X線透視撮影装置
【課題】 コリメータが閉止状態にあった場合においても適正な画像を迅速に得ることができ、また、被検者へのX線被曝量を低減させることが可能なX線透視撮影装置を提供する。
【解決手段】 X線透視撮影装置は、画像表示部31に表示する画像の輝度を一定とするための自動輝度制御回路12と、コリメータ部23におけるコリメータリーフの開き量を検出するコリメータ制御部25とを備える。制御部10は、コリメータリーフの開き量が一定以下のときには、自動輝度制御回路12によるX線出力のフィードバック制御を停止する。
【解決手段】 X線透視撮影装置は、画像表示部31に表示する画像の輝度を一定とするための自動輝度制御回路12と、コリメータ部23におけるコリメータリーフの開き量を検出するコリメータ制御部25とを備える。制御部10は、コリメータリーフの開き量が一定以下のときには、自動輝度制御回路12によるX線出力のフィードバック制御を停止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はX線透視撮影装置に関し、特に、透視または連続撮影を行うX線透視撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透視を行うX線透視撮影装置においては、画像表示部に表示される画像の輝度を一定に保つために、IBSやABCと呼ばれる自動輝度制御方式が採用されている。また、連続撮影を行うX線透視撮影装置においても、入射線量に応じてX線を自動遮断することにより所定の画像輝度を得るAECと呼ばれる露出制御方式が採用されている。これらの制御方式は、画像表示部に表示する画像の輝度を一定とするため、X線検出器からの画像信号に基づいてX線管に印加する管電圧および管電流をフィードバック制御するものである(特許文献1参照)。
【0003】
また、X線管とX線検出器との間には、X線管から照射されたX線の被検者に対する照射領域を規制するため、X線管からのX線の照射領域に開閉可能に配設された複数のコリメータリーフを備えたコリメータ部が設置されている。このコリメータ部におけるコリメータリーフの開き量は、観察する対象部位に応じて、X線被曝量を低減するためにオペレータにより調整される(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−234198号公報
【特許文献2】特開2007−213979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、エージングやX線管のテスト出力等を行う場合には、X線が外部に漏洩することを防止するため、コリメータ部におけるコリメータリーフを閉止位置に配置する場合がある。このため、これらの作業の後に、このX線透視撮影装置を使用して透視や撮影を行う場合には、コリメータリーフが意図せずに閉止位置に配置されている場合がある。このような場合に、輝度を一定とするためのフィードバック制御を実行した状態で透視や連続撮影を開始したときには、X線がX線検出器に到達しないことから輝度が極めて低いものと判定され、X線の出力条件が最大出力に調整されてしまう。
【0006】
オペレータがこれに気付き、コリメータ部を操作してコリメータリーフを所定位置まで開放すると、これに伴ってX線の出力条件が最大出力から次第に低下し、自動輝度制御機構により一定時間後に適正出力となる。しかしながら、この間に被検者が不要な被曝を受けることになるばかりではなく、診断に不要な画像が撮影される間に無駄な時間が経過するという問題がある。
【0007】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、コリメータが閉止状態にあった場合においても適正な画像を迅速に得ることができ、また、被検者へのX線被曝量を低減させることが可能なX線透視撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、X線を照射するX線管と、被検者を通過したX線を検出するX線検出器と、前記X線検出器からの画像信号に基づいて画像を表示する画像表示部とを備えたX線透視撮影装置において、前記画像表示部に表示する画像の輝度を一定とするため、前記X線検出器からの画像信号に基づいて、前記X線管に印加する管電圧および管電流をフィードバック制御する自動輝度制御手段と、前記X線管からのX線の照射領域に開閉可能に配設された複数のコリメータリーフを備え、前記X線管から照射されたX線の被検者に対する照射領域を規制するコリメータ部と、前記コリメータ部におけるコリメータリーフの開き量を検出する開閉度検出手段と、前記開閉度検出手段により検出したコリメータリーフの開き量が一定以下のときには、前記自動輝度制御手段による管電流および管電圧のフィードバック制御を停止する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記開閉度検出手段により検出したコリメータリーフの開き量が一定以下のときには、警告表示を行う。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、コリメータリーフの開き量が一定以下のときには自動輝度制御手段による管電流および管電圧の制御を停止することから、コリメータ部のコリメータリーフが意図せずに閉止位置あるいはその付近に配置されていた場合であっても、X線管の出力を短時間で適正値にして適正な画像を迅速に得ることができ、また、被検者への無駄なX線被曝量を低減させることが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、コリメータリーフの開き量が一定以下のときに警告表示を行うことから、オペレータがコリメータリーフの状態を迅速に認識してその開き量を変更することができる。このため、X線管の出力をより短時間で適正値にして適正な画像を迅速に得ることができ、また、被検者への無駄なX線被曝量をさらに低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明に係るX線透視撮影装置の概要図である。
【図2】コリメータ部23の要部を示す斜視図である。
【図3】この発明に係るX線透視撮影装置の主要な電気的構成を示すブロク図である。
【図4】コリメータリーフ24の開き量とX線管21から照射されるX線の出力との関係を示すグラフである。
【図5】コリメータリーフ24の開き量とX線管21から照射されるX線の出力との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係るX線透視撮影装置の概要図であり、図2は、そのコリメータ部23の要部を示す斜視図である。
【0014】
このX線透視撮影装置は透視を実行するものであり、被検者26を載置するテーブル27と、X線管21と、このX線管21から照射され被検者26を通過したX線を検出するX線検出器としてのフラットパネルディテクタ22と、X線管21から射出されたX線が被検者26に照射される領域である視野のサイズを変更するためのコリメータ部23とを備える。コリメータ部23は、図2に示すように、各々往復移動可能な4枚のコリメータリーフ24を備える。このコリメータ部23の作用により、X線管21から被検者に照射されるX線の領域である視野Eが規定される。
【0015】
図3は、この発明に係るX線透視撮影装置の主要な電気的構成を示すブロク図である。
【0016】
このX線透視撮影装置は、装置全体を制御する制御部10を備える。この制御部10は、上述したフラットパネルディテクタ22と接続されている。また、この制御部10は、上述したコリメータ部23と、このコリメータ部23におけるコリメータリーフ24の開閉動作を制御するコリメータ制御部25を介して接続されている。このコリメータ制御部25は、コリメータ部23におけるコリメータリーフ24の開き量を検出する開閉度検出手段として機能する。
【0017】
また、この制御部10は、上述したX線管21と、このX線管21に対して管電圧および管電流を付与してX線出力を制御するX線管制御部28を介して接続されている。このX線透視撮影装置においては、コリメータ部23におけるコリメータリーフ24の開き量と、X線管21から照射されるX線の出力とは、この制御部10により制御される。さらに、この制御部10は、X線透視画像やその他の画像を表示するための画像表示部31と、キーボード等の入力部32とにも接続されている。
【0018】
また、この制御部10は、画像処理部11と自動輝度制御回路12とを備える。ここで、画像処理部11は、フラットパネルディテクタ22からの画像信号を画像処理して、画像表示部31に適正な透視画像を表示するためのものである。また、自動輝度制御回路12は、画像表示部31に表示する画像の輝度を一定とするため、フラットパネルディテクタ22からの画像信号に基づいて、X線管制御部28からX線管21に印加する管電圧および管電流をフィードバック制御するためのものである。この自動輝度制御回路12としては、例えば、IBS回路やABC回路が使用される。
【0019】
そして、この制御部10は、コリメータリーフ24の開き量が一定以下のときには、自動輝度制御回路12によるX線管21の出力のフィードバック制御を停止する構成となっている。また、この制御部10は、透視開始後にコリメータリーフ24の開き量が一定以下のときには、画像表示部31に警告表示を行う構成となっている。
【0020】
このようなX線透視撮影装置により被検者26に対して透視を実行するときには、オペレータが透視開始前または透視開始後に、手動でコリメータリーフ24の開閉ボタンを操作することなどにより、X線管21から被検者に照射されるX線の領域である視野Eを設定する。
【0021】
しかしながら、エージングやX線管のテスト出力等を行った場合など、コリメータリーフ24を閉止状態にした場合には、オペレータが透視を実行する前にコリメータリーフ24を開く操作を失念する場合がある。この場合には、X線管21から照射されたX線がフラットパネルディテクタ22に到達しないことになる。このため、X線の照射を開始したときに、自動輝度制御回路12が画像表示部31に表示する画像の輝度が低いと判断して、X線管制御部28にX線管21の出力をあげるように指令を出すことから、X線管21から照射されるX線の出力が最大出力に調整されてしまう。
【0022】
オペレータがこれに気付いてコリメータ部23におけるコリメータリーフ24を開放した場合には、X線管21から照射されるX線の出力は徐々に小さくなるが、適正出力になるまでに長い時間を要する。このため、この発明に係るX線透視撮影装置においては、コリメータリーフ24の開き量が一定以下のときには、自動輝度制御回路12によるX線管21の出力のフィードバック制御を停止している。
【0023】
図4および図5は、コリメータリーフ24の開き量とX線管21から照射されるX線の出力との関係を示すグラフである。なお、このグラフは、コリメータ部23におけるコリメータリーフ24が閉じていた場合を示している。ここで、図4は、自動輝度制御回路12によるX線管21の出力のフィードバック制御を常に実行した状態を示し、図5は、コリメータリーフ24の開き量が一定以下のときには自動輝度制御回路12によるX線管21の出力のフィードバック制御を停止した状態を示している。
【0024】
図4に示す、自動輝度制御回路12によるX線管21の出力のフィードバック制御を常に実行した状態において、X線管21から照射されるX線の出力は、予め設定された初期条件となっている。この初期条件は、撮影部位や撮影条件により予め設定された管電圧および管電流値による出力値である。
【0025】
この初期条件でX線管21からX線を照射した場合においては、コリメータ部23におけるコリメータリーフ24が閉じられていることから、自動輝度制御回路12が画像表示部31に表示する画像の輝度が低いと判断し、この自動輝度制御回路12によるフィードバック制御の作用により、X線管21から照射されるX線の出力は、初期条件から最大出力となるまで上昇する。
【0026】
このときには、制御部10の指令により、画像表示部31に警告表示がなされる。このため、オペレータが、図4において符号Tで示す時点でコリメータリーフ24が閉じられていることに気付き、入力部32からコリメータ制御部25に対してコリメータリーフ24の開放指令を送信する。これにより、各コリメータリーフ24が開放方向に移動した場合には、若干のタイムラグの後、X線管21から照射されるX線の出力が設定値にまで低下する。
【0027】
この場合には、コリメータ部23におけるコリメータリーフ24の開き量が設定開放量に対して100%となった後も、X線管21から照射されるX線の出力は設定値とはなっておらず、X線管21から照射されるX線の出力は低下状態を継続している。このため、図4に符号tで示す時間が経過する。この時間tの間は、被検者26が不要な被曝を受けることになるばかりではなく、診断に不要な画像が撮影される間に無駄な時間が経過するという問題が生ずる。
【0028】
これに対して、図5に示す、コリメータリーフ24の開き量が一定以下のときには自動輝度制御回路12によるX線管21の出力のフィードバック制御を停止した状態においては、X線管21から照射されるX線の出力は、コリメータ部23におけるコリメータリーフ24の開き量が一定以下である間は、予め設定された初期条件のまま推移する。
【0029】
このときには、制御部10の指令により、画像表示部31に警告表示がなされる。このため、オペレータが、図5において符号Tで示す時点でコリメータリーフ24が閉じられていることに気付き、入力部32からコリメータ制御部25に対してコリメータリーフ24の開放指令を送信する。これにより、各コリメータリーフ24が開放方向に移動した場合、コリメータリーフの開き量が一定以上となった時点T2から、自動輝度制御回路12によるX線管21の出力のフィードバック制御が開始される。
【0030】
このため、図5に示すように、コリメータ部23におけるコリメータリーフ24の開き量が設定開放量に対して100%となった直後に、X線管21から照射されるX線の出力が設定値となる。従って、被検者26が不要な被曝を受けることを防止することができるばかりではなく、診断を迅速に実行することが可能となる。
【0031】
なお、上述した実施形態においては、X線透視撮影装置として透視を実行するものについて説明したが、連続撮影を実行するX線透視撮影装置にこの発明を適用してもよい。この場合においては、自動輝度制御回路12としては、例えば、AECと呼ばれる自動露出制御回路が使用される。
【符号の説明】
【0032】
10 制御部
11 画像処理部
12 自動輝度制御回路
21 X線管
22 フラットパネルディテクタ
23 コリメータ部
24 コリメータリーフ
25 コリメータ制御部
26 被検者
27 テーブル
28 X線管制御部
31 画像表示部
32 入力部
【技術分野】
【0001】
この発明はX線透視撮影装置に関し、特に、透視または連続撮影を行うX線透視撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透視を行うX線透視撮影装置においては、画像表示部に表示される画像の輝度を一定に保つために、IBSやABCと呼ばれる自動輝度制御方式が採用されている。また、連続撮影を行うX線透視撮影装置においても、入射線量に応じてX線を自動遮断することにより所定の画像輝度を得るAECと呼ばれる露出制御方式が採用されている。これらの制御方式は、画像表示部に表示する画像の輝度を一定とするため、X線検出器からの画像信号に基づいてX線管に印加する管電圧および管電流をフィードバック制御するものである(特許文献1参照)。
【0003】
また、X線管とX線検出器との間には、X線管から照射されたX線の被検者に対する照射領域を規制するため、X線管からのX線の照射領域に開閉可能に配設された複数のコリメータリーフを備えたコリメータ部が設置されている。このコリメータ部におけるコリメータリーフの開き量は、観察する対象部位に応じて、X線被曝量を低減するためにオペレータにより調整される(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−234198号公報
【特許文献2】特開2007−213979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、エージングやX線管のテスト出力等を行う場合には、X線が外部に漏洩することを防止するため、コリメータ部におけるコリメータリーフを閉止位置に配置する場合がある。このため、これらの作業の後に、このX線透視撮影装置を使用して透視や撮影を行う場合には、コリメータリーフが意図せずに閉止位置に配置されている場合がある。このような場合に、輝度を一定とするためのフィードバック制御を実行した状態で透視や連続撮影を開始したときには、X線がX線検出器に到達しないことから輝度が極めて低いものと判定され、X線の出力条件が最大出力に調整されてしまう。
【0006】
オペレータがこれに気付き、コリメータ部を操作してコリメータリーフを所定位置まで開放すると、これに伴ってX線の出力条件が最大出力から次第に低下し、自動輝度制御機構により一定時間後に適正出力となる。しかしながら、この間に被検者が不要な被曝を受けることになるばかりではなく、診断に不要な画像が撮影される間に無駄な時間が経過するという問題がある。
【0007】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、コリメータが閉止状態にあった場合においても適正な画像を迅速に得ることができ、また、被検者へのX線被曝量を低減させることが可能なX線透視撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、X線を照射するX線管と、被検者を通過したX線を検出するX線検出器と、前記X線検出器からの画像信号に基づいて画像を表示する画像表示部とを備えたX線透視撮影装置において、前記画像表示部に表示する画像の輝度を一定とするため、前記X線検出器からの画像信号に基づいて、前記X線管に印加する管電圧および管電流をフィードバック制御する自動輝度制御手段と、前記X線管からのX線の照射領域に開閉可能に配設された複数のコリメータリーフを備え、前記X線管から照射されたX線の被検者に対する照射領域を規制するコリメータ部と、前記コリメータ部におけるコリメータリーフの開き量を検出する開閉度検出手段と、前記開閉度検出手段により検出したコリメータリーフの開き量が一定以下のときには、前記自動輝度制御手段による管電流および管電圧のフィードバック制御を停止する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記開閉度検出手段により検出したコリメータリーフの開き量が一定以下のときには、警告表示を行う。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、コリメータリーフの開き量が一定以下のときには自動輝度制御手段による管電流および管電圧の制御を停止することから、コリメータ部のコリメータリーフが意図せずに閉止位置あるいはその付近に配置されていた場合であっても、X線管の出力を短時間で適正値にして適正な画像を迅速に得ることができ、また、被検者への無駄なX線被曝量を低減させることが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、コリメータリーフの開き量が一定以下のときに警告表示を行うことから、オペレータがコリメータリーフの状態を迅速に認識してその開き量を変更することができる。このため、X線管の出力をより短時間で適正値にして適正な画像を迅速に得ることができ、また、被検者への無駄なX線被曝量をさらに低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明に係るX線透視撮影装置の概要図である。
【図2】コリメータ部23の要部を示す斜視図である。
【図3】この発明に係るX線透視撮影装置の主要な電気的構成を示すブロク図である。
【図4】コリメータリーフ24の開き量とX線管21から照射されるX線の出力との関係を示すグラフである。
【図5】コリメータリーフ24の開き量とX線管21から照射されるX線の出力との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係るX線透視撮影装置の概要図であり、図2は、そのコリメータ部23の要部を示す斜視図である。
【0014】
このX線透視撮影装置は透視を実行するものであり、被検者26を載置するテーブル27と、X線管21と、このX線管21から照射され被検者26を通過したX線を検出するX線検出器としてのフラットパネルディテクタ22と、X線管21から射出されたX線が被検者26に照射される領域である視野のサイズを変更するためのコリメータ部23とを備える。コリメータ部23は、図2に示すように、各々往復移動可能な4枚のコリメータリーフ24を備える。このコリメータ部23の作用により、X線管21から被検者に照射されるX線の領域である視野Eが規定される。
【0015】
図3は、この発明に係るX線透視撮影装置の主要な電気的構成を示すブロク図である。
【0016】
このX線透視撮影装置は、装置全体を制御する制御部10を備える。この制御部10は、上述したフラットパネルディテクタ22と接続されている。また、この制御部10は、上述したコリメータ部23と、このコリメータ部23におけるコリメータリーフ24の開閉動作を制御するコリメータ制御部25を介して接続されている。このコリメータ制御部25は、コリメータ部23におけるコリメータリーフ24の開き量を検出する開閉度検出手段として機能する。
【0017】
また、この制御部10は、上述したX線管21と、このX線管21に対して管電圧および管電流を付与してX線出力を制御するX線管制御部28を介して接続されている。このX線透視撮影装置においては、コリメータ部23におけるコリメータリーフ24の開き量と、X線管21から照射されるX線の出力とは、この制御部10により制御される。さらに、この制御部10は、X線透視画像やその他の画像を表示するための画像表示部31と、キーボード等の入力部32とにも接続されている。
【0018】
また、この制御部10は、画像処理部11と自動輝度制御回路12とを備える。ここで、画像処理部11は、フラットパネルディテクタ22からの画像信号を画像処理して、画像表示部31に適正な透視画像を表示するためのものである。また、自動輝度制御回路12は、画像表示部31に表示する画像の輝度を一定とするため、フラットパネルディテクタ22からの画像信号に基づいて、X線管制御部28からX線管21に印加する管電圧および管電流をフィードバック制御するためのものである。この自動輝度制御回路12としては、例えば、IBS回路やABC回路が使用される。
【0019】
そして、この制御部10は、コリメータリーフ24の開き量が一定以下のときには、自動輝度制御回路12によるX線管21の出力のフィードバック制御を停止する構成となっている。また、この制御部10は、透視開始後にコリメータリーフ24の開き量が一定以下のときには、画像表示部31に警告表示を行う構成となっている。
【0020】
このようなX線透視撮影装置により被検者26に対して透視を実行するときには、オペレータが透視開始前または透視開始後に、手動でコリメータリーフ24の開閉ボタンを操作することなどにより、X線管21から被検者に照射されるX線の領域である視野Eを設定する。
【0021】
しかしながら、エージングやX線管のテスト出力等を行った場合など、コリメータリーフ24を閉止状態にした場合には、オペレータが透視を実行する前にコリメータリーフ24を開く操作を失念する場合がある。この場合には、X線管21から照射されたX線がフラットパネルディテクタ22に到達しないことになる。このため、X線の照射を開始したときに、自動輝度制御回路12が画像表示部31に表示する画像の輝度が低いと判断して、X線管制御部28にX線管21の出力をあげるように指令を出すことから、X線管21から照射されるX線の出力が最大出力に調整されてしまう。
【0022】
オペレータがこれに気付いてコリメータ部23におけるコリメータリーフ24を開放した場合には、X線管21から照射されるX線の出力は徐々に小さくなるが、適正出力になるまでに長い時間を要する。このため、この発明に係るX線透視撮影装置においては、コリメータリーフ24の開き量が一定以下のときには、自動輝度制御回路12によるX線管21の出力のフィードバック制御を停止している。
【0023】
図4および図5は、コリメータリーフ24の開き量とX線管21から照射されるX線の出力との関係を示すグラフである。なお、このグラフは、コリメータ部23におけるコリメータリーフ24が閉じていた場合を示している。ここで、図4は、自動輝度制御回路12によるX線管21の出力のフィードバック制御を常に実行した状態を示し、図5は、コリメータリーフ24の開き量が一定以下のときには自動輝度制御回路12によるX線管21の出力のフィードバック制御を停止した状態を示している。
【0024】
図4に示す、自動輝度制御回路12によるX線管21の出力のフィードバック制御を常に実行した状態において、X線管21から照射されるX線の出力は、予め設定された初期条件となっている。この初期条件は、撮影部位や撮影条件により予め設定された管電圧および管電流値による出力値である。
【0025】
この初期条件でX線管21からX線を照射した場合においては、コリメータ部23におけるコリメータリーフ24が閉じられていることから、自動輝度制御回路12が画像表示部31に表示する画像の輝度が低いと判断し、この自動輝度制御回路12によるフィードバック制御の作用により、X線管21から照射されるX線の出力は、初期条件から最大出力となるまで上昇する。
【0026】
このときには、制御部10の指令により、画像表示部31に警告表示がなされる。このため、オペレータが、図4において符号Tで示す時点でコリメータリーフ24が閉じられていることに気付き、入力部32からコリメータ制御部25に対してコリメータリーフ24の開放指令を送信する。これにより、各コリメータリーフ24が開放方向に移動した場合には、若干のタイムラグの後、X線管21から照射されるX線の出力が設定値にまで低下する。
【0027】
この場合には、コリメータ部23におけるコリメータリーフ24の開き量が設定開放量に対して100%となった後も、X線管21から照射されるX線の出力は設定値とはなっておらず、X線管21から照射されるX線の出力は低下状態を継続している。このため、図4に符号tで示す時間が経過する。この時間tの間は、被検者26が不要な被曝を受けることになるばかりではなく、診断に不要な画像が撮影される間に無駄な時間が経過するという問題が生ずる。
【0028】
これに対して、図5に示す、コリメータリーフ24の開き量が一定以下のときには自動輝度制御回路12によるX線管21の出力のフィードバック制御を停止した状態においては、X線管21から照射されるX線の出力は、コリメータ部23におけるコリメータリーフ24の開き量が一定以下である間は、予め設定された初期条件のまま推移する。
【0029】
このときには、制御部10の指令により、画像表示部31に警告表示がなされる。このため、オペレータが、図5において符号Tで示す時点でコリメータリーフ24が閉じられていることに気付き、入力部32からコリメータ制御部25に対してコリメータリーフ24の開放指令を送信する。これにより、各コリメータリーフ24が開放方向に移動した場合、コリメータリーフの開き量が一定以上となった時点T2から、自動輝度制御回路12によるX線管21の出力のフィードバック制御が開始される。
【0030】
このため、図5に示すように、コリメータ部23におけるコリメータリーフ24の開き量が設定開放量に対して100%となった直後に、X線管21から照射されるX線の出力が設定値となる。従って、被検者26が不要な被曝を受けることを防止することができるばかりではなく、診断を迅速に実行することが可能となる。
【0031】
なお、上述した実施形態においては、X線透視撮影装置として透視を実行するものについて説明したが、連続撮影を実行するX線透視撮影装置にこの発明を適用してもよい。この場合においては、自動輝度制御回路12としては、例えば、AECと呼ばれる自動露出制御回路が使用される。
【符号の説明】
【0032】
10 制御部
11 画像処理部
12 自動輝度制御回路
21 X線管
22 フラットパネルディテクタ
23 コリメータ部
24 コリメータリーフ
25 コリメータ制御部
26 被検者
27 テーブル
28 X線管制御部
31 画像表示部
32 入力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を照射するX線管と、被検者を通過したX線を検出するX線検出器と、前記X線検出器からの画像信号に基づいて画像を表示する画像表示部とを備えたX線透視撮影装置において、
前記画像表示部に表示する画像の輝度を一定とするため、前記X線検出器からの画像信号に基づいて、前記X線管に印加する管電圧および管電流をフィードバック制御する自動輝度制御手段と、
前記X線管からのX線の照射領域に開閉可能に配設された複数のコリメータリーフを備え、前記X線管から照射されたX線の被検者に対する照射領域を規制するコリメータ部と、
前記コリメータ部におけるコリメータリーフの開き量を検出する開閉度検出手段と、
前記開閉度検出手段により検出したコリメータリーフの開き量が一定以下のときには、前記自動輝度制御手段による管電流および管電圧のフィードバック制御を停止する制御部と、
を備えたことを特徴とするX線透視撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載のX線透視撮影装置において、
前記開閉度検出手段により検出したコリメータリーフの開き量が一定以下のときには、警告表示を行うX線透視撮影装置。
【請求項1】
X線を照射するX線管と、被検者を通過したX線を検出するX線検出器と、前記X線検出器からの画像信号に基づいて画像を表示する画像表示部とを備えたX線透視撮影装置において、
前記画像表示部に表示する画像の輝度を一定とするため、前記X線検出器からの画像信号に基づいて、前記X線管に印加する管電圧および管電流をフィードバック制御する自動輝度制御手段と、
前記X線管からのX線の照射領域に開閉可能に配設された複数のコリメータリーフを備え、前記X線管から照射されたX線の被検者に対する照射領域を規制するコリメータ部と、
前記コリメータ部におけるコリメータリーフの開き量を検出する開閉度検出手段と、
前記開閉度検出手段により検出したコリメータリーフの開き量が一定以下のときには、前記自動輝度制御手段による管電流および管電圧のフィードバック制御を停止する制御部と、
を備えたことを特徴とするX線透視撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載のX線透視撮影装置において、
前記開閉度検出手段により検出したコリメータリーフの開き量が一定以下のときには、警告表示を行うX線透視撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2011−239803(P2011−239803A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111689(P2010−111689)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
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