説明

Webを介した通話システム

【課題】一覧表の中からリアルタイムで希望する講師を選択し、ソフトフォンにおいて即時に会話を行うことができるシステムの提供。
【解決手段】1以上の通話先を含む通話先表示サイトを有し、ユーザーが前記サイトにアクセスしてきたときに、前記ユーザーの選択に応じて通話先との通話を即時に設定するWebを介した通話システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Webを介した通話システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、Skypeを用いた外国語学校がWeb上で多く展開されている。これは、外国語学校が登録された講師リストをユーザーに提示し、ユーザーはその中から希望の講師を選択し、予めユーザーがSkypeから取得したIDを用い、所定の時間に講師と会話レッスンを行うものである。
【0003】
しかし、この場合、ユーザーは事前に講師と時間を選択し、所定の時刻になった時点で、外国語学校または選択された講師からユーザーに対しSkype通話をしてくるものである。このため、(i)ユーザーはリアルタイムで希望する講師を選択し即時に会話練習をすることはできない。また、(ii)外国語学校または選択された講師は授業用にSkypeIDを取得しているが、ユーザーは普段使用するSkypeIDを流用する場合が多く、希望しない場合にも学校や講師からSkype電話が掛かってくるおそれがある。さらに、(iii)外国語学校としては、講師にユーザーのSkypeIDを知らせてしまうと、講師−ユーザー間で直接に会話レッスンが行われ、手数料を得る機会を失うおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたもので、上記(i)〜(iii)の少なくとも一以上の問題の解決を実現したシステムの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う本発明に係るWebを介した通話システムは、以下の内容を含む。
[1]1以上の通話先を含む通話先表示サイトを有し、ユーザーが前記サイトにアクセスしてきたときに、前記ユーザーの選択に応じて通話先との通話を即時に設定するWebを介した通話システム。
[2]Web通話がSkype、Googleトーク、MSN Messengerのいずれかを利用したものである請求項1に記載の通話システム。
[3]通話先表示サイトが通話者の少なくともいずれか一方のIDをダミーIDに変換することを特徴とする前記[1]または[2]に記載の通話システム。
[4]通話先表示サイトに自己の名前その他のプロフィールを登録するサイトをさらに有し、このサイトで登録した通話先が前記通話先表示サイトに表示されることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか1項記載の通話システム。
[5]ユーザーが複数の通話先を含む通話先表示サイトにアクセスし、前記複数の通話先のひとつを選択した際に、ユーザーに選択された前記通話先との通話が即時に設定されるWebを介した通話方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明による通話システムにおいては、ユーザーの選択に応じて通話先との通話を即時に設定することができるため、例えば、外国語学校のようなサイトではユーザーはリアルタイムで希望する講師を選択し即時に会話練習をすることができる。また、この際、ダミーIDを介することにより、講師−ユーザーの少なくとも一方に、相手の真のIDを隠ぺいすることが可能であり、ユーザーまたは講師に相手の真のIDが知られることがなく、この結果、両者間で直接に会話レッスンが行われ、事業主が手数料を得る機会を失うおそれが解消される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明による通話先表示サイトでの表示の一例を示す模式図。
【図2】本発明による通話システムでのID変換の一例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明は、1以上、通常は複数の通話先を含む通話先表示サイトを有し、ユーザーが前記サイトにアクセスしてきたときに、その選択に応じて通話先との通話を開始するWebを介した通話システムである。ここでWebは典型的にはインターネットであるが、イントラネットでもよい。また、本発明で「サイト」とはユーザー等の利用者から見て一体として認識されるWeb上の資源である。具体的には1つのサーバーコンピュータから構成されるもの、複数のサーバーコンピュータから構成されるもののいずれも含まれ、プログラムやデータベースが分散されクラウド化されていてもよい。
【0009】
すなわち、本発明においては、図1に示すように、1以上、通常は複数の通話先を含む通話先表示サイトを有する。ここで、通話先とは、前述の外国語学校の例で言えば講師を表すが、その他、リアルタイムでの会話を行う相手であればどのような目的のものであってもよい。例えば、外国語以外の教授を行う学校の講師でもよいし、話し相手が欲しい男性・女性がリアルタイムでの会話を楽しむためのシステムであれば、そのようなシステムに登録している女性または男性でもよいし、SNS等において特定のグループにおいて相互にセキュリティを維持しつつ会話を行う場合における当該グループのメンバーでもよい。
【0010】
また、上記のことから明らかなように、本発明のシステムは、外国語学校など会話が必須の要素である学校、会話が重要な要素を占める事業、特定のグループにおけるメンバー間通話システムに利用できるが、以下、便宜上、外国語学校及びその講師を例として説明する。
【0011】
前記1以上の通話先は、好ましくは、番号ではなく、その氏名や愛称で示される。例えば、図1では、講師名として、Ted、Obama、Keath、Otto、Ruth、Rolaが挙げられている。図では名前等の文字情報のみ挙げているが、例えば、顔写真やイラストとともに表示してもよい。また、これらの講師の順番は、通常は名前順で表示するが、その属性(性別、国籍、話す外国語、趣味、年齢等)によって分類して示してもよい。好ましくは、そのような表示をユーザーがカスタマイズできるものとする。
【0012】
ユーザーは、通話先表示サイトにおいて、上記の講師のいずれかを選択し、例えば、クリックすることにより当該講師との会話を開始できる。すなわち、事前にSkype通話等の準備をし、事前に決めた相手(講師)から電話が掛かってくるのを待つのではなく、任意の時刻に任意の(表示または選択可能な)講師を選択して通話をすることができる。表示または選択できる講師はWeb上での通話システムにリアルタイムで対応可能な者に限られていることが好ましいが、例えば、グレイ表示や通話可能種別の表示により、潜在的に選択可能な講師がわかるようにすることが好ましい。
また、図1の例では、通話先表示サイトにおける通話先がひとつのページに一覧表示され、そこから講師との会話を開始する態様を示したが、一覧表示リストから講師やグループあるいはカテゴリーを選択することにより、さらに詳細ページに遷移する態様も本発明に含まれる。この場合、遷移先のページでは、さらに1以上の講師が表示される。典型的には1人の講師のプロフィールページである。ここに「通話開始」のようなボタンを設置し、それをクリックすることによって通話が開始されるものでもよい。
【0013】
Web上での通話システムとしては、音声のみならず映像も伝送可能な通話システムが好ましいが、音声通話のみでもよい。このような音声通話は一般にはVoIPプロトコルに従うものである。VoIPとは、音声を各種符号化方式で圧縮しパケットに変換した上でIP(Internet Protocol: インターネットプロトコル)ネットワークでリアルタイム伝送する技術である。専用機器を用いるシステムも本発明に含まれるが、専用の機器を使わずに一般的なコンピュータでインターネット経由の電話を可能とするソフトウェアであるいわゆる「ソフトフォン」が好ましい。このようなソフトフォンには、現時点で、Skype、Googleトーク、MSN
Messenger、StanaPhone、OKBuddy
FREE、freep、Vonage、楽天メッセンジャー等が存在するが、今後、開発される同様のシステムも本発明に含まれる。また、音声通話を可能ならしめるものであれば、ここに挙げていないすべてのプロトコル、手法が含まれ、それは現時点で存在するものの他、将来的に考案されるものも含まれる。
【0014】
Skype は、Skype Technologies社(以下「Skype社」)が提供するP2P技術を利用したインターネット電話サービスであり、Windows (2000, XP, Vista ,7)、Linux、Mac OS X、Windows Mobile, プレイステーション・ポータブル (PSP)、iPhone/iPod touch、Android、Symbianその他、各種のプラットフォームで利用できる(Windows等は登録商標である)。
【0015】
Google トーク(Google Talk)は、XMPPプロトコルをベースにしており、Google トークガジェットによってクライアントをインストールせずWebブラウザ上からも利用できる。
【0016】
本発明においては、Skype、Googleトーク、MSN
Messenger等のシステムが特に好ましい(但し、上述のようにこれ以外のシステムの利用を除外するものではない)。
【0017】
本発明において、通話先表示サイトにおける選択を通して通話を確立する手法は様々にあり得るが一例を挙げれば以下の通りである。なお、下記の例に示すように、好ましくは、通話先表示サイトにおいてIDを変換し、相手先の真のID(以下、「リアルID」という。)が通話者にわからないようにする。これにより、セキュリティ的な問題や、ユーザーと講師が直接に接触することを防止できる。
【0018】
例えば、図2に示すように、ユーザーが通話先表示サイトのリストの中からRolaを選択した場合、ユーザーに対しては、RolaそのものではなくRolaのダミーIDとの通話が設定される。すなわち、通話先表示サイトは、表示している講師(例えば、Rola)とそのリアルID、ダミーIDのリストを含むか、そのようなデータベースと連携しており、ユーザーとの通話はダミーIDとの通話として設定される。同時に、ダミーIDからその講師(この例で言えば、Rola)のリアルIDとの通話が設定され、これにより、ユーザーとRolaとの間でダミーIDを介した通話が設定される。この場合、RolaにはユーザーのID情報が流れることになるが、それが望ましくない場合は、ユーザーのリアルIDも途中にダミーを介して隠ぺいすればよい。ダミーIDとリアルIDとの変換は、例えば、各通話規格においてパケット中のID情報を変換することにより行う。このような変換が普遍的に容易である場合は、SkypeとGoogleトーク間の通話ができるが、一般には特定のシステム(例えば、Skype)に依拠したものである。
【0019】
一般にSkypeにおいてはスーパーノードを介して通話を確立しているが、本発明のシステムにおいては通話先表示サイトがスーパーノードとして機能し得るものであればよい。もっとも、上記の通話設定方式は一例であり、ダミーIDを介さずに直接に通話を設定するものであってもよい。スーパーノードとして機能するもの以外でもよい。特に、セキュリティ等の問題が懸念されない場合は、直接相手先IDと通話するものでもよい。
【0020】
本発明においては、好ましくは、通話先表示サイトが様々な管理サービスを提供することが好ましい。例えば、通話継続時間を計測し、それによる発生する課金(システム利用料)等を計算しユーザーに対して表示する。通話継続時間はどのような接続形態を取るにせよ、ユーザーと講師との間の会話が可能な時間に対して計測すればよい。これにより、ユーザーは料金が過大になるおそれを持たずに自由に会話を行うことができる。また、レッスン時間等の制約なしに会話ができる。課金はプレペイド方式を取ることが好ましく、これにより事業主は確実に収入を確保できる。
【0021】
また、本発明においては、通話先表示サイトに自己の名前その他のプロフィールを登録するサイトをさらに有し、このサイトで登録した通話先が前記通話先表示サイトに表示される通話システムが含まれる。
【0022】
例えば、一定の基準を満たせば講師登録が可能な場合、講師登録希望者は、前記登録サイトに自らの名前そのプロフィール並びに(例えば、Skypeの)IDを登録する。一定の審査基準を満たすと、上述のようにその名前が講師のリストとして表示される。これにより、講師等は気軽に登録が可能であり、任意のタイミングでシステムに参加することができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、外国語学校その他の教授システムの他、リアルタイムでの会話を行う相手であればどのような目的のものにも適用可能である。例えば、外国語以外の教授を行うでもよいし、家庭教師システムのようなものでもよい。また、話し相手が欲しい男性・女性がリアルタイムでの会話を楽しむためのシステムでもよく、SNS等において特定のグループにおいて相互にセキュリティを維持しつつ会話を行うシステムにも適用できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の通話先を含む通話先表示サイトを有し、ユーザーが前記サイトにアクセスしてきたときに、前記ユーザーの選択に応じて通話先との通話を即時に設定するWebを介した通話システム。
【請求項2】
Web通話がSkype、Googleトーク、MSN Messengerのいずれかを利用したものである請求項1に記載の通話システム
【請求項3】
通話先表示サイトが通話者の少なくともいずれか一方のIDをダミーIDに変換するものである請求項1または2に記載の通話システム。
【請求項4】
通話先表示サイトに自己の名前その他のプロフィールを登録するサイトをさらに有し、このサイトで登録した通話先が前記通話先表示サイトに表示されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の通話システム。
【請求項5】
ユーザーが複数の通話先を含む通話先表示サイトにアクセスし、前記複数の通話先のひとつを選択した際に、ユーザーに選択された前記通話先との通話が即時に設定されるWebを介した通話方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−85117(P2013−85117A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223473(P2011−223473)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(511243794)株式会社サントラスト (1)
【Fターム(参考)】