説明

電力供給方法及び電力供給システム

【課題】自然エネルギーを利用して発電した電力を積極的に移動体の外部に供給することが可能な電力供給方法及び電力供給システムを提供する。
【解決手段】移動体6が工場2及び使用者宅4の駐車場に停車中並びに走行中に、移動体6に搭載されたソーラーパネル60が発電した電力によって移動体6の蓄電池を充電し、ソーラーパネル60にて発電された電力及び蓄電池から放電された電力によって、工場2の電力負荷22及び使用者宅4の電力負荷42,43に電力を供給する。また、充電設備5に備えられた電力系統1との接続装置50と、充電設備3に備えられたソーラーパネル32が発電した電力によって充電される第2の蓄電池33とから、移動体6の充電器に供給された電力によって移動体6の蓄電池を充電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラーパネル及び蓄電池を搭載した移動体から電力負荷に電力を供給する電力送給方法及び電力送給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、原油価格の高騰と急速に発展する蓄電池技術とを背景に、HV(ハイブリッド車)、PHV(プラグインハイブリッド車)、EV(電気自動車)等、蓄電池を搭載した車両の開発競争が激化している。これらの車両の蓄電池には、比較的大容量の電力を蓄電することが可能であり、蓄電された電力を車両の外部にて利用する形態も考案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、商用電源によって電気自動車の蓄電池を常時充電しておき、停電を検出したときに蓄電池を家庭用の停電時電力供給装置に接続替えし、該停電時電力供給装置から供給された直流電力をDC/AC変換器で交流電力に変換して家庭内の電気機器に供給する停電時電力供給装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、自家用負荷装置に電力を供給する定置型発電装置が生成する電力が、自家用負荷装置の消費分に対して過剰なときは、その過剰な電力を電気自動車のバッテリに供給し、逆に、定置型発電装置が生成する電力が自家用負荷装置の消費分に対して不足しているときは、その不足分を電気自動車のバッテリで補充して、両者の間で電力の授受を行えるようにした自家用エネルギ生成システムが開示されている。
【0005】
特許文献1,2に開示された技術では、家庭内で消費及び/又は生成される電力の過不足を調整するための手段として電気自動車の蓄電池が使用されており、電気自動車は停止している。これに対し、特許文献3では、電力貯蔵用二次電池を自動車に搭載し、電力消費者からの情報に基づいて、使用する二次電池、充電場所及び充電方法を決定し、必要とされる場所に自動車を移動させて電力消費者に電力を供給する移動型電力貯蔵用二次電池システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−178241号公報
【特許文献2】特開2004−48895号公報
【特許文献3】特開2003−77522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3に開示された技術では、自動車は電気エネルギーを運ぶ一種の媒体としての域を出るものではない。また、特許文献1から3に開示された技術を利用して、例えば電気自動車に燃料電池を搭載した場合であっても、Well to Wheel(いわゆる総合エネルギ効率)の観点から余剰となった電力を積極的に外部に供給できるものとはならない。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、自然エネルギーを利用して発電した電力を積極的に移動体の外部に供給することが可能な電力供給方法及び電力供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電力供給方法は、ソーラーパネルによって発電された電力を蓄電する蓄電池を有する移動体の前記蓄電池から電力負荷に電力を供給する電力供給方法において、前記移動体の停止中及び/又は移動中に前記蓄電池を充電し、前記ソーラーパネルによって発電された電力及び/又は充電した前記蓄電池から放電された電力によって、前記電力負荷に電力を供給することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る電力供給方法は、電力系統との接続装置及び/又は第2の蓄電池と、該接続装置及び/又は第2の蓄電池から電力が供給される充電器とを用意し、該充電器によって前記蓄電池を充電することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る電力供給方法は、前記ソーラーパネルは、巻き取り及び/又は折り畳みが可能であり、前記移動体の停止位置の周囲の一部又は全部に前記ソーラーパネルを展開することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る電力供給方法は、前記ソーラーパネルは、巻き取り及び/又は折り畳みが可能であり、前記移動体の停止位置の周囲の一部又は全部に、前記ソーラーパネルを下方から支持する支持部材を用意し、前記ソーラーパネルを展開し、展開したソーラーパネルを前記移動体の上方で前記支持部材に掛け渡すことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る電力供給システムは、ソーラーパネルによって発電された電力を蓄電する蓄電池を有する移動体と、電力負荷とを備える電力供給システムおいて、前記ソーラーパネルによって発電された電力及び/又は前記蓄電池から放電された電力によって、前記電力負荷に電力を供給するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る電力供給システムは、電力系統との接続装置及び/又は第2の蓄電池を備え、前記移動体は、前記接続装置及び/又は第2の蓄電池から電力が供給される充電器を有し、該充電器によって、前記蓄電池を充電するようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る電力供給システムは、前記ソーラーパネルは、巻き取り及び/又は折り畳みが可能に構成してあり、積み下ろしが可能であることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る電力供給システムは、前記移動体は、前記ソーラーパネルによって発電された電力及び/又は前記蓄電池から放電された電力によって移動が可能に構成してあることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る電力供給システムは、前記移動体は、前記蓄電池を充電するか否かの選択を受け付ける手段を備え、該手段が充電する選択を受け付けた場合、前記充電器によって前記蓄電池を充電するようにしてあることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、移動体の停止中及び移動中の何れか一方又は両方において、移動体に用意されたソーラーパネルに太陽光が照射されている間に発電した電力によって蓄電池を充電し、ソーラーパネルにて発電された電力及び蓄電池から放電された電力の何れか一方又は両方によって、移動体の外部の電力負荷に電力を供給する。
これにより、移動体が移動先で駐車している間にソーラーパネルにて発電される電力と、前回駐車していた間及び移動していた間に蓄電池に充電されていた電力とが、電力負荷に供給される。
【0019】
本発明にあっては、商用電力系統との接続装置及び第2の蓄電池の何れか一方又は両方から充電装置に供給された電力によって、移動体の蓄電池を充電する。
これにより、商用電源又は予め充電された第2の蓄電池の何れか一方又は両方から、移動体の蓄電池に電力が補充される。
【0020】
本発明にあっては、ソーラーパネルが、巻き取り及び折り畳みの何れか一方又は両方が可能であり、且つ移動体に対する積み下ろしが可能となるようにしてある。
これにより、移動先にて移動体から持ち出したソーラーパネルを展開した場合は、ソーラーパネルに対する太陽光の照射量が増して、ソーラーパネルの発電電力が増大する。
【0021】
本発明にあっては、移動体の停止位置の周囲の地面の一部又は全部にてソーラーパネルを展開させるため、例えば路上又は隣接する駐車スペースを利用してソーラーパネルの発電電力を増大させることができる。
【0022】
本発明にあっては、ソーラーパネルを展開し、移動体の上方にて、移動体の周囲の一部又は全部に配された支持部材にソーラーパネルを掛け渡すため、その移動体の駐車スペースを利用してソーラーパネルの発電電力を増大させることができる。
【0023】
本発明にあっては、ソーラーパネルによって発電された電力及び蓄電池から放電された電力の何れか一方又は両方によって、移動体を移動させる動力源を駆動する。
これにより、移動体が自身で発生させた電力によって移動可能となり、発生電力から移動に要した電力が差し引かれた余剰電力が、移動先の電力負荷に供給される。
【0024】
本発明にあっては、蓄電池を充電するか否かの選択を受け付ける。充電の選択を受け付けた場合は、移動体の蓄電池に電力が補充されるため、移動体の移動範囲を拡大することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、移動体に用意されたソーラーパネルを用いて発電した電力、及び発電した電力で充電された蓄電池から放電された電力の何れか一方又は両方によって、移動体の外部の電力負荷に電力を供給する。
これにより、移動体が移動先で駐車している間にソーラーパネルにて発電される電力と、前回駐車していた間及び移動していた間に蓄電池に充電されていた電力とが、電力負荷に供給される。
従って、自然エネルギーを利用して発電した電力を積極的に移動体の外部に供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係る電力供給システムの構成を示すブロック図である。
【図2】移動体の要部構成を示すブロック図である。
【図3】Aは一部が巻き取られたソーラーパネルの外観を模式的に示す説明図であり、Bは半ば折り畳まれたソーラーパネルの外観を模式的に示す説明図である。
【図4】Aは移動体の上方にてソーラーパネルを展開した様子を示す説明図であり、Bは移動体の側方にてソーラーパネルを展開した様子を示す説明図である。
【図5】蓄電池に対する充放電を制御するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、本発明の実施の形態に係る電力供給システムの構成を示すブロック図であり、図2は、移動体6の要部構成を示すブロック図である。図中1は電力系統であり、電力系統1は、工場2の配電盤21、充電設備3のパワコン(パワーコンディショナ)31、使用者宅4の分電盤41、及び充電設備5が有する接続装置50の分電盤51に接続されている。配電盤21及び分電盤41,51は、電力系統1に代えて個別又は共通の自家発電設備に接続されていてもよい。
【0028】
工場2の配電盤21は、機械設備からなる電力負荷22及びコンセント23に接続されている。電力負荷22には、配電盤21からの商用電力及び/又はコンセント23からの交流電力が供給される。コンセント23における交流電力の供給方向を白抜き矢印で示す(以下同様)。
【0029】
充電設備3のパワコン31は、ソーラーパネル32、例えばリチウムイオン電池からなる第2の蓄電池33、電力負荷34及びコンセント35に接続されており、ソーラーパネル32が発電した直流電力を第2の蓄電池33に蓄電すると共に、電力系統1の商用電力に同期した交流電力を生成する。パワコン31が生成した交流電力は、電力負荷34及びコンセント35に供給される。パワコン31が生成した交流電力が不足する場合は、電力系統1から商用電力が供給されるようにしてもよいし、電力負荷34が省略されていてもよい。また、パワコン31は、必ずしも電力系統1に接続されていなくてもよい。その場合、パワコン31は、電力系統1に同期しないAC100Vの電力を生成する。
【0030】
使用者宅4の分電盤41は、例えばテレビジョン受像機及び照明器具からなる電力負荷42、43とコンセント44とに接続されている。電力負荷42,43には、分電盤41からの商用電力及び/又はコンセント44からの交流電力が供給される。
【0031】
充電設備5の分電盤51は、電力計を含む計量部52を介して外部に商用電力を供給するコンセント53に接続されている。計量部52は、コンセント53から外部に供給される商用電力を計量するものであり、計量した商用電力の使用者を特定して課金できるようにしてもよい。
【0032】
コンセント23,35,44,53には、EV(電気自動車)からなる移動体6が接続される。移動体6は、工場2、充電設備3、使用者宅4及び充電設備5の間を双方向に移動し、移動の都度、移動先にあるコンセント23,35,44,53の何れか1つに接続される。移動体6は、船舶、電車、モータバイク等の乗り物であってもよい。このような移動体6が複数あってもよい。
【0033】
移動体6は、太陽光を受けて発電するソーラーパネル60と、該ソーラーパネル60が発電した直流の電圧を昇圧するDC/DCコンバータ61と、該DC/DCコンバータ61から供給される電力を蓄電するリチウムイオン電池からなる蓄電池62とを備える。蓄電池62はリチウムイオン電池に限定されず、たとえばニッケル水素電池であってもよい。移動体6は、モータ63を動力源とし、該モータ63は、蓄電池62から放電された直流の電力を交流の電力に変換するインバータ64によって駆動されるようになっている。
【0034】
移動体6は、また、DC/DCコンバータ61から供給される直流電力及び/又は蓄電池62から放電される直流電力を交流電力に変換するDC/ACインバータ65と、該DC/ACインバータ65及びDC/DCコンバータ61の動作を制御する制御部66と、該制御部に接続されたLCD及びタッチパネルからなる操作表示部67とを備える。移動体6は、DC/ACインバータ65を介して移動先のコンセント23、35、44又は53と接続される。
【0035】
制御部66は、CPU661を有し、CPU661は、プログラム等の情報を記憶するROM662、一時的に発生した情報を記憶するRAM663、及び操作表示部67を制御するためのLCDI/F664とバス接続されている。CPU661は、ROM662に予め格納されている制御プログラムに従って、入出力、演算等の処理を実行する。
【0036】
CPU661には、また、蓄電池62の端子電圧をデジタル値に変換して検出するA/D変換器665と、DC/ACインバータ65及びDC/DCコンバータ61夫々の動作を制御するためのI/Oポート666及び667とがバス接続されている。CPU661は、例えば、DC/DCコンバータ61によってソーラーパネル60の最大電力追従制御を行うと共に蓄電池62の充電制御を行う。
【0037】
移動体6が移動先にてコンセント23及び44の夫々に接続された場合、DC/ACインバータ65が変換した交流電力は、電力負荷22及び42,43に供給される。この場合、DC/ACインバータ65は、電力系統1の商用電力に同期した交流電力を生成するパワコンとしての機能を奏する。これにより、移動体6の蓄電池62に充電された電力のうち、移動体6が走行時に消費した電力を差し引いた余剰電力が電力負荷22及び42,43に供給される。電力負荷22及び42,43に供給される電力には、移動体6のソーラーパネル60によって発電された電力が重畳されていてもよい。この場合、電力負荷22及び42,43に供給すべき電力が、ソーラーパネル60によって発電された電力より小さいときは、発電された電力の一部によって蓄電池62を充電してもよい。
【0038】
移動体6が移動先にてコンセント35及び53の夫々に接続された場合、DC/ACインバータ65の動作方向を切り替えることによってコンセント35及び53の夫々から供給された交流電力及び商用電力が直流電力に変換され、変換された直流電力によって蓄電池62が充電される。つまり、DC/ACインバータ65がAC/DCコンバータとして動作することにより、蓄電池62の充電器としての機能を奏する。これにより、移動体6は、走行によって残容量が少なくなった蓄電池62に電力が補充される。
尚、DC/ACインバータ65がAC/DCコンバータとして動作する場合、CPU661は、DC/DCコンバータ61から取り出せる電流では不足する分を、AC/DCコンバータとしてのDC/ACインバータ65から取り出して蓄電池62を充電するように制御する。
【0039】
移動体6がコンセント23,35,44,53に接続された場合、蓄電池62を充電するか又は放電するかの選択が可能であり、これらの選択は操作表示部67によって受け付けられる。この場合、安全のために、充電又は放電の設定を受け付けるまでは充電及び放電を行わないことが望ましいが、接続先のコンセント23,35,44,53を識別して、自動的に充電又は放電を行えるようにしてもよい。
【0040】
次に、ソーラーパネル60について説明する。
図3のAは一部が巻き取られたソーラーパネル60の外観を模式的に示す説明図であり、Bは半ば折り畳まれたソーラーパネル60の外観を模式的に示す説明図である。ソーラーパネル60は、厚さが約50μmのプラスチックフィルムの基板上に、厚さが約1μmのアモルファスシリコンのソーラーセルを形成して耐候性フィルムで樹脂封止したものであって、可撓性に富み、且つ軽量であるという特徴を有する。このため、ソーラーパネル60は、図3Aに示すような巻き取りが可能であり、複数のパネルを直並列に接続して(接続部は図示せず)、図3Bに示すように折り畳むこともできる。ソーラーパネル60は、このように巻き取ったり折り畳んだりすることによって、移動体6に対する積み下ろしが容易となる。ソーラーパネル60は、導電性ポリマー及びフラーレン等を組み合わせた有機薄膜半導体を用いるものであってもよい。
【0041】
ソーラーパネル60の単位発電容量及び単位重量は、夫々約50W/m2 及び1kg/m2 である。例えば移動体6が40kmを走行するのに4kWhの電力が必要とした場合、この電力を日中の8時間で充電するには500Wの発電容量が必要となるため、ソーラーパネル60では約10kgの重量物となって約10m2 の設置面積を占めることとなる。一方、一般的な駐車スペースとしては、幅及び奥行きの夫々が2.3m及び5m以上であることが必要とされており、上記で算出した10m2 の設置面積が確保されている。
【0042】
図4のAは移動体6の上方にてソーラーパネル60を展開した様子を示す説明図であり、Bは移動体6の側方にてソーラーパネル60を展開した様子を示す説明図である。図4Aでは、略U字状(略コの字状)をなす複数の支持部材7が駐車スペースに立設されており、駐車スペースの上方の空間を利用して各支持部材7にソーラーパネル60が掛け渡されている。例えば、支持部材7,7,・・7の上に更に網目状のパネルを設置してソーラーパネル60が載置されるようにしてもよい。このような設備を用意することにより、その設備の上にソーラーパネル60を展開させて、移動体6の駐車中に蓄電池62に十分な電力を充電することができる。
【0043】
図4Bでは、移動体6の側方の他の駐車スペースにてソーラーパネル60が展開されている。このほか、走行中にも蓄電池62に充電できるように、裏面にマグネットが取り付けられた小型のソーラーパネル60を、移動体6のルーフ及び/又はボンネット上に貼り付けてもよい。
【0044】
以下では、上述した電力供給システムにおける移動体6の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。
図5は、蓄電池62に対する充放電を制御するCPU661の処理手順を示すフローチャートである。図5の処理は、コンセント23,35,44,53を介して蓄電池62の充放電が可能となったときに起動される。
【0045】
図5の処理が起動された場合、CPU661は、移動体6がコンセント23,35,44,53の何れかに接続されたか否かを判定し(S10)、接続されるまで待機する(S10:NO)。この場合の接続及び接続先を検出する方法は、接続ピンの検出等による公知の方法を用いることができる。移動体6がコンセント23,35,44,53の何れかに接続された場合(S10:YES)、CPU661は、LCDI/F664を用いて、操作表示部67から充放電の選択が有ったか否かを判定し(S11)、選択が有るまで待機する(S11:NO)。
【0046】
充放電の選択が有った場合(S11:YES)、CPU661は、充電の選択が有ったか否かを判定する(S12)。充電の選択が有った場合(S12:YES)、CPU661は、I/Oポート666を用いてDC/ACインバータ65をAC/DCコンバータとして動作させることにより、蓄電池62の充電を開始する(S13)。
【0047】
その後、CPU661は、A/D変換器665を用いて蓄電池62の端子電圧を検出して蓄電池62が満充電になったか否かを判定し(S14)、満充電になるまで待機する(S14:NO)。蓄電池62が満充電になった場合(S14:YES)、CPU661は、I/Oポート666を用いてDC/ACインバータ65のAC/DCコンバータとしての動作を停止させることにより、蓄電池62の充電を終了して(S15)図5の処理を終了する。
【0048】
ステップS12で充電の選択がなかった場合(S12:NO)、CPU661は、放電の選択が有ったか否かを判定し(S16)、放電の選択がなかった場合(S16:NO)、充電も放電も開始せずに図5の処理を終了する。一方、放電の選択が有った場合(S16:YES)、CPU661は、DC/ACインバータ65の動作を開始させることにより、蓄電池62の放電を開始させる(S17)。
【0049】
その後、CPU661は、検出した蓄電池62の端子電圧が所定の電圧(例えば50%の残容量に対応する電圧)まで低下したか否かを判定し(S18)、所定の電圧に低下するまで待機する(S18:NO)。端子電圧が所定の電圧まで低下した場合(S18:YES)、CPU661は、DC/ACインバータ65の動作を停止させることにより、蓄電池62の放電を終了させて(S19)図5の処理を終了する。前記所定の電圧は、蓄電池62の放電後に走行が予定されている距離に応じて、適宜定めることができる。
【0050】
以上のように本実施の形態によれば、移動体(EV)が工場及び使用者宅の駐車場に停車中並びに走行中に、EVに搭載されたソーラーパネルが発電した電力によってEVの蓄電池を充電し、ソーラーパネルにて発電された電力及び蓄電池から放電された電力によって、工場の機械設備並びに使用者宅のテレビジョン受像機及び照明器具に電力を供給する。
これにより、EVが工場(又は使用者宅)の駐車場に停車している間にソーラーパネルにて発電される電力と、使用者宅(又は工場)の駐車場に停止中及び走行中に蓄電池に充電されていた電力とが、工場(又は使用者宅)の電力負荷に供給される。
従って、自然エネルギーを利用して発電した電力を積極的にEVの外部に供給することが可能となる。
【0051】
また、充電設備に備えられた電力系統との接続装置と、他の充電設備に備えられたソーラーパネルが発電した電力によって充電される第2の蓄電池とから、EVのAC/DCコンバータに供給された電力によってEVの蓄電池を充電する。
従って、商用電源と、予め充電された第2の蓄電池とから、EVの蓄電池に電力を補充することが可能となる。
【0052】
更にまた、ソーラーパネルの巻き取り及び折り畳みが可能であるため、EVに対してソーラーパネルの積み下ろしが容易となる。
これにより、工場及び使用者宅にてEVから持ち出したソーラーパネルを、EVの駐車スペース又は隣接するスペース等を利用して展開することができ、ソーラーパネルに対する太陽光の照射量が増して、ソーラーパネルの発電電力を増大させることが可能となる。
【0053】
更にまた、ソーラーパネルによって発電された電力と、蓄電池から放電された電力とによって、EVを走行させるモータを駆動する。
これにより、EVが自身で発生させた電力によって走行が可能となり、発生電力から走行に要した電力が差し引かれた余剰電力を、移動先の電力設備に供給することが可能となる。
【0054】
更にまた、蓄電池を充電するか否かの選択を受け付け、充電の選択を受け付けた場合は、EVの蓄電池に電力が補充されるため、EVの走行距離を延長することが可能となる。
【0055】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0056】
1 電力系統
22、42、43 電力負荷
33 第2の蓄電池
50 (電力系統との)接続装置
6 移動体
60 ソーラーパネル
62 蓄電池
65 DC/ACインバータ(充電器)
67 操作表示部(選択を受け付ける手段)
7 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラーパネルによって発電された電力を蓄電する蓄電池を有する移動体の前記蓄電池から電力負荷に電力を供給する電力供給方法において、
前記移動体の停止中及び/又は移動中に前記蓄電池を充電し、
前記ソーラーパネルによって発電された電力及び/又は充電した前記蓄電池から放電された電力によって、前記電力負荷に電力を供給すること
を特徴とする電力供給方法。
【請求項2】
電力系統との接続装置及び/又は第2の蓄電池と、
該接続装置及び/又は第2の蓄電池から電力が供給される充電器と
を用意し、
該充電器によって前記蓄電池を充電すること
を特徴とする請求項1に記載の電力供給方法。
【請求項3】
前記ソーラーパネルは、巻き取り及び/又は折り畳みが可能であり、
前記移動体の停止位置の周囲の一部又は全部に前記ソーラーパネルを展開すること
を特徴とする請求項1又は2に記載の電力供給方法。
【請求項4】
前記ソーラーパネルは、巻き取り及び/又は折り畳みが可能であり、
前記移動体の停止位置の周囲の一部又は全部に、前記ソーラーパネルを下方から支持する支持部材を用意し、
前記ソーラーパネルを展開し、
展開したソーラーパネルを前記移動体の上方で前記支持部材に掛け渡すこと
を特徴とする請求項1又は2に記載の電力供給方法。
【請求項5】
ソーラーパネルによって発電された電力を蓄電する蓄電池を有する移動体と、電力負荷とを備える電力供給システムおいて、
前記ソーラーパネルによって発電された電力及び/又は前記蓄電池から放電された電力によって、前記電力負荷に電力を供給するようにしてあることを特徴とする電力供給システム。
【請求項6】
電力系統との接続装置及び/又は第2の蓄電池を備え、
前記移動体は、前記接続装置及び/又は第2の蓄電池から電力が供給される充電器を有し、
該充電器によって、前記蓄電池を充電するようにしてあること
を特徴とする請求項5に記載の電力供給システム。
【請求項7】
前記ソーラーパネルは、巻き取り及び/又は折り畳みが可能に構成してあり、積み下ろしが可能であることを特徴とする請求項5又は6に記載の電力供給システム。
【請求項8】
前記移動体は、前記ソーラーパネルによって発電された電力及び/又は前記蓄電池から放電された電力によって移動が可能に構成してあることを特徴とする請求項5から7の何れか1項に記載の電力供給システム。
【請求項9】
前記移動体は、
前記蓄電池を充電するか否かの選択を受け付ける手段を備え、
該手段が充電する選択を受け付けた場合、前記充電器によって前記蓄電池を充電するようにしてあること
を特徴とする請求項5から8の何れか1項に記載の電力供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−210044(P2012−210044A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73403(P2011−73403)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(591083118)ツネイシホールディングス株式会社 (18)
【Fターム(参考)】