説明

sFRPおよびsFRPと相互作用するペプチドモチーフならびにそれらの使用法

【課題】分泌されたフリッツルド関連タンパク質ファミリーメンバーに結合することが可能なペプチドモチーフおよびそのモチーフを含むタンパク質を提供する。
【解決手段】特定のアミノ酸配列を含む長さ30個未満、好ましくは20個未満、より好ましくは10個未満のペプチドであって、前記タンパク質ファミリーメンバーの一つであるsFRP−1に結合する能力を保持するペプチド、前記ペプチドを含むペプチドモチーフおよびsFRP−1と前記ペプチドモチーフを含むタンパク質との相互作用を調節する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2001年1月10日に出願された米国特許仮出願第60/260,908号の恩典を主張するものであり、これは本明細書に参照として組入れられている。
【0002】
開示の技術分野
本開示は、破骨細胞分化、特に分泌されたフリッツルド(Frizzled)関連タンパク質ファミリーメンバーに結合することが可能である、ペプチドモチーフおよびそのモチーフを含むタンパク質に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
骨再構築、成人ヒト骨格の継続的再生に寄与する過程は、各々骨髄の造血前駆体および間葉系前駆体を起源とする2種の特定化された細胞種である、破骨細胞および骨芽細胞により実行される。破骨細胞または骨芽細胞の増加したまたは減少した生成および/またはそれらのアポトーシス速度の変化は、いくつかの全身性または局所的な骨疾患の基礎をなす骨の吸収と形成との間の不均衡に大きく寄与するので、これらの細胞の継続的かつ規則的な供給は、骨格の恒常性にとって必須である。
【0004】
増強された破骨細胞活性は、閉経後骨粗鬆症、ページェット病、溶解型骨転移、多発性骨髄腫、副甲状腺機能亢進、慢性関節リウマチ、歯周炎、および悪性の高カルシウム血症の病因に大きな役割を果たしている。これらの臨床上の問題点は、顕著な罹患率または死亡率に関連しており、米国においては1000万名を超える患者が罹患している。しかし破骨細胞形成または骨吸収を阻害する限られた数の物質のみが利用可能であり、それらの作用機序はほとんど不明である。更に多くのこれらの物質は、その有用性を制限するような重大な副作用を有する。従って、これらの患者へ治療的恩恵を提供するための継続的研究の一部として、破骨細胞形成および骨吸収の阻害剤を同定および特徴決定することが必要である。
【0005】
逆に、低下した破骨細胞活性は、大理石骨病、オーブライト骨ジストロフィー、および軟骨形成不全症の病因において重要な役割を果たしており、これらについては具体的治療法はない。従って、これらの患者にとって好結果の治療法を提供するために、破骨細胞形成および骨吸収を増強する治療の確定および特徴決定の必要性も存在する。
【0006】
骨疾患に関連した機序の確定は、骨生理学の理解にとって重大である。骨細胞の調節に関与する多くの遺伝子および遺伝子ファミリー(およびそれらによりコードされたポリペプチド)が同定されかつクローニングされているが、それらの機能は、骨形成経路が複雑であるために、明確には描かれてはいない。閉経後骨粗鬆症、ページェット病、溶解型骨転移、多発性骨髄腫、慢性関節リウマチ、悪性の高カルシウム血症、大理石骨病、オーブライト骨ジストロフィー、および軟骨形成不全症のような骨吸収障害を含む、骨障害の治療の標的を明確に同定する必要性は大きい。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
本明細書において開示されるのは、分泌されたフリッツルド関連タンパク質-1(-sFRP-1)に結合するタンパク質である。ある態様において、sFRP-1結合ペプチドは、精製されたペプチドである。具体的例において、このペプチドは、下記からなる群より選択される:(a)配列番号:9に示されるアミノ酸配列;(b)(a)に示されるアミノ酸配列の少なくとも1種の保存的アミノ酸置換;および、(c)(a)に示される配列と少なくとも80%の配列同一性を共有するアミノ酸配列であり、ここでこのタンパク質は、sFRPに結合する能力を保持している。別の態様において、このペプチドは、下記式に示した配列を有する:
[R1]x-R2-R3-R4-R5-R6-R7-R8-[R9]y
(式中、xおよびyは、0または1の群から独立して選択された整数であり;R3は、Val(V)、Ala(A)、またはそれらの保存的置換の群より選択され;R4は、Asp(D)、Ala(A)、またはそれらの保存的置換からなる群より選択され;R5は、Gly(G)、Ala(A)、またはそれらの保存的置換からなる群より選択され;R6は、Arg(R)、Ala(A)、またはそれらの保存的置換からなる群より選択され;R7は、Trp(W)、Ala(A)、またはそれらの保存的置換からなる群より選択される。)。これらのペプチドをコードしている核酸が、これらの核酸を含むベクターおよびこれらのベクターで形質転換された宿主細胞と同様に提供される。これらのペプチドおよびsFRPの相互作用をを妨害する物質またはそれを模倣する物質のスクリーニングの方法もまた開示される。
【0008】
別の態様において、破骨細胞分化を増強する方法が開示される。ある具体的であるが限定的でない例において、この方法は、破骨細胞分化を増強するために、本明細書に開示された精製されたペプチド(または効果的断片、融合体または模倣物)の治療有効量を対象へ投与することを含む。
【0009】
更なる態様において、対象における破骨細胞形成を阻害する方法が提供される。この方法は、sFRP-1(配列番号:3)、配列番号:3の断片、配列番号:3の融合体または変異体の治療有効量を対象へ投与することを含み、ここでこのポリペプチドは、GenBankアクセッション番号AF013171、GenBankアクセッション番号AF019047、またはGenBankアクセッション番号AF053712に示したRANKL分子、または他のTNFファミリーメンバーに結合する。
【0010】
更に別の態様において、T細胞活性を調節する方法が提供される。ある具体的であるが限定的でない例において、この方法は、T細胞活性を調節するために、本明細書に開示された精製されたsFRP-1-結合ペプチドの治療有効量を対象へ投与することを含む。
【0011】
配列表
添付された配列表に列記された核酸配列およびアミノ酸配列は、ヌクレオチド塩基に関する標準の文字略号、およびアミノ酸に関する3文字表記を用いて示されている。各核酸配列の1本鎖のみを示しているが、相補鎖は、示された鎖を参照することによりそこに含まれると理解される。
【0012】
配列番号:1は、ヒトsFRP-1のcDNA配列を示す。
配列番号:2は、ヒトsFRP-1オープンリーディングフレームの核酸配列を示す。
配列番号:3は、ヒトsFRP-1のアミノ酸配列を示す。
配列番号:4は、ヒトsFRP-1-M/Hのアミノ酸配列を示す。
配列番号:5は、ヒトsFRP-Δ1-M/Hのアミノ酸配列を示す。
配列番号:6は、ヒトsFRP-Δ2-M/Hのアミノ酸配列を示す。
配列番号:7は、ヒトsFRP-Δ3-M/Hのアミノ酸配列を示す。
配列番号:8は、ヒトsFRP-ΔCRD-M/Hのアミノ酸配列を示す。
配列番号:9は、ペプチドモチーフのアミノ酸配列を示す。
配列番号:10は、ANP受容体A(ヒト)由来のペプチドモチーフを示す。
配列番号:11は、A-E4ペプチドのアミノ酸配列を示す。
配列番号:12は、A-F7ペプチドのアミノ酸配列を示す。
配列番号:13は、sFRP-1のネトリン相同ドメインのアミノ酸配列を示す。
配列番号:14は、A-C2ペプチドのアミノ酸配列を示す。
配列番号:15〜26は、アラニンスキャニング実験において使用するために生成したペプチドを示す。
配列番号:27は、B-B9のアミノ酸配列を示す。
配列番号:28は、配列番号:9のアミノ酸配列に類似した配列を含むRANKLにおいて認められたアミノ酸配列を示す。
配列番号:29は、配列番号:9のアミノ酸配列に類似した配列を含むネトリン受容体において認められたアミノ酸配列を示す。
配列番号:30〜39は、様々な霊長類の核酸配列ならびにPCRおよびハイブリダイゼーション実験に使用したプライマーおよびプローブを示す。
配列番号:40は、A-D9ペプチドのアミノ酸配列を示す。
【0013】
詳細な説明
I.略号
BSA:ウシ血清アルブミン
CRD:システインリッチドメイン
ELISA:酵素結合免疫吸着アッセイ法
HSPG:ヘパリン硫酸プロテオグリカン
mAb:モノクローナル抗体
MDCK:マディンダービー(Madin-Darby)イヌ腎臓
M/H:Myc-Hisエピトープタグ
PAGE:ポリアクリルアミドゲル電気泳動
PBS:リン酸緩衝生理食塩水
sFRP:分泌されたフリッツルド関連タンパク質
Wnt:Wntタンパク質
【0014】
II.用語
特に記さない限りは、技術用語は従来の用途に従い使用する。分子生物学の一般的用語の定義は、Benjamin Lewinの「Genes V」(Oxford University Press社出版、1994年(ISBN 0-19-854287-9));Kendrewら(編集)の「The Encyclopedia of Molecular Biology」(Blackwell Science社出版、1994年(ISBN 0-632-02182-9));および、Robert A. Meyers(編集)の「Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference」(VCH Publishers社出版、1995年(ISBN 1-56081-569-8))で調べることができる。
【0015】
本開示の様々な態様の検証を円滑にするために、以下に具体的用語の説明を提供する。
【0016】
異常:正常な特徴からの逸脱。正常な特徴は、対照、集団の標準などにおいて認めることができる。例えば異常な状態が、骨粗鬆症(骨量減少を特徴とする)のような疾患状態である場合、少数の適当な正常な特徴の提供源は、この疾患(例えば骨粗鬆症)に罹患していない個体、この疾患に罹患していないと考えられた個体集団の標準などを含む。
【0017】
同様に、異常は、疾患に関連した状態にもあてはまる。用語「関連した」とは、疾患それ自身に加え、疾患発症の危険性の増大を含む。例えば、ある異常(その後の破骨細胞形成のアップレギュレーションにつながる、sFRP発現の減少など)は、骨粗鬆症(骨量減少)の生物学的状態に関連すると説明することができ;従って、この異常性により、骨粗鬆症発症の危険性の増大および骨粗鬆症の存在の両方を予測できる。
【0018】
異常なsFRPタンパク質発現のような異常なタンパク質発現は、正常な(野生型)状況でのタンパク質発現とはある面で異なるタンパク質の発現にあてはまる。これは以下を含むが、これらに限定されるものではない:各々、対照または標準と比較して、(1)1個または複数のアミノ酸残基が異なるようなタンパク質の突然変異;(2)タンパク質の配列への1個または複数のアミノ酸残基の短い欠失または付加;(3)全タンパク質ドメインまたはサブドメインが除去または追加されるような、アミノ酸残基の比較的長い欠失または付加;(4)対照または標準量と比較して、タンパク質の増大した量の発現;(5)対照または標準量と比較して、タンパク質の減少した量の発現;(6)タンパク質の細胞下局在または標的化の改変;(7)タンパク質の一時的に調節された発現の改変(例えばタンパク質が通常発現しない場合に発現する、あるいは通常発現する場合に発現しないような);(8)翻訳後プロセシングの改変;および、(9)タンパク質の局在化された(例えば、臓器または組織特異的)発現の改変(例えばタンパク質が通常発現する場合に発現しない、あるいは通常発現しない場合に発現するような)。
【0019】
異常性の決定に関して、試料との比較に適した対照または標準は、正常であると考えられる試料に加え、臨床検査値を含むが、たとえ可能性のある任意の(arbitrarily)セットであっても、このような値は臨床検査室毎に変動することに留意すること。臨床検査基準および臨床検査値は、既知のまたは決定された集団の値を基に設定することができ、測定され実験により決定された値の比較を容易にする図または表の形で提供することができる。
【0020】
cDNA(相補的DNA):内部の非コードセグメント(イントロン)および転写を決定する調節配列を欠いているDNAの一部。cDNAは、実験室において、細胞から抽出したmRNAの逆転写により合成することができる。
【0021】
CRD:典型的には長さが約120個のアミノ酸であり、Fzタンパク質のアミノ末端側の半分に認められた、システインリッチドメイン。本明細書において説明された典型的sFRPにおいて、CRDは、sFRP-1残基38〜166位を含む。タンパク質発現を促進するために、Met(ATG)が、N-末端に追加される。典型的にはMetは、細菌においてこのタンパク質がプロセシングされる際に切断される。CRD配列を以下に示す:

【0022】
検出可能マーカーまたは標識:「検出可能マーカー」または「標識」は、例えば分光光度的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、または化学的手段により検出可能な任意の分子または組成物である。放射性同位元素、酵素基質、補因子、リガンド、化学発光物質または蛍光物質、ハプテン、酵素、コロイド状金粒子、着色したラテックス粒子、およびエピトープタグを含む標識の例は、これまでに開示されており、当業者には公知である(例えば、米国特許第4,275,149号;第4,313,734号;第4,373,932号;および、第4,954,452号を参照のこと)。
【0023】
「エピトープタグ」は、特異的抗体が生じ得るアミノ酸の短い配列(stretch)であり、これは一部の態様において、生体または培養された細胞へ添加されたタグ付きタンパク質を特異的に同定および追跡することを可能にする。タグ付き分子の検出は、多くの異なる技術を用いて実行することができる。このような技術の例は:免疫組織化学、免疫沈降、フローサイトメトリー、免疫蛍光顕微鏡、ELISA、イムノブロッティング(「ウェスタン」)、およびアフィニティークロマトグラフィーを含む。有用なエピトープタグの例は、FLAG、T7、HA(ヘマグルチニン)およびmycを含む。
【0024】
フルオロフォア:特定の波長の光への曝露により励起された場合に、例えば異なる波長で光(すなわち蛍光)を発する、化学的化合物。フルオロフォアは、それらの放出プロフィール、または「色」によって説明することができる。例えばCy3、FITC、およびオレゴングリーンのようなグリーンフルオロフォアは、一般に515〜540λの範囲波長でのそれらの放出により特徴付けられる。例えばテキサスレッド、Cy5およびテトラメチルローダミンのようなレッドフルオロフォアは、一般に590〜690λの範囲波長でのそれらの放出により特徴付けられる。
【0025】
使用することができるフルオロフォアの例は、米国特許第5,866,366号に提供されており、これは、例えば以下を含む:4-アセトアミド-4'-イソチオシアナトスチルベン-2,2'-ジスルホン酸、アクリジンおよび誘導体、例えばアクリジンおよびアクリジンイソチオシアネート、5-(2'-アミノメチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸(EDANS)、4-アミノ-N-[3-ビニルスルホニル)フェニル]ナフタルイミド-3,5-ジスルホネート(Lucifer Yellow VS)、N-(4-アニリノ-1-ナフチル)マレイミド、アントラニルアミド、ブリリアントイエロー、クマリンおよび誘導体、例えばクマリン、7-アミノ-4-メチルクマリン(AMC、クマリン120)、7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリン(クマラン151);シアノシン;4',6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI);5',5"-ジブロモピロガロール-スルホンフタレイン(ブロモピロガロールレッド);7-ジエチルアミノ-3-(4'-イソチオシアナトフェニル)-4-メチルクマリン;ジエチレントリアミンペンタアセテート;4,4'-ジイソチオシアナトジヒドロ-スチルベン-2,2'-ジスルホン酸;4,4'-ジイソチオシアナトスチルベン-2,2'-ジスルホン酸;5-[ジメチルアミノ]ナフタレン-1-スルホニルクロリド(DNS、ダンシルクロリド);4-(4'-ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL);4-ジメチルアミノフェニルアゾフェニル-4'-イソチオシアネート(DABITC);エオシンおよび誘導体、例えばエオシンおよびエオシンイソチオシアネート;エリスロシンおよび誘導体、例えばエリスロシンBおよびエリスロシンイソチオシアネート;エチジウム;フルオレセインおよび誘導体、例えば5-カルボキシフルオレセイン(FAM)、5-(4,6-ジクロロトリアジン-2-イル)アミノフルオレセイン(DTAF)、2'7'-ジメトキシ-4'5'-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(JOE)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、およびQFITC(XRITC);フルオレスカミン;IR144;IR1446;マラカイトグリーンイソチオシアネート;4-メチルウンベリフェロン;オルトクレゾールフタレイン;ニトロチロシン;パラロスアニリン;フェノールレッド;B-フィコエリスリン;o-フタルジアルデヒド;ピレンおよび誘導体、例えばピレン、酪酸ピレンおよびスクシンイミジル酪酸1-ピレン;Reactive Red 4(Cibacron .RTM.ブリリアントレッド3B-A);ロダミンおよび誘導体、例えば6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、6-カルボキシローダミン(R6G)、リサミンローダミンBスルホニルクロリド、ローダミン(Rhod)、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンXイソチオシアネート、スルホローダミンB、スルホローダミン101、およびスルホローダミン101のスルホニルクロリド誘導体(テキサスレッド);N,N,N',N'-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA);テトラメチルローダミン;テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC);リボフタビン;ロゾール酸(rosolic acid)およびテルビウムキレート誘導体。
【0026】
他の適当なフルオロフォアは、GFP(グリーン蛍光タンパク質)、Lissaminem(商標)、ジエチルアミノクマリン、フルオレセインクロロトリアジニル、ナフトフルオレセイン、4,7-ジクロロローダミンおよびキサンテン、ならびにそれらの誘導体を含む。当業者に公知の他のフルオロフォアも使用することができる。
【0027】
融合タンパク質:天然には互いに結合しないことがわかっている2種のアミノ酸配列を含有するタンパク質。用語「sFRPペプチドモチーフ融合タンパク質」は、sFRPに結合する第一のアミノ酸配列および第二のアミノ酸配列を含むタンパク質にあてはまる。あるいはこのsFRP結合モチーフおよび第二のアミノ酸配列は、融合タンパク質のドメインにあてはまることもある。従って例えば、本の開示は、第一および第二のドメインを含む融合タンパク質を提供し、ここで第一のドメインは、sFRPに結合するペプチドモチーフを含む。融合タンパク質の第一および第二のドメインの間の連結は、典型的にはペプチド結合であるが、必ずしもではない。
【0028】
単離された:「単離された」生物学的成分(例えば核酸またはタンパク質またはオルガネラ)は、そこで成分が天然に生じている生物の細胞内の他の生物学的成分(すなわち、他の染色体および染色体外DNAおよびRNA、タンパク質およびオルガネラ)から、実質的に分離または精製されている。「単離されている」核酸およびタンパク質は、標準の精製法で精製された核酸およびタンパク質を含む。この用語は、化学的に合成された核酸に加え、宿主細胞において組換え発現により調製された核酸およびタンパク質も包含している。
【0029】
リンカー基または連結基:連結基は、タンパク質またはペプチドと検出可能マーカーとの間の「化学アーム」である。当業者に理解されるように、化学アームリンカーの形成のために、反応体は各々、ペプチドの検出可能マーカーへの連結に必要な基を含まなければならない。このような基の代表的組合せは、アミノとカルボキシルによるアミド結合の形成、またはカルボキシとヒドロキシによるエステル結合の形成、またはアミノとハロゲン化アルキルによるアルキルアミノ結合の形成、またはチオールとチオールによるジスルフィド結合の形成、またはチオールとマレイミドもしくはハロゲン化アルキルによるチオエーテルの形成がある。ヒドロキシ、カルボキシル、アミノ、および他の官能基が存在しない場合は、これらは公知の方法により導入することができる。同様に、当業者に理解されるように、多種多様な連結基を使用することができる。連結の構造は、タンパク質またはペプチドを検出可能マーカーまたは標識へ結合するように形成された安定した共有結合である。場合によっては、連結基は、リガンドおよび受容体の望ましい結合特性を増強するために、親水性または疎水性のいずれかであるように設計することができる。共有結合は、リガンドおよび連結基が曝される溶液状態に対して安定していなければならない。一般に好ましい連結基は、1〜20個の炭素および0〜10個のヘテロ原子(NH、O、S)からなり、分枝鎖または直鎖であることができる。当業者には、前述のものに限定されることなく、化学的に適合性のある原子の組合せのみが連結基を含むことは明らかであるはずである。例えば、炭素-炭素結合と組合わせたアミド、エステル、チオエーテル、チオールエステル、ケト、ヒドロキシル、カルボキシル、エーテル基は、化学的に適合性のある連結基の許容できる例である。
【0030】
模倣物:sFRPまたはその断片のようなタンパク質、ペプチドモチーフ(例えば配列番号:9または配列番号:40)、またはそれらの変異体もしくは融合体の活性を模倣する分子(有機化学化合物など)。ペプチド模倣物および有機模倣物の態様は、本用語の範囲内であり、これによりこのようなペプチド模倣物および有機模倣物の化学構成の三次元配置は、ペプチドのペプチド骨格および成分アミノ酸側鎖の三次元配置を模倣し、結果的にこのようなペプチドのペプチド模倣物および有機模倣物は、実質的に特異的な阻害活性またはアゴニスト活性を有する。コンピュータモデリングアプリケーションのために、ファルマコフォアは、生物学的活性に関する構造要件の理想化された三次元定義である。ペプチド模倣物および有機模倣物は、最新のコンピュータモデリングソフトウェア(コンピュータ支援薬物設計またはCADDの使用)により、各ファルマコフォアに合致するように設計することができる。コンピュータ支援薬物設計に使用した技術の説明については、Waltersの論文「Computer-Assisted Modeling of Drugs」(KlegermanおよびGroves編集、Pharmaceutical Biotechnology、Interpharm Press社:バッファローグローブ、IL、165-174頁、1993年)および「Principles of Pharmacology」(Munson編集、第102章、1995年)を参照のこと。
【0031】
オリゴヌクレオチド:長さが最大約100個のヌクレオチド塩基の線状ポリヌクレオチド配列。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも10、20、30、40、または50個のヌクレオチドである。
【0032】
機能的連結:第一の核酸配列が、第二の核酸配列と機能関係で配置されている場合に、第一の核酸配列は、第二の核酸配列へ機能的に連結されている。例えば、プロモーターがコード配列の転写または発現に影響を及ぼす場合、プロモーターはコード配列に機能的に連結されている。一般に機能的に連結されたDNA配列は、隣接(contiguous)しており、ふたつのタンパク質コード領域が結合することが必要である場合は、同じリーディングフレーム内にある。
【0033】
ORF(オープンリーディングフレーム):いかなる終止コドンも伴わない、アミノ酸をコードしている一連の3つ組ヌクレオチド(コドン)。これらの配列は、通常ペプチドへ翻訳可能である。
【0034】
破骨細胞:破骨細胞は、能動的に骨を再吸収する、巨大な多核細胞である。破骨細胞は、造血幹細胞に由来し、循環血中の単球および組織マクロファージと表現型の特徴を共有している。これらは、血液から骨表面へ補充され、そこで分化および融合し多核細胞を形成するような循環血中の単核細胞の集団から形成される。
【0035】
大理石骨病は、再構築されるべき長骨の不全(failure)を特徴とする疾患ファミリーである。生じる長骨は、成長板から骨中心への軟骨浸潤および貧弱な再構築中心を有する。骨粗鬆症は、多すぎる破骨細胞により引き起されるのに対し、大理石骨病は、これらの細胞を十分数有さないことにより引き起され得る。
【0036】
閉経後の卵巣機能の喪失は、進行性の骨小柱の骨量減少および最終的には骨粗鬆症を生じることが多い。この骨喪失は、一部は、破骨細胞生成の増加に起因している。この増加した破骨細胞生成は、IL-1、腫瘍壊死因子、およびIL-6のような、全てエストロゲンにより負に調節される破骨細胞発生性(osteoclastogenic)サイトカインの支持細胞による増大された生成(elaboration)に起因しているように見える。
【0037】
破骨細胞は、通常変性骨疾患において骨溶解部位に認められる。破骨細胞の過剰生成は、副甲状腺機能亢進症およびページェット病のような疾患に関連している。破骨細胞は、全股関節(total hip)プロテーゼの無菌性喪失(aseptic loosening)、慢性関節リウマチ、および歯周炎に関連した炎症反応部位にも認められる。破骨細胞形成および機能に直接影響を及ぼすことができる炎症細胞により産生されたふたつのサイトカインは、インターロイキン-1(IL-1)および腫瘍壊死因子(TNF-α)である。
【0038】
ペプチドモチーフ:sFRP-1に結合するアミノ酸配列。一般に、ペプチドモチーフは、特徴的構造および/または機能を提供する2個またはそれ以上のペプチド結合したアミノ酸の配列である。ある態様において、ペプチドモチーフは、複数種のタンパク質において、または単独のタンパク質において複数回認めることができる。例えば、配列番号:9 に示されたペプチドモチーフは、sFRPに結合しsFRP活性を調節するその能力により特徴付けられる。理論に結びつけられるものではないが、配列番号:9の3個のコア残基(D-G-R)は、sFRP-1結合にとって重要であると考えられる。従ってある態様において、ペプチドモチーフは、これら3個のアミノ酸を含む。別の態様において、ペプチドモチーフは、配列番号:9の5個のコアアミノ酸(V-D-G-R-W)を含む。典型的ペプチドモチーフに加えて、sFRPに結合しsFRP活性を調節することが可能であるいくつかの別の他のモチーフの例(配列番号:9〜11、14〜17、および24〜26)が存在する。
【0039】
sFRP-1に結合するペプチドモチーフのひとつの態様のアミノ酸配列は、配列番号:9に示されているが、当業者は、このアミノ酸配列の1、2、または3個の欠失、付加、または置換のような変動を、そのペプチドモチーフの活性に実質的に影響を及ぼすことなく作製することができることを理解するであろう。従って用語「ペプチドモチーフ」は、配列番号:9に提供されたモチーフ、および配列番号:10および11および14〜26に提供された追加のペプチドモチーフの両方、更にはこれらの配列を基にしているが1種または複数の配列変異体を含むアミノ酸配列ならびにこのペプチドモチーフの少なくとも3、4、5、または6個の隣接アミノ酸を含むこれらの配列の断片を包含している。このような配列変異体または断片は、配列番号:9に示されたアミノ酸配列と共有しているアミノ酸配列の同一性の程度においても定義することができる。典型的には、ペプチドモチーフ配列変異体は、配列番号:9〜12および14〜26に示された配列と少なくとも80%配列同一性を共有するであろう。より高度に保存された変異体は、配列番号:9〜12、14〜17、および24〜26に示された配列と少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の配列同一性を共有するであろう。
【0040】
このペプチドモチーフは、sFRFに結合するその能力により特徴付けられる。この活性は、以下の方法の項において記載されるELISAアッセイ法を用いて試験することができる。sFRPに結合しsFRP活性を調節するペプチドモチーフの能力は、異常な骨再構築に関連した疾患の治療、より詳細には、増大した破骨細胞活性が望ましい場合などのような臨床適用を含む、多くの適用において有益である。
【0041】
ペプチドタグ:得られる融合体に機能を提供するために、別のペプチドまたはタンパク質に(例えば遺伝子操作を通じて)結合しているペプチド配列。ペプチドタグは通常、それらが融合されるタンパク質と比べて比較的短く:例として、ペプチドタグは、長さ4個またはそれ以上のアミノ酸、例えば5、6、7、8、9、10、15、20、または25個またはそれ以上のアミノ酸である。通常ペプチドタグは、長さ約100個のアミノ酸を超えず、約75個を超えず、約50個を超えず、約40個を超えず、または約30個を超えない。
【0042】
ペプチドタグは、1つまたは複数の機能を融合タンパク質に付与し(これによりそのタンパク質を「機能化する」)、このような機能は、抗体の結合(エピトープタグ)、精製、および分化(例えば未変性のタンパク質から)を含むことができる。加えて結合抗体がわかっているプロテアーゼの認識部位は、特異的に切断可能なエピトープタグとして利用可能である。このような切断可能なタグの使用は、タンパク質の選択的切断および活性化を提供することができる(例えば、TGF-β1の中の切断部位をプロカスパーゼ3のものと交換することにより)。
【0043】
タグ付き分子の検出は、多くの異なる技術を用いて実行することができる。これらは:免疫組織化学、免疫沈降、フローサイトメトリー、免疫蛍光顕微鏡、ELISA、イムノブロット(「ウェスタン」)、およびアフィニティークロマトグラフィーを含む。
【0044】
エピトープタグは、公知のおよびしばしば高親和性の抗体の結合を提供する対象タンパク質上に公知のエピトープ(抗体結合部位)を付与し、これにより生体または培養細胞へ添加されているタグ付きタンパク質を特異的に同定し追跡することが可能になる。エピトープタグの例は、myc、T7、GST、GEP、HA(ヘマグルチニン)、およびFLAGタグを含む。最初の4種の例は、現存する分子由来のエピトープである。対照的にFLAGは、高い抗原性について設計された合成エピトープタグである(例えば、米国特許第4,703,004号および第4,851,341号参照)。
【0045】
精製タグは、例えばアフィニティークロマトグラフィーにより、タグ付きタンパク質の容易な精製を可能にするために使用される。周知の精製タグは、ヘキサヒスチジン(6xHis)タグであり、これは文字通り6個のヒスチジン残基がある配列である。この6xHisタンパク質精製システムは、QIAGEN社(バレンシア、CA)からQIAexpress(登録商標)の名称で市販されている。
【0046】
単独のタグペプチドを複数の目的に利用することができる;例えば任意の結合したタグは、融合タンパク質の分子量を増加し、これによりタグ付きタンパク質と未変性のタンパク質との区別を可能にする。「エピトープタグ」に特異的な抗体を使用し、イムノアフィニティーカラムを構築することができ、従ってエピトープタグは、タグ付きタンパク質の精製に使用することが可能である。同様に、一部の例において、精製タグに特異的なモノクローナル抗体を利用することができる(例えば、抗6xHisペプチドモノクローナル抗体、これはQIAGEN社またはCLONTECH社(パロアルト、CA)から入手できる)。
【0047】
薬学的に許容される担体:本開示において有用な薬学的に許容される担体は、通常のものである。「Remington 's Pharmaceutical Sciences」E. W. Martin、Mack Publishing社(イーストン、PA)、第15版(1975)は、本明細書において開示された融合タンパク質の薬学的送達に適している組成物および処方を説明している。
【0048】
一般に、担体の性質は、利用される投与の具体的様式に依存すると考えられる。例えば、非経口処方は、通常、賦形剤として水、生理食塩水、平衡のとれた塩溶液、水性デキストロース、グリセロールなどのよう薬学的および生理的に許容される液体を含む注射用液体を含む。固形組成物(例えば、散剤、丸剤、錠剤、またはカプセル剤の剤形)に関して、従来型の無毒の固形担体は、例えば医薬等級のマンニトール、乳糖、スターチ、またはステアリン酸マグネシウムを含む。生物学的に中性の担体に加えて、投与される薬学的組成物は、例えば湿潤剤または乳化剤、保存剤、およびpH緩衝剤などの、例として酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートのような、少量の無毒の助剤を含むことができる。
【0049】
ポリヌクレオチド:少なくとも2個の核酸残基を含む、核酸配列。
【0050】
ポリペプチド:少なくとも2個のアミノ酸残基を含む、タンパク質断片。
【0051】
タンパク質断片:天然のタンパク質に認められるよりもより少ないアミノ酸残基を含み、少なくとも2個のアミノ酸残基を含む、アミノ酸配列。例えば、天然のタンパク質、すなわち遺伝子から発現されたタンパク質が、長さ300個のアミノ酸残基である場合は、このタンパク質由来のポリペプチドは、299個以下のアミノ酸残基である。具体例において、このポリペプチドは、200、175、150、125、100、75、50、または25個未満のアミノ酸残基を有する。
【0052】
精製された:用語「精製された」は、絶対的純度は必要ではなく;むしろ、相対的用語として意図されている。従って例えば、精製されたタンパク質またはペプチド調製物は、そのタンパク質またはペプチドが、細胞内の天然の環境におけるタンパク質またはペプチドよりもより純粋であるものである。このようなタンパク質またはペプチドは、例えば標準の精製技術により、または組換え発現により、生成することができる。一部の態様において、タンパク質またはペプチドの調製は、このタンパク質またはペプチドが、調製物の総タンパク質含量の少なくとも50%、または例えば少なくとも70%をあらわすように精製される。
【0053】
RANKおよびRANKL:NF-κBの受容体アクチベーター(RANK)は、腫瘍壊死因子(TNF)受容体スーパーファミリーのメンバーである。NF-κBリガンドの受容体アクチベーター(RANKL)であるリガンドは、TNFスーパーファミリーのメンバーであり、複数の場面において特徴付けられ、破骨細胞分化因子(ODF)、腫瘍壊死因子関連活性化誘導サイトカイン(TRANCE)、およびオステオプロテゲリンリガンド(OPGL)と様々に呼ばれる。RANKは、TNF受容体関連因子3(TRAF3)と相互作用する616個のアミノ酸残基を有するI型膜貫通型タンパク質である。過剰発現によるRANKの誘発、RANKおよび膜結合したRANKリガンド(RANKL)の共発現、または可溶性RANKLもしくはRANKへのアゴニスト性抗体の添加は、免疫系の細胞において最も広範に利用される普遍的転写因子である、NF-κβ転写因子のアップレギュレーションを生じる(米国特許第6,017,729号)。
【0054】
RANKは、破骨細胞前駆体および成熟破骨細胞において発現される。骨芽細胞により産生されたRANKLは、破骨細胞の形成および活性を刺激し、これは正常な骨の発生および再構築を促進する。RANKLまたはRANKのいずれかの遺伝子標的化は、大理石骨病(増大した骨量)に加え、重症リンパ節形成の欠損を生じる。オステオプロテゲリン(OPG)は、同じくTNF受容体ファミリーに属する可溶性因子である。OPGは、RANKLに結合し、機能性多核破骨細胞の形成をインビトロにおいて阻害する。トランスジェニックマウスにおけるOPGの過剰発現は、骨髄腔の狭小および破骨細胞の顕著な枯渇を伴う、重症の大理石骨病を引き起こす。同じ作用が、正常マウスへのOPGの投与時に認められた。これらの作用は全て、RANKLへのOPGの結合に寄与し、これはRANKのリガンド結合および活性化を妨害した。あるいは、慢性関節リウマチに罹患した対象の関節におけるT細胞によるRANKLの発現は、この疾患の特徴である増大された破骨細胞活性および骨喪失に寄与すると考えられる。
【0055】
組換え:組換え核酸は、天然に生じない配列を有するもの、またはふたつのさもなければ分離されている配列セグメントの人工的組合せにより作製された配列を有するものである。この人工的組合せは、化学合成により、またはより一般的には核酸の単離されたセグメントの人工的操作、例えば遺伝子操作技術により達成されることが多い。
【0056】
配列同一性:アミノ酸配列間の類似性は、配列間の類似性に関して表現され、他方で配列同一性と称される。配列同一性は、同一性(または類似性または相同性)の割合(%)に関して測定されることが多く;割合が高いほど、ふたつの配列はより類似している。本明細書に開示されたsFRPの相同体もしくは変異体(配列番号:1に示された典型的メンバー)、またはsFRPに結合するペプチドモチーフ(例えば配列番号:9)は、標準的手法を用いて並置した場合に、比較的高程度の配列同一性を有する。
【0057】
比較のための配列並置の方法は、当技術分野において周知である。様々なプログラムおよびアラインメントアルゴリズムが、下記において説明されている:SmithおよびWaterman、Adv. Appl. Math.、2:482(1981);NeedlemanおよびWunsch、J. Mol. Biol.、48:443(1970);PearsonおよびLipman、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、85:2444(1988);HigginsおよびSharp、Gene、73:237-244(1988);HigginsおよびSharp、CABIOS、5:151-153(1989);Corpetら、Nucleic Acids Research、16:10881-10890(1988);ならびに、PearsonおよびLipman、Proc. Natl. Acad. Sci. USA.、85:2444(1988)、Altschulら、Nature Genet.、6:119-129(1994)。
【0058】
NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST(商標))(Altschulら、J. Mol. Biol.、215:403-410(1990))は、いくつかの供給元から入手可能であり、配列解析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastn、およびtblastxと組合わせた使用に関しては、National Center for Biotechnology Information(NCBI、ベセスダ、MD)、およびインターネット上を含む。
【0059】
sFRP、sFRP断片、またはsFRPに結合するペプチドモチーフの変異体は、NCBI Blast 2.0、デフォルトのパラメータに設定したギャップ付きblastpを用い、典型的にはsFRP、sFRP断片、またはペプチドモチーフ(例えば配列番号:9)のアミノ酸配列との完全長アラインメントにわたって計測された少なくとも50%配列同一性を有することにより特徴付けられる。約30個のアミノ酸を超えるアミノ酸配列の比較のためには、Blast 2配列関数を利用し、デフォルトのパラメータ(ギャップ存在コスト11、および1残基当りのギャップコスト1)に設定したデフォルトのBLOSUM62マトリックスを用いる。短いペプチド(およそ30個のアミノ酸より少ない)を並置する場合、このアラインメントは、Blast 2配列関数を利用し、デフォルトのパラメータ(オープンギャップ9、エクステンションギャップ1ペナルティ)に設定したPAM30マトリックスを用いて行われる。参照配列と更により大きい類似性を有するタンパク質は、本方法で評価した場合に、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、もしくは少なくとも95%、または98%の配列同一性のような増大する割合の同一性を示すと考えられる。全配列より少ない配列を配列同一性について比較した場合は、相同体および変異体は、10〜20個のアミノ酸のショートウィンドウにわたって典型的には少なくとも75%の配列同一性を有し、それらの参照配列との類似性によって左右される少なくとも85%または少なくとも90%、95%、もしくは98%の配列同一性を有し得る。このようなショートウィンドウについての配列同一性を決定する方法は、National Center for Biotechnology Information(ベセスダ、MD)により管理されているウェブサイトにおいて説明されている。当業者は、これらの配列同一性の範囲が、指針のためのみに提供されており;提供された範囲外に収まる強力に重要な相同体を得ることは完全に可能であることを理解するであろう。
【0060】
sFRP:分泌されたフリッツルド関連タンパク質(sFRP)は、典型的にはFzタンパク質ファミリーメンバーの(システインリッチドメイン)CRDと30%〜50%同一性であるCRDを含む、およそ300個のアミノ酸からなる分泌タンパク質である。いくつかの異なるsFRPタンパク質が存在し、典型的メンバーであるsFRP-1の核酸配列は配列番号:1に提供されている。sFRPファミリーの他のメンバーの核酸配列およびアミノ酸配列は、National Center for Biotechnology Websiteにおいて見ることができ、例えばGenBankアクセッション番号AF218056(Gallus gallus FRP-2)、GenBankアクセッション番号AV354083(マウス(Mus musculus)-FRP-1)、GenBankアクセッション番号AV304328(マウス s-FRP-2)、GenBankアクセッション番号U24163(ヒト(Homo sapiens)sFRP-3/FrzB)、およびGenBankアクセッション番号AI587049(ヒト sFRP-1)である。典型的sFRPのオープンリーディングフレームは、配列番号:2に示されているが、そのタンパク質の配列は配列番号:3に示されている。本明細書に開示されるように、sFRPは、RANKLに結合し、破骨細胞形成を阻害する。
【0061】
sFRP-1結合活性およびその破骨細胞形成を調節する能力は、本明細書に説明されるELISAおよび破骨細胞発生バイオアッセイ法を用いてアッセイすることができる。sFRP-1タンパク質またはそれらの断片がこれらの活性を発揮する能力は、異常な骨再構築に関連した疾患の治療のような臨床適用を含む、多くの適用において有益である。
【0062】
プロトタイプ的sFRPのアミノ酸配列は配列番号:3に示されているが、当業者は、このアミノ酸配列の1、2、5、10、20、30、40、または50個の欠失、付加、または置換(保存的アミノ酸置換を含む)のような変種を、先に考察したタンパク質(またはそのタンパク質断片)の活性に実質的に影響を及ぼすことなく作製することができることを理解するであろう。従って用語「sFRP」断片は、配列番号:4〜8に示されたアミノ酸配列を有するタンパク質に加え、それらの配列を基にしているが、1種または複数の配列変異体を含むアミノ酸配列の両方を包含している。このような配列変異体は更に、配列番号:4〜8に示されたアミノ酸配列を共有しているアミノ酸配列同一性の程度において定義することもできる。典型的には、sFRP配列変異体は、配列番号:4〜8に示された配列と少なくとも80%の配列同一性を共有している。より高度に保存された変異体は、配列番号:4〜8に示された配列と少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の配列同一性を共有するであろう。このような配列変異体は、プロトタイプ的sFRPタンパク質配列と配列同一性を共有することに加え、RANKLのようなTNFファミリーメンバーに結合する能力を有する。
【0063】
対象:生存している多細胞脊椎動物であり、ヒトおよび非ヒト哺乳類の両方を含む範疇である。
【0064】
治療有効量:疾患の進行を防止する、もしくは退行を引き起すのに十分であるか、または疾患により惹起された症状を緩和することが可能である投与量である。
【0065】
タンパク質のTNFファミリー:タンパク質の腫瘍壊死(TNF)ファミリーは、膜結合型リガンドおよび可溶性タンパク質の両方を含む。TNFおよびRANKLのような一部のファミリーメンバーは、膜に係留された型および可溶性型の両方において活性があり、後者は溶液中に酵素により、とりわけTACE(TNFα転換酵素)により放出される(J. Hardy、Proc. Natl. Acad. Sci. USA.、94:2095-2097(1997);J.D. Buxbaumら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA.、89:10075-10078(1992))。TNFファミリーメンバー中の相同性の主要領域は、細胞外間隙に配置されたカルボキシ末端のひと続きの150個のアミノ酸残基である。このドメインは、TNF受容体ファミリーの同族メンバーへの結合に寄与する。この受容体タンパク質ファミリーは、規則的に間隔をあけたシステイン残基を伴う4個のドメインにより特徴付けられ;各々1個の膜貫通ドメインを有し、TNFαまたはTNFβのいずれかに結合している。このファミリーのメンバーは、例えば、TNFRI、TNFRII、Fas、およびCD30を含む。
【0066】
形質転換された:形質転換された細胞は、分子生物学的技術により核酸分子が導入されている細胞である。本明細書において使用される用語「形質転換」は、ウイルスベクターによるトランスフェクション、プラスミドベクターによる形質転換、ならびに電気穿孔、リポフェクション、および加速遺伝子銃による裸のDNAの導入を含む、核酸分子がこのような細胞へ導入される全ての技術を包含している。
【0067】
ベクター:宿主細胞へ導入される核酸分子であり、これにより形質転換された宿主細胞を作製する。ベクターは、複製起点のような、宿主細胞内において複製することを可能にする核酸配列を含むことができる。更にベクターは、1種または複数の選択可能マーカー遺伝子および他の当技術分野において公知の遺伝的要素も含むことができる。ベクターは更に、マルトース結合タンパク質、c-myc、またはGSTをコードしている配列のような、所望のタンパク質生成物の単離を促進するアミノ酸モチーフをコードしている配列も含む。
【0068】
WNT:細胞発生の調節において重要な役割を果たす遺伝子およびそれによりコードされたタンパク質の一群は、糖タンパク質のWntファミリーである。Wntタンパク質は、12種を超える構造的に関連した分子からなる増殖因子ファミリーであり、アポトーシス、胚形成、器官形成、形態形成、および代謝回転発生(turnorigenesis)のような基礎的生物学的プロセスの調節に関連している。これらのポリペプチドは、多能性因子であり、トランスフォーミング増殖因子(TGF)-β、線維芽細胞増殖因子(FGFs)、神経増殖因子(NGF)、および骨形成タンパク質(BMP)のような他の分泌型タンパク質と同様の生物学的活性を有する。
【0069】
Wnt増殖因子ファミリーのメンバーは、骨組織および骨由来の細胞において優先的に発現され、成熟骨芽細胞(骨-形成細胞)表現型を維持することに関与しているように見える。
【0070】
特に記さない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、この開示が属する技術分野の業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。「含有する(comprising)」は「含む(including)」を意味する。単数用語「ひとつの(a, an, およびthe)」は、文脈が明確に示さない限りは、複数の意味も有する。従って、「AおよびBを含む」は、他の要素を排除せずに「AおよびBを含む」ことを意味する。本明細書に説明された方法および材料と類似したまたは同等のものを本発明の開示の実践または試験において使用することができるが、適当な方法および材料を以下に説明する。本明細書において言及された全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、それらの全体が参照として組入れられている。矛盾する場合は、用語の説明を含む本明細書が支配する。加えて材料、方法、および実施例は、単に例証のためであり、限定する意図はない。
【0071】
III. いくつかの態様の説明
本明細書に開示されるように、ペプチドモチーフは、sFRP-1(配列番号:3)に結合し、sFRP-1の破骨細胞形成をダウンレギュレーションする能力を阻害することが明らかにされている。ある態様において、このペプチドモチーフは、下記式を有する:
[R1]x-R2-R3-R4-R5-R6-R7-R8-[R9]y
(式中、xおよびyは、0または1の群から独立して選択された整数であり;R1、R2、R8、およびR9は任意のアミノ酸残基であり;R3は、Val(V)、Ala(A)、またはそれらの保存的置換からなる群より選択され;R4は、Asp(D)、Ala(A)、またはそれらの保存的置換からなる群より選択され;R5は、Gly(G)、Ala(A)、またはそれらの保存的置換からなる群より選択され;R6は、Arg(R)、Ala(A)、またはそれらの保存的置換からなる群より選択され;R7は、Trp(W)、Ala(A)、またはそれらの保存的置換からなる群より選択され;および、ここでペプチドは、sFRPに結合する能力を保持している。)。
【0072】
ひとつの態様において、R1は、(a)Gln-Gly-Thr(QGT)、(b)Ala-Gly-Thr(AGT)、(c)Gln-Ala-Thr(QAT)、および(d)Gln-Gly-Ala(QGA)からなる群より選択される。別の態様において、R2は、Leu、Val、Ala(L、V、A)、またはそれらの保存的置換からなる群より選択される。更なる態様において、R8は、LeuもしくはVal(LまたはV)またはそれらの保存的置換からなる群より選択される。更に別の態様において、R9は、(a)Gln(Q)、(b)Gln-Gly-Glu(QGE)、(c)Gln-Leu(QL)、(d)Ala-Leu(AL)、(e)Gln-Ala(QA)、および(f)Thr-Asn-Pro-His-His(TNPHH)からなる群より選択される。
【0073】
具体的であるが限定しない例において、R3はVであり、R4はDであり、R5はRであり、R6はGであり、およびR7はWである。別の具体的であるが限定しない例において、R1は、(a)Gln-Gly-Thr(QGT)、(b)Ala-Gly-Thr(AGT)、(c)Gln-Ala-Thr(QAT)、および(d)Gln-Gly-Ala(QGA)からなる群より選択され;R2は、Leu、Val、Ala(L、V、A)、またはそれらの保存的置換からなる群より選択され;R8は、LeuもしくはVal(LまたはV)またはそれらの保存的置換からなる群より選択され;R9は、(a)Gln(Q)、(b)Gln-Gly-Glu(QGE)、(c)Gln-Leu(QL)、(d)Ala-Leu(AL)、(e)Gln-Ala(QA)、および(f)Thr-Asn-Pro-His-His(TNPHH)からなる群より選択され;ならびに、R3はVであり、R4はDであり、R5はRであり、R6はGであり、およびR7はWである。更に別の非限定的例において、R3はVであり、R4はDであり、R5はRであり、R6はGであり、およびR7はWであり、ならびにR1は、(a)Gln-Gly-Thr(QGT)、(b)Ala-Gly-Thr(AGT)、(c)Gln-Ala-Thr(QAT)、および(d)Gln-Gly-Ala(QGA)からなる群より選択される。更なる非限定的例において、R3はVであり、R4はDであり、R5はRであり、R6はGであり、およびR7はWであり、R2は、Leu、Val、Ala(L、V、A)またはそれらの保存的置換からなる群より選択される。別の具体的で非限定的例において、R3はVであり、R4はDであり、R5はRであり、R6はGであり、およびR7はWであり、ならびにR8は、Leu、Val、Ala(L、V、A)、およびそれらの保存的置換からなる群より選択される。別の具体的で非限定的例において、R3はVであり、R4はDであり、R5はRであり、R6はGであり、およびR7はWであり、ならびにR9は、(a)Gln(Q)、(b)Gln-Gly-Glu(QGE)、(c)Gln-Leu(QL)、(d)Ala-Leu(AL)、(e)Gln-Ala(QA)、および(f)Thr-Asn-Pro-His-His(TNPHH)からなる群より選択される。ある具体的で非限定的ペプチドモチーフの例は、配列番号:9である。
【0074】
ひとつの態様において、sFRP結合ペプチドは、長さ30個未満のアミノ酸である。別の態様において、このペプチドは、長さ20個未満のアミノ酸である。更なる態様において、このペプチドは、長さ10個未満のアミノ酸である。
【0075】
sFRP(例えば、配列番号:9)に結合するペプチドモチーフの同定は、更に他のタンパク質の同定を可能にし、これはそれらのアミノ酸配列におけるこのペプチドモチーフに類似した配列の存在により、およびsFRPファミリーメンバーに結合するそれらの能力により、特徴付けられる。これらのペプチドは、sFRP活性、例えばRANKLもしくはTNFファミリーメンバーの結合、または破骨細胞発生を刺激する活性を妨害する。従って本開示は、骨再構築の制御法を提供する。本明細書に開示されたペプチドモチーフ(例えば、配列番号:9)は、sFRP-1に結合し、破骨細胞分化を効果的にアップレギュレーションすることができる。増大した破骨細胞産生は、過剰な骨形成が存在する障害(例えば、軟骨形成不全症、オーブライト骨ジストロフィー、および大理石骨病)の治療にとって望ましい。対照的に、本開示は、骨量を増大するためにsFRPを提供する方法も提供する(図17参照)。骨量の増大は、閉経後骨粗鬆症、ページェット病、溶解型骨転移、多発性骨髄腫、副甲状腺機能亢進症、慢性関節リウマチ、歯肉炎、悪性の高カルシウム血症のような障害の治療にとって望ましい。
【0076】
本開示の一部の態様において、配列番号:9に示されたアミノ酸配列;配列番号:9に示されたアミノ酸配列の保存的アミノ酸置換;および、配列番号:9に示された配列と少なくとも80%の配列同一性を共有するアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドが提供される。これらのポリペプチドは、sFRP-1(配列番号:3)に結合し、例えば破骨細胞発生活性のようなsFRP活性を妨害することが可能である。このようなポリペプチドの例は、配列番号:10〜12および14〜29に提供される。
【0077】
本開示は更に、前段に説明された、sFRPに結合するペプチドモチーフおよびsFRPに結合するペプチドモチーフの変異体をコードしている核酸配列も提供する。これらの核酸配列は、ベクター中に配置することができ、これらのベクターは、宿主細胞の形質転換に使用することができる。形質転換された宿主細胞は、引き続きとりわけ、前述のポリペプチドの産生において有用である。
【0078】
前述のように、本開示は、対象において破骨細胞分化を増強する方法を提供する。これらの方法は、破骨細胞分化を増大するために、モチーフ(例えば配列番号:9)またはそれらの変異体もしくは断片を含むペプチドを有効量提供することを含む。このような方法は、異常な骨再構築(例えば、軟骨形成不全、オーブライト骨ジストロフィー、または大理石骨病)を有することが疑われる対象の治療に有用である。
【0079】
本開示は、対象における破骨細胞形成を阻害する方法も提供する。これらの方法は、sFRP-1(配列番号:3)、sFRP-1(配列番号:3)の変異体、もしくは融合体、またはsFRP-1(配列番号:3)の断片を投与することを含む。これらのペプチドの投与は、これらのペプチドをコードしている核酸の投与および発現を含む。投与されたタンパク質またはペプチドは、RANKL、例えば「TRANCE」と称されるヒトRANKL(AF013171)、ヒトRANKL(AF019047)、および「OPGL」と称されるヒトRANKL(AF053712)に結合し、破骨細胞形成を阻害するそれらの能力により特徴付けられる。破骨細胞形成の阻害は、閉経後骨粗鬆症、ページェット病、溶解型骨転移、多発性骨髄腫、副甲状腺機能亢進症、慢性関節リウマチ、歯周病、および悪性の高カルシウム血症のような骨障害性障害の治療に有用である。
【0080】
sFRPに結合するペプチドモチーフ、ならびにそれらの断片および変異体は、T細胞活性の調節にも有用である。従って本開示は、T細胞活性を調節する方法を提供する。これらの方法は、樹状細胞または破骨細胞前駆細胞とのT細胞相互作用の変化に十分な、sFRPに結合するペプチドモチーフ(配列番号:9など)、またはそれらの断片および変異体を、有効量提供することを含む。T細胞と樹状細胞との間の相互作用の変化の例は、RANKL/RANKシグナル伝達に関して説明されている、混合されたリンパ球反応における、樹状細胞生存の増加、およびT細胞増殖を含む(D.M. Andersonら、Nature、390:175-179(1997);および、B.R. Wongら、J. Exp. Med.、186:2075-2080(1997))。T細胞活性の調節は、例えば、中毒性ショック、敗血症、移植片対宿主反応、または急性炎症反応を有することが疑われる対象において望ましい。
【0081】
本開示は更に、タンパク質のTNFファミリーメンバーに結合する、sFRPタンパク質、ならびにそれらの断片および変異体をスクリーニングする方法も提供する。これらの方法は、sFRPタンパク質を少なくとも1種のTNFファミリーメンバーと接触させ、sFRPタンパク質へのTNFファミリーメンバーの結合を検出することを含む。特に対象とするTNFファミリーメンバーは、RANKL、Apo2/TRAIL、FasL、CD40L、CD27L、CD30L、Apo3L/TWEAK、TNF、およびLT-αを含む(S.J. BakerおよびE.P. Reddy、Oncogene、17:3261-3270(1998))。特に対象とするsFRPファミリーメンバーは、sFRP-1(配列番号:3)、sFRP-2(GenBankアクセッション番号MMU88567、本明細書に参照として組入れられている)、sFRP-3(GenBankアクセッション番号MMU88568、本明細書に参照として組入れられている)、sFRP-4(GenBankアクセッション番号AF012891、本明細書に参照として組入れられている)、およびsFRP-5(GenBankアクセッション番号AF117758、本明細書に参照として組入れられている)を含む。
【0082】
本開示は更に、配列番号:14に示された精製されたペプチドも提供する。このペプチドは、インビトロおよびインビボにおける破骨細胞分化の刺激に有用である。このペプチドがインビボにおいて使用される場合、これを破骨細胞分化を増大するために対象へ投与することができる。
【0083】
IV. sFRP、それらの断片、融合体、および変異体ならびにペプチドモチーフの発現および精製
sFRP断片およびそれらの変異体は、以下に説明しるように、sFRPをコードしているベクターでトランスフェクションしたMDCK細胞(ATCC番号CCL-34)から精製することができる。sFRP断片およびそれらの変異体は、従来の生化学的技術を用い組織給源から精製することも、または当技術分野において周知の方法(例えば、Sambrookら「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」コールドスプリングハーバー、NY、1989に説明されたようなもの)を用い原核細胞または真核細胞のいずれかにおいて組換えにより作出することもできる。sFRP断片の組換え発現は、Urenら(J. Biol. Chem.、275:4374-4382(2000))に記されている。更に、sFRPファミリーメンバーをコードしている核酸配列は、GenBankにおいて入手可能であり、配列番号:1に示されたcDNA配列を含む。
【0084】
組換えsFRP断片、それらの融合体、および変異体、更には、それらの結合モチーフ(配列番号:9)およびそれらの変異体は、融合タンパク質の最適な発現および精製のために設計された市販のシステムを用いて得ることができる。このような融合タンパク質は、典型的には精製を促進するタンパク質タグを含む。このようなシステムの例は以下を含む:pMALタンパク質の融合および精製システム(New England Biolabs社、ビバリー、MA);GST遺伝子融合システム(Amersham Pharmacia Biotech社、ピスカタウェイ、NJ);ならびに、pTrcHis発現ベクターシステム(Invitrogen社、カールスバッド、CA)。例えば、pMAL発現システムは、マルトース結合タンパク質を発現されたタンパク質に加えるベクターを利用する。この融合タンパク質は、大腸菌において発現され、この融合タンパク質は、アミロースカラムを用い、粗細胞抽出物から精製される。必要であるならば、マルトース結合タンパク質ドメインは、Xa因子のような適当なプロテアーゼ処理により融合タンパク質から切断することができる。その後マルトース-結合断片は、第二のアミロースカラムを通過させることにより調製物から除去することができる。Invitrogen社から市販されているもののような、Pichia、タバコおよびバキュロウイルス発現システムを含む真核発現システムもまた使用することができる。
【0085】
これらの各システムについて、全体のsFRPタンパク質、それらの変異体および断片、またはペプチド結合モチーフは、所望の配列のオープンリーディングフレーム(ORF)のベクターへのライゲーションにより作出することができる。効果的発現を確実にするために、このORFは、ベクターへ機能的に連結されなければならず、すなわち、このORFのリーディングフレームがそのタンパク質タグのリーディングフレームと並ぶように連結されなければならない。sFRPの断片が発現される場合、所望の断片をコードしているORFは、sFRP cDNAからポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅され、クローニングされ、精製され、その後発現ベクターへライゲーションされ得る。あるいは、増幅された断片は、発現ベクターへ直接ライゲーションされ得る。sFRP cDNAの適当な制限部位の利用可能性に応じて、適当な制限エンドヌクレアーゼ消化により所望の断片を得、その結果発現ベクターへの直接クローニングすることも可能である。
【0086】
発現されたタンパク質の精製は、発現タグに適した精製様式(市販の発現/精製システムが使用される場合)、またはsFRPの適当な領域を認識する抗体(好ましくはモノクローナル抗体)を用いるか、もしくはsFRPのために確立されたクロマトグラフィー手法を用いる従来のアフィニティークロマトグラフィーのいずれかを用いて実現することができる。
【0087】
sFRP断片またはペプチドモチーフ(例えば、配列番号9)を含むタンパク質断片を使用する場合、このような断片は代わりに、様々なプロテアーゼによる完全長タンパク質の消化により作製することができる。その後これらの断片は、独自のサイズ、電荷、または他の特性に基づいて分離することができる。このような断片は更に、公知のペプチド合成法を用い合成により作製することもできる。
【0088】
V. 破骨細胞形成を増強または阻害する方法
sFRPに結合するペプチドモチーフを用い、破骨細胞分化を増強することができる。破骨細胞は、能動的に骨を吸収する巨大な多核細胞であり、造血幹細胞に由来し、循環血中単球および組織マクロファージと表現型の特徴を共有している。これらは、血液から骨表面へ補充された循環血中単核細胞の集団から形成され、骨表面で分化および融合を受け多核化された細胞を形成する。
【0089】
大理石骨病は、再構築されるべき長骨の不全を特徴とする疾患ファミリーである。生じる長骨は、成長板から骨中心への軟骨浸潤および貧弱な再構築中心を有する。骨粗鬆症は多すぎるまたは活動的すぎる破骨細胞により引き起されるのに対して、大理石骨病は、これらの細胞を十分な数有さないか、またはそれらの不適当な活性により引き起される。従って、破骨細胞分化の増強は、軟骨形成不全および大理石骨病のような異常な骨再構築を伴う対象において望ましい。対象において破骨細胞分化を阻害するためのこれらのFRP-1の投与法は、以下に説明する。
【0090】
対照的に、sFRP-1は、破骨細胞形成を阻害するために使用することができる。閉経後の卵巣機能の喪失は、骨小柱骨量の進行性の喪失および最終的には骨粗鬆症を生じることが多い。この骨喪失は、一部は増加した破骨細胞生成に起因している。この増加した破骨細胞の生成は、IL-1、腫瘍壊死因子、およびIL-6のような、全てエストロゲンにより負に制御される破骨細胞発生性サイトカインの支持細胞により増大された生成に起因するように見える。
【0091】
破骨細胞はまた、骨溶解部位での変性骨疾患にも関与している。同様に、破骨細胞の過剰生成は、副甲状腺機能亢進症およびページェット病のような疾患に関連している。破骨細胞はまた、全股関節プロテーゼの無菌性喪失、慢性関節リウマチ、および歯周炎に関連した炎症反応部位にも認められる。破骨細胞形成および機能に直接影響を及ぼすことができる炎症細胞により産生されたふたつのサイトカインは、インターロイキン-1(IL-1)および腫瘍壊死因子(TNF-α)である。従って、破骨細胞形成の阻害は、望ましくない骨吸収を特徴とする骨障害を伴う対象において望ましい。
【0092】
sFRP-1の破骨細胞発生を阻害する能力に関して、sFRP-1は、過剰な破骨細胞活性が病理的結果であるような状態において臨床的有用性がある。T細胞からの可溶性RANKLは、これらの疾患に関連した骨喪失において重要な役割を有すると考えられるので、骨粗鬆症および慢性関節リウマチは、sFRP-1療法の特に標的として優れている状態の例である。対象における破骨細胞形成を阻害するためにsFRP-1を投与する方法は、本明細書において開示されている。
【0093】
カルシウム恒常性の障害も、破骨細胞活性により影響を受ける。例えば、破骨細胞は、低カルシウム血状態に影響を及ぼすために、カルシウムを骨から移動することができる。あるいは、破骨細胞の阻害は、高カルシウム血状態における移動を最小化することを補助することができる。従って、破骨細胞活性の調節は、低カルシウム血症および高カルシウム血症の治療的介入として使用することができる。
【0094】
VI. 対象におけるT細胞活性を調節する方法
本明細書に説明されたsFRP結合ペプチドは、例えば、免疫系を阻害(または抑制)する状態(臨床治療を含む)のような、免疫系に関連する状態または疾患の治療に有効である。免疫調節化合物の治療的用途に関する一般的情報は周知であり、例えば米国特許第5,632,983号;第5,726,156号;および、第5,861,483号に開示されている。
【0095】
本明細書に開示されたペプチドモチーフは、抗原提示の調節における用途がある。T細胞はRANKLを生成し、樹状細胞はRANKを発現する。従って、免疫応答を増大するために、例えばポリペプチドを対象へ投与することで、T細胞をペプチドモチーフを含むポリペプチドに曝露することができる。このポリペプチドの投与は、RANKLの増大、それに続くRANKのT細胞上のRANKLへの結合を生じさせる。従って抗原が存在する場合、本明細書において開示されたsFRP結合ペプチドを含むポリペプチドの投与は、増大した抗原提示、それに対応するこの抗原に対する免疫応答のアップレギュレーションを生じる。免疫不全症に関連した免疫不全(例えば、1種もしくは複数種の免疫細胞、または1種または複数種の免疫学的因子の欠損)、免疫抑制的医療処置、急性および/または慢性感染症、ならびに加齢は、本明細書に説明した方法および組成物を用いて治療することができる。免疫抑制状態および疾患の全般的概要は、Harrisonsの「Principles of Internal Medicine」(第14版、McGraw-Hill社、1998年)、および特に第86章(癌療法の原理(Principles of Canser Therapy))、第88章(メラノーマおよび他の皮膚癌(Melanoma and other Skin Cancers))、第307章(原発性免疫不全症(Primary Immune Deficiency Diseases))、および第308章(ヒト免疫不全ウイルス症(Human Immunodeficiency Virus Diseases))に認めることができる。ある態様において、sFRP結合ペプチドモチーフを含むポリペプチドは、免疫抑制的医療処置を受けている対象、加齢に関連した免疫不全症の対象、またはヒト免疫不全ウイルスに感染した対象のような、免疫抑制された対象に投与される。別の態様において、本明細書に開示されたペプチドは、慢性および急性の両方の様々な疾患に対し免疫系を活性化するために利用される。対象の感染症は、細菌およびウイルスの感染症に加え、真核病原体および寄生体により引き起された感染症を含む。
【0096】
より詳細に述べると、免疫刺激性sFRP-1結合ペプチド療法は、HIV疾患の治療において使用することができる。
【0097】
VII. 眼圧調節および緑内障治療の方法
ペプチドモチーフがsFRP-1/RANKL結合に影響を及ぼすことに加え、このペプチドモチーフを含有する組成物(例えば、配列番号:9に示されたペプチドを含有する組成物)も、sFRP-1の他のタンパク質との相互作用を破壊する点で有用性がある。例えば、ANP受容体Aに結合するsFRP-1は、腎臓および眼においてナトリウムおよび液体の放出を調節することができる。ナトリウム利尿ペプチドシステムの関連成分は、ヒト眼において機能的に発現され、そこで眼圧のモジュレーターとして利用されると考えられることが明らかにされている(J. OrtegoおよびM. Coca-Prados、Biochem. Biophys. Res. Commun.、258:21-28(1999))。眼において、sFRP-1またはその結合ペプチドは、結果として生じる眼圧の変化による液体の眼への放出において重要な影響を有し得る。ひとつの態様において、配列番号:9を含むポリペプチドのような、sFRPに結合するペプチドモチーフを含むポリペプチドは、眼圧を低下させるために対象に投与される。ある具体的な限定的でない例において、sFRPに結合するペプチドモチーフを含むポリペプチドは、緑内障を有する対象において眼圧を低下させるために投与される(JohnsonおよびR.C. Tschuniper、Invest. Ophthalmol. Vis. Sci.、28:945-953(1987)参照)。このペプチドは、眼内投与することができる(例えば、徐放型眼内インプラントにおいて)。あるいは、このポリペプチドは、前眼房において房水の生成を阻害するのに十分な治療有効量を、全身投与することができる。
【0098】
VIII. TNFリガンドファミリーメンバーのsFRP調節を検出するためのスクリーニングアッセイ法
sFRPに結合するペプチドモチーフを、模倣物のような、sFRPまたはその断片と結合する、さもなければ直接相互作用するようなタンパク質および他の化合物を同定するためのスクリーニングにおいて使用することができる。これらのタンパク質は、RANKL、TRAIL、FasL、CD40L、CD27L、CD30L、およびNGFのようなタンパク質のTNFファミリーのメンバーを含む。ある態様において、細胞溶解液または組織ホモジネートは、sFRP/TNFまたはsFRP/ペプチドモチーフ結合を破壊するタンパク質または他の化合物についてスクリーニングすることができる。あるいは、天然および/または合成の両方の様々な外来性化合物のいずれか(例えば、小分子またはペプチドのライブラリー)を、sFRP/TNFまたはsFRP/ペプチドモチーフ結合を破壊する能力(例えば、配列番号:9に示した配列を有するペプチドのTNFまたはRANKLとの結合を破壊する能力)についてスクリーニングすることができる。この状況において、小分子が特に好ましく、その理由はこれらが、経口投与後に比較的容易に吸収され、抗原決定基である可能性がより小さく、および/または核酸もしくはタンパク質のような比較的大きい分子よりもはるかに容易に血液脳関門を通過するからである。
【0099】
更に、完全長sFRPよりも有意に小さいが依然TNFタンパク質への結合および調節能を維持している欠失変異体(すなわち、配列表に示されたsFRPの断片)の同定は、新規医薬品の設計および開発のための「リード化合物」を提供する。同様に、sFRPに結合するペプチドモチーフを含むポリペプチドを、「リード化合物」として利用することができる。例えば当技術分野において周知であるように、小分子の逐次修飾(例えば、ペプチドによるアミノ酸残基置換;ペプチド性または非ペプチド性化合物による官能基置換)は、新規医薬品の開発のための製薬産業における標準的方法である。このような開発は、一般に所望の医薬品の活性(例えば、破骨細胞発生の調節)の少なくとも一部を有することが示されている「リード化合物」から進める。特に、少なくとも一部の対象とする活性を有する1種または複数種の化合物が同定される場合、この分子の構造比較は、保存されるべきリード化合物の部分、および新規候補化合物の設計において変動することができる部分を示唆することにより、当業者にとって非常に情報に富むものである。従って本開示は、可能性のあるリード化合物に加え、異常な破骨細胞活性に関連した疾患、すなわち関節炎の治療における使用に関して新規候補化合物を作製するための逐次修飾することができるこのようなリード化合物を同定する手段も提供する。その後これらの新規化合物は、TNF受容体結合(sFRPから開発されたリード化合物の場合)またはsFRP結合(本明細書に開示されたペプチドモチーフから開発されたリード化合物の場合)および生物学的効能(例えば、本明細書において説明した破骨細胞発生アッセイ法における)の両方について試験される。この手法は、所望の治療的活性および/または効能を有する化合物が同定されるまで繰り返すことができる。
【0100】
sFRP/ペプチドモチーフ結合を破壊する物質の作用は、以下に説明される破骨細胞分化アッセイ法を用いて、モニタリングすることができる。sFRP結合を破壊し、破骨細胞発生を増強する物質は、増加した骨量に関連した状態の治療に有用であり、ならびにsFRP/TNF結合を増強することがわかっている物質は、減少した骨量に関連した疾患の治療に有用である(例えば図17参照)。このような結合を検出する方法は、以下に説明されるELISAアッセイ法に加え、可溶性相または基体結合相のいずれかにおける、sFRP、またはsPRPに結合するペプチドモチーフを含むタンパク質のいずれかの蛍光、分子量、または濃度の変化をモニタリングすることにに関連した他の方法を含む。ある態様において、このペプチドモチーフは、配列番号:9に示された配列を有する。
【0101】
前述の方法により一度同定されると、その後候補化合物は、薬学的投与または試験に十分な量(例えば、μgまたはmgまたはより多い量)生成され、薬学的に許容される担体中に処方される(例えば、Remingtonの「Pharmaceutical Sciences」、Gennaro, A.編集、Mack Pub.社、1990年参照)。これらの候補化合物は、次に、本開示の形質転換された細胞、本開示の遺伝子組換え動物モデル、動物モデルまたはヒト患者由来の細胞株に投与することができる。
【0102】
これらの方法により同定されたタンパク質または他の化合物は、当技術分野において公知の標準方法のいずれかにより、精製および特徴決定することができる。タンパク質は、例えば、電気泳動技術(例えば、SDS-PAGE、2D PAGE)またはクロマトグラフィー技術(例えば、HPLC)を用いて、精製および分離することができ、次にミクロシークエンシングすることができる。遮断されたN-末端を伴うタンパク質に関して、特定の結合タンパク質の切断(例えば、CNBrおよび/またはトリプシンによる)を、ペプチド断片を放出するために用いる。従来の手法によるHPLCおよびミクロシークエンシングおよび/または質量分析による更なる精製/特徴決定は、このような遮断されたタンパク質に関する内部配列データを提供する。非タンパク質性化合物に関して、標準の有機化学分析技術(例えば、IR、NMR、および質量分析;官能基分析;X線結晶解析)を用いて、それらの構造および同一性を決定することができる。
【0103】
候補sFRP破壊する分子に関して細胞溶解液、組織ホモジネート、または小分子ライブラリーをスクリーニングする方法は、当技術分野において周知であり、本発明の開示を考慮し、ペプチドモチーフ(例えば配列番号:9)またはRANKLもしくはTRAILのようなTNFファミリーメンバーへ結合するsFRPを破壊する化合物を同定するために使用することができる。
【0104】
本発明の開示を考慮し、当技術分野において周知の様々な親和性結合技術を利用し、タンパク質(すなわちリード化合物)または他の化合物を単離することができる。一般にsFRP、それらの断片またはペプチドモチーフ(例えば、配列番号:9の約3個または約5個のアミノ酸の断片)を、基体(例えば、カラムまたはフィルター)上に固定することができ、TNF受容体またはsFRPファミリーメンバータンパク質を含有する溶液をカラムに導入し、sFRP/TNFまたはペプチドモチーフ/sFRP複合体を形成させることができる、その後被験化合物を含む溶液を、結合を可能にする条件下でカラムに導入する。次に基体を、溶液で洗浄し、非結合または弱く結合した分子を取除く。第二の洗浄は、固定されたsFRPまたはペプチドモチーフに強力に結合したこれらの化合物を溶離する。あるいは、被験化合物を固定し、sFRP/RANKLまたはsFRP/ペプチドモチーフ(例えば配列番号:9)を含有する溶液を、カラム、フィルター、または他の基体と接触させる。sFRPもしくはその断片またはペプチドモチーフのいずれかが被験化合物に結合する能力は、前述のように決定することができる。
【0105】
IX. sFRP、治療に有効な断片、融合体およびsFRPの変異体、またはペプチドモチーフの薬学的組成物への組込み、ならびに治療法
動物に投与するために、精製されたsFRP、sFRP断片、sFRP変異体、またはsFRPに結合するペプチドモチーフは、一般に薬学的に許容される担体と組合わせられる。薬学的調製物は、単独のペプチドのみを含有することができ、または複数の様々なsFRP断片および/もしくはペプチドモチーフで構成することができる。一般に担体の性質は、使用される投与の具体的様式に依存すると考えられる。例えば非経口処方は、賦形剤として、通常、水、生理食塩水、平衡塩溶液、水性デキストロース、グリセロール、ヒトアルブミンなどのような、薬学的または生理学的に許容される液体を含む注射用液体を含有する。固形組成物(例えば、散剤、丸剤、錠剤、またはカプセル剤の形状)については、従来の無毒の固形担体を含むことができ、例えば医薬等級のマンニトール、乳糖、スターチ、またはステアリン酸マグネシウムを含む。投与される薬学的組成物は、生物学的に中性の担体に加え、少量の無毒の助剤、例えば湿潤剤または乳化剤、保存剤、およびpH緩衝剤などの、例えば酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートを含むことができる。
【0106】
当技術分野において公知であるように、タンパク質を主成分とする医薬品は、経口摂取により非効率的にのみ送達され得る。しかし薬学的タンパク質の丸剤を基本とする剤形は、特に持続放出型組成物に処方された場合は、かわりに皮下的に投与することができる。持続放出型処方は、標的タンパク質とコレステロールのような生体適合性マトリックスとの組合せにより作製することができる。別の可能性のあるタンパク質医薬品を投与する方法は、ミニ浸透圧ポンプの使用による。前述のように、生体適合性担体を、この送達法と併せて使用することもできる。
【0107】
本明細書に開示されたペプチドモチーフに加えsFRPも、核酸の形で細胞へ送達され、その後宿主細胞により翻訳されることも企図されている。これは、例えば、ウイルスベクターまたはリポソームの使用により行うことができる。リポソームは、タンパク質それ自身の送達にも使用することができる。
【0108】
本発明の開示の薬学的組成物は、それらの意図された目的を実現する任意の手段により投与することができる。sFRP断片投与の量および様式は、異常な骨再構築に関連した状態の治療の臨床技術分野の業者は、容易に決定することができる。これらの状態の治療における使用のために、説明されたタンパク質を、破骨細胞発生活性を増加させるかまたは破骨細胞発生を低下させるかのいずれかに有効な量投与される。このような用量は、治療的活性がインビトロにおいて認められるレベルへ標的組織の濃度を上昇する量を含む。本明細書において開示されたタンパク質は、T細胞相互作用および免疫系機能を調節するために使用することもできる。破骨細胞発生および/またはT細胞活性の増加または減少を引き起こす組織濃度を達成するのに十分な投与量は、下記実施例に説明された量を用いて決定することができる。これらのペプチドまたはタンパク質は、例えば、静脈内または腹腔内投与のような全身投与により、インビボにおいて宿主へ投与することができる。更にこれらのペプチドまたはタンパク質は、病巣内に投与することもでき:すなわち、ペプチドまたはタンパク質は、腫瘍または患部に直接注射することができる。
【0109】
治療的適用に関する開示されたペプチドの有効量は、治療される状態の性質および重症度、対象の年齢および状態、ならびに他の臨床的要因により変動するであろう。従って適当な治療様式の最終決定は臨床医が行うであろう。典型的には、投与量範囲は、約0.1μg/体重1kg〜約100mg/体重1kgである。他の適当な範囲は、約1μg/kg〜10mg/体重kgの投与量を含む。投与スケジュールは、対象のタンパク質に対する感受性のような複数の臨床要因に応じて、週1回から毎日まで変動することができる。投与スケジュールの例は、3μg/kgの量を1週間に2回、1週間に3回、もしくは毎日投与;7μg/kgの量を1週間に2回、1週間に3回、もしくは毎日投与;10μg/kgの量を1週間に2回、1週間に3回、もしくは毎日投与;、または、30μg/kgの量を1週間に2回、1週間に3回、もしくは毎日投与、である。より進行性の疾患の場合は、前述の投与量を、静脈内またはくも膜下腔内を含む別の経路で投与することが好ましい。連続点滴も適している。
【0110】
実施例
sFRP-1に結合するポリペプチドは、オープン末端法(open-ended approach)を用いて同定した。この方法は、組換えsFRP-1に結合した配列に関するペプチドファージディスプレイcDNAライブラリーのスクリーニングに関連している(Urenら、J. Biol. Chem.、275:4374-4382(2000))。ファージディスプレイにより同定されたペプチドは、アルカリホスファターゼをコードしている配列に機能的に連結され、sFRP-1への結合時に検出され得る融合タンパク質を作出している。この方法論は、配列L/V-D-G-R-W-L/V(配列番号:9)を含むプレドミナントペプチドモチーフの同定を生じた。次にアラニンスキャンニングを用い、このペプチドモチーフ(配列番号:9および配列番号:14〜26)を更に特徴決定した。
【0111】
次にsFRPに結合するペプチドモチーフの配列を用い、sFRP-1に結合する可能性のあるタンパク質を同定した。RANKLタンパク質は、ペプチドモチーフ(配列番号:9)のものに類似しているアミノ酸配列を含むので、これを可能性のある候補として同定した。RANKLおよびsFRP-1を用いるELISA分析は、sFRP-1がRANKLに結合することを示した。RANKLは、破骨細胞分化に関連することがわかっている。引き続き、sFRP-1(配列番号:3)は、破骨細胞発生を阻害することが示された。更に、このペプチドモチーフを含む合成ペプチドは、破骨細胞発生を増強した。この知見は、sFRP-1(配列番号:3)およびRANKLのペプチドモチーフ(配列番号:9)類似体との相互作用の破壊は、破骨細胞形成を刺激することができることを示している。本明細書に開示された材料および方法は、単なる例であり、限定を意味するものではない。
【0112】
実施例1
材料および方法
1. 材料
組換えヒトsFRP-1は、Urenら(J. Biol. Chem.、275:4374-4382(2000))により記載されたように調製した。マウスsFRP-2のコード配列を、給源として胚性マウスの腎臓からの総RNAを用い、RT-PCRにより増幅し、pcDNA3.1発現ベクターにサブクローニングし、MDCK細胞へトランスフェクションし、sFRP-1について本質的にUrenら(J. Biol. Chem.、275:4374-4382(2000))の説明のようにこの組換えタンパク質をヘパリンアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。ウサギポリクローナル抗血清を組換えヒトsFRP-1に対して生じさせるために、精製されたタンパク質〜10μgをフロイントの完全アジュバントと共に鼠径部のリンパ節に注射し、引き続きフロイントの不完全アジュバントに溶解した同等量の抗原を2〜3週間の間隔で筋肉内に注射した。数回の追加免疫後、血清から免疫グロブリン分画を、プロテインG結合したSepharose(Pharmacia Biotech社、ウプスラ、スウェーデン)を用いたクロマトグラフィーにより得た。
【0113】
ペプチドは、標準の固相化学を用いて合成し、逆相HPLCを用いて精製し、それらの同一性を質量分析により証明した(Research Genetics社、ハンツビル、AL)。
【0114】
ELISAアッセイ法について、組換えた可溶性RANKLおよびTRAIL、ならびにこれらのタンパク質に対する抗体は、PeproTech社(ロッキーヒル、NJ)から入手した。FLAGエピトープに対するマウスのモノクローナル抗体(抗FLAG M2と称す)は、Upstate Biotechnology社(レイクプラシッド、NY)から購入した。ヤギの抗ウサギIgGアルカリホスファターゼおよびウサギの抗マウスIgGアルカリホスファターゼ接合体およびパラニトロフェノールリン酸(pNPP)は、Sigma社(セントルイス、MO)から購入した。
【0115】
バイオアッセイ法に関して、組換え可溶性RANKLは、Peprotech社(ロッキーヒル、NJ)から購入するか、またはマウスRANKLの残基158〜317を、GST発現タンパク質として調製した。M-CSFは、Research Genetics Institute(ボストン、MA、米国)から得た。
【0116】
M13ファージディスプレイランダムペプチドライブラリーは、Adeyら(Methods in Molecular and Cellular Biology、6:3-14(1995/1996))の説明するように構築した。
【0117】
新生仔(0〜1日齢)C57BL/6Jマウスおよび6から9週齢雄C57BL/6Jマウスを、Monash University Animal Services Centre(クレイトン、オーストラリア)から購入した。マウスストローマ細胞株tsJ2、tsJ10、およびtsJ14を、不死化した遺伝子SV40の温度感受性変異体を発現しているレトロウイルスベクターによるトランスフェクションにより作製した(tsA58;Chambersら、Proc Natl. Acad. Sci. USA、90:5578-5582(1993);Owensら、Biochem. Biophys. Res. Commun.、222:225-229(1996))。RAW264.7細胞は、ATCCから購入し、細胞株KUSA/Oおよびmc-3T3-elは、Horwoodら(Endocrinology、139:4743-4746(1998))に説明されたものである。オステオトロピック(osteotropic)物質は、骨芽細胞ストローマ細胞における破骨細胞分化因子およびオステオプレテゲリンの発現を調節する。1α25(OH2)ビタミンD3は、和光純薬工業株式会社(Wako Pure Chemicals Co.)(大阪、日本)から購入した。PGE2は、Sigma社(セントルイス、MO)から入手した。他の化学物質および試薬は分析用等級のものであった。
【0118】
2. 細胞培養
MDCK細胞(アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC))を、10%ウシ胎児血清(Colorado Serum社、デンバー、CO)を含有するダルベッコ変法イーグル培地(Life Technologies社、ロックビル、MD)において、5%CO2中、37℃で増殖した。
【0119】
3. ペプチドファージディスプレイライブラリーのスクリーニング
sFRP-1結合ペプチドセグメントをその表面に含むファージの単離を、本質的に先に説明されたように行った(Sparksら、ファージディスプレイしたランダムペプチドライブラリーのスクリーニング、「Phage Display Peptides and Proteins」、BK Kayら編集、Academic Press社、NY、227-253、1996年)。簡単に述べると、96ウェルELISAプレート(Costar社#3590、ポリスチレン表面)の1個のウェルを、精製された組換えsFRP-1(1μg/50μl)と共に1時間インキュベーションした。ELISAプレートによるこれおよび全ての他の操作は、室温で行った。引き続き、1%BSA150μlをウェルに添加し、2時間インキュベーションした。PBS/0.1%Tween20で3回洗浄した後、M13ランダム12merファージディスプレイライブラリーからの2.5x1010ファージを、予め被覆したウェルに添加し、3.5時間インキュベーションした。PBS/0.1%Tween20で1回洗浄した後、ウェルを、0.05Mグリシン(pH2)50μlと共に10分間インキュベーションし、その表面からファージを放出した。このファージ懸濁液を、ウェルから吸引し、0.2 Mリン酸ナトリウム(pH7.4)50μlで中和し、DH5aF'IQ細菌ブロス中で6〜8時間増幅した。
【0120】
この第一の濃縮工程の後、細菌ブロスから回収した増幅したファージに、第二および第三のパンニング工程において、各々、ファージを2時間および1時間のみインキュベーションした以外は、前段に説明したように、sFRP-1で被覆したウェルにおいて更に2回パンニングを施した。3回目のパンニング後、sFRP-1被覆ウェルから得たファージを、力価決定し、細菌叢上に播種し、200個の個別のコロニーからのファージの単離を可能にした。これらの各コロニーからの細菌を、ブロスにおいて増殖させ、遠心によりペレット化し、上清中のファージを回収した。これらのファージ上清の各々について、sFRP-1被覆ELISAウェル、対、BSA遮断液でのみ被覆したウェルへの結合について試験した。このアッセイ法において、ファージは、ファージコートタンパク質(Pharmacia Biotech社、ウプスラ、スウェーデン、#27-9411-01)に対する一次抗体および標準検出試薬で検出した。およそ100個のファージ単離体を、BSA被覆ウェルに対しsFRP-1被覆ウェルが少なくとも5〜倍高い結合を示すことに基づく、配列解析のために選択した。
【0121】
4. 単離したファージの表面に存在するペプチドセグメントの配列解析
各ファージ単離体由来のM13遺伝子IIIコートタンパク質に連結したペプチドセグメントをコードしているDNA挿入配列を、隣接するベクター配列に対応する配列決定プライマーを用いて決定した。GenBankデータベースのアドバンストBLAST検索解析を行い、このペプチドファージディスプレイライブラリーのスクリーニングによって同定されたペプチド配列の一部に一致する配列を含むタンパク質を同定した。
【0122】
5. ペプチド/アルカリホスファターゼキメラ分子の作製
対象とするペプチドをコードしている合成オリゴヌクレオチドを、SalIおよびXhoIで消化した細菌アルカリホスファターゼ融合ベクターpMY101にライゲーションした(YamabhaiおよびKay、Anal Biochem.、247:143-151(1997))。全ての組換え体を、DNA配列解析により確認した。このペプチド/AP構築体で形質転換した細菌(大腸菌株DH5αF')を、アンピシリン(50μg/mL)を含有するLuriaブロスにおいて光学濃度0.5(600nm)まで増殖させ、1mMイソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシドで処理し、その後37℃で一晩インキュベーションした。ペプチド/APキメラを含有する馴化培地を、7000gで15分間の遠心により回収した。馴化培地中のキメラタンパク質は、4℃で数週間、または-80℃で貯蔵した場合は数ヶ月間、安定していた。
【0123】
6. sFRPへのペプチドおよびタンパク質結合のELISA分析
ELISA実験を、試験されるsFRP結合のパートナーに応じて変更したが、全般的には先に説明されたように行った(Urenら、J. Biol. Chem.、275:4374-4382(2000))。典型的には、ウェルを、0.5μlまたは1μgのsFRP-1で被覆し、BSA(0.2%、1%、または4%)で遮断し、その後推定される結合パートナーと共に一晩室温でインキュベーションした。ペプチド/APキメラの結合を調べる場合は、細菌ブロスの吸引後、ウェルを洗浄およびp-ニトロフェノールリン酸(pNPP)と共にインキュベーションした。ELISAリーダーにより、発色を405nmで決定した。競合実験のために、可溶性ペプチドを、ペプチド/APキメラと共に細菌ブロス中で室温で30分間プレインキュベーションし、その後sFRP-1またはBSAで被覆したELISAウェルへ移した。sFRP-1へのRANKL結合を試験する場合は、可溶性RANKLの連続希釈を、複数回アッセイした。一晩室温でインキュベーションした後、RANKL溶液を吸引し、結合したRANKLを、RANKLに対する一次抗体、APおよびpNPPに結合した二次抗体との逐次インキュベーションにより検出した。他のTNFαファミリーメンバーがsFRPへの結合について試験される場合、およびsFRP-1誘導体またはsFRP-2がRANKLについて結合標的である場合は、同様の実験計画を用いた。
【0124】
7. 等温滴定熱量計(ITC)
ITC実験は、VP-ITC MicroCalorimeter (MicroCal, LLC社、ノースハンプトン、MA)により、製造業者の使用説明書に従い行った。簡単に述べると、A-C2(200μM、PBS中に溶解)の6μlアリコートを、sFRP-1(10μM、同じくPBS中に溶解)を含むチャンバーへ等間隔で注入した。A-C2およびsFRP-1の結合から生じたチャンバーの温度上昇を、結合反応により発生した熱の測定値として決定した。エンタルピーおよび解離定数を含むいくつかのパラメータを、これらの測定値から算出した。この技術は、通常タンパク質とペプチドとの間の結合相互作用の熱力学的特性を定量するために使用される。例えば、McNemarらの論文(Biochemistry、36:10006-10014(1997))を参照のこと。
【0125】
8. ディファレンシャルディスプレイPCR
細胞の総RNAを、細胞株またはマウス組織から、グアニジンチオシアネートフェノールクロロホルムを用いて抽出し、本質的に次に説明されたように、逆転写PCR(RT-PCR)に使用した(Southbyら、Endocrinology、137:1349-1357(1996)およびTraianedesら、J. Biol. Chem.、270:20891-20894(1995))。ddPCRは、総RNA 1μgを逆転写した以外は、本質的に次に説明されたように行った(Liangら、Science、257:967-971(1992)およびTraianedesら、J. Biol. Chem.、270:20891-20894(1995))。PCR産物を、pCRScriptII(Stratagene社、ラホヤ、CA)またはpGEM-T(Promega社、マディソン、WI)にクローニングした。DNA配列解析を、T7配列決定キット(Pharmacia Biotech社、ウプスラ、スウェーデン)を用いて行った。オリゴヌクレオチドを、Oligo 1000M DNA Synthesizer(Beckman Instruments社、フラートン、CA、米国)において合成した。これらのオリゴヌクレオチドは以下のものであった:ddPCRについて、DDMR-2 (5'-CTTGATTGCC-3';配列番号:37)およびT12VA(5-TTTTTTTTTTTT[A,C,G]A;配列番号:32-3')。
【0126】
ddPCRについて、3'オリゴヌクレオチドはT12VCであり、ここでV=A、C、またはGである。このオリゴヌクレオチドを、ポリA尾部に先行する末端および末端前ヌクレオチドとしてGおよびB(B=C、G、またはT)を有するmRNA転写産物にアニーリングした。部分的cDNA断片は、5'-10merを用いて増幅し、異なる逆転写されたmRNA種へのランダムアニーリングにより、様々な長さのcDNAの合成を生じさせた。このPCR反応は、アニーリング温度40℃で、[α35S]-dATPの存在下で行い、得られた産物を可視化した。PCR産物を、6%ポリアクリルアミド配列決定ゲルにおいて分解し、X線フィルムに1〜3日間曝した。示差的に調節したcDNA断片を、フィルムの積層単位でゲルから切除し、対象とする領域を切出した。同じオリゴヌクレオチドを用い、cDNA断片を、2ラウンドのPCRで再増幅した(合計80サイクルのPCR)。再増幅した生成物をその後、pGEM-T(Promega社、マディソン、WI)へ分子的にクローニングし、増幅した挿入産物の核酸配列を決定した。
【0127】
9. RT-PCRによるsFRP-1発現分析
細胞株または組織から単離した総RNAを、オリゴdTで逆転写し、プライマーsfrp-1a

およびsfrp-1b

を用いて22サイクルでPCRを行い、これは骨芽細胞給源由来のsFRP-1転写産物の増幅の長い直線相内にあることがわかった。増幅は、製造業者の指示に従い行った。得られたPCR産物を電気泳動し、ナイロン膜に移し、α32P標識した内部検出オリゴヌクレオチドsfrp-1c

でハイブリダイズした。gapdh-2

ヌクレオチド640〜659位;Tsoら、Nucl. Acids Res.、13:2485-2502(1985))、およびgapdh-4を用いて、標準化(normalizing)遺伝子、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼを、20サイクルのPCRで増幅し、産物をSudaら(J. Cell. Physiol.、166:94-104(1996))の記載するようにα32P標識したgapdh-1で検出した。
【0128】
10. 組織標本のインサイチュハイブリダイゼーション分析におけるSFRP-1
マウスのsFRP-1リボプローブを、tsJ2細胞由来のRNAを用いるPCRにより作製した。得られた750bpの断片を、pGEM-T(Promega社、マジソン、WI、米国)にクローニングした。このプラスミドは線状であり、T7またはSP6 RNAポリメラーゼにより転写され、アンチセンスまたはセンスリボプローブを作出した。このリボプローブを、RNA標識キット(Boehringer Mannheim, Mannheim GmbH、独国)を製造業者の指示に従い用い、RNA転写の間にジゴキシゲニン(DIG)で標識した。インサイチュハイブリダイゼーションを、先に記したように行った(Kartsogiannisら、Bone、21:385-392(1997))。
【0129】
11. 破骨細胞発生バイオアッセイ法
A. 共培養システム
骨芽細胞を、新生仔マウスの頭蓋冠から、0.1%コラゲナーゼ(Worthington Biochemical社、フリーフォールド、オーストラリア)および0.2%ジスパーゼ(合同酒精株式会社、東京、日本)による消化により調製した。骨髄細胞および脾細胞を、各々、成体および新生仔マウスから入手した(Udagawaら、J. Exp. Med.、182:1461-1468(1995))。骨芽細胞は、先に説明されたように(Udagawaら、J. Exp. Med.、182:1461-1468(1995))、骨髄細胞または脾細胞と共に共培養した。簡単に述べると、初代骨芽細胞(2x104/ウェル)および有核の脾細胞(1x106/ウェル)または骨髄細胞(5x105/ウェル)を、48ウェルプレート(Corning Glass社、コーニング、NY)において、10%ウシ胎児血清(Cytosystems社、キャッスルヒル、NSW、オーストラリア)を含有するα-MEM(GIBCO/BRL、グランドアイランド、NY)0.4mLと共に、被験化学物質の存在下で共培養した。培養物を、4つ組でインキュベーションし、3日目に細胞を新鮮な培地に補充した。破骨細胞形成は、6〜7日間の培養後に評価した。接着細胞を、固定および酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)で染色し、TRAP陽性の破骨細胞の数を、Udagawaらの説明のようにスコアリングした(J. Exp. Med.、182:1461-1468(1995))。TRAP染色のために、接着細胞は、PBS中の4%ホルムアルデヒドで3分間固定した。エタノール-アセトン(50/50、容量/容量)による1分間の処理後、このウェル表面を風乾し、50mM酒石酸ナトウムの存在下で、反応生成物の基質として0.01%ナフトールAS-MXリン酸(Sigma社)および染色剤として0.03%レッドバイオレットLB塩(Sigma社)を含有する酢酸緩衝液(0.1M酢酸ナトリウム、pH5.0)中で10分間室温でインキュベーションした。TRAP陽性細胞は、暗赤色を現し、3個またはそれ以上の核を伴うものを多核化されたものとしてスコアリングし、破骨細胞とみなした。破骨細胞形成の確証は、カルシトニン受容体(CTR)発現および骨吸収の特異的マーカーを用いて実現した。CTR発現は、125I-サケカルシトニンによるオートラジオグラフィー、またはQuinnら(Bone、25:1-8(1999))の説明するような本発明者らが開発した抗体のアレイを使用する免疫組織化学的局在のいずれかにより決定した。
【0130】
B. 造血幹細胞由来のRANKL誘導破骨細胞形成
一部の場合において、実験は、成体マウス脾細胞、またはQuinnら(Endocrinology、139:4424-4427(1998))により説明されたようにM-CSFおよびRANKLで処理したRAW264.7細胞のいずれかにおいて行った。指摘したように、これらのアッセイ法は、脾T細胞の存在または非存在下で行った。T細胞分画を、Horwoodら(Journal of Clinical Investigation、101:595-603(1998))により説明されたように調製した。
【0131】
実施例2
sFRP-1に結合するペプチドの同定
sFRP-1に結合するペプチド配列を同定するために、M13ファージの遺伝子IIIコートタンパク質に連結した12個のアミノ酸残基セグメントの多様なレパートリーを含む、ライブラリー由来の〜25x109個のファージをスクリーニングした。sFRP-1と共にプレインキュベーションしたELISAウェルに結合したファージの3回の連続するパンニングの後、sFRP-1に結合するその能力について選択したファージ調製物を力価決定し、その後細菌叢上に播種した。溶解した細菌の200個の個別のコロニーに由来したファージを採取し、細菌ブロス中で一晩増殖させ、上清を回収し、ELISAにおいてBSAに対してsFRP-1が優先的に結合するそれらの能力について試験した。BSA被覆したウェルよりも、少なくとも5倍を超える効率でsFRP-1被覆したウェルに結合したファージに、ヌクレオチド配列分析を施し、この結合特異性に寄与するペプチド配列の同一性を決定した。
【0132】
配列決定したおよそ100個のファージ単離体から、11種の独自のペプチド配列を推定した。注目すべきは、これら11種の配列中の3種は、7個のアミノ酸残基:L/V-V-D-G-R-W-L/V(配列番号:9)からなる保存モチーフを含んだことである。このヘプタペプチドモチーフの意義は、ELISAにおいてsFRP-1に対する高い特異性を示すファージの2/3は、それらの表面上にこのモチーフを伴う3種の配列のひとつを示したという事実により強調された(表1)。
【0133】
【表1】

【0134】
このパターンが優勢であるために、A-C2(配列番号:14)、A-E4(配列番号:11)、およびB-B9(配列番号:27)と称されるこれらの3種のペプチドの結合特性、ならびにこのペプチドモチーフの全体的意義を更に試験した。引き続き同様の分析を、A-D9:

と称されるペプチドファージディスプレイ分析により同定された第二の最も頻繁に認められる配列について行った。
【0135】
実施例3
sFRP-1ペプチドモチーフ結合活性の確認
ペプチドモチーフ(配列番号:10、11、および27)を含むペプチドアルカリホスファターゼ融合タンパク質のセットを作出した。これらの融合タンパク質を、ELISA様式でsFRP-1(配列番号:3)への特異的結合について試験した。図1に図示したように、A-C2(配列番号:14)/アルカリホスファターゼ融合タンパク質の複数の単離体からのブロスは全て、sFRP-1と共にプレインキュベーションしたウェルに対する強力で高度に特異的な結合を示した。同様の結果が、A-E4(配列番号:11)/アルカリホスファターゼ融合タンパク質について得られた。しかしB-B9(配列番号:27)/アルカリホスファターゼ融合タンパク質は、sFRP-1に対する特異的結合を示さなかった。このA-C2(配列番号:14)、A-E4(配列番号:11)、およびB-B9(配列番号:27)誘導体の間の定量的差異は、各ファージのELISAスクリーニングの間に認められた定量的差異に一致した。A-C2-(配列番号:14)およびA-E4-(配列番号:11)を発現しているファージは、sFR2P-1結合について選択されたファージ調製物においてより豊富であり(表1)、B-B9(配列番号:27)ファージよりもより高い割合のsFRP-1:BSA結合を示した。融合タンパク質により観察されたより劇的な対比は、結合実体の結合価(valency)の差異に寄与し:各ファージ粒子は、その表面に見られるペプチドの5個のコピーを有するのに対し、ペプチドアルカリホスファターゼ融合タンパク質は溶液中に二量体として存在した。従って、5価(pentavalent)ファージ粒子で当初明らかにされたB-B9配列の相対的に弱い結合活性は、二量体試薬が試験された場合より明確になる。これらの結果は、ペプチドモチーフに関連した結合は、近傍のアミノ酸残基の組成により影響を受けることを示している。
【0136】
引き続きの実験は、ペプチドモチーフ(配列番号:9)が、A-C2(配列番号:14)/アルカリホスファターゼ融合タンパク質のsFRP-1への結合の因子であることを示した。例えば、A-C2(配列番号:14)/アルカリホスファターゼ融合タンパク質のsFRP-1への結合の用量依存型阻害は、A-C2(配列番号:14)により認められたが、対照の合成ペプチドにおいては認められなかった(図2)。アルカリホスファターゼそれ自身は、sFRP-1被覆ウェルへの優先的結合を示さなかった。A-C2(配列番号:14)/アルカリホスファターゼ融合タンパク質のA-C2配列(配列番号:14)の12個の各位置での個別のアラニン残基の置換は、このコア配列のすぐ側方の残基のように(図3)、天然のペプチドモチーフの5個全てのコア残基(V-D-G-R-W)は、sFRP-1結合を増強することを確立した。他の位置でのアラニン置換も、結合に影響を及ぼし、場合によっては、sFRP-1(配列番号:3)の結合活性を増大する。
【0137】
まとめると、ペプチドファージディスプレイ分析、それに続くペプチド/アルカリホスファターゼ融合タンパク質によるELISA実験は、sFRP-1に結合するペプチドモチーフ(配列番号:9)の存在を確立した。更に、このペプチドモチーフL/V-V-D-G-R-W-L/V(配列番号:9)を含むタンパク質の結合は、このペプチドモチーフ(配列番号:9)に密に隣接する残基の組成の変化により増強または減弱することができる。
【0138】
等温滴定熱量計(ITC)を用いて、溶液中のAC2ペプチドとsFRP-1との結合を明らかにし、相互作用の親和性を推定した。AC2溶液のアリコートが、PBS中に溶解したsFRP-1を含有するチャンバーに添加された場合に熱が発生したので、結合は明白である。対照的に、AC2がPBSのみを含有するチャンバーへ添加された場合には、熱は発生しなかった。計算したKdは、3.9±0.46μモルであった(図4Aおよび4B)。
【0139】
ELISA実験を、一連のsFRP-1欠失変異体を用い、本質的に上述したように行い(Urenら、J. Biol. Chem.、275:4374-4382(2000))、このタンパク質のどの領域が、AC2/アルカリホスファターゼキメラへの結合に必要かを決定した。最適結合は、Δ3誘導体において認められ、これはFz CRDの全ておよびC末端領域の一部を含んだ。CRDを単独で含む、またはC末端領域を単独で含む誘導体においては、ほとんど結合は検出されなかった。
【0140】
従って、CRDおよびC末端ドメインからの要素の組合せは、AC2結合に必要であった。AC2キメラに容易に結合しない誘導体は他の試薬に結合し、場合によっては生物学的活性を示したので、これらは恐らく単純にミスフォールディングされたのではないと考えられる。
【0141】
別のペプチドであるA-D9は、A-C2についての慣習と同様の方法で分析した。特にA-D9/APキメラで行ったELISA実験は、このキメラが、BSAよりもむしろsFRP-1で被覆したウェルに特異的に結合したことを示した。この結合は、A-D9配列を含む可溶性合成ペプチドにより、用量依存的方法において遮断された。ELISAウェルにおけるA-D9/APキメラのsFRP-1への結合は、A-D9配列におけるアラニン置換により破壊された。興味深いことに、A-C2ペプチドもまた、A-D9/APキメラのsFRP-1への結合を阻害することができ、A-D9ペプチドは、A-C2/APキメラのsFRP-1への結合を阻害した。このことは、A-C2およびA-D9が、sFRP-1上の重複する結合部位を認識し、これら2種のペプチド中の共通の要素(DGR)の存在と合致することを暗示している。
【0142】
実施例4
ペプチドモチーフに類似した配列を有するタンパク質の同定
GenBankにおける配列のBLAST解析は、新規に発見されたペプチドモチーフ(配列番号:9)はいかなるWntタンパク質も存在しないことを示した。しかし表2に示したように、類似する配列が、一握りの他のタンパク質において認められた。
【0143】
【表2】

【0144】
UNC5H3中のV-D-G-R-Wセグメントは、このタンパク質はネトリン受容体であるので、注目に値した。従って、sFRP-1(配列番号:3)は、リガンド/受容体の関係においてUNC5H3と相互作用することが可能である。RANKL/TRANCE/OPGL中の配列M-V-D-G-S-W-L(配列番号:28)の存在もまた、sFRP-1(配列番号:3)およびRANKLは、RANKLが破骨細胞形成において重要な役割を果たしている(下記参照)骨を含む、多くの組織において同時発現されたことの追加的証拠であるので、注目される。ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)受容体A中の配列V-V-D-G-R-F-V(配列番号:10)も、腎臓および眼内の組織におけるこの遺伝子産物およびsFRP-1の同時発現のために、重要である。本明細書に示されたように、sFRP-1(配列番号:3)およびRANKLは、重要な生物学的結果を有する方法で互いに相互作用し、かつそれらの相互作用を調節し、破骨細胞形成へ影響を及ぼすことができる。
【0145】
実施例5
sFRP-1および骨における発現
マウス胚(19日目)、新生仔マウス(1日目)、および成体マウス(5週齢)の骨格構造内のsFRP-1転写産物(配列番号:1)のインサイチュハイブリダイゼーション分析を行い、骨発生におけるsFRP-1の役割を試験した。過形成性軟骨細胞は、マウス胚(E19)において強力に陽性であった。1日目のマウスの脊髄において、腰椎体の軟骨原基内の骨化中心および椎間板の中心部分の髄核内に非常に強力な発現があった。成体において、骨内層細胞に加え多くの単離された骨髄細胞が陽性であり、骨細胞は弱い陽性であった。sFRP-1 mRNAも、表皮において認められた。RANKLは、同様のパターンで発現された(Kartsogiannisら、Bone、25:525-534(1999))。骨格部位におけるsFRP-1の発現も検出された。ここで、恐らくsFRP-1は骨格の形態形成に関連しており、sFRP-1発現は成体期間を通じて多くの部位において継続するであろう。
【0146】
骨芽細胞(tsJJ2細胞)におけるsFRP-1発現を調査した(tsJJ2細胞株およびtsJ14細胞株に関する説明は、Chambersら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90:5578-5582(1993)を参照のこと)。これらの結果は、sFRP-1が、破骨細胞形成を促進する骨芽細胞(tsJ2細胞)において優先的に発現されたことを示している。マウスのsFRP-1転写産物は、オリゴヌクレオチドsfrp-1aおよびsfrp-1bを用いて増幅した。増幅産物は、[α-32P]dATP末端標識したオリゴヌクレオチドsfrp-1bをプローブとして使用するサザン分析により証明した。ディファレンシャルディスプレイPCR(ddPCR)もまた、sFRP-1が、破骨細胞発生を刺激する骨芽細胞株においてはアップレギュレーションされるが、破骨細胞分化を支持しない他の2種の株由来の生成物においてはアップレギュレーションされないことを示した。sFRP-1発現の半定量的RT-PCR分析は、転写レベルが、造血前駆細胞との共培養において、破骨細胞形成を促進することが可能な株において遙かに高いことを確認した。このパターンは、追加の骨芽細胞株との比較の場合に認められ、sFRP-1発現が破骨細胞発生に関連しているという知見を補強している。
【0147】
しかし一般に、1α,25(OH2)ビタミンD3のようなオステオトロピック因子(osteotropic factor)は、骨芽細胞株によるsFRP-1発現の限定された刺激を引き起した。総RNAを、未処理の細胞または1α,25(OH2)ビタミンD3で24時間処理した細胞のいずれかから単離し、オリゴ(dT)で逆転写し、かつマウスのSFRP1およびGAPDHについてPCRを施した。1α,25(OH2)ビタミンD3で24時間処理した骨芽細胞および骨髄の共培養を、陽性対照として含んだ。sfrp-1a

およびsfrp-1b

のプライマー組合せを、sFRP-1増幅に使用し、かつgapdh-2

およびgapdh-4

のプライマー組合せを、GAPDH増幅に使用した。得られたPCR産物を、電気泳動し、ナイロン膜に移し、各々、[α-32P]標識した内部検出オリゴヌクレオチドであるsfrp-1c

およびgapdh-1

と、Southbyらにより説明されたように(Endocrinology、137:1349-1357(1996))ハイブリダイズした。RT-PCR分析は、3つ組で反復した。半定量的RT-PCR分析を、各RT反応について3回行い、2回の独立したRT反応を試験した。
【0148】
これらの結果は、sFRP-1が、ホルモン依存型の破骨細胞形成の媒介物であり得ることを示している。他方で、sFRP-1発現は、骨芽細胞および破骨細胞前駆体を共培養した場合に、顕著に増大した。この増加の時間経過は、破骨細胞分化のマーカーであるTRAP+細胞の出現の増加に合致した。これらの結果は、sFRP-1発現のアップレギュレーションは、骨芽細胞株と破骨細胞株の間の細胞間伝達に依存していることを示している。特にsFRP-1発現と破骨細胞形成の間の相関関係は、sFRP-1誘導が破骨細胞発生の結果であることを示唆している。
【0149】
実施例6
細胞培養物バイオアッセイ法においてsFRP-1は破骨細胞発生を遮断する
sFRP-1(配列番号:3)およびRANKLが互いに直接相互作用する確率を、ELISAアッセイ法を用いて試験した。ELISAアッセイ法は、組換えsFRP-1(配列番号:3)で被覆し、引き続きBSAで遮断したウェルの使用を含んだ。その後RANKLを、これらのウェル、およびBSAで処理したのみの隣接ウェルと共にインキュベーションした。RANKL抗血清および二次試薬による引き続きの検出は、RANKLがsFRP-1に特異的に結合していることを明らかにした(図5)。この結果は、いくつかの個別の実験において確認した。組換え試薬の使用は、sFRP-1(配列番号:3)およびRANKLが互いに直接結合していることを示している。
【0150】
sFRP-1の作用は、単球/マクロファージ細胞株RAW264.7を用いる破骨細胞形成のRANKL非依存型の方法で評価し(Quinnら、Journal of Bone and Mineral Research、16、1787-1794(2001))、オステオプロテゲリンのそれと比較した(図14)。TGFαが存在しない場合、限定された数の破骨細胞のみが、TNFα処理RAW264.7細胞から産生され(Quinnら、Journal of Bone and Mineral Research、16、1787-1794(2001))、その後TGFβが培養の最初の3日間に添加されると、破骨細胞数が増加した(図14)。sFRP-1は、培養の最初の3日間に存在した場合、TNFα依存型の破骨細胞形成を阻害したのに対し、OPGは作用を有さず、このことはsFRP-1は、TNFαへの結合またはWNTシグナル伝達を介して、RANKLに間接的に作用することを示唆している。
【0151】
細菌により発現されたCRDの作用は、破骨細胞形成の3種の異なる細胞培養モデルにおいて評価した。これらは、(1)骨髄細胞+RANKL+M-CSF、(2)マクロファージ/単球細胞株RAW264.7+RANKL、および(3)RAW264.7+TNFα+TGFβである(Horwoodら、Journal of Immunology、166:4915-4921(2001);Quinnら、Journal of Bone and Mineral Research、16、1787-1794(2001))。RANKL依存型(培養物1および2)ならびにRANKL非依存型(培養物3、TNFα依存型破骨細胞形成)の両方の、各システムにおいて、細菌により発現されたCRDが、完全長sFRP-1の作用を模倣し、同様の効力を有した(図15)。
【0152】
先に示したように、sFRP-1欠失変異体によるELISA実験は、本質的にFz CRDからなるΔ1誘導体(Urenら、J. Biol. Chem.、275:4374-4382(2000))が、RANKLへの良好な結合を保持している(図12参照)ことを示した。加えて、細菌により発現されたCRDの調製物へのRANKL結合は、強力であった。
【0153】
ELISAデータのスキャッチャード解析は、2種の異なる結合部位、高親和性部位および低親和性部位が存在することを示した(各々、5〜10nMおよび80〜120nMの親和性である)(図13参照)(Meshulら、J. Neurochem.、67:1965(1996)参照)。
【0154】
sFRP-1の破骨細胞発生に対する作用を測定するアッセイ法は、sFRP-1が破骨細胞形成に対する用量依存型の阻害活性を有することを示した(図6A)。これらの結果は、ビタミンD3(10-8M)およびPGE2(10-7M)で処理した初代骨芽細胞および骨髄細胞の共培養において認められた。sFRP-1は、濃度300ng/mLで使用した場合に、多核化されたTRAP+細胞の数を、50%まで低下させたのに対し、用量1.6μg/mLは細胞数を95%まで低下させた(図6A)。同様の用量反応パターンが、成体マウスの脾細胞が、RANKLおよびM-CSFで処理された場合にも認められた(図6B)。これらの結果は、sFRP-1とRANKLとの間の直接の相互作用は、破骨細胞分化を遮断したことを示した。
【0155】
組換えsFRP-1により得られたデータの意義は、プロテインGで精製された組換えsFRP-1に対するウサギポリクローナル抗体により行った実験の結果により強調された。この抗体調製物は、準最大用量のD3(10-10M)およびDex(10-9M)で処理した初代骨芽細胞と成体脾細胞の共培養において、単核および多核化されたTRAP+細胞の7倍から10倍の増加を引き起した(図7A)。これらの細胞におけるおよそ2〜3倍の増加が、最適用量のD3(10-8M)およびPGE2(10-7M)を受け取る共培養において認められた(図1)。これらの結果は、天然のsFRP-1が、培養物中に存在し、破骨細胞形成を阻害することを示している。この内因性活性を中和することのより、sFRP-1抗体は、共培養物中に産生されたTRAP+細胞の数を追加免疫した。
【0156】
細菌により発現されたCRDは、3種の異なる細胞培養モデルにおいて破骨細胞形成を遮断し、これは完全長sFRP-1の作用を模倣しまた同様の効力を伴った(図14)。
【0157】
これらのアッセイ法において使用した3種の条件は、(1)骨髄細胞+RANKL+M-CSF、(2)RAW264.7+RANKL、および(3)RAW264.7+TNFα+TGFβであった。理論により結びつけられるものではないが、活性は(3)群(RANKL非存在)において認められたので、CRDは、構造的にRANKLに関連しているTNFαに結合することが可能である。
【0158】
実施例7
A-C2合成ペプチドは破骨細胞形成を促進する
A-C2(配列番号:14)ポリペプチドはRANKLとの配列相同性を有し、またA-C2(配列番号:14)はsFRP-1に結合するので、A-C2(配列番号:14)がRANKLへのsFRP-1結合を遮断し、その結果破骨細胞発生を増大させるかどうかを決定するアッセイ法を行った。この仮説に一致するように、骨芽細胞および成体脾細胞共培養物のA-C2(配列番号:14)による処理は、TRAP+多核化された細胞において10倍の増加を生じた(図8)。A-C2(配列番号:14)は、共培養実験の0〜3日目に存在する場合にのみ、破骨細胞形成に対する作用を有した。RANKLの存在も、0〜3日目の間の破骨細胞発生に必要である(Sudaら、Endocrine Reviews、20:345-357(1999))。従ってこれらの結果は、A-C2(配列番号:14)は恐らくRANKL活性に影響を及ぼすであろうという概念に合致する。
【0159】
加えて、共培養アッセイ法におけるA-C2(配列番号:14)の陽性作用は、T細胞の存在と相関していた。抗体結合した磁気ビーズによりT細胞を成体脾細胞調製物から取除いた場合、破骨細胞形成は増大し、A-C2(配列番号:14;図10)に対する追加の反応は存在しなかった。同様に、RAW264.7培養物におけるTRAP+、多核化細胞分化のA-C2(配列番号:14)用量依存型刺激は、T細胞が培養物へ添加された場合にのみ認められた(図11)。これらの結果は、T細胞は、A-C2(配列番号:14)により遮断される阻害因子(恐らくsFRP-1)を発現することを示している。
【0160】
実施例8
構造解析はsFRP-1/RANKL結合がペプチドモチーフを超えて広がることを示す
sFRP-1/RANKL相互作用の構造機能解析は、RANKLのsFRP-1欠失変異体のセットに結合する能力を試験することにより行った(図12)。最も強い結合は、CRDを含んだ誘導体と共に認められ、強力な結合が引き続き細菌において発現されたCRDを含む類似の変異体と共に認められた。注目すべきことに本発明者らは、sFRP-1の、A-C2モチーフに対応する配列を欠いているRANKL誘導体(このRANKL変異体は残基158で始まるアミノ末端配列を有する)への結合も認めた。このことは、RANKLおよびsFRP-1の結合は、A-C2配列の存在に全般的に依存している訳ではないことを意味している。更にこれは、他のタンパク質がRANKLに構造的に関連しているが、A-C2様配列の欠損もsFRP-1に結合し得ることを意味している。本発明者らは、この仮説を検証し、現在、RANKL結合試験に関して上述したものと同等の条件を用い、ELISA様式においてTNFaもsFRP-1に結合することができるという証拠を有する。更に同様の実験をsFRP-2で行い、これはRANKLおよび他のTNFαファミリーメンバーであるTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)に結合することができることを示した。従って本発明者らは、sFRP-1およびRANKLに関連した相互作用に加え、追加の相互作用が、sFRPとTNFファミリーのメンバーの間に生じると現在考えている。
【0161】
実施例9
生物学的関係のあるペプチドモチーフの同定
ペプチドモチーフL/V-V-D-G-R-W-L/V(配列番号:9)は、sFRP-1に結合可能であるものとしてはこれまで同定されていない。この結合活性は、ペプチド/アルカリホスファターゼ融合タンパク質、アラニンスキャニング用突然変異誘発、および合成ペプチドを用いる一連のELISA実験の使用を通して特徴決定されている。これらの実験は更に、近隣残基の置換は、ペプチドモチーフ/sFRP-1結合を増強または減弱することができることを明らかにし、これは隣接残基の体系的置換およびペプチドモチーフ内の保存的変化は、sFRP-1との相互作用を増強し得ることを意味している。
【0162】
保存的置換は、1個のアミノ酸をサイズ、疎水性などが類似した別のアミノ酸と交換する。このような置換は一般に、タンパク質の特徴を詳細に変更することが望ましい場合に、保存的である。タンパク質内の当初のアミノ酸と置換されることができ、保存的置換とみなされるアミノ酸の例は、Alaの代わりにSer;Argの代わりにLys;Asnの代わりにGlnまたはHis;Aspの代わりにGlu;Cysの代わりにSer;Glnの代わりにAsn;Gluの代わりにAsp;Glyの代わりにPro;Hisの代わりにAsnまたはGln;Ileの代わりにLeuまたはVal;Leuの代わりにIleまたはVal;Lysの代わりにArgまたはGln;Metの代わりにLeuまたはIle;Pheの代わりにMet、LeuまたはTyr;Serの代わりにThr;Thrの代わりにSer;Trpの代わりにTyr;Tyrの代わりにTrpまたはPhe;および、Valの代わりにIleまたはLeuである。このような置換が行われたペプチドの結合の影響は、本明細書において開示されたペプチドモチーフ結合アッセイ法により容易に確認され得るる。
【0163】
機能または他の特徴におけるより実質的な変化は、先に説明されたものよりも保存性が低い置換の選択、すなわち(a)例えばシートもしくはらせん高次構造のような、置換領域のポリペプチド骨格の構造、(b)標的部位での分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖の容積を維持することに対するそれらの作用においてより著しく異なるような残基の選択により得ることができる。一般にタンパク質特性に最大の変化を生じると予想される置換は、そこで、(a)親水性残基、例えばセリルもしくはトレオニルが、疎水性残基、例えばロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリル、もしくはアラニルと(もしくは、により)置換;(b)システインもしくはプロリンが、他の任意の残基と(もしくは、により)置換;(c)正帯電した側鎖を有する残基、例えばリシル、アルギニル、もしくはヒスタジルが、負帯電した側鎖を有する残基、例えばグルタミルもしくはアスパルチルと(もしくは、により)置換;または、(d)容積の大きい側鎖を有する残基、例えばフェニルアラニンが、側鎖を有さない残基、例えばグリシンと(もしくは、により)置換されると考えられる。これらのアミノ酸置換または欠失または付加の作用は、本明細書に提供されるELISA結合アッセイ法の使用を通じて評価することができる。
【0164】
加えて当業者は、ペプチドモチーフをコードしている核酸配列は、適当な核酸配列を合成的に合成することによるか、またはPCRを用い適当な配列を増幅することのいずれかにより設計することができることを理解するであろう。一度得られた核酸配列は、適当な発現ベクター内に配置することができ、生物体中に形質転換され、その結果この生物は上記ペプチドを産生する。
【0165】
ペプチドモチーフ(配列番号:9)の意義は、破骨細胞発生バイオアッセイ法におけるこのペプチドモチーフを有する合成ペプチドの劇的な刺激作用を明らかにした実験により示された。A-C2ペプチド(配列番号:14)の破骨細胞形成を促進する能力は、このペプチドは、内因性sFRP-1の阻害作用を遮断することにより、RANKL活性を増大するという考えに合致した(図17)。
【0166】
破骨細胞形成を刺激するためのA-C2ペプチド(配列番号:14)に関するT細胞の必要要件は、脾T細胞は、A-C2 (配列番号:14)に感受性のある破骨細胞発生阻害剤を発現することを意味している。sFRP-1は脾臓において発現されたので(Finchら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、94:6770-6775(1997))、この阻害剤は、sFRP-1であると考えられる。従って、sFRP-1結合モチーフを有する物質は、内因性sFRP-1により調節されるT細胞樹状細胞伝達(T cell-dendritic communication)に関連したRANKLシグナル伝達を調節する点で有用性があると考えられる。このような調節は、T細胞樹状細胞相互作用が免疫応答において重要な役割を有するような様々な状況においてワクチン療法を最適化するために活用することができる。
【0167】
樹状細胞は、ワクチン反応を促進することが示されており、これは接種された動物において発生した既知の抗原に対する力価を測定することにより決定することができる(M. Di Nicolaら、Cytokines Cell Mol. Ther.、4:265-273(1998);C. Reis e Sousaら、Curr. Opin. Immunol.、11:392-399(1999);K. TarteおよびB. Klein、Leukemia、13:653-663(1999))。ワクチン療法の効能を改善するために、免疫学的に反応性の樹状細胞の増殖を最適化する試みが進行中である(R HajekおよびA.W. Butch、Med. Oncol.、17:2-15(2000))。上記の参考文献に引用された方法を用い、sFRP-1結合モチーフおよびsFRP-1に対応する物質が、ワクチン療法における免疫応答を増強するために有用であることができる。
【0168】
sFRP-1およびT細胞の関係は、sFRP-1は、RANKLの内因性タンパク質分解性開裂の調節に有用であることを示している。T細胞により発現されたRANKLの大きい分画は、タンパク質分解性的にプロセシングされ、可溶性の生物学的活性型を放出する。この過程は、TNFα転換酵素(TACE)により媒介され得るが、これは推定ペプチド結合モチーフ(配列番号:9)のすぐ上流のRANKL配列内の1または2箇所の部位での開裂に関連している。従って、sFRP-1は、ペプチドモチーフ(配列番号:9)を含む物質により逆転することができる方法で、RANKLのタンパク質分解性のプロセシングを調節すると考えられる。
【0169】
sFRP-1のRANKLプロセシングを調節する能力は、RANKLを発現しているT細胞の培養、および様々な濃度のsFRP-1によるその培養物の処理により試験される。得られた可溶性RANKLタンパク質は、次に、RANKL特異的ウェスタンブロットを用いて同定される。次にRANKLプロセッシングの程度は、試料中のsFRP濃度と相関される。
【0170】
sFRP-1/RANKL結合におけるペプチドモチーフ(配列番号:9)の影響に加え、ペプチドモチーフ(配列番号:9)を含む物質も、sFRP-1の他のタンパク質との相互作用を破壊する点で利用性がある。前述のように、ネトリン受容体、ならびにUNC5H3およびANP受容体Aのような他の公知のタンパク質は、この結合モチーフに類似した配列を有し、新たに同定された遺伝子配列は、このような配列に関して慣習的にスクリーニングすることができる。このモチーフを有するタンパク質は、恐らくsFRP-1の追加的な潜在的結合のパートナーであり、sFRP-1結合モチーフを含む物質の標的であると考えられる。例えば、ANP受容体AへのsFRP-1結合は、腎臓および眼からのナトリウムおよび液体の放出を調節できる。ナトリウム利尿ペプチドシステムの関連成分を眼圧のモジュレーターとして利用する場合に、これらはヒト眼において機能的に発現されることが明らかにされている(J. OrtegoおよびM. Coca-Prados、Biochemn. Biophys. Res. Commun.、258:21-28(1999))。眼において、sFRP-1またはその結合ペプチドは、眼圧変化の結果により、眼への液体放出における重要な影響を有し得る。これらの作用は、臓器培養における灌流した眼モデルを用いて試験され、例えば最初にD.H. JohnsonおよびR.C. Tschumperにより説明されている(Invest. Ophthalmol. Vis. Sci.、28:945-953(1987))。眼圧の調節は、緑内障治療における治療上の利点がある。
【0171】
実施例10
sFRP-1は破骨細胞形成を遮断する
本明細書において明らかにしたように、sFRP-1は、破骨細胞発生における阻害作用を有し、これは恐らくRANKLとのその相互作用に起因するであろう。破骨細胞形成を刺激することが可能である骨芽細胞株における特異的なsFRP-1転写物の上昇した発現は、sFRP-1が破骨細胞発生を促進することを最初に示唆した。しかし、破骨細胞形成が進行した際骨芽細胞および造血前駆体の共培養において認められたsFRP-1転写物の増加は、sFRP-1は、破骨細胞形成の程度を制限する強化性(tonic)機序の代わりの部分であることを意味していた(図17)。これは、恒常性にとって重要であり、将来必要な場合に利用可能である破骨細胞前駆体の貯留と共に、骨芽細胞および破骨細胞集団の適当なバランスの維持を確実にすると考えられる。加えて、低濃度のsFRP-1は、破骨細胞形成における許容作用(permissive effect)を有することが可能である。
【0172】
sFRP-1の破骨細胞発生を阻害する能力を考慮し、sFRP-1は、過剰な破骨細胞活性が病理的結果を有する状態における臨床的利用性を有する。骨粗鬆症および高カルシウム血性骨減少症は、このような状態の例であり;慢性関節リウマチは、別の例であり、T細胞由来の可溶性RANKLは、本疾患に関連した骨喪失において重要な役割を有すると考えられるので、これはsFRP-1療法の特に良好な標的である。
【0173】
実施例11
sFRPおよびTNFαファミリーメンバー間のその他の相互作用
前述の結果(実施例8)は、新たに同定されたペプチド結合モチーフに加え、RANKL内の追加の接触点が、sFRP-1(配列番号:3)およびRANKLの相互作用に関連していることを示している。これらの結果は更に、sFRPファミリーメンバーがTNFリガンドファミリーメンバーと相互作用することを示している。
【0174】
TNFリガンドファミリーメンバーは、いくつかの遺伝子の細胞傷害性、抗ウイルス活性、免疫調節活性、および転写調節を含む多数の細胞反応を誘導する、最も多面発現性のサイトカインであることが知られている。TNFファミリーリガンドに対する細胞反応は、正常な生理的反応のみではなく、増大したアポトーシスまたはアポトーシスの阻害に関連した疾患も含む。アポトーシスプログラムされた細胞死は、免疫系の末梢Tリンパ球の欠損に関連した生理的機序であり、その調節不能は、多くの異なる病理発生過程につながる。増大した細胞生存、またはアポトーシス阻害に関連した疾患は、癌、自己免疫疾患、ウイルス感染症、炎症、移植片対宿主疾患、急性移植片拒絶反応、および慢性移植片拒絶反応を含む。増大したアポトーシスに関連した疾患は、AIDS、神経変性障害、骨髄異形性症候群、虚血性損傷、毒素誘導性肝疾患、敗血症ショック悪液質、および食欲不振症を含む。
【0175】
従って、本開示は更に、TNFリガンド/TNF受容体相互作用を調節する方法を提供する。これらの方法は、sFRP、sFRPの断片もしくは変異体、またはペプチドモチーフ(配列番号:9)と、タンパク質のTNFリガンドファミリーのメンバーとの接触、およびTNFリガンドの生物学的活性の変化を検出することに関連している。
【0176】
sFRP、sFRPの断片もしくは変異体、またはペプチドモチーフが、「アゴニスト」または「アンタゴニスト」として作用するかどうかは、次の概説、D. Wallachら、Annu. Rev. Immunol.、17:331-367(1999);S.J. BakerおよびE.P. Reddy、Oncogene、17:3261-3270(1998)において引用された参照中に説明されたもののような、周知のTNFファミリーリガンド/受容体細胞反応アッセイ法のいずれかひとつを用いて容易に決定される。
【0177】
従って本開示は、候補アゴニストまたはアンタゴニストが、TNF-ファミリーリガンドに対する細胞反応を増強または阻害することが可能であるかどうかを決定するためのスクリーニング法を提供する。
【0178】
実施例12
sFRP-1/ペプチド結合
ELISA実験を、一連のsFRP-1欠失変異体により、本質的に前述のように行い(Urenら、J. Biol. Chem.、275:4374-4382(2000))、タンパク質のどの領域が、AC2/アルカリホスファターゼキメラへの結合に必要であるかを決定した。最適結合は、Δ3誘導体との間で認められ、これはFz CRDの全ておよびC末端領域の一部を含んでいる。CRDのみまたはC末端領域のみを含む誘導体との結合はほとんど検出されなかった。
【0179】
従って、CRDからの要素およびC末端ドメインの組合せがAC2結合に必要である。AC2キメラに良好に結合しない誘導体は他の物質に結合し、場合によっては生物学的活性を示したので;従って恐らくこれらは、単純にミスフォールディングされたのではないであろう。
【0180】
複数の態様および実施例において本開示の原理が例証および説明されているが、当業者には、この開示は、そのような原理から逸脱することなく、配列および詳細に関して変更することができることは理解されなければならない。本発明者らは、前記「特許請求の範囲」の精神および範囲内のあらゆる変更を請求するものである。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】sFRP-1(配列番号:3)に結合しているA-C2(配列番号:14)/AP(アルカリホスファターゼ)融合タンパク質からの結果を示すグラフである。A-C2/APキメラを発現しているファージで感染した個別の細菌コロニーからのブロスを、sFRP-1(および引き続きBSAで遮断した)またはBSA単独で被覆したELISAウェルにおいてインキュベーションした。これらの各ブロス(I-1、I-2、I-6、I-12、I-13、およびI-14と確定される)は、BSA単独で被覆したウェル(黒色バー)と比較してsFRP-1(配列番号:3)で被覆したウェル(灰色バー)に特異的に結合した、pNPPとの反応および405nmでの発色により測定したAP活性を含んだ。各試料は単独で試験し;これは数回の実験の代表である。
【図2】A-C2/AP(配列番号:14)および12-merペプチドA-C2(配列番号:14)およびA-F7(配列番号:12)の、BSAまたはsFRP-1(配列番号:3)のいずれかに対する競合的結合アッセイ法の結果を示すグラフである。可溶性12-merペプチドであるA-C2(配列番号:14)およびA-F7(配列番号:12)は、sFRP-1(A-C2白四角およびA-F7白菱形)またはBSA(A-C2白丸およびA-F7白三角)で被覆されたELISAウェルへ添加する前に、A-C2/APキメラを含有する細菌ブロスと共に、指摘された濃度で、30分間プレインキュベーションされた。試料は、3つ組で試験し、結果は平均±S.D.で示した。これは3回の実験の代表である。
【図3】ELISAにおけるアラニン置換されたA-C2(配列番号:14)/アルカリホスファターゼ融合タンパク質のsFRP-1(配列番号:3)への結合アッセイ法の結果を示すグラフである。棒グラフは、1回の代表的実験からの3つ組の測定値の平均±S.D.を示している。FLAGエピトープに対するモノクローナル抗体で被覆したウェル中のこれらの試料の平行分析は、異なるブロス内のキメラの濃度が類似していることを示している。
【図4】AC2ペプチドとsFRP-1との間の相互作用の熱量分析を示す略図のセットである。図4Aは、AC2溶液のアリコートをPBS中に溶解したsFRP-1を含有するチャンバーに添加した際に発生した熱を示すトレーシングおよびプロットである。図4Bは、対応するPBS対照において発生した熱のトレーシングおよびプロットである。放出された熱量を基に、エンタルピー(ΔH)および解離定数Kdを含む、結合反応の様々なパラメータを算出した。
【図5】可溶性RANKL(sRANKL)およびsFRP-1(配列番号:3)を使用するELISA結合アッセイ法の結果を示すグラフである。白菱形は、sFRP-1へのsRANKL結合を示し、プラス記号「+」は、ウシ血清アルブミン(BSA)へのsRANKL結合を示す。
【図6】ふたつの異なる実験モデルにおいてsFRP-1が破骨細胞形成を阻害することを示すグラフのセットである。図6Aは、初代骨芽細胞および骨髄を、様々な濃度のsFRP-1と共にインキュベーションした共培養実験の結果を示すグラフである。引き続き、ウェルを染色し、TRAP+多核細胞(MNC)の数を決定した。結果は、sFRP-1濃度が増大するにつれて、破骨細胞成熟が低下する(TRAP+の低下により証明される)ことを示している。示された結果は、4つ組の測定値の平均±S.D.で示した。図6Bは、成人脾細胞が、RANKL、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、および様々な濃度のsFRP-1(配列番号:3)で処理された実験の結果を示すグラフである。引き続き、ウェルを染色し、TRAP+多核細胞(MNC)の数を決定した。示されたデータは、4つ組の測定値の平均±S.D.である。結果は、sFRP-1濃度が増加するにつれて、破骨細胞成熟が低下することを示している。
【図7】初代骨芽細胞および成人脾細胞の共培養において、sFRP-1抗血清が、破骨細胞形成を刺激することを示す1対のグラフである。図7Aは、sFRP-1に結合するsFRP-1特異抗体は、破骨細胞形成の増加を生じることを示すグラフである。TRAP+染色により測定した破骨細胞形成は、組換えsFRP-1で免疫感作したウサギ由来の精製された免疫グロブリン(〜2μg/mL)の存在または非存在下で、ホルモン補充を伴わない、または最適用量以下の1α,25(OH2)ビタミンD3(10-10M)およびデキサメタゾン(10-9M)を伴った、初代骨芽細胞および成人脾細胞の共培養において評価した。結果は、培養の7日後に4つ組試料中に検出された単核および多核TRAP+細胞の平均±S.D.である。図7Bは、sFRP-1特異抗体がsFRP-1に結合し、最適用量の1α,25(OH2)ビタミンD3(10-8M)およびプロスタグランジンE2(PGE2)10-7Mの存在下で、破骨細胞形成の増大を引き起すことを示すグラフである。TRAP+染色により測定した破骨細胞形成は、組換えsFRP-1で免疫感作したウサギ由来の精製された免疫グロブリン(〜1μg/mL)の存在または非存在下で、ホルモン補充を伴わない、または最適用量の1α,25(OH2)ビタミンD3(10-8M)およびプロスタグランジンE2(PGE2, 10-7M)を伴った、初代骨芽細胞および成人脾細胞の共培養において評価した。結果は、培養の7日後に4つ組試料中に検出された単核および多核TRAP+細胞の平均±S.D.である。
【図8】A-C2ペプチドは、骨芽細胞および成人脾細胞の共培養において破骨細胞形成を刺激することを示すグラフである。最適用量の1α,25(OH2)ビタミンD3(10-8M)およびPGE2(10-7M)に反応した破骨細胞形成は、ネトリン相同ドメイン(NHD)およびsFRP-1(配列番号:13;5μg/mL)ドメインの付随添加により更に増強されることはなかったが、これは、A-C2ペプチド(配列番号:14;5μg/mL)との同時インキュベーションにより顕著に刺激された。増強された破骨細胞発生に関する陽性対照として、細胞を、sFRP-1特異抗体1/500の非存在または存在下で、最適用量以下の1α,25(OH2)ビタミンD3(10-10M)およびPGE2(10-9M)で処理した。棒グラフは、4つ組で試験したTRAP+多核細胞の平均±S.D.を示している。
【図9】A-C2(配列番号:14)を、異なる時間、成人脾細胞と共にインキュベーションした実験の結果を示すグラフである。群1は、A-C2(配列番号:14)ペプチドを含まない対照である。群2は、第0〜3日にA-C2(配列番号:14)で処理し、群3は、第4〜7日にA-C2(配列番号:14)で処理し、群4は、第7〜10日にA-C2(配列番号:14)で処理し、および群5は、第0〜10日にA-C2(配列番号:14)で処理した。全ての処理群に、RANKLを50ng/mLおよびM-CSFを25ng/mLを添加した。第0〜3日の間のA-C2(配列番号:14)の存在は、破骨細胞産生の増加を引き起した。
【図10】T細胞を含有する成人脾細胞(図10A)とT細胞を含まない脾細胞(図14B)(T細胞は、脾細胞から免疫磁気的に分離した)との、A-C2(配列番号:14)インキュベーションの結果を示すグラフである。破骨細胞形成は、RANKL(50ng/mL)およびM-CSF(25ng/mL)により誘導し、培養9日後にTRAP+多核細胞を計数することにより評価した。破骨細胞形成は、A-C2(5mg/mL)の非存在(対照+ve)または存在下で、成人脾細胞培養物(図14A)またはT細胞を欠いた培養物(図10B)において測定した。これらの培養物は、いかなる骨芽細胞をも含まず、従ってA-C2の作用は、リンパ球または造血細胞に対し制限された。棒グラフは、4つ組試料のTRAP+多核細胞の平均±S.D.を示している。この実験の対照は、RANKLおよびM-CSFの非存在下で、脾細胞[完全(図10A)またはT細胞枯渇(図10B)](対照-ve)を含み、これらの条件下では破骨細胞は産生されなかった。このアッセイシステムの陽性対照(対照+ve)として、培養物は、RANKL(50ng/mL)およびM-CSF(25ng/mL)で処理し、A-C2添加の作用をこの培養物と比較した。
【図11】RAW264.7(TIB-71)細胞培養物におけるTRAP+多核細胞分化のA-C2(配列番号:14)刺激を示すグラフである。群1は、50ng/mLのRANKLを含有した陽性対照であった。群2、3、および4は、各々、50ng/mLのRANKLならびに5μg/mL、1μg/mL、および0.5μg/mLのいずれかのA-C2(配列番号:14)を含有した。刺激は、T細胞が培養物に添加された(図15A)場合に、T細胞が培養物へ添加されなかった(図15B)場合と比べて、認められた。
【図12】ELISA実験におけるいくつかのsFRP-1、欠失変異体のRANKL結合活性のグラフである。ウェルは、完全長sFRP-1またはエピトープタグ付きsFRP-1欠失変異体(Urenら、J Biol Chem、275:4374-4382(2000))のセットのいずれかひとつまたはBSA対照で被覆し、その後可溶性RANKLおよびウェルに結合したRANKLを検出する試薬と共に逐次インキュベーションした。示された結果は、代表的実験の3つ組測定値の平均±S.D.を示している。
【図13】ELISA実験におけるRANKLの細菌で発現されたCRDへの結合が、強力であり、ふたつの親和性を有することを示す4種のグラフのセットである。図13Aは、RANKLのCDRで被覆されたウェルへの結合を示すグラフである。ウェル中の光学密度は、ウェル内に保持されたRANKL量の測定であり、ウェル中でインキュベーションされた可溶性RANKL濃度の関数としてプロットした。図13Bは、図13Aに示されたRANKL結合データのスキャッチャードプロットである。この結合は、複数の親和性を特徴としているように見える。図13Cは、図13Bのスキャッチャード解析の再フォーマットであり、推定高親和性結合部位に関係している。図13Dは、図13Bのスキャッチャード解析の再フォーマットであり、推定低親和性結合部位に関係している。
【図14】RANKL非依存型を含む様々な実験モデルにおいて、sFRP-1の細菌により発現されたCRDが、破骨細胞形成を阻害することを示す3種のグラフのセットである。これらは以下のものである:(1)RAW264.7+TNFα+TGFβ(図14A;Horwoodら、Journal of Immunology、166:4915-4921(2001);Quinnら、Journal of Bone and Mineral Research、16:1787-1794(2001)、(2)マクロファージ/単球細胞株RAW264.7+RANKL(図14B)、および(3)骨髄細胞+RANKL+M-CSF(図14C)。各システムにおいて、RANKL依存型(図14Bおよび図14C)ならびにRANKL-非依存型(図14A、TNFα依存型破骨細胞形成)の両方で、細菌により発現されたCRDは、完全長sFRP-1の作用を模倣し、同様の効力を有した。
【図15】sFRP-1は、TNFαを含むがRANKLを含まないサイトカインの組合せで処理したRAW264.7細胞において、破骨細胞形成を阻害することができることを示すグラフである。sFRP-1の作用は、単球/マクロファージ細胞株RAW264.7を用い破骨細胞形成のRANKL非依存型方法で評価し(Quinnら、Journal of Bone and Mineral Research、16:1787-1794(2001))、オステオプロテゲリンのものと比較した。破骨細胞数を増加するために、培養の最初の3日間に、TGFαを添加した。sFRP-1が存在する場合は、培養の最初の3日間に、TNFα依存型破骨細胞形成を阻害したが、OPGは作用を有さず、このことはsFRP-1が、TNFαへの結合またはWNTシグナル伝達を通じて、RANKLとは独立して作用することを示唆している。
【図16】sFRP-1(配列番号:3)/RANKL結合のひとつの可能性のある機序の概略図である。RANKL配列中のsFRP-1結合モチーフは、TACE開裂部位(矢印)の直ぐ下流に位置することに注意されたい。TACEはTNFα転換酵素であり、これがRANKLをプロセシングすることが知られている(L. Lumら、J. Biol Chem.、274:13613-13618(1999))。RANKLへのsFRP-1結合は、TACEによるRANKLプロセシングを変更し、このことは次いでRANKL活性を変更する。
【図17】sFRP-1の破骨細胞形成における役割のひとつの可能性のあるモデルを示す略図である。RANKLを発現している破骨細胞支持細胞は、sFRP-1(配列番号:3)と相互作用し、破骨細胞形成の阻害を生じる。ペプチドモチーフ(配列番号:9)が溶液に添加された場合、これはsFRP-1(配列番号:3)に結合し、破骨細胞分化を促進する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、sFRP-1に結合する精製されたペプチドであり、sFRPへ結合する能力を保持しているペプチド:
(a)配列番号:9または配列番号:40に示されたアミノ酸配列;
(b)(a)に示されたアミノ酸配列の少なくとも1種の保存的アミノ酸置換;および
(c)(a)に示された配列と少なくとも80%の配列同一性を共有するアミノ酸配列。
【請求項2】
本質的に配列番号:9に示された配列からなる、請求項1記載の精製されたペプチド。
【請求項3】
配列番号:10〜12および14〜29からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1記載の精製されたペプチド。
【請求項4】
配列番号:9に示されたアミノ酸配列を含み、長さ30個未満のアミノ酸である、請求項1記載の精製されたペプチド。
【請求項5】
20個未満のアミノ酸残基を含む、請求項4記載の精製されたペプチド。
【請求項6】
10個未満のアミノ酸残基を含む、請求項4記載の精製されたペプチド。
【請求項7】
sFRPへの結合能を保持しており、下記式を含むペプチド:
[R1]x-R2-R3-R4-R5-R6-R7-R8-[R9]y
(式中、xおよびyは、0または1の群から独立して選択された整数であり;
R1、R2、R8、およびR9は任意のアミノ酸残基であり;
R3は、Val(V)、Ala(A)、またはそれらの保存的置換からなる群より選択され;
R4は、Asp(D)、Ala(A)、またはそれらの保存的置換からなる群より選択され;
R5は、Gly(G)、Ala(A)、またはそれらの保存的置換からなる群より選択され;
R6は、Arg(R)、Ala(A)、またはそれらの保存的置換からなる群より選択され;
R7は、Trp(W)、Ala(A)、またはそれらの保存的置換からなる群より選択される。)
【請求項8】
R1が、(a)Gln-Gly-Thr(QGT)、(b)Ala-Gly-Thr(AGT)、(c)Gln-Ala-Thr(QAT)、および(d)Gln-Gly-Ala(QGA)からなる群より選択される、請求項7記載のペプチド。
【請求項9】
R2が、Leu、Val、Ala(L、V、A)またはそれらの保存的置換からなる群より選択される、請求項7記載のペプチド。
【請求項10】
R8が、LeuもしくはVal(LもしくはV)またはそれらの保存的置換からなる群より選択される、請求項7記載のペプチド。
【請求項11】
R9が、(a)Gln(Q)、(b)Gln-Gly-Glu(QGE)、(c)Gln-Leu(QL)、(d)Ala-Leu(AL)、(e)Gln-Ala(QA)、および(f)Thr-Asn-Pro-His-His(TNPHH)からなる群より選択される、請求項7記載のペプチド。
【請求項12】
R1が、(a)Gln-Gly-Thr(QGT)、(b)Ala-Gly-Thr(AGT)、(c)Gln-Ala-Thr(QAT)、および(d)Gln-Gly-Ala(QGA)からなる群より選択され;
R2が、Leu、Val、Ala(L、V、A)、またはそれらの保存的置換からなる群より選択され;
R8が、LeuもしくはVal(LもしくはV)またはそれらの保存的置換からなる群より選択され;
R9が、(a)Gln(Q)、(b)Gln-Gly-Glu(QGE)、(c)Gln-Leu(QL)、(d)Ala-Leu(AL)、(e)Gln-Ala(QA)、および(f)Thr-Asn-Pro-His-His(TNPHH)からなる群より選択され;ならびに
R3はVであり、R4はDであり、R5はRであり、R6はGであり、およびR7はWである、請求項7記載のペプチド。
【請求項13】
R3はVであり、R4はDであり、R5はRであり、R6はGであり、およびR7はWである、請求項7記載のペプチド。
【請求項14】
R1は、(a)Gln-Gly-Thr(QGT)、(b)Ala-Gly-Thr(AGT)、(c)Gln-Ala-Thr(QAT)、および(d)Gln-Gly-Ala(QGA)からなる群より選択される、請求項13記載のペプチド。
【請求項15】
R2が、Leu、Val、Ala(L、V、A)、またはそれらの保存的置換からなる群より選択される、請求項13記載のペプチド。
【請求項16】
R8が、Leu、Val、Ala(L、V、A)およびそれらの保存的置換からなる群より選択される、請求項13記載のペプチド。
【請求項17】
R9が、(a)Gln(Q)、(b)Gln-Gly-Glu(QGE)、(c)Gln-Leu(QL)、(d)Ala-Leu(AL)、(e)Gln-Ala(QA)、および(f)Thr-Asn-Pro-His-His(TNPHH)からなる群より選択される、請求項13記載のペプチド。
【請求項18】
長さが30個未満のアミノ酸である、請求項7記載のペプチド。
【請求項19】
長さが20個未満のアミノ酸である、請求項7記載のペプチド。
【請求項20】
長さが10個未満のアミノ酸である、請求項7記載のペプチド。
【請求項21】
本質的に[R1]x-R2-R3-R4-R5-R6-R7-R8-[R9]yからなる、請求項7記載のペプチド。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか1項記載のペプチドの模倣物。
【請求項23】
請求項1〜21のいずれか1項記載のペプチドをコードしている核酸配列。
【請求項24】
請求項23記載の核酸配列を含むベクター。
【請求項25】
請求項24記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項26】
sFRP-1に結合する、 配列番号:9を含むペプチドモチーフもしくはそれらの保存的変異体、または配列番号:40もしくはそれらの保存的変異体を含む、融合タンパク質。
【請求項27】
検出可能マーカーポリペプチドを更に含む、請求項26記載の融合タンパク質。
【請求項28】
前記検出可能マーカーおよびペプチドモチーフの間のリンカーを更に含む、請求項27記載の融合タンパク質。
【請求項29】
検出可能マーカーが、放射性同位元素、酵素基質、補因子、リガンド、化学発光物質、蛍光物質、ハプテン、酵素、コロイド状金粒子、着色したラテックス粒子、またはエピトープタグである、請求項27記載の融合タンパク質。
【請求項30】
対象において破骨細胞分化を増強する方法であり、請求項1〜22のいずれか1項記載の精製されたペプチドの治療有効量を対象へ投与し、これにより破骨細胞分化を増強する段階を含む方法。
【請求項31】
対象が、異常な骨再構築、軟骨形成不全、オーブライト骨ジストロフィー、または大理石骨病を有する、請求項30記載の方法。
【請求項32】
対象において破骨細胞形成を阻害する方法であり、sFRP-1(配列番号:3)、配列番号:3の断片、または配列番号:3の変異体の治療有効量を対象へ投与する段階であって、ポリペプチドが、GenBankアクセッション番号AF013171、GenBankアクセッション番号AF019047、またはGenBankアクセッション番号AF053712として示されたRANKL分子に結合し、これにより対象における破骨細胞形成を阻害する段階を含む方法。
【請求項33】
対象において破骨細胞分化を増強するための、請求項1〜21のいずれか1項記載のペプチドの使用。
【請求項34】
破骨細胞分化を刺激する方法であり、細胞を、請求項1〜21のいずれか1項記載の少なくとも1種の単離されたペプチドと接触させ、これにより該細胞の破骨細胞分化を促進するよう刺激する段階を含む方法。
【請求項35】
細胞がインビトロにある、請求項34記載の方法。
【請求項36】
細胞がインビボにある、請求項34記載の方法。
【請求項37】
破骨細胞分化を刺激するための、請求項1〜21のいずれか1項記載のペプチドの使用。
【請求項38】
対象における破骨細胞形成を阻害するためのsFRP-1の使用。
【請求項39】
対象が、望ましくない骨吸収を特徴とする骨疾患を有する、請求項38記載の方法。
【請求項40】
骨疾患が、閉経後骨粗鬆症、ページェット病、溶解型骨転移、多発性骨髄腫、慢性関節リウマチ、または悪性の高カルシウム血症である、請求項39記載の方法。
【請求項41】
対象におけるT細胞活性を調節する方法であり、請求項1〜21のいずれか1項記載のペプチドを治療有効量投与する段階。
【請求項42】
T細胞活性を改変するための、請求項1〜21のいずれか1項記載のペプチドの使用。
【請求項43】
TNFファミリーメンバーへ結合するsFRPタンパク質またはそれらの断片を同定する方法であり、
少なくとも1種のsFRPタンパク質または断片を、少なくとも1種のTNFファミリーメンバーと接触させる段階;および
そのような結合が生じる場合に、sFRPタンパク質または断片へ結合しているTNFファミリーメンバーを検出する段階を含み、ここで結合は、sFRPタンパク質またはそれらの断片がTNFファミリーメンバーへ結合することの指標である方法。
【請求項44】
TNF-リガンドファミリーメンバーが、RANKL、TRAIL、FasL、CD40L、CD27L、CD30L、およびNGFからなる群より選択される、請求項43記載の方法。
【請求項45】
sFRPタンパク質が、sFRP-1(配列番号:3)、sFRP-2(GenBankアクセッション番号MMU88567)、sFRP-3(GenBankアクセッション番号MMU88568)、sFRP-4(GenBankアクセッション番号AF012891)、およびsFRP-5(Genbankアクセッション番号AF117758)からなる群より選択される、請求項43記載の方法。
【請求項46】
sFRPタンパク質が、sFRP-2(アクセッション番号AV304328)であり、およびTNF-リガンドファミリーメンバーの一員はTRAILである、請求項45記載の方法。
【請求項47】
RANKLへのsFRP結合を破壊する物質のスクリーニング法であり、
sFRPおよびRANKLの複合体を、該物質と接触させる段階:および
RANKLからのsFRPの解離を検出することを含む方法。
【請求項48】
請求項1〜21のいずれか1項記載のペプチドへのsFRP結合を破壊することによる、破骨細胞分化を増強する物質または破骨細胞形成を阻害する物質のスクリーニング法であり、
sFRPおよびペプチドを該物質と接触させる段階;および
ペプチドからのsFRPの解離を検出し、これによりペプチドへのsFRP結合を破壊する物質を検出する段階を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−300920(P2007−300920A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−120533(P2007−120533)
【出願日】平成19年5月1日(2007.5.1)
【分割の表示】特願2002−556615(P2002−556615)の分割
【原出願日】平成14年1月10日(2002.1.10)
【出願人】(502354111)アメリカ合衆国 (8)
【出願人】(503248846)セント ビンセンツ インスティチュート オブ メディカル リサーチ (2)
【Fターム(参考)】