X線不透過性要素を含む少なくとも1つの被検体での画像形成用のX線装置及びX線コントラスト方法並びにX線装置の使用
X線不透過性要素を含む少なくとも1つの被検体での画像形成の際、コントラストを高めるために、a.少なくとも1つのX線ビーム源と、b.少なくとも1つのエネルギ分散検出器と、c.少なくとも1つの相関ユニットと、d.少なくとも1つの出力ユニットを有しており、X線ビーム源は、ほぼ多色のX線ビームを放射し、エネルギ分散検出器は、被検体を透過したX線ビームの強度を第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2で検出することができ、相関ユニットは、第1のエネルギE1での被検体の1つの画素により検出されたX線ビームの強度を、第2のエネルギE2での、画素と同じ画素により検出されたX線ビームの強度と相関することができ、出力ユニットは、各強度の相関によって含まれる各画素信号から、被検体を表示するように構成されている各要件を有する装置が使用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線不透過性要素を含む少なくとも1つの被検体での画像形成用のX線装置、X線ビームを用いた、被検体の画像形成用のX線装置の使用、並びに、被検体、例えば、ほ乳類、殊に、人体で画像形成するX線コントラスト方法に関する。
【0002】
X線ビームを用いた医療診断は、病気の診断のため、例えば、早期発見のため、X線透過検査のため、女性の胸部での癌の特徴表示及び位置表示のために、技術的に高度に開発された分野である。この技術は、非常に効率的であり、高い利便性を有している。
【0003】
X線ビームの形成のために、W,Mo、乃至、Rh回転陽極とAl,Cu,Mo及びRhフィルタを有するX線管が利用されている。適切なフィルタを用いて、制動放射の一部分がフィルタにより除去され、その結果、有利な場合、ほぼ、特性X線がX線管から放射される。
【0004】
検出器として、通常のX線フィルム、又は、最近では、デジタル式フラットベッド検出器も使われている。X線フィルムの代わりに、蛍光ディスプレイ(デジタルプレート)を用いてもよい。この蛍光ディスプレイで、照射X線ビームによって形成された画像は、X線画像増幅器で増幅することができる。PIITV技術(蛍光倍増管TV技術)では、増幅された画像が、非常に高速の光学系を介してビデオカメラに伝送される。PPCR技術(Photostimulable Phosphor Computer Radiography)で、BaFX:Eu2+結晶から形成された層からなるデジタルディスプレイが使われ、その際、X=Cl,Br,Iである。ディスプレイに形成される画像は、潜像であり、IRレーザ、例えば、He−Neレーザによって読み出され、その際、ルミネッセンスはUV領域内で形成される。UV光は、光導波路を用いてコレクトされ、フォトマルチプライヤに供給され、デジタル信号に変換される(米国特許第5434417号明細書)。X線ビームを電気信号に直接変換するために、カドミウム−亜鉛−テルル化合物(CZT)、アモルファスセレン又はアモルファス又は結晶化シリコンからなる半導体検出器が使用されている(M.J.Yaffe,J.A.Rowlands,”X−Ray Detectors for Digital Radiography”,Med.Biol.,42(1)(1997)1−39))。そのような検出器の構造の一例は、米国特許第5434417号明細書に記載されている。検出器のエネルギ感度も可能にするために、この検出器は、複数の層から形成されている。種々異なったエネルギのX線ビームは、種々異なった深さで、この検出器内に入り、各々の層内で光電効果によって電気信号を形成し、この電気信号は、X線光子のエネルギについて識別可能に直接、電流パルスとして読み出すことができる。
【0005】
コンピュータトモグラフィ(CT)は、臨床現場で日常的にルーチンプロセスとしてずっと以前から使われている。CTを用いると、体部の断層画像が得られ、この断層画像を用いると、従来技術のプロジェクション・ラジオグラフィー(投影放射線画像形成)を用いた場合よりも一層良好な空間分解能を達成することができる。CTの密度分解能乃至減弱係数分解能(density resolution)も、従来技術のX線技術の密度分解能乃至減弱係数分解能よりも明らかに高いにも拘わらず、多数の病変を確実に検出するためには、造影剤が必要である。
【0006】
骨格に対して軟部組織、殊に、胸部領域を、高いコントラストで表示するために、デュアル・エナジー・ラジオグラフィーが開発された。この方法は、種々異なった作動電圧で作動される。種々異なるエネルギのX線ビームによる軟部組織と骨格との間の種々の形式の交互作用によって、適切な画像データ処理によって骨格を殆ど表示しないようにしたX線画像が得られる。両方の画像を連続して撮影することによって生じる運動アーチファクトをできる限り回避するために、例えば、米国特許第2003/0169848A1号明細書、及び、世界知的所有権機関特許第02/052504A2号で解決手段が提案されている。
【0007】
多くの場合、従来技術のX線技術は、被検組織のコントラストがたいして十分でなかったので、利用することができない。このために、X線コントラストが高くされる組織内で、高いX線グラフィック密度を形成するX線造影剤が開発された。典型的には、ヨード、臭素、原子番号56−60,62−79,82及び83の要素がX線不透過性要素として、並びに、原子番号56−60,62−79,82及び83の要素が提案されている。ヨード化合物として、例えば、メグルミン(meglumine)−Na−又はリジン・ダイアトリゾエート(lysine−diatrizoate)、イオタラメート(iothalamate)、イオキサラメート(ioxithalamate)、イオプロミド(iopromide)、イオヘキシオル(iohexol)、イオメプロル(iomeprol)、イオパミドル(iopamidol)、イオバーソル(ioversol)、イオビトリドル(iobitridol)、イオペントル(iopentol)、イオトロラン(iotrolan)、イオジキサノル(iodixanol)、イオキシラン(ioxilan)(INN)を使用することができる(ヨーロッパ特許公開第0885616号公報)。
【0008】
幾つかの場合には、X線造影剤を投与しても、十分な組織コントラストを達成することができないことがある。コントラストを更に高くするために、デジタル・サブトラクション・アンギオグラフィ(血管造影法)(DSA)が採用されている;この方法は、しかし、女性の乳房の病変を表示するのには、使われなかった。理由は、多数適用するのには信頼度も感度も小さすぎ、どんな場合でも付加的な検査が必要だったからである(P.B.Dean,E.A.Sickles,Invest.Radiol.,20(1985)698−699)。
【0009】
マンモグラフィで利用するための別のサブトラクション方法は、ヨーロッパ特許公開第0885616号公報に開示されている:プロジェクションマンモグラフィのために、そこでは、先ず、プレ−コントラストマンモグラムが撮影され、それから、患者に慣用の尿路造影用X線造影剤が迅速に生体内に(i.v.)注入され、注入の終了後、約30秒〜1分の間、ポスト−コントラスト−マンモグラムが撮影される。両画像の得られたデータは、それから、相互に補正され、有利には、相互に減算される。
【0010】
このサブトラクション方法は、しかし、2回の撮影を、時間をずらして実行する必要があるので、患者に著しく負荷をかける。その際、造影剤を注射する前に最初の撮影が行われ、注射の後、5分以内に2回目の撮影が行われる。この時間の間、運動アーチファクトを回避するために、女性患者の乳房がクランプ固定される。しかし、この撮影は、前述のように長時間に亘るので、極めて不十分にしか成功しない。同様に、DSA(デジタル・サブトラクション・アンギオグラフィ)(血管造影法)も、完全な運動の自由度は、殆ど達成不可能なので、運動アーチファクトの危険性があるために不利である。従来、造影剤によってサポートされた、女性乳房のX線造影検査は、僅かなCT検査を除外して、実行されてこなかった。
【0011】
CTの領域での新規開発では、例えば、CTでのシンクロトロン放射を用いることに関している(F.A.Dilmanian,”Computed Tomography with Monochromatic X−rays”、Am.J.Physiol.Imaging,314(1992)175−193)。良好なX線画像は、例えば、”K−edge Subtraction CT”を用いて得られ(F.A.Dilimanian,前掲書、179ページ)、その際、原子のK電子の結合エネルギでの吸収係数の強い上昇が利用される。ヨード元素は、33.17keVのエネルギのところにK端を有している。この端での吸収係数の上昇は、この端の少し上側及び少し下側のエネルギでの2回の測定の差から良好な画像を得るのに極めて十分である。その際、患者に、X線検査の前に、ヨード含有のX線造影剤を投与することが提案されている。短時間後、X線ビームの種々異なる2つの波長で、2枚のX線画像が撮影される。両X線画像(乃至、両強度)は、相互に減算することができる。そうすることによって、従来技術でのX線画像の撮影の場合よりもずっと解像度が改善された画像が得られる。
【0012】
残念ながら、この方法は、例えば、DESYの場合のような、大きなストレージリング(strage ring)で利用可能なシンクロトロン放射を用いないと機能しない。その理由は、この放射だけが、この方法にとって有利なモノクロマシー(monochromasia)及び強度を有しているからである。従来技術のX線管は、モノクロマチックな放射ではなく、連続スペクトルを供給する。従って、従来技術のX線管は、そのような差測定にあまり適さない。
【0013】
択一的な手段が、ドイツ連邦共和国特許公開第10118792号公報に記載されている:プロジェクションマンモグラムの撮影のために、種々異なる材料製の2つのX線陽極を有するX線ビーム源が使用される方法が提案されている。マンモグラムの撮影のために、患者には先ずX線造影剤が投与される。それから、最初のプロジェクションマンモグラムが、両X線陽極のうちの第1の陽極を用いて撮影され、その後、第2のX線陽極を用いて第2のプロジェクションマンモグラムが撮影される。その際、第1のマンモグラムの各個別画素を、第2のマンモグラムの相応の各個別画素と重畳することによって、相関画像が形成される。両X線陽極の特徴を示す放射は、X線造影剤の吸収スペクトルに同調される:第1のX線陽極の放射エネルギは、X線造影剤中のX線不透過性要素の吸収エネルギの少し下側に位置しており、第2のX線陽極の放射エネルギは、X線不透過性要素の吸収エネルギの少し上側に位置している。
【0014】
この方法の欠点は、従来技術のX線管が、X線陽極を1つしか利用することができない点にある。更に、提案されている装置は、使用すべきX線造影剤に関してフレキシブルではない。つまり、X線造影剤中のX線不透過性要素は、X線ビーム源中の両X線陽極を所定のように選択することによって決められるからである。変更された装置構成で、種々異なるX線不透過性要素を有する種々異なるX線造影剤を使用する必要がある場合には、変更されたX線不透過性要素にX線陽極を適合させるために、X線ビーム源も交換する必要がある。
【0015】
更に、ドイツ連邦共和国特許公開第10033497号公報には、X線不透過性要素の吸収端の上側及び下側のエネルギでの、2つのコントラスト画像のデジタル吸収端サブトラクションによる、要素選択したX線コントラストを形成するためのX線コントラスト方法が記載されている。この方法を実行するために、放射源として、交換可能な陽極乃至対陰極材料を有する微小焦点X線管が使用されており、この微小焦点X線管の点焦点は、結像すべき対象の中央部の投影用の発散放射を形成する。画像形成のために、微小焦点X線管の特性放射、並びに、エネルギを選択して、位置解像度のあるX線検出器が使用される。
【0016】
この方法も、種々異なったX線陽極を、使用すべきX線造影剤に関して変更した要求下で使用する必要があるという欠点を有している。そのような場合には、従って、そのX線陽極を、別のX線陽極と交換する必要がある。これは手間が掛かり、双陽極管の特殊な場合を除いて、マンモグラフィでは実際には用いられない。一般的に、個別X線陽極は、種々異なった電圧も必要とし、その結果、場合によっては、種々異なったX線コントラストでX線撮影を形成することができるためには、複数の給電を保持する必要がある。
【0017】
従って、本発明の課題は、前述の欠点を回避し、殊に、装置にあまりコストを掛けずに、種々異なるX線不透過性要素を用いて撮影を行うことができる装置及び方法を提供することにある。更に、X線画像を、高いコストを掛けずに、簡単に、容易に撮影可能にする必要がある。この技術は、広範なベース上で利用可能にする必要がある。被検体の体部内の小さな病変も、高い位置解像度で、できる限り僅かな放射線量で可視にすることができる必要がある。画像を時間的にずらして撮影することによって生じる運動アーチファクトも、高い信頼度で回避する必要がある。
【0018】
この課題は、請求項1記載のように、
a.少なくとも1つのX線ビーム源と、
b.少なくとも1つのエネルギ分散検出器と、
c.少なくとも1つの相関ユニットと、
d.少なくとも1つの出力ユニットを有しており、
X線ビーム源は、ほぼ多色のX線ビームを放射し、
エネルギ分散検出器は、被検体を通って出たX線ビームの強度を第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2で検出することができ、
相関ユニットは、第1のエネルギE1での被検体の1つの画素により検出されたX線ビームの強度を、第2のエネルギE2での、画素と同じ画素により検出されたX線ビームの強度と相関することができ、
出力ユニットは、各強度の相関によって含まれる各画素信号から、被検体を表示するように構成されている、
X線不透過性要素を含む少なくとも1つの被検体での画像形成用のX線装置により解決され、
請求項11記載のように、
a.ほぼ多色のX線ビームを被検体に透過照射するステップ、
b.第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2で、被検体を透過照射するX線ビームの強度をエネルギ分散により検出するステップ、
c.第1のエネルギE1で被検体の1つの画素を検出するX線ビームの強度を、第2のエネルギE2で被検体の1つの画素を検出するX線ビームの強度と相関するステップと、
d.各強度の相関によって得られる各画素信号から被検体を表示するステップ
を実行する、X線ビームを用いた、少なくとも1つのX線不透過性要素の画像表示用のX線装置の使用により解決され、
請求項21記載のように、
a.ほぼ多色のX線ビームを被検体に透過照射するステップ、
b.第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2で、被検体を透過照射されるX線ビームの強度をエネルギ分散により検出するステップ、
c.第1のエネルギE1で被検体の1つの画素を検出するX線ビームの強度を、第2のエネルギE2で被検体の1つの画素を検出するX線ビームの強度と相関するステップと、
d.各強度の相関によって得られる各画素信号から被検体を表示するステップ
を有する、X線不透過性要素を含む少なくとも1つの被検体で画像形成するX線コントラスト方法により解決される。本発明の有利な実施例は、従属請求項に記載されている。
【0019】
本発明は、殊に、人体での検査に使用可能である。本発明は、空間占拠性病変、血管、血流の表示に適しており、例えば、食道−胃−腸−通過の表示用、コレグラフィ(cholegraphy)、アンギオグラフィ及びカルジオグラフィ用、大脳アンギオグラフィ用、及び、血流測定用、マンモグラフィ、リンパ管造影法用、石灰沈着及び骨密度の定量用である。本発明は、コンピュータトモグラフィにも拡張可能である。基本的に、本発明は、非生体材料、例えば、材料検査の領域にも使用することができる。
【0020】
この課題の解決のために、被検体には、多色X線ビームが放射され、この対象を透過したX線ビームは、デジタル検出器を用いて測定され、その際、この検出器は、生起した光子のエネルギを検出することができる。
【0021】
このために、本発明のX線装置は、以下の要件を有している:
a.少なくとも1つのX線ビーム源と、
b.少なくとも1つのエネルギ分散検出器と、
c.少なくとも1つの相関ユニットと、
d.少なくとも1つの出力ユニットを有しており、
前記X線ビーム源は、ほぼ多色のX線ビームを放射し、
前記エネルギ分散検出器は、被検体を透過したX線ビームの強度を第1のエネルギE1(例えば、X線不透過性要素のX線不透過性要素の吸収端の上側のエネルギ)及び第2のエネルギE2(例えば、X線不透過性要素の吸収端の下側のエネルギ)で検出することができ、
前記相関ユニットは、前記第1のエネルギE1での前記被検体の1つの画素により検出されたX線ビームの強度を、前記第2のエネルギE2での、前記画素と同じ画素により検出されたX線ビームの強度と相関することができ、
前記出力ユニットは、前記各強度の相関によって含まれる各画素信号から、前記被検体を表示するように構成されている。
【0022】
X線装置は、特に、X線ビームを用いて、被検体の画像形成用に使われる。被検体内に含まれているX線不透過性要素は、当然被検体内に含まれている要素に基づくか、又は、X線造影剤によって導入することができる。X線装置は、本発明のX線コントラスト方法の実施のために使われる。この方法は、以下の方法ステップを有している:
a.ほぼ多色のX線ビームを、少なくとも1つのX線不透過性要素を含む被検体に照射するステップ、
b.第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2で、前記被検体を透過するX線ビームの強度をエネルギ分散により検出するステップ、
c.前記第1のエネルギE1(例えば、X線不透過性要素の吸収端の上側のエネルギ)で前記被検体の1つの画素を検出するX線ビームの各強度を、前記第2のエネルギE2(例えば、X線不透過性要素の吸収端の下側のエネルギ)で前記被検体の前記1つの画素を検出するX線ビームの強度と相関するステップと、
d.各強度値の相関によって得られる各画素から前記被検体を表示するステップ
を有している。
【0023】
被検体を透過したX線ビームの強度及びエネルギを求めるために、検出された光子は、種々異なる少なくとも2つのエネルギ領域に分割され、例えば、X線不透過性要素の吸収スペクトル内の吸収端の僅かに下側の領域と、僅かに上側の領域とに分割される。
【0024】
本発明のX線装置及び本発明の方法を用いると、例えば、人体内の軟部組織も高いコントラストで表示することができる。検出器によって測定された、被検体を透過したX線ビームのエネルギを、X線不透過性要素の種類に同調することによって、従来技術の方法に比べてコントラストを効率的に向上することができ、その際、ドイツ連邦共和国特許公開第10118792号公報及びドイツ連邦共和国特許公開第10033497号公報に記載されている装置及び方法(フレキシビリティが小さい)の欠点はない。この方法は、簡単に実行することができ、広範な適用範囲を有している。
【0025】
X線ビームの形成のために、市販されている、通常の、連続スペクトルのX線管、例えば、Mo−、W−、又は、Rh−陽極を有する管を使用することができる。連続スペクトルは、X線管に相応の電圧を印加することによって発生される。被検体内に含まれているX線不透過性要素の種類に応じて、100keV迄、例えば、100keV以上の領域内の連続放射を放射することができる。
【0026】
基本的には、X線ビーム源は、放射ビームをフィルタリングしないで作動することができ、その結果、全スペクトル領域内の多色放射が被検体上に照射される。しかし、被検体への放射線照射を低減するために、検出に必要ないか、又は、検出にとって有利でないようなX線ビームを、多色X線ビーム源のスペクトルからフィルタリングすることもできる。このために、例えば、20keV以下(≦20keV)の範囲内のエネルギ(軟放射線)をフィルタリングするAlフィルタ又はCuフィルタが使われる。従って、連続スペクトルとは、0keV以上(≧0keV)、有利には、15keV以上(≧15keV)、特に有利には17keV以上(≧17keV)、更に特に有利には20keV以上(≧20keV)、100keV迄の範囲内のX線のことであり、その際、この境界内で別のスペクトル領域に対して強調されたり、又は、排除されたりするスペクトル領域はない。放射スペクトルの上側の境界は、X線陽極に印加される電圧によって決められる。X線ビームの比較的低いエネルギ領域は、有利には、人体にとって線量が有害な(relevant)放射を除去するために、フィルタリングされる。
【0027】
自然なX線コントラストを度外視すれば、被検体、例えば、人体に、本発明の方法を実施するために、X線造影剤が投与される。X線造影剤は、例えば、経腸又は腸管外投与され、殊に、i.v.つまり、静脈内、i.m.つまり、筋肉内、又は、皮下注射又は輸液(Infusion)される。続いて、X線撮影される。殊に、吸収スペクトルのK端又はL端に、吸収係数の強い上昇を有しているような造影剤が適している。そのようなX線造影剤は、原子番号35又は原子番号35よりも大きなX線不透過性要素を有しており、この際、例えば、臭素含有造影剤、原子番号47又は原子番号47よりも大きなX線不透過性要素、例えば、ヨード含有造影剤、原子番号56のX線不透過性要素、つまり、バリウム含有造影剤、原子番号57又は原子番号57よりも大きなX線不透過性要素、この際、ランタン含有造影剤、殊に、ガドリニウム含有造影剤、又は、原子番号83のX線不透過性要素、ビスマス含有造影剤である。従って、原子番号35(臭素)〜原子番号83(ビスマス)のX線不透過性要素を含有するX線造影剤が適している。原子番号53(ヨード)〜原子番号83(ビスマス)のX線不透過性要素を含有する造影剤が特に適している。同様に、原子番号56(バリウム)、原子番号57又は原子番号57よりも大きなX線不透過性要素(ランタン系列)−原子番号83のX線不透過性要素(ビスマス)を有するX線造影剤が適しており、特に有利には、原子番号56−70(バリウム、ランタン系列:La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb)のX線不透過性要素を有する造影剤が用いられる。
【0028】
適切なヨード含有X線造影剤は、例えば、三ヨウ化物−芳香族化合物を含有する化合物であり、例えば、アミドトリゾ酸(amidotrizoate)、イオヘキソール(iohexol)、イオパミドール(iopamidol)、ヨーパン酸(iopanoic acid)、イオポジン酸(iopodinic acid)、イオプロミド(iopromide)、イオプロン酸(iopronic acid)、イオピドン(iopydone)、イオタラミン酸(iotalaminic acid)、イオペントール(iopentol)、イオベルソール(ioversol)、イオクサグラート(ioxaglat)、イオトロラン(iotrolan)、イオジクサノール(iodixanol)、イオトロキシン酸(iotroxinic acid)、イオクサグリン酸(ioxaglinicic acid)、イオキシタラミン酸(ioxitalaminic acid)(INN)である。ヨード含有X線造影剤の商品名は、(Urografin(登録商標))(シェーリング)、Gastrografin(登録商標)(シェーリング)、Biliscopin(登録商標)(シェーリング)、Ultravist(登録商標)(シェーリング)、Isovist(登録商標)(シェーリング)である。
【0029】
同様に、X線造影剤として、金属錯体、例えば、Gd−DTPA(Magnevist(登録商標))(シェーリング)、Gd−DOTA(Gadoterate,Dotarem)、Gd−HP−DO3A(Gadoteridol,Prohance(登録商標)(BGracco)),Gd−DOB−DTPA(Gadoxetat,Primavist),Gd−BOPTA(Gadobenat,MultiHance),Gd−DTPA=BMA(Gadodiamide,Omniscan(登録商標)(Amersham Health),Dy−DTPA−BMA,Gd−DTPA−ポリリジン,Gd−DTPA−カスケードポリマー(cascade polymer)が適している。
【0030】
ガドリニウムのK端は、約50.2keVのところにあり、即ち、約33.2keVのところにあるヨードのK端のずっと上側である。金属錯体は、ガドリニウム原子の代わりに、例えば、ランタン又はジスプロシウム原子を含有していてもよい。
【0031】
デジタル検出器は、ここ数年来、種々の製造業者によって提供されている(例えば:The BBI Newsletter,1999,2月、34ページ;H.G.Chotas,J.T.Dobbins,C.E.Ravin,”Principles of Digital Radiography with Large−Area,Elementronically Readable Detectors:A Review of the Basics”,Radiol.,210(1999)595−599ページ)。デジタル検出器は、アモルファスシリコン又は他の半導体材料製であることがよくある。本発明のX線装置では、特に、以下の検出器が適している:蛍光体プレート(例えば、Fuji Chemical Industries,Konica)を有する検出器、アモルファスシリコン(例えば、GE Medical,Philips Medical,Siemens Medical)を有する検出器、セレン(例えば、Philips Medical,Toshiba)を有する検出器、ガドリニウム・チオ硫酸塩(例えば、Kodak製)を有する検出器、ガドリニウム・テルル化物、又は、カドミウム−亜鉛−テルル化物(CZT)半導体を有する検出器、イットリウムオキシオルトケイ酸塩を有する検出器、ルテチウムオキシオルトケイ酸塩を有する検出器、ヨウ化ナトリウム又はビスマスゲルマニウム酸塩を有する検出器が適している。特に良好な結果は、所謂CZT検出器、つまり、カドミウム−亜鉛−テルル化物(CZT)半導体を有する検出器を用いて達成される。
【0032】
半導体製のエネルギ分散型検出器の構成は、米国特許第5434417号明細書に記載されている。この場合、セグメント化された半導体ストリップが設けられており、この半導体ストリップは、前面からX線ビームが照射される。X線ビームは、半導体材料内に透過して、半導体材料と交互作用するようになる。透過深さは、X線光子のエネルギに依存する。X線光子の比較的大きなエネルギの場合、放射は、当該放射が検出器材料と交互作用して、光電子効果によって、電流パルスを発生するに至るまで、X線光子の比較的小さなエネルギの場合よりも深く浸透する。電流パルスは、検出器の個別セグメント内で、形成された電子コンタクト接続を用いて導出することができる。この電流パルスは、プリアンプを用いて処理される。
【0033】
検出器は、X線ビームの強度をエネルギ分散により検出することができ、即ち、測定の際、X線ビームは、固定されたエネルギ間隔から検出されるに過ぎないことを特徴としている。このエネルギ間隔は、エネルギE1及びE2での両測定の重畳を回避するために、できる限り狭くする必要がある。他方で、エネルギ間隔が狭すぎるのは不利である。その理由は、この場合、検出可能な強度が小さくなりすぎることがあるからである。有利には、(検出器のエネルギ感度がガウス型であるとした場合)高々5keV、有利には、高々3keV、特に有利には、1.5keV、極めて特に有利には、1keVの分解能にするとよい(σ)。
【0034】
一方では、エネルギ分散型検出器は、フラットベッド検出器の形式乃至種類で構成してもよい。この実施例では、全ての画素は同時に検出され、評価のために相関ユニットに転送される。検出器は、この場合、個別検出器センサが平坦に配列されたものから構成され、有利には、そのようなセンサを有するマトリックスが、行及び列に配列されたものから構成される。
【0035】
エネルギ分散型フラットベッド検出器の代わりに、個別画素の撮影に適している複数のエネルギ分散型検出器マトリックスを用いてもよい。この検出器には、被検体からのX線ビームが、X線光導波路を介して同時に供給される。そのような多数の導波路は組み合わされて、1つの平坦な検出器を構成している。
【0036】
更に、検出器を、個別画素の撮影のために構成してもよいし、全ての画素の撮影のために動かすことができるようにしてもよい。この実施例では、検出器は、測定中、個別画素でエネルギ依存の強度でしか検出することができない。個別画素の強度は、順次連続して検出され、例えば、行毎に検出され、後続の処理のために相関ユニットに転送される。
【0037】
更に、検出器は、各々1つの画素の撮影用に構成された検出器センサのアレイを有するようにして、全ての画素の撮影のために動かしてもよい。この実施例では、検出器は、個別画素の強度を行毎に検出する。全ての強度を撮影するために、検出器は、測定中、有利には、アレイの主軸に対して垂直方向に動かされる。測定中検出される強度は、相関ユニットに供給される。
【0038】
プリアンプにより形成された信号は、それから、少なくとも1つの相関ユニットに供給されて、この相関ユニットで、例えば、X線不透過性要素の吸収端の上側のエネルギで、被検体の1つの画素の、検出されたX線ビームの強度が、例えば、X線不透過性要素の吸収端の下側のエネルギで、同じ画素の、検出されたX線ビームの強度と相関可能である。相関ユニットは、相応の、プログラミングされたデータ処理装置にするとよい。
【0039】
適切なX線不透過性要素の選択の際、検出器を用いて検出可能な2つの種々異なったエネルギ領域のX線光子がカウントされ、相関ユニットで相互に相関される。両エネルギ領域内での光子は、有利には、X線造影剤の不透過性要素の吸収端のエネルギの下側10keV〜上側10keV、特に下側5keV迄〜特に上側5keV迄、極めて特に有利には、吸収端のエネルギの上側3keV迄〜下側3keV迄の領域内に位置しているエネルギを有している。検出された光子のエネルギが、不透過性要素の、求められた吸収端に近付けば近付く程、これら両領域内での光子のエネルギの絶対差が大きくなり、画素の形成に使われる信号が大きくなる。
【0040】
両領域の各光子の強度の相関のために、これらの光子が画素毎に相互に相関され、有利には、相互に減算され、又は、相互に除算される。測定された強度は、例えば、最初、対数化され、それに続いて減算されるようにしてもよい。これら全ての場合に、有利には、被検体の組織内に天然に存在しているか、又は、X線造影剤によって導入された不透過性要素の吸収端の上側1−5keV〜下側1−5keV迄の領域内のエネルギでの強度が相互に相関される。このために、一方の場合には比較器が画素毎の相関のために使用され、他方の場合には除算部材が画素毎の相関のために使用される。
【0041】
当然、別の数学的演算を、被検体を透過して1つの画素から出たX線ビームの各強度の相関のために使用してもよい。例えば、X線ビームの強度を、吸収端の直接領域内、例えば、吸収端に対して相対的な±2keVの領域内で、比較的小さなステップで、例えば、0.2keVステップで測定して、エネルギを介して微分してもよい。このために、微分要素を使用してもよい。それにより、吸収端の領域内で、画素内の有意義な信号として生じる強度の1次導関数の比較的大きな変化を検出することができる。
【0042】
前述のことから、検出器を用いて、X線ビームの強度が、所定のエネルギ値(狭いエネルギ間隔、例えば、±0.2keV)で求められるか、又は、所定のスペクトル領域(例えば、±3keV、吸収端に対して相対的)に亘って求められることが明らかである。
【0043】
X線造影剤がある被検体内の領域から、できる限り大きな信号を得ることができるためには、検出されたX線ビームの強度が、有利には、不透過性要素の吸収スペクトルのK端の下側及び上側で検出される。しかし、基本的には、L吸収端又はもっと高い端の領域内で測定してもよい。
【0044】
画素の測定された強度の処理のために、有利には、データ処理装置で実施することができる、以下の装置が設けられており、即ち:
e.被検体の個別画素のエネルギの関数I(E)として記憶することができる第1のメモリユニットと、
f.例えば、X線造影剤の不透過性要素の吸収端の上側のエネルギで、被検体の画素の、検出されたX線ビームの強度(E1)を、例えば、X線造影剤の不透過性要素の吸収端の下側のエネルギで、同じ画素の、検出されたX線ビームの強度(E2)と相関することができる、例えば、
I(E1)/I(E2)を計算する計算ユニットと、
g.相関によって各個別画素の各強度から得られた各値を一時記憶することができる第2のメモリユニット
が設けられている。
【0045】
そうすることによって、先ず、吸収端の下側又は上側の全ての画素の強度を検出して、その後、全ての画素の別の全ての強度を検出し、それに続いて、測定されたデータセットを画素毎に相互に相関して、画像形成のために利用するか、又は、択一的に、画素毎に各々の強度を測定し、相関し、続いて、得られたデータを画素毎に、例えば、モニタ(陰極線管(CRT)又はLCDディスプレイ)、又は、プロッタを含む出力ユニットに供給される。
以下、本発明について、図示の実施例を用いて詳細に説明する。その際:
図1は、第1のファントムの概略図、
図2は、第1のファントム内の測定試料のグレイスケール分析を示す図、
図3は、第1のファントムの試料のスペクトルを示す図、
図4は、第1のファントム内の2つの測定キュベットの範囲内でのX線ビーム強度を示す図、
図5は、第1のファントム内のヨードIのK端乃至ガドリニウムGdのK端の上側及び下側の強度差を示す図、
図6は、第1のファントムの断面図、
図7は、図6の断面領域内での全強度経過特性を示す図、
図8は、第2のファントムの概略図、
図9は、図7のファントム内での全信号強度SIgesの減衰を示す図、
図10は、第2のファントムの位置30mm,40mm,60mmでのX線スペクトルを示す図、
図11は、図10のX線スペクトルの、エネルギに関しての1次微分を示す図
である。
【0046】
実例1:
ファントムの表示のために、以下の測定仕様が選択される:
X線ビーム源は、タングステン陽極と4mm厚のAlフィルタを有するX線管(10x15管)によって形成されている。X線源(RT250)は、以下の作動条件:つまり、90kV,5(10)mA,露光時間t=1sで作動する。X線ビームの検出のために、3mmx3mmx2mmの大きさのカドミウム−亜鉛−テルル化合物−結晶、及び、100/400μm開口のCZT検出器が使用される(Amptek Inc.,USA)。データは、X線検出器からマルチチャネルアナライザに転送され、続いて、Excel−スプレッドシートに供給される。従って、信号強度SI=SI(E)は、デジタル形式で、エネルギEの関数として利用することができる。
【0047】
投影画像は、90kV、4mAsで作動されるSiemens Polydoros X線管を用いて、110cmの距離で、AGFAデジタルプレート(digital plates/Speicherfolien)で撮影された。ワークステーションでデジタルにより利用することができる画像から、所望の位置でのグレイスケール値が読み出される。
【0048】
被検体は、アクリラートガラスベース上の2cm厚の脂肪(Bauspeck)と、その上に配置された4つの1cmプラスチックキュベットから形成されていて、当該の各プラスチックキュベットは、
1)30mg/mlのヨードI(=236mmol I/L)(ヨード化合物の形、Ultravist(登録商標))を含む水溶液、
2)100mmol Gd/L(ガドリニウム化合物の形、Gadovist(登録商標))を含む水溶液、
3)5mg/mlのヨードI(ヨード化合物の形)を含む水溶液、
4)水
で充填されている。ファントムは、ビーム経路内に配置される。
【0049】
配列全体を光学的に表示するために、先ず、検出器が蛍光ディスプレイ(Agfa Image Plate)によって代えられ、この蛍光ディスプレイに、形成された投影画像が、捕捉電子の形で潜在的に記憶されており、この投影画像がレーザで読み出される(可視にされる)。記録された配列は、図1に示されている。下側の画像縁部には、アクリルガラス板が、その縁部によって示されている。脂肪(Bauspeck)は、特に左側及び右側の縁部に縞模様が形成されることによって可視となる。図のほぼ真ん中の部分に見える比較的暗い構造は、下から上の順番で、試料1),2),3)及び4)が含まれている測定キュベットである。
【0050】
各測定キュベットを透過したX線ビームの各強度を求めるために、読み出された蛍光ディスプレイ上のグレイスケール値が、キュベットの領域内で決められる。各キュベットによるX線ビームの減弱は、図2に示されている。図2のバー(棒)は、各々バックグランドと比較したグレイスケール値を指示する。放射の最大減弱は、30mg/mlのヨードIを含むキュベットで得られる。5mg/mlのヨードIを有するキュベットは、水を含むキュベットに比べて、減弱の有意な差は小さい。
【0051】
スペクトルの配列を求めるために、ファントムは、検出器を介してx−yスライドテーブル上に取り付けられている。検出器に対してファントムを相対的にシフトするために、このテーブルは、x方向にだけシフトする。
【0052】
先ず、放射されたX線ビームは、ファントム下の種々の位置で検出される。このために、ファントムは、x方向に5mmステップで、固定のX線検出器の上で動かされる。検出器によって求められたカウントレート値は、エネルギの関数としてExcel−スプレッドシートに記録される。そうすることによって、x,Eフィールド(x=x方向のシフト、E=エネルギ)が得られ、その際、各点(x,E)に、[cps]単位で示した信号強度SIが関連付けられる。20〜100keVの範囲でだけ考察される。表示し易くするために、測定されたSIがエネルギ領域に亘って平均化されたエネルギバンドが考察される。このエネルギ領域は、22.5keV,32.3keV,34.2keV,40.9keV,51.2keV及び56.9keVである。領域22.5keV,40.9keV及び56.9keVは、X線不透過性要素ヨードI乃至ガドリニウムGdのK端の外側に位置している。K端を含めて、更に、SIの差が形成され、即ち、差Δ1=SI(E=34.2keV)−SI(E=32.2keV)及びΔ2=SI(E=51.2keV)−SI(E=49.2keV)が形成される。更に、全信号強度SIgesも利用可能である。
【0053】
図3には、x座標位置0mmでの空気のスペクトル(曲線A)、x座標位置25mmでの脂肪(Bauspeck)のスペクトル(曲線B)、x座標位置40mmでの30mg/mlのヨードIを水溶液中に含んでいるキュベットのスペクトル(曲線C)、x座標位置55mmでの100mMのガドリニウムGdを水溶液中に含んでいるキュベットのスペクトル(曲線D)が示されている。キュベットによって記録されたスペクトル内の33.2keVのところのヨードIのK端、及び、50keVのところのガドリニウムGdのK端が、図からよく分かる。
【0054】
更に、検出器の強度は、ファントムのシフトに依存して種々の検出器エネルギで検出される。曲線は、図4に示されている。個別の曲線は、種々異なる検出器エネルギで記録されている(曲線A:30.97keV,曲線B:34.86keV,曲線C:40.01keV,曲線D:48.84keV,曲線E:51.30keV,曲線F:60.19keV)。ファントムのプロフィールは、よく分かる。スキャンの位置解像度は、5mmのステップ幅によって測定される。従って、キュベットは、強度経過特性において垂直方向の側縁によって示されない。透過率は、X線エネルギに連れて増大する。差の画像から分かるように(図5)、例外により、K端が形成される。図5では、各々K端エネルギを含む各エネルギでの信号強度の差が形成されて、図示されている。35で示された曲線は、51で示されたようなガドリニウムのヨードK端を含んでいる。曲線経過特性によると、ヨードだけが可視である場合と、ガドリニウムGdだけが可視である場合とが明らかに分かる。ヨード曲線(35)では、30mg I/mlを含む試料でのはっきりとした信号変化をちょうど画像の中央部に有している他に、5mg I/mlを含むキュベットも右側の画像側縁に示されている。
【0055】
全信号強度SIgesのプロフィールとファントムの配列とを一致させるために、ファントムの断面図が、全信号強度SIgesのプロフィールに対比して示されている。図6には、ファントムの断面が、蛍光ディスプレイ(Agfa Image Plate)を用いて示されている。図7(下側)には、全信号強度SIgesが、x方向での80mmのシフト経路に亘って示されており、このシフト経路は、キュベットを交差している。プロフィールの左側全体は、アクリラートガラスベースが、一定強度で示されている。その横方向右側には、脂肪(Bauspeck)が、約35mmのところ迄、低減する強度で続いている。その横方向右側には、30mg/mlのヨードIを含む測定キュベットが(更に、強度が低下して)位置している。僅かに強度が上昇した後、100mMのガドリニウムGdを有する測定キュベットによる吸収によって低減した強度の領域が続いている。65〜75mmのx座標領域内には、脂肪(Bauspeck)だけで吸収される領域が続いている。右側全体では、強度が新たに低下しているのが分かり(約80mmのx座標領域)、これは、5mg/mlのヨードIを含む測定キュベットによるX線ビームの吸収に起因している。
【0056】
実例2:
被検体として、ファントムが、2つの1cmのプラスチックキュベット、並びに、プラスチックストリップをアクリラートガラスベース上に配列して形成されている。キュベットは、0.5mol Gd/L(水溶液中のガドリニウム化合物の形で)乃至0.47mol I/L(水溶液中のヨード化合物の形で)充填されている。
【0057】
先ず、配列の全画像形成が、蛍光ディスプレイ(Agfa Image Plate)で形成されている。検査を実行する際の詳細については、実例1に示されている。配列は、図8に示されている。
【0058】
ファントムのx方向シフトの関数として、全信号強度SIgesが示されている。プラスチックフィルム、ヨードを含む測定キュベット及びガドリニウムを含む測定キュベット(左側から)によるX線強度の減弱がよく分かる。
【0059】
これは、それと並行して形成される全強度SIgesのプロフィールでも分かり、これは、x−yプロットテーブルとCZT検出器を有する測定装置を用いて得られる。このプロフィールは、図9に示されている。このプロフィールは、図8の略図では、対角線方向に沿って右上側から左下側に形成されている。図10には、位置30,40及び60mmでのX線スペクトルが示されており、図11には、信号強度の、エネルギについての1次微分が示されている(各スペクトルからの特徴的な輝線での効果を抑制するために、60keV以下の領域だけが示されている)。この1次微分は、エネルギの関数として、信号強度の上昇を示している。この1次微分では、ヨード及びガドリニウムがバックグラウンド(曲線の30mmのところ)とは異なって際だっていることが明らかに分かる。
【0060】
ここに記載されている実例及び実施例は、単に説明のためのものであって、この実例乃至実施例を種々に変形したり変更したり、乃至、各実施例及びここに記載されている各要件を組み合わせることは、当業者にはよく分かり、本発明の開示の一部分とみなし、並びに、本発明の保護範囲内であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1のファントムの概略図
【図2】第1のファントム内の測定試料のグレイスケール分析を示す図
【図3】第1のファントムの試料のスペクトルを示す図
【図4】第1のファントム内の2つの測定キュベットの範囲内でのX線ビーム強度を示す図
【図5】第1のファントム内のヨードIのK端乃至ガドリニウムGdのK端の上側及び下側の強度差を示す図
【図6】第1のファントムの断面図
【図7】図6の断面領域内での全強度経過特性を示す図
【図8】第2のファントムの概略図
【図9】図7のファントム内での全信号強度SIgesの減衰を示す図
【図10】第2のファントムの位置30mm,40mm,60mmでのX線スペクトルを示す図
【図11】図10のX線スペクトルの、エネルギに関しての1次微分を示す図
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線不透過性要素を含む少なくとも1つの被検体での画像形成用のX線装置、X線ビームを用いた、被検体の画像形成用のX線装置の使用、並びに、被検体、例えば、ほ乳類、殊に、人体で画像形成するX線コントラスト方法に関する。
【0002】
X線ビームを用いた医療診断は、病気の診断のため、例えば、早期発見のため、X線透過検査のため、女性の胸部での癌の特徴表示及び位置表示のために、技術的に高度に開発された分野である。この技術は、非常に効率的であり、高い利便性を有している。
【0003】
X線ビームの形成のために、W,Mo、乃至、Rh回転陽極とAl,Cu,Mo及びRhフィルタを有するX線管が利用されている。適切なフィルタを用いて、制動放射の一部分がフィルタにより除去され、その結果、有利な場合、ほぼ、特性X線がX線管から放射される。
【0004】
検出器として、通常のX線フィルム、又は、最近では、デジタル式フラットベッド検出器も使われている。X線フィルムの代わりに、蛍光ディスプレイ(デジタルプレート)を用いてもよい。この蛍光ディスプレイで、照射X線ビームによって形成された画像は、X線画像増幅器で増幅することができる。PIITV技術(蛍光倍増管TV技術)では、増幅された画像が、非常に高速の光学系を介してビデオカメラに伝送される。PPCR技術(Photostimulable Phosphor Computer Radiography)で、BaFX:Eu2+結晶から形成された層からなるデジタルディスプレイが使われ、その際、X=Cl,Br,Iである。ディスプレイに形成される画像は、潜像であり、IRレーザ、例えば、He−Neレーザによって読み出され、その際、ルミネッセンスはUV領域内で形成される。UV光は、光導波路を用いてコレクトされ、フォトマルチプライヤに供給され、デジタル信号に変換される(米国特許第5434417号明細書)。X線ビームを電気信号に直接変換するために、カドミウム−亜鉛−テルル化合物(CZT)、アモルファスセレン又はアモルファス又は結晶化シリコンからなる半導体検出器が使用されている(M.J.Yaffe,J.A.Rowlands,”X−Ray Detectors for Digital Radiography”,Med.Biol.,42(1)(1997)1−39))。そのような検出器の構造の一例は、米国特許第5434417号明細書に記載されている。検出器のエネルギ感度も可能にするために、この検出器は、複数の層から形成されている。種々異なったエネルギのX線ビームは、種々異なった深さで、この検出器内に入り、各々の層内で光電効果によって電気信号を形成し、この電気信号は、X線光子のエネルギについて識別可能に直接、電流パルスとして読み出すことができる。
【0005】
コンピュータトモグラフィ(CT)は、臨床現場で日常的にルーチンプロセスとしてずっと以前から使われている。CTを用いると、体部の断層画像が得られ、この断層画像を用いると、従来技術のプロジェクション・ラジオグラフィー(投影放射線画像形成)を用いた場合よりも一層良好な空間分解能を達成することができる。CTの密度分解能乃至減弱係数分解能(density resolution)も、従来技術のX線技術の密度分解能乃至減弱係数分解能よりも明らかに高いにも拘わらず、多数の病変を確実に検出するためには、造影剤が必要である。
【0006】
骨格に対して軟部組織、殊に、胸部領域を、高いコントラストで表示するために、デュアル・エナジー・ラジオグラフィーが開発された。この方法は、種々異なった作動電圧で作動される。種々異なるエネルギのX線ビームによる軟部組織と骨格との間の種々の形式の交互作用によって、適切な画像データ処理によって骨格を殆ど表示しないようにしたX線画像が得られる。両方の画像を連続して撮影することによって生じる運動アーチファクトをできる限り回避するために、例えば、米国特許第2003/0169848A1号明細書、及び、世界知的所有権機関特許第02/052504A2号で解決手段が提案されている。
【0007】
多くの場合、従来技術のX線技術は、被検組織のコントラストがたいして十分でなかったので、利用することができない。このために、X線コントラストが高くされる組織内で、高いX線グラフィック密度を形成するX線造影剤が開発された。典型的には、ヨード、臭素、原子番号56−60,62−79,82及び83の要素がX線不透過性要素として、並びに、原子番号56−60,62−79,82及び83の要素が提案されている。ヨード化合物として、例えば、メグルミン(meglumine)−Na−又はリジン・ダイアトリゾエート(lysine−diatrizoate)、イオタラメート(iothalamate)、イオキサラメート(ioxithalamate)、イオプロミド(iopromide)、イオヘキシオル(iohexol)、イオメプロル(iomeprol)、イオパミドル(iopamidol)、イオバーソル(ioversol)、イオビトリドル(iobitridol)、イオペントル(iopentol)、イオトロラン(iotrolan)、イオジキサノル(iodixanol)、イオキシラン(ioxilan)(INN)を使用することができる(ヨーロッパ特許公開第0885616号公報)。
【0008】
幾つかの場合には、X線造影剤を投与しても、十分な組織コントラストを達成することができないことがある。コントラストを更に高くするために、デジタル・サブトラクション・アンギオグラフィ(血管造影法)(DSA)が採用されている;この方法は、しかし、女性の乳房の病変を表示するのには、使われなかった。理由は、多数適用するのには信頼度も感度も小さすぎ、どんな場合でも付加的な検査が必要だったからである(P.B.Dean,E.A.Sickles,Invest.Radiol.,20(1985)698−699)。
【0009】
マンモグラフィで利用するための別のサブトラクション方法は、ヨーロッパ特許公開第0885616号公報に開示されている:プロジェクションマンモグラフィのために、そこでは、先ず、プレ−コントラストマンモグラムが撮影され、それから、患者に慣用の尿路造影用X線造影剤が迅速に生体内に(i.v.)注入され、注入の終了後、約30秒〜1分の間、ポスト−コントラスト−マンモグラムが撮影される。両画像の得られたデータは、それから、相互に補正され、有利には、相互に減算される。
【0010】
このサブトラクション方法は、しかし、2回の撮影を、時間をずらして実行する必要があるので、患者に著しく負荷をかける。その際、造影剤を注射する前に最初の撮影が行われ、注射の後、5分以内に2回目の撮影が行われる。この時間の間、運動アーチファクトを回避するために、女性患者の乳房がクランプ固定される。しかし、この撮影は、前述のように長時間に亘るので、極めて不十分にしか成功しない。同様に、DSA(デジタル・サブトラクション・アンギオグラフィ)(血管造影法)も、完全な運動の自由度は、殆ど達成不可能なので、運動アーチファクトの危険性があるために不利である。従来、造影剤によってサポートされた、女性乳房のX線造影検査は、僅かなCT検査を除外して、実行されてこなかった。
【0011】
CTの領域での新規開発では、例えば、CTでのシンクロトロン放射を用いることに関している(F.A.Dilmanian,”Computed Tomography with Monochromatic X−rays”、Am.J.Physiol.Imaging,314(1992)175−193)。良好なX線画像は、例えば、”K−edge Subtraction CT”を用いて得られ(F.A.Dilimanian,前掲書、179ページ)、その際、原子のK電子の結合エネルギでの吸収係数の強い上昇が利用される。ヨード元素は、33.17keVのエネルギのところにK端を有している。この端での吸収係数の上昇は、この端の少し上側及び少し下側のエネルギでの2回の測定の差から良好な画像を得るのに極めて十分である。その際、患者に、X線検査の前に、ヨード含有のX線造影剤を投与することが提案されている。短時間後、X線ビームの種々異なる2つの波長で、2枚のX線画像が撮影される。両X線画像(乃至、両強度)は、相互に減算することができる。そうすることによって、従来技術でのX線画像の撮影の場合よりもずっと解像度が改善された画像が得られる。
【0012】
残念ながら、この方法は、例えば、DESYの場合のような、大きなストレージリング(strage ring)で利用可能なシンクロトロン放射を用いないと機能しない。その理由は、この放射だけが、この方法にとって有利なモノクロマシー(monochromasia)及び強度を有しているからである。従来技術のX線管は、モノクロマチックな放射ではなく、連続スペクトルを供給する。従って、従来技術のX線管は、そのような差測定にあまり適さない。
【0013】
択一的な手段が、ドイツ連邦共和国特許公開第10118792号公報に記載されている:プロジェクションマンモグラムの撮影のために、種々異なる材料製の2つのX線陽極を有するX線ビーム源が使用される方法が提案されている。マンモグラムの撮影のために、患者には先ずX線造影剤が投与される。それから、最初のプロジェクションマンモグラムが、両X線陽極のうちの第1の陽極を用いて撮影され、その後、第2のX線陽極を用いて第2のプロジェクションマンモグラムが撮影される。その際、第1のマンモグラムの各個別画素を、第2のマンモグラムの相応の各個別画素と重畳することによって、相関画像が形成される。両X線陽極の特徴を示す放射は、X線造影剤の吸収スペクトルに同調される:第1のX線陽極の放射エネルギは、X線造影剤中のX線不透過性要素の吸収エネルギの少し下側に位置しており、第2のX線陽極の放射エネルギは、X線不透過性要素の吸収エネルギの少し上側に位置している。
【0014】
この方法の欠点は、従来技術のX線管が、X線陽極を1つしか利用することができない点にある。更に、提案されている装置は、使用すべきX線造影剤に関してフレキシブルではない。つまり、X線造影剤中のX線不透過性要素は、X線ビーム源中の両X線陽極を所定のように選択することによって決められるからである。変更された装置構成で、種々異なるX線不透過性要素を有する種々異なるX線造影剤を使用する必要がある場合には、変更されたX線不透過性要素にX線陽極を適合させるために、X線ビーム源も交換する必要がある。
【0015】
更に、ドイツ連邦共和国特許公開第10033497号公報には、X線不透過性要素の吸収端の上側及び下側のエネルギでの、2つのコントラスト画像のデジタル吸収端サブトラクションによる、要素選択したX線コントラストを形成するためのX線コントラスト方法が記載されている。この方法を実行するために、放射源として、交換可能な陽極乃至対陰極材料を有する微小焦点X線管が使用されており、この微小焦点X線管の点焦点は、結像すべき対象の中央部の投影用の発散放射を形成する。画像形成のために、微小焦点X線管の特性放射、並びに、エネルギを選択して、位置解像度のあるX線検出器が使用される。
【0016】
この方法も、種々異なったX線陽極を、使用すべきX線造影剤に関して変更した要求下で使用する必要があるという欠点を有している。そのような場合には、従って、そのX線陽極を、別のX線陽極と交換する必要がある。これは手間が掛かり、双陽極管の特殊な場合を除いて、マンモグラフィでは実際には用いられない。一般的に、個別X線陽極は、種々異なった電圧も必要とし、その結果、場合によっては、種々異なったX線コントラストでX線撮影を形成することができるためには、複数の給電を保持する必要がある。
【0017】
従って、本発明の課題は、前述の欠点を回避し、殊に、装置にあまりコストを掛けずに、種々異なるX線不透過性要素を用いて撮影を行うことができる装置及び方法を提供することにある。更に、X線画像を、高いコストを掛けずに、簡単に、容易に撮影可能にする必要がある。この技術は、広範なベース上で利用可能にする必要がある。被検体の体部内の小さな病変も、高い位置解像度で、できる限り僅かな放射線量で可視にすることができる必要がある。画像を時間的にずらして撮影することによって生じる運動アーチファクトも、高い信頼度で回避する必要がある。
【0018】
この課題は、請求項1記載のように、
a.少なくとも1つのX線ビーム源と、
b.少なくとも1つのエネルギ分散検出器と、
c.少なくとも1つの相関ユニットと、
d.少なくとも1つの出力ユニットを有しており、
X線ビーム源は、ほぼ多色のX線ビームを放射し、
エネルギ分散検出器は、被検体を通って出たX線ビームの強度を第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2で検出することができ、
相関ユニットは、第1のエネルギE1での被検体の1つの画素により検出されたX線ビームの強度を、第2のエネルギE2での、画素と同じ画素により検出されたX線ビームの強度と相関することができ、
出力ユニットは、各強度の相関によって含まれる各画素信号から、被検体を表示するように構成されている、
X線不透過性要素を含む少なくとも1つの被検体での画像形成用のX線装置により解決され、
請求項11記載のように、
a.ほぼ多色のX線ビームを被検体に透過照射するステップ、
b.第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2で、被検体を透過照射するX線ビームの強度をエネルギ分散により検出するステップ、
c.第1のエネルギE1で被検体の1つの画素を検出するX線ビームの強度を、第2のエネルギE2で被検体の1つの画素を検出するX線ビームの強度と相関するステップと、
d.各強度の相関によって得られる各画素信号から被検体を表示するステップ
を実行する、X線ビームを用いた、少なくとも1つのX線不透過性要素の画像表示用のX線装置の使用により解決され、
請求項21記載のように、
a.ほぼ多色のX線ビームを被検体に透過照射するステップ、
b.第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2で、被検体を透過照射されるX線ビームの強度をエネルギ分散により検出するステップ、
c.第1のエネルギE1で被検体の1つの画素を検出するX線ビームの強度を、第2のエネルギE2で被検体の1つの画素を検出するX線ビームの強度と相関するステップと、
d.各強度の相関によって得られる各画素信号から被検体を表示するステップ
を有する、X線不透過性要素を含む少なくとも1つの被検体で画像形成するX線コントラスト方法により解決される。本発明の有利な実施例は、従属請求項に記載されている。
【0019】
本発明は、殊に、人体での検査に使用可能である。本発明は、空間占拠性病変、血管、血流の表示に適しており、例えば、食道−胃−腸−通過の表示用、コレグラフィ(cholegraphy)、アンギオグラフィ及びカルジオグラフィ用、大脳アンギオグラフィ用、及び、血流測定用、マンモグラフィ、リンパ管造影法用、石灰沈着及び骨密度の定量用である。本発明は、コンピュータトモグラフィにも拡張可能である。基本的に、本発明は、非生体材料、例えば、材料検査の領域にも使用することができる。
【0020】
この課題の解決のために、被検体には、多色X線ビームが放射され、この対象を透過したX線ビームは、デジタル検出器を用いて測定され、その際、この検出器は、生起した光子のエネルギを検出することができる。
【0021】
このために、本発明のX線装置は、以下の要件を有している:
a.少なくとも1つのX線ビーム源と、
b.少なくとも1つのエネルギ分散検出器と、
c.少なくとも1つの相関ユニットと、
d.少なくとも1つの出力ユニットを有しており、
前記X線ビーム源は、ほぼ多色のX線ビームを放射し、
前記エネルギ分散検出器は、被検体を透過したX線ビームの強度を第1のエネルギE1(例えば、X線不透過性要素のX線不透過性要素の吸収端の上側のエネルギ)及び第2のエネルギE2(例えば、X線不透過性要素の吸収端の下側のエネルギ)で検出することができ、
前記相関ユニットは、前記第1のエネルギE1での前記被検体の1つの画素により検出されたX線ビームの強度を、前記第2のエネルギE2での、前記画素と同じ画素により検出されたX線ビームの強度と相関することができ、
前記出力ユニットは、前記各強度の相関によって含まれる各画素信号から、前記被検体を表示するように構成されている。
【0022】
X線装置は、特に、X線ビームを用いて、被検体の画像形成用に使われる。被検体内に含まれているX線不透過性要素は、当然被検体内に含まれている要素に基づくか、又は、X線造影剤によって導入することができる。X線装置は、本発明のX線コントラスト方法の実施のために使われる。この方法は、以下の方法ステップを有している:
a.ほぼ多色のX線ビームを、少なくとも1つのX線不透過性要素を含む被検体に照射するステップ、
b.第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2で、前記被検体を透過するX線ビームの強度をエネルギ分散により検出するステップ、
c.前記第1のエネルギE1(例えば、X線不透過性要素の吸収端の上側のエネルギ)で前記被検体の1つの画素を検出するX線ビームの各強度を、前記第2のエネルギE2(例えば、X線不透過性要素の吸収端の下側のエネルギ)で前記被検体の前記1つの画素を検出するX線ビームの強度と相関するステップと、
d.各強度値の相関によって得られる各画素から前記被検体を表示するステップ
を有している。
【0023】
被検体を透過したX線ビームの強度及びエネルギを求めるために、検出された光子は、種々異なる少なくとも2つのエネルギ領域に分割され、例えば、X線不透過性要素の吸収スペクトル内の吸収端の僅かに下側の領域と、僅かに上側の領域とに分割される。
【0024】
本発明のX線装置及び本発明の方法を用いると、例えば、人体内の軟部組織も高いコントラストで表示することができる。検出器によって測定された、被検体を透過したX線ビームのエネルギを、X線不透過性要素の種類に同調することによって、従来技術の方法に比べてコントラストを効率的に向上することができ、その際、ドイツ連邦共和国特許公開第10118792号公報及びドイツ連邦共和国特許公開第10033497号公報に記載されている装置及び方法(フレキシビリティが小さい)の欠点はない。この方法は、簡単に実行することができ、広範な適用範囲を有している。
【0025】
X線ビームの形成のために、市販されている、通常の、連続スペクトルのX線管、例えば、Mo−、W−、又は、Rh−陽極を有する管を使用することができる。連続スペクトルは、X線管に相応の電圧を印加することによって発生される。被検体内に含まれているX線不透過性要素の種類に応じて、100keV迄、例えば、100keV以上の領域内の連続放射を放射することができる。
【0026】
基本的には、X線ビーム源は、放射ビームをフィルタリングしないで作動することができ、その結果、全スペクトル領域内の多色放射が被検体上に照射される。しかし、被検体への放射線照射を低減するために、検出に必要ないか、又は、検出にとって有利でないようなX線ビームを、多色X線ビーム源のスペクトルからフィルタリングすることもできる。このために、例えば、20keV以下(≦20keV)の範囲内のエネルギ(軟放射線)をフィルタリングするAlフィルタ又はCuフィルタが使われる。従って、連続スペクトルとは、0keV以上(≧0keV)、有利には、15keV以上(≧15keV)、特に有利には17keV以上(≧17keV)、更に特に有利には20keV以上(≧20keV)、100keV迄の範囲内のX線のことであり、その際、この境界内で別のスペクトル領域に対して強調されたり、又は、排除されたりするスペクトル領域はない。放射スペクトルの上側の境界は、X線陽極に印加される電圧によって決められる。X線ビームの比較的低いエネルギ領域は、有利には、人体にとって線量が有害な(relevant)放射を除去するために、フィルタリングされる。
【0027】
自然なX線コントラストを度外視すれば、被検体、例えば、人体に、本発明の方法を実施するために、X線造影剤が投与される。X線造影剤は、例えば、経腸又は腸管外投与され、殊に、i.v.つまり、静脈内、i.m.つまり、筋肉内、又は、皮下注射又は輸液(Infusion)される。続いて、X線撮影される。殊に、吸収スペクトルのK端又はL端に、吸収係数の強い上昇を有しているような造影剤が適している。そのようなX線造影剤は、原子番号35又は原子番号35よりも大きなX線不透過性要素を有しており、この際、例えば、臭素含有造影剤、原子番号47又は原子番号47よりも大きなX線不透過性要素、例えば、ヨード含有造影剤、原子番号56のX線不透過性要素、つまり、バリウム含有造影剤、原子番号57又は原子番号57よりも大きなX線不透過性要素、この際、ランタン含有造影剤、殊に、ガドリニウム含有造影剤、又は、原子番号83のX線不透過性要素、ビスマス含有造影剤である。従って、原子番号35(臭素)〜原子番号83(ビスマス)のX線不透過性要素を含有するX線造影剤が適している。原子番号53(ヨード)〜原子番号83(ビスマス)のX線不透過性要素を含有する造影剤が特に適している。同様に、原子番号56(バリウム)、原子番号57又は原子番号57よりも大きなX線不透過性要素(ランタン系列)−原子番号83のX線不透過性要素(ビスマス)を有するX線造影剤が適しており、特に有利には、原子番号56−70(バリウム、ランタン系列:La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb)のX線不透過性要素を有する造影剤が用いられる。
【0028】
適切なヨード含有X線造影剤は、例えば、三ヨウ化物−芳香族化合物を含有する化合物であり、例えば、アミドトリゾ酸(amidotrizoate)、イオヘキソール(iohexol)、イオパミドール(iopamidol)、ヨーパン酸(iopanoic acid)、イオポジン酸(iopodinic acid)、イオプロミド(iopromide)、イオプロン酸(iopronic acid)、イオピドン(iopydone)、イオタラミン酸(iotalaminic acid)、イオペントール(iopentol)、イオベルソール(ioversol)、イオクサグラート(ioxaglat)、イオトロラン(iotrolan)、イオジクサノール(iodixanol)、イオトロキシン酸(iotroxinic acid)、イオクサグリン酸(ioxaglinicic acid)、イオキシタラミン酸(ioxitalaminic acid)(INN)である。ヨード含有X線造影剤の商品名は、(Urografin(登録商標))(シェーリング)、Gastrografin(登録商標)(シェーリング)、Biliscopin(登録商標)(シェーリング)、Ultravist(登録商標)(シェーリング)、Isovist(登録商標)(シェーリング)である。
【0029】
同様に、X線造影剤として、金属錯体、例えば、Gd−DTPA(Magnevist(登録商標))(シェーリング)、Gd−DOTA(Gadoterate,Dotarem)、Gd−HP−DO3A(Gadoteridol,Prohance(登録商標)(BGracco)),Gd−DOB−DTPA(Gadoxetat,Primavist),Gd−BOPTA(Gadobenat,MultiHance),Gd−DTPA=BMA(Gadodiamide,Omniscan(登録商標)(Amersham Health),Dy−DTPA−BMA,Gd−DTPA−ポリリジン,Gd−DTPA−カスケードポリマー(cascade polymer)が適している。
【0030】
ガドリニウムのK端は、約50.2keVのところにあり、即ち、約33.2keVのところにあるヨードのK端のずっと上側である。金属錯体は、ガドリニウム原子の代わりに、例えば、ランタン又はジスプロシウム原子を含有していてもよい。
【0031】
デジタル検出器は、ここ数年来、種々の製造業者によって提供されている(例えば:The BBI Newsletter,1999,2月、34ページ;H.G.Chotas,J.T.Dobbins,C.E.Ravin,”Principles of Digital Radiography with Large−Area,Elementronically Readable Detectors:A Review of the Basics”,Radiol.,210(1999)595−599ページ)。デジタル検出器は、アモルファスシリコン又は他の半導体材料製であることがよくある。本発明のX線装置では、特に、以下の検出器が適している:蛍光体プレート(例えば、Fuji Chemical Industries,Konica)を有する検出器、アモルファスシリコン(例えば、GE Medical,Philips Medical,Siemens Medical)を有する検出器、セレン(例えば、Philips Medical,Toshiba)を有する検出器、ガドリニウム・チオ硫酸塩(例えば、Kodak製)を有する検出器、ガドリニウム・テルル化物、又は、カドミウム−亜鉛−テルル化物(CZT)半導体を有する検出器、イットリウムオキシオルトケイ酸塩を有する検出器、ルテチウムオキシオルトケイ酸塩を有する検出器、ヨウ化ナトリウム又はビスマスゲルマニウム酸塩を有する検出器が適している。特に良好な結果は、所謂CZT検出器、つまり、カドミウム−亜鉛−テルル化物(CZT)半導体を有する検出器を用いて達成される。
【0032】
半導体製のエネルギ分散型検出器の構成は、米国特許第5434417号明細書に記載されている。この場合、セグメント化された半導体ストリップが設けられており、この半導体ストリップは、前面からX線ビームが照射される。X線ビームは、半導体材料内に透過して、半導体材料と交互作用するようになる。透過深さは、X線光子のエネルギに依存する。X線光子の比較的大きなエネルギの場合、放射は、当該放射が検出器材料と交互作用して、光電子効果によって、電流パルスを発生するに至るまで、X線光子の比較的小さなエネルギの場合よりも深く浸透する。電流パルスは、検出器の個別セグメント内で、形成された電子コンタクト接続を用いて導出することができる。この電流パルスは、プリアンプを用いて処理される。
【0033】
検出器は、X線ビームの強度をエネルギ分散により検出することができ、即ち、測定の際、X線ビームは、固定されたエネルギ間隔から検出されるに過ぎないことを特徴としている。このエネルギ間隔は、エネルギE1及びE2での両測定の重畳を回避するために、できる限り狭くする必要がある。他方で、エネルギ間隔が狭すぎるのは不利である。その理由は、この場合、検出可能な強度が小さくなりすぎることがあるからである。有利には、(検出器のエネルギ感度がガウス型であるとした場合)高々5keV、有利には、高々3keV、特に有利には、1.5keV、極めて特に有利には、1keVの分解能にするとよい(σ)。
【0034】
一方では、エネルギ分散型検出器は、フラットベッド検出器の形式乃至種類で構成してもよい。この実施例では、全ての画素は同時に検出され、評価のために相関ユニットに転送される。検出器は、この場合、個別検出器センサが平坦に配列されたものから構成され、有利には、そのようなセンサを有するマトリックスが、行及び列に配列されたものから構成される。
【0035】
エネルギ分散型フラットベッド検出器の代わりに、個別画素の撮影に適している複数のエネルギ分散型検出器マトリックスを用いてもよい。この検出器には、被検体からのX線ビームが、X線光導波路を介して同時に供給される。そのような多数の導波路は組み合わされて、1つの平坦な検出器を構成している。
【0036】
更に、検出器を、個別画素の撮影のために構成してもよいし、全ての画素の撮影のために動かすことができるようにしてもよい。この実施例では、検出器は、測定中、個別画素でエネルギ依存の強度でしか検出することができない。個別画素の強度は、順次連続して検出され、例えば、行毎に検出され、後続の処理のために相関ユニットに転送される。
【0037】
更に、検出器は、各々1つの画素の撮影用に構成された検出器センサのアレイを有するようにして、全ての画素の撮影のために動かしてもよい。この実施例では、検出器は、個別画素の強度を行毎に検出する。全ての強度を撮影するために、検出器は、測定中、有利には、アレイの主軸に対して垂直方向に動かされる。測定中検出される強度は、相関ユニットに供給される。
【0038】
プリアンプにより形成された信号は、それから、少なくとも1つの相関ユニットに供給されて、この相関ユニットで、例えば、X線不透過性要素の吸収端の上側のエネルギで、被検体の1つの画素の、検出されたX線ビームの強度が、例えば、X線不透過性要素の吸収端の下側のエネルギで、同じ画素の、検出されたX線ビームの強度と相関可能である。相関ユニットは、相応の、プログラミングされたデータ処理装置にするとよい。
【0039】
適切なX線不透過性要素の選択の際、検出器を用いて検出可能な2つの種々異なったエネルギ領域のX線光子がカウントされ、相関ユニットで相互に相関される。両エネルギ領域内での光子は、有利には、X線造影剤の不透過性要素の吸収端のエネルギの下側10keV〜上側10keV、特に下側5keV迄〜特に上側5keV迄、極めて特に有利には、吸収端のエネルギの上側3keV迄〜下側3keV迄の領域内に位置しているエネルギを有している。検出された光子のエネルギが、不透過性要素の、求められた吸収端に近付けば近付く程、これら両領域内での光子のエネルギの絶対差が大きくなり、画素の形成に使われる信号が大きくなる。
【0040】
両領域の各光子の強度の相関のために、これらの光子が画素毎に相互に相関され、有利には、相互に減算され、又は、相互に除算される。測定された強度は、例えば、最初、対数化され、それに続いて減算されるようにしてもよい。これら全ての場合に、有利には、被検体の組織内に天然に存在しているか、又は、X線造影剤によって導入された不透過性要素の吸収端の上側1−5keV〜下側1−5keV迄の領域内のエネルギでの強度が相互に相関される。このために、一方の場合には比較器が画素毎の相関のために使用され、他方の場合には除算部材が画素毎の相関のために使用される。
【0041】
当然、別の数学的演算を、被検体を透過して1つの画素から出たX線ビームの各強度の相関のために使用してもよい。例えば、X線ビームの強度を、吸収端の直接領域内、例えば、吸収端に対して相対的な±2keVの領域内で、比較的小さなステップで、例えば、0.2keVステップで測定して、エネルギを介して微分してもよい。このために、微分要素を使用してもよい。それにより、吸収端の領域内で、画素内の有意義な信号として生じる強度の1次導関数の比較的大きな変化を検出することができる。
【0042】
前述のことから、検出器を用いて、X線ビームの強度が、所定のエネルギ値(狭いエネルギ間隔、例えば、±0.2keV)で求められるか、又は、所定のスペクトル領域(例えば、±3keV、吸収端に対して相対的)に亘って求められることが明らかである。
【0043】
X線造影剤がある被検体内の領域から、できる限り大きな信号を得ることができるためには、検出されたX線ビームの強度が、有利には、不透過性要素の吸収スペクトルのK端の下側及び上側で検出される。しかし、基本的には、L吸収端又はもっと高い端の領域内で測定してもよい。
【0044】
画素の測定された強度の処理のために、有利には、データ処理装置で実施することができる、以下の装置が設けられており、即ち:
e.被検体の個別画素のエネルギの関数I(E)として記憶することができる第1のメモリユニットと、
f.例えば、X線造影剤の不透過性要素の吸収端の上側のエネルギで、被検体の画素の、検出されたX線ビームの強度(E1)を、例えば、X線造影剤の不透過性要素の吸収端の下側のエネルギで、同じ画素の、検出されたX線ビームの強度(E2)と相関することができる、例えば、
I(E1)/I(E2)を計算する計算ユニットと、
g.相関によって各個別画素の各強度から得られた各値を一時記憶することができる第2のメモリユニット
が設けられている。
【0045】
そうすることによって、先ず、吸収端の下側又は上側の全ての画素の強度を検出して、その後、全ての画素の別の全ての強度を検出し、それに続いて、測定されたデータセットを画素毎に相互に相関して、画像形成のために利用するか、又は、択一的に、画素毎に各々の強度を測定し、相関し、続いて、得られたデータを画素毎に、例えば、モニタ(陰極線管(CRT)又はLCDディスプレイ)、又は、プロッタを含む出力ユニットに供給される。
以下、本発明について、図示の実施例を用いて詳細に説明する。その際:
図1は、第1のファントムの概略図、
図2は、第1のファントム内の測定試料のグレイスケール分析を示す図、
図3は、第1のファントムの試料のスペクトルを示す図、
図4は、第1のファントム内の2つの測定キュベットの範囲内でのX線ビーム強度を示す図、
図5は、第1のファントム内のヨードIのK端乃至ガドリニウムGdのK端の上側及び下側の強度差を示す図、
図6は、第1のファントムの断面図、
図7は、図6の断面領域内での全強度経過特性を示す図、
図8は、第2のファントムの概略図、
図9は、図7のファントム内での全信号強度SIgesの減衰を示す図、
図10は、第2のファントムの位置30mm,40mm,60mmでのX線スペクトルを示す図、
図11は、図10のX線スペクトルの、エネルギに関しての1次微分を示す図
である。
【0046】
実例1:
ファントムの表示のために、以下の測定仕様が選択される:
X線ビーム源は、タングステン陽極と4mm厚のAlフィルタを有するX線管(10x15管)によって形成されている。X線源(RT250)は、以下の作動条件:つまり、90kV,5(10)mA,露光時間t=1sで作動する。X線ビームの検出のために、3mmx3mmx2mmの大きさのカドミウム−亜鉛−テルル化合物−結晶、及び、100/400μm開口のCZT検出器が使用される(Amptek Inc.,USA)。データは、X線検出器からマルチチャネルアナライザに転送され、続いて、Excel−スプレッドシートに供給される。従って、信号強度SI=SI(E)は、デジタル形式で、エネルギEの関数として利用することができる。
【0047】
投影画像は、90kV、4mAsで作動されるSiemens Polydoros X線管を用いて、110cmの距離で、AGFAデジタルプレート(digital plates/Speicherfolien)で撮影された。ワークステーションでデジタルにより利用することができる画像から、所望の位置でのグレイスケール値が読み出される。
【0048】
被検体は、アクリラートガラスベース上の2cm厚の脂肪(Bauspeck)と、その上に配置された4つの1cmプラスチックキュベットから形成されていて、当該の各プラスチックキュベットは、
1)30mg/mlのヨードI(=236mmol I/L)(ヨード化合物の形、Ultravist(登録商標))を含む水溶液、
2)100mmol Gd/L(ガドリニウム化合物の形、Gadovist(登録商標))を含む水溶液、
3)5mg/mlのヨードI(ヨード化合物の形)を含む水溶液、
4)水
で充填されている。ファントムは、ビーム経路内に配置される。
【0049】
配列全体を光学的に表示するために、先ず、検出器が蛍光ディスプレイ(Agfa Image Plate)によって代えられ、この蛍光ディスプレイに、形成された投影画像が、捕捉電子の形で潜在的に記憶されており、この投影画像がレーザで読み出される(可視にされる)。記録された配列は、図1に示されている。下側の画像縁部には、アクリルガラス板が、その縁部によって示されている。脂肪(Bauspeck)は、特に左側及び右側の縁部に縞模様が形成されることによって可視となる。図のほぼ真ん中の部分に見える比較的暗い構造は、下から上の順番で、試料1),2),3)及び4)が含まれている測定キュベットである。
【0050】
各測定キュベットを透過したX線ビームの各強度を求めるために、読み出された蛍光ディスプレイ上のグレイスケール値が、キュベットの領域内で決められる。各キュベットによるX線ビームの減弱は、図2に示されている。図2のバー(棒)は、各々バックグランドと比較したグレイスケール値を指示する。放射の最大減弱は、30mg/mlのヨードIを含むキュベットで得られる。5mg/mlのヨードIを有するキュベットは、水を含むキュベットに比べて、減弱の有意な差は小さい。
【0051】
スペクトルの配列を求めるために、ファントムは、検出器を介してx−yスライドテーブル上に取り付けられている。検出器に対してファントムを相対的にシフトするために、このテーブルは、x方向にだけシフトする。
【0052】
先ず、放射されたX線ビームは、ファントム下の種々の位置で検出される。このために、ファントムは、x方向に5mmステップで、固定のX線検出器の上で動かされる。検出器によって求められたカウントレート値は、エネルギの関数としてExcel−スプレッドシートに記録される。そうすることによって、x,Eフィールド(x=x方向のシフト、E=エネルギ)が得られ、その際、各点(x,E)に、[cps]単位で示した信号強度SIが関連付けられる。20〜100keVの範囲でだけ考察される。表示し易くするために、測定されたSIがエネルギ領域に亘って平均化されたエネルギバンドが考察される。このエネルギ領域は、22.5keV,32.3keV,34.2keV,40.9keV,51.2keV及び56.9keVである。領域22.5keV,40.9keV及び56.9keVは、X線不透過性要素ヨードI乃至ガドリニウムGdのK端の外側に位置している。K端を含めて、更に、SIの差が形成され、即ち、差Δ1=SI(E=34.2keV)−SI(E=32.2keV)及びΔ2=SI(E=51.2keV)−SI(E=49.2keV)が形成される。更に、全信号強度SIgesも利用可能である。
【0053】
図3には、x座標位置0mmでの空気のスペクトル(曲線A)、x座標位置25mmでの脂肪(Bauspeck)のスペクトル(曲線B)、x座標位置40mmでの30mg/mlのヨードIを水溶液中に含んでいるキュベットのスペクトル(曲線C)、x座標位置55mmでの100mMのガドリニウムGdを水溶液中に含んでいるキュベットのスペクトル(曲線D)が示されている。キュベットによって記録されたスペクトル内の33.2keVのところのヨードIのK端、及び、50keVのところのガドリニウムGdのK端が、図からよく分かる。
【0054】
更に、検出器の強度は、ファントムのシフトに依存して種々の検出器エネルギで検出される。曲線は、図4に示されている。個別の曲線は、種々異なる検出器エネルギで記録されている(曲線A:30.97keV,曲線B:34.86keV,曲線C:40.01keV,曲線D:48.84keV,曲線E:51.30keV,曲線F:60.19keV)。ファントムのプロフィールは、よく分かる。スキャンの位置解像度は、5mmのステップ幅によって測定される。従って、キュベットは、強度経過特性において垂直方向の側縁によって示されない。透過率は、X線エネルギに連れて増大する。差の画像から分かるように(図5)、例外により、K端が形成される。図5では、各々K端エネルギを含む各エネルギでの信号強度の差が形成されて、図示されている。35で示された曲線は、51で示されたようなガドリニウムのヨードK端を含んでいる。曲線経過特性によると、ヨードだけが可視である場合と、ガドリニウムGdだけが可視である場合とが明らかに分かる。ヨード曲線(35)では、30mg I/mlを含む試料でのはっきりとした信号変化をちょうど画像の中央部に有している他に、5mg I/mlを含むキュベットも右側の画像側縁に示されている。
【0055】
全信号強度SIgesのプロフィールとファントムの配列とを一致させるために、ファントムの断面図が、全信号強度SIgesのプロフィールに対比して示されている。図6には、ファントムの断面が、蛍光ディスプレイ(Agfa Image Plate)を用いて示されている。図7(下側)には、全信号強度SIgesが、x方向での80mmのシフト経路に亘って示されており、このシフト経路は、キュベットを交差している。プロフィールの左側全体は、アクリラートガラスベースが、一定強度で示されている。その横方向右側には、脂肪(Bauspeck)が、約35mmのところ迄、低減する強度で続いている。その横方向右側には、30mg/mlのヨードIを含む測定キュベットが(更に、強度が低下して)位置している。僅かに強度が上昇した後、100mMのガドリニウムGdを有する測定キュベットによる吸収によって低減した強度の領域が続いている。65〜75mmのx座標領域内には、脂肪(Bauspeck)だけで吸収される領域が続いている。右側全体では、強度が新たに低下しているのが分かり(約80mmのx座標領域)、これは、5mg/mlのヨードIを含む測定キュベットによるX線ビームの吸収に起因している。
【0056】
実例2:
被検体として、ファントムが、2つの1cmのプラスチックキュベット、並びに、プラスチックストリップをアクリラートガラスベース上に配列して形成されている。キュベットは、0.5mol Gd/L(水溶液中のガドリニウム化合物の形で)乃至0.47mol I/L(水溶液中のヨード化合物の形で)充填されている。
【0057】
先ず、配列の全画像形成が、蛍光ディスプレイ(Agfa Image Plate)で形成されている。検査を実行する際の詳細については、実例1に示されている。配列は、図8に示されている。
【0058】
ファントムのx方向シフトの関数として、全信号強度SIgesが示されている。プラスチックフィルム、ヨードを含む測定キュベット及びガドリニウムを含む測定キュベット(左側から)によるX線強度の減弱がよく分かる。
【0059】
これは、それと並行して形成される全強度SIgesのプロフィールでも分かり、これは、x−yプロットテーブルとCZT検出器を有する測定装置を用いて得られる。このプロフィールは、図9に示されている。このプロフィールは、図8の略図では、対角線方向に沿って右上側から左下側に形成されている。図10には、位置30,40及び60mmでのX線スペクトルが示されており、図11には、信号強度の、エネルギについての1次微分が示されている(各スペクトルからの特徴的な輝線での効果を抑制するために、60keV以下の領域だけが示されている)。この1次微分は、エネルギの関数として、信号強度の上昇を示している。この1次微分では、ヨード及びガドリニウムがバックグラウンド(曲線の30mmのところ)とは異なって際だっていることが明らかに分かる。
【0060】
ここに記載されている実例及び実施例は、単に説明のためのものであって、この実例乃至実施例を種々に変形したり変更したり、乃至、各実施例及びここに記載されている各要件を組み合わせることは、当業者にはよく分かり、本発明の開示の一部分とみなし、並びに、本発明の保護範囲内であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1のファントムの概略図
【図2】第1のファントム内の測定試料のグレイスケール分析を示す図
【図3】第1のファントムの試料のスペクトルを示す図
【図4】第1のファントム内の2つの測定キュベットの範囲内でのX線ビーム強度を示す図
【図5】第1のファントム内のヨードIのK端乃至ガドリニウムGdのK端の上側及び下側の強度差を示す図
【図6】第1のファントムの断面図
【図7】図6の断面領域内での全強度経過特性を示す図
【図8】第2のファントムの概略図
【図9】図7のファントム内での全信号強度SIgesの減衰を示す図
【図10】第2のファントムの位置30mm,40mm,60mmでのX線スペクトルを示す図
【図11】図10のX線スペクトルの、エネルギに関しての1次微分を示す図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線不透過性要素を含む少なくとも1つの被検体での画像形成用のX線装置において、
a.少なくとも1つのX線ビーム源と、
b.少なくとも1つのエネルギ分散検出器と、
c.少なくとも1つの相関ユニットと、
d.少なくとも1つの出力ユニットを有しており、
前記X線ビーム源は、ほぼ多色のX線ビームを放射し、
前記エネルギ分散検出器は、被検体を透過したX線ビームの強度を第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2で検出することができ、
前記相関ユニットは、前記第1のエネルギE1での前記被検体の1つの画素により検出されたX線ビームの強度を、前記第2のエネルギE2での、前記画素と同じ画素により検出されたX線ビームの強度と相関することができ、
前記出力ユニットは、前記各強度の相関によって含まれる各画素信号から、前記被検体を表示するように構成されていることを特徴とするX線装置。
【請求項2】
請求項1記載のX線装置であって、相関ユニットは、
e.被検体の個別画素の各強度を記憶することができる第1のメモリユニットと、
f.前記被検体の画素の、第1のエネルギE1で検出されたX線ビームの強度を、前記被検体の画素の、第2のエネルギE2で検出されたX線ビームの強度と相関することができる計算ユニットと、
g.前記相関によって前記各個別画素の各強度から得られた各値を一時記憶することができる第2のメモリユニット
を有するX線装置。
【請求項3】
1つの画素の検出されたX線ビームの各強度は、相関ユニットを用いて、事前に対数化せずに、又は、事前に対数化した後、相互に減算することができるか、又は、相互に除算することができ、又は、エネルギに関して微分を形成することができる請求項1又は2記載のX線装置。
【請求項4】
検出器は、フラットベッド検出器である請求項1から3迄の何れか1記載のX線装置。
【請求項5】
検出器は、個別画素を検出するように構成されていて、全ての画素を検出するように動かすことができる請求項1から3迄の何れか1記載のX線装置。
【請求項6】
検出器は、各々1つの画素の検出のために構成された各検出センサの1つのアレイを有していて、全ての画素を検出するように動かすことができる請求項1から3迄の何れか1記載のX線装置。
【請求項7】
検出器のエネルギ解像度は、高々5keVである請求項1から6迄の何れか1記載のX線装置。
【請求項8】
第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2は、X線不透過性要素のK又はL吸収端のエネルギの下側に5keVに至るところから上側に5keVのところに至る迄の範囲内に位置している請求項1から7迄の何れか1記載のX線装置。
【請求項9】
第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2は、当該第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2が、X線不透過性要素のK吸収端又はL吸収端のエネルギを含むように選択されている請求項1から8迄の何れか1記載のX線装置。
【請求項10】
X線不透過性要素は、X線造影剤であり、該X線造影剤は、臭素、ヨード、バリウム、ランタノイド、ビスマスを含むグループから選択された少なくとも1つの要素を含む請求項1から9迄の何れか1記載のX線装置。
【請求項11】
X線ビームを用いた、少なくとも1つのX線不透過性要素の画像表示用の請求項1から10迄の何れか1記載のX線装置の使用において、以下の方法ステップ、
a.ほぼ多色のX線ビームを被検体に照射するステップ、
b.第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2で、前記被検体を透過するX線ビームの強度をエネルギ分散により検出するステップ、
c.前記第1のエネルギE1で前記被検体の1つの画素を検出するX線ビームの強度を、前記第2のエネルギE2で前記被検体の前記1つの画素を検出するX線ビームの強度と相関するステップと、
d.各強度の相関によって得られる各画素信号から前記被検体を表示するステップ
を実行することを特徴とするX線装置の使用。
【請求項12】
1つの画素のX線ビームの各強度は、相関ユニットを用いて、事前に対数化せずに、又は、事前に対数化した後、相互に減算されるか、又は、相互に除算され、又は、エネルギに関して微分される請求項11記載のX線装置の使用。
【請求項13】
フラットベッド検出器が使用される請求項11又は12記載のX線装置の使用。
【請求項14】
個別画素の撮影のために構成されていて、全ての画素の撮影のために動かすことができる検出器が使用される請求項11又は12記載のX線装置の使用。
【請求項15】
各々1つの画素の撮影用に構成されている検出センサの1つのアレイを有していて、全ての画素の撮影用に動かすことができる1つの検出器が使用される請求項11又は12記載のX線装置の使用。
【請求項16】
検出器のエネルギ解像度は、高々5eVである請求項11から15迄の何れか1記載のX線装置の使用。
【請求項17】
第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2は、X線不透過性要素の吸収端の下側に5keVのところから上側に5keVのところに至る迄の範囲内に位置している請求項11から16迄の何れか1記載のX線装置の使用。
【請求項18】
第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2は、当該第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2が、X線不透過性要素のK端又はL端のエネルギを含むように選択されている請求項11から17迄の何れか1記載のX線装置の使用。
【請求項19】
X線不透過性要素として、臭素、ヨード、バリウム、ランタノイド、ビスマスを含むグループから選択された少なくとも1つの要素を含むX線造影剤が使用される請求項11から18迄の何れか1記載のX線装置の使用。
【請求項20】
X線不透過性要素として、X線造影剤が使用され、該X線造影剤は、経腸又は非経腸投与される請求項11から19迄の何れか1記載のX線装置の使用。
【請求項21】
X線不透過性要素を含む少なくとも1つの被検体で画像形成するX線コントラスト方法において、
以下の方法ステップ、
a.ほぼ多色のX線ビームを被検体に透過照射するステップ、
b.第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2で、前記被検体を透過照射されるX線ビームの強度をエネルギ分散により検出するステップ、
c.前記第1のエネルギE1で前記被検体の1つの画素を検出するX線ビームの強度を、前記第2のエネルギE2で前記被検体の前記1つの画素を検出するX線ビームの強度と相関するステップと、
d.各強度の相関によって得られる各画素信号から前記被検体を表示するステップ
を有することを特徴とするX線コントラスト方法。
【請求項22】
X線ビームの各強度を、相関ユニットを用いて、事前に対数化せずに、又は、事前に対数化した後、相互に減算するか、又は、相互に除算し、又は、エネルギに関して導関数を形成する請求項21記載のX線コントラスト方法。
【請求項23】
フラットベッド検出器を使用する請求項21又は22記載のX線コントラスト方法。
【請求項24】
個別画素の撮影のために構成されていて、全ての画素の撮影のために動かすことができる検出器を使用する請求項21又は22記載のX線コントラスト方法。
【請求項25】
各々1つの画素の検出用に構成されている検出センサのアレイを有していて、全ての画素の検出用に動かすことができる1つの検出器が使用される請求項21又は22記載のX線コントラスト方法。
【請求項26】
検出器のエネルギ解像度を、高々5keVにする請求項21から25迄の何れか1記載のX線コントラスト方法。
【請求項27】
第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2を、X線不透過性要素の吸収端の下側に5keVのところから上側に5keVのところに至る迄の範囲内に位置する請求項21から26迄の何れか1記載のX線コントラスト方法。
【請求項28】
第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2を、当該第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2が、X線不透過性要素のK又はL吸収端のエネルギを含むように選択する請求項21から27迄の何れか1記載のX線コントラスト方法。
【請求項29】
X線不透過性要素として、臭素、ヨード、バリウム、ランタノイド、ビスマスを含むグループから選択した少なくとも1つの要素を含むX線造影剤を使用する請求項21から28迄の何れか1記載のX線コントラスト方法。
【請求項30】
X線不透過性要素として、X線造影剤を使用し、該X線造影剤を、経腸又は非経腸投与する請求項21から29迄の何れか1記載のX線コントラスト方法。
【請求項31】
X線不透過性要素を含む容積体の特殊画像による表示、又は、定量的な表示を行う請求項21から30迄の何れか1記載のX線コントラスト方法。
【請求項1】
X線不透過性要素を含む少なくとも1つの被検体での画像形成用のX線装置において、
a.少なくとも1つのX線ビーム源と、
b.少なくとも1つのエネルギ分散検出器と、
c.少なくとも1つの相関ユニットと、
d.少なくとも1つの出力ユニットを有しており、
前記X線ビーム源は、ほぼ多色のX線ビームを放射し、
前記エネルギ分散検出器は、被検体を透過したX線ビームの強度を第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2で検出することができ、
前記相関ユニットは、前記第1のエネルギE1での前記被検体の1つの画素により検出されたX線ビームの強度を、前記第2のエネルギE2での、前記画素と同じ画素により検出されたX線ビームの強度と相関することができ、
前記出力ユニットは、前記各強度の相関によって含まれる各画素信号から、前記被検体を表示するように構成されていることを特徴とするX線装置。
【請求項2】
請求項1記載のX線装置であって、相関ユニットは、
e.被検体の個別画素の各強度を記憶することができる第1のメモリユニットと、
f.前記被検体の画素の、第1のエネルギE1で検出されたX線ビームの強度を、前記被検体の画素の、第2のエネルギE2で検出されたX線ビームの強度と相関することができる計算ユニットと、
g.前記相関によって前記各個別画素の各強度から得られた各値を一時記憶することができる第2のメモリユニット
を有するX線装置。
【請求項3】
1つの画素の検出されたX線ビームの各強度は、相関ユニットを用いて、事前に対数化せずに、又は、事前に対数化した後、相互に減算することができるか、又は、相互に除算することができ、又は、エネルギに関して微分を形成することができる請求項1又は2記載のX線装置。
【請求項4】
検出器は、フラットベッド検出器である請求項1から3迄の何れか1記載のX線装置。
【請求項5】
検出器は、個別画素を検出するように構成されていて、全ての画素を検出するように動かすことができる請求項1から3迄の何れか1記載のX線装置。
【請求項6】
検出器は、各々1つの画素の検出のために構成された各検出センサの1つのアレイを有していて、全ての画素を検出するように動かすことができる請求項1から3迄の何れか1記載のX線装置。
【請求項7】
検出器のエネルギ解像度は、高々5keVである請求項1から6迄の何れか1記載のX線装置。
【請求項8】
第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2は、X線不透過性要素のK又はL吸収端のエネルギの下側に5keVに至るところから上側に5keVのところに至る迄の範囲内に位置している請求項1から7迄の何れか1記載のX線装置。
【請求項9】
第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2は、当該第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2が、X線不透過性要素のK吸収端又はL吸収端のエネルギを含むように選択されている請求項1から8迄の何れか1記載のX線装置。
【請求項10】
X線不透過性要素は、X線造影剤であり、該X線造影剤は、臭素、ヨード、バリウム、ランタノイド、ビスマスを含むグループから選択された少なくとも1つの要素を含む請求項1から9迄の何れか1記載のX線装置。
【請求項11】
X線ビームを用いた、少なくとも1つのX線不透過性要素の画像表示用の請求項1から10迄の何れか1記載のX線装置の使用において、以下の方法ステップ、
a.ほぼ多色のX線ビームを被検体に照射するステップ、
b.第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2で、前記被検体を透過するX線ビームの強度をエネルギ分散により検出するステップ、
c.前記第1のエネルギE1で前記被検体の1つの画素を検出するX線ビームの強度を、前記第2のエネルギE2で前記被検体の前記1つの画素を検出するX線ビームの強度と相関するステップと、
d.各強度の相関によって得られる各画素信号から前記被検体を表示するステップ
を実行することを特徴とするX線装置の使用。
【請求項12】
1つの画素のX線ビームの各強度は、相関ユニットを用いて、事前に対数化せずに、又は、事前に対数化した後、相互に減算されるか、又は、相互に除算され、又は、エネルギに関して微分される請求項11記載のX線装置の使用。
【請求項13】
フラットベッド検出器が使用される請求項11又は12記載のX線装置の使用。
【請求項14】
個別画素の撮影のために構成されていて、全ての画素の撮影のために動かすことができる検出器が使用される請求項11又は12記載のX線装置の使用。
【請求項15】
各々1つの画素の撮影用に構成されている検出センサの1つのアレイを有していて、全ての画素の撮影用に動かすことができる1つの検出器が使用される請求項11又は12記載のX線装置の使用。
【請求項16】
検出器のエネルギ解像度は、高々5eVである請求項11から15迄の何れか1記載のX線装置の使用。
【請求項17】
第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2は、X線不透過性要素の吸収端の下側に5keVのところから上側に5keVのところに至る迄の範囲内に位置している請求項11から16迄の何れか1記載のX線装置の使用。
【請求項18】
第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2は、当該第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2が、X線不透過性要素のK端又はL端のエネルギを含むように選択されている請求項11から17迄の何れか1記載のX線装置の使用。
【請求項19】
X線不透過性要素として、臭素、ヨード、バリウム、ランタノイド、ビスマスを含むグループから選択された少なくとも1つの要素を含むX線造影剤が使用される請求項11から18迄の何れか1記載のX線装置の使用。
【請求項20】
X線不透過性要素として、X線造影剤が使用され、該X線造影剤は、経腸又は非経腸投与される請求項11から19迄の何れか1記載のX線装置の使用。
【請求項21】
X線不透過性要素を含む少なくとも1つの被検体で画像形成するX線コントラスト方法において、
以下の方法ステップ、
a.ほぼ多色のX線ビームを被検体に透過照射するステップ、
b.第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2で、前記被検体を透過照射されるX線ビームの強度をエネルギ分散により検出するステップ、
c.前記第1のエネルギE1で前記被検体の1つの画素を検出するX線ビームの強度を、前記第2のエネルギE2で前記被検体の前記1つの画素を検出するX線ビームの強度と相関するステップと、
d.各強度の相関によって得られる各画素信号から前記被検体を表示するステップ
を有することを特徴とするX線コントラスト方法。
【請求項22】
X線ビームの各強度を、相関ユニットを用いて、事前に対数化せずに、又は、事前に対数化した後、相互に減算するか、又は、相互に除算し、又は、エネルギに関して導関数を形成する請求項21記載のX線コントラスト方法。
【請求項23】
フラットベッド検出器を使用する請求項21又は22記載のX線コントラスト方法。
【請求項24】
個別画素の撮影のために構成されていて、全ての画素の撮影のために動かすことができる検出器を使用する請求項21又は22記載のX線コントラスト方法。
【請求項25】
各々1つの画素の検出用に構成されている検出センサのアレイを有していて、全ての画素の検出用に動かすことができる1つの検出器が使用される請求項21又は22記載のX線コントラスト方法。
【請求項26】
検出器のエネルギ解像度を、高々5keVにする請求項21から25迄の何れか1記載のX線コントラスト方法。
【請求項27】
第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2を、X線不透過性要素の吸収端の下側に5keVのところから上側に5keVのところに至る迄の範囲内に位置する請求項21から26迄の何れか1記載のX線コントラスト方法。
【請求項28】
第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2を、当該第1のエネルギE1及び第2のエネルギE2が、X線不透過性要素のK又はL吸収端のエネルギを含むように選択する請求項21から27迄の何れか1記載のX線コントラスト方法。
【請求項29】
X線不透過性要素として、臭素、ヨード、バリウム、ランタノイド、ビスマスを含むグループから選択した少なくとも1つの要素を含むX線造影剤を使用する請求項21から28迄の何れか1記載のX線コントラスト方法。
【請求項30】
X線不透過性要素として、X線造影剤を使用し、該X線造影剤を、経腸又は非経腸投与する請求項21から29迄の何れか1記載のX線コントラスト方法。
【請求項31】
X線不透過性要素を含む容積体の特殊画像による表示、又は、定量的な表示を行う請求項21から30迄の何れか1記載のX線コントラスト方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−508040(P2007−508040A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530148(P2006−530148)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011436
【国際公開番号】WO2005/034755
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(390014166)シエーリング アクチエンゲゼルシヤフト (12)
【氏名又は名称原語表記】Schering Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−13353 Berlin, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011436
【国際公開番号】WO2005/034755
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(390014166)シエーリング アクチエンゲゼルシヤフト (12)
【氏名又は名称原語表記】Schering Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−13353 Berlin, Germany
【Fターム(参考)】
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