説明

ZnS蛍光体を用いた中性子検出用シンチレータ及び粒子線検出用シンチレータ

【課題】
高検出効率で、高計数率に対応した中性子検出用シンチレータを提供する。
【解決手段】
ZnS蛍光体を接着剤で混合し基板に20μmないし100μmの厚さ塗布し乾かした後、基板に塗布したZnS蛍光体表面に、ZnS蛍光体と中性子コンバータであるLiFを無機接着剤と混合して塗布した中性子検出用シンチレータを作製する。また、高計数率化を図るために、NaあるいはCを添加して短寿命化を実現したZnS蛍光体を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中性子および粒子線の検出に用いる中性子用及び粒子線用シンチレータに関するものである。中性子あるいは粒子線により発光する蛍光量が非常に大きいことを特長としたZnS蛍光体を用いて、中性子を高い検出効率で検出すると共に高い入射率で入った場合でも中性子を検出可能とし、かつ2次元中性子イメージを高速に取得できることを特長としている。
【0002】
特に、高い中性子検出効率で、かつ高い計数率での2次元中性子イメージングが可能となるため、大強度陽子加速器を用いて発生するパルス中性子を用い飛行時間法(TOF)を適用した中性子散乱等による物性物理研究や構造生物学の研究の進展に寄与することが大きい。中性子源として原子炉を用いた同種の研究にも利用できる。
【背景技術】
【0003】
従来より、中性子検出用シンチレータとしては、ZnS蛍光体と中性子コンバータであるLiFを混合した後、接着剤と混合して、基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータが市販されて長年にわたって使用されてきた。しかし、使用されてきた接着剤としては、添加剤のないセルロースのみを用いた接着剤、あるいはプラスチックを用いた接着剤、ポリエチレン[Nucl. Instr. and Meth. 53 (1967)163-166]が用いられてきた。これらの接着剤を用いた場合、ZnS蛍光体とLiFとを接着する際の混合比とその接着状態がまだ最適化されていない状態であるため、中性子に対する検出効率を上げることできなかった。
【0004】
また、接着剤として水素(H)を含んだ有機接着剤が使われてきたため、中性子散乱断面積が比較的に大きい水素による中性子の散乱が起こる。このため、検出効率の低下と共に、散乱した中性子が中性子散乱実験の際にバックグランドとなっていた。
【0005】
また、接着剤として剛性のある接着剤が使用されてきたため、中性子ラジオグラフィなどで要求がある中性子検出用シンチレータを少し曲げて透過像を取ることができなかった。
【0006】
また、通常、中性子検出用シンチレータは基板側から中性子を入射し放出される蛍光を光検出器により検出する。この場合、中性子は基板に近い側から中性子捕獲割合が大きくなる。特に、冷中性子の場合この傾向が顕著となる。LiFを中性子コンバータとして使う場合、
Li+n(中性子) −>t(トリトン)+α(α線)+4.78MeV
核反応が用いられ、t(トリトン)は2.7MeV、α線は2.0MeVのエネルギーを持って放出される。ZnS蛍光体、LiF及び接着剤の混合比にも依存するが中性子検出用シンチレータ内部でのt(トリトン)とα線の飛程は、それぞれ、30−50μm、6−10μmである。このため、基板側で核反応を起こしたt(トリトン)とα線、特にt(トリトン)は中性子検出用シンチレータの外部に飛び出してしまいZnS蛍光体を光らせることができなくなるため、総合的な蛍光量が減少し、中性子検出効率の減少と、中性子検出用シンチレータの蛍光波高分布が悪化する原因となっていた。
【0007】
また、従来より、粒子線検出用シンチレータとしては、ZnS蛍光体と有機接着剤と混合して、基板に塗布することにより作製する粒子線検出用シンチレータが市販されて長年にわたって使用されてきた。しかし、接着剤として水素(H)を含んだ有機接着剤が使われてきたため、高速中性子がある環境で使用した場合水素の核反挑反応により生ずるp(プロトン)によりZnS蛍光体が蛍光を発しバックグラウンドとなっていた。
【0008】
一方、ZnS蛍光体は、粒子線に対する蛍光量が非常に大きく、かつ蛍光寿命のうち短い蛍光寿命の成分が約300nsと短いことから、ZnS蛍光体が主に使用されてきた。しかし、ZnS蛍光体の蛍光寿命には、図12に示すようにアフターグローと呼ばれている遅い蛍光寿命成分が含まれている。このため、平均の蛍光寿命は70から100μsといわれている。この遅い蛍光寿命成分が原因となり、高い計数率の粒子線あるいは中性子が入射するとパイルアップ現象を起こし、正確に計数率を測定することが困難になるという欠点があった(放射線ハンドブック第2版)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
大強度陽子加速器を用いた大強度パルス中性子源が最近使用されるようになり、パルス中性子の強度および発生する中性子エネルギー範囲が広がるにつれ、高検出効率でかつ高計数率に対応し、検出器を飽和させることなく、かつ簡便に中性子の検出及び2次元中性子イメージが可能な中性子検出用シンチレータを用いた検出器の開発が不可欠である。このため、中性子検出用シンチレータの検出効率の改善、蛍光寿命特性の改善、取り扱い特性(曲げ)の改善が必要である。
【0010】
また、同じく加速器、原子炉関連施設等での粒子線検出実験あるいは粒子線モニタにおいては、高速中性子によるバックグラウンドを除去した上での粒子線の高計数率測定が不可欠である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
中性子検出用シンチレータの検出効率の改善については、これまで使われてこなかった有機接着剤を用いることにより、中性子検出用シンチレータの蛍光波高分布を改善することにより解決する。
【0012】
また、接着剤として水素(H)を含んだ有機接着剤が使われてきたため、中性子散乱断面積が比較的に大きい水素による中性子の散乱が起こる問題に対しては、水素を含まない無機接着剤を用いることにより解決する。
【0013】
また、通常、中性子検出用シンチレータの基板に近い側の中性子捕獲割合が大きいことに起因する検出効率の劣化については、ZnS蛍光体を接着剤で混合し基板に20μmないし100μmの厚さ塗布し乾かした後、基板に塗布したZnS蛍光体表面に、検出体を塗布することにより、基板側で核反応を起こしたt(トリトン)とα線、特にt(トリトン)をこのZnS蛍光体で光らせることにより解決する。
【0014】
また、接着剤として剛性のある接着剤が使用されてきたため、中性子ラジオグラフィなどで要求がある中性子検出用シンチレータを少し曲げて透過像を取ることができなかった問題については、柔軟性があり透明度も良い接着剤を用いかつ基板として従来のものに比較して十分薄いものを使うことにより解決した。
【0015】
さらに、粒子線検出用シンチレータの高速中性子がある環境での使用の際、バックグラウンドとなる問題に対しては、水素を含まない無機接着剤を用いることにより解決する。
一方、ZnS蛍光体の遅い蛍光寿命成分が原因となり、高い計数率の粒子線あるいは中性子が入射するとパイルアップ現象を起こし、正確に計数率を測定することが困難となる問題に対して、ZnS蛍光体にさらに補助添加材を用いることにより蛍光寿命を短くし解決する。
【実施例】
【0016】
(実施例1)
実施例1として、ZnS蛍光体と中性子コンバータであるLiFを混合した後、SiOを主構成材とした無機接着剤と混合して、基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータについて図1を参照して述べる。
【0017】
基板としては、図1に示すようにアルミニウム板を用い、サンプルサイズとして2cm x 2cmとする。厚さは0.3mmである。ZnS蛍光体としては日亜化学製ZnS:Ag,Cl蛍光体(NP―1109)を用いる。中性子コンバータであるLiFについてはLIのアイソトープ濃縮度が90%のものを用いる。実施例では、ZnS:Ag,Cl蛍光体の量を240mg用い、LiFの量を90mg用いる。SiOを主構成材とした無機接着剤としては日興製HEATLESS GLASS GS−600−1を60mg用いる。蛍光体とLiFと接着剤の比は8:3:2となる。接着剤を300mgのエタノールで希釈した後、蛍光体とLiFを入れてよく混合する。この混合体を2cm x 2cmアルミニウム板に塗布し、乾かして中性子検出用シンチレータとする。
【0018】
本中性子線用シンチレータを浜松ホトニクス製光電子増倍管1924Aに装着し、中性子に対する蛍光波高分布を測定した。約250n/s/cmの中性子束を持つ252Cf中性子線源を用いて200秒測定した結果を図2に示す。比較のため測定した、市販されている米国BICRON社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータ(NE426相当品)と英国AST社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータの蛍光波高分布を示す。この結果、BICRON社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータとAST社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータの熱中性子に対する検出効率が、それぞれ、25.8%と23.4%に対して、本発明のSiOを主構成材とした無機接着剤を用いた中性子検出用シンチレータは32.7%まで改善することがわかった。
(実施例2)
実施例2として、ZnS蛍光体と中性子コンバータであるLiFを混合した後、SiOとAlを主構成材とした無機接着剤と混合して、基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータについて図3を参照して述べる。
【0019】
基板としては、図3に示すようにアルミニウム板を用い、サンプルサイズとして2cm x 2cmとする。厚さは0.3mmである。ZnS蛍光体としては日亜化学製ZnS:Ag,Cl蛍光体(NP―1109)を用いる。中性子コンバータであるLiFについてはLIのアイソトープ濃縮度が90%のものを用いる。実施例では、ZnS:Ag,Cl蛍光体の量を240mg用い、LiFの量を90mg用いる。SiOとAlを主構成材とした無機接着剤としては日興製HEATLESS GLASS GS−600−2を60mg用いる。蛍光体とLiFと接着剤の比は8:3:2となる。接着剤を300mgのエタノールで希釈した後、蛍光体とLiFを入れてよく混合する。この混合体を2cm x 2cmアルミニウム板に塗布し、乾かして中性子検出用シンチレータとする。
【0020】
本中性子線用シンチレータを浜松ホトニクス製光電子増倍管1924Aに装着し、中性子に対する蛍光波高分布を測定した。約250n/s/cmの中性子束を持つ252Cf中性子線源を用いて200秒測定した結果を図4に示す。比較のため測定した、市販されている米国BICRON社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータ(NE426相当品)と英国AST社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータの蛍光波高分布を示す。この結果、BICRON社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータとAST社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータの熱中性子に対する検出効率が、それぞれ、25.8%と23.4%に対して、本発明のSiOとAlを主構成材とした無機接着剤を用いた中性子検出用シンチレータは32.6%まで改善することがわかった。
(実施例3)
実施例2として、ZnS蛍光体と中性子コンバータであるLiFを混合した後、SiOとTiOを主構成材とした無機接着剤と混合して、基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータについて図5を参照して述べる。
【0021】
基板としては、図5に示すようにアルミニウム板を用い、サンプルサイズとして2cm x 2cmとする。厚さは0.3mmである。ZnS蛍光体としては日亜化学製ZnS:Ag,Cl蛍光体(NP―1109)を用いる。中性子コンバータであるLiFについてはLIのアイソトープ濃縮度が90%のものを用いる。実施例では、ZnS:Ag,Cl蛍光体の量を240mg用い、LiFの量を90mg用いる。SiOとTiOを主構成材とした無機接着剤としては日興製HEATLESS GLASS GS−600−3を60mg用いる。蛍光体とLiFと接着剤の比は8:3:2となる。接着剤を300mgの2−ブタノンで希釈した後、蛍光体とLiFを入れてよく混合する。この混合体を2cm x 2cmアルミニウム板に塗布し、乾かして中性子検出用シンチレータとする。
【0022】
本中性子線用シンチレータを浜松ホトニクス製光電子増倍管1924Aに装着し、中性子に対する蛍光波高分布を測定した。約250n/s/cmの中性子束を持つ252Cf中性子線源を用いて200秒測定した結果を図6に示す。比較のため測定した、市販されている米国BICRON社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータ(NE426相当品)と英国AST社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータの蛍光波高分布を示す。この結果、BICRON社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータとAST社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータの熱中性子に対する検出効率が、それぞれ、25.8%と23.4%に対して、本発明のSiOとTiOを主構成材とした無機接着剤を用いた中性子検出用シンチレータは27.9%まで改善することがわかった。
(実施例4)
実施例4として、ZnS蛍光体と中性子コンバータであるLiFを混合した後、接着剤としてセルロースを主な構成材とし、添加剤としてケトン、アルキドまたは合成樹脂(マレイン酸)を用いた接着剤と混合して、基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータについて図7を参照して述べる。
【0023】
基板としては、図7に示すようにアルミニウム板を用い、サンプルサイズとして2cm x 2cmとする。厚さは0.3mmである。ZnS蛍光体としては日亜化学製ZnS:Ag,Cl蛍光体(NP―1109)を用いる。中性子コンバータであるLiFについてはLIのアイソトープ濃縮度が90%のものを用いる。実施例では、ZnS:Ag,Cl蛍光体の量を240mg用い、LiFの量を90mg用いる。接着剤として、セルロースを主な構成材とし添加剤としてケトンを用いた和信ペイント製のネオラックニス、セルロースを主な構成材とし添加剤としてアルキドを用いた和信ペイント製のクリアラッカー、セルロースを主な構成材とし添加剤として合成樹脂(マレイン酸)を用いたカンペハピオ製の速乾ニスを、それぞれ60mg用いた3種類の中性子検出用シンチレータについて述べる。
【0024】
蛍光体とLiFと接着剤の比は8:3:2となる。3種類の接着剤をそれぞれ300mgの2−ブタノンで希釈した後、蛍光体とLiFを入れてよく混合する。この混合体を2cm x 2cmアルミニウム板に塗布し、乾かして3種類の中性子検出用シンチレータとする。
【0025】
3種類の中性子線用シンチレータについて、浜松ホトニクス製光電子増倍管1924Aに装着し、中性子に対する蛍光波高分布を測定した。約250n/s/cmの中性子束を持つ252Cf中性子線源を用いて200秒測定した結果を図8−10に示す。比較のため測定した、市販されている米国BICRON社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータ(NE426相当品)と英国AST社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータの蛍光波高分布をそれぞれ示す。この結果、BICRON社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータとAST社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータの熱中性子に対する検出効率が、それぞれ、25.8%と23.4%に対して、本発明の接着剤として、セルロースを主な構成材とし添加剤としてケトンを用いた和信ペイント製のネオラックニス、セルロースを主な構成材とし添加剤としてアルキドを用いた和信ペイント製のクリアラッカー、セルロースを主な構成材とし添加剤として合成樹脂(マレイン酸)を用いたカンペハピオ製の速乾ニスを用いた3種類の中性子検出用シンチレータはそれぞれ、27.5%、31.1%、26.4%まで改善することがわかった。また、セルロースを主な構成材とし添加剤としてケトンを用いた和信ペイント製のネオラックニスについては、検出効率はあまり改善されないものの蛍光波高分布が改善し蛍光量が大きい信号が得られることがわかった。
(実施例5)
実施例5として、ZnS蛍光体と中性子コンバータであるLiFを混合した後、接着剤としてホルベイン社製メタルプライマーを用いて混合して、基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータについて図11を参照して述べる。
【0026】
基板としては、図に示すようにアルミニウム板を用い、サンプルサイズとして2cm x 2cmとする。厚さは0.3mmである。ZnS蛍光体としては日亜化学製ZnS:Ag,Cl蛍光体(NP―1109)を用いる。中性子コンバータであるLiFについてはLIのアイソトープ濃縮度が90%のものを用いる。実施例では、ZnS:Ag,Cl蛍光体の量を240mg用い、LiFの量を90mg用いる。接着剤としてはホルベイン社製メタルプライマー(A474)を60mg用いる。蛍光体とLiFと接着剤の比は8:3:2となる。接着剤を300mgの2−ブタノンで希釈した後、蛍光体とLiFを入れてよく混合する。この混合体を2cm x 2cmアルミニウム板に塗布し、乾かして中性子検出用シンチレータとする。
【0027】
本中性子線用シンチレータを浜松ホトニクス製光電子増倍管1924Aに装着し、中性子に対する蛍光波高分布を測定した。約250n/s/cmの中性子束を持つ252Cf中性子線源を用いて200秒測定した結果を図12に示す。比較のため測定した、市販されている米国BICRON社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータ(NE426相当品)と英国AST社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータの蛍光波高分布を示す。この結果、BICRON社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータとAST社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータの熱中性子に対する検出効率が、それぞれ、25.8%と23.4%に対して、接着剤として本発明のホルベイン社製メタルプライマー(A474)を用いた中性子検出用シンチレータは29.9%%まで改善することがわかった。
(実施例6)
実施例6として、ZnS蛍光体と中性子コンバータであるLiFを混合した後、接着剤としてアクリル樹脂を用いて混合して、基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータについて図13を参照して述べる。
【0028】
基板としては、図に示すようにアルミニウム板を用い、サンプルサイズとして2cm x 2cmとする。厚さは0.3mmである。ZnS蛍光体としては日亜化学製ZnS:Ag,Cl蛍光体(NP―1109)を用いる。中性子コンバータであるLiFについてはLIのアイソトープ濃縮度が90%のものを用いる。実施例では、ZnS:Ag,Cl蛍光体の量を240mg用い、LiFの量を90mg用いる。接着剤としてはしてアクリル樹脂を主構成材とした和信ペイント社製つやだしニスを60mg用いる。蛍光体とLiFと接着剤の比は8:3:2となる。接着剤を300mgのエタノールで希釈した後、蛍光体とLiFを入れてよく混合する。この混合体を2cm x 2cmアルミニウム板に塗布し、乾かして中性子検出用シンチレータとする。
【0029】
本中性子線用シンチレータを浜松ホトニクス製光電子増倍管1924Aに装着し、中性子に対する蛍光波高分布を測定した。約250n/s/cmの中性子束を持つ252Cf中性子線源を用いて200秒測定した結果を図14に示す。比較のため測定した、市販されている米国BICRON社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータ(NE426相当品)と英国AST社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータの蛍光波高分布を示す。この結果、BICRON社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータとAST社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータの熱中性子に対する検出効率が、それぞれ、25.8%と23.4%に対して、接着剤として本発明のアクリル樹脂を主構成材とした和信ペイント社製つやだしニスを用いた中性子検出用シンチレータは31.6%まで改善することがわかった。
(実施例7)
実施例7として、ZnS蛍光体と中性子コンバータであるLiFを混合した後、接着剤としてシリル化ウレタン樹脂を主構成材とした接着剤を用いて混合して、基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータについて図 15を参照して述べる。
【0030】
基板としては、図15に示すようにアルミニウム板を用い、サンプルサイズとして2cm x 2cmとする。厚さは中性子検出用シンチレータを折り曲げて使用することを考慮して0.1mmとする。ZnS蛍光体としては日亜化学製ZnS:Ag,Cl蛍光体(NP―1109)を用いる。中性子コンバータであるLiFについてはLiのアイソトープ濃縮度が90%のものを用いる。実施例では、ZnS:Ag,Cl蛍光体の量を240mg用い、LiFの量を90mg用いる。接着剤としてはシリル化ウレタン樹脂を主構成材としたコニシ社製SU(エスユー)を60mg用いる。蛍光体とLiFと接着剤の比は8:3:2となる。接着剤を300mgの2−ブタノンで希釈した後、蛍光体とLiFを入れてよく混合する。この混合体を2cm x 2cmアルミニウム板に塗布し、乾かして中性子検出用シンチレータとする。
【0031】
本中性子線用シンチレータを浜松ホトニクス製光電子増倍管1924Aに装着し、中性子に対する蛍光波高分布を測定した。約250n/s/cmの中性子束を持つ252Cf中性子線源を用いて200秒測定した結果を図16に示す。比較のため測定した、市販されている米国BICRON社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータ(NE426相当品)と英国AST社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータの蛍光波高分布を示す。この結果、BICRON社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータとAST社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータの熱中性子に対する検出効率が、それぞれ、25.8%と23.4%に対して、接着剤として本発明のシリル化ウレタン樹脂を主構成材としたコニシ社製SU(エスユー)を用いた中性子検出用シンチレータは28.2%まで改善することがわかった。また、従来接着剤として剛性のある接着剤が使用されてきたため、中性子ラジオグラフィなどで要求がある中性子検出用シンチレータを少し曲げて透過像を取ることができなかったが、シリル化ウレタン樹脂を主構成材としたコニシ社製SU(エスユー)は柔軟性があるため、基板を薄くすれば曲げて使用できることがわかった。
(実施例8)
実施例8として、ZnS蛍光体のみを接着剤で混合し基板に塗布し乾かした後、基板に塗布したZnS蛍光体表面に、ZnS蛍光体と中性子コンバータであるLiFを接着剤とを混合して塗布し作製した中性子検出用シンチレータについて図17を参照して述べる。
【0032】
中性子検出用シンチレータは基板側から中性子を入射し放出される蛍光を光検出器により検出するため、中性子は基板に近い側から中性子捕獲割合が大きくなる。特に、冷中性子の場合この傾向が顕著となる。一方、LiFを中性子コンバータとして使う場合、
Li+n(中性子) −>t(トリトン)+α(α線)+4.78MeV
核反応が用いられ、t(トリトン)は2.7MeV、α線は2.0MeVのエネルギーを持って放出される。ZnS蛍光体、LiF及び接着剤の混合比にも依存するが中性子検出用シンチレータ内部でのt(トリトン)とα線の飛程は、それぞれ、30−50μm、6−10μmである。このため、基板側で核反応を起こしたt(トリトン)とα線、特にt(トリトン)は中性子検出用シンチレータの外部に飛び出してしまい基板に吸収されるため、ZnS蛍光体を光らせることができなくなる。このため、総合的な蛍光量が減少し、中性子検出効率の減少と共に、中性子検出用シンチレータの蛍光波高分布を劣化させる原因となっていた。
【0033】
このため、本発明においては、最初に、ZnS蛍光体を接着剤で混合し基板に20μmないし100μmの厚さ塗布する。塗布したZnS蛍光体に、ZnS蛍光体とLiFからなる中性子検出体から放出される飛び出してきたt(トリトン)あるいはα線が入射し蛍光を発することを利用して中性子検出効率の減少と中性子検出用シンチレータの蛍光波高分布の劣化を防ぐ。特に冷中性子では効果が大きい。
【0034】
実施例では、ZnS蛍光体として日亜化学製ZnS:Ag,Cl蛍光体(NP―1109)として用い、最初にZnS蛍光体を基板塗布する接着剤としては、ホルベイン社製メタルプライマー(A474)を用いる。ZnS蛍光体と接着剤との比は3:1とする。溶剤として2−ブタノンを用い、希釈した後基板に一様に50μmの厚さに塗布する。
【0035】
基板としては、図17に示すようにアルミニウム板を用い、サンプルサイズとして2cm x 2cmとする。厚さは0.3mmである。ZnS蛍光体としては基板に最初に塗布したものと同じ日亜化学製ZnS:Ag,Cl蛍光体(NP―1109)を用いる。中性子コンバータであるLiFについてはLiのアイソトープ濃縮度が90%のものを用いる。実施例では、ZnS:Ag,Cl蛍光体の量を180mg用い、LiFの量を45mg用いる。接着剤としてはセルロースを主な構成材とし添加剤としてアルキドを用いた和信ペイント製のクリアラッカーを45mg用いる。蛍光体とLiFと接着剤の比は4:1:1となる。接着剤を300mgの2−ブタノンで希釈した後、蛍光体とLiFを入れてよく混合する。この混合体を2cm x 2cmアルミニウム板に塗布し、乾かして中性子検出用シンチレータとする。
【0036】
本中性子線用シンチレータを浜松ホトニクス製光電子増倍管1924Aに装着し、中性子に対する蛍光波高分布を測定した。約250n/s/cmの中性子束を持つ252Cf中性子線源を用いて200秒測定した結果を図18に示す。同時に比較のため、基板にZnS蛍光体を塗布しないこと以外同じ条件で作製した従来型の中性子検出用シンチレータの測定結果を示す。この結果、本発明の中性子検出用シンチレータは蛍光波高分布にピーク部分がありかつ蛍光量が多い波高分布に改善された。 従来方式の中性子検出用シンチレータと本発明の中性子検出用シンチレータの検出効率は、ほぼ同じ17%が得られた。
(実施例9)
実施例9として、ZnS蛍光体とSiOを主構成材とした無機接着剤とを混合して、基板に塗布することにより作製する粒子線用シンチレータについて図19を参照して述べる。
【0037】
基板としては、図19に示すようにガラス板を用い、サンプルサイズとして1.8cm x 1.8cmとする。厚さは0.15mmである。ZnS蛍光体としては日亜化学製ZnS:Ag,Cl蛍光体(NP―1109)を用いる。実施例では、ZnS:Ag,Cl蛍光体の量を16mg用いる。SiOを主構成材とした無機接着剤としては日興製HEATLESS GLASS GS−600−1を8mg用いる。蛍光体とLiFと接着剤の比は2:1となる。接着剤を100mgのエタノールで希釈した後、蛍光体を入れてよく混合する。この混合体を1.8cm x 1.8cmガラス板に塗布し、乾かして粒子線検出用シンチレータとする。
【0038】
本粒子線用シンチレータを浜松ホトニクス製光電子増倍管R1924Aに装着し、α線に対する蛍光波高分布を測定した。測定した結果を図20に示す。比較のため測定した、セルロースを主な構成材とし、添加剤アルキドを用いた有機接着剤を用いて同じ条件で作製した粒子線検出用シンチレータの蛍光波高分布を同時に示す。この結果、無機接着剤を用いてもα線に対してほぼ同じ粒子線検出特性を示すことがわかった。
(実施例10)
実施例10においては、これまでの実施例のZnS:Ag、Clの代わりにZnS:Ag、Alを用いた中性子検出用シンチレータについて、図21を参照して述べる。
【0039】
基板としては、図21に示すようにアルミニウム板を用い、サンプルサイズとして2cm x 2cmとする。厚さは0.3mmである。ZnS蛍光体としては日亜化学製ZnS:Ag,Al蛍光体(NP―1055)を用いる。中性子コンバータであるLiFについてはLIのアイソトープ濃縮度が90%のものを用いる。実施例では、ZnS:Ag,Cl蛍光体の量を240mg用い、LiFの量を120mg用いる。接着剤として、セルロースを主な構成材とし添加剤としてアルキドを用いた和信ペイント製のクリアラッカーを60mg用いた中性子検出用シンチレータについて述べる。
【0040】
蛍光体とLiFと接着剤の比は4:2:1となる。接着剤を300mgの2−ブタノンで希釈した後、蛍光体とLiFを入れてよく混合する。この混合体を2cm x 2cmアルミニウム板に塗布し、乾かして中性子検出用シンチレータとする。
【0041】
本中性子線用シンチレータについて、浜松ホトニクス製光電子増倍管1924Aに装着し、中性子に対する蛍光波高分布を測定した。約250n/s/cmの中性子束を持つ252Cf中性子線源を用いて200秒測定した結果を図22に示す。比較のため測定した、市販されている米国BICRON社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータ(NE426相当品)と英国AST社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータの蛍光波高分布をそれぞれ示す。この結果、BICRON社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータとAST社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータの熱中性子に対する検出効率が、それぞれ、25.8%と23.4%に対して、本発明のZnS蛍光体としてZnS:Ag、Alを用い、接着剤として和信ペイント製のクリアラッカーを用いた中性子検出用シンチレータはそれぞれ、39.9%まで改善することがわかった。
(実施例11)
実施例11においては、ZnS蛍光体としてZnS:Ag、Clにドープ材としてNa(ナトリウム)を添加して作製したZnS:Ag、Cl、Naを用いた粒子線検出用シンチレータについて述べる。
【0042】
ZnS蛍光体の遅い蛍光寿命成分が原因となり、高い計数率の粒子線あるいは中性子が入射するとパイルアップ現象を起こし、正確に計数率を測定することが困難となる問題を解決するために、ZnS蛍光体にさらに補助添加材を用いることにより蛍光寿命を短くする。
【0043】
本実施例では、ZnS蛍光体として日亜化学製ZnS:Ag,Cl蛍光体(NP―1109)をベースの蛍光体として用いる。この蛍光体にmol%で2%のNa(ナトリウム)を添加した試料をカーボンブロックの中にいれた後、窒素雰囲気の電気炉で焼結温度950℃で3時間焼結する。
【0044】
焼結してできたZnS:Ag、Cl、Na蛍光体についてガラス基板に塗布し粒子線検出用シンチレータとした後、α線を用いてその蛍光スペクトルを測定した。もとのZnS:Ag,Cl蛍光体と比較するため、測定結果を基準化してプロットした図を図23に示す。蛍光スペクトルが短い波長側にシフトすることがわかる。ZnS:Ag蛍光体の場合、波長が短い蛍光部分に蛍光寿命が短い成分が多く含まれることが既に確認されている。このため、α線に対する蛍光寿命をデジタルオシロスコープを用いて測定した。この結果、ZnS:Ag,Cl蛍光体の早い部分の蛍光寿命が260nsであるのに対して、本発明のZnS:Ag、Cl、Na蛍光体は230nsまで改善できることがわかった。この蛍光体を用いることにより従来より蛍光寿命の短い中性子検出用中性子シンチレータを作製することができる。
(実施例12)
実施例12においては、ZnS蛍光体としてZnS:Ag、Alにドープ材としてNa(ナトリウム)を添加して作製したZnS:Ag、Cl、Naを用いた粒子線検出用シンチレータについて述べる。
【0045】
本実施例では、ZnS蛍光体として日亜化学製ZnS:Ag,Al蛍光体(NP―1055)をベースの蛍光体として用いる。この蛍光体にmol%で0.2%、2%及び5%のNa(ナトリウム)を添加した3つの試料をそれぞれカーボンブロックの中にいれた後、窒素雰囲気の電気炉で焼結温度950℃で3時間焼結する。
【0046】
焼結してできたZnS:Ag、Cl、Na蛍光体についてガラス基板に塗布し粒子線検出用シンチレータとした後、α線を用いてその蛍光スペクトルを測定した。もとのZnS:Ag,Cl蛍光体と比較するため、測定結果を基準化して3種類についてプロットした図を図24に示す。蛍光スペクトルがNa(ナトリウム)の添加量の増加とともに短い波長側にシフトすることがわかる。ZnS:Ag蛍光体の場合、波長が短い蛍光部分に蛍光寿命が短い成分が多く含まれることが既に確認されている。このため、Na(ナトリウム)の添加量が2%の濃度の試料に対してα線に対する蛍光寿命をデジタルオシロスコープを用いて測定した。この結果、ZnS:Ag,Cl蛍光体の早い部分の蛍光寿命が310nsであるのに対して、本発明のZnS:Ag、Cl、Na蛍光体は250nsまで改善できることがわかった。この蛍光体を用いることにより従来より蛍光寿命の短い中性子検出用中性子シンチレータを作製することができる。
(実施例13)
実施例13においては、ZnS蛍光体としてZnS:Ag、Cl、Alにドープ材としてNa(ナトリウム)を添加して作製したZnS:Ag、Cl、Al、Naを用いた粒子線検出用シンチレータについて述べる。
【0047】
本実施例では、ZnS蛍光体として日亜化学製ZnS:Ag,Cl蛍光体(NP―1109)と日亜化学製ZnS:Ag,Al蛍光体(NP―1055)を混合しこの混合した蛍光体をベースの蛍光体として用いる。この蛍光体にmol%で2%のNa(ナトリウム)を添加した試料をカーボンブロックの中にいれた後、窒素雰囲気の電気炉で焼結温度950℃で3時間焼結する。
【0048】
焼結してできたZnS:Ag、Cl、Al、Na蛍光体についてガラス基板に塗布し粒子線検出用シンチレータとした後、α線を用いてその蛍光スペクトルを測定した。もとのZnS:Ag,Cl蛍光体と比較するため、測定結果を基準化してプロットした図を図25に示す。蛍光スペクトルが少し短い波長側にシフトすることがわかる。α線に対する蛍光寿命をデジタルオシロスコープを用いて測定した。この結果、ZnS:Ag,Al蛍光体の早い部分の蛍光寿命が260nsであるのに対して、本発明のZnS:Ag、Cl、Na蛍光体は230nsまで改善できることがわかった。この蛍光体を用いることにより従来よりも蛍光寿命の短い中性子検出用中性子シンチレータを作製することができる。
(実施例14)
実施例14においては、ZnS蛍光体としてZnS:Ag、Alにドープ材としてC(炭素)を添加して作製したZnS:Ag、Cl、Cを用いた粒子線検出用シンチレータについて述べる。
【0049】
本実施例では、ZnS蛍光体として日亜化学製ZnS:Ag,Cl蛍光体(NP―1109)をベースの蛍光体として用いる。この蛍光体にmol%で0.2%から2%までのC(炭素)を添加した試料をそれぞれカーボンブロックの中にいれた後、窒素雰囲気の電気炉で焼結温度950℃で3時間焼結する。
【0050】
焼結してできたZnS:Ag、Cl、C蛍光体についてガラス基板に塗布し粒子線検出用シンチレータとした後、α線を用いてその蛍光スペクトルを測定した。もとのZnS:Ag,Cl蛍光体と比較するため、測定結果を基準化して0.7%のC(炭素)についてプロットし比較した図を図26に示す。添加量が0.2%から2%までの濃度の試料に対してα線に対する蛍光寿命をデジタルオシロスコープを用いて測定した。この結果を図27に示す。C(炭素)の添加量の増加とともにZnS:Ag、Cl、C蛍光体の早い部分の蛍光寿命が短くなり、さらに増加するまた悪くなることがわかる。0.7%のC(炭素)の添加の場合が最も早く200nsまで改善できることがわかった。この蛍光体を用いることにより従来より蛍光寿命の短い中性子検出用中性子シンチレータを作製することができる。
[発明の効果]
【0051】
ZnS蛍光体と中性子コンバータであるLiFを混合した後、本発明の今までにない無機接着剤あるいは有機接着剤と混合して、基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータを用いることにより検出効率を改善することができる。また、基板にZnS蛍光体あらかじめ塗布することにより、検出効率の改善及び蛍光スペクトルの改善を行なうことができる。さらに、ZnS蛍光体にさらに補助添加材を用いることにより蛍光寿命を短くすることができる。このため、本発明の中性子検出用シンチレータを検出器に用いることにより、大強度のパルス中性子を用いた飛行時間法(TOF)法による中性子散乱実験に不可欠な中性子イージング検出器に要求されていた、広い中性子エネルギー範囲における高検出効率で高計数率な中性子イメージングを実現することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】ZnS蛍光体と中性子コンバータであるLiFを混合した後、SiOを主構成材とした無機接着剤と混合して、基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータの構成を示す図である。
【図2】SiOを主構成材とした無機接着剤と混合して基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータの中性子に対する蛍光波高分布を示す図である。(市販されている米国BICRON社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータ(NE426相当品)と英国AST社製ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータの蛍光波高分布の同時に示している。後の図についても比較のため同時にプロットしている。)
【図3】ZnS蛍光体と中性子コンバータであるLiFを混合した後、SiOとAlを主構成材とした無機接着剤と混合して、基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータの構成を示す図である。
【図4】SiOとAlを主構成材とした無機接着剤と混合して基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータの中性子に対する蛍光波高分布を示す図である。
【図5】ZnS蛍光体と中性子コンバータであるLiFを混合した後、SiOとTiOを主構成材とした無機接着剤と混合して、基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータの構成を示す図である。
【図6】SiOとTiOを主構成材とした無機接着剤と混合して基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータの中性子に対する蛍光波高分布を示す図である。
【図7】ZnS蛍光体と中性子コンバータであるLiFを混合した後、接着剤としてセルロースを主な構成材とし、添加剤としてケトン、アルキドまたは合成樹脂(マレイン酸)を用いた接着剤と混合して、基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータの構成を示す図である。
【図8】接着剤としてセルロースを主な構成材とし添加剤としてケトンを用いた接着材を混合して基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータの中性子に対する蛍光波高分布を示す図である。
【図9】接着剤としてセルロースを主な構成材とし添加剤としてアルキドを用いた接着材を混合して基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータの中性子に対する蛍光波高分布を示す図である。
【図10】接着剤としてセルロースを主な構成材とし添加剤として合成樹脂(マレイン酸)を用いた接着材を混合して基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータの中性子に対する蛍光波高分布を示す図である。
【図11】ZnS蛍光体と中性子コンバータであるLiFを混合した後、接着剤としてホルベイン社製メタルプライマーを用いた接着剤と混合して、基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータの構成を示す図である。
【図12】接着剤としてホルベイン社製メタルプライマーを用いた接着材を混合して基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータの中性子に対する蛍光波高分布を示す図である。
【図13】ZnS蛍光体と中性子コンバータであるLiFを混合した後、接着剤としてアクリル樹脂を主構成材とした接着剤を用いた接着剤と混合して、基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータの構成を示す図である。
【図14】接着剤としてアクリル樹脂を主構成材とした接着剤を用いた接着材を混合して基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータの中性子に対する蛍光波高分布を示す図である。
【図15】ZnS蛍光体と中性子コンバータであるLiFを混合した後、接着剤としてシリル化ウレタン樹脂を主構成材とした接着剤を用いた接着剤と混合して、基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータの構成を示す図である。
【図16】接着剤としてシリル化ウレタン樹脂を主構成材とした接着剤を用いた接着材を混合して基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータの中性子に対する蛍光波高分布を示す図である。
【図17】ZnS蛍光体のみを接着剤で混合し基板に塗布し乾かした後、基板に塗布したZnS蛍光体表面に、ZnS蛍光体と中性子コンバータであるLiFを接着剤とを混合して塗布し作製した中性子検出用シンチレータの構成を示す図である。
【図18】ZnS蛍光体のみを接着剤で混合し基板に塗布し乾かした後、基板に塗布したZnS蛍光体表面に、ZnS蛍光体と中性子コンバータであるLiFを接着剤と混合して塗布し作製した中性子検出用シンチレータと、基板にZnS蛍光体を塗布しないこと以外同じ条件で作製した従来型の中性子検出用シンチレータの中性子に対する蛍光波高分布を示す図である。
【図19】ZnS蛍光体とSiOを主構成材とした無機接着剤とを混合して、基板に塗布することにより作製する粒子線用シンチレータの構成を示す図である。
【図20】ZnS蛍光体とSiOを主構成材とした無機接着剤とを混合して、基板に塗布することにより作製する粒子線用シンチレータとセルロースを主な構成材とし、添加剤アルキドを用いた有機接着剤を用いて同じ条件で作製した粒子線検出用シンチレータの蛍光波高分布を示す図である。
【図21】ZnS:Ag、Clの代わりにZnS:Ag、Alを用いた中性子検出用シンチレータの構成を示す図である。
【図22】ZnS:Ag、Alを用いた中性子検出用シンチレータの蛍光波高分布を示す図である。
【図23】ZnS:Ag、Cl、Naを用いた粒子線検出用シンチレータの蛍光スペクトルを示す図である。
【図24】ZnS:Ag、Cl、Na蛍光体についてガラス基板に塗布し粒子線検出用シンチレータの蛍光スペクトルを示す図である。
【図25】ZnS:Ag、Cl、Al、Na蛍光体についてガラス基板に塗布し粒子線検出用シンチレータの蛍光スペクトルを示す図である。
【図26】ZnS:Ag、Cl、C蛍光体についてガラス基板に塗布し粒子線検出用シンチレータの蛍光スペクトルを示す図である。
【図27】ZnS:Ag、Cl、C蛍光体についてガラス基板に塗布し粒子線検出用シンチレータの炭素添加量が0.2%から2%までの濃度のシンチレータについてα線に対する蛍光寿命をプロットした図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ZnS蛍光体と中性子コンバータとしてLiFを混合した後、接着剤と混合して、基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータにおいて、接着剤としてSiOを主構成材とした無機接着剤を用いることを特長とした中性子検出用シンチレータ。
【請求項2】
ZnS蛍光体と中性子コンバータとしてLiFを混合した後、接着剤と混合して、基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータにおいて、接着剤としてSiOとAlを主構成材とした無機接着剤を用いることを特長とした中性子検出用シンチレータ。
【請求項3】
ZnS蛍光体と中性子コンバータとしてLiFを混合した後、接着剤と混合して、基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータにおいて、接着剤としてSiOとTiOを主構成材とした無機接着剤を用いることを特長とした中性子検出用シンチレータ。
【請求項4】
ZnS蛍光体と中性子コンバータとしてLiFを混合した後、接着剤と混合して、基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータにおいて、接着剤としてセルロースを主な構成材とし、添加剤としてケトン、アルキドまたは合成樹脂(マレイン酸)を用いた有機接着剤を用いることを特長とした中性子検出用シンチレータ。
【請求項5】
ZnS蛍光体と中性子コンバータとしてLiFを混合した後、接着剤と混合して、基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータにおいて、接着剤としてホルベイン社製メタルプライマーを用いることを特長とした中性子検出用シンチレータ。
【請求項6】
ZnS蛍光体と中性子コンバータとしてLiFを混合した後、接着剤と混合して、基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータにおいて、接着剤としてアクリル樹脂を主構成材とした接着剤を用いることを特長とした中性子検出用シンチレータ。
【請求項7】
ZnS蛍光体と中性子コンバータとしてLiFを混合した後、接着剤と混合して、基板に塗布することにより作製する中性子検出用シンチレータにおいて、接着剤としてシリル化ウレタン樹脂を主構成材とした接着剤を用いることを特長とした中性子検出用シンチレータ。
【請求項8】
ZnS蛍光体を接着剤で混合し基板に20μmないし100μmの厚さ塗布し乾かした後、基板に塗布したZnS蛍光体表面に、請求項1−7の製作方法を用いて、ZnS蛍光体と中性子コンバータであるLiFを接着剤と混合して塗布し、作製することを特長とした中性子検出用シンチレータ。
【請求項9】
ZnS蛍光体を接着剤と混合し基板に塗布することにより作製する粒子線検出用シンチレータにおいて、接着剤としてSiOを構成材とした無機接着剤、あるいはSiOとAlを構成材とした無機接着剤、あるいはSiOとTiを構成材とした無機接着剤を用いることを特長とした粒子線検出用シンチレータ。
【請求項10】
請求項1−9において、蛍光体としてZnS:Ag、Cl、あるいはZnS:Ag、AlあるいはZnS:Cuを用いた中性子検出用シンチレータ及び粒子線検出用シンチレータ。
【請求項11】
請求項1−9において、ZnS蛍光体としてZnS:Ag、Clにドープ材としてNa(ナトリウム)をmol%で0.2%ないし5%添加して作製したZnS:Ag、Cl、Naを用いた中性子検出用シンチレータ及び粒子線検出用シンチレータ。
【請求項12】
請求項1−9において、ZnS蛍光体としてZnS:Ag、Alにドープ材としてNa(ナトリウム)をmol%で0.2%ないし5%添加して作製したZnS:Ag、Al、Naを用いた中性子検出用シンチレータ及び粒子線検出用シンチレータ。
【請求項13】
請求項1−9において、ZnS蛍光体としてZnS:Ag、Cl、Alにドープ材としてNa(ナトリウム)をmol%で0.2%ないし5%添加して作製したZnS:Ag、Cl、Al、Naを用いた中性子検出用シンチレータ及び粒子線検出用シンチレータ。
【請求項14】
請求項1−9において、ZnS蛍光体としてZnS:Ag、Clに付加材としてC(炭素)をmol%で0.2%ないし2%添加して作製したZnS:Ag、Cl、Cを用いた中性子検出用シンチレータ及び粒子線検出用シンチレータ。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2007−70496(P2007−70496A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259971(P2005−259971)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(505374783)独立行政法人 日本原子力研究開発機構 (727)
【出願人】(598129314)
【Fターム(参考)】