説明

VLDLR遺伝子の検出による胃癌の検出方法

【課題】胃癌の早期発見や悪性度の診断、抗癌物質の選別に役立つ、安定で再現性の高い、胃癌の新規な検出方法を提供すること。
【解決手段】胃組織細胞におけるヒトVLDLR(VLDLリセプター)遺伝子の、(ホモ接合体)欠失、CpGアイランドのメチル化等による不活性化を検出することにより、当該胃組織細胞の癌化を検出することを含む、胃癌の検出方法。検出手段としては、DNAチップ法、サザンブロット法、ノーザンブロット法、リアルタイムRT−PCR法、FISH法、CGH法等が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトVery Low Density Lipoprotein Receptor(ヒトVLDLR)遺伝子の不活性化を検出することによって胃癌を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
胃癌(Gastric Cancer:GC)は日本では毎年100,000人以上が罹患し、男女比は約2:1と男性に多く、男性では1番多い癌である。年間の死亡者数は日本で約50,000人と全癌の16%を占める。これまでの研究により、胃組織細胞は、細胞の分化と増殖の過程で、遺伝子の変化が連鎖的に起こり、その結果、癌化に至ると考えられている。しかし、どのような遺伝子の変化が、胃組織細胞の癌化を誘導するのかは、未だ明らかではない。従って、胃癌の検出方法並びに胃癌の悪性度の検査方法は存在しない状況である。
【0003】
胃癌の検診には胃X線検査、胃内視鏡、血中ペプシノーゲン値、腫瘍マーカーが挙げられ、胃内視鏡(確実な診断が得られる唯一の検査)も広く行われている。しかしながら、これら多くは、画像診断や早期診断のためのツールであり、癌の確定診断やタイピング、進行度の判定、転移の有無を判定する方法ではない。
【0004】
また、遺伝子に着目した胃癌の検出方法としては、例えば、特許文献1に記載の方法が知られている。しかし、この方法は遺伝子の発現プロファイルの変化に着目したものである。遺伝子の発現プロファイルの測定とは、複数のmRNA量の測定である。mRNAは非常に不安定で分解しやすく、また発現のダイナミックレンジも大きいため、マイクロアレイ等による測定の再現性が悪い。このため、より安定で再現性の高い手法が求められてきた。
【0005】
ComparativeGenomicHybridization(CGH)は、ゲノム上での遺伝子の増幅を検出するためには、感度が高く効率の良い方法である。本発明者らは、このCGHアレイ法を用いて胃癌細胞で増幅する遺伝子群、すなわち、クロモソーム2p24.1で増幅しているSDC1遺伝子、クロモソーム2p23.3で増幅するDNMT3A遺伝子、クロモソーム3p22.3で増幅するMLH1遺伝子、クロモソーム3p22.1で増幅するCTNNB1遺伝子等を同定した(非特許文献1)。
【0006】
一般的に癌化の遺伝子レベルでの機構として、上記のような複数遺伝子の増幅と共に癌抑制遺伝子の欠失が報告されているが、特定の遺伝子の欠失の同定は、ポジショナルクローニング等の通常の方法を用いた場合、大変な時間と労力がかかり、目的とする遺伝子を見出すことは困難である。また、CGH法においても、5−10Mbより小さいサイズのゲノムDNAの欠失は、通常のメタフェーズクロモソームを用いた方法では検出が困難であった(非特許文献2及び3)。例えば、DPC4/SMAD4、RB1、PTEN、p16−INK4A、RASSF1等の癌抑制遺伝子は、染色体のマッピング法によりホモ接合体欠失領域を狭めて行き、最終的に目的とする癌抑制遺伝子が同定された。
【0007】
【非特許文献1】Takada H, Imoto I, Tsuda H, Sonoda I, Ichikura T, Mochizuki H, Okanoue T, Inazawa J. : Screening of DNA copy-number aberrations in gastric cancer cell lines by array-based comparative genomic hybridization. Cancer Sci. 2005 Feb;96(2):100-10
【非特許文献2】Bentz,M.,Plesch,A.,Stilgenbauer,S.,Dohner,H.&Lichter,P.:Minimal sizes of deletions detected by comparative genomichybridization, Genes Chromosomes Cancer,, 172-175, 1998
【非特許文献3】Kirchhoff,M., Gerdes,T., Maahr,J., Rose,H., Bentz,M., Dohner,H. & Lundsteen,C.: Deletions below 10megabase pairs are detected in comparative genomic hybridization by standard reference intervas, Genes Chromosomes Cancer,, 410-413, 1999
【特許文献1】特表2005−514051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、新たな胃癌関連遺伝子を見出して、該癌関連遺伝子の不活性化を検出することによって、より安定で再現性の高い胃癌の検出方法を提供することを解決すべき課題とする。本発明はまた、遺伝子レベルにおける胃組織細胞の癌化の早期発見や胃癌の悪性度の診断を行う方法、さらに、当該メカニズムに基づく抗癌物質の選別を行う方法を提供することを解決すべき課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らはCGH法の感度と精度を上げ、High−throughputな方法を開発し、CGHアレイに搭載する800種類のBAC/PACDNAを選別することにより、胃組織細胞の癌化を抑制する癌抑制遺伝子、すなわち、ヒトVery Low Density Lipoprotein Receptor(VLDLR)遺伝子(以下、ヒトVLDLR遺伝子ともいう)の同定に成功した。そして、胃組織細胞の癌化を惹き起こす、ヒトVLDLR遺伝子の不活性化の原因まで突っ込んだ解明を行い、当該遺伝子の不活性化が、(1)当該遺伝子の欠失、及び(2)当該遺伝子のCpGアイランドのメチル化により惹き起こされることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
【0010】
即ち、本発明によれば、胃組織細胞におけるヒトVLDLR遺伝子の不活性化を検出することにより当該胃組織細胞の癌化を検出することを含む、胃癌の検出方法が提供される。
【0011】
好ましくは、ヒトVLDLR遺伝子のゲノムDNA、cDNA、またはmRNAを用いて当該遺伝子の不活性化を検出する。
【0012】
好ましくは、ヒトVLDLR遺伝子の不活性化は、当該遺伝子の欠失による不活性化である。さらに好ましくは、ヒトVLDLR遺伝子の欠失は、当該遺伝子のホモ接合体欠失である。
【0013】
好ましくは、ヒトVLDLR遺伝子の不活性化は、当該遺伝子のCpGアイランドのメチル化による不活性化である。
【0014】
好ましくは、DNAチップ法、サザンブロット法、ノーザンブロット法、リアルタイムRT−PCR法、FISH法、または、CGH法を用いて胃組織細胞におけるヒトVLDLR遺伝子の不活性化を検出する。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、胃組織細胞検体における癌化の兆候、癌の進行度や悪性度を的確に把握することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明による胃癌の検出方法は、胃組織細胞におけるヒトVLDLR遺伝子の不活性化を検出することにより当該胃組織細胞の癌化を検出することを特徴とする。
【0017】
ヒトVLDLR遺伝子の不活性化を検出する対象となる胃組織細胞は、検体提供者の生検組織細胞が好適である。この検体組織細胞は、健常人の胃組織細胞か、胃癌患者の当該癌組織であるかを問わないが、現実的には、(1)内視鏡検査等の結果、胃組織に癌化が疑われる病変部が認められた場合の当該病変組織、または、(2)胃癌であることが確定しているが、その悪性度や進行度を判定する必要がある胃癌の組織、等が主な対象となり得る。
【0018】
本発明の検出方法により、「内視鏡検査等の結果、胃組織に癌化が疑われる病変部が認められた場合の当該病変組織」におけるヒトVLDLR遺伝子の不活性化が認められた場合には、当該病変組織は癌化に向かって進行しているか或いは既に癌化の状態であり、かつ、悪性度が高くなりつつあることが判明し、早急な本格的治療(手術等による病変部の除去、本格的な化学療法等)を行う必要性が示される。また、「胃癌であることが確定しているが、その悪性度や進行度を判定する必要がある胃癌の組織」におけるヒトVLDLR遺伝子の不活性化が認められた場合にも、当該癌組織の悪性度が高くなりつつあることが判明し、早急な本格的治療(手術等による病変部の除去、本格的な化学療法等)を行う必要性が示される。検体として採取された胃組織細胞組織は、必要な処理、例えば、採取された組織からのDNA或いはRNAの調製を行い、本発明の検出方法を行う対象とすることができる。
【0019】
本発明の検出方法は、上述したように、胃組織細胞におけるヒトVLDLR遺伝子の不活性化を検出することにより、当該細胞の癌化(特に、癌化のイニシエーション)を特定することが可能である。このヒトVLDLR遺伝子の不活性化の態様としては、(1)ヒトVLDLR遺伝子の欠失、または、(2)ヒトVLDLR遺伝子が欠失していない場合における遺伝子の発現量の低下が挙げられる。
【0020】
(1)ヒトVLDLR遺伝子の欠失
このヒトVLDLR遺伝子の欠失の検出を直接的に行うことができる代表的方法として、CGH(Comparative Genomic Hybridization)法とFISH(Fluorescence In Situ Hybridization)法を挙げることができる。この態様の本検出方法は、ヒトVLDLR遺伝子を有するBAC(Bacterial Artificial Chromosome)DNA、YAC(Yeast Artificial Chromosome)DNAまたはPAC(Phage Artificial Chromosome)DNA(以下、BAC DNA等ともいう)を標識し、FISHを行うと、ヒトVLDLR遺伝子の欠失部分を検出することができる。具体的に、ヒトVLDLR遺伝子を有するBAC DNAとしては、RP−11−671F16, RP11−320E16, RP11−578M2, RP11−719M6, RP11−941D23を挙げることができる。
【0021】
上記の態様の方法は、ゲノムDNA定着基盤を用いて行うことが、好適であり、かつ、現実的である。
【0022】
通常に得られるBAC DNA等は、ゲノムDNA定着基盤を多数製造して実用化するには少量であるので、当該DNAを遺伝子増幅産物として得る必要がある(この遺伝子増幅行程を「無尽蔵化」ともいう)。無尽蔵化においては、まずBACDNA等を、4塩基認識酵素、例えば、RsaI、DpnI、HaeIII等で消化した後、アダプターを加えてライゲーションを行う。
【0023】
アダプターは10〜30塩基、好適には15〜25塩基からなるオリゴヌクレオチドで、2本鎖は相補的配列を有し、アニーリング後、平滑末端を形成する側の3‘−末端のオリゴヌクレオチドをリン酸化する必要がある。次に、アダプターの一方のオリゴヌクレオチドと同一配列部分を有するプライマーを用いて、PCR(Polymerase Chain Reaction)法により増幅し、無尽蔵化することができる。一方、各BAC DNA等に特徴的な50〜70塩基のアミノ化オリゴヌクレオチドを、検出用プローブとして用いることもできる。
【0024】
このようにして無尽蔵化したBAC DNA等を基盤上、好適には固体基盤上に定着させることにより、所望するDNA定着基盤を製造することができる。固体基盤としては、ガラス、プラスチック、メンブレン、3次元アレイ等があげられ、スライドガラス等のガラス基板が好ましい。ガラス等の固体基盤は、ポリ−L−リジン、アミノシラン、金・アルミニウム等の凝着により基盤をコートすることがより好ましい。
【0025】
上記の無尽蔵化したDNAを基盤上にスポットする濃度は、好ましくは10pg/μl〜5μg/μl、より好ましくは1ng/μl〜200ng/μlである。スポットする量は好ましくは1nl〜1μl、より好ましくは10nl〜100nlである。また、基盤に定着させる個々のスポットの大きさ及び形状は、特に限定されないが、例えば、大きさは直径0.01〜1mmであり得、上面から見た形状は円形〜楕円形であり得る。乾燥スポットの厚みは、特に制限はないが、1〜100μmである。さらに、スポットの個数は、特に制限はないが、使用する基盤あたり10〜50,000個、より好ましくは100〜5,000個である。それぞれのDNAはSingularからQuadruplicateの範囲でスポットするが、Duplicate或いはTriplicateにスポットすることが好ましい。
【0026】
乾燥スポットの調製は、例えば、スポッターを用いて無尽蔵化したBAC DNA等を基盤上にたらして、複数のスポットを形成した後、スポットを乾燥することにより製造することができる。スポッターとしてインクジェト式プリンター、ピンアレイ式プリンター、バブルジェット(登録商標)式プリンターが使用できるが、インクジェット式プリンターを使用することが好ましい。例えば、GENESHOT(日本ガイシ株式会社、名古屋)等を使用できる。
【0027】
このようにして無尽蔵化したBAC DNA等を基盤上、好適には固体基盤上に定着させることにより、所望するDNA定着基盤を製造することができる。
【0028】
また、このヒトVLDLR遺伝子の欠失を直接的に検出する手段の一つとしてサザンブロット法を挙げることができる。サザンブロット法は、検体から得られるゲノムDNAを分離して固定し、これと、ヒトVLDLR遺伝子とのハイブリダイズを検出することにより、検体中の当該遺伝子の存在を検出する方法である。なお、ヒトVLDLR遺伝子の塩基配列とアミノ酸配列はそれぞれ公知であり、配列表の配列番号1及び配列番号2に示す。
【0029】
(2)ヒトVLDLR遺伝子が欠失していない場合における遺伝子の発現量の低下
この態様の方法は、ヒトVLDLR遺伝子(ゲノムDNA)を基とする、ポリヌクレオチド量またはヒトVLDLR蛋白質量を定量し、この定量値を指標にして、ヒトVLDLR遺伝子の発現の低下を検出することができる。上記ポリヌクレオチドとしては、ヒトVLDLR遺伝子から転写されたmRNA、これを鋳型として得られるcDNAを挙げることができる。
【0030】
なお、常法によりヒトVLDLR蛋白質に対する抗体を調製する等して、これを用いて検体におけるヒトVLDLR蛋白質量を定量して、上記の定量値を求めることができるが、本発明の検出方法における検出対象は、遺伝子の発現量の「低下」であり、このようなネガティブな検出における指標を蛋白質量とすることは、バックグラウンドの存在等の問題を解決しなければならず、効率的とはいえない面がある。よって、この態様の方法における検出手段としては、ヒトVLDLR遺伝子(ゲノムDNA)を基とする、ポリヌクレオチド量の検出方法を用いることが好適である。このポリヌクレオチド量の検出方法としては、例えば、下記の手段を例示することができる。
【0031】
最も典型的な態様は、検体における、ヒトVLDLR蛋白質のmRNAを鋳型とするcDNAを検出することにより、間接的に検体において存在するmRNAを検出して、ヒトVLDLR遺伝子が発現している程度を把握する検出方法である(以下、この態様の検出手段を、VLDLRmRNA検出方法ともいう。この態様の検出方法には、下記のリアルタイムRT−PCR法が含まれる)。
【0032】
VLDLRmRNA検出方法では、典型的には、公知の方法(例えば、オリゴdTを用いる方法)に従い、検体の全RNAから、mRNAを選別する。そして、得られたmRNAから、既知のヒトVLDLR遺伝子の塩基配列に対応するヌクレオチド鎖を、増幅用プライマーとして用いた耐熱性DNAポリメラーゼを用いる、mRNAを鋳型として遺伝子を増幅することが可能な遺伝子増幅法、例えば、RT−PCR法により、ヒトVLDLR蛋白質をコードするcDNAを増幅し、かかる遺伝子増幅操作による増幅産物の有無や多少を検出することにより、検体におけるヒトVLDLR蛋白質のmRNAの存在を、好適にはリアルタイムに検出することができる。
【0033】
リアルタイムRT−PCR法は、逆転写反応とポリメラーゼ連鎖反応による目的遺伝子の増幅を経時的(リアルタイム)に測定する方法であり、増幅率に基づいて鋳型となるmRNAの定量を行なうことができる。この定量は蛍光色素を用いて行われ、二種類の方法がある。即ち、二重鎖DNAに特異的に挿入(インターカレート)して蛍光を発する色素 (例えば、SYBR green) を用いる方法と、増幅するDNA配列に特異的なオリゴヌクレオチドに蛍光色素を結合させたプローブを用いる方法が知られている。
【0034】
なお、上記のようにして増幅されたヒトVLDLR蛋白質をコードするcDNAを鋳型として、さらにPCR法等の耐熱性DNAポリメラーゼを用いる遺伝子増幅操作を施し、これによる遺伝子増幅産物の有無や多少を検出することにより、検体におけるヒトVLDLR蛋白質のmRNAの存在を、一層正確に検出することができる(この2回目の遺伝子増幅操作において用いる遺伝子増幅用プライマーは、1回目の遺伝子増幅操作において用いられた遺伝子増幅用プライマーよりも、ヒトVLDLR遺伝子の内側に対応するヌクレオチド鎖を、遺伝子増幅用プライマーとして用いる必要がある)。
【0035】
DNAチップ法は、検体細胞で発現しているmRNAを定量する方法の一つである。例えば、基盤(上述したCGH法で用いられ得る基盤と実質的に同一)上に、ヒトVLDLR遺伝子の特徴的な配列を有する合成オリゴヌクレオチドを固定し(cDNAを固定することもできる)、検体から調製したRNAをリバーストランスクリプターゼによりcDNAを合成する時に標識を行う。本標識cDNAと基盤上の合成オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせ、結合した標識の量をスキャンすることによりmRNAの発現量を測定することができる。
【0036】
ノーザンブロット法は、検体から得られるmRNAを、分離して固定し、これと、ヒトVLDLR遺伝子の特徴的な配列を有する合成オリゴヌクレオチド(cDNAを用いることもできる)とのハイブリダイズを検出することにより、検体中のヒトVLDLR遺伝子の発現を検出する方法である。
【0037】
ヒトVLDLR遺伝子の欠失以外の原因で、当該遺伝子の発現量が減少する主な原因としては、ヒトVLDLR遺伝子のCpGアイランドのメチル化による不活性化が挙げられる。以下に、この要因について簡単に説明する。
【0038】
CpGリッチプロモーター並びにエキソン領域を密にメチル化すると転写不活化がおこることが報告されている(Bird,A.P.&Wolffe,A.P.:Methylation−induced repression−belts, braces, andchromatin, Cell, 451−454, 1999)。癌細胞では、CpGアイランドはそれ以外の領域と比較すると高い頻度で密にメチル化されており、プロモーター領域のHypermethylationは、ヒト癌での癌抑制遺伝子の不活化に深く関与している(Ehrlich,M., Jiang,G., Fiala,E., Dome,J.S., Yu,M.C., Long,T.I., Youn,B., Sohn,O.S., Widschwendter,M., Tomlinson,G.E., Chintagumpala,M., Champagne,M., Parham,D., Liang,G., Malik,K. & Laird,P.W. : Hypomethylation and hypermethylation of DNA in Wilms tumors, Oncogene,, 6694−6702, 2002)。
【0039】
後述するように、実際、ヒトVLDLR遺伝子のエクソン1の一部とその上流領域に存在するCpGアイランドはプロモーター活性を有することが判明した。また、このCpGアイランドのメチル化の度合いは、一部の胃癌細胞でのヒトVLDLR遺伝子発現の抑制と強く相関していた。そして、胃癌細胞を、脱メチル化試薬である5−アザデオキシシチジン(5−aza−dC)存在下で培養することにより、CpGアイランドを脱メチル化することができ、その結果、ヒトVLDLR遺伝子発現を回復させることができた。これらの結果より、CpGアイランドの高密度メチル化(Hypermethylation)が胃癌細胞における癌抑制遺伝子の発現抑制を高頻度でおこす原因の一つであることが判明した。
【0040】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0041】
[実施例1]
National Cancer for Biotechnology及びUniversity of California Santa Cruz Biotechnologyのゲノムデータベースウエブサイト並びに選択されたDNAのBLAST検索の結果から癌化並びに癌細胞の増殖に極めて重要な遺伝子或いはSequence Tagged Siteマーカーを有する800種類のBAC/PACクローンを選択した。
【0042】
BAC及びPAC DNAをDpnI、RsaI、HaeIIIで消化し、その後アダプターDNAとのライゲーションを行った。次に、アダプターの配列を有するプライマーを用いてPCRを2回行った。2本のプライマーの一方には5’末端がアミノ化されている。このプロセスを無尽蔵化と言い、得られたDNAを無尽蔵化DNAと定義する。無尽蔵化DNAをインクジェットタイプのスポッター(GENESHOT、NGKInsulators、名古屋)を使用してDuplicateにオリゴDNAマイクロアレイ(マツナミガラス、大阪)に共有結合でプリントした。
【0043】
[実施例2]
胃癌での新規なホモ接合体欠失を検出するために、32種類の胃癌細胞から調製したゲノムDNAを用いて、実施例1のCGHアレイを使用したCGHアレイ解析を行った。
【0044】
なお、対照として男性の健常人ゲノムDNAを使用しCy5で標識した。被検DNAとして上記胃癌細胞から調製したゲノムDNAを使用しCy3で標識した。具体的には、DpnI消化したゲノムDNA(0.5μg)を、各々0.2mMdATP、0.2mMdTTP、0.2mMdGTP、0.1mMdCTP及び0.4mMCy3−dCTP(胃癌細胞)或いは0.4mMCy5−dCTP(正常細胞)存在下で、ニックトランスレーションにより標識した。Cy3並びにCy5標識dCTPはAmershamBiosciences(東京)より入手した。両標識ゲノムDNAをCot−1DNA(Invitrogen社)存在下でエタノールを加えて沈殿させ、120μlのハイブリダイゼーション混合液(50%ホルムアミド、10%Dextransulfate、2XSSC(1xSSC:150mM NaCl/15mM Sodium Citrate)、4%sodiumdodecylsulfate、pH7)に溶解した。37℃で30分間インキュベーション後、ハイブリダイゼーションチャンバーにセットしたCGHアレイ上に加え、37℃で3rpm(round per minute)のスピードで振とうしながら48−72時間インキュベーションを行った。その後、CGHアレイを50%ホルムアミド/2xSSC(pH7.0)溶液中で50℃にて15分間洗浄し、次に2xSSC/0.1%SDS中で50℃にて15分間洗浄し、さらに、0.1%NonidetP−40を含む0.1M燐酸緩衝液(pH8)を用いて室温で15分間洗浄した。風乾した後、CGHアレイをGenePix4000Bスキャナー(Axon Instruments、CA、USA)を用いてCy3及びCy5に由来する蛍光をモニタリングした。得られた結果をGenePixPro4.1イメージングソフトウエア(Axon Instruments)を用いて解析した。Cy3に由来する蛍光強度の平均とCy5に由来する蛍光強度の平均を同じ値に調整し、Cy3/Cy5のRatioを求めた。ゲノムに異常がない場合にはRatio値は1である。Ratio値が1.32以上の時にゲノムの増幅があり、4以上の時に顕著な増幅が認められると判定した。Ratio値が0.75以下の時にゲノムのヘテロ接合体欠失の可能性、0.25以下の時にホモ接合体欠失の可能性が極めて大きいと判定した。
【0045】
その結果、胃癌(HSC58)細胞でクロモソーム9p24.2に存在するヒトVLDLRの遺伝子が欠失していることが判った。このときのLog2Ratioは−2.63であった[図1A:被検細胞としてHSC58のゲノムDNAを用いて、実施例1に示したCGHアレイ上でCGH解析を行った時の代表的なアレイイメージである。クロモソーム9p24.2−24.3におけるヒトVLDLR遺伝子コピー数の減少は明確なシグナル(Log2Ratio=−2.63)で示される(右拡大図中の矢印で示す)。]。
【0046】
他の細胞種について検討を進めた所、31種類の胃癌細胞中で[図2Aは、胃癌細胞におけるヒトVLDLR遺伝子のホモ接合体欠失の検出を表している。PLCは健常者由来のDNAを用いた結果を示す。GAPDH(Glyceral dehyde−3−phosphate dehydrogenase)遺伝子のPCRは対照として用いた。]、ヒトVLDLR遺伝子のホモ接合体欠失は見出せなかった。さらに、Laser−captured microdissection(LCM)を行ったプライマリー胃癌では39サンプル中の1サンプル[図2Cの楔印で示す。図2Cは、Laser−capturedmicrodissection(LCM)−処理プライマリー胃癌におけるヒトVLDLR遺伝子のホモ接合体欠失を示している。楔印はホモ接合体欠失を検出した細胞種を示す。GAPDH遺伝子のPCRは対照として用いた。]について、ヒトVLDLR遺伝子のホモ接合体欠失が検出された。
【0047】
[実施例3]
胃癌細胞において、ヒトVLDLR遺伝子の配列から各々2種類のプライマーを設計し、両領域に由来するmRNAをRT−PCR法で検出した。
【0048】
その結果、ホモ接合体欠失の起こっている細胞株でmRNAを検出できなかった。さらに、ホモ接合体欠失の起こっていない32細胞株の中の9細胞株ではRT-PCR産物を検出できず、7細胞株では明らかに通常の胃組織と比較して発現の低下を示していた[図2B RT−PCR解析によって検出された胃癌細胞のヒトVLDLRの発現を示している。図2Aに矢印で表示したホモ接合体欠失を示す細胞種に同様に矢印をつけた。ホモ接合体欠失を示さない31細胞種の中で9細胞種について、ヒトVLDLR mRNA発現が頻度29.0%で消失し、頻度22.6%で発現低下していた。]。従って、ヒトVLDLR mRNAを検出できない理由はゲノム上での遺伝子欠失に加えて他のメカニズムが考えられるので、さらにその検討を行った。
【0049】
[実施例4]
CpGアイランドのメチル化は遺伝子発現を抑制するメカニズムの1つである。ヒトVLDLR遺伝子のCpGアイランドをCpGPLOTを用いて解析した結果、ヒトVLDLR遺伝子のエキソン1の周辺に4断片を同定した。本領域中のCpG部位並びにCpG部位が密集して存在するCpGアイランドを表示した[図2D:ヒトVLDLR遺伝子のエクソン1周辺のCpGアイランドの図解マップである。エクソン1を白抜きボックスで表示し、転写開始点を+1で示した。CpGアイランドはCpGPLOT(http://www.ebi.ac.uk/emboss/cpgplot/)により同定し、水平矢印で示した。CpGアイランドはヒトVLDLR遺伝子の−514から+1914までから構成される。プロモーターアッセイにより解析した領域(Fragment1から3まで)、Bisulfite−PCR解析を行った領域、Bisulfiteシーケンスを行った領域を水平の線で示した。]。
【0050】
ここで同定したヒトVLDLR遺伝子のCpGアイランドのプロモーター活性を調べるために、このCpGアイランドの周辺を含めて3つの断片(図2D fragment 1−3)に分けそれらの断片をルシフェラーゼレポータープラスミド(pGL3−Basic vector:Promega,WI,USA)に挿入し、SNU601細胞並びにMK704細胞を、一過性にpRL−hTK内部標準ベクター(Promega)と共にコトランスフェクションした。用いたレポーターアッセイ系は、ホタルルシフェラーゼ酵素のメッセンジャーRNAが発現し、タンパクに変換されて活性のある酵素として働くことによる発光物を測定する方法によった。pGL3−Basicベクター(プロメガ)を用いルシフェラーゼ遺伝子を下流域に配置しVLDLR遺伝子fragment1から3をプロモーター解析領域として含むコンストラクト(construct)についてVLDLR遺伝子の発現がみられないSNU601、MK704細胞に導入しその酵素活性を測定した(図3B)。fragment2が両細胞共に高いルシフェラーゼ酵素活性を示したことから、VLDLR遺伝子の転写活性化領域の基本単位は、fragment2にあることが判明した。
【0051】
遺伝子変異の検出法として亜硫酸水素ナトリウムの処理の有無で、ゲノムDNA中の非メチル化シトシン(C)を、ウラシル(U)に変換するがメチル化されているシトシンは構造上安定であるために、この反応を受けず、ウラシルに変換されない。これを鋳型としたPCR検出を行いメチル化の影響を受ける制限酵素と組み合わせて、変化したシトシンと非メチル化シトシン由来増幅DNA産物における配列の違いを制限酵素切断の有無により解析することにより、メチル化DNAの存在を特定できる(COBRA法:Bisulfite−PCR法と制限酵素切断法を組み合わせた実験法)。そこで、VLDLR遺伝子のエクソン1近傍のメチル化をCOBRA法により検出した(図3C)。VLDLR遺伝子の発現の低いMKN28,MKN74,KATO−III,SNU601,SNU638およびSNU719細胞株では制限酵素HhaIの切断部位が存在することにより3本の切断DNAが電気泳動上観察された(矢印)。一方、VLDLR遺伝子の発現がみられるMKN45,HSC41,NUGC−3、AZ−521,SNU216,SNU484およびSH101P4ではメチル化に依存した制限酵素切断点が発生しないため、電気泳動上単一バンドを示した(M)。
【0052】
ヒトVLDLR遺伝子CpGアイランド内の各CpGジヌクレオチドのメチル化度をBisulfiteシーケンス法により解析した。その結果、ホモ接合体欠失の認められない細胞(SNU601,MKN74)では、ヒトVLDLR遺伝子のCpGアイランドはメチル化度が特に高く、ヒトVLDLR遺伝子を発現している細胞(AZ−521)ではメチル化されていなかった[図3Dは、ヒトVLDLR遺伝子CpGアイランドのBisulfiteゲノムシーケンスを示している。転写開始点を+1で表示するとCpGアイランドは+471から+1914までを占める。この領域には71ヶ所のCpG部位がありそれを升目で表した。白抜き升目はメチル化されていないCpG部位で、黒塗り升目はメチル化されたCpG部位である。使用した細胞はヒトVLDLR遺伝子発現細胞(Expression(+)と表示)のAZ−521、並びにヒトVLDLR遺伝子を発現していない細胞(Expression(−)と表示)のSNU601及びMKN74である。]。従って、胃癌細胞でヒトVLDLR遺伝子のホモ接合体欠失のある場合と、ヒトVLDLR遺伝子のCpGアイランドが高度にメチル化されている場合にはヒトVLDLR遺伝子発現は検出されないか或いは非常に低いことが判った。この2つのケースより、ヒトVLDLR遺伝子発現と胃組織細胞の癌化との関係が強く示唆される。
【0053】
[実施例5]
これまで、胃癌細胞でヒトVLDLR遺伝子CpGアイランドのメチル化を解析してきたが、実際に胃癌組織でも同様な現象が起こっているかどうかを検討した。その結果、プライマリー胃癌7例で、ヒトVLDLR遺伝子CpGアイランドのメチル化が起こっていることが判明した[図4Cは、プライマリー胃癌のヒトVLDLR遺伝子CpGアイランドのCOBRA解析を示している。Nは非癌胃組織、Tはプライマリー胃癌組織を示す]。以上の結果より、ヒトVLDLR遺伝子CpGアイランドのメチル化による、ヒトVLDLR遺伝子の不活化は胃組織細胞の癌化に重要な役割を示すと推定される。
【0054】
[実施例6]
胃癌細胞でヒトVLDLR遺伝子CpGアイランドを脱メチル化したときのヒトVLDLR遺伝子発現を検討した。具体的には、胃癌細胞をメチル転移酵素阻害剤である各種濃度の5−aza−dC存在下で5日間処理したときのヒトVLDLRmRNA誘導能を測定した。その結果、ヒトVLDLR遺伝子欠失はないがヒトVLDLRmRNAが検出されない細胞では5−aza−dC処理を行なうことにより、ヒトVLDLRmRNA誘導能が見出された[図3Aは、5−aza−dC存在下並びに不在下での胃癌細胞におけるヒトVLDLR遺伝子発現解析を示している。ヒトVLDLR遺伝子を増幅するための2種類の特異的プライマーを用いてRT−PCRを行い、電気泳動の結果得られたバンドを示した。GAPDHは内部標準として使用した。鋳型に使用したゲノムはホモ接合体欠失の認められないヒトVLDLR遺伝子を発現しない細胞種(SNU601,MKN74)を5−aza−dC存在下並びに不在下で5日間培養した後に調製した。]。
【0055】
[実施例7]
CpGアイランドのメチル化に伴う遺伝子発現抑制はゲノムの染色体構造を変化させることに起因することが明らかになってきた。同様にゲノムと相互作用するヒストン蛋白質の低アセチル化もゲノム構造を変化させ、遺伝子発現に影響を与える。今回、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤であるトリコスタチンA(TSA)とメチル基転移酵素阻害剤である5−aza−dCを用いてCpGメチル化とヒストンアセチル化の関連を検討した。
【0056】
ヒトVLDLR遺伝子CpGアイランドが密にメチル化されているSNU601およびMKN74細胞を、TSA存在下でインキュベーションしたところ、TSA不在下と発現量に変化はなかった[図3Aは、5−aza−dC及びTSA存在下で培養した後の、ヒトVLDLR遺伝子非発現胃癌細胞(SNU601,MKN74)におけるVLDLRmRNAの発現を示している。両細胞を5−aza−dC存在下で5日間、TSA存在下或いは5−aza−dCとTSA共存下で12時間培養した。それぞれの細胞から調製したゲノムDNAを鋳型とし、ヒトVLDLR遺伝子を増幅するための2種類の特異的プライマーを用いてRT−PCRを行い、電気泳動の結果得られたバンドを示した。GAPDHは内部標準として使用した。]。両細胞とも、TSAと5−aza−dC共在下でインキュベーションしても、特にヒトVLDLR遺伝子の発現の変化は認められなかった。この結果は、CpGアイランドのメチル化のみがヒトVLDLR遺伝子の発現に影響を与え、染色体高次構造の変化には関連がないことを示唆している
【0057】
[実施例8]
プロモーター領域のメチル化検出法について、亜硫酸水素ナトリウムを処理することで、ゲノムDNA中の非メチル化シトシン(C)を、ウラシル(U)に変換することが可能であるが、この被検DNAに対し亜硫酸水素ナトリウムの処理後変化した部位のウラシルに対応するプライマー対を用いてPCRを行うことにより、特定部位のメチル化の検出を行うことが可能である(Methylation Specific PCR法: MSP)。この方法を利用して胃癌細胞株、さらに臨床サンプル由来の隣接正常組織、癌組織から得られたサンプルについて図2Dに表示したMSPプライマーを用いて解析した(図4Aおよび図4B; U:非メチル化、M:メチル化、N:正常部位、T:腫瘍部位)。胃癌細胞株ではVLDLR遺伝子の発現のないMKN74(No.5),SNU601(No.27)両株のプロモーター部位がメチル化したMSP法での結果となり、VLDLR遺伝子が発現するAZ−521(No.24)細胞ではメチル化されていないという予想どおりの結果が得られた。臨床からの癌組織からのMSP法によるメチル化解析では、20サンプル中7サンプルに関してメチル化が検出された。また癌組織ならびに隣接正常部位が解析可能であった7サンプル中5サンプルで癌組織で癌部位特異的にメチル化が検出され、隣接正常部位ではメチル化が検出されない結果となった。このメチル化の差異が検出されたもの(17,21)を用いて、さらにVLDLR遺伝子BS−2領域(図2D参照)についてBisulfite−sequence法にてメチル化を解析した(図4D)。メチル化の差異が検出された癌17,21では予想どおりメチル化が観察された(メチル化している部位は黒で表示した)。
【0058】
上記の各実施例で使用したプライマー配列とPCR条件を以下の表1に記載する。
【0059】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1Aは、HSC58細胞株の典型的な二連のアレイCGHイメージを示す。RP11−48M17の9p24.2−24.3のコピー数の比(log2ratio)の著しい減少が明確な赤いシグナルとして検出された。図1Bは、HSC58細胞の9番染色体の典型的なコピー数プロファイルを示す。赤および青のバーは各々9p24.2−24.3および9p21.2−21.3のホモ接合体欠失のパターンを示す候補スポットを示している。図1Cは、HSC58を含むいくつかの胃癌細胞株を使用した、GAPDH、機能的コントロール、および9p24.2−24.3におけるホモ接合体欠失の周辺に存在する典型的な遺伝子を示すゲノミックPCR実験からのイメージを示す。PLC:通常の末梢リンパ球。図1Dは、HSC58細胞株中でのホモ接合体欠失領域をカバーしている9p24.2−24.3のマップを示す。アレイにスポッティングされているBACは水平な白いバーによって示されている。HSC58細胞中のホモ接合体欠失領域は、ゲノミックPCRで決定されたものとして、水平な白い矢印として示される。この領域の周辺に存在する13の遺伝子は、HSC58細胞株中でホモ接合体欠失しているか残っているかは、各々、黒あるいはグレーのバーで示され、位置と転写の方向を示している。
【図2】図2Aは、ゲノミックPCR解析で検出された胃癌細胞株中のVLDLRのホモ接合体欠失(楔印)を示す。1:MKN2,2:MKN7,3:MKN28,4:MKN45,5:MKN74,6:KATO−III,7:OKAJIMA,8:OCUM−1,9:HSC39,10:HSC40A,11:HSC41,12:HSC42,13:HSC43,14:HSC44PE,15:HSC45,16:HSC57,17:HSC58,18:HSC60,19:HSC64,20:NUGC−2,21:NUGC−3,22:NUGC−4,23:RERF−GC−1B,24:AZ−521,25:SNU216,26:SNU484,27:SNU601,28:SNU638,29:SNU668,30:SNU719,31:SH101P4,および32:Takigawa。図2Bは、RT−PCR解析で検出された、胃癌細胞株および正常な胃組織中のVLDLRの発現を示す。楔印は図2Aで示されたホモ接合体欠失を持つ細胞株を示す。VLDLRのホモ接合体欠失を持たない31細胞株のうち9株(29.0%)がほとんど完全なこの遺伝子の抑制を示し、7株(22.6%)が明らかに通常の胃組織と比較して減少した発現を示したことに注意すること。図2Cは、VLDLRのホモ接合体欠失で、検討した39のLCM処理したプライマリー胃癌のうち1つがゲノミックPCR解析で検出された(楔印)ことを示す。図2Dは、CPGPLOT(http://www.ebi.ac.uk/emboss/cpgplot/)を使用して同定された合計4つのCpGアイランドの概略図を示す。4つのverticalな閉じた矢印は各々551−bp、994−bp、297−bp、274−bpのCpGアイランドを示す(−471から+80;CpG−1,+269からIVS+793;CpG−2,IVS+826からIVS+1122;CpG−3,IVS+1172からIVS+1445;CpG−4)。エクソン1は開いたボックスで示され、転写開始点は+1とマークされる。プロモーターアッセイで検討されたフラグメント(フラグメント1−3)は太い黒線で示される。bisulfite−PCR解析およびbisulfiteシークエンシングで検討された領域(BS−1およびBS−2)は水平なグレーのバーで示される。最下部の矢印はMSPのプライマーの位置を示す。CpGサイトは拡張された軸の垂直な目盛りで示される。
【図3】図3Aは、5−aza−dCyd(10μM)で5日間処理もしくは無処理、および/もしくはTSA(10ng/ml)で24時間、SNU601およびMKN74細胞内でのVLDLR発現を示す、典型的なRT−PCR解析の結果を示す。図3Bは、VLDLR CpG−1あり、および/もしくは、なしでの領域のプロモーター活性を示す。pGL3 basicの空ベクター(モック)とVLDLRのエキソン1の上流あるいは周辺の3つの異なる配列(フラグメント 1−3)のうち1つを含むコンストラクトがSNU601細胞とMKN74細胞内に導入された。ルシフェラーゼ活性は内部コントロールに対して標準化された。提示されたデータは、各々3連で行われた3つの別々の実験の平均値±SEMである。図3Cは、胃癌細胞株内のHhaIによる消化後のVLDLR BS−2のbisulfite−PCRの典型的な結果を示す。矢印はメチル化CpGとして認識されたサイト内で特異的に制限酵素で消化されたフラグメントを示す。図3Dは、VLDLR CpG−1のbisulfite−sequencingの結果を示す。VLDLR発現細胞株(+)およびVLDLR非発現細胞株(−)で検討した結果を示す。2つのフラグメント(BS−1およびBS−2)を用いて、71のCpGサイトが全て配列決定された。各々の正方形はCpGサイトを示す:白い正方形、非メチル化;黒い正方形、メチル化。
【図4】図4Aは、胃癌細胞株のVLDLR CpG−1のMSP解析の典型的な結果を示す。数字は図2Aに記述されている通り、各々のGC細胞株を示す。非メチル化(U)およびメチル化(M)されたDNAに特異的なプライマーを用いて、同時に増幅反応を行った。図4Bは、プライマリー胃癌組織(T)および対応する非癌胃組織(N)の、VLDLR CpG−1のMSP解析の典型的な結果を示す。図4Cは、7人のプライマリー胃癌患者の、HhaI消化後のVLDLR BS−2のbisulfite−PCR解析の典型的な結果を示す。MSP解析による腫瘍組織内でのメチル化を示している。矢印は、メチル化されたCpGとして認識されたサイトで特異的に制限酵素で消化されたフラグメントを示す。図4Dは、VLDLR BS−2のメチル化状態は2つの典型的な胃癌サンプルペアのbisulfite sequencingで決定されることを示す。N,通常組織。T,腫瘍組織。
【配列表フリーテキスト】
【0061】
[配列表]
SEQUENCE LISTING
<110> Fuji Photo Film Co.
<120> A method for detecting stomach cancer by detection of deletion of VLDLR gene
<130> A61300A
<160> 14
<210> 1
<211> 3646
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<400> 1
ctctccggcc gccgccggtg cgggtgctcc gctaccggct cctctccgtt ctgtgctctc 60
ttctgctctc ggctccccac cccctctccc ttccctcctc tccccttgcc tcccctcctc 120
tgcagcgcct gcattatttt ctgcccgcag gctcggcttg cactgctgct gcagcccggg 180
gaggtggctg ggtgggtggg gaggagactg tgcaagttgt aggggagggg gtgccctctt 240
cttccccgct cccttccccc gccaactcct tcccctcctt ctcccccttt cccctccccg 300
cccccacctt cttcctcctt tcggaaggac tggtaacttg tcgtgcggag cgaacggcgg 360
cggcggcggc ggcggcggca ccatccaggc gggcaccatg ggcacgtccg cgctctgggc 420
gctctggctg ctgctcgcgc tgtgctgggc gccccgggag agcggcgcca ccggaaccgg 480
gagaaaagcc aaatgtgaac cctcccaatt ccagtgcaca aatggtcgct gtattacgct 540
gttgtggaaa tgtgatgggg atgaagactg tgttgacggc agtgatgaaa agaactgtgt 600
aaagaagacg tgtgctgaat ctgacttcgt gtgcaacaat ggccagtgtg ttcccagccg 660
atggaagtgt gatggagatc ctgactgcga agatggttca gatgaaagcc cagaacagtg 720
ccatatgaga acatgccgca tacatgaaat cagctgtggc gcccattcta ctcagtgtat 780
cccagtgtcc tggagatgtg atggtgaaaa tgattgtgac agtggagaag atgaagaaaa 840
ctgtggcaat ataacatgta gtcccgacga gttcacctgc tccagtggcc gctgcatctc 900
caggaacttt gtatgcaatg gccaggatga ctgcagcgat ggcagtgatg agctggactg 960
tgccccgcca acctgtggcg cccatgagtt ccagtgcagc acctcctcct gcatccccat 1020
cagctgggta tgcgacgatg atgcagactg ctccgaccaa tctgatgagt ccctggagca 1080
gtgtggccgt cagccagtca tacacaccaa gtgtccagcc agcgaaatcc agtgcggctc 1140
tggcgagtgc atccataaga agtggcgatg tgatggggac cctgactgca aggatggcag 1200
tgatgaggtc aactgtccct ctcgaacttg ccgacctgac caatttgaat gtgaggatgg 1260
cagctgcatc catggcagca ggcagtgtaa tggtatccga gactgtgtcg atggttccga 1320
tgaagtcaac tgcaaaaatg tcaatcagtg cttgggccct ggaaaattca agtgcagaag 1380
tggagaatgc atagatatca gcaaagtatg taaccaggag caggactgca gggactggag 1440
tgatgagccc ctgaaagagt gtcatataaa cgaatgcttg gtaaataatg gtggatgttc 1500
tcatatctgc aaagacctag ttataggcta cgagtgtgac tgtgcagctg ggtttgaact 1560
gatagatagg aaaacctgtg gagatattga tgaatgccaa aatccaggaa tctgcagtca 1620
aatttgtatc aacttaaaag gcggttacaa gtgtgaatgt agtcgtggct atcaaatgga 1680
tcttgctact ggcgtgtgca aggcagtagg caaagagcca agtctgatct tcactaatcg 1740
aagagacatc aggaagattg gcttagagag gaaagaatat atccaactag ttgaacagct 1800
aagaaacact gtggctctcg atgctgacat tgctgcccag aaactattct gggccgatct 1860
aagccaaaag gctatcttca gtgcctcaat tgatgacaag gttggtagac atgttaaaat 1920
gatcgacaat gtctataatc ctgcagccat tgctgttgat tgggtgtaca agaccatcta 1980
ctggactgat gcggcttcta agactatttc agtagctacc ctagatggaa ccaagaggaa 2040
gttcctgttt aactctgact tgcgagagcc tgcctccata gctgtggacc cactgtctgg 2100
ctttgtttac tggtcagact ggggtgaacc agctaaaata gaaaaagcag gaatgaatgg 2160
attcgataga cgtccactgg tgacagcgga tatccagtgg cctaacggaa ttacacttga 2220
ccttataaaa agtcgcctct attggcttga ttctaagttg cacatgttat ccagcgtgga 2280
cttgaatggc caagatcgta ggatagtact aaagtctctg gagttcctag ctcatcctct 2340
tgcactaaca atatttgagg atcgtgtcta ctggatagat ggggaaaatg aagcagtcta 2400
tggtgccaat aaattcactg gatcagagct agccactcta gtcaacaacc tgaatgatgc 2460
ccaagacatc attgtctatc atgaacttgt acagccatca ggtaaaaatt ggtgtgaaga 2520
agacatggag aatggaggat gtgaatacct atgcctgcca gcaccacaga ttaatgatca 2580
ctctccaaaa tatacctgtt cctgtcccag tgggtacaat gtagaggaaa atggccgaga 2640
ctgtcaaagt actgcaacta ctgtgactta cagtgagaca aaagatacga acacaacaga 2700
aatttcagca actagtggac tagttcctgg agggatcaat gtgaccacag cagtatcaga 2760
ggtcagtgtt cccccaaaag ggacttctgc cgcatgggcc attcttcctc tcttgctctt 2820
agtgatggca gcagtaggtg gctacttgat gtggcggaat tggcaacaca agaacatgaa 2880
aagcatgaac tttgacaatc ctgtgtactt gaaaaccact gaagaggacc tctccataga 2940
cattggtaga cacagtgctt ctgttggaca cacgtaccca gcaatatcag ttgtaagcac 3000
agatgatgat ctagcttgac ttctgtgaca aatgttgacc tttgaggtct aaacaaataa 3060
tacccccgtc ggaatggtaa ccgagccagc agctgaagtc tctttttctt cctctcggct 3120
ggaagaacat caagatacct ttgcgtggat caagcttgtg tacttgaccg tttttatatt 3180
acttttgtaa atattcttgt ccacattcta cttcagcttt ggatgtggtt accgagtatc 3240
tgtaaccctt gaatttctag acagtattgc cacctctggc caaatatgca ctttccctag 3300
aaagccatat tccagcagtg aaacttgtgc tatagtgtat accacctgta catacattgt 3360
ataggccatc tgtaaatatc ccagagaaca atcactattc ttaagcactt tgaaaatatt 3420
tctatgtaaa ttattgtaaa ctttttcaat ggttgggaca atggcaatag gacaaaacgg 3480
gttactaaga tgaaattgcc aaaaaaattt ataaactaat tttgtacgta tgaatgatat 3540
ctttgacctc aatggaggtt tgcaaagact gagtgttcaa actactgtac attttttttc 3600
aagtgctaaa aaattaaacc aagcagctta accatgaaaa aaaaaa 3646
<210> 2
<211> 873
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 2
Met Gly Thr Ser Ala Leu Trp Ala Leu Trp Leu Leu Leu Ala Leu Cys
1 5 10 15
Trp Ala Pro Arg Glu Ser Gly Ala Thr Gly Thr Gly Arg Lys Ala Lys
20 25 30
Cys Glu Pro Ser Gln Phe Gln Cys Thr Asn Gly Arg Cys Ile Thr Leu
35 40 45
Leu Trp Lys Cys Asp Gly Asp Glu Asp Cys Val Asp Gly Ser Asp Glu
50 55 60
Lys Asn Cys Val Lys Lys Thr Cys Ala Glu Ser Asp Phe Val Cys Asn
65 70 75 80
Asn Gly Gln Cys Val Pro Ser Arg Trp Lys Cys Asp Gly Asp Pro Asp
85 90 95
Cys Glu Asp Gly Ser Asp Glu Ser Pro Glu Gln Cys His Met Arg Thr
100 105 110
Cys Arg Ile His Glu Ile Ser Cys Gly Ala His Ser Thr Gln Cys Ile
115 120 125
Pro Val Ser Trp Arg Cys Asp Gly Glu Asn Asp Cys Asp Ser Gly Glu
130 135 140
Asp Glu Glu Asn Cys Gly Asn Ile Thr Cys Ser Pro Asp Glu Phe Thr
145 150 155 160
Cys Ser Ser Gly Arg Cys Ile Ser Arg Asn Phe Val Cys Asn Gly Gln
165 170 175
Asp Asp Cys Ser Asp Gly Ser Asp Glu Leu Asp Cys Ala Pro Pro Thr
180 185 190
Cys Gly Ala His Glu Phe Gln Cys Ser Thr Ser Ser Cys Ile Pro Ile
195 200 205
Ser Trp Val Cys Asp Asp Asp Ala Asp Cys Ser Asp Gln Ser Asp Glu
210 215 220
Ser Leu Glu Gln Cys Gly Arg Gln Pro Val Ile His Thr Lys Cys Pro
225 230 235 240
Ala Ser Glu Ile Gln Cys Gly Ser Gly Glu Cys Ile His Lys Lys Trp
245 250 255
Arg Cys Asp Gly Asp Pro Asp Cys Lys Asp Gly Ser Asp Glu Val Asn
260 265 270
Cys Pro Ser Arg Thr Cys Arg Pro Asp Gln Phe Glu Cys Glu Asp Gly
275 280 285
Ser Cys Ile His Gly Ser Arg Gln Cys Asn Gly Ile Arg Asp Cys Val
290 295 300
Asp Gly Ser Asp Glu Val Asn Cys Lys Asn Val Asn Gln Cys Leu Gly
305 310 315 320
Pro Gly Lys Phe Lys Cys Arg Ser Gly Glu Cys Ile Asp Ile Ser Lys
325 330 335
Val Cys Asn Gln Glu Gln Asp Cys Arg Asp Trp Ser Asp Glu Pro Leu
340 345 350
Lys Glu Cys His Ile Asn Glu Cys Leu Val Asn Asn Gly Gly Cys Ser
355 360 365
His Ile Cys Lys Asp Leu Val Ile Gly Tyr Glu Cys Asp Cys Ala Ala
370 375 380
Gly Phe Glu Leu Ile Asp Arg Lys Thr Cys Gly Asp Ile Asp Glu Cys
385 390 395 400
Gln Asn Pro Gly Ile Cys Ser Gln Ile Cys Ile Asn Leu Lys Gly Gly
405 410 415
Tyr Lys Cys Glu Cys Ser Arg Gly Tyr Gln Met Asp Leu Ala Thr Gly
420 425 430
Val Cys Lys Ala Val Gly Lys Glu Pro Ser Leu Ile Phe Thr Asn Arg
435 440 445
Arg Asp Ile Arg Lys Ile Gly Leu Glu Arg Lys Glu Tyr Ile Gln Leu
450 455 460
Val Glu Gln Leu Arg Asn Thr Val Ala Leu Asp Ala Asp Ile Ala Ala
465 470 475 480
Gln Lys Leu Phe Trp Ala Asp Leu Ser Gln Lys Ala Ile Phe Ser Ala
485 490 495
Ser Ile Asp Asp Lys Val Gly Arg His Val Lys Met Ile Asp Asn Val
500 505 510
Tyr Asn Pro Ala Ala Ile Ala Val Asp Trp Val Tyr Lys Thr Ile Tyr
515 520 525
Trp Thr Asp Ala Ala Ser Lys Thr Ile Ser Val Ala Thr Leu Asp Gly
530 535 540
Thr Lys Arg Lys Phe Leu Phe Asn Ser Asp Leu Arg Glu Pro Ala Ser
545 550 555 560
Ile Ala Val Asp Pro Leu Ser Gly Phe Val Tyr Trp Ser Asp Trp Gly
565 570 575
Glu Pro Ala Lys Ile Glu Lys Ala Gly Met Asn Gly Phe Asp Arg Arg
580 585 590
Pro Leu Val Thr Ala Asp Ile Gln Trp Pro Asn Gly Ile Thr Leu Asp
595 600 605
Leu Ile Lys Ser Arg Leu Tyr Trp Leu Asp Ser Lys Leu His Met Leu
610 615 620
Ser Ser Val Asp Leu Asn Gly Gln Asp Arg Arg Ile Val Leu Lys Ser
625 630 635 640
Leu Glu Phe Leu Ala His Pro Leu Ala Leu Thr Ile Phe Glu Asp Arg
645 650 655
Val Tyr Trp Ile Asp Gly Glu Asn Glu Ala Val Tyr Gly Ala Asn Lys
660 665 670
Phe Thr Gly Ser Glu Leu Ala Thr Leu Val Asn Asn Leu Asn Asp Ala
675 680 685
Gln Asp Ile Ile Val Tyr His Glu Leu Val Gln Pro Ser Gly Lys Asn
690 695 700
Trp Cys Glu Glu Asp Met Glu Asn Gly Gly Cys Glu Tyr Leu Cys Leu
705 710 715 720
Pro Ala Pro Gln Ile Asn Asp His Ser Pro Lys Tyr Thr Cys Ser Cys
725 730 735
Pro Ser Gly Tyr Asn Val Glu Glu Asn Gly Arg Asp Cys Gln Ser Thr
740 745 750
Ala Thr Thr Val Thr Tyr Ser Glu Thr Lys Asp Thr Asn Thr Thr Glu
755 760 765
Ile Ser Ala Thr Ser Gly Leu Val Pro Gly Gly Ile Asn Val Thr Thr
770 775 780
Ala Val Ser Glu Val Ser Val Pro Pro Lys Gly Thr Ser Ala Ala Trp
785 790 795 800
Ala Ile Leu Pro Leu Leu Leu Leu Val Met Ala Ala Val Gly Gly Tyr
805 810 815
Leu Met Trp Arg Asn Trp Gln His Lys Asn Met Lys Ser Met Asn Phe
820 825 830
Asp Asn Pro Val Tyr Leu Lys Thr Thr Glu Glu Asp Leu Ser Ile Asp
835 840 845
Ile Gly Arg His Ser Ala Ser Val Gly His Thr Tyr Pro Ala Ile Ser
850 855 860
Val Val Ser Thr Asp Asp Asp Leu Ala
865 870
<210> 3
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
<400> 3
ccacagatat cagttgtaag ca 22
<210> 4
<211> 21
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
<400> 4
aaaagagact tcagctgctg g 21
<210> 5
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
<400> 5
ctagtcaaca acctgaatga tg 22
<210> 6
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
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aagaatggcc catgcggcag aa 22
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<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
<400> 7
gaaattgtaa gtatttttta ggtgt 25
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<211> 23
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
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<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
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tacctatcct aatttcctaa tcc 23
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<211> 23
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
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<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
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ggattaggaa attaggatag gta 23
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<212> DNA
<213> Artificial Sequence
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<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
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<212> DNA
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<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
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gagttttagg cgaacgcgc 19
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<212> DNA
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<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
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ctcctttccc tcgacgcg 18
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<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
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ttgtgagttt taggtgaatg tgt 23
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<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
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ccctcctttc cctcaacaca 20

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胃組織細胞におけるヒトVLDLR遺伝子の不活性化を検出することにより当該胃組織細胞の癌化を検出することを含む、胃癌の検出方法。
【請求項2】
ヒトVLDLR遺伝子のゲノムDNA、cDNA、またはmRNAを用いて当該遺伝子の不活性化を検出する、請求項1に記載の胃癌の検出方法。
【請求項3】
ヒトVLDLR遺伝子の不活性化が、当該遺伝子の欠失による不活性化である、請求項1又は2に記載の胃癌の検出方法。
【請求項4】
ヒトVLDLR遺伝子の欠失が、当該遺伝子のホモ接合体欠失である、請求項3に記載の胃癌の検出方法。
【請求項5】
ヒトVLDLR遺伝子の不活性化が、当該遺伝子のCpGアイランドのメチル化による不活性化である、請求項1又は2に記載の胃癌の検出方法。
【請求項6】
DNAチップ法、サザンブロット法、ノーザンブロット法、リアルタイムRT−PCR法、FISH法、または、CGH法を用いて胃組織細胞におけるヒトVLDLR遺伝子の不活性化を検出する、請求項1から5の何れかに記載の胃癌の検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−289021(P2007−289021A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118030(P2006−118030)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【出願人】(504179255)国立大学法人 東京医科歯科大学 (228)
【Fターム(参考)】