説明

X線高電圧装置

【課題】使用するX線管が変わっても撮影条件を簡易に設定することができるX線高電圧装置を提供することを目的とする。
【解決手段】線量−管電圧テーブル51と管電圧−線量比テーブル52とをある標準のX線管についてのみ用意し、これらのテーブル51,52を参照して管電圧算出部は管電圧を算出するとともに、使用するX線管の定格情報に基づいて管電流・撮影時間算出部は管電流および撮影時間をそれぞれ算出する。これらの算出された管電流、撮影時間および管電圧を体厚での撮影条件としているので、標準と異なったX線管を使用する場合でも、使用する定格情報がわかれば、標準のX線管に関するテーブルを用意しておき、その定格情報に応じた最適な撮影条件を設定することができ、使用するX線管が変わっても撮影条件を簡易に設定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、X線管と高電圧発生手段とを備えたX線高電圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線高電圧装置では、システム・価格・性能等に応じて様々な種類のX線管球を接続する。従来では、その管球および焦点サイズごとに管電圧・管電流・長時間定格といった定格情報を有している。管球および焦点サイズごとに定格情報が設定された管球コード等を高電圧発生部側で設定することにより、接続されたX線管球に応じた定格を超えたX線の撮影条件でのX線の照射ができないようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平07−326488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、使用するあるX線管球では適正に撮影できる撮影条件であっても、他の管球・焦点サイズによっては、X線管の出力定格の制限により、その撮影条件ではX線の照射が行えない場合がある。従来であれば、管球・焦点サイズに応じて適切な撮影条件を手動で入力設定する、あるいは管球・焦点サイズごとに定格を満たした適切な撮影条件を予め設定するという手法が採られる。これらの手法では管球・焦点サイズが新たに追加されると再度設定し直さなければならず、撮影条件を設定するのが煩雑となってしまう。
【0004】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、使用するX線管が変わっても撮影条件を簡易に設定することができるX線高電圧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、X線を照射するX線管と、そのX線管に印加する管電圧を発生させる高電圧発生手段とを備えたX線高電圧装置であって、照射の対象となる被検体の厚みである体厚、X線管の照射線量、およびその線量が得られる標準のX線管の管電圧を対応づけた線量−管電圧テーブルと、管電圧、およびその管電圧が得られるX線管の管電流と撮影時間との積の単位当たり線量である線量比を対応づけた管電圧−線量比テーブルとを備えるとともに、前記体厚に基づいてX線管から照射すべき撮影に必要な線量である前記照射線量を、前記線量−管電圧テーブルを参照して算出する線量算出手段と、その線量算出手段で算出された前記照射線量に基づいて管電圧を、前記線量−管電圧テーブルを参照して算出する管電圧算出手段と、その管電圧算出手段で算出された前記管電圧に基づいてその管電圧での前記線量比を、前記線量比−管電圧テーブルを参照して算出する線量比算出手段と、その線量比算出手段で算出された前記線量比と、前記線量算出手段で算出された前記照射線量とに基づいて、管電流と撮影時間との積を算出する管電流・撮影時間積算出手段と、その管電流・撮影時間積算出手段で算出された管電流と撮影時間との積および使用するX線管の定格情報に基づいて管電流および撮影時間をそれぞれ算出する管電流・撮影時間算出手段とを備え、その管電流・撮影時間算出手段で算出された前記管電流および前記撮影時間と、前記管電圧算出手段で算出された前記管電圧とを、前記体厚での撮影条件とするものである。
【0006】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、照射の対象となる被検体の厚みである体厚、X線管の照射線量、およびその線量が得られる標準のX線管の管電圧を対応づけた線量−管電圧テーブルと、管電圧、およびその管電圧が得られるX線管の管電流と撮影時間との積の単位当たり線量である線量比を対応づけた管電圧−線量比テーブルとを用意する。これらのテーブルについてはある標準のX線管についてのみ用意すればよい。そして、線量算出手段は、体厚に基づいてX線管から照射すべき撮影に必要な線量である照射線量を、線量−管電圧テーブルを参照して算出し、管電圧算出手段は、線量算出手段で算出された照射線量に基づいて管電圧を、線量−管電圧テーブルを参照して算出する。線量比算出手段は、管電圧算出手段で算出された管電圧に基づいてその管電圧での線量比を、線量比−管電圧テーブルを参照して算出し、管電流・撮影時間積算出手段は、線量比算出手段で算出された線量比と、線量算出手段で算出された照射線量とに基づいて、管電流と撮影時間との積を算出する。管電流・撮影時間算出手段は、管電流・撮影時間積算出手段で算出された管電流と撮影時間との積および使用するX線管の定格情報に基づいて管電流および撮影時間をそれぞれ算出し、管電流・撮影時間算出手段で算出された管電流および撮影時間と、管電圧算出手段で算出された管電圧とを、体厚での撮影条件とする。このように、例えば管球や焦点サイズが標準と異なったX線管を使用する場合でも、使用する定格情報がわかれば、標準のX線管に関するテーブルを用意しておき、その定格情報に応じた最適な撮影条件を設定することができ、使用するX線管が変わっても撮影条件を簡易に設定することができる。
【0007】
上述した発明において、管電流・撮影時間算出手段で算出された管電流が、定格情報において予め設定された所定の許容範囲にない場合には、以下のように構成する。すなわち、管電流が上述した許容範囲か否かを判断する管電流判断手段を備え、その管電流判断手段によって管電流が許容範囲にないと判断された場合には、管電圧を上昇させる、あるいは撮影時間を延長することで許容範囲の管電流を決定し、その決定された管電流と、上昇した管電圧あるいは延長された撮影時間とを、体厚での撮影条件とする(請求項2に記載の発明)。このように構成することで、許容範囲になかった管電流を、管電圧を上昇させる、あるいは撮影時間を延長すると許容範囲にまで近づけることができ、管電流が許容範囲に最終的に入ったときにおける上昇した管電圧あるいは延長された撮影時間が、体厚での撮影条件となる。
【0008】
管電流判断手段によって管電流が許容範囲にないと判断された場合には、撮影時間の延長よりも管電圧の上昇を許容する撮影時間優先モードを設定するモード設定手段を備えてもよいし、管電圧の上昇よりも撮影時間の延長を許容する管電圧優先モードを設定するモード設定手段を備えてもよい(請求項3、4に記載の発明)。また、管電流判断手段によって管電流が許容範囲にないと判断された場合には、撮影時間の延長よりも管電圧の上昇を許容する撮影時間優先モード、および管電圧の上昇よりも撮影時間の延長を許容する管電圧優先モードのいずれかを選択するモード選択手段を備えてもよい(請求項5に記載の発明)。
【0009】
モード選択手段によって管電圧優先モードを選択した場合において、例えば以下のように構成してもよい。すなわち、管電圧優先モードを選択した場合において撮影時間を延長して、その延長された撮影時間が、定格情報において予め設定された所定の許容範囲か否かを判断する撮影時間判断手段を備え、その撮影時間判断手段によって撮影時間が許容範囲にないと判断され、かつ管電流判断手段によって管電流が許容範囲にないと判断された場合には、モード選択手段は撮影時間優先モードを選択して管電圧を上昇させる(請求項6に記載の発明)。このように構成することで、管電圧優先モードを選択した場合において許容範囲になかった管電流を、撮影時間を延長すると許容範囲にまで近づける。しかし、管電流が許容範囲に入るまでに延長された撮影時間が許容範囲を超えそうなときには、それ以上の撮影時間の延長を中止して、モード選択手段は撮影時間優先モードを選択して管電圧を上昇させると管電流を許容範囲にまで近づけることができ、管電流が許容範囲に最終的に入ったときにおける上昇した管電圧と、許容範囲の境界にまで延長された撮影時間とが、体厚での撮影条件となる。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係るX線高電圧装置によれば、線量−管電圧テーブルと管電圧−線量比テーブルとをある標準のX線管についてのみ用意し、これらのテーブルを参照して管電圧算出手段は管電圧を算出するとともに、使用するX線管の定格情報に基づいて管電流・撮影時間算出手段は管電流および撮影時間をそれぞれ算出する。これらの算出された管電流、撮影時間および管電圧を体厚での撮影条件としているので、標準と異なったX線管を使用する場合でも、使用する定格情報がわかれば、標準のX線管に関するテーブルを用意しておき、その定格情報に応じた最適な撮影条件を設定することができ、使用するX線管が変わっても撮影条件を簡易に設定することができる。
【実施例】
【0011】
以下、図面を参照してこの発明の実施例を説明する。
図1は、実施例に係るX線高電圧部およびそれを備えたX線撮影装置の概略ブロック図である。
【0012】
本実施例では、図1に示すように、X線撮影装置は、後述するX線管20や高電圧発生部30などを備えたX線高電圧部10と、X線管から照射されて被検体Mを透過したX線を検出するX線検出器70と、そのX線検出器70で検出されたX線に基づいて画像処理を行う画像処理部80とを備えている。その他にも減衰率が互いに異なる複数個(例えば4個)の軟線除去フィルタ(図示省略)を切り替えるフィルタ切り替え部(図示省略)や、複数の管球や焦点サイズに切り替える管球・焦点サイズ切り替え部(図示省略)なども備えている。X線撮影装置では、画像処理部80で各種の画像処理(ラグ補正や欠損補正など)を行うことで、X線検出器70で検出されたX線に基づいてX線撮影を行う。X線高電圧部10は、この発明におけるX線高電圧装置に相当する。
【0013】
X線検出器70は、X線管20から照射されて被検体Mを透過して検出面に入射されたX線を電荷信号に変換し、さらに電荷信号を電気信号(検出信号)に変換してその値を収集することでX線を検出する。本実施例では、画素にそれぞれ対応した検出素子を2次元マトリックス状に配列して構成されたフラットパネル型X線検出器(FPD)を採用する。もちろん、FPDに限定されず、例えばイメージインテンシファイアなどのように通常において用いられるX線検出器を用いてもよい。
【0014】
X線高電圧部10は、X線を照射するX線管20と、そのX線管20に印加する管電圧を発生させる高電圧発生部30と、各種の演算処理を行う演算処理部40と、後述する線量−管電圧テーブル51や管電圧−線量比テーブル52や定格情報などを記憶するメモリ部50と、入力設定を行う入力部60とを備えている。X線管20は、この発明におけるX線管に相当に相当し、高電圧発生部30は、この発明における高電圧発生手段に相当する。
【0015】
演算処理部40や上述した画像処理部80は、中央演算処理装置(CPU)などで構成されている。演算処理部40は、線量算出部41と管電圧算出部42と線量比算出部43とmAs値算出部44と管電流・撮影時間算出部45と管電流判断部46とモード設定・選択部47と撮影時間判断部48とを備えている。これらの具体的な機能については後述する。線量算出部41は、この発明における線量算出手段に相当し、管電圧算出部42は、この発明における管電圧算出手段に相当し、線量比算出部43は、この発明における線量比算出手段に相当し、mAs値算出部44は、この発明における管電流・撮影時間積算出手段に相当し、管電流・撮影時間算出部45は、この発明における管電流・撮影時間算出手段に相当し、管電流判断部46は、この発明における管電流判断手段に相当し、モード設定・選択部47は、この発明におけるモード設定手段およびモード選択手段に相当し、撮影時間判断部48は、この発明における撮影時間判断手段に相当する。
【0016】
メモリ部50は、ROM(Read-only Memory)やRAM(Random-Access Memory)などに代表される記憶媒体などで構成されている。メモリ部50は、線量−管電圧テーブル51と管電圧−線量比テーブル52と定格情報メモリ部53とを備えている。これらの具体的な機能についても後述する。線量−管電圧テーブル51は、この発明における線量−管電圧テーブルに相当し、管電圧−線量比テーブル52は、この発明における管電圧−線量比テーブルに相当する。
【0017】
入力部60は、マウスやキーボードやジョイスティックやトラックボールやタッチパネルなどに代表されるポインティングデバイスで構成されている。入力部60は、体厚入力部61とモード入力部62とを備えている。これらの具体的な機能についても後述する。
【0018】
次に、各データの流れも併記して、図2を参照して説明する。図2は、実施例に係るX線高電圧部の具体的な概略ブロック図である。なお、図2ではX線管20(図1を参照)の図示を省略している。
【0019】
図2に示すように、照射の対象となる被検体Mの厚みである体厚を体厚入力部61で入力して、その体厚(の値)を線量算出部41に送り込む。線量算出部41は、体厚入力部61から送り込まれた体厚に基づいてX線管20(図1を参照)から照射すべき撮影に必要な線量である照射線量を算出する。具体的には、送り込まれた体厚に基づいて、線量算出部41は、線量−管電圧テーブル51を参照して照射線量を算出して、その照射線量を管電圧算出部42およびmAs値算出部44に送り込む。
【0020】
管電圧算出部42は、線量算出部41から送り込まれた照射線量に基づいて管電圧を、線量−管電圧テーブル51を参照して算出し、算出された管電圧を線量比算出部43、管電流判断部46および高電圧発生部30に送り込む。線量比算出部43は、管電圧算出部42で算出された管電圧に基づいてその管電圧での線量比を、線量比−管電圧テーブル52を参照して算出し、mAs値算出部44に送り込む。
【0021】
mAs値算出部44は、線量比算出部43に送り込まれた線量比と、線量算出部41から送り込まれた照射線量とに基づいて、管電流と撮影時間との積であるmAs値を算出し、管電流・撮影時管算出部45に送り込む。ここで、管電流の単位[mA]と撮影時間の単位[s]とから、管電流と撮影時間との積を「mAs値」と定義づける。また、線量比と照射線量とに基づいてmAs値を算出するには、下記(1)式のように照射線量を線量比で除算することでmAs値が得られる。
【0022】
管電流・撮影時間算出部45は、mAs値算出部44から送り込まれたmAs値および使用するX線管20(図1を参照)の定格情報に基づいて管電流および撮影時間をそれぞれ算出し、管電流判断部46、撮影時間判断部48および高電圧発生部30に送り込む。また、管電流が定格情報において予め設定された所定の許容範囲(ここでは管球定格内の許容最大管電流)か否かが管電流判断部46で判断された結果が、管電流判断部46から管電流・撮影時間算出部45に送り込まれる。管電圧優先モードを選択した場合において延長された撮影時間が定格情報において予め設定された所定の許容範囲(ここでは撮影時間Tmax)か否かが撮影時間判断部48で判断された結果が、撮影時間判断部48から管電流・撮影時間算出部45に送り込まれる。また、X線管20の定格情報は、管球や焦点サイズ、さらには軟線除去フィルタごとに定格情報メモリ部53に予め記憶されており、管電流・撮影時間算出部45は、定格情報のうち標準撮影時間Tstd(ただし、Tstd≦Tmax)を参照して、mAs値から標準撮影時間Tstdで除算することで管電流が得られる。
【0023】
管電流判断部46は、管電流が許容範囲にあるか否かの結果を管電流・撮影時間算出部45に送り込み、管電流が許容範囲にないと判断した場合には、後述するモード入力部62での入力結果と併せて、モード設定・選択部47に撮影時間優先モードおよび管電圧優先モードのいずれかを選択するように指示する。もし、撮影時間優先モードを選択した場合には、選択された撮影時間優先モードの情報をモード設定・選択部47から管電流判断部46に送り込み、管電圧算出部42から送り込まれた管電圧を所定電圧幅(例えば1kV)ごとに上昇させながら管電流を許容範囲にまで近づけ、管電流が許容範囲に入ったか否かを管電流判断部46は判断する。撮影時間優先モードを選択した場合において管電圧を上昇させることで許容範囲の管電流を決定した場合には、管電流判断部46はその決定された管電流を高電圧発生部30に送り込む。
【0024】
選択すべきモードをモード入力部62で入力して、モード設定・選択部47に送り込む。管電流判断部46によって管電流が許容範囲にないと判断された場合には、選択されたモードに応じてモード設定・選択部47は選択する。もし、撮影時間優先モードを選択した場合には、選択された撮影時間優先モードの情報をモード設定・選択部47から管電流判断部46に送り込む。もし、管電圧優先モードを選択した場合には、選択された管電圧優先モードの情報をモード設定・選択部47から撮影時間判断部48に送り込む。また、管電圧優先モードを選択した場合において延長された撮影時間が、定格情報において予め設定された所定の許容範囲(撮影時間Tmax)か否かが撮影時間判断部46で判断され、撮影時間判断部46によって撮影時間が許容範囲にないと判断され、かつ管電流判断部46によって管電流が許容範囲にないと判断された場合には、モード入力部62での入力結果に依らずに、モード設定・選択部47は撮影時間優先モードを選択して管電圧を上昇させる。
【0025】
撮影時間判断部48は、管電圧優先モードを選択した場合において延長された撮影時間が許容範囲にあるか否かの結果を管電流・撮影時間算出部45に送り込み、撮影時間が許容範囲にないと判断し、かつ管電流が許容範囲にないと判断された場合には、モード入力部62での入力結果に依らずに、モード設定・選択部47に撮影時間優先モードを選択するように指示する。もし、管電流優先モードを選択した場合には、選択された管電圧優先モードの情報をモード設定・選択部47から撮影時間判断部48に送り込み、管電流・撮影時間算出部45から送り込まれた撮影時間を延長しながら延長された撮影時間が許容範囲を超えるか否かを撮影時間判断部48は判断する。管電圧優先モードを選択した場合において撮影時間を延長することで許容範囲の管電流を決定した場合には、管電流判断部46はその決定された管電流を高電圧発生部30に送り込むとともに、許容範囲の境界にまで延長された撮影時間を撮影時間判断部48は高電圧発生部30に送り込む。
【0026】
線量−管電圧テーブル51および管電圧−線量比テーブル52について、図3を参照して説明する。図3(a)は、線量−管電圧テーブルの一実施態様であり、図3(b)は、管電圧−線量比テーブルの一実施態様である。図3(b)に示すように、管電圧−線量比テーブル52では、管電圧、およびその管電圧が得られるX線管20(図1を参照)の管電流と撮影時間との積(ここではmAs値)の単位当たり線量である線量比を対応づけている。このような管電圧−線量比テーブル52を得るためには、管電圧を変えながら線量を予め測定して、基準となる管電圧に対して線量比が1になるように基準となる管電圧のときの線量で除算する。図3(b)では管電圧が40kVのときを基準として、基準となる管電圧40kVに対して線量比が1になるように基準となる管電圧40kVのときの線量で除算する。したがって、管電圧55kVのときに線量比が3というのは、管電圧40kVのときの線量の3倍の線量で管電圧55kVのときに測定され、管電圧150kVのときに線量比が400というのは、管電圧150kVのときの線量の150倍の線量で管電圧150kVのときに測定されたことを意味する。
【0027】
次に、図3(a)に示すように、線量−管電圧テーブル51では、体厚、X線管20(図1を参照)の照射線量、およびその線量が得られる標準のX線管20(図1を参照)の管電圧を対応づけている。本実施例では、管電圧−線量比テーブル52は、体厚と線量(図3(a)では「撮影線量」で表記)と管電圧(図3(a)では「標準撮影管電圧」で表記)とを対応づけたテーブルであって、ある標準のX線管20を使用したときに体厚を変えながら、それに対応する管電圧、そのときに必要な照射線量(撮影線量)をそれぞれ求める。線量−管電圧テーブル51で用いられる線量(図3(a)では「撮影線量」で表記)とは、本明細書では実際の測定された照射線量ではなく、下記(1)式を満たすように適宜に定められた線量であることに留意されたい。
【0028】
(撮影に必要な)線量/(標準撮影)管電圧時の線量比
=(撮影)管電流[mA]×撮影時間[s] …(1)
したがって、実際には、ある標準のX線管20を使用したときに体厚を変えながら、それに対応する管電圧のときの(撮影)管電流を求め、各々の撮影時間ごとに照射することで体厚、管電流と撮影時間との積であるmAs値および管電圧とを対応づけて、先に求められた図3(b)の管電圧−線量比テーブル52を参照して、ある管電圧に対応づけられた線量比を同じ管電圧でのmAs値で、上記(1)式により乗算することで、体厚と線量と管電圧とを対応づけて図3(a)に示す線量−管電圧テーブル51を作成する。
【0029】
なお、管球や焦点サイズ、さらには軟線除去フィルタにX線管20(図1を参照)を切り替えたとしても定格情報を除けば、線量−管電圧テーブル51および管電圧−線量比テーブル52を作成するのに、どのX線管20を使用してもよい。ただ、最も大きな定格を持つ管球が、最も太い体厚まで対応可能であるので、組み合わせる管球のうちで最も大きな定格を持つ管球のX線管20を使用して、その使用されたX線管20を標準のX線管20として、線量−管電圧テーブル51および管電圧−線量比テーブル52を作成するのが好ましい。また、当然ながら、小さい定格を持つ管球を組み合わせる場合、最大の定格を持つ管球を接続した場合よりも撮影可能な体厚は小さくなる。
【0030】
次に、線量−管電圧テーブル51および管電圧−線量比テーブル52を参照して、撮影条件を設定する一連の流れについて、図4を参照して説明する。図4は、実施例に係る撮影条件を設定する一連の流れを示すフローチャートである。
【0031】
(ステップS1)体厚入力
被検体Mの体厚を体厚入力部61で入力する。
【0032】
(ステップS2)線量・管電圧算出
線量算出部41は、体厚入力部61から送り込まれた体厚に基づいてX線管20(図1を参照)から照射すべき撮影に必要な線量(撮影線量)を、線量−管電圧テーブル51を参照して算出する。例えば、体厚21cmの被検体Mに必要な線量は、図3(a)の線量−管電圧テーブル51に示すように2100である。管電圧算出部42は、線量算出部41から送り込まれた線量に基づいて管電圧を、線量−管電圧テーブル51を参照して算出する。例えば、体厚21cmの被検体Mでは、上述したように線量は2100であり、管電圧は、図3(a)の線量−管電圧テーブル51に示すように82kVである。
【0033】
(ステップS3)線量比・mAs値算出
線量比算出部43は、管電圧算出部42で算出された管電圧に基づいてその管電圧での線量比を、線量比−管電圧テーブル52を参照して算出する。例えば、体厚21cmの被検体Mでは、上述したように管電圧は82kVであり、線量比は、図3(b)の管電圧−線量比テーブル52に示すように約76となる。上記(1)式のように、線量算出部41から送り込まれた線量から、線量比算出部43に送り込まれた線量比で除算して、mAs値算出部44はmAs値を算出する。例えば、上述したように撮影に必要な線量(撮影線量)が2100の場合には、線量2100から線量比76で除算すると撮影な必要なmAs値が27.7mAsの値で算出される。
【0034】
(ステップS4)管電流算出
管電流・撮影時間算出部45は、mAs値算出部44から送り込まれたmAs値から使用するX線管20の定格情報のうち標準撮影時間Tstdで除算することで管電流を算出する。管電流・撮影時間算出部45は標準撮影時間Tstdを撮影時間として算出する。
【0035】
(ステップS5)管電流≦許容最大管電流?
管電流判断部46は、管電流が許容範囲(許容最大管電流)にあるか否かを判断する。管電流が許容範囲にある場合(すなわち管電流≦許容最大管電流の場合)には、ステップS6に進み、管電流が許容範囲にない場合(すなわち管電流>許容最大管電流の場合)には、ステップS7に進む。
【0036】
(ステップS6)撮影条件の設定
ステップS5で管電流が許容範囲にある場合には、管電流・撮影時間算出部45で算出された管電流(=mAs値/標準撮影時間Tstd)および撮影時間(ここでは標準撮影時間Tstd)と、管電圧算出部42で算出された管電圧とを、体厚での撮影条件と設定して、高電圧発生部30に送り込む。
【0037】
(ステップS7)モード選択(撮影時間優先モード?)
ステップS5で管電流が許容範囲にない場合には、撮影時間の延長よりも管電圧の上昇を許容する撮影時間優先モード、および管電圧の上昇よりも撮影時間の延長を許容する管電圧優先モードのいずれかを選択するために、選択すべきモードをモード入力部62で入力して、モード設定・選択部47に送り込む。撮影時間優先モードをモード入力部62で入力した場合には、モード設定・選択部47は撮影時間優先モードを選択して、ステップS8に進み、管電圧優先モードをモード入力部62で入力した場合には、モード設定・選択部47は管電圧優先モードを選択して、ステップS10に進む。
【0038】
(ステップS8)管電圧上昇
ステップS7で撮影時間優先モードを選択した場合には、管電圧算出部42から送り込まれた(標準撮影)管電圧を所定電圧幅(例えば1kV)ごとに上昇させる。1kVごとに上昇した管電圧を「仮撮影管電圧」とする。仮撮影管電圧時の線量比を求めるために、(標準撮影)管電圧と同様に、管電圧−線量比テーブル52を参照して仮撮影管電圧に対応した線量比を求める。そして、上記(1)式に準じた下記(2)式を用いて仮撮影管電圧として管電圧を上昇させたときのmAs値を算出する。
【0039】
(撮影に必要な)線量/仮撮影管電圧時の線量比
=(撮影)管電流[mA]×撮影時間[s] …(2)
このように仮撮影管電圧として管電圧を上昇させることで、管電圧−線量比テーブル52に示すようにmAs値の単位当たり線量である線量比が大きくなり、上記(2)式によりmAs値は下がる。撮影時間優先モードの場合には標準撮影時間Tstdは固定のままであるので、mAs値が下がると管電流(=mAs値/標準撮影時間Tstd)は下がる。したがって、管電圧を1kVごとに上昇させながら管電流を許容範囲(許容最大管電流)にまで近づける。
【0040】
(ステップS9)管電流≦許容最大管電流?
ステップS8で管電圧を1kVに上昇させるたびに、ステップS5と同様にステップS9で管電流判断部46は、管電流が許容範囲(許容最大管電流)にあるか否かを判断する。管電流が許容範囲にある場合(すなわち管電流≦許容最大管電流の場合)には、ステップS6に跳び、管電流が許容範囲にない場合(すなわち管電流>許容最大管電流の場合)には、管電流を許容範囲(許容最大管電流)にまで近づけるべく管電圧を1kVごとに上昇させるためにステップS8に戻り、管電流が許容範囲(許容最大管電流)に入るまでステップS8,S9を繰り返す。管電流が許容範囲(許容最大管電流)に入ってステップS6に跳んだ場合には、そのときまで上昇した管電圧と、許容範囲(許容最大管電流)に入った管電流と、撮影時間(ここでは標準撮影時間Tstd)とを、体厚での撮影条件と設定して、高電圧発生部30に送り込む。
【0041】
この撮影時間優先モードは、撮影時間を標準撮影時間Tstd(Tstd≦Tmax)に保つことを優先し、定格情報において予め設定された所定の許容範囲(Tmax)よりも時間的に余裕を持って撮影時間を標準撮影時間Tstdに設定し、管電流が許容範囲にない場合(すなわち管電流>許容最大管電流の場合)には、管電圧を上昇させることでmAs値を下げて、管電流を許容範囲(許容最大管電流)にまで近づけるモードである。この撮影時間優先モードは、撮影時間が長くなることで、X線検出器70(図1を参照)のフレームレートや画像取り込み(A/D変換時間・転送等)によって決定される撮影時間がシビアになる場合に使用される。なお、標準撮影時間Tstd以下で撮影可能な場合には、撮影時間を縮めて管電流を上昇させることも可能である。
【0042】
一方、次に説明する管電圧優先モードは、撮影時間の制限をあまり受けない場合に、管電圧よりも撮影時間を許容して、撮影時間を標準撮影時間Tstdよりも長く、かつ許容範囲(Tmax)まで延長させるモードである。この管電圧優先モードでは、撮影時間が長くなるが、管電圧を上昇させずに固定した状態であり、管電圧の上昇を抑えることができる。
【0043】
(ステップS10)撮影時間延長
ステップS7で管電圧優先モードを選択した場合には、撮影時間をTmaxまでの範囲で延長する。撮影時間優先モードにおける管電圧の上昇と同様に、撮影時間を所定時間幅ごとに延長する。所定時間幅ごとに延長された撮影時間を「仮撮影時間」とする。上述したように管電圧は標準撮影管電圧のままで固定されているので、上記(1)式で求められたmAs値については、撮影時間を延長しても変わらない。その代わり、撮影時間を延長した分だけ管電流(=mAs値/延長された撮影時間)は下がる。したがって、撮影時間を所定時間幅ごとに延長しながら管電流を許容範囲(許容最大管電流)にまで近づける。
【0044】
(ステップS11)撮影時間≦Tmax?
ステップS10で撮影時間を所定時間幅ごとに延長するたびに、撮影時間判断部48は、撮影時間が許容範囲(Tmax)にあるか否かを判断する。撮影時間が許容範囲にある場合(すなわち撮影時間≦Tmaxの場合)には、管電流を許容範囲(許容最大管電流)にまで近づけるべく撮影時間を所定時間幅ごとに延長するためにステップ10に戻り、ステップS10,S11を繰り返す。撮影時間が許容範囲にない場合(すなわち撮影時間>Tmaxの場合)には、ステップS12に進む。
【0045】
(ステップS12)管電流≦許容最大管電流?
ステップS11で撮影時間が許容範囲にない場合(すなわち撮影時間>Tmaxの場合)に、かつ管電流が許容範囲にある場合(すなわち管電流≦許容最大管電流の場合)には、ステップS6に跳び、ステップS11で撮影時間が許容範囲にない場合(すなわち撮影時間>Tmaxの場合)に、かつ管電流が許容範囲にない場合(すなわち管電流>許容最大管電流の場合)には、モード設定・選択部47によって撮影時間優先モードを選択して管電圧を上昇させるべく、ステップS8に戻る。管電流が許容範囲(許容最大管電流)に入ってステップS6に跳んだ場合には、そのときまで延長された撮影時間(ここではTmax)と、許容範囲(許容最大管電流)に入った管電流と、固定された管電圧とを、体厚での撮影条件と設定して、高電圧発生部30に送り込む。
【0046】
本実施例に係るX線高電圧部10によれば、照射の対象となる被検体Mの厚みである体厚、X線管20の照射線量、およびその線量が得られる標準のX線管20の管電圧を対応づけた線量−管電圧テーブル51と、管電圧、およびその管電圧が得られるX線管20の管電流と撮影時間との積であるmAs値の単位当たり線量である線量比を対応づけた管電圧−線量比テーブル52とを用意する。これらのテーブルについてはある標準のX線管20についてのみ用意すればよい。そして、線量算出部41は、体厚に基づいてX線管20から照射すべき撮影に必要な線量を、線量−管電圧テーブル51を参照して算出し、管電圧算出部42は、線量算出部41で算出された線量に基づいて管電圧を、線量−管電圧テーブル51を参照して算出する。線量比算出部43は、管電圧算出部42で算出された管電圧に基づいてその管電圧での線量比を、線量比−管電圧テーブル52を参照して算出し、mAS値算出部44は、線量比算出部43で算出された線量比と、線量算出部41で算出された線量とに基づいて、管電流と撮影時間との積であるmAs値を算出する。管電流・撮影時間算出部45は、mAs値算出部44で算出されたmAs値および使用するX線管20の定格情報に基づいて管電流および撮影時間をそれぞれ算出し、管電流・撮影時間算出部45で算出された管電流および撮影時間と、管電圧算出部42で算出された管電圧とを、体厚での撮影条件とする。このように、例えば管球や焦点サイズが標準と異なったX線管20を使用する場合でも、使用する定格情報がわかれば、標準のX線管20に関するテーブル51,52を用意しておき、その定格情報に応じた最適な撮影条件を設定することができ、使用するX線管20が変わっても撮影条件を簡易に設定することができる。
【0047】
本実施例では、管電流・撮影時間算出部45で算出された管電流が、定格情報において予め設定された所定の許容範囲にない場合には、上述した図2のように構成している。すなわち、管電流が上述した許容範囲か否かを判断する管電流判断部46を備え、その管電流判断部46によって管電流が許容範囲にないと判断された場合には、管電圧を上昇させる、あるいは撮影時間を延長することで許容範囲の管電流を決定し、その決定された管電流と、上昇した管電圧あるいは延長された撮影時間とを、体厚での撮影条件としている。このように構成することで、許容範囲になかった管電流を、管電圧を上昇させる、あるいは撮影時間を延長すると許容範囲にまで近づけることができ、管電流が許容範囲に最終的に入ったときにおける上昇した管電圧あるいは延長された撮影時間が、体厚での撮影条件となる。
【0048】
本実施例では、管電流判断部46によって管電流が許容範囲にないと判断された場合には、撮影時間の延長よりも管電圧の上昇を許容する撮影時間優先モードを設定するモード設定の機能をモード設定・選択部47は備えている。また、同じく管電流判断部46によって管電流が許容範囲にないと判断された場合には、管電圧の上昇よりも撮影時間の延長を許容する管電圧優先モードを設定するモード設定の機能をモード設定・選択部47は備えている。言い換えれば、管電流判断部46によって管電流が許容範囲にないと判断された場合には、撮影時間の延長よりも管電圧の上昇を許容する撮影時間優先モード、および管電圧の上昇よりも撮影時間の延長を許容する管電圧優先モードのいずれかを選択するモード選択の機能をモード設定・選択部47は備えている。
【0049】
モード設定・選択部47によって管電圧優先モードを選択した場合において、上述した図2のように構成している。すなわち、管電圧優先モードを選択した場合において撮影時間を延長して、その延長された撮影時間が、定格情報において予め設定された所定の許容範囲か否かを判断する撮影時間判断部48を備え、その撮影時間判断部48によって撮影時間が許容範囲にないと判断され、かつ管電流判断部46によって管電流が許容範囲にないと判断された場合には、モード設定・選択部47は撮影時間優先モードを選択して管電圧を上昇させる。このように構成することで、管電圧優先モードを選択した場合において許容範囲になかった管電流を、撮影時間を延長すると許容範囲にまで近づける。しかし、管電流が許容範囲に入るまでに延長された撮影時間が許容範囲を超えそうなときには、それ以上の撮影時間の延長を中止して、モード設定・選択部47は撮影時間優先モードを選択して管電圧を上昇させると管電流を許容範囲にまで近づけることができ、管電流が許容範囲に最終的に入ったときにおける上昇した管電圧と、許容範囲の境界にまで延長された撮影時間とが、体厚での撮影条件となる。
【0050】
本実施例に係るX線高電圧部10を備えたX線撮影装置は、X線管20から照射されて被検体Mを透過したX線を検出するX線検出器70を備え、そのX線検出器70で検出されたX線に基づいてX線撮影を行っている。X線高電圧部10において使用するX線管20が変わっても撮影条件を簡易に設定することができるので、この最適な撮影条件でX線撮影が行われることになる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施例に係るX線高電圧部およびそれを備えたX線撮影装置の概略ブロック図である。
【図2】実施例に係るX線高電圧部の具体的な概略ブロック図である。
【図3】(a)は線量−管電圧テーブルの一実施態様、(b)は管電圧−線量比テーブルの一実施態様である。
【図4】実施例に係る撮影条件を設定する一連の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
10 … X線高電圧部
20 … X線管
30 … 高電圧発生部
41 … 線量算出部
42 … 管電圧算出部
43 … 線量比算出部
44 … mAs値算出部
45 … 管電流・撮影時間算出手段
46 … 管電流判断部
47 … モード設定・選択部
48 … 撮影時間判断部
49 … 線量判断部
51 … 線量−管電圧テーブル
52 … 管電圧−線量比テーブル
M … 被検体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を照射するX線管と、そのX線管に印加する管電圧を発生させる高電圧発生手段とを備えたX線高電圧装置であって、照射の対象となる被検体の厚みである体厚、X線管の照射線量、およびその線量が得られる標準のX線管の管電圧を対応づけた線量−管電圧テーブルと、管電圧、およびその管電圧が得られるX線管の管電流と撮影時間との積の単位当たり線量である線量比を対応づけた管電圧−線量比テーブルとを備えるとともに、前記体厚に基づいてX線管から照射すべき撮影に必要な線量である前記照射線量を、前記線量−管電圧テーブルを参照して算出する線量算出手段と、その線量算出手段で算出された前記照射線量に基づいて管電圧を、前記線量−管電圧テーブルを参照して算出する管電圧算出手段と、その管電圧算出手段で算出された前記管電圧に基づいてその管電圧での前記線量比を、前記線量比−管電圧テーブルを参照して算出する線量比算出手段と、その線量比算出手段で算出された前記線量比と、前記線量算出手段で算出された前記照射線量とに基づいて、管電流と撮影時間との積を算出する管電流・撮影時間積算出手段と、その管電流・撮影時間積算出手段で算出された管電流と撮影時間との積および使用するX線管の定格情報に基づいて管電流および撮影時間をそれぞれ算出する管電流・撮影時間算出手段とを備え、その管電流・撮影時間算出手段で算出された前記管電流および前記撮影時間と、前記管電圧算出手段で算出された前記管電圧とを、前記体厚での撮影条件とすることを特徴とするX線高電圧装置。
【請求項2】
請求項1に記載のX線高電圧装置において、前記管電流・撮影時間算出手段で算出された前記管電流が、前記定格情報において予め設定された所定の許容範囲か否かを判断する管電流判断手段を備え、その管電流判断手段によって管電流が前記許容範囲にないと判断された場合には、前記管電圧を上昇させる、あるいは前記撮影時間を延長することで前記許容範囲の管電流を決定し、その決定された管電流と、上昇した管電圧あるいは延長された撮影時間とを、前記体厚での撮影条件とすることを特徴とするX線高電圧装置。
【請求項3】
請求項2に記載のX線高電圧装置において、前記管電流判断手段によって前記管電流が前記許容範囲にないと判断された場合には、前記撮影時間の延長よりも前記管電圧の上昇を許容する撮影時間優先モードを設定するモード設定手段を備えることを特徴するX線高電圧装置。
【請求項4】
請求項2に記載のX線高電圧装置において、前記管電流判断手段によって前記管電流が前記許容範囲にないと判断された場合には、前記管電圧の上昇よりも前記撮影時間の延長を許容する管電圧優先モードを設定するモード設定手段を備えることを特徴とするX線高電圧装置。
【請求項5】
請求項2に記載のX線高電圧装置において、前記管電流判断手段によって前記管電流が前記許容範囲にないと判断された場合には、前記撮影時間の延長よりも前記管電圧の上昇を許容する撮影時間優先モード、および前記管電圧の上昇よりも前記撮影時間の延長を許容する管電圧優先モードのいずれかを選択するモード選択手段を備えることを特徴とするX線高電圧装置。
【請求項6】
請求項5に記載のX線高電圧装置において、前記モード選択手段によって前記管電圧優先モードを選択した場合において前記撮影時間を延長して、その延長された撮影時間が、前記定格情報において予め設定された所定の許容範囲か否かを判断する撮影時間判断手段を備え、その撮影時間判断手段によって前記撮影時間が前記許容範囲にないと判断され、かつ前記管電流判断手段によって前記管電流が前記許容範囲にないと判断された場合には、前記モード選択手段は前記撮影時間優先モードを選択して前記管電圧を上昇させることを特徴とするX線高電圧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−102877(P2010−102877A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271751(P2008−271751)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】