説明

センサーシート

【課題】配線を流れる信号に混入するノイズを低く抑えつつ、配線の配置の自由度が高いセンサーシートを提供すること。
【解決手段】厚さ方向の一方の面が内向きに曲げられた形状で、互いに正対する第一面Q1及び第二面Q2、並びに第一面Q1と第二面Q2との間に配される第三面Q3を有する一続きのシート状基板2と、第一面Q1に配置された第一電極3と、第二面Q2に配置された第二電極4と、第一電極3と第二電極4とのそれぞれに対して密着して設けられた支持部材と、第一電極3に接続され第一面Q1と第二面Q2とのうち少なくとも第一面Q1に配された第一導電体8−1、及び第二電極4に接続され第一面Q1と第二面Q2とのうち少なくとも第二面Q2に配された第二導電体8−2を有する配線部6と、第一電極3、第二電極4、配線部6のいずれからも電気的に浮いた状態で第三面Q3に配置されたシールド11と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に対して入力操作を行うためのセンサーシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器に対して入力をするための入力装置として、スタイラスペンや使用者の指などの入力体を近接させ、あるいは接触させることによって入力体の位置を検出するタッチパネル装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、プラスチック透明基板を内側または外側に折り曲げることによって隙間を有する二層の基板とした透明タッチパネルが開示されている。この透明タッチパネルでは、二層の基板の隙間には接着剤等の透明支持体が配置され、二層の基板のそれぞれには透明支持体を挟んで透明導電体が対向配置されている。また、特許文献1には、外部回路と接続するための外部取り出し電極を透明導電体に設けることや、外部取り出し電極と外部回路との接続位置を一箇所にまとめるために引き回し線(配線)を設けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−272644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の透明タッチパネルにおいて、基板が折り曲げられることによって互いに重ね合わされた透明導電体の各々に配線を配置しようとした場合、配線同士が重なる部分ではノイズが発生しやすい。このため、配線を流れる信号に混入するノイズを低く抑えつつ所望の引き出し位置まで配線を引き回そうとすると、配線の配置の自由度が低くなってしまう。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、配線を流れる信号に混入するノイズを低く抑えつつ、配線の配置の自由度が高いセンサーシートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明のセンサーシートは、入力体が近接した際に前記入力体が近接したことと前記入力体の位置とを検出するタッチパネルに用いられ静電容量の変化を検出する検出回路に電気的に接続されるセンサーシートであって、厚さ方向の一方の面が内向きに曲げられた形状で、互いに正対する第一面及び第二面、並びに前記第一面と前記第二面との間に配される第三面を有する一続きのシート状基板と、前記第一面に配置された第一電極と、前記第二面に配置された第二電極と、前記第一電極と前記第二電極とのそれぞれに対して密着して設けられた誘電体と、前記第一電極に接続され前記第一面と前記第二面とのうち少なくとも前記第一面に配された第一配線、及び前記第二電極に接続され前記第一面と前記第二面とのうち少なくとも前記第二面に配された第二配線を有する配線部と、前記第一電極、前記第二電極、前記配線部のいずれからも電気的に浮いた状態で前記第三面に配置されたシールドと、を備え、前記シールドは、前記第一面と前記第二面とが正対した状態で前記第一配線と前記第二配線との間に配されていることを特徴とするセンサーシートである。
【0008】
また、前記配線部は、前記第一配線及び前記第二配線を前記検出回路に電気的に接続するために前記検出回路側の回路基板に設けられたコネクタに取り付け可能な接点端子部を備え、前記シールドは、前記接点端子部に隣接して配され前記コネクタにより前記検出回路のグランドと接続されるグランド線を有することが好ましい。
【0009】
また、前記第一配線と前記第二配線の一部とは前記第一面と前記第二面とのいずれか一方に共に設けられ、前記第二配線の他の一部は前記第一面と前記第二面とのいずれか他方に設けられ、前記第一面と前記第二面とのうち前記第一配線と前記第二配線の一部とが共に設けられているほうの面には、前記第一配線と前記第二配線との間に、前記第一配線及び前記第二配線のいずれからも電気的に浮いた状態の第二シールドが設けられていることが好ましい。
【0010】
また、前記シールドは、前記タッチパネルの筐体における導体部分に取り付け可能なアース端子を備えていてもよい。
【0011】
また、前記シールドは、前記第三面の厚さ方向の一方の面上に設けられ、前記シールドを被覆する絶縁層を介して前記第一面と前記第二面との少なくともいずれかに粘着している、ことが好ましい。
【0012】
また、前記絶縁層は、絶縁性を有する基材の両面に粘着剤が設けられた両面粘着シートからなっていてもよい。
【0013】
また、前記絶縁層は、前記シールドと接して前記シールドを覆うように前記第三面上にパターン形成された粘着剤からなっていてもよい。
【0014】
また、本発明のセンサーシートは、前記配線部を被覆する絶縁性のレジストをさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シート状基板が曲げられたときに互いに重なる配線の間にシールドが配されているので、配線を流れる信号に混入するノイズを低く抑えつつ、配線の配置の自由度が高いセンサーシートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(A)は、本発明の一実施形態のセンサーシートを備えるタッチパネル装置を示す平面図である。(B)は、同センサーシート裏面図である。(C)は、同センサーシートの正面図である。
【図2】(A)は、同センサーシートの展開図である。(B)は、同センサーシートにおける電極の配置を説明するための説明図である。
【図3】同実施形態の変形例のセンサーシートの展開図である。
【図4】同実施形態の他の変形例のセンサーシートの展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態のセンサーシートについて、センサーシートを備えるタッチパネル装置を例に図1ないし図4を参照して説明する。図1(A)は、本実施形態のセンサーシートを備えるタッチパネル装置を示す平面図である。図1(B)は、同センサーシート裏面図である。図1(C)は、同センサーシートの正面図である。図2(A)は、同センサーシートの展開図である。図2(B)は、同センサーシートにおける電極の配置を説明するための説明図である。
【0018】
タッチパネル装置100は、電子機器等の操作者などが電子機器等に対して入力操作を行うための入力装置である。タッチパネル装置100に対して行われる入力操作とは、導体からなる入力体101をタッチパネル装置100に設けられたセンサーシート1に近づけたり接触させたりすること(図1(C)参照)である。入力体101としては、スタイラスペンや使用者の指などを用いることができる。
【0019】
図1(A)に示すように、タッチパネル装置100は、入力体101による入力操作を受け付けるためのセンサーシート1と、入力操作を受け付けて入力体101の位置を検出する検出回路Dとを備える。
【0020】
図1(A)および図1(B)に示すように、センサーシート1は、板状の本体部1aと、本体部1aと一体成形され本体部1aを厚さ方向から見たときの外周の一箇所から本体部1aの外側へ張り出した形状の接続部1bとを有する。本実施形態では、本体部1aと接続部1bとはいずれも可撓性を有する。
本体部1aの厚さ方向から見たときにおける本体部1aの外形形状は四角形である。また、本体部1aの厚さ方向の両面は平らである。接続部1bの形状は、本体部1aの厚さ方向から見たときに四角形である。本実施形態では、接続部1bの形状は、本体部1aから突出する突出方向における長さが、突出方向と直交する方向における長さよりも長い長方形状である。なお、接続部1bが突出する寸法は、センサーシート1が組み込まれるタッチパネル装置100の形状等に応じて適宜設定することができる。接続部1bには、後述する配線部6を構成する各配線が互いに平行に揃えて配置されている。さらに、本実施形態では、配線部6を構成する各配線とは離間し且つ接続部1bにおける各配線と平行に配されたグランド線12および第二シールド13が、接続部1bに設けられている。配線部6を構成する各配線、グランド線12、および第二シールド13は、検出回路Dに接続されたコネクタCを介して、検出回路Dが実装された回路基板(不図示)に取り付けられる。
【0021】
図1(B)、図1(C)、および図2(A)に示すように、センサーシート1は、シート状基板2と、一方向に延ばして互いに平行に揃えられシート状基板2に形成された複数の第一電極3と、各第一電極3が延びる方向と直交する方向に延ばして互いに平行に揃えられシート状基板2に形成された複数の第二電極4と、第一電極3および第二電極4に密着して設けられた支持部材5(誘電体)と、シート状基板2に形成された配線部6とを備える。
【0022】
図1(B)に示すように、シート状基板2は、湾曲部2a及び折曲部2bにおいて曲げられた形状の薄板状部材である。図2(A)に示すように、シート状基板2を展開して平らにした状態では、湾曲部2a及び折曲部2bは、シート状基板2の面方向であって且つ接続部1bが形成された辺と直交する方向へ長い帯状または線状である。また、第一電極3、第二電極4、配線部6、グランド線12、及び第二シールド13は、いずれもシート状基板2の厚さ方向の一方の面に形成されている。
【0023】
シート状基板2が展開された状態では、第一電極3が形成された面(第一面Q1)と第二電極4が形成された面(第二面Q2)とは互いに隣接した状態で湾曲部2aを介して繋がっている。また、第二面Q2には、シールド11が形成された面(第三面Q3)が折曲部2bを介して繋がっている。また、図1(C)に示すように、センサーシート1が組み立てられた状態では、シート状基板2は、第一電極3および第二電極4が形成された面が内向きに曲げられた形状になっている。これにより、第一面Q1と第二面Q2とは互いに正対している。さらに、センサーシート1が組み立てられた状態では、第一面Q1と第二面Q2との間には第三面Q3が配されている。具体的には、第一面Q1、第二面Q2、及び第三面Q3はシート状基板2における一続きの面であり、第一面Q1と第二面Q2との間に第三面Q3が入り込むようにシート状基板2が折曲部2bにおいて折り曲げられている。
シート状基板2の材料としては、可撓性を有する材料を採用することができる。たとえば、シート状基板2の材料としては、ポリエステル系、ポリプロピレン系、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン(登録商標)、ビニロン、アセテート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリル、ポリ塩化ビニル、およびアクリル系樹脂などからなるフィルムを採用することができる。本実施形態では、シート状基板2の材料として、ポリエチレンテレフタレートが採用されている。
【0024】
第一電極3は、第一電極3の厚さ方向から見たときの輪郭形状が正方形状でその対角の頂点において互いに接続された複数の電極要素3aを有する。電極要素3aは各第一電極3において一列に並べて配置されており、電極要素3aが一列に並べて設けられた各第一電極3の両端の形状は、電極要素3a側に頂点が向けられた三角形状である。また、本実施形態では、第一電極3は10個設けられており、隣り合う第一電極3は電極要素3aの頂点が隙間を空けて隣接するように配置されている。また、各第一電極3の間には略正方形状の隙間が空けられている。
【0025】
第二電極4は、湾曲部2aを間に挟んで第一電極3の反対側に形成されている。本実施形態では、第二電極4は8個設けられている。また、各第二電極4は、第二電極4の厚さ方向から見たときの輪郭形状が正方形状でその対角の頂点において互いに接続された複数の電極要素4aを有する。電極要素4aは各第二電極4において一列に並べて配置されており、電極要素4aが一列に並べて設けられた各第二電極4の両端の形状は、電極要素4a側に頂点が向けられた三角形状である。また、隣り合う第二電極4は電極要素4aの頂点が隙間を空けて隣接するように配置されており、隣り合う第二電極4の間には略正方形状の隙間が空けられている。
図2(B)に示すように、本実施形態では、第一電極3と第二電極4とは、本体部1aの厚さ方向から見たときに各第一電極3の間に空けられた正方形状の隙間の中に第二電極4の電極要素4aが納まるようになっている。
また、第一電極3および第二電極4の材質としては、銅、金、銀、アルミニウムなどの金属材料を適宜選択して採用することができる。本実施形態では、第一電極3および第二電極4は銅箔からなる。
【0026】
図1(B)に示すように、支持部材5は、第一面Q1と第二面Q2との間に配置された薄板状部材である。支持部材5は、両面に粘着材を有する誘電体からなり、粘着材によって第一電極3と第二電極4とに密着している。支持部材5は、本体部1aの厚さ方向における第一電極3と第二電極4との間隔を一定間隔に保持し、第一電極3と第二電極4とを電気的に絶縁した状態で支持している。また、支持部材5によって、第一電極3と第二電極4とは第一面Q1あるいは第二面Q2との間で被覆されている。
【0027】
図2(A)に示すように、配線部6は、シート状基板2上に設けられた導体層8と、導体層8を被覆する被覆層9とを備える。
【0028】
導体層8は、シート状基板2の上にパターン形成された配線である。導体層8は、第一電極3に接続された第一導体層8−1と、第二電極4に接続された第二導体層8−2とを有する。
第一導体層8−1は、一端が各第一電極3にそれぞれ接続され、他端が接続部1bに配されている。具体的には、第一導体層8−1は、複数の第一電極3によって形成される矩形の外形線に沿って、各第一電極3から接続部1bまで延びている。第一導体層8−1の他端は接続部1bの突出端に配置されており、検出回路Dに対して電気的に接続するための第一接続端子10−1である。
第二導体層8−2は、一端が各第二電極4にそれぞれ接続され、湾曲部2aを横切って接続部1bへ延びている。接続部1bにおいては、第二導体層8−2は、第一導体層8−1と平行に揃えられて接続部1bの突出端まで延びている。第二導体層8−2の他端は、検出回路Dに対して電気的に接続するための第二接続端子10−2である(図2(A)参照)。
【0029】
シールド11は、シート状基板2が折り曲げられてセンサーシート1が形成されている状態において、第一面Q1と第二面Q2との間に配された第三面Q3上にパターン形成された導体の層である。シールド11は、センサーシート1の厚さ方向から見たときに、第一導体層8−1と第二導体層8−2とが重なる領域を囲む面形状を有する。シールド11には、シールド11と一体にパターン形成されたグランド線12が設けられている。
【0030】
グランド線12は、第二導体層8−2に沿って延びる導体からなる線であり、接続部1bの突出端においては、第一接続端子10−1及び第二接続端子10−2と同ピッチで配置されている。グランド線12は、コネクタCを介して検出回路Dのグランドに接続されている。
【0031】
第二シールド13は、接続部1bおよび第一面Q1上において第一導体層8−1と第二導体層8−2との間に介在された線状の導体である。第二シールド13は、第一導体層8−1と第二導体層8−2との間で互いにノイズが混入するのを防止する目的で設けられている。第二シールド13は、接続部1bにおいて第一接続端子10−1、第二接続端子10−2、及びグランド線12のピッチと同じピッチとなるように設けられている。第二シールド13は、コネクタCを介して検出回路Dのグランドに接続されている。
【0032】
本実施形態のセンサーシート1では、第一接続端子10−1、第二接続端子10−2、グランド線12、および第二シールド13は、接続部1bの突出端においてフレキシブルプリント基板(FPC)やフレキシブルフラットケーブル(FFC)用のコネクタCにおける接点端子のピッチに合わせて等間隔に整列して配置されている。
【0033】
第一導体層8−1および第二導体層8−2の材質としては、銅、金、銀、アルミニウムなどの金属材料を適宜選択して採用することができる。本実施形態では、第一導体層8−1および第二導体層8−2は第一電極3および第二電極4の材料と同一の銅箔からなる。本実施形態では、第一電極3、第二電極4、第一導体層8−1、および第二導体層8−2は例えばエッチングなどによって一括してシート状基板2上に形成することができる。
【0034】
被覆層9は、第一電極3及び第二電極4と、第一導体層8−1及び第二導体層8−2と、シールド11および第二シールド13とを被覆するように、シート状基板2の片面に形成されたベタの絶縁層である。
【0035】
図1(B)及び図1(C)に示すように、センサーシート1は、第一面Q1と第二面Q2とが支持部材5を介して粘着されており、第三面Q3と第一面Q1とが図示しない両面粘着シートにより粘着され、第三面Q3と第二面Q2とが図示しない他の両面粘着シートにより粘着されている。
【0036】
センサーシート1に接続可能な検出回路D(図1(A)参照)としては、センサーシート1と入力体101との間の静電容量の変化を検出する検出回路を適宜採用することができる。検出回路Dは、第一電極3から高周波無線信号を発信し、第一電極3から発信された高周波無線信号を第二電極4によって受信する相互容量方式に基づいて静電容量の変化を検出する回路である。また、検出回路Dとして、第一電極3および第二電極4と、入力体101との間の静電容量の変化をそれぞれ検出する自己容量方式に基づく検出回路を採用することもできる。
【0037】
次に、センサーシートの作用について説明する。
本実施形態では、センサーシート1において、第一導体層8−1と第二導体層8−2との間には、シールド11及び第二シールド13が介在されている。このため、第一面Q1と第二面Q2との間ではシールド11によってノイズが遮蔽され、第一面Q1の面方向においては、第二シールド13によってノイズが遮蔽される。これにより、第一導体層8−1及び第二導体層8−2を流れる信号に混入するノイズを低く抑えることができる。
さらに、第一導体層8−1及び第二導体層8−2を流れる信号に混入するノイズを低く抑えることができるので、センサーシート1の厚さ方向に第一導体層8−1と第二導体層8−2とが重なるような引き回しをしても、十分に高い検出感度で静電容量の変化を検出することができる。
なお、本実施形態のセンサーシート1は、相互容量方式で静電容量を検出する場合に使用される高周波無線信号に混入するノイズを低く抑えることができるので、相互容量方式のセンサーシート1及びタッチパネル装置100において検出感度を好適に高めることができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態のセンサーシートによれば、シート状基板2が曲げられたときに互いに重なる第一導体層8−1及び第二導体層8−2の間にシールド11が配されているので、配線部6を流れる信号に混入するノイズを低く抑えることができ、且つ、配線部6の配置の自由度が高い。
【0039】
また、シールド11がグランド線12によって検出回路のグランドに接続されているので、シールド11の電位を安定させることができる。
また、第二シールド13が設けられているので、接続部1bにおいて、第二シールド13がない場合と比較して第一導体層8−1と第二導体層8−2との距離を短くすることができる。これにより、センサーシート1を小型化することができる。
【0040】
また、本実施形態では、シート状基板2を折り曲げてセンサーシート1を形成する際に、シート状基板2は粘着によって面同士が付着状態となっている。このため、湾曲部2a及び折曲部2bにおいてシート状基板2を曲げてからセンサーシート1の厚さ方向に圧力をかけるだけでセンサーシート1を形成することができる。その結果、接着剤を用いてセンサーシート1を形成する場合よりも容易にセンサーシート1を製造することができる。
【0041】
また、第一導体層8−1、第二導体層8−2、シールド11、グランド線12、および第二シールド13がレジスト(被覆層)によって被覆されているので、液体が進入したり高湿度の環境に晒されたりした場合における、第一導体層8−1、第二導体層8−2、シールド11、グランド線12、および第二シールド13への悪影響を軽減できる。
【0042】
(変形例1)
次に、上述の実施形態の変形例について説明する。
本変形例では、支持部材5に代えて、シート状基板2における第一面Q1、第二面Q2、及び第三面Q3を被覆する絶縁性の粘着層を有している点が異なっている。
粘着層は、スクリーン印刷等によって粘着剤がパターン形成されてなる層である。このような構成であっても、上述の実施形態と同様の効果を奏する。
また、本変形例では、両面粘着シートを用いてセンサーシート1を折り曲げ形成する場合よりもセンサーシート1を薄型にすることができる。なお、粘着層は、いわゆるレジストによって構成されていてもよい。
【0043】
(変形例2)
次に、上述の実施形態の他の変形例について説明する。図3は、本変形例のセンサーシートの展開図である。
図3に示すように、本変形例では、第二面Q2に対する第三面Q3の配置が異なっている。
第二面Q2と第三面Q3との間の折曲部2cは、シート状基板2の面方向であって且つ接続部1bが形成された辺の方向へ長い帯状または線状である。本変形例では、第二面Q2の周縁からの第三面Q3の突出長さは上記実施形態よりも短い。
本変形例では、シート状基板2をトリミングにより切り出す場合に無駄になる部分の量を上記実施形態よりも少なくすることができる。
【0044】
(変形例3)
次に、上述の実施形態のさらに他の変形例について説明する。図4は、本変形例のセンサーシートの展開図である。
図4に示すように、本変形例では、シールド11に設けられたグランド線12は、タッチパネルの筐体における導体部分に取り付け可能なアース端子14を備えている。これにより、シールド11は、タッチパネルの使用時にタッチパネルの筐体の導体部分と同電位となる。
このような構成の場合、例えば筐体が接地されていたり、筐体を手に持って使用される携帯型のタッチパネルである場合に、シールド11の電位を安定させることができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
また、上述の各実施形態及び各変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 センサーシート
1a 本体部
1b 接続部
2 シート状基板
2a 湾曲部
2b 折曲部
2c 折曲部
3 第一電極
3a 電極要素
4 第二電極
4a 電極要素
5 支持部材
6 配線部
8 導体層
8−1 第一導体層
8−2 第二導体層
9 被覆層
10−1 第一接続端子
10−2 第二接続端子
11 シールド
12 グランド線
13 第二シールド
14 アース端子
100 タッチパネル装置
101 入力体
D 検出回路
Q1 第一面
Q2 第二面
Q3 第三面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力体が近接した際に前記入力体が近接したことと前記入力体の位置とを検出するタッチパネルに用いられ静電容量の変化を検出する検出回路に電気的に接続されるセンサーシートであって、
厚さ方向の一方の面が内向きに曲げられた形状で、互いに正対する第一面及び第二面、並びに前記第一面と前記第二面との間に配される第三面を有する一続きのシート状基板と、
前記第一面に配置された第一電極と、
前記第二面に配置された第二電極と、
前記第一電極と前記第二電極とのそれぞれに対して密着して設けられた誘電体と、
前記第一電極に接続され前記第一面と前記第二面とのうち少なくとも前記第一面に配された第一配線、及び前記第二電極に接続され前記第一面と前記第二面とのうち少なくとも前記第二面に配された第二配線を有する配線部と、
前記第一電極、前記第二電極、前記配線部のいずれからも電気的に浮いた状態で前記第三面に配置されたシールドと、
を備え、
前記シールドは、前記第一面と前記第二面とが正対した状態で前記第一配線と前記第二配線との間に配されている
ことを特徴とするセンサーシート。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサーシートであって、
前記配線部は、前記第一配線及び前記第二配線を前記検出回路に電気的に接続するために前記検出回路側の回路基板に設けられたコネクタに取り付け可能な接点端子部を備え、
前記シールドは、前記接点端子部に隣接して配され前記コネクタにより前記検出回路のグランドと接続されるグランド線を有する
ことを特徴とするセンサーシート。
【請求項3】
請求項1に記載のセンサーシートであって、
前記第一配線と前記第二配線の一部とは前記第一面と前記第二面とのいずれか一方に共に設けられ、
前記第二配線の他の一部は前記第一面と前記第二面とのいずれか他方に設けられ、
前記第一面と前記第二面とのうち前記第一配線と前記第二配線の一部とが共に設けられているほうの面には、前記第一配線と前記第二配線との間に、前記第一配線及び前記第二配線のいずれからも電気的に浮いた状態の第二シールドが設けられている
ことを特徴とするセンサーシート。
【請求項4】
請求項1に記載のセンサーシートであって、
前記シールドは、前記タッチパネルの筐体における導体部分に取り付け可能なアース端子を備える、ことを特徴とするセンサーシート。
【請求項5】
請求項1に記載のセンサーシートであって、
前記シールドは、前記第三面の厚さ方向の一方の面上に設けられ、前記シールドを被覆する絶縁層を介して前記第一面と前記第二面との少なくともいずれかに粘着している、ことを特徴とするセンサーシート。
【請求項6】
請求項5に記載のセンサーシートであって、
前記絶縁層は、絶縁性を有する基材の両面に粘着剤が設けられた両面粘着シートからなる、ことを特徴とするセンサーシート。
【請求項7】
請求項5に記載のセンサーシートであって、
前記絶縁層は、前記シールドと接して前記シールドを覆うように前記第三面上にパターン形成された粘着剤からなる、ことを特徴とするセンサーシート。
【請求項8】
請求項5に記載のセンサーシートであって、
前記配線部を被覆する絶縁性のレジストをさらに備えることを特徴とするセンサーシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−97457(P2013−97457A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237667(P2011−237667)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】