説明

溶解した霊芝エキスを含む化粧品及び化粧品の製造方法

【課題】溶解した霊芝エキスを含む化粧品、及び化粧品の製造方法を提供する。
【解決手段】エステル油と、エステル油に溶解している、超臨界流体を用いて得られた霊芝エキスと、を含む化粧品を提供する。また、超臨界流体を用いて得られた霊芝エキスを用意するステップと、霊芝エキスをエステル油に溶解させるステップと、を含む化粧品の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧品に係り、溶解した霊芝エキスを含む化粧品及び化粧品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
霊芝は、マンネンタケ科のキノコである。霊芝の抽出物である霊芝エキスは幅広い生理活性を有し、シミ、そばかす、しわ、及びたるみ等の改善に有効であることが報告されている。また、霊芝の抽出物は、美白効果を有することも報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3742084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、霊芝エキス、特に、超臨界抽出法で得られた霊芝エキスは、溶媒に溶解しにくい性質を有すると考えられている。そのため、溶解した霊芝エキスを含有する化粧品を製造するのは困難であると考えられている。これに対し、本発明は、溶解した霊芝エキスを含む化粧品、及び化粧品の製造方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様は、エステル油と、エステル油に溶解している、超臨界流体を用いて得られた霊芝エキスと、を含む化粧品であることを要旨とする。エステル油は、例えば、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリルである。また、霊芝エキスは、例えば、エルゴステロールを含む。霊芝エキスの濃度は、例えば、5%未満である。
【0006】
本発明の他の態様は、超臨界流体を用いて得られた霊芝エキスを用意するステップと、霊芝エキスをエステル油に溶解させるステップと、を含む化粧品の製造方法であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、溶解した霊芝エキスを含む化粧品、及び化粧品の製造方法を提供可能である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施の形態に限定されないことは勿論である。実施の形態に係る化粧品は、エステル油と、エステル油に溶解している、超臨界流液を用いて得られた霊芝エキスと、を含む。
【0009】
超臨界流体とは、臨界温度以上の温度、及び臨界圧力以上の圧力環境下にある物質の状態をいう。超臨界流体は、気体の拡散性と、液体の溶解性を併せ持つ。超臨界流体にされる物質としては、二酸化炭素(CO2)が使用可能である。二酸化炭素の臨界温度は、31.1℃であり、臨界圧力は7.4MPaである。超臨界状態の二酸化炭素は、圧縮二酸化炭素、又は高密度二酸化炭素とも呼ばれる。
【0010】
超臨界状態の二酸化炭素は、鹿角霊芝をよく溶解する。鹿角霊芝を溶解した超臨界状態の二酸化炭素は、臨界点以下になると、気化して飛散する。そのため、鹿角霊芝エキスのみが残る。ここで、アルコール抽出法を用いて得られた鹿角霊芝エキスはβグルカンを主成分とするが、超臨界流液を用いて得られた鹿角霊芝エキスは、下記化学式1で示され、分子式がC2844Oであるエルゴステロール(Ergosterol)を主成分とする。
【化1】

【0011】
エステル油としては、生理学的に無毒なトリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル(caprylic/capric triglyceride)、ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、及びトリイソステアリン酸グリセリル等が使用可能である。トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリルは、脂肪酸と、グリセリンと、から成るトリグリセライドである。
【0012】
トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル中における鹿角霊芝の質量濃度は、0.001%以上5%未満が好ましく、0.001%以上4%以下がより好ましく、0.001%以上3%以下がよりさらに好ましい。鹿角霊芝の質量濃度が0.001%未満の場合、化粧品の効果が低下する傾向にある。また、鹿角霊芝の質量濃度が5%以上である場合、鹿角霊芝が析出する傾向にある。
【0013】
従来、アルコール抽出法で得られた鹿角霊芝エキスを溶媒に溶解させる方法は提案されていた。しかし、超臨界流液を用いて得られた鹿角霊芝エキスを溶媒に溶解させるのは困難であると考えられていた。これに対し、本発明者らは、溶媒としてトリ(カプリル/カプリン酸)グリセリルを用いれば、超臨界流液を用いて得られた鹿角霊芝エキスを良好に溶解させることが可能であることを見出し、実施の形態に係る化粧品を完成するに到った。
【0014】
実施の形態に係る化粧品は、鹿角霊芝エキスが溶媒中に溶解しているため、皮膚や毛髪上に容易に塗布することが可能である。また、実施の形態に係る化粧品は、溶解した鹿角霊芝エキスを含有しているため、経時老化又は化学老化の予防又は抑制を可能にする。さらに、実施の形態に係る化粧品は、皮膚の外観が脆くなることを回避又は低減可能であり、皮膚の色の均一さを向上させることが可能であり、皮膚を明色化することが可能であり、顔色の輝きを再生することが可能である。
【0015】
またさらに、実施の形態に係る化粧品は、皮膚のシミを薄くすることが可能であり、皺及び小皺の処理に有効であり、皮膚のたるみを抑制可能であり、皮膚の衰えを予防又は抑制可能であり、皮膚の乾燥を抑制可能である。加えて、実施の形態に係る化粧品は、頭皮の美容処理を可能にし、白髪を予防又は抑制することが可能である。
【実施例】
【0016】
次に、実施例を挙げて実施の形態をより具体的に説明するが、実施の形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0017】
(実施例1)
まず、超臨界流液を用いて得られた鹿角霊芝エキスを用意した。次に、鹿角霊芝エキスを、オリーブ油、スクワラン、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ミリスチン酸イソセチル、及びビタミンC誘導体のそれぞれに、表1に示す複数の溶解条件を用いて、質量濃度が0.1%となるよう溶解させた。その結果、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル中に、超臨界流液を用いて得られた鹿角霊芝エキスが良好に溶解することが示された。また、加温及び攪拌によって、溶解時間を短縮可能であることが示された。
【表1】

【0018】
(実施例2)
まず、超臨界流液を用いて得られた鹿角霊芝エキスを用意した。次に、鹿角霊芝エキスを、75℃のトリ(カプリル/カプリン酸)グリセリルに、質量濃度が3%、4%、5%、6%、及び8%のそれぞれとなるよう溶解させ、攪拌子を用いて500rpmで攪拌した。その結果、鹿角霊芝エキスの質量濃度が5%未満であれば、鹿角霊芝エキスの析出は、化粧品として処方上問題ないレベルに抑えられることが示された。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エステル油と、
前記エステル油に溶解している、超臨界流体を用いて得られた霊芝エキスと、
を含む化粧品。
【請求項2】
前記エステル油が、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリルである、請求項1に記載の化粧品。
【請求項3】
前記霊芝エキスがエルゴステロールを含む、請求項1又は2に記載の化粧品。
【請求項4】
前記霊芝エキスの濃度が5%未満である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の化粧品。
【請求項5】
超臨界流体を用いて得られた霊芝エキスを用意するステップと、
前記霊芝エキスをエステル油に溶解させるステップと、
を含む化粧品の製造方法。
【請求項6】
前記エステル油が、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリルである、請求項5に記載の化粧品の製造方法。
【請求項7】
前記霊芝エキスがエルゴステロールを含む、請求項5又は6に記載の化粧品の製造方法。
【請求項8】
前記霊芝エキスの濃度が5%未満となるよう、前記霊芝エキスを前記エステル油に溶解させる、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の化粧品の製造方法。

【公開番号】特開2011−74039(P2011−74039A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229462(P2009−229462)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(399088289)株式会社再春館製薬所 (6)
【Fターム(参考)】