説明

ICタグおよびタグ

【課題】 商品や人間に悪影響を及ぼすことなく、いわゆる万引の防止をより一段と図ることができるようにする。
【解決手段】 例えば、香りシート36を内蔵する香りシート内蔵ICタグ22が商品21に貼り付けられている状態で、犯人が、香りシート内蔵ICタグ22を商品21から剥がそうとした場合、香りシート36が外部に露出して、その香りシート36から匂いの分子51が周囲に放散される。これにより、犯人が香りシート内蔵ICタグ22を壊そうとしていることを、周囲の人に容易に気づかせることが可能になる。その結果、犯人は、ICタグをはがす方法で商品21を万引きすることができなくなり、商品21の万引き防止を確実に図ることができる。本発明は、万引き防止用のRFIDシステムに適用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグおよびタグに関し、特に、商品や人間に悪影響を及ぼすことなく、いわゆる万引の防止をより一段と図ることができるようにしたICタグおよびタグに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency Identification)システムが普及してきた(例えば、特許文献1参照)。RFIDシステムは、IC(Integrated Circuit)タグとリーダライタとから構成されるシステムである。
【0003】
ICタグは、ICタグインレットがケース等に収納されて(即ち、ICタグインレットがパッケージ化されて)構成されている。換言すると、ICタグは、ICタグインレットを内蔵している。なお、本明細書においては、ICタグと、ICタグインレットが内蔵されていないタグとを明確に区別する。即ち、本明細書においては、単にタグといった場合、それは、ICタグインレットが内蔵されていないタグを指し、ICタグを含まない。
【0004】
詳細には、RFIDシステムは、リーダライタが、ICタグ内のICタグインレットに格納された情報を非接触で読み取ったり、ICタグ内のICタグインレットに情報を非接触で書き込むシステムである。ただし、以下、ICタグとICタグインレットとを個々に区別する必要がない場合、ICタグからデータが読み書きされると表現する。
【0005】
RFIDシステムは、様々な分野に適用可能である。例えば、店内に陳列された商品をその代金と引き換えに販売するビジネスの分野に対して、いわゆる万引きの防止を目的とするRFIDシステムを適用することが想定できる。
【0006】
このような万引きの防止を目的とするRFIDシステムは、例えば、ICタグを商品に貼り付けるとともに、店のゲート(出入り口)の近傍とレジの近傍とのそれぞれにリーダライタを設置することで実現可能である。
【0007】
この場合、買物客が店のレジで商品の代金を支払ったとき、即ち、買物客がその商品を正規に購入したとき、レジのリーダライタが、その商品の代金を買物客が支払済であることを示す情報(以下、支払済情報と称する)を、その商品に貼り付けられたICタグに書き込む。その後、買物客が店のゲートを通過しようとするとき、ゲートのリーダライタは、ICタグに書き込まれた支払済情報を読み取り、支払済情報の読み取りが成功したことを、ゲートの開閉を制御するゲート制御装置に通知する。このとき、ゲート制御装置はゲートを開放する。これにより、買物客はゲートを通過できる。
【0008】
また、買物客が商品を持たないで(商品を購入しないで)ゲートを通過しようとした場合、ゲートのリーダライタは反応しない。このようにゲートのリーダライタが反応しない場合にも、ゲート制御装置はゲートを開放する。これにより、買物客はゲートを通過できる。
【0009】
これに対して、商品を万引きしようとする者が商品を持ったままの状態でレジを通らずに(代金を支払わずに)ゲートを通過しようとした場合、商品に貼り付けられたICタグには支払済情報は書き込まれていない。従って、ゲートのリーダライタは、ICタグから支払済情報の読み取りを試みても、その試みに失敗することになる。そこで、ゲートのリーダライタは、支払済情報の読み取りに失敗したことをゲート制御装置に通知する。このとき、ゲート制御装置はゲートを遮断する。これにより、その者はゲートを通過できなくなる。このようにして、商品の万引きの防止が図られる。
【特許文献1】特開2002−109573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、万引きをしようとする者が、ICタグを商品から剥がして棄てた後、商品を持ったままの状態でレジを通らずに(代金を支払わずに)ゲートを通過しようとした場合、ゲートのリーダライタは反応せずに、ゲート制御装置はゲートを開放してしまうことになる。その結果、その者はゲートを通過できてしまうことになる。即ち、この場合、万引きを発見できないことになる。
【0011】
そこで、自律して電波を出力するICタグインレットを内蔵するICタグを採用して、ICタグが商品から剥がされようとした場合にICタグインレットが電波を出力するように、そのICタグを構成することで、万引き防止を図ることも想定できる。この場合、店舗内の適当な位置に配置された電波検出装置が、その電波を検出したときに警報を出力する。
【0012】
しかしながら、万引きの犯人が、電波検出装置まで電波が届かない範囲内でICタグを剥がした場合、或いは、剥がしたICタグを棄ててその場所から速やかに遠ざかってしまったり、ICタグを剥がすときにそのICタグをシールドするなどした場合、商品の万引き防止を図ることが非常に困難になってしまう、という課題が生じてしまう。
【0013】
さらにその他、商品の万引き防止の手法として、商品の価格等が印刷されたタグ(ICタグインレットが挿入されていないタグ)の内部にインクを充填し、そのタグを、ヒモで取り付けられている商品から取り外そうとしたとき、そのインクを、タグの外部に噴出させてそのタグが付けられている商品や万引き犯人の衣服等に付着させる、という手法が従来存在する。
【0014】
しかしながら、この従来の手法では、商品や衣服等をインクで汚してしまう、という課題が存在する。即ち、従来の手法では、商品や人間に対して悪影響を及ぼしてしまうという課題が存在する。特に、買物客が、商品の万引きを目的としている訳ではなく、ただ単に誤ってタグを剥がそうとしてしまった場合等には、買物客の衣服等にインクが付着してしまうことになり、この課題はより顕著なものとなる。
【0015】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、商品や人間に悪影響を及ぼすことなく、いわゆる万引きの防止をより一段と確実に図ることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のICタグは、外表面を構成する第1のシートと、外裏面を構成する第2のシートと、外部のリーダライタとの間で無線通信を行うことで情報を送受信するICタグインレットと、匂いの分子を放散させる第3のシートとを備えるICタグであって、ICタグインレットは、第1のシートと第2のシートとの間に配置され、第3のシートは、ICタグの外裏面が物体の面に接着されている状態でICタグが物体から剥がされた場合に、ICタグの外部に露出して、匂いの分子を周囲に放散させるように、第1のシートと第2のシートとの間に配置されている。
【0017】
本発明のICタグにおいては、ICタグの外裏面が物体の面に接着されている状態で、万引き犯人が、ICタグを物体から剥がそうとした場合、第3のシートがICタグの外部に露出して、その第3のシートから匂いの分子が周囲に放散される。
【0018】
これにより、犯人がICタグを壊そうとしていることを、周囲の他の人間に容易に気づかせることが可能になる。その結果、例えばICタグが接着されている物品が商品の場合、実質上、その人間は、ICタグをはがす方法でその商品を万引きすることができなくなり、その商品の万引き防止を確実に図ることができる。
【0019】
また、このように商品の万引きを発見するための材料として、匂い(香り)が利用できるので、上述したインク等の人間や商品に対して悪影響を及ぼすおそれが少なくなる。即ち、人間や商品に対して悪影響を及ぼすことなく、商品の万引き防止を確実に図ることができる。
【0020】
第1のシートは、例えば、紙やプラスティック等で構成することができる。第2のシートは、例えば防水性のあるシート、具体的には例えばビニールシート等で構成することができる。第3のシートは、例えば塩素分子を含む液体を含浸させたシート等で構成することができる。ICタグインレットは、例えば、RFIDシステムで採用されるICタグインレット等で構成することができる。
【0021】
このICタグは、表面の少なくとも周囲に第1の接着部を有する第4のシートをさらに設け、第2のシートは、表面に第2の接着部を有し、かつ、裏面に第3の接着部を有し、ICタグの表面から裏面に向かう方向に、第1のシート、ICタグインレット、第4のシート、第3のシート、および、第2のシートがその順番で配置され、第1のシートの裏面と第4のシートの表面とが、ICタグインレットを挟んで、第1の接着部により接着され、第4のシートの裏面と第2のシートの表面とが、第3のシートを挟んで、第2の接着部により接着され、第2のシートの裏面が、物体の面と第3の接着部により接着され、第2の接着部、第1の接着部、および、第3の接着部のそれぞれの接着力がその順番で順次強くなるようにすることができる。
【0022】
これにより、ICタグの外裏面が物体の面に接着されている状態で、犯人が、ICタグを物体から剥がそうとした場合、第2のシートと物体とは、接着力が一番強い第3の接着部により固定(接着)されたままで剥がされず、かつ、第1のシート、ICタグインレット、および、第4のシートも、接着力が次に強い第1の接着部によりほぼ固定(接着)されたままでほぼ剥がされない。これに対して、接着力が一番弱い第2の接着部によりこれまで第2のシートの表面と固定(接着)されていた第4のシートが、その第2のシートから剥がされてしまい、その結果、ICタグの外部に第3のシートが確実に露出することになるので、その香りの分子を周囲に確実に放散することが可能になる。
【0023】
第4のシートは、例えば防水性のあるシート、具体的には例えばビニールシート等で構成することができる。第1の接着部乃至第3の接着部は、例えば接着剤等で構成することができる。
【0024】
このICタグにおいて、物体は商品またはその商品を収容する物品であり、ICタグインレットは、リーダライタにより読み書きされる情報を記憶する記憶部を有し、記憶部には、少なくともICタグが接着された物体が正規に購入されたのか否かを示す情報が記憶されるようにすることができる。
【0025】
これにより、商品の万引きを発見する材料として、第3のシートからの香りの放散に加えてさらに、商品が正規に購入されたのか否かを示す情報を利用することができるようになり、その結果、商品の万引き防止をより一段と確実に図ることができる。
【0026】
また、商品が正規に購入されたのか否かを示す情報は電磁波で搬送されることから、人間や商品に対して悪影響を及ぼすことなく、商品の万引き防止をより一段と確実に図ることができる。
【0027】
本発明のタグは、外表面を構成する第1のシートと、外裏面を構成する第2のシートと、匂いの分子を放散させる第3のシートとを備えるタグであって、第3のシートは、タグの外裏面が物体の面に接着されている状態でタグが物体から剥がされた場合に、タグの外部に露出して、匂いの分子を周囲に放散させるように、第1のシートと第2のシートとの間に配置されていることを特徴とする。
【0028】
本発明のタグにおいては、タグの外裏面が物体の面に接着されている状態で、万引き犯人が、タグを物体から剥がそうとした場合、第3のシートがタグの外部に露出して、その第3のシートから匂いの分子が周囲に放散される。
【0029】
これにより、犯人がタグを壊そうとしていることを、周囲の他の人間に容易に気づかせることが可能になる。その結果、例えばタグが接着されている物品が商品の場合、実質上、その犯人は、タグをはがす方法でその商品を万引きすることができなくなり、その商品の万引き防止を確実に図ることができる。
【0030】
また、このように商品の万引きを発見するための材料として、匂い(香り)が利用できるので、上述したインク等の人間や商品に対して悪影響を及ぼすおそれが少なくなる。即ち、人間や商品に対して悪影響を及ぼすことなく、商品の万引き防止を確実に図ることができる。
【0031】
第1のシートは、例えば値札シートやバーコードシール等で構成することができる。第2のシートは、例えば防水性のあるシート、具体的には例えばビニールシート等で構成することができる。第3のシートは、例えば塩素分子を含む液体を含浸させたシート等で構成することができる。
【0032】
このタグは、表面の少なくとも周囲に第1の接着部を有する第4のシートをさらに設け、第2のシートは、表面に第2の接着部を有し、かつ、裏面に第3の接着部を有し、タグの表面から裏面に向かう方向に、第1のシート、第4のシート、第3のシート、および、第2のシートがその順番で配置され、第1のシートの裏面と第4のシートの表面とが、第1の接着部により接着され、第4のシートの裏面と第2のシートの表面とが、第3のシートを挟んで、第2の接着部により接着され、第2のシートの裏面が、物体の面と第3の接着部により接着され、第2の接着部、第1の接着部、および、第3の接着部のそれぞれの接着力がその順番で順次強くなるようにすることができる。
【0033】
これにより、タグの外裏面が物体の面に接着されている状態で、万引き犯人が、タグを物体から剥がそうとした場合、第2のシートと物品とは、接着力が一番強い第3の接着部により固定(接着)されたままで剥がされず、かつ、第1のシートと第4のシートとも、接着力が次に強い第1の接着部によりほぼ固定(接着)されたままでほぼ剥がされない。これに対して、接着力が一番弱い第2の接着部によりこれまで第2のシートの表面と固定(接着)されていた第4のシートは、その第2のシートから剥がされてしまい、タグの外部に第3のシートが確実に露出することになるので、その香りの分子を周囲に確実に放散することが可能になる。
【0034】
第4のシートは、例えば防水性のあるシート、具体的には例えばビニールシート等で構成することができる。第1の接着部乃至第3の接着部は、例えば接着剤等で構成することができる。
【発明の効果】
【0035】
以上のごとく、本発明によれば、商品やその商品のパッケージ等に貼り付けることが可能なICタグやタグを供給することができる。特に、商品や人間に悪影響を及ぼすことなく、商品の万引の防止をより一段と図ることができるICタグやタグを供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、図面を参照して、本発明が適用されるICタグを利用するRFIDシステムについて説明する。
【0037】
図1は、本発明が適用されるRFIDシステムの各構成要素の配置例を示している。このRFIDシステムは、商品の万引き防止を目的のひとつとしている。
【0038】
図1の例では、RFIDシステムは、香りシート内蔵ICタグ22−1および香りシート内蔵ICタグ22−2、レジ装置23−1乃至レジ装置23−3、並びに、ゲート制御装置24により構成されている。
【0039】
図1の例の店1では、その店内に、図中左から、商品21−1や商品21−2等の商品が陳列される商品棚11、それらの商品の代金を買物客が支払う場所であるレジ12−1乃至レジ12−3、および、買物客等が店1の内外に移動するときに通過するゲート13が配置されている。
【0040】
なお、商品棚11に陳列される商品の個数は、図1の例では商品21−1と商品21−2の2個とされているが、当然ながら図1の例に限定されず、任意の個数でよい。レジの台数は、図1の例ではレジ12−1乃至レジ12−3の3台とされているが、当然ながら図1の例に限定されず、任意の台数でよい。ゲートの台数は、図1の例ではゲート13の1台とされているが、当然ながら図1の例に限定されず、任意の台数でよい。また、商品棚11、レジ12−1乃至レジ12−3、および、ゲート13の配置位置は、当然ながら図1の例に限定されず、任意の配置位置でよい。
【0041】
商品21−1と商品21−2とのそれぞれには、香りシート内蔵ICタグ22−1と香りシート内蔵ICタグ22−2のそれぞれが貼り付けられている。
【0042】
なお、以下、商品21−1と商品21−2とを個々に区別する必要がない場合、それらをまとめて、商品21と称する。同様に、香りシート内蔵ICタグ22−1と香りシート内蔵ICタグ22−2とを個々に区別する必要がない場合、それらをまとめて、香りシート内蔵ICタグ22と称する。
【0043】
香りシート内蔵ICタグ22は、本発明が適用されるICタグの一実施の形態であって、その呼称の通り、香りの分子(特定の匂いを有する微粒子)を放散するシート(以下、香りシートと称する)と、ICタグインレットとが内蔵されたICタグである。
【0044】
なお、以下、香りの分子が放散されることを、分子として捉える必要がない場合、単に香りが放散されると称する。
【0045】
ICタグインレットは、リーダライタにより各種情報が読み書きされる。例えば、レジ12−1乃至レジ12−3のそれぞれに設置されたレジ装置23−1乃至レジ装置23−3のそれぞれのうちの1つのリーダライタが、上述した支払済情報を、香りシート内蔵ICタグ22のICタグインレットに書き込む。例えばまた、そのICタグインレットに書き込まれた支払済情報は、ゲート13の近傍に設置されるゲート制御装置24のリーダライタにより読み出される。
【0046】
また、香りシートは、揮発性の強い香料を含ませたシートであり、香りシート内蔵ICタグ22が商品21から剥がされた場合に外部に露出して、その香料による香りを周囲に放散するように、香りシート内蔵ICタグ22に内蔵されている。
【0047】
従って、商品21を万引きしようとしている者が、香りシート内蔵ICタグ22を商品21から剥がした場合には、香りシートが外部に露出することになり、店1内に存在する店員や他の買物客は、香りシートから放散される香りを認識することができる。即ち、店員や他の買物客は、香りシート内蔵ICタグ22が商品21から剥がされたこと(商品21の万引きの可能性があること)を容易にかつ直ちに発見することができる。
【0048】
このように、香りシート内蔵ICタグ22が剥がされて商品21の万引きが行われようとした場合、その近辺に店員や他の買物客がいれば、その万引きを確実に防止することが可能になる。
【0049】
さらに、詳細については後述するが、本実施の形態では、香りシートから放散される香り(匂い)を検出するセンサ(以下、匂いセンサと称する)が、ゲート13またはその近傍に配置されている。従って、香りシート内蔵ICタグ22が剥がされて商品21の万引きが行われようとしているにも関わらず、その近辺に店員や他の買物客がたとえいない場合であっても、香りシート内蔵ICタグ22の外部に露出した香りシートから放散される香り(匂い)は、直接的または間接的に匂いセンサにより検出される。
【0050】
直接的に香りが検出されるとは、商品21に貼り付けられている香りシート内蔵ICタグ22の表面のシート(後述する図2の表面シート31)が剥がされ、ICタグインレット(後述する図4のICタグインレット34)が棄てられたとしても、香りシート(後述する図4の香りシート36)がまだ貼りついている場合に、その香りシートから直接放散される香りが検出されることをいう。これに対して、間接的に香り検出されるとは、商品21から香りシート内蔵ICタグ22が完全に離脱してしまった場合でも、香りシートから放散された香りは商品21や人間に付着しているので、香りシートから放散された香りが、商品21やその人間を介して間接的に検出されることをいう。
【0051】
この場合、ゲート制御装置24が、例えば、その匂いセンサの検出結果を利用してゲート13の遮断制御を行うことで、商品21の万引きの防止をより一段と図ることが可能になる。
【0052】
なお、香りシート内蔵ICタグ22のさらなる詳細については、図2乃至図8を参照して後述する。
【0053】
レジ12−1乃至レジ12−3のそれぞれには、レジ装置23−1乃至レジ装置23−3のそれぞれが設置されている。
【0054】
レジ装置23−1乃至レジ装置23−3は、買物客が商品21を購入しようとする場合、例えば、その代金の徴収やつり銭の受け渡しに必要な各種演算処理を行う。
【0055】
レジ装置23−1乃至レジ装置23−3のそれぞれにはリーダライタが設けられており、それぞれのリーダライタは、店員の操作に基づいて、上述した支払済情報を、商品21に貼り付けられた香りシート内蔵ICタグ22内に書き込む。
【0056】
なお、支払済情報の形態は、特に限定されないが、本実施の形態では、フラグとされている。即ち、本実施の形態では、フラグが立っていること、換言すると、そのフラグが例えば「1」を示す情報であることは、商品21の代金が支払済であることを意味する。これに対して、本実施の形態では、フラグが降りていること、換言すると、そのフラグが例えば「0」を示す情報であることは、商品21の代金が未払いであることを意味する。そこで、本実施の形態では、レジ装置23−1乃至レジ装置23−3のそれぞれのリーダライタは、支払済情報のフラグを立たせる指令を、商品21に貼り付けられた香りシート内蔵ICタグ22に対して送信する。そして、この指令を受けた香りシート内蔵ICタグ22が、支払済情報のフラグを立たせる(「1」を示す情報を上書きする)。
【0057】
なお、以下、レジ12−1乃至レジ12−3を個々に区別する必要がない場合、それらをまとめて、レジ12と称する。これに伴い、レジ装置23−1乃至レジ装置23−3を個々に区別する必要がない場合、それらをまとめて、レジ装置23と称する。
【0058】
レジ装置23のさらなる詳細については、図9乃至図11を参照して後述する。
【0059】
ゲート13の近傍には、ゲート13の開閉(図1中白抜き矢印で示される開閉)を制御するゲート制御装置24が配置されている。詳細については図12乃至図18を参照して後述するが、ゲート制御装置24には、上述した匂いセンサとリーダライタとから構成される装置(以下、匂いセンサ付リーダライタと称する)が設けられている。ゲート制御装置24にはまた、ゲート制御装置24全体の動作を制御する主制御部と、ゲートを駆動して開閉させるゲート駆動部とが設けられている。
【0060】
従って、例えば、買物客が店1のレジ12で商品21を正規に購入した場合には、上述したように、レジ装置23のリーダライタにより、商品21に貼り付けられた香りシート内蔵ICタグ22に格納された支払済情報のフラグが立つ(例えば「1」の情報が上書きされる)。この場合、買物客がゲート13を通過しようとするとき、ゲート制御装置24の匂いセンサ付リーダライタは、香りシート内蔵ICタグ22に格納された支払済情報のフラグが立っていることを検出し(例えば「1」の情報を読み出し)、その検出結果(例えば「1」の情報)を主制御部に通知する。すると、主制御部は、ゲート駆動部を制御することで例えばゲート13を開放する(遮断しない)。これにより、買物客はゲート13を通過できるようになる。
【0061】
また、例えば、買物客が商品を持たないで(商品を購入しないで)レジ12を通らずにゲート13を通過しようとした場合、匂いセンサ付リーダライタを構成する匂いセンサとリーダライタとは両者ともに反応しない。このように匂いセンサとリーダライタとの両者がともに反応しない場合にも、主制御部は、ゲート駆動部を制御することで例えばゲート13を開放する(遮断しない)。これにより、買物客はゲート13を通過できるようになる。
【0062】
これに対して、例えば、商品21を万引きしようとする者が商品21を持ったままの状態でレジ12を通らずに(代金を支払わずに)ゲート13を通過しようとしたとする。この場合、商品21に貼り付けられた香りシート内蔵ICタグ22に格納された支払済情報のフラグは降りている(例えば「0」の情報が書き込まれている)。従って、その者がゲート13を通過しようとするとき、ゲート制御装置24の匂いセンサ付リーダライタは、支払済情報のフラグが降りていることを香りシート内蔵ICタグ22から検出し(例えば「0」の情報を読み出し)、その検出結果(例えば「0」の情報)を主制御部に通知する。すると、主制御部は、ゲート駆動部を制御することで例えばゲート13を遮断する。これにより、その者はゲートを通過できなくなる。
【0063】
さらに例えば、仮に、万引き犯人が、商品21の万引きを目的として、香りシート内蔵ICタグ22を商品21から剥がした後または剥がそうと試みた後、商品21を持ったままの状態でレジ12を通らずに(代金を支払わずに)ゲート13を通過しようとしたとする。この場合、上述したように、香りシート内蔵ICタグ22の外部に露出した香りシートからは香りが放散されている。また、香りシート内蔵ICタグ22が商品21から完全に剥がされて棄てられたとしても、香りシートから放散された香りは商品21やその犯人の衣服等に付着している。即ち、商品21や衣服等からも香りが放散されていることになる。
【0064】
従って、匂いセンサ付リーダライタのうちの、リーダライタは反応しないが、匂いセンサは、香りシート、商品21、または衣服等から放散される香りを検出し、その検出結果を主制御部に通知する。すると、主制御部は、ゲート駆動部を制御することで例えばゲート13を遮断する。これにより、その人間はゲートを通過できなくなる。
【0065】
このようにして、香りシート内蔵ICタグ22を商品21に貼り付けることで、支払済情報の有無(そのフラグが立っているか否か)と、香りの有無との両面から、商品21の万引きを発見することができる。即ち、商品21の万引きの防止をより一段と確実に図ることができる。
【0066】
また、商品21の万引きを発見するために利用される材料は、香りシート内蔵ICタグ22とリーダライタとの間でやり取りされる電磁波、および、香りシート内蔵ICタグ22から放散される香りのみである。即ち、香りシート内蔵ICタグ22を商品21に貼り付けることで、上述したインク等の人間や商品21に対して悪影響を及ぼすものは一切使用せずに、商品21の万引きの防止を図ることができる。
【0067】
即ち、香りシート内蔵ICタグ22を商品21に貼り付けることで、商品21や人間に悪影響を及ぼすことなく、万引の防止をより一段と図ることができる、という効果を奏することが可能になる。
【0068】
以上、図1を参照して、万引き防止用の香りシート内蔵ICタグ22を利用したRFIDシステムの概略について説明した。
【0069】
次に、このような図1のRFIDシステムの構成要素である、香りシート内蔵ICタグ22、レジ装置23、および、ゲート制御装置24のそれぞれの詳細について、その順番に個別に説明していく。
【0070】
はじめに、図2乃至図8を参照して、香りシート内蔵ICタグ22の詳細について説明する。
【0071】
なお、以下、香りシート内蔵ICタグ22の面のうちの、商品21に貼り付けられる側の面を裏面と称し、その裏面と対向する面(反対側の面)を表面と称する。また、香りシート内蔵ICタグ22の各構成要素についても同様に、各構成要素が有する面のうちの、香りシート内蔵ICタグ22が商品21に貼り付けられている場合に商品21と向き合う面を裏面と称し、その裏面と対向する面(反対側の面)を表面と称する。
【0072】
図2は、香りシート内蔵ICタグ22の表面側の外観構成例を示す斜視図である。
【0073】
図2の例では、香りシート内蔵ICタグ22には、その外表面を構成する表面シート31が設けられている。表面シート31の材質は、特に限定されないが、本実施の形態では、紙またはプラスティックとされる。表面シート31の表面(図2に図示されている面)には、商品21の賞味期限や商品名等の情報が印刷される場合もある。
【0074】
図3は、香りシート内蔵ICタグ22の裏面側の外観構成例を示す斜視図である。
【0075】
図3の例では、香りシート内蔵ICタグ22には、その外裏面を構成する裏面シート32が設けられている。裏面シート32の材質は、特に限定されないが、本実施の形態では、例えば防水性を有する材質、より具体的には例えばビニールとされる。
【0076】
後述するように、裏面シート32の裏面(図3に図示されている面)全体には接着剤が塗布されており、この接着剤により裏面シート32の裏面と商品21の一面とが固定(接着)されることで、香りシート内蔵ICタグ22が商品21に貼り付けられる。従って、香りシート内蔵ICタグ22が商品21に貼り付けられる前の状態では、裏面シート32の裏面が接着対象物(本実施の形態では商品21)以外のものに接着されてしまうことを防止するために、その裏面に保護シート33が仮接着されている。即ち、例えば、図1の店1の店員等は、香りシート内蔵ICタグ22を商品21に貼り付ける場合、裏面シート32の裏面に仮接着されている保護シート33を剥がしてから、裏面シート32の裏面と商品21の一面とを固定(接着)させる。
【0077】
保護シート33は、接着剤によっても強固には接着されないように表面処理されている。従って、保護シート33は裏面シート32に接着されてはいるが、極めて容易に剥がすことが可能となっている。
【0078】
図4は、香りシート内蔵ICタグ22の構成例を示すその分解図である。図4の例では、香りシート内蔵ICタグ22は、表面から裏面に向かう方向(図中、上から下方向)に、表面シート31、ICタグインレット34、接着シート35、香りシート36、裏面シート32、および、保護シート33のそれぞれが、その順番に配置されて構成されている。
【0079】
ICタグインレット34は、上述したように、リーダライタにより各種情報が読み書きされる。即ち、本実施の形態では、このICタグインレット34に上述した支払済情報のフラグが格納される。なお、ICタグインレット34の詳細については図8を参照して後述する。
【0080】
接着シート35の表面(図4に図示されている面)のうちの、長方形の中央部分35−2を除く周囲部分35−1には、図5に示される接着剤41が塗布されている。
【0081】
図5は、香りシート内蔵ICタグ22の表面から裏面に向かう方向の断面の構成を誇張して示す断面図である。図5においては、香りシート内蔵ICタグ22の各構成要素の面のうちの、図中上側の面が表面となり、図中下側の面が裏面となる。
【0082】
なお、香りシート内蔵ICタグ22の厚さは、図5の例では全て均一とされているが、実際には、ICタグインレット34や香りシート36が配置される中央部分の方が、その周囲部分に比較して厚くなる。具体的には例えば、本発明人が香りシート内蔵ICタグ22を実際に幾つか製造したところ、その中央部分の厚さは約3乃至5mmとなり、その周囲部分の厚さは約1乃至2mmとなった。
【0083】
以下、図4に加えて図5も参照しつつ、香りシート内蔵ICタグ22の構成例について引き続き説明していく。
【0084】
上述したように、接着シート35の表面の周囲部分35−1には接着剤41が塗布されている。これにより、接着シート35の表面の周囲部分35−1と表面シート31の裏面の対応する部分とが接着剤41により固定(接着)されて、ICタグインレット34が、接着シート35の表面の中央部分35−2と表面シート31の裏面との間に配置(挿入)される。即ち、表面シート31の裏面と接着シート35の表面とが、ICタグインレット34を挟んで接着剤41により固定(接着)される。
【0085】
なお、ICタグインレット34を接着剤41により接着してもよい場合には、接着剤41は、中央部分35−2にも塗布することができる。
【0086】
香りシート36は、上述したように、強い香料を含ませたシートである。なお、本実施の形態では、香りシート36は、防水コーティングされている。図1の商品棚11が湿気の多い場所であったり、商品21自体が湿気を多く含む場合に、その湿気により香りが弱まるのを防ぐためである。また、その湿気がICタグインレット34まで到達してしまうことを防ぐためである。
【0087】
なお、香りシート36から放散される香り(匂い)は、特に限定されない。しかしながら、この匂いは、上述したように、図1の店1内に存在する店員や他の買物客に感知してもらうことを第1の目的としており、また、店員や他の買物客の衣服に付着することもある。従って、香りシート36から放散される匂いは、店員や他の買物客となり得る人間にとって不快とならない匂いである方がよい。例えば、特定の香水や特定の食物の匂いなどは、ある人間にとっては快適な匂い(sweet smell)であったとしても、ある人間にとっては不快な匂い(bad smell)であることもあり、香りシート36から放散される匂いとしては不適当である。換言すると、不快な匂いも人間に悪影響を及ぼすと捉えれば、香りシート36から放散される匂いとして、このような不快な匂いを採用することは、本発明の目的に反することになる。
【0088】
以上の内容をまとめると、香りシート36から放散される匂いは、あまりに特殊な匂いでなく、かつ、大部分の人間にとって不快とならない匂いであると好適である。
【0089】
そのような観点から、香りシート36から放散される匂いは、これまでの説明においても、「匂い(smell)」と称さずに、特に「香り」と称してきた。なお、ここで言う「香り」には、快適な匂い(sweet smell)だけではなく、不快な匂いではない匂い(bad smellではないsmell)も含まれる。以下においても、香りシート36から放散される匂いを、引き続き「香り」と称する。
【0090】
ただし、本実施の形態のように匂いセンサが設置されている場合には、香りシート36から放散される香りは、その匂いセンサが検出できる香りである必要がある。具体的には例えば、本実施の形態では、塩素ガス(オキシドール)が、香りシート36から放散される香りとして採用されている。
【0091】
このような香りシート36の図5中下方に配置される裏面シート32において、その裏面全体には、上述したように、商品21と接着するための接着剤43が塗布されており、さらに、その表面全体には、接着剤42が塗布されている。従って、裏面シート32の表面と接着シート35の裏面とが、香りシート36をほぼ中央に挟んで、接着剤42により固定(接着)されることになる。即ち、香りシート36は、接着シート35の裏面と裏面シート32の表面との間に配置(挿入)され、その裏面は、裏面シート32の表面と接着剤42により固定(接着)される。
【0092】
なお、本実施の形態では例えば、裏面シート32と接着シート35との材質は同一であるとする。即ち、裏面シート32と接着シート35との材質は、上述したように、防水性を有する材質、より具体的には例えばビニールであるとする。この場合、裏面シート32と接着シート35とからなるビニールパッケージ(ビニール袋)の中に、香りシート36がその香りとともに封入されていると捉えることができる。
【0093】
また、以下、接着剤41の全体をまとめて、接着部41とも称する。同様に、接着剤42の全体をまとめて接着部42とも、接着剤43の全体をまとめて接着部43とも、それぞれ称する。
【0094】
即ち、接着部41が、表面シート31の裏面と接着シート35の表面の周囲部分35−1とを固定(接着)し、その結果、表面シート31の裏面と接着シート35の表面の周囲部分35−2との間にできる空隙に、ICタグインレット34が配置(挿入)される。また、接着部42が、裏面シート32の表面と、接着シート35の裏面および香りシート36の裏面のそれぞれとを固定(接着)する。また、接着部43が、裏面シート32の裏面と商品21の一面とを固定(接着)する。
【0095】
ここで注目すべき点は、接着部41、接着部42、および接着部43の接着力は、同一ではなく、接着部42が一番弱く、接着部41がその次に弱く(中程度であり)、かつ、接着部43が一番強くなっている点である。なお、以下、接着部43の接着力を接着力強と、接着部41の接着力を接着力中と、接着部42の接着力を接着力弱と、それぞれ称する。
【0096】
この構成により、香りシート内蔵ICタグ22が商品21から剥がされた場合に香りシート36は確実に外部に露出することになり、香りシート36からの香りが確実に周囲に放散されるのである。
【0097】
詳細には、図1の商品21が商品棚11に陳列されている状態では、香りシート内蔵ICタグ22は、図6に示されるように商品21に貼り付けられており、人間の目には、表面シート31の表面のみが視認され、香りシート36は視認されない。即ち、図6は、商品21のうちの、香りシート内蔵ICタグ22が貼り付けられた面側の外観構成例を示している。
【0098】
商品21を万引きしようとする者が、図6に示される香りシート内蔵ICタグ22を商品21から剥がそうとしたとする。この場合、図5において、接着力弱である接着部42、接着力中である接着部41、および、接着力強である接着部43の順番で、それらにより接着されている物同士が剥がれやすくなる。逆に言えば、接着力強である接着部43、接着力中である接着部41、および、接着力弱である接着部42の順番で、それらにより接着されている物同士が剥がれにくくなる。
【0099】
従って、図7に示されるように、裏面シート32と商品21とは、接着力強である接着部43(図7には図示せず)により剥がされず、かつ、表面シート31、ICタグインレット34、および、接着シート35も、接着力中である接着部41(図7には図示せず)によりほぼ剥がされない。これに対して、接着力小である接着部42(図7には図示せず)によりこれまで裏面シート32の表面と固定(接着)されていた接着シート35は、その裏面シート32の表面から剥がされてしまい、その結果、香りシート36が外部に露出し、その香りの分子51が周囲に放散することになる。なお、以下、香りの分子51も、香り51と適宜称する。
【0100】
換言すると、上述したように、裏面シート32と接着シート35とからなるビニールパッケージ(ビニール袋)の中に、香りシート36の香り51が封入されていたと捉えた場合には、香りシート内蔵ICタグ22が商品21から剥がされると、そのビニールパッケージが破れてしまい、その結果、そのビニールパッケージに封入されていた香りシート36の香り51が周囲に放散するといえる。
【0101】
このように、接着力強の接着部43、接着力中の接着部41、および、接着力弱の接着部42のそれぞれを採用することで、香りシート内蔵ICタグ22が商品21から剥がされた場合に、香りシート36を確実に外部に露出させ、香りシート36から香り51を確実に周囲に放散させることが可能になる。
【0102】
ここで、図8を参照して、このような香りシート内蔵ICタグ22のうちの、ICタグインレット34の詳細な構成例について説明する。即ち、図8は、ICタグインレット34の詳細な構成例を示している。
【0103】
図8の例では、ICタグインレット34は、アンテナ61とICチップモジュール62とから構成されている。また、ICチップモジュール62は、ASK(Amplitude Shift Keying)変復調部71、BPSK(Binary Phase Shift Keying)変復調部72、CPU(Central Processing Unit)73、およびEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)74から構成されている。
【0104】
ASK変復調部71は、アンテナ61を介して入力された変調波(ASK変調波)を検波して復調し、復調後のデータ(例えば、図1のレジ装置23のリーダライタから供給された、支払済情報のフラグを立たせる指令等)を、BPSK変復調部72に供給する。BPSK変復調部72は、ASK変復調部71から供給されるデータのBPSK復調(マンチェスタコードのデコード)を行い、その結果得られるデータをCPU73に供給する。
【0105】
CPU73は、BPSK変復調部72から供給されたデータに基づく所定の処理を実行する。例えば、CPU73は、BPSK変復調部72から供給された支払済情報のフラグを立たせる指令に基づいて、EEPROM74に記憶されている支払済情報のフラグを立たせる(例えば「1」を示す情報を上書きする)。
【0106】
EEPROM74は、不揮発性のメモリである。ICタグインレット34が、図1のレジ装置23やゲート制御装置24のリーダライタとの通信を終了し、その電力供給が停止された後も、EEPROM74は、データ(支払済情報のフラグ等)を記憶し続けることができる。
【0107】
一方、ICタグインレット34から図1のゲート制御装置24等のリーダライタへデータ(例えば支払済情報のフラグである「0」または「1」を示す情報等)を送信する場合には、CPU73は、EEPROM74から対象のデータを読み出し、BPSK変復調部72に供給する。BPSK変復調部72は、CPU73から供給されたデータをBPSK変調し、変調後のデータをASK変復調部71に供給する。ASK変復調部71は、BPSK変復調部72から供給されたデータに対応して、例えば、図示しない所定のスイッチング素子に対するオン/オフ制御を実行する。オン/オフ制御とは、スイッチング素子の状態を、所定のタイミングで、オン状態からオフ状態へ遷移させたり、或いは、オフ状態からオン状態へ遷移させる制御のことをいう。
【0108】
スイッチング素子の状態がオン状態である場合には、所定の負荷がアンテナ61に並列に接続され、また、オフ状態の場合にはその接続が切れる。従って、ASK変復調部71がスイッチング素子に対するオン/オフ制御を実行することによって、アンテナ61の負荷が変動する。このようにして、ASK変復調部71は、アンテナ61の負荷を変動させることにより、アンテナ61を介して受信している変調波をASK変調し、その変調波を、アンテナ61を介して、図1のゲート制御装置24等のリーダライタ側のアンテナに送信する。
【0109】
逆に言えば、ゲート制御装置24等のリーダライタは、ICタグインレット34からデータを受信するとき、即ち、ICタグインレット34に所定のデータを送信させるとき、変調波の最大振幅を一定にして変調波(キャリア)を出力する。このリーダライタが出力する変調波(キャリア)が、ICタグインレット34のアンテナ61の負荷の変動によりASK変調(負荷変調)されることになる。
【0110】
なお、ICタグインレット34の中には、電源としてバッテリを搭載しているものも存在する。この場合、このバッテリからICタグインレット34の各部に対して電力が供給される。ただし、本実施の形態では、ICタグインレット34の各部への電力の供給方法は例えば次の通りであるとする。即ち、本実施の形態のICタグインレット34は、コイルとなるアンテナ61および図示しないコンデンサにより構成されるLC回路を有しており、このLC回路において、リーダライタ側のアンテナが放射した電磁波の一部が電気信号に変換される。さらに、本実施の形態のICタグインレット34において、その電気信号(変調波)が整流平滑化されることで包絡線検波が行われ、その結果得られる信号が図示しない電圧レギュレータに供給されて安定化され、その結果得られる直流電圧の信号(それによる電力)がICタグインレット34の各部に供給される。
【0111】
以上のように構成されるICタグインレット34と、図1のレジ装置23またはゲート制御装置24のリーダライタとの間で、支払済情報のフラグ自身やそのフラグを立たせる指令等の各種情報が、電磁波を媒体として送受信されることになる。
【0112】
以上、図至2乃図8を参照して、図1のRFIDシステムのうちの香りシート内蔵ICタグ22の詳細について説明した。
【0113】
次に、図9乃至図11を参照して、図1のRFIDシステムのうちのレジ装置23の詳細について説明する。
【0114】
図9は、レジ装置23の構成例を示している。図9の例では、レジ装置23は、主制御部81とリーダライタ82とから構成されている。
【0115】
主制御部81の詳細な構成例が図10のブロック図に、リーダライタ82の詳細な構成例が図11のブロック図に、それぞれ示されている。そこで、以下、図10と図11とのそれぞれを参照して、主制御部81とリーダライト82とのそれぞれの詳細な構成例について、その順番に個別に説明していく。
【0116】
図10の例の主制御部81において、CPU91は、ROM(Read Only Memory)92に記録されているプログラム、または記憶部98からRAM(Random Access Memory)93にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM93にはまた、CPU91が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0117】
CPU91、ROM92、およびRAM93は、バス94を介して相互に接続されている。このバス94にはまた、入出力インタフェース95も接続されている。
【0118】
入出力インタフェース95には、図1の商品21の代金をレジ担当者が手動入力する数値キー等を含む入力部96、商品21の代金等を表示する表示部を含む出力部97、ハードディスクなどよりなる記憶部98、および、モデムやターミナルアダプタなどよりなる通信部99が接続されている。
【0119】
通信部99は、リーダライタ82との間の通信を制御する。具体的には例えば、通信部99は、CPU91の制御に基づいて、上述した支払済情報のフラグを立たせる指令等を、リーダライタ82に送信する。通信部99はまた、必要に応じて、インターネットを含む図示せぬネットワークを介して図示せぬ他の装置との間の通信を制御する。
【0120】
入出力インタフェース95にはまた、必要に応じてドライブ100が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどよりなるリムーバブル記録媒体101が適宜装着され、そのリムーバブル記録媒体101から読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部98にインストールされる。
【0121】
以上、図10を参照して、図9のレジ装置23のうちの主制御部81の詳細な構成例について説明した。次に、図11を参照して、レジ装置23のうちのリーダライタ82の詳細な構成例について説明する。
【0122】
図11の例では、リーダライタ82は、コントローラ111とアンテナ112とから構成されている。また、コントローラ111は、DPU(Data Processing Unit)121、バス122、SPU(Signal Processing Unit)123、SCC(Serial Communication Controller)124、メモリ125、復調部126、変調部127、および発振部128から構成されている。
【0123】
DPU121は、バス122を介して、SPU123、SCC124、およびメモリ125のそれぞれと相互に接続されている。
【0124】
DPU121は、バス122と、SPU123またはSCC124とを介して、図9等の香りシート内蔵ICタグ22、または、主制御部81との間で各種の情報(制御信号を含むデータ)を送受信し、その情報に応じた処理を実行する。例えば、DPU121は、バス122およびSCC124を介して、主制御部81から送信されてくる上述した支払済情報のフラグを立たせる指令等を受信する。そして、DPU121は、バス122およびSPU123を介して、支払済情報のフラグを立たせる指令等を、香りシート内蔵ICタグ22に送信する。
【0125】
SPU123は、香りシート内蔵ICタグ22と送受信するデータに対して所定の処理を施す。即ち、SPU123は、アンテナ112および復調部126を介して香りシート内蔵ICタグ22から受信した情報や、変調部127に出力する情報(支払済情報のフラグを立たせる指令等)に対して、例えば、上述したBPSK変調などの処理を施す。
【0126】
SCC124は、主制御部81との間で情報の送受信を行う。例えば、SCC124は、主制御部81ら送信されてきた支払済情報のフラグを立たせる指令等を受信し、バス122を介してDPU121に供給する。
【0127】
メモリ125は、DPU121が実行する処理に必要な情報を予め記憶したり、処理途中のデータを一時的に記憶する。
【0128】
復調部126は、アンテナ112を介して香りシート内蔵ICタグ22から受信した変調波(例えば、上述したASK変調波)を復調し、その結果得られる各種の情報をSPU123に供給する。
【0129】
変調部127は、発振部128より供給される所定の周波数の搬送波を、SPU123から供給される情報(支払済情報のフラグを立たせる指令等)に基づいて、例えば上述したASK変調し、その結果得られるASK変調波をアンテナ112を介して出力する。これにより、アンテナ112では、支払済情報のフラグを立たせる指令等が、電磁波として香りシート内蔵ICタグ22に送信される。なお、このとき、変調部127は、変調度を1未満にしてASK変調を行うようになされており、これにより、データがローレベルのときにおいてもASK変調波の最大振幅がゼロにならないようになされている。
【0130】
発振部128は、例えば、13.56MHzなどの所定の周波数の搬送波を変調部127に送信する。
【0131】
以上、図11を参照して、図9のレジ装置23のうちのリーダライタ82の詳細な構成例について説明した。即ち、以上、図9乃至図11を参照して、図9のレジ装置23の詳細な構成例について説明した。
【0132】
係る構成のレジ装置23の動作の概略は次の通りである。
【0133】
即ち、上述したように、レジ装置23の主制御部81は、買物客が図1の商品21を購入しようとする場合、例えば、その代金の徴収やつり銭の受け渡しに必要な各種演算処理を行う。
【0134】
例えば、ICチップモジュール62のEEPROM74には、その香りシート内蔵ICタグ22が貼り付けられている商品21のIDが記憶されており、そのIDに対応する価格が、主制御部81の記憶部98に記憶されている。CPU91は、読み取られたIDに対応する価格を検索することで、その商品の代金を演算する。
【0135】
そして、本実施の形態では、レジ装置23のリーダライタ82は、主制御部81の制御に基づいて、支払済情報のフラグを立たせる指令を、商品21に貼り付けられた香りシート内蔵ICタグ22に送信する。すると、香りシート内蔵ICタグ22は、この指令を受けて、支払済情報のフラグを立たせる(「1」を示す情報を上書きする)。
【0136】
次に、図12乃至図18を参照して、図1のRFIDシステムのうちのゲート制御装置24の詳細について説明する。
【0137】
図12は、ゲート制御装置24の構成例を示している。図12の例では、ゲート制御装置24は、ゲート制御装置24全体の動作を制御する主制御部151、ゲート13を図中白抜きの両矢印方向に駆動して開閉させるゲート駆動部152、および、匂いセンサ付リーダライタ153から構成されている。
【0138】
主制御部151の詳細な構成例については図13に示されている。即ち、図13は、主制御部151の詳細な構成例を示している。図13と上述した図10とを比較するに、図13の主制御部151は、図10の主制御部81と基本的に同様の構成を有している。即ち、図13のCPU161乃至リムーバブル記録媒体171のそれぞれは、図10のCPU91乃至リムーバブル記録媒体101のそれぞれと基本的に同様の機能と構成とを有している。従って、図13の主制御部151の詳細な構成例の説明は、基本的に上述した図10の主制御部81の詳細な構成例の説明と同様になるので、ここでは省略する。ただし、通信部169は、ゲート駆動部152と匂いセンサ付リーダライタ153とのそれぞれとの間の通信を制御する。
【0139】
図12のゲート制御装置24のうちの匂いセンサ付リーダライタ153の外観の構成は、例えば、図14と図15に示されるようになる。即ち、図14と図15とのそれぞれは、匂いセンサ付リーダライタ153の外観の構成例を示す斜視図である。ただし、図14は、ケース153−1に覆われた状態の匂いセンサ付リーダライタ153の外観の構成例を示しており、図15は、ケース153−1が外された状態の匂いセンサ付リーダライタ153の外観の構成例を示している。このような外観の構成を有する匂いセンサ付リーダライタ153は、例えば図16のような外観の構成を有するゲート13に取り付け可能とされている。即ち、図16は、ゲート13の外観の構成例を示している。
【0140】
また、匂いセンサ付リーダライタ153の内部の詳細な構成は、例えば図17に示されるようになる。即ち、図17は、匂いセンサ付リーダライタ153の内部の詳細な構成例を示している。図17と上述した図11とを比較するに、図17の匂いセンサ付リーダライタ153は、匂いセンサ203を除いて、図11のリーダライタ82と基本的に同様の構成を有している。即ち、図17のコントローラ201およびアンテナ202並びにDPU211乃至発振部218のそれぞれは、図11のコントローラ111およびアンテナ112並びにDPU121乃至発振部128のそれぞれと基本的に同様の機能と構成とを有している。従って、図17のコントローラ201およびアンテナ202並びにDPU211乃至発振部218の個々の説明は、図11の対応するブロックについての上述した説明と基本的に同様になるので、ここでは省略する。
【0141】
ただし、ゲート制御装置24の図17の匂いセンサ付リーダライタ153と、レジ装置23の図11のリーダライタ82との間の差異として、その動作、および、匂いセンサ203の付属有無が主に存在する。
【0142】
即ち、レジ装置23のリーダライタ82は基本的に、上述したように、香りシート内蔵ICタグ22に対して、支払済情報のフラグを立たせる指令を送信する。換言すると、レジ装置23のリーダライタ82は、香りシート内蔵ICタグ22に格納されている支払済情報のフラグを立たせる(例えば「1」の情報を上書きする)動作を行う。これに対して、ゲート制御装置24のリーダライタ153は基本的に、上述したように、香りシート内蔵ICタグ22に格納されている支払済情報のフラグ(例えば「1」または「0」の情報)を読み出して、主制御部151に供給する動作を行う。
【0143】
また、レジ装置23のリーダライタ82には、匂いセンサが設けられていない。これに対して、ゲート制御装置24のリーダライタ153には、図17に示されるように、匂いセンサ203がバス212に接続されている。
【0144】
即ち、上述したように、万引き犯人が、香りシート内蔵ICタグ22を商品21から剥がした後、商品21を持ったままの状態でレジ12を通らずに(代金を支払わずに)ゲート13を通過しようとしたとする。この場合、香りシート内蔵ICタグ22の外部に露出した香りシート36からの図7の香り51は、直接的または間接的にゲート13の周囲に放散されることになる。
【0145】
そこで、匂いセンサ203は、この香り51を検出し、その検出結果をバス212を介してDPU211に供給する。DPU211は、匂いセンサ203の検出結果を、バス212とSCC214とを介して主制御部151に供給する。すると、主制御部151は、図12のゲート駆動部152を制御して、ゲート13を遮断する。これにより、その万引き犯人は、ゲート13を通過できなくなる。そして、警備員等は、ゲート13を通過できないその犯人を捕まえることができる。
【0146】
このように、匂いセンサ203は、香りシート36から直接的または間接的に放散される香り51を検出可能な形態であれば足りる。具体的には例えば、本実施の形態では、上述したように、香りシート36から直接的または間接的に放散される香り51は塩素ガスとされており、匂いセンサ203は、塩素分子(Cl2)を検出可能なセンサであるとされている。この場合、塩素分子を検出可能なセンサ、即ち、匂いセンサ203として、例えば、塩素ガス腐食試験を行うために利用されている塩素ガス濃度測定装置を採用することができる。より具体的には例えば、匂いセンサ203として、定電流電解式の塩素ガス濃度測定装置を採用することができる。定電流電解式の塩素ガス濃度測定装置は、例えば図示はしないが、反応管、反応液の電解装置、および、電子回路制御部等から構成されており、0.01乃至10 ppm程度の塩素ガス(その濃度)を検出することができる。
【0147】
以上、図12乃至図17を参照して、図1のRFIDシステムのうちのゲート制御装置24の詳細な構成例について説明した。
【0148】
次に、図18のフローチャートを参照して、このような構成のゲート制御装置24の処理例について説明する。即ち、図18は、ゲート制御装置24の処理の一例を説明するフローチャートである。
【0149】
図18のステップS1において、図12のゲート制御装置24の主制御部151は、ゲート駆動部152を制御することで、ゲート13を開放する。即ち、図18の処理例では、ゲート13の初期状態は、開放状態とされている。
【0150】
ステップS2において、主制御部151は、匂いセンサ付リーダライタ153の図17の匂いセンサ203が図7の香り51を検出したか否かを判定する。
【0151】
匂いセンサ付リーダライタ153から主制御部151に対して匂いセンサ203の検出結果が供給されてきた場合、ステップS2において、匂いセンサ203が香り51を検出したと判定され、処理はステップS5に進む。ステップS5以降の処理については後述する。
【0152】
これに対して、匂いセンサ付リーダライタ153から主制御部151に対して匂いセンサ203の検出結果が供給されてこない場合、ステップS2において、匂いセンサ203が香り51を検出していないと判定され、処理はステップS3に進む。
【0153】
ステップS3において、主制御部151は、香りシート内蔵ICタグ22から支払済情報のフラグを取得したか否かを判定する。
【0154】
匂いセンサ付リーダライタ153から主制御部151に対して特に何の情報も供給されてこない場合、ステップS3において、香りシート内蔵ICタグ22から支払済情報のフラグを取得していないと判定されて、処理はステップS7に進む。
【0155】
ステップS7において、主制御部151は、処理の終了が指示されたか否かを判定する。
【0156】
ステップS7の判定条件は、特に限定されない。ただし、本実施の形態では例えば、図1の店1の店員等が、閉店するタイミング等でゲート制御装置24の図示せぬ電源の状態をオフ状態にしたとき、処理の終了が指示されたと判定されるとする。
【0157】
従って、本実施の形態では、ゲート制御装置24の電源の状態がオフ状態に遷移した場合、ステップS7において、処理の終了が指示されたと判定されて、ゲート制御装置24の処理は終了となる。
【0158】
これに対して、本実施の形態では、ゲート制御装置24の電源の状態がオン状態を維持している限り、ステップS7において、処理の終了がまだ指示されていないと判定されて、処理はステップS1に戻され、ゲート13が開放された後、ステップS2以降の処理が繰り返し実行される。なお、ステップS7において処理の終了がまだ指示されていないと判定された時点でゲート13の状態が既に開放状態である場合、ステップS1の処理では、その開放状態を維持する処理が実行されて、ステップS2以降の処理が繰り返し実行される。
【0159】
具体的には例えば、匂いセンサ付リーダライタ153から主制御部151に対して特に何の情報も供給されずに、ステップS3の処理で香りシート内蔵ICタグ22から支払済情報のフラグを取得していないと判定される場合とは、ゲート13を通過しようとしている者が誰もいない場合、または、買物客が商品21を持たずに(購入せずに)ゲート13を通過しようとしている場合を意味する。このような場合であって、ゲート制御装置24の電源の状態がオン状態である場合には、処理はステップS1に戻され、ゲート13が開放される(その状態が開放状態のまま維持される)のである。
【0160】
これに対して、香りシート内蔵ICタグ22が貼り付けられている商品21を持っている者が(代金支払済であるか否かは問わず)ゲート13を通過しようとしている場合、上述したように、匂いセンサ付リーダライタ153は、その香りシート内蔵ICタグ22から支払済情報のフラグ(例えば「1」または「0」を示す情報)を読み出し、主制御部151に供給する。このような場合、ステップS3において、香りシート内蔵ICタグ22から支払済情報のフラグを取得したと判定されて、処理はステップS4に進む。
【0161】
ステップS4において、主制御部151は、支払済情報のフラグが立っているか否かを判定する。即ち、ステップS4において、主制御部151は、支払済情報のフラグが例えば「1」を示す情報であるか否かを判定する
【0162】
ステップS4において、支払済情報のフラグが立っていると判定された場合、処理はステップS7に進み、それ以降の処理が繰り返される。
【0163】
具体的には例えば、ステップS4において支払済情報のフラグが立っていると判定された場合とは、上述したように、図9のレジ装置23のリーダライタ82が、商品21に貼り付けられた香りシート内蔵ICタグ22に格納されている支払済情報のフラグを立たせた場合(例えば「1」の情報を上書きさせた場合)、即ち、買物客がその商品21の代金を支払って正規に購入した場合を意味している。このような場合であって、ゲート制御装置24の電源の状態がオン状態である場合には、処理はステップS1に戻され、ゲート13が開放されるのである。
【0164】
これに対して、ステップS4において、支払済情報のフラグが立っていないと判定された場合、即ち、支払済情報のフラグが降ろされている場合(例えば「0」を示す情報である場合)、処理はステップS5に進む。
【0165】
以上説明したように、ステップS4の処理で支払済情報のフラグが立っていないと判定された場合、または、ステップS2の処理で匂いセンサ203が香り51を検出したと判定された場合、処理はステップS5に進む。
【0166】
具体的には例えば、ステップS4の処理で支払済情報のフラグが立っていないと判定された場合とは、上述したように、人間が商品21を持ったままの状態でレジ12を通らずにゲート13を通過しようとしている場合、即ち、犯人が商品21を万引きしようとしている可能性がある場合を意味している。
【0167】
また例えば、ステップS2の処理で匂いセンサ203が香り51を検出したと判定された場合とは、上述したように、香りシート内蔵ICタグ22が商品21から剥がされた場合、即ち、上述したように、犯人が、商品21を万引きしようとして、香りシート内蔵ICタグ22を商品21から剥がした後、商品21を持ったままの状態でレジ12を通らずに(代金を支払わずに)ゲートを通過しようとしている可能性がある場合を意味している。
【0168】
このような場合、ステップS5において、主制御部151は、ゲート駆動部152を制御することで、ゲート13を遮断する。これにより、その者はゲート13を通過できなくなるので、商品21の万引きが確実に防止される。
【0169】
ステップS6において、主制御部151は、ゲート13の遮断解除が指示されたか否かを判定する。
【0170】
ステップS6の判定条件は、特に限定されない。ただし、本実施の形態では例えば、図1の店1の店員等が、図13の主制御部151の入力部166から、ゲートの遮断解除の指令を入力してきたとき、ゲートの遮断解除が指示されたと判定されるとする。
【0171】
従って、本実施の形態では、ゲートの遮断解除の指令が入力部166から入力されてこない場合、ステップS6において、ゲート13の遮断解除がまだ指示されていないと判定されて、処理はステップS5に戻される。即ち、ゲートの遮断解除の指令が入力部166から入力されてくるまでの間、ステップS5とS6とのループ処理が繰り返し実行されて、ゲート13の状態が遮断状態のまま維持される。
【0172】
その後、ゲートの遮断解除の指令が入力部166から入力されてくると、ステップS6において、ゲート13の遮断解除が指示されたと判定され、処理はステップS7に進み、それ以降の処理が繰り返される。即ち、このとき、ゲート制御装置24の電源状態がオン状態であるならば、ステップS7において、処理の終了がまだ指示されていないと判定されて、処理はステップS1に戻され、ゲート13が再び開放されるのである。
【0173】
以上、図18を参照して、ゲート制御装置24の処理例について説明した。
【0174】
なお、図18の例のゲート制御装置24の処理では、上述した他の例とあわせて、ステップS5の処理でゲート制御装置24がゲート13を遮断するようにしたが、ステップS5の処理は、万引き防止を目的とする処理であれば任意の処理でよい。具体的には例えば、ゲート制御装置24は、ステップS5の処理として、図示せぬ警報を鳴らしてもよいし、或いは、商品21の万引きが行われようとしていることを、警備員等が管理する図示せぬ端末に通知してもよい。
【0175】
ところで、以上説明した図1等の香りシート内蔵ICタグ22、または、それを利用する図1のRFIDシステムを採用することで、上述した内容の繰り返しであるが、例えば次の第1の効果乃至第3の効果を奏することが可能になる。
【0176】
即ち、商品21を万引きしようとする者が、香りシート内蔵ICタグ22を商品21から剥がそうとすると、図7に示されるように香りシート36が外部に露出し、その香りシート36から放散される香り51が周囲に放散される。これにより、その者が香りシート内蔵ICタグ22を壊そうとしていることを、周囲の他人が気づくことになる。その結果、実質上、その者は、香りシート内蔵ICタグ22を剥がす方法で商品21を万引きすることができなくなるので、商品21の万引き防止を確実に図ることができる、という第1の効果を奏することが可能になる。
【0177】
また、図1のゲート13またはその近傍には図17の匂いセンサ203が設置されている。従って、犯人が、香りシート内蔵ICタグ22を商品21から剥がそうとした場合、たとえその時点で周囲に他人がいないとしても、匂いセンサ203が、香りシート内蔵ICタグ22から露出した香りシート36から放散される香り51を直接的または間接的に検出して、その検出結果を図12の主制御部151に通知することができる。そして、主制御部151は、この検出結果を受けて、ゲート駆動部152を制御することでゲート13を遮断することができる。その結果、犯人がゲート13を通過できなくなる。このように、ゲート13またはその近傍に匂いセンサ203を設置することで、商品21の万引き防止をより一段と確実に図ることができる、という第2の効果を奏することが可能になる。
【0178】
また、図1のRFIDシステムにおいては、商品21の万引きを発見するための材料として、香りシート内蔵ICタグ22と図9のリーダライタ82または図12の匂いセンサ付リーダライタ153との間でやり取りされる電磁波、および、香りシート内蔵ICタグ22の香りシート36から放散される香り51のみが利用される。即ち、図1のRFIDシステムでは、上述したインクの他、爆発物等、人間や商品21に対して悪影響を及ぼす物を一切使用せずに、商品21の万引きの防止を図ることができる、という第3の効果を奏することが可能になる。
【0179】
さらに、香りシート内蔵ICタグ22、または、それを利用する図1のRFIDシステムを採用することで、例えば次の第4の効果乃至第7の効果を奏することが可能になる。
【0180】
即ち、従来のICタグに内蔵されたICタグインレットは、金属または水分を含んだ商品にその従来のICタグが貼り付けられてしまうと、リーダライタとの交信が実質上不可能になる。これに対して、香りシート内蔵ICタグ22では、上述した図4や図5に示されるように、ICタグインレット34と商品21との間には香りシート36等が介在するので、ICタグインレット34と商品21とは接せずに所定の距離だけ離間している。その結果、金属または水分を含んだ商品21に香りシート内蔵ICタグ22がたとえ貼り付けられている場合であっても、ICタグインレット34は、図9のリーダライタ82や図12の匂いセンサ付リーダライタ153といったリーダライタとの間の交信を良好に行うことができる、という第4の効果を奏することが可能になる。特に、本実施の形態では、香りシート36をはじめとして、接着シート35、および、裏面シート32は防水性を有しているので、水分を含む商品21に香りシート内蔵ICタグ22が貼り付けられた場合に、この第4の効果はより顕著になる。
【0181】
なお、香りシート内蔵ICタグ22の装着対象物は、上述した例では、商品21そのものとされたが、当然ながら上述した例に限定されず任意な物でよい。具体的には例えば、商品21がパッケージに収容されていたり、箱に収容されている場合には、図1の店1の店員等は、パッケージまたは箱の上に香りシート内蔵ICタグ22を貼り付けることができる。
【0182】
香りシート内蔵ICタグ22の図8のEEPROM74には、商品21の商品名と賞味期限を記憶させておくことができる。例えば商品21が瓶詰めのジャムである場合、瓶に貼り付けられている香りシート内蔵ICタグ22に記憶されている商品名と賞味期限とを、冷蔵庫に取り付けられているリーダライタで読み取らせて記憶させ、瓶はそのまま冷蔵庫に収容させる。これにより、必要に応じて、記憶されている商品名と賞味期限を表示させることで、冷蔵庫に収容されている物を効果的に管理することができる、という第5の効果を奏することが可能になる。
【0183】
しかも、香りシート内蔵ICタグ22は上述したようにバッテリが不要であるので、即ち、バッテリが不要なICタグインレット34が香りシート内蔵ICタグ22に内蔵されているので、商品21の在庫や賞味期限等を低コストで管理できる、という第6の効果を奏することが可能になる。
【0184】
さらに、コストの観点からすると、上述した図4や図5に示されるように、香りシート内蔵ICタグ22は、その仕組みが単純であるため、加工コストも低く抑えることができる、という第6の効果を奏することが可能になる。
【0185】
このように、第1の効果乃至第3の効果とは、結局、万引き防止という目的を達成するための効果である。これに対して、第4の効果乃至第7の効果は、万引き防止という目的を掲げているか否かに特に依然せず、様々な分野に適用することが容易かつ効果的に可能になるという効果である。
【0186】
本発明は、上述した例ではICタグに適用されたが、ICタグインレットを含まないタグに対しても適用することができる。この場合、例えば、上述した図4や図5の構成の香りシート内蔵ICタグ22に対して、表面シート31とICタグインレット34との代わりに別のシートを配置させる。
【0187】
具体的には例えば、別のシートとして図19に示される値札シール301を採用することができる。この場合、タグは図20に示されるように構成される。
【0188】
この図20のタグ302は、表面シート31とICタグインレット34の代わりに値札シート301が配置されているので、図9のリーダライタ82や図12の匂いセンサ付リーダライタ153と交信できないことになる。ただし、それ以外については、このタグ302は、香りシート内蔵ICタグ22と基本的に同様の機能と構成を有している。従って、このタグ302を採用した場合には、上述した第1の効果乃至第7の効果のうちの、第4の効果乃至第6の効果を奏することはできないが、それ以外の第1の効果乃至第3の効果および第7の効果を全く同様に奏することが可能になる。なお、タグ302のその他の構成の説明は、香りシート内蔵ICタグ22の対応する構成の上述した説明と同様になるので、ここでは省略する。
【0189】
また例えば、別のシートとして図21に示されるバーコードシール303を採用することもできる。この場合、タグは図22に示されるように構成される。
【0190】
この図22のタグ304も、表面シート31とICタグインレット34の代わりにバーコードシール303が配置されているので、図9のリーダライタ82や図12の匂いセンサ付リーダライタ153と交信できないことになる。ただし、それ以外については、このタグ304も、香りシート内蔵ICタグ22と基本的に同様の機能と構成を有している。従って、このタグ304を採用した場合にも、上述した第1の効果乃至第7の効果のうちの、第1の効果乃至第3の効果および第7の効果を全く同様に奏することが可能になる。なお、タグ304のその他の構成の説明は、香りシート内蔵ICタグ22の対応する構成の上述した説明と同様になるので、ここでは省略する。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【図1】本発明が適用される香りシート内蔵ICタグを利用したRFIDシステムの各構成要素の配置例を示す図である。
【図2】図1の香りシート内蔵ICタグの表面側の外観構成例を示す斜視図である。
【図3】図1の香りシート内蔵ICタグの裏面側の外観構成例を示す斜視図である。
【図4】図1の香りシート内蔵ICタグの構成例を示す分解図である。
【図5】図1の香りシート内蔵ICタグの構成例を示す断面図である。
【図6】図1の香りシート内蔵ICタグが商品に貼り付けられた状態の例を示す図である。
【図7】図1の香りシート内蔵ICタグが商品から剥がされようとしている状態の例を示す図である。
【図8】図4や図5の香りシート内蔵ICタグのうちの、ICタグインレットの詳細な構成例を示すブロック図である。
【図9】図1のレジ装置の構成例を示すブロック図である。
【図10】図9のレジ装置のうちの主制御部の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図11】図9のレジ装置のうちのリーダライタの詳細な構成例を示すブロック図である。
【図12】図1のゲート制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図13】図12のゲート制御装置のうちの主制御部の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図14】図12のゲート制御装置のうちの、ケースに覆われた匂いセンサ付リーダライタの外観構成例を示す斜視図である。
【図15】図12のゲート制御装置のうちの、ケースが外された匂いセンサ付リーダライタの外観構成例を示す斜視図である。
【図16】図1のゲートの外観構成例を示す斜視図である。
【図17】図12のゲート制御装置のうちの匂いセンサ付リーダライタの内部の構成例を示すブロックである。
【図18】図12のゲート制御装置の処理例を説明するフローチャートである。
【図19】値札シートの例を示す図である。
【図20】本発明が適用されるタグであって、図19の値札シートが採用されたタグの構成例を示す分解図である。
【図21】バーコードシールの例を示す図である。
【図22】本発明が適用されるタグであって、図21のバーコードシールが採用されたタグの構成例を示す分解図である。
【符号の説明】
【0192】
13 ゲート
21 商品
22 香りシート内蔵ICタグ
23 レジ装置
24 ゲート制御装置
31 表面シート
32 裏面シート
33 保護シート
34 ICタグインレット
35 接着シート
36 香りシート
41 接着力中の接着部
42 接着力弱の接着部
43 接着力強の接着部
51 香りの分子
81 主制御部
82 リーダライタ
151 主制御部
152 ゲート駆動部
153 匂いセンサ付リーダライタ
301 値札シート
302 値札シートを含むタグ
303 バーコードシール
304 バーコードシールを含むタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外表面を構成する第1のシートと、
外裏面を構成する第2のシートと、
外部のリーダライタとの間で無線通信を行うことで情報を送受信するICタグインレットと、
匂いの分子を放散させる第3のシートと
を備えるICタグであって、
前記ICタグインレットは、前記第1のシートと前記第2のシートとの間に配置され、
前記第3のシートは、前記ICタグの前記外裏面が物体の面に接着されている状態で前記ICタグが前記物体から剥がされた場合に、前記ICタグの外部に露出して、前記匂いの分子を周囲に放散させるように、前記第1のシートと前記第2のシートとの間に配置されている
ことを特徴とするICタグ。
【請求項2】
前記ICタグは、表面の少なくとも周囲に第1の接着部を有する第4のシートをさらに備え、
前記第2のシートは、表面に第2の接着部を有し、かつ、裏面に第3の接着部を有し、
前記ICタグの表面から裏面に向かう方向に、前記第1のシート、前記ICタグインレット、前記第4のシート、前記第3のシート、および、前記第2のシートがその順番で配置され、
前記第1のシートの裏面と前記第4のシートの表面とが、前記ICタグインレットを挟んで、前記第1の接着部により接着され、
前記第4のシートの裏面と前記第2のシートの表面とが、前記第3のシートを挟んで、前記第2の接着部により接着され、
前記第2のシートの裏面が、前記物体の面と前記第3の接着部により接着され、
前記第2の接着部、前記第1の接着部、および、前記第3の接着部のそれぞれの接着力がその順番で順次強くなる
ことを特徴とする請求項1に記載のICタグ。
【請求項3】
前記物体は商品または前記商品を収容する物品であり、
前記ICタグインレットは、前記リーダライタにより読み書きされる情報を記憶する記憶部を有し、
前記記憶部には、少なくとも前記ICタグが接着された前記物体が正規に購入されたのか否かを示す情報が記憶される
ことを特徴とする請求項1に記載のICタグ。
【請求項4】
外表面を構成する第1のシートと、
外裏面を構成する第2のシートと、
匂いの分子を放散させる第3のシートと
を備えるタグであって、
前記第3のシートは、前記タグの前記外裏面が物体の面に接着されている状態で前記タグが前記物体から剥がされた場合に、前記タグの外部に露出して、前記匂いの分子を周囲に放散させるように、前記第1のシートと前記第2のシートとの間に配置されている
ことを特徴とするタグ。
【請求項5】
前記タグは、表面の少なくとも周囲に第1の接着部を有する第4のシートをさらに備え、
前記第2のシートは、表面に第2の接着部を有し、かつ、裏面に第3の接着部を有し、
前記タグの表面から裏面に向かう方向に、前記第1のシート、前記第4のシート、前記第3のシート、および、前記第2のシートがその順番で配置され、
前記第1のシートの裏面と前記第4のシートの表面とが、前記第1の接着部により接着され、
前記第4のシートの裏面と前記第2のシートの表面とが、前記第3のシートを挟んで、前記第2の接着部により接着され、
前記第2のシートの裏面が、前記物体の面と前記第3の接着部により接着され、
前記第2の接着部、前記第1の接着部、および、前記第3の接着部のそれぞれの接着力がその順番で順次強くなる
ことを特徴とする請求項4に記載のタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−189923(P2006−189923A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−381690(P2004−381690)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】