説明

X線回折装置

【課題】 測定条件に関する説明を表示装置の画面上でオペレータに提示することができ、しかも、画面が見難くなることのないX線回折装置を提供する。
【解決手段】 複数の測定軸(2θ、2θ/ω、…)の1つを選択してその測定軸を基準としてX線要素を移動させて測定を行うX線測定装置と、画像データに基づいて画面上に画像を表示する表示装置と、表示装置の画面内の領域を指定して入力を行う入力装置とを有するX線回折装置である。入力装置によって測定軸の1つが指示され、さらにその測定軸を基準とするX線要素の移動量を入力するための領域が入力装置によって指示されたときに、移動量として入力可能な有効範囲を演算によって求め、その有効範囲の値を含む画像43を表示装置の画面上に所定時間だけポップアップ表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線を用いて試料を解析するX線回折装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、X線回折装置では、試料にX線を照射すると共に該試料で回折したX線をX線検出器によって検出するという測定が行われる。このような測定を行うにあたっては、通常、オペレータによって複数の測定条件が所定の値又は所定の範囲に設定される。測定条件としては、例えば、測定軸としてどの軸を選択するかとか、回折角度の何度から何度までを測定範囲にするかとか、何度の角度ステップ幅で回折角度を走査するかとか、どの程度の速さの走査速度で回折角度を走査するか、等といった条件が考えられる。
【0003】
このようにX線回折装置において測定条件を設定する際、測定条件を入力するための画像をディスプレイの画面上に表示する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。このX線回折装置によれば、オペレータが入力画面を視認しながらマウス等といった入力装置を操作することにより、測定条件を所望の値又は範囲に設定できる。
【0004】
【特許文献1】特開平11−237348号公報(第3頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の入力画像に関しては、測定条件を入力するための欄又は領域は表示されるものの、その測定条件に関する説明は表示されなかった。このため、入力不可能な数値を誤って入力してしまうことがあった。そして、このような誤りを避けるためにはX線回折装置の取扱説明書を参照する必要があった。
【0006】
また、従来のX線回折装置の画面表示において、測定条件を入力するための欄又は領域の近傍に、その測定条件に関する説明を常に表示させるようにした画面表示技術が知られている。この従来の技術では、入力領域が増えるほど測定条件の説明のための表示が増えることになるので、画面表示が見難くなると共に、画面表示の面積が大きくなるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、測定条件に関する説明を表示装置の画面上でオペレータに提示することができ、しかも、その提示を行う場合でも画面が見難くなることのないX線回折装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る第1のX線回折装置は、(1)複数の測定軸を有すると共にそれらの測定軸のうちの1つを選択してその測定軸を基準としてX線要素を移動させて測定を行う測定手段と、(2)画像データに基づいて画面上に画像を表示する表示手段と、(3)該表示手段の画面内の領域を指定して入力を行う入力手段と、(4)前記1つの測定軸を選択するための入力を行うための測定軸入力領域及びその1つの測定軸を基準とする前記X線要素の移動量を入力するための移動量入力領域の2つの領域を含む入力用画像の画像データを生成し、その画像データを前記表示手段へ供給し、該表示手段の画面上に前記入力用画像を表示させる入力用画像生成表示手段と、(5)前記入力手段によって前記測定軸の1つが指示され、さらに前記入力手段によって前記移動量入力領域の1つが指示されたときに、該移動量入力領域に入力できる値の有効範囲を、前記1つの測定軸に応じて演算によって決める有効範囲データ生成手段と、(6)該有効範囲データ生成手段によって決められた有効範囲の値を含む画像の画像データを生成し、その画像データを前記表示手段へ供給し、前記入力手段によって前記移動量入力領域の1つが指示された後の所定時間だけ前記表示手段の画面上に有効範囲を表示させる有効範囲用画像生成表示手段とを有することを特徴とする。
【0009】
上記構成において、「測定軸」とは、測定を行う際にその測定の基準となる軸のことである。X線回折装置にはX線源、試料支持装置、X線検出装置、その他、種々のX線要素が含まれる。また、これらのX線要素を測定のために駆動する各種の駆動系も含まれる。上記の測定軸はこの駆動系の1つずつによって実現される場合もあるし、複数の駆動系の動作の組合せによって1つの測定軸が実現されることもある。
【0010】
上記構成において、「測定手段」は、例えば、X線を放射するX線源、そのX線を試料へ導く入射側光学系、試料を支持する試料支持装置、試料で回折したX線をX線検出器へ導く受光側光学系、そしてX線を検出するX線検出器等といったX線要素をそれぞれに所定の位置に配置することによって形成できる。
【0011】
「表示手段」は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)を用いたディスプレイ、液晶表示装置等といったフラットパネルディスプレイを用いたディスプレイ、その他任意の構造で画像を表示する表示装置によって構成できる。また、「入力手段」は、例えば、キーボード、マウス等といった入力装置を含んで構成される。
【0012】
また、「入力用画像生成表示手段」、「有効範囲データ生成手段」、及び「有効範囲用画像生成表示手段」は、例えば、コンピュータの演算機能及び制御機能を実現するCPU(Central Processing Unit)や、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク等といった記憶媒体や、それらを機能実現手段として機能させるアプリケーションソフトや、表示手段に適した画像信号を生成して供給する画像信号処理回路等を組み合わせて構成できる。
【0013】
「有効範囲データ生成手段」は、例えば、測定軸として2θ軸が選択されたときにはその2θ軸に適合する有効範囲を決定し、測定軸としてω軸が選択されたときにはそのω軸に適合する有効範囲を決定し、また、測定軸として2θ/ω軸が選択されたときにはその2θ/ω軸に適合する有効範囲を決定する。決定の仕方としては、例えば、アプリケーションソフトの中に演算式を記憶させておいて、逐次、演算によって決定する方法が考えられる。また、データテーブルを用いて決定する方法を採用することもできる。
【0014】
上記構成の第1のX線回折装置によれば、入力用画像生成表示手段によって入力用画像を表示手段の画面上に表示すると共に、入力手段によって画面内の領域を指示できるようにしたので、オペレータは測定手段に関する測定条件を画面を見ながら設定できる。
【0015】
また、入力手段によって測定軸の1つが指示され、さらに入力手段によって移動量入力領域の1つが指示されたときに、その移動量入力領域に入力できる値の有効範囲を前記指示された1つの測定軸に応じて有効範囲データ生成手段によって演算によって決めると共に、その有効範囲を前記有効範囲用画像生成表示手段によって前記表示手段の画面上に表示するようにしたので、オペレータは有効範囲を計算等によって自分自身で決める必要なく、画面に表示された有効範囲を参考にして適正な移動量を移動量入力領域へ入力できる。
【0016】
また、入力値に関する有効範囲の画像は、入力手段によって入力領域が指示された後の所定時間だけ画面上に表示されるだけで、入力領域が指示されないときにはその画像を表示しないので、すなわち有効範囲の画像はポップアップ表示されるので、入力用画像の通常時の画面は簡単な表示内容とすることができ、それ故、通常時の画面が見難くなることを防止できる。
【0017】
次に、本発明に係る第2のX線回折装置は、(1)複数の測定軸を有すると共にそれら複数の測定軸のうちの1つを選択してその測定軸を基準としてX線要素を移動させて測定を行う測定手段と、(2)画像データに基づいて画面上に画像を表示する表示手段と、(3)該表示手段の画面内の領域を指定して入力を行う入力手段と、(4)前記1つの測定軸を選択するための入力を行うための測定軸入力領域、その1つの測定軸を基準とする前記X線要素の走査速度を入力するための走査速度入力領域、及び走査速度のステップ幅を入力するためのステップ幅入力領域の3つの領域を含む入力用画像の画像データを生成し、その画像データを前記表示手段へ供給し、該表示手段の画面上に前記入力用画像を表示させる入力用画像生成表示手段と、(5)前記入力手段によって前記測定軸の1つが指示され、さらに前記入力手段によって前記走査速度が入力されたときに、前記ステップ幅入力領域に入力できるステップ幅の値の有効範囲を、前記1つの測定軸及び前記走査速度に応じて演算によって決める有効範囲データ生成手段と、(6)該有効範囲データ生成手段によって決められた有効範囲の値を含む画像の画像データを生成し、その画像データを前記表示手段へ供給し、前記入力手段によって前記ステップ幅入力領域の1つが指示された後の所定時間だけ前記表示手段の画面上に有効範囲を表示させる有効範囲用画像生成表示手段とを有することを特徴とする。
【0018】
上記構成の第2のX線回折装置によれば、入力用画像生成表示手段によって入力用画像を表示手段の画面上に表示すると共に、入力手段によって画面内の領域を指示できるようにしたので、オペレータは測定手段に関する測定条件を画面を見ながら設定できる。
【0019】
また、入力手段によって測定軸の1つが指示され、さらに入力手段によって走査速度が入力されたときに、前記ステップ幅入力領域に入力できるステップ幅の値の有効範囲を、前記1つの測定軸及び前記走査速度に応じて演算によって決めると共に、その有効範囲を前記有効範囲用画像生成表示手段によって前記表示手段の画面上に表示するようにしたので、オペレータは有効範囲を計算等によって自分自身で決める必要なく、画面に表示された有効範囲を参考にして適正なステップ幅をステップ幅入力領域へ入力できる。
【0020】
また、入力値に関する有効範囲の画像は、入力手段によって入力領域が指示された後の所定時間だけ画面上に表示されるだけで、入力領域が指示されないときにはその画像を表示しないので、すなわち有効範囲の画像はポップアップ表示されるので、入力用画像の通常時の画面は簡単な表示内容とすることができ、それ故、通常時の画面が見難くなることを防止できる。
【0021】
次に、本発明に係る第1のX線回折装置において、前記有効範囲データ生成手段によって決められる有効範囲は、測定を行うことができる有効角度走査範囲、又は測定を行うことができる有効距離走査範囲であることが望ましい。この構成によれば、走査角度が所定の有効範囲に限定される測定において走査角度を簡単且つ適切に決めることができる。また、走査距離が所定の有効範囲に限定される測定において走査距離を簡単且つ適切に決めることができる。
【0022】
次に、本発明に係る第1及び第2のX線回折装置において、前記有効範囲データ生成手段は、前記有効範囲に加えて、(1)設定可能な角度走査最小ステップ幅、(2)設定可能な距離走査最小ステップ幅、(3)設定可能な走査速度最小ステップ幅、(4)測定の際の時間あたりの角度値、及び(5)時間あたりの距離値で示される最高走査速度の少なくとも1つ又はそれらの少なくとも2つの組合せを演算によって決めることが望ましい。この構成によれば、測定手段に関する測定条件をオペレータが入力する際の操作を、より一層簡単且つ適切に行うことができるようになる。
【0023】
次に、本発明に係る第1及び第2のX線回折装置において、前記複数の測定軸は、(1)入射X線に対する回折角度2θを規定する2θ軸、(2)試料に入射するX線の入射角度ωを規定するω軸、(3)試料に入射するX線の入射角度ωと試料で回折するX線の回折角度2θとを連動して規定する2θ/ω軸、(4)X線発生系が試料を見込む角度θsを規定するθs軸、(5)X線検出手段が試料を見込む角度θdを規定するθd軸、(6)試料の揺動移動を規定するあおり軸Rx軸及びRy軸、(7)試料の垂直方向の昇降移動を規定するZ軸、又は(8)試料の面内回転を規定するφ軸のいずれかであることが望ましい。なお、前記2θ軸、前記ω軸、前記2θ/ω軸の各軸に関する移動量の有効範囲は前記θs軸と前記θd軸との連動によって決まる範囲である。一方、前記θs軸、前記θd軸、前記Rx軸、前記Ry軸、前記Z軸、及び前記φ軸の各軸に関する移動量の有効範囲は他の軸に連動することなく独自に決まる範囲である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係るX線回折装置を一実施形態を例示して説明する。なお、本発明がその実施形態に限定されるものでないことは、もちろんである。
図1は、本発明に係るX線回折装置の一実施形態を示している。このX線回折装置1は、適宜の物質を試料として測定を行う測定装置2と、キーボード、マウス等によって構成される入力装置3と、表示手段としての画像表示装置4と、印刷手段としてのプリンタ6と、CPU(Central Processing Unit)7と、RAM(Random Access Memory)8と、ROM(Read Only Memory)9と、外部記憶媒体としてのハードディスク11とを有する。これらの要素はバス12によって互いにつながれている。
【0025】
画像表示装置4は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ等といった画像表示機器によって構成されており、画像制御回路13によって生成される画像信号に従って画面上に画像を表示する。画像制御回路13はこれに入力される画像データに基づいて画像信号を生成する。画像制御回路13に入力される画像データは、CPU7、RAM8、ROM9及びハードディスク11を含んで構成されるコンピュータによって実現される各種の演算手段の働きによって形成される。プリンタ6は、インクプロッタ、ドットプリンタ、インクジェットプリンタ、静電転写プリンタ、その他任意の構造の印刷用機器を用いることができる。なお、ハードディスク11は、光磁気ディスク、半導体メモリ、その他任意の構造の記憶媒体によって構成することもできる。
【0026】
ハードディスク11の内部には、本実施形態に係るX線回折装置1の全般的な動作を司る分析用アプリケーションソフト16と、測定装置2を用いた測定処理の動作を司る測定用アプリケーションソフト17と、画像表示装置4を用いた表示処理の動作を司る表示用アプリケーションソフト18とが格納されている。これらのアプリケーションソフトは、必要に応じてハードディスク11から読み出されてRAM8へ転送された後に所定の機能を実現する。また、ハードディスク11の内部には、測定装置2によって求められた各種の測定データを記憶するためのデータファイル19が設けられている。
【0027】
データファイル19の中に複数の測定データを記憶するためのファイル管理方法としては、個々の測定データを個別のファイル内に格納する方法も考えられるが、本実施形態では、図1(a)に示すように、複数の測定データを1つのデータファイル19内に連続して格納することにしている。なお、図1(a)において「条件」と記載された記憶領域は、測定データが得られたときの測定条件を記憶するための領域である。
【0028】
このような測定条件としては、(1)測定対象物質名、(2)測定装置の種類、(3)何度から何度までの測定温度範囲、(4)測定開始時刻、(5)測定終了時刻、(6)何度から何度までの測定角度範囲、(7)走査移動系の移動速度、(8)走査条件、(9)試料に入射するX線の種類、(10)試料高温装置等といったアタッチメントを使ったか否か、その他の各種の条件が考えられる。
【0029】
測定装置2としては、例えば、図2に示す装置を用いることにする。この測定装置2は、測定対象である試料Sを支持する試料支持装置21と、X線を発生するX線源22と、X線を検出するX線検出器23とを有する。X線源22と試料Sとの間には、例えば単結晶材料によって形成されたモノクロメータ24が設けられている。X線検出器23は、例えば、ゼロ次元カウンタであるSC(Scintillation Counter)によって構成できる。この測定装置2は、粉末試料の解析や、単結晶試料の解析や、単結晶の薄膜試料の解析を行うことができる。
【0030】
X線源22は、例えば、加熱されて熱電子を放出する陰極、すなわちフィラメントと、フィラメントから出た熱電子が高速で衝突する対陰極、すなわちターゲットとを用いて構成できる。フィラメントから出た熱電子がターゲットに衝突する領域がX線焦点であり、このX線焦点からX線が放射される。熱電子が衝突するターゲットの表面は、例えば銅(Cu)によって形成することができ、この場合には、CuKαの特性線を含んだ連続X線がX線焦点から放出される。なお、X線焦点からは、断面点状のX線、いわゆるポイントフォーカスのX線を取り出すこともできるし、あるいは、断面長方形状のX線、いわゆるラインフォーカスのX線を取り出すこともできる。
【0031】
X線源22及びモノクロメータ24を含んだX線発生系20はTs移動系25によって支持される。また、Ts移動系25はθs移動系26によって支持される。また、θs移動系26は、試料Sを通る水平軸線X0を中心としてX線発生系20を回転させることにより、X線源22から出射してモノクロメータ24で単色化されたX線の水平線X0に対する出射角度θsを調整するための移動系である。なお、X線発生系20はモノクロメータ24を含まない構成とすることができる。そしてこの場合には、X線発生系20から出射するX線の出射角度θsはX線源22から出射するX線の出射角度ということになる。また、Ts移動系25は、X線発生系20から出て試料Sへ入射するX線の光軸に対して直角の方向Tsに沿ってX線発生系20の位置を微調整するための移動系である。
【0032】
X線源22から出たX線はモノクロメータ24へ照射される。モノクロメータ24はωM1 移動系28に支持されている。このωM1 移動系28は、モノクロメータ24へ入射するX線の入射角度ωMを調整するための移動系である。モノクロメータ24はX線源22から放射された連続X線から自らの材質に対応した特性X線を回折して出射する。モノクロメータ24は、例えばCuKαを回折によって出射し、この回折線はスリットS1を通って試料Sへ入射する。
【0033】
試料Sを支持する試料支持装置21は、試料Sを垂直方向(すなわち、Z方向)へ平行移動させるZ移動系31と、そのZ移動系31によって支持されたφ移動系32と、そのφ移動系32によって支持されたあおり移動系33とを有する。試料Sは直接的には、あおり移動系33によって支持されている。φ移動系32は、試料Sを直角方向に横切る軸線であるφ軸線を中心として試料Sを矢印φのように回転、いわゆる面内回転させる移動系である。
【0034】
あおり移動系33は試料Sを矢印Rx及び矢印Ryのように揺動運動、いわゆるあおり移動させるための移動系である。ここで、あおり移動Rxは試料Sに入射するX線に対して横方向のあおり移動である。また、あおり移動Ryは試料Sに入射するX線に沿った方向のあおり移動である。次に、Z移動系31は試料Sを垂直方向(すなわち、Z方向)へ平行移動させるための移動系である。
【0035】
試料SにX線が入射した場合、入射X線と試料Sとの間で回折条件、いわゆるブラッグ条件が満足されると、X線が試料Sで回折する。この回折線は受光スリットS2に集光して該スリットS2を通過した後、X線検出器23によって検出される。スリットS3は不要なX線がX線検出器23に取り込まれることを防止するためのスリットである。X線検出器23はθd移動系37によって支持されている。このθd移動系37はX線検出器23の入射X線に対する角度2θを調整するためにX線検出器23を水平軸線X0を中心として回転させるための移動系である。
【0036】
本実施形態に係る測定装置2は複数の測定軸を持っている。この測定軸とは、X線発生系20、試料S、X線検出器23等といった要素を単独で又は連動させて移動させるときの基準となる軸のことである。これらの測定軸に関しては、上記の各移動系のうちの1つの単独の動作によって実現される測定軸もあるし、上記の各移動系のうちの複数の連動によって実現される測定軸もある。以下、これらの測定軸について説明する。
【0037】
(1)θs軸
この測定軸は、X線発生系20が試料Sを見込む角度θsを変化させるときの測定軸である。この測定軸は、θs移動系26が作動してX線発生系20を回転移動させるときの基準となる回転軸のことである。
【0038】
(2)θd軸
この測定軸は、X線検出器23が試料Sを見込む角度θdを変化させるときの測定軸である。この測定軸は、θd移動系37が作動してX線検出器23を回転移動させるときの基準となる回転軸のことである。
【0039】
(3)Rx軸
この測定軸は、試料Sのあおり角度Rxを変化させるときの測定軸である。この測定軸は、あおり移動系(Rx)が作動して試料SをRx方向へあおり移動させるときの基準となる回転軸のことである。
【0040】
(4)Ry軸
この測定軸は、試料Sのあおり角度Ryを変化させるときの測定軸である。この測定軸は、あおり移動系(Ry)が作動して試料SをRy方向へあおり移動させるときの基準となる回転軸のことである。
【0041】
(5)Z軸
この測定軸は、試料Sを垂直方向(すなわち、上下方向)へ平行移動させるときの測定軸である。この測定軸は、Z移動系31が作動して試料Sを垂直方向、すなわちZ方向へ平行移動させるときの基準となる軸のことである。
【0042】
(6)φ軸
この測定軸は、試料Sを面内回転させるときの測定軸である。この測定軸は、φ移動系32が作動して試料Sを垂直軸線φを中心として回転移動させるときの基準となる軸のことである。
【0043】
(7)2θ軸
この測定軸は、試料Sに入射するX線に対する回折X線の成す角度2θを規定する測定軸である。回折角度2θは2θ=θs+θdによって決まる値であり、θs移動系26とθd移動系37との連動によって決まる値である。
【0044】
(8)ω軸
この測定軸は、試料Sに入射するX線の入射角度ωを規定する軸である。ω軸はθs軸と同じ測定軸のように感じられるが、角度θsはθs移動系26の単独の動作によって規定される角度であるのに対し、角度ωは回折角度2θを保持したまま、その値を変化させなければならない。すなわち、角度θsはθs移動系26の単独の動作によって変化させることができるのに対し、角度ωはθs移動系26とθd移動系37とを、θd=2θ−θsとなるように連動させることにより変化させることができる。このように動かしたとき、角度ωは角度θsに一致する。このような事情から、ω測定軸とθs測定軸とは互いに異なった測定軸として存在する。
【0045】
(9)2θ/ω軸
この測定軸は、X線入射角度ωとX線回折角度2θとを互いに連動して変化させる際の基準となる軸である。この2θ/ω軸を基準とする角度値は、θs移動系26とθd移動系37との連動によって決まる値である。
【0046】
図2の測定装置2に関しては、上記複数の測定軸のそれぞれについて、測定可能な有効範囲が決まっている。この有効範囲は、装置の機械的な構成や、その他の種々の要因によって決まるものである。以下、この有効範囲がどのようにして決められるかを、論理軸であるω軸を例に挙げて説明する。
図8(a)においてθs=θd=5°に設定されている。つまり、2θ=10°に設定されている。このとき、ω=5°である。この状態から、図8(b)に示すように2θ=10°に保ったままでωを0°にすると、θsは5°から0°に変化し、θdは5°から10°に変化する。
【0047】
また、図8(c)において、機械的な構造上の理由からθsの有効範囲は−1.5°から77°に決められる。このため、ωの低角度側の限界、すなわちローリミットは−1.5°になる。2θ=10°に保ったままでω=−1.5°にする場合を考えると、θsは0°から−1.5°に変化し、θdは10°から11.5°に変化する。
【0048】
次に、図8(d)において、機械的な構造上の理由からθdの有効範囲は−5°から120°に決められる。このため、ωの高角度側の限界、すなわちハイリミットは15°になる。2θ=10°に保ったままでω=15°にする場合を考えると、θsは−1.5°から15°に変化し、θdは11.5°から−5°に変化する。
【0049】
以上より、測定装置2の現状が2θ=10°になっている場合を考えれば、ωの有効範囲は−1.5°から15°ということになる。現在のX線回折装置の分野では、測定装置2の初期状態は2θ=10°に設定されることが多い。つまり、測定装置2の電源をONにすると、装置は自動的に2θ=10°の状態に移動してその位置に停止して待機するという初期制御が行われることが多い。
【0050】
以上の説明は測定装置2が2θ=10°に設定されている場合のものであるが、次に、測定装置2が2θ=0°に設定されている場合について図9を用いて考える。図9(a)においてθs=θd=0°に設定されている。つまり、2θ=ω=0°に設定されている。
【0051】
次に、図9(b)において、機械的な構造上の理由からθsの有効範囲は−1.5°から77°に決められる。このため、ωの低角度側の限界、すなわちローリミットは−1.5°になる。2θ=0°に保ったままでωを−1.5°にすると、θsは0°から−1.5°に変化し、θdは0°から1.5°に変化する。
【0052】
次に、図9(c)において、機械的な構造上の理由からθd の有効範囲は−5°から120°に決められる。このため、ωの高角度側の限界、すなわちハイリミットは5°になる。2θ=0°に保ったままでω=5°にする場合を考えると、θsは−1.5°から5°に変化し、θdは1.5°から−5°に変化する。以上より、測定装置2の現状が2θ=0°になっている場合を考えれば、ωの有効範囲は−1.5°から5°ということになる。
【0053】
次に、図10(a)において、2θはθsとθdとの成す角度である。また、角度ωは角度2θを一定に保った状態の角度θsである。つまり、角度ωは、図10(a)及び図10(b)に示すように、角度θsと角度θdとが1:−1で連動して動く場合の角度である。
【0054】
上記のように、測定にあたってどの測定軸を選定するかに応じて図2のどの移動系を選択して作動させるかが決まる。また、選定した測定軸に対応して入力可能な有効測定範囲が決まる。このような測定軸と移動系との関係、及び測定軸と有効測定範囲との関係は、例えば、図1のハードディスク11内の適宜の記憶領域に、例えばデータテーブルの形で記憶されている。また、所定の記憶領域に数式を記憶しておき、その数式を用いて上記の有効測定範囲を求めても良い。
【0055】
なお、既述の説明から理解されるように、2θ軸、ω軸、2θ/ω軸の各軸は、これらの各軸を基準とするX線要素の移動量に応じて、その他の測定軸を基準としてX線要素が移動できる範囲、すなわち移動有効範囲が変化するものである。一方、θs軸、θd軸、Rx軸、Ry軸、Z軸、及びφ軸の各軸を基準としてX線要素が移動できる移動有効範囲は他の軸に連動することなく独自に決まる範囲である。
【0056】
図2に示す測定装置2は、以上に例示した複数の測定軸のいずれか1つを選択して測定を行うことができる。以下、上記構成より成るX線回折装置1の動作を図3に示すフローチャートに基づいて説明する。図1の入力装置3を介してオペレータによってスタートの指示が成されると、分析用アプリケーション16が起動して図3のステップS1において、図4のメインフレーム41が図1の画像表示装置4の画面上に表示される。
【0057】
このメインフレーム41において、符号46は状態表示画面である。この状態表示画面46の「名称」の欄に表示されたθs,θd,2θ/ω,φ,Z,Rx,Ry,S,Ts,ω,2θ,ωM1は、ぞれぞれ、以上に説明したθs軸,θd軸,2θ/ω軸,φ軸,Z軸,Rx軸,Ry軸,S軸,Ts軸,ω軸,2θ軸,ωM1軸の各測定軸を示している。そして、「状態」は、図2の測定装置2がそれらの各測定軸に関して現在どのような状態に設定されているかを表示する。例えば、2θ軸に関して2θ=0°に設定されていれば、2θに対応する「状態」欄には「0°」の数値が表示される。また、2θ軸に関して2θ=10°に設定されていれば、2θに対応する「状態」欄には「10°」の数値が表示される。
【0058】
メインフレーム41を見たオペレータは、測定を開始する前に図2の測定装置2内の各光学要素の初期位置を調整することができる。この初期位置の調整はゼロ調整と呼ばれることがある。オペレータがゼロ調整を希望する場合、オペレータは図4のメインフレーム41内のメニューバー42内の該当するメニューを指示する。図1のCPU7が図3のステップS2においてゼロ調整の指示があったことを確認すると(ステップS2でYES)、ステップS3でゼロ調整を行う。
【0059】
具体的には、図2において、試料支持装置21によって試料Sを支持しない状態でX線光路上の適所にX線フィルタを配置した上で、X線源22からX線を放射し、θs移動系26、θd移動系37等といった各移動系を調節しながら、X線検出器23によってX線を検出する。そして、各移動系を適切な位置にセットする。
【0060】
その後、オペレータが測定を希望する場合には、オペレータは図4の画面のメニューバー42で「マニュアル制御」を選択する。すると、図3のステップS4でそのことが認識され、ステップS5に進んで図5のメインフレーム41内の適所にマニュアル制御画面43が表示される。このマニュアル制御画面43を詳細に示せば図6(a)の通りである。
【0061】
図6(a)において、「制御対象軸」の欄は、図2の測定装置2の中の複数の測定軸2θ、2θ/ω、…、φ、ωのうちのいずれを測定対象の軸とするかを指示する領域である。また、「移動条件」の欄は、測定に先立って図2のX線発生系20及びX線検出器23を希望する場所へ移動させたい場合に、その移動先等を指示するための領域である。また、「測定条件」の欄は、測定開始角度を何度にするかや、測定終了角度を何度にするかや、何度のステップ角度幅で走査を行うかや、何度のスキャン速度で走査を行うか等といった条件を指示する領域である。
【0062】
移動条件の欄及び測定条件の欄の中には、オペレータが希望する数値を入力するための複数の入力領域が設定されている。図ではそれらの入力領域を数値を囲んでいる四角い実線枠で示している。オペレータは、例えば、マウス入力具によって移動させることができる領域指示用の画像であるポインタ38によっていずれかの入力領域を指示した上でキーボード等といった入力機器を用いて数値を入力することにより、希望する入力項目に関して希望する値を入力できる。なお、「測定条件」の欄の中には測定の開始を指示するための「測定実行」のアイコン44が表示されている。
【0063】
マニュアル制御画面43を用いて行った設定の内容は、図1のハードディスク11内の所定の記憶領域に記憶される。なお、CPU7はマニュアル制御画面43の画面立ち上げに先立って、ハードディスク11内の所定の記憶領域をアクセスして、前回の測定の際に設定された条件がどのような条件であったかを読み出し、その条件をマニュアル制御画面43の中に表示する。図6(a)に示す表示状態は、矢印Aで示すように測定軸としてω軸が選択され、移動条件の増減量として0.0020degが指示され、測定条件の測定開始角度として10.0000degが指示され、測定条件の測定終了角度として13.0000degが指示され、測定条件のステップ幅として1.0004degが指示され、測定条件のスキャン速度として4.8000deg/minが指示されている状態を示している。
【0064】
オペレータがこの条件の下で測定を行うことを希望する場合には、表示された条件に変更を加えること無く測定実行のアイコン44をクリックして指示する。すると、図3のステップS6で測定実行の指示が認識される(ステップS6でYES)。今考えているのは、図6(a)のマニュアル制御画面43の内容に変更が加えられない場合であるので、図3のステップS7では「NO」と判断され、ステップS11へ進んで、図6(a)の条件で測定が実行される。すなわち、ω軸を測定軸として測定が行われる。
【0065】
より具体的には、図2において、X線発生系20からX線を出射し、X線入射角度ωを所定のステップ幅で所定のステップ速度で変化させながら、試料Sで回折する回折線を所定の2θ位置に配置されたX線検出器23によって検出する。これにより、角度ωの何度の所に強度Iがいくつの回折線が出たかを測定でき、(ω,I)の測定データが得られる。
【0066】
こうして測定データが得られると、必要に応じて、ステップS12において図7に示すように測定の結果をX線プロファイルP1として表示する。また、ステップS13において測定データを図1のRAM8に記憶する。その後、測定装置2から測定終了の信号が伝送されると、ステップS14においてそのことが認識され(ステップS14でYES)、ステップS15において図1のRAM8内の測定データがハードディスク11内のデータファイル19へ転送されて保存される。
【0067】
図3のステップS14において測定終了の指示が成されていないと判断されると(ステップS14でNO)、ステップS5へ戻って図7のマニュアル制御画面43が表示され続ける。マニュアル制御画面43は、測定中も表示されているが、入力はできないようになっている。測定が終了するとマニュアル制御画面43の入力が可能となる。マニュアル制御画面43の表示は「閉じる」ボタンで終了する。
【0068】
オペレータが測定の条件を変えて測定を続けたいと希望する場合には、オペレータは図6(a)のマニュアル制御画面43において希望する条件を変化させる。例えば、測定条件の欄の測定開始の入力領域にポインタ38を当てて、マウスの入力ボタンをクリックして指示する。図3のステップS7でその指示が認識されると(ステップS7でYES)、その指示された条件項目がポップアップ表示を行うべき項目であるか否かがステップS8において判断される。
【0069】
ここで、ポップアップ表示とは、測定条件に関する事項、例えば、入力可能な測定の有効範囲は何度から何度までであるとか、設定可能な測定の分解能は何度までであるかとか、等といった事項を説明するための画像を、図1の画像表示装置4の画面上に常に表示させるのではなく、対応する測定条件が選択されて指示された場合にだけ、マニュアル制御画面43に重ねて又はマニュアル制御画面43に重ならない画面上の領域に表示することである。
【0070】
このポップアップ表示は、オペレータによって別の何等かの指示が行われるまでの間、ずっと表示し続けることもできるし、オペレータによる操作に関係なく一定の時間だけ表示させた後に自動的に消すようにしても良い。
【0071】
指示された条件項目がポップアップ表示を行うべき項目であるとステップS8において判定されると(ステップS8でYES)、CPU7は表示用アプリケーションソフト18を起動して、選択されている測定軸(今の場合はω軸)に関する有効測定範囲を演算によって求める。この演算は、例えば、図8及び図9に関連して説明したような規則に従って行われる。この演算の結果、選択されている測定軸に関する有効測定範囲が求められると、ステップS10においてその有効測定範囲が図6(b)に符号47で示すようにマニュアル制御画面43に重ねて、又は図5に示すメインフレーム41に重ねて、又はメインフレーム41と重ならない領域の画面上に表示される。
【0072】
図6(b)に示す例では、ポップアップ表示47として、入力可能な有効角度走査範囲が角度−2.4998°〜角度153.4998°であり、設定可能な角度走査最小ステップ幅(いわゆる、分解能)が角度0.0002°であることを示している。これを見たオペレータは、測定開始角度及び測定終了角度をどの範囲内で選択すれば良いかを極めて簡単に判断できる。また、どのような分解能で測定が行われるかを極めて容易に知ることができる。こうしてオペレータは、測定開始角度及び測定終了角度を誤りなく入力できる。
【0073】
以上の説明は測定開始角度及び測定終了角度に関するポップアップ表示47に関するものであるが、本実施形態の表示用アプリケーションソフト18は多数の入力項目に関するデータを持っている。例えば、「移動条件」の欄の「移動先」に関する有効範囲のデータや、「測定条件」の欄の「スキャン速度」に関する有効範囲のデータ等も有している。従って、図6(a)においてオペレータがポインタ38を、「測定開始角度」の欄に代えて、「移動条件」の欄の「移動先」の入力欄に合わせると、その移動先に関する有効範囲の情報がポップアップ表示される。また、オペレータがポインタを「スキャン速度」の入力欄に合わせると、そのスキャン速度に関する有効範囲の情報がポップアップ表示される。
【0074】
以下、ポップアップ表示の具体例を説明する。図11(a)は、移動条件欄の移動先の入力欄がオペレータによって指示された場合であって、2θ軸周りの角度2θが2θ=0°のときに示される、ω軸周りの移動先に関するポップアップ表示47を示している。このポップアップ表示47は、移動先として設定できる有効角度走査範囲が角度−1.5000°〜角度5.0000°の範囲であり、設定可能な角度走査最小ステップ幅(すなわち、分解能)が0.0001°であることを示している。この有効範囲や分解能は、図1の表示用アプリケーションソフト18の演算により又はハードディスク11内の適所に保存したデータテーブルにより決められる。オペレータは、このポップアップ表示47に示された有効範囲を参考にしてω軸周りの移動先を誤り無く入力できる。
【0075】
次に、図11(b)は、移動条件欄の移動先の入力欄がオペレータによって指示された場合であって、2θ軸周りの角度2θが2θ=10°のときに示される、ω軸周りの移動先に関するポップアップ表示47を示している。このポップアップ表示47は、移動先として設定できる有効角度走査範囲が角度−1.5000°〜角度15.0000°の範囲であり、設定可能な角度走査最小ステップ幅(すなわち、分解能)が0.0001°であることを示している。この有効範囲は、図1の表示用アプリケーションソフト18の演算により又はハードディスク11内の適所に保存したデータテーブルにより決められる。オペレータは、このポップアップ表示47に示された有効範囲を参考にしてω軸周りの移動先を誤り無く入力できる。
【0076】
次に、図12(a)は、移動条件欄の移動先の入力欄がオペレータによって指示された場合であって、ω軸周りの角度ωがω=0°のときに示される、2θ軸周りの移動先に関するポップアップ表示47を示している。このポップアップ表示47は、移動先として設定できる有効角度走査範囲が角度−5.0000°〜角度120.0000°の範囲であり、設定可能な角度走査最小ステップ幅(すなわち、分解能)が0.0001°であることを示している。この有効範囲は、図1の表示用アプリケーションソフト18の演算により又はハードディスク11内の適所に保存したデータテーブルにより決められる。オペレータは、このポップアップ表示47に示された有効範囲を参考にして2θ軸周りの移動先を誤り無く入力できる。
【0077】
図12(b)は、移動条件欄の移動先の入力欄がオペレータによって指示された場合であって、ω軸周りの角度ωがω=5°のときに示される、2θ軸周りの移動先に関するポップアップ表示47を示している。このポップアップ表示47は、移動先として設定できる有効角度走査範囲が角度0.0000°〜角度125.0000°の範囲であり、設定可能な角度走査最小ステップ幅(すなわち、分解能)が0.0001°であることを示している。この有効範囲は、図1の表示用アプリケーションソフト18の演算により又はハードディスク11内の適所に保存したデータテーブルにより決められる。オペレータは、このポップアップ表示47に示された有効範囲を参考にして2θ軸周りの移動先を誤り無く入力できる。
【0078】
図13(a)は、移動条件欄の移動先の入力欄がオペレータによって指示された場合であって、2θ/ω軸周りの角度2θ/ωが2θ/ω=0°のときに示される、ω軸周りの移動先に関するポップアップ表示47を示している。このポップアップ表示47は、移動先として設定できる有効角度走査範囲が角度−1.5000°〜角度5.0000°の範囲であり、設定可能な角度走査最小ステップ幅(すなわち、分解能)が0.0001°であることを示している。この有効範囲は、図1の表示用アプリケーションソフト18の演算により又はハードディスク11内の適所に保存したデータテーブルにより決められる。オペレータは、このポップアップ表示47に示された有効範囲を参考にしてω軸周りの移動先を誤り無く入力できる。
【0079】
図13(b)は、移動条件欄の移動先の入力欄がオペレータによって指示された場合であって、2θ/ω軸周りの角度2θ/ωが2θ/ω=20°のときに示される、ω軸周りの移動先に関するポップアップ表示47を示している。このポップアップ表示47は、移動先として設定できる有効角度走査範囲が角度−1.5000°〜角度25.0000°の範囲であり、設定可能な角度走査最小ステップ幅(すなわち、分解能)が0.0001°であることを示している。この有効範囲は、図1の表示用アプリケーションソフト18の演算により又はハードディスク11内の適所に保存したデータテーブルにより決められる。オペレータは、このポップアップ表示47に示された有効範囲を参考にしてω軸周りの移動先を誤り無く入力できる。
【0080】
図14(a)は、移動条件欄の移動先の入力欄がオペレータによって指示された場合であって、2θ/ω軸周りの角度2θ/ωが2θ/ω=0°のときに示される、2θ軸周りの移動先に関するポップアップ表示47を示している。このポップアップ表示47は、移動先として設定できる有効角度走査範囲が角度−5.0000°〜角度120.0000°の範囲であり、設定可能な角度走査最小ステップ幅(すなわち、分解能)が0.0001°であることを示している。この有効範囲は、図1の表示用アプリケーションソフト18の演算により又はハードディスク11内の適所に保存したデータテーブルにより決められる。オペレータは、このポップアップ表示47に示された有効範囲を参考にして2θ軸周りの移動先を誤り無く入力できる。
【0081】
図14(b)は、移動条件欄の移動先の入力欄がオペレータによって指示された場合であって、2θ/ω軸周りの角度2θ/ωが2θ/ω=20°のときに示される、2θ軸周りの移動先に関するポップアップ表示47を示している。このポップアップ表示47は、移動先として設定できる有効角度走査範囲が角度5.0000°〜角度130.0000°の範囲であり、設定可能な角度走査最小ステップ幅(すなわち、分解能)が0.0001°であることを示している。この有効範囲は、図1の表示用アプリケーションソフト18の演算により又はハードディスク11内の適所に保存したデータテーブルにより決められる。オペレータは、このポップアップ表示47に示された有効範囲を参考にして2θ軸周りの移動先を誤り無く入力できる。
【0082】
図15(a)は、θs軸周りの角度をθs=5°にし、θd軸周りの角度をθd=30°にしたときの、2θ軸の移動先の有効範囲をポップアップ表示47によって表示する場合を示している。θs=5°、θd=30°に移動すると、2θ軸周りの角度は2θ=35°になり、θ軸周りの角度はθ=5°になる。この場合、2θ軸周りの角度の移動先の有効角度走査範囲は、ポップアップ表示47が示すように0.0000〜125.0000°である。また、ポップアップ表示47は、設定可能な角度走査最小ステップ幅(すなわち、分解能)が0.0001°であることを示している。オペレータは、このポップアップ表示47に示された有効範囲を参考にして2θ軸周りの移動先を誤り無く入力できる。
【0083】
図15(b)は、θs軸周りの角度をθs=5°にし、θd軸周りの角度をθd=30°に移動したときの、ω軸の移動先の有効範囲をポップアップ表示47によって表示する場合を示している。θs=5°、θd=30°に移動すると、2θ軸周りの角度は2θ=35°になり、θ軸周りの角度はθ=5°になる。この場合、ω軸周りの角度の移動先の有効範囲は、ポップアップ表示47が示すように−1.5000〜40.0000°である。また、ポップアップ表示47は、分解能が0.0001°であることを示している。オペレータは、このポップアップ表示47に示された有効範囲を参考にしてω軸周りの移動先を誤り無く入力できる。
【0084】
図15(c)は、図15(a)及び図15(b)の場合に図5の状態表示画面46に表示される、各軸の現在位置に関する表示を示している。
【0085】
図16(a)は、θs軸周りの角度をθs=30°にし、θd軸周りの角度をθd=5°にしたときの、2θ軸の移動先の有効範囲をポップアップ表示47によって表示する場合を示している。θs=30°、θd=5°に移動すると、2θ軸周りの角度は2θ=35°になり、θ軸周りの角度はθ=30°になる。この場合、2θ軸周りの角度の移動先の有効角度走査範囲は、ポップアップ表示47が示すように25.0000〜150.0000°である。また、ポップアップ表示47は、設定可能な角度走査最小ステップ幅(すなわち、分解能)が0.0001°であることを示している。オペレータは、このポップアップ表示47に示された有効範囲を参考にして2θ軸周りの移動先を誤り無く入力できる。
【0086】
図16(b)は、θs軸周りの角度をθs=30°にし、θd軸周りの角度をθd=5°に移動したときの、ω軸の移動先の有効範囲をポップアップ表示47によって表示する場合を示している。θs=30°、θd=5°に移動すると、2θ軸周りの角度は2θ=35°になり、θ軸周りの角度はθ=30°になる。この場合、ω軸周りの角度の移動先の有効範囲は、ポップアップ表示47が示すように−1.5000〜40.0000°である。また、ポップアップ表示47は、分解能が0.0001°であることを示している。オペレータは、このポップアップ表示47に示された有効範囲を参考にしてω軸周りの移動先を誤り無く入力できる。
【0087】
図16(c)は、図16(a)及び図16(b)の場合に図5の状態表示画面46に表示される、各軸の現在位置に関する表示を示している。
【0088】
図17(a)は、θs軸周りの移動先の有効範囲をポップアップ表示47で表示する場合を示している。ポップアップ表示47は、有効角度走査範囲が−1.5000〜77.0000°であることを示している。また、設定可能な角度走査最小ステップ幅(すなわち、分解能)が0.0001°であることを示している。θs軸は物理軸なので、θs軸の有効範囲は他の軸の位置に関係なく、常に、θs軸の機械的な有効範囲として表示される。オペレータは、このポップアップ表示47に示された有効範囲を参考にしてθs軸周りの移動先を誤り無く入力できる。
【0089】
図17(b)は、θd軸周りの移動先の有効範囲をポップアップ表示47で表示する場合を示している。ポップアップ表示47は、有効角度走査範囲が−5.0000〜120.0000°であることを示している。また、設定可能な角度走査最小ステップ幅(すなわち、分解能)が0.0001°であることを示している。θd軸は物理軸なので、θd軸の有効範囲は他の軸の位置に関係なく、常に、θd軸の機械的な有効範囲として表示される。オペレータは、このポップアップ表示47に示された有効範囲を参考にしてθd軸周りの移動先を誤り無く入力できる。
【0090】
図18(a)は、Rx軸周りの移動先の有効範囲をポップアップ表示47で表示する場合を示している。ポップアップ表示47は、有効角度走査範囲が−3.000〜3.000°であることを示している。また、設定可能な角度走査最小ステップ幅(すなわち、分解能)が0.002°であることを示している。Rx軸は物理軸なので、Rx軸の有効範囲は他の軸の位置に関係なく、常に、Rx軸の機械的な有効範囲として表示される。オペレータは、このポップアップ表示47に示された有効範囲を参考にしてRx軸周りの移動先を誤り無く入力できる。
【0091】
図18(b)は、Ry軸周りの移動先の有効範囲をポップアップ表示47で表示する場合を示している。ポップアップ表示47は、有効角度走査範囲が−3.000〜3.000°であることを示している。また、設定可能な角度走査最小ステップ幅(すなわち、分解能)が0.002°であることを示している。Ry軸は物理軸なので、Ry軸の有効範囲は他の軸の位置に関係なく、常に、Ry軸の機械的な有効範囲として表示される。オペレータは、このポップアップ表示47に示された有効範囲を参考にしてRy軸周りの移動先を誤り無く入力できる。
【0092】
図19(a)は、Z軸に沿った移動先の有効範囲をポップアップ表示47で表示する場合を示している。ポップアップ表示47は、有効距離走査範囲が−10.0000〜2.0000mmであることを示している。また、設定可能な距離走査最小ステップ幅(すなわち、分解能が0.0001mmであることを示している。Z軸は物理軸なので、Z軸の有効範囲は他の軸の位置に関係なく、常に、Z軸の機械的な有効範囲として表示される。オペレータは、このポップアップ表示47に示された有効範囲を参考にしてZ軸周りの移動先を誤り無く入力できる。
【0093】
図19(b)は、φ軸周りの移動先の有効範囲をポップアップ表示47で表示する場合を示している。ポップアップ表示47は、有効角度走査範囲が−720.000〜720.000°であることを示している。また、設定可能な角度走査最小ステップ幅(すなわち、分解能)が0.002°であることを示している。φ軸は物理軸なので、φ軸の有効範囲は他の軸の位置に関係なく、常に、φ軸の機械的な有効範囲として表示される。オペレータは、このポップアップ表示47に示された有効範囲を参考にしてφ軸周りの移動先を誤り無く入力できる。
【0094】
図20(a)は、マニュアル制御画面43内の測定条件欄のステップ幅がオペレータによって指示されたときに表示されるポップアップ表示47を示している。指定可能な最低のステップ幅は、そのときに指定されているスキャン速度から1ステップ当りの計数時間が50msec以下にならないステップ幅を計算して表示する。ここで、臨界時間を50msecに設定したのは電気回路の特性に従ったためである。
【0095】
図20(a)は、スキャン速度が0.1°/minである場合のω軸のステップ幅の有効範囲をポップアップ表示47で表示する場合を示している。ポップアップ表示47は、有効角度走査範囲が0.0002〜1.0000°であることを示している。また、設定可能な角度走査最小ステップ幅(すなわち、分解能)が0.0001°であることを示している。スキャン速度が0.1°/minのときに1ステップ当りの計数時間が50msecになるステップ幅は
0.05sec×0.1°÷60.0sec=0.000083°
である。0.000083°は駆動軸の物理的な最低ステップ幅(分解能×2=0.0002°)より小さいので、最低ステップ幅は0.0002°となる。
【0096】
図20(b)は、スキャン速度が8.0°/minである場合のω軸のステップ幅の有効範囲をポップアップ表示47で表示する場合を示している。ポップアップ表示47は、有効角度走査範囲が0.0066〜1.0000°であることを示している。また、設定可能な角度走査最小ステップ幅(すなわち、分解能)が0.0001°であることを示している。スキャン速度が8.0°/minのときに1ステップ当りの計数時間が50msecになるステップ幅は
0.05sec×8.0°÷60.0sec=0.0066°
である。0.0066°は駆動軸の物理的な最低ステップ幅(分解能×2=0.0002°)より大きいので、最低ステップ幅は0.0066°となる。
【0097】
図21(a)は、マニュアル制御画面43内の測定条件欄のスキャン速度がオペレータによって指示されたときに表示されるポップアップ表示47を示している。指定可能な最高スキャン速度は、そのときに指定されているステップ幅から1ステップ当りの計数時間が50msec以下にならないスキャン速度を計算して表示する。ここで、臨界時間を50msecに設定したのは電気回路の特性に従ったためである。
【0098】
図21(a)は、ステップ幅が0.1°である場合のω軸のスキャン速度の有効範囲をポップアップ表示47で表示する場合を示している。ポップアップ表示47は、有効スキャン速度範囲が0.0001〜100.0000°/minであることを示している。また、設定可能な走査速度最小ステップ幅が0.0001°/minであることを示している。ステップ幅が0.1°のときに1ステップ当りの計数時間が50msecになるスキャン速度は
60.0sec×0.1°÷0.05sec=120.0°/min
である。120.0°/minは駆動軸の物理的な最高スキャン速度(100.0°/min)より大きいので、最高スキャン速度は100.0°/minとなる。
【0099】
図21(b)は、ステップ幅が0.001°である場合のω軸のスキャン速度の有効範囲をポップアップ表示47で表示する場合を示している。ポップアップ表示47は、有効スキャン速度範囲が0.0001〜1.2000°/minであることを示している。また、設定可能な走査速度最小ステップ幅が0.0001°/minであることを示している。ステップ幅が0.001°のときに1ステップ当りの計数時間が50msecになるスキャン速度は
60.0sec×0.001°÷0.05sec=1.2°/min
である。1.2°/minは駆動軸の物理的な最高スキャン速度(100.0°/min)より小さいので、最高スキャン速度は1.2°/minとなる。
【0100】
なお、本実施形態に係る装置によって実施可能なポップアップ表示は、以上のように図示して説明したポップアップ表示に限られず、必要に応じて種々の事項を選定できる。例えば、図19(b)におけるφ軸に関する設定の際に、オペレータのポインティング操作によってスキャン速度の入力領域が指示されたときに、測定の際の時間当たりの角度値で示される最高走査速度をポップアップ表示することができる。また、図19(a)におけるZ軸に関する設定の際に、オペレータのポインティング操作によってスキャン速度の入力領域が指示されたときに、測定の際の時間当たりの角度値で示される最高走査速度をポップアップ表示することができる。
【0101】
以上のように、本実施形態によれば、図6(a)に示すようなマニュアル制御画面43、すなわち入力用画面を図1の画像表示装置4の画面上に表示すると共に、入力装置3によって画面43内の領域を指示できるようにしたので、オペレータは測定装置2に関する測定条件を画面43を見ながら設定できる。また、測定条件に関する事項(例えば、入力可能な測定有効範囲の情報、設定可能な分解能の情報等)を画面上に表示するようにしたので、オペレータはわざわざ取扱説明書等を参照すること無く正確な入力操作を行うことができる。
【0102】
さらに、入力可能な測定有効範囲等といった測定に関する事項は、入力装置3によって入力領域が指示されたときに画面上に表示され、入力領域が指示されていないときには画面上に表示されないようになっている。つまり、測定に関する事項の画像は必要なときだけに画面上に表示、いわゆるポップアップ表示される。このため、入力用画面それ自体は非常に簡潔な表示で足りるので、画面が見難くなることを防止できる。
【0103】
さらに、ポップアップ表示される内容は、既に設定されている条件(例えば、どの測定軸が選択されているかや、2θがいくつに設定されているかや、ωがいくつに設定されているかや、2θ/ωがいくつに設定されているかや、θs 及びθd がいくつに設定されているかや、ステップ幅がいくつに設定されているかや、スキャン速度がいくつに設定されているか等)に基づいてコンピュータの演算によって求められた値であるので、入力を行おうとしているオペレータは、自分で計算をすることなしに情報が得られことになり、非常に便利である。
【0104】
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、図1の測定装置2は図2に示した構成のX線回折装置に限られず、他の任意の構成のX線回折装置とすることができる。また、入力用画像は図5に符号43で示すようなマニュアル制御画面43に限られず、必要に応じて、他の任意の構成の画像とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明に係るX線回折装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】測定装置の一例を示す図である。
【図3】図1の装置によって実行される制御の流れを示すフローチャートである。
【図4】表示装置の画面上に表示される画像の一例を示す図である。
【図5】表示装置の画面上に表示される画像の他の例を示す図である。
【図6】表示装置の画面上に表示される入力用画像の一例を示す図である。
【図7】表示装置の画面上に表示される画像のさらに他の例を示す図である。
【図8】図2の測定装置における測定軸に関する有効測定範囲を説明するための図である。
【図9】図2の測定装置における測定軸に関する有効測定範囲を説明するための他の図である。
【図10】図2の測定装置における測定軸に関する有効測定範囲を説明するためのさらに他の図である。
【図11】表示装置の画面上に表示される入力用画像の他の例を示す図である。
【図12】表示装置の画面上に表示される入力用画像のさらに他の例を示す図である。
【図13】表示装置の画面上に表示される入力用画像のさらに他の例を示す図である。
【図14】表示装置の画面上に表示される入力用画像のさらに他の例を示す図である。
【図15】表示装置の画面上に表示される入力用画像のさらに他の例を示す図である。
【図16】表示装置の画面上に表示される入力用画像のさらに他の例を示す図である。
【図17】表示装置の画面上に表示される入力用画像のさらに他の例を示す図である。
【図18】表示装置の画面上に表示される入力用画像のさらに他の例を示す図である。
【図19】表示装置の画面上に表示される入力用画像のさらに他の例を示す図である。
【図20】表示装置の画面上に表示される入力用画像のさらに他の例を示す図である。
【図21】表示装置の画面上に表示される入力用画像のさらに他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0106】
1.X線回折装置、 2.測定装置、 3.入力装置(入力手段)、
4.画像表示装置(表示手段)、 11.ハードディスク(記憶手段)、 12.バス、
20.X線発生系、 21.試料支持装置、 22.X線源、 23.X線検出器、
24.モノクロメータ、 38.ポインタ、 41.メインフレーム、
43.マニュアル制御画面(入力用画面)、 44.測定実行のアイコン、
46.状態表示画面、 47.ポップアップ表示、 P1.X線プロファイル、
S.試料、 S0.発散規制スリット、 S1.スリット、 S2.受光スリット、
X0.水平軸線、 Z.垂直方向、 Rx,Ry.あおり移動

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の測定軸を有すると共にそれら複数の測定軸のうちの1つを選択してその測定軸を基準としてX線要素を移動させて測定を行う測定手段と、
画像データに基づいて画面上に画像を表示する表示手段と、
該表示手段の画面内の領域を指定して入力を行う入力手段と、
前記1つの測定軸を選択するための入力を行うための測定軸入力領域及びその1つの測定軸を基準とする前記X線要素の移動量を入力するための移動量入力領域の2つの領域を含む入力用画像の画像データを生成し、その画像データを前記表示手段へ供給し、該表示手段の画面上に前記入力用画像を表示させる入力用画像生成表示手段と、
前記入力手段によって前記測定軸の1つが指示され、さらに前記入力手段によって前記移動量入力領域の1つが指示されたときに、該移動量入力領域に入力できる値の有効範囲を、前記1つの測定軸に応じて演算によって決める有効範囲データ生成手段と、
該有効範囲データ生成手段によって決められた有効範囲の値を含む画像の画像データを生成し、その画像データを前記表示手段へ供給し、前記入力手段によって前記移動量入力領域の1つが指示された後の所定時間だけ前記表示手段の画面上に有効範囲を表示させる有効範囲用画像生成表示手段と
を有することを特徴とするX線回折装置。
【請求項2】
複数の測定軸を有すると共にそれら複数の測定軸のうちの1つを選択してその測定軸を基準としてX線要素を移動させて測定を行う測定手段と、
画像データに基づいて画面上に画像を表示する表示手段と、
該表示手段の画面内の領域を指定して入力を行う入力手段と、
前記1つの測定軸を選択するための入力を行うための測定軸入力領域、その1つの測定軸を基準とする前記X線要素の走査速度を入力するための走査速度入力領域、及び走査速度のステップ幅を入力するためのステップ幅入力領域の3つの領域を含む入力用画像の画像データを生成し、その画像データを前記表示手段へ供給し、該表示手段の画面上に前記入力用画像を表示させる入力用画像生成表示手段と、
前記入力手段によって前記測定軸の1つが指示され、さらに前記入力手段によって前記走査速度が入力されたときに、前記ステップ幅入力領域に入力できるステップ幅の値の有効範囲を、前記1つの測定軸及び前記走査速度に応じて演算によって決める有効範囲データ生成手段と、
該有効範囲データ生成手段によって決められた有効範囲の値を含む画像の画像データを生成し、その画像データを前記表示手段へ供給し、前記入力手段によって前記ステップ幅入力領域の1つが指示された後の所定時間だけ前記表示手段の画面上に有効範囲を表示させる有効範囲用画像生成表示手段と
を有することを特徴とするX線回折装置。
【請求項3】
請求項1記載のX線回折装置において、前記有効範囲データ生成手段によって決められる有効範囲は、測定を行うことができる有効角度走査範囲、又は測定を行うことができる有効距離走査範囲であることを特徴とするX線回折装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のX線回折装置において、前記有効範囲データ生成手段は、前記有効範囲に加えて、(1)設定可能な角度走査最小ステップ幅、(2)設定可能な距離走査最小ステップ幅、(3)設定可能な走査速度最小ステップ幅、(4)測定の際の時間あたりの角度値、及び(5)時間あたりの距離値で示される最高走査速度の少なくとも1つ又はそれらの少なくとも2つの組合せを演算によって決めることを特徴とするX線回折装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のX線回折装置において、前記複数の測定軸は、
(1)入射X線に対する回折角度2θを規定する2θ軸、
(2)試料に入射するX線の入射角度ωを規定するω軸、
(3)試料に入射するX線の入射角度ωと試料で回折するX線の回折角度2θとを連動して規定する2θ/ω軸、
(4)X線発生系が試料を見込む角度θsを規定するθs軸、
(5)X線検出手段が試料を見込む角度θdを規定するθd軸、
(6)試料の揺動移動を規定するあおり軸Rx軸及びRy軸、
(7)試料の垂直方向の昇降移動を規定するZ軸、又は
(8)試料の面内回転を規定するφ軸
のいずれかであり、
前記2θ軸、ω軸、2θ/ω軸の各軸に関する移動量の有効範囲は前記θs軸と前記θd軸との連動によって決まる範囲であり、一方、
前記θs軸、前記θd軸、前記Rx軸、前記Ry軸、前記Z軸、及び前記φ軸の各軸に関する移動量の有効範囲は他の軸に連動することなく独自に決まる範囲である
ことを特徴とするX線回折装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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