説明

X線検査装置

【課題】 コンベアを容易に引き出すことができ、清掃性及びメンテナンス性に優れたX線検査装置を提供する。
【解決手段】 本体フレーム(2)と、搬送経路(R)の側方へのX線の漏洩を防止するX線漏洩防止カバー(3)と、それを回動支持する回転軸(21)と、を備え、X線漏洩防止カバー(3)及び回転軸(21)の最下端部を、コンベア(41)を検査領域(F)外へ移動する移動手段(43)を有する搬送機構(4)の最上端部よりも上方に位置させたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の物品への異物混入有無を検査可能なX線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンベア等のコンベアで搬送中の物品にX線を照射し、物品を透過したX線を検出することにより、物品内部への異物混入有無を検査するX線検査装置が採用されている(例えば、特許文献1乃至3参照。)。これらのX線検査装置では、照射したX線が外部に漏洩しないようにコンベアをX線漏洩防止カバーで覆いながら、清掃性やメンテナンス性を確保するために、下記のような工夫が施されている。
【0003】
特許文献1に記載のX線検査装置では、コンベアを側方部から片持支持して、コンベア全体をその自由端側から覆うX線漏洩防止カバーを開放することにより、コンベアの側面や底面に手が届きやすいようにして、清掃性やメンテナンス性を確保している。特許文献2に記載のX線検査装置では、コンベアをキャスターで支持した移動フレームに固定することにより、X線漏洩防止カバーを開放して外部へ引き出した状態での清掃・メンテナンスを可能としている。特許文献3に記載のX線検査装置では、X線漏洩防止カバーを観音扉とすることにより、内部に収容されるコンベアにアクセスし易くして清掃性を確保している。
【特許文献1】特開平11−183407号公報
【特許文献2】特開平9−250992号公報
【特許文献3】特開2002−71588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1乃至3に記載のX線検査装置は、以下のような点で十分でなかった。上記特許文献1に記載のX線検査装置では、作業者がコンベアの支持端側に回り込んで作業することができないため、大型機で構成部品が大型化した場合には、清掃やメンテナンスのために部品を脱着する作業性が著しく悪化することがある。上記特許文献2に記載のX線検査装置では、構成部品が大型化しても、搬送機構を外側に引き出せるため、構成部品の脱着を伴う清掃やメンテナンスを容易に行えるが、X線漏洩防止カバーは上開きのため、カバー閉じ防止機構を設けなければならず、しかも、X線漏洩防止カバーは鉛入りであるため、カバー閉じ防止機構は強固にしなければならない。上記特許文献3に記載のX線検査装置では、X線漏洩防止カバーが観音扉であるために、強固なカバー閉じ防止機構は必要ないが、サイドフレームが邪魔になって搬送機構をスムーズに引き出すことができない。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑み、コンベアを容易に引き出すことができ、清掃性及びメンテナンス性に優れたX線検査装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、物品を搬送機構にて搬送し、搬送経路中に設けられる検査領域にてX線源からX線を照射し、前記検査領域を通過する物品を透過したX線をX線検出器にて検出し、前記X線検査器で検出したX線を画像処理するX線検査装置であって、本体フレームと、前記搬送経路の側方へのX線の漏洩を防止するX線漏洩防止カバーと、前記X線漏洩防止カバーを回動開閉させるように前記本体フレームに垂設された回転軸と、を備え、前記X線検出器は、前記搬送方向と略直交するように延設されて、その一端を前記本体フレームに片持支持されており、前記搬送機構は、コンベアと、該コンベアの側部を片持支持する片持ちフレームと、前記コンベアを前記検査領域外へ移動する移動手段と、を有し、前記X線漏洩防止カバー及び前記回転軸の最下端部が、前記搬送機構の最上端部よりも上方に位置することを特徴とするX線検査装置を提供する。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のX線検査装置であって、前記X線漏洩防止カバーは、二枚に分割された観音扉状であることを特徴とするX線検査装置を提供する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のX線検査装置であって、前記搬送機構と前記X線漏洩防止カバーとの間に位置するように、前記搬送機構側に、前記搬送方向の側方へのX線の漏洩を防止するX線側方漏洩防止部材が備えられていることを特徴とするX線検査装置を提供する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載のX線検査装置であって、前記X線側方漏洩防止部材は、前記搬送方向の寸法が前記X線漏洩防止カバーの開口幅よりも小さく設定されていることを特徴とするX線検査装置を提供する。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のX線検査装置であって、前記搬送機構側には、前記X線源から前記X線検査器へ照射されるX線の一部を遮蔽する遮蔽片を備えられており、前記遮蔽片で遮蔽されるべき前記X線の一部が前記X線検査器によって検出される場合には、前記X線源からのX線照射を停止することを特徴とするX線検査装置を提供する。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のX線検査装置であって、前記遮蔽片は、前記X線側方漏洩防止部材に一体的に備えられていることを特徴とするX線検査装置を提供する。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載のX線検査装置であって、前記搬送機構の駆動ローラーは、前記X線源によるX線の照射方向において、その広がり方向に延設されていることを特徴とするX線検査装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に記載のX線検査装置によれば、以下の優れた効果を奏する。搬送機構は、コンベアを片持フレームで片持支持し、かつ、コンベアを検査領域外へ移動する移動手段を有してなるので、コンベアの清掃及びメンテナンスを容易に行える。特に、X線漏洩防止カバー及び回転軸の最下端部が、搬送機構の最上端部よりも上方に位置するため、搬送機構の引き出しが容易に行えるものである。
【0014】
本発明の請求項2に記載のX線検査装置によれば、請求項1に記載のX線検査装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。X線漏洩防止カバーを、二枚に分割された観音扉状としたので、小さな力で開閉することができる。また、カバーの旋回半径も小さくなるので、カバー開閉だけのために、装置回りに広いスペースを取らなくても済む。
【0015】
本発明の請求項3に記載のX線検査装置によれば、請求項1又は2に記載のX線検査装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。搬送機構側にX線側方漏洩防止部材を備えることにより、搬送機構とX線漏洩防止カバーの隙間から側方へのX線側方漏洩防止することができ、また、搬送物品が搬送経路から外れないようにする位置規制することができる。
【0016】
本発明の請求項4に記載のX線検査装置によれば、請求項1乃至3のいずれかに記載のX線検査装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。X線側方漏洩防止部材の搬送方向の寸法を、X線漏洩防止カバーの開口幅よりも小さく設定したので、X線側方漏洩防止部材の最上端がX線漏洩防止カバーや回転軸の最下端より上方に位置する場合でも、X線漏洩防止カバーを開放するだけで、X線側方漏洩防止部材7を引っ掛けることなく、搬送機構4を引き出すことができる。
【0017】
本発明の請求項5に記載のX線検査装置によれば、請求項1乃至4のいずれかに記載のX線検査装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。遮蔽片遮蔽されるべきX線が検出されたときにX線照射を停止するので、遮蔽片を備える搬送機構が適正位置にセットされていない状態で、X線が照射される事態を防止することができる。
【0018】
本発明の請求項6に記載のX線検査装置によれば、請求項5に記載のX線検査装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。遮蔽片がX線側方漏洩防止部材に一体的に備えられているので、X線側方漏洩防止部材が取り付けられていない状態で、X線が照射される事態を防止することができる。
【0019】
本発明の請求項7に記載のX線検査装置によれば、請求項1乃至6のいずれかに記載のX線検査装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。搬送機構を透過するX線が、その広がり方向に延設される駆動ローラーで遮られるため、床面等で直接反射されて周囲へ拡散することが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1乃至図7は、本発明を実施する形態の一例を示したものである。図1は、本実施形態に係るX線検査装置1の正面図、図2は側面図、図3は平面図であり、図4は、X線漏洩防止カバー3を開放して搬送機構4を引き出した状態を示す正面図である。図5は、図1の一部を拡大した図、図6は、図2の一部を拡大した図、図7は、図2のA−Aによる断面の一部を拡大した図である。
【0022】
図1乃至図3に示されるX線検査装置1は、物品(不図示)を搬送機構4で矢印X方向に搬送し、その搬送経路R中に設けられる検査領域FでX線源5からX線を照射し、検査領域Fを通過する物品を透過したX線をX線検出器6にて検出し、X線検査器6で検出したX線を画像処理することにより、物品内部への異物混入有無を検査する。
【0023】
X線検査装置1には、本体フレーム2と、本体フレーム2の正面(図1における手前側)に設けられて搬送経路Rの側方(図1における左側)へのX線の漏洩を防止するX線漏洩防止カバー3と、X線漏洩防止カバー3を回動開閉させるように本体フレーム2から垂設される回転軸21と、X線が照射される検査領域Fの内外を移動可能に設けられる搬送機構4と、本体フレーム2に設けられて搬送経路Rの中央部上方からX線を照射するX線源5と、搬送経路Rよりも下方でX線源5と対向するように本体フレーム2に片持支持されるX線検出器6と、が備えられる。搬送機構4は、検査領域Fにセットされて物品を搬送するコンベア41と、パイプ材を組み合わせて形成されコンベア41の側部41a(図2)を片持支持する片持フレーム42と、コンベア41を検査領域F外へ移動する移動手段としてのキャスター43と、を有してなる。
【0024】
本体フレーム2は、正面に、コンベア41が検査領域F外へ移動する際に通過する移動開口2aが設けられ、両側面(図1における左右両面)に、コンベア41上を搬送される物品が通過する搬送開口2b,2bが設けられる箱状体である。移動開口2aは、コンベア41のみならず、搬送機構4の全体が通過できるように、下端側まで切り欠かれており、また、搬送経路Rの側方部分が、二枚に分割された観音扉状のX線漏洩防止カバー3で覆われている。X線漏洩防止カバー3を分割してなる分割カバー31,31は、移動開口2aの上縁部の両端から垂設される回転軸21で回動支持されることにより、観音開き可能とされている。ここで、X線漏洩防止カバー3及び回転軸21の最下端部は、搬送機構4の最上端部よりも上方に位置するように設定されており、したがって、搬送機構4自体が移動開口2aを通過する際に、X線漏洩防止カバー3や回転軸21と干渉することはない。
【0025】
搬送開口2b,2bは、コンベア41で搬送される物品を通過させる搬送経路Rの出入口であるが、X線検査装置1の上下流に設置されるコンベア等との間で物品の受け渡しを行う必要があることから、コンベア41の始端41b及び終端41cは、搬送開口2b,2bから本体フレーム2の左右両側にはみ出すように構成されている。そのため、搬送開口2b,2bは、コンベア41が移動開口2aを引っ掛かりなく通過できるように、移動開口2aの両端部と一体的につなげられている。また、搬送開口2b,2bは、搬送物品を連続的に通過させる必要があることから、X線漏洩防止カバー3のように締め切りする扉を設けることができない。そこで、図2に示されるように多数のスリットが形成されたX線漏洩防止カーテン22を、図1に示されるように検査領域Fの上流側及び下流側に間隔をおいて複数枚ずつ垂下させることで、物品の通過とX線漏洩防止を両立している。なお、X線漏洩防止カーテン22は、コンベア41との間に隙間を生じない長さに設定されている。
【0026】
搬送機構4のコンベア41は、図1及び図5に示されるように、始端41b及び終端41cに従動ローラー411,411が設けられ、その中間で、かつ下方に、大径の駆動ローラー412が設けられ、これらのローラーにコンベアベルト413が巻き掛けられる。駆動ローラー412の近傍には、駆動ローラー412に対するコンベアベルト413の巻き掛け量を増すための補助ローラー414,414が設けられる。コンベア41の両側方には、上記各ローラーを軸方向の両側から挟み込むようにして回動自在に支持するローラー支持プレート415,416が設けられている。コンベア41の駆動源は、搬送機構4には設けられておらず、本体フレーム2側に設けられている。そのため、駆動ローラー412の一端(図1及び図5における奥側)には、本体フレーム2に設けられる駆動源の駆動回転軸23と連結するための連結機構(不図示)が備えられており、両者は、コンベア41を検査領域Fへ適正にセットすることにより連結される。
【0027】
コンベア41の側部41aを片持支持する片持フレーム42は、脚部に設けられるキャスター43によりコンベア41の移動を可能とするものであるが、床面等にはキャスター43の位置を規制するガイド部材等は設けられていない。そこで、片持フレーム42の両側部に段付きローラー421,421を設けておき、これらを本体フレーム2に設けられるガイド部材24,24に係合させることにより、コンベア41の位置規制を行うようにしている。なお、X線源5によるX線は、図2に示されるように、照射方向(下方)へ進むにつれて物品の搬送方向と略直交する方向に広がるが、同方向に延設される大径の駆動ローラー412で遮られる。
【0028】
本体フレーム2の移動開口2aを覆うX線漏洩防止カバー3は、搬送機構4よりも上方に設けられているため、X線漏洩防止カバー3のみを設けただけでは、検査領域Fで上方から照射されたX線が、X線漏洩防止カバー3と搬送機構4の隙間から搬送経路Rの側方へ漏洩するおそれがある。そのため、本実施形態では、図2及び図6に示されるように、搬送機構4とX線漏洩防止カバー3との間に位置するように、搬送機構4側に設けられ、搬送機構4とX線漏洩防止カバー3の隙間を詰めることにより、搬送方向の側方へのX線の漏洩を防止するX線側方漏洩防止部材7が採用されている。X線側方漏洩防止部材7は、X線漏洩防止カバー3寄りのローラー支持プレート416の上縁部に沿うように、図5及び図6に示されるように、ビス7aで着脱自在に取り付けられて、X線漏洩防止カバー3と上下方向で重なるように上方へ延設されるとともに、その表面が板厚の金属板71で覆われている。
【0029】
X線側方漏洩防止部材7は、搬送方向の寸法X1(図5)が、X線漏洩防止カバー3を開放したときの開口幅よりも小さく設定されており、X線漏洩防止カバー3を開放すれば、X線側方漏洩防止部材7を取り外さなくても、コンベア41を引っ掛かりなく検査領域F外へ移動させることができるようになっている。なお、上述したように、検査領域FはX線漏洩防止カーテン22で仕切られているため、X線側方漏洩防止部材7が搬送方向の寸法X1が短くても、直ちにX線が周囲へ漏洩することはない。X線側方漏洩防止部材7には、図5乃至図7に示されるように、その下端部から水平方向に延びて、コンベアベルト413とローラー支持プレート416の隙間を詰める遮蔽片72が一体的に備えられている。
【0030】
X線検出器6は、その一端に設けられるリングの固定具62を本体フレーム2の背面側に貫通させ、これに閂63をかけることにより、本体フレーム2に片持支持され、物品の搬送方向と略直交するように延設される。X線検出器6は、搬送経路Rの下方、具体的には、検査領域Fにセットされたコンベア41の搬送面と駆動ローラー412の間に収まる位置に設けられている。なお、コンベア41の背面側には、X線検出器6と干渉しないように処理した開口等が備えられている。X線検出器6は、X線源5から搬送方向と略直交する方向に広がるX線を撮像できるように、その上面に物品の搬送方向と略直交するように延びるライン状のセンサ部61を備える。
【0031】
ところで、センサ部61は、図7に示されるように、センサ部61の一部の領域61aの上方が上述した遮蔽片72により遮られて、X線源5から照射されるX線の一部が検出できないように設定されている。しかし、遮蔽片72を備える搬送機構4が適正位置にセットされていない場合には、遮蔽片72で遮蔽されるX線の一部がX線検査器6によって検出される、すなわち、X線検査器6において本来X線が照射されない領域61aにX線が照射されることになる。そこで、遮蔽片72で遮蔽されるべきX線の一部がX線検査器6により検出される場合には、X線照射が自動的に停止することとしている。なお、遮蔽片72は、X線側方漏洩防止部材7と一体的に備えられているので、X線側方漏洩防止部材7が搬送機構4に対して取り付けられていない場合にも、X線照射が自動的に停止されることになる。
【0032】
〔上記実施形態の特徴点〕
上記実施形態は、上記のように構成される結果、下記のような特徴点を有する。第一に、コンベア41は、片持フレーム42で片持支持されており、キャスター43により本体フレーム2に対するセット位置である検査領域Fから、その外へ移動可能であるという特徴点を有する。したがって、コンベア41の各部に手が届きやすく、特に、本体フレーム2に遮られていない状態で支持端側に対する作業ができるため、清掃、メンテナンス等が容易に行える。
【0033】
第二に、移動開口2aを覆うX線漏洩防止カバー3及びこれを回動支持する回転軸21の最下端部が、搬送機構4の最上端部よりも上方に位置するという特徴点を有する。したがって、清掃、メンテナンス等を実施する際に、コンベア41を検査領域F外に移動させること、すなわち、搬送機構4を引き出すことが容易に行える。
【0034】
第三に、X線漏洩防止カバー3が、二枚に分割された観音扉状の分割カバー31,31で構成されるという特徴点を有する。したがって、X線漏洩防止カバーが上開きである場合や一枚物にした場合に比べて、小さな力で開閉することができる。また、カバーの旋回半径も小さくなるので、カバー開閉だけのために、装置回りに広いスペースを取らなくても済む。特に、X線漏洩防止カバー3は、X線を遮るために鉛を使用したり、厚手に形成したりする等で非常に重くなるため、効果が大きい。
【0035】
第四に、X線漏洩防止カバー3と搬送機構4(コンベア41)の隙間から搬送方向の側方へのX線の漏洩を防止するX線側方漏洩防止部材7を、搬送機構4(コンベア41)とX線漏洩防止カバー3との間に位置するように、かつ、搬送機構4側に備えるという特徴点を有する。したがって、搬送方向の側方へのX線漏洩を一層確実に防止するという効果に加えて、搬送物品が搬送経路Rから外れないようにする位置規制部材としての効果が得られるものである。
【0036】
第五に、X線側方漏洩防止部材7の搬送方向の寸法X1を、X線漏洩防止カバー3の開口幅よりも小さく設定したという特徴点を有する。したがって、X線側方漏洩防止部材7の最上端がX線漏洩防止カバー3や回転軸21の最下端より上方に位置する場合でも、X線漏洩防止カバー3を開放するだけで、X線側方漏洩防止部材7を引っ掛けることなく、搬送機構4を引き出せる。
【0037】
第六に、コンベア41に設けられる遮蔽片72で遮蔽されるべきX線がX線検出器6で検出されたときに、X線照射を停止するという特徴点を有する。したがって、遮蔽片72を備えるコンベア41が適正位置にセットされていない状態でX線が照射される事態を防止して、安全性を確保することができる。
【0038】
第七に、遮蔽片72がX線側方漏洩防止部材7に一体的に備えられるという特徴点を有するので、X線側方漏洩防止部材が取り付けられていない状態で、X線が照射される事態も防止して、安全性をより一層高めることができるものである。
【0039】
第八に、コンベア41を構成する駆動ローラー412が、X線源5によりX線が照射される方向において、その広がり方向に延設されているという特徴点を有する。したがって、コンベア41を透過するX線は、駆動ローラー412で遮られることとなり、床面等で直接反射されて周囲へ拡散することが防止される。
【0040】
第九に、コンベア41は、検査領域Fにセットされることにより、駆動ローラー412が本体フレーム2側に設けられる駆動源(駆動回転軸23)と連結されるという特徴点を有する。搬送機構4は、モーター等の駆動源を有していないので、電気系統部品が一切設けられておらず、清掃時に水がかかっても大きな支障なく、また、移動時に本体フレーム2との間で配線を接続したりする煩雑な作業をしなくても済むものである。
【0041】
なお、本発明のX線検査装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施形態に係るX線検査装置1の正面図。
【図2】本実施形態に係るX線検査装置1の側面図
【図3】本実施形態に係るX線検査装置1の平面図。
【図4】本実施形態に係るX線検査装置1のX線漏洩防止カバー3を開放して搬送機構4を引き出した状態を示す正面図。
【図5】図1の一部拡大図。
【図6】図2の一部拡大図。
【図7】図2のA−Aによる一部断面拡大図。
【符号の説明】
【0043】
1 X線検査装置
2 本体フレーム
2a 移動開口
2b 搬送開口
21 回転軸
22 X線漏洩防止カーテン
23 駆動回転軸
24 ガイド部材
3 X線漏洩防止カバー
31 分割カバー
4 搬送機構
41 コンベア
41a 側部
41b 始端
41c 終端
411 従動ローラー
412 駆動ローラー
413 コンベアベルト
414 補助ローラー
415 ローラー支持プレート
416 ローラー支持プレート
42 片持フレーム
421 段付きローラー
43 キャスター(移動手段)
5 X線源
6 X線検査器
61 センサ部
61a センサ部(遮蔽片72によりX線が遮蔽される領域)
62 固定具
63 閂
7 X線側方漏洩防止部材
7a ビス
71 金属板
72 遮蔽片
R 搬送経路
F 検査領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送機構にて搬送し、搬送経路中に設けられる検査領域にてX線源からX線を照射し、前記検査領域を通過する物品を透過したX線をX線検出器にて検出し、前記X線検査器で検出したX線を画像処理するX線検査装置であって、
本体フレームと、
前記搬送経路の側方へのX線の漏洩を防止するX線漏洩防止カバーと、
前記X線漏洩防止カバーを回動開閉させるように前記本体フレームに垂設された回転軸と、を備え、
前記X線検出器は、前記搬送方向と略直交するように延設されて、その一端を前記本体フレームに片持支持されており、
前記搬送機構は、コンベアと、該コンベアの側部を片持支持する片持ちフレームと、前記コンベアを前記検査領域外へ移動する移動手段と、を有し、
前記X線漏洩防止カバー及び前記回転軸の最下端部が、前記搬送機構の最上端部よりも上方に位置することを特徴とするX線検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載のX線検査装置であって、
前記X線漏洩防止カバーは、二枚に分割された観音扉状であることを特徴とするX線検査装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のX線検査装置であって、
前記搬送機構と前記X線漏洩防止カバーとの間に位置するように、前記搬送機構側に、前記搬送方向の側方へのX線の漏洩を防止するX線側方漏洩防止部材が備えられていることを特徴とするX線検査装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のX線検査装置であって、
前記X線側方漏洩防止部材は、前記搬送方向の寸法が前記X線漏洩防止カバーの開口幅よりも小さく設定されていることを特徴とするX線検査装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のX線検査装置であって、
前記搬送機構側には、前記X線源から前記X線検査器へ照射されるX線の一部を遮蔽する遮蔽片を備えられており、
前記遮蔽片で遮蔽されるべき前記X線の一部が前記X線検査器によって検出される場合には、前記X線源からのX線照射を停止することを特徴とするX線検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載のX線検査装置であって、
前記遮蔽片は、前記X線側方漏洩防止部材に一体的に備えられていることを特徴とするX線検査装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載のX線検査装置であって、
前記搬送機構の駆動ローラーは、前記X線源によるX線の照射方向において、その広がり方向に延設されていることを特徴とするX線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−337340(P2006−337340A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−165918(P2005−165918)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】