高充填量のガバペンチンプロドラッグを有する経口剤形
高充填量のガバペンチンプロドラッグを有する持続放出性経口剤形が開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年3月6日に出願された米国仮特許出願第61/158,065号の優先権を主張し、当該出願は、すべての目的について参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示により提供される方法は、高充填量のガバペンチン(gabapentin)プロドラッグを有する持続放出性経口剤形に関する。
【背景技術】
【0003】
GABAアナログである以下の式:
【化1】
で表されるガバペンチン[1−(アミノメチル)シクロヘキサン酢酸]のプロドラッグである1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸(1)は、経口投与又は哺乳動物の結腸に直接投与すると、ガバペンチンとして高いバイオアベイラビリティを示す(Cundy et al., J Pharm Expt'l Ther 2004, 311(1), 315-323; Cundy et al., J Pharm Expt'l Ther 2004, 311(1), 324-333; Cundy et al., 60th American Academy Neurology Annual Meeting, Chicago, IL, April 12-19, 2008, Poster PO 5.168; 及び Cundy et al., J Clin Pharmacol 2008, 48(12), 1378-88)。化合物(1)の投与後のガバペンチンの高い経口バイオアベイラビリティは、経口剤形(持続放出性経口剤を含む)における化合物(1)の使用、及びてんかん、本態性振戦、慢性局所疼痛症候群、線維筋痛症、神経根障害、腹部内臓痛、過敏性腸症候群、偏頭痛、全般性不安障害、うつ病、不眠症、過活動膀胱、ほてり、早漏、むずむず脚症候群、神経因性疼痛、慢性腰痛、アルコール依存症、複合性局所疼痛症候群、術後疼痛、癌誘発性疼痛、双極性障害、社会不安障害、パーキンソン病、喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患、及び外陰部痛を治療するためのこのような経口剤形の使用を促進する。
【0004】
化合物(1)の合成は、Gallop et al., 米国特許第6,818,787号、7,186,855号、7,227,028号、6,927,036号;Estrada et al., US 2005-0154057; Bhat et al., US 2005-0070715; Raillard et al., US 7332,924, 及び米国特許出願第12/537,764号、及び12/537,798号に記載されている。化合物(1)の結晶型は、Estrada et al., US 2005-0154057に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
化合物(1)を含む経口剤形は、Cundy and Gallop, US 6,833,140; 及びCundy et al., US 2006-0141034に記載されている。現在の錠剤は化合物(1)を充填しており、これは多量の薬剤投与を支持するために大きな錠剤となっており、錠剤を製造するために使用される顆粒の性質は、商業的錠剤化操作に理想的に適している訳ではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
95質量%を超える1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸を用いて顆粒から調製される、高充填量の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸又はその医薬的に許容し得る塩を有する経口錠剤剤形が開示される。
【0007】
第1の態様において、約80質量%〜約95質量%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸又はその医薬的に許容し得る塩を含む経口錠剤剤形が開示される。
【0008】
第2の態様において、約95質量%を超える1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸又はその医薬的に許容し得る塩を含む固体顆粒が開示される。
【0009】
第3の態様において、約95質量%を超える1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸又はその医薬的に許容し得る塩を含む固体顆粒を含む経口錠剤剤形が開示される。
【0010】
第4の態様において、疾患が、てんかん、本態性振戦、慢性局所疼痛症候群、線維筋痛症、神経根障害、腹部内臓痛、過敏性腸症候群、偏頭痛、全般性不安障害、うつ病、不眠症、過活動膀胱、ほてり、早漏、むずむず脚症候群、神経因性疼痛、慢性腰痛、アルコール依存症、複合性局所疼痛症候群、術後疼痛、癌誘発性疼痛、双極性障害、社会不安障害、パーキンソン病、喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患、及び外陰部痛から選択されることを特徴とする、患者の疾患を治療する方法であって、治療の必要な患者に、本開示により提供される少なくとも1つの経口錠剤剤形を投与することを含んでなる方法が開示される。
【0011】
当業者は、本明細書に記載の図面が例示のみを目的とすることを理解するであろう。図面は、本開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、異なる質量%のメトセル(METHOCEL)(商標)-K100Mを有する1200mgの化合物(1)錠剤の溶解プロフィールを示す。
【図2】図2は、異なる質量%のメトセル(商標)-K100Mを有する600mg錠剤の溶解プロフィールを示す。
【図3】図3は、異なる質量%のメトセル(商標)-K4Mを有する600mg錠剤の溶解プロフィールを示す。
【図4】図4は、7質量%のメトセル(商標)-K100Mと2質量%のステアリン酸マグネシウムとを有する、異なるサイズの1200mg錠剤の溶解プロフィールを示す。
【図5】図5は、8質量%のメトセル(商標)-100Mと2質量%のステアリン酸マグネシウムとを有する、異なる硬度の600mg錠剤の溶解プロフィールを示す。
【図6】図6は、8質量%のメトセル(商標)-K100Mと3質量%のステアリン酸マグネシウムとを有する異なる硬度の600mg錠剤の溶解プロフィールを示す。
【図7】図7は、造粒中に異なる量の水を使用して調製された、97質量%の化合物(1)と3質量%のメトセル(商標)-E4Mとを有する顆粒の強度を示す。
【図8】図8は、造粒中に異なる量の水を使用して調製された、98質量%の化合物(1)、1質量%のメトセル(商標)-E4M、及び1質量%のラウリル硫酸ナトリウムとを有する顆粒の強度を示す。
【図9】図9は、異なる質量%のステアリン酸マグネシウムを有する600mg錠剤のツーリングダイ(tooling die)からの射出力を示す。
【図10】図10は、異なる硬度と異なる質量%のステアリン酸マグネシウムとを有する600mg錠剤の溶解プロフィールを示す。
【図11】図11は、実施例5に記載のように調製した1200mg錠剤の投与後の、10人の絶食させた健常成人男性被験体の血漿中のガバペンチンの平均薬物動態プロフィールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
「AUC」は、患者に化合物を投与した後の時間の関数としての、患者の血液又は血漿中の化合物又はその代謝物の濃度を示す曲線下の面積である。例えば投与される化合物は、ガバペンチンプロドラッグ(1)及び対応する代謝物であるガバペンチンでもよい。AUCは、液体クロマトグラフィー−タンデム質量スペクトル法(LC/MS/MS)のような方法を使用して、様々な時間間隔で、血液中の化合物又はその代謝物の濃度を測定し、血液又は血漿濃度−対−時間曲線下の面積を計算することにより決定される。濃度対時間曲線はまた、薬物動態プロフィールとも呼ばれる。薬物濃度−対−時間曲線からAUCを計算する適切な方法は、当該分野で公知である。例えばガバペンチンのAUCは、ガバペンチンプロドラッグ、例えば化合物(1)を患者に投与した後の、患者の血液中のガバペンチンの濃度を測定することにより決定される。AUC0-24は、投与(時間0)から投与の24時間後までの曲線下の面積である。AUCSS,24は、数日間にわたって投与された(定常状態)投与処方後の24時間の曲線下の面積である。AUCinfは無限大(AUCinf)まで外挿されたAUCであり、AUCinf=AUC(0~tlast)+Clast/λZとして計算され、ここでtlastは最後の定量可能な濃度(Clast)の時間であり、λZは、見かけの最終排除相の速度定数である。
【0014】
「バイオアベイラビリティ」は、患者に化合物(1)を投与した後に、患者の全身循環に到達するガバペンチンの速度と量を示し、例えばガバペンチンの血液又は血漿濃度−対−時間プロフィールを評価することにより決定することができる。血液濃度−対−時間曲線を解析するのに有用なパラメータは、曲線下の面積(AUC)、ピーク濃度までの時間(Tmax)、及び最大ガバペンチン濃度(Cmax)であり、ここでCmaxは、患者にある量の化合物(1)を投与後の患者の血液又は血漿中の薬剤の最大濃度であり、Tmaxは、患者にある量の化合物(1)を投与後の患者の血液又は血漿中のガバペンチンの最大濃度(Cmax)への到達時間である。
【0015】
絶対経口バイオアベイラビリティは、等量の化合物又はその代謝物の静脈内投与後のバイオアベイラビリティと比較した、経口投与後の化合物又はその代謝物のバイオアベイラビリティである。化合物又はその代謝物の相対的経口バイオアベイラビリティは、別の剤形及び/又は投与経路での等量の化合物又はその代謝物の投与に対する、化合物又はその代謝物の経口投与後のバイオアベイラビリティである。例えばある実施態様において、%Frelとして表される相対的経口バイオアベイラビリティは、持続放出剤形として20mgの化合物(1)を経口投与後のガバペンチンのバイオアベイラビリティに対する、患者への化合物(1)を経口投与後のAUC0-24で決定されるガバペンチンのバイオアベイラビリティである。
【0016】
「生物学的同等性」は、患者に等用量のガバペンチン又は化合物(1)を投与後のガバペンチン吸収の速度と程度の同等性を意味する。本明細書において2つの薬物動態プロフィールの平均応答の比率の90%信頼区間が0.8〜1.25の限界内であるなら、2つのプロフィールは生物学的に同等である。平均応答は、Cmax、Tmax、及びAUCのようなプロフィールの特性パラメータの少なくとも1つを含む。
【0017】
「化合物(1)」は、ガバペンチンプロドラッグ(1)である1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸(IUPAC名[1−({[({1−[(2−メチルプロパノイル)オキシ]エチル}オキシ)カルボニル]アミノ}メチル)シクロヘキシル]酢酸)、及びその医薬的に許容し得る塩を含む。化合物(1)は、ラセミ体(±)−1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸、及び/又は2つの鏡像異性体のいずれかを意味する。「化合物(1)」は、「ガバペンチンプロドラッグ(1)」と同義に使用される。ある実施態様においてガバペンチンプロドラッグ(1)/化合物(1)は遊離酸である。ある実施態様においてガバペンチンプロドラッグ(1)/化合物(1)は塩酸塩である。化合物(1)/ガバペンチンプロドラッグ(1)はまた、ガバペンチンエナカルビル(gabapentin enacarbil)、XP13512又はGSK183262とも呼ばれる。
【0018】
化合物(1)はまた、エノール型、ケト型、及びこれらの混合物を含むいくつかの互変異性体型で存在してもよい。従って本明細書に記載の化学構造は、例示化合物のすべての可能な互変異性体を包含する。
【0019】
化合物(1)は、非溶媒和型ならびに水和型及びN−オキシド型を含む溶媒和型で存在してもよい。一般に化合物(1)は、遊離酸、水和物、溶媒和物、N−オキシド、又はこれらの任意の組合せでもよい。化合物(1)は、結晶型、共結晶型、又は非晶質で存在してもよい。化合物(1)は、上記の任意の遊離酸型、ならびに上記の任意の結晶型の、医薬的に許容し得る塩又は医薬的に許容し得る溶媒和物を含む。
【0020】
化合物(1)のいくつかの医薬的に許容し得る塩は、溶媒和物の形で存在してもよい。溶媒和物は、化学量論量又は非化学量論量の、ある化合物と1個以上の溶媒分子との分子複合体を示す。このような溶媒分子は医薬分野で一般的に使用されるものであり、患者に対して無害であるものであり、例えば水、エタノールなどである。化合物又は化合物成分と溶媒との分子複合体は、非共有結合的分子内力、例えば静電力、ファンデアワールス力、又は水素結合により安定化することができる。用語「水和物」は、1個以上の溶媒分子が水である溶媒和物を意味する。
【0021】
「本開示の化合物」は、式(1)/化合物(1)/ガバペンチンプロドラッグ(1)の範囲内に入る任意の化合物を含む。化合物は、化学構造及び/又は化学名により特定される。化学構造と化学名が相いれない場合、化学構造が化合物の本体を決定する。本明細書に記載の化合物はキラル中心を含む。特に明記しない場合は、相対配置で記載された化学構造は、記載の化合物のすべての可能な鏡像異性体を含む(例えば、鏡像異性体的に純粋な形、及び鏡像異性体混合物)。鏡像異性体は、当業者に公知の分離法又はキラル合成法を使用して、その成分鏡像異性体に分解される。例えば鏡像異性体の分離は、分離剤の存在下での結晶化、又はクロマトグラフィー、例えばキラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムを使用するクロマトグラフィーにより行われる。
【0022】
化合物(1)はまた、1個以上の原子が自然界に通常存在する原子量とは異なる原子量を有するアイソトープ標識された化合物を含んでもよい。化合物に取り込まれるアイソトープの例には、特に限定されないが、2H、3H、11C、13C、14C、15N、18O、17Oなどがある。ある実施態様において化合物(1)は、アイソトープ標識されていない。
【0023】
化合物(1)は、結晶型、共結晶型、又は非晶質型で存在してもよい。
【0024】
「Cmax」は、患者にある用量の化合物(1)を投与した後の患者の血液中で観察される最大ガバペンチン濃度である。
【0025】
「C12」は、患者に化合物(1)を投与してから12時間後の患者の血液中で観察されるガバペンチン濃度である。
【0026】
「Tmax」は、患者にある量の化合物(1)を投与後から、患者の血液中のガバペンチンの最大濃度(Cmax)までの時間である。
【0027】
「T1/2」は、Tmaxと、患者の血液中のガバペンチン濃度が最大薬剤濃度の半分に低下するまで時間との時間間隔である。
【0028】
「剤形」は、治療効果を達成するために患者で投与することができる、ある量の活性物質、又は活性物質のプロドラッグ、すなわちガバペンチンプロドラッグ(1)を含有する製剤の形を意味する。経口剤形は、口を経由して患者に投与され飲み込まれるものである。ある用量の薬剤は、同時に投与されるか又はある時間をかけて投与される1個以上の剤形を含んでよい。
【0029】
「患者」は、例えばヒトなどの哺乳動物を含む。
【0030】
「医薬的に許容し得る」は、ヒトを含む哺乳動物での使用が、連邦政府又は州政府の規制機関により認可されるているか又は認可可能であるか、米国薬局方に記載されているか、又は他の一般的に認識されている薬局方に記載されていることを意味する。
【0031】
「1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸の用量」は、1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が塩又は溶媒和物である場合、その塩又は溶媒の重量を含まない1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸の量、典型的にはミリグラム量を意味する。
【0032】
「医薬的に許容し得る塩」は、医薬的に許容し得るものであり、親化合物の所望の薬理活性を有する化合物(1)のような化合物の塩を意味する。そのような塩には、(1)酸付加塩、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸を用いて形成されるか、又は、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などの有機酸を用いて形成される酸付加塩、及び(2)親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又はアルミニウムイオン)によって置換されるときに形成される塩、又はエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミンなどの有機塩基との配位化合物がある。ある実施態様において化合物(1)の塩は塩酸塩であり、ある実施態様においてナトリウム塩である。
【0033】
「医薬的に許容し得るビヒクル」又は「医薬的に許容し得る賦形剤」は、医薬的に許容し得る希釈剤、医薬的に許容し得る補助剤、医薬的に許容し得る賦形剤、医薬的に許容し得る担体、又は前記のいずれかの組合せを意味し、これとともに、ガバペンチンプロドラッグである1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸(1)のような化合物が患者に投与され、これはその薬理活性を破壊せず、ガバペンチンプロドラッグ若しくはガバペンチン代謝物の治療的有効量を与えるのに充分な用量で投与される時、非毒性である。
【0034】
「医薬組成物」は、ガバペンチンプロドラッグ(1)と、該プロドラッグとともに患者に投与される少なくとも1個の医薬的に許容し得るビヒクルとを、含んでなる組成物を意味する。
【0035】
「プロドラッグ」は、使用条件下(例えば体内)で変換を受けて活性薬剤を放出するような、活性化合物(薬剤)の誘導体を意味する。プロドラッグはいつもではないが、活性薬剤に変換されるまではしばしば不活性である。プロドラッグは、プロ成分(本明細書で定義される)を、典型的には官能基を介して薬剤に結合させることにより得ることができる。例えばガバペンチンプロドラッグ(1)は、患者の体内で代謝されて親薬剤であるガバペンチンを生成する。
【0036】
「プロ成分」は、薬剤に結合した基、典型的には特定の使用条件下で切断可能な結合を介して、薬剤の官能基に結合した基を意味する。薬剤とプロ成分との結合は、酵素的又は非酵素的手段により切断される。使用条件下では、例えば患者に投与後、薬剤とプロ成分との結合は切断されて親薬剤を放出する。プロ成分の切断は、自発的に(例えば加水分解反応)進行するか、又は別の物質(例えば、酵素、光、酸)により、又は物理的若しくは環境的パラメータへの曝露の変化(例えば、温度、pHなどの変化)により、触媒されるか又は誘導される。この物質は、使用条件下で内因性(例えば、プロドラッグが投与される患者の全身循環中に存在する酵素、又は胃の酸性条件)に、又は外因性に供給される。例えばガバペンチンプロドラッグ(1)については、薬剤はガバペンチンであり、プロ成分は以下の構造を有する:
【化2】
【0037】
「持続放出」は、化合物の即時型製剤の経口投与により達成される速度と比較して、全身血液循環中で化合物又はその活性代謝物の治療量を長期間にわたって達成するのに有効な速度での、剤形からの化合物の放出を意味する。
【0038】
「治療的有効量」は、疾患もしくは障害、又は疾患もしくは障害の臨床症状の少なくとも1つを治療するために被験体に投与される時、疾患、障害、又は症状のかかる治療を行うのに充分な量を意味する。治療的有効量は、例えば化合物、疾患、障害、及び/又は疾患の症状、疾患もしくは障害の重症度、及び/又は疾患もしくは障害の症状、治療される患者の年齢、体重、及び/又は健康、及び担当医師の判断により変化する。治療的有効量は、当業者又は日常的実験により決定できる者により確認される。
【0039】
疾患の「治療する」又は「治療」は、疾患又は疾患の少なくとも1つの臨床症状を阻止するか若しくは改善して、疾患若しくは疾患の少なくとも1つの臨床症状に罹るリスクを低下させるか、疾患若しくは疾患の少なくとも1つの臨床症状の進行を阻止するか若しくは改善するか、又は疾患若しくは疾患の少なくとも1つの臨床症状を発症するリスクを低下させる、ことを意味する。「治療する」又は「治療」はまた、身体的(例えば、認識できる症状の安定化)に、生理的(例えば、身体的パラメータの安定化)に、又はその両方で、疾患を抑制すること、及び患者が認識できるか又は認識できない少なくとも1つの身体的パラメータを阻止することを意味する。ある実施態様において「治療する」又は「治療」は、患者が疾患の症状をまだ経験していないか若しくは発症していなくても、疾患に曝露されたか若しくはその素因がある患者で、疾患又は疾患の少なくとも1つ以上の症状の発症を遅延させることを意味する。予後は、疾患の予防を意味する。
【0040】
ここで、剤形と方法のいくつかの実施形態が詳細に参照される。開示された実施態様は、特許請求の範囲を限定するものではない。逆に特許請求の範囲が、すべての代替態様、改変態様、及び同等態様を包含することを企図する。
構成
【0041】
本開示により提供される持続放出性経口剤形は、化合物(1)と医薬的に許容し得る賦形剤とを含む。以下の構造:
【化3】
で与えられる1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸は、約400mg当量のガバペンチンより多い用量で、ガバペンチンの高い経口バイオアベイラビリティを示す。化合物(1)は、1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸医と医薬的に許容し得る塩とを含む。ある実施態様において化合物(1)は、1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸の遊離酸型である。ある実施態様において化合物(1)は結晶性であり、ある実施態様において1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸の遊離酸の結晶型である。ある実施態様において剤形中の化合物(1)は、Estrada et al., US2005-0154057に開示された結晶型である。ある実施態様において結晶性1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸は、Cu Kα放射線を使用するX線粉末回折図で、7.0°±0.3°、8.2°±0.3°、10.5°±0.3°、12.8°±0.3°、14.9°±0.3°、及び16.4°±0.3°で、特徴的分散角度を示す。ある実施態様において結晶性1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸は、Cu Kα放射線を使用するX線粉末回折図で、7.0°±0.3°、8.2°±0.3°、10.5°±0.3°、12.8°±0.3°、14.9°±0.3°、16.4°±0.3°、17.9°±0.3°、18.9°±0.3°、20.9°±0.3°、23.3°±0.3°、25.3°±0.3°、及び26.6°±0.3°で、特徴的分散角度を示す。ある実施態様において結晶性1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸は、Kα放射線を使用するX線粉末回折図で、7.0°±0.3°、8.2°±0.3°、10.5°±0.3°、12.8°±0.3°、14.9°±0.3°、16.4°±0.3°、18.1°±0.3°、18.9°±0.3°、20.9°±0.3°、23.3°±0.3°、25.3°±0.3°、及び26.6°±0.3°で、特徴的ピークを示す。ある実施態様において結晶性1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸は、Kα放射線を使用するX線粉末回折図で、7.0°±0.3°、8.2°±0.3°、10.5°±0.3°、12.8°±0.3°、14.9°±0.3°、16.4°±0.3°、17.9°±0.3°、18.1°±0.3°、18.9°±0.3°、20.9°±0.3°、23.3°±0.3°、25.3°±0.3°、及び26.6°±0.3°で、特徴的ピークを示す。前記のいくつかの実施態様において、結晶性1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸は、示差走査熱分析法によりスキャン速度5℃/分で測定した時、約63℃〜約64℃の融点範囲を有する。前記のいくつかの実施態様において、結晶性1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸は、開口毛細管融点測定法により測定した時、約64℃〜約66℃の融点範囲を有する。
【0042】
化合物(1)は、Gallop et al., US Patent Nos. 6,818,787, 7,186,855, 7,227,028, and 6,927,036; Estrada et al., US 2005-0154057; Bhat et al., US 2005-0070715; 及び/又は Raillard et al., US 7332,924, 及び U.S. Application Nos. 12/537,764 及び 12/537,798に記載されている方法を使用して調製される。
【0043】
本開示により提供される持続放出性経口剤形は、化合物(1)と1つ以上の医薬的に許容し得る賦形剤とを含む。持続放出性経口剤形は、80質量%を超える化合物(1)、85質量%を超える化合物(1)、90質量%を超える化合物(1)、又はある実施態様において95質量%を超える化合物(1)を含んでよく、ここで質量%は剤形の総重量に基づく。ある実施態様において経口剤形は、約85質量%〜約95質量%の化合物(1)を含む。ある実施態様において剤形は、約300mg〜約1300mgの化合物(1)、例えば約600mgの化合物(1)、又は約1200mgの化合物(1)を含んでよい。
【0044】
ある実施態様において1つ以上の医薬的に許容し得る賦形剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)及び医薬的に許容し得る滑沢剤である。剤形中のHPMCの量は、約3質量%〜約18質量%、約6質量%〜約9質量%、及びある実施態様において約7質量%〜約8質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースである。ある実施態様においてヒドロキシプロピルメチルセルロースは、メトキシル含量が19%〜24%でヒドロキシプロピル含量が7%〜12%であることを特徴とするヒプロメロース2208ポリマー、例えば メトセル(商標)K3、メトセル(商標)KlOO、メトセル(商標)K4M、メトセル(商標)Kl 5M、及びメトセル(商標)KlOOM (Dow Chemical)、又は他の化学的に同等のポリマーから選択される。ある実施態様においてヒドロキシプロピルメチルセルロースは、2%水溶液中で80,000cps〜120,000cpsの粘度を有するヒプロメロース2208ポリマーである。ある実施態様においてヒドロキシプロピルメチルセルロースは、メトキシル含量が19%〜24%でヒドロキシプロピル含量が7%〜12%であり、かつ2%水溶液中で粘度が80,000cps〜120,000cpsであるヒプロメロース2208ポリマー、例えば メトセル(商標)KlOOMから選択される。
【0045】
剤形中の滑沢剤の量は、約0.5質量%〜約4質量%、約2質量%〜約4質量%、及びある実施態様において約3質量%である。ある実施態様において滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、及びステアリン酸から選択され、ある実施態様において滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0046】
本開示により提供される持続放出性経口剤形は、高充填量の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸、例えば約80質量%を超える化合物(1)を有する。化合物(1)は、高充填量の化合物(1)を有する顆粒の形で提供される。例えば顆粒は、約95質量%を超える化合物(1)、約96質量%を超える化合物(1)、約97質量%を超える化合物(1)、約98質量%を超える化合物(1)、約99質量%を超える化合物(1)を含んでよい。顆粒はさらに、放出速度制御ポリマー(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース)と界面活性剤とを含んでよい。
【0047】
顆粒は、約0.5質量%〜約1.5質量%、及びある実施態様において約1質量%のポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースを含んでよく、これは放出速度制御ポリマー及び/又は結合剤として機能する。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、メトキシル含量が28%〜30%でヒドロキシプロピル含量が7%〜12%であることを特徴とするヒプロメロース2910ポリマー、例えば メトセル(商標)E3、メトセル(商標)E5、メトセル(商標)E6、メトセル(商標)E16、メトセル(商標)E50、メトセル(商標)E4M、及びメトセル(商標)E10 (Dow Chemical)、又は他の化学的に同等のポリマーから選択される。ある実施態様においてヒドロキシプロピルメチルセルロースは、2%水溶液中で3,000cps〜5,600cpsの粘度を有するヒプロメロース2910ポリマーである。ある実施態様においてヒドロキシプロピルメチルセルロースは、メトキシル含量が28%〜30%でヒドロキシプロピル含量が7%〜12%であり、かつ2%水溶液中で粘度が3,000cps〜5,600cpsであるヒプロメロース2910ポリマー、例えば メトセル(商標)E4Mから選択される。
【0048】
顆粒は、約0.5質量%〜約1.5質量%の界面活性剤を含むか、又はある実施態様において約1質量%の界面活性剤を含んでよい。界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ポロリキサマー[ポリ(プロピレンオキシド)とポリ(エチレンオキシド)とのトリブロックコポリマー]、及びポリソルベート(ソルビタンモノラウレートのポリエチレン誘導体)から選択される。ある実施態様において界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムである。
【0049】
ある実施態様において顆粒は基本的に、約98質量%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸;約1質量%の界面活性剤;及びメトキシル含量が28〜30%、ヒドロキシプロピル含量が7〜12%、及び2%水溶液中の粘度が3,000cps〜5,600cpsの約1質量%のヒプロメロース2910ポリマーからなる。
【0050】
高充填量の化合物(1)を有する顆粒は、高剪断湿式造粒法を使用して調製される。少なくとも一部は顆粒剤を形成するのに使用される放出速度制御ポリマー/結合剤及び界面活性剤の量は、造粒中に使用される水の量の広い加工ウィンドウを与えるように選択される。一般的には、顆粒の性質に悪影響を与えることなくプロセスパラメータを変化させ、以後の錠剤化プロセスを促進する最適流れと機械的性質とを有する顆粒を製造できることが好ましい。すなわち本開示により提供される顆粒は、顆粒を調製するのに使用される約20質量%〜約30質量%の乾燥調製物と同等の水、顆粒を調製するのに使用される約23質量%〜約29質量%の乾燥調製物と同等の水、及びある実施態様において顆粒を調製するのに使用される約26質量%〜約28質量%の乾燥調製物と同等の水が使用される。
【0051】
あるいは高充填量の化合物(1)を含む顆粒は、ローラー圧縮を使用して調製される。
【0052】
あるいは高充填量の化合物(1)を含む顆粒は、流動床造粒法を使用して調製される。
【0053】
本開示により提供される顆粒、例えば化合物(1)、メトセル(商標)E4M、及びラウリル硫酸ナトリウムを含む顆粒は、約20mm未満、約18mm未満、及びある実施態様において約10mm未満のフロデックス(Flodex)を示す。
【0054】
ある実施態様において、顆粒の成分が含まれる場合、本開示により提供される経口剤形は、約80質量%〜約90質量%の化合物(1)、約0.8質量%〜約1.0質量%の第1のヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマー、約0.8質量%〜約1.0質量%の界面活性剤、約3質量%〜約15質量%の第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーと約0.5質量%〜約3.5質量%の滑沢剤を含む。ある実施態様において本開示により提供される経口剤形は、約85質量%〜約90質量%の化合物(1)、メトキシル含量が28%〜30%、ヒドロキシプロピル含量が7%〜12%、そして2%水溶液中の粘度が3,000cps〜5,600cpsの約0.8質量%〜約1.0質量%のヒプロメロース2910ポリマー、約0.8質量%〜約1.0質量%のラウリル硫酸ナトリウム、メトキシル含量が19%〜24%、ヒドロキシプロピル含量が7%〜12%、そして2%水溶液中の粘度が80,000cps〜120,000cpsの約6質量%〜約9質量%のヒプロメロース2208ポリマー、及び約2.5質量%〜約3.5質量%のステアリン酸マグネシウムを含む。ある実施態様において本開示により提供される経口剤形は、約85質量%〜約90質量%の化合物(1)、約0.8質量%〜約1.0 質量%のメトセル(商標)E4M、約0.8質量%〜約1.0質量%のラウリル硫酸ナトリウム、約6質量%〜約9質量%のメトセル(商標)Kl00M、及び約2.5質量%〜約3.5質量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0055】
剤形
本開示により提供される持続放出性経口剤形は、錠剤として提供してもよい。錠剤を調製するのに使用される調製物は、1つ以上の医薬的に許容し得る賦形剤と、高充填量の化合物(1)と1つ以上の医薬的に許容し得る賦形剤とを含む顆粒との、混合物を含む。ある実施態様において顆粒は、高剪断湿式造粒法により調製される。本開示により提供される調製物は一般に、打錠成型により経口錠剤形を作成するのに有用である。
【0056】
ある実施態様において、剤形は化合物(1)を含む錠剤の形でもよい。錠剤剤形は、薬剤の経口投与に適した任意の形、例えば球形、立方体、卵形、又は楕円形でもよい。ある実施態様において本開示により提供される錠剤剤形、例えば錠剤の形の経口剤形は、少なくとも1つの放出速度変更化合物を含むマトリックス中にガバペンチンプロドラッグ(1)が分散されたマトリックスシステムである。マトリックスシステムは、例えば"Handbook of Pharmaceutical Controlled Release Technology," Wise編, Marcel Dekker, Inc. (2000) 及び "Treatise on Controlled Drug Delivery, Fundamentals, Optimization, and Applications," Kydonieus編, Marcel Dekker, Inc. (1992)に記載されているように公知である。
【0057】
ある実施態様において、本開示により提供される剤形中の化合物(1)の量[用量強度(dose strength)]は、約100mg〜約2000mgであり、ある実施態様において約300mg〜約1200mgであり、ある実施態様において300mg、600mg、900mg、又は1200mgである。化合物(1)の医薬的に許容し得る塩及び/又は溶媒和物を含む剤形について、剤形中の化合物(1)の量は、該塩及び/又は水和物を含む化合物(1)の質量相当量を意味する。ある実施態様において錠剤剤形は、治療的有効量の化合物(1)を含む。治療的有効量の化合物(1)は、約50mg当量〜約1,000mg当量のガバペンチン、又は約150mg当量〜約600mg当量のガバペンチンを含む。1mgの化合物(1)は、約0.521mg当量のガバペンチンを含む。ある実施態様において治療的有効量の化合物(1)は、患者に悪影響(例えば、めまい、傾眠、疲労、及び/又は運動失調)を引き起こす量よりは少ない。
【0058】
錠剤剤形が治療的有効量未満の化合物(1)を含む実施態様において、化合物(1)の治療的有効量を与えるために、複数の錠剤剤形が同時に又はある期間にわたって、患者に投与される。
【0059】
本明細書に記載の化合物(1)と放出速度変更化合物以外に、錠剤剤形は、1つ以上の医薬的に許容し得るビヒクル、例えば界面活性剤、滑沢剤、可塑剤、結合剤、希釈剤、粘着防止剤、直打用滑沢剤、緩衝剤、色素、湿潤剤、乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、増粘剤、崩壊剤、及び着色剤を含んでよい。
【0060】
剤形のかさを増やして圧縮のために適した実用的なサイズにするために、希釈剤又は充填剤を加えてもよい。本開示により提供される錠剤剤形に有用な希釈剤の例は、第二リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、乳糖、セルロース(微結晶性セルロースを含む)、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、α化デンプン、圧縮性糖、及びこれらの任意の組み合わせを含む。ある実施態様において希釈剤は、第二リン酸カルシウム及び微結晶性セルロースから選択される。充填剤は、水不溶性、水溶性、又はこれらの組み合わでもよい。有用な水不溶性充填剤の例は、二酸化ケイ素、二酸化チタン、タルク、アルミナ、デンプン、カオリン、ポラクリンカリウム、粉末セルロース、微結晶性セルロース、ヒュームドシリカ、モノステアリン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、コロイドシリカ、微粉シリカ、三ケイ酸マグネシウム、石膏、及びこれらの任意の組み合わせを含む。水溶性充填剤の例としては、水溶性糖と糖アルコール、例えば乳糖、グルコース、果糖、ショ糖、マンノース、ブドウ糖、ガラクトース、対応する糖アルコール及び他の糖アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、キシリトール、及びこれらの任意の組み合わせを含む。
【0061】
加工、成膜、及び/又は乾燥中の粘着作用を低下させるために、本開示により提供される剤形は直打用滑沢剤を含んでよい。有用な直打用滑沢剤の例は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸グリセロール、コロイド二酸化ケイ素、沈殿二酸化ケイ素、ヒュームド二酸化シリカ、及びこれらの任意の組合せを含む。ある実施態様において直打用滑沢剤は、コロイド二酸化ケイ素である。
【0062】
成分の接着を促進するために、剤形に結合剤を含めてもよい。本開示により提供される錠剤剤形に有用な結合剤の例は、ポリビニルアセテートフタレート、糖蜜、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶性セルロース、及びポリビニルピロリドンを含む。本開示により提供されるある実施態様において結合剤は、などアビセル(AVICEL)(商標)PH200(FMC Corporation)のような微結晶セルロースである。
【0063】
本開示により提供される錠剤剤形に、可塑剤を含めてもよい。本開示により提供される錠剤剤形に有用な可塑剤の例は、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、及びアセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸アルキル;酢酸トリエチル、酢酸アセチルトリエチル、酢酸トリブチル、酢酸アセチルトリエチル、及び酢酸アセチルトリブチルなどの酢酸アルキル;ショ糖脂肪酸エステル;トリアセチン、グリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノステアリン酸、及びアセチル化モノグリセリドなどのグリセリンモノ−、ジ−及びトリ−脂肪酸エステル;ポリグリセリン脂肪酸エステル;マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1500、マクロゴール4000、マクロゴール6000、マクロゴール20,000、及びマクロゴール35,000などのポリエチレングリコール;セバシン酸ジブチル;セバシン酸トリブチル;ビニルピロリドン;プロピレングリコール;ごま油;ヒマシ油;グリセリン;シリコーン樹脂;D-ソルビトール;フィトステロール;フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチルなどのフタル酸アルキル;アジピン酸ポリエチレン;ミリスチン酸イソプロピル;中鎖トリグリセリド;グリコール酸ブチルフタリルブチル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール;及びこれらの任意の組合せを含む。
【0064】
加工を助けるために、本開示により提供される錠剤剤形に、滑沢剤及び接着防止剤を含めてもよい。本開示により提供される錠剤剤形に有用な滑沢剤及び/又は接着防止剤の例は、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ポリエチレングリコール、ステアリルフマル酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク、水素化植物油、ステアリン酸亜鉛、及びこれらの任意の組み合わせを含む。ある実施態様において滑沢剤は、モノステアリン酸グリセリルである。ある実施態様において滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0065】
本開示により提供される錠剤剤形に有用な界面活性剤の例は、医薬的に許容し得る界面活性剤、カチオン界面活性剤、双性イオン性両性(両親媒性/両親媒性)界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ポリエチレングリコールエステル又はエーテル、及び上記の任意の組み合わせを含む。有用な薬学的に許容される陰イオン性界面活性剤の例には、一価カルボン酸アルキル、アシルラクチレート、カルボン酸アルキルエーテル、N−アシルサルコシネート、多価炭酸アルキル、グルタミン酸N−アシル、脂肪酸ポリペプチド縮合物、硫酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、硫酸エトキシル化アルキル、エステル結合スルホン酸塩(例えば、ドキュセートナトリウム及びジオクチルコハク酸ナトリウム)、アルファオレフィンスルホン酸塩、又はリン酸エトキシル化アルコールがある。有用な医薬的に許容し得るカチオン性界面活性剤の例は、モノアルキル四級アンモニウム塩、ジアルキル四級アンモニウム化合物、アミドアミン、及びアミンイミドを含む。有用な医薬的に許容し得る両性界面活性剤の例は、N−置換アルキルアミド、N−アルキルベタイン、スルホベタイン、及びN−アルキル−6−アミノプロピオネートを含む。有用な医薬的に許容し得る非イオン性界面活性剤の例は、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、及びポリエチレングリコールのエステル若しくはエーテル(例えばポリエトキシ化ヒマシ油、ポリエトキシル水素化ヒマシ油、及び水素化ヒマシ油)のジブロックとトリブロック共重合体を含む。ある実施態様において界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムから選択される。
【0066】
例えば水に曝露された時、崩壊剤の膨張により錠剤の分裂を引き起こすために、錠剤に崩壊剤を含めてもよい。有用な崩壊剤の例は、低置換ヒドロキシプロピルセルロースのような水膨潤性物質、及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム)、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、イオン交換樹脂、微結晶セルロース、架橋ポリビニルピロリドン、デンプンとα化デンプン、ホルマリン−カゼイン、アルギン酸、いくつかの複合ケイ酸塩、及び上記の任意の組合せを含む。
【0067】
本開示により提供される錠剤剤形はさらに、錠剤を部分的に又は完全に被覆するか1つ以上のコーティングを含んでよい。あるコーティングは、消化管中で錠剤剤形からの化合物(1)の放出を修飾するか、又はこれに影響を与えるために適用されるが、他のコーティングはそのような作用は無い。例えば1つ以上の追加のコーティングは、物理的保護、美観、飲み込み易さ、識別、及び/又は錠剤のさらなる加工を容易にするためである。コーティングは、水分不浸透性又は水分浸透性でもよい。水分不浸透性の外部錠剤コーティングは、乾燥剤の存在下で包装される剤形中で低水分含量を維持するのに有用であり、従って例えば、錠剤剤形の保存安定性を増強する。物理的保護のためのコーティングに有用な材料の例は、浸透性又は可溶性材料、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、乳糖、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びキサンタンガムを含む。追加の加工を容易にするための外部錠剤コーティングに有用な材料の例は、タルク、コロイドシリカ、ポリビニルアルコール、二酸化チタン、微粉化シリカ、ヒュームドシリカ、モノステアリン酸グリセロール、三ケイ酸マグネシウムを含む。外部錠剤コーティングはさらに、1つ以上のビヒクル、例えば可塑剤、結合剤、充填剤、滑沢剤、圧縮補助剤、及び上記の任意の組合せを含んでよい。1つ以上の追加のコーティングは、本明細書に記載の単一の材料又は本明細書に記載の任意の材料を含む2種以上の材料の組合せを含んでよい。これらの追加のコーティングは、当業者に公知の方法により錠剤剤形に適用される。
【0068】
ある実施態様において本開示により提供される剤形は、化合物(1)及び/又はガバペンチンの分子内環化により生成されるラクタム副産物及び/又は代謝物を実質的に含まない。ある実施態様においてラクタムは、化合物(1)の代謝物であり、例えば3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン;3−[3−メチル−1−メチレン−5−(メチルエチル)ヘキサ−5−エニル]−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン;及び3−[(3−オキソ−2−アザスピロ[4.5]デカ−2−イル)エチル]−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オンである。剤形は、通常使用条件(例えば、1年以上、約0.5質量%未満のラクタム、約0.2質量%未満のラクタム、又は約0.1質量%未満のラクタムなどの実質的にラクタム生成の無い条件)下で長期保存で安定である(ここで、質量%ラクタムは剤形中の化合物(1)の初期量に対して決定される)。ある実施態様において剤形は、40℃/43%の相対湿度(RH)に少なくとも17日間曝露後に、約0.2質量%未満のラクタムを含有する。ある実施態様において剤形は、40℃/75%の相対湿度(RH)に少なくとも17日間曝露後に、約1質量%未満のラクタムを含有する(ここで、質量%ラクタムは、剤形中の化合物(1)の初期量に対して決定される)。
【0069】
ある実施態様において経口剤形は、約95質量%を超える化合物(1)を含む顆粒を含む。ある実施態様において経口剤形は顆粒を含み、ここで顆粒は約95質量%を超える化合物(1)を含み、顆粒は錠剤剤形に圧縮される。ある実施態様において経口剤形は顆粒を含み、ここで顆粒は約95質量%を超える化合物(1)を含み、顆粒はカプセル剤形に挿入され含有される。ある実施態様において経口剤形は、約95質量%を超える化合物(1)を含む顆粒を含み、エマルジョン又は懸濁物のような液体経口剤形でもよい。
【0070】
市販の錠剤が、USP Test No. 1216に従って測定して約1質量%未満の脆砕性を有することは一般に認められている。ある実施態様において本開示により提供される錠剤は、約1質量%未満の脆砕性、ある実施態様において約0.5質量%未満の脆砕性、ある実施態様において約0.3質量%未満の脆砕性、及びある実施態様において約0.2質量%未満の脆砕性を有する。
【0071】
剤形の溶解プロフィール
化合物(1)を含む本開示により提供される剤形の放出特性は、一部はインビトロ溶解プロフィールにより特徴付けられる。剤形の溶解プロフィールを測定するための方法は、医薬分野の当業者に公知である。米国薬局方に記載されている標準的方法を使用してもよい。例えば溶解プロフィールは、米国薬局方のI型装置(バスケット)又は米国薬局方II型装置(パドル)を使用して測定される。
【0072】
後者の方法を使用して、本開示により提供される剤形の溶解又は放出プロフィールは、pH7.4の10mMリン酸二水素カリウム緩衝液(KH2PO4)、1vol%のSLSに温度37℃で、剤形を浸漬することにより測定される。溶解媒体は50rpm(USP、II型)で攪拌される。間隔を置いて試料を取り、溶解媒体中の化合物(1)の含量を、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して測定する。
【0073】
ある実施態様において本開示により提供される錠剤剤形からの化合物(1)の放出は、1%ラウリル硫酸ナトリウムを有する10mM、pH7.4のリン酸二水素カリウム緩衝液中で37℃、50rpm(USP、II型)で攪拌した時、約4時間で約26%〜約41%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約8時間で約50%〜約78%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約12時間で約68%〜約100%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約20時間で約95%〜約100%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出される、インビトロ溶解プロフィールを示す。
【0074】
ある実施態様において本開示により提供される錠剤剤形からの化合物(1)の放出は、1%ラウリル硫酸ナトリウムを有する10mM、pH7.4のリン酸二水素カリウム緩衝液中で37℃、50rpm(USP、II型)で攪拌した時、約4時間で約30%〜約36%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約8時間で約56%〜約68%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約12時間で約76%〜約94%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約20時間で約85%〜約100%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出される、インビトロ溶解プロフィールを示す。
【0075】
ある実施態様において本開示により提供される錠剤剤形からの化合物(1)の放出は、1% SLSを有する10mM、pH7.4のリン酸二水素カリウム(KH2PO4)緩衝液中で37℃、50rpm(USP、II型)で攪拌した時、約4時間で約33%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約48時間で約62%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約12時間で約85%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約20時間で約95%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出される、インビトロ溶解プロフィールを示す。
【0076】
ある実施態様において錠剤は、FDAガイドラインに従ってf1差因子(fi difference factor)とf2類似性因子(f2 sililarity factor)を使用して決定される上記プロフィールに似た溶解プロフィールを示す(Guidance for Industry - Dissolution Testing of Immediate Release Solid Oral Dosage Forms, Center for Drug Evaluation and Research (CDER), Augut 1997, BPlを参照)。ある実施態様において本開示により提供される経口錠剤形は、図1〜6に示す溶解プロフィールのいずれかと比較した時、f1差因子(f1 difference factor)が15未満でf2類似性因子(f2 sililarity factor)が50〜100である溶解プロフィールを示す。ある実施態様において約80質量%〜約95質量%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸を含む錠剤剤形は、1%ラウリル硫酸ナトリウムを有する10mM、pH7.4のリン酸二水素カリウム緩衝液中で37℃、50rpm(USP、II型)で攪拌した時、約4時間で約33%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約8時間で約62%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約12時間で約65%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約20時間で約92%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出される溶解プロフィールと比較して、f1差因子(f1 difference factor)が15未満でf2類似性因子(f2 sililarity factor)が50〜100である溶解プロフィールを示す。
【0077】
ある実施態様において前記放出プロフィールを示す錠剤剤形は、約600mg又は1200mgの化合物(1)を含む。
【0078】
ガバペンチンの薬物動態
化合物(1)を含む持続放出剤形は、ガバペンチン及び/又はラセミ体の同等の剤形で投与した時の経口バイオアベイラビリティと比較して、ガバペンチンの経口バイオアベイラビリティの上昇を示す(Cundy et al., J Pharm Expt'l Ther 2004, 311(1), 315-323; Cundy et al., J Pharm Expt'l Ther 2004, 311(1), 324-333; Cundy et al., 60th American Academy Neurology Annual Meeting, Chicago, IL, April 12-19, 2008, Poster PO 5.168; Cundy et al., J Clin Pharmacol 2008, 48(12), 1378-88; LaI et al., Clin Therapeutics 2009, 31(8), 1776-1786; 及び LaI et al., Int'l J Clin Pharm Therapeutics 2010, 48(2), 120-128)。化合物(1)の経口バイオアベイラビリティの上昇は、受動輸送及び/又は能動輸送機構により消化管(結腸を含む)全体の化合物(1)の効率的な吸収によると考えられる。本開示により提供される剤形は、消化管中を剤形が通過する間の剤形からの化合物(1)の放出を与える。
【0079】
患者へ経口投与後、化合物(1)を含む持続放出剤形は、患者の全身循環中にガバペンチンを与える。化合物(1)は消化管から吸収され、全身循環に入り、そこでプロ成分が切断されてガバペンチンが放出される。化合物(1)のプロ成分は、化学的及び/又は酵素的に切断される。例えば哺乳動物の胃、腸管腔、腸組織、血液、肝臓、脳、又は任意の他の適切な組織中に存在する1つ以上の酵素(例えばエステラーゼ)が、化合物(1)のプロ成分を酵素的に切断する。
【0080】
患者に経口投与される時、すなわち患者が本開示により提供される剤形を飲み込む時、剤形は、連続した時間中に患者の血液中の持続的に治療的有効な濃度のガバペンチンを与える。ある実施態様において剤形は、患者血液中の最小の治療有効濃度より大きく、かつガバペンチンの最小の有害濃度より小さい、患者血液中のガバペンチン濃度を与える。ある実施態様において本開示により提供される剤形は、ガバペンチンの最小有害濃度を超えることなく、連続した時間中に患者血液中の治療有効濃度のガバペンチンを与える。ある実施態様において患者血液中のガバペンチン濃度は、剤形が患者に経口投与された後のいずれの時点においても、最小有害濃度を超えない。本開示により提供される剤形は、ガバペンチンの高血液濃度(例えばガバペンチンを含む剤形の経口投与後に観察される最小有害濃度より高い濃度)に関連する有害な薬物作用を低減又は排除しながら、連続した時間中、患者の血液中のガバペンチンの治療有効濃度を与えることができる。化合物(1)を含む剤形を使用して達成可能なガバペンチンの高いバイオアベイラビリティは、ガバペンチンを含む経口剤形中のガバペンチンの量と比較して、患者の血液中のガバペンチンの持続された治療有効濃度を達成する用量で、ガバペンチンの少量同等物の使用を促進する。
【0081】
本開示により提供される持続放出剤形は、経口投与後に患者血液中のガバペンチンの持続された治療有効濃度を与えることができる。例えば剤形は、患者に経口投与後少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、少なくとも約16時間、少なくとも約20時間、少なくとも約24時間、患者血液中のガバペンチンの持続された治療有効濃度を与えることができる。ある実施態様において患者血液中のガバペンチン濃度は、患者に経口投与後のいずれの時点でも最小有害濃度を超えることはなく、例えば患者の有害事象を引き起こす濃度に達しない。いくつかの疾患について、患者血液中のガバペンチンの治療有効濃度は、約2μg/mL〜約12μg/mLの範囲である。血液ガバペンチン濃度の薬物動態プロフィールは、ガバペンチンを含む即時放出型及び持続放出型経口製剤と比較して、低Cmax/C12比、及び低Cmax/用量により特徴付けられる。例えば剤形は、約1.5〜約3、約2.0〜約2.5のCmax/C12比、ある実施態様において約2.25を与える。
【0082】
ある実施態様において少なくとも1つの経口剤形は、約300mg〜約1600mgの範囲の用量の化合物(1)でヒト患者に投与され、ある実施態様では約600mg〜約1200mg、約600〜2,400mg、約800〜3,600mgの範囲の用量の化合物(1)、又は1日用量で約800mg〜約7,200mgの化合物(1)が投与され、ここで重量は、塩及び/又は溶媒和物からの重量寄与を除いた1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸の量を示す。ある実施態様において少なくとも1つの経口剤形は、約300mg〜約1600mg、及びある実施態様では約600mg〜約1200mg、約600〜2,400mg、約800〜3,600mgの範囲の用量の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸、又は1日用量で約800mg〜約7,200mgの化合物(1)が、ヒト患者に投与される。
【0083】
最小治療有効濃度より高く、かつ最小有害濃度より低い患者血液中のガバペンチンの濃度を長時間維持するために、本開示により提供される剤形の経口投与を使用する投与処方が開発される。ある実施態様においてガバペンチンの最小治療有効濃度は、約2μg/mL〜約6μg/mLの範囲である。最小治療濃度と最小有害濃度は、治療される疾患、疾患の重症度、目的の臨床的結果、治療される患者の状態などの多くの要因に依存する。このような処方は、本開示により提供される1つ以上の剤形の繰り返し投与を使用してもよい。適切な投与間隔は、例えば剤形中の化合物(1)の量、剤形の組成、剤形からの化合物(1)の放出特性、治療される疾患、患者の状態、有害事象の可能性、及び担当医師の判断に依存する。投与処方は、各間隔で同等の剤形の、又は異なる間隔で異なる剤形の繰り返し投与を含んでよい。例えば1日2回の投与処方は、午前中1回目の剤形を、午後2回目の剤形を投与することを含んでよい。
【0084】
本開示により提供される剤形はさらに、例えば米国食品医薬品局により規定され、"Guidance for Industry - Bioavailability and Bioequivalence Studies for Orally Administered Drug Products" (2003) (参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている、吸収速度と程度で本明細書に記載の剤形と生物学的に同等である剤形を含む。
【0085】
ある実施態様において、本開示により提供される持続放出性経口剤形として患者又は患者集団に投与される1200mg用量の化合物(1)は、Cmaxが約3.61μg/mL〜約5.64μg/mL、Tmaxが約3.92時間〜約6.12時間、T1/2が約5.03時間〜約7.86時間、及びAUCinfが約42.3μg×時間/mL〜約66.1μg×時間/mLにより特徴付けられるガバペンチン血漿濃度プロフィールを与える。ある実施態様において、本開示により提供される持続放出性経口剤形として患者又は患者集団に投与される1200mg用量の化合物(1)は、Cmaxが約4.06μg/mL〜約4.96μg/mL、Tmaxが約4.41時間〜約5.39時間、T1/2が約5.66時間〜約6.92時間、及びAUCinfが約47.61μg×時間/mL〜約58.2μg×時間/mLにより特徴付けられるガバペンチン血漿濃度プロフィールを与える。ある実施態様において、本開示により提供される持続放出性経口剤形として患者又は患者集団に投与される1200mg用量の化合物(1)は、Cmaxが約3.61μg/mL〜約5.64μg/mL、及びAUCinfが約42.3μg×時間/mL〜約66.1μg×時間/mLにより特徴付けられるガバペンチン血漿濃度プロフィールを与える。ある実施態様において、本開示により提供される持続放出性経口剤形として患者又は患者集団に投与される1200mg用量の化合物(1)は、Cmaxが約4.06μg/mL〜約4.96μg/mL、及びAUCinfが約47.61μg×時間/mL〜約58.2μg×時間/mLにより特徴付けられるガバペンチン血漿濃度プロフィールを与える。ある実施態様において、本開示により提供される持続放出性経口剤形として患者又は患者集団に投与される1200mg用量の化合物(1)は、Cmaxが約3.73μg/mL〜約5.83μg/mL、及びAUCinfが約43.1μg×時間/mL〜約67.3μg×時間/mLにより特徴付けられるガバペンチン血漿濃度プロフィールを与える。1200mg用量の化合物(1)は、単一の1200mgの剤形として、又は2つの600mg剤形として投与してもよい。前記実施態様において、ガバペンチン血漿濃度プロフィールは、絶食条件下の10人の健常成人男性からなる集団の平均である。
【0086】
ある実施態様において本開示により提供される剤形は、1200mgの1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸の経口用量で投与されると、少なくとも約6時間で、少なくとも約10時間で、及びある実施態様では少なくとも約15時間で、約2μg/mL〜約6μg/mLの血漿ガバペンチンを与える。
【0087】
治療的使用
本開示により提供される持続放出性経口剤形は、親薬剤であるガバペンチンが治療的に有効であることが、公知であるか、考えられているか、又は以後測定される疾患もしくは障害に罹っている患者に投与される。ガバペンチンが処方されている、従って本開示により提供される剤形が有効である適応症は、てんかん、本態性振戦、慢性局所疼痛症候群、線維筋痛症、神経根障害、腹部内臓痛、過敏性腸症候群、偏頭痛、全般性不安障害、うつ病、不眠症、過活動膀胱、ほてり、早漏、むずむず脚症候群、神経因性疼痛、慢性腰痛、アルコール依存症、複合性局所疼痛症候群、術後の痛み、癌誘発性疼痛、双極性障害、社会不安障害、パーキンソン病、喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患、又は外陰部痛を含む。ある実施態様において、本開示により提供される経口錠剤剤形は、むずむず脚症候群の治療に使用される。ある実施態様において、本開示により提供される経口錠剤の剤形は、神経因性疼痛を治療するために使用され、ある実施態様ではヘルペス後神経痛または疼痛を伴う糖尿病性神経障害を治療するために使用される。
【0088】
上記疾患を治療するのに本開示により提供される剤形の適切性は、当該分野で公知の方法により測定される。
【0089】
ガバペンチン治療の必要な患者に投与される化合物(1)の適切な用量は、ガバペンチンの質量同等物、及び化合物(1)により与えられるガバペンチンの経口バイオアベイラビリティの上昇に基づいて推定される。
【0090】
ある実施態様において、本開示により提供される経口錠剤形は、てんかん、本態性振戦、慢性局所疼痛症候群、線維筋痛症、神経根障害、腹部内臓痛、過敏性腸症候群、偏頭痛、全般性不安障害、うつ病、不眠症、過活動膀胱、ほてり、早漏、むずむず脚症候群、神経因性疼痛、慢性腰痛、アルコール依存症、複合性局所疼痛症候群、術後の痛み、癌誘発性疼痛、双極性障害、社会不安障害、パーキンソン病、喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患、又は外陰部痛を治療するために使用される。ある実施態様において本開示により提供される経口錠剤形は、むずむず脚症候群を治療するために使用される。ある実施態様において本開示により提供される経口錠剤形は、ヘルペス後神経痛又は痛い糖尿病性神経症のような神経痛を治療するために使用される。
【0091】
ある実施態様において本開示により提供される経口錠剤形は、てんかん、本態性振戦、慢性局所疼痛症候群、線維筋痛症、神経根障害、腹部内臓痛、過敏性腸症候群、偏頭痛、全般性不安障害、うつ病、不眠症、過活動膀胱、ほてり、早漏、むずむず脚症候群、神経因性疼痛、慢性腰痛、アルコール依存症、複合性局所疼痛症候群、術後の痛み、癌誘発性疼痛、双極性障害、社会不安障害、パーキンソン病、喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患、又は外陰部痛から選択される疾患の予防のために使用される。ある実施態様において本開示により提供される経口錠剤形は、むずむず脚症候群の予防のために使用される。ある実施態様において本開示により提供される経口錠剤形は、ヘルペス後神経痛又は痛い糖尿病性神経症のような神経痛の予防のために使用される。
【0092】
投与
現在1日に最大6回投与される(患者にとって不便であり、覚えていることが難しい処方)非プロドラッグと比較して、ガバペンチンの持続的全身濃度を与える錠剤剤形は患者コンプライアンスを向上させると考えられる。さらに本開示により提供される錠剤経口剤形の使用は、小さい副作用(この副作用は、めまい、傾眠、疲労、及び/又は運動失調を含む)で向上した効力を与えると考えられる。
【0093】
本明細書に開示した具体的な疾患の治療に有効な化合物(1)の量は、少なくとも一部は疾患の性質に依存し、当該分野で公知の標準的臨床的方法により決定される。さらに最適な用量範囲の特定を助けるためにインビトロ又はインビボのアッセイが使用される。投与処方と投与間隔もまた、当業者に公知の方法により決定される。投与される化合物(1)の量は、特に治療される被験者、被験者の体重、疾患の重症度、投与経路、及び担当医師の判断に依存する。
【0094】
全身投与のために、治療的有効用量はまずインビトロアッセイから推定される。初期用量はまた、インビボデータ、例えば当該分野で公知の方法を使用して動物モデルから推定してもよい。このような情報は、ヒトでの有用な用量をより正確に決定するために使用される。当業者は、動物データに基づいてヒトへの投与を最適化できるであろう。
【0095】
化合物(1)の量は、ガバペンチンの等モル量又は質量同等用量を与えるように調整することができる。投与は本開示により提供される複数の剤形を含んでよい。小児患者のガバペンチンの治療的有効用量は、1日に体重1kg当たり約25mg〜約50mgである。ある実施態様において、成人患者について1日用量は、ガバペンチンの質量当量は、約100mg〜約3,600の範囲、ある実施態様では約300mg〜約3,600mg、ある実施態様では約600mg〜約2,400mg、及びある実施態様では約600mg〜約1,200mgの範囲である。化合物(1)の用量と適切な投与間隔は、患者血液中のガバペンチンの持続された治療的有効濃度を維持するために、及びある実施態様では、最小有害濃度を超えないように、選択することができる。
【0096】
ある実施態様では本開示により提供される剤形は、1日1回、1日2回、及びある実施態様では1日2回以上の間隔で与えられる。投与は単独で又は他の薬剤と組合せて行われ、疾患の有効な治療に必要な期間続けられる。投与は、摂食状態又は絶食状態の哺乳動物(例えばヒト)への剤形の投与を含む。
【0097】
用量は単回投与剤形又は複数回投与剤形で投与される。複数回投与剤形が使用される時、複数回投与剤形のそれぞれに含有される化合物(1)の量は、同じかまたは異なってよい。
【0098】
治療中の用量及び投与スケジュールは、疾患を治療するのに充分な又は定常状態の全身性ガバペンチン濃度を与える。ある実施態様において、上昇する用量を投与してもよい。
【0099】
併用療法
本開示により提供される剤形はさらに、化合物(1)以外に1つ以上の医薬的に許容し得る化合物を含んでよい。このような化合物は、化合物(1)を用いて治療される疾患と同じ疾患又は異なる疾患を治療するために与えられる。
【0100】
ある実施態様において、化合物(1)は少なくとも1つの他の治療薬と組合せて使用される。ある実施態様において化合物(1)は、てんかん、本態性振戦、慢性局所疼痛症候群、線維筋痛症、神経根障害、腹部内臓痛、過敏性腸症候群、偏頭痛、全般性不安障害、うつ病、不眠症、過活動膀胱、ほてり、早漏、むずむず脚症候群、神経因性疼痛、慢性腰痛、アルコール依存症、複合性局所疼痛症候群、術後の痛み、癌誘発性疼痛、双極性障害、社会不安障害、パーキンソン病、喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患、又は外陰部痛を治療するための別の化合物とともに、患者に投与される。ある実施態様において、少なくとも1つの他の治療薬は異なるガバペンチンプロドラッグでもよい。化合物(1)と少なくとも1つの他の治療薬は、付加的に、又はある実施態様では相乗的に作用してもよい。少なくとも1つの追加の治療薬は、化合物(1)を含む同じ剤形中に含まれるか、又は別の剤形中に含まれてもよい。従って本開示により提供される方法はさらに、化合物(1)を投与する以外に、化合物(1)により治療される疾患と同じか又は異なる疾患を治療するのに有効な1つ以上の治療薬を投与することを含む。本開示により提供される方法は、組合せ投与が化合物(1)の治療効果を阻害せず、及び/又は有害な組合せ作用を発生させなければ、化合物(1)と1つ以上の他の治療薬の投与を含む。
【0101】
ある実施態様において化合物(1)を含む剤形は、化合物(1)を含む剤形と同じ剤形の一部であるか又は異なる剤形でもよい、別の治療薬の投与と同時に投与してもよい。化合物(1)は、別の治療薬の投与の前又は後に投与される。併用療法のある実施態様において、併用療法は、例えば特定の薬剤に関連する有害な薬剤の影響を最小にするために、化合物(1)と、別の治療薬を含む組成物とを交互に投与してもよい。特に限定されないが毒性を含む有害な薬剤作用を引き起こす可能性のある別の治療薬と同時に化合物(1)を投与する時、他の治療薬は、有害な脾臓反応が誘発される閾値より低い用量で投与することが有利である。
【0102】
ある実施態様において化合物(1)を含む剤形は、化合物(1)の放出、バイオアベイラビリティ、治療効果、治療力価、安定性などを増強、調節、及び/又は制御するために、1つ以上の物質とともに投与してもよい。例えば化合物(1)又はその代謝物であるガバペンチンの治療効果を増強するために、化合物(1)が同時投与されるか、又は消化管から全身循環への化合物(1)若しくはガバペンチンの吸収若しくは拡散を上昇させるために、又は患者血液中の化合物(1)若しくはガバペンチンの分解を阻害するために、化合物(1)を含む剤形は1つ以上の活性物質を含んでよい。ある実施態様において化合物(1)を含む剤形は、化合物(1)の治療効果を増強する薬理作用を有する活性物質と同時投与される。
【0103】
さらに本開示により提供される剤形は、それ自体が悪影響として、てんかん、本態性振戦、慢性局所疼痛症候群、線維筋痛症、神経根障害、腹部内臓痛、過敏性腸症候群、偏頭痛、全般性不安障害、うつ病、不眠症、過活動膀胱、ほてり、早漏、むずむず脚症候群、神経因性疼痛、慢性腰痛、アルコール依存症、複合性局所疼痛症候群、術後の痛み、癌誘発性疼痛、双極性障害、社会不安障害、パーキンソン病、喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患、又は外陰部痛を引き起こすことが公知の他の薬剤と組合せて使用され、こうしてかかる悪影響の発生を防止するか若しくは低減する。
【0104】
以下の例は、化合物(1)を含む錠剤剤形の調製と性質を詳細に説明する。本開示の範囲から逸脱することなく、材料と方法の両方の多くの修飾が実施可能であることは、当業者に明らかであろう。
【実施例】
【0105】
実施例1
{[(1−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル}−1−シクロヘキサン酢酸(1)
【0106】
{[(1−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル}−1−シクロヘキサン酢酸(1)は、Gallop et al., US Patent Nos. 6,818,787, 7,186,855, 7,227,028, 及び 6,927,036; Estrada et al., US 2005-0154057; Bhat et al., US 2005-0070715; Raillard et al., US 7332,924, 及び U.S. Application Nos. 12/537,764 及び12/537,798に開示されたいずれかの方法を使用して調製される。例えば、
【0107】
O−(1−クロロエチル)S−メチルチオカーボネート(1a)
CH2Cl2(1リットル)中のメタンチオール(170g,3.5モル)とクロロギ酸1−クロロエチル(386mL, 502g,3.5モル)の溶液を、氷水浴中で0℃に冷却した。N−メチルモルホリン(388mL,357g,3.53モル)を1時間かけて滴下して加え、反応混合物を室温で16時間攪拌した。反応混合物をCH2Cl2(2リットル)で希釈し、水(1リットル)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(1リットル)、及び食塩水(1リットル)で洗浄し、次に無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮した。残渣を真空蒸留(95℃/20Torr)により精製して標題化合物(1a)を無色の液体として得た(510g,94%収率)。1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 1.82 (d, J= 5.6 Hz, 3H), 2.38 (s, 3H), 6.57 (q, J= 5.2 Hz, 1H)。
【0108】
O−(1−イソブタノイルオキシエチル)S−メチルチオカーボネート(1b)
化合物(1a)(308mg,2ミリモル)をイソ酪酸(264mg,3ミリモル)に溶解した。この混合物をイソ酪酸(264mg,3ミリモル)とジイソプロピルエチルアミン(387mg,3ミリモル)のプレ混合溶液にゆっくり加え、反応混合物を55℃に16時間加熱し、エーテル(50mL)で希釈し、水(2×10mL)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(2×10mL)、及び食塩水(10mL)で洗浄し、次に無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮して、標題化合物(1b)を無色の液体として得た(400g,97%収率)。生成物をさらに真空蒸留により精製した(135℃/20Torr)。1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 1.17 (d, J= 6.8 Hz, 6H), 1.49 (d, J= 5.6 Hz, 3H), 2.33 (s, 3H), 2.54 (m, 1H), 6.91 (q, J= 5.2 Hz, 1H)。
【0109】
[(1−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニルオキシ]スクシンイミド(1c)
CH2Cl2(10mL)中の化合物(1b)の溶液(1g,4.8ミリモル)の溶液に、N−ヒドロキシスクシンイミド(1.1g,9.5ミリモル)を加え、反応混合物を0℃に冷却した。酢酸中の32%(v/v)過酢酸溶液(3.4mL,1.1g,14.4ミリモル)を10分かけて滴下して加え、次に溶液を室温で3時間攪拌した。反応混合物をエーテル(50mL)で希釈し、水(2×10mL)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(10mL)、及び食塩水(10mL)で洗浄し、次に無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮して、標題化合物(1c)を無色の液体として得た(1g,77%収率)。ヘキサン(20mL)で粉砕後、生成物を固化させて白色の固体とした。融点50〜54℃。1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 1.17 (d, J = 6.8 Hz, 6H), 1.56 (d, J= 5.6 Hz, 3H), 2.55 (m, 1H), 2.82 (s, 4H), 6.80 (q, J= 5.2 Hz, 1H)。MS (ESI) m/z 296.4 (M+Na)+。
【0110】
{[(1−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル}−1−シクロヘキサン酢酸(1)
水(40mL)中のガバペンチン(1.7g,10ミリモル)と重炭酸ナトリウム(20ミリモル)の溶液に、アセトニトリル(20mL)中の化合物(1c)の溶液(2.73g,10ミリモル)を1分かけて加えた。反応物を室温で16時間攪拌した。反応混合物をジエチルエーテル(100ml)で希釈し、0.1M硫酸水素カリウム水溶液(3×100mL)で洗浄した。有機相を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮して標題化合物(1)を白色の固体として得た(2.7g,96%)。生成物を1:10 酢酸エチル:ヘプタン(10mL)中60℃に溶解し、次にゆっくり4℃に冷却して再結晶化した。ろ過して白色の結晶性生成物を単離した。融点:63〜64℃。 1H NMR (CDCl3, 400MHz): δ 1.15 (d, 6H), 1.40-1.55 (m, 10H), 1.45 (d, 3H), 2.32 (s, 2H), 2.49-2.56 (m, 1H), 3.23 (d, 2H), 5.41 (t, 1H), 6.75 (q, 1H)。MS(ESI) m/z 330.29 (M+H+)。
【0111】
{[(1−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル}−1−シクロヘキサン酢酸(1)は、Estrada et al., US 2005-0154057が記載した方法を使用して結晶化される。例えば
【0112】
{[(1−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル}−1−シクロヘキサン酢酸の結晶化
化合物(1)(12g)をメチルシクロヘキサン:メチルtert−ブチルエーテル 10:1(60mL)中に懸濁した。懸濁物をゆっくり30分かけて50℃に加熱した。次に清澄な溶液を室温まで冷却した。濁った溶液に結晶型の5mgの標題化合物を種結晶として加えた。混合物をさらに2時間0〜4℃に冷却した。固形生成物をろ過し、メチルシクロヘキサン(2×10ml)で洗浄して、結晶性化合物(1)を白色の結晶性固体として得た(10g,83%収率)。結晶性固体物質は、開口毛細管融点測定法により測定すると約64℃〜66℃の融点範囲を有した。
【0113】
実施例2:
乾燥粉末の流動特性
【0114】
乾燥粉末の流れを、FLODEX(商標) 粉末流動性指標試験装置(Powder Flowability Index Test Instrument)(Hanson Research Corporation, Chatsworth, CA)を使用して解析した。装置には、円筒形の金属リザーバーが取り付けされ、これは流れ試験の前に試験粉末を保持する。円筒形リザーバーは内径5.7cmで長さ7.4mmである。リザーバーの底は、着脱式の金属ディスクで閉じることができる。各ディスクは中央に丸い穴を有する。穴の径は4mm〜10mmまで1mmずつ拡大し、10mm〜34mmまでは2mmずつ拡大する。試験の前に穴を塞ぐ。次に塞いだ穴の上に粉末を置く。穴の栓をはずすと、穴の径が充分に大きい場合は、重力により粉末は穴の中を流れることができる。小さい穴を流れる粉末は、錠剤化に有用な流動性を有すると考えられる。例えば、約24mm未満のFlodex測定値(Flodex)は典型的には、商業的スケールで高速錠剤化操作に使用される。約20mm未満のFlodexは、高速錠剤化操作に有用である。18mm又はそれ以下のFlodexは、大量処理錠剤化操作に特に有用であると考えられる。
【0115】
Flodexは、穴の底を約70ccの試験粉末で塞ぎながら、多く積み重なることを避け、そして粉末床を振動させたりたたいたりすることなく、まずリザーバーを静かに充填することにより測定する。次に穴の栓をはずす。これは、装置に取り付けたシャッターを開いて行うことができる。あるいは、シャッターを使用しない場合は、ディスクを取り付けた粉末を充填したリザーバーを、乾燥した平らな表面に置いて穴を塞ぐ。次にゆっくりかつ均等に、リザーバーを持ち上げて粉末を流れ出させる。いずれの場合も、粉末が穴を流れる場合、粉末床に明らかなチャネルが残る。粉末が穴を流れない場合、粉末床内にアーチ型の空洞が穴の上方に形成され、アーチと呼ばれる。流れ試験は、良好な流れに適した最小の穴の大きさ(これがFlodexと呼ばれる)が特定されるまで、種々の大きさの解析を用いて行われる。Flodexは、少なくとも3回の測定で、流れない場合より流れる場合の方が多い、粉末が穴内を流れる最小の穴径である。
【0116】
実施例3
錠剤の溶解プロフィール
【0117】
錠剤の溶解プロフィールは、1%volラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を有する10mM、pH7.4のリン酸二水素カリウム(KH2PO4)緩衝液中で37℃の温度で、USPパドル装置(II型)を使用して得られた。パドル攪拌速度は50rpmであった。
【0118】
実施例4
造粒と錠剤化
【0119】
化合物(1)、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトセル(商標)-E4M, Dow Chemical)を秤量し、30メッシュスクリーンのふるいにかけて弱い凝集物を破壊させた。スクリーニングした物質を高剪断湿式造粒機(KG−5高剪断ブレンダー、5リットルボール、Key International)に入れ、5分間あらかじめ混合した(インペラー速度188rpm、チョッパー速度2000rpm)。水を秤量し(USP、27.5質量%)、約20分以上造粒機に加え、湿った塊をインペラー速度188rpm、チョッパー速度2000rpmで2分間混合した。造粒後、湿った顆粒を0.079Gスクリーンを取り付けたQuadro Comilで粉砕した。粉砕した湿った顆粒を6リットルのボールを取り付けたドライヤー(GPCG-2 Fluid Bed Dryer, Glatt GmbH)に入れ、入り口温度55℃で乾燥し、顆粒温度が上がり始めるまで(すなわち<28℃)空気流を35SCFMに調整した。乾燥した顆粒を、0.050Gスクリーンを取り付けたQuadro Comilを通過させて粉砕した。
【0120】
錠剤を調製するために、乾燥した顆粒をV-shell 0.5クォートブレンダーに移し、あらかじめ30メッシュスクリーンを通過させたヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトセル(商標)K100M、Dow Chemical)を加え、25rpmで5分間混合した。ステアリン酸マグネシウム(NF、ウシ以外、Mallinckrodt)を70メッシュスクリーンでふるいにかけ、ブレンダーに加え、内容物を25rpmで3分間混合した。D−又はB−ツーリングを取り付けたKorsch XL100造粒プレスを使用して、混合物から錠剤を調製した。
【0121】
本例に開示した顆粒と錠剤の組成を表1と表2に要約する。
【0122】
【表1】
【0123】
【表2】
【0124】
実施例5
ローラー圧縮による錠剤の調製
【0125】
ローラー圧縮を使用して、600mgの化合物(1)を含有する持続放出性錠剤を調製した。錠剤成分を表3に示す。化合物(1)とリン酸一水素カルシウム2水和物の一部を拡散ミキサー中でプレ混合した。このプレ混合物、タルク、ベヘム酸グリセリル、コロイド二酸化ケイ素、及び残りのリン酸一水素カルシウム2水和物をスクリーニングミルを通過させ、次にラウリル硫酸ナトリウムの一部及びあらかじめスクリーニングしたステアリン酸マグネシウムの一部と一緒にし、拡散ミキサー中で混合した。混合物をローラー圧縮して乾燥顆粒を得て、次にこれを残りのラウリル硫酸ナトリウム及び残りのあらかじめスクリーニングしたステアリン酸マグネシウムと混合した。次に混合物を圧縮して錠剤とした。ローラー圧縮により調製した錠剤は、約46質量%の化合物(1)を含有した。異なる合成ロットからの化合物(1)を使用した以外は、SR1及びSR9錠剤の組成は同様であった。
【0126】
【表3】
【0127】
実施例6
錠剤溶解に及ぼす放出速度制御ポリマーの作用
1200mg錠剤の溶解プロフィールに及ぼす質量%メトセル(商標)-K100Mの作用を評価するために、改変卵型(0.8350mm×0.3225mm)ツーリングを使用して実施例4に従って、4、7、又は10質量%メトセル(商標)-K100Mを含む錠剤を調製した。対応する錠剤の組成を表4に示す。溶解プロフィールを図1に示し、実施例5に従って調製したSR1及びSR9錠剤の溶解プロフィールと比較した。
【0128】
【表4】
【0129】
実施例7
錠剤溶解に及ぼすHPMCの種類と含量の影響
【0130】
錠剤溶解に及ぼすHPMCの種類と含量の影響を測定するために、98質量%の化合物(1)、1質量%のメトセル(商標)-E4M、及び1質量%のSLSを含有する顆粒を使用して600mg用量錠剤を調製し、20質量%水、及びメトセル(商標)-K100M若しくはメトセル(商標)-E4Mを使用して調製した。錠剤の質量%の含量を表5に示す。
【表5】
【0131】
メトセル(商標)-K100M又はメトセル(商標)-K4Mと混合した調製物から調製した錠剤の溶解プロフィールを、それぞれ図2と図3に示す。
実施例8
溶解に及ぼす錠剤のサイズの影響
【0132】
総重量が約1350mgで89質量%の化合物(1)(1200mgの化合物(1))、7質量%のメトセル(商標)-K100M、及び2質量%のステアリン酸マグネシウムを含有し、異なる大きさの卵形ツーリングを使用して作成した錠剤の溶解を比較することにより、溶解プロフィールに対する錠剤サイズの影響を評価した。(0.8350mm×0.3225mm)、(0.9565mm×0.33475mm)、及び(0.7470mm×0.3460mm)改変卵形ツーリングを使用して作成した錠剤の溶解プロフィールを、図4に示す。
【0133】
実施例9
溶解に及ぼす錠剤硬度の影響
2質量%のステアリン酸マグネシウムを含有する錠剤(88.2質量%の化合物(1)、0.9質量%のメトセル(商標)-E4M、0.9質量%のSLS、8.0質量%のメトセル(商標)-K100M、及び2質量%のステアリン酸マグネシウム、総重量680.3mg)又は3質量%のステアリン酸マグネシウムを含有する錠剤(87.2質量%の化合物(1)、0.9質量%のメトセル(商標)-E4M、0.9質量%のSLS、8.0質量%のメトセル(商標)-K100M、及び3質量%のステアリン酸マグネシウム、総重量687.9mg)の溶解に及ぼす錠剤硬度の影響を、それぞれ図5と図6に示す。2質量%のステアリン酸マグネシウムを含む錠剤(図5)について、7、9、12、20、30、及び42kNの圧縮力は、それぞれ錠剤硬度12.7、14.4、17.9、16.8、17.3、及び15.8kPに対応する。2質量%のステアリン酸マグネシウムを含む錠剤(図6)について、7、9、12、20、30、及び42kNの圧縮力は、それぞれ錠剤硬度12.7、14.4、17.9、16.8、17.3、及び15.8kPに対応する。
【0134】
実施例10
顆粒の性質に及ぼす造粒中の水分含量の影響
顆粒の強度に及ぼす高剪断湿式造粒中に使用される水の量の影響を調べた。98質量%の化合物(1)、1質量%のメトセル(商標)-E4M、及び1質量%のSLS、又は97質量%の化合物(1)と3質量%のメトセル(商標)-E4Mを含有する顆粒を、20質量%〜30質量%の水を使用して調製し、乾燥し、Sympatec粒子アナライザー(QicPic/RODOS-L/VIBRI-L, Sympatec GmbH, Clausthal-Zellerfeld, DE)を使用して、粒子が割れ始める空気圧を測定することにより、顆粒強度を測定した。
【0135】
異なる量の水を使用して上昇する空気圧を用いて調製した、97質量%の化合物(1)と3質量%のメトセル(商標)-E4Mを含有するd10画分顆粒の平均粒子サイズを図7に示す。
【0136】
20質量%〜30質量%の水を使用して上昇する空気圧を用いて調製した、97質量%の化合物(1)、1質量%のメトセル(商標)-E4M、及び1質量%のSLSを含有するd10画分顆粒の平均粒子サイズを図8に示す。
【0137】
異なる量の水を使用して調製した顆粒の流動性に及ぼす水の影響を、表6に示す。98質量%の化合物(1)、1質量%のメトセル(商標)-E4M、及び1質量%のSLSを有する顆粒は、造粒プロセスで使用される広範囲の水にわたって、許容される流動性を示した。
【0138】
【表6】
【0139】
実施例11
錠剤成分と製剤の性質
錠剤成分と製剤の流動性を表7に示す。主ブレンド(Main Blend)は、98質量%の化合物(1)、1質量%のメトセル(商標)-E4M、及び1質量%のSLSを含有した。ブレンドDは、8質量%のメトセル(商標)-K100M及び2質量%のステアリン酸マグネシウムと混合した90質量%の顆粒を含有し、ブレンドEは、8質量%のメトセル(商標)-K100Mと3質量%のステアリン酸マグネシウムと混合した89質量%顆粒を含有し、実施例4に記載のように調製した。
【0140】
【表7】
【0141】
ブレンドDとブレンドEを使用して錠剤(600mg)を調製し、射出力を測定した。図9に示すように、2質量%(ブレンドD)から3質量%(ブレンドE)へステアリン酸マグネシウムの量を増加させると、圧縮ツールから錠剤を射出するのに必要な力が低下した。2つのブレンドの溶解プロフィールを図10に示す。
【0142】
実施例12
錠剤中の化合物(1)の化学的安定性
温度と湿度の種々の条件下での化合物(1)の開放皿(open dish)化学的安定性を、異なる錠剤について測定した。錠剤を最大3ヶ月間、温度と湿度に曝露し、化合物(1)とラクタム代謝物、3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン、ラクタム(1);3−[3−メチル−1−メチレン−5−(メチルエチル)ヘキサ−5−エニル]−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン、ラクタム(2);及び3−[(3−オキソ−2−アザスピロ[4.5]デカ−2−イル)エチル]−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン、ラクタム(3)の量を測定した。高剪断湿式造粒法により調製した顆粒を含有する錠剤の組成は、98質量%の化合物(1)、1質量%のメトセル(商標)-E4M、及び1質量%のSLSを含む95.5質量%の顆粒で、3質量%のメトセル(商標)-K100M及び1.5質量%のステアリン酸マグネシウムと混合した。SR1、SR4、及びSR9製剤を、実施例5に従って、異なる合成ロットからの化合物(1)を使用して調製した。結果を表11と表12に示す。高薬剤充填錠剤は、ローラー圧縮を使用して調製した錠剤(SR1、SR4、及びSR9)と比較して、より少量のラクタム分解物を示した。
【0143】
【表8】
【0144】
【表9】
【0145】
実施例13
持続放出性経口剤形を投与後のヒト被験体でのガバペンチンの薬物動態
本開示により提供される持続放出剤形の投与後のガバペンチンの薬物動態を、絶食条件下の10人の健常成人男性志願者の非盲検5期試験を使用して、処置の間に5日間のウォッシュアウトを用いて測定した。試験の期間1では、すべての被験者に600mg(2×300mg)のNEURONTIN(商標)(ガバペンチン)の単回経口投与を行った。以後の4つの期間(期間2〜期間5)では各被験者に、2つの異なる化合物(1)SR錠剤の1つをランダムに投与した。すべての化合物(1)製剤を、1200mg化合物(1)(2つの600mg錠剤)の単回経口投与で投与した。2つの化合物(1)錠剤は、実施例5に従って調製されたSR1とSR9製剤であった。
【0146】
投与前と投与後一定時間に、すべての被験者から血液試料(約3mL)を、K2EDTAを含有する試験管中に採取した。採取後15分以内に血液試料を3000rpmで4℃で遠心分離した。血漿の2つのアリコート(各約0.7mL)をピペットでVWR試験管に移した。試料を−20℃で保存した後、分析した。
【0147】
全尿の採取を、投与前、投与後0〜4時間、4〜8時間、8〜12時間、12〜24時間、及び24〜36時間の間隔で行った。各間隔で総尿量を重量(g)で測定し、1g=1mLの関係を使用してmLに換算した。尿試料の2つのアリコート(各1.5mL)を−20℃以下で保存後、分析した。
【0148】
血漿試料は、ヒト血漿(K2EDTA)中のガバペンチン測定について評価済みのLC−MS/MS法により分析した。この方法は、80〜10,000ng/mLの濃度範囲で直線であった。バッチ内精度(%CV)は≦2.83%であり、バッチ内正確度(理論%)は97.5〜104%の範囲であった;バッチ間精度は≦5.76%であり、バッチ間正確度は97.7〜104%の範囲であった。
【0149】
尿試料は、ヒト尿中のガバペンチン測定について評価済みのLC−MS/MS法により分析した。この方法は、50〜12,500ng/mLの濃度範囲で直線であった。バッチ内精度(%CV)は≦4.93%であり、バッチ内正確度(理論%)は96.0〜102%の範囲であった;バッチ間精度は≦5.14%であり、バッチ間正確度は98.1〜105%の範囲であった。血漿中のガバペンチンの濃度データは、WINNONLIN(商標)(WINNONLIN(商標)ソフトウェアのバージョン4.1、Pharsigh Corporation, Mountain View, CA)を使用して非コンパートメント法により解析した。
【0150】
薬物動態解析と統計的計算について定量限界より下のすべての濃度値は0(ゼロ)として処理した。薬物動態パラメータの計算には実際の時間を使用した。すべての濃度データとPKパラメータをSIGMAPLOT(商標)(バージョン9.0、Systat Software Inc, Point Richmond, CA)を使用してプロットした。
【0151】
最大濃度(Cmax)とCmaxまでの時間(Tmax)を、観察により得た。見かけの排出半減期(T1/2)は、最終期の3又はそれ以上のlog変換データ点の線形回帰により得た。濃度−対−時間曲線下の面積(AUC)は、投与間隔にわたる濃度データを使用して、線形台形法により得た。無限大まで外挿したAUC値(AUCinf)は以下のように計算した:
AUCinf=AUC(0-tlast)+Clast/λZ
ここで、tlastは最後の定量可能な濃度(Clast)の時間であり、λZは見かけの末端排出相の速度定数である。
【0152】
各尿採取期間中に排泄されるガバペンチンの総量(Ae)は以下のように計算した:
Ae(t1-t2)=C(t1-t2)×V(t1-t2)
ここで、Ae(t1-t2)は、時間間隔t1〜t2にわたって排泄されるmg量であり、C(t1-t2)は、この間隔で採取される尿中アナライトのmg/mL濃度であり、V(t1-t2)は尿試料の総量(mL)である。36時間にわたって排泄された総量(Ae(0-36))は、すべての間隔で排泄された量の合計として計算した。ガバペンチンとして36時間で排泄された用量のパーセントは以下のように計算した:
排泄された用量パーセント(%R)=100*(Ae(0-36)/D)
ここでDは、ガバペンチンのmg当量で表した化合物(1)の投与量である。ガバペンチンはあまり代謝されず尿中にのみ排泄されるため、経口投与後のガバペンチンの尿回収は経口バイオアベイラビリティ(F)に等しい。この推定は、各採取期間の尿容量の正確な測定を必要とする。
【0153】
SR1又はSR9錠剤としての1200mg化合物(1)(2つの600mg錠剤)の単回経口投与後の健常患者の血漿中のガバペンチンの薬物動態プロフィールを図11に示し、パラメータを表13に要約する。
【0154】
【表10】
【0155】
最後に、本明細書に開示の実施態様を実施するための別の方法があることに注意されたい。従って本実施態様は例示目的であり、本発明を限定するものではない。さらに特許請求の範囲は、本明細書に記載の詳細に限定されず、これらの全範囲と同等物を示す。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年3月6日に出願された米国仮特許出願第61/158,065号の優先権を主張し、当該出願は、すべての目的について参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示により提供される方法は、高充填量のガバペンチン(gabapentin)プロドラッグを有する持続放出性経口剤形に関する。
【背景技術】
【0003】
GABAアナログである以下の式:
【化1】
で表されるガバペンチン[1−(アミノメチル)シクロヘキサン酢酸]のプロドラッグである1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸(1)は、経口投与又は哺乳動物の結腸に直接投与すると、ガバペンチンとして高いバイオアベイラビリティを示す(Cundy et al., J Pharm Expt'l Ther 2004, 311(1), 315-323; Cundy et al., J Pharm Expt'l Ther 2004, 311(1), 324-333; Cundy et al., 60th American Academy Neurology Annual Meeting, Chicago, IL, April 12-19, 2008, Poster PO 5.168; 及び Cundy et al., J Clin Pharmacol 2008, 48(12), 1378-88)。化合物(1)の投与後のガバペンチンの高い経口バイオアベイラビリティは、経口剤形(持続放出性経口剤を含む)における化合物(1)の使用、及びてんかん、本態性振戦、慢性局所疼痛症候群、線維筋痛症、神経根障害、腹部内臓痛、過敏性腸症候群、偏頭痛、全般性不安障害、うつ病、不眠症、過活動膀胱、ほてり、早漏、むずむず脚症候群、神経因性疼痛、慢性腰痛、アルコール依存症、複合性局所疼痛症候群、術後疼痛、癌誘発性疼痛、双極性障害、社会不安障害、パーキンソン病、喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患、及び外陰部痛を治療するためのこのような経口剤形の使用を促進する。
【0004】
化合物(1)の合成は、Gallop et al., 米国特許第6,818,787号、7,186,855号、7,227,028号、6,927,036号;Estrada et al., US 2005-0154057; Bhat et al., US 2005-0070715; Raillard et al., US 7332,924, 及び米国特許出願第12/537,764号、及び12/537,798号に記載されている。化合物(1)の結晶型は、Estrada et al., US 2005-0154057に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
化合物(1)を含む経口剤形は、Cundy and Gallop, US 6,833,140; 及びCundy et al., US 2006-0141034に記載されている。現在の錠剤は化合物(1)を充填しており、これは多量の薬剤投与を支持するために大きな錠剤となっており、錠剤を製造するために使用される顆粒の性質は、商業的錠剤化操作に理想的に適している訳ではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
95質量%を超える1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸を用いて顆粒から調製される、高充填量の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸又はその医薬的に許容し得る塩を有する経口錠剤剤形が開示される。
【0007】
第1の態様において、約80質量%〜約95質量%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸又はその医薬的に許容し得る塩を含む経口錠剤剤形が開示される。
【0008】
第2の態様において、約95質量%を超える1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸又はその医薬的に許容し得る塩を含む固体顆粒が開示される。
【0009】
第3の態様において、約95質量%を超える1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸又はその医薬的に許容し得る塩を含む固体顆粒を含む経口錠剤剤形が開示される。
【0010】
第4の態様において、疾患が、てんかん、本態性振戦、慢性局所疼痛症候群、線維筋痛症、神経根障害、腹部内臓痛、過敏性腸症候群、偏頭痛、全般性不安障害、うつ病、不眠症、過活動膀胱、ほてり、早漏、むずむず脚症候群、神経因性疼痛、慢性腰痛、アルコール依存症、複合性局所疼痛症候群、術後疼痛、癌誘発性疼痛、双極性障害、社会不安障害、パーキンソン病、喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患、及び外陰部痛から選択されることを特徴とする、患者の疾患を治療する方法であって、治療の必要な患者に、本開示により提供される少なくとも1つの経口錠剤剤形を投与することを含んでなる方法が開示される。
【0011】
当業者は、本明細書に記載の図面が例示のみを目的とすることを理解するであろう。図面は、本開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、異なる質量%のメトセル(METHOCEL)(商標)-K100Mを有する1200mgの化合物(1)錠剤の溶解プロフィールを示す。
【図2】図2は、異なる質量%のメトセル(商標)-K100Mを有する600mg錠剤の溶解プロフィールを示す。
【図3】図3は、異なる質量%のメトセル(商標)-K4Mを有する600mg錠剤の溶解プロフィールを示す。
【図4】図4は、7質量%のメトセル(商標)-K100Mと2質量%のステアリン酸マグネシウムとを有する、異なるサイズの1200mg錠剤の溶解プロフィールを示す。
【図5】図5は、8質量%のメトセル(商標)-100Mと2質量%のステアリン酸マグネシウムとを有する、異なる硬度の600mg錠剤の溶解プロフィールを示す。
【図6】図6は、8質量%のメトセル(商標)-K100Mと3質量%のステアリン酸マグネシウムとを有する異なる硬度の600mg錠剤の溶解プロフィールを示す。
【図7】図7は、造粒中に異なる量の水を使用して調製された、97質量%の化合物(1)と3質量%のメトセル(商標)-E4Mとを有する顆粒の強度を示す。
【図8】図8は、造粒中に異なる量の水を使用して調製された、98質量%の化合物(1)、1質量%のメトセル(商標)-E4M、及び1質量%のラウリル硫酸ナトリウムとを有する顆粒の強度を示す。
【図9】図9は、異なる質量%のステアリン酸マグネシウムを有する600mg錠剤のツーリングダイ(tooling die)からの射出力を示す。
【図10】図10は、異なる硬度と異なる質量%のステアリン酸マグネシウムとを有する600mg錠剤の溶解プロフィールを示す。
【図11】図11は、実施例5に記載のように調製した1200mg錠剤の投与後の、10人の絶食させた健常成人男性被験体の血漿中のガバペンチンの平均薬物動態プロフィールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
「AUC」は、患者に化合物を投与した後の時間の関数としての、患者の血液又は血漿中の化合物又はその代謝物の濃度を示す曲線下の面積である。例えば投与される化合物は、ガバペンチンプロドラッグ(1)及び対応する代謝物であるガバペンチンでもよい。AUCは、液体クロマトグラフィー−タンデム質量スペクトル法(LC/MS/MS)のような方法を使用して、様々な時間間隔で、血液中の化合物又はその代謝物の濃度を測定し、血液又は血漿濃度−対−時間曲線下の面積を計算することにより決定される。濃度対時間曲線はまた、薬物動態プロフィールとも呼ばれる。薬物濃度−対−時間曲線からAUCを計算する適切な方法は、当該分野で公知である。例えばガバペンチンのAUCは、ガバペンチンプロドラッグ、例えば化合物(1)を患者に投与した後の、患者の血液中のガバペンチンの濃度を測定することにより決定される。AUC0-24は、投与(時間0)から投与の24時間後までの曲線下の面積である。AUCSS,24は、数日間にわたって投与された(定常状態)投与処方後の24時間の曲線下の面積である。AUCinfは無限大(AUCinf)まで外挿されたAUCであり、AUCinf=AUC(0~tlast)+Clast/λZとして計算され、ここでtlastは最後の定量可能な濃度(Clast)の時間であり、λZは、見かけの最終排除相の速度定数である。
【0014】
「バイオアベイラビリティ」は、患者に化合物(1)を投与した後に、患者の全身循環に到達するガバペンチンの速度と量を示し、例えばガバペンチンの血液又は血漿濃度−対−時間プロフィールを評価することにより決定することができる。血液濃度−対−時間曲線を解析するのに有用なパラメータは、曲線下の面積(AUC)、ピーク濃度までの時間(Tmax)、及び最大ガバペンチン濃度(Cmax)であり、ここでCmaxは、患者にある量の化合物(1)を投与後の患者の血液又は血漿中の薬剤の最大濃度であり、Tmaxは、患者にある量の化合物(1)を投与後の患者の血液又は血漿中のガバペンチンの最大濃度(Cmax)への到達時間である。
【0015】
絶対経口バイオアベイラビリティは、等量の化合物又はその代謝物の静脈内投与後のバイオアベイラビリティと比較した、経口投与後の化合物又はその代謝物のバイオアベイラビリティである。化合物又はその代謝物の相対的経口バイオアベイラビリティは、別の剤形及び/又は投与経路での等量の化合物又はその代謝物の投与に対する、化合物又はその代謝物の経口投与後のバイオアベイラビリティである。例えばある実施態様において、%Frelとして表される相対的経口バイオアベイラビリティは、持続放出剤形として20mgの化合物(1)を経口投与後のガバペンチンのバイオアベイラビリティに対する、患者への化合物(1)を経口投与後のAUC0-24で決定されるガバペンチンのバイオアベイラビリティである。
【0016】
「生物学的同等性」は、患者に等用量のガバペンチン又は化合物(1)を投与後のガバペンチン吸収の速度と程度の同等性を意味する。本明細書において2つの薬物動態プロフィールの平均応答の比率の90%信頼区間が0.8〜1.25の限界内であるなら、2つのプロフィールは生物学的に同等である。平均応答は、Cmax、Tmax、及びAUCのようなプロフィールの特性パラメータの少なくとも1つを含む。
【0017】
「化合物(1)」は、ガバペンチンプロドラッグ(1)である1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸(IUPAC名[1−({[({1−[(2−メチルプロパノイル)オキシ]エチル}オキシ)カルボニル]アミノ}メチル)シクロヘキシル]酢酸)、及びその医薬的に許容し得る塩を含む。化合物(1)は、ラセミ体(±)−1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸、及び/又は2つの鏡像異性体のいずれかを意味する。「化合物(1)」は、「ガバペンチンプロドラッグ(1)」と同義に使用される。ある実施態様においてガバペンチンプロドラッグ(1)/化合物(1)は遊離酸である。ある実施態様においてガバペンチンプロドラッグ(1)/化合物(1)は塩酸塩である。化合物(1)/ガバペンチンプロドラッグ(1)はまた、ガバペンチンエナカルビル(gabapentin enacarbil)、XP13512又はGSK183262とも呼ばれる。
【0018】
化合物(1)はまた、エノール型、ケト型、及びこれらの混合物を含むいくつかの互変異性体型で存在してもよい。従って本明細書に記載の化学構造は、例示化合物のすべての可能な互変異性体を包含する。
【0019】
化合物(1)は、非溶媒和型ならびに水和型及びN−オキシド型を含む溶媒和型で存在してもよい。一般に化合物(1)は、遊離酸、水和物、溶媒和物、N−オキシド、又はこれらの任意の組合せでもよい。化合物(1)は、結晶型、共結晶型、又は非晶質で存在してもよい。化合物(1)は、上記の任意の遊離酸型、ならびに上記の任意の結晶型の、医薬的に許容し得る塩又は医薬的に許容し得る溶媒和物を含む。
【0020】
化合物(1)のいくつかの医薬的に許容し得る塩は、溶媒和物の形で存在してもよい。溶媒和物は、化学量論量又は非化学量論量の、ある化合物と1個以上の溶媒分子との分子複合体を示す。このような溶媒分子は医薬分野で一般的に使用されるものであり、患者に対して無害であるものであり、例えば水、エタノールなどである。化合物又は化合物成分と溶媒との分子複合体は、非共有結合的分子内力、例えば静電力、ファンデアワールス力、又は水素結合により安定化することができる。用語「水和物」は、1個以上の溶媒分子が水である溶媒和物を意味する。
【0021】
「本開示の化合物」は、式(1)/化合物(1)/ガバペンチンプロドラッグ(1)の範囲内に入る任意の化合物を含む。化合物は、化学構造及び/又は化学名により特定される。化学構造と化学名が相いれない場合、化学構造が化合物の本体を決定する。本明細書に記載の化合物はキラル中心を含む。特に明記しない場合は、相対配置で記載された化学構造は、記載の化合物のすべての可能な鏡像異性体を含む(例えば、鏡像異性体的に純粋な形、及び鏡像異性体混合物)。鏡像異性体は、当業者に公知の分離法又はキラル合成法を使用して、その成分鏡像異性体に分解される。例えば鏡像異性体の分離は、分離剤の存在下での結晶化、又はクロマトグラフィー、例えばキラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムを使用するクロマトグラフィーにより行われる。
【0022】
化合物(1)はまた、1個以上の原子が自然界に通常存在する原子量とは異なる原子量を有するアイソトープ標識された化合物を含んでもよい。化合物に取り込まれるアイソトープの例には、特に限定されないが、2H、3H、11C、13C、14C、15N、18O、17Oなどがある。ある実施態様において化合物(1)は、アイソトープ標識されていない。
【0023】
化合物(1)は、結晶型、共結晶型、又は非晶質型で存在してもよい。
【0024】
「Cmax」は、患者にある用量の化合物(1)を投与した後の患者の血液中で観察される最大ガバペンチン濃度である。
【0025】
「C12」は、患者に化合物(1)を投与してから12時間後の患者の血液中で観察されるガバペンチン濃度である。
【0026】
「Tmax」は、患者にある量の化合物(1)を投与後から、患者の血液中のガバペンチンの最大濃度(Cmax)までの時間である。
【0027】
「T1/2」は、Tmaxと、患者の血液中のガバペンチン濃度が最大薬剤濃度の半分に低下するまで時間との時間間隔である。
【0028】
「剤形」は、治療効果を達成するために患者で投与することができる、ある量の活性物質、又は活性物質のプロドラッグ、すなわちガバペンチンプロドラッグ(1)を含有する製剤の形を意味する。経口剤形は、口を経由して患者に投与され飲み込まれるものである。ある用量の薬剤は、同時に投与されるか又はある時間をかけて投与される1個以上の剤形を含んでよい。
【0029】
「患者」は、例えばヒトなどの哺乳動物を含む。
【0030】
「医薬的に許容し得る」は、ヒトを含む哺乳動物での使用が、連邦政府又は州政府の規制機関により認可されるているか又は認可可能であるか、米国薬局方に記載されているか、又は他の一般的に認識されている薬局方に記載されていることを意味する。
【0031】
「1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸の用量」は、1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が塩又は溶媒和物である場合、その塩又は溶媒の重量を含まない1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸の量、典型的にはミリグラム量を意味する。
【0032】
「医薬的に許容し得る塩」は、医薬的に許容し得るものであり、親化合物の所望の薬理活性を有する化合物(1)のような化合物の塩を意味する。そのような塩には、(1)酸付加塩、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸を用いて形成されるか、又は、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などの有機酸を用いて形成される酸付加塩、及び(2)親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又はアルミニウムイオン)によって置換されるときに形成される塩、又はエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミンなどの有機塩基との配位化合物がある。ある実施態様において化合物(1)の塩は塩酸塩であり、ある実施態様においてナトリウム塩である。
【0033】
「医薬的に許容し得るビヒクル」又は「医薬的に許容し得る賦形剤」は、医薬的に許容し得る希釈剤、医薬的に許容し得る補助剤、医薬的に許容し得る賦形剤、医薬的に許容し得る担体、又は前記のいずれかの組合せを意味し、これとともに、ガバペンチンプロドラッグである1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸(1)のような化合物が患者に投与され、これはその薬理活性を破壊せず、ガバペンチンプロドラッグ若しくはガバペンチン代謝物の治療的有効量を与えるのに充分な用量で投与される時、非毒性である。
【0034】
「医薬組成物」は、ガバペンチンプロドラッグ(1)と、該プロドラッグとともに患者に投与される少なくとも1個の医薬的に許容し得るビヒクルとを、含んでなる組成物を意味する。
【0035】
「プロドラッグ」は、使用条件下(例えば体内)で変換を受けて活性薬剤を放出するような、活性化合物(薬剤)の誘導体を意味する。プロドラッグはいつもではないが、活性薬剤に変換されるまではしばしば不活性である。プロドラッグは、プロ成分(本明細書で定義される)を、典型的には官能基を介して薬剤に結合させることにより得ることができる。例えばガバペンチンプロドラッグ(1)は、患者の体内で代謝されて親薬剤であるガバペンチンを生成する。
【0036】
「プロ成分」は、薬剤に結合した基、典型的には特定の使用条件下で切断可能な結合を介して、薬剤の官能基に結合した基を意味する。薬剤とプロ成分との結合は、酵素的又は非酵素的手段により切断される。使用条件下では、例えば患者に投与後、薬剤とプロ成分との結合は切断されて親薬剤を放出する。プロ成分の切断は、自発的に(例えば加水分解反応)進行するか、又は別の物質(例えば、酵素、光、酸)により、又は物理的若しくは環境的パラメータへの曝露の変化(例えば、温度、pHなどの変化)により、触媒されるか又は誘導される。この物質は、使用条件下で内因性(例えば、プロドラッグが投与される患者の全身循環中に存在する酵素、又は胃の酸性条件)に、又は外因性に供給される。例えばガバペンチンプロドラッグ(1)については、薬剤はガバペンチンであり、プロ成分は以下の構造を有する:
【化2】
【0037】
「持続放出」は、化合物の即時型製剤の経口投与により達成される速度と比較して、全身血液循環中で化合物又はその活性代謝物の治療量を長期間にわたって達成するのに有効な速度での、剤形からの化合物の放出を意味する。
【0038】
「治療的有効量」は、疾患もしくは障害、又は疾患もしくは障害の臨床症状の少なくとも1つを治療するために被験体に投与される時、疾患、障害、又は症状のかかる治療を行うのに充分な量を意味する。治療的有効量は、例えば化合物、疾患、障害、及び/又は疾患の症状、疾患もしくは障害の重症度、及び/又は疾患もしくは障害の症状、治療される患者の年齢、体重、及び/又は健康、及び担当医師の判断により変化する。治療的有効量は、当業者又は日常的実験により決定できる者により確認される。
【0039】
疾患の「治療する」又は「治療」は、疾患又は疾患の少なくとも1つの臨床症状を阻止するか若しくは改善して、疾患若しくは疾患の少なくとも1つの臨床症状に罹るリスクを低下させるか、疾患若しくは疾患の少なくとも1つの臨床症状の進行を阻止するか若しくは改善するか、又は疾患若しくは疾患の少なくとも1つの臨床症状を発症するリスクを低下させる、ことを意味する。「治療する」又は「治療」はまた、身体的(例えば、認識できる症状の安定化)に、生理的(例えば、身体的パラメータの安定化)に、又はその両方で、疾患を抑制すること、及び患者が認識できるか又は認識できない少なくとも1つの身体的パラメータを阻止することを意味する。ある実施態様において「治療する」又は「治療」は、患者が疾患の症状をまだ経験していないか若しくは発症していなくても、疾患に曝露されたか若しくはその素因がある患者で、疾患又は疾患の少なくとも1つ以上の症状の発症を遅延させることを意味する。予後は、疾患の予防を意味する。
【0040】
ここで、剤形と方法のいくつかの実施形態が詳細に参照される。開示された実施態様は、特許請求の範囲を限定するものではない。逆に特許請求の範囲が、すべての代替態様、改変態様、及び同等態様を包含することを企図する。
構成
【0041】
本開示により提供される持続放出性経口剤形は、化合物(1)と医薬的に許容し得る賦形剤とを含む。以下の構造:
【化3】
で与えられる1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸は、約400mg当量のガバペンチンより多い用量で、ガバペンチンの高い経口バイオアベイラビリティを示す。化合物(1)は、1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸医と医薬的に許容し得る塩とを含む。ある実施態様において化合物(1)は、1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸の遊離酸型である。ある実施態様において化合物(1)は結晶性であり、ある実施態様において1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸の遊離酸の結晶型である。ある実施態様において剤形中の化合物(1)は、Estrada et al., US2005-0154057に開示された結晶型である。ある実施態様において結晶性1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸は、Cu Kα放射線を使用するX線粉末回折図で、7.0°±0.3°、8.2°±0.3°、10.5°±0.3°、12.8°±0.3°、14.9°±0.3°、及び16.4°±0.3°で、特徴的分散角度を示す。ある実施態様において結晶性1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸は、Cu Kα放射線を使用するX線粉末回折図で、7.0°±0.3°、8.2°±0.3°、10.5°±0.3°、12.8°±0.3°、14.9°±0.3°、16.4°±0.3°、17.9°±0.3°、18.9°±0.3°、20.9°±0.3°、23.3°±0.3°、25.3°±0.3°、及び26.6°±0.3°で、特徴的分散角度を示す。ある実施態様において結晶性1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸は、Kα放射線を使用するX線粉末回折図で、7.0°±0.3°、8.2°±0.3°、10.5°±0.3°、12.8°±0.3°、14.9°±0.3°、16.4°±0.3°、18.1°±0.3°、18.9°±0.3°、20.9°±0.3°、23.3°±0.3°、25.3°±0.3°、及び26.6°±0.3°で、特徴的ピークを示す。ある実施態様において結晶性1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸は、Kα放射線を使用するX線粉末回折図で、7.0°±0.3°、8.2°±0.3°、10.5°±0.3°、12.8°±0.3°、14.9°±0.3°、16.4°±0.3°、17.9°±0.3°、18.1°±0.3°、18.9°±0.3°、20.9°±0.3°、23.3°±0.3°、25.3°±0.3°、及び26.6°±0.3°で、特徴的ピークを示す。前記のいくつかの実施態様において、結晶性1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸は、示差走査熱分析法によりスキャン速度5℃/分で測定した時、約63℃〜約64℃の融点範囲を有する。前記のいくつかの実施態様において、結晶性1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸は、開口毛細管融点測定法により測定した時、約64℃〜約66℃の融点範囲を有する。
【0042】
化合物(1)は、Gallop et al., US Patent Nos. 6,818,787, 7,186,855, 7,227,028, and 6,927,036; Estrada et al., US 2005-0154057; Bhat et al., US 2005-0070715; 及び/又は Raillard et al., US 7332,924, 及び U.S. Application Nos. 12/537,764 及び 12/537,798に記載されている方法を使用して調製される。
【0043】
本開示により提供される持続放出性経口剤形は、化合物(1)と1つ以上の医薬的に許容し得る賦形剤とを含む。持続放出性経口剤形は、80質量%を超える化合物(1)、85質量%を超える化合物(1)、90質量%を超える化合物(1)、又はある実施態様において95質量%を超える化合物(1)を含んでよく、ここで質量%は剤形の総重量に基づく。ある実施態様において経口剤形は、約85質量%〜約95質量%の化合物(1)を含む。ある実施態様において剤形は、約300mg〜約1300mgの化合物(1)、例えば約600mgの化合物(1)、又は約1200mgの化合物(1)を含んでよい。
【0044】
ある実施態様において1つ以上の医薬的に許容し得る賦形剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)及び医薬的に許容し得る滑沢剤である。剤形中のHPMCの量は、約3質量%〜約18質量%、約6質量%〜約9質量%、及びある実施態様において約7質量%〜約8質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースである。ある実施態様においてヒドロキシプロピルメチルセルロースは、メトキシル含量が19%〜24%でヒドロキシプロピル含量が7%〜12%であることを特徴とするヒプロメロース2208ポリマー、例えば メトセル(商標)K3、メトセル(商標)KlOO、メトセル(商標)K4M、メトセル(商標)Kl 5M、及びメトセル(商標)KlOOM (Dow Chemical)、又は他の化学的に同等のポリマーから選択される。ある実施態様においてヒドロキシプロピルメチルセルロースは、2%水溶液中で80,000cps〜120,000cpsの粘度を有するヒプロメロース2208ポリマーである。ある実施態様においてヒドロキシプロピルメチルセルロースは、メトキシル含量が19%〜24%でヒドロキシプロピル含量が7%〜12%であり、かつ2%水溶液中で粘度が80,000cps〜120,000cpsであるヒプロメロース2208ポリマー、例えば メトセル(商標)KlOOMから選択される。
【0045】
剤形中の滑沢剤の量は、約0.5質量%〜約4質量%、約2質量%〜約4質量%、及びある実施態様において約3質量%である。ある実施態様において滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、及びステアリン酸から選択され、ある実施態様において滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0046】
本開示により提供される持続放出性経口剤形は、高充填量の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸、例えば約80質量%を超える化合物(1)を有する。化合物(1)は、高充填量の化合物(1)を有する顆粒の形で提供される。例えば顆粒は、約95質量%を超える化合物(1)、約96質量%を超える化合物(1)、約97質量%を超える化合物(1)、約98質量%を超える化合物(1)、約99質量%を超える化合物(1)を含んでよい。顆粒はさらに、放出速度制御ポリマー(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース)と界面活性剤とを含んでよい。
【0047】
顆粒は、約0.5質量%〜約1.5質量%、及びある実施態様において約1質量%のポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースを含んでよく、これは放出速度制御ポリマー及び/又は結合剤として機能する。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、メトキシル含量が28%〜30%でヒドロキシプロピル含量が7%〜12%であることを特徴とするヒプロメロース2910ポリマー、例えば メトセル(商標)E3、メトセル(商標)E5、メトセル(商標)E6、メトセル(商標)E16、メトセル(商標)E50、メトセル(商標)E4M、及びメトセル(商標)E10 (Dow Chemical)、又は他の化学的に同等のポリマーから選択される。ある実施態様においてヒドロキシプロピルメチルセルロースは、2%水溶液中で3,000cps〜5,600cpsの粘度を有するヒプロメロース2910ポリマーである。ある実施態様においてヒドロキシプロピルメチルセルロースは、メトキシル含量が28%〜30%でヒドロキシプロピル含量が7%〜12%であり、かつ2%水溶液中で粘度が3,000cps〜5,600cpsであるヒプロメロース2910ポリマー、例えば メトセル(商標)E4Mから選択される。
【0048】
顆粒は、約0.5質量%〜約1.5質量%の界面活性剤を含むか、又はある実施態様において約1質量%の界面活性剤を含んでよい。界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ポロリキサマー[ポリ(プロピレンオキシド)とポリ(エチレンオキシド)とのトリブロックコポリマー]、及びポリソルベート(ソルビタンモノラウレートのポリエチレン誘導体)から選択される。ある実施態様において界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムである。
【0049】
ある実施態様において顆粒は基本的に、約98質量%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸;約1質量%の界面活性剤;及びメトキシル含量が28〜30%、ヒドロキシプロピル含量が7〜12%、及び2%水溶液中の粘度が3,000cps〜5,600cpsの約1質量%のヒプロメロース2910ポリマーからなる。
【0050】
高充填量の化合物(1)を有する顆粒は、高剪断湿式造粒法を使用して調製される。少なくとも一部は顆粒剤を形成するのに使用される放出速度制御ポリマー/結合剤及び界面活性剤の量は、造粒中に使用される水の量の広い加工ウィンドウを与えるように選択される。一般的には、顆粒の性質に悪影響を与えることなくプロセスパラメータを変化させ、以後の錠剤化プロセスを促進する最適流れと機械的性質とを有する顆粒を製造できることが好ましい。すなわち本開示により提供される顆粒は、顆粒を調製するのに使用される約20質量%〜約30質量%の乾燥調製物と同等の水、顆粒を調製するのに使用される約23質量%〜約29質量%の乾燥調製物と同等の水、及びある実施態様において顆粒を調製するのに使用される約26質量%〜約28質量%の乾燥調製物と同等の水が使用される。
【0051】
あるいは高充填量の化合物(1)を含む顆粒は、ローラー圧縮を使用して調製される。
【0052】
あるいは高充填量の化合物(1)を含む顆粒は、流動床造粒法を使用して調製される。
【0053】
本開示により提供される顆粒、例えば化合物(1)、メトセル(商標)E4M、及びラウリル硫酸ナトリウムを含む顆粒は、約20mm未満、約18mm未満、及びある実施態様において約10mm未満のフロデックス(Flodex)を示す。
【0054】
ある実施態様において、顆粒の成分が含まれる場合、本開示により提供される経口剤形は、約80質量%〜約90質量%の化合物(1)、約0.8質量%〜約1.0質量%の第1のヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマー、約0.8質量%〜約1.0質量%の界面活性剤、約3質量%〜約15質量%の第2のヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーと約0.5質量%〜約3.5質量%の滑沢剤を含む。ある実施態様において本開示により提供される経口剤形は、約85質量%〜約90質量%の化合物(1)、メトキシル含量が28%〜30%、ヒドロキシプロピル含量が7%〜12%、そして2%水溶液中の粘度が3,000cps〜5,600cpsの約0.8質量%〜約1.0質量%のヒプロメロース2910ポリマー、約0.8質量%〜約1.0質量%のラウリル硫酸ナトリウム、メトキシル含量が19%〜24%、ヒドロキシプロピル含量が7%〜12%、そして2%水溶液中の粘度が80,000cps〜120,000cpsの約6質量%〜約9質量%のヒプロメロース2208ポリマー、及び約2.5質量%〜約3.5質量%のステアリン酸マグネシウムを含む。ある実施態様において本開示により提供される経口剤形は、約85質量%〜約90質量%の化合物(1)、約0.8質量%〜約1.0 質量%のメトセル(商標)E4M、約0.8質量%〜約1.0質量%のラウリル硫酸ナトリウム、約6質量%〜約9質量%のメトセル(商標)Kl00M、及び約2.5質量%〜約3.5質量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0055】
剤形
本開示により提供される持続放出性経口剤形は、錠剤として提供してもよい。錠剤を調製するのに使用される調製物は、1つ以上の医薬的に許容し得る賦形剤と、高充填量の化合物(1)と1つ以上の医薬的に許容し得る賦形剤とを含む顆粒との、混合物を含む。ある実施態様において顆粒は、高剪断湿式造粒法により調製される。本開示により提供される調製物は一般に、打錠成型により経口錠剤形を作成するのに有用である。
【0056】
ある実施態様において、剤形は化合物(1)を含む錠剤の形でもよい。錠剤剤形は、薬剤の経口投与に適した任意の形、例えば球形、立方体、卵形、又は楕円形でもよい。ある実施態様において本開示により提供される錠剤剤形、例えば錠剤の形の経口剤形は、少なくとも1つの放出速度変更化合物を含むマトリックス中にガバペンチンプロドラッグ(1)が分散されたマトリックスシステムである。マトリックスシステムは、例えば"Handbook of Pharmaceutical Controlled Release Technology," Wise編, Marcel Dekker, Inc. (2000) 及び "Treatise on Controlled Drug Delivery, Fundamentals, Optimization, and Applications," Kydonieus編, Marcel Dekker, Inc. (1992)に記載されているように公知である。
【0057】
ある実施態様において、本開示により提供される剤形中の化合物(1)の量[用量強度(dose strength)]は、約100mg〜約2000mgであり、ある実施態様において約300mg〜約1200mgであり、ある実施態様において300mg、600mg、900mg、又は1200mgである。化合物(1)の医薬的に許容し得る塩及び/又は溶媒和物を含む剤形について、剤形中の化合物(1)の量は、該塩及び/又は水和物を含む化合物(1)の質量相当量を意味する。ある実施態様において錠剤剤形は、治療的有効量の化合物(1)を含む。治療的有効量の化合物(1)は、約50mg当量〜約1,000mg当量のガバペンチン、又は約150mg当量〜約600mg当量のガバペンチンを含む。1mgの化合物(1)は、約0.521mg当量のガバペンチンを含む。ある実施態様において治療的有効量の化合物(1)は、患者に悪影響(例えば、めまい、傾眠、疲労、及び/又は運動失調)を引き起こす量よりは少ない。
【0058】
錠剤剤形が治療的有効量未満の化合物(1)を含む実施態様において、化合物(1)の治療的有効量を与えるために、複数の錠剤剤形が同時に又はある期間にわたって、患者に投与される。
【0059】
本明細書に記載の化合物(1)と放出速度変更化合物以外に、錠剤剤形は、1つ以上の医薬的に許容し得るビヒクル、例えば界面活性剤、滑沢剤、可塑剤、結合剤、希釈剤、粘着防止剤、直打用滑沢剤、緩衝剤、色素、湿潤剤、乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、増粘剤、崩壊剤、及び着色剤を含んでよい。
【0060】
剤形のかさを増やして圧縮のために適した実用的なサイズにするために、希釈剤又は充填剤を加えてもよい。本開示により提供される錠剤剤形に有用な希釈剤の例は、第二リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、乳糖、セルロース(微結晶性セルロースを含む)、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、α化デンプン、圧縮性糖、及びこれらの任意の組み合わせを含む。ある実施態様において希釈剤は、第二リン酸カルシウム及び微結晶性セルロースから選択される。充填剤は、水不溶性、水溶性、又はこれらの組み合わでもよい。有用な水不溶性充填剤の例は、二酸化ケイ素、二酸化チタン、タルク、アルミナ、デンプン、カオリン、ポラクリンカリウム、粉末セルロース、微結晶性セルロース、ヒュームドシリカ、モノステアリン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、コロイドシリカ、微粉シリカ、三ケイ酸マグネシウム、石膏、及びこれらの任意の組み合わせを含む。水溶性充填剤の例としては、水溶性糖と糖アルコール、例えば乳糖、グルコース、果糖、ショ糖、マンノース、ブドウ糖、ガラクトース、対応する糖アルコール及び他の糖アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、キシリトール、及びこれらの任意の組み合わせを含む。
【0061】
加工、成膜、及び/又は乾燥中の粘着作用を低下させるために、本開示により提供される剤形は直打用滑沢剤を含んでよい。有用な直打用滑沢剤の例は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸グリセロール、コロイド二酸化ケイ素、沈殿二酸化ケイ素、ヒュームド二酸化シリカ、及びこれらの任意の組合せを含む。ある実施態様において直打用滑沢剤は、コロイド二酸化ケイ素である。
【0062】
成分の接着を促進するために、剤形に結合剤を含めてもよい。本開示により提供される錠剤剤形に有用な結合剤の例は、ポリビニルアセテートフタレート、糖蜜、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶性セルロース、及びポリビニルピロリドンを含む。本開示により提供されるある実施態様において結合剤は、などアビセル(AVICEL)(商標)PH200(FMC Corporation)のような微結晶セルロースである。
【0063】
本開示により提供される錠剤剤形に、可塑剤を含めてもよい。本開示により提供される錠剤剤形に有用な可塑剤の例は、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、及びアセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸アルキル;酢酸トリエチル、酢酸アセチルトリエチル、酢酸トリブチル、酢酸アセチルトリエチル、及び酢酸アセチルトリブチルなどの酢酸アルキル;ショ糖脂肪酸エステル;トリアセチン、グリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノステアリン酸、及びアセチル化モノグリセリドなどのグリセリンモノ−、ジ−及びトリ−脂肪酸エステル;ポリグリセリン脂肪酸エステル;マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1500、マクロゴール4000、マクロゴール6000、マクロゴール20,000、及びマクロゴール35,000などのポリエチレングリコール;セバシン酸ジブチル;セバシン酸トリブチル;ビニルピロリドン;プロピレングリコール;ごま油;ヒマシ油;グリセリン;シリコーン樹脂;D-ソルビトール;フィトステロール;フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチルなどのフタル酸アルキル;アジピン酸ポリエチレン;ミリスチン酸イソプロピル;中鎖トリグリセリド;グリコール酸ブチルフタリルブチル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール;及びこれらの任意の組合せを含む。
【0064】
加工を助けるために、本開示により提供される錠剤剤形に、滑沢剤及び接着防止剤を含めてもよい。本開示により提供される錠剤剤形に有用な滑沢剤及び/又は接着防止剤の例は、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ポリエチレングリコール、ステアリルフマル酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク、水素化植物油、ステアリン酸亜鉛、及びこれらの任意の組み合わせを含む。ある実施態様において滑沢剤は、モノステアリン酸グリセリルである。ある実施態様において滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0065】
本開示により提供される錠剤剤形に有用な界面活性剤の例は、医薬的に許容し得る界面活性剤、カチオン界面活性剤、双性イオン性両性(両親媒性/両親媒性)界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ポリエチレングリコールエステル又はエーテル、及び上記の任意の組み合わせを含む。有用な薬学的に許容される陰イオン性界面活性剤の例には、一価カルボン酸アルキル、アシルラクチレート、カルボン酸アルキルエーテル、N−アシルサルコシネート、多価炭酸アルキル、グルタミン酸N−アシル、脂肪酸ポリペプチド縮合物、硫酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、硫酸エトキシル化アルキル、エステル結合スルホン酸塩(例えば、ドキュセートナトリウム及びジオクチルコハク酸ナトリウム)、アルファオレフィンスルホン酸塩、又はリン酸エトキシル化アルコールがある。有用な医薬的に許容し得るカチオン性界面活性剤の例は、モノアルキル四級アンモニウム塩、ジアルキル四級アンモニウム化合物、アミドアミン、及びアミンイミドを含む。有用な医薬的に許容し得る両性界面活性剤の例は、N−置換アルキルアミド、N−アルキルベタイン、スルホベタイン、及びN−アルキル−6−アミノプロピオネートを含む。有用な医薬的に許容し得る非イオン性界面活性剤の例は、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、及びポリエチレングリコールのエステル若しくはエーテル(例えばポリエトキシ化ヒマシ油、ポリエトキシル水素化ヒマシ油、及び水素化ヒマシ油)のジブロックとトリブロック共重合体を含む。ある実施態様において界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムから選択される。
【0066】
例えば水に曝露された時、崩壊剤の膨張により錠剤の分裂を引き起こすために、錠剤に崩壊剤を含めてもよい。有用な崩壊剤の例は、低置換ヒドロキシプロピルセルロースのような水膨潤性物質、及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム)、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、イオン交換樹脂、微結晶セルロース、架橋ポリビニルピロリドン、デンプンとα化デンプン、ホルマリン−カゼイン、アルギン酸、いくつかの複合ケイ酸塩、及び上記の任意の組合せを含む。
【0067】
本開示により提供される錠剤剤形はさらに、錠剤を部分的に又は完全に被覆するか1つ以上のコーティングを含んでよい。あるコーティングは、消化管中で錠剤剤形からの化合物(1)の放出を修飾するか、又はこれに影響を与えるために適用されるが、他のコーティングはそのような作用は無い。例えば1つ以上の追加のコーティングは、物理的保護、美観、飲み込み易さ、識別、及び/又は錠剤のさらなる加工を容易にするためである。コーティングは、水分不浸透性又は水分浸透性でもよい。水分不浸透性の外部錠剤コーティングは、乾燥剤の存在下で包装される剤形中で低水分含量を維持するのに有用であり、従って例えば、錠剤剤形の保存安定性を増強する。物理的保護のためのコーティングに有用な材料の例は、浸透性又は可溶性材料、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、乳糖、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びキサンタンガムを含む。追加の加工を容易にするための外部錠剤コーティングに有用な材料の例は、タルク、コロイドシリカ、ポリビニルアルコール、二酸化チタン、微粉化シリカ、ヒュームドシリカ、モノステアリン酸グリセロール、三ケイ酸マグネシウムを含む。外部錠剤コーティングはさらに、1つ以上のビヒクル、例えば可塑剤、結合剤、充填剤、滑沢剤、圧縮補助剤、及び上記の任意の組合せを含んでよい。1つ以上の追加のコーティングは、本明細書に記載の単一の材料又は本明細書に記載の任意の材料を含む2種以上の材料の組合せを含んでよい。これらの追加のコーティングは、当業者に公知の方法により錠剤剤形に適用される。
【0068】
ある実施態様において本開示により提供される剤形は、化合物(1)及び/又はガバペンチンの分子内環化により生成されるラクタム副産物及び/又は代謝物を実質的に含まない。ある実施態様においてラクタムは、化合物(1)の代謝物であり、例えば3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン;3−[3−メチル−1−メチレン−5−(メチルエチル)ヘキサ−5−エニル]−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン;及び3−[(3−オキソ−2−アザスピロ[4.5]デカ−2−イル)エチル]−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オンである。剤形は、通常使用条件(例えば、1年以上、約0.5質量%未満のラクタム、約0.2質量%未満のラクタム、又は約0.1質量%未満のラクタムなどの実質的にラクタム生成の無い条件)下で長期保存で安定である(ここで、質量%ラクタムは剤形中の化合物(1)の初期量に対して決定される)。ある実施態様において剤形は、40℃/43%の相対湿度(RH)に少なくとも17日間曝露後に、約0.2質量%未満のラクタムを含有する。ある実施態様において剤形は、40℃/75%の相対湿度(RH)に少なくとも17日間曝露後に、約1質量%未満のラクタムを含有する(ここで、質量%ラクタムは、剤形中の化合物(1)の初期量に対して決定される)。
【0069】
ある実施態様において経口剤形は、約95質量%を超える化合物(1)を含む顆粒を含む。ある実施態様において経口剤形は顆粒を含み、ここで顆粒は約95質量%を超える化合物(1)を含み、顆粒は錠剤剤形に圧縮される。ある実施態様において経口剤形は顆粒を含み、ここで顆粒は約95質量%を超える化合物(1)を含み、顆粒はカプセル剤形に挿入され含有される。ある実施態様において経口剤形は、約95質量%を超える化合物(1)を含む顆粒を含み、エマルジョン又は懸濁物のような液体経口剤形でもよい。
【0070】
市販の錠剤が、USP Test No. 1216に従って測定して約1質量%未満の脆砕性を有することは一般に認められている。ある実施態様において本開示により提供される錠剤は、約1質量%未満の脆砕性、ある実施態様において約0.5質量%未満の脆砕性、ある実施態様において約0.3質量%未満の脆砕性、及びある実施態様において約0.2質量%未満の脆砕性を有する。
【0071】
剤形の溶解プロフィール
化合物(1)を含む本開示により提供される剤形の放出特性は、一部はインビトロ溶解プロフィールにより特徴付けられる。剤形の溶解プロフィールを測定するための方法は、医薬分野の当業者に公知である。米国薬局方に記載されている標準的方法を使用してもよい。例えば溶解プロフィールは、米国薬局方のI型装置(バスケット)又は米国薬局方II型装置(パドル)を使用して測定される。
【0072】
後者の方法を使用して、本開示により提供される剤形の溶解又は放出プロフィールは、pH7.4の10mMリン酸二水素カリウム緩衝液(KH2PO4)、1vol%のSLSに温度37℃で、剤形を浸漬することにより測定される。溶解媒体は50rpm(USP、II型)で攪拌される。間隔を置いて試料を取り、溶解媒体中の化合物(1)の含量を、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して測定する。
【0073】
ある実施態様において本開示により提供される錠剤剤形からの化合物(1)の放出は、1%ラウリル硫酸ナトリウムを有する10mM、pH7.4のリン酸二水素カリウム緩衝液中で37℃、50rpm(USP、II型)で攪拌した時、約4時間で約26%〜約41%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約8時間で約50%〜約78%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約12時間で約68%〜約100%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約20時間で約95%〜約100%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出される、インビトロ溶解プロフィールを示す。
【0074】
ある実施態様において本開示により提供される錠剤剤形からの化合物(1)の放出は、1%ラウリル硫酸ナトリウムを有する10mM、pH7.4のリン酸二水素カリウム緩衝液中で37℃、50rpm(USP、II型)で攪拌した時、約4時間で約30%〜約36%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約8時間で約56%〜約68%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約12時間で約76%〜約94%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約20時間で約85%〜約100%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出される、インビトロ溶解プロフィールを示す。
【0075】
ある実施態様において本開示により提供される錠剤剤形からの化合物(1)の放出は、1% SLSを有する10mM、pH7.4のリン酸二水素カリウム(KH2PO4)緩衝液中で37℃、50rpm(USP、II型)で攪拌した時、約4時間で約33%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約48時間で約62%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約12時間で約85%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約20時間で約95%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出される、インビトロ溶解プロフィールを示す。
【0076】
ある実施態様において錠剤は、FDAガイドラインに従ってf1差因子(fi difference factor)とf2類似性因子(f2 sililarity factor)を使用して決定される上記プロフィールに似た溶解プロフィールを示す(Guidance for Industry - Dissolution Testing of Immediate Release Solid Oral Dosage Forms, Center for Drug Evaluation and Research (CDER), Augut 1997, BPlを参照)。ある実施態様において本開示により提供される経口錠剤形は、図1〜6に示す溶解プロフィールのいずれかと比較した時、f1差因子(f1 difference factor)が15未満でf2類似性因子(f2 sililarity factor)が50〜100である溶解プロフィールを示す。ある実施態様において約80質量%〜約95質量%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸を含む錠剤剤形は、1%ラウリル硫酸ナトリウムを有する10mM、pH7.4のリン酸二水素カリウム緩衝液中で37℃、50rpm(USP、II型)で攪拌した時、約4時間で約33%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約8時間で約62%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約12時間で約65%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、約20時間で約92%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出される溶解プロフィールと比較して、f1差因子(f1 difference factor)が15未満でf2類似性因子(f2 sililarity factor)が50〜100である溶解プロフィールを示す。
【0077】
ある実施態様において前記放出プロフィールを示す錠剤剤形は、約600mg又は1200mgの化合物(1)を含む。
【0078】
ガバペンチンの薬物動態
化合物(1)を含む持続放出剤形は、ガバペンチン及び/又はラセミ体の同等の剤形で投与した時の経口バイオアベイラビリティと比較して、ガバペンチンの経口バイオアベイラビリティの上昇を示す(Cundy et al., J Pharm Expt'l Ther 2004, 311(1), 315-323; Cundy et al., J Pharm Expt'l Ther 2004, 311(1), 324-333; Cundy et al., 60th American Academy Neurology Annual Meeting, Chicago, IL, April 12-19, 2008, Poster PO 5.168; Cundy et al., J Clin Pharmacol 2008, 48(12), 1378-88; LaI et al., Clin Therapeutics 2009, 31(8), 1776-1786; 及び LaI et al., Int'l J Clin Pharm Therapeutics 2010, 48(2), 120-128)。化合物(1)の経口バイオアベイラビリティの上昇は、受動輸送及び/又は能動輸送機構により消化管(結腸を含む)全体の化合物(1)の効率的な吸収によると考えられる。本開示により提供される剤形は、消化管中を剤形が通過する間の剤形からの化合物(1)の放出を与える。
【0079】
患者へ経口投与後、化合物(1)を含む持続放出剤形は、患者の全身循環中にガバペンチンを与える。化合物(1)は消化管から吸収され、全身循環に入り、そこでプロ成分が切断されてガバペンチンが放出される。化合物(1)のプロ成分は、化学的及び/又は酵素的に切断される。例えば哺乳動物の胃、腸管腔、腸組織、血液、肝臓、脳、又は任意の他の適切な組織中に存在する1つ以上の酵素(例えばエステラーゼ)が、化合物(1)のプロ成分を酵素的に切断する。
【0080】
患者に経口投与される時、すなわち患者が本開示により提供される剤形を飲み込む時、剤形は、連続した時間中に患者の血液中の持続的に治療的有効な濃度のガバペンチンを与える。ある実施態様において剤形は、患者血液中の最小の治療有効濃度より大きく、かつガバペンチンの最小の有害濃度より小さい、患者血液中のガバペンチン濃度を与える。ある実施態様において本開示により提供される剤形は、ガバペンチンの最小有害濃度を超えることなく、連続した時間中に患者血液中の治療有効濃度のガバペンチンを与える。ある実施態様において患者血液中のガバペンチン濃度は、剤形が患者に経口投与された後のいずれの時点においても、最小有害濃度を超えない。本開示により提供される剤形は、ガバペンチンの高血液濃度(例えばガバペンチンを含む剤形の経口投与後に観察される最小有害濃度より高い濃度)に関連する有害な薬物作用を低減又は排除しながら、連続した時間中、患者の血液中のガバペンチンの治療有効濃度を与えることができる。化合物(1)を含む剤形を使用して達成可能なガバペンチンの高いバイオアベイラビリティは、ガバペンチンを含む経口剤形中のガバペンチンの量と比較して、患者の血液中のガバペンチンの持続された治療有効濃度を達成する用量で、ガバペンチンの少量同等物の使用を促進する。
【0081】
本開示により提供される持続放出剤形は、経口投与後に患者血液中のガバペンチンの持続された治療有効濃度を与えることができる。例えば剤形は、患者に経口投与後少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、少なくとも約16時間、少なくとも約20時間、少なくとも約24時間、患者血液中のガバペンチンの持続された治療有効濃度を与えることができる。ある実施態様において患者血液中のガバペンチン濃度は、患者に経口投与後のいずれの時点でも最小有害濃度を超えることはなく、例えば患者の有害事象を引き起こす濃度に達しない。いくつかの疾患について、患者血液中のガバペンチンの治療有効濃度は、約2μg/mL〜約12μg/mLの範囲である。血液ガバペンチン濃度の薬物動態プロフィールは、ガバペンチンを含む即時放出型及び持続放出型経口製剤と比較して、低Cmax/C12比、及び低Cmax/用量により特徴付けられる。例えば剤形は、約1.5〜約3、約2.0〜約2.5のCmax/C12比、ある実施態様において約2.25を与える。
【0082】
ある実施態様において少なくとも1つの経口剤形は、約300mg〜約1600mgの範囲の用量の化合物(1)でヒト患者に投与され、ある実施態様では約600mg〜約1200mg、約600〜2,400mg、約800〜3,600mgの範囲の用量の化合物(1)、又は1日用量で約800mg〜約7,200mgの化合物(1)が投与され、ここで重量は、塩及び/又は溶媒和物からの重量寄与を除いた1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸の量を示す。ある実施態様において少なくとも1つの経口剤形は、約300mg〜約1600mg、及びある実施態様では約600mg〜約1200mg、約600〜2,400mg、約800〜3,600mgの範囲の用量の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸、又は1日用量で約800mg〜約7,200mgの化合物(1)が、ヒト患者に投与される。
【0083】
最小治療有効濃度より高く、かつ最小有害濃度より低い患者血液中のガバペンチンの濃度を長時間維持するために、本開示により提供される剤形の経口投与を使用する投与処方が開発される。ある実施態様においてガバペンチンの最小治療有効濃度は、約2μg/mL〜約6μg/mLの範囲である。最小治療濃度と最小有害濃度は、治療される疾患、疾患の重症度、目的の臨床的結果、治療される患者の状態などの多くの要因に依存する。このような処方は、本開示により提供される1つ以上の剤形の繰り返し投与を使用してもよい。適切な投与間隔は、例えば剤形中の化合物(1)の量、剤形の組成、剤形からの化合物(1)の放出特性、治療される疾患、患者の状態、有害事象の可能性、及び担当医師の判断に依存する。投与処方は、各間隔で同等の剤形の、又は異なる間隔で異なる剤形の繰り返し投与を含んでよい。例えば1日2回の投与処方は、午前中1回目の剤形を、午後2回目の剤形を投与することを含んでよい。
【0084】
本開示により提供される剤形はさらに、例えば米国食品医薬品局により規定され、"Guidance for Industry - Bioavailability and Bioequivalence Studies for Orally Administered Drug Products" (2003) (参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている、吸収速度と程度で本明細書に記載の剤形と生物学的に同等である剤形を含む。
【0085】
ある実施態様において、本開示により提供される持続放出性経口剤形として患者又は患者集団に投与される1200mg用量の化合物(1)は、Cmaxが約3.61μg/mL〜約5.64μg/mL、Tmaxが約3.92時間〜約6.12時間、T1/2が約5.03時間〜約7.86時間、及びAUCinfが約42.3μg×時間/mL〜約66.1μg×時間/mLにより特徴付けられるガバペンチン血漿濃度プロフィールを与える。ある実施態様において、本開示により提供される持続放出性経口剤形として患者又は患者集団に投与される1200mg用量の化合物(1)は、Cmaxが約4.06μg/mL〜約4.96μg/mL、Tmaxが約4.41時間〜約5.39時間、T1/2が約5.66時間〜約6.92時間、及びAUCinfが約47.61μg×時間/mL〜約58.2μg×時間/mLにより特徴付けられるガバペンチン血漿濃度プロフィールを与える。ある実施態様において、本開示により提供される持続放出性経口剤形として患者又は患者集団に投与される1200mg用量の化合物(1)は、Cmaxが約3.61μg/mL〜約5.64μg/mL、及びAUCinfが約42.3μg×時間/mL〜約66.1μg×時間/mLにより特徴付けられるガバペンチン血漿濃度プロフィールを与える。ある実施態様において、本開示により提供される持続放出性経口剤形として患者又は患者集団に投与される1200mg用量の化合物(1)は、Cmaxが約4.06μg/mL〜約4.96μg/mL、及びAUCinfが約47.61μg×時間/mL〜約58.2μg×時間/mLにより特徴付けられるガバペンチン血漿濃度プロフィールを与える。ある実施態様において、本開示により提供される持続放出性経口剤形として患者又は患者集団に投与される1200mg用量の化合物(1)は、Cmaxが約3.73μg/mL〜約5.83μg/mL、及びAUCinfが約43.1μg×時間/mL〜約67.3μg×時間/mLにより特徴付けられるガバペンチン血漿濃度プロフィールを与える。1200mg用量の化合物(1)は、単一の1200mgの剤形として、又は2つの600mg剤形として投与してもよい。前記実施態様において、ガバペンチン血漿濃度プロフィールは、絶食条件下の10人の健常成人男性からなる集団の平均である。
【0086】
ある実施態様において本開示により提供される剤形は、1200mgの1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸の経口用量で投与されると、少なくとも約6時間で、少なくとも約10時間で、及びある実施態様では少なくとも約15時間で、約2μg/mL〜約6μg/mLの血漿ガバペンチンを与える。
【0087】
治療的使用
本開示により提供される持続放出性経口剤形は、親薬剤であるガバペンチンが治療的に有効であることが、公知であるか、考えられているか、又は以後測定される疾患もしくは障害に罹っている患者に投与される。ガバペンチンが処方されている、従って本開示により提供される剤形が有効である適応症は、てんかん、本態性振戦、慢性局所疼痛症候群、線維筋痛症、神経根障害、腹部内臓痛、過敏性腸症候群、偏頭痛、全般性不安障害、うつ病、不眠症、過活動膀胱、ほてり、早漏、むずむず脚症候群、神経因性疼痛、慢性腰痛、アルコール依存症、複合性局所疼痛症候群、術後の痛み、癌誘発性疼痛、双極性障害、社会不安障害、パーキンソン病、喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患、又は外陰部痛を含む。ある実施態様において、本開示により提供される経口錠剤剤形は、むずむず脚症候群の治療に使用される。ある実施態様において、本開示により提供される経口錠剤の剤形は、神経因性疼痛を治療するために使用され、ある実施態様ではヘルペス後神経痛または疼痛を伴う糖尿病性神経障害を治療するために使用される。
【0088】
上記疾患を治療するのに本開示により提供される剤形の適切性は、当該分野で公知の方法により測定される。
【0089】
ガバペンチン治療の必要な患者に投与される化合物(1)の適切な用量は、ガバペンチンの質量同等物、及び化合物(1)により与えられるガバペンチンの経口バイオアベイラビリティの上昇に基づいて推定される。
【0090】
ある実施態様において、本開示により提供される経口錠剤形は、てんかん、本態性振戦、慢性局所疼痛症候群、線維筋痛症、神経根障害、腹部内臓痛、過敏性腸症候群、偏頭痛、全般性不安障害、うつ病、不眠症、過活動膀胱、ほてり、早漏、むずむず脚症候群、神経因性疼痛、慢性腰痛、アルコール依存症、複合性局所疼痛症候群、術後の痛み、癌誘発性疼痛、双極性障害、社会不安障害、パーキンソン病、喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患、又は外陰部痛を治療するために使用される。ある実施態様において本開示により提供される経口錠剤形は、むずむず脚症候群を治療するために使用される。ある実施態様において本開示により提供される経口錠剤形は、ヘルペス後神経痛又は痛い糖尿病性神経症のような神経痛を治療するために使用される。
【0091】
ある実施態様において本開示により提供される経口錠剤形は、てんかん、本態性振戦、慢性局所疼痛症候群、線維筋痛症、神経根障害、腹部内臓痛、過敏性腸症候群、偏頭痛、全般性不安障害、うつ病、不眠症、過活動膀胱、ほてり、早漏、むずむず脚症候群、神経因性疼痛、慢性腰痛、アルコール依存症、複合性局所疼痛症候群、術後の痛み、癌誘発性疼痛、双極性障害、社会不安障害、パーキンソン病、喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患、又は外陰部痛から選択される疾患の予防のために使用される。ある実施態様において本開示により提供される経口錠剤形は、むずむず脚症候群の予防のために使用される。ある実施態様において本開示により提供される経口錠剤形は、ヘルペス後神経痛又は痛い糖尿病性神経症のような神経痛の予防のために使用される。
【0092】
投与
現在1日に最大6回投与される(患者にとって不便であり、覚えていることが難しい処方)非プロドラッグと比較して、ガバペンチンの持続的全身濃度を与える錠剤剤形は患者コンプライアンスを向上させると考えられる。さらに本開示により提供される錠剤経口剤形の使用は、小さい副作用(この副作用は、めまい、傾眠、疲労、及び/又は運動失調を含む)で向上した効力を与えると考えられる。
【0093】
本明細書に開示した具体的な疾患の治療に有効な化合物(1)の量は、少なくとも一部は疾患の性質に依存し、当該分野で公知の標準的臨床的方法により決定される。さらに最適な用量範囲の特定を助けるためにインビトロ又はインビボのアッセイが使用される。投与処方と投与間隔もまた、当業者に公知の方法により決定される。投与される化合物(1)の量は、特に治療される被験者、被験者の体重、疾患の重症度、投与経路、及び担当医師の判断に依存する。
【0094】
全身投与のために、治療的有効用量はまずインビトロアッセイから推定される。初期用量はまた、インビボデータ、例えば当該分野で公知の方法を使用して動物モデルから推定してもよい。このような情報は、ヒトでの有用な用量をより正確に決定するために使用される。当業者は、動物データに基づいてヒトへの投与を最適化できるであろう。
【0095】
化合物(1)の量は、ガバペンチンの等モル量又は質量同等用量を与えるように調整することができる。投与は本開示により提供される複数の剤形を含んでよい。小児患者のガバペンチンの治療的有効用量は、1日に体重1kg当たり約25mg〜約50mgである。ある実施態様において、成人患者について1日用量は、ガバペンチンの質量当量は、約100mg〜約3,600の範囲、ある実施態様では約300mg〜約3,600mg、ある実施態様では約600mg〜約2,400mg、及びある実施態様では約600mg〜約1,200mgの範囲である。化合物(1)の用量と適切な投与間隔は、患者血液中のガバペンチンの持続された治療的有効濃度を維持するために、及びある実施態様では、最小有害濃度を超えないように、選択することができる。
【0096】
ある実施態様では本開示により提供される剤形は、1日1回、1日2回、及びある実施態様では1日2回以上の間隔で与えられる。投与は単独で又は他の薬剤と組合せて行われ、疾患の有効な治療に必要な期間続けられる。投与は、摂食状態又は絶食状態の哺乳動物(例えばヒト)への剤形の投与を含む。
【0097】
用量は単回投与剤形又は複数回投与剤形で投与される。複数回投与剤形が使用される時、複数回投与剤形のそれぞれに含有される化合物(1)の量は、同じかまたは異なってよい。
【0098】
治療中の用量及び投与スケジュールは、疾患を治療するのに充分な又は定常状態の全身性ガバペンチン濃度を与える。ある実施態様において、上昇する用量を投与してもよい。
【0099】
併用療法
本開示により提供される剤形はさらに、化合物(1)以外に1つ以上の医薬的に許容し得る化合物を含んでよい。このような化合物は、化合物(1)を用いて治療される疾患と同じ疾患又は異なる疾患を治療するために与えられる。
【0100】
ある実施態様において、化合物(1)は少なくとも1つの他の治療薬と組合せて使用される。ある実施態様において化合物(1)は、てんかん、本態性振戦、慢性局所疼痛症候群、線維筋痛症、神経根障害、腹部内臓痛、過敏性腸症候群、偏頭痛、全般性不安障害、うつ病、不眠症、過活動膀胱、ほてり、早漏、むずむず脚症候群、神経因性疼痛、慢性腰痛、アルコール依存症、複合性局所疼痛症候群、術後の痛み、癌誘発性疼痛、双極性障害、社会不安障害、パーキンソン病、喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患、又は外陰部痛を治療するための別の化合物とともに、患者に投与される。ある実施態様において、少なくとも1つの他の治療薬は異なるガバペンチンプロドラッグでもよい。化合物(1)と少なくとも1つの他の治療薬は、付加的に、又はある実施態様では相乗的に作用してもよい。少なくとも1つの追加の治療薬は、化合物(1)を含む同じ剤形中に含まれるか、又は別の剤形中に含まれてもよい。従って本開示により提供される方法はさらに、化合物(1)を投与する以外に、化合物(1)により治療される疾患と同じか又は異なる疾患を治療するのに有効な1つ以上の治療薬を投与することを含む。本開示により提供される方法は、組合せ投与が化合物(1)の治療効果を阻害せず、及び/又は有害な組合せ作用を発生させなければ、化合物(1)と1つ以上の他の治療薬の投与を含む。
【0101】
ある実施態様において化合物(1)を含む剤形は、化合物(1)を含む剤形と同じ剤形の一部であるか又は異なる剤形でもよい、別の治療薬の投与と同時に投与してもよい。化合物(1)は、別の治療薬の投与の前又は後に投与される。併用療法のある実施態様において、併用療法は、例えば特定の薬剤に関連する有害な薬剤の影響を最小にするために、化合物(1)と、別の治療薬を含む組成物とを交互に投与してもよい。特に限定されないが毒性を含む有害な薬剤作用を引き起こす可能性のある別の治療薬と同時に化合物(1)を投与する時、他の治療薬は、有害な脾臓反応が誘発される閾値より低い用量で投与することが有利である。
【0102】
ある実施態様において化合物(1)を含む剤形は、化合物(1)の放出、バイオアベイラビリティ、治療効果、治療力価、安定性などを増強、調節、及び/又は制御するために、1つ以上の物質とともに投与してもよい。例えば化合物(1)又はその代謝物であるガバペンチンの治療効果を増強するために、化合物(1)が同時投与されるか、又は消化管から全身循環への化合物(1)若しくはガバペンチンの吸収若しくは拡散を上昇させるために、又は患者血液中の化合物(1)若しくはガバペンチンの分解を阻害するために、化合物(1)を含む剤形は1つ以上の活性物質を含んでよい。ある実施態様において化合物(1)を含む剤形は、化合物(1)の治療効果を増強する薬理作用を有する活性物質と同時投与される。
【0103】
さらに本開示により提供される剤形は、それ自体が悪影響として、てんかん、本態性振戦、慢性局所疼痛症候群、線維筋痛症、神経根障害、腹部内臓痛、過敏性腸症候群、偏頭痛、全般性不安障害、うつ病、不眠症、過活動膀胱、ほてり、早漏、むずむず脚症候群、神経因性疼痛、慢性腰痛、アルコール依存症、複合性局所疼痛症候群、術後の痛み、癌誘発性疼痛、双極性障害、社会不安障害、パーキンソン病、喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患、又は外陰部痛を引き起こすことが公知の他の薬剤と組合せて使用され、こうしてかかる悪影響の発生を防止するか若しくは低減する。
【0104】
以下の例は、化合物(1)を含む錠剤剤形の調製と性質を詳細に説明する。本開示の範囲から逸脱することなく、材料と方法の両方の多くの修飾が実施可能であることは、当業者に明らかであろう。
【実施例】
【0105】
実施例1
{[(1−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル}−1−シクロヘキサン酢酸(1)
【0106】
{[(1−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル}−1−シクロヘキサン酢酸(1)は、Gallop et al., US Patent Nos. 6,818,787, 7,186,855, 7,227,028, 及び 6,927,036; Estrada et al., US 2005-0154057; Bhat et al., US 2005-0070715; Raillard et al., US 7332,924, 及び U.S. Application Nos. 12/537,764 及び12/537,798に開示されたいずれかの方法を使用して調製される。例えば、
【0107】
O−(1−クロロエチル)S−メチルチオカーボネート(1a)
CH2Cl2(1リットル)中のメタンチオール(170g,3.5モル)とクロロギ酸1−クロロエチル(386mL, 502g,3.5モル)の溶液を、氷水浴中で0℃に冷却した。N−メチルモルホリン(388mL,357g,3.53モル)を1時間かけて滴下して加え、反応混合物を室温で16時間攪拌した。反応混合物をCH2Cl2(2リットル)で希釈し、水(1リットル)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(1リットル)、及び食塩水(1リットル)で洗浄し、次に無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮した。残渣を真空蒸留(95℃/20Torr)により精製して標題化合物(1a)を無色の液体として得た(510g,94%収率)。1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 1.82 (d, J= 5.6 Hz, 3H), 2.38 (s, 3H), 6.57 (q, J= 5.2 Hz, 1H)。
【0108】
O−(1−イソブタノイルオキシエチル)S−メチルチオカーボネート(1b)
化合物(1a)(308mg,2ミリモル)をイソ酪酸(264mg,3ミリモル)に溶解した。この混合物をイソ酪酸(264mg,3ミリモル)とジイソプロピルエチルアミン(387mg,3ミリモル)のプレ混合溶液にゆっくり加え、反応混合物を55℃に16時間加熱し、エーテル(50mL)で希釈し、水(2×10mL)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(2×10mL)、及び食塩水(10mL)で洗浄し、次に無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮して、標題化合物(1b)を無色の液体として得た(400g,97%収率)。生成物をさらに真空蒸留により精製した(135℃/20Torr)。1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 1.17 (d, J= 6.8 Hz, 6H), 1.49 (d, J= 5.6 Hz, 3H), 2.33 (s, 3H), 2.54 (m, 1H), 6.91 (q, J= 5.2 Hz, 1H)。
【0109】
[(1−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニルオキシ]スクシンイミド(1c)
CH2Cl2(10mL)中の化合物(1b)の溶液(1g,4.8ミリモル)の溶液に、N−ヒドロキシスクシンイミド(1.1g,9.5ミリモル)を加え、反応混合物を0℃に冷却した。酢酸中の32%(v/v)過酢酸溶液(3.4mL,1.1g,14.4ミリモル)を10分かけて滴下して加え、次に溶液を室温で3時間攪拌した。反応混合物をエーテル(50mL)で希釈し、水(2×10mL)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(10mL)、及び食塩水(10mL)で洗浄し、次に無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮して、標題化合物(1c)を無色の液体として得た(1g,77%収率)。ヘキサン(20mL)で粉砕後、生成物を固化させて白色の固体とした。融点50〜54℃。1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 1.17 (d, J = 6.8 Hz, 6H), 1.56 (d, J= 5.6 Hz, 3H), 2.55 (m, 1H), 2.82 (s, 4H), 6.80 (q, J= 5.2 Hz, 1H)。MS (ESI) m/z 296.4 (M+Na)+。
【0110】
{[(1−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル}−1−シクロヘキサン酢酸(1)
水(40mL)中のガバペンチン(1.7g,10ミリモル)と重炭酸ナトリウム(20ミリモル)の溶液に、アセトニトリル(20mL)中の化合物(1c)の溶液(2.73g,10ミリモル)を1分かけて加えた。反応物を室温で16時間攪拌した。反応混合物をジエチルエーテル(100ml)で希釈し、0.1M硫酸水素カリウム水溶液(3×100mL)で洗浄した。有機相を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮して標題化合物(1)を白色の固体として得た(2.7g,96%)。生成物を1:10 酢酸エチル:ヘプタン(10mL)中60℃に溶解し、次にゆっくり4℃に冷却して再結晶化した。ろ過して白色の結晶性生成物を単離した。融点:63〜64℃。 1H NMR (CDCl3, 400MHz): δ 1.15 (d, 6H), 1.40-1.55 (m, 10H), 1.45 (d, 3H), 2.32 (s, 2H), 2.49-2.56 (m, 1H), 3.23 (d, 2H), 5.41 (t, 1H), 6.75 (q, 1H)。MS(ESI) m/z 330.29 (M+H+)。
【0111】
{[(1−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル}−1−シクロヘキサン酢酸(1)は、Estrada et al., US 2005-0154057が記載した方法を使用して結晶化される。例えば
【0112】
{[(1−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル}−1−シクロヘキサン酢酸の結晶化
化合物(1)(12g)をメチルシクロヘキサン:メチルtert−ブチルエーテル 10:1(60mL)中に懸濁した。懸濁物をゆっくり30分かけて50℃に加熱した。次に清澄な溶液を室温まで冷却した。濁った溶液に結晶型の5mgの標題化合物を種結晶として加えた。混合物をさらに2時間0〜4℃に冷却した。固形生成物をろ過し、メチルシクロヘキサン(2×10ml)で洗浄して、結晶性化合物(1)を白色の結晶性固体として得た(10g,83%収率)。結晶性固体物質は、開口毛細管融点測定法により測定すると約64℃〜66℃の融点範囲を有した。
【0113】
実施例2:
乾燥粉末の流動特性
【0114】
乾燥粉末の流れを、FLODEX(商標) 粉末流動性指標試験装置(Powder Flowability Index Test Instrument)(Hanson Research Corporation, Chatsworth, CA)を使用して解析した。装置には、円筒形の金属リザーバーが取り付けされ、これは流れ試験の前に試験粉末を保持する。円筒形リザーバーは内径5.7cmで長さ7.4mmである。リザーバーの底は、着脱式の金属ディスクで閉じることができる。各ディスクは中央に丸い穴を有する。穴の径は4mm〜10mmまで1mmずつ拡大し、10mm〜34mmまでは2mmずつ拡大する。試験の前に穴を塞ぐ。次に塞いだ穴の上に粉末を置く。穴の栓をはずすと、穴の径が充分に大きい場合は、重力により粉末は穴の中を流れることができる。小さい穴を流れる粉末は、錠剤化に有用な流動性を有すると考えられる。例えば、約24mm未満のFlodex測定値(Flodex)は典型的には、商業的スケールで高速錠剤化操作に使用される。約20mm未満のFlodexは、高速錠剤化操作に有用である。18mm又はそれ以下のFlodexは、大量処理錠剤化操作に特に有用であると考えられる。
【0115】
Flodexは、穴の底を約70ccの試験粉末で塞ぎながら、多く積み重なることを避け、そして粉末床を振動させたりたたいたりすることなく、まずリザーバーを静かに充填することにより測定する。次に穴の栓をはずす。これは、装置に取り付けたシャッターを開いて行うことができる。あるいは、シャッターを使用しない場合は、ディスクを取り付けた粉末を充填したリザーバーを、乾燥した平らな表面に置いて穴を塞ぐ。次にゆっくりかつ均等に、リザーバーを持ち上げて粉末を流れ出させる。いずれの場合も、粉末が穴を流れる場合、粉末床に明らかなチャネルが残る。粉末が穴を流れない場合、粉末床内にアーチ型の空洞が穴の上方に形成され、アーチと呼ばれる。流れ試験は、良好な流れに適した最小の穴の大きさ(これがFlodexと呼ばれる)が特定されるまで、種々の大きさの解析を用いて行われる。Flodexは、少なくとも3回の測定で、流れない場合より流れる場合の方が多い、粉末が穴内を流れる最小の穴径である。
【0116】
実施例3
錠剤の溶解プロフィール
【0117】
錠剤の溶解プロフィールは、1%volラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を有する10mM、pH7.4のリン酸二水素カリウム(KH2PO4)緩衝液中で37℃の温度で、USPパドル装置(II型)を使用して得られた。パドル攪拌速度は50rpmであった。
【0118】
実施例4
造粒と錠剤化
【0119】
化合物(1)、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトセル(商標)-E4M, Dow Chemical)を秤量し、30メッシュスクリーンのふるいにかけて弱い凝集物を破壊させた。スクリーニングした物質を高剪断湿式造粒機(KG−5高剪断ブレンダー、5リットルボール、Key International)に入れ、5分間あらかじめ混合した(インペラー速度188rpm、チョッパー速度2000rpm)。水を秤量し(USP、27.5質量%)、約20分以上造粒機に加え、湿った塊をインペラー速度188rpm、チョッパー速度2000rpmで2分間混合した。造粒後、湿った顆粒を0.079Gスクリーンを取り付けたQuadro Comilで粉砕した。粉砕した湿った顆粒を6リットルのボールを取り付けたドライヤー(GPCG-2 Fluid Bed Dryer, Glatt GmbH)に入れ、入り口温度55℃で乾燥し、顆粒温度が上がり始めるまで(すなわち<28℃)空気流を35SCFMに調整した。乾燥した顆粒を、0.050Gスクリーンを取り付けたQuadro Comilを通過させて粉砕した。
【0120】
錠剤を調製するために、乾燥した顆粒をV-shell 0.5クォートブレンダーに移し、あらかじめ30メッシュスクリーンを通過させたヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトセル(商標)K100M、Dow Chemical)を加え、25rpmで5分間混合した。ステアリン酸マグネシウム(NF、ウシ以外、Mallinckrodt)を70メッシュスクリーンでふるいにかけ、ブレンダーに加え、内容物を25rpmで3分間混合した。D−又はB−ツーリングを取り付けたKorsch XL100造粒プレスを使用して、混合物から錠剤を調製した。
【0121】
本例に開示した顆粒と錠剤の組成を表1と表2に要約する。
【0122】
【表1】
【0123】
【表2】
【0124】
実施例5
ローラー圧縮による錠剤の調製
【0125】
ローラー圧縮を使用して、600mgの化合物(1)を含有する持続放出性錠剤を調製した。錠剤成分を表3に示す。化合物(1)とリン酸一水素カルシウム2水和物の一部を拡散ミキサー中でプレ混合した。このプレ混合物、タルク、ベヘム酸グリセリル、コロイド二酸化ケイ素、及び残りのリン酸一水素カルシウム2水和物をスクリーニングミルを通過させ、次にラウリル硫酸ナトリウムの一部及びあらかじめスクリーニングしたステアリン酸マグネシウムの一部と一緒にし、拡散ミキサー中で混合した。混合物をローラー圧縮して乾燥顆粒を得て、次にこれを残りのラウリル硫酸ナトリウム及び残りのあらかじめスクリーニングしたステアリン酸マグネシウムと混合した。次に混合物を圧縮して錠剤とした。ローラー圧縮により調製した錠剤は、約46質量%の化合物(1)を含有した。異なる合成ロットからの化合物(1)を使用した以外は、SR1及びSR9錠剤の組成は同様であった。
【0126】
【表3】
【0127】
実施例6
錠剤溶解に及ぼす放出速度制御ポリマーの作用
1200mg錠剤の溶解プロフィールに及ぼす質量%メトセル(商標)-K100Mの作用を評価するために、改変卵型(0.8350mm×0.3225mm)ツーリングを使用して実施例4に従って、4、7、又は10質量%メトセル(商標)-K100Mを含む錠剤を調製した。対応する錠剤の組成を表4に示す。溶解プロフィールを図1に示し、実施例5に従って調製したSR1及びSR9錠剤の溶解プロフィールと比較した。
【0128】
【表4】
【0129】
実施例7
錠剤溶解に及ぼすHPMCの種類と含量の影響
【0130】
錠剤溶解に及ぼすHPMCの種類と含量の影響を測定するために、98質量%の化合物(1)、1質量%のメトセル(商標)-E4M、及び1質量%のSLSを含有する顆粒を使用して600mg用量錠剤を調製し、20質量%水、及びメトセル(商標)-K100M若しくはメトセル(商標)-E4Mを使用して調製した。錠剤の質量%の含量を表5に示す。
【表5】
【0131】
メトセル(商標)-K100M又はメトセル(商標)-K4Mと混合した調製物から調製した錠剤の溶解プロフィールを、それぞれ図2と図3に示す。
実施例8
溶解に及ぼす錠剤のサイズの影響
【0132】
総重量が約1350mgで89質量%の化合物(1)(1200mgの化合物(1))、7質量%のメトセル(商標)-K100M、及び2質量%のステアリン酸マグネシウムを含有し、異なる大きさの卵形ツーリングを使用して作成した錠剤の溶解を比較することにより、溶解プロフィールに対する錠剤サイズの影響を評価した。(0.8350mm×0.3225mm)、(0.9565mm×0.33475mm)、及び(0.7470mm×0.3460mm)改変卵形ツーリングを使用して作成した錠剤の溶解プロフィールを、図4に示す。
【0133】
実施例9
溶解に及ぼす錠剤硬度の影響
2質量%のステアリン酸マグネシウムを含有する錠剤(88.2質量%の化合物(1)、0.9質量%のメトセル(商標)-E4M、0.9質量%のSLS、8.0質量%のメトセル(商標)-K100M、及び2質量%のステアリン酸マグネシウム、総重量680.3mg)又は3質量%のステアリン酸マグネシウムを含有する錠剤(87.2質量%の化合物(1)、0.9質量%のメトセル(商標)-E4M、0.9質量%のSLS、8.0質量%のメトセル(商標)-K100M、及び3質量%のステアリン酸マグネシウム、総重量687.9mg)の溶解に及ぼす錠剤硬度の影響を、それぞれ図5と図6に示す。2質量%のステアリン酸マグネシウムを含む錠剤(図5)について、7、9、12、20、30、及び42kNの圧縮力は、それぞれ錠剤硬度12.7、14.4、17.9、16.8、17.3、及び15.8kPに対応する。2質量%のステアリン酸マグネシウムを含む錠剤(図6)について、7、9、12、20、30、及び42kNの圧縮力は、それぞれ錠剤硬度12.7、14.4、17.9、16.8、17.3、及び15.8kPに対応する。
【0134】
実施例10
顆粒の性質に及ぼす造粒中の水分含量の影響
顆粒の強度に及ぼす高剪断湿式造粒中に使用される水の量の影響を調べた。98質量%の化合物(1)、1質量%のメトセル(商標)-E4M、及び1質量%のSLS、又は97質量%の化合物(1)と3質量%のメトセル(商標)-E4Mを含有する顆粒を、20質量%〜30質量%の水を使用して調製し、乾燥し、Sympatec粒子アナライザー(QicPic/RODOS-L/VIBRI-L, Sympatec GmbH, Clausthal-Zellerfeld, DE)を使用して、粒子が割れ始める空気圧を測定することにより、顆粒強度を測定した。
【0135】
異なる量の水を使用して上昇する空気圧を用いて調製した、97質量%の化合物(1)と3質量%のメトセル(商標)-E4Mを含有するd10画分顆粒の平均粒子サイズを図7に示す。
【0136】
20質量%〜30質量%の水を使用して上昇する空気圧を用いて調製した、97質量%の化合物(1)、1質量%のメトセル(商標)-E4M、及び1質量%のSLSを含有するd10画分顆粒の平均粒子サイズを図8に示す。
【0137】
異なる量の水を使用して調製した顆粒の流動性に及ぼす水の影響を、表6に示す。98質量%の化合物(1)、1質量%のメトセル(商標)-E4M、及び1質量%のSLSを有する顆粒は、造粒プロセスで使用される広範囲の水にわたって、許容される流動性を示した。
【0138】
【表6】
【0139】
実施例11
錠剤成分と製剤の性質
錠剤成分と製剤の流動性を表7に示す。主ブレンド(Main Blend)は、98質量%の化合物(1)、1質量%のメトセル(商標)-E4M、及び1質量%のSLSを含有した。ブレンドDは、8質量%のメトセル(商標)-K100M及び2質量%のステアリン酸マグネシウムと混合した90質量%の顆粒を含有し、ブレンドEは、8質量%のメトセル(商標)-K100Mと3質量%のステアリン酸マグネシウムと混合した89質量%顆粒を含有し、実施例4に記載のように調製した。
【0140】
【表7】
【0141】
ブレンドDとブレンドEを使用して錠剤(600mg)を調製し、射出力を測定した。図9に示すように、2質量%(ブレンドD)から3質量%(ブレンドE)へステアリン酸マグネシウムの量を増加させると、圧縮ツールから錠剤を射出するのに必要な力が低下した。2つのブレンドの溶解プロフィールを図10に示す。
【0142】
実施例12
錠剤中の化合物(1)の化学的安定性
温度と湿度の種々の条件下での化合物(1)の開放皿(open dish)化学的安定性を、異なる錠剤について測定した。錠剤を最大3ヶ月間、温度と湿度に曝露し、化合物(1)とラクタム代謝物、3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン、ラクタム(1);3−[3−メチル−1−メチレン−5−(メチルエチル)ヘキサ−5−エニル]−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン、ラクタム(2);及び3−[(3−オキソ−2−アザスピロ[4.5]デカ−2−イル)エチル]−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン、ラクタム(3)の量を測定した。高剪断湿式造粒法により調製した顆粒を含有する錠剤の組成は、98質量%の化合物(1)、1質量%のメトセル(商標)-E4M、及び1質量%のSLSを含む95.5質量%の顆粒で、3質量%のメトセル(商標)-K100M及び1.5質量%のステアリン酸マグネシウムと混合した。SR1、SR4、及びSR9製剤を、実施例5に従って、異なる合成ロットからの化合物(1)を使用して調製した。結果を表11と表12に示す。高薬剤充填錠剤は、ローラー圧縮を使用して調製した錠剤(SR1、SR4、及びSR9)と比較して、より少量のラクタム分解物を示した。
【0143】
【表8】
【0144】
【表9】
【0145】
実施例13
持続放出性経口剤形を投与後のヒト被験体でのガバペンチンの薬物動態
本開示により提供される持続放出剤形の投与後のガバペンチンの薬物動態を、絶食条件下の10人の健常成人男性志願者の非盲検5期試験を使用して、処置の間に5日間のウォッシュアウトを用いて測定した。試験の期間1では、すべての被験者に600mg(2×300mg)のNEURONTIN(商標)(ガバペンチン)の単回経口投与を行った。以後の4つの期間(期間2〜期間5)では各被験者に、2つの異なる化合物(1)SR錠剤の1つをランダムに投与した。すべての化合物(1)製剤を、1200mg化合物(1)(2つの600mg錠剤)の単回経口投与で投与した。2つの化合物(1)錠剤は、実施例5に従って調製されたSR1とSR9製剤であった。
【0146】
投与前と投与後一定時間に、すべての被験者から血液試料(約3mL)を、K2EDTAを含有する試験管中に採取した。採取後15分以内に血液試料を3000rpmで4℃で遠心分離した。血漿の2つのアリコート(各約0.7mL)をピペットでVWR試験管に移した。試料を−20℃で保存した後、分析した。
【0147】
全尿の採取を、投与前、投与後0〜4時間、4〜8時間、8〜12時間、12〜24時間、及び24〜36時間の間隔で行った。各間隔で総尿量を重量(g)で測定し、1g=1mLの関係を使用してmLに換算した。尿試料の2つのアリコート(各1.5mL)を−20℃以下で保存後、分析した。
【0148】
血漿試料は、ヒト血漿(K2EDTA)中のガバペンチン測定について評価済みのLC−MS/MS法により分析した。この方法は、80〜10,000ng/mLの濃度範囲で直線であった。バッチ内精度(%CV)は≦2.83%であり、バッチ内正確度(理論%)は97.5〜104%の範囲であった;バッチ間精度は≦5.76%であり、バッチ間正確度は97.7〜104%の範囲であった。
【0149】
尿試料は、ヒト尿中のガバペンチン測定について評価済みのLC−MS/MS法により分析した。この方法は、50〜12,500ng/mLの濃度範囲で直線であった。バッチ内精度(%CV)は≦4.93%であり、バッチ内正確度(理論%)は96.0〜102%の範囲であった;バッチ間精度は≦5.14%であり、バッチ間正確度は98.1〜105%の範囲であった。血漿中のガバペンチンの濃度データは、WINNONLIN(商標)(WINNONLIN(商標)ソフトウェアのバージョン4.1、Pharsigh Corporation, Mountain View, CA)を使用して非コンパートメント法により解析した。
【0150】
薬物動態解析と統計的計算について定量限界より下のすべての濃度値は0(ゼロ)として処理した。薬物動態パラメータの計算には実際の時間を使用した。すべての濃度データとPKパラメータをSIGMAPLOT(商標)(バージョン9.0、Systat Software Inc, Point Richmond, CA)を使用してプロットした。
【0151】
最大濃度(Cmax)とCmaxまでの時間(Tmax)を、観察により得た。見かけの排出半減期(T1/2)は、最終期の3又はそれ以上のlog変換データ点の線形回帰により得た。濃度−対−時間曲線下の面積(AUC)は、投与間隔にわたる濃度データを使用して、線形台形法により得た。無限大まで外挿したAUC値(AUCinf)は以下のように計算した:
AUCinf=AUC(0-tlast)+Clast/λZ
ここで、tlastは最後の定量可能な濃度(Clast)の時間であり、λZは見かけの末端排出相の速度定数である。
【0152】
各尿採取期間中に排泄されるガバペンチンの総量(Ae)は以下のように計算した:
Ae(t1-t2)=C(t1-t2)×V(t1-t2)
ここで、Ae(t1-t2)は、時間間隔t1〜t2にわたって排泄されるmg量であり、C(t1-t2)は、この間隔で採取される尿中アナライトのmg/mL濃度であり、V(t1-t2)は尿試料の総量(mL)である。36時間にわたって排泄された総量(Ae(0-36))は、すべての間隔で排泄された量の合計として計算した。ガバペンチンとして36時間で排泄された用量のパーセントは以下のように計算した:
排泄された用量パーセント(%R)=100*(Ae(0-36)/D)
ここでDは、ガバペンチンのmg当量で表した化合物(1)の投与量である。ガバペンチンはあまり代謝されず尿中にのみ排泄されるため、経口投与後のガバペンチンの尿回収は経口バイオアベイラビリティ(F)に等しい。この推定は、各採取期間の尿容量の正確な測定を必要とする。
【0153】
SR1又はSR9錠剤としての1200mg化合物(1)(2つの600mg錠剤)の単回経口投与後の健常患者の血漿中のガバペンチンの薬物動態プロフィールを図11に示し、パラメータを表13に要約する。
【0154】
【表10】
【0155】
最後に、本明細書に開示の実施態様を実施するための別の方法があることに注意されたい。従って本実施態様は例示目的であり、本発明を限定するものではない。さらに特許請求の範囲は、本明細書に記載の詳細に限定されず、これらの全範囲と同等物を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約80質量%〜95質量%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸、又はその医薬的に許容し得る塩を含んでなる錠剤剤形。
【請求項2】
約300mg〜約1300mgの1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸を含んでなる、請求項1に記載の錠剤剤形。
【請求項3】
1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が遊離酸型である、請求項1又は2に記載の錠剤剤形。
【請求項4】
前記遊離酸型の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が結晶である、請求項3に記載の錠剤剤形。
【請求項5】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースと滑沢剤とを含んでなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の錠剤剤形。
【請求項6】
約3質量%〜約15質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、約2質量%〜約3質量%の滑沢剤とを含んでなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の錠剤剤形。
【請求項7】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、メトキシル含量が19%〜24%、ヒドロキシプロピル含量が7%〜12%、そして2%水溶液中の粘度が80,000cps〜120,000cpsであるヒプロメロース2208ポリマーである、請求項6に記載の錠剤剤形。
【請求項8】
顆粒を含んでなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の錠剤剤形。
【請求項9】
前記顆粒が約95質量%を超える1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸又はその医薬的に許容し得る塩を含んでなる、請求項8に記載の錠剤剤形。
【請求項10】
前記1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が遊離酸型であり、かつ結晶である、請求項9に記載の錠剤剤形。
【請求項11】
前記顆粒が、界面活性剤とヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーとを含んでなる、請求項8〜10のいずれか1項に記載の錠剤剤形。
【請求項12】
約0.5質量%〜約2質量%の界面活性剤と、
約0.5質量%〜約2質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーとを含んでなる、請求項11に記載の錠剤剤形。
【請求項13】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、メトキシル含量が28%〜30%でヒドロキシプロピル含量が7〜12%であり、かつ2%水溶液中の粘度が3,000cps〜5,600cpsであるヒプロメロース2910ポリマーである、請求項11又は12に記載の錠剤剤形。
【請求項14】
前記顆粒が、
約98質量%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸、
約1質量%の界面活性剤、及び
約1質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマー(当該ポリマーは、メトキシル含量が28%〜30%でヒドロキシプロピル含量が7〜12%であり、かつ2%水溶液中の粘度が3,000cps〜5,600cpsであるヒプロメロース2910ポリマーである)、
から実質的になる請求項12に記載の錠剤剤形。
【請求項15】
剤形は持続放出剤形である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の錠剤剤形。
【請求項16】
経口剤形からの1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸の放出は、1%ラウリル硫酸ナトリウムを有する10mM、pH7.4のリン酸二水素カリウム緩衝液中で37℃、50rpm(USP、II型)で攪拌した場合に、
約4時間で約26%〜約41%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、
約8時間で約50%〜約78%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、
約12時間で約68%〜約100%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、そして
約20時間で約95%〜約100%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出される、放出プロフィールを示す、請求項1〜15のいずれか1項に記載の錠剤剤形。
【請求項17】
経口剤形からの1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸の放出は、1%ラウリル硫酸ナトリウムを有する10mM、pH7.4のリン酸二水素カリウム緩衝液中で37℃、50rpm(USP、II型)で攪拌した場合に、
約4時間で約30%〜約36%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、
約8時間で約56%〜約68%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、
約12時間で約76%〜約94%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、そして
約20時間で約85%〜約100%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出される、放出プロフィールを示す、請求項1〜15のいずれか1項に記載の錠剤剤形。
【請求項18】
1%ラウリル硫酸ナトリウムを有する10mM、pH7.4のリン酸二水素カリウム緩衝液中で37℃、50rpm(USP、II型)で攪拌した時、
約4時間で約33%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、
約8時間で約62%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、
約12時間で約85%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、そして
約20時間で約95%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出される放出プロフィールと比較した時、f1差因子(f1 difference factor)が15未満でf2類似性因子(f2 sililarity factor)が50〜100である溶解プロフィールを示す、請求項1〜17のいずれか1項に記載の錠剤剤形。
【請求項19】
約1200mgの化合物(1)を含み、絶食した10人の健常成人男性からなる集団に投与すると、Cmaxが約3.73μg/mL〜約5.83μg/mL、及びAUCinfが約43.1μg×時間/mL〜約67.3μg×時間/mLにより特徴付けられる平均ガバペンチン血漿濃度プロフィールを与える、請求項1〜18のいずれか1項に記載の錠剤剤形。
【請求項20】
約0.2質量%未満のラクタムを含み、ラクタム質量%は、剤形中の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸の名目量と比較したものであることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか1項に記載の錠剤剤形。
【請求項21】
前記剤形が、40℃で43%の相対湿度(RH)に少なくとも約17日間曝露後に、約0.2質量%未満のラクタムを含む、請求項20に記載の錠剤剤形。
【請求項22】
USP 1216に従って測定すると約0.5質量%未満の脆砕性を有する、請求項1〜21のいずれか1項に記載の経口錠剤剤形。
【請求項23】
約95質量%を超える1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸又はその医薬的に許容し得る塩を含む固体顆粒。
【請求項24】
前記顆粒が、約20mm未満のFlodexを示す、請求項23に記載の固体顆粒。
【請求項25】
前記顆粒が、高速湿式造粒法により調製される、請求項23又は24に記載の固体顆粒。
【請求項26】
請求項23〜25のいずれか1項に記載の顆粒を含んでなる経口剤形。
【請求項27】
前記顆粒が圧縮されて錠剤になる、請求項26の経口剤形。
【請求項28】
てんかん、本態性振戦、慢性局所疼痛症候群、線維筋痛症、神経根障害、腹部内臓痛、過敏性腸症候群、偏頭痛、全般性不安障害、うつ病、不眠症、過活動膀胱、ほてり、早漏、むずむず脚症候群、神経因性疼痛、慢性腰痛、アルコール依存症、複合性局所疼痛症候群、術後疼痛、癌誘発性疼痛、双極性障害、社会不安障害、パーキンソン病、喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患、及び外陰部痛の治療のための、請求項1〜22及び26〜27のいずれか1項に記載の化合物(1)。
【請求項29】
前記疾患がむずむず脚症候群である、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
前記疾患が神経因性疼痛である、請求項28に記載の化合物。
【請求項31】
てんかん、本態性振戦、慢性局所疼痛症候群、線維筋痛症、神経根障害、腹部内臓痛、過敏性腸症候群、偏頭痛、全般性不安障害、うつ病、不眠症、過活動膀胱、ほてり、早漏、むずむず脚症候群、神経因性疼痛、慢性腰痛、アルコール依存症、複合性局所疼痛症候群、術後疼痛、癌誘発性疼痛、双極性障害、社会不安障害、パーキンソン病、喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患、及び外陰部痛の予防のための請求項1〜22及び26〜27のいずれか1項に記載の化合物(1)。
【請求項32】
疾患はむずむず脚症候群である、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
疾患はヘルペス後神経痛である、請求項31に記載の化合物。
【請求項1】
約80質量%〜95質量%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸、又はその医薬的に許容し得る塩を含んでなる錠剤剤形。
【請求項2】
約300mg〜約1300mgの1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸を含んでなる、請求項1に記載の錠剤剤形。
【請求項3】
1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が遊離酸型である、請求項1又は2に記載の錠剤剤形。
【請求項4】
前記遊離酸型の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が結晶である、請求項3に記載の錠剤剤形。
【請求項5】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースと滑沢剤とを含んでなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の錠剤剤形。
【請求項6】
約3質量%〜約15質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、約2質量%〜約3質量%の滑沢剤とを含んでなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の錠剤剤形。
【請求項7】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、メトキシル含量が19%〜24%、ヒドロキシプロピル含量が7%〜12%、そして2%水溶液中の粘度が80,000cps〜120,000cpsであるヒプロメロース2208ポリマーである、請求項6に記載の錠剤剤形。
【請求項8】
顆粒を含んでなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の錠剤剤形。
【請求項9】
前記顆粒が約95質量%を超える1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸又はその医薬的に許容し得る塩を含んでなる、請求項8に記載の錠剤剤形。
【請求項10】
前記1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が遊離酸型であり、かつ結晶である、請求項9に記載の錠剤剤形。
【請求項11】
前記顆粒が、界面活性剤とヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーとを含んでなる、請求項8〜10のいずれか1項に記載の錠剤剤形。
【請求項12】
約0.5質量%〜約2質量%の界面活性剤と、
約0.5質量%〜約2質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーとを含んでなる、請求項11に記載の錠剤剤形。
【請求項13】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、メトキシル含量が28%〜30%でヒドロキシプロピル含量が7〜12%であり、かつ2%水溶液中の粘度が3,000cps〜5,600cpsであるヒプロメロース2910ポリマーである、請求項11又は12に記載の錠剤剤形。
【請求項14】
前記顆粒が、
約98質量%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸、
約1質量%の界面活性剤、及び
約1質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマー(当該ポリマーは、メトキシル含量が28%〜30%でヒドロキシプロピル含量が7〜12%であり、かつ2%水溶液中の粘度が3,000cps〜5,600cpsであるヒプロメロース2910ポリマーである)、
から実質的になる請求項12に記載の錠剤剤形。
【請求項15】
剤形は持続放出剤形である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の錠剤剤形。
【請求項16】
経口剤形からの1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸の放出は、1%ラウリル硫酸ナトリウムを有する10mM、pH7.4のリン酸二水素カリウム緩衝液中で37℃、50rpm(USP、II型)で攪拌した場合に、
約4時間で約26%〜約41%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、
約8時間で約50%〜約78%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、
約12時間で約68%〜約100%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、そして
約20時間で約95%〜約100%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出される、放出プロフィールを示す、請求項1〜15のいずれか1項に記載の錠剤剤形。
【請求項17】
経口剤形からの1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸の放出は、1%ラウリル硫酸ナトリウムを有する10mM、pH7.4のリン酸二水素カリウム緩衝液中で37℃、50rpm(USP、II型)で攪拌した場合に、
約4時間で約30%〜約36%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、
約8時間で約56%〜約68%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、
約12時間で約76%〜約94%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、そして
約20時間で約85%〜約100%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出される、放出プロフィールを示す、請求項1〜15のいずれか1項に記載の錠剤剤形。
【請求項18】
1%ラウリル硫酸ナトリウムを有する10mM、pH7.4のリン酸二水素カリウム緩衝液中で37℃、50rpm(USP、II型)で攪拌した時、
約4時間で約33%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、
約8時間で約62%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、
約12時間で約85%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出され、そして
約20時間で約95%の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸が放出される放出プロフィールと比較した時、f1差因子(f1 difference factor)が15未満でf2類似性因子(f2 sililarity factor)が50〜100である溶解プロフィールを示す、請求項1〜17のいずれか1項に記載の錠剤剤形。
【請求項19】
約1200mgの化合物(1)を含み、絶食した10人の健常成人男性からなる集団に投与すると、Cmaxが約3.73μg/mL〜約5.83μg/mL、及びAUCinfが約43.1μg×時間/mL〜約67.3μg×時間/mLにより特徴付けられる平均ガバペンチン血漿濃度プロフィールを与える、請求項1〜18のいずれか1項に記載の錠剤剤形。
【請求項20】
約0.2質量%未満のラクタムを含み、ラクタム質量%は、剤形中の1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸の名目量と比較したものであることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか1項に記載の錠剤剤形。
【請求項21】
前記剤形が、40℃で43%の相対湿度(RH)に少なくとも約17日間曝露後に、約0.2質量%未満のラクタムを含む、請求項20に記載の錠剤剤形。
【請求項22】
USP 1216に従って測定すると約0.5質量%未満の脆砕性を有する、請求項1〜21のいずれか1項に記載の経口錠剤剤形。
【請求項23】
約95質量%を超える1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸又はその医薬的に許容し得る塩を含む固体顆粒。
【請求項24】
前記顆粒が、約20mm未満のFlodexを示す、請求項23に記載の固体顆粒。
【請求項25】
前記顆粒が、高速湿式造粒法により調製される、請求項23又は24に記載の固体顆粒。
【請求項26】
請求項23〜25のいずれか1項に記載の顆粒を含んでなる経口剤形。
【請求項27】
前記顆粒が圧縮されて錠剤になる、請求項26の経口剤形。
【請求項28】
てんかん、本態性振戦、慢性局所疼痛症候群、線維筋痛症、神経根障害、腹部内臓痛、過敏性腸症候群、偏頭痛、全般性不安障害、うつ病、不眠症、過活動膀胱、ほてり、早漏、むずむず脚症候群、神経因性疼痛、慢性腰痛、アルコール依存症、複合性局所疼痛症候群、術後疼痛、癌誘発性疼痛、双極性障害、社会不安障害、パーキンソン病、喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患、及び外陰部痛の治療のための、請求項1〜22及び26〜27のいずれか1項に記載の化合物(1)。
【請求項29】
前記疾患がむずむず脚症候群である、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
前記疾患が神経因性疼痛である、請求項28に記載の化合物。
【請求項31】
てんかん、本態性振戦、慢性局所疼痛症候群、線維筋痛症、神経根障害、腹部内臓痛、過敏性腸症候群、偏頭痛、全般性不安障害、うつ病、不眠症、過活動膀胱、ほてり、早漏、むずむず脚症候群、神経因性疼痛、慢性腰痛、アルコール依存症、複合性局所疼痛症候群、術後疼痛、癌誘発性疼痛、双極性障害、社会不安障害、パーキンソン病、喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患、及び外陰部痛の予防のための請求項1〜22及び26〜27のいずれか1項に記載の化合物(1)。
【請求項32】
疾患はむずむず脚症候群である、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
疾患はヘルペス後神経痛である、請求項31に記載の化合物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−519709(P2012−519709A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553151(P2011−553151)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/026427
【国際公開番号】WO2010/102252
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(503455503)ゼノポート,インコーポレイティド (22)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/026427
【国際公開番号】WO2010/102252
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(503455503)ゼノポート,インコーポレイティド (22)
【Fターム(参考)】
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