説明

X線検出器

【課題】既存のX線撮影装置のディジタル化を可能にするX線検出器を実現する。また、汎用性に優れたX線検出器を実現する。
【解決手段】パネルを有するX線検出器であって、前記パネルは、入射X線の2次元強度分布を検出するフラットパネル方式の検出部(502)と、信号処理部(504)と、前記検出部によって検出した2次元強度分布に基づくX線検出信号データを、前記医用画像と通信に関するオープン規格に準拠したデータ処理を行う機能を有する第2のノード(520)に直接通信する第1のノード(504)を有するインターフェース部とを有し、前記X線検出器は、アナログ式のX線撮影装置において検出信号が利用されるように、当該アナログ式のX線撮影装置に後付可能である。第1のノードと第2のノードは、TCP/IPに準拠した通信を行う。第1のノードは、検出部と一体化されている。オープン規格はDICOM規格である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検出器に関し、特に、入射X線の2次元強度分布を検出するフラットパネル(flat panel)X線検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタル(digital)方式のX線撮影装置では、フラットパネルX線検出器が用いられる。フラットパネルX線検出器は、入射X線の2次元強度分布を検出する検出部すなわちフラットパネルと、検出信号を撮影装置本体等の信号利用装置に中継するインターフェース(interface)部を有する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ディジタル方式のX線撮影装置に対抗するものとして、アナログ方式のX線撮影装置がある。アナログ方式のX線撮影装置は、歴史的に先行することにより、ディジタル方式よりも稼働台数が多く価格も低廉である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−178816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高度医療を目指すには、X線撮影のディジタル化が不可避であり、アナログ方式のX線撮影装置のユーザーも、ディジタル方式のX線撮影装置を装備する必要に迫られる。しかし、ディジタル方式のX線撮影装置を装備するには、ユーザーにとってかなりの経済的負担となる。
【0006】
そこで、本発明の課題は、既存のX線撮影装置のディジタル化を可能にするX線検出器を実現することである。また、汎用性に優れたX線検出器を実現することをも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決する本発明は、入射X線の2次元強度分布を検出するフラットパネル方式の検出部と、検出信号利用装置用のインターフェース部を有するX線検出器であって、前記インターフェース部は、医用画像と通信に関するオープン規格に適合する、ことを特徴とするX線検出器である。
【0008】
前記インターフェース部は、前記検出部側の第1のノードと、前記検出信号利用装置側の第2のノードと、それらを結ぶネットワークを有することが、医用画像と通信に関するオープン規格への適合を容易にする点で好ましい。
【0009】
前記ネットワークはイーサネット(富士ゼロックス株式会社の登録商標)であることが、汎用性がある点で好ましい。
前記第1のノードと前記第2のノードは、TCP/IPに準拠した通信を行うことが、汎用性がある点で好ましい。
【0010】
前記第1のノードは、前記検出部と一体化されていることが、取り扱いが容易な点で好ましい。
前記オープン規格はDICOM規格であることが、汎用性がある点で好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、X線検出器は、入射X線の2次元強度分布を検出するフラットパネル方式の検出部と、検出信号利用装置用のインターフェース部を有するX線検出器であって、前記インターフェース部は、医用画像と通信に関するオープン規格に適合するので、既存のX線撮影装置のディジタル化を可能にするX線検出器を実現することができる。また、汎用性に優れたX線検出器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】X線撮影装置の構成を示す図である。
【図2】本発明を実施するため最良の形態の一例のX線検出器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、発明を実施するための最良の形態に限定されるものではない。図1に、X線撮影装置の模式的構成を示す。本装置は、発明を実施するため最良の形態の一例のX線検出器を使用するX線撮影装置である。
【0014】
図1に示すように、本装置は、X線照射装置200とX線検出装置400を有する。
X線照射装置200は、天井から垂下するコラム(column)210の先端にX線源220を取り付けて構成される。X線源220は、向きを変えてX線の照射方向を変更できるようになっている。X線源220を支持するコラム210は、長手方向に伸縮可能であり、さらに、天井に沿って水平方向に移動可能である。
【0015】
X線検出装置400は、フロア(floor)から直立するコラム410にキャリッジ(carriage)420を昇降可能なように取り付け、キャリッジ420にアーム(arm)430を水平に取り付け、アーム430の先端部にX線検出器440を取り付けて構成される。
【0016】
X線検出器440は、平板状の構造物であり、X線の入射方向に応じて受光面が水平または垂直となるように傾きが変更可能になっている。
X線検出器440の検出信号はオペレータコンソール(operator console)600に入力される。オペレータコンソール600は、X線検出器440からの入力信号に基づき撮影対象の透視像を再構成して、ディスプレイ(display)610で表示する。
【0017】
オペレータコンソール600は、オペレータによる操作の下で、X線照射装置200とX線検出装置400を制御する。X線照射装置200については、X線源220の水平・垂直方向の位置とX線照射方向を制御するとともに、X線強度および照射タイミング(timing)を制御する。X線検出装置400については、X線源220に合わせてX線検出器440の高さを制御するとともに、X線入射方向に合わせて受光面の傾きを水平または垂直になるように制御する。
【0018】
図2に、X線検出器440の構成を模式的に示す。X線検出器440は、発明を実施するため最良の形態の一例のX線検出器である。X線検出器440の構成によって、X線検出器に関する発明を実施するため最良の形態の一例が示される。
【0019】
図2に示すように、X線検出器440は、パネル(panel)500を有する。パネル500は、検出部502を有する。検出部502は、フラットパネル方式の検出部であり、2次元的に配置された多数の検出セル(cell)で構成される。個々の検出セルは、例えば、シンチレータ(scintillator)とフォトダイオード(photo diode)の組み合わせで構成される。検出部502は、本発明における検出部の一例である。
【0020】
パネル500は、また、信号処理部504および通信部506を有する。信号処理部504は、検出部502のX線検出信号について、データ(data)収集やバッファリング(buffering)等所定の処理を行う。信号処理部504は、マイクロプロセッサ(micro processor)等によって構成される。信号処理部504は機能の拡張が可能である。
【0021】
通信部506は、外部との通信を行う。通信部506は、信号処理部504が収集したデータを外部に送信する。通信部506は、また、外部から種々のコマンド(command)を受信して信号処理部504に伝える。通信のプロトコルとしては、例えば、TCP/IP(transmission control protocol/internet protocol)等が用いられる。通信部506は、マイクロプロセッサ(micro processor)等によって構成される。なお、通信部506は、信号処理部504と一体であってよい。
【0022】
通信部506は、通信線510によってアダプタ(adapter)520に接続されている。アダプタ520は、X線検出信号を利用する装置すなわち撮影装置本体のためのアダプタであり、マイクロプロセッサ等によって構成される。通信線510としては、例えば、イーサネット(Ethernet)が用いられる。なお、イーサネットに限らず他の適宜のネットワーク(network)を用いてよい。通信線510上では、通信部506がひとつのノード(node)となり、アダプタ520が他のノードとなる。
【0023】
信号処理部504、通信部506、通信線510およびアダプタ520からなる部分は、本発明におけるインターフェースの一例である。通信線510は、本発明におけるネットワークの一例である。通信部506は、本発明における第1のノードの一例である。アダプタ520は、本発明における第2のノードの一例である。
【0024】
アダプタ520は、医用画像と通信に関するオープン(open)規格に準拠したデータ処理および通信を行う機能を有する。医用画像と通信に関するオープン規格としては、例えば、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格が採用される。なお、DICOM規格に限らず他の適宜のオープン規格を採用してもよい。
【0025】
これによって、アダプタ520は、SCP(Service Class Provider)およびSCU(Service Class User)として動作し、X線検出信号の処理に関する所定のSOPクラス(Service-Object Pair Classes)を処理する。
【0026】
このように、インターフェース部は、検出部側の第1のノードと、検出信号利用装置側の第2のノードと、それらを結ぶネットワークを有するので、医用画像と通信に関するオープン規格への適合を容易にすることができる。
【0027】
また、ネットワークはイーサネットであるので、汎用性を持たせることができる。また、第1のノードと第2のノードは、TCP/IPに準拠した通信を行うので、汎用性を持たせることができる。また、第1のノードは、検出部と一体化されているので、取り扱いが容易である。さらに、医用画像と通信に関するオープン規格がDICOM規格であるので、汎用性を持たせることができる。
【0028】
アダプタ520がDICOM規格に準拠しているので、撮影装置本体等の信号利用装置側は、DICOM規格にさえ対応していれば、それ以外の条件、例えば、メーカー(maker)、仕様、構成等の如何に関わらず、X線検出器440を利用することができる。
【0029】
すなわち、X線検出器440は、いわゆるプラグ・アンド・プレイ(plug and play)が可能な優れた汎用性を有する。これによって、X線検出器440は、単独で販売可能な汎用性のある交換部品となる。
【0030】
このような汎用性により、撮影装置本体がアナログ方式のものであっても、X線検出器440を後付することにより、実質的にディジタル化することができる。その場合、撮影装置本体とアダプタ520の間に、ソフトウェアインターフェース(software interface)530とアナログコントロール・モジュール(analog control module)540が設けられる。
【0031】
ソフトウェアインターフェース530は撮影装置本体との通信を可能にするためのものであり、アナログコントロール・モジュール540は撮影装置本体の制御を可能にするためのものである。これらソフトウェアインターフェース530およびアナログコントロール・モジュール540は、撮影装置本体ごとに製作されるが、単純な通信プロトコルや基本的な制御機能を満たせばよいので製作は容易かつ低コストである。
【0032】
なお、後付の相手は、アナログ方式の撮影装置本体に限らず、ディジタル方式の撮影装置本体であってもよい。その場合は、撮影装置本体側がDICOM規格に対応していれば、ソフトウェアインターフェース530およびアナログコントロール・モジュール540は不要となる。
【0033】
X線検出器440は、医療用のX線撮影装置に限らず、非破壊検査等を行うための産業用X線撮影装置においてもそのまま利用することが可能であり、そのような用途に供されるX線検出器も、本発明の特許請求の範囲に属する。
【符号の説明】
【0034】
200 : X線照射装置
210 : コラム
220 : X線源
400 : X線検出装置
410 : コラム
420 : キャリッジ
430 : アーム
440 : X線検出器
600 : オペレータコンソール
500 : パネル
502 : 検出部
504 : 信号処理部
506 : 通信部
510 : 通信線
520 : アダプタ
530 : ソフトウェアインターフェース
540 : アナログコントロール・モジュール


【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルを有するX線検出器であって、
前記パネルは、
入射X線の2次元強度分布を検出するフラットパネル方式の検出部と、
信号処理部と、
前記検出部によって検出した2次元強度分布に基づくX線検出信号データを、前記医用画像と通信に関するオープン規格に準拠したデータ処理を行う機能を有する第2のノードに直接通信する第1のノードを有するインターフェース部と
を有し、
前記X線検出器は、アナログ式のX線撮影装置において検出信号が利用されるように、当該アナログ式のX線撮影装置に後付可能である
ことを特徴とするX線検出器。
【請求項2】
前記アナログ式のX線撮影装置は、X線検出器が後付された場合の制御機能を可能とするためのモジュールを少なくとも備えている
ことを特徴とする請求項1に記載のX線検出器。
【請求項3】
前記第1のノードと前記第2のノードは、TCP/IPに準拠した通信を行う
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のX線検出器。
【請求項4】
前記オープン規格はDICOM規格である
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載のX線検出器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−17860(P2013−17860A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−239390(P2012−239390)
【出願日】平成24年10月30日(2012.10.30)
【分割の表示】特願2006−201618(P2006−201618)の分割
【原出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】