説明

排気流量制御弁

【課題】ねじりコイルばねの固定端を固定するための特別な部材を不要として部品点数を削減すること。
【解決手段】内管34の内部に開閉自在に配設された弁体42と、内管34の外壁に固定された支持部材70に装着され、ばね力によって前記弁体42を弁閉状態に付勢するねじりコイルばね46と、前記内管34に回動自在に軸支され、前記弁体42に連結されて前記弁体42と一体的に回動する弁軸52とを備え、内管34から外部に露呈する前記弁軸52の一端部側には、前記ねじりコイルばね46の固定端である固定側アーム46bを係止する環状溝74が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関(エンジン)の排気通路に設けられ、前記排気通路を流通する排気ガスの流量を制御することが可能な排気流量制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、自動車のエンジンの排気通路中に開閉弁を配設し、弾性部材で閉弁方向に付勢された前記開閉弁によって、前記排気通路を流通する排気ガスの流量を制御することが行われている。この種の排気流量制御弁として、例えば、特許文献1には、弾性部材であるねじりコイルばねの固定側アーム(固定端)を係止する固定部材として、複数の凹溝が形成されたプレートを設け、前記ねじりコイルばねの固定側アームを選択された凹溝で係止することにより、前記ねじりコイルばねの巻き込み量を任意に設定することが可能な排気流量制御弁が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、排気管の外管と内管の凹部との間で形成された空間に、開閉弁を閉じ側に付勢するねじりコイルばねを配設し、前記ねじりコイルばねの固定側アーム(固定端)を、内管に固定された係止片で係止した排気流量制御弁が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−205180号公報
【特許文献2】特開2006−322357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示された排気流量制御弁では、ねじりコイルばねの固定端である固定側アームを係止するためのプレートを設け、前記プレートを内管の側壁に溶接する作業が必要となる。また、特許文献2に開示された排気流量制御弁では、ねじりコイルばねの固定側アームを係止する係止片を設け、前記係止片を内管の側壁に固定する作業が必要となる。
【0006】
このように特許文献1及び特許文献2に開示された排気流量制御弁では、ねじりコイルばねの固定端を固定するための特別な部材(例えば、プレートや係止片等)が必要となり、部品点数が増大して装置全体の重量が増加すると共に、固定部材を固定するための作業が必要となって製造コストが高騰する。
【0007】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、ねじりコイルばねの固定端を固定するための特別な部材を不要として部品点数を削減し、製造コストを低減することが可能な排気流量制御弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明は、内燃機関から排出される排気ガスを外部に排出する排気系に設けられ、弁体が開閉動作することによって排気通路を流通する排気ガスの流量を制御する排気流量制御弁において、弁ボディと、前記弁ボディの内部に配設された前記弁体を弁閉状態に付勢するねじりコイルばねと、前記弁ボディに回動自在に軸支され、前記弁体に連結されて前記弁体と一体的に回動する弁軸とを備え、前記弁軸には、前記ねじりコイルばねの固定端を係止する係止部が設けられることを特徴とする。
この場合、前記係止部を、前記弁軸の外周面に形成された溝部によって構成すると好適である。
【0009】
本発明によれば、弁体の回動支点となる弁軸に係止部を設け、ねじりコイルばねの固定端を前記係止部で係止することにより、従来技術で設けられていた特別な部材(例えば、プレートや係止片等)が不要となり、部品点数を削減して製造コストを低減することができる。なお、弁軸に設けられる係止部としては、例えば、弁軸の外周面に溝部を形成することにより、容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、ねじりコイルばねの固定端を固定するための特別な部材を不要として部品点数を削減し、製造コストを低減することが可能な排気流量制御弁を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る排気流量制御弁を自動車用エンジンの排気系に組み込み、前記排気流量制御弁からカバー部材を外した分解斜視図である。
【図2】(a)は、カバー部材を省略した排気流量制御弁の概略斜視図、(b)は、(a)のII−II線に沿った縦断面図である。
【図3】(a)は、前側の斜め方向から見た透視斜視図、(b)は、後側の斜め方向から見た透視斜視図である。
【図4】内管を省略した要部分解斜視図である。
【図5】ばね機構と弁体との位置関係を示す側面透視図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿った横断面図である。
【図7】本実施形態に係る排気流量制御弁の動作説明図であって、(a)は、弁体の弁閉状態を示し、(b)及び(c)は、弁体の弁開状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る排気流量制御弁を自動車用エンジンの排気系に組み込み、前記排気流量制御弁からカバー部材を外した分解斜視図である。
【0013】
図1に示されるように、排気系10は、図示しない自動車用エンジン(内燃機関)の排気ポートに接続され、自動車11の前後方向に沿って延在するように設けられる。この排気系10の上流側から下流側に沿って、第1消音器12、一対の第2消音器14a、14b、及び一対の第3消音器16a、16bがそれぞれ配設され、これらの第1〜第3消音器12、14a、14b、16a、16bは、複数のパイプ部材を介して一体的に接続されている。前記第2消音器14a、14bの手前であって前記第1消音器12の出力側には、本発明の実施形態に係る排気流量制御弁30が設けられる。
【0014】
なお、本実施形態では、排気流量制御弁30を第1消音器12と第2消音器14a、14bとの間に配置した排気系10を例示しているが、これに限定されるものではなく、排気流量制御弁30を排気系10の他の部位に配置してもよい。
【0015】
図2(a)は、カバー部材を省略した排気流量制御弁の概略斜視図、図2(b)は、図2(a)のII−II線に沿った縦断面図、図3(a)は、前側の斜め方向から見た透視斜視図、図3(b)は、後側の斜め方向から見た透視斜視図、図4は、内管を省略した要部分解斜視図、図5は、ばね機構と弁体との位置関係を示す側面透視図、図6は、図5のVI−VI線に沿った横断面図である。
【0016】
この排気流量制御弁30は、図2に示されるように、第1消音器12に接続されるインレットポート32a及び第2消音器14a、14b側の分岐したパイプ部材に接続されるアウトレットポート32bが形成される内管(弁ボディ)34と、上下一対の2分割構造に形成された矩形体からなり前記内管34を囲繞する一対のカバー部材36a、36b(図1参照)とを含む。
【0017】
内管34は、貫通孔38が形成された略楕円形状の筒体からなり、インレットポート32a及びアウトレットポート32bに沿った内管34の中間部位であって軸線と直交する方向の内管34の両側部には、内側に向かって窪む凹部40がそれぞれ形成される。
【0018】
また、内管34には、図3に示されるように、インレットポート32aから導入されアウトレットポート32bから導出される排気ガスの流量を制御するための弁体42を有する弁機構44と、前記弁体42を弁閉状態に付勢するねじりコイルばね(コイルスプリング)46を含むばね機構48と、前記弁体42を弁閉状態に向って付勢する前記ねじりコイルばね46の付勢力(ばね力)を弁体42に伝達する付勢力伝達機構50とが設けられる。なお、ねじりコイルばね46の付勢力(ばね力)とは、後記する弁軸52を回動支点として弁体42をストッパ部材60へ当接させる方向へ回動させようとする力をいう。
【0019】
弁機構44は、インレットポート32a及びアウトレットポート32bを結ぶ軸線と直交する方向に延在し、一対の支持孔を介して内管34の両側部を貫通して回動自在に軸支される弁軸52と、内管34の軸方向から見て矩形状の板体からなり(図2(b)参照)、前記弁軸52を支点として所定角度回動自在に設けられる弁体42と、前記矩形状の弁体42の一方の長辺近傍部位に固定されるウェイト部材56とを含む。
【0020】
この場合、前記弁軸52には、その軸方向に沿って延在し外周の一部を平面状に切り欠いて形成した連結部52aが設けられ(図3(b)、図4、図6参照)、前記連結部52aを合わせ面として、矩形状の板体からなる弁体42の他方の長辺近傍部位がねじ部材58を介して弁軸52に固定される。また、弁軸52の一端部側には、半径外方向に沿って突出する環状のフランジ部52bが設けられる。
【0021】
さらに、弁機構44は、内管34の内壁に固定された断面略L字状の部材からなり弁体42が当接して弁閉状態となるストッパ部材60と、前記ストッパ部材60に固着され弁体42がストッパ部材60に当接したときの衝撃を緩衝する緩衝部材62と、前記弁軸52の両側であって内管34の外部に設けられ弁軸52を回動自在に軸支する金属製メッシュからなる軸受部材64と、前記軸受部材64の変形を防止するリング体66とを備える(図6参照)。なお、弁体42がストッパ部材60に当接した弁閉状態にあるとき、図2(b)に示されるように、内管34の内壁と弁体42の外面との間隙67によって形成される排気ガス通路面積が最も絞られた状態(最小面積)となる。
【0022】
内管34から外部に突出する弁軸52の両端部や、ねじりコイルばね46等は、略楕円形状の筒体からなる内管34の外部で内側に向って窪む凹部40に配設されている(図2及び図6参照)。このため、内管34が上下一対のカバー部材36a、36bによって被覆されても前記ねじりコイルばね46等が邪魔となることがなく、カバー部材36a、36bが装着された状態における排気流量制御弁30の全体形状が略直方体形状に構成される。
【0023】
図6に示されるように、ばね機構48は、ねじりコイルばね46を含み、前記ねじりコイルばね46は、略円筒状の螺旋体からなるコイル部46aと、内管34から離間する前記コイル部46aの一側に設けられ前記コイル部46aの軸方向と略直交する方向に延在し固定端からなる固定側アーム46bと、内管34に近接する前記コイル部46aの他側に設けられ前記コイル部46aの軸方向と略直交する方向に延在し可動端からなる可動側アーム46cとによって構成される。
【0024】
さらに、ばね機構48は、内管34の軸方向に沿った中間部位の外壁に溶接等によって固着され側面視して矩形状からなるプレート68と、前記プレート68に固定され、ねじりコイルばね46のコイル部46aを内周側から支持する円柱状の支持部材70と、前記支持部材70のねじ穴に螺入されるボルト71を介して前記支持部材70に装着され、前記支持部材70からの前記ねじりコイルばね46の離脱を阻止する円板状の押さえプレート72とを有する。なお、本実施形態では、支持部材70としてねじりコイルばね46のコイル部46aを内周側から保持する形状を例示しているが、これに限定されるものではなく、例えば、内管34の外壁に固着された帯状体(図示せず)からなり、側面視して略Ω状に形成された湾曲部でコイル部46aの外周面を把持するものであってもよい。
【0025】
この場合、前記支持部材70のプレート68に近接する部位には、軸方向に沿った外周面の一部を平面視して断面略円弧状に切り欠いて形成された変形吸収部73が設けられる。この変形吸収部73は、内管34内を流通する排気ガスの圧力によって、弁体42がストッパ部材60に当接した弁閉状態(初期状態)から弁開状態に切り換わろうとするとき、可動側アーム46cを介してねじりコイルばね46のコイル部46aに付与される力(圧縮力)を吸収するものである。
【0026】
図2〜図6に示されるように、付勢力伝達機構50は、内管34から外部に露呈する弁軸52の軸方向に沿った一端部側に形成され、ねじりコイルばね46の固定端からなる固定側アーム46bが係止される環状溝(溝部)74と、前記環状溝74に隣接する環状段部に装着されるCクリップ76と、前記ねじりコイルばね46の可動端からなる可動側アーム46cの折曲部46dに転動可能に装着される球体78と、一端部及び前記一端部に連続する直線状の中間部に前記球体78を点接触状態で保持する保持面80aが設けられ他端部に弁軸52に固定される断面略円弧状の固定部80bを有し弁軸52を支点として弁軸52と一体的に回動動作するステー部材80を備える。
【0027】
前記環状溝74は、ねじりコイルばね46の固定端を係止する係止部(溝部)として機能するものであり、本実施形態では、弁軸52の外周面に沿って周回するように形成された環状溝74を例示しているが、これに限定されるものではなく、例えば、弁軸52の外表面の下部側を平面で切り欠いた平坦面や凹部等で形成するようにしてもよい。なお、弁軸52の軸方向に沿った他端部には、孔部を介して円板部材82が固定され、前記円板部材82によって内管34の支持孔からの弁軸52の抜け止めがなされる。
【0028】
この場合、図6に示されるように、弁軸52の環状溝74に係止されるねじりコイルばね46の固定側アーム46bと、弁軸52に固定されるステー部材80の固定部80bとの間には、Cクリップ76が介装され、前記Cクリップ76が隔壁として機能することにより、ステー部材80の固定部80bとねじりコイルばね46の固定側アーム46bとの非接触状態が好適に保持される。この結果、ねじりコイルばね46の固定側アーム46が弁軸52の環状溝74によって係止された場合であっても、弁軸52と一体的に回動するステー部材80の円滑な回動動作を確保することができる。
【0029】
また、このCクリップ76は、弁軸52の環状溝74に係止されたねじりコイルばね46の固定側アーム46bが弁軸52の軸方向に沿ってステー部材80側へ移動することを阻止するストッパ機能を併有する。さらに、弁軸52に固定されるステー部材80の固定部80bと軸受部材64との間には、環状のフランジ部52bが介在されることにより、ステー部材80と前記ステー部材80に近接する内管34の側壁とを非接触状態とし、ステー部材80の円滑な回動動作を確保することができる。
【0030】
ねじりコイルばね46の固定側アーム46bは、直線状に延在して弁軸52に形成された環状溝74の下部側に係合し、前記ねじりコイルばね46の固定側アーム46bがそのばね力によって上方に向って変位しようとするのを好適に阻止する。
【0031】
本実施形態に係る排気流量制御弁30が組み込まれた排気系10は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
図7は、本実施形態に係る排気流量制御弁の動作説明図であって、図7(a)は、弁体の弁閉状態を示し、図7(b)及び図7(c)は、弁体の弁開状態を示している。
【0032】
図示しないエンジンが駆動(運転)されることにより、前記エンジンから排出される排気ガスは、排気系10に導入される。この排気ガスは、第1消音器12及び排気流量制御弁30を経て排気ガスの流量が制御された後、下流側の第2消音器14a、14b及び第3消音器16a、16bによって排気音が順次消音されて外部に排出される。
【0033】
その際、例えば、アイドリング運転や始動運転を含むエンジン回転速度が低速度領域にある場合には、エンジン(燃焼室)の燃焼圧力が低く、前記エンジンから排出される排気ガスの排気圧力も低下しているため、排気系10に導入される排気ガスの排気圧力も低くなっている。
【0034】
このため、排気流量制御弁30は、図7(a)に示されるように、ねじりコイルばね46の付勢力(ばね力)によって弁体42がストッパ部材60に当接した弁閉状態に保持されており、内管34の内壁と弁体42の外面との間隙67(図2(b)参照)によって形成される排気ガス通路面積が最も絞られた状態(最小面積)となる。この結果、排気流量制御弁30は、第1消音器12の出力側から排出される排気ガスの排気エネルギを減少させて、第2消音器14a、14bの手前にて排気騒音を予備的に消音させると共に、エンジンの充填効率が高められる。
【0035】
換言すると、本実施形態に係る排気流量制御弁30では、ねじりコイルばね46の付勢力によって弁体42が閉じ側に付勢された弁閉状態であっても、内管34の排気通路が弁体42によって完全に封鎖されることがなく、内管34の内壁と弁体42の外面との間で形成された間隙67を通じて絞られた流量の排気ガスが流通するように構成されている。
【0036】
一方、エンジンの燃焼状態が完爆状態となって、エンジン回転速度が高速度領域に到達すると、エンジン(燃焼室)の燃焼圧力が高くなり、前記エンジンから排出される排気ガスの排気圧力も高くなる。従って、排気系10においてインレットポート32aから排気流量制御弁30内に導入される排気ガス動圧も高くなり、ねじりコイルばね46の付勢力に抗して弁体42を押圧する力が強くなる。この結果、弁体42を押圧する力がねじりコイルばね46の付勢力に打ち勝つことにより、弁体42が弁軸52を回動支点として反時計回り方向へ所定角度だけ回動し(図7(b)参照)、弁体42がストッパ部材60に当接した弁閉状態から、弁体42がストッパ部材60から離間する方向に所定角度だけ傾動した弁開状態へ切り換えられる。
【0037】
すなわち、内管34のインレットポート32aから導入された排気ガス動圧の押圧力によって弁体42が押圧されると、前記弁体42が弁軸52を支点として矢印A方向(反時計回り方向)に回動し、前記弁軸52に固定されたステー部材80が弁軸52を支点として矢印A方向(反時計回り方向)に一体的に回動する。この場合、ねじりコイルばね46の可動側アーム46cの折曲部46dに軸支された球体78は、図7(b)に示されるように、ステー部材80の保持面80aに沿って転動しながら移動する。なお、ねじりコイルばね46の固定側アーム46bは、弁軸52の環状溝74に係止された状態に保持される。
【0038】
弁体42が弁閉状態から弁開状態へと切り換わり、内管34内を流通する排気ガスの排気ガス通路面積が徐々に大きくなり、図7(c)に示されるように、弁体42が全開状態となったときに排気ガス通路面積が最大面積となる。よって、エンジン回転速度が高速度領域となったときの排気圧力損失は、排気流量制御弁30によって排気ガスの流量が適宜制御されることによって低減される。
【0039】
本実施形態では、弁体42の回動支点となる弁軸52の軸方向に沿った一端部であって内管34の外部に露呈する部位に環状溝74を設け、ねじりコイルばね46の固定側アーム46bを前記弁軸52の環状溝74で係止することにより、例えば、従来技術で設けられているねじりコイルばね46の固定端を固定するための特別の部材(例えば、プレートや係止片等)が不要となり、部品点数を削減して製造コストを低減することができる。
【0040】
換言すると、ねじりコイルばね46の固定端である固定側アーム46bを係止(固定)する係止部(固定部)を弁軸52に設けなければ、従来技術で配設されていたねじりコイルばね46の固定端を固定するための特別の部材(例えば、プレートや係止片等)が必要となるが、本実施形態では、このような特別の部材を不要とすることで装置全体の重量を軽減することができると共に、組付作業を簡素化することができる。
【0041】
また、本実施形態では、ねじりコイルばね46の固定側アーム46bを係止する係止部として、弁軸52の外周面に沿った環状溝74とすることにより、前記環状溝74を容易に製造することができると共に、組み付けの際に固定側アーム46bを弁軸52の環状溝74に引っ掛けるだけでよいため、組付性を向上させることができる。
【0042】
さらに、本実施形態において、弁軸52の環状溝74に係止されるねじりコイルばね46の固定側アーム46bは、弁軸52が弁体42と一体的に回動動作するときに妨げとなることがなく、弁軸52の円滑な回動動作を確保することができる。
【0043】
さらにまた、本実施形態では、ねじりコイルばね46の固定側アーム46bが弁軸52に設けられた係止部で拘束され、弁軸52に固定されるステー部材80と相俟って各種部材が弁軸52の近傍部位に近接配置されて集約化されることにより、省スペース化を達成することができる。
【0044】
またさらに、本実施形態では、ねじりコイルばね46の固定側アーム46bが弁軸52に形成された環状溝74で係止され、一方、ねじりコイルばね46の可動側アーム46cが球体78を介してステー部材80に接続され、ねじコイルばね46の軸方向に沿って固定側アーム46bと可動側アーム46cとが所定間隔離間して設けられることにより、相互の干渉を防止して円滑に付勢力を発揮することができる。
【符号の説明】
【0045】
10 排気系
30 排気流量制御弁
34 内管(弁ボディ)
42 弁体
46 ねじりコイルばね
46b 固定側アーム(固定端)
52 弁軸
74 環状溝(係止部、溝部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出される排気ガスを外部に排出する排気系に設けられ、弁体が開閉動作することによって排気通路を流通する排気ガスの流量を制御する排気流量制御弁において、
弁ボディと、
前記弁ボディの内部に配設された前記弁体を弁閉状態に付勢するねじりコイルばねと、
前記弁ボディに回動自在に軸支され、前記弁体に連結されて前記弁体と一体的に回動する弁軸と、
を備え、
前記弁軸には、前記ねじりコイルばねの固定端を係止する係止部が設けられることを特徴とする排気流量制御弁。
【請求項2】
請求項1記載の排気流量制御弁において、
前記係止部は、前記弁軸の外周面に形成された溝部からなることを特徴とする排気流量制御弁。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−208564(P2011−208564A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76612(P2010−76612)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(000175766)三恵技研工業株式会社 (50)
【Fターム(参考)】