説明

X線診断装置及び画像データ生成方法

【課題】 被検体に対するX線被曝線量をあまり増大させることなく関心領域における高画質な診断用画像データと前記関心領域の周囲に設定した参照領域における参照用画像データを得る。
【解決手段】 被検体150とX線管31との間に設けられるX線可動絞り器の絞り羽根321を、所定のX線透過率を有する絞り羽根321aとX線を完全に遮断する絞り羽根321bによって構成し、これらの絞り羽根を矢印(⇔)の方向に移動することにより、夫々の絞り開口の位置と大きさを任意に設定する。このとき、絞り羽根321bによる開口を絞り羽根321aによる開口より広く設定することにより、X線検出部における平面検出器21の撮像領域Rxiには、被検体150の関心領域Riを透過した高線量X線が、又、前記撮像領域Rxiの周囲における撮像領域Rxrには、前記被検体150の参照領域Rrを透過した低線量X線が照射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線診断装置及び画像データ生成方法に係り、特に、X線可動絞り器を用いることにより被検体に対する被曝線量の低減を可能にしたX線診断装置及び画像データ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
X線診断装置やMRI装置、あるいはX線CT装置などを用いた医用画像診断技術は、コンピュータ技術の発展に伴って急速な進歩を遂げ、今日の医療において必要不可欠なものとなっている。
【0003】
X線診断は、近年ではカテーテル手技の発展に伴い循環器分野を中心に進歩を遂げている。循環器診断用のX線診断装置は、通常、X線照射部及びX線検出部と、これらを保持する保持機構と、寝台(天板)及び信号処理部を備えている。そして、CアームあるいはΩアームによって構成される保持機構と寝台を回動あるいは移動させることにより患者等(以下では、被検体と呼ぶ。)に対して好適な撮影位置や撮影方向を設定している。
【0004】
又、上述のX線照射部にはX線を発生するX線管が設けられ、更に、このX線管と被検体との間には、X線の照射範囲を制御して被検体に対する無用なX線被曝を回避する絞り羽根や吸収の少ない媒質を透過したX線によるハレーションを防止する補償フィルタ等を有したX線可動絞り器が備えられている。このX線可動絞り器に設けられたスライド可能な複数枚の絞り羽根は開口を形成し、X線管から放射されたX線が被検体の診断対象領域(以下では、関心領域と呼ぶ。)に対して選択的に照射されるように、前記開口の大きさ及び位置が設定される(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平4−288146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のX線診断装置によって得られたX線画像データ(以下では、画像データと呼ぶ。)の観察下においてカテーテル等を用いた治療を行なう所謂IVR(Interventional radiology)が広く行われている。このIVRの開発により、医師(以下では、操作者と呼ぶ。)は、X線診断装置のモニタ上に表示された被検体患部の画像データを観察しながら治療用カテーテルの先端部を所望部位に挿入して治療することが可能となったため、治療における安全性と効率が飛躍的に向上している。
【0006】
このような場合、カテーテル先端部及び被検体患部(即ち、治療対象部位)を中心とした関心領域を特に詳細に観察する必要があるため、従来のIVRでは、上述の関心領域に対してのみX線が照射されるようにX線可動絞り器における絞り羽根の移動制御が行われていた。同様にして、消化器用のX線診断装置等を用いて腫瘍組織に対する針生検(バイオプシ検査)を行なう場合においても、生検針の先端部や腫瘍組織を中心に設定した関心領域に対してのみX線が照射されるように上記絞り羽根は制御されていた。
【0007】
しかしながら、上述のIVRにおいては、挿入されたカテーテルあるいは生検針と周囲臓器との位置関係の把握や挿入方向の確認等を行なうために関心領域の周囲(以下では、参照領域と呼ぶ。)における画像データも要求される場合がある。そして、このような場合には、絞り羽根の開口を拡張することにより関心領域及び参照領域に対する画像データの生成と表示を行なってきた。
【0008】
ところで、上述の関心領域に対しては高線量のX線を用いて高画質の画像データを生成する必要があるが、参照領域に対しては臓器やカテーテル等の輪郭が捉えられる程度の画質であればよく、従って、低線量のX線であっても構わない。しかしながら、従来のX線可動絞り器を用いた場合、関心領域に対する高線量X線の照射と参照領域に対する低線量X線の照射を同時に行なうことが不可能であったため、関心領域の画像データ(以下では、診断用画像データと呼ぶ。)と参照領域の画像データ(以下では、参照用画像データと呼ぶ。)を同時に観察したい場合には、絞り羽根の開口を拡張した状態で高線量X線を照射する必要があり、従って、被検体に対する被爆線量が著しく増大するという問題点を有していた。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、X線可動絞り器を用いて関心領域に対する高線量のX線照射とこの関心領域の周囲の参照領域に対する低線量のX線照射を同時に行なうことにより、被検体のX線被曝線量をあまり増大させることなく関心領域における高画質な診断用画像データと参照領域における広範囲な参照用画像データを得ることが可能なX線診断装置及び画像データ生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明のX線診断装置は、X線を放射するX線管と、被検体に対して前記X線管が放射したX線を照射する関心領域と前記X線を所定の大きさに減衰させて照射する参照領域を設定するX線絞り手段と、前記関心領域及び前記参照領域を透過したX線を検出するX線検出手段と、このX線検出手段が検出したX線情報に基づいて画像データを生成する画像データ生成手段とを備えたことを特徴としている。
【0011】
一方、請求項13に係る本発明の画像データ生成方法は、低線量X線を用い被検体に対して画像データを生成するステップと、生成した前記画像データの観察下にて前記被検体に対する関心領域及び参照領域を設定するステップと、所望のX線透過率を有する絞り羽根を選択するステップと、選択した前記絞り羽根を前記関心領域及び前記参照領域の位置情報に基づいて移動するステップと、移動後の前記絞り羽根を介して前記被検体に高線量X線を照射し、前記関心領域における診断用画像データ及び前記参照領域における参照用画像データを生成するステップとを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、X線可動絞り器を用いて関心領域に対する高線量のX線照射と、この関心領域の周囲に設定した参照領域に対する低線量のX線照射を同時に行なうことにより、被検体に対するX線被曝線量をあまり増大させることなく関心領域における高画質な診断用画像データと参照領域における参照用画像データを得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0014】
以下に述べる本発明の実施例の特徴は、所定サイズの円孔を所定間隔で2次元配列することによりそのX線透過率が所望の値に設定された第1の絞り羽根と、X線を略完全に遮断する第2の絞り羽根とを備えたX線可動絞り部を用い、X線管から放射され第1の絞り羽根の開口部を通過した高線量X線の被検体に対する照射により関心領域を設定し、第2の絞り羽根の開口部における前記第1の絞り羽根を透過した低線量X線の前記被検体に対する照射によって参照領域を設定することにある。
【0015】
(装置の構成)
本発明の実施例におけるX線診断装置の構成につき図1乃至図5を用いて説明する。図1は、X線診断装置の全体構成を示すブロック図、図2乃至図4は、このX線診断装置のX線発生部に設けられたX線可動絞り器の構成と機能を示す図、又、図5は、X線検出部における平面検出器の構成を示す図である。
【0016】
図1のX線診断装置100は、被検体150に対してX線を発生するためのX線発生部1と、被検体150を透過したX線を2次元的に検出すると共に、この検出結果に基づいてX線投影データを生成するX線検出部2と、X線発生部1のX線照射部3とX線検出部2(以下、これらを纏めて撮像系と呼ぶ。)を保持する図示しない保持部と、被検体150を載置する天板10と、前記撮像系や天板10、更には、X線発生部1の後述するX線可動絞り器32における絞り羽根等の移動制御を行なう移動機構部6と、X線検出部2において生成されたX線投影データに基づいて診断用画像データ及び参照用画像データの生成と保存を行なう画像データ生成・記憶部7と、この画像データ生成・記憶部7において生成された診断用画像データ及び参照用画像データを表示する表示部8を備えている。
【0017】
更に、X線診断装置100は、前記絞り羽根におけるX線透過率の設定、絞り羽根の移動方向及び移動位置の設定と移動指示信号の入力、更には、各種コマンドの入力等を行なう操作部9と、X線診断装置100の上記各ユニットを統括的に制御するシステム制御部11を備えている。
【0018】
X線発生部1は、X線照射部3と高電圧発生部4を有しており、X線照射部3はX線管31とX線可動絞り器32を備え、高電圧発生部4は、高電圧発生器42と高電圧制御部41を備えている。X線照射部3のX線管31は、X線を発生する真空管であり、陰極(フィラメント)より放出された電子を高電圧により加速してタングステン陽極に衝突させX線を発生する。
【0019】
一方、X線可動絞り器32は、被検体150に対する被曝線量の低減と画質向上を目的として用いられ、図2に示すようにX線管31から放射された高線量X線の被検体150における照射領域(関心領域)Riとこの高線量X線を所定の大きさに減衰させた低線量X線の前記被検体150における照射領域(参照領域)Rrを設定する上羽根(以下では、絞り羽根と呼ぶ。)321を備えている。又、絞り羽根321に連動して散乱線や漏れ線量を低減する下羽根322や、吸収量が少ない媒質を透過したX線を選択的に低減させてハレーションを防止する補償フィルタ323等を有している。
【0020】
更に、X線可動絞り器32は、絞り羽根321、下羽根322及び補償フィルタ323を所望の位置に移動させるためのワイヤロープとプーリを有した絞り羽根移動機構324a、下羽根移動機構324b及び補償フィルタ移動機構324cを備えている。
【0021】
次に、本実施例におけるX線診断装置100の重要部分である絞り羽根321の構成と機能につき図3を用いて更に詳しく説明する。
【0022】
図3において、被検体150を挟んでX線管31と後述するX線検出部2の平面検出器21は対向して配置され、更に、X線管31の前面にはX線可動絞り器32の絞り羽根321が設けられている。そして、絞り羽根321は、例えば、所定のX線透過率を有する絞り羽根321a(第1の絞り羽根)とX線を完全に遮断する絞り羽根321b(第2の絞り羽根)を備え、絞り羽根321a及び絞り羽根321bの各々は、ワイヤロープを介して図2の絞り羽根移動機構324aに接続されている。尚、上述の絞り羽根321a及び絞り羽根321bは、何れも略同一のX線透過率を有する4枚の絞り羽根を一組として構成されている。
【0023】
そして、絞り羽根移動機構324aは、絞り羽根321a及び絞り羽根321bの各々を図3の矢印方向(⇔)に移動することにより、高線量X線用開口及び低線量X線用開口の大きさと位置を任意に設定することが可能となっている。このとき、絞り羽根321bによる開口を絞り羽根321aによる開口より広く設定することにより、平面検出器21の略中央部には、絞り羽根321aの開口を通過し被検体150の関心領域Riを透過した高線量X線による撮像領域Rxiが形成され、前記撮像領域Rxiの周囲には、絞り羽根321bの開口を通過し絞り羽根321aと被検体150の参照領域Rrを透過した低線量X線による撮像領域Rxrが形成される。又、撮像領域Rxrの周囲には、絞り羽根321bによってX線が略完全に遮蔽された撮像領域Rxcが形成される。
【0024】
即ち、上述の撮像領域Rxiには、被検体150の関心領域Riを透過した高線量X線が、又、撮像領域Rxrには、前記被検体150の参照領域Rrを透過した低線量X線が照射される。尚、X線を略完全に遮蔽するために設けられた絞り羽根321bは、従来と同様な鉛板によって構成されている。
【0025】
次に、高線量X線を減衰させて低線量X線に変換する絞り羽根321aの具体例につき図4を用いて説明する。図4(a)は、1枚の絞り羽根321aを示したものであり、図4(b)は、図4(a)に示した絞り羽根321aの一部(例えば、矩形枠Faで示した左下端部)を拡大して示している。この場合、絞り羽根321aの鉛板Baには、直径Laの円孔Bbが間隔Lbで2次元配列されており、この円孔Bbの直径La及び配列間隔Lbにより絞り羽根321aのX線透過率は制御される。
【0026】
一方、図1のX線可動絞り器32には、例えば、円孔の直径Laあるいは配列間隔Lbを変更することにより異なるX線透過率を有した複数組の絞り羽根321aと、これらの絞り羽根321aを所望の位置に移動する絞り羽根移動機構324aが設けられている。そして、絞り羽根移動機構324aは、移動機構部6の絞り移動制御部61から供給される制御信号に基づいて所望のX線透過率を有した一組の絞り羽根321aを選択し図3に示した所定位置に移動する。尚、絞り羽根321aにおける円孔の直径は0.5mm乃至5mmが好適であるが特に限定されない。
【0027】
次に、高電圧発生部4の高電圧発生器42は、X線管31の陰極から発生する熱電子を加速するために、陽極と陰極の間に印加する高電圧を発生させ、高電圧制御部41は、システム制御部11を介して操作部9から供給されたX線照射条件に基づいて高電圧発生器42の管電流/管電圧、照射時間、照射繰返し周期等を制御する。
【0028】
一方、X線検出部2は、被検体150の関心領域Riを透過した高線量X線及び参照領域Rrを透過した低線量X線を電荷に変換して蓄積する平面検出器21と、この平面検出器21に蓄積された電荷を読み出すためのゲートドライバ22と、読み出された電荷からX線投影データを生成する投影データ生成部20を備えている。尚、X線検出方式には、X線を直接電荷に変換する方式と、一旦光に変換した後電荷に変換する方式があり、本実施例では前者を例に説明するが後者であっても構わない。又、平面検出器21の代わりにX線I.I.を用いた方式であってもよい。
【0029】
X線検出部2の平面検出器21は、図5に示すように微小な検出素子51を列方向及びライン方向に2次元的に配列して構成されており、各々の検出素子51はX線を感知し入射X線量に応じて電荷を生成する光電膜52と、この光電膜52に発生した電荷を蓄積する電荷蓄積コンデンサ53と、電荷蓄積コンデンサ53に蓄積された電荷を所定のタイミングで読み出すTFT(薄膜トランジスタ)54を備えている。以下では説明を簡単にするために、検出素子51が列方向(図5の上下方向)、及びライン方向(図5の左右方向)に2素子ずつ配列されている場合の平面検出器21の構成について説明する。
【0030】
図5に示した平面検出器21では、光電膜52−11、52−12、52−21、52−22の第1の端子と、電荷蓄積コンデンサ53−11、53−12、53−21、53−22の第1の端子とが接続され、更に、その接続点はTFT54−11、54−12、54−21、54−22のソース端子へ接続される。一方、光電膜52−11、52−12、52−21、52−22の第2の端子は、図示しないバイアス電源に接続され、電荷蓄積コンデンサ53−11、53−12、53−21、53−22の第2の端子は接地される。更に、ライン方向のTFT54−11及びTFT54−21のゲートはゲートドライバ22の出力端子22−1に共通接続され、TFT54−12、及びTFT54−22のゲートはゲートドライバ22の出力端子22−2に共通接続される。
【0031】
一方、列方向のTFT54−11及び54−12のドレイン端子は信号出力線59−1に共通接続され、TFT54−21及び54−22のドレイン端子は信号出力線59−2に共通接続される。そして、信号出力線59−1、59−2は投影データ生成部20に接続されている。一方、ゲートドライバ22は、X線照射によって検出素子51の光電膜52で発生し電荷蓄積コンデンサ53にて蓄積される信号電荷を読み出すために、TFT54のゲート端子に読み出し用の駆動パルスを供給する。
【0032】
図1に戻って、投影データ生成部20は、平面検出器21から読み出された電荷を電圧に変換する電荷・電圧変換器23と、電荷・電圧変換器23の出力をデジタル信号に変換するA/D変換器24と、平面検出器21からライン単位でパラレルに読み出されデジタル変換されたX線投影データを時系列信号に変換するパラレル・シリアル変換器25を備えている。尚、上述の電荷・電圧変換器23及びA/D変換器24は、平面検出器21における信号出力線59と等しいチャンネル数から構成されている。
【0033】
次に、移動機構部6は、X線照射部3及びX線検出部2の平面検出器21(撮像系)を被検体150に対して相対的に移動させるために、天板10を被検体150の体軸方向に移動させる天板移動機構62と、撮像系を保持部と共に被検体150の周囲で回動あるいは移動させる撮像系移動機構63と、撮像系移動機構63及び天板移動機構62を制御する機構制御部64と、X線照射部3におけるX線可動絞り器32の移動を制御する絞り移動制御部61を備えている。
【0034】
機構制御部64は、システム制御部11を介して操作部9から供給される指示信号に従がって天板10及び撮像系の移動や回動を制御し、被検体150に対するX線照射方向やX線照射位置を設定あるいは更新する。
【0035】
一方、絞り移動制御部61は、操作部9において初期設定あるいは更新された絞り羽根321aのX線透過率に基づいて、X線照射部3のX線可動絞り部32に設けられた複数組の絞り羽根321aの中から前記X線透過率を有する一組の絞り羽根321aを選択する。又、操作部9からシステム制御部11を介して供給された絞り羽根321aの移動指示信号に基づいて絞り羽根321b及び前記絞り羽根321aの各々に接続された絞り羽根移動機構324aに対し、絞り羽根321a及び絞り羽根321bを所望の位置に移動するための制御信号を供給する。
【0036】
更に、絞り移動制御部61は、移動後の絞り羽根321a及び絞り羽根321bの位置情報に基づいてX線可動絞り器32の下羽根322及び補償フィルタ323に接続された下羽根移動機構324b及び補償フィルタ移動機構324cに対しても所定位置に移動するための制御信号を供給する。
【0037】
次に、画像データ生成・記憶部7は、表示部8に表示するための画像データを生成する機能を有し、図示しない記憶回路と演算回路を備えている。そして、前記記憶回路には、X線検出部2の投影データ生成部20におけるパラレル・シリアル変換器25によってライン方向の時系列信号に変換されたX線投影データが順次保存されて診断用画像データ及び参照用画像データから構成される1枚の画像データが生成される。一方、前記演算回路は、生成された画像データに対し、必要に応じて輪郭強調やS/N改善等を目的とした画像処理演算を行なう。
【0038】
一方、表示部8は、図示しない表示データ生成回路、変換回路及びモニタを備え、前記表示データ生成回路は、画像データ生成・記憶部7が生成した画像データに対して所定の表示形態に対応した変換処理を行ない、更に、その付帯情報である数字や各種文字等を合成して表示データを生成する。次いで、前記変換回路は、この表示データに対してD/A変換とテレビフォーマット変換を行なって映像信号を生成し前記モニタに表示する。
【0039】
次に、操作部9は、キーボード、トラックボール、ジョイスティック、マウスなどの入力デバイスや表示パネルあるいは各種スイッチ等を備えたインタラクティブなインターフェースであり、被検体情報の入力、絞り羽根321a及び絞り羽根321bに対する移動方向及び移動位置の設定と移動指示信号の入力、絞り羽根321aにおけるX線透過率の設定、天板10の移動方向や移動速度の設定、撮像系の回動/移動方向及び回動/移動速度の設定、管電圧や管電流を含むX線照射条件の設定、更には、各種指示信号の入力等を行なう。
【0040】
尚、絞り羽根321aにおけるX線透過率の設定の代わりに、被検体150の参照領域RrにおけるX線照射量の設定あるいは前記X線透過率を有した絞り羽根321aの選択を操作部9において行なってもよい。
【0041】
そして、システム制御部11は、図示しないCPUと記憶回路を備え、操作部9から供給された入力情報、設定情報及び選択情報を前記記憶回路に一旦保存した後、これらの情報に基づいて上述の各ユニットを統括的に制御し、画像データの生成と表示を行なう。
【0042】
(画像データの生成手順)
次に、図6に示したフローチャートを用いて本実施例のX線診断装置100による画像データの生成手順について説明する。
【0043】
尚、以下の説明では、カテーテルを介して造影剤が注入された被検体150の大腿動脈に対してX線撮影を行なう際に、低線量X線を用いた準備撮影モードにてカテーテル挿入状態の確認と関心領域及び参照領域の設定を行ない、次いで、本撮影モードにて高線量X線による関心領域の撮影と低線量X線による参照領域の撮影を行なう場合について述べるが、これに限定されない。
【0044】
又、X線可動絞り器32における絞り羽根321aのX線透過率を操作部9において設定し、移動機構部6の絞り移動制御部61は、このX線透過率に基づいて複数組の絞り羽根321aの中から好適な一組の絞り羽根321aを選択する場合について述べるが、既に述べたように、参照領域RrにおけるX線照射量の設定あるいは前記X線透過率を有した絞り羽根321aの選択を操作部9において行なってもよい。
【0045】
画像データの生成に先立って、操作者は、X線診断装置100の操作部9において被検体情報を入力した後、絞り羽根321aのX線透過率を設定し、更に、準備撮影モード及び本撮影モードにおけるX線照射条件等の初期設定を行なう(図6のステップS1)。そして、これらの初期設定情報はシステム制御部11の記憶回路に保存される。
【0046】
但し、ここでは造影剤注入用カテーテルの挿入状態の確認や被検体150に対する撮影方向の設定、更には、関心領域Riや参照領域Rrの設定を目的とし、比較的低線量のX線によって画像データを生成する撮影モードを準備撮影モード、上述の設定が終了した段階で高線量のX線を用いて精査(診断)用の画像データを生成する撮影モードを本撮影モードと呼ぶ。
【0047】
次いで、操作者は、被検体150を天板10に載置し、更に、X線照射部3とX線検出部2によって構成される撮像系と天板10を好適な位置に移動あるいは回動することにより被検体150に対するX線照射方向を初期設定する。そして、上述の初期設定が終了したならば、操作部9において準備撮影モードの画像データを生成するための撮影開始指示信号を入力し、この撮影開始指示信号がシステム制御部11に供給されることによって準備撮影が開始される(図6のステップS2)。
【0048】
この撮影開始指示信号を受信したシステム制御部11は、自己の記憶回路に保存されている準備撮影モードのX線照射条件を読み出す。次いで、このX線照射条件をX線発生部1の高電圧制御部41に供給し、更に、X線発生のための駆動信号を前記高電圧制御部41に供給する。
【0049】
この駆動信号を受信した高電圧制御部41は、前記X線照射条件の情報に基づいて高電圧発生器42を制御しX線照射部3のX線管31に高電圧を印加する。そして、高電圧が印可されたX線管31は、X線可動絞り器32を介して被検体150に対しX線を所定期間照射し、被検体150を透過したX線は、その後方に設けられたX線検出部2の平面検出器21によって検出される。
【0050】
平面検出器21は、図5に示したようにライン方向と列方向に2次元配列された検出素子51から構成されており、検出素子51は、被検体150を透過したX線を受信して、そのX線透過量に比例した信号電荷を検出素子51の電荷蓄積コンデンサ53に蓄積する。X線照射が終了すると、システム制御部11からクロックパルスが供給されたゲートドライバ22は、平面検出器21に対して駆動パルスを供給して検出素子51の電荷蓄積コンデンサ53に蓄積された信号電荷を列方向に順次読み出す。
【0051】
読み出された信号電荷は、投影データ生成部20における電荷・電圧変換器23において電圧に変換され、更に、A/D変換器24においてデジタル信号に変換された後パラレル・シリアル変換器25のメモリにおいて1ライン分の投影データとして一旦保存される。そして、システム制御部11は、保存された投影データをライン単位でシリアルに順次読み出し、画像データ生成・記憶部7の記憶回路に保存して2次元の画像データを生成する。
【0052】
一方、画像データ生成・記憶部7の演算回路は、必要に応じて前記記憶回路に保存された画像データを読み出し、輪郭強調やS/N改善を目的とした画像処理演算を行なう。そして、処理後の画像データを前記記憶回路に再度保存する。
【0053】
次に、表示部8の表示データ生成回路は、画像データ生成・記憶部7の記憶回路に保存された画像データを読み出し、所定の表示フォーマットに変換して表示データを生成する。そして、表示部8の変換回路は、この表示データに対しD/A変換とTVフォーマット変換を行ない、得られた映像信号をモニタに表示する。
【0054】
以下同様にして、準備撮影モードにおける第2、第3、・・・の駆動信号がシステム制御部11からX線発生部1の高電圧制御部41に対して供給され、これらの駆動信号に基づいて、X線照射部3、X線検出部2、画像データ生成・記憶部7及び表示部8は、上述と同様の動作を繰り返すことにより被検体150に対する準備撮影モードの画像データを生成し、このとき時系列的に得られた複数枚の画像データは表示部8のモニタにリアルタイム画像として表示される(図6のステップS3)。
【0055】
そして、操作者は、表示部8に表示された準備撮影モードの画像データを観察し、撮影方向や撮影位置が適当でない場合には、操作部9より移動機構部6の機構制御部64に対して撮像系あるいは天板10の位置を更新するための指示信号を供給する。この指示信号を受信した機構制御部64は、撮像系移動機構63あるいは天板移動機構62に駆動信号を供給して撮像系や天板10の位置を更新し、被検体150に対して好適な撮影位置及び撮影方向を設定する(図6のステップS4)。
【0056】
次いで、操作者は、更新された撮影位置及び撮影方向において得られ表示部8のモニタにリアルタイム表示された画像データを観察しながら被検体150の鼠ケイ部(足の付け根部)より造影剤注入用のカテーテルを挿入し(図6のステップS5)、その先端部が例えば大腿動脈の所定部位に到達したことを確認したならば、画像データ上のカテーテル先端部を中心として所定サイズの関心領域及び参照領域を設定する(図6のステップS6)。
【0057】
即ち、操作者は、準備撮影モードにおいて生成された画像データの観察下にてX線可動絞り器32における絞り羽根321a及び絞り羽根321bの位置を操作部9の入力デバイスを用いて設定する。一方、移動機構部6の絞り移動制御部61は、操作部9にて初期設定されたX線透過率の情報をシステム制御部11より受信し、X線照射部3のX線可動絞り器32に収納された複数組の絞り羽根321aの中から前記X線透過率を有する絞り羽根321aを選択する。
【0058】
次いで、絞り移動制御部61は、システム制御部11を介して受信した絞り羽根321a及び絞り羽根321bの位置情報に基づいて移動制御信号を生成し、この移動制御信号を絞り羽根移動機構324aに供給して絞り羽根321b及び選択した前記絞り羽根321aを所定位置に移動する。このとき、絞り羽根321aの移動により関心領域Riの大きさと位置が決定され、絞り羽根321bの移動により参照領域Rrの大きさと位置が決定される。
【0059】
準備撮影モードの画像データにおいて関心領域Ri及び参照領域Rrの設定が終了したならば、操作者は、操作部9において本撮影モードにおける画像データを生成するための撮影開始指示信号を入力する(図6のステップS7)。
【0060】
この撮影開始指示信号を操作部9から受信したシステム制御部11は、X線発生部1の高電圧制御部41に対し駆動信号を供給して既に設定されている準備撮影モードのX線照射条件を本撮影モードのX線照射条件に更新し、X線照射部3のX線管31は、新たに設定されたX線照射条件に基づき被検体150に対してX線を照射する。
【0061】
以下、システム制御部11は、各ユニットを制御して上述の準備撮影モードにおける画像データの生成及び表示と同様の手順によって本撮影モードにおける画像データの生成と表示を行なう(図6のステップS8)。一方、操作者は、表示部8にリアルタイム表示された本撮影モードにおける画像データの観察下にて、図示しない造影剤インジェクタを用い被検体150の大腿動脈内に造影剤を注入する(図6のステップS9)。
【0062】
そして、造影剤注入前後の所定期間において時系列的に生成される複数枚の画像データは、画像データ生成・記憶部7に保存されると共に表示部8のモニタにリアルタイム表示される。
【0063】
尚、本撮影モードにおける画像データの観察中に関心領域Riや参照領域Rrの変更、あるいは絞り羽根321aにおけるX線透過率の変更が必要になった場合には、操作者は、操作部9において上述の手順と同様の手順によって更新することが可能である。
【0064】
(変形例)
次に、本実施例の変形例につき図7を用いて説明する。
【0065】
図7は、X線可動絞り器32における絞り羽根321aの変形例であり、図7(a)は、1次元配列された短冊状のX線遮蔽板Sbによって構成された1枚の絞り羽根321aを示している。一方、図7(b)は、図7(a)の矩形枠Fbにおける絞り羽根321aの構造を示したものであり、X線遮蔽板Sbの各々は、X線照射方向に対して角度αだけ傾斜して設定されている。そして、絞り羽根321aのX線透過率はX線遮蔽板Sbの傾斜角度αによって制御される。
【0066】
一方、X線遮蔽板Sbの下端部あるいは上端部は連結アームCmに回動自在に接続され、この連結アームCmの端部は絞り羽根移動機構324aに接続されている。そして、連結アームCmのS1方向への移動に伴なうX線遮蔽板SbのS2方向への回動により前記傾斜角度αは変化し、この傾斜角度αにより絞り羽根321aのX線透過率は制御される。
【0067】
尚、上述の絞り羽根321aを4枚組み合わせて用いることにより関心領域Ri及び参照領域Rrを設定する手順については上述の実施例と同様であるため説明を省略する。
【0068】
以上述べた本発明の実施例及びその変形例によれば、X線可動絞り器における絞り羽根のX線透過率を制御することにより、関心領域に対する高線量のX線照射とこの関心領域の周囲に設定した参照領域に対する低線量のX線照射を同時に行なうことが可能となる。従がって、被検体に対するX線被曝線量をあまり増大させることなく関心領域における高画質な診断用画像データと参照領域における参照用画像データを得ることができる。
【0069】
特に、画像データ観察下にてカテーテルや穿刺針等を用いて治療を行なう場合、関心領域において得られた高分解能の画像データによってカテーテルや穿刺針の先端部近傍における治療部位の設定や治療効果の確認を行ない、更に、関心領域の周囲に設定した比較的広範囲の参照領域において得られる参照画像データによってカテーテルや穿刺針の挿入方向や挿入経路あるいは周囲臓器との位置関係等を把握することが容易となる。
【0070】
又、腫瘍等の観察においても、診断用画像データにおいて病巣部を詳細に観察し、参照用画像データにおいて前記病巣部と周囲臓器との位置関係を把握することができる。
【0071】
図8は、上述の本実施例による効果の具体例を説明するための図であり、図8(a)は、絞り羽根321aを全開した従来法により得られた画像データP1、図8(b)は、X線を完全に遮断する従来の絞り羽根によって設定された関心領域における画像データP2を示す。一方、図8(c)は、上述の実施例において得られた関心領域Riにおける診断用画像データPiと参照領域Rrにおける参照用画像データPrを示す。
【0072】
例えば、☆印で示したカテーテルの先端部を中心に画像データを生成する場合、図8(a)の方法によれば、広範囲において高画質の画像データが得られるが画像化する全ての領域に対して高線量X線が照射されるため被検体150に対する被曝線量は多い。
【0073】
又、図8(b)の方法によれば、高線量X線の照射は、関心領域に限られるため被検体150に対する被曝線量は図8(a)の方法と比較して低減するが、広範囲の画像データが得られないためカテーテルの挿入経路や周囲臓器に関する情報等を捉えることができない。
【0074】
一方、図8(c)に示した本実施例の方法によれば、関心領域Riに対し高線量X線を照射して得られた診断用画像データPiと、参照領域Rrに対し低線量X線を照射して得られた参照用画像データPrが同時に得られるため、参照用画像データPrを参照しながら高画質な診断用画像データPiによる診断を行なうことが可能となり、しかも、被検体150に対する被曝線量は図8(a)の方法と比較して低減させることができる。
【0075】
以上述べた理由により、本実施例に拠れば、当該被検体150に対する診断あるいは治療の効率や精度、更には安全性が向上する。
【0076】
又、診断用画像データと参照用画像データは、同時かつ空間的に連続して生成・表示されるため画像データ間の関連付けが容易となる。従がって、診断あるいは治療を担当するX線診断装置の操作者の負担を軽減することができる。
【0077】
以上、本発明の実施例について述べてきたが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく変形して実施することが可能である。例えば、上述の実施例では、カテーテルを介して造影剤が注入された被検体150の大腿動脈に対してX線撮影を行なう場合について述べたが、穿刺針を用いた治療におけるX線撮影や通常のX線撮影においても同様の効果を得ることができる。
【0078】
又、低線量X線を用いた準備撮影モードにて関心領域と参照領域の設定を行ない、次いで、本撮影モードにて高線量X線による関心領域の撮影と低線量X線による参照領域の撮影を行なう場合について述べたが、本撮影モードにおいて関心領域及び参照領域の設定を行なっても構わない。
【0079】
一方、絞り羽根321aにおけるX線透過率の制御方法として、鉛板に2次元配列した円孔の直径や配列間隔を制御する方法(図4参照)と、1次元配列した短冊状X線遮蔽板の傾斜角度を制御する方法(図7参照)について述べたが、これらの方法に限定されるものではなく、例えば、1次元あるいは2次元の格子状透過孔における透過孔幅や配列間隔を制御する方法であってもよい。又、絞り羽根321aに使用する材料自身のX線透過率を制御してもよい。
【0080】
例えば、図9に示した絞り羽根321bは、従来と同様にしてX線透過率0%の鉛板によって構成され、絞り羽根321aは、X線透過率がα%(0<α<100)及びβ%(0<β<100)の2種類のX線遮蔽板Sb1及びSb2によって構成されている。この場合、X線遮蔽板Sb1及びSb2の各々は、ゴムやプラスチック等のベース材に鉛、錫、タングステン等の微粒子を混入して形成され、そのX線透過率は混入した微粒子の種類や濃度によって制御される。
【0081】
即ち、X線照射部3のX線可動絞り器32には、上述の方法によって形成されたX線透過率の異なる複数組のX線遮蔽板が予め収納され、操作部9にて設定された絞り羽根321aのX線透過率に基づいて前記複数組のX線遮蔽板の中から好適な一組あるいは複数組のX線遮蔽板が選択される。
【0082】
上述の微粒子を混入する方法によれば、空間的に均一な低線量X線を被検体150の参照領域Rrに照射することができるため高画質な参照用画像データが得られる。又、X線透過率の異なる複数組のX線遮蔽板を重ねることにより絞り羽根321aのX線透過率を正確かつ容易に制御することが可能となる。
【0083】
尚、絞り羽根321bにおけるX線透過率0%の鉛板の代わりに所定のX線透過率γ%(γ≠0)を有した一組あるいは複数組のX線遮蔽板を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施例におけるX線診断装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施例におけるX線可動絞り器の構成を示す図。
【図3】同実施例のX線可動絞り器における絞り羽根の構成と機能を説明するための図。
【図4】同実施例における絞り羽根の具体例を示す図。
【図5】同実施例における平面検出器の構成を示す図。
【図6】同実施例における画像データの生成手順を示すフローチャート。
【図7】同実施例における絞り羽根の変形例を示す図。
【図8】同実施例の効果を説明するための図。
【図9】同実施例における絞り羽根の他の変形例を示す図。
【符号の説明】
【0085】
1…X線発生部
2…X線検出部
3…X線照射部
4…高電圧発生部
6…移動機構部
7…画像データ生成・記憶部
8…表示部
9…操作部
10…天板
11…システム制御部
20…投影データ生成部
21…平面検出器
22…ゲートドライバ
23…電荷・電圧変換器
24…A/D変換器
25…パラレル・シリアル変換器
31…X線管
32…X線可動絞り器
41…高電圧制御部
42…高電圧発生器
61…絞り移動制御部
62…天板移動機構
63…撮像系移動機構
64…機構制御部
100…X線診断装置
321…絞り羽根(上羽根)
322…下羽根
323…補償フィルタ
324a…絞り羽根移動機構
324b…下羽根移動機構
324c…補償フィルタ移動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を放射するX線管と、
被検体に対して前記X線管が放射したX線を照射する関心領域と前記X線を所定の大きさに減衰させて照射する参照領域を設定するX線絞り手段と、
前記関心領域及び前記参照領域を透過したX線を検出するX線検出手段と、
このX線検出手段が検出したX線情報に基づいて画像データを生成する画像データ生成手段とを
備えたことを特徴とするX線診断装置。
【請求項2】
前記X線絞り手段は、絞り羽根移動手段と所定のX線透過率を有した少なくとも一組の絞り羽根とを備え、前記絞り羽根移動手段は、前記絞り羽根を所望の位置に移動することによって前記関心領域と前記参照領域との境界を設定することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記X線絞り手段は、絞り羽根選択手段及び絞り羽根移動手段と異なるX線透過率を有した複数組の絞り羽根とを備え、前記絞り羽根移動手段は、前記絞り羽根選択手段が前記複数組の絞り羽根の中から選択した所望のX線透過率を有する一組あるいは複数組の絞り羽根を所望の位置に移動することにより前記関心領域と前記参照領域との境界を設定することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記X線絞り手段は、絞り羽根選択手段及び絞り羽根移動手段と異なるX線透過率を有した複数組の絞り羽根をと備え、前記絞り羽根移動手段は、前記絞り羽根選択手段が前記複数組の絞り羽根の中から選択した所望のX線透過率を有する少なくとも2組の絞り羽根を所望の位置に移動することにより前記関心領域及び前記参照領域を設定することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記X線絞り手段は、所定のX線透過率を有した第1の絞り羽根により前記関心領域を設定し、前記第1の絞り羽根とX線を遮断する第2の絞り羽根により前記参照領域を設定することを特徴とする請求項4記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記X線絞り手段は、前記関心領域の周囲に前記参照領域を設定することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項7】
前記絞り羽根は、1次元あるいは2次元に配列された複数個の透過孔を有したX線遮蔽板から構成され、透過孔幅及び配列間隔の少なくとも何れかにより前記X線透過率を制御することを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れか1項に記載したX線診断装置。
【請求項8】
前記絞り羽根は、1次元配列された短冊状のX線遮蔽板を有し、前記絞り羽根移動手段は、X線放射方向に対する前記X線遮蔽板の傾斜角度を変更することにより前記X線透過率を制御することを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れか1項に記載したX線診断装置。
【請求項9】
前記絞り羽根は、高分子材料からなるベース材にX線を遮断する元素の微粒子を混入して形成されることを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れか1項に記載したX線診断装置。
【請求項10】
前記ベース材は、ゴムあるいはプラスチックの何れかであることを特徴とする請求項9記載のX線診断装置。
【請求項11】
前記微粒子は、鉛、錫及びタングステンの少なくとも何れかであることを特徴とする請求項9記載のX線診断装置。
【請求項12】
前記X線検出手段は、前記被検体における前記関心領域を透過したX線と前記参照領域を透過したX線を略同時に検出し、前記画像データ生成手段は、前記関心領域における診断用画像データと前記参照領域における参照用画像データを有した前記画像データを生成することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項13】
低線量X線を用い被検体に対して画像データを生成するステップと、
生成した前記画像データの観察下にて前記被検体に対する関心領域及び参照領域を設定するステップと、
所望のX線透過率を有する絞り羽根を選択するステップと、
選択した前記絞り羽根を前記関心領域及び前記参照領域の位置情報に基づいて移動するステップと、
移動後の前記絞り羽根を介して前記被検体に高線量X線を照射し、前記関心領域における診断用画像データ及び前記参照領域における参照用画像データを生成するステップとを
有することを特徴とする画像データ生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−288554(P2006−288554A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−111337(P2005−111337)
【出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】