるが、常温においては潜在性である少なくとも1つのヒドロキシル基を有する化合物から選択される。好ましい態様において、ポリオールは不飽和基をさらに含み、該USMとの反応が可能にされている。
【0049】
別の態様において、該ポリオールは、多価アルコールのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルから選択される。別の態様において、該ポリオールは、アリルペンタエリスリトールなどのアリルエステル、ならびにトリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトールまたはグリセロールのアリルエーテルなどのアリルエーテルから選択される。なお別の態様において、該ポリオールは、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ポリオールである。
【0050】
少なくとも1種の光開始剤は、当業者に公知であるように、化学線照射への曝露の際に重合または架橋反応を開始することが可能である化合物である。好ましくは、該化学線照射はUV照射および/または可視光である。より好ましくは、該化学線照射は300〜450 nmの波長範囲にある。
【0051】
1つの態様において、該光開始剤は、フリーラジカル生成光開始剤、カチオン性光開始剤、およびアニオン性光開始剤またはそれらの組み合わせから選択される。好ましくは、該光開始剤は、アントラキノンおよびその誘導体;アセトフェノン;1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトンおよび2-メチル-1-(4-メチルチオ)フェニル-2-モルホリン-プロパン-1-オン;チオキサントン;ケタール;ベンゾインおよびベンゾインアルキルエーテル;アゾ化合物;ベンゾフェノン;ならびにそれらの混合物から選択されるフリーラジカル生成光開始剤である。
【0052】
別の態様において、該光開始剤は、トリアリールスルホニウム(TAS)およびジアリールヨードニウム(DAI)塩、オキシムスルホネート、およびジアゾニウム塩から選択されるカチオン性ラジカル生成剤である。
【0053】
本インク製剤は、ヒドロキシル基および該フェノール樹脂と反応可能である少なくとも1種のアミノ樹脂架橋剤をさらに含んでもよく、接着および耐衝撃性の改善を提供する。アミノ樹脂は、メラミンモノマーまたはポリマー、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン-ホルムアルデヒド樹脂、ウレア-ホルムアルデヒド樹脂、グリコルリルホルムアルデヒド樹脂、トリアジンベースアミノ樹脂およびそれらの任意の組み合わせから非限定的な様式で選択される。
【0054】
別の態様において、本インク製剤は、光に対するインクの感受性、フリーラジカルと、該USMと、不飽和ポリオールの間の反応の効率を改善し、従って、より低い含量の光開始剤でより高い効率の光硬化プロセスを可能にする、少なくとも1種の増感剤をさらに含む。この増感剤は、印刷品質の制御を改善するためにもまた使用される。
【0055】
例えば、UV照射および/または可視光による光硬化は、不粘着および無流動状態を可能にし、しかし高度なUSM架橋に関連する接着の損失を伴うことないレベルまで部分的に硬化したインクを提供する。例えば、EP1543704に開示されるように、光硬化プロセスがほぼ完全な架橋レベルを提供し、すなわち、インクが完全に架橋され、得られるフィルムが不十分な接着を有することは、本発明の製剤の場合は回避される。
【0056】
別の態様において、本発明の製剤は、少なくとも1つの色素、染料、湿潤剤(フッ素系界面活性剤;シリコーン系界面活性剤;ポリエーテル修飾ポリジメチルシロキサンおよびポリアクリレート系界面活性剤から好ましく選択される)、分散剤(低分子量分散剤および高分子量分散剤から好ましく選択される)、ブロック強酸触媒、接着促進剤、消泡剤、硬化阻害剤(好ましくは、N-メチルジエタノールアミン、MDEAなどの揮発性アミン阻害剤である)、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含む。
【0057】
本発明の製剤において利用される色素および/または染料は、PCB製造のプロセスにおいて利用される条件下で、その色が実質的に変化しないままである色素または染料の中から選択される。好ましくは、該色素または染料は緑色または青色である。より好ましくは、該色素はフタロシアニングリーンまたはブルーである。
【0058】
好ましい態様において、本発明の製剤は以下を含む:
(a)製剤の総重量の約5〜70%の間、より好ましくは約5〜60%の間、および最も好ましくは約5〜50%の間の量の少なくとも1種のUSM;
(b)製剤の総重量の約1〜50%の間、より好ましくは約1〜30%の間、および最も好ましくは約1〜20%の間の量の少なくとも1種のフェノール樹脂;
(c)製剤の総重量の2〜25%の間、より好ましくは約2〜15%の間、および最も好ましくは約2〜12%の間の量の少なくとも1種の溶媒;
(d)製剤の総重量の約1〜70%、より好ましくは約1〜50%、および最も好ましくは約1〜40%の範囲の量の少なくとも1種の無機充填剤;
(e)製剤の総重量の1〜50%の間、より好ましくは1〜30%の間、および最も好ましくは1〜20%の間の量の少なくとも1種のポリオール;
(f)製剤の総重量の1〜20%の間、より好ましくは約1〜15%の間、および最も好ましくは1〜10%の間の量の少なくとも1種の光開始剤。
【0059】
別の好ましい態様において、本インク製剤は、製剤の総重量の約5〜50%の間のUSM、約1〜40%の間のフェノール樹脂、約2〜20%の間の溶媒、約0〜20%の間のアミノ樹脂、約5〜60%の間の無機充填剤、約2〜40%の間のポリオール、約1〜15%の間の光開始剤、約0〜5%の間の色素または染料、ならびに約0〜10%の間の湿潤剤および/または分散剤を含む。
【0060】
なお別の好ましい態様において、該ポリオールは少なくとも1種の不飽和基によって置換されている。
【0061】
さらに別の好ましい態様において、本インク製剤は、製剤の総重量の約5〜50%の間のUSM、約1〜40%の間のフェノール樹脂、約2〜20%の間の溶媒、約0〜20%の間のアミノ樹脂、約0〜30%の間のエポキシ樹脂またはモノマー、約5〜60%の間の無機充填剤、約2〜40%の間の少なくとも1種の不飽和基によって置換されているポリオール、約1〜15%の間のフリーラジカル光開始剤、約1〜10%の間のカチオン性光開始剤、約0〜5%の間の色素または染料、ならびに約0〜10%の間の湿潤剤および/または分散剤を含む。
【0062】
別の好ましい態様において、本発明のインク製剤は、製剤の総重量の1〜10%の間のブロック強酸触媒をさらに含む。
【0063】
なおさらなる好ましい態様において、本発明のインク製剤は以下を含む:
(a)Sartomerによって製造されたSR 444などのポリオール6.99%;
(b)Sartomerによって製造されたSR 238などの USM 13.50%;
(c)Sartomerによって製造されたSR 506DなどのUSM 33.22% ;
(d)Schenectadyによって製造されたFB210 B 60などのフェノール樹脂溶液(60%フェノール樹脂、40%ブタノール)10.07%;
(e)CYTECによって製造されたCymel 325などのアミノ樹脂(70〜75%アミノ樹脂、25〜30%ブタノール)7.69%;
(f)Sartomerによって製造されたSarbox 500E50などのAC-POL 1.98%;
(g)Sachtlebenによって製造された硫酸バリウムBlank Fixe microなどの無機充填剤17.94%;
(h)Degussaによって製造されたAerosil R972などの無機充填剤0.39%;
(i)BYK-CHEMIEによって製造されたDisperByk 111などの分散剤0.45%;
(j)BYK-CHEMIEによって製造されたDisperByk 168などの分散剤2.87%;
(k)BYK-CHEMIEによって製造されたDisperByk 163などの分散剤0.12%;
(l)Clariantによって製造されたHostaperm Green GG01などの色素0.40%;
(m)BYK-CHEMIEによって製造されたByk 358などの湿潤剤0.12%;
(n)CIBAによって製造されたIrgacure 907などのフリーラジカル生成光開始剤3.53%;および
(o)MDEAなどの硬化阻害剤0.73%。
【0064】
本明細書で使用されるパーセント表現は、インク製剤の総重量の特定の成分のパーセント重量をいう。例えば、特定の成分の「1〜50%」という表現は、製剤の総重量の1%から、同じ製剤の重量の50%までの任意の比率をいう。「約1〜50%の間の」という表現は、整数のパーセンテージ値のわずかに下、またはわずかに上であり得るパーセント重量をいう。例えば、「約1%」とは、0.6、0.7、0.8、0.9、1.1、1.2、1.3などのパーセントもまたいう。整数の数値上のこのような変動は等価物であり、従って、主張される発明の範囲内にあると認識されるべきである。
【0065】
本発明の別の局面において、本発明のインクジェットインク製剤を製造するための方法が提供され、該方法は以下の工程を含む:
(i)少なくとも1種の第1の溶媒中に、約20〜80% w/wの固体含量を有し、市販されているかまたはその場で調製されてもよい、フェノール樹脂の溶液を供給する工程;
(ii)少なくとも1種のポリオール、少なくとも1種のUSM、任意に少なくとも1種の第2の溶媒、少なくとも1種の光開始剤、および少なくとも1種の充填剤を、工程(i)の該溶液に混合する工程;
(iii)高剪断を用いて工程(ii)の混合物を分散させる工程;
(iv)混合物重量の少なくとも90%が2ミクロン未満のフィルターを通過可能であるまで、工程(iii)の分散混合物を粉砕する工程;ならびに
(v)さらなる量の該第1の溶媒もしくは該第2の溶媒、または少なくとも1種の異なる溶媒を加えることによって(iv)の濾過製剤の粘度および表面張力を調整し、それによって、所望のインク製剤を得る工程。
【0066】
1つの態様において、該第1の溶媒、該第2の溶媒、および該異なる溶媒が同一である。別の態様において、該第1の溶媒は該第2の溶媒とは異なる。
【0067】
上記の方法の別の態様において、少なくとも1種の湿潤剤、および/または分散剤、および/または接着促進剤、および/または硬化阻害剤が工程(i)で加えられる。なお別の態様において、少なくとも1種のUSM、少なくとも1種の光開始剤、および任意に少なくとも1種の増感剤、またはそれらの任意の組み合わせが工程(v)で加えられる。
【0068】
本発明の別の局面において、100℃より下の温度で測定された10〜100,000秒-1のずり速度において50 Cpsよりも低い粘度、および同じ温度で40ダイン/cmよりも低い表面張力を有することによって特徴付けられる、インクジェット印刷のために適合されるPCBのためのソルダマスク製剤が提供される。
【0069】
本発明の別の局面において、基板上に本発明に従うソルダマスクインク製剤をインクジェット噴射するための方法が提供され、該方法は以下の工程を含む:
(i)本発明の方法または本明細書に開示される製剤のいずれかを提供する任意の方法に従って該インク製剤を供給する工程;
(ii)基板の第1の面に該インク製剤を付与する工程;
(iii)UV照射および/または可視光によって(ii)の該基板を照射して、好ましくはマーク(例えば、線、ドット、数字など)、文字、またはフィルムである、部分的に硬化した不粘着ソリッド印刷を与える工程;
(iv)該基板の第2の面上で工程(ii)から(iii)までを任意に反復する工程;
(v)300〜450 nmの範囲で少なくとも200 mW/cm2の強度を有する高出力UV光源および/または可視光光源によって、該基板の該第1の面および/または該第2の面を任意に照射する工程;ならびに
(vi)約120〜220℃の温度で該印刷された基板の該第1の面および/または該第2の面を硬化させる工程。
【0070】
1つの態様において、該基板は、金属表面もしくは金属酸化物表面、ガラス、プラスチック複合材、セラミックおよびそれらの組み合わせ、またはPCBである。好ましくは、該基板はPCB、好ましくはその外層であり、ここで、該PCB外層は、複数の導電性金属線およびパッド、バイア、裸の積層板を含み、スルーホールを含まないかまたは塞がれている、多層PCB、二層PCBまたは片側PCBの最も外側の層である。
【0071】
別の態様において、該印刷はソルダマスクである。
【0072】
本発明の別の局面において、本発明の方法によって、または本発明の任意の1つの製剤を利用することによって調製されるソルダマスクが提供される。1つの態様において、該硬化したソルダマスクは、200〜5,000 V/ミルの間の絶縁耐力によって特徴付けられる。別の態様において、該ソルダマスクは、少なくとも5×1012オームと測定される、エレクトロマイグレーションに対する抵抗によって特徴付けられる。
【0073】
なお別の態様において、本発明の製剤から、または本発明の印刷方法によって調製される該ソルダマスクは、本明細書中以下に実証されるように、the Institute for Interconnecting and Packaging Electronic Circuitsによって書かれかつ改訂されたプロトコールである、IPC-SM-840-C標準(クラスHおよびクラスT)によって要求される特徴を有する。
【0074】
発明の詳細な説明
本発明は、インクジェットプリンターによる付与のために適切な製剤および方法を具体的に開示するが、本明細書に開示される製剤および方法は、他の印刷方法を利用することにより、および他の付与のためにもまた利用されてもよいことが当業者によって理解されるべきである。本発明の製剤は主としてソルダマスクのために使用されるが、他の用途が想定されてもよいこともまた認識されるべきである。
【0075】
加えて、本明細書に開示される特定の試薬は単なる例示として提供され、特定の付与のために適切な他のものによって置き換えられてもよいことが理解されるべきである。
【0076】
本発明のインク製剤は、本明細書で以前に議論されたように、インクジェットによる付与のために現在利用可能であるソルダマスク製剤の欠陥を克服することを可能にした、独特かつ新規な組み合わせを含むことが示されてきた。
【0077】
この製剤は、(a)少なくとも1種のUSM;(b)少なくとも1種のフェノール樹脂;(c)少なくとも1種の溶媒;(d)少なくとも1種の無機充填剤;(e)少なくとも1種のポリオール;および(f)少なくとも1種の光開始剤を含む。
【0078】
USMは、UV照射または可視光への曝露に応答するフリーラジカル機構を介して自己架橋可能な不飽和モノマーまたはオリゴマーであり、そのため光硬化可能である。高熱安定性はソルダマスク製剤に必要であるので、該USM(自己架橋される場合)のガラス転移温度(Tg)は少なくとも約80℃であるべきである。USMは、典型的には、分子あたり1個以上の不飽和基を含み、該不飽和基は、フリーラジカル条件下で自己重合可能である少なくとも1個のC-C二重結合または三重結合を含む化合物、アクリル、メタクリル、ビニル、フマリル、およびアリルから非限定的な様式で選択され、ここで該基はUSMのバックボーンに共有結合される。このバックボーンは、例えば、多価アルコール、イソシアヌル酸およびその誘導体、ノボラック樹脂、エポキシ樹脂およびその誘導体、イソボルニルまたはその誘導体、イミド基含有オリゴマー、脂環式化合物、またはトリアジンもしくはその誘導体であってもよい。共有結合は、エーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、イミド基、メチレン基、エチレン基、アルキレン基、アリーレン基、シリコーン基、カーボネート基、硫黄またはスルホン基を介してであってもよい。
【0079】
本発明に従うUSMの非限定的な例は、SartomerによるSR 506およびSR423などのアクリル酸イソボルニルまたはメタクリル酸イソボルニル;SartomerによるSR 238、SR 295、SR 454、SR 494、SR 355、SR 306、SR 399、SR9041などの短いポリオールおよび多価アルコールのアクリル酸エステル;SartomerによるCN9006、CN9008、CN977、CN983、CN999、CN985、CN997、CN975、CN968などのアクリル酸ウレタン;Bomar SpecialtiesによるBR 941およびUCB Surface Specialties によるIRR575;SartomerによるSR230、SR212、SR508、SR247などの短いジオールのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル;SartomerによるSR9008、CD540などのアルコキシル化ポリオール;KayakuによるKayarad D-330、Kayarad DPCA-60、Kayarad DPCA-20、Kayarad TPA-330、Kayarad TPA-320、およびKayarad PET-30;SartomerによるSR 368などのイソシアヌル酸トリス-2-ヒドロキシエチル(THEIC)のアクリル酸エステル;SartomerによるSR833S(トリシクロデカンジメタノールジアクリレートとも呼ばれる)、PRO6622、NTX7393、PRO7149、KayakuによるKayarad R-604およびKayarad R-684などの脂環式ジオールおよびポリオールのアクリル酸エステル;SartomerによるCN2303などの高官能性ポリアクリレート;アリルエーテル、アリルエステル、とりわけ、SartomerによるSR 533などのジアリルフタレートおよびトリアリルイソシアヌレート、およびSartomerによるSR 507などのトリアリルシアヌレート;Bomar SpecialtiesによるBMA-200およびBMM-215トリアジンベースメラミンメタクリレート;Bomar SpecialtiesによるBDE 109などの樹枝状ポリオールアクリレートまたはメタクリレート;Bomar SpecialtiesによるBRI-141などのイミド基含有アクリレートまたはメタクリレート;ならびにKayakuによるKayarad EAM-216、Kayarad EAM-21300、Kayarad R-130、Kayarad R-205などのノボラックエポキシ樹脂またはビスフェノールベースエポキシ樹脂とのアクリル酸またはメタクリル酸の反応生成物である。
【0080】
配合中のUSM含量は、UVおよび/または可視光への曝露への応答としての不粘着性と、硬化の間の収縮との間のバランスを達成することを補助する。少量、例えば、<2%のUSMが使用される場合、印刷されたインクは光に対する曝露後に粘着性のままであり、従って、第2の側の印刷が可能にされない。しかし、製剤中のUSMの量が、例えば、70%を超える場合、硬化の間に収縮が起こり、これは、表面への接着を悪化させ、ENIGなどの化学表面仕上げおよびソルダリングに関連する熱ショックに対する不十分な耐性をもたらす。
【0081】
高いUSM含量、すなわち、製剤の総重量の70%より多い含量の別の負の局面は、硬化フィルム中の塩素などの高濃度の可動イオンである。フィルム中の可動イオンの濃度を制限することは、とりわけ、加熱および高湿度下で、ソルダマスクが提供されるにつれて高い電気的信頼性を提供する。本発明の製剤から調製された硬化フィルムによって示された優良な電気的特性は、適切な量のUSMの使用、ならびに高純度フェノール樹脂、ポリオール、溶媒、および無機充填剤の使用によって達成される。
【0082】
従って、1つの態様において、本発明のインク製剤は、製剤の総重量の約5〜70%の間のUSM、より好ましくは約5〜60%の間のUSM、および最も好ましくは約5〜50%の間のUSMを含む。
【0083】
「樹脂」という用語は、分子あたり平均で1個より多くの反応基によって特徴付けられるモノマー、オリゴマー、ポリマーまたは該化合物の任意の組み合わせをいい、該反応基は、第2の反応性化合物(いわゆる「架橋剤」)と反応して架橋熱硬化性ネットワークを形成することが可能である。
【0084】
「自己架橋可能な」という表現またはその任意の言語上のバリエーションは、手順の硬化条件下で別の同一の分子と架橋熱硬化性ネットワークを形成できる分子の能力をいう。
【0085】
本明細書で前に言及したように、フェノール樹脂は、高温条件および高湿度条件下においてさえ、硬化インクに、高い化学的耐性および耐熱性、ならびに良好な電気抵抗を与えるフェノールベースの樹脂である。フェノール樹脂は、とりわけ、揮発性ヒドロキシル化溶媒の存在下では、処方中に提供されたときに非常に潜在性である。
【0086】
フェノール樹脂の非限定的な例は、(a)その水素添加グレードを含む、フェノールアルデヒド縮合物(ノボラック樹脂として公知)、(b)その水素添加グレードを含む、アルケニルフェノールのホモポリマーおよびコポリマー、(c)スチレン、アクリル酸またはメタクリル酸およびそのエステルなどの他の不飽和モノマーとの(ビニルフェノール)のコポリマーを含み、ならびに該ホモポリマーおよびコポリマーの水素添加グレードを含む、ポリ(ビニルフェノール)樹脂、(d)その水素添加グレードを含む、フェノール単位および非芳香族性環状アルコール単位を含むオリゴマーおよびポリマー、ならびに(e)N-ヒドロキシフェニル-マレイミドのホモポリマーおよびコポリマーである。
【0087】
好ましくは、該フェノール樹脂は、そのコポリマーおよび水素添加グレードを含む、ポリ(ビニルフェノール)樹脂である。
【0088】
フェノール樹脂は、潜在性および柔軟性の改善のためにエーテル化されてもよい。好ましくは、本発明の製剤によって利用されるフェノール樹脂は、Maruzen Japanによって製造されたMaruka Lyncur樹脂などのビニルフェノール樹脂から選択される。これらの樹脂は以下の化学構造を有する:

【0089】
他の好ましいフェノール樹脂は、以下の一般構造のエーテル化フェノール樹脂である:

【0090】
これらの樹脂は、ブタノール中のすぐに使用できる溶液として提供されてもよい。このような樹脂の例は、Schenectadyによって製造されたFB210 B60樹脂である。
【0091】
インク製剤中での有機可溶性フェノール樹脂の完全な溶解を達成するために、適切な有機溶媒中にフェノール樹脂を最初に溶解することが好ましく、このことは、製剤の調製の間または保存の間に樹脂が沈殿することを防ぐ。例えば、Maruka Lyncur樹脂などの固体フェノール樹脂の溶液は、エーテル、アルコール、グリコール、ラクトン、環状エステルおよび環状アミドエステル、エーテル-エステル、アルキルカーボネート、ケトン、芳香族化合物、脂肪族化合物、アミド、脂肪族化合物、脂環式化合物、シリル溶媒、およびそれらの組み合わせから選択される溶媒中に樹脂を混合することによって調製された。好ましくは、保存の間の該フェノール樹脂の自己重合を抑制するその能力のために、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ-プロパノール、ブタノール、ヒドロキシアセトン、アミルアルコール、およびイソ-ブタノールなどの揮発性ヒドロキシル化溶媒;エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびトリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、および1,4-ブタンジオールなどの二ヒドロキシル化(二価)溶媒;ならびに多ヒドロキシル化(多価)溶媒が推奨される。
【0092】
1つの好ましい態様において、このフェノール樹脂溶液は、約40〜80%フェノール樹脂、および約20〜60%溶媒をw/wで含む。
【0093】
化学的耐性および耐熱性の改善を達成するために、本発明の製剤は、この製剤の総重量の約1〜50%の間、より好ましくは約1〜30%の間、および最も好ましくは約1〜20%の間のフェノール樹脂を含むべきであることが見い出された。
【0094】
溶媒はいくつかの理由のために必要とされる;第1の理由は、製剤成分の溶解性を増加させる必要性である。例えば、フェノール樹脂は、とりわけ高Tgグレードで、粘度もまた比較的高い場合、USMに混和性が乏しく、従って、USM中の樹脂の溶解性を増加するため、およびその粘度を減少させるために、揮発性不活性媒体(利用される条件下で製剤の任意の成分に対して反応性を有さない)の存在を必要とする。低分子量USMが、不活性溶媒の代わりに希釈剤(いわゆる反応性希釈剤)として使用される場合、硬化の間の収縮が大きすぎ、かつ該製剤中のフェノール樹脂の溶解性が不十分であり、その結果、保存の間にフェノール樹脂の沈殿が生じる可能性がある。
【0095】
適切な溶媒を選択することは、安定なインクジェット噴射のために必要な範囲である、28から34ダイン/cmの間まで、製剤の表面張力を調整する際にもまた有益であり得、および保存の間にフェノール樹脂の任意の自己架橋を停止する際にもまた有益であり得る。
【0096】
上記の判断基準に合致し、従って、本発明の製剤における使用のために適切である溶媒は、有機エーテル、アルコール、グリコール、ラクトン、環状エステルおよび環状アミドエステル、エーテル-エステル、アルキルカーボネート、ケトン、芳香族化合物、脂肪族化合物、アミド、脂肪族化合物、脂環式化合物、シリル溶媒、およびそれらの組み合わせから選択される溶媒である。
【0097】
この溶媒は、単独の溶媒または溶媒の混合物であり得、各々は、好ましくは、揮発性アルコール性またはグリコール性の溶媒から選択される。好ましい態様において、この溶媒はブタノールまたはイソ-ブタノールである。
【0098】
この溶媒または溶媒の混合物は、製剤の成分、例えば、フェノール樹脂の1つまたは複数の成分の希釈剤として、またはその物理的特性もしくは化学的特性を調整するために製剤に加えられる添加剤として、製剤中に存在してもよい。
【0099】
別の好ましい態様において、この溶媒は、製剤の総重量の2から10%の間を構成する。
【0100】
無機充填剤は、製剤中で応力ダンパとして作用する。この充填剤は非反応性であるので、光硬化の間のソルダマスクの全体的な収縮を減少させる。硬化したソルダマスク中の残留応力を減少させるために、およびフィルムの接着および耐久性のために非常に重要である収縮の低下を、充填剤の高負荷によって達成した。
【0101】
この無機充填剤は粒子材料であり、各粒子は好ましくは球状形状を有し、不規則な形状かつ多孔質の粒子を実質的に含まない。1つの態様において、該充填剤は、5ミクロン未満、より好ましくは2ミクロン未満の平均粒子サイズを有する粒子を含む。別の態様において、該充填剤は100 m2/grよりも小さな表面積を有する。
【0102】
このような無機充填剤の非限定的な例は、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属リン酸塩、アルモシリケート、カオリン、タルク、珪灰石、雲母、シリカ、およびケイ酸塩である。好ましくは、無機充填剤は硫酸バリウムおよび石英である。
【0103】
1つの態様において、この無機充填剤は、300〜450 nmの波長範囲において、光に対するインク製剤の透過性に影響を与えないものである。
【0104】
好ましい態様において、該充填剤は、約1.4〜1.7の範囲の屈折率を有する。別の好ましい態様において、この充填剤は、硫酸バリウム、より好ましくは沈殿した硫酸バリウム、例えば、Sachtleben(ドイツ国)によって製造されたBlank Fixe、およびCimbar(米国)によって製造されたCimbar BFである。
【0105】
別の好ましい態様において、この充填剤は、沈殿した炭酸カルシウム、例えば、Calci-Tech(スイス国)によって製造されたCalciRC 100である。
【0106】
別の態様において、本発明のインク製剤は、製剤の総重量の約1〜60%、より好ましくは約1〜40%、および最も好ましくは約1〜30%の範囲の量で該無機充填剤を含む。
【0107】
製剤中での該無機充填剤の安定な分散を提供するために、本発明の製剤は、堅い沈殿物を実質的に含まないインクを提供する少なくとも1種の分散剤をさらに含んでもよい。この分散剤は、製剤中の無機充填剤および他の粒子成分(例えば、色素)の分散を補助し、保存の間に堅い沈殿物の形成を防ぎ、およびさらに、インクの表面張力を調整することを補助する。このインクは、製剤が付与される基板を湿らせることを促進する少なくとも1種の湿潤剤(界面活性剤)をさらに含んでもよい。
【0108】
本発明の1つの態様において、該少なくとも1種の湿潤剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、およびカチオン性界面活性剤から選択される。
【0109】
1つの好ましい態様において、該湿潤剤は、Du-Pontによって製造されたZONYLなどのフッ素系界面活性剤;BYK-CHEMIEによって製造されたBYK 333ポリエーテル修飾ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン系界面活性剤;およびBYK-CHEMIEによって製造されたBYK 353などのポリアクリル酸系界面活性剤から選択される。
【0110】
本発明の別の態様において、本発明の製剤は、(a)例えば、色素および充填剤の凝塊に浸透可能であり、従って、粒子間の引力を低下させる、BYK-CHEMIEによって製造されたDisperbyk 110および111酸性コポリマーなどの低分子量分散剤、ならびに(b)該充填剤粒子および色素粒子の再凝塊を妨害する、BYK-CHEMIEによって製造されたDisperbyk 161および163コポリマーなどの高分子量分散剤から選択される少なくとも1種の分散剤を含む。
【0111】
好ましい態様において、この製剤は、(a)1〜50%の少なくとも1種の低分子量分散剤、および(b)1〜200%の少なくとも1種の高分子量分散剤を含み、該割合は、製剤中に含まれるすべての充填剤および色素または染料の総重量に対する割合である。
【0112】
ポリオールは、熱硬化段階の間に製剤中に存在する場合、該フェノール樹脂に向けて、かつ該アミノ樹脂と反応性である、少なくとも1種のヒドロキシル基を提供する。好ましくは、該ポリオールは、約120〜220℃の温度で該フェノール樹脂に対して反応性であるが、しかし常温においては潜在性である。より好ましくは、該ポリオールは、同様に、該USMに向けた反応性を増加させるために、少なくとも1個の不飽和基によってさらに置換される。最も好ましくは、該ヒドロキシル基は、一級または二級である。
【0113】
1つの態様において、ポリオールは、多価アルコールのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルから非限定的な様式で選択され、ここで、すべてのヒドロキシル基が反応されるわけではない。このようなアクリル酸エステルの1つの例は、Sartomerによって製造された、SR444としてもまた公知であるペンタエリスリトールトリアクリレートである。
【0114】
別の態様において、該ポリオールは、PerstropによってAPEとして販売されているトリアリルペンタエリスリトールなどのアリルペンタエリスリトール;ならびに、それぞれNeoallyl T-20、P-30、およびE-10の名称の下でDAISO Co. LTD、日本国によって販売されているトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、およびグリセロールのアリルエーテルから選択される。
【0115】
なお別の態様において、このポリオールは、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ポリオール(例えば、DOWによって製造されたジオールUnoxol)から選択される。
【0116】
なお別の態様において、このポリオールは、商標名SAAの下でLyondell Corporationによって製造されたスチレン-アリルアルコールコポリマーから選択される。
【0117】
本発明に従う製剤は、製剤の総重量の約1〜50%で該ポリオールを含む。より好ましくは、このポリオールは、製剤の総重量の約1〜30%、および最も好ましくは1〜20%を構成する。
【0118】
不粘着状態まで硬化するか、または最初の硬化工程として有意な粘度の増加を可能にするために、印刷インクは、化学線照射の適切な光源から放射されたUV照射または可視光に曝露される。このような光源は、ハロゲン光、水銀ランプ、キセノンランプ、炭素アークランプ、タングステンフィラメントランプ、レーザー、電子ビーム、または日光であってもよい。この光は、インクジェット噴射後最大で60分以内、より好ましくは最大で60秒以内、および最も好ましくはインクジェット噴射後最大で10秒以内に印刷インク上に施される。
【0119】
硬化プロセスのために使用される光開始剤は、フリーラジカル生成光開始剤、カチオン性光開始剤、およびアニオン性光開始剤またはそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0120】
1つの態様において、この光開始剤は、以下から選択されるフリーラジカル生成剤である:アントラキノンおよびその誘導体;アセトフェノン;1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトンおよび2-メチル-1-(4-メチルチオ)フェニル-2-モルホリン-プロパン-1-オン;チオキサントン;アセトフェノンジメチルケタールおよびジベンジルケタールなどのケタール;ベンゾイン、ベンジルベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、およびベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾインおよびベンゾインアルキルエーテル;アゾビスイソバレロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4-ジクロロベンゾフェノン、4,4-ビス-ジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトンおよびキサントンなどのベンゾフェノン;ならびにそれらの混合物。
【0121】
好ましくは、フリーラジカル生成剤は、Speedcure(商標)ITX EHAおよび3040、Irgacure(商標)184、369、907、および1850、ならびにDarocure(商標)1173である。
【0122】
別の好ましい態様において、光開始剤は、トリアリールスルホニウム(TAS)およびジアリールヨードニウム(DAI)塩、オキシムスルホネート、トリアリールスルホニウムおよびジアゾニウム塩から選択されるカチオン性ラジカル生成剤である。
【0123】
本発明に従うインクは、製剤の総重量の約1〜20%、より好ましくは約1〜15%、および最も好ましくは1〜10%の少なくとも1種の光開始剤を含む。
【0124】
本インク製剤は、接着および柔軟性の改善のために、製剤の総重量の0.01〜30%の範囲の量のアミノ樹脂架橋剤をさらに含んでもよい。このようなアミノ樹脂は、メラミンモノマーまたはポリマー、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン-ホルムアルデヒド樹脂、ウレア-ホルムアルデヒド樹脂、グリコルリルホルムアルデヒド樹脂、トリアジンベースアミノ樹脂およびそれらの任意の組み合わせから非限定的な様式で選択されてもよい。
【0125】
好ましい態様において、該アミノ樹脂は、CYTECによって製造されたメラミン樹脂、例えば、Cymel 300、301、303、325 350、370、380、1116および1130;ベンゾグアナミン樹脂、例えば、Cymel R 1123および1125;グリコールウリル(glycoluril)樹脂、例えば、Cymel 1170、1171、および1172、および尿素樹脂、例えば、CYMEL U-14-160-BX、CYMEL UI-20-E, CYMEL 325、CYMEL 322、CYMEL 3749、CYMEL 3050、CYMEL 1301メラミンベース樹脂、CYMEL U-14-160-BX、CYMEL UI-20-E尿素ベース樹脂、CYMEL 5010およびベンゾグアナミンベースアミノ樹脂、およびCYMEL 5011ベースアミノ樹脂(CYTECによって製造された)から選択される。
【0126】
この製剤は、高温にて、フェノール樹脂および任意にアミノ樹脂と、該ポリオールのヒドロキシル基の間の硬化プロセスを加速することが可能であり、かつまた接着促進効果を有する作用物質をさらに含んでもよい。好ましくは、この作用物質は、50 mg KOH/grよりも大きい、より好ましくは100 mg KOH/grよりも大きい、および最も好ましくは120 mg KOH/grよりも大きい酸価を有するオリゴマーまたはポリマーである。該少なくとも1つのオリゴマーまたはポリマーに結合される酸性基は、好ましくは、カルボキシル、有機無水物、リン酸エステル誘導体、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0127】
好ましいオリゴマーの1つのグループは、(a)スチレンなどの他の不飽和モノマーとのアクリル酸またはメタクリル酸コポリマー、(b)スチレンなどの他の不飽和モノマーとのマレイン酸または無水物コポリマー(例えば、スチレン-無水マレイン酸コポリマー)またはグラフト基がカルボン酸またはその無水物から選択されるグラフトポリマー、(c)Solutiaによって製造された添加剤ADDITOL XL 180などの、リン酸基およびそのエステルを含むポリマー、ならびに(d)Sartomerによって製造されたSarbox SB500E 50などの、二重官能基によって特徴付けられる不飽和ポリカルボン酸樹脂から非限定的な様式で好ましく選択される、弱酸性オリゴマーまたはポリマー(本明細書ではAC-POLと称する)である。
【0128】
AC-POL剤は、製剤の総重量の1〜10%のレベルで、およびより好ましくは0.5〜5%のレベルで概ね有効である。
【0129】
微量の、強酸性触媒などの低分子量イオンは、製剤の誘電特性に対して負の効果を有する可能性がある。驚くべきことに、AC-POL剤は、硬化段階のための「触媒」として働き、カルボキシル基との該フェノール樹脂の反応を介して、または鎖中の未反応のヒドロキシル基を介して硬化ネットワークの一部となる。
【0130】
AC-POLはまた、金属、ガラス、およびセラミック材料への接着の改善、ならびにアルカリ媒体中の硬化フィルムの潜在的な「展開可能性(developability)」(硬化インクがPCBを傷つけることなく除去される必要がある場合の、再加工目的のための重要な特徴)を硬化印刷に与える。
【0131】
常温で起こるある程度の硬化を回避するために(および従って潜在性を保証するために)、ならびに120℃よりも上である熱硬化段階において十分な架橋を開始するために、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)などの揮発性アミン阻害剤がインク製剤に加えられる。MDEAなどの阻害剤は、製剤の総重量の0.01〜1.5%の間、より好ましくは0.1〜0.7%の間のレベルで製剤に導入される。
【0132】
このアミン阻害剤は、インクが保存されるとき、またはインクジェットタンクおよびパイプ中においてさえ、遊離の酸性種を中和する。温度が約100℃よりも上に上昇し、かつアミン阻害剤の蒸発が可能にされる場合にのみ、遮断が解除され、硬化反応が開始する。
【0133】
本発明の製剤は、典型的には、すぐに使用できる製剤として調製されるが、しかしまた、担体中の成分の特定の選択のみを含む濃縮物またはマスターバッチとして使用されてもよい。このような濃縮物またはマスターバッチは、製剤の残りの成分に加えられるか、またはそれと混合され、それによって、本発明のすぐに使用できる製剤を与える。
【0134】
実施例1:インク製剤の調製
典型的なプロセスにおいて、本発明のソルダマスク製剤は、以下の方法に従って製造した:
1.約20〜80% w/wの固体含量を有する、少なくとも1種の溶媒中の該少なくとも1種のフェノール樹脂の透明溶液を供給する工程;
2.工程(1)の該透明溶液に、該フェノール樹脂溶液、少なくとも1種のポリオール、少なくとも1種のUSM、任意に少なくとも1種のさらなる溶媒、少なくとも1種の光開始剤、および少なくとも1種の充填剤を混合する工程;
3.高剪断によって工程(2)の混合物を分散させる工程;
4.混合物の少なくとも90%が2ミクロン未満のフィルターを通過することが可能であるまで、任意のミル、好ましくは、ビーズミル、パールミル、サンドミルなどの高表面ミル、およびロータ-ステータなどの磨砕機または高エネルギーミルを使用して、工程(3)の分散混合物を粉砕する工程;ならびに
5.任意にさらなる溶媒を加えることによって濾過した製剤の粘度および表面張力を調整し、それによって、所望のソルダマスクインク製剤を得る工程。
【0135】
または、少なくとも1つの湿潤剤、および/または分散剤、アミノ樹脂、および/または色素もしくは染料および/または接着プロモーター、および/またはAC-POLおよび/または阻害剤が、工程(1)において、または任意に工程(5)において加えられてもよい。加えて、透明溶液が得られるまで、少なくとも1つの固体フェノール樹脂、ポリオール、および溶媒が工程(1)において混合されてもよい。
【0136】
工程4の粉砕は、典型的には、横フライス盤、0.2〜1 mmジルコニア、アルミナ、セラミックまたはガラスビーズ、500〜5,000 RPMにより、約0.5〜5分間の滞留時間を用いて、約15〜25℃のインク温度で達成される。
【0137】
製剤の表面張力は、典型的には、Nouyリング法(KRUSS Company)を使用して測定した。
【0138】
異なるずり速度における粘度は、HHAKEによって製造されたコーンおよびプレートレオメーターモデルRheo-Stress 1によって決定した。
【0139】
実施例2:PCB上でのソルダマスク製剤の印刷
本明細書に開示される印刷プロセスは、生産の処理能力(速い硬化)と印刷ソルダマスクの信頼性(低レベルの収縮)の間の新たなバランスを提示する。
【0140】
この印刷プロセスを以下の順序に従って実行した。
【0141】
(i)前負荷段階-
10〜約30℃の温度範囲で保存されるインク製剤を再分散のために攪拌し、気泡の除去のために攪拌することなく少なくとも60分間そのまま放置した。この新たに分散させた溶液をインクジェット機タンクに加えた。
【0142】
(ii)印刷段階-
固体粒子からの印刷ヘッドの保護をさらに提供するために、タンクから印刷ヘッドまで、フィルタリングシステムを介してインクを注入した。インク温度を、ヘッドの中で、常温から約100℃までのジェット噴射温度に調整し、このインクを、デジタルファイルとして提供される所定のパターンに従って、プリンター(非ドープ中圧Hg UVランプを備えた、Printar model LGP 809などのインクジェットプリンター)に噴射させた。
【0143】
(iii)部分的硬化段階-
不粘着または無流動印刷を得るために、印刷PCBは、基板上への液滴の落下の最大で10秒後に、UVおよび/または可視光光源で照射した。この光源は、分離した静的デバイスとして、または移動可能な独立したデバイスとして、印刷ヘッド構築物の不可欠の部分として取り付けられてもよい。光強度を、約50〜5,000 mW/cm2の範囲で、および約300〜450 nmの波長範囲で維持した。
【0144】
硬化フィルムの最高の信頼性を提供するために、不粘着フィルムを、300〜450 nmの範囲の少なくとも200 mW/cm2の光強度、より好ましくは少なくとも約1,000 mW/cm2の光強度、および最も好ましくは少なくとも約2,000 mW/cm2の光強度を有する、高出力UV光源(UV衝突と呼ばれる)に再曝露した。典型的な印刷領域にわたる蓄積した光強度を、約50 mJ/cm2〜5,000 mJ/cm2の範囲で維持した。速い生産速度を可能にするために、UV衝突を、インクジェット機に対してオフラインで、二次光源によって提供するのが好ましい。
【0145】
二面基板については、工程(ii)および(iii)を第2の面のために反復した。
【0146】
(iv)硬化段階-
該印刷PCBの完全な硬化を、約120〜220℃の温度に加熱することによって達成した。好ましくは、硬化を、対流式オーブンの中で加熱することによって、またはIRエミッタを使用するIR照射への曝露によって達成した。
【0147】
実施例3:第1のソルダマスク製剤
本発明のこの製剤は、上記の実施例1のプロセスに従って調製した。この製剤は以下を含んだ:
(a)製剤の総重量の5〜40%の分量である、SartomerによるSR 506および/または5〜30%の分量である、SartomerによるSR 238などの少なくとも1種のUSM;
(b)製剤の総重量の5〜20%の分量である、SartomerによるSR 444などの少なくとも1種の不飽和ポリオール;
(c)製剤の総重量の2〜10%の分量である、CibaによるIrgacure 907などの少なくとも1種の光開始剤;
(d)フェノール樹脂が製剤の全体重量の5〜40%の分量で提供される、約60%エーテル化フェノール樹脂および約40%ブタノールを含み、FB 210 B60の名称でSchenectadyによって市販されているフェノール架橋溶液;
(e)製剤の全体重量の1〜10%の分量である、SartomerによるAC-POL溶液SB500E50;
(f)製剤の全体重量の10〜40%の分量である、Sachtlebenによって製造された硫酸バリウムBlank Fixe microなどの少なくとも1種の無機質充填剤;ならびに加えて
(g)少なくとも1種の湿潤剤、および少なくとも1種の分散剤、および少なくとも1種の有機色素、および少なくとも1種のレオロジー調節剤、および少なくとも1種の硬化阻害剤。
【0148】
物理的特徴-
この製剤は、40〜45℃、10〜100,000秒-1のずり速度で10〜12 cpsの粘度、および28〜34ダイン/cmの表面張力を有すると決定された。これはさらに、非常に高い潜在性を示し、すなわち、20〜25℃で3ヶ月間保存された後で、45℃、2,000〜5,000秒-1のずり速度で測定したときに、その粘度の増加が最大で4 Cpsまでであった。
【0149】
付与および硬化-
この製剤を、非ドープ中圧Hg UVランプを備えた、Printar model LGP 809などのインクジェットプリンターによって印刷基板外層(FR4積層板、外層上に35ミクロン銅パターンを有し、銅は軽石処理している)に付与した。
【0150】
第1段階において、印刷の際に、印刷を、開始した基板上でのインク滴の延展の前にインク滴を「凍結」させるため、および印刷インクを不粘着状態まで架橋するために、該UVランプから放出されるUVおよび可視光によって、100〜1,000 mW/cm2の出力で照射した。印刷の次に光による直接的架橋が続くこの順序は、ハンダ付けされるパッドを正確に規定するために高度な正確さおよび分解能が非常に重要である、ソルダマスクなどの印刷基板にインクを付与する場合に極度に重要である。
【0151】
次いで、印刷フィルムの不粘着印刷を、500〜2,000 mJ/cm2の総蓄積UVエネルギー出力まで、中圧Hg UVランプを備えたコンベア上のUV衝突に曝露し、次いで、150℃で60分間熱硬化させた。
【0152】
硬化印刷の物理的特性-
硬化フィルムは、突出した化学的耐性および耐熱性、ならびに銅への接着およびPCBの積層を有した。硬化フィルムを、the Association of interconnecting and packaging electronic circuitsによって書かれかつ改訂されたプロトコールである、IPC SM-840 C(クラスHおよびクラスT)に列挙された手順に従って、ソルダマスクとして認定した。
【0153】
硬化したソルダマスクは、IPC-SM-840Cによる最小必要要件よりも約10倍大きな値である4,000〜5,000 V/ミルの絶縁耐力を示した。このインクは、Bellcore GR-78-CORE, Issue 1, Section 13.2.7に従って測定される、少なくとも3×1010オームのエレクトロマイグレーションに対する抵抗もまた示した。硬化ソルダマスクによって示されたこの高い抵抗は、高度な残留可動イオン、不十分な架橋密度、および銅基板への中程度から乏しい接着のために、アクリレートベースのソルダマスクによってはまれにしか達成されない。ENIGによる攻撃に対する抵抗性は、軽石処理銅と微小エッチング銅の両方に対して優良であった。
【0154】
実施例4:第2のソルダマスク製剤
この製剤は、上記の実施例1のプロセスに従って製造し、以下を含んだ;
(a)製剤の総重量の5〜40%の分量である、SartomerによるSR 506および/または5〜30%の分量である、SartomerによるSR 238および/または1〜20%の分量である、トリアリルイソシアヌル酸などの少なくとも1種のUSM;
(b)製剤の総重量の5〜15%の分量である、SartomerによるSR 444などの少なくとも1種の不飽和ポリオール;
(c)製剤の総重量の2〜10%の分量である、CibaによるIrgacure 907などの少なくとも1種の光開始剤;
(d)製剤の総重量の0.2〜2%の分量である、チオキサントンなどの少なくとも1種の増感剤
(e)製剤の総重量の15〜35%の分量である、Maruzenによって製造されたMaruka Lyncur CHMなどの60%ビニルフェノールを含む、ブタノール中のフェノール架橋剤溶液;
(f)製剤の全体重量の1〜10%の分量である、SartomerによるSB500E50などのAC-POL溶液;
(g)製剤の全体重量の10〜50%の分量である、Sachtlebenによって製造された硫酸バリウムBlank Fixe microなどの無機質充填剤;ならびに
(h)少なくとも1種の湿潤剤、および少なくとも1種の分散剤、および少なくとも1種の有機色素、および少なくとも1種のレオロジー調節剤、および少なくとも1種の硬化阻害剤。
【0155】
物理的特徴-
この製剤は、40〜45℃、10〜100,000秒-1のずり速度で9〜12 cpsの粘度、および28〜34ダイン/cmの表面張力を有すると決定された。これはさらに、非常に高い潜在性を示し、すなわち、20〜25℃で3ヶ月間保存された後で、45℃、2,000〜5,000秒-1のずり速度で測定したときに、粘度の増加が最大で3 Cpsまでであった。
【0156】
付与および硬化-
この製剤を、非ドープ中圧Hg UVランプを備えた、Printar model LGP 809などのインクジェットプリンターによって印刷基板外層(FR4積層板、外層上に35ミクロン銅パターンを有し、銅は軽石処理している)に付与した。
【0157】
第1段階において、印刷の際に、印刷を、開始した基板上でのインク滴の延展の前にインク滴を「凍結」させるため、および印刷インクを不粘着状態まで架橋するために、該UVランプから放出されるUVおよび可視光放射によって、100〜1000 mW/cm2の出力で照射した。印刷の次に光による直接的架橋が続くこの順序は、ハンダ付けされるパッドを正確に規定するために高度な正確さおよび分解能が非常に重要である、ソルダマスクとして印刷基板にインクを付与する場合に極度に重要である。
【0158】
次いで、印刷フィルムの不粘着印刷を、500〜4000 mJ/cm2の総蓄積UVエネルギー出力まで、中圧Hg UVランプを備えたコンベア上のUV衝突に曝露し、次いで、150℃で60分間熱硬化させた。
【0159】
硬化印刷の物理的特性-
硬化フィルムは、突出した化学的耐性および耐熱性、ならびに銅への接着およびPCBの積層を有した。硬化フィルムを、the Institute for Interconnecting and Packaging Electronic Circuitsによって書かれかつ改訂されたプロトコールである、IPC-SM-840 C(クラスHおよびクラスT)に列挙された手順に従って、ソルダマスクとして認定した。
【0160】
硬化したソルダマスクは、IPC-SM-840Cによる最小必要要件よりも約10倍大きな値である4,000〜5,000 V/ミルの絶縁耐力を示した。このインクは、Bellcore GR-78-CORE, Issue 1, Section 13.2.7に従って測定される、少なくとも4×1010オームのエレクトロマイグレーションに対する抵抗もまた示した。硬化ソルダマスクによって示されたこの高い抵抗は、高度な残留可動イオン、不十分な架橋密度、および銅基板への中程度から乏しい接着のために、アクリレートベースのソルダマスクによってはまれにしか達成されない。ENIGによる攻撃に対する抵抗性は、軽石処理銅と微小エッチング銅の両方に対して優良であった。
【0161】
実施例5:第3のソルダマスク製剤
この製剤は、上記の実施例1のプロセスに従って製造し、光への曝露に応答して強酸を遊離するカチオン性光開始剤を利用した。この製剤は以下を含んだ;
(a)製剤の総重量の5〜40%の分量である、SartomerによるSR 506および/または5〜30%の分量である、SartomerによるSR 238などの少なくとも1種のUSM;
(b)製剤の総重量の5〜35%の分量である、Perstropによって製造されたアリルペンタエリスリトール(APE)ポリオール;
(c)製剤の総重量の1〜30%の分量である、DOWによって製造されたCyracure UVR-6105などの脂環式エポキシ;
(d)製剤の総重量の2〜10%の分量である、CibaによるIrgacure 907などの光開始剤;
(e)製剤の総重量の2〜10%の分量である、CibaによるIrgacure 250などのカチオン性光開始剤;
(f)製剤の総重量の5〜40%の分量で提供される、60%エーテル化フェノール樹脂および40%ブタノールを含み、SchenectadyによりFB 210 B60という名称の下で市販されているフェノール架橋剤溶液;
(g)製剤の全体重量の1〜10%の分量である、SartomerによるSB500E50などのAC-POL溶液;
(h)製剤の全体重量の10〜60%の分量である、Sachtlebenによって製造された硫酸バリウムBlank Fixeなどの無機質充填剤;ならびに
(i)少なくとも1種の湿潤剤、および少なくとも1種の分散剤、および少なくとも1種の有機色素、および少なくとも1種のレオロジー調節剤、および少なくとも1種の硬化阻害剤。
【0162】
物理的特徴-
この製剤は、40〜45℃、10〜100,000秒-1のずり速度で10〜12 cpsの粘度、および28〜34ダイン/cmの表面張力を有すると決定された。これはさらに、非常に高い潜在性を示し、すなわち、20〜25℃で3ヶ月間保存された後で、45℃、2,000〜5,000秒-1のずり速度で測定したときに、その粘度の増加が最大で3 Cpsまでであった。
【0163】
付与および硬化-
この製剤をまた、非ドープ中圧Hg UVランプを備えた、Printar model LGP 809などのインクジェットプリンターによって印刷基板外層(FR4積層板、外層上に35ミクロン銅パターンを有し、銅は軽石処理している)に付与した。
【0164】
第1段階において、印刷の際に、印刷を、開始した基板上でのインク滴の延展の前にインク滴を「凍結」させるため、および印刷インクを不粘着状態まで架橋するために、該UVランプから放出されるUVおよび可視光放射によって、100〜1000 mW/cm2の出力で照射した。印刷の次に光による直接的架橋が続くこの順序は、ハンダ付けされるパッドを正確に規定するために高度な正確さおよび分解能が非常に重要である、ソルダマスクとして印刷基板にインクを付与する場合に極度に重要である。
【0165】
次いで、印刷フィルムの不粘着印刷を、500〜4000 mJ/cm2の総蓄積UVエネルギー出力まで、中圧Hg UVランプを備えたコンベア上のUV衝突に曝露し、次いで、160℃で60分間熱硬化させた。
【0166】
硬化印刷の物理的特性-
硬化印刷またはフィルムは、突出した化学的耐性および耐熱性、ならびに銅への接着およびPCBの積層を有した。硬化フィルムを、the Association of interconnecting and packaging electronic circuitsによって書かれかつ改訂されたプロトコールである、IPC SM-840 C(クラスHおよびクラスT)に列挙された手順に従って、ソルダマスクとして認定した。
【0167】
硬化したソルダマスクは、IPC SM-840Cによる最小必要要件よりも約6倍大きな値である2,000〜3,000 V/ミルの絶縁耐力を示した。このインクは、Bellcore GR-78-CORE, Issue 1, Section 13.2.7に従って測定される、少なくとも3×1010オームのエレクトロマイグレーションに対する抵抗もまた示した。ENIGによる攻撃に対する抵抗性は、軽石処理銅と微小エッチング銅の両方に対して優良であった。
【0168】
実施例6:第4のソルダマスク製剤
本実施例のインク製剤の成分を表1に列挙する。これらの製剤を、実施例1に提供される手順に従って調製した。
【0169】
(表1)本発明のさらなる製剤

【0170】
表1に従うインク製剤の表面張力は、45℃において28〜33ダイン/cmであると測定された。粘度は、45℃、2,000〜5,000秒-1のずり速度において10から13 cpsの間と測定された(同じ温度で測定した)。このインク製剤は、非常に高い潜在性を示し、20〜25℃で3ヶ月間保存された後で、45℃、2,000〜5,000秒-1で測定したときに、最大で3 Cpsの粘度の増加を有した。
【0171】
PCBへのインクの付与は、実施例3〜5に例示されるものと完全に同じように実施した。
【0172】
これらの製剤から調製した硬化フィルムは、実施例7および8において本明細書中以下に議論されるように、突出した化学的耐性および耐熱性、ならびに銅への接着およびPCBの積層を有した。硬化フィルムを、the Institution for Interconnecting and Packaging Electronic Circuitsによって書かれかつ改訂されたプロトコールである、IPC-SM-840 C(クラスHおよびクラスT)に列挙された手順に従って、ソルダマスクとして認定した。
【0173】
実施例7:IPC-SM-840C、改正1、カラムA、クラスTおよびHに従う表1のソルダマスクの評価
本発明の方法に従って製造し、かつ表1に従う製剤を利用した14種のインクジェットソルダマスクをコートした試料を、IPC-SM-840C、改正1、カラムA、クラスT(電気通信)およびH(高信頼性)に従って試験した。
【0174】
視覚的-
ソルダマスクの外見を、IPC-SM-840C、改正1、パラグラフ3.4.8に従って、拡大レンズの補助を伴って、評価、定量、および適合検査のすべての段階において視覚的に評価した。
【0175】
割れ目、封入、剥離、または粗さの証拠は存在しなかった。ソルダマスクは外見が均一であり、異物を含まなかった。
【0176】
非栄養性-
ソルダマスクを、IPC TM 650、方法2.6.1Eに特定されるように試験した際、生物学的増殖に対する寄与、支援、または感受性について評価した(IPC-SM-840C、改正1、パラグラフ3.4.6を参照されたい)
【0177】
ソルダマスクは、生物学的試料の増殖を示さなかった。
【0178】
引火性-
ソルダマスク試料の引火性を、IPC-SM-840C、改正1、パラグラフ3.6.3.2に従って、オープン酸素カラム中で評価した。酸素指数のための必要とされる値(ASTM D2863によって決定した)は>28%であった。
【0179】
試験したソルダマスク試料の酸素指数は36%であった。
【0180】
試料を、IPC-SM-840C、改正1、パラグラフ3.6.3.1に従って、引火性についてさらに試験した。試料は、ベース積層のUL94「V」数を増大しなかった。
【0181】
加水分解安定性/経年変化-
ソルダマスク試料を、28日間の期間の間、97℃、90〜98%相対湿度で試験した。復元への抵抗性を、IPC TM 650のTM 2.6.11Cに従って、外見および表面厚を調べることによって決定した。
【0182】
復元の証拠は存在しなかった。ソルダマスク表面への綿粒子の接着の証拠は存在しなかった。
【0183】
絶縁耐力-
ソルダマスク試料の厚さを試験した。ソルダマスク材料は、0.025 mmの厚さあたり500 VDCの最小値であるかまたはそれを超えることが要求された。
【0184】
ソルダマスク試料は、571から750 V/ミルまでの範囲の絶縁耐力を示した。
【0185】
実施例8:IPC-SM-840C、改正1、カラムB、クラスTおよびHに従う表1のソルダマスクの評価
本発明の方法に従って製造し、表1に従う製剤を銅パターンを有するFR-4積層上で利用した24種のインクジェットマスク試料を、IPC-SM-840C、改正1、カラムB、クラスT(電気通信)およびH(高信頼性)に従って試験した。
【0186】
機械加工性-
ベース積層の上に付与されたソルダマスクを、印刷基板製造プロセスに通常関連するドリルあけ、ルーティング、ソーイング、またはパンチングに供されるときに使用した基板上で観察されるものと比較して、割れ目または破れについて評価した。
【0187】
ソルダマスク試料は、基板上で観察されるものよりも多く、割れたりまたは破れたりしていなかった。
【0188】
硬化-
溶媒および洗浄剤に対するソルダマスク試料の耐性、ハンダ付け性、およびハンダ付け耐性を試験した。
【0189】
試料は、溶媒および洗浄剤耐性、ハンダ付け性、およびハンダ付け耐性の要件を満たした。試料は適切に硬化した。
【0190】
鉛筆硬度-
ソルダマスク試料を、「F」硬度よりも柔らかい鉛筆によるひっかき傷に対する硬度について、IPC TM 650に従って試験した。
【0191】
ハンダ付け曝露の前後で試料を切断または削り取りしなかった鉛筆硬度は6Hであった。
【0192】
接着-
融解金属(例えば、その融点よりも上に曝露されたときの、スズ鉛または光沢酸性スズ)または非融解金属(例えば、銅、ニッケルなど)への硬化試料の接着は、IPC TM 650、方法2.4.281Dに従って決定した。
【0193】
ハンダ付け曝露の前後で積層または導電性表面からはずれたソルダマスクは存在しなかった。
【0194】
溶媒および洗浄剤に対する耐性-
イソプロパノール、リモネン、アルカリ溶液および水などの溶媒および洗浄剤に対する耐性を、IPC-SM-840C、改正1、パラグラフ3.6.1.1に従って評価した。
【0195】
ソルダマスク試料は、特定のIPCセクションに列挙された溶媒または洗浄剤への曝露後に、いかなる粗さ、気泡、層の剥離、割れ目、膨潤、および色の変化も示さなかった。
【0196】
ハンダ付け性-
ハンダ付け性を、ANSI/J-STD-003に従って試験した。
【0197】
試料のソルダマスクコーティングは、ハンダ付けされることが意図されている領域のハンダ付け性に有害な影響を与えなかった。
【0198】
ハンダ付けに対する耐性-
ハンダ付けへの曝露の直後に、試料を、ハンダ付けを受容することへの耐性について、パラグラフ3.4.8 IPCに従って目視検査した。必要とされる結果は、ハンダ付けの接着に対する完全な耐性であった。
【0199】
ソルダマスク試料の表面へのハンダ付けの接着はなかった。
【0200】
絶縁抵抗-
試料を、上記に詳述したハンダ付けに対する耐性を実施する前後に、最小絶縁抵抗について試験した。ソルダマスク試料は、0.125mm以上の最小間隔で、500の最小絶縁抵抗(5.0×108オーム)を有するべきである。
【0201】
試料は、1012オームまでのオーダーで絶縁抵抗を示した。
【0202】
湿度耐性および絶縁抵抗-
湿度に対する耐性および絶縁抵抗を、IPC-SM-840C、改正1、パラグラフ3.9.1に従って試験した。ソルダマスクは、気泡または分離を示すことなく、利用した条件に耐えるべきである。
【0203】
測定した平均絶縁抵抗は5.95×103メガオームであった。気泡、層の剥離、または他の型のソルダマスク試料の分解の証拠は存在しなかった。
【0204】
エレクトロケミカルマイグレーション(electrochemical migration)-
試料を、IPC-SM-840C、改正1、パラグラフ3.9.2に従って試験した。試料は、IPC-TM-650、方法2.6.14Cに従って特定されるように試験した場合に、エレクトロケミカルマイグレーションの証拠を示すべきではない。
【0205】
平均絶縁抵抗は、適用したバイアスの結果として10年間よりも長くまで、低下しなかった。測定した抵抗は1.48×102メガオーム(96時間)、8.5×101メガオーム(500時間)、1.0×105メガオーム(チャンバーの空調前)、および9.7×102メガオーム(チャンバーの空調後)であった。
【0206】
熱ショック-
ソルダマスク試料は、-65から+125℃まで変化させる熱ショック条件を利用して、IPC-SM-840Cパラグラフ3.9.3に従って試験した。
【0207】
ソルダマスクの気泡、ひび割れ、層の剥離、または割れ目の証拠は存在しなかった。
【0208】
実施例9:表2のソルダマスクの評価
表2は、本発明に従って調製したさらなるインクジェット製剤を列挙する。これらの製剤から調製したフィルムの耐性を、表3に列挙した種々の化学的条件下および物理的条件下で評価した。
【0209】
表4は、有機溶媒中で表2の製剤から、およびPCB工業において典型的に利用される条件、例えば、ハンダ付け、浸漬スズ表面仕上げ、無電解ニッケル/金(ENIG)などの下で調製した各々のソルダマスクの安定性を要約する。示されているように、製剤1、2、4、6、および7から調製したソルダマスクは、利用した各々の条件下で良好から優良な安定性を示した。製剤6から調製したソルダマスクは優良な安定性を示したが、それにも関わらず、粘度が高すぎ、ジェット噴射が40℃の代わりに60℃においてのみ可能であった。製剤7のソルダマスクは優良な安定性を示したが、酸性触媒に対する阻害剤が非存在である場合、製剤がより短いポットライフ(pot life)を示したので、製剤は、製造後、短い時間内に使用される必要があった。
【0210】
(表2)本発明の製剤。各値は製剤の総重量の重量%を表す。

【0211】
(表3)ソルダマスクが曝露された異なる化学物質の概略

【0212】
(表4)表2に列挙されたインク製剤の化学的耐性


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)自己架橋可能な少なくとも1種の化合物(USM);(b)少なくとも1種のフェノール樹脂;(c)少なくとも1種の溶媒;(d)少なくとも1種の無機充填剤;(e)少なくとも1種のポリオール;および(f)少なくとも1種の光開始剤を含む、インクジェットインク製剤。
【請求項2】
インクが潜在性である、請求項1記載のインク製剤。
【請求項3】
潜在性インク製剤がソルダマスクとしての使用のために適切である、請求項2記載のインク製剤。
【請求項4】
100℃よりも低い温度で測定した場合に、10〜100,000秒-1のずり速度(shear rate)において50 Cpsよりも低い粘度、および同じ温度で測定される40ダイン/cmよりも低い表面張力を有する、請求項1記載のインク製剤。
【請求項5】
少なくとも1種のUSMが、フリーラジカル機構を介して自己架橋可能な不飽和モノマーまたはオリゴマーである、請求項1記載のインク製剤。
【請求項6】
少なくとも1種のUSMが少なくとも80℃のガラス転移温度(Tg)を有する、請求項5記載のインク製剤。
【請求項7】
USMが5,000ダルトンよりも低い分子量を有する、請求項5記載のインク製剤。
【請求項8】
USMが2,000ダルトンよりも低い分子量を有する、請求項7記載のインク製剤。
【請求項9】
USMが100℃よりも低い温度で500 Cpsよりも低い粘度を有する、請求項5記載のインク製剤。
【請求項10】
自己架橋が、アクリル、メタクリル、ビニル、アリルエーテル、アリルエステル、フマリル、またはそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1種の不飽和基を介して達成され、該不飽和基が、多価アルコール、イソシアヌル酸およびその誘導体、ノボラック樹脂、ウレタン含有オリゴマー、アミド含有オリゴマー、エポキシ樹脂およびその誘導体、イソボルニルおよびその誘導体、イミド含有オリゴマー、脂環式環系、複素環式環系、ならびにそれらの誘導体から選択されるバックボーンに共有結合されている、請求項5記載のインク製剤。
【請求項11】
USMが、アクリル酸イソボルニルまたはメタクリル酸イソボルニル;短いポリオールおよび多価アルコールのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル;アクリル酸ウレタンまたはメタクリル酸ウレタン;短いジオールのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル;アルコキシル化ポリオールのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル;イソシアヌル酸トリス-2-ヒドロキシエチル(THEIC)のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル;脂環式ジオールおよびポリオールのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル;高官能性ポリアクリレートまたはメタクリレート;アリルエーテル;アリルエステル;トリアジンベースアクリレートまたはメタクリレート;樹枝状ポリオールアクリレートまたはメタクリレート;イミド基含有アクリレートまたはメタクリレート;ならびにノボラックエポキシ樹脂またはビスフェノールベースエポキシ樹脂とのアクリル酸またはメタクリル酸の反応生成物から選択される、請求項10記載のインク製剤。
【請求項12】
少なくとも1種のフェノール樹脂が、(a)フェノールアルデヒド縮合物およびその水素添加グレード;(b)アルケニルフェノールおよびその水素添加グレードのホモポリマーおよびコポリマー;(c)ポリ(ビニルフェノール)樹脂およびそのコポリマーおよび水素添加グレード;(d)フェノール単位および非芳香族性環状アルコール単位を含むオリゴマーおよびポリマーならびにその水素添加グレード;ならびに(e)N-ヒドロキシフェニル-マレイミドのホモポリマーおよびコポリマーから選択される、請求項1記載のインク製剤。
【請求項13】
フェノール樹脂がポリ(ビニルフェノール)、(ビニルフェノール)コポリマー、およびそれらの水素添加グレードである、請求項12記載のインク製剤。
【請求項14】
フェノール樹脂がエーテル化されている、請求項12記載のインク製剤。
【請求項15】
フェノール樹脂が固体樹脂である、請求項12〜14のいずれか一項記載のインク製剤。
【請求項16】
フェノール樹脂が有機溶媒中にあらかじめ溶解されたその溶液である、請求項12〜14のいずれか一項記載のインク製剤。
【請求項17】
有機溶媒が、エーテル、アルコール、グリコール、ラクトン、エステル、環状アミド、環状エステル、エーテル-エステル、アルキルカーボネート、ケトン、芳香族化合物、脂肪族化合物、アミド、脂環式化合物(cycloaliphatic)、シリル溶媒、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項16記載のインク製剤。
【請求項18】
溶媒が揮発性ヒドロキシル化溶媒である、請求項17記載のインク製剤。
【請求項19】
揮発性ヒドロキシル化溶媒がエタノール、プロパノール、ブタノール、またはイソ-ブタノールである、請求項18記載のインク製剤。
【請求項20】
少なくとも1種の溶媒が常温で1〜15 Cpsの範囲の粘度を有する、請求項1記載のインク製剤。
【請求項21】
少なくとも1種の溶媒が、エーテル、アルコール、グリコール、ラクトン、エステル、環状アミド、環状エステル、エーテル-エステル、アルキルカーボネート、ケトン、芳香族化合物、脂肪族化合物、アミド、脂環式化合物、シリル溶媒、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項20記載のインク製剤。
【請求項22】
溶媒が揮発性ヒドロキシル化溶媒である、請求項20記載のインク製剤。
【請求項23】
ヒドロキシル化溶媒がエタノール、プロパノール、ブタノール、またはイソ-ブタノールである、請求項22記載のインク製剤。
【請求項24】
無機充填剤が実質的に球形または卵形の粒子から構成される、請求項1記載のインク製剤。
【請求項25】
無機充填剤が多孔質粒子を実質的に含まない、請求項1記載のインク製剤。
【請求項26】
粒子が100 m2/grより小さな表面積を有する、請求項24または25記載のインク製剤。
【請求項27】
粒子が5ミクロン未満の平均粒子サイズによって特徴付けられる、請求項24〜26のいずれか一項記載のインク製剤。
【請求項28】
粒子サイズが2ミクロン未満である、請求項27記載のインク製剤。
【請求項29】
少なくとも1種の無機充填剤が約1.4〜1.7の範囲の屈折率を有する、請求項24〜28のいずれか一項記載のインク製剤。
【請求項30】
無機充填剤が、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属リン酸塩、アルモシリケート(alumosilicate)、カオリン、タルク、珪灰石、雲母、シリカ、およびケイ酸塩から選択される、請求項24〜29のいずれか一項記載のインク製剤。
【請求項31】
金属炭酸塩が炭酸カルシウムであり、金属硫酸塩が硫酸バリウムであり、およびケイ酸塩が石英である、請求項30記載のインク製剤。
【請求項32】
少なくとも1種のポリオールが少なくとも1つの反応性ヒドロキシル基によって置換されている、請求項1記載のインク製剤。
【請求項33】
少なくとも1つのヒドロキシル基が、約120〜220℃の温度でフェノール樹脂に対して反応性である、請求項32に記載のインク製剤。
【請求項34】
ポリオールが、アリルエステル、アリルエーテル、および多価アルコールのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルから選択される、請求項32記載のインク製剤。
【請求項35】
ポリオールが、アリルペンタエリスリトール、およびトリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトールまたはグリセロールのアリルエーテルから選択される、請求項34記載のインク製剤。
【請求項36】
ポリオールが脂環式ポリオールである、請求項32記載のインク製剤。
【請求項37】
脂環式ポリオールがシクロヘキサンジメタノールである、請求項36記載のインク製剤。
【請求項38】
少なくとも1種の光開始剤が、フリーラジカル生成光開始剤、カチオン性光開始剤、およびアニオン性光開始剤またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1記載のインク製剤。
【請求項39】
光開始剤がフリーラジカル生成剤である、請求項38記載のインク製剤。
【請求項40】
フリーラジカル生成剤が、アントラキノンおよびその誘導体;アセトフェノン;1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトンおよび2-メチル-1-(4-メチルチオ)フェニル-2-モルホリン-プロパン-1-オン;チオキサントン;ケタール;ベンゾインおよびベンゾインアルキルエーテル;アゾ化合物;ベンゾフェノン;ならびにそれらの混合物から選択される、請求項39記載のインク製剤。
【請求項41】
光開始剤がカチオン性ラジカル生成剤である、請求項38記載のインク製剤。
【請求項42】
カチオン性ラジカル生成剤が、トリアリールスルホニウム(TAS)およびジアリールヨードニウム(DAI)塩、オキシムスルホネート、およびジアゾニウム塩から選択される、請求項41記載のインク製剤。
【請求項43】
少なくとも1種のアミノ樹脂架橋剤をさらに含む、前記請求項のいずれか一項記載のインク製剤。
【請求項44】
アミノ樹脂が、メラミンモノマーまたはポリマー、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン-ホルムアルデヒド樹脂、ウレア-ホルムアルデヒド樹脂、グリコルリルホルムアルデヒド樹脂、トリアジンベースアミノ樹脂およびそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項43記載のインク製剤。
【請求項45】
少なくとも1種の増感剤をさらに含む、前記請求項のいずれか一項記載のインク製剤。
【請求項46】
以下の少なくとも1つをさらに含む、前記請求項のいずれか一項記載のインク製剤:色素、染料、湿潤剤、分散剤、ブロック強酸触媒、接着促進剤、消泡剤、硬化阻害剤、またはそれらの任意の組み合わせ。
【請求項47】
少なくとも1種の湿潤剤が、フッ素系界面活性剤;シリコーン系界面活性剤;ポリエーテル修飾ポリジメチルシロキサンおよびポリアクリレート系界面活性剤から選択される、請求項44記載のインク製剤。
【請求項48】
少なくとも1種の分散剤が、低分子量分散剤および高分子量分散剤から選択される、請求項47記載のインク製剤。
【請求項49】
少なくとも1種の色素または染料が、PCB製造のプロセスにおいて利用される条件下で実質的に変化しないままである色を有する、請求項46記載のインク製剤。
【請求項50】
色素または染料が緑色または青色である、請求項49記載のインク製剤。
【請求項51】
色素がフタロシアニングリーンまたはブルーである、請求項50記載のインク製剤。
【請求項52】
(a)製剤の総重量の約5〜70%の間の量の少なくとも1種のUSM;(b)製剤の総重量の約1〜50%の間の量の少なくとも1種のフェノール樹脂;(c)製剤の総重量の2〜25%の間の量の少なくとも1種の溶媒;(d)製剤の総重量の約1〜70%の範囲の量の少なくとも1種の無機充填剤;(e)製剤の総重量の1〜50%の間の量の少なくとも1種のポリオール;および(f)製剤の総重量の1〜20%の間の量の少なくとも1種の光開始剤を含む、請求項1記載のインク製剤。
【請求項53】
(a)製剤の総重量の約5〜60%の間の量の少なくとも1種のUSM;(b)製剤の総重量の約1〜30%の間の量の少なくとも1種のフェノール樹脂;(c)製剤の総重量の約2〜15%の間の量の少なくとも1種の溶媒;(d)製剤の総重量の約1〜50%の範囲の量の少なくとも1種の無機充填剤;(e)製剤の総重量の約1〜30%の間の量の少なくとも1種のポリオール;および(f)製剤の総重量の約1〜15%の間の量の少なくとも1種の光開始剤を含む、請求項52記載のインク製剤。
【請求項54】
(a)製剤の総重量の約5〜50%の間の量の少なくとも1種のUSM;(b)製剤の総重量の約1〜30%の間の量の少なくとも1種のフェノール樹脂;(c)製剤の総重量の約2〜12%の間の量の少なくとも1種の溶媒;(d)製剤の総重量の約1〜40%の間の範囲の量の少なくとも1種の無機充填剤;(e)製剤の総重量の約1〜20%の間の量の少なくとも1種のポリオール;および(f)製剤の総重量の約1〜10%の間の量の少なくとも1種の光開始剤を含む、請求項53記載のインク製剤。
【請求項55】
製剤の総重量の約5〜50%の間のUSM、約1〜40%の間のフェノール樹脂、約2〜20%の間の溶媒、約0〜20%の間のアミノ樹脂、約5〜60%の間の無機充填剤、約2〜40%の間のポリオール、約1〜15%の間の光開始剤、約0〜5%の間の色素または染料、ならびに約0〜10%の間の湿潤剤および/または分散剤を含む、前記請求項のいずれか一項記載のインク製剤。
【請求項56】
ポリオールが少なくとも1種の不飽和基によって置換されている、請求項55記載のインク製剤。
【請求項57】
製剤の総重量の約5〜50%の間のUSM、約1〜40%の間のフェノール樹脂、約2〜20%の間の溶媒、約0〜20%の間のアミノ樹脂、約0〜30%の間のエポキシ樹脂またはモノマー、約5〜60%の間の無機充填剤、約2〜40%の間の少なくとも1種の不飽和基によって置換されているポリオール、約1〜15%の間のフリーラジカル光開始剤、約1〜10%の間のカチオン性光開始剤、約0〜5%の間の色素または染料、ならびに約0〜10%湿潤剤の間のおよび/または分散剤を含む、請求項55または56記載のインク製剤。
【請求項58】
1〜10%のブロック強酸触媒をさらに含む、請求項1記載のインク製剤。
【請求項59】
少なくとも1種の阻害剤が揮発性アミン阻害剤である、請求項46記載のインク製剤。
【請求項60】
揮発性アミン阻害剤がN-メチルジエタノールアミン(MDEA)である、請求項59記載のインク製剤。
【請求項61】
2〜15%ポリオールSR 444;1〜20%の第1のUSM SR 238;1〜40%の第2のUSM SR 506D;5〜50%フェノール樹脂溶液FB210 B 60;5〜35%アミノ樹脂溶液Cymel 325;1〜10% AC-POL Sarbox 500E50;1〜30%の第1の無機充填剤、硫酸バリウム;0.1〜30%の第2の無機充填剤Aerosil R972;0.1〜5%の第1の分散剤DisperByk 111;0〜5%の第2の分散剤DisperByk 168;0〜1%の第3の分散剤DisperByk 163;0.1〜10%色素Hostaperm Green GG01;0〜1%湿潤剤Byk 358;1〜15%フリーラジカル生成光開始剤Irgacure 907;2〜20%溶媒;および0.2〜2%硬化阻害剤MDEAを含む、前記請求項のいずれか一項記載のインク製剤。
【請求項62】
6.99%ポリオールSR 444;13.50%の第1のUSM SR 238;33.22%の第2のUSM SR 506D;10.07%フェノール樹脂溶液FB210 B 60;7.69%アミノ樹脂溶液Cymel 325;1.98% AC-POL Sarbox 500E50;17.94%の第1の無機充填剤、硫酸バリウム;0.39%の第2の無機充填剤Aerosil R972;0.45%の第1の分散剤DisperByk 111;2.87%の第2の分散剤DisperByk 168;0.12%の第3の分散剤DisperByk 163;0.40%色素Hostaperm Green GG01;0.12%湿潤剤Byk 358;3.53%フリーラジカル生成光開始剤Irgacure 907;および0.73%硬化阻害剤MDEAを含む、請求項61記載のインク製剤。
【請求項63】
(i)少なくとも1種の第1の溶媒中にフェノール樹脂の溶液を供給する工程;
(ii)少なくとも1種のポリオール、少なくとも1種のUSM、任意に少なくとも1種の第2の溶媒、少なくとも1種の光開始剤、および少なくとも1種の充填剤を、工程(i)の該溶液に混合する工程;
(iii)高剪断を用いて工程(ii)の混合物を分散させる工程;
(iv)混合物重量の少なくとも90%が2ミクロン未満のフィルターを通過可能であるまで、工程(iii)の分散混合物を粉砕する工程;ならびに
(v)さらなる量の該第1の溶媒もしくは該第2の溶媒、または少なくとも1種の異なる溶媒を加えることによって(iv)の濾過製剤の粘度および表面張力を調整し、それによって、所望のインク製剤を得る工程
を含む、インクジェットインク製剤の製造のための方法。
【請求項64】
請求項1〜60のいずれか一項記載のインク製剤の調製のための、請求項63記載の方法。
【請求項65】
第1の溶媒、第2の溶媒、および異なる溶媒が同一である、請求項63記載の方法。
【請求項66】
第1の溶媒が第2の溶媒とは異なる、請求項63記載の方法。
【請求項67】
少なくとも1種の湿潤剤、分散剤、接着促進剤、硬化阻害剤、またはそれらの任意の組み合わせが工程(i)で加えられる、請求項63記載の方法。
【請求項68】
少なくとも1種のUSM、光開始剤および任意に増感剤、またはそれらの任意の組み合わせが工程(v)で加えられる、請求項63記載の方法。
【請求項69】
100℃より下の温度で測定された10〜100,000秒-1のずり速度において50 Cpsよりも低い粘度、および同じ温度で40ダイン/cmよりも低い表面張力を有することによって特徴付けられる、インクジェット印刷のために適合されるPCBのためのソルダマスク製剤。
【請求項70】
(i)請求項1〜62のいずれか一項記載のインク製剤を供給する工程;
(ii)基板の第1の面に該インク製剤を付与する工程;
(iii)UV照射および/または可視光によって(ii)の該基板を照射して、部分的に硬化した不粘着ソリッド印刷を与える工程;
(iv)該基板の第2の面上で工程(ii)および(iii)を任意に反復する工程;
(v)高出力UV光源および/または可視光光源によって該基板の該第1の面および/または該第2の面を任意に照射する工程;ならびに
(vi)約120〜220℃の温度で該印刷された基板の該第1の面および/または該第2の面を硬化させる工程
を含む、基板上にソルダマスクインク製剤をインクジェット噴射するための方法。
【請求項71】
工程(v)において利用される高出力UV源および/または可視光源が、300〜4500 nmの範囲で少なくとも200 mW/cm2の強度を有する、請求項70記載の方法。
【請求項72】
印刷がマーク、文字、またはフィルムである、請求項70記載の方法。
【請求項73】
印刷がソルダマスクである、請求項72記載の方法。
【請求項74】
基板が金属または金属酸化物表面、ガラス、セラミック、プラスチック複合材、またはPCBである、請求項72記載の方法。
【請求項75】
基板がPCBである、請求項74記載の方法。
【請求項76】
PCBが単層または複層PCBである、請求項75記載の方法。
【請求項77】
PCBがその外層である、請求項75または76記載の方法。
【請求項78】
請求項70〜77のいずれか一項に従って調製されるソルダマスク。
【請求項79】
請求項1〜62のいずれか一項記載の製剤から調製されるソルダマスク。
【請求項80】
請求項63〜68のいずれか一項の方法に従って製造される製剤から調製されるソルダマスク。
【請求項81】
200〜5,000 V/milの間の絶縁耐力によって特徴付けられる、請求項78または79記載のソルダマスク。
【請求項82】
少なくとも5×1012オームで測定される、エレクトロマイグレーションに対する抵抗によって特徴付けられる、請求項78〜80のいずれか一項記載のソルダマスク。
【請求項83】
IPC SM-840 C標準によって要求される特徴を有する、請求項78〜82のいずれか一項記載のソルダマスク。
【請求項84】
請求項1〜62のいずれか一項記載の製剤から調製される、IPC-SM-840-Cの要件に適合するソルダマスク。
【請求項85】
請求項70〜77のいずれか一項記載の方法に従って調製される、IPC-SM-840-Cの要件に適合するソルダマスク。

【公表番号】特表2009−506187(P2009−506187A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528656(P2008−528656)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際出願番号】PCT/IL2006/001020
【国際公開番号】WO2007/026366
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(508061608)プリンター リミテッド (1)
【Fターム(参考)】