invivo移植のための微生物由来セルロースの多孔性構造
本発明は、多糖材料に、そしてより詳細には、内科的および外科的適用のため、多孔性を有し、そして移植中の細胞浸潤に適したものにする望ましいサイズおよび他の望ましい特性の孔を含有する、微生物由来セルロースに関する。本発明はまた、損傷を受けた組織を再生し、そして外科処置を増大するための組織操作マトリックス、ヒト組織代替物、および補強骨格としての、多孔性微生物由来セルロースの使用にも関する。本発明は、細胞浸潤を許すことを可能にしつつ、微生物セルロースの物理的特性を保持する、多孔性微生物セルロースを生成する、発酵中および発酵後の多様な方法を概略する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、多糖材料に、そしてより詳細には、内科的および外科的適用のため、多孔性を有し、そして移植中の細胞浸潤に適したものにする望ましいサイズおよび他の望ましい特性の孔を含有する、微生物由来セルロースに関する。本発明はまた、損傷を受けた組織を再生し、そして外科処置を増大するための組織操作マトリックス、ヒト組織代替物、および補強骨格としての、多孔性微生物由来セルロースの使用にも関する。本発明は、細胞浸潤を許すことを可能にしつつ、微生物セルロースの物理的特性を保持する、多孔性微生物セルロースを生成する、発酵中および発酵後の多様な方法を概略する。
【背景技術】
【0002】
[0002]初期には、医学産業における微生物由来セルロースの使用は、液体装填パッド(米国特許第4,588,400号)、創傷包帯(米国特許第5,846,213号)、および他の局所適用(米国特許第4,912,049号)に限定されていた。しかし、移植可能医学デバイスとしての微生物セルロースの使用もまた研究されてきており、そしてよく記録されている。
【0003】
[0003]Osterら(米国特許第6,599,518号)は、移植前に溶媒脱水されている微生物セルロースの使用を記載した。Melloら(Mello, L. R.ら, Duraplasty with Biosynthetic Cellulose: An Experimental Study, Journal of Neurosurgery, V. 86, 143−150(1997))は、米国特許第4,912,049号に、実験動物研究における硬膜形成術材料として記載されるものと類似の微生物セルロースの使用を公表した。彼らの結果によって、乾燥型の微生物由来セルロースが硬膜代替物として適切であることが示された。Damienら(米国特許第7,374,775号)もまた、人工的硬膜移植物としての微生物セルロース・シートの使用を記載した。
【0004】
[0004]増殖中の培養内に下方に突き出た円筒形の棒を導入することによって産生される大きな孔を持つ微生物セルロース創傷包帯が、Johnson & Johnson(米国特許第4,588,400号、実施例9)に論じられた。滲出性創傷上で用いた場合、これらの孔を用いて、包帯を通じた液体移動が可能になる。しかし、これらの孔は、包帯の全表面を覆わず、そして細胞および組織内殖に最適なサイズではなかった。
【0005】
[0005]最近、Falcaoら(Falcao, S. C.ら, Biomechanical evaluation of microbial cellulose(Zoogloea sp.) and expanded polytetrafluorethylene membranes as implants in repair of produced abdominal wall defects in rats, Acta Cirurgica Brasileira, V. 23, 184−191(2008))は、ラットモデルにおける腹壁欠陥の修復における、微生物ズーグレア属(Zoogloea)種によって産生された微生物セルロース・シートの使用を評価した。この研究において、微生物セルロース移植物および腹壁間の界面に、腹壁由来の組織の浸潤は観察されなかった。Falcaoらは、構造内への宿主組織の浸潤を可能にするには、該微生物セルロースのミクロ多孔性が十分でなかったことを報告した。これによって、移植された際のセルロース内への細胞要素および宿主組織の浸潤を可能にするには、よりマクロ多孔性である構造を持つ微生物セルロースが必要であることが示唆される。
【0006】
[0006]Svenssonら(Svensson, A.ら, Bacterial cellulose as potential scaffold for tissue engineering of cartilage, Biomaterials, V. 26, 419−431(2005))は、軟骨の組織操作のための潜在能力を持つものとして、微生物セルロースに関して報告し、そして支持細胞内殖に必要な多孔性を有する骨格材料を有することが望ましいことに注目した。さらに、Backdahlら(Backdahl, H.ら, Engineering microporosity in bacterial cellulose scaffolds. Journal of Tissue Engineering and Regenerative Medicine, V. 2, 320−330(2008))は、パラフィンろうおよび多様なサイズのデンプン粒子を、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)の増殖中の培養に添加することによって、微生物セルロースの薄いフィルム(5μm)のミクロ多孔性を操作する方法を論じた。融解パラフィン(fused paraffin)を用いた場合のみ、微生物セルロース試料の厚さを貫通した孔が観察された。
【0007】
[0007]本発明の前には、組織取り込みに必要な細胞浸潤を可能にしうる孔サイズを持つ多様な厚さの微生物由来セルロースを含む移植可能材料を生成可能な、許容されうるプロセスはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,588,400号
【特許文献2】米国特許第5,846,213号
【特許文献3】米国特許第4,912,049号
【特許文献4】米国特許第6,599,518号
【特許文献5】米国特許第7,374,775号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Mello, L. R.ら, Journal of Neurosurgery, V. 86, 143−150(1997)
【非特許文献2】Falcao, S. C.ら, Acta Cirurgica Brasileira, V. 23, 184−191(2008)
【非特許文献3】Svensson, A.ら, Biomaterials, V. 26, 419−431(2005)
【非特許文献4】Backdahl, H.ら, Journal of Tissue Engineering and Regenerative Medicine, V. 2, 320−330(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
[0008]本発明の目的は、多孔性微生物由来移植可能セルロースであって、材料が、望ましい強度特性を維持しつつ、細胞が材料に浸潤することを可能にしうる、前記セルロースを提供することである。本発明の別の目的は、多孔性微生物由来移植可能セルロースであって、材料がin vivo移植可能であり、そして望ましい機械特性、例えば引っ張り強さ(tensile strength)、伸長および縫合可能性(sutureability)を有する、前記セルロースを提供することである。最後に、これらの多孔性材料を産生するための方法もまた記載され、そしてこれらの多孔性材料のための潜在的な使用が概略される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[0021]1つの態様において、本発明は、顕微鏡によって決定した際の孔直径が約50〜500ミクロンの範囲である、孔を含む微生物セルロース材料に関する。
[0022]別の態様において、本発明は、医学的治療が必要な被験体の治療部位に前述の微生物セルロース材料を適用する工程を含む、医学的治療に関する。
【0012】
[0023]さらに別の態様において、本発明は、組織修復が必要な被験体の組織修復が必要な部位に、前述の微生物セルロース材料および移植前に該材料上に植え付けられた少なくとも1つの細胞を投与する工程を含む、組織修復のための方法に関する。
【0013】
[0024]本発明の材料は、多孔性微生物由来セルロース、特に、栄養培地中で増殖し、そして制御された条件下でインキュベーションされた、アセトバクター・キシリナムの静置培養から産生されたセルロースを含む。液体培養の空気液体界面の下および/または上から出た先細りのピンまたは突起を有することによって、多孔性セルロース・フィルムまたはペリクルが発酵中に産生されうる。こうしたピンまたは棒の先細りは、空気液体界面領域が、液体培地中に沈んだ領域よりも大きいようなものである。これによって、新たに形成されたフィルムまたはペリクルは、セルロース合成中に下に推進されることが可能になり、そして新規フィルムがその上に成長することが可能になる。ピンまたは棒は、多様な立体配置に配置可能であり、そしてピン間の距離は、望ましい値に調整可能である。3mm未満の示唆される距離が用いられてきている。望ましい厚さおよび単位面積あたりのセルロース密度に応じて、ペリクルは、3日〜1ヶ月の間のどれかの期間、インキュベーションが許される。発酵サイクルが完了した後、ペリクルを採取し、そしてピンおよび棒を除去する。次いで、ペリクルを水酸化ナトリウムで化学的に処理して、発熱物質および生存微生物を破壊する。ペリクルを過酸化水素で漂白して、セルロースをホワイトニングする。各ペリクルを圧縮した後、材料をさらにプロセシングして分解可能にしてもよく、プロセシングには、四酸化二窒素および過ヨウ素酸ナトリウムを含む多様な酸化剤での材料の化学的酸化が含まれる。次いで、プロセシングされた多孔シートを適宜、脱水して、望ましい物理特性を生じる。メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトンおよびその混合物からなる群より選択される水混和性有機溶媒でセルロースをプロセシングする工程を含む、多様な手段によって、セルロースを脱水してもよい。二酸化炭素を用いた超臨界乾燥の使用もまた、材料を脱水するのに使用可能である。最後に、多孔性微生物材料を、使用前にカットし、パッケージングし、そしてガンマ滅菌する。
【0014】
[0025]本発明の別の側面において、微生物由来セルロースから多孔性セルロースを産生するための第二の方法は、発酵後に達成可能である。第二の方法は、制御された条件下、栄養培地中でセルロース産生微生物を増殖させる同じ工程を含むが、バイオリアクター中に突き出たピンの使用を伴わない。その代わり、発酵後に産生された非多孔性フィルムを採取し、そして化学的に処理して材料を清浄化し、そして存在するいかなる生物も除去する工程も含めて、上記と同様にプロセシングする。多様な酸化剤、例えば先行出願第61/064,537号に開示されるものを用いて、材料を生体吸収性にするため、前記フィルムの酸化を含む続く工程もまた提供してもよい。次いで、穿孔または穴を生成する前に、清浄化された非多孔性微生物セルロース・フィルムを異なるレベルまで脱水する。インサーキットテスタ(bed of nails)または互いに既知の距離で突き出すピンを伴うローラーと類似の極微針アレイを用いて、穴を生成してもよい。穿孔する微生物セルロース・シートの厚さに応じて、そして穴がまっすぐシートを穿通する必要があるのか、または単に部分的に貫通して、片側上のみの孔を持つ、両面材料を生成するのかに応じて、ピンは、長さ200ミクロン〜10mmまで多様であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】[0009]図1は、多様な多孔性および非多孔性微生物セルロース試料を通じた、ろ過脱イオン水の流速を示す。
【図2】[0010]図2は、多様なセルロース密度の多孔性微生物由来セルロース対非多孔性材料の引っ張り強さを示す。
【図3】[0011]図3は、多様なセルロース密度の微生物由来セルロース対非多孔性材料の縫合引き抜き強さ(suture pull−out strength)を示す。
【図4】[0012]図4は、制御された湿度チャンバー中での乾燥前または後のいずれかで、片側または両側に極微針アレイで穿孔処理された試料の引っ張り強さを示す。
【図5】[0013]図5は、制御された湿度チャンバー中での乾燥前または後のいずれかで、片側または両側に極微針アレイで穿孔処理された試料の縫合引き抜き強さを示す。
【図6】[0014]図6は、J&J特許、実施例9におけるものと類似の材料の引っ張り強さおよび縫合引き抜き強さを示す。
【図7】[0015]図7は、微生物セルロース試料中の孔の顕微鏡写真を示す。
【図8】[0016]図8は、微生物セルロース試料中の孔の顕微鏡写真を示す。
【図9】[0017]図9は、染色前の、細胞浸潤研究3週間後の孔の上から見た図を示す。
【図10】[0018]図10は、染色後の、細胞浸潤研究3週間後の孔の上から見た図を示す。
【図11】[0019]図11は、孔に浸潤した細胞を含む、孔の横断面の顕微鏡写真を示す。
【図12】[0020]図12は、孔に浸潤した細胞を含む、孔の横断面の顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0026]別に明記しない限り、「a」または「an」は、1以上を意味する。
[0027]好ましくは、微生物セルロース材料はシート型である。好ましくは、シートの厚さは約0.1mm〜約10mmである。
【0017】
[0028]好ましくは、孔直径は約100〜400ミクロンであり、さらにより好ましくは約150〜250ミクロンである。好ましくは、孔は片側でシートに部分的に穿通しているか、または完全にシートを突き抜けている。好ましくは、シートの表面上の孔密度は約9〜約81孔/cm2である。
【0018】
[0029]好ましくは、微生物セルロース材料は、約5ニュートン〜約500ニュートンのシートの引っ張り強さを有する。
[0030]好ましくは、微生物セルロース材料は、約0.5ニュートン〜約50ニュートンのシートの縫合耐性を有する。
【0019】
[0031]本発明の多孔性微生物由来セルロースは、細菌、好ましくは細菌アセトバクター・キシリナム(野生型)によって合成され、そして該細菌は、接種フラスコから回収され、そして最適化された培地の、続くフラスコおよびカーボイ中での直線増殖のための連続接種およびインキュベーションを通じて増殖して、望ましい体積の微生物由来セルロースを生じる。培地は、スクロース、硫酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、クエン酸、酢酸および微量元素などの栄養素で構成され、約4.0〜4.4のpHを有する増殖培地を生じる。A.キシリナムの増殖培養から、滅菌培地に接種し、そしてバイオリアクター・トレー内を適切な体積で満たして、異なるセルロース繊維密度を持つ微生物セルロースの多様なシートを産生して、次に、多様な引っ張り強さおよび縫合強さを持つシート状材料を産生する。
【0020】
[0032]次いで、バイオリアクター・トレーに、液体界面の上および下の両方から突き出たピンを取り付けた後、密封し、そして微生物由来セルロースのペリクルの成長が完了するまで、30℃±2℃で制御された環境中でインキュベーションする。バイオリアクター・トレーからペリクルを取り出し、そして化学的に処理して細菌副産物および残渣培地を取り除く。腐食性溶液、好ましくは、約0.1M〜4Mの好ましい濃度の水酸化ナトリウムを用いて、ペリクルから、生存生物および細菌によって産生される発熱物質(内毒素)を除去する。次いで、処理したペリクルをろ過水でリンスして、微生物汚染(バイオバーデン)を減少させる。
【0021】
[0033]酸化剤、例えば四酸化二窒素および過ヨウ素酸ナトリウムで材料を化学的に酸化する工程を含む、多様な手段を用いることによって、清浄化した微生物セルロース・シートをさらにプロセシングして、シートを生体吸収性にしてもよい。移植中、材料吸収の望ましい速度に応じて、酸化レベルを調整してもよく、そして酸化レベルは5%〜100%酸化の範囲であってもよい。酸化プロセス後、酸化フィルムをリンスして、過剰な酸化剤を取り除き、そしてメタノールなどの多様な溶媒中に浸して、続く脱水プロセスのために準備してもよい。
【0022】
[0034]制御された環境において、ペリクルを望ましい厚さに圧縮してもよい。微生物由来セルロースの最終の望ましい密度を達成するのは、圧縮されたフィルムの厚さである。元来の充填体積ならびに圧縮工程は、セルロースの強度、完全性、および機能に影響を及ぼす望ましい密度を獲得するために、本発明に不可欠である。先に言及するように、溶媒および超臨界液体を用いる工程を含む、多様な乾燥法を用いて、本発明をさらに脱水してもよい。望ましいレベルの脱水に応じて、溶媒で処理したフィルムを有機溶媒の1以上の適用に曝露し、そして続いて、制御された環境中で望ましい厚さに圧縮してもよい。制御された条件下で溶媒を除去する。また、微生物セルロース材料を二酸化炭素などの超臨界液体中に浸し、そして次いで、圧を解除することによって脱水してもよい。超臨界乾燥は、乾燥および溶媒除去中の、繊維間の表面張力を減少させることによって、保持された開放構造を持つ材料を生成し、そしてセルロース繊維の結晶化を最小限にする。
【0023】
[0035]制御された環境において、フィルムを多様な形状およびサイズにカットしてもよい。極微針アレイを用いたさらなる工程を行って、100〜500ミクロン直径の孔を導入してもよい。単位面積あたりの穴の密度ならびに各孔の互いからの距離を、所望の最終物理的特性および意図される適用に応じて、制御してもよい。
【0024】
[0036]各単位を防水二重パウチ系中にパッケージングして、そして最大35kGyの線量レベルでガンマ照射に曝露することによって滅菌することも可能であるが、好ましくはより低い用量を用いるであろう。ISO 11137 Sterilization of Health Care Products−Requirements for validation and routine control−Radiation Sterilizationに記載されるように、非滅菌材料のバイオバーデン・レベルによって、ガンマ線量を決定する。
【0025】
[0037]本発明の微生物由来セルロースを外科処置で用いることが可能であるためには、材料が安全で、そして意図される目的に関して有効であり、そして十分な生体適合性を達成する必要がある。一般外科および形成外科のための移植可能医学的デバイスの産生のためには、本発明が発熱物質除去プロセスおよび滅菌プロセスに耐えることが可能である必要がある。しばしば、生物医学ポリマーは、金属、セラミックおよび合成物質などの他の材料よりも低い熱安定性および化学的安定性を有する;したがって、これらは、慣用的な方法を用いて滅菌するのがより困難である。移植可能医学的デバイスとして用いるいかなる材料に関しても、内毒素(非発熱性)、微生物、および治癒プロセスに干渉し、そしてレシピエントに損害を引き起こす他のありうる汚染物質を含んではならない。
【0026】
[0038]本発明は、細菌、または発熱物質に曝露された材料からの交差汚染によって存在しうる内毒素を破壊することが知られる、加熱腐食性溶液(0.1M〜4M水酸化ナトリウム)を用いることによって、発熱物質除去を経る。次いで、バイオバーデン・レベル(非滅菌材料上に典型的に存在する微生物の量)に基づく、あらかじめ決定された滅菌性保証レベルによって微生物汚染を破壊するのに十分な線量で材料をガンマ照射する。試料に約35kGyの線量でガンマ照射する。材料を上昇した温度の強アルカリ水酸化ナトリウム溶液で発熱物質除去することが可能であり、そして機械特性にいかなる有意な影響も及ぼすことなく、ガンマ滅菌に耐えうると結論づけられうる。
【0027】
[0039]本発明の微生物由来セルロースを組織増大に用いてもよく、これは一般外科および形成外科適用のための本微生物由来セルロース材料の移植を伴う。一般外科および形成外科使用の例には、限定されるわけではないが、一般軟組織増大、骨盤底再構築、膀胱頸部懸垂、ヘルニア修復、鼠径ヘルニアパッチ、および回旋筋腱板補強が含まれる。
【0028】
[0040]本発明の多孔性セルロース材料の別の使用は、細胞植え付けのための組織操作マトリックスとしての適用を伴う。縫合保持は、手術、治癒および機能中に、移植可能医学的物品が、位置を固定し、そして維持するのに非常に重要である。外科医は、移植可能材料が、針挿入中に裂けることなく縫合を受容するだけでなく、移植物の縫合端から裂けることなく、縫合を保持する能力に頼らなくてはならない。
【0029】
[0041]移植を意図される医学的デバイスは、意図される使用に適していると見なされるために、米国食品医薬品局(FDA)規制または国際標準化機構(ISO)要件のいずれかに適合するため、多様な基準を満たさなければならない。細胞傷害性研究は、移植物デバイスが安全であり/ヒト組織と生体適合性であることを立証するのに適していると見なされる。国際標準化機構10993: Biological Evaluation of Medical Devices, Part 5: Tests for Cytotoxicity: in vitro Methods Guidelinesに基づく、in vitro生体適合性研究を、本発明に対して行って、細胞傷害性に関する潜在能力を決定した。
【0030】
[0042]微生物由来セルロースの機械的特性は、引っ張り強さ、%伸長および縫合保持に関する。材料は多方向性と見なされ、したがって、カットの方向に関しては考慮しなかった。
【0031】
[0043]以下の実施例は、本発明を例示するために提供される。しかし、本発明は、これらの実施例に記載する特定の条件または詳細に限定されないことを理解しなければならない。明細書全体で、この特許出願に、あらゆる参考文献が明確に援用される。
【実施例】
【0032】
実施例1−移植可能微生物由来セルロースの製造
[0044]本実施例は、バイオバーデン(微生物汚染)を最小限にするため、制御された環境内でA.キシリナムによって産生される、多孔性微生物由来セルロース・フィルムの調製に関する。増殖容器から、滅菌培地にA.キシリナムを接種し、空気液体界面の上および下から出た突起を取り付け可能なバイオリアクター・トレー内に充填した。突き出すピンのサイズは、望ましい孔に応じて多様であり、そして200ミクロン〜10mmの範囲であってもよい。望ましいペリクルの厚さおよび最終的なセルロース密度に応じて、充填体積は、180〜550gの範囲であり、そして10〜35日間インキュベーションした。トレイからペリクルを抽出し、そして次いで、約90℃〜95℃に加熱された8%水酸化ナトリウムのタンク中で、約1時間、化学的プロセシング(発熱物質除去)を経た。次いで、pHが10.0未満になるまで、ペリクルをろ過水で連続してリンスした。材料を0.25%過酸化水素で、44℃〜45℃で約30分間処理し、このとき、フィルムが適切に漂白されるのが観察された。次いで、過酸化水素レベルが1000ppm未満になるまで、フィルムをろ過水でリンスした。空気圧プレス内で、フィルムを圧縮して、およそ2mmの厚さ、約95%の水分含有量、および5%に近い微生物由来セルロース含量を有するペリクルを生じた。
【0033】
[0045]プレスされたフィルムをいくつかの溶媒槽中に浸して、水含量を減少させ、そして溶媒濃度を95%より高く増加させた。制御された湿度チャンバー中で、フィルムのセルロース含量を90%より高く増加させるための脱水の前に、フィルムを再び空気圧プレス内で圧縮した。オーブンからフィルムを取り出し、そして多様なサイズおよび形状にカットした。過剰な材料を残渣水分に関してアッセイし、そして極微針アレイを用いてさらなる孔を生成する前に、必要であれば材料を部分的に再水和した。各単位を「内部」パウチに入れ、密封し、次いで「外部」パウチ内に入れ、そして密封した。次いで、35kGyの範囲の線量のガンマ線照射を通じて、パウチを滅菌した。本発明にしたがって作製した滅菌試料を、引っ張り強さ、伸長、および縫合保持(引き抜き)を含む、多様な試験に用いた。
【0034】
実施例2−透過性試験
[0046]30g、110g、180g、および530gの充填体積の試料を実施例1にしたがって調製した。試料を非多孔性で放置するか、または試料の片側(片面)または両側(両面)で極微針アレイを用いて、100〜300μm直径孔を生成した。さらに、最終圧縮後、試料を水和したままにするか、または制御された乾燥(CD)チャンバー中でさらに乾燥させた。
【0035】
[0047]1/8インチ直径の棒を250g増殖培養内に導入して、7×7の1/8インチ直径孔の正方形パターンを生じるJohnson & Johnson特許(米国特許第4,788,146号)の実施例9のものと同様に、さらなる試料を調製した。
【0036】
[0048]標本を真空フィルターホルダー中に入れ、そして21.3Hgの最大真空を持つ真空ポンプを用いて、100mLのろ過脱イオン水を試料でろ過した。各試料で水をろ過する時間を記録し、そしてmL/分でろ過速度を計算した。試料が水をろ過しえない場合、およそ20分間でろ過を停止した。多様な材料を通じた、ろ過脱イオン水のろ過速度を図1に示す。
【0037】
実施例3−多孔性および非多孔性微生物セルロースの機械的特性の比較
[0049]100〜300μm直径孔を持つ3つの試料セットの機械的特性を試験した。最初の試料セットは、実施例1にしたがって調製した30g、110g、および180gの充填体積の試料からなった。最終脱水プレス後、試料は水和されたままであり、そして極微針アレイを用いて孔を生成した。第二のセットは、実施例1にしたがって調製した530gの充填体積の試料からなった。制御乾燥前、または最終再水和工程後の制御された湿度チャンバー中での乾燥後のいずれかで、極微針アレイを用いて、片側(片面)または両側(両面)上の孔を生成した。第三の試料セットは、Johnson & Johnson特許の実施例9にしたがって、実施例2におけるように調製した多孔性および非多孔性試料を含有した。
【0038】
引っ張り強さ試験
[0050]試験標本をより大きい片(4cm × 5cm)から1cm × 4cm試験片にカットし、そして較正100Nロードセルを備えたUnited Tensile Tester(モデルSSTM−2kN)の空気圧クランプ内に載せた。標本のゲージ長は25mmであった。標本が完全に脱落する(fail)まで300mm/分の速度で標本を変位に供した。力−変位曲線から、最大力(N)として脱落を決定した。引っ張り強さ試験結果を図2、4、および6に示す。
【0039】
縫合引き抜き強さ(SPOS)試験
[0051]標本をより大きい片(4cm × 5cm)から1cm × 4cm試験片にカットした。試験直前に、曲がった針を用いて、2−0ポリプロピレン縫合糸(Prolene、Ethicon Inc.)で、縫合引き抜き試験標本を調製した。単一の縫い目を各側面からおよそ5mmに、そして標本の底の端から4mmに取り付けた。縫合糸をおよそ10cmに切った。較正100Nロードセルおよび60mmのゲージ長のUnited Tensile Tester(モデルSSTM−2kN)上の空気圧クランプ内に標本の上端を載せた。縫合の両端を空気圧クランプのより低いセット内に乗せた。標本が完全に脱落するまで、標本を300mm/分で変位に供した。SPOS結果を図3、5、および6に示す。
【0040】
実施例4−顕微鏡検査
[0052]530gの充填体積の試料を実施例1にしたがって作製した。最終乾燥工程後、極微針アレイを用いて、100〜300μm直径孔を作製し、そして試料を再水和しなかった。
【0041】
[0053]Olympus光学顕微鏡(モデルBX41TF)を用いて、試料の顕微鏡評価を行った。10×倍率で、多様な孔が可視であり、そして特定のプロセシングに応じて、孔は直径100〜250ミクロンの範囲である。別個の孔各々の間の距離はおよそ3mmであった。孔の顕微鏡写真を図7および8に示す。
【0042】
実施例5−細胞浸潤
[0054]530gの充填体積の試料を実施例1にしたがって作製した。最終再水和工程後、極微針アレイを用いて、およそ100〜300μmの直径を持つ孔を産生した。
【0043】
[0055]多孔性微生物セルロース・フィルムを細胞培地中におよそ15〜30分間あらかじめ浸した。次いで、試験物品を6ウェルプレート中にプレーティングし、そしてさらなる細胞培地を必要に応じて添加した。次いで、ウェル各々に、既知の数の細胞を接種し、そして続いて37℃で、5%CO2チャンバー中でインキュベーションした。2〜3日ごとに各ウェル中の培地を交換し、そして異なる時点で、最長3週間、多孔性セルロース・シートの試料を採取した。
【0044】
顕微鏡評価
[0056]次いで、異なる時点で採取したセルロース物品を顕微鏡評価用に調製した。カット切片をガラススライド上に置き、そして細胞を同定するために染色した。染色した細胞は、材料の最上部から孔内に移動していることが示された。細胞浸潤実験によって、軟骨細胞(長さ約10ミクロン)が、直径およそ150ミクロンと測定される孔チャネル内に移動していることが立証され、孔が材料内への細胞浸潤を許すことが示された。細胞浸潤試料の顕微鏡写真を図9、10、11、および12に示す。
【0045】
[0057]前記は、特定の好ましい態様に言及するが、本発明はそのように限定されないことが理解されるであろう。一般の当業者は、開示する態様に対して多様な修飾を行うことも可能であり、そしてこうした修飾が本発明の範囲内にあることが意図されることに気付くであろう。
【0046】
[0058]本明細書に引用されるすべての刊行物、特許出願および特許は、その全体が本明細書に援用される。
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、多糖材料に、そしてより詳細には、内科的および外科的適用のため、多孔性を有し、そして移植中の細胞浸潤に適したものにする望ましいサイズおよび他の望ましい特性の孔を含有する、微生物由来セルロースに関する。本発明はまた、損傷を受けた組織を再生し、そして外科処置を増大するための組織操作マトリックス、ヒト組織代替物、および補強骨格としての、多孔性微生物由来セルロースの使用にも関する。本発明は、細胞浸潤を許すことを可能にしつつ、微生物セルロースの物理的特性を保持する、多孔性微生物セルロースを生成する、発酵中および発酵後の多様な方法を概略する。
【背景技術】
【0002】
[0002]初期には、医学産業における微生物由来セルロースの使用は、液体装填パッド(米国特許第4,588,400号)、創傷包帯(米国特許第5,846,213号)、および他の局所適用(米国特許第4,912,049号)に限定されていた。しかし、移植可能医学デバイスとしての微生物セルロースの使用もまた研究されてきており、そしてよく記録されている。
【0003】
[0003]Osterら(米国特許第6,599,518号)は、移植前に溶媒脱水されている微生物セルロースの使用を記載した。Melloら(Mello, L. R.ら, Duraplasty with Biosynthetic Cellulose: An Experimental Study, Journal of Neurosurgery, V. 86, 143−150(1997))は、米国特許第4,912,049号に、実験動物研究における硬膜形成術材料として記載されるものと類似の微生物セルロースの使用を公表した。彼らの結果によって、乾燥型の微生物由来セルロースが硬膜代替物として適切であることが示された。Damienら(米国特許第7,374,775号)もまた、人工的硬膜移植物としての微生物セルロース・シートの使用を記載した。
【0004】
[0004]増殖中の培養内に下方に突き出た円筒形の棒を導入することによって産生される大きな孔を持つ微生物セルロース創傷包帯が、Johnson & Johnson(米国特許第4,588,400号、実施例9)に論じられた。滲出性創傷上で用いた場合、これらの孔を用いて、包帯を通じた液体移動が可能になる。しかし、これらの孔は、包帯の全表面を覆わず、そして細胞および組織内殖に最適なサイズではなかった。
【0005】
[0005]最近、Falcaoら(Falcao, S. C.ら, Biomechanical evaluation of microbial cellulose(Zoogloea sp.) and expanded polytetrafluorethylene membranes as implants in repair of produced abdominal wall defects in rats, Acta Cirurgica Brasileira, V. 23, 184−191(2008))は、ラットモデルにおける腹壁欠陥の修復における、微生物ズーグレア属(Zoogloea)種によって産生された微生物セルロース・シートの使用を評価した。この研究において、微生物セルロース移植物および腹壁間の界面に、腹壁由来の組織の浸潤は観察されなかった。Falcaoらは、構造内への宿主組織の浸潤を可能にするには、該微生物セルロースのミクロ多孔性が十分でなかったことを報告した。これによって、移植された際のセルロース内への細胞要素および宿主組織の浸潤を可能にするには、よりマクロ多孔性である構造を持つ微生物セルロースが必要であることが示唆される。
【0006】
[0006]Svenssonら(Svensson, A.ら, Bacterial cellulose as potential scaffold for tissue engineering of cartilage, Biomaterials, V. 26, 419−431(2005))は、軟骨の組織操作のための潜在能力を持つものとして、微生物セルロースに関して報告し、そして支持細胞内殖に必要な多孔性を有する骨格材料を有することが望ましいことに注目した。さらに、Backdahlら(Backdahl, H.ら, Engineering microporosity in bacterial cellulose scaffolds. Journal of Tissue Engineering and Regenerative Medicine, V. 2, 320−330(2008))は、パラフィンろうおよび多様なサイズのデンプン粒子を、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)の増殖中の培養に添加することによって、微生物セルロースの薄いフィルム(5μm)のミクロ多孔性を操作する方法を論じた。融解パラフィン(fused paraffin)を用いた場合のみ、微生物セルロース試料の厚さを貫通した孔が観察された。
【0007】
[0007]本発明の前には、組織取り込みに必要な細胞浸潤を可能にしうる孔サイズを持つ多様な厚さの微生物由来セルロースを含む移植可能材料を生成可能な、許容されうるプロセスはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,588,400号
【特許文献2】米国特許第5,846,213号
【特許文献3】米国特許第4,912,049号
【特許文献4】米国特許第6,599,518号
【特許文献5】米国特許第7,374,775号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Mello, L. R.ら, Journal of Neurosurgery, V. 86, 143−150(1997)
【非特許文献2】Falcao, S. C.ら, Acta Cirurgica Brasileira, V. 23, 184−191(2008)
【非特許文献3】Svensson, A.ら, Biomaterials, V. 26, 419−431(2005)
【非特許文献4】Backdahl, H.ら, Journal of Tissue Engineering and Regenerative Medicine, V. 2, 320−330(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
[0008]本発明の目的は、多孔性微生物由来移植可能セルロースであって、材料が、望ましい強度特性を維持しつつ、細胞が材料に浸潤することを可能にしうる、前記セルロースを提供することである。本発明の別の目的は、多孔性微生物由来移植可能セルロースであって、材料がin vivo移植可能であり、そして望ましい機械特性、例えば引っ張り強さ(tensile strength)、伸長および縫合可能性(sutureability)を有する、前記セルロースを提供することである。最後に、これらの多孔性材料を産生するための方法もまた記載され、そしてこれらの多孔性材料のための潜在的な使用が概略される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[0021]1つの態様において、本発明は、顕微鏡によって決定した際の孔直径が約50〜500ミクロンの範囲である、孔を含む微生物セルロース材料に関する。
[0022]別の態様において、本発明は、医学的治療が必要な被験体の治療部位に前述の微生物セルロース材料を適用する工程を含む、医学的治療に関する。
【0012】
[0023]さらに別の態様において、本発明は、組織修復が必要な被験体の組織修復が必要な部位に、前述の微生物セルロース材料および移植前に該材料上に植え付けられた少なくとも1つの細胞を投与する工程を含む、組織修復のための方法に関する。
【0013】
[0024]本発明の材料は、多孔性微生物由来セルロース、特に、栄養培地中で増殖し、そして制御された条件下でインキュベーションされた、アセトバクター・キシリナムの静置培養から産生されたセルロースを含む。液体培養の空気液体界面の下および/または上から出た先細りのピンまたは突起を有することによって、多孔性セルロース・フィルムまたはペリクルが発酵中に産生されうる。こうしたピンまたは棒の先細りは、空気液体界面領域が、液体培地中に沈んだ領域よりも大きいようなものである。これによって、新たに形成されたフィルムまたはペリクルは、セルロース合成中に下に推進されることが可能になり、そして新規フィルムがその上に成長することが可能になる。ピンまたは棒は、多様な立体配置に配置可能であり、そしてピン間の距離は、望ましい値に調整可能である。3mm未満の示唆される距離が用いられてきている。望ましい厚さおよび単位面積あたりのセルロース密度に応じて、ペリクルは、3日〜1ヶ月の間のどれかの期間、インキュベーションが許される。発酵サイクルが完了した後、ペリクルを採取し、そしてピンおよび棒を除去する。次いで、ペリクルを水酸化ナトリウムで化学的に処理して、発熱物質および生存微生物を破壊する。ペリクルを過酸化水素で漂白して、セルロースをホワイトニングする。各ペリクルを圧縮した後、材料をさらにプロセシングして分解可能にしてもよく、プロセシングには、四酸化二窒素および過ヨウ素酸ナトリウムを含む多様な酸化剤での材料の化学的酸化が含まれる。次いで、プロセシングされた多孔シートを適宜、脱水して、望ましい物理特性を生じる。メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトンおよびその混合物からなる群より選択される水混和性有機溶媒でセルロースをプロセシングする工程を含む、多様な手段によって、セルロースを脱水してもよい。二酸化炭素を用いた超臨界乾燥の使用もまた、材料を脱水するのに使用可能である。最後に、多孔性微生物材料を、使用前にカットし、パッケージングし、そしてガンマ滅菌する。
【0014】
[0025]本発明の別の側面において、微生物由来セルロースから多孔性セルロースを産生するための第二の方法は、発酵後に達成可能である。第二の方法は、制御された条件下、栄養培地中でセルロース産生微生物を増殖させる同じ工程を含むが、バイオリアクター中に突き出たピンの使用を伴わない。その代わり、発酵後に産生された非多孔性フィルムを採取し、そして化学的に処理して材料を清浄化し、そして存在するいかなる生物も除去する工程も含めて、上記と同様にプロセシングする。多様な酸化剤、例えば先行出願第61/064,537号に開示されるものを用いて、材料を生体吸収性にするため、前記フィルムの酸化を含む続く工程もまた提供してもよい。次いで、穿孔または穴を生成する前に、清浄化された非多孔性微生物セルロース・フィルムを異なるレベルまで脱水する。インサーキットテスタ(bed of nails)または互いに既知の距離で突き出すピンを伴うローラーと類似の極微針アレイを用いて、穴を生成してもよい。穿孔する微生物セルロース・シートの厚さに応じて、そして穴がまっすぐシートを穿通する必要があるのか、または単に部分的に貫通して、片側上のみの孔を持つ、両面材料を生成するのかに応じて、ピンは、長さ200ミクロン〜10mmまで多様であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】[0009]図1は、多様な多孔性および非多孔性微生物セルロース試料を通じた、ろ過脱イオン水の流速を示す。
【図2】[0010]図2は、多様なセルロース密度の多孔性微生物由来セルロース対非多孔性材料の引っ張り強さを示す。
【図3】[0011]図3は、多様なセルロース密度の微生物由来セルロース対非多孔性材料の縫合引き抜き強さ(suture pull−out strength)を示す。
【図4】[0012]図4は、制御された湿度チャンバー中での乾燥前または後のいずれかで、片側または両側に極微針アレイで穿孔処理された試料の引っ張り強さを示す。
【図5】[0013]図5は、制御された湿度チャンバー中での乾燥前または後のいずれかで、片側または両側に極微針アレイで穿孔処理された試料の縫合引き抜き強さを示す。
【図6】[0014]図6は、J&J特許、実施例9におけるものと類似の材料の引っ張り強さおよび縫合引き抜き強さを示す。
【図7】[0015]図7は、微生物セルロース試料中の孔の顕微鏡写真を示す。
【図8】[0016]図8は、微生物セルロース試料中の孔の顕微鏡写真を示す。
【図9】[0017]図9は、染色前の、細胞浸潤研究3週間後の孔の上から見た図を示す。
【図10】[0018]図10は、染色後の、細胞浸潤研究3週間後の孔の上から見た図を示す。
【図11】[0019]図11は、孔に浸潤した細胞を含む、孔の横断面の顕微鏡写真を示す。
【図12】[0020]図12は、孔に浸潤した細胞を含む、孔の横断面の顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0026]別に明記しない限り、「a」または「an」は、1以上を意味する。
[0027]好ましくは、微生物セルロース材料はシート型である。好ましくは、シートの厚さは約0.1mm〜約10mmである。
【0017】
[0028]好ましくは、孔直径は約100〜400ミクロンであり、さらにより好ましくは約150〜250ミクロンである。好ましくは、孔は片側でシートに部分的に穿通しているか、または完全にシートを突き抜けている。好ましくは、シートの表面上の孔密度は約9〜約81孔/cm2である。
【0018】
[0029]好ましくは、微生物セルロース材料は、約5ニュートン〜約500ニュートンのシートの引っ張り強さを有する。
[0030]好ましくは、微生物セルロース材料は、約0.5ニュートン〜約50ニュートンのシートの縫合耐性を有する。
【0019】
[0031]本発明の多孔性微生物由来セルロースは、細菌、好ましくは細菌アセトバクター・キシリナム(野生型)によって合成され、そして該細菌は、接種フラスコから回収され、そして最適化された培地の、続くフラスコおよびカーボイ中での直線増殖のための連続接種およびインキュベーションを通じて増殖して、望ましい体積の微生物由来セルロースを生じる。培地は、スクロース、硫酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、クエン酸、酢酸および微量元素などの栄養素で構成され、約4.0〜4.4のpHを有する増殖培地を生じる。A.キシリナムの増殖培養から、滅菌培地に接種し、そしてバイオリアクター・トレー内を適切な体積で満たして、異なるセルロース繊維密度を持つ微生物セルロースの多様なシートを産生して、次に、多様な引っ張り強さおよび縫合強さを持つシート状材料を産生する。
【0020】
[0032]次いで、バイオリアクター・トレーに、液体界面の上および下の両方から突き出たピンを取り付けた後、密封し、そして微生物由来セルロースのペリクルの成長が完了するまで、30℃±2℃で制御された環境中でインキュベーションする。バイオリアクター・トレーからペリクルを取り出し、そして化学的に処理して細菌副産物および残渣培地を取り除く。腐食性溶液、好ましくは、約0.1M〜4Mの好ましい濃度の水酸化ナトリウムを用いて、ペリクルから、生存生物および細菌によって産生される発熱物質(内毒素)を除去する。次いで、処理したペリクルをろ過水でリンスして、微生物汚染(バイオバーデン)を減少させる。
【0021】
[0033]酸化剤、例えば四酸化二窒素および過ヨウ素酸ナトリウムで材料を化学的に酸化する工程を含む、多様な手段を用いることによって、清浄化した微生物セルロース・シートをさらにプロセシングして、シートを生体吸収性にしてもよい。移植中、材料吸収の望ましい速度に応じて、酸化レベルを調整してもよく、そして酸化レベルは5%〜100%酸化の範囲であってもよい。酸化プロセス後、酸化フィルムをリンスして、過剰な酸化剤を取り除き、そしてメタノールなどの多様な溶媒中に浸して、続く脱水プロセスのために準備してもよい。
【0022】
[0034]制御された環境において、ペリクルを望ましい厚さに圧縮してもよい。微生物由来セルロースの最終の望ましい密度を達成するのは、圧縮されたフィルムの厚さである。元来の充填体積ならびに圧縮工程は、セルロースの強度、完全性、および機能に影響を及ぼす望ましい密度を獲得するために、本発明に不可欠である。先に言及するように、溶媒および超臨界液体を用いる工程を含む、多様な乾燥法を用いて、本発明をさらに脱水してもよい。望ましいレベルの脱水に応じて、溶媒で処理したフィルムを有機溶媒の1以上の適用に曝露し、そして続いて、制御された環境中で望ましい厚さに圧縮してもよい。制御された条件下で溶媒を除去する。また、微生物セルロース材料を二酸化炭素などの超臨界液体中に浸し、そして次いで、圧を解除することによって脱水してもよい。超臨界乾燥は、乾燥および溶媒除去中の、繊維間の表面張力を減少させることによって、保持された開放構造を持つ材料を生成し、そしてセルロース繊維の結晶化を最小限にする。
【0023】
[0035]制御された環境において、フィルムを多様な形状およびサイズにカットしてもよい。極微針アレイを用いたさらなる工程を行って、100〜500ミクロン直径の孔を導入してもよい。単位面積あたりの穴の密度ならびに各孔の互いからの距離を、所望の最終物理的特性および意図される適用に応じて、制御してもよい。
【0024】
[0036]各単位を防水二重パウチ系中にパッケージングして、そして最大35kGyの線量レベルでガンマ照射に曝露することによって滅菌することも可能であるが、好ましくはより低い用量を用いるであろう。ISO 11137 Sterilization of Health Care Products−Requirements for validation and routine control−Radiation Sterilizationに記載されるように、非滅菌材料のバイオバーデン・レベルによって、ガンマ線量を決定する。
【0025】
[0037]本発明の微生物由来セルロースを外科処置で用いることが可能であるためには、材料が安全で、そして意図される目的に関して有効であり、そして十分な生体適合性を達成する必要がある。一般外科および形成外科のための移植可能医学的デバイスの産生のためには、本発明が発熱物質除去プロセスおよび滅菌プロセスに耐えることが可能である必要がある。しばしば、生物医学ポリマーは、金属、セラミックおよび合成物質などの他の材料よりも低い熱安定性および化学的安定性を有する;したがって、これらは、慣用的な方法を用いて滅菌するのがより困難である。移植可能医学的デバイスとして用いるいかなる材料に関しても、内毒素(非発熱性)、微生物、および治癒プロセスに干渉し、そしてレシピエントに損害を引き起こす他のありうる汚染物質を含んではならない。
【0026】
[0038]本発明は、細菌、または発熱物質に曝露された材料からの交差汚染によって存在しうる内毒素を破壊することが知られる、加熱腐食性溶液(0.1M〜4M水酸化ナトリウム)を用いることによって、発熱物質除去を経る。次いで、バイオバーデン・レベル(非滅菌材料上に典型的に存在する微生物の量)に基づく、あらかじめ決定された滅菌性保証レベルによって微生物汚染を破壊するのに十分な線量で材料をガンマ照射する。試料に約35kGyの線量でガンマ照射する。材料を上昇した温度の強アルカリ水酸化ナトリウム溶液で発熱物質除去することが可能であり、そして機械特性にいかなる有意な影響も及ぼすことなく、ガンマ滅菌に耐えうると結論づけられうる。
【0027】
[0039]本発明の微生物由来セルロースを組織増大に用いてもよく、これは一般外科および形成外科適用のための本微生物由来セルロース材料の移植を伴う。一般外科および形成外科使用の例には、限定されるわけではないが、一般軟組織増大、骨盤底再構築、膀胱頸部懸垂、ヘルニア修復、鼠径ヘルニアパッチ、および回旋筋腱板補強が含まれる。
【0028】
[0040]本発明の多孔性セルロース材料の別の使用は、細胞植え付けのための組織操作マトリックスとしての適用を伴う。縫合保持は、手術、治癒および機能中に、移植可能医学的物品が、位置を固定し、そして維持するのに非常に重要である。外科医は、移植可能材料が、針挿入中に裂けることなく縫合を受容するだけでなく、移植物の縫合端から裂けることなく、縫合を保持する能力に頼らなくてはならない。
【0029】
[0041]移植を意図される医学的デバイスは、意図される使用に適していると見なされるために、米国食品医薬品局(FDA)規制または国際標準化機構(ISO)要件のいずれかに適合するため、多様な基準を満たさなければならない。細胞傷害性研究は、移植物デバイスが安全であり/ヒト組織と生体適合性であることを立証するのに適していると見なされる。国際標準化機構10993: Biological Evaluation of Medical Devices, Part 5: Tests for Cytotoxicity: in vitro Methods Guidelinesに基づく、in vitro生体適合性研究を、本発明に対して行って、細胞傷害性に関する潜在能力を決定した。
【0030】
[0042]微生物由来セルロースの機械的特性は、引っ張り強さ、%伸長および縫合保持に関する。材料は多方向性と見なされ、したがって、カットの方向に関しては考慮しなかった。
【0031】
[0043]以下の実施例は、本発明を例示するために提供される。しかし、本発明は、これらの実施例に記載する特定の条件または詳細に限定されないことを理解しなければならない。明細書全体で、この特許出願に、あらゆる参考文献が明確に援用される。
【実施例】
【0032】
実施例1−移植可能微生物由来セルロースの製造
[0044]本実施例は、バイオバーデン(微生物汚染)を最小限にするため、制御された環境内でA.キシリナムによって産生される、多孔性微生物由来セルロース・フィルムの調製に関する。増殖容器から、滅菌培地にA.キシリナムを接種し、空気液体界面の上および下から出た突起を取り付け可能なバイオリアクター・トレー内に充填した。突き出すピンのサイズは、望ましい孔に応じて多様であり、そして200ミクロン〜10mmの範囲であってもよい。望ましいペリクルの厚さおよび最終的なセルロース密度に応じて、充填体積は、180〜550gの範囲であり、そして10〜35日間インキュベーションした。トレイからペリクルを抽出し、そして次いで、約90℃〜95℃に加熱された8%水酸化ナトリウムのタンク中で、約1時間、化学的プロセシング(発熱物質除去)を経た。次いで、pHが10.0未満になるまで、ペリクルをろ過水で連続してリンスした。材料を0.25%過酸化水素で、44℃〜45℃で約30分間処理し、このとき、フィルムが適切に漂白されるのが観察された。次いで、過酸化水素レベルが1000ppm未満になるまで、フィルムをろ過水でリンスした。空気圧プレス内で、フィルムを圧縮して、およそ2mmの厚さ、約95%の水分含有量、および5%に近い微生物由来セルロース含量を有するペリクルを生じた。
【0033】
[0045]プレスされたフィルムをいくつかの溶媒槽中に浸して、水含量を減少させ、そして溶媒濃度を95%より高く増加させた。制御された湿度チャンバー中で、フィルムのセルロース含量を90%より高く増加させるための脱水の前に、フィルムを再び空気圧プレス内で圧縮した。オーブンからフィルムを取り出し、そして多様なサイズおよび形状にカットした。過剰な材料を残渣水分に関してアッセイし、そして極微針アレイを用いてさらなる孔を生成する前に、必要であれば材料を部分的に再水和した。各単位を「内部」パウチに入れ、密封し、次いで「外部」パウチ内に入れ、そして密封した。次いで、35kGyの範囲の線量のガンマ線照射を通じて、パウチを滅菌した。本発明にしたがって作製した滅菌試料を、引っ張り強さ、伸長、および縫合保持(引き抜き)を含む、多様な試験に用いた。
【0034】
実施例2−透過性試験
[0046]30g、110g、180g、および530gの充填体積の試料を実施例1にしたがって調製した。試料を非多孔性で放置するか、または試料の片側(片面)または両側(両面)で極微針アレイを用いて、100〜300μm直径孔を生成した。さらに、最終圧縮後、試料を水和したままにするか、または制御された乾燥(CD)チャンバー中でさらに乾燥させた。
【0035】
[0047]1/8インチ直径の棒を250g増殖培養内に導入して、7×7の1/8インチ直径孔の正方形パターンを生じるJohnson & Johnson特許(米国特許第4,788,146号)の実施例9のものと同様に、さらなる試料を調製した。
【0036】
[0048]標本を真空フィルターホルダー中に入れ、そして21.3Hgの最大真空を持つ真空ポンプを用いて、100mLのろ過脱イオン水を試料でろ過した。各試料で水をろ過する時間を記録し、そしてmL/分でろ過速度を計算した。試料が水をろ過しえない場合、およそ20分間でろ過を停止した。多様な材料を通じた、ろ過脱イオン水のろ過速度を図1に示す。
【0037】
実施例3−多孔性および非多孔性微生物セルロースの機械的特性の比較
[0049]100〜300μm直径孔を持つ3つの試料セットの機械的特性を試験した。最初の試料セットは、実施例1にしたがって調製した30g、110g、および180gの充填体積の試料からなった。最終脱水プレス後、試料は水和されたままであり、そして極微針アレイを用いて孔を生成した。第二のセットは、実施例1にしたがって調製した530gの充填体積の試料からなった。制御乾燥前、または最終再水和工程後の制御された湿度チャンバー中での乾燥後のいずれかで、極微針アレイを用いて、片側(片面)または両側(両面)上の孔を生成した。第三の試料セットは、Johnson & Johnson特許の実施例9にしたがって、実施例2におけるように調製した多孔性および非多孔性試料を含有した。
【0038】
引っ張り強さ試験
[0050]試験標本をより大きい片(4cm × 5cm)から1cm × 4cm試験片にカットし、そして較正100Nロードセルを備えたUnited Tensile Tester(モデルSSTM−2kN)の空気圧クランプ内に載せた。標本のゲージ長は25mmであった。標本が完全に脱落する(fail)まで300mm/分の速度で標本を変位に供した。力−変位曲線から、最大力(N)として脱落を決定した。引っ張り強さ試験結果を図2、4、および6に示す。
【0039】
縫合引き抜き強さ(SPOS)試験
[0051]標本をより大きい片(4cm × 5cm)から1cm × 4cm試験片にカットした。試験直前に、曲がった針を用いて、2−0ポリプロピレン縫合糸(Prolene、Ethicon Inc.)で、縫合引き抜き試験標本を調製した。単一の縫い目を各側面からおよそ5mmに、そして標本の底の端から4mmに取り付けた。縫合糸をおよそ10cmに切った。較正100Nロードセルおよび60mmのゲージ長のUnited Tensile Tester(モデルSSTM−2kN)上の空気圧クランプ内に標本の上端を載せた。縫合の両端を空気圧クランプのより低いセット内に乗せた。標本が完全に脱落するまで、標本を300mm/分で変位に供した。SPOS結果を図3、5、および6に示す。
【0040】
実施例4−顕微鏡検査
[0052]530gの充填体積の試料を実施例1にしたがって作製した。最終乾燥工程後、極微針アレイを用いて、100〜300μm直径孔を作製し、そして試料を再水和しなかった。
【0041】
[0053]Olympus光学顕微鏡(モデルBX41TF)を用いて、試料の顕微鏡評価を行った。10×倍率で、多様な孔が可視であり、そして特定のプロセシングに応じて、孔は直径100〜250ミクロンの範囲である。別個の孔各々の間の距離はおよそ3mmであった。孔の顕微鏡写真を図7および8に示す。
【0042】
実施例5−細胞浸潤
[0054]530gの充填体積の試料を実施例1にしたがって作製した。最終再水和工程後、極微針アレイを用いて、およそ100〜300μmの直径を持つ孔を産生した。
【0043】
[0055]多孔性微生物セルロース・フィルムを細胞培地中におよそ15〜30分間あらかじめ浸した。次いで、試験物品を6ウェルプレート中にプレーティングし、そしてさらなる細胞培地を必要に応じて添加した。次いで、ウェル各々に、既知の数の細胞を接種し、そして続いて37℃で、5%CO2チャンバー中でインキュベーションした。2〜3日ごとに各ウェル中の培地を交換し、そして異なる時点で、最長3週間、多孔性セルロース・シートの試料を採取した。
【0044】
顕微鏡評価
[0056]次いで、異なる時点で採取したセルロース物品を顕微鏡評価用に調製した。カット切片をガラススライド上に置き、そして細胞を同定するために染色した。染色した細胞は、材料の最上部から孔内に移動していることが示された。細胞浸潤実験によって、軟骨細胞(長さ約10ミクロン)が、直径およそ150ミクロンと測定される孔チャネル内に移動していることが立証され、孔が材料内への細胞浸潤を許すことが示された。細胞浸潤試料の顕微鏡写真を図9、10、11、および12に示す。
【0045】
[0057]前記は、特定の好ましい態様に言及するが、本発明はそのように限定されないことが理解されるであろう。一般の当業者は、開示する態様に対して多様な修飾を行うことも可能であり、そしてこうした修飾が本発明の範囲内にあることが意図されることに気付くであろう。
【0046】
[0058]本明細書に引用されるすべての刊行物、特許出願および特許は、その全体が本明細書に援用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡によって決定した際の孔直径が約50〜500ミクロンの範囲である、孔を含む微生物セルロース材料。
【請求項2】
微生物セルロース材料がシート型である、請求項1の材料。
【請求項3】
孔直径が約100〜400ミクロンである、請求項1の材料。
【請求項4】
孔直径が約150〜250ミクロンである、請求項1の材料。
【請求項5】
孔が部分的に片側でシートに穿通しているか、または完全にシートを突き抜けている、請求項2の材料。
【請求項6】
シートの厚さが約0.1mm〜約10mmである、請求項2の材料。
【請求項7】
シートの表面上の孔密度が約9〜約81孔/cm2である、請求項2の材料。
【請求項8】
シートの引っ張り強さが約5ニュートン〜約500ニュートンである、請求項2の材料。
【請求項9】
シートの縫合耐性が約0.5ニュートン〜約50ニュートンである、請求項2の材料。
【請求項10】
医学的治療が必要な被験体の治療部位に請求項1の材料を適用する工程を含む、医学的治療。
【請求項11】
医学的治療が、組織増大、組織操作マトリックスの移植、ヘルニア修復、骨盤底再構築、膀胱頸部懸垂、鼠径ヘルニアパッチ、回旋筋腱板補強、または移植可能細胞および他の生物活性剤の送達である、請求項10の方法。
【請求項12】
組織修復が必要な被験体の組織修復が必要な部位に、請求項1の材料および移植前に該材料上に植え付けられた少なくとも1つの細胞を投与する工程を含む、組織修復のための方法。
【請求項13】
微生物セルロース材料がシート型である、請求項12の方法。
【請求項14】
孔直径が約100〜400ミクロンである、請求項12の方法。
【請求項15】
孔直径が約150〜250ミクロンである、請求項12の方法。
【請求項16】
孔が片側でシートに部分的に穿通しているか、または完全にシートを突き抜けている、請求項13の方法。
【請求項17】
シートの厚さが約0.1mm〜約10mmである、請求項13の方法。
【請求項18】
シートの表面上の孔密度が約9〜約81孔/cm2である、請求項13の方法。
【請求項19】
シートの引っ張り強さが約5ニュートン〜約500ニュートンである、請求項13の方法。
【請求項20】
シートの縫合耐性が約0.5ニュートン〜約50ニュートンである、請求項13の方法。
【請求項1】
顕微鏡によって決定した際の孔直径が約50〜500ミクロンの範囲である、孔を含む微生物セルロース材料。
【請求項2】
微生物セルロース材料がシート型である、請求項1の材料。
【請求項3】
孔直径が約100〜400ミクロンである、請求項1の材料。
【請求項4】
孔直径が約150〜250ミクロンである、請求項1の材料。
【請求項5】
孔が部分的に片側でシートに穿通しているか、または完全にシートを突き抜けている、請求項2の材料。
【請求項6】
シートの厚さが約0.1mm〜約10mmである、請求項2の材料。
【請求項7】
シートの表面上の孔密度が約9〜約81孔/cm2である、請求項2の材料。
【請求項8】
シートの引っ張り強さが約5ニュートン〜約500ニュートンである、請求項2の材料。
【請求項9】
シートの縫合耐性が約0.5ニュートン〜約50ニュートンである、請求項2の材料。
【請求項10】
医学的治療が必要な被験体の治療部位に請求項1の材料を適用する工程を含む、医学的治療。
【請求項11】
医学的治療が、組織増大、組織操作マトリックスの移植、ヘルニア修復、骨盤底再構築、膀胱頸部懸垂、鼠径ヘルニアパッチ、回旋筋腱板補強、または移植可能細胞および他の生物活性剤の送達である、請求項10の方法。
【請求項12】
組織修復が必要な被験体の組織修復が必要な部位に、請求項1の材料および移植前に該材料上に植え付けられた少なくとも1つの細胞を投与する工程を含む、組織修復のための方法。
【請求項13】
微生物セルロース材料がシート型である、請求項12の方法。
【請求項14】
孔直径が約100〜400ミクロンである、請求項12の方法。
【請求項15】
孔直径が約150〜250ミクロンである、請求項12の方法。
【請求項16】
孔が片側でシートに部分的に穿通しているか、または完全にシートを突き抜けている、請求項13の方法。
【請求項17】
シートの厚さが約0.1mm〜約10mmである、請求項13の方法。
【請求項18】
シートの表面上の孔密度が約9〜約81孔/cm2である、請求項13の方法。
【請求項19】
シートの引っ張り強さが約5ニュートン〜約500ニュートンである、請求項13の方法。
【請求項20】
シートの縫合耐性が約0.5ニュートン〜約50ニュートンである、請求項13の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2012−512703(P2012−512703A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542202(P2011−542202)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/065844
【国際公開番号】WO2010/071732
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(511148075)キシロス・コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/065844
【国際公開番号】WO2010/071732
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(511148075)キシロス・コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】
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