説明

βアミロイドペプチド産生の阻害剤としての新規α−(N−スルホンアミド)アセトアミド化合物

本発明は、新規のα-(N-スルホンアミド)アセトアミド化合物、その医薬組成物、その製造方法、ならびにアルツハイマー病およびβ-アミロイドペプチドに関連する他の症状の治療方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は2007年10月31日に出願された米国仮特許出願第60/984,118号の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、薬物特性および生体作用特性を有する(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド、その医薬組成物、その製造ならびに使用方法に関する。該新規化合物は、Aβペプチド産生の特異な阻害を有し、それにより脳におけるAβペプチドの沈着および/またはアミロイドタンパク質の沈着を防ぐように作用し、アルツハイマー病(AD)、ダウン症候群、軽度認知機能障害およびβ-アミロイドペプチドに関連する他の症状の治療または発症の遅延に有用である。
【背景技術】
【0003】
(背景)
アルツハイマー病(AD)は進行性の神経変性疾患であり、それは記憶障害に始まり、重度の認知障害、変容行動、および運動機能の低下を含むように進行する(非特許文献1)。それは最も多く見受けられる認知症の形態であり、血管障害および癌に次いで死亡の第3番目の原因である。ADの代償は莫大であり、患者および家族の苦しみ、ならびに患者および介護者の生産性の低下が含まれる。ADを効果的に防止するか、または臨床症状および根本的な病態生理を逆行させる治療は、現在のところない。
【0004】
認知症患者に対するADの確定診断には、剖検における老人斑および神経原線維変化の数および局在の病理組織学的評価が必要とされる(非特許文献2)。同様の変化がトリソミー21(ダウン症候群)の患者において観察される。斑は主に、アミロイド前駆体タンパク質(APP)がβサイトAPP切断酵素(BACE)によって段階的にタンパク質切断(proteolytic cleavage)されてN-末端を形成し、γ-セクレターゼによって段階的にタンパク質切断されてC-末端を形成することにより形成される、β-アミロイド(Aβ)ペプチドから成る(非特許文献3)。γ-セクレターゼは、ニカストリン、Aph-1、PEN-2、およびプレセリン-1(PS-1)もしくはプレセリン-2(PS-2)のいずれかを含む膜貫通タンパク質複合体である(非特許文献4)。PS-1およびPS-2はγ-セクレターゼの触媒部位を有すると考えられている。
【0005】
Aβ40は合成されたAβの最も豊富な形態であり(80-90%)、一方、Aβ42はAD発症に最も密接に関連している。とりわけ、希有な家族性のADを引き起こす、APP、PS-1、およびPS-2遺伝子における変異は、Aβ42凝集体を主要な毒性種として関与させる(非特許文献5)。現在の証拠によって、オリゴマーの、プロトフィブリルの(protofibrillar)および細胞内のAβ42は病気の経過において重要な役割を果たすことが示唆される(非特許文献6)。Aβ42、例えばγ-セクレターゼを形成する酵素の阻害剤は、ADの治療のための疾患修飾性治療薬(disease-modifying therapeutics)の可能性を示す。
【0006】
γ-セクレターゼはAPPに加えて複数のI型膜貫通タンパク質を切断する(非特許文献7)。これらの大部分の切断イベントの生理学的意義は不明であるが、遺伝学的証拠によってNotchのγ-セクレターゼ切断がNotchシグナリングに必要であることが示される(非特許文献8: 770-6; 非特許文献9)。γ-セクレターゼ阻害剤を投与されたげっ歯類において、薬剤関連毒性が消化(GI)管、胸腺、および膵臓で確認されている(非特許文献10; 非特許文献11; 非特許文献12)。これらの毒性は、Notchシグナリングの阻害に関連していると思われる(非特許文献13)。
【0007】
機序に基づく毒性の確認試験(identification)により、γ-セクレターゼ阻害剤を用いて許容可能な治療指数を達成することができるかどうかの問題が提起される。Notchプロセシング、薬物動態、薬物の体内動態および/または組織特異的薬力学を通してのAβ形成の選択的阻害は、治療域(therapeutic margin)に影響し得る。
【0008】
証拠によると、γ-セクレターゼの阻害による脳Aβ濃度の低下はADの発症と進行を防ぎ得ることが示唆される(非特許文献14; 非特許文献15)。他の疾患(軽度認知機能障害(MCI)、ダウン症候群、脳アミロイド血管症(CAA)、レビー小体型認知症(DLB)、筋萎縮性側索硬化症(ALS-D)、封入体筋炎(IBM)、および加齢黄斑変性が含まれる)におけるAβの役割に関する新しいデータがある。有利なことに、γ-セクレターゼを阻害しAβの産生を低下させる化合物がこれらまたは他のAβ-依存性疾患の治療に用いられ得る。
【0009】
Aβの過剰な産生および/またはAβのクリアランスの低下はCAAを引き起こす(非特許文献16)。これらの患者において、血管のアミロイド沈着は血管壁の変性および動脈瘤を引き起こし、高齢患者における出血性卒中の10-15%に関与し得る。ADと同様、Aβをコードする遺伝子における変異はアミロイド性脳出血(オランダ型)と呼ばれるCAAの早期発症型をもたらし、この変異タンパク質を発現するマウスは患者と同様のCAAに罹る。γ-セクレターゼを特異的に標的とする化合物はCAAを低減または予防し得る。
【0010】
DLBは、幻視、妄想、およびパーキンソニズムを症状として示す。興味深いことに、Aβ沈着をもたらす家族制AD変異は、レビー小体およびDLB症候もまたもたらし得る(非特許文献17)。さらに、孤発性DLB患者はADと同様のAβ沈着を有する(非特許文献18)。このデータに基づくと、AβはDLBにおいてレビー小体の病理を駆動すると考えられ、それ故に、γ-セクレターゼ阻害剤はDLBを低減または予防し得る。
【0011】
ALS患者のおよそ25%が顕著な認知症または失語症を有する(非特許文献19)。ALS-Dとされたこれらの患者の大部分(〜60%)は、TDP-43タンパク質を主に含有したユビキチン陽性封入体を有する(非特許文献20)。該ALS-D患者の約30%が、それらの認知症を引き起こすAβと一致するアミロイド斑を有する(非特許文献21)。これらの患者はアミロイド造影剤を用いて同定可能であり、γ-セクレターゼ阻害剤を用いて治療できる可能性を有するであろう。
【0012】
IBMは希有な、骨格筋の加齢性変性疾患である。トランスジェニックマウスの筋肉にAPP過剰発現をさせることによる、IBM筋におけるAβ沈着の出現およびいくつかの病態の反復発生によって、IBMにおけるAβの役割が裏付けられる(非特許文献22に概説)。γ-セクレターゼを特異的に標的とする化合物は、IBMを低減または予防し得る。
【0013】
加齢黄斑変性において、Aβはドルーゼ(網膜色素上皮(RPE)の真下の細胞外沈着)のいくつかの成分のうちの1つとして同定された(非特許文献23)。最近の研究により、マウスにおいて、Aβと黄斑変性症との間に関連がある可能性が示されている(非特許文献24)。Aβ沈着および核白内障(supranuclear cataract)の増加が、AD患者において認められている(非特許文献25)。γ-セクレターゼを特異的に標的とする化合物は、加齢黄斑変性を低減または予防し得る。
【0014】
腫瘍形成におけるNotchシグナリングの役割に基づくと、γ-セクレターゼを阻害する化合物はまた、癌の治療のための治療薬としても有用であり得る(非特許文献26)。
【0015】
Smith, et al.は2000年8月31日公開の特許文献1において、アミロイドβタンパク質の産生を調節するように作用することができる一連のスルホンアミド化合物を、様々な疾患、特にアルツハイマー病およびアミロイドの沈着に関連する他の疾患の治療手段として開示している。
【0016】
特許文献2(1999年12月14日公開)は、自己免疫疾患の治療に有用なTNF-α阻害剤である一連のスルホンアミド誘導体を開示している。
【0017】
Parker, et al.は2003年7月3日公開の特許文献3において、アルツハイマー病およびβ-アミロイドペプチド関連の他の疾患の治療に有用であるβ-アミロイド阻害剤として、一連のα-(N-スルホンアミド)アセトアミド誘導体を開示している。
【0018】
特許文献4中の式の定義に包含される本発明の新規化合物は、Parkerらによっては開示または記載されていない。驚くべきことに、(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドは、それをアルツハイマー病およびβ-アミロイドペプチド関連の他の症状の治療に有用にする特有の性質を持つことが見いだされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】WO 00/50391
【特許文献2】特許第11343279号
【特許文献3】WO 03/053912
【特許文献4】WO 03/053912
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Grundman, M. et al., Arch Neurol. (2004) 61: 59-66; Walsh, D.M. et al., Neuron (2004) 44: 181-193
【非特許文献2】Consensus recommendations for the postmortem diagnosis of Alzheimer's disease. Neurobiol Aging (1997) 18: S1-2
【非特許文献3】Selkoe, D.J., Physiol Rev. (2001) 81: 741-766
【非特許文献4】Wolfe, M.S. et al., Science (2004) 305: 1119-1123
【非特許文献5】Selkoe, D.J., Physiol Rev., (2001) 81: 741-766
【非特許文献6】Cleary, J.P. et al., Nat Neurosci. (2005) 8: 79-84
【非特許文献7】Pollack, S.J. et al., Curr Opin Investig Drugs (2005) 6: 35-47
【非特許文献8】Artavanis-Tsakonas, S. et al., Science (1999) 284(5415)
【非特許文献9】Kadesch, T.; Exp Cell Res. (2000) 260(1): 1-8
【非特許文献10】Searfoss, G.H.; Jordan et al., J Biol Chem. (2003) 278: 46107-46116
【非特許文献11】Wong, G.T. et al., J Biol Chem. (2004) 279: 12876-12882
【非特許文献12】Milano, J. et al., Toxicol Sci. (2004) 82: 341-358
【非特許文献13】Jensen, J. et al., Nat Genet. (2000) 24: 36-44
【非特許文献14】Selkoe, D. Physiol. Rev. (2001) 81: 741-766
【非特許文献15】Wolfe, M., J. Med. Chem. (2001) 44: 2039-2060
【非特許文献16】Thal, D. et al., J. Neuropath. Exp. Neuro. (2002) 61: 282-293
【非特許文献17】Yokota, O. et al., Acta Neuropathol (Berl) (2002) 104: 637-648
【非特許文献18】Deramecourt, V. et al., J Neuropathol Exp Neurol (2006) 65: 278-288
【非特許文献19】Hamilton, R.L. et al., Acta Neuropathol (Berl) (2004) 107: 515-522
【非特許文献20】Neumann, M. et al., Science (2006) 314: 130-133
【非特許文献21】Hamilton, R.L. et al., Acta Neuropathol (Berl) (2004) 107: 515-522
【非特許文献22】Murphy, M.P. et al., Neurology (2006) 66: S65-68
【非特許文献23】Anderson, D.H. et al., Exp Eye Res (2004) 78: 243-256
【非特許文献24】Yoshida, T. et al., J Clin Invest (2005) 115: 2793-2800
【非特許文献25】Goldstein, L.E. et al., Lancet (2003) 361: 1258-1265
【非特許文献26】Shih, I.-M., et al., Cancer Research (2007) 67: 1879-1882
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、新規のα-(N-スルホンアミド)アセトアミド化合物、その医薬組成物、その製造方法、ならびにアルツハイマー病およびβ-アミロイドペプチドに関連する他の症状の治療方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
(発明の詳細)
本発明は、式I:
【化1】

を有する(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド、その医薬製剤、およびアルツハイマー病(AD)またはβ-アミロイドペプチド関連の他の疾患に罹っているまたは罹りやすい患者でのAβ産生の阻害におけるその使用に関する。
【0023】
別の実施態様において、本発明は、医薬的に許容されるアジュバント、担体または希釈剤とともに、治療上有効な量の(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドを含有する医薬組成物を提供する。
【0024】
さらに別の実施態様において、本発明は、β-アミロイドペプチド関連疾患、とりわけ アルツハイマー病、脳アミロイド血管症、軽度認知機能障害、およびダウン症候群の治療、軽減または発症の遅延のための方法であって、通常のアジュバント、担体または希釈剤と一緒に、治療上有効な量の(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドまたはその溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む方法を提供する。
【0025】
別の態様において、本発明は、塩基、好ましくは無機塩基(例えば炭酸セシウム)の存在下、不活性有機溶媒中で(R)-2-(4-クロロフェニルスルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドを3-(4-(ブロモメチル)-3-フルオロフェニル)-1,2,4-オキサジアゾールと反応させる工程を含む、(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドの製造方法を提供する。
【0026】
さらに別の態様において、本発明は:
(a)(R)-2-(4-クロロ-N-(4-シアノ-2-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドをヒドロキシルアミンと反応させる工程、および、
(b)酸触媒の存在下、不活性有機溶媒中で、得られた(R)-2-(4-クロロ-N-(2-フルオロ-4-(N'-ヒドロキシカルバムイミドイル)ベンジル)フェニルスルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドをオルトぎ酸トリエチルで処理する工程、
を含む、(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドの製造方法を提供する。
【0027】
本発明の化合物は不斉炭素原子を有するので、本発明は、ラセミ体、ならびに個々の式Iの化合物のエナンチオマーおよび本明細書に記載のキラル中間体とラセミ中間体を含む。単一の記号表示、例えば(R)または(S)の使用は、通常1つの立体異性体を含むことを意図する。異性体の混合物は、公知の方法(例えば、分別結晶化、吸着クロマトグラフィーまたは他の適切な分離方法)に従って個々の異性体に分離することができる。得られたラセミ体は、適切な塩形成グループ(salt-forming grouping)の導入後に通常の方法で、例えば光学活性な塩形成剤を用いてジアステレオマー塩の混合物を形成し、該混合物をジアステレオマー塩に分離し、該分離された塩を遊離化合物に変換することによって、対掌体に分離することができる。該エナンチオマーはまた、キラル高圧液体クロマトグラフィーカラムで分画することにより分離してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の方法において、用語「治療上有効な量」とは、有意義な患者利益、すなわち、β-アミロイドペプチド関連症状の治癒を示すのに十分である該方法の各活性成分の総量を意味する。単独で投与された個々の活性成分に適用する場合、該用語は成分単独について言及する。組み合わせに適用する場合、該用語は、組み合わせて、連続して、または同時に投与されたかどうかにかかわらず、治療効果をもたらす活性成分の合計量について言及する。本明細書および特許請求の範囲で用いる用語「治療する、治療すること、治療」は、β-アミロイドペプチド関連疾患の予防、遅延、抑制または寛解を意味する。
【0029】
本発明のさらに別の実施態様において、式Iの化合物は、式Iの化合物が有用である疾患または症状の治療/予防/抑制または寛解に用いられる他の薬剤と組み合わせて用いてもよい。そのような他の薬剤は、それらが通常用いられる経路および量で、本発明の化合物と同時にまたは連続して、投与され得る。式Iの化合物を1つ以上の薬剤と同時に用いる場合、式Iの化合物に加えてそのような薬剤を含む医薬組成物が好ましい。従って、本発明の医薬組成物には、式Iの化合物に加えて、1つ以上の他の活性成分も含むものが含まれる。アルツハイマー病の治療のために、(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドと組み合わせて、別個または同一の医薬組成物のいずれとして投与してもよい、他の活性成分の例としては、限定はされないが:コリンエステラーゼ阻害剤である薬剤の類(例えばドネペジル(アリセプト(登録商標))、リバスチグミン(エクセロン(登録商標))、ガランタミン(レミニール(登録商標)、現ラザダイン(登録商標))); NMDAアンタゴニスト(例えばメマンチン(ナメンダ(登録商標)))およびPDE4阻害剤(例えばシロミラスト(アリフロ(登録商標)))である他の薬剤; NSAIDの類(例えばR-フルルビプロフェン(フルリザン(Flurizan)(登録商標))); コレステロール低下スタチン系薬剤(例えばプラバスタチン、シンバスタチン、およびアトルバスタチン); 抗アミロイドおよび抗Aβ免疫療法; Aβの凝集を阻害する化合物(例えばscyllo-イノシトール(scylloinositol)およびクリオキノール); Aβ産生またはプロセシングを阻害または修飾する他の化合物(例えばγ-セクレターゼ阻害剤、β-セクレターゼ阻害剤、γ-セクレターゼ調節剤、Aβ調節剤、およびGSK-3阻害剤); Aβ代謝回転を制御する化合物(例えばPAI-1阻害剤); タウのリン酸化を制御する化合物(例えばGSK-3およびCDK-5阻害剤); PPARγアゴニスト(例えばロシグリタゾン); タウもしくはリン酸化タウ(phosphor-tau)代謝回転、またはオリゴマー形成を制御する化合物(例えばHSP90阻害剤、HDAC阻害剤および抗タウ免疫療法剤); および、微小管を安定化または微小管に結合する化合物(例えばタキサン誘導体およびエポチロン誘導体); ならびに、ミトコンドリア機能を制御する化合物(例えばジメボン(Dimebon))が挙げられる。
【0030】
癌の治療において、本発明の化合物を公知の抗癌剤または治療とともに用いてもよい。そのような薬剤および治療としては、細胞傷害性薬物/細胞分裂阻害剤、アンドロゲン受容体調節剤、エストロゲン受容体調節剤、レチノイド受容体調節剤、プレニル-タンパク質(prenyl-protein)トランスフェラーゼ阻害剤、血管新生阻害剤、細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤、および放射線療法が挙げられる。加えて、本発明の化合物は免疫学的疾患(例えばループス)の治療に有用であり得る。
【0031】
本発明の化合物と組み合わせて用いる場合、上記治療薬は、例えば、Physician's Desk Reference (PDR)に示される量(適用可能であるか他の当業者により決定される)で用いられ得る。
【0032】
しかしながら、実際に投与される化合物の量は、関連する状況(治療される症状、投与する化合物の選択、選択された投与経路、個々の患者の年齢、体重、および反応、ならびに患者の症候の重症度が含まれる)を考慮して、医師により決定され得ると解されるであろう。
【0033】
一般的な反応スキーム
本発明の化合物は、有機合成の分野の当業者に周知の多くの異なる方法により製造することができる。式Iの化合物は、以下の反応スキーム1-5に記載の方法により製造することができる。記載した方法の適当な改変は、当業者には明白であろう合成方法とともに、本発明の範囲内であると意図される。
【0034】
反応スキーム 1
【化2】

反応スキーム1に説明した一製造方法において、実質的にエナンチオマー的に純粋な形態で用いられる式IIの出発(α-アミノ)アセトアミドは、周知の文献方法、例えば、トリフルオロブチルアルデヒドから式IIの(α-アミノ)アセトアミドへの変換に関する反応スキーム3に記載の不斉Strecker合成法、または、(R)-5,5,5-トリフルオロノルバリン(参照; I. Ojima, J. Org. Chem. (1989) 54: 4511-4522)から反応スキーム4に記載の方法とそれに続くアミド製造に関する一般的な方法: R.C. Larock “Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers, New York, 1989, pp. 972−976を用いて、製造してもよい。式IIの(α-アミノ)アセトアミドを適切な塩基で処理し、適切な非プロトン溶媒(例えばCH2Cl2)中においておおよそ室温でp-クロロスルホニルクロリドを用いてスルホニル化し、式IIIの(α-スルホンアミド)アセトアミドを得る。適切な塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピリジンなどが挙げられる。
【0035】
式IIIの化合物の式Iのスルホンアミドへの変換は、塩基の存在下において、式IIIの(α-スルホンアミド)アセトアミドと式IVのオキサジアゾールフルオロベンジルアルキル化剤を、適切な非プロトン溶媒中で加熱しながらまたは加熱せずに反応させることにより行われる。式IVのフルオロベンジルオキサジアゾール(式中、Xは脱離基である)は、当分野で周知の方法、および反応スキーム6に記載の方法により製造され得る。このアルキル化に適切な塩基としては、無機塩基、例えば炭酸カリウムおよび炭酸セシウムが挙げられる。好ましい溶媒としては、DMFおよびアセトニトリルが挙げられる。該反応に対する温度範囲は典型的には20℃から100℃である。
【0036】
反応スキーム 2
【化3】

反応スキーム2に説明した別の製造方法において、式Iの1,2,4-オキサジアゾール化合物は、塩基の存在下において適切な溶媒中で式IIIの化合物を式VIの2-シアノ-4-フルオロベンジル誘導体(式中、Xは脱離基である)を用いてアルキル化して式VIIのニトリルを製造することにより製造される。次いで、目的の式Iの化合物を、当業者に周知の方法(参照: Joule, J.A, et al., Heterocyclic Chemistry, 3rd ed., Chapman & Hall, London (1995) 452-456およびその引用文献)を用いて式VIIのニトリル化合物から製造する。例えば、アルコール溶媒(例えばメタノールまたはエタノール)中において還流までの温度で式VIIのニトリルとヒドロキシルアミンを反応させることにより中間体アミドオキシムが得られ、続いてそれを、酸源(例えばトリフルオロ酢酸または三フッ化ホウ素エーテラート)の存在下において不活性有機溶媒(例えばCH2Cl2、アセトニトリル、テトラヒドロフランなど)中で、オルトホルメート(例えばオルトぎ酸トリエチルまたはオルトぎ酸トリメチル)を用いて処理し、式Iの1,2,4-オキサジアゾールが得られる。
【0037】
反応スキーム 3
【化4】

反応スキーム3は式IIの(α-アミノ)アセトアミドの製造を説明しており、市販のトリフルオロブチルアルデヒドおよび(R)-α-メチル ベンジルアミンで出発し、Strecker条件下、適切な溶媒(例えばメタノール)中で酢酸およびシアン化物源(例えばシアン化ナトリウム、シアン化カリウム、またはシアン化トリメチルシリル)を用いて、式VIIIのアミノニトリルをジアステレオマーの混合物として得る。出発トリフルオロブチルアルデヒドはまた、トリフルオロブタノールの酸化により製造され得る。硫酸を用いて式VIIIのニトリルを対応する式IXのアミドへ加水分解し、該反応を中和した後、酸性化および適切な溶媒(例えばメタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、tert-ブチルメチルエーテル、またはそれらの混合)からの再結晶化を行って、式Xのアミドを>99%ジアステレオマー過剰で得る。その後、該ベンジル基を適切な触媒(例えば、水酸化パラジウムまたはパラジウム炭素)の存在下で水素化により除去して式IIのアミノアミドが得られ、それをp-クロロスルホニルクロリドを用いてスルホニル化して式IIIのスルホンアミドが得られうる。
【0038】
反応スキーム 4
【化5】

別の製造方法において、反応スキーム4に説明の通り、式IIの(α-アミノ)アセトアミドは、5,5,5-トリフルオロ-2-オキソペンタン酸で出発する酵素的方法を用いて立体選択的に製造することができる。式XIVの(R)-5,5,5-トリフルオロノルバリンは、式XIIIの化合物から、市販の(R)-アミノトランスフェラーゼ酵素を用いて当業者に周知の方法により、実質的にエナンチオマー的に純粋な形態で製造され得る。別法において、該酵素的方法は市販の(R)-アミノ酸デヒドロゲナーゼ酵素を用いて行われ得る。該酵素的方法は、以下に記載の方法および当業者に周知の方法を用いて行われる。式XIVの(R)-5,5,5-トリフルオロノルバリンから式IIの化合物への変換は、当分野で周知のアミド製造に関する一般的な方法を用いて行われ得る。
【0039】
反応スキーム5
【化6】

式VIaのベンジルブロミドは、反応スキーム5に説明の通り、適切な溶媒(例えばジクロロメタン、ジクロロエタンまたは四塩化炭素)中で開始剤(例えばAIBN)を用い、N-ブロモこはく酸イミドで市販の2-フルオロ-4-シアノトルエンを臭素化することにより製造してもよい。該臭素化は高収率で進行し、所望であれば、式VIaの化合物は、当業者に周知の方法により、Xが脱離基である式VIの化合物に容易に変換され得る。
【0040】
反応スキーム 6
【化7】

反応スキーム2で上述した式Iのスルホンアミドオキサジアゾールへの直線的順序における式VIの化合物の使用に代わるものとして、反応スキーム1に記載の収束的経路における使用のための式IVの化合物の製造を、反応スキーム6に示す。アルコール溶媒中、室温で、市販の2-フルオロ-4-シアノトルエンをヒドロキシルアミンで処理することにより、クルードな式XIのアミドオキシムを得て、それがそのまま後続の反応に用いられ得る。三フッ化ホウ素エーテラートおよびオルトぎ酸トリエチルを用いた処理により式XIのアミドオキシムを環化し、式XIIのオキサジアゾールを、90%以上の収率で、2段階で得る。該環化はまた、三フッ化ホウ素の使用に代わるものとしてトリフルオロ酢酸を酸源として用いることにより手際よく達成することもできる。適切な溶媒(例えばジクロロメタン、ジクロロエタン、または四塩化炭素)中で開始剤(例えばAIBN)を用い、N-ブロモこはく酸イミドで臭素化することにより、式IVaのモノ-ブロモオキサジアゾール化合物を得る。生じうるモノ-およびジ-ブロミドの混合物を回避するのが望ましい場合、式XIの化合物のトルイル官能基を意図的にN-ブロモこはく酸イミドおよびAIBNで過剰に臭素化(overbrominate)して対応するジブロミドを得てもよく、次いで、それを亜リン酸ジエチルで還元して式VIaのモノ-ブロミドを90%以上の収率で得てもよい。該ジ臭素化および還元は、1つの容器で、ジブロミドを単離することなく、全般的な収率90%以上で達成され得る。別法として、該式IVaの化合物はまた、適切な2相溶媒系(例えば、酢酸エチル/水、ジクロロメタン/水、酢酸ブチル/水、トリフルオロトルエン/水など)中で過剰な臭素酸ナトリウムおよび亜硫酸水素ナトリウムを用いて式XIIの化合物から製造され得て、モノ-およびジ-ブロミド中間体の混合物を得ることができ、それをジエチルホスフェート/ジイソプロピルアミンを用いてそのままで還元して式IVaのモノ-ブロミドを得てもよい。所望であれば、当業者に周知の方法により、式IVaの化合物はXが脱離基である式IVの化合物に容易に変換され得る。
【0041】
別の実施態様において、本発明は、医薬的アジュバント、担体または希釈剤と組み合わせて式Iの化合物を含有する医薬組成物を含む。
【0042】
さらに別の実施態様において、本発明は、治療を必要とする哺乳動物におけるβ-アミロイドペプチドの阻害に反応する障害の治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式Iの化合物またはその溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む方法に関する。
【0043】
さらに別の実施態様において、本発明は、治療が必要な患者における、アルツハイマー病、脳アミロイド血管症、全身性アミロイドーシス、遺伝性アミロイド性脳出血(オランダ型)、多発脳梗塞性認知症、軽度認知機能障害およびダウン症候群を治療、軽減または発症を遅延する方法であって、該患者に治療上有効な量の式Iの化合物またはその溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む方法に関する。
【0044】
治療的な使用において、薬理学的に活性な式Iの化合物は通常、固体または液体の医薬的に許容される担体、ならびに適宜、医薬的に許容されるアジュバントおよび賦形剤とともに、不可欠な活性成分として少なくとも1つのそのような化合物を、標準的および通常の技法を用いて含有する医薬組成物として投与されるであろう。
【0045】
該医薬組成物は、経口、非経口(皮下、筋肉内、皮内および静脈内を含む)、経皮、舌下、気管支または経鼻投与に適した剤形を含む。従って、固体担体を用いる場合、該製剤は、錠剤化されるか、粉末もしくはペレット形態で硬ゼラチンカプセルに入れられるか、またはトローチ剤もしくはロゼンジ剤形態であってよい。該固体担体は、通常の賦形剤、例えば、結合剤、充填剤、錠剤化滑沢剤、崩壊剤、湿潤剤などを含み得る。所望であれば、該錠剤は通常の技法により膜コーティングされていてよい。経口製剤は、ゼラチン製の押し込み型(push-fit)カプセル剤、ならびにゼラチン製の、コーティング(例えばグリセロールまたはソルビトール)された軟性の薄層(scaled)カプセル剤を含む。押し込み型カプセルは、充填剤または結合剤、例えばラクトースまたはデンプン、滑沢剤、例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウム、および適宜、安定化剤と混合された活性成分を含むことができる。軟カプセル中において、該活性化合物は、安定化剤の有無にかかわらず、適切な液体(例えば脂肪油、液体(liquid)、または液体のポリエチレングリコール)に溶解または懸濁され得る。液体担体を用いる場合、該製剤はシロップ剤、乳剤、軟ゼラチンカプセル剤、注入用の無菌ビヒクル、水性もしくは非水性液体懸濁剤の形態であってよいか、または使用前に水もしくは他の適切なビヒクルで再構築する乾燥製品であってよい。液体製剤は、通常の添加剤(例えば懸濁剤、乳化剤、湿潤剤、非水性ビヒクル(食用油を含む)、保存剤、ならびに着香剤および/または着色剤)を含んでもよい。非経口投与において、生理食塩水、グルコース溶液などを用いてもよいが、ビヒクルは通常、少なくとも大部分は滅菌水を含むであろう。注射用懸濁液もまた用いられ得て、そのような場合、通常の懸濁剤が用いられ得る。通常の保存剤、緩衝剤などを非経口剤形に添加してもよい。局所または経鼻投与においては、浸透する特定のバリアに適した浸透剤を製剤化において用いる。そのような浸透剤は当分野では一般的に公知である。該医薬組成物は、適当な量の活性成分、すなわち、本発明に記載の式Iの化合物を含有する目的の製剤に適した通常の技法により、製造される。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, PA, 17th edition, 1985を参照。
【0046】
治療効果を成す式Iの化合物の用量は、患者の年齢、体重および性別のような因子ならびに投与様式だけでなく、望ましいAβ阻害の程度および関与する特定の障害または疾患に対する式Iの化合物の能力にも依存するであろう。治療および式Iの化合物の用量を単位用量形態で投与してもよく、該単位用量形態は、活性の相対的レベルを反映するように当業者により適宜調節され得ることもまた意図される。用いられる具体的用量(および一日あたりの投与回数)の決定は医師の裁量の範囲内であり、目的の治療効果を供するための、具体的状況に対する本発明の用量の設定により変化し得る。
【0047】
本明細書に記載のAβペプチド産生に関連するいずれの症状を患っているまたは患いやすい哺乳動物(ヒト男性を含む)に対する式Iの化合物またはその医薬組成物の適切な用量、通常一日量は、非経口投与の場合、約0.01 mg/kgから約10 mg/kg、および好ましくは約0.1から2 mg/kgであろう。経口投与の場合、該用量は約0.01から約20 mg/kgおよび好ましくは0.1から10 mg/kg体重の範囲であり得る。該活性成分は、好ましくは等用量を1日1から4回で投与され得る。しかしながら、通常は小用量を投与し、そして治療中のホストに対する最適用量が決定されるまで該用量を徐々に増大させる。良好な臨床的実践に従って、どんな有害または不都合な副作用も引き起こさずに有効な抗アミロイド効果をもたらし得る濃度レベルで、本発明の化合物を投与するのが好ましい。しかしながら、実際に投与される化合物の量は、治療する症状、投与する化合物の選択、選択した投与経路、個々の患者の年齢、体重および反応、ならびに患者の症状の重症度を含む、関連する状況の観点において、医師により決定される得ることが理解されよう。
【実施例】
【0048】
(生物学的データ)
PXRトランス活性化
プレグナンX受容体(PXR)は、主にシトクロムP450(CYP)3A4の誘導に関与する核内ホルモン受容体であり、それは多くの臨床処方薬の代謝において主要な役割を果たす。CYP3A4の誘導は、共投与したCYP3A4基質の代謝クリアランスを増大させることにより薬物間相互作用を引き起こし得る(Bertilsson, G. et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA (1998) 95: 12208-12213; Lehmann, J.M. et al., J. Clin. Invest. (1998) 102: 1016-1023)か、あるいは自己誘導により薬物曝露の喪失を引き起こしうることがよく知られている。薬物候補の発見または開発における誘導能のキャラクタライズは、製薬産業全体において主要なスクリーニング法となっている。PXRトランス活性化アッセイはCYP3A4の誘導能の評価に用いられ、HepG2細胞の細胞毒性アッセイは細胞毒性に起因するアッセイ干渉のモニターに用いられる。
【0049】
用いられる細胞培地はDMEMである。リポフェクタミン2000、PBS、トリプシン-EDTA(0.25%)、およびペニシリン-ストレプトマイシンをGIBCO/Invitrogen(Carlsbad, CA)から購入した。熱不活性化ウシ胎仔血清(FBS)はSigma(St. Louis, MO)から購入した。チャコール/デキストラン(Charcoal/dextran)処理ウシ胎仔血清(FBS)はHyclone(Logan, UT)から購入した。HepG2細胞はATCC(Manassas, VA)から入手した。ヒトPXR-pcDNA3、およびCYP3A4プロモーターを含有するルシフェラーゼレポーター、CYP3A-LucはBristol-Myers Squibbで作製した。黒色の標準的な384-ウェルプレートはBD Biosciences(Lexington, KY)から購入した。ルシフェラーゼ基質(Steady-Glo)はPromega(Madison, WI)から購入した。コントロール化合物リファンピシンはSigma(St. Louis, MO)から購入した。
【0050】
HepG2細胞の培養は、T175フラスコの中で、10% FBS含有DMEMを用いて行う。該トランスフェクション混合液は、1 μg/mLのPXR-pcDNA3 プラスミドDNA、20 μg/mLのCyp3A-Luc プラスミドDNA、90 μL/mLのリポフェクタミン2000、および無血清培地を含有する。室温で20分間インキュベートした後、該トランスフェクション混合液(フラスコ当り1 mL)を新鮮な培地(フラスコ当り20 mL)中の細胞に加え、フラスコを37℃(5% CO2)で終夜インキュベートした。
【0051】
各フラスコ中の細胞をPBSで洗浄し、4 mLのトリプシン-EDTA(0.25%)を添加し、室温で1分間インキュベートした。次いで、トリプシンを吸引除去し、フラスコを室温でさらに5分間インキュベートした。その後、該フラスコを細胞凝集塊が壊れるように激しくたたいた(tapped)。5% チャコール/デキストラン処理FBSを含有する10 mLのDMEMを添加した後、全ての混合液を円錐管(conical tube)に移し入れる。懸濁液中の細胞のプールを、1 mL ピペットチップを用いてピペッティングし、さらにバラバラにする。次いで、細胞を数え、培地中に希釈して3.0 x 105 細胞/mLにする。50 μLの細胞混合液を、100% DMSOに溶解した0.25 μLの試験化合物を含む、黒色の標準的な384-ウェルプレートの各ウェルに添加する。該プレートを37℃(5% CO2)で終夜インキュベートした後、25 μLのルシフェラーゼ基質(Steady-Glo, Promega)を各ウェルに添加する。15分後、プレートをViewlux (Perkin-Elmer)プレートリーダーで読み取る。
【0052】
PXRの周知のアゴニストであるリファンピシン(10 μM)を、内部標準およびポジティブコントロールとして各プレートでインキュベートする。次いで、該データを活性化パーセント(%Act)として表した(ここで、総シグナルは10 μM リファンピシンからのシグナルであり、ブランクシグナルはDMSOビヒクルからのものである)。
【数1】

化合物を10の濃度(50 μM − 2.5 nM, 1:3 連続希釈)で試験し、XL-Fit(IDBS, Inc.)をカーブフィッティングに用いた。20%および60%活性化が生じる化合物の濃度(EC20AおよびEC60A、各々)を報告する。
【0053】
ヒトプレグナン-X受容体は、CYP3A4、ならびにCYP2B6、CYP2C8/9、第2相酵素(例えばUGT)、およびいくつかのトランスポーター(例えばP-gp、MRP2、およびOATP2)の誘導に主に関与する。上記の試験により、hPXRトランス活性化アッセイにおいて(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドは、6.9 μMのEC20A(10 μMで20%のリファンピシン反応)および16.7 μM以上のEC60A(10 μMで60%のリファンピシン反応)を有することが示された。これらの結果は、(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドが、hPXRの活性化を介したヒトCYP3A4の誘導因子となる能力を有し得ることを示唆する。
【0054】
Fa2N-4細胞におけるシトクロムP450の誘導
CYP3A4 mRNAを誘導する(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドの能力を、Fa2N-4細胞株を用いてin vitroで評価した。該Fa2N-4細胞は、サルウイルス40(SV40)T抗原を不死化遺伝子として用い、いくつかのCYPアイソフォーム(CYP3A4を含む)の基本的な発現および誘導能を保持させて作製した不死化ヒト肝細胞株である。Fa2N-4細胞およびMFE Support Media FはXenoTech, LLC(Lenexa, Kansas)により提供された。
【0055】
Fa2N-4細胞を、12-ウェルのコラーゲン-コートプレートに播種密度0.67 x 106細胞/ウェルで供給した。細胞を受け取った後で該培地を変え、該細胞を、加湿した、CO2-供給インキュベーターで終夜維持した。この順応期間の後、該細胞を光学顕微鏡で観察し、該細胞が形態学的に正常で使用に適しているかどうかについて判定した。処理期間の間、該細胞を日常的に視覚的に検査し;細胞の形態、集密度、および試験品に起因する毒性のサインを必要に応じて記録した。該細胞培養物を、4濃度(最終培養中、0.5、2、8、および20 μM)の(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド、および溶媒ビヒクルコントロール(0.1% DMSO)を用いて、3組で処理した。リファンピシン(10 μM)、プロトタイプのCYP3A4誘導因子をポジティブコントロールとして用いた。Fa2N-4細胞を、試験品に合計3日間曝露した。該培養培地は試験品を含有する新鮮な培地と毎日交換した。合計〜72時間曝露させた後、培地を吸引し、該細胞をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、その後、細胞溶解バッファー(Qiagen, Valencia, CA)を添加した。
【0056】
(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドが有するCYP3A4 mRNA発現を誘導する能力を、Fa2N-4 不死化ヒト肝細胞で調べた。Fa2N-4肝細胞をリファンピシン(10 μM)で3日間処理することによって細胞のCYP3A4 mRNA発現の顕著な(12倍)増大がもたらされ、これにより該細胞が適切に機能することが示唆された。肝細胞を、3日間、(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドとインキュベートすることによってCYP3A4 mRNA発現の濃度依存的増大がもたらされ、試験した最も高い濃度(20 μM)においてビヒクルコントロールを上回って2.6倍に到達した。この誘導の大きさはリファンピシンにより引き起こされる誘導反応の22%に等しく、これにより(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドが20 μM以上の濃度で適度にCYP3A4を誘導し得ることが示唆された。相対的に最も小さいCYP3A4の誘導(≦2.0倍)は、より低い濃度の(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド(≦8.0 μM)で認められた。
【0057】
肝ミクロソームにおける代謝安定性
マウス、ラット、イヌ、ヒトおよびカニクイザルの肝ミクロソームを、BD Gentest(Woburn, MA)から入手した。ロット番号は、13(マウス)、8(ラット)、8(イヌ)、19および26(ヒト)、ならびに3(カニクイザル)であった。(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドの酸化的代謝を、肝ミクロソームにおいて3通りの条件下で調査した。ヒトおよびイヌ用のインキュベート混合液(総容積3 mL、有機溶媒含有量0.3%)には、(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド(1 μM)、ミクロソームタンパク質(1 mg/mL)、NADPH(1 mM)、トリス塩化物(Tris chloride)バッファー(100 mM, pH 7.4)、および塩化マグネシウム(3.3 mM)が含まれていた。反応は3重複で実施し、NADPHの添加により開始させた後、37℃で50分間インキュベートした。サンプルのアリコート(0.25 mL)を、0、5、10、20、30、40および50分で採取し、3容積のアセトニトリルの添加により該反応をクエンチした。カニクイザルおよびラット用のインキュベート混合液(総容積3 mL、有機溶媒含有量0.3%)には、(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド(1 μM)、ミクロソームタンパク質(0.1 mg/mL)、NADPH(1 mM)、トリス塩化物バッファー(100 mM, pH 7.4)、および塩化マグネシウム(3.3 mM)が含まれていた。反応は3重複で実施し、NADPHの添加により開始させた後、37℃で50分間インキュベートした。サンプルのアリコート(0.25 mL)を、0、5、10、20、30、40および50分で採取し、3容積のアセトニトリルの添加により該反応をクエンチした。マウスおよびカニクイザル用のインキュべート混合液(総容積3 mL、有機溶媒含有量0.3%)には、(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド(1 μM)、ミクロソームタンパク質(0.1 mg/mL)、NADPH(1 mM)、トリス塩化物バッファー(100 mM, pH 7.4)、および塩化マグネシウム(3.3 mM)が含まれていた。反応は3重複で実施し、NADPHの添加により開始させた後、37℃で40分間インキュベートした。サンプルのアリコート(0.25 mL)を、0、5、10、20、30、および40分で採取し、3容積のアセトニトリルの添加により該反応をクエンチした。全ての調査において、サンプルはLC/MS法により即座に分析された。親の消失速度は、各時点での(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドのピーク面積比から算出した。
【0058】
様々な種における(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドの肝固有クリアランス(CLh,int, mL/分/kg)を、Houston JB., Biochem Pharmacol 1994;47:1469-1479; Iwatsubo, et al., Pharmacol Ther (1997) 73:147-171;および、Obach et al., J Pharmacol Exp Ther (1997) 283:46-58により記載された方法を用いて肝ミクロソームデータから推定した。
【0059】
in vitroでの代謝速度は、様々な種のNADPH-強化肝ミクロソームの存在下で、(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドについて測定した。本発明の化合物(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド(1 μM)は、マウス、ラット、イヌ、カニクイザル、およびヒトミクロソームの存在下で、各々、690、630、40、495および32 pmol/分/mgタンパク質の速度で代謝された。(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド消費速度をin vivoクリアランスに見積もった場合、予測される(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドのin vivo(血清)クリアランス値は、マウス、ラット、イヌ、カニクイザル、およびヒト、各々、およそ87、52、14、39および8 mL/分/kgであった。これらのデータは、(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドがヒトにおける低クリアランス化合物であると予期されることを示唆する。
【0060】
(in vitroでの薬理)
プレセリン結合アッセイ
[3H] (R)-4-((N-(1-アミノ-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)-4-クロロフェニルスルホンアミド)メチル)-N-(2-メトキシエチル)ベンズアミドでの放射性リガンド置換アッセイは、[3H] (2R,3S)-2-イソブチル-N1-((S)-2-オキソ-1-(3-フェノキシベンジル)アゼパン-3-イル)-3-プロピルスクシンアミドに関して前述された方法(RE987, 化合物 A [Seiffert D, et al. Presenilin -1 and -2 are molecular targets for γ- secretase inhibitors. J. Biol. Chem. (2000) 275(44): 34086-34091])を用いて実施した。いくつかの実験を実施して、[3H] (R)-4-((N-(1-アミノ-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)-4-クロロフェニルスルホンアミド)メチル)-N-(2-メトキシエチル)ベンズアミドがγ-セクレターゼに結合することを確認した。第1に、[3H] (R)-4-((N-(1-アミノ-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)-4-クロロフェニルスルホンアミド)メチル)-N-(2-メトキシエチル)ベンズアミドの、野生型およびPS-1/PS-2ノックアウト線維芽細胞由来の膜への特異的結合により、[3H] (R)-4-((N-(1-アミノ-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)-4-クロロフェニルスルホンアミド)メチル)-N-(2-メトキシエチル)ベンズアミドが、ノックアウト線維芽細胞ではなく野生型線維芽細胞由来の膜に特異的に結合すること、ならびに該特異的シグナルは構造的に異なるγ-セクレターゼ阻害剤により競合されることが示された。第2に、[3H] (R)-4-((N-(1-アミノ-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)-4-クロロフェニルスルホンアミド)メチル)-N-(2-メトキシエチル)ベンズアミド結合の薬理を、いくつかのγ-セクレターゼ阻害剤を用いて調査した。これらの結果により、[3H] (R)-4-((N-(1-アミノ-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)-4-クロロフェニルスルホンアミド)メチル)-N-(2-メトキシエチル)ベンズアミドのTHP-1膜への結合の置換は、前述の放射性リガンド結合アッセイおよび培養細胞におけるAβ形成の阻害を用いて測定された両方のγ-セクレターゼの能力とよく関連づけられることが示された。
【0061】
THP-1細胞を、L-グルタミン(Life Technologies Inc.)および10 μM β-メルカプトエタノールを含有するRPMI 1640中において、撹拌培養で、5 x 105/mLの細胞密度まで増殖させた。細胞を遠心分離により採取し、2 x 108細胞を含有するペレットをドライアイス/エタノール中で急速に凍結させ、使用するまで-70℃で保存した。アッセイの日、細胞を、4-(2-アミノエチル)ベンゼンスルホニルフルオリド塩酸塩 104 μM、アプロチニン 80 nM、ロイペプチン 2 μM、ベスタチン 4 μM、ペプスタチンA 1.5 μM、およびE-64 1.4 μMのプロテアーゼ阻害剤カクテルを含有する50 mM HEPES pH 7.0から成るホモジナイズバッファー10 mL(0.1%のプロテアーゼ阻害剤カクテル P8340, Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)あたり2 x 108細胞で、4℃で解凍した。該細胞を、ポリトロン(Brinkman, Westbury, NY)を用いて18,000 rpmで15秒間ホモジナイズした後、Sorval RC5B 遠心分離機において、18,000 rpm、4℃、15分遠心分離した。得られたペレットを4℃でバッファーに再懸濁させ、総タンパク質濃度5 mg/mLとした。結合アッセイで使用するため、該細胞ホモジネートを、50 mM HEPES pH 7.0、0.1% CHAPSOから成るアッセイバッファー中に300 μg/mLの濃度に希釈した。ポリプロピレン96-ウェルプレート(Costar, Cambridge, MA)において、200 μLの細胞ホモジネートを、0.75 nM 放射性リガンド ([3H] (R)-4-((N-(1-アミノ-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)-4-クロロフェニルスルホンアミド)メチル)-N-(2-メトキシエチル)ベンズアミド, 110 Ci/mmol)および様々な濃度の未標識化合物を含有する50 μLのアッセイバッファーに加えることによりアッセイを開始し、37℃で1時間インキュベートした。最終DMSO濃度は1%であった。Innotechセルハーベスターを用いてGFFグラスファイバーフィルター(Innotech Biosystems International, Lansing, MI)で濾過することにより、遊離放射性リガンドからの結合(bound)の分離を行った。フィルターを、4℃で、0.3 mL/ウェルのリン酸緩衝生理食塩水 pH 7.0を用いて3回洗浄し、Wallac 1450 Microbeta液体シンチレーションカウンター(PerkinElmer, Boston, MA)を用いて放射能を測定した。競合する化合物のKi値は、XLfit(IDBS, Guildford, UK)を用いて算出したIC50値のCheng-Prussoff補正(correction)により得た。
【0062】
上記の放射性リガンド結合アッセイを用いて、γ-セクレターゼ複合体のプレセニリン標的部位に対する化合物の親和性を測定した。(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドは、THP-1膜における[3H] (R)-4-((N-(1-アミノ-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)-4-クロロフェニルスルホンアミド)メチル)-N-(2-メトキシエチル)ベンズアミドのプレセニリンへの結合の用量依存的阻害をもたらした。多数の実験を解析することにより、Ki = 0.48 nM ± 0.24 nM (平均 ± SD, n = 8)を得た。
【0063】
培養細胞中におけるAβ形成の阻害
Bristol-Myers Squibbで開発したH4 APP751 SWEクローン8.20、スウェーデン型変異 APP751を安定して発現するH4 神経膠腫細胞株を用いて、細胞中におけるAβ40またはAβ42阻害について化合物をアッセイした。1週間に2回の1:20希釈での継代を経て、細胞を対数期に維持した。IC50の決定のため、0.0125% BSA(Sigma A8412)を含有するDMEM培地中の30 μLの細胞(1.5 x 104細胞/ウェル)を、DMSO中に連続希釈した化合物 0.1 μLを有する384-ウェルの化合物プレート(Costar 3709)へ直接蒔いた。5% CO2中、37℃で19時間インキュベートした後、プレートを軽く遠心分離した(1000 rpm、5分)。各ウェルからの10 μLのアリコートを、Aβ40測定のために第2アッセイプレート(Costar 3709)に移し入れた。抗体カクテルを、0.2% BSA含有40 mM Tris-HCl(pH 7.4)に希釈することにより直前に調製し、アッセイプレートに添加した。Aβ42測定については、Aβ42ネオエピトープ(neoepitope)(565, Bristol-Myers Squibbで開発;Wallac試薬(Perkin Elmer)に結合させた)およびAβペプチド(26D6, SIBIA/Bristol-Myers Squibbで開発; APC(Perkin Elmer)に結合させた)のN-末端配列に特異的な抗体を混合し、20 μLの該混合液を、最終濃度が0.8 ng/ウェル(565)および75 ng/ウェル(26D6)となるように、インキュベートした細胞プレートの各ウェルに添加した。Aβ40 測定については、Aβ40ネオエピトープ(TSD, Bristol-Myers Squibbで開発; Wallac試薬(Perkin Elmer)に結合させた)に特異的な抗体および上記の26D6を混合し、20 μLの該混合液を、最終濃度1.6 ng/ウェル(TSD)および17.5 ng/ウェル(26D6)となるように、細胞プレートからあらかじめ取り出した10 μLのアリコートに添加した。抗体を含むアッセイプレートをアルミニウムホイルで密閉し、4℃で終夜インキュベートした。Viewluxカウンター(Perkin Elmer)を用いてシグナルを測定し、IC50値はマスターカーブ(CurveMaster)(Excel Fitに基づく)におけるカーブフィッティングを用いて決定した。
【0064】
(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドは、H4-8Sw細胞におけるAβ40およびAβ42形成を強く阻害した。多重実験の解析により、Aβ40阻害についてIC50 = 0.30 ± 0.15 nM (平均 ± SD, n = 50)およびAβ42阻害についてIC50 = 0.27 ± 0.12 nM (平均 ± SD, n = 45)を得た。
【0065】
培養細胞におけるNotchシグナリングの阻害
γ-セクレターゼ活性は、膜貫通受容体のNotchファミリーによるシグナリングに必要とされる。Notchシグナリングの阻害は、望ましくない、作用機序に基づく副作用を引き起こすので、Notch1-ΔEシグナリングの細胞アッセイを用いてγ-セクレターゼ阻害剤のカウンタースクリーニングを行った。
【0066】
マウスNotch1発現コンストラクトは、標準的な分子生物学的技法を用いてPCRにより作製し、シークエンスにより確認した。このコンストラクトは、N-末端の20アミノ酸シグナル配列およびC-末端の7X mycタグを含むように修飾されたpCDNA3.1+ Hygベクター(Invitrogen)中に作製した。該シグナル配列はマウスNotch1由来であり; 該7X myc-タグは重複プライマーを用いて作製し、pCDNA3.1+ HygベクターのHindIII/XhoI部位にサブクローニングした。
【0067】
該マウスNotch1-ΔEコンストラクトは、膜貫通ドメイン内にマウスNotch1シグナル配列およびM1727V変異を含み、内部翻訳開始を抑制する。アミノ酸1704から2193のマウスNotch1-ΔEコード配列をマウス脾臓Quick Clone cDNAライブラリー(Clontech)から単離し、7X myc-タグおよびシグナル配列を含む修飾ベクターに、XbaI/HindIIフラグメントとしてサブクローニングした。
【0068】
ヒーラ細胞を、10% FBS(GibcoBRL)、ペニシリン/ストレプトマイシン(GibcoBRL)および2 mM L-グルタミン(GibcoBRL)を含むDMEM(GibcoBRL)中で維持した。細胞を、TransIT-HelaMONSTER(Mirus)を用いてメーカーの指示書に従って過渡的にトランスフェクトした。ヒーラ細胞(ATCC)を、4 x 106細胞/T175フラスコの密度でヒーラ増殖培地(グルタミン、ペニシリン、ストレプトマイシンおよび10%ウシ胎仔血清を含むDMEM(高グルコース、HEPES))中に、トランスフェクションの16時間前に蒔いた。HelaMonsterトランスフェクション試薬(Mirus)を用いて、増殖培地中で細胞に: 6 μg マウスNotch1-ΔEプラスミド、15.6 μg 担体プラスミド(pCDNA3.1+ hyg)、14.4 μg CBF1プラスミド(ルシフェラーゼレポーター)をトランスフェクトした。該CBF1-ルシフェラーゼレポーターコンストラクトは、SV40プロモーター(pGL3-プロモーター, Promega)の上流のCBF1 結合エレメントの4X コピーから成る。該CBF1-ルシフェラーゼレポーターは、4X CBF1結合領域を作るように重複プライマーを用いて作製される。このフラグメントを、pGL3-プロモーターコンストラクトのNheI/BglII部位にサブクローニングした。このコンストラクトの完全性をシークエンスにより確認した。DNAストックを、トランスフェクション用にTEバッファー(10 mM Tris, 1 mM EDTA, pH 8.0)で希釈した。DNA添加の5〜6時間後、細胞をトリプシン-EDTAを用いてフラスコから取り出し、記載の培地(グルタミン、ペニシリン、ストレプトマイシン、0.0125%ウシ血清アルブミンおよび非必須アミノ酸を含むDMEM(高グルコース、HEPES))中に5 x 104細胞/mLの濃度で再懸濁した。96ウェルの黒色のクリアビュープレート(Packard)に200 μL/ウェル(1 x 104細胞)の量で細胞を蒔き、37℃で1.5時間インキュベートして細胞をプレートに接着させた。試験化合物を、最初に96ウェルポリプロピレンプレートにおいて100% DMSO中に希釈した。次いで、該DMSO化合物ストックを記載の培地を含むプレートに移し入れることによって47.6倍に希釈し、DMSO濃度を2.1%とした。希釈した化合物溶液(10 μL)を細胞プレートに添加し、最終的に0.1%のDMSO濃度を得た。化合物を含む細胞プレートを37℃で終夜インキュベートした。この終夜のインキュベートの後、培地を穏やかに除去し、25 μLのリン酸緩衝生理食塩水(カルシウムおよびマグネシウム含有)を各ウェルに添加した。Luc-Screen (Biosystemsを適用)試薬AおよびBを同じ割合で混合し、50 μLの該混合液を各ウェルに添加した。該プレートを室温で10分間インキュベートした後、黒いバッキングをプレートの底に貼り付け、プレートおよびシグナルをTopCount(Packard)で読み取った。次いで濃度反応曲線を、非線形回帰を用いてフィッティングして、IC50値を決定した。
【0069】
γ-セクレターゼ活性は、膜貫通受容体のNotchファミリーによるシグナリングに必要とされる。Notchシグナリングの阻害は、望ましくない、作用機序に基づく副作用を引き起こすので、上記のNotch1-ΔEシグナリングの細胞アッセイを用いて、γ-セクレターゼ阻害剤をカウンタースクリーニングした。(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドによるNotch1-ΔEシグナリングの阻害についての多重実験の解析から、IC50 = 58 ± 23 nM (平均 ± SD, n = 58)を得た。
【0070】
Aβ40(0.3 nM)およびNotch(58 nM)を阻害する細胞の効力(cellular potency)に基づくと、(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドに対する該Notch/APP選択性は、193X (95% CI = 163-232)である。
【0071】
(IN VIVO薬理)
AβELISA
動物からのAβ種を、サンドイッチELISAアッセイを用いて測定した。個々の抗体に対するエピトープの詳細によって検出されるAβ種が決定されるので、これらのアッセイの簡単な考察を本明細書に記載する。マウスおよびラットAβは共通のAβ配列を共有しており、それはヒトAβとは異なっている。これらの配列差違の結果として、ヒトAβのN-末端領域を認識する抗体、例えば26D6、はげっ歯類Aβに弱く結合する。同様に、げっ歯類Aβに強く結合する抗体、例えば252、はヒトAβに弱く結合する。2つのアッセイが、げっ歯類Aβ40の測定用に開発された: 252-TSDおよび4G8-TSD。該TSD-4G8アッセイは、Aβ40だけでなく、他のBACE-γ-セクレターゼ切断産物(Aβ11-40)およびα-セクレターゼ-γ-セクレターゼ切断産物(P3)も測定することができる。表1は、本発明に示されるアッセイおよびその使用を要約する。
【表1】

a“x”の正確な位置は不明である。252はAβのN-末端領域を認識するが、Aβのアミノ末端トランケーションが252結合に影響を及ぼすかどうかは不明である。N-末端トランケーションはまれであるので、ラットにおいてこの不確定事項が問題となる可能性は低い。
【0072】
これらのアッセイの各々はいくつかの方法を用いて検証される。まず、様々な量の合成Aβを生体マトリックスに添加し、シグナルの増大をバッファー溶液中の合成Aβを用いて得られたものと比較した。2番目に、抗-Aβ抗体を用いて生物サンプルからAβを枯渇させた。3番目に、高用量のγ-セクレターゼ阻害剤で処置した動物からのサンプルをアッセイした。有効なアッセイは外から加えられたAβ(>80% 回収率)を効率的に検出し、Aβ免疫除去後のシグナルを大きく減少させ(非特異的コントロールに比べて>80%の減少)、高用量のγ-セクレターゼ阻害剤で処置した動物からのサンプルを用いたアッセイ下限(floor)に到達または重なる値までシグナルを減少させた。最適化された有効なAβアッセイは依然として、抗-Aβ抗体により、またはγ-セクレターゼ阻害剤での処置により枯渇させることのできなかった少量のシグナル(ビヒクルコントロールの5-20%)を含んでいた。このシグナルは、Aβである可能性は低く、従ってアッセイ下限と見なされる。該アッセイ下限はいずれのAβ測定の補正にも用いられず、従って、報告された値はAβ阻害の実際の量の過小評価であると思われる
【0073】
Aβ40を、in vivoにおいてAβ42の代替として用いた。Aβ40は生物サンプルにおいてAβ42よりも約10倍豊富である。Aβ40およびAβ42が(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドおよび他のγ-セクレターゼ阻害剤によって同様に阻害される培養細胞における実験に基づくと、Aβ40はAβ42の良い代替である。
【0074】
(ラットでの研究)
生体において
雌のHarlan Sprague-Dawleyラット(〜200−250 g)に、99% PEG-400、1% Tween-80の投与ビヒクルを、4 mL/kgで経口経管栄養によって午前中に毎日投与した。投与溶液は研究の開始時に一度に作製した。56℃で加熱し、超音波処理を用いて化合物を投与溶液中に可溶化した。全ての手順はACUCガイドラインに従って行った。末梢血液サンプルは、CO2安楽死の後で心穿刺により得て、EDTAチューブに集めた。遠心分離して血漿を得た。脳組織を解剖し、重量を秤り、ドライアイス上で分析まで凍結させた。CSFサンプルを遠心分離して細胞またはデブリ(debris)を除去した後、4% BSA中に1:2で希釈し、その後の分析用に凍結させた。病理組織学的サンプルを中性緩衝ホルマリンに入れた後、加工した。使用するために集めたサンプルを包埋マトリックスでコーティングし、-25℃から-30℃で、2-メチルブタン浴中において凍結させた後ドライアイス中で凍結させた。生体での血漿サンプルは後眼窩採血(retro-orbital bleeding)を用いて得た。
【0075】
脳Aβ40アッセイ
ラット脳(半分の半球)を、PBS(pH 7.8、2% CHAPS、complete protease inhibitors(Roche))中に、ポリトロンを用いて4 mL/gでホモジナイズした。大きなデブリを20,800 x gで30分間遠心分離して除去し、得られた上清をPBS(2.5% BSA)中に1:2に希釈した。白色のMicrolite II ELISAプレート(Thermo Electron)を、50 μg/mLのTSD9S3.2抗体とともにPBS中で、37℃で1時間インキュベートした。プレートを200 μLの5%ウシ血清アルブミン(BSA; 重量/容積 PBS中に調製)により、室温で2時間、プレートシェーカー上でブロッキングし、次いで、500 μL/ウェルのPBS(0.05% Tween-20)で5回洗浄した。精製脳ホモジネートを50 μL/ウェルで、6組で添加し、室温で1時間インキュベートした。プレートを前述の通り洗浄した後、PBS(0.05% Tween、0.1% BSA)中に1:2000に希釈した西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)-結合252抗体(Biosource)とともに1時間インキュベートした。3組は252-HRP抗体のみを含み、3組は252-HRP抗体と特異的結合抗体と競合する1 μg/mLのラットAβ1-14(Anaspec)をともに含んでいた ; このバックグラウンドシグナルを総シグナルから減算して特異的シグナルを得た。該結合252-HRP抗体は、10分間 Pierce Supersignal Pico Chemiluminescent substrateを用いて検出し、Packard TopCountで定量化した。サンプルは、各プレートに設置した脳ホモジネート基準に標準化した。Aβ40検量線に基づくと、該LLQは10 pg/mLであり、該LLDは20 pg/g組織であった。
【0076】
血漿Aβ40アッセイ
プレートをTSD抗体でコーティングし、脳Aβ40アッセイと同様に洗浄した。血漿サンプルをPBSバッファー(pH 7.8、0.25% ノニデットP40、2.5% BSA)中に1:3に希釈した。サンプルを50 μL/ウェルで、6組で添加し、室温で1-2時間インキュベートした。サンプルを、1時間、PBS(0.05% Tween、0.1% BSA)中に1:8000に希釈した4G8-ビオチン(Signet)を用いて検出した。3組は4G8-ビオチン抗体のみを有し、3組は4G8-ビオチン抗体と特異的シグナルに競合する1 μg/mL Aβ17-24をともに有し、それにより各サンプルに対するバックグラウンド値を確立した。上記のとおり洗浄した後、プレートを、PBS(0.05% Tween、0.1% BSA)中に1:50,000に希釈したストレプトアビジン-HRP(Zymed)とともに10分間インキュベートした。脳Aβ40アッセイと同様に検出および定量化した。サンプルを各プレートに設置した血漿の基準に標準化した。Aβ40検量線に基づくと、該LLQは7.5 pg/mLであり、該LLDは23 pg/mL血漿であった。
【0077】
CSF Aβ40アッセイ
プレートをTSD抗体でコーティングし、脳Aβ40アッセイと同様に洗浄した。CSFサンプルをPBS(pH 7.8、0.1% Tween-20)中で1:10に希釈した。収集時、CSFを予め1:2で4% BSA/水に希釈した。サンプルを50 μL/ウェルで、3組で添加し、室温で1-2時間インキュベートした。サンプルを、1時間、PBS(0.05% Tween、0.1% BSA)中に1:8000に希釈した4G8-ビオチン(Signet)を用いて検出した。バックグラウンドが低かったので、このアッセイに関しては、複製サンプルを競合するペプチドとともに操作する必要がなかった。結合4G8-HRPを血漿Aβ40アッセイと同様に検出および定量化した。サンプルは、各プレートに設置したCSF基準に標準化した。Aβ40検量線に基づくと、該LLQは20 pg/mLであり、該LLDは400 pg/mL CSFであった。
【0078】
γ-セクレターゼサイト占有率
脳切片はクリオスタットで厚さ20 μmで冠状に切断し、スーパーフロストプラススライド上に解かし載せた。切片は、吻側の海馬の位置にて、約120 μmの間隔で、3 切片/スライドで確保し、使用するまで-20℃で凍結させた。占有率の調査のため、脳切片を室温に昇温させ、乾燥し、50 mM HEPESバッファー(pH 7.4)中で10分間インキュベートし、次いで1.5 nM [3H]IN973(Goldstein, M.E. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. (2007) 323:102-108)または[3H] (R)-4-((N-(1-アミノ-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)-4-クロロフェニルスルホンアミド)メチル)-N-(2-メトキシエチル)ベンズアミドを含む同一のバッファーに移し、室温で10分間インキュベートした。非特異的結合を明確にするため、隣接切片を、[3H]IN973または[3H] (R)-4-((N-(1-アミノ-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)-4-クロロフェニルスルホンアミド)メチル)-N-(2-メトキシエチル)ベンズアミドを含むが、未標識γ-セクレターゼ阻害剤を0.5 μMで含むバッファー中でインキュベートした。インキュベートの後、該スライドを、各々2分間、3回、氷冷PBS(pH 7.2)で洗浄し、氷冷蒸留水に浸し、ファンを用いて冷気を吹かせて乾燥させた。該スライドを、トリチウム感受性 phosphor storage screen(Amersham Biosciences, Arlington Heights, IL)下に設置し、暗所で7日間曝露させた。画像を、Cyclone phosphor scanner(Packard, Meriden, CT)ならびにOptiQuant取り込みおよび分析ソフトウェア(Packard)を用いてphosphor storage screenから取り込んだ。目的の領域に関する光学濃度(Optical density)(平方ミリメートル当りのデジタルの光単位として表される)を測定し、ビヒクルコントロールに対する%として表した。
【0079】
病理組織学法
CO2窒息による安楽死の後、約3 cmの長さの近位十二指腸断片を腹部から取り出し、氷冷したリン酸緩衝生理食塩水ですすぎ、切片化の前に、10%緩衝ホルマリンに入れた。該十二指腸の組織断片を流動パラフィンに埋め込み、台に取り付け、矢状(縦断-管腔)環切片に3組で切り出し、過ヨウ素酸シップ塩基法を用いて染色した後、微視的評価を行った。計画した剖検まで生存した全ての動物で実施した。
【0080】
急性ラット(Acute Rat)研究
(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドの30 mg/kgでの単一用量は、血漿Aβ40および脳Aβ40の両者を、各々、ビヒクルコントロールの2%および16%の濃度まで顕著に減少させた。ラットにおける(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドの効果のさらなる調査のため、(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドの単一用量を、1 mg/kg、10 mg/kg、および100 mg/kgで投与し、血漿Aβ40、脳Aβ40、およびγ-セクレターゼのサイト占有率測定のため、2、5、8、12、および24時間後に組織を採集した。これらの測定により、10 mg/kgおよび100 mg/kgは血漿Aβ40および脳Aβ40を投与後2から24時間でベースラインAβ40値の25%未満に減少させることが示された。対照的に、1 mg/kgは脳Aβ40における統計的に有意な変化を引き起こさなかったが、そのかわりに血漿Aβ40の過渡的な上昇を引き起こした。具体的には、血漿Aβ40は、8時間までに開始値の250%まで増大し、その後24時間までにベースライン値に戻った。γ-セクレターゼサイト占有率により、100 mg/kg投与後の投与間隔の間ずっと、および10 mg/kg投与後の24時間の時点(88%)を除いて全てにおいて、脳のγ-セクレターゼ阻害剤結合部位の94%以上が占有されていることが示された。対照的に、脳γ-セクレターゼ結合部位の75%のみが1 mg/kg用量後2時間占有され、24時間までにサイト占有率はベースライン値に徐々に戻った。
【0081】
急性ラット研究の結果により、(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドは、血漿Aβ40、脳Aβ40、およびCSFAβ40を、1 mg/kgから10 mg/kgのED50で減少させることが示された。
【0082】
亜慢性ラット研究
前項で記載したラット脳Aβ40での(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドの効果に基づいて、ラットに、3、10、30または100 mg/kg/日の用量を毎日投与した。3回目の投与後12もしくは24時間、または5回目の投与後5時間で動物を安楽死させた。脳Aβ40 AUC減少は、表2に示すとおり、同一用量群内において投与の5、12、または24時間後の動物から得た値の線形外挿により推定した。この解析に基づいて、Aβ40 AUC減少は平均すると3 mg/kg/日で53%となり、10 mg/kg/日またはそれ以上の用量で85%以上に増大した。化合物濃度を数回測定して、実験の開始時と終了時での化合物AUC(0-24時間)値を推定した。これらの値により、3回投与後の化合物曝露は初回投与後の曝露の2倍以内であることが示された。これらのラットからの十二指腸組織の組織学的評価により、100 mg/kg/日で投与された1/3のラットが軽度の病変を有することが示された。
【表2】

a 値は、ビヒクルコントロール群の平均に対して表した、n = 3の動物からの平均の脳Aβ40濃度を示す。
b 脳Aβ40 AUC減少は、同一の用量群内において、投与の5、12または24時間後の動物から得られた値の線形外挿により推定した。
c 値は、n = 3の動物からの平均AUC(μM・hまたはng・h/mL)を示す。AUCは、投与1後の5、12、および24時間で採取したサンプル(研究No.1)、または投与1後の5、12、17、および24時間で採取したサンプル(研究No.2)から、推定した。
d 値は、n = 3の動物からの平均AUC(μM・hまたはng・h/mL)を示す。AUCは投与3後の12および24時間ならびに投与4後の5時間で採取したサンプル(研究No.1)、または投与3後の12、17および24時間ならびに投与4後の5時間で採取したサンプル(研究No.2)から、推定した。
e 杯細胞化生が3動物のうちの1動物において認められた。
NAD = 異常の検出なし
【0083】
亜慢性ラット研究からの結果により、(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドはGI毒性を伴わずに脳Aβ40を減少させることが示された。具体的には、3 mg/kg/日用量は、GI毒性を誘導するのに必要とされる100 mg/kg/日用量と比べて約50%の脳Aβ40 AUC減少をもたらした。
【0084】
100 mg/kg/日の(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドを毎日1回、4日間与えられた高用量群中の1動物(この用量濃度で評価した3動物のうち1動物)のみにおいて、近位十二指腸の微視的評価で、その動物中にわずかな杯細胞化生が認められた。≦30 mg/kgで(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドを与えられたラットにおいて、薬剤が関連した十二指腸の変化は認められなかった。
【0085】
別の実験において、30 mg/kg/日または300 mg/kg/日で毎日、4または7日間、マウスに投与した(表3)。終了時(投与後5時間)での脳Aβ40濃度は、ビヒクルコントロールの13%であり、従って、前述の(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドを用いたラット研究と同様であった。化合物血漿濃度は、初回投与後5時間と第4投与後5時間で同様であった。300 mg/kg/日用量群における数ラット(5のうち4)が投与の4日後にGI毒性を示したが、7日間投与された動物を含めて、他の処置群のラットでは、GI毒性は認められなかった。
【表3】

a N = 5 動物/用量群/最終時点(4日目または7日目)を試験した。
b 杯細胞化生が5動物のうち4動物において認められた。
NAD = 異常の検出なし
【0086】
上記の結果は、(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドが強力な選択的γ-セクレターゼ阻害剤であることを確かなものとする。これらの結果は、アルツハイマー病およびβ-アミロイドペプチドに関連する他の障害の治療薬としての(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドの使用を支持する。
【0087】
以下の実施例は例示目的で提示するものであり、本発明を制限するものではなく、本発明の精神の範囲内で変更が可能であると解釈される。
【0088】
本発明の化合物は、有機合成の分野の当業者に周知の多くの方法で製造することができる。本発明の化合物は、有機合成化学の分野で公知の合成方法、または当業者によって認められているその改変法と一緒に、以下に記載の方法を用いて合成することができる。好ましい方法としては、限定はされないが、以下に記載のものが挙げられる。本明細書に引用された全ての参照は、引用によりその全てが本明細書に援用される。
【0089】
該化合物は、この項に記載の反応および技法を用いて製造され得る。該反応は、用いられる試薬および物質に適した溶媒中で実施され、達成される変換に適したものである。また、以下に記す合成方法の記載において、全ての提示された反応条件(溶媒の選択、反応気圧、反応温度、実験期間およびワークアップ方法を含む)はその反応に対して標準的な条件であるように選択され、それは当業者によって容易に認識されるべきであることが理解される。分子の様々な部分に存在する官能基(functionality)は提示された試薬および反応と互換性がなくてはならないことが、有機合成分野の当業者により理解される。反応条件に適合する置換基に対するそのような制限は当業者に容易に認識され得て、その結果、代替方法が用いられるに違いない。
【0090】
(具体的実施態様の説明)
以下の実施例において、全ての温度は摂氏温度で示されている。融点はThomas Scientific Unimelt capillary融点測定装置で記録し、校正はしていない。プロトン磁気共鳴(1H NMR)スペクトルは、Bruker Avance 300、Bruker Avance 400、またはBruker Avance 500分光計で記録した。全てのスペクトルは示された溶媒中で測定され、化学シフトは内部標準テトラメチルシラン(TMS)からの低磁場へのδ単位で記録され、プロトン間結合定数はヘルツ(Hz)で記録する。多重パターンは以下の通り示す: s, 1重線; d, 2重線; t, 3重線; q, 4重線; m, 多重線; br, ブロードピーク; dd, 2重の2重線; br d, ブロードの2重線; dt, 2重の3重線; br s, ブロードの1重線; dq, 2重の4重線。臭化カリウム(KBr)または塩化ナトリウムフィルムを用いた赤外線(IR)スペクトルは、ポリスチレンフィルムの1601 cm-1吸収にキャリブレートした、4000 cm-1から400 cm-1のJasco FT/IR-410分光計またはPerkin Elmer 2000 FT-IR分光計で測定し、毎センチメートル(reciprocal centimeter)(cm-1)で記録した。旋光度[α]Dは、示された溶媒中において、Rudolph Scientific Autopol IV 旋光計で測定した; 濃度はmg/mLで示されている。低分解能質量スペクトル(MS)および見かけの分子の(MH+)もしくは(M-H)+は、Finnegan SSQ7000で測定した。高分解能質量スペクトルは、Finnegan MAT900で測定した。液体クロマトグラフィー(LC)/質量スペクトルは、Water Micromass ZQに連結した島津LCで実施した。
【0091】
以下の略号を用いる: DMF(ジメチルホルムアミド); THF(テトラヒドロフラン); DMSO(ジメチルスルホキシド)、Leu(ロイシン); TFA(トリフルオロ酢酸); MTBE(メチル tert-ブチルエーテル); DAST[(ジエチルアミノ)サルファートリフルオリド]、HPLC(高圧液体クロマトグラフィー); rt(室温); aq.(水性または水溶液); AP(面積パーセント(area percent))。
【0092】
製造A
(R)-2-アミノ-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド塩酸塩
工程A. 4,4,4-トリフルオロブタナール
【化8】

ジクロロメタン(4.2 L)を、メカニカルスターラーおよび冷却浴を備えた20 Lの4ッ口丸底フラスコに入れた。撹拌を開始し、該反応混合液を0から-2℃に冷却した。4, 4, 4-トリフルオロブタノール(750.0 g)を入れて、該反応混合液をさらに-5から-8℃に冷却した。温度を-5から-8℃に維持しながら、TEMPO; (2, 2, 6, 6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ、遊離ラジカル)(9.15 g)を添加した。臭化カリウムの水溶液(60 g/1.17 Lの水)を上記溶液に添加し、該温度を-5から-8℃で維持した。該反応混合液の温度を5℃で維持しながら、NaOClの水溶液(8.8 L、6-7重量%、炭酸水素ナトリウムを用いてpH = 8.5に緩衝)を該反応混合液(注意:発熱性)に添加した。同様に、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)を酸化剤としてNaOClと置き換えることができる。添加の完了後、該ジクロロメタン層を分離し、該水層をジクロロメタン(1 x 750 mL)で洗浄した。該ジクロロメタン層を合わせて、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。該乾燥剤を濾過し、4,4,4-トリフルオロブタナール溶液の濃度を、NMRにより決定した。表題の化合物を含む溶液を、さらなる処理を行わずに次の工程にそのまま用いた。 1H NMR (CDCl3) (400 MHz) δ 2.30 − 2.50 (m, 2H, CH2-CF3), 2.70 − 2.80 (m, 2H, CH2-CHO), 9.8 (s, 1H, CHO).
【0093】
工程B. 5,5,5-トリフルオロ-2-(1-フェニルエチルアミノ)ペンタンニトリル(ジアステレオマーの混合物)
【化9】

R-α-メチルベンジルアミン(528.5 g)を、メカニカルスターラー、冷却浴を備えた適切な容器に入れ、窒素のブランケット下で維持した。4,4,4-トリフルオロブチルアルデヒド溶液(工程Aから、550 g)を加え、続いてメタノール(3.3 L)を加えた。次いで、該反応混合液を約0から-3℃に冷却した。酢酸(氷酢酸、260 mL)を滴下し、該温度を0℃前後に維持しながら、続いてトリメチルシリルシアニド(581 mL)を15分間かけて滴下した。同様に、シアン化ナトリウム(NaCN)またはシアン化カリウムがシアニド源として用いられ得る。該反応混合液を25から27℃に昇温させ、終夜撹拌した。該反応の完了を、TLCにより決定した。冷却した水(10.0 L)を該反応混合液に加え、該反応混合液をジクロロメタン(1 x 10.0 L)で抽出した。該ジクロロメタン層を、水(2 x 10.0 L)で洗浄し、続いて食塩水(1 x 5.0 L)で洗浄した。該ジクロロメタン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、表題のアミノニトリル(ジアステレオマーの混合物)を、粘稠性の液状物として、平均収率90%で得た。 1H NMR (CDCl3) (400 MHz) δ 1.42 (d&m, 5H), 2.15 & 2.35 (2つのm, 1H 各々), 3.10 − 3.20 (m, 1H), 4.10 − 4.15 (m,1H), 7.10 − 7.35 (m, 6H).
【0094】
工程C. 5,5,5-トリフルオロ-2-(1-フェニルエチルアミノ)ペンタンアミド (ジアステレオマーの混合物)
【化10】

5,5,5-トリフルオロ-2-(1-フェニルエチルアミノ)ペンタンニトリル (工程Bからのジアステレオマーの粗混合物、1.10 kg)を、メカニカルスターラー、冷却用の氷浴を備えた適切な容器においてジクロロメタン(5.5 L)中に溶解させ、窒素のブランケット下で維持した。撹拌を開始し、該反応混合液を0から-5℃に冷却した。該温度を0℃以下に維持しながら、濃硫酸(1.75 L)を上記混合液に1時間かけて滴下した; 添加の完了後、澄明な溶液を得た。該反応混合液の温度を25から27℃に昇温させ、終夜(12-14時間)撹拌した。該反応の完了をHPLCにより決定した。該反応混合液を砕いた氷(〜15.0 kg)にゆっくりと注ぎ入れ、アンモニア水(〜25重量%)で中和した。該水層を分離し、ジクロロメタン(2 x 3.0 L)で抽出した。ジクロロメタン層を合わせて、水(1 x 12.0 L)で洗浄した後、食塩水(1 x 3.0 L)で洗浄した。生成物がリッチな有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、0.85 kg(72.0%)のクルードな表題の化合物を得た。 1H NMR (CDCl3) (400 MHz) (ジアステレオマーの混合物) δ 1.36 (d&m, 4H, CH3 (J = 8.0 Hz & CH2の1H), 1.90 (m, CH2の1H), 2.15 & 2.35 (2つのm, CH2-CF3の各々1H), 2.80 − 2.90 (m, 1H, CH-Ph), 3.60 − 3.70 (m,1H, -(CONH2)CH(NH), 5.90 & 6.45 (CONH2の各々1H、ならびに他のジアステレオマーの微小ピーク), 7.20 − 7.40 (m, 6H, Ar + NH).
【0095】
工程D. (R)-5,5,5-トリフルオロ-2-((R)-1-フェニルエチルアミノ)ペンタンアミド塩酸塩
【化11】

5,5,5-トリフルオロ-2-(1-フェニルエチルアミノ)ペンタンアミド(ジアステレオマーの混合物)(850 g)をメカニカルスターラーおよび冷却浴を備えた適切な容器に入れた。メタノール(2.55 L)、酢酸エチル(1.7 L)および水(1.06 L)を加え、該反応混合液を0から5℃に冷却した。HCl/ジオキサン溶液(4.5 M, 1.72 L)を30から45分間かけて滴下した。同様に、イソプロパノールおよびtert-ブチルメチルエーテルの混合液が溶媒として用いられ得て、HCl水溶液または濃HClがHCl源として用いられ得る。次いで、該反応混合液の温度を25から27℃に昇温させて、2時間撹拌した。該反応の完了を、TLCにより決定した。沈殿した固形物を濾過し、該ケーキを、適切な溶媒、例えば酢酸エチル(1.8 L)で洗浄した後、石油エーテル(2.5 L)またはイソプロパノールとtert-ブチルメチルエーテルの混合液で洗浄した。該固形物をオープントレイにおいて周囲温度で乾燥させ、表題のR-アミノ アミド(480 g, 50%収率, ジアステレオマー過剰 = 99.9%)を得た。 1H NMR (CDCl3) (400 MHz) δ 1.73 (d, 3H, CH3, J = 8.0 Hz), 2.08 − 2.09 (m, CH2の2H), 2.20 - 2.40 (m, 2H, CH2-CF3), 3.50 − 3.55 (m, 1H, CH-Ph), 4.40 − 4.41 (m,1H, -(CONH2)CH(NH), 7.48 − 7.53 (ブロードのs, 5H, Ar).
【0096】
工程E. (R)-2-アミノ-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド塩酸塩
【化12】

適切な圧力容器に、(R)-5,5,5-トリフルオロ-2-((R)-1-フェニルエチルアミノ)-ペンタンアミド塩酸塩(1.50 kg)を、メタノール(15.0 L)とともに入れた。これに水(701.0 mL)を添加した後、20% 水酸化パラジウム炭素(225 g)を添加した。同様に、パラジウム炭素 (Pd/C)が水素化触媒として用いられ得る。該容器を窒素で3回フラッシュし、次いで、60℃で、水素ガスを該容器に加圧して入れた(3-4 kg/cm2)。HPLCを用いて完了について該反応をモニターした。完了後、該反応混合液を30-35℃に冷却し、セライトパッドを通して濾過し、その後、メタノールで洗浄した。次いで、該濾液を減圧下で濃縮した。濃縮の完了後、残った反応混合液をジクロロメタン(洗浄あたり2.5 L)で処理し、濾過し、45℃で12時間乾燥させ、表題の化合物(915 g, 91.0%; 純度 = 97 %)を得た。 1H NMR (DMSO-d6) (400 MHz) δ 2.00 (m, 2H, CH2), 2.30 − 2.40 (m, CH2-CF3の2H), 3.85 − 3.88 (m,1H, -(CONH2)CH(NH), 7.64 & 8.11 (ブロードのs, 1H, CONH2の各々), 8.44 (ブロードのs, 3H, NH3+). 13C NMR (DMSO-d6) (100.0 MHz) δ 169.57, 131.20, 128.45, 125.71, 122.97, 50.91, 29.46, 29.18, 28.89, 28.61, 23.56, 23.53.
【0097】
製造B
(R)-5,5,5-トリフルオロノルバリン
方法A. R-トランスアミナーゼ(BiocatalyticsおよびBMSトランスアミナーゼ)
0.1 M リン酸カリウムバッファー(pH 7.5)中に5,5,5-トリフルオロ-2-オキソペンタン酸(100 mg, 0.588 mmol)、R,S-アラニン(200 mg, 2.244 mmol)、および0.02 mM ピリドキサールリン酸を含む溶液を、BiocatalyticsからのR-トランスアミナーゼ AT-103(5 mg, 44ユニット)またはバチルス・チューリンゲンシス SC16569からのクローン化したR-トランスアミナーゼ(0.5 mL, 10ユニット, BMSトランスアミナーゼ)とともに、15 mLチューブにおいて総容積5 mLで、30℃で44時間、インキュベートした。AT-103およびBMSトランスアミナーゼにより、各々、49%および48%の反応収率の(R)-5,5,5-トリフルオロ-2-アミノペンタン酸を得た。Eeは両ケースともに100%であった。
【0098】
該収率は、ピルベートをラクテートに還元する補助酵素の添加により増大された。乳酸脱水素酵素は補助因子としてNADHを必要とする。該NADHは葉酸脱水素酵素を用いて再生された。0.1 M リン酸カリウムバッファー(pH 7.5)中に5,5,5-トリフルオロ-2-オキソペンタン酸(100 mg, 0.588 mmol)、D,L-アラニン(200 mg, 2.244 mmol)、0.02 mM ピリドキサールリン酸、ギ酸ナトリウム(68 mg, 1 mmol)、NAD(3.31 mg, 5 μmol)、ウサギ筋からクローン化したL-乳酸脱水素酵素(Biocatalytics LDH-103, 0.107 mg, 15ユニット)、および葉酸脱水素酵素(0.5 mL, 15ユニット ピキア・パストリスからクローン化され大腸菌で発現)を含む溶液を、15 mLチューブにおいて、総容積5 mL中、30℃で、BiocatalyticsからのR-トランスアミナーゼ AT-103 (5 mg, 44ユニット)、またはバチルス・チューリンゲンシス SC16569からのクローン化されたR-トランスアミナーゼ(0.5 mL, 10ユニット)とともにインキュベートした。AT-103およびBMSトランスアミナーゼにより、各々、94%および91%の反応収率の(R)-5,5,5-トリフルオロ-2-アミノペンタン酸を得た。Eeは両ケース共に100%であった。
【0099】
方法B. (R)-アミノ酸脱水素酵素(BiocatalyticsおよびBMS)
手順1: 5,5,5-トリフルオロ-2-オキソペンタン酸(60.00 g, 0.353 mol)、NH4Cl (64.19 g, 1.2 mol)、グルコース(86.4 g, 0.479 mol)および水(975 mL)を、2Lのジャケット型反応器に入れた。NaOH(10 Nを36 mL)を添加し、該混合液を30℃でマグネットを用いて撹拌して固形物を溶解させた。該pHは約7であった。Na2CO3(12.72 g, 0.12 mol)を添加して、pHを約8.5にした。次いで、NADP(458 mg, 0.60 mmol)、グルコース脱水素酵素(33.7 mg, 5277ユニット 天野エンザイム株式会社から)、およびR-アミノ酸脱水素酵素(600 mg D-AADH-102, Biocatalyticsから)を順番に添加した。10 N NaOHを滴下して、該反応混合液をpH 9にした。該反応混合液を30℃で撹拌し、pHスタットから5 N NaOHを添加して、pH 9.00に維持した。21時間後、(R)-5,5,5-トリフルオロ-2-アミノペンタン酸の溶液収量は51.1 g、84.7% 収率、100% eeであった。
【0100】
手順2: 5,5,5-トリフルオロ-2-オキソペンタン酸(60.00 g, 0.353 mol)、NH4Cl(64.19 g, 1.2 mol)、グルコース(86.4 g, 0.479 mol)および水(975 mL)を、2Lのジャケット型反応器に入れた。NaOH(10 Nを36 mL)を添加し、該混合液を30℃でマグネットを用いて撹拌して固形物を溶解させた。該pHは約7であった。Na2CO3(12.72 g, 0.12 mol)を添加し、pHを約8.5にした。次いで、NADP(458 mg, 0.60 mmol)、グルコース脱水素酵素(33.7 mg, 5277ユニット 天野エンザイム株式会社から)、およびD-アミノ酸デヒドロゲナーゼ(1500ユニットを含有する50 mL抽出物, BMS 酵素)を順番に添加した。10 N NaOHを滴下して、該反応混合液をpH 9にした。該反応混合液を30℃で撹拌し、pHスタットから5 N NaOHを添加して、pH 9.00に維持した。15時間後、(R)-5,5,5-トリフルオロ-2-アミノペンタン酸の溶液収量は51.04 g、84.6% 収率、99.1% eeであった。
【0101】
製造C
4-(ブロモメチル)-3-フルオロベンゾニトリル
【化13】

方法A. NBS/AIBN 臭素化
1,2-ジクロロエタン(151 kg)を、4-シアノ-2-フルオロトルエン(24kg)およびAIBN(2kg)とともに、適切な容器に入れた。該混合液を70〜74℃に加熱した。該バッチの温度が70℃に到達したら、N-ブロモこはく酸イミド(47.4kg)を、該温度を70〜74℃で維持しながら、12kg/時間の速度で少しずつ添加した(添加速度を制御することは発熱反応を避けるために重要である)。24kgのN-ブロモこはく酸イミドを添加した後、該混合液をGC検出を経てサンプリングし、該反応液を反応の完了が認められるまで70-74℃で加熱した。該混合液を0-5℃に冷却し、さらに2時間おいた。該混合液を濾過し、該ケーキをMTBE(24 kg)で洗浄した。該濾過物を水(3 x 65 kg)で洗浄した。該有機層を硫酸ナトリウム(10.3 kg)で6時間乾燥させ、濾過し、該ケーキをMTBE(24 kg)で洗浄した。該溶液を減圧下でエバポレートし、エタノール(12 kg)を添加して、該混合液を40-45℃に加熱した後、撹拌しながら0-5℃にゆっくりと冷却し、結晶化させた。該混合液を濾過し、該ケーキを冷エタノール(5 kg)で洗浄した。粗固形物を石油エーテルから再結晶化し、濾過し、石油エーテル(10 kg)で洗浄して、表題の化合物4-(ブロモメチル)-3-フルオロベンゾニトリルを白色の固形物として得た(21 kg, 55%収率)。 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ ppm 4.46 - 4.50 (m, 2 H) 7.36 (dd, J=8.85, 1.32 Hz, 1H) 7.44 (dd, J=7.91, 1.32 Hz, 1 H) 7.52 (dd, J=7.91, 7.16 Hz, 1 H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ ppm 23.65 (d, J=4.60 Hz, 1 C) 113.76 (d, J=9.77 Hz, 1 C) 117.09 (d, J=2.87 Hz, 1 C) 119.44 (d, J=24.71 Hz, 1 C) 128.44 (d, J=4.02 Hz, 1 C) 130.66 - 130.81 (s, 1 C) 130.81 - 131.06 (s, 1 C) 132.18 (d, J=3.45 Hz, 1 C) 159.86 (d, J=254.03 Hz, 1C). IR: (KBr) 3088, 3077, 3040, 2982, 2250, 1571, 1508, 1439, 1248 cm-1.
C8H5BrFNとして計算 計算値: C,44.89; H, 2.35; N, 6.54; F, 8.88; 実測値: C, 44.94; H, 2.73; N, 6.56; F, 8.73.
【0102】
方法B. 臭素酸ナトリウム臭素化
適切な反応器に、ジクロロメタン(40 L)および3-フルオロ-4-メチルベンゾニトリル(4 kg, 18.7 mol)を添加し、続いて、臭素酸ナトリウム/水の溶液(53.6 Lの水に13.45 kg, 89.1 molを溶解)を添加した。該反応混合液を0-5℃に冷却した。亜硫酸水素ナトリウムの溶液(42 Lの水に9.25 kgを溶解)を、バッチの温度を10-20℃に維持しながら、2-3時間かけて添加した(該反応は発熱性である)。添加が完了した後、200 Wのランプで反応器を照らし、該バッチの温度を25-30℃に昇温させた。該ライトおよび温度は、生成物がHPLCにより70-75%になるまで持続させた。該ライトを取りはずし、撹拌を止め、該反応液を15分間静置した。該有機層を除去し、残った水層をジクロロメタンで2回抽出した。該有機層を合わせて、10%チオ硫酸ナトリウム溶液で4回洗浄した。次いで、該有機層を食塩水(10 L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。該有機層を濃縮した後、石油エーテルを添加して、乾固するまで2回蒸留し、全てのジクロロメタンを除去した。石油エーテル(3L)を添加し、該スラリーを5-10℃に1時間冷却した。該スラリーを濾過し、冷たい石油エーテルで洗浄した。該生成物を、真空オーブン中、40-45℃で乾燥させ、表題の化合物(3.2 kg, 50.4%収率)をオフホワイト色の固形物として得た。
【0103】
母液からの表題の化合物の回収についての典型的方法:
母液(300 g)の濃縮から得られたクルードな物質(〜36%の4-(ブロモメチル)-3-フルオロベンゾニトリルおよび〜59%のgem-ジブロミド)および2当量のジイソプロピルエチルアミン(gem-ジブロミドに基づく)を、アセトニトリル(3L)および水(50 mL)に溶解させた。該反応液を0-5℃に冷却し、亜リン酸ジエチル(169 g, 1.22 mol)を30分かけて添加した(添加は発熱性であった)。該反応液を、0-5℃で60-90分間撹拌し、TLCによりモニターした。TLCにより、ジブロミドが存在しなくなったら、水(3.3 L)を添加し、得られたスラリーを濾過した。該濾過ケーキを水で洗浄し、真空オーブンで乾燥させ(水分含量<1%まで)、202 g(98 AP HPLCにより)のさらなる表題の化合物を得た。
【0104】
製造D
3-フルオロ-N'-ヒドロキシ-4-メチルベンズイミダミドの製造
メカニカルスターラーを備えた適切な容器に、N2雰囲気下で、202.0 gの3-フルオロ-4-メチルベンゾニトリルを入れ、続いて、1.0 Lのエタノールを加えた。ヒドロキシルアミン(144 mLの50%水溶液)を、滴加ロートによって20分かけて添加した。該混合液を、周囲温度で、HPLC分析により反応の完了(出発物質が残っていない)が示されるまで撹拌した。水(3.0 L)を、淡黄色の溶液に1時間かけて滴下し、濃いスラリーを得た。該スラリーを、2℃に1.5時間、氷水浴中で冷却し、濾過し、減圧下において35℃で22時間乾燥させて、表題の化合物(230.3 g, 91.6 %)を白色の固形物として得た。 1H-NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 7.30 (m, 2H), 7.19 (m, 1H), 4.87 (s, 2H), 2.28 (s, 3H); 13C-NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 162.15, 160.19, 151.58, 131.82, 131.76, 131.66, 131.62, 127.01, 126.87, 121.06, 112.69, 112.51, 14.48; 19F-NMR (CDCl3, 500 MHz) δ-116.35, -116.37, -116.39. LC-MS M+H169.19.
【0105】
製造E
3-(3-フルオロ-4-メチルフェニル)-1,2,4-オキサジアゾールの製造
方法A. 三フッ化ホウ素
クルードなアミドオキシム 3-フルオロ-N'-ヒドロキシ-4-メチルベンズイミダミド(118.6 g)およびオルトぎ酸トリエチル(292 mL, 260 g, 1.76 mol)をジクロロメタン(800 mL)中にスラリーにして、ボロントリフルオリドジエチルエーテラート(14.8 mL, 16.6 g, 0.12 mol)を室温で添加した。得られた黄色の溶液を45℃で1時間加熱し、室温で16時間保持し、HPLCにより、60%の変換を得た。該溶液を45℃に2.5時間加熱することで、〜1%の残余出発物質まで変換された。室温に冷却した後、1N HCl(600 mL)を該混合液に添加した。相を分離し、該水層をジクロロメタン(200 mL)で抽出した。有機層を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において25℃で濃縮し、白色の固形物を得た。高真空下において16時間乾燥させて、表題の化合物を得た(102.3 g, 98% 2工程での収率)。
【0106】
方法B. トリフルオロ酢酸
メカニカルスターラーを備えた適切な容器に、N2雰囲気下において、3-フルオロ-N'-ヒドロキシ-4-メチルベンズイミダミド(302.52 g, 1.79 mol)、オルトぎ酸トリエチル(382.5mL, 341.1 g, 2.3 mol)およびアセトニトリル(1512 mL)を入れた。該反応混合液を45℃に加熱し、トリフルオロ酢酸(6.72 mL, 10.08 g, 87.6 mmol)をこの温度で添加した。該反応混合液を60℃でさらに90分間加熱した後、室温に冷却した。水(3 L)を60分間かけて滴下した。該スラリーを4℃に冷却し、この温度で30分間撹拌した。固形物を濾過し、50℃で12時間減圧乾燥させて、3-(3-フルオロ-4-メチルフェニル)-1,2,4-オキサジアゾールを白色の固形物として得た(306g, 95.6%)。HPLCにより、99.8%の化学的純度が示された。 1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.67 (s, 1H), 7.71 (m, 2H), 7.23 (t, J=8 HZ, 1H), 2.28 (s, 3H); 13C-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ166.9447, 164.7258, 162.5473, 160.1066, 132.0480, 132.0077, 128.5987, 122.9910, 122.9507, 114.2568, 114.0147, 14.6902. 19F-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ-115.94, -115.96.
C9H7N2Oとして計算 計算値: C, 60.67; H, 3.96; N, 15.72. 実測値: C, 60.54; H, 3.78; N, 15.69.
【0107】
製造F
3-(4-(ブロモメチル)-3-フルオロフェニル)-1,2,4-オキサジアゾールの製造
方法A. 段階的臭素化
3-(3-フルオロ-4-メチルフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール(5.34 g, 30 mmol)、CCl4(50 mL)およびNBS(11.7g, 66 mmol)の撹拌混合液に、AIBN(246mg, 1.5 mmol)を添加した。該反応混合液を、80℃で3時間、窒素下において加熱し、室温に冷却し、50 mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を添加した。該有機層を分離し、該水層をジクロロメタン(50mL)で抽出した。該有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーター(rotovap)で濃縮して、3-(4-(ジブロモメチル)-3-フルオロフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール(9.34 g, 93%)を白色の固形物として得て、それをさらなる精製を行わずに次の工程に用いた。200 mLの丸底フラスコに3-(4-(ジブロモメチル)-3-フルオロフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール(8.37 g, 25mmol)およびTHF(60 mL)を入れた。該混合液を0℃に冷却し、ジイソプロピルエチルアミン(3.48g, 27 mmol)を15分かけて滴下した後、亜リン酸ジエチル(3.7g, 26.8 mmol)を滴下した。該混合液を室温で60分間撹拌し、40 mLの水でクエンチした。該水層をエーテル(2x80 mL)で抽出した。有機層を合わせて、20 mLの飽和NH4Cl水溶液および20 mLの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。該有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮して、粗固形物を得て、それを短いシリカパッド(short silica pad)により精製して、3-(4-(ブロモメチル)-3-フルオロフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール(6.03g, 94%)を得た。 mp 87.3℃. 1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 8.80 (s, 1H), 7.94 (dd, 1H), 7.87 (dd, 1H), 7.58 (t, 1H), 4.57 (s, 2H); 13C-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 166.97, 166.95, 165.45, 162.29, 159.73, 132.34, 132.30, 128.99, 128.90, 128.81, 124.04, 124.01, 115.56, 115.32, 25.22, 25.18; 19F-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 115.81, -115.84, -115.86. C9H6BrFN2Oとして計算 計算値: C, 42.05; H, 2.35; N, 10.90. 実測値: C, 42.17; H, 2.17; N, 10.63.
【0108】
方法B. 代替のワンポット臭素化
3-(3-フルオロ-4-メチルフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール(101.8 g, 0.57 mol)およびN-ブロモこはく酸イミド(206 g, 1.16 mol)をアセトニトリル(〜1 L)に溶解させ、アゾビスイソブチロニトリル(4.2 g, 26 mmol)を室温で添加した。該混合液を、70℃に2時間加熱し、その時点でHPLCにより出発物質のモノブロミドおよびジブロミドの混合物への完全変換が示された。該混合液を0℃に冷却し、反応温度を5℃以下に維持しながらジイソプロピルエチルアミン(73 mL, 54.2 g, 0.42 mol)を添加した。亜リン酸ジエチル(54.7 mL, 58.6 g, 0.42 mol)をゆっくりと添加し、該反応混合液を室温に昇温させた。2時間後、HPLCにより、ジブロミドのモノブロミドへの完全変換が示された。水(1.2 L)を添加し、得られた沈殿物を濾過した。水(2x200 mL)で洗浄し、乾燥させて3-(4-(ブロモメチル)-3-フルオロフェニル)-1,2,4-オキサジアゾールを得た(135 g, 92%収率)。
【0109】
方法C : 臭素酸ナトリウム臭素化(直接単離)
臭素酸ナトリウム(2.54 g)を水(8.4 mL)に溶解させた。この溶液に、3-(3-フルオロ-4-メチルフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール(1.0 g)/EtOAc(12 mL)溶液を室温で添加した。NaHSO3(1.75 g)/水(17 mL)溶液を滴下した(注意:発熱性)。該混合液を室温で2時間撹拌し、次いで低温室で終夜維持した。有機層を分離し、10% Na2S2O3および水で洗浄した後、濃縮した。得られた固形物をEtOAc(〜6 mL)に溶解させた。ヘプタンをゆっくりと添加した(〜30 mL)。該スラリーを室温で3時間撹拌した後、濾過した。該固形物をヘプタン(15 mL)で洗浄し、その後乾燥させて、0.74g(51%)の表題の化合物を得た: HPLC: 99.42AP。第2回目の生成物回収 : 該濾液を〜30 mLの容積まで濃縮し、得られたスラリーを濾過して、表題の化合物を白色の固形物(0.23 (16%)ならびにHPLC 97.09 AP)を得た。
【0110】
方法D: 臭素酸ナトリウム臭素化(ジブロミドの還元を用いた2工程方法)
3-(3-フルオロ-4-メチルフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール(20.0 g, 112.2 mmol)/ジクロロメタン(200 mL)溶液を、NaBrO3(50.8 g, 336.7 mmol)/水(200 mL)溶液に、室温で添加した。得られた2相の混合液を0℃に冷却した。NaHSO3(35.7 g, 336.7 mmol)/水(160 mL)溶液を滴下し、バッチ温度を20℃以下に維持した(〜1時間)。得られた赤色の溶液を、3-(3-フルオロ-4-メチルフェニル)-1,2,4-オキサジアゾールがHPLCにより1.0 AP以下になるまで、室温で撹拌した(〜2時間)。有機層(底層)を分離し、水層をジクロロメタン(200 mL)で抽出した。ジクロロメタン溶液を合わせて、10% Na2S2O3水溶液(200 mL)、水(200 mL)および15% 食塩水(200 mL)で洗浄した。減圧下において濃縮し、白色の固形物(モノブロミドとジブロミドの混合物)を得た。この固形物を湿(wet)MeCN(200 mL, KF: 1.5-4%)に溶解させ、該溶液を-5℃から0℃に冷却した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(6.0 g, 8.1 mL, 46.4 mmol)を添加し、続いて、亜リン酸ジエチル(6.0 g, 46.1 mmol)を15分かけて滴下した。該混合液を、-5℃から0℃で、3-(4-(ジブロモメチル)-3-フルオロフェニル)-1,2,4-オキサジアゾールが<0.5 APになるまで撹拌した(1.5-2時間)。水(500 mL)を30分かけて添加し、白色のスラリーを得た。このスラリーを室温で1-3時間撹拌した後、濾過した。該ケーキを水(2 X 200 mL)で洗浄し、その後45℃で20時間、減圧下で乾燥させた。
C9H6BrFN2Oとして計算 計算値: C, 42.05; H, 2.35; N, 10.89; Br, 31.08; F, 7.39. 実測値: C, 42.10; H, 2.24; N, 10.90; Br, 31.18; F, 7.00.
【0111】
実施例1
(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド
工程A. 5,5,5-トリフルオロ-2-(1-フェニルエチルアミノ)ペンタンニトリル
MeOH(150 mL)中の(R)-フェネチルアミン(9.60 g, 79.4 mmol)および酢酸(5.08 g, 79.6 mmol)の溶液に、NaCN(3.88 g, 79.6 mmol)を添加した。該反応液を0℃に冷却し、4,4,4-トリフルオロブチルアルデヒド(10.0 g, 79.6 mmol)/MeOH(50 mL)溶液を添加した。該反応液を室温に昇温させ、20時間撹拌した。該反応液を水(400 mL)で希釈し、CH2Cl2(3 × 300 mL)で抽出した。有機層を合わせてNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、アミノニトリル 表題の化合物(18.1 g, 89%, 4:1 ジアステレオマーの混合物として)を淡黄色の油状物として得た: 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.38−7.27 (m, 5H), 4.15−4.02 (m, 1H), 3.69 (t, J = 7.5 Hz, 0.22H), 3.18 (t, J = 7.5 Hz, 0.78H), 2.48−2.26 (m, 1H), 2.25−2.03 (m, 1H), 2.01−1.86 (m, 2H), 1.39 (d, J = 6.5 Hz, 2.34H), 1.36 (d, J = 6.5 Hz, 0.66H); ESI MS m/z 257 [C13H15F3N2 + H].
【0112】
工程B. (R)-5,5,5-トリフルオロ-2-((R)-1-フェニルエチルアミノ)ペンタンアミド塩酸塩
5,5,5-トリフルオロ-2-(1-フェニルエチルアミノ)ペンタンニトリル(18.0 g, 70.31 mmol, 4:1 ジアステレオマーの混合物)/CH2Cl2(100 mL)溶液に、H2SO4(100 mL)を添加した。該反応液を室温で22時間撹拌し、砕いた氷に注ぎ入れ、NH4OHで中和した。該混合液をEtOAc(3 × 500 mL)で抽出した。有機層を合わせてNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、表題の化合物の遊離塩基をジアステレオマーの混合物(18.94 g, 98%)として、オレンジ色の油状物として得た: 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.40−7.18 (m, 5H), 6.78 (ブロードのs, 0.23H), 6.50 (ブロードのs, 0.77H), 6.00 (ブロードのs, 0.77H), 5.81 (ブロードのs, 0.23H), 3.82 (q, J = 6.5 Hz, 0.23H), 3.70 (q, J = 6.5 Hz, 0.77H), 3.14 (t, J = 6.0 Hz, 0.23H), 2.86 (t, J = 7.0 Hz, 0.77H), 2.35−1.86 (m, 2H), 1.84−1.64 (m, 2H), 1.39 (d, J = 6.5 Hz, 0.69H), 1.35 (d, J = 6.5 Hz, 2.31H); ESI MS m/z 275 [C13H17F3N2O + H].
【0113】
塩酸塩
Et2O/MeOH(7:1, 40 mL)中の、ジアステレオマーの混合物としての表題の化合物の遊離塩基(11.9 g, 43.4 mmol)の溶液に、1 N HCl/Et2O(70 mL)を添加した。生じた白色の沈殿物を、該混合液を加熱およびMeOH(最終比 4:1 Et2O/MeOHまで)の添加により再溶解させた。該溶液を室温に冷却し、終夜放置した。表題の化合物のアミノアミド塩酸塩を、単一のジアステレオマー(3.11 g, 23%)として、白色の固形物として単離した: 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.93 (ブロードのs, 1H), 7.69 (ブロードのs, 1H), 7.54−7.44 (m, 5H), 4.39 (q, J = 7.0 Hz, 1H), 3.50 (t, J = 6.5 Hz, 1H), 2.29−2.20 (m, 2H), 2.10−2.01 (m, 2H), 2.07 (d, J = 7.0 Hz, 3H); ESI MS m/z 275 [C13H17F3N2O + H].
【0114】
工程C. (R)-2-(4-クロロフェニルスルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド
(R)-5,5,5-トリフルオロ-2-((R)-1-フェニルエチルアミノ)ペンタンアミド塩酸塩(3.10 g, 10.0 mmol)/EtOH(100 mL)の溶液に、Pd(OH)2(350 mg)および水(10 mL)を添加した。該反応混合液を、50℃で4時間水素化した(40 psi)。該反応液をセライトを通して濾過し、該濾液を減圧下で濃縮して、中間体アミン塩酸塩を白色の固形物として得た。アミン/CH2Cl2(100 mL)の懸濁液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(5.25 mL, 30.0 mmol)および4-クロロベンゼンスルホニルクロリド(2.53 g, 12.0 mmol)を添加した。該反応液を室温で18時間撹拌し、EtOAc(200 mL)で希釈し、NaHCO3(250 mL)および食塩水(250 mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させて、減圧下で濃縮した。CH2Cl2/ヘキサン(2:1)を用いて残渣をトリチュレートすることにより、該表題の化合物(2.91 g, 84%)を白色の固形物として得た: 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.84 (dt, J = 8.5, 2.0 Hz, 2H), 7.55 (dt, J = 8.5, 2.0 Hz, 2H), 3.85 (dd, J = 8.5, 5.0 Hz, 1H), 2.34−2.05 (m, 2H), 1.97−1.68 (m, 2H); ESI MS m/z 345 [C11H12ClF3N2O3S + H].
【0115】
工程D. (R)-2-(4-クロロ-N-(2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ベンジル)フェニルスルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド
スルホンアミド (R)-2-(4-クロロフェニルスルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド(130 mg, 0.37 mmol)/DMF(2 mL)溶液に、Cs2CO3(241 mg, 0.74 mmol)および3-(4-ブロモメチル-3-フルオロ-ベンジル)-1,2,4-オキサジアゾール(257 mg, 0.48 mmol)を添加した。該反応液を室温で2時間撹拌し、水(50 mL)で希釈し、EtOAc(2 × 50 mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて、水(2 × 50 mL)および食塩水(50 mL)で洗浄し、減圧下で濃縮した。該残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル, 0−55% EtOAc/ヘキサン)により精製し、表題のオキサジアゾール化合物(92 mg, 45%)を白色の固形物として得た: mp 66−68℃; 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.77 (s, 1H), 7.90 (dd, J = 8.0, 1.5 Hz, 1H), 7.77−7.71 (m, 3H), 7.64 (dd, J = 7.5, 7.5 Hz, 1H), 7.51 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 6.34 (s, 1H), 5.28 (s, 1H), 4.66 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 4.51 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 4.39 (dd, J = 8.9, 6.3 Hz, 1H), 2.25−1.82 (m, 3H), 1.54−1.47 (m, 1H); ESI MS m/z 521 [C20H17ClF4N4O4S + H]+; HPLC 98.9% (AUC), 保持時間 = 19.4分.
【0116】
実施例2
(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド
工程A. 4-(ブロモメチル)-3-フルオロベンゾニトリル
3-フルオロ-4-メチルベンゾニトリル(5.0 g, 0.23 mol)/100 mLの四塩化炭素の溶液に、N-ブロモこはく酸イミド(4.97 g, 0.28 mol)およびAIBN(100 mg, 0.61 mmol)を添加し、該混合液を6時間還流した。該反応液を冷却して濾過した。該濾過物を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して、該溶媒を減圧下で除去し、5.44 gの表題の化合物をオフホワイトの固形物として得た。1H NMRにより20%の出発物質の存在が示された。表題の化合物についての1H NMR (400 MHz, CDCl3) : δ 7.54-7.30 (m, 3H), 4.83 (s, 2H).
【0117】
工程B. (R)-2-(4-クロロ-N-(4-シアノ-2-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド
DMF(35 mL)中の、(R)-2-(4-クロロフェニルスルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド(6.88 g, 20.0 mmol)および4-(ブロモメチル)-3-フルオロベンゾニトリル(6.43 g, 30 mmol)の溶液に、無水Cs2CO3(19.56 g, 60 mmol)を添加した。得られた混合液を室温で45分間撹拌し、次いでEtOAc(200 mL)で希釈し、水(100 mL X 4)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。該生成物をBiotage(40+M カラム, 3%から80%のEtOAc/ヘキサン, 651 mL)により精製した。該表題の化合物を白色の固形物として得た(6.50 g, 68.1%収率)。 1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 7.80-7.88 (m, 3H), 7.70-7.75 (m, 2H), 7.67 (d, 2H, J=8), 7.60 (s, 1H), 7.26 (s, 1H), 4.99 (d, 1H, J=16), 4.68 (d, 1H, J=16), 4.14 (t, 1H, J=8), 1.99-2.17 (m, 2H), 1.80-1.94 (m, 1H), 1.40-1.56 (m, 1H). LC/MS M+H 478.14, 94%.
【0118】
工程C. (2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド
(R)-2-(4-クロロ-N-(4-シアノ-2-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド(6.5 g, 13.6 mmol)/EtOH(70 mL)溶液に、NH2OH(H2O中50%, 2.6 mL 40.8 mmol)を添加した。得られた混合液を、窒素下において80℃で1時間撹拌した後、室温に冷却した。該溶媒を減圧下でエバポレートした。該残渣をEtOAcに溶解させ、水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。溶媒をエバポレートして、白色の固形物を得て、それをEtOAcおよびヘキサンから再結晶化して中間体アミドオキシムを白色の固形物として得た(6.93 g, 定量的収率)。ジクロロエタン(30 mL)中の、中間体(R)-2-(4-クロロ-N-(2-フルオロ-4-(N'-ヒドロキシカルバムイミドイル)ベンジル)フェニルスルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド(6.93 g, 13.6 mmol)およびオルトぎ酸トリエチル(6.77 mL, 40.8 mmol)の混合液に、BF3・OEt2(0.17 mL, 1.36 mmol)を添加した。得られた混合液を70℃で1時間撹拌した後、室温に冷却した。クロマトグラフィー(シリカゲル, biotage, 40+M カラム, 3%から80%のEtOAc/ヘキサン, 651 mL)により、表題の化合物を白色の固形物として得た。(4.9 g, 69.3%収率).
【0119】
上記の4.9 gの生成物を、第2ロットの9.8 gの(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド(実施例1に記載の方法により製造)と合わせた。合わせたロット(14.7 g)をイソプロピルアルコール(75 mL)に添加した。該混合液をほぼ完全に溶解するまで還流した後、濾過した。該濾液を、室温で16時間撹拌した。一定の質量まで乾燥させて、白色の微細な結晶性固形物を得て、(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド(13.7 g)を得た。 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 8.77 (s, 1H), 7.90 (dd, J = 8.0, 1.5 Hz, 1H), 7.77−7.71 (m, 3H), 7.64 (dd, J = 7.5, 7.5 Hz, 1H), 7.51 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 6.34 (s, 1H), 5.28 (s, 1H), 4.66 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 4.51 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 4.39 (dd, J = 8.9, 6.3 Hz, 1H), 2.25−1.82 (m, 3H), 1.54−1.47 (m, 1H); ESI MS m/z 521 [C20H17ClF4N4O4S + H]+.
【0120】
実施例3
(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド
工程A. (R)-2-(4-クロロフェニルスルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド
【化14】

適切な乾燥した容器に、(R)-2-アミノ-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド塩酸塩(199.52 g 0.966 mol, 1.0当量)、続いて4-クロロベンゼンスルホニルクロリド(215.22 g 0.989 mol, 1.02当量, 97% w/w %)および1.6 LのTHFを、室温で添加した。トリエチルアミン(206.5 g, 2.04 mol, 2.1当量)を、容器の温度を15-25℃に維持しながら、20分かけて添加し、得られた白色のスラリーを15-25℃で30分間撹拌した。水(1.4 L, 7容積)を該反応混合液に20-25℃で添加した後、THF(1.4 L, 7容積)を減圧下で蒸留して除去した(蒸留プロセスの間、該容器の温度を、250-400 mmHg下において40-60℃に維持した)。蒸留プロセスが完了したところで、1.4 L(7容積)の水を、容器の温度を50-60℃に維持しながら30分かけて添加し、得られたスラリーを50-60℃で30分乾撹拌し、その後10℃に冷却した。該スラリーを少なくとも1時間、激しく撹拌し、該生成物を濾過した。該濾過ケーキを、水(600 mL 各洗浄)で、該ケーキ洗浄物のpHが≧5になるまで洗浄した。該ケーキを減圧下において最高で70℃まで(ジャケット温度)で、乾燥による損失が<0.5 w/w %であるまで乾燥させ、表題の化合物を白色の固形物として得た(300 g, 91%収率)。 1H NMR (DMSO-d6) (400 MHz) δ 160 − 1.90 (2つのm, CH2の各々の1H), 2.10 − 2.35 (m, CH2-CF3の2H), 3.85 − 3.88 (m,1H, -(CONH2)CH(NH), 7.13 & 7.37 (ブロードのs, 1H, CONH2の各々), 7.61 (m, 2H, Ar-Ha), 7.64 (m, 2H, Ar-Hb), 8.18 (d, 1H, J = 8.0 Hz, NH-SO2). 13C NMR (DMSO-d6) (100.0 MHz) δ 171.75, 140.27, 137.77, 131.71, 129.56, 128.95, 126.22, 55.12, 30.1, 29.82, 29.53, 29.25, 25.82, 25.79.
【0121】
工程B. (2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド
【化15】

工程B, 手順1
適切な容器に、3-(4-(ブロモメチル)-3-フルオロフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール(492.14 g, 1.10当量, 1.914 mol)、(R)-2-(4-クロロフェニルスルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド(600 g, 1.00当量; 1.74 mol)、炭酸セシウム(312.22 g, 0.55当量; 0.98 mol)、テトラ-n-ブチルアンモニウムヨージド(64.29 g, 0.10当量; 0.17 mmol)、およびアセトニトリル(9 mL/g; 5.4 L)を入れた。該ジャケットを、40℃(内部38℃)に加熱した。該反応液を、(R)-2-(4-クロロフェニルスルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドが<5 APになるまで、HPLCによりモニターした。該容器を内部温度20℃まで冷却し、水(5.4 L)を添加した。該相を分離し、濃い層が最上部に生じた。該底層を捨てた。水(3.7 L)を18分かけて加え、該反応液を20℃で20時間保持した後、濾過した。水(6L)を該容器に添加し、激しく撹拌して攪拌機および容器壁にこびりついた固形物の移動を助けた。該粗ケーキを、反応器のすすぎに用いた水で一度洗浄した。該粗ケーキをトレイにおいて、減圧下、50℃で乾燥させた。該乾燥した粗ケーキは重量が699 gであった。該ケーキを10 Lの反応器に移し入れ、THF(2.025 L)を加え、その後、ヒドロキシルアミン溶液(50 %/水)(42.97 mL, 0.40当量, 0.696 mol)を加えた。該反応器のジャケットを40℃に加熱した。該反応液を、(R)-2-(4-クロロ-N-(4-シアノ-2-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドが<0.4 APになるまでHPLCによりモニターした。該反応液を20℃に冷却し、水(2 L)を添加して該反応液を20℃で30分間撹拌した。相を分離し、有機相を撹拌しながらヘプタン(8 L)で処理し、該反応物を油状化し、その後沈殿させた。該スラリーを20℃で2時間静置し、該反応液を濾過して該ケーキをヘプタン(2 L)で洗浄した。該粗ケーキを、40-50℃で減圧下においてトレイで乾燥させ、乾燥による損失が<1%であるまで乾燥させた後の重量は613 gであった。該粗生成物を容器に、MeOH(3.678 L)およびMeCN(1.226 L)とともに戻し入れた。該ジャケットを60℃(内部52℃)まで加熱し、完全に溶解させ、その温度でゆっくりと、内部温度>50℃を維持しながら、水(2.023 L)を添加した。水の添加が完了したら、該溶液を内部温度15℃に4時間かけて冷却し、その間に結晶化が生じた。さらなる水を該反応器(400 mL)に加え、該反応液を濾過し、該母液を該容器に戻した。該母液を、該容器中の全ての固着生成物を取り除くように、2分間激しく撹拌した。該粗ケーキを母液で洗浄した後、ヘプタン(1.500 L)で洗浄した。該生成物を、減圧下において40-50℃で、乾燥による損失が<0.5 %であるまでトレイで乾燥させ、(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドを、光沢のあるオフホワイト色の固形物として得た(577.6 g, 63.76 %収率)。
【0122】
工程B, 手順2
適切な容器に、(R)-2-(4-クロロフェニルスルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド(2.68 kg, 7.77 mol, 1当量)、3-(4-(ブロモメチル)-3-フルオロフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール(2.00 kg, 7.78 mol, 1当量)、炭酸セシウム(1.65 kg, 5.06 mol, 0.65当量)、テトラブチルアンモニウムヨージド(0.29 kg, 0.78 mol, 0.1当量)およびアセトニトリル(12.0 L, 4.5 L/kg)を添加した。該反応液を、HPLCによる完了(3-(4-(ブロモメチル)-3-フルオロフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール<0.5 HPLCによる相対的AP)まで、35℃に加熱した。該反応液を15℃に冷却し、撹拌しながら、水(10.72 L, 4 L/kg)を添加した後、氷酢酸(0.22 kg)を添加して該反応液のpHを<6.5にした。撹拌を止め、相を分離した(該最上層に生成物が含まれる)。該生成物リッチな層に、トルエン(26.8 kg, 31 L, 10 kg/kg)を添加し、その後食塩水溶液(20% w/w, 6.39 kg, 2 L/kg)を添加し、該層を分離した(該最上層に生成物が含まれる)。該混合液を、減圧下(200 mbar)において〜50℃で、アセトニトリルが除去されるまで蒸留した。蒸留後、必要であれば、該濃度を、反応器中の総容積が〜10 L/kgであることを確実にするように、さらなるトルエンで調整した。イソプロピルアルコール(0.48 kg, 0.2 L/kg)を加え、該バッチを15℃に冷却して結晶化を開始させた。得られたスラリーを濾過し、冷トルエン(18.65 kg, 21.56 L, 8 L/kg)で洗浄した。該粗ケーキを、減圧下において50℃で、乾燥による損失が<1.0 %であるまでトレイで乾燥させた。該乾燥ケーキを、イソプロピルアルコール(27.34 kg, 34.8 L, 13 L/kg)およびヒドロキシルアミン(50% 水溶液, 0.05 kg, 1.51 mol, 0.2当量)とともに、100 L反応器に添加した。該混合液を65℃に加熱し、(R)-2-(4-クロロ-N-(4-シアノ-2-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドが<0.4 APになるまでHPLCによりモニターした。次いで該反応液を、反応液容積が元の〜60%になるまで蒸留(容器温度〜50℃, 減圧 300 mbar)した。アセトニトリル(5.36 kg, 2 L/kg)を加え、該反応温度を70℃に上げて完全に溶解させた。該反応温度を>65℃に維持しながら、水(11.26 L, 4.2 L/kg)をゆっくりと加えた。該反応液を2時間かけて15℃に冷却し、結晶化を生じさせた。該スラリーを濾過し、冷イソプロピルアルコール水溶液(2:1 IPA:水(重量で))で洗浄した。該ケーキを、乾燥による損失が<1%であるまで真空オーブン中で乾燥させた。次いで、該生成物をアセトニトリル(乾燥ケーキの投入重量に基づいて 2 L/kg)およびメタノール(6 L/kg)中に溶解させることにより再結晶化させた後、50℃に加熱した。該反応温度を>50℃に維持しながら、水(4 L/kg)をゆっくりと添加した。該反応液を2時間かけて15℃に冷却した。得られたスラリーを濾過し、メタノール:アセトニトリル:水 (6:2:4, 5 L/kg)の溶液で洗浄して、(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド(2.02 kg, 50%収率)を白色の固形物として得た。
【0123】
実施例4
(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド
工程A. (2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][(4-シアノ-2-フルオロフェニル)メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド
【化16】

(R)-2-(4-クロロフェニルスルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド(3.444 kg)、炭酸カリウム(2.774 kg)、テトラブチルアンモニウムブロミド(0.484 kg)、および4-(ブロモメチル)-3-フルオロベンゾニトリル(2.092 kg)を反応器に入れた。次いで、酢酸エチル(17.2 L)および水(3.44 L)を加え、該バッチを、HPLCによる完了(<1 相対的AP 出発物質)まで50℃に加熱した。該反応は通常、約15時間で完了する。該バッチを15-20℃に冷却し、水(6.88 L)を加えて最下層の水相を分離した。リン酸二水素ナトリウム溶液(0.2 M/水, 20.66 L)を加え、最下層の水相を分離し、該pHを測定して<6.5であることを確かめた。(注意:pHが>6.5である場合、さらなる20.66 Lの0.2 M リン酸二水素ナトリウム溶液を加えてもよく、抽出およびpH測定を繰り返した。) 次いで、定容積減圧蒸留(constant volume vacuum distillation)により、該溶媒を交換した。該反応器を減圧下(270 mmHg)に置き、該ジャケットを75-80℃に加熱した。酢酸エチルの蒸留が開始した時点で、イソプロパノール(41.34 L)を蒸留物の回収と同じ速度で添加し、全体的なバッチ容積を一定水準に維持した。全てのイソプロパノールを添加した時点で、減圧を解除し、水(13.76 L)を加えた。水の添加中、該バッチ温度を約50℃に維持した。その後、該バッチを15-20℃に冷却し、濾過した。該湿ケーキを50%(v/v)イソプロパノール水溶液(4 x 21.6 kg)で洗浄した後、減圧下において50℃で乾燥させて、表題の化合物をオフホワイトの固形物として得た(3.648 kg, 78%収率)。 1H NMR (300 MHz, DMSO- d6) δppm 1.42 - 1.55 (m, 1 H) 1.80 - 1.93 (m, 1 H) 2.00 - 2.15 (m, 2 H) 4.44 (dd, J=7.91, 1.13 Hz, 1 H) 4.68 (d, J=17.71 Hz, 1 H) 4.99 (d, J=17.71 Hz, 1 H) 7.26 (s, 1 H) 7.50 (s, 1 H) 7.63 7.73 (m, 4 H) 7.78 - 7.87 (m, 3 H). 13C NMR (75 MHz, DMSO-d6) ppm 22.58 22.97 (m, 1 C) 29.96 (d, J=29.09 Hz, 1 C) 41.46 (d, J=5.49 Hz, 1 C), 57.86, 110.97, 111.45 (d, J=10.43 Hz, 1 C), 117.58, 119.11 (d, J=25.80 Hz, 1 C), 124.89, 128.53, 128.56, 129.21, 131.17, 131.98, 137.44, 138.32, 158.99 (d, J=247.54 Hz, 2 C), 170.25. 19F NMR, (CDCl3, 282 MHz) δ: -116.5, -65.9. IR (KBr): 3443, 3342, 3210, 2955, 2245, 1699, 1577, 1476, 1163 cm-1.
C19H16ClF4N3O3Sとして計算 計算値: C, 47.75; H, 3.37; N, 8.79; S, 6.71; F, 15.90; Cl, 7.41. 実測値: C, 47.95; H, 3.31; N, 8.67; S, 6.72; F, 15.59; Cl, 7.49.
【0124】
工程B. (R)-2-(4-クロロ-N-(2-フルオロ-4-(N'-ヒドロキシカルバムイミドイル)ベンジル)フェニルスルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド
【化17】

(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][(4-シアノ-2-フルオロフェニル)メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド(399 g)およびメタノール(1.6 L)を反応器に入れ、続いてヒドロキシルアミン(50%溶液/水, 93 mL, 1.8当量)を加えた。該混合液を、HPLCによる反応の完了(<0.15 相対的AP 出発物質)まで45-50℃に加熱した。該バッチの温度を30-50℃に維持しながら、水(0.5 L)をゆっくりと加えた。該バッチを、結晶化が開始されるまで静置した後、水(2.7 L)を加えた。該バッチを15-20℃に冷却し、濾過した。該ケーキを2:1 MeOH:水(2 L)で洗浄した後、減圧下において50℃で乾燥させて、表題の化合物を白色の固形物として得た(415 g, 96%収率)。 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δppm 1.43 - 1.64 (m, 1 H) 1.77 - 1.93 (m, 1 H) 1.93 - 2.17 (m, 2 H) 4.41 (dd, J=8.48, 6.03 Hz, 1 H) 4.60 (d,J=17.14 Hz, 1 H) 4.94 (d, J=16.77 Hz, 1 H) 5.81 - 5.98 (m, 2 H) 7.19 - 7.27 (m, 1 H) 7.37 - 7.47 (m, 2 H) 7.52 (d, J=4.14 Hz, 2 H) 7.64 (d, J=8.67,Hz, 2 H) 7.85 (d, J=8.85 Hz, 2 H) 9.71 - 9.83 (m, 1 H). IR (KBr): 3491, 3379, 1680, 1651, 1592, 1433, 1343.
C19H19ClF4N4O4Sとして計算 計算値: C, 44.66; H, 3.74; N, 10.96; S, 6.27; F, 14.87; Cl, 6.94. 実測値: C, 44.90; H, 3.91; N, 10.91; S, 6.41; F, 15.21; Cl, 6.95.
【0125】
工程C. (2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド
【化18】

(R)-2-(4-クロロ-N-(2-フルオロ-4-(N'-ヒドロキシカルバムイミドイル)ベンジル)-フェニルスルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド(246 g)を反応器に入れ、続いて、乾燥アセトニトリル(509 mL)、オルトぎ酸トリエチル(120 mL)、およびトリフルオロ酢酸(7 mL)を加えた。該溶液を、該反応がHPLCにより完了される(<0.15 相対的AP 出発物質)まで、40-50℃に加熱した。該バッチを45-50℃で維持しながら、メタノール(1.48 L)を一度に加え、次いで水(1.034 L)を加えた。その後、該バッチを15-20℃に冷却し、濾過した。該ケーキを2:6:5 MeCN:MeOH:水で洗浄し、減圧下において50-60℃で、トレイで乾燥させ、表題の化合物を白色の固形物として得た(228 g, 90%収率)。 1H NMR, (CDCl3, 300 MHz) δ: 1.40 - 1.58 (m, 1 H) 1.75 - 1.90 (m, 1 H) 1.92 - 2.07 (m, 1 H) 2.10 - 2.26 (m, 1 H) 4.37 (dd, J=8.67, 6.22 Hz, 1 H) 4.48 (d, J=15.64 Hz, 1 H) 4.64 (d, J=15.82 Hz, 1 H) 5.54 (s, 1 H) 6.33 (s, 1 H) 7.44 - 7.54 (m, 2 H) 7.62 (t, J=7.72 Hz, 1 H) 7.68 - 7.76 (m, 3 H) 7.85 (dd, J=7.91, 1.51 Hz, 1 H) 8.76 (s, 1 H). 13C NMR, (DMSO-d6, 75 MHz) δ: 170.34, 167.75, 165.80, 159.64 (d, J = 244.5 Hz, 1 C), 138.19, 137.64, 131.25 (d, J = 3.75 Hz, 1C), 129.31, 129.23, 129.05 (d, J = 14.25 Hz, 1C), 126.74 (q, J = 274.5 Hz, 1C), 126.91, 126.80, 123.12 (d, J = 3.75 Hz, 1C), 113.7 (d, J = 24.0 Hz, 1 C), 57.92, 41.38 (d, J = 4.5 Hz, 1 C), 30.04 (d, J = 30.0 Hz, 1 C), 22.90. 19F NMR, (CDCl3, 282 MHz) δ: -116.3, -66.5. IR (KBr): 3454, 334, 3286, 2952, 1705, 1432, 1325, 1260, 1167, 1084, 828 cm-1.
C20H17ClF4N4O4Sとして計算 計算値: C, 46.11; H, 3.29; N, 10.71; S, 6.15; F, 14.58; Cl, 6.80. 実測値: C, 46.06; H, 3.24; N, 10.71; S, 6.25; F, 14.60; Cl, 6.88.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドである化合物。
【請求項2】
治療上有効な量の(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドを、医薬的に許容されるアジュバント、担体または希釈剤とともに含有する医薬組成物。
【請求項3】
アルツハイマー病、脳アミロイド血管症、軽度認知機能障害および/またはダウン症候群の、治療または発症の遅延のための方法であって、それらを必要とする哺乳動物に治療上有効な量の(2R)-2-[[(4-クロロフェニル)スルホニル][[2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]メチル]アミノ]-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドを投与することを含む、方法。
【請求項4】
アルツハイマー病の治療のための請求項3に記載の方法。

【公表番号】特表2011−502153(P2011−502153A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532118(P2010−532118)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/079798
【国際公開番号】WO2009/058552
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】