説明

ポリ(エーテル−エステル)ポリオール及びその製造方法

【課題】ポリマー鎖に沿って一様かつ均一に分布したエステル結合及びよく規制された官能価を有する構造が得られる、ポリ(エーテル-エステル)の製造方法を提供する。
【解決手段】OH基を含み、一般式:


[式中、Rは、一価の有機基を表し、R'は、二価の有機基を表し、m=1かつn=1、m=2以上かつn=1、又はn=2以上かつm=1である。]を有するカルボン酸エステルとアルキレンオキシドとを、ポリオール及びジカルボン酸エステルの存在下で、開環を伴って反応させ、該生成物をエステル交換してOH-官能性、末端エステル基含有又は末端カルボン酸基含有のポリ(エーテル-エステル)を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ(エーテル-エステル)ポリオール、1 個以上の結合ポリエーテル鎖を含むモノカルボン酸エステル又はポリカルボン酸エステルからのその製造方法、及びこれらのポリ(エーテル-エステル)ポリオールからのポリウレタンの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
ブロック構造を有するポリ(エーテル-エステル)ポリオールは、例えば、ポリウレタン材料の製造において、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールを含むポリオール組成物中の相改良剤として使用される。ポリマー鎖に沿って均一に分布したエステル基を含むポリ(エーテル-エステル)ポリオールは、一方で有利なポリエーテル特性(例えば、耐加水分解性及び低粘度)と他方で有利なポリエステル特性(例えば、高い耐摩耗性、高い耐引裂性、高い破断点伸び及び引裂き強度、並びに良好な耐溶剤性)との組み合わせが要求される PUR 用途において望ましい。
【0003】
OH-官能性ポリエステルは、塩基触媒又は酸触媒の存在下でエステル交換反応及び分解反応を生じやすいので、規定の AB 型ジブロック構造又は ABA 型トリブロック構造を有するポリ(エーテル-ブロック-エステル)は、これらの触媒によるアルキレンオキシドの OH-官能性ポリエステルへの付加によって得ることができない。それ故、ポリ(エーテル-エステル)ポリオールの製造において、ポリ(エーテル-エステル)ポリオールは、次工程でポリエステル又はポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸ハロゲン化物又はポリカルボン酸無水物及び低分子量ポリオールにより、エステル交換又はエステル化されて (AB)n 型マルチブロックコポリマーを形成する、先に製造されたポリ(エーテル)ポリオールに依存する。エステル化又はエステル交換工程において、反応体であるポリエーテルポリオール、ポリカルボン酸(誘導体)及び低分子量ポリオールの化学量論的選択により、ポリエーテルブロック間に挿入されるポリエステルブロックの平均鎖長が決まる。しかしながら、ブロック構造、ポリエステルブロックの長さ、及び生成物の官能価は、通常、多官能性スターター化合物からの重縮合物の製造において一般的である統計的な結果になりやすい。複金属シアン化物触媒(DMC 触媒)の使用により、AB 型ジブロック構造又は ABA 型トリブロック構造を有するポリ(エステル-ブロック-エーテル)ポリオールを製造するためのスターター化合物として、ポリエステルポリオールが使用できるようになり、従って、従来の製造方法が改善される。
【0004】
国際特許公開第 01/27185 号公報は、アルキレンオキシドを DMC 触媒により付加したポリエステルから出発するポリ(エステル-ブロック-エーテル)ポリオールの製造を記載している。国際特許公開第 03/076488 号公報に記載の方法によれば、高官能性ポリ(エステル-ブロック-エーテル)ポリオールは、アルキレンオキシドを DMC 触媒により付加した高官能性ポリエステルから出発することによって得られる。ABA 型トリブロック構造は、これら 2 つの特許公開に記載の製造方法に基づいて得られるが、ポリマー鎖に沿って一様かつ均一に分布したエステル結合を含むポリ(エーテル-エステル)ポリオールを製造することはできない。
【0005】
ドイツ国特許公開第 17 70 548 号公報の教示によれば、ポリ(エーテル-エステル)は、カルボン酸無水物とアルキレンオキシドとの DMC 触媒反応によって得られる。ポリ(エーテル-エステル)は、末端カルボン酸基及び末端ヒドロキシル基の双方を含み得る。同様に、米国特許第 5,145,883 号明細書は、スターター化合物としてのポリエーテルポリオールの存在下での、カルボン酸無水物とアルキレンオキシドとの反応による、ポリ(エーテル-エステル)の製造を記載している。これらに記載の方法の欠点は、コモノマーの交互挿入の傾向であり、その結果、過剰のアルキレンオキシドを用いた場合、ポリマー鎖に沿って一様かつ均一に分布したエステル結合を有するのではなく、ブロック構造を有する、ポリ(エーテル-エステル)が得られる。
【0006】
国際特許公開第 95/00574 号公報によれば、ポリ(エステル-ブロック-エーテル)エラストマーは、少量のオレフィン二重結合(< 0.03 meq/g ポリエーテル)を含む二官能性ポリエーテルポリオールと、低分子量ジオールとジカルボン酸とのポリエステルとの、エステル交換触媒を用いた触媒反応によって得られる。同方法でも、ポリマー鎖に沿って一様かつ均一に分布したエステル結合を有するのではなく、(AB)n 型マルチブロック構造を有する、ポリ(エーテル-エステル)ポリオールが得られる。
【0007】
米国特許第 5,032,671 号明細書によれば、アルキレンオキシドとラクトンとを、DMC 触媒により、任意に OH-官能性スターターを用いて反応させ、ポリ(エーテル-エステル)又はポリ(エーテル-エステル)ポリオールを得る。ポリマー鎖は、ブロック構造、又はエーテル結合及びエステル結合のランダム分布を有する。同特許に記載の方法を用いて、コモノマー挿入を制御することは不可能である。
【0008】
国際特許公開第 01/04179 号公報及び欧州特許公開第 1 112 243 号公報は、カルボン酸のヒドロキシル基含有エステルの DMC 触媒を用いた反応による、1 個以上の結合ポリエーテル鎖を含むエステルの製造を記載している。ポリマー鎖に沿って一様かつ均一に分布したエステル結合を含むポリ(エーテル-エステル)を得るための、これらの物質の更なる反応は記載されていない。
【特許文献1】国際特許公開第 01/27185 号公報
【特許文献2】国際特許公開第 03/076488 号公報
【特許文献3】ドイツ国特許公開第 17 70 548 号公報
【特許文献4】米国特許第 5,145,883 号明細書
【特許文献5】国際特許公開第 95/00574 号公報
【特許文献6】米国特許第 5,032,671 号明細書
【特許文献7】国際特許公開第 01/04179 号公報
【特許文献8】欧州特許公開第 1 112 243 号公報
【0009】
DMC 触媒を用いた、ポリマー鎖に沿って一様かつ均一に分布したエステル結合及びよく規制された官能価を有するポリ(エーテル-エステル)の製造は、今まで記載されていない。また、ポリ(エーテル-エステル)の製造は、通常、多段操作法によって行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ポリ(エーテル-エステル)の製造方法であって、複雑な後処理工程の必要なく、出発物質から生成物を導く簡単な反応手順を特徴とし、ポリマー鎖に沿って一様かつ均一に分布したエステル結合及びよく規制された官能価を有する構造が得られる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1 個以上の結合ポリエーテル鎖を含むモノカルボン酸エステル又はポリカルボン酸エステルは、ヒドロキシル基含有のモノカルボン酸エステル及び/又はポリカルボン酸エステルと、アルキレンオキシドとの反応によって得られることが見出された。本発明の好ましい態様において、ある実施態様では 1 種以上のジオール及び/又はポリオールを含み、別の実施態様では、1 種以上のジカルボン酸エステルを任意に含み、これらは付加的に上記したアルキレンオキシド付加反応において存在する。エステル基が分解二次反応しにくいので、アルキレンオキシドとの反応は、好ましくは複金属シアン化物触媒の存在下で行う。所望のポリ(エーテル-エステル)構造は、任意にエステル交換触媒を添加し、任意に更なるジオール及び/又はポリオール、及び/又は更なるジカルボン酸誘導体を添加して行う、続くエステル交換によって得られる。任意に添加されるジオール及び/又はポリオール、及びジカルボン酸誘導体は、所望の OH 価を調整し、エステル基密度を調整するために役立つ。意外にも、ポリ(エーテル-エステル)ポリオール合成の第二工程(即ち、エステル交換反応)は、更なる後処理の必要なく、アルキレンオキシド付加に直接続いて行うことができる。これは、工程管理における重要な利点である。
【0012】
高官能性ポリオール(即ち 2 を超える官能価を有するポリオール)を単独で、又は二官能性ポリオールとの混合物として、アルキレンオキシド付加反応の前又は間、或いはエステル交換反応前のいずれかにおいて添加する場合、所定の官能価を有する生成物が得られる。このようなポリ(エーテル-エステル)構造は、従来の重縮合法によって得ることはできない。それどころか従来法では、異なった官能価の生成物の混合物を生じ、実現され得る最大官能価は、架橋反応故に、処理条件によって制限される。
【0013】
分枝かつ未架橋の多官能性ポリ(エーテル-エステル)構造は、いくつかのヒドロキシル基を含むカルボン酸エステルへのアルキレンオキシド付加、及びジオール及び/又はポリオールの任意添加を伴った続くエステル交換反応によって得られる。
【0014】
同様に、末端エステル基を含む直鎖又は分枝の未架橋多官能性ポリ(エーテル-エステル)構造を、ヒドロキシル基を含むモノカルボン酸エステル又はポリカルボン酸エステルへのアルキレンオキシドの付加、及び遊離ヒドロキシル基を同様に含み得るモノカルボン酸エステル又はポリカルボン酸エステルの添加による続くエステル交換反応によって得ることができる。
【0015】
本発明の更なる実施態様は、1 個以上の結合ポリエーテル鎖を含むモノカルボン酸エステル又はポリカルボン酸エステルを鹸化して、対応する 1 個の結合ポリエーテル鎖を含むモノカルボン酸又はポリカルボン酸を得ることを包含する。これらは、遊離ヒドロキシル基を含み得るモノカルボン酸又はポリカルボン酸の任意添加を伴った続くエステル化によって、末端カルボン酸基を含む直鎖又は分枝の多官能性ポリ(エーテル-エステル)構造に転化され得る。
【0016】
従って、本発明はポリ(エーテル-エステル)の製造方法を提供する。
本発明の方法は、下記工程を含んでなる。
(1)a)1 個以上のヒドロキシル基を含み、一般式:
【化1】

[式中、R は、一価のアリール、アルキル、アラルキル、アルケニル又はアルキニル基を表し、R' は、少なくとも二価のアリール、アルキル、アラルキル、アルケニル又はアルキニル基を表し、m = 1 かつ n = 1、m = 2 以上かつ n = 1、又は n = 2 以上かつ m = 1 である。]
を有する 1 種以上のモノカルボン酸エステル又はポリカルボン酸エステルと
b)1 種以上のアルキレンオキシドとを、
開環を伴って反応させて、対応する 1 個以上の結合ポリエーテル鎖を含むモノカルボン酸エステル又はポリカルボン酸エステルを得(アルキレンオキシド付加は、任意に
c)1 種以上のジオール及び/又はポリオール
及び任意に
d)1 種以上のジカルボン酸エステル
の存在下で行われる。)、
次いで、
(2)工程(1)で製造された生成物を下記工程の 1 つによって更に反応させる:
(i)工程(1)の生成物をエステル交換してヒドロキシル官能性ポリ(エーテル-エステル)を生ずる(エステル交換は、任意に
(a)1 種以上のジオール及び/又はポリオール、
又は任意に
(b)1 種以上のジオール、及びジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体、
又は任意に
(c)1 種以上のジオール又はポリオール、及び 1 個以上のヒドロキシル基を含むモノカルボン酸エステル又はモノカルボン酸
の添加を伴って行われる);
(ii)工程(1)の生成物を、
(a)添加した、遊離ヒドロキシル基を含み得るモノカルボン酸エステル及び/又はポリカルボン酸エステル
によりエステル交換して、末端エステル基含有ポリ(エーテル-エステル)を生ずる;
又は
(iii)工程(1)の生成物を鹸化(即ち、加水分解)して対応する結合ポリ(エーテル)鎖を含むモノカルボン酸又はポリカルボン酸を生じ、これら酸を
(a)遊離ヒドロキシル基を含み得るモノカルボン酸及び/又はポリカルボン酸
の任意添加を伴ってエステル化して、末端カルボン酸基含有ポリ(エーテル-エステル)を生ずる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
結合ポリエーテル鎖を含むモノカルボン酸エステル又はポリカルボン酸エステルの製造のための出発成分として、反応工程(1)の成分 a)に使用するのに適当な化合物は、芳香族のヒドロキシル基含有モノカルボン酸エステル又はポリカルボン酸エステル、例えば、ヒドロキシ安息香酸の様々な異性体のメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチルエステル、ヒドロキシメチル安息香酸の様々な異性体のエステル、ジヒドロキシ安息香酸の様々な異性体のエステル、トリヒドロキシ安息香酸エステル、ヒドロキシフェニル酢酸エステル、ヒドロキシフタル酸エステル及びヒドロキシナフトエ酸エステルを含む。
【0018】
適当な脂肪族のヒドロキシル基含有モノカルボン酸エステル又はポリカルボン酸エステルは、例えば下記酸のエステルを含む:グリコール酸、マンデル酸、乳酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、トロパ酸、リシノール酸、グリセリン酸、ヒドロキシマロン酸、リンゴ酸及びクエン酸。ラクトンも使用できるが、まず、アルコールとの反応によって、対応する開環ヒドロキシル基含有カルボン酸エステルに転化しなければならない。1 個以上のヒドロキシル基を含む各種モノカルボン酸エステル又は 1 個のヒドロキシル基を含む各種ポリカルボン酸エステルを、混合して使用することもできる。
【0019】
成分 c)として反応工程(1)で任意に添加される適当なジオール又はポリオールは、好ましくは、2〜8 の官能価を有する。適当なジオール及びポリオールの例は、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,12-ドデカンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ビスフェノール F、ビスフェノール A、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン、ホルムアルデヒドとフェノール又はメラミン又はメチロール基含有ウレアとの縮合物及びマンニッヒ塩基のような化合物を含む。6〜800 mgKOH/g の OH 価を有する、上記ジオール又はポリオールのアルキレンオキシド付加生成物(即ちポリエーテルポリオール)も使用できる。
【0020】
上記したジオール、ポリオール又は対応するポリ(エーテル)ポリオールに加えて、ジカルボン酸エステル、即ち成分 d)も、反応工程(1)において任意に添加できる。ジカルボン酸エステルの添加によって、所望のエステル基密度及び OH 価の上記調整に加えて、アルキレンオキシド付加反応開始時の OH 基密度を、極めて容易に低下することができ、これは、DMC 触媒を用いる場合は特に、処理上の利点となる。ここでは下記酸のエステルを、適当なジカルボン酸エステルの例として挙げる:コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸及びこれらの混合物。
【0021】
反応工程(1)の成分 b)として使用される適当なアルキレンオキシドは、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド又は 2,3-ブチレンオキシド及びスチレンオキシドを含む。プロピレンオキシド及びエチレンオキシドを個々に又は混合物として、好ましくは使用する。重付加反応は、BF3O(Et)2 又は B(C6F5)3 のようなルイス酸、及びアルカリ又はアルカリ土類金属水酸化物のような塩基の両方によって、並びに複金属シアン化物触媒によって触媒作用される。工程(1)の反応は、好ましくは DMC 触媒を用いて行われる。
【0022】
本発明の方法に特に適当な DMC 触媒は、原則として知られている。DMC 触媒は、第一に、活性水素原子を示すスターター化合物へのアルキレンオキシドの重付加によるポリエーテルポリオールの製造において、商業的利益を見出されている(例えば、米国特許第 3,404,109 号明細書、同第 3,829,505 号明細書、同第 3,941,849 号明細書及び同第 5,158,922 号明細書を参照。)。アルカリ触媒を使用した従来のポリエーテルポリオールの製造と比較すると、DMC 触媒の使用により、末端二重結合を含む単官能性ポリエーテル、即ちいわゆるモノオールの含有量が低下する。改良された高活性 DMC 触媒(例えば、米国特許第 5,470,813 号明細書、同第 5,482,908 号明細書、同第 5,536,883 号明細書(欧州特許公開第 700 949 号公報に対応)、同第 5,712,216 号明細書、同第 6,018,017 号明細書(欧州特許公開第 743 093 号公報に対応)、同第 5,545,601 号明細書、同第 5,637,673 号明細書(欧州特許公開第 761 708 号公報に対応)、同第 5,627,120 号明細書、同第 5,789,626 号明細書(国際特許公開第 97/40086 号公報に対応)、同第 5,714,428 号明細書(国際特許公開第 98/16310 号公報に対応)及び同第 6,585,566 号明細書(国際特許公開第 00/47649 号公報に対応)に記載されている。)は、更に、著しく高い活性を有し、極めて低い触媒濃度(例えば 25 ppm 以下)でのポリエーテルポリオール製造を可能にし、もはや触媒を最終生成物から取り除く必要がないほどである。複金属シアン化物(例えば、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛(III))及び有機錯体配位子(例えば、t-ブタノール)に加えて、500 g/mol 超の数平均分子量を有するポリエーテルも含む、例えば、米国特許第 5,482,908 号明細書及び同第 5,536,883 号明細書(欧州特許公開第 700 949 号公報に対応)に記載の高活性 DMC 触媒が、典型例である。
【0023】
1 個以上のヒドロキシル基を含む 1 種以上のモノカルボン酸エステル及び/又はポリカルボン酸エステルを含む出発混合物へのアルキレンオキシドの付加は、OH 価が所望の値に低下するまで継続できる。5〜420 の範囲の OH 価が好ましい。種々のアルキレンオキシドを、混合物としてではなくブロック様に付加できる。この場合、結合ポリエーテル鎖がブロック構造を示す、モノカルボン酸エステル又はポリカルボン酸エステルが得られる。モノカルボン酸エステル又はポリカルボン酸エステルに結合するポリエーテル鎖が、約 40〜100 %の一級 OH 末端基を含むように、純粋なエチレンオキシド、又は高エチレンオキシド含有量のプロピレンオキシドとエチレンオキシドとの混合物を、好ましくは、末端ブロックとして付加する。
【0024】
スターター成分 a)として本発明で使用されるヒドロキシル基含有(ポリ)カルボン酸エステル、任意に添加されるジオール又はポリオール、即ち成分 c)、及び任意に添加されるジカルボン酸エステル、即ち成分 d)は、予め反応器内に入れておくか、又はアルキレンオキシドとの反応中、連続的に反応器に供給され得る。後者の操作方法では、スターター及びアルキレンオキシドを含む少量の付加生成物を、通常、予め反応器内に入れておく。この付加生成物が、本発明の方法によって製造された生成物であることも可能である。また、反応器から反応生成物を連続的に取り出すことも可能であり、この場合、アルキレンオキシド及びスターターに加えて、触媒も反応器に連続的に供給しなければならない。DMC 触媒を用いたアルキレンオキシド付加方法によるポリエーテルの製造のための種々の方法は、上記文献に記載されており、例えば、米国特許第 5,777,177 号明細書、同第 5,919,988 号明細書(国際特許公開第 97/29146 号公報に対応)及び同第 5,689,012 号明細書(国際特許公開第 98/03571 号公報に対応)にも記載されている。
【0025】
アルキレンオキシドの DMC 触媒による重付加は、一般に、20〜200 ℃、好ましくは 40〜180 ℃、より好ましくは 50〜150 の温度で行われる。この反応は、0.0001〜20 bar の全圧力で行い得る。重付加反応は、反応体中で、又はトルエン及び/又は THF のような不活性有機溶媒中で行い得る。溶媒量は、一般に、製造されるアルキレンオキシド付加生成物の総量に基づいて、約 10〜約 30 重量%である。
【0026】
触媒濃度は、特定の反応条件下で、重付加反応の良好な制御が可能であるように選択する。触媒濃度は、製造されるアルキレンオキシド付加生成物の総量に基づいて、一般に、0.0005〜1 重量%、好ましくは 0.001〜0.1 重量%、より好ましくは 0.001〜0.03 重量%である。米国特許第 6,077,978 号明細書(国際特許公開第 99/14258 号公報に対応)に記載されているような、少量(即ち、スターターの量に対して 1〜500 ppm)の有機酸又は無機酸を、本発明でスターター成分として使用されるヒドロキシル基含有(ポリ)カルボン酸エステル、任意に添加されるジオール及び/又はポリオール、及び任意に添加されるジカルボン酸エステルに添加することができる。
【0027】
例えば酸化防止剤のような老化防止剤もまた、工程(1)で得られるアルキレンオキシド付加生成物に任意に添加できる。
【0028】
本発明の方法の 1 つの態様では、工程(1)で得られた生成物は、エステル交換条件下で、任意に更なるジオール又はポリオールの添加を伴って反応して、OH-官能性ポリ(エーテル-エステル)を生ずる(即ち、工程(2(i)))。任意に添加されるジオール及び/又はポリオールである成分(i)(a)は、好ましくは、2〜8 の官能価を示す。適当な化合物は、例として、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,12-ドデカンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ビスフェノール F、ビスフェノール A、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン、ホルムアルデヒドとフェノール又はメラミン又はメチロール基含有ウレアとの縮合物及びマンニッヒ塩基のような化合物を含む。6〜800 mgKOH/g の OH 価を有する、上記ジオール又はポリオールのアルキレンオキシド付加生成物(即ちポリエーテルポリオール)もこの時点で添加できる。当業者は、製造するポリ(エーテル-エステル)の所望の OH 価から、任意に添加される、これらのジオール及び/又はポリオール(即ち、工程(2)の成分(i)(a))の量を容易に計算できる。
【0029】
OH-官能性ポリ(エーテル-エステル)を製造するために、前記した出発物質を、触媒の不存在下又はエステル交換触媒の存在下、一般的には不活性ガス(例えば、窒素、ヘリウム又はアルゴン)雰囲気中、150〜300 ℃、好ましくは 180〜230 ℃の温度での溶融状態で、得られる生成物の所望の OH 価が達成されるまで、重縮合できる。
【0030】
好ましい実施態様では、エステル交換は、500 mbar 未満、好ましくは 1〜150 mbar の圧力で行う。圧力は、重縮合の初期段階における高揮発性出発成分の揮発を抑制するため、反応中の反応進行に適合させ得る。
【0031】
無機酸、ルイス酸及びルイス塩基のような既知のエステル交換触媒の全てを、本発明のエステル交換反応を促進するために使用できる。金属、金属酸化物又は金属塩(例えば金属アルコキシド)状の、鉄、カドミウム、コバルト、鉛、亜鉛、アンチモン、マグネシウム、チタン及びスズの触媒も適当である。これに関しては、近年知られるようになり、加水分解に対して敏感でない、改良された遷移金属触媒を参照することもできる。このような触媒は、例えば、米国特許第 6,541,411 号明細書(ドイツ国特許公開第 100 59 612 号公報に対応)に記載されている。
【0032】
高い分岐点密度又は高いエステル基密度を有する生成物が所望の場合は、もちろん、エステル交換反応において、1 個以上の結合ヒドロキシル基を含む、低分子量モノカルボン酸エステル又は低分子量モノカルボン酸、即ち成分(i)(c)を配合することもできる。このような化合物の例は、芳香族及び脂肪族のヒドロキシル基含有カルボン酸又はそのエステル、例えば、ヒドロキシ安息香酸の様々な異性体、ヒドロキシメチル安息香酸の様々な異性体、ジヒドロキシ安息香酸の様々な異性体、トリヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸、グリコール酸、マンデル酸、乳酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、トロパ酸、リシノール酸、グリセリン酸である。ラクトンも同様に使用できる。
【0033】
工程(1)で得られた結合ポリエーテル鎖を含むモノカルボン酸エステルを、工程(2)で更に反応させる場合、エステル交換反応は、高いエステル基密度を生ずるために、ジオールに加えて、ジカルボン酸又はそのエステル、即ち成分(i)(b)を含み得る。その例として、下記化合物を挙げる:コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸及びこれらの混合物、並びに上記酸又はそれらのエステルを主に含む混合物。
【0034】
例えば酸化防止剤のような老化防止剤を、任意に、得られた OH-官能性ポリ(エーテル-エステル)に添加できる。
【0035】
本発明の方法の他の態様では、工程(1)で得られた生成物を、付加的な(ii)(a)遊離ヒドロキシル基を同様に含み得るモノカルボン酸エステル及び/又はポリカルボン酸エステルと、エステル交換条件下で反応させ、末端エステル基含有ポリ(エーテル-エステル)構造を生ずる(即ち、工程(2)(ii))。添加するモノカルボン酸エステル又はポリカルボン酸エステルは、好ましくは、2〜3 の官能価を示す。本発明で適当な化合物の例は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸及びフマル酸のジエステルを含む。適当なトリエステルは、例えば、トリメシン酸、トリメリット酸及びトリカルバリル酸のエステルである。適当な遊離ヒドロキシル基含有カルボン酸エステルは、例えば、ヒドロキシ安息香酸の様々な異性体のメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチルエステル、ヒドロキシメチル安息香酸の様々な異性体のエステル、グリコール酸、マンデル酸、乳酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、トロパ酸、リシノール酸、ヒドロキシマロン酸、リンゴ酸及びクエン酸のエステルである。ここでの反応条件は、上記したエステル交換処理の条件に対応する。例えば酸化防止剤のような老化防止剤を、このようにして得られた末端エステル基含有ポリ(エーテル-エステル)に任意に添加できる。
【0036】
本発明の更なる態様では、工程(1)で得た生成物を更に第二工程、即ち(2)(iii)で、水による加水分解によって更に反応させ、対応する結合ポリエーテル鎖を含むモノカルボン酸又はポリカルボン酸を生ずる。この反応は、酸又塩基により触媒され得る。相当する処理方法は、当業者に既知である。このようにして得られた結合ポリエーテル鎖を含むモノカルボン酸又はポリカルボン酸を、任意に、ヒドロキシル基を含み得る更なるジカルボン酸又はポリカルボン酸(即ち、成分(iii)(a))の添加後、エステル交換反応によって更に反応させて、末端カルボン酸基を含む直鎖、星形又は分枝のポリ(エーテル-エステル)構造を形成し得る。適当なジカルボン酸又はポリカルボン酸は、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、トリメシン酸、トリメリット酸、トリカルバリル酸及びピロメリット酸を含む。上記酸の環状無水物も使用できる。適当な遊離ヒドロキシル基含有カルボン酸は、例えば、ヒドロキシ安息香酸の様々な異性体、ヒドロキシメチル安息香酸の様々な異性体、グリコール酸、マンデル酸、乳酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、トロパ酸、リシノール酸、ヒドロキシマロン酸、リンゴ酸及びクエン酸を含む。
【0037】
カルボン酸官能化ポリ(エーテル-エステル)を製造するため、上記した出発物質を、触媒の不存在下又はエステル化触媒の存在下、好都合には不活性ガス雰囲気中で、重縮合できる。適当な不活性ガスは、例えば、窒素、ヘリウム又はアルゴンを含む。上記出発物質はまた、150〜300 ℃、好ましくは 180〜230 の温度での溶融状態で、任意に所望の酸化が達成されるまで重縮合され得る。
【0038】
好ましい実施態様では、エステル交換は、500 mbar 未満、好ましくは 1〜150 mbar の圧力下で行う。圧力は、重縮合の初期段階における高揮発性出発成分の揮発を抑制するため、反応中の反応進行に適合させ得る。無機酸に加えて、金属、金属酸化物又は金属塩状の、鉄、カドミウム、コバルト、鉛、亜鉛、アンチモン、マグネシウム、チタン及びスズの触媒を、エステル化触媒として使用できる。重縮合過程において、蒸留による縮合水の共沸除去のため、希釈剤及び/又は共沸剤、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン又はクロロベンゼンを、反応混合物に添加できる。
【0039】
例えば酸化防止剤のような老化防止剤を、このように得られた末端カルボン酸基含有ポリ(エーテル-エステル)に任意に添加できる。
【0040】
工程(1)及び(2)(i)で製造された末端ヒドロキシル基含有ポリ(エーテル-エステル)を、固体ポリウレタン材料又は発泡ポリウレタン材料、並びにポリウレタンエラストマーの製造のための出発成分として使用できる。
【0041】
このために、末端ヒドロキシル基含有ポリ(エーテル-エステル)を、追加のイソシアネート反応性成分と任意に混合し、任意に、発泡剤、触媒及び他の添加剤(例えば、気泡安定剤)の存在下、有機ポリイソシアネートと反応させる。このような反応によりポリウレタンが製造される。
【0042】
ポリウレタン材料は、文献に記載の方法、例えばワンショット法又はプレポリマー法によって、当業者に原則として知られる混合装置を用いて製造され得る。
【0043】
出発物質:
実施例において、下記成分を使用した。
ポリオール A:プロピレングリコールへのプロピレンオキシド付加によって製造された、OH 価 260 の二官能性ポリエーテル
ポリオール B:グリセロールへのプロピレンオキシド付加によって製造された、OH 価 238 の三官能性ポリエーテル
DMC 触媒:米国特許第 5,482,908 号明細書及び同第 5,536,883 号明細書(欧州特許公開第 700 949 号公報に対応)に記載されているように製造された、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛、t-ブタノール及び 1000 g/mol の数平均分子量を有するポリプロピレングリコールを含む複金属シアン化物触媒
【実施例1】
【0044】
結合ポリプロピレンオキシド鎖を含むモノカルボン酸エステルの製造
0.105 g の DMC 触媒を、2 リットル容の加圧型オートクレーブ内の 333.1 g の p-ヒドロキシ安息香酸エチルエステルに添加した。雰囲気酸素を、排気と窒素供給を繰り返すことによって除去した。プロピレンオキシド添加開始時の反応器圧力は 0.1 bar であり、撹拌機速度は 800 rpm に設定し、反応温度は 130 ℃であった。下記のように、合計で 682 g のプロピレンオキシドを添加した。まず、132 g のプロピレンオキシドを、2 時間にわたって 3 等分して添加した。更に 20 g のプロピレンオキシドを添加した後、反応が開始したが、これは反応器内圧力の急激な低下によって示された。残りのプロピレンオキシドを 2 時間かけて添加した。プロピレンオキシドの添加完了後、反応器内の圧力が 0.8 bar の一定値になるまで、反応を継続した。次いで、生成物を 90 ℃、20 mbar で 30 分間加熱し、追加の後処理なしで更に反応させた。
得られた生成物の OH 価:105.5 mgKOH/g
得られた生成物の 25 ℃での粘度:225 mPas
【実施例2】
【0045】
二官能性ポリ(エーテル-エステル)の製造
247 g のポリオール A を、989 g の実施例 1 の生成物に添加した。100 mg のチタン酸 t-ブチルエステルの添加後、まず窒素雰囲気中で、次いで減圧下(1 mbar)で、撹拌しながら混合物を 200 ℃に加熱した。85 g のエタノールを留去した後、反応を終了した。
得られた生成物の OH 価:57.6 mgKOH/g
得られた生成物の 25 ℃での粘度:9360 mPas
【実施例3】
【0046】
三官能性ポリエーテル-エステルを得るための、三官能性ポリオール及び 4-ヒドロキシ安息香酸エチルエステルを含む混合物のプロポキシル化、及びエステル交換
0.3 g の DMC 触媒を、10 リットル容の加圧型オートクレーブ内の、840.4 g のポリオール B 及び 592.4 g の 4-ヒドロキシ安息香酸エチルエステルに添加した。反応器内容物を、減圧下、撹拌しながら(800 rpm)80 ℃で 53 分間加熱した。プロピレンオキシドの添加開始時、反応器圧力は 0.2 bar であり、反応の撹拌速度は 800 rpm で維持し、反応温度は 130 ℃であった。合計で 567.23 g のプロピレンオキシドを、一定速度で 2.67 時間にわたって添加した。189 g のプロピレンオキシドを添加した後、反応開始が反応器内圧力の急激な低下によって示された(到達した最大圧力:1.35 bar)。プロピレンオキシドの添加完了後、0.4 bar の一定圧力に達するまで、反応を 130 ℃で継続した。90 ℃に冷却後、反応器内容物を 20 mbar で 30 分間加熱した。次いで、オートクレーブを窒素での加圧によって常圧にし、内容物を 50 ℃に冷却した。OH 価及び粘度を測定するため、プロポキシレートの試料を取り出した。
得られた生成物の OH 価:196.15 mgKOH/g
得られた生成物の 25 ℃での粘度:301 mPas
この生成物に、197.7 mg のチタン酸 t-ブチルエステルを添加した。混合物を、まずは常圧で、次いで減圧下(1 mbar)で 200 ℃に加熱した。160 g のエタノールを留去した後、反応を終了した。
得られた生成物の OH 価:106.7 mgKOH/g
得られた生成物の 25 ℃での粘度:20,900 mPas
【実施例4】
【0047】
三官能性ポリエーテル-エステルを得るための、三官能性ポリオール及び 4-ヒドロキシ安息香酸エチルエステルを含む混合物のプロポキシル化/エトキシル化、及びエステル交換
313 mg の DMC 触媒を、10 リットル容の加圧型オートクレーブ内の、568.2 g のポリオール B、400.5 g の 4-ヒドロキシ安息香酸エチルエステル及び 275 mg の 85 %リン酸に添加した。反応器内容物を、減圧下、撹拌しながら(800 rpm)80 ℃で 5 時間加熱した。窒素導入によって圧力を 1.5 bar に増加させ、206.55 g のプロピレンオキシドを、140 ℃で 1.43 時間かけて撹拌しながら(800 rpm)添加した。130 g のプロピレンオキシドを添加した後、反応開始が反応器内圧力の急激な低下によって示された(到達した最大圧力:3.2 bar)。プロピレンオキシドの添加直後、826.4 g のエチレンオキシドを、140 ℃で 2.13 時間かけて撹拌しながら(800 rpm)添加した。1.9 bar の一定最終圧力に達するまで、反応を 140 ℃で継続した。90 ℃に冷却後、反応器内容物を 20 mbar で 30 分間加熱した。次いで、オートクレーブを窒素での加圧によって常圧にし、内容物を 50 ℃に冷却した。OH 価及び粘度を測定するため、アルキレンオキシド付加生成物の試料を取り出した。
得られた生成物の OH 価:134.4 mgKOH/g
得られた生成物の 25 ℃での粘度:491 mPas
生成物中の一級 OH 基含有量:77 %
その後、183.1 mg のチタン酸 t-ブチルエステルを添加した。混合物を、まずは常圧で、次いで減圧下(1 mbar)で 200 ℃に加熱した。107.7 g のエタノールを留去した後、反応を終了した。
得られた生成物の OH 価:73.0 mgKOH/g
得られた生成物の 50 ℃での粘度:679 mPas
生成物中の一級 OH 基含有量:74 %
【0048】
本発明は、説明の目的で上記に詳細を記載したが、このような詳細は、説明の目的のためだけであり、請求項によって限定される以外は、本発明の意図及び範囲から外れることなく、当業者によって変化をなし得ることが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)a)1 個以上のヒドロキシル基を含み、一般式:
【化1】

[式中、R は、一価のアリール、アルキル、アラルキル、アルケニル又はアルキニル基を表し、R' は、少なくとも二価のアリール、アルキル、アラルキル、アルケニル又はアルキニル基を表し、m = 1 かつ n = 1、m = 2 以上かつ n = 1、又は n = 2 以上かつ m = 1 である。]
を有する 1 種以上のモノカルボン酸エステル又はポリカルボン酸エステルと
b)アルキレンオキシドとを、
任意に
c)1 種以上のジオール及び/又はポリオール
及び任意に
d)1 種以上のジカルボン酸エステル
の存在下で、開環を伴って反応させて、対応する 1 個以上の結合ポリエーテル鎖を含むモノカルボン酸エステル又はポリカルボン酸エステルを得、
(2)工程(1)で製造された生成物を下記工程によって更に反応させる:
(i)工程(1)の生成物をエステル交換して OH-官能性ポリ(エーテル-エステル)を生ずる(エステル交換は、任意に
(a)更なるジオール又はポリオール、
又は任意に
(b)更なるジオール、及びジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体、
又は任意に
(c)更なるジオール又はポリオール、及び 1 個以上のヒドロキシル基を含むモノカルボン酸エステル又はモノカルボン酸
の添加を伴って行われる);
(ii)工程(1)の生成物を、
(a)添加した、遊離ヒドロキシル基を含み得るモノカルボン酸エステル又はポリカルボン酸エステル
によりエステル交換して、末端エステル基含有ポリ(エーテル-エステル)を生ずる;
又は
(iii)工程(1)の生成物を加水分解して対応する結合ポリ(エーテル)鎖を含むモノカルボン酸又はポリカルボン酸を生じ、これらを
(a)遊離ヒドロキシル基を含み得るモノカルボン酸又はポリカルボン酸
の任意添加を伴ってエステル化して、末端カルボン酸基含有ポリ(エーテル-エステル)を生ずる
ことを含んでなる、ポリ(エーテル-エステル)の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法によって製造されたポリ(エーテル-エステル)。
【請求項3】
ポリイソシアネート成分とイソシアネート反応性成分との反応を含んでなるポリウレタンの製造方法であって、イソシアネート反応性成分が請求項2に記載のポリ(エーテル-エステル)を含む方法。

【公開番号】特開2006−265553(P2006−265553A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−73018(P2006−73018)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】