説明

VOIP会議

【課題】VoIPベース会議システムは容易に、異なるプロトコルを処理し、メディア資源を負荷分散し、且つフェイルオーバ状況に対処可能とする。
【解決手段】VOIP会議システムは、PSTN(公衆交換電話網)に結合されるゲートウェイを有する。ボイス・サーバ・ディレクタ(VSD)は、ゲートウェイに結合され、会議システムの制御機能を実行する。VSDは、バック・トゥ・バック・ユーザエージェントを有する。VSDは、音声(信号)を混合するメディアサーバを制御し、メディアサーバは、ゲートウェイからの会議発呼のデータ部分を受信する。メディアサーバは、進行中の会議を制御するブリッジに結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電話会議の分野に、より詳細にはVOIPベース(ボイス・オーバ・インターネット・プロトコル)会議システムに関する。
【0002】
本発明は、「VoIP Conferencing」と題され、参照により本明細書に組み込まれる、2006年3月15日付けで提出された仮特許出願第60/782,569号への優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
VOIP(ボイス・オーバ・インターネット・プロトコル)は、標準的なPSTN(公衆交換電話網)に対して著しい費用優位を提供する。さらに、VOIPシステムに機能を追加することは、PSTNシステムよりも容易である。この傾向は、電話会議システムにまで及んでいる。しかし、現在PSTN用に使用されているのと同じ技術をVOIP会議用に使用することは、例えば会議設備間の負荷分散及び設備障害からの回復等の特に信頼性を改善する機能に関して、VOIP会議システムを不必要に制限するであろう。
【0004】
よって、インターネットを含むネットワーク化を使用することにより提供され得る機能を利用するVOIP会議システムに対する要求が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、内部的にVOIPに基づく会議システムであり、並びに容易に異なるプロトコルを処理し、複数のアプリケーションサーバとメディア資源との間で負荷分散を行い、且つ障害状況に対処する。会議システムは、PSTN(公衆交換電話網)に結合されるゲートウェイを有することが可能であり、それにより伝統的なPSTN発呼側のための従来のサービスアクセス方法を維持する。発明の本実施は、内部的発呼制御プロトコルとしてSIPを用いるが、SIPの代わりに又は加えて、他のプロトコルが用いられてもよい。
【0006】
外部発生の発呼は、PSTN起源か生来のVoIPかにかかわらず、1つ以上のプロキシサーバを介して会議システムにSIPで通信する。プロキシは、新しい発呼要求を識別し、且つ、これを最初にボイス・サービス・ディレクタ(VSD)アプリケーションに転送し、その上複数の利用可能なVSDインスタンスの中で負荷分散を実行する。VSDは、音声自動応答(IVR)機構を使用することにより、発呼を認証し且つ/又は所望の会議を識別する。VSDは、SIPを発呼制御プロトコルとして用いて、発呼側に音声プロンプトを再生し且つDTMF検出機能を実行するメディアサーバを制御するために、バック・トゥ・バック・ユーザエージェント(B2BUA)を使用する。B2BUAの使用は、発呼側をVSDにより使用される特定のメディアサーバ資源から分離し、VSDに利用可能な任意のメディアサーバ資源を利用させる。発呼側の発呼制御はVSDにおいて終端し、一方でVSDは、発呼側の個々のメディアストリームを処理するために割り当てられるメディアサーバ資源を独立して管理する。
【0007】
メディアサーバ資源と連携してVSDが発呼側から必要な情報を収集した後、VSDは、パスコードが有効であるかどうかを確かめ、有効であれば、発呼側を次にどこに送るべきかを確かめるために、バックオフィスサーバに問い合わせを行う。これが会議の最初の発呼側である場合、バックオフィスは、負荷分散アルゴリズムを使用して、どのブリッジで会議を開始するかを決定する。他方で、会議が既に開始されている場合は、バックオフィスは、会議が行われているブリッジを識別するであろう。このブリッジ選択情報は、次に発呼側を所望のブリッジに転送するVSDに送り返される。
【0008】
B2BUAをも用いるブリッジソフトウェアは、高レベルで会議及び個々の発呼側を制御する会議「ブリッジ」として動作し、一方で低レベルメディア動作(例えば、オーディオ混合、プロンプト再生、及びDTMF検出等)は、ブリッジソフトウェアアプリケーションにより制御されているメディアサーバ資源上で実行される。所与のブリッジソフトウェアアプリケーションは、複数のメディアサーバ資源を制御してもよく、且つ所与のメディア資源は、1つ以上のVSD又はブリッジソフトウェアアプリケーションにより利用されてもよい。VSDが発呼側を転送する場合、発呼側及び所望の行動(例えば、特定の会議に参加する)についての情報は、転送要求自身に含まれる。特に発呼側の電話番号及び/又はIPアドレス、会議パスコード、ダイヤルされる番号並びに他の情報は、SIP REFERコマンドの「クッキー」パラメータに渡される。この機構の使用により、「帯域外(out−of−band)」の機構を介してVSDとブリッジソフトウェアアプリケーションの間でこの必要な情報を渡す必要性が排除され、一方でその特定の発呼側に情報が明確に結び付けられる。
【0009】
システムは、プロキシ、メディアサーバ、会議制御(「会議ブリッジ」)アプリケーション、バックオフィスサーバ及びボイス・サービス・ディレクタが異なる場所にあるように分散されてもよい。これは、特定の資源が障害を発生し、又は最大限若しくは過負荷になる場合、代替資源に切り替える機構を提供する。所与のメディアサーバ資源が最大限になる場合、VSD又は「ブリッジ」は追加のメディアサーバを使用してもよい。「ブリッジ」に関しては、既存の会議を拡張し又は単一のメディアサーバ資源で通常処理され得るよりも大きな会議を許容するために、複数のメディアサーバを共に結び付けることもまた必要になる場合がある。単一の会議を処理するために複数の「ブリッジ」アプリケーションを共に結び付けることもまた有利であり、その上、この単一のインスタンスが過負荷になる場合があるので、単一の「ブリッジ」から多くのメディアサーバ資源を制御するよりも、むしろ各ブリッジは自身のメディア資源を制御する。この場合において、ブリッジアプリケーションは、メディアサーバ資源を直接管理するために必要とされる詳細化されたレベルよりも抽象化されたレベルの、高レベルで相互作用する。
【0010】
システムはまた、ダイヤルアウトと呼ばれる発呼をPSTN又はVoIP終点のどちらかにもたらすことが出来る。発呼がゲートウェイを介して為されている場合、SIP INVITEメッセージは、宛先電話番号又は連絡情報を含むであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の1実施形態によるVOIP会議システムのブロック図である。
【図2】本発明の1実施形態による分散VOIP会議システムのブロック図である。
【図3】本発明の1実施形態による分散VOIP会議システムを使用する分散会議のブロック図である。
【図4】本発明の1実施形態による典型的なPSTN会議参加者の発呼流れ図である。
【図5】本発明の1実施形態による典型的な生来のVOIP会議参加者の発呼流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は容易に、異なるプロトコルを処理し、資源を負荷分散し且つフェイルオーバ状況に対処することが出来るVOIP会議システムである。知られていない可能性がある複数の用語が、本願において使用される。結果として、本願で使用されるいくつかの用語のリスト及び代表的な定義が、こうした用語を明確にするのを支援するために提供される。定義は代表的なものであって限定するものではないと考えられるべきである。
ゲートウェイ − 1つの着信プロトコルを異なる発信プロトコルに変換する装置。
SIP − IETF RFC3261(インターネット・エンジニアリング・タスク・フォース − リクエスト・フォー・コメント3261)で定義されるセッション・イニシエーション・プロトコル。
プロキシサーバ − 連絡の連結点のように振舞うコンピュータ上で実行される装置又はアプリケーション。
VSD − ボイス・サービス・ディレクタ。発呼側と相互作用し且つグリーティング及び認証を提供するコンピュータ上で実行されるアプリケーション。
UA − IETF RFC3261(インターネット・エンジニアリング・タスク・フォース − リクエスト・フォー・コメント3261)で定義されるユーザエージェント。ユーザエージェントは、SIPメッセージのための終点又は起点として動作する。
メディアサーバ − 様々な音声信号と他のデータ関連メッセージを混合するコンピュータ上で実行されるアプリケーション。
ブリッジ − メディアサーバ及び会議を管理するコンピュータ上で実行されるアプリケーション。
APS − アドバンスド・プロトコル・サーバ。アプリケーション間メッセージのためのメッセージルータ。
DDS − ダイアログ・データベース・サーバ。会議予約を管理するアプリケーションサーバ。
ACS − アクティブ・カンファレンス・サーバ。リアルタイムの会議状態を維持し、メディアサーバ、ブリッジを選択し、且つ利用可能な資源の負荷分散を提供するアプリケーション。
【0013】
図1は、本発明の1実施形態によるVOIP会議システム10のブロック図である。以下の記載における任意の若しくは全てのアプリケーション及び/又はサーバは、システム容量を高め、且つ/又はシステム信頼性を改善し且つ/又はシステム応答時間を改善するために、単独であり、クラスタ化され又は負荷分散されることが出来る。システムは、ゲートウェイ(GW)12を有する。これは、PSTN(公衆交換電話網)18を介して電話機14、16に結合される。電話機14、16は、公衆交換電話ネットワークフォーマットを使用する。ゲートウェイ12は、発呼のPSTNフォーマットを制御部分、通常はSIP(セッション・イニシエーション・プロトコル)又は制御部分、及びメディア部分、通常はRTP(リアル・タイム・プロトコル)に変換する。ゲートウェイは、例えばインターネット、LAN又はWAN等のネットワークを介してプロキシ20とつながる。プロキシ20は、SIP情報をVSD(ボイス・サービス・ディレクタ)22に渡す。VSD22は、バック・トゥ・バック・ユーザエージェント(UA)24、26を有する。一方のユーザエージェント24は、最初の発呼のための終点として動作しつつ、他方のユーザエージェント26は、メディアサーバ資源28と通信し且つそれを制御する。VSDはまた、何らかのバックオフィス通信プロトコル(BOC)を使用して、B2BUA(バック・トゥ・バック・ユーザエージェント)を介して又は別の機構及び/若しくはプロトコルを介して、バックオフィスサーバ32とも通信する。バックオフィス32は、バックオフィスメッセージをルーティングするアドバンスド・プロトコル・サーバ(APS)34、会議情報を保持し且つユーザパスコードを認証するダイアログ・データベース・サーバ(DDS)36、及び活動中の会議についての情報を追跡記録するアクティブ・カンファレンス・サーバ(ACS)38を含む複数の制御サービスを有する。ACS38はまた、会議を様々なブリッジに割り当て、且つブリッジ間で負荷分散をする。一旦メディアサーバ28が特定の会議のために指定されると、RTPメディア40がゲートウェイ12からメディアサーバ28にルーティングされる。メディアサーバ28は、音声(オーディオ、映像又はリアルタイムデータ)の混合を行う。各メディアサーバは、それぞれがさらに複数のポートを有する複数のブレードを有しても良いことに留意すべきである。結果として、所与のメディアサーバは、複数の会議のために音声混合を実行する場合がある。メディアサーバ28は、ブリッジアプリケーション(会議ブリッジ、又は単に「ブリッジ」)44に接続される。ブリッジ44は、消音、記録並びに会議生成及び破棄のような機能を含む、活動中の会議のための制御機能を実行する。ユーザが電話機としてコンピュータ50又はVoIPハードの電話機を使用している場合、それは次に発呼のSIP及びRTP部分を適切な場所にルーティングするプロキシ20に直接接続することが出来る。電話機50は、PSTNではなく、VoIP接続を用いる。
【0014】
ブリッジ44は、SIPプロトコル30を使用可能にされている。SIPShim(制御層)52は、SIPプロトコル及びSIP信号伝達イベントを直接処理するのではなく、一般的な高レベルコマンドを介してブリッジアプリケーション44に発呼側及びメディアサーバ資源と相互作用させる、B2BUAの実装である。PSTNユーザが発呼して会議に入る場合、発呼はゲートウェイ12を介して、プロキシ20を介して且つVSD22にルーティングされる。VSD22は、グリーティングを再生し、且つパスコードをユーザに要求する。異なるパスコードが、特定の会議を選択することに加えて、所与の会議のための会議リーダーを区別するために使用されてもよい。こうしたパスコードは、VSD22の要求に応じてDDS36により認証される。一般的なグリーティングを再生するのでは無く、DNIS、ANI、パスコード、又はこれらの任意の組み合わせ(顧客定義コード)に基づいて、特定のグリーティングがVSDにより選択されてもよい。次に、VSDは、ACS38にどのブリッジ44に会議が割り当てられるかを問い合わせる。VSD22は、次に、適切な会議ブリッジに発呼側を転送し、ここで発呼側のメディアが会議に接続される。
【0015】
バック・トゥ・バック・ユーザエージェント24、26は、システムに会議資源の障害を処理させる。電話機14からの発呼は、第1のユーザエージェント24で終端される。メディアサーバ28が、機能を停止し又は差し迫った障害(障害モード)の兆候を示す場合、第2のユーザエージェント26は、発呼を別のメディアサーバ資源に再ルーティングするよう命令される。バック・トゥ・バック・ユーザエージェント24、26はまた、システムに異なるプロトコルを処理させる。第1のユーザエージェント24は、一般に、SIPプロトコル情報を受信するが、第2のユーザエージェント26は、好都合であれば異なるプロトコルを使用することが出来る。これは、異なるプロトコルを使用する資源の間で、システム10が相互運用することを可能にする。
【0016】
SIP/BOCチャネルに接続されるシステムは、会議制御システムの一部であるとみなすことが出来る一方で、RTP又はメディアデータストリームに接続されるシステムは、会議システムのデータ部分の一部であるとみなすことが出来ることに留意するべきである。
【0017】
図2は、本発明の1実施形態による分散VOIP会議システム60のブロック図である。会議システム60は、このシステムが分散され且つ図1のそれに似た複数のシステムのインスタンスを有する点を除いて、図1に示されたものに類似する。複数の会議センター62、64、66、68が国又は世界中に設置される。各会議センター62、64、66、68は、例えばインターネット等のネットワークに結合される。1つ以上のゲートウェイ70a、bが、このネットワークに結合されることも可能であり、VoIP電話機又はVoIPベースの企業80は、システムに連結することが出来る。各会議センターは、一般に、1つ以上のプロキシ72a−d、VSD74a−d、ブリッジ76a−d及びメディアサーバ78a−dを有するであろう。ソフトウェアベースの分散キャッシュ79a−d又は他の情報共有機構(例えばバックオフィス80等)が、全てのVSD(a−d)に利用可能にされ、且つ進行中の会議及び利用可能な資源についての共有情報を提供する。キャッシュ79a−dは、ネットワーク82を通じてこの情報を共有する。発呼は、LA64のプロキシ72bに着信し、且つニューヨーク62のVSD74aにルーティングされてもよい。VSD74aは、東京68のメディアサーバ78d及びアトランタ66のブリッジ76cを選択してもよい。これは、プロキシ72、VSD74及びブリッジ76cにネットワーク60上の全ての利用可能な資源を負荷分散させる。さらに、フェイルオーバ状態において、ニューヨークのVSD74aは、東京のブリッジ76dが応答していないことを検出することが出来る。こうした状況により、VSDは、会議をアトランタのブリッジ76cにリダイレクトすることが出来る。
【0018】
図3は、本発明の1実施形態による分散VOIP会議システム90を用いる分散会議のブロック図である。この図は、分散資源が共有され得る方法を示す。システム90は、各々が多くの、恐らくは1000以上の会議ポート資源を提供する3つのメディアサーバ92、94、96を有する。公開会議において、参加者の人数は、最大人数までの任意の人数であり得る。会議100が、メディアサーバ92において開始すると仮定する。その会議に入って5分で、メディアサーバ92において未使用のポートが10個しか残されていないところに、新しく20人がその会議に参加を希望する。こうした人々は、他のメディアサーバに割り当てられ得る。例えば、メディアサーバ94において11個のポート102を使用することが可能であり、メディアサーバ96において11個のポート104を使用することが可能である。RTP又はメディアを他の2つのメディアサーバに結び付けるために、2つの追加の会議ポートが、元の会議及びメディアサーバ92から要求されるであろう。他の2つのメディアサーバは、各々がその10人の発呼側に加えて1つのメディア(RTP)結合ポートを使用する。たとえ1つ以上のメディアサーバがブリッジの場所に対して遠隔の場所に設置されるとしても、単一のブリッジ98が、SIP106又は他のプロトコルを介して全3つのメディアサーバ92、94、96を制御してもよい。会議ブリッジアプリケーションはまた、高レベルで結合されてもよく、ここで各ブリッジ98、99は、自身のメディアサーバ資源を制御し、SIPを含み得る何らかの形態のバックオフィス通信(BOC)を介して結び付けられる。会議メディア(RTP)の結合は、一般的に、親として動作する1つのブリッジから開始されつつ、他のメディアサーバにおいて及び恐らくは他のブリッジにおいても複数の従属の又は子の会議がインスタンス生成される。
【0019】
この方法は、全ての子の会議が収束する共通の中心点を有することにより音声遅延を最小化する。しかし、この方法は親会議についてより多くの「結合」ポートを必要とする。それ故、最初の会議は、軽視されて子会議であっても良く、一方で第2の会議が親(又は義理の親)であるように割り当てられ、こうして全ての会議に対するメディアが中心点としての第2の会議に結び付けられる。第2の会議をインスタンス生成するとき、将来の追加の子会議を結び付けることを許容するために、十分なポートが残されてもよい。
【0020】
会議を結び付けるこの方法は、多数の発呼が、例えばアジア及びヨーロッパ等の異なる地理的地域に、又は恐らくは例えばVoIPネットワーク及びSkypeのような商業ネットワークの組み合わせ等の異なる種類のネットワークに位置する場合にもあてはまるが、これらは互いに結び付けられる必要がある。全ての発呼を単一の場所に接続させるのではなく、各地域又はネットワークは、地域ブリッジに接続することが可能であり、その結果、ブリッジ及びメディアは互いに結合される。これは、同じ地域の発呼側に対する音声遅延を最小化し、且つメディア送信及び/又は変換費用をも低減し得る。各地域又はネットワークは、必要に応じて親及び子会議を使用することも可能であり、且つ異なる地域又はネットワークの2つの親(又は義理の親)会議のみが、そのメディアを互いに結び付けさせるであろう。
【0021】
図4は、本発明の1実施形態による典型的なPSTN会議参加者に関する発呼流れ図である。ゲートウェイ(GW)は、PSTNからの着信発呼300を受信する。ゲートウェイは、PSTN発呼を制御(SIP)部分及びメディア(RTP)部分に変換する。図4は、ゲートウェイに結合される発呼のSIP部分のみを示しており、メディアサーバに対するSIPは図示されない。この図はメディアではなく制御メッセージ(SIP)を詳細に説明するものであるので、RTPもまた図4には図示されない。プロキシは、着信発呼の制御部分をVSDに転送する(302)。VSDは発呼に応答し(304)、次に発呼側に1つ以上のプロンプトを再生してパスコードの入力を要求する。発呼側が、DTMFにより、不特定話者音声認識により、又は他の手段により必要な情報を入力した後、最初の発呼に対するメディアが保留にされる(306)。次に、VSDはパスコードが有効であるかどうか確認するためにバックオフィスシステムに問い合わせ、有効であれば、発呼側はバックオフィスシステムにより特定されたブリッジに転送される(308)。発呼側が電話を切ると(310)、ゲートウェイは、ブリッジにこのイベントを通知し(312)、それにより発呼は両端において終端される。
【0022】
発呼の間、会議及び個々のユーザの状態は、発呼側によるDTMFを介して、又はバックオフィスを介してブリッジに結ばれる例えばウェブベースのインターフェース等の、直接的又は間接的にユーザにアクセスを許可する任意の他の機構から制御され得る。ブリッジは、続いて使用中のメディアサーバを制御するであろう。
【0023】
VSD及び会議ブリッジの両者に対して、発呼側が電話機に数字を押下するとき、数字の押下は、RTP音声メディアストリーム内で帯域内トーンとして伝達され、又は選択的にゲートウェイによりRTP内で伝達される電話イベント信号伝達プロトコルに変換されてもよい。いずれの場合においても、数字の押下はメディアサーバにより検出され、且つVSD又はブリッジアプリケーションに報告される。上述の記載は、典型的な会議ユーザの基本的な発呼の流れである。
【0024】
図5は、図4と同一の発呼の流れを示すが、PSTNではなく生来のVoIP発呼起源を用いるものである。主な相違は、ゲートウェイが必要とされないことである。
【0025】
こうした流れの変形はまた、例えば発呼側が転送されたときにブリッジが応答に失敗する等の、発生する可能性があるエラー状態を処理するためにも必要とされる。これらは、明快性のために省略される。
【0026】
以下は、図4及び5で示されるSIPコマンドのリストである。
【0027】
SIP:IETP標準RFC3261により主に定義される、セッション・イニシエーション・プロトコル。
SIPは、例えばインターネット電話通信発呼等のマルチメディアセッションを確立し、修正し、及び終了させることが出来るアプリケーション層の制御プロトコルである。
【0028】
INVITE:SIPベースの通信セッション(SIP「ダイアログ」と呼ばれる)を設定(開始)するために用いられるSIP要求方法。
【0029】
SDP:セッション・デスクリプション・プロトコル。マルチメディアセッションを記述するためのテキストベースのメッセージフォーマットを定義するIETFプロトコル。例えばバージョン番号、連絡情報、ブロードキャスト回数並びに音声及び映像符号化種類等のデータが、メッセージに含まれる。
【0030】
ACK:アクナレッジメント。SIPセッション又は「ダイアログ」の確立又は再交渉を終了させるためにSIP INVITEトランザクション内で使用されるSIP要求。
【0031】
100、200、202:SIP要求の発信者に送り戻されるSIP応答符号。応答符号は、所与の要求に対する特定の結果を示す。
【0032】
NOTIFY:一方のセッション又は「ダイアログ」の状態について別のSIPセッションに情報を伝達するために使用されるSIP要求方法。
【0033】
REFER:SIPセッションの一端を異なるSIP宛先に転送するために使用されるSIP要求方法。
【0034】
Sipfrag:SIPフラグメント。SIP NOTIFYメッセージの本体の一部として送られる、別のSIPセッションからのSIPメッセージ(例えば応答符号等)のフラグメント。
【0035】
BYE:既存のSIPセッション又は「ダイアログ」を終了させるために使用されるSIP要求方法。
【0036】
このようにして、容易に異なるプロトコルを処理し、メディア資源を負荷分散し且つフェイルオーバ状況に対処することが出来るVOIP会議システムが説明された。
【0037】
本明細書に記載された方法は、コンピュータにより実行されるときに本明細書に記載された方法を実行するであろうコンピュータ読取可能記憶装置に記憶されるコンピュータ可読命令として実行することが出来る。
【0038】
本発明は、その特定の実施形態と共に説明されたが、多くの変更、修正、及び変形が上記記載に照らして当業者には明らかであることが明白である。従って、添付の特許請求の範囲において全てのこのような変更、修正及び変形を包含することが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
会議制御システムと、
複数のメディアデータストリームを混合し、且つ前記会議制御システムにより制御されるメディアサーバと、
前記複数のメディアデータストリームを生成する複数の会議参加者と
を備える会議システムであって、
前記複数の会議参加者が、少なくとも2つの異なる初期メディアデータフォーマットを有する
ことを特徴とする会議システム。
【請求項2】
前記少なくとも2つの異なる初期メディアフォーマットが、公衆交換電話網のフォーマット及びボイス・オーバ・インターネット・プロトコルのフォーマットを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の会議システム。
【請求項3】
前記会議制御システムが、バック・トゥ・バック・ユーザエージェントを有するボイス・サービス・ディレクタを有し、且つ前記メディアサーバと通信する
ことを特徴とする請求項1に記載の会議システム。
【請求項4】
前記会議制御システムが、前記公衆交換電話網に結合され、且つ公衆交換電話フォーマットを制御データフォーマット及びメディアデータフォーマットに変換するゲートウェイを有し、前記制御データフォーマットが、前記ボイス・サービス・ディレクタに結合される
ことを特徴とする請求項3に記載の会議システム。
【請求項5】
複数のメディアサーバが存在する
ことを特徴とする請求項4に記載の会議システム。
【請求項6】
前記会議制御システムが、前記複数のメディアサーバの間で負荷分散ルーチンを実行する
ことを特徴とする請求項5に記載の会議システム。
【請求項7】
会議システムを動作させる方法であって、
a)着信会議発呼を制御データストリームとメディアデータストリームとに分割するステップと、
b)ボイス・サービス・ディレクタの第1のユーザエージェントにおいて前記制御データストリームを終端するステップと、
c)前記ボイス・サービス・ディレクタの第2のユーザエージェントにおいて第2の制御データストリームを開始するステップと
を備える
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
d)前記メディアデータストリームをメディアサーバに向けるステップと、
e)前記第2の制御データストリームを前記メディアサーバに向けるステップと
をさらに有する
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
f)前記ボイス・サービス・ディレクタにおいて前記着信会議発呼からパスコードを受信するステップと、
g)前記ダイアログ・データベース・サーバを用いて前記パスコードが有効であるかどうか確認するステップと
をさらに有する
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
h)前記パスコードが有効な場合、前記第1の制御データストリームをブリッジの第1のユーザエージェントにリダイレクトするステップをさらに有する
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
i)前記ブリッジの第2のユーザエージェントを前記メディアサーバに接続するステップをさらに有する
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
i)前記ブリッジの第2のユーザエージェントを第2のメディアサーバに接続するステップをさらに有する
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
f)前記メディアサーバが、障害モードにあるかどうかを決定するステップと、
g)前記メディアサーバが、前記障害モードにある場合、前記第2の制御データストリームを第2のメディアサーバに再ルーティングするステップと
をさらに有する
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項14】
ネットワークと、
前記ネットワークに結合される複数のVoIP会議センターと
を備える
ことを特徴とする会議システム。
【請求項15】
前記ネットワークに対への前記公衆交換電話網に結合するゲートウェイをさらに有する
ことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数のVoIP会議センターの各々が、プロキシサーバを有する
ことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数のVoIP会議センターの各々が、複数のメディアサーバを有する
ことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数のVoIP会議センターの各々が、複数のブリッジを有する
ことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記複数のVoIP会議センターの各々が、複数のボイス・サービス・ディレクタを有する
ことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
前記複数のボイス・サービス・ディレクタの各々が、バック・トゥ・バック・ユーザエージェントを有する
ことを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記複数のブリッジの各々が、バック・トゥ・バック・ユーザエージェントを有する
ことを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
前記ネットワークに結合されるバックオフィスをさらに有する
ことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項23】
前記複数のVoIP会議センターの各々が、ソフトウェア分散キャッシュを有する
ことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項24】
会議システムを動作させる方法であって、
a)着信会議発呼を制御データストリームとメディアデータストリームとに分割するステップと
b)顧客定義コードに基づいて、特定のグリーティングを再生するステップと
を備える
ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−239216(P2012−239216A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−170805(P2012−170805)
【出願日】平成24年8月1日(2012.8.1)
【分割の表示】特願2009−541317(P2009−541317)の分割
【原出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(510065816)アメリカン テレカンファレンシング サービシーズ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】