説明

X線透視撮影装置

【課題】 コンパクトな構成でありながら、X線検出器の角度位置を容易かつ安全に変更することが可能なX線透視撮影装置を提供する。
【解決手段】 支持トレイ22が、フラットパネルディテクタによりX線を検出するための検出位置に配置された状態においては、ピン機構30におけるピンの先端とガイドカム35の凹部36とが係合している。この状態においては、ピンの後端と対向する位置には、ストッパー38における対向面39が近接配置されている。このため、回転トレイ23がガイドカム35とともに回転しようとしても、ピンの後端に対してストッパー38の対向面39が近接配置されていることから、ピンの先端がガイドカム35の凹部36から外周面に乗り上げることができない。従って、支持トレイ22が検出位置に配置されたときには、回転トレイ23の回転を制限することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、X線管から照射され被検者を通過したX線をX線検出器により検出するX線透視撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなX線検出装置においては、フラットパネルディテクタやイメージインテンシファイア(I.I.)あるいはフィルムを装填したカセッテ等のX線検出器を、装置本体に装着する必要がある。特許文献1には、カセッテを装填した後に一対の横アームを互いに接近する方向に移動させ、これらの横アームのいずれか一方がカセッテに線接触したときにカセッテを設定角度回転させる動作を繰り返すことにより、横アームでカセッテを挟むように面接触させて二次元方向一方の位置決めを行い、しかる後に、縦アームをキャリッジの移動方向の手前側に移動させ、カセッテを横アームに設けた位置決め部材に当接する位置まで移動させて二次元方向他方の位置決めを行うカセッテ速写装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開第2007−7251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の装置においては、X線検出器としてのカセッテの後方および左右方向に、縦アームおよび一対の横アームを設置するためのスペースが必要となる。このため、装置が大型化するばかりではなく、このX線検出器を移動させて透視撮影を行う場合には、その移動ストロークが制限を受ける場合がある。
【0005】
また、X線検出器は、ランドスケープ透視撮影姿勢とポートレート透視撮影姿勢との間でその装着状態を90度変更する必要がある場合があるが、従来の装置においては、X線検出器を一旦装置から取り外した後、その角度位置を調整して、再度、装置に装着し直す必要があり、操作が煩雑になるという問題も生じている。
【0006】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、コンパクトな構成でありながら、X線検出器の角度位置を容易かつ安全に変更することが可能なX線透視撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、X線管から照射され被検者を通過したX線をX線検出器により検出するX線透視撮影装置において、支持トレイと、前記X線検出器を支持した状態で前記支持トレイに対して回転可能に配設され、前記X線検出器を互いに直行する第1の透視撮影姿勢と第2の透視撮影姿勢との間で回動させる回転トレイと、前記支持トレイを、前記X線検出器によりX線を検出するための検出位置と、前記回転トレイを回転させるための回転位置との間で、往復移動可能に案内するガイド機構と、前記支持トレイが前記検出位置に配置されたときには前記回転トレイの回転を制限するとともに、前記支持トレイが前記回転位置に配置されたときには前記回転トレイの回転を許容し、かつ、前記X線検出器が第1の透視撮影姿勢または第2の透視撮影姿勢となっていない状態では、前記支持トレイの回転位置から検出位置への移動を規制する回転トレイ移動制御機構とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記X線検出器は、長方形の形状を有し、前記第1の透視撮影姿勢と前記第2の透視撮影姿勢は、前記X線検出器を横長として使用するランドスケープ透視撮影姿勢と前記X線検出器を縦長として使用するポートレート透視撮影姿勢である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記支持トレイに配設され、ピンと、当該ピンをその先端方向に向けて付勢するバネとを備えるピン機構と、前記回転トレイに配設されて前記回転トレイと同期して回転するとともに、前記X線検出器がランドスケープ透視撮影姿勢となった状態または前記X線検出器がポートレート透視撮影姿勢となった状態において、前記ピンの先端と係合する凹部が形成されたガイドカムと、前記ピンの後端と対向する対向面を有するとともに、前記対向面の前記支持トレイの往復移動方向と直交する方向の位置は、前記ピンが前記凹部と係合したときの前記ピンの後端よりも前記ガイドカム側から離隔し、前記ピンが前記凹部と係合しないときの前記ピンの後端よりも前記ガイドカム側に近接する位置であり、前記対向面が、前記支持トレイが前記検出位置あるいは前記検出位置と前記回転位置との間に配置されたときに前記ピンの後端と対向する全ての領域に配置されたストッパーとを備える。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記支持トレイを、前記検出位置と前記回転位置との間で往復移動させるための支持トレイ駆動モータと、前記回転トレイを、前記X線検出器がランドスケープ透視撮影姿勢となる状態と前記X線検出器がポートレート透視撮影姿勢となる状態との間で回動させるための回転トレイ駆動モータと、前記支持トレイが前記検出位置と前記回転位置のいずれの位置にあるかを判定する位置センサと、前記回転トレイの回転角度位置を検出する角度センサと、前記位置センサが前記支持トレイが前記検出位置に配置された判定したときには前記回転トレイ駆動モータの回転を制限するとともに、前記位置センサが前記支持トレイが前記回転位置に配置されたと判定したときには前記回転トレイ駆動モータの回転を許容し、かつ、前記角度センサが前記X線検出器がランドスケープ透視撮影姿勢またはポートレート透視撮影姿勢となっていないと判定したときには、前記支持トレイ駆動モータによる前記支持トレイの回転位置から検出位置への移動を規制する制御部とを備える。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記回転トレイ移動制御機構は、前記支持トレイに配設され、ピンと、当該ピンをその先端方向に向けて付勢するバネとを備えるピン機構と、前記回転トレイに配設されて前記回転トレイと同期して回転するとともに、前記X線検出器がランドスケープ透視撮影姿勢となった状態または前記X線検出器がポートレート透視撮影姿勢となった状態において、前記ピンの先端と係合する凹部が形成されたガイドカムと、前記ピンの後端と対向する位置に前記ピンと同期して移動可能に配設された従動部材と、前記従動部材を前記ピンの後端方向に付勢するバネと、前記従動部材の前記支持トレイの往復移動方向の移動を規制するための固定部材とを備える従動機構と、前記従動部材における前記ピンの後端と当接する端部とは逆側の端部と対向する対向面を有するとともに、前記対向面の前記支持トレイの往復移動方向と直交する方向の位置は、前記ピンが前記凹部と係合したときの前記従動部材における前記ピンの後端と当接する端部とは逆側の端部よりも前記ガイドカム側から離隔し、前記ピンが前記凹部と係合しないときの前記従動部材における前記ピンの後端と当接する端部とは逆側の端部よりも前記ガイドカム側に近接する位置であり、前記対向面が、前記支持トレイが前記検出位置あるいは前記検出位置と前記回転位置との間に配置されたときに前記従動部材における前記ピンの後端と当接する端部とは逆側の端部と対向する全ての領域に配置されたストッパーとを備える。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記従動機構における固定部材は、前記従動機構におけるバネを前記支持トレイに固定する固定部である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1から請求項4に記載の発明によれば、コンパクトな構成でありながら、X線検出器の角度位置を容易に変更することが可能となる。このとき、支持トレイが検出位置に配置されたときには前記回転トレイの回転を制限し、支持トレイが回転位置に配置されたときにのみ回転トレイの回転を許容することから、X線検出器が回転位置以外で回転することを防止することができ、また、X線検出器がランドスケープ透視撮影姿勢またはポートレート透視撮影姿勢となっていない状態では支持トレイの回転位置から検出位置への移動を規制することから、X線検出器が正しい位置に配置されていない状態で移動することを防止することができる。このため、X線検出器が他の部材と衝突する等の危険を未然に防止することが可能となる。
【0014】
特に、請求項4および請求項5に記載の発明によれば、X線検出器がランドスケープ透視撮影姿勢またはポートレート透視撮影姿勢となっていないときに、従動部材がストッパーと当接することにより、支持トレイの回転位置から検出位置への移動を規制することから、この規制動作によりピン機構に位置ずれが生ずることを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明に係るX線透視撮影装置の概要図である。
【図2】フラットパネルディテクタ装着部20の平面図である。
【図3】フラットパネルディテクタ装着部20におけるピン機構30付近の拡大図である。
【図4】フラットパネルディテクタ装着部20の平面図である。
【図5】フラットパネルディテクタ装着部20におけるピン機構30付近の拡大図である。
【図6】フラットパネルディテクタ装着部20の平面図である。
【図7】フラットパネルディテクタ装着部20におけるピン機構30付近の拡大図である。
【図8】この発明の第2実施形態に係るフラットパネルディテクタ装着部20の平面図である。
【図9】この発明の第2実施形態に係るX線透視撮影装置のブロック図である。
【図10】この発明の第3実施形態に係るフラットパネルディテクタ装着部20の正面図である。
【図11】この発明の第3実施形態に係るフラットパネルディテクタ装着部20の平面図である。
【図12】この発明の第3実施形態に係るフラットパネルディテクタ装着部20におけるピン機構30付近の拡大図である。
【図13】この発明の第3実施形態に係るフラットパネルディテクタ装着部20の平面図である。
【図14】この発明の第3実施形態に係るフラットパネルディテクタ装着部20におけるピン機構30付近の拡大図である。
【図15】この発明の第3実施形態に係るフラットパネルディテクタ装着部20の平面図である。
【図16】この発明の第3実施形態に係るフラットパネルディテクタ装着部20におけるピン機構30付近の拡大図である。
【図17】この発明の第3実施形態に係る従動機構60の変形例を示す拡大図である。
【図18】この発明の第3実施形態に係る従動機構60のさらに他の変形例を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係るX線透視撮影装置の概要図である。
【0017】
このX線透視撮影装置は、基台11と、この基台11に対して水平方向を向く軸心周りで回転可能に配設された回転フレーム12と、この回転フレーム12上のテーブル16の表面に配設された被検者載置用の天板13とを有する。回転フレーム12には、天板13を挟んで上方側にX線管15が支柱14を介して配設されるとともに、下方側には被検者を通過したX線を検出するX線検出器としてのフラットパネルディテクタ17が配設されている。このフラットパネルディテクタ17は、テーブル16に配設されたカバー部材21、支持トレイ22および回転トレイ23を備えたフラットパネルディテクタ装着部20に装着されている。
【0018】
次に、この発明の特徴部分であるフラットパネルディテクタ装着部20の構成について説明する。図2、図4および図6はフラットパネルディテクタ装着部20の平面図であり、図3、図5および図7はそのピン機構30付近の拡大図である。なお、図2および図3は、後述する支持トレイ22が、フラットパネルディテクタ17によりX線を検出するための検出位置に配置された状態を示している。また、図4および図5は、支持トレイ22が、後述する回転トレイ23を回転させるための回転位置に配置された状態を示している。さらに、図6および図7は、回転位置に配置された支持トレイ22上で回転トレイ23を回転させた状態を示している。
【0019】
なお、以下の実施形態においては、フラットパネルディテクタ17として長方形の形状を有するものを使用し、このフラットパネルディテクタ17を横長として使用するランドスケープ透視撮影姿勢と、このフラットパネルディテクタ17を縦長として使用するポートレート透視撮影姿勢とで透視撮影を実行している。フラットパネルディテクタ17として、例えば、半切りタイプ(17インチ×14インチ)のものを使用した場合には、ランドスケープ透視撮影姿勢では、体格の大きな被検者の骨盤を一枚の画像に修めることが可能となる。これに対して、ポートレート透視撮影姿勢では、例えば点滴注入腎盂造影法(DIP)において腎臓から膀胱までを一枚の画像に修めることが可能となる。
【0020】
但し、この発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、フラットパネルディテクタとして正方形の形状を有するものを使用する場合にも適用可能である。例えば、フラットパネルディテクタにおいて発生した欠損画素が、透視撮影された画像における関心部位付近に存在した場合には、正方形の形状を有するフラットパネルディテクタの姿勢を90度回転させることにより、関心部位を欠損画素ではない適正な画素により透視撮影することが可能となる。
【0021】
この発明の特徴部分であるフラットパネルディテクタ装着部20は、図1に示すテーブル16に固定されたカバー部材21と、このカバー部材21に配設された一対のガイドレール25により案内されることにより、カバー部材21に対して往復移動可能な支持トレイ22と、図1に示すフラットパネルディテクタ17を支持した状態で、支持トレイ22に対して軸29を中心に回転可能に配設された回転トレイ23とを備える。
【0022】
支持トレイ22の上面には、ピン機構30が固定されている。また、回転トレイ23の下面には、ガイドカム35が、回転トレイ23と同期して軸29を中心に回転可能に配設されている。このガイドカム35における軸29を中心として90度の角度だけ離隔した角度位置には、一対の凹部36、37が形成されている。さらに、支持トレイ22と回転トレイ23との間の位置には、カバー部材21と連結されることにより固定されたストッパー38が配設されている。なお、図2、図4および図6においては、回転トレイ23の背面側にあるピン機構30、ガイドカム35およびストッパー38を実線で図示している。
【0023】
図3、図5および図7に示すように、ピン機構30は、支持トレイ22の表面に配設されたハウジング31と、ピン32と、このピン32をその先端方向、すなわちガイドカム35に向かう方向(図3、図5および図7における左方向)に付勢するバネ33とから構成される。このため、ガイドカム35が回転トレイ23と同期して回転し、そこに形成された凹部36、37がピン32と対向する位置に配置されたときには、ピン32の先端が凹部36または凹部37内に進入し、ピン32と凹部36または凹部37とが係合することになる。
【0024】
なお、ピン32の先端と凹部36とが係合した状態においては、回転トレイ23に支持されたフラットパネルディテクタ17は、例えば、縦長の画像を透視撮影可能なポートレート透視撮影姿勢となる。一方、ピン32の先端と凹部37とが係合した状態においては、回転トレイ23に支持されたフラットパネルディテクタ17は、例えば、横長の画像を透視撮影可能なランドスケープ透視撮影姿勢となる。
【0025】
図2乃至図7に示すように、カバー部材21と連結されたストッパー38は、ピン機構30におけるピン32の後端と対向する対向面39を有する。この対向面39の支持トレイ22の往復移動方向と直交する方向(図2乃至図7における左右方向)の位置は、ピン32が凹部36または凹部37と係合したときのピン32の後端よりもガイドカム35側から離隔した位置であり、かつ、ピン32が凹部36または凹部37と係合しないときのピン32の後端よりもガイドカム35側に近接する位置となっている。
【0026】
そして、このストッパー38は、支持トレイ22の往復移動方向(図2乃至図7における上下方向)に所定の長さを有しており、その対向面39は、支持トレイ22がフラットパネルディテクタ17によりX線を検出するための検出位置、あるいは、この検出位置と回転トレイ23を回転させるための回転位置との間に配置されたときのいずれの場合であっても、ピン32の後端と対向する全ての領域に配置される構成となっている。
【0027】
以上のような構成を有するフラットパネルディテクタ装着部20においては、支持トレイ22が、X線透視撮影を実行するためにフラットパネルディテクタ17によりX線を検出するための検出位置であって、フラットパネルディテクタ17がポートレート透視撮影姿勢となった状態においては、図2および図3に示すように、ピン32の先端と凹部36とが係合している。この状態においては、ピン32の後端と対向する位置には、ストッパー38における対向面39が近接配置されている。このため、回転トレイ23がガイドカム35とともに回転しようとしても、ピン32の後端に対してストッパー38の対向面39が近接配置されていることから、ピン32の先端がガイドカム35の凹部36から外周面34に乗り上げることができない。従って、支持トレイ22が検出位置に配置されたときには、回転トレイ23の回転を制限することが可能となる。このため、フラットパネルディテクタ17がカバー部材21やその他の部材と衝突することを防止することが可能となる。
【0028】
ここで、図2および図3に示すように、支持トレイ22が検出位置に配置された状態において、ピン機構30におけるピン32の後端とストッパー38における対向面39との距離は、ピン32の先端がガイドカム35の凹部36または凹部37から外周面34に乗り上げるときの移動距離よりも小さい距離に設定しておく必要がある。
【0029】
なお、図2および図3においては、回転トレイ23が、そこに支持されたフラットパネルディテクタ17が縦長の画像を透視撮影可能なポートレート透視撮影姿勢となった状態を示している。一方、回転トレイ23が、そこに支持されたフラットパネルディテクタ17が横長の画像を透視撮影可能なランドスケープ透視撮影姿勢となった状態においては、ピン32の先端と凹部37とが係合することになる。この状態においても、図2および図3に示す状態と同様に、回転トレイ23の回転が制限されることになる。
【0030】
この状態からオペレータがハンドル24を操作して支持トレイ22を、回転トレイ23とともに、検出位置から回転トレイ23を回転させるための回転位置まで引き出した状態においては、図4および図5に示すように、ピン機構30がストッパー38の側方の位置から離隔し、ストッパー38の対向面39がピン32の後端と対向する位置に配置されない状態となる。この状態において回転トレイ23に対して回転方向の力を付与した場合には、ピン32の先端がガイドカム35の凹部36から外周面34に乗り上げる。これにより、図6および図7に示すように、回転トレイ23をフラットパネルディテクタ17とともに、軸29を中心として回転させることが可能となる。すなわち、支持トレイ22が回転位置に配置されたときには、回転トレイ23の回転が許容されることになる。
【0031】
この状態においては、図6および図7に示すように、ピン32の先端がガイドカム35の凹部36から外周面34に乗り上げることにより、ピン32の後端がガイドカム35とは逆側に移動する。一方、上述したように、ストッパー38における対向面39の支持トレイ22の往復移動方向と直交する方向(図2乃至図7における左右方向)の位置は、ピン32が凹部36または凹部37と係合しないときのピン32の後端よりもガイドカム35側に近接する位置となっている。このため、ピン32が凹部36または凹部37と係合しない状態、すなわち、回転トレイ23に支持されたフラットパネルディテクタ17がランドスケープ透視撮影姿勢またはポートレート透視撮影姿勢となっていない状態においては、支持トレイ22を回転トレイ23やフラットパネルディテクタ17とともに、回転位置から検出位置に向けて移動させようとしても、図7に示すように、ピン32の後端付近とストッパー38とが干渉することにより、支持トレイ22の移動が規制される。すなわち、回転トレイ23に支持されたフラットパネルディテクタ17がランドスケープ透視撮影姿勢またはポートレート透視撮影姿勢となっていない状態においては、支持トレイ22の回転位置から検出位置への移動が規制されることになる。このため、フラットパネルディテクタ17がカバー部材21やその他の部材と衝突することを防止することが可能となる。
【0032】
次に、この発明の第2実施形態に係るフラットパネルディテクタ装着部20の構成について説明する。図8は、この発明の第2実施形態に係るフラットパネルディテクタ装着部20の平面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0033】
上述した第1実施形態に係るフラットパネルディテクタ装着部20においては、フラットパネルディテクタ17を手動で移動および回転させていた。これに対して、この第2実施形態に係るフラットパネルディテクタ装着部20においては、フラットパネルディテクタ17を自動的に移動および回転させる構成となっている。
【0034】
このフラットパネルディテクタ装着部20における回転トレイ23は、軸41を中心に回転する。この軸41には、ギア42が装着されている。このギア42は、回転トレイ駆動モータ44の回転軸に装着されたギア43と噛合している。このため、回転トレイ23は、回転トレイ駆動モータ44の駆動をうけ、フラットパネルディテクタ17がランドスケープ透視撮影姿勢となる状態とフラットパネルディテクタ17がポートレート透視撮影姿勢となる状態との間で回動する。また、ギア43の回転角度位置、すなわち、フラットパネルディテクタ17の角度位置は、ポテンショメータ45により測定される。このポテンショメータ45は、回転トレイ23の回転角度位置を検出する角度センサとして機能する。
【0035】
また、このフラットパネルディテクタ装着部20におけるカバー部材21には、支持トレイ駆動モータ48が配設されている。この支持トレイ駆動モータ48には、支持トレイ22の下面に形成されたラック部と噛合するピニオン49が配設されている。このため、支持トレイ22は、支持トレイ駆動モータ48の駆動により、上述した検出位置と回転位置との間で往復移動する。カバー部材21の一端には、マイクロスイッチ47が配設されている。このマイクロスイッチ47は、支持トレイ22が回転位置に移動したときに支持トレイ22の端部に配設された切片46と当接することにより、支持トレイ22の回転位置への移動を検出する。このマイクロスイッチ47は、支持トレイ22が検出位置と回転位置のいずれの位置にあるかを判定する位置センサとして機能する。
【0036】
図9は、この発明の第2実施形態に係るX線透視撮影装置のブロック図である。
【0037】
この第2実施形態に係るX線透視撮影装置は、装置の制御に必要な動作プログラムが格納されたROM51、制御時にデータ等が一時的にストアされるRAM52および論理演算を実行するCPU53から構成され、装置全体を制御する制御部50を備える。この制御部50は、インターフェース54を介して、上述した支持トレイ駆動モータ48、回転トレイ駆動モータ44、マイクロスイッチ47およびポテンショメータ45と連結されている。この制御部50は、マイクロスイッチ47およびポテンショメータ45の検出状態に基づいて、支持トレイ駆動モータ48および回転トレイ駆動モータ44の駆動の可否を決定する。
【0038】
下記の表1は、マイクロスイッチ47とポテンショメータ45との検出状態と支持トレイ駆動モータ48および回転トレイ駆動モータ44の駆動の可否との関係を示す表である。
【0039】
【表1】

【0040】
この表に示すように、マイクロスイッチ47がオフ状態のとき、すなわち、支持トレイ22が検出位置に配置された状態においては、支持トレイ駆動モータ48の回転は許容されるが、回転トレイ駆動モータ44の回転は制限される。このため、支持トレイ22が、X線透視撮影を実行するためにフラットパネルディテクタ17によりX線を検出するための検出位置であって、ポテンショメータ45により検出した回転角度位置が0度または90度であるポートレート透視撮影姿勢あるいはランドスケープ透視撮影姿勢となった状態においては、上述した第1実施形態の場合と同様、回転トレイ23の回転を制限することが可能となる。このため、フラットパネルディテクタ17がカバー部材21やその他の部材と衝突することを防止することが可能となる。
【0041】
マイクロスイッチ47がオン状態のとき、すなわち、支持トレイ22が回転位置に配置された状態において、ポテンショメータ45により検出した回転角度位置が0度または90度である場合においては支持トレイ駆動モータ48と回転トレイ駆動モータ44の回転は許容される。一方、支持トレイ22が回転位置に配置された状態において、ポテンショメータ45により検出した回転角度位置が0度または90度ではない場合には、回転トレイ駆動モータ44の回転は許容されるが、支持トレイ駆動モータ48の回転は制限される。
【0042】
このため、回転トレイ23に支持されたフラットパネルディテクタ17がランドスケープ透視撮影姿勢またはポートレート透視撮影姿勢となっていない状態においては、上述した第1実施形態の場合と同様、支持トレイ22の回転位置から検出位置への移動が規制されることになる。従って、フラットパネルディテクタ17がカバー部材21やその他の部材と衝突することを防止することが可能となる。
【0043】
次に、この発明の第3実施形態に係るフラットパネルディテクタ装着部20の構成について説明する。図10は、この発明の第3実施形態に係るフラットパネルディテクタ装着部20の正面図である。また、図11、図13および図15はこの発明の第3実施形態に係るフラットパネルディテクタ装着部20の平面図であり、図12、図14および図16はそのピン機構30付近の拡大図である。なお、図11および図12は、支持トレイ22が、フラットパネルディテクタ17によりX線を検出するための検出位置に配置された状態を示している。また、図13および図14は、支持トレイ22が、回転トレイ23を回転させるための回転位置に配置された状態を示している。さらに、図15および図16は、回転位置に配置された支持トレイ22上で回転トレイ23を回転させた状態を示している。なお、上述した実施形態と同様の部材については、同一の符号を付している。
【0044】
このフラットパネルディテクタ装着部20は、第1実施形態に係るフラットパネルディテクタ装着部20と同様、図1に示すテーブル16に固定されたカバー部材21と、このカバー部材21に配設された一対のガイドレール25により案内されることにより、カバー部材21に対して往復移動可能な支持トレイ22と、図1に示すフラットパネルディテクタ17を支持した状態で、支持トレイ22に対して軸29を中心に回転可能に配設された回転トレイ23とを備える。
【0045】
図10に示すように、支持トレイ22の下面には、ピン機構30と従動機構60とが固定されている。また、回転トレイ23の下面には、軸29が、支持トレイ22の中央部に形成された孔部を貫通して配設されている。そして、この軸29の外周部で支持トレイ22の下方の位置には、ガイドカム35が、回転トレイ23と同期して軸29を中心に回転可能に配設されている。このガイドカム35における軸29を中心として90度の角度だけ離隔した角度位置には、一対の凹部36、37が形成されている。さらに、カバー部材21の上面には、ストッパー38が配設されている。なお、図11、図13および図15においては、回転トレイ23および支持トレイ22の背面側にあるピン機構30、ガイドカム35およびストッパー38を実線で図示している。
【0046】
図12、図14および図16に示すように、ピン機構30は、支持トレイ22の下面に配設されたハウジング31と、ピン32と、このピン32をその先端方向、すなわちガイドカム35に向かう方向(図12、図14および図16における左方向)に付勢するバネ33とから構成される。このため、ガイドカム35が回転トレイ23と同期して回転し、そこに形成された凹部36、37がピン32と対向する位置に配置されたときには、ピン32の先端が凹部36または凹部37内に進入し、ピン32と凹部36または凹部37とが係合することになる。
【0047】
なお、ピン32の先端と凹部36とが係合した状態においては、回転トレイ23に支持されたフラットパネルディテクタ17は、例えば、縦長の画像を透視撮影可能なポートレート透視撮影姿勢となる。一方、ピン32の先端と凹部37とが係合した状態においては、回転トレイ23に支持されたフラットパネルディテクタ17は、例えば、横長の画像を透視撮影可能なランドスケープ透視撮影姿勢となる。
【0048】
また、図12、図14および図16に示すように、従動機構60は、フック状の従動部材61と、この従動部材61に連結された板バネ62と、この板バネ62を支持トレイ22に固定するための固定部63とから構成される。従動部材61は、板バネ62の作用により、その一端がピン32の後端と当接する方向に付勢されており、ピン32と同期して、支持トレイ22の往復移動方向と直交する方向(図11から図16における左右方向)に往復移動可能となっている。そして、この従動部材61は、板バネ62を支持トレイ22に固定する固定部63の作用により、支持トレイ22の往復移動方向(図11から図16における上下方向)の移動が規制されている。
【0049】
図11乃至図16に示すように、カバー部材21上に配設されたストッパー38は、従動部材61におけるピン32の後端と当接する端部とは逆側の端部と対向する対向面39を有する。この対向面39の支持トレイ22の往復移動方向と直交する方向(図11乃至図16における左右方向)の位置は、ピン32が凹部36または凹部37と係合したときの従動部材61におけるピン32の後端と当接する端部とは逆側の端部よりもガイドカム35側から離隔した位置であり、かつ、ピン32が凹部36または凹部37と係合しないときの従動部材61におけるピン32の後端と当接する端部とは逆側の端部よりもガイドカム35側に近接する位置となっている。
【0050】
そして、このストッパー38は、支持トレイ22の往復移動方向(図11乃至図16における上下方向)に所定の長さを有しており、その対向面39は、支持トレイ22がフラットパネルディテクタ17によりX線を検出するための検出位置、あるいは、この検出位置と回転トレイ23を回転させるための回転位置との間に配置されたときのいずれの場合であっても、従動部材61におけるピン32の後端と当接する端部とは逆側の端部と対向する全ての領域に配置される構成となっている。
【0051】
以上のような構成を有するフラットパネルディテクタ装着部20においては、支持トレイ22が、X線透視撮影を実行するためにフラットパネルディテクタ17によりX線を検出するための検出位置であって、フラットパネルディテクタ17がポートレート透視撮影姿勢となった状態においては、図11および図12に示すように、ピン32の先端と凹部36とが係合している。この状態においては、従動部材61におけるピン32の後端と当接する端部とは逆側の端部と対向する位置には、ストッパー38における対向面39が近接配置されている。このため、回転トレイ23がガイドカム35とともに回転しようとしても、従動部材61におけるピン32の後端と当接する端部とは逆側の端部に対してストッパー38の対向面39が近接配置されていることから、ピン32の先端がガイドカム35の凹部36から外周面34に乗り上げることができない。従って、支持トレイ22が検出位置に配置されたときには、回転トレイ23の回転を制限することが可能となる。このため、フラットパネルディテクタ17がカバー部材21やその他の部材と衝突することを防止することが可能となる。
【0052】
ここで、図11および図12に示すように、支持トレイ22が検出位置に配置された状態において、従動部材61におけるピン32の後端と当接する端部とは逆側の端部とストッパー38における対向面39との距離は、従動部材61と当接するピン32の先端がガイドカム35の凹部36または凹部37から外周面34に乗り上げるときの移動距離よりも小さい距離に設定しておく必要がある。
【0053】
なお、図11および図12においては、回転トレイ23が、そこに支持されたフラットパネルディテクタ17が縦長の画像を透視撮影可能なポートレート透視撮影姿勢となった状態を示している。一方、回転トレイ23が、そこに支持されたフラットパネルディテクタ17が横長の画像を透視撮影可能なランドスケープ透視撮影姿勢となった状態においては、ピン32の先端と凹部37とが係合することになる。この状態においても、図11および図12に示す状態と同様に、回転トレイ23の回転が制限されることになる。
【0054】
この状態からオペレータがハンドル24を操作して支持トレイ22を、回転トレイ23とともに、検出位置から回転トレイ23を回転させるための回転位置まで引き出した状態においては、図13および図14に示すように、ピン機構30および従動機構60がストッパー38の側方の位置から離隔し、ストッパー38の対向面39が従動部材61におけるピン32の後端と当接する端部とは逆側の端部と対向する位置に配置されない状態となる。この状態において回転トレイ23に対して回転方向の力を付与した場合には、ピン32の先端がガイドカム35の凹部36から外周面34に乗り上げる。これにより、図15および図16に示すように、回転トレイ23をフラットパネルディテクタ17とともに、軸29を中心として回転させることが可能となる。すなわち、支持トレイ22が回転位置に配置されたときには、回転トレイ23の回転が許容されることになる。
【0055】
この状態においては、図15および図16に示すように、ピン32の先端がガイドカム35の凹部36から外周面34に乗り上げることにより、従動部材61におけるピン32の後端と当接する端部とは逆側の端部がガイドカム35とは逆側に移動する。一方、上述したように、ストッパー38における対向面39の支持トレイ22の往復移動方向と直交する方向(図11乃至図16における左右方向)の位置は、ピン32が凹部36または凹部37と係合しないときの従動部材61におけるピン32の後端と当接する端部とは逆側の端部よりもガイドカム35側に近接する位置となっている。このため、ピン32が凹部36または凹部37と係合しない状態、すなわち、回転トレイ23に支持されたフラットパネルディテクタ17がランドスケープ透視撮影姿勢またはポートレート透視撮影姿勢となっていない状態においては、支持トレイ22を回転トレイ23やフラットパネルディテクタ17とともに、回転位置から検出位置に向けて移動させようとしても、図16に示すように、フック状の従動部材61の突起部分とストッパー38とが干渉することにより、支持トレイ22の移動が規制される。すなわち、回転トレイ23に支持されたフラットパネルディテクタ17がランドスケープ透視撮影姿勢またはポートレート透視撮影姿勢となっていない状態においては、支持トレイ22の回転位置から検出位置への移動が規制されることになる。このため、フラットパネルディテクタ17がカバー部材21やその他の部材と衝突することを防止することが可能となる。
【0056】
なお、上述した第1実施形態においては、回転トレイ23に支持されたフラットパネルディテクタ17がランドスケープ透視撮影姿勢またはポートレート透視撮影姿勢となっていない状態において、オペレータが支持トレイ22を回転位置から検出位置へ移動させようとした場合には、ピン機構30におけるピン32とストッパー38とが衝突する。このような衝突が繰り返された場合には、ピン機構30に位置ずれが生じ、これに伴って、回転トレイ23の回転角度位置について位置決め誤差が生ずる可能性がある。
【0057】
しかしながら、この第3実施形態においては、回転トレイ23に支持されたフラットパネルディテクタ17がランドスケープ透視撮影姿勢またはポートレート透視撮影姿勢となっていない状態において、オペレータが支持トレイ22を回転位置から検出位置へ移動させようとした場合には、従動機構60における従動部材61のフック状の突起部分とストッパー38とが衝突する。この従動部材61は固定部63の作用により支持トレイ22に固定されており、また、従動機構60自体がピン機構30とは隔離されていることから、このような場合にも、ピン機構30に位置ずれが生じたり、これに伴って、回転トレイ23の回転角度位置について位置決め誤差が生ずることはない。
【0058】
図17は、この発明の第3実施形態に係る従動機構60の変形例を示す拡大図である。
【0059】
図11から図16に示す従動機構60は、フック状の従動部材61と、板バネ62と、固定部63とから構成されている。これに対して、図17に示す従動機構60は、ピン状の従動部材64と、この従動部材64をピン32方向に付勢する板バネ65と、固定部66とから構成されている。図17に示す従動機構においては、ピン状の従動部材64の一端がピン32と当接し、他端がストッパー38と当接する。また、回転トレイ23に支持されたフラットパネルディテクタ17がランドスケープ透視撮影姿勢またはポートレート透視撮影姿勢となっていない状態において、オペレータが支持トレイ22を回転位置から検出位置へ移動させようとした場合には、従動機構60におけるピン状の従動部材64の他端部付近がストッパー38と衝突することにより、支持トレイ22の移動を規制する。
【0060】
図18は、この発明の第3実施形態に係る従動機構60のさらに他の変形例を示す拡大図である。
【0061】
図18に示す従動機構60は、ピン状の従動部材68と、この従動部材68をピン32方向に付勢するバネ67と、ハウジング69とから構成されている。すなわち、この従動機構60は、ピン機構30と類似する構成を有する。図18に示す従動機構60においては、ピン状の従動部材68の一端がピン32と当接し、他端がストッパー38と当接する。また、回転トレイ23に支持されたフラットパネルディテクタ17がランドスケープ透視撮影姿勢またはポートレート透視撮影姿勢となっていない状態において、オペレータが支持トレイ22を回転位置から検出位置へ移動させようとした場合には、従動機構60におけるピン状の従動部材68の他端部付近がストッパー38と衝突することにより、支持トレイ22の移動を規制する。
【0062】
なお、上述した実施形態においては、X線検出器としてフラットパネルディテクタ17を使用している。しかしながら、このX線検出器としては、フラットパネルディテクタ17以外に、イメージインテンシファイア等のX線検出器を使用してもよく、あるいは、フィルムを装填したカセッテ等を使用してもよい。
【符号の説明】
【0063】
11 基台
12 回転フレーム
13 天板
14 支柱
15 X線管
16 テーブル
17 フラットパネルディテクタ
20 フラットパネルディテクタ装着部
21 カバー部材
22 支持トレイ
23 回転トレイ
24 ハンドル
25 ガイドレール
29 軸
30 ピン機構
31 ハウジング
32 ピン
33 バネ
34 外周面
35 ガイドカム
36 凹部
37 凹部
38 ストッパー
39 対向面
41 回転軸
42 ギア
43 ギア
44 回転トレイ駆動モータ
45 ポテンショメータ
46 切片
47 マイクロスイッチ
48 支持トレイ駆動モータ
49 ピニオン
50 制御部
51 ROM
52 RAM
53 CPU
54 インターフェース
60 従動機構
61 従動部材
62 板バネ
63 固定部
64 従動部材
65 板バネ
66 固定部
67 バネ
68 従動部材
69 ハウジング


【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線管から照射され被検者を通過したX線をX線検出器により検出するX線透視撮影装置において、
支持トレイと、
前記X線検出器を支持した状態で前記支持トレイに対して回転可能に配設され、前記X線検出器を互いに直行する第1の透視撮影姿勢と第2の透視撮影姿勢との間で回動させる回転トレイと、
前記支持トレイを、前記X線検出器によりX線を検出するための検出位置と、前記回転トレイを回転させるための回転位置との間で、往復移動可能に案内するガイド機構と、
前記支持トレイが前記検出位置に配置されたときには前記回転トレイの回転を制限するとともに、前記支持トレイが前記回転位置に配置されたときには前記回転トレイの回転を許容し、かつ、前記X線検出器が第1の透視撮影姿勢または第2の透視撮影姿勢となっていない状態では、前記支持トレイの回転位置から検出位置への移動を規制する回転トレイ移動制御機構と、
を備えたことを特徴とするX線透視撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発明において、
前記X線検出器は、長方形の形状を有し、
前記第1の透視撮影姿勢と前記第2の透視撮影姿勢は、前記X線検出器を横長として使用するランドスケープ透視撮影姿勢と前記X線検出器を縦長として使用するポートレート透視撮影姿勢であるX線透視撮影装置。
【請求項3】
請求項2に記載のX線透視撮影装置において、
前記回転トレイ移動制御機構は、
前記支持トレイに配設され、ピンと、当該ピンをその先端方向に向けて付勢するバネとを備えるピン機構と、
前記回転トレイに配設されて前記回転トレイと同期して回転するとともに、前記X線検出器がランドスケープ透視撮影姿勢となった状態または前記X線検出器がポートレート透視撮影姿勢となった状態において、前記ピンの先端と係合する凹部が形成されたガイドカムと、
前記ピンの後端と対向する対向面を有するとともに、前記対向面の前記支持トレイの往復移動方向と直交する方向の位置は、前記ピンが前記凹部と係合したときの前記ピンの後端よりも前記ガイドカム側から離隔し、前記ピンが前記凹部と係合しないときの前記ピンの後端よりも前記ガイドカム側に近接する位置であり、前記対向面が、前記支持トレイが前記検出位置あるいは前記検出位置と前記回転位置との間に配置されたときに前記ピンの後端と対向する全ての領域に配置されたストッパーと、
を備えるX線透視撮影装置。
【請求項4】
請求項2に記載のX線透視撮影装置において、
前記回転トレイ移動制御機構は、
前記支持トレイを、前記検出位置と前記回転位置との間で往復移動させるための支持トレイ駆動モータと、
前記回転トレイを、前記X線検出器がランドスケープ透視撮影姿勢となる状態と前記X線検出器がポートレート透視撮影姿勢となる状態との間で回動させるための回転トレイ駆動モータと、
前記支持トレイが前記検出位置と前記回転位置のいずれの位置にあるかを判定する位置センサと、
前記回転トレイの回転角度位置を検出する角度センサと、
前記位置センサが前記支持トレイが前記検出位置に配置された判定したときには前記回転トレイ駆動モータの回転を制限するとともに、前記位置センサが前記支持トレイが前記回転位置に配置されたと判定したときには前記回転トレイ駆動モータの回転を許容し、かつ、前記角度センサが前記X線検出器がランドスケープ透視撮影姿勢またはポートレート透視撮影姿勢となっていないと判定したときには、前記支持トレイ駆動モータによる前記支持トレイの回転位置から検出位置への移動を規制する制御部と、
を備えるX線透視撮影装置。
【請求項5】
請求項2に記載のX線透視撮影装置において、
前記回転トレイ移動制御機構は、
前記支持トレイに配設され、ピンと、当該ピンをその先端方向に向けて付勢するバネとを備えるピン機構と、
前記回転トレイに配設されて前記回転トレイと同期して回転するとともに、前記X線検出器がランドスケープ透視撮影姿勢となった状態または前記X線検出器がポートレート透視撮影姿勢となった状態において、前記ピンの先端と係合する凹部が形成されたガイドカムと、
前記ピンの後端と対向する位置に前記ピンと同期して移動可能に配設された従動部材と、前記従動部材を前記ピンの後端方向に付勢するバネと、前記従動部材の前記支持トレイの往復移動方向の移動を規制するための固定部材とを備える従動機構と、
前記従動部材における前記ピンの後端と当接する端部とは逆側の端部と対向する対向面を有するとともに、前記対向面の前記支持トレイの往復移動方向と直交する方向の位置は、前記ピンが前記凹部と係合したときの前記従動部材における前記ピンの後端と当接する端部とは逆側の端部よりも前記ガイドカム側から離隔し、前記ピンが前記凹部と係合しないときの前記従動部材における前記ピンの後端と当接する端部とは逆側の端部よりも前記ガイドカム側に近接する位置であり、前記対向面が、前記支持トレイが前記検出位置あるいは前記検出位置と前記回転位置との間に配置されたときに前記従動部材における前記ピンの後端と当接する端部とは逆側の端部と対向する全ての領域に配置されたストッパーと、
を備えるX線透視撮影装置。
【請求項6】
請求項5に記載のX線透視撮影装置において、
前記従動機構における固定部材は、前記従動機構におけるバネを前記支持トレイに固定する固定部であるX線透視撮影装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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