説明

μオピオイド受容体拮抗薬としての8−アザビシクロ[3.2.1]オクチル−2−ヒドロキシベンズアミド化合物

本発明は、μオピオイド受容体で拮抗薬である、式(I)の8−アザビシクロ[3.2.1]オクチル−2−ヒドロキシベンズアミド化合物、または医薬品として許容されるその塩を提供する:


(式中、R、R、およびmは、本明細書で定義した通りである)。本発明は、そのような化合物を含む医薬品組成物と、μオピオイド受容体活性に関連した状態を治療するためにそのような化合物を使用する方法と、そのような化合物を調製するのに有用な方法および中間体も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、μオピオイド受容体拮抗薬として有用な8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン化合物を対象とする。本発明は、そのような化合物を含む医薬品組成物と、μオピオイド受容体活性によって媒介された病状を治療または改善するためにそのような化合物を使用する方法と、そのような化合物を調製するのに有用なプロセスおよび中間体も対象とする。
【背景技術】
【0002】
現在、内因性オピオイドは、胃腸生理学において複雑な役割を演ずることが一般に理解されている。オピオイド受容体は、中枢神経系と胃腸管(GI)を含めた末梢領域との両方で、身体全体にわたって発現する。
【0003】
モルヒネが原型的な例であるオピオイド受容体で、作動薬として機能する化合物は、中程度の痛みから激痛までを治療するための鎮痛療法の大黒柱である。残念ながらオピオイド鎮痛薬の使用は、GI管に対する悪影響をしばしば伴い、これをまとめてオピオイド誘発性腸機能障害(OBD)と呼ぶ。OBDには、便秘、胃内容排出減少、腹痛および腹部不快感、膨満、吐き気、胃食道逆流などの症状が含まれる。中枢および末梢オピオイド受容体の両方は、オピオイド使用後の胃腸通過の減速に関与しているようである。しかし証拠は、GI管内の末梢オピオイド受容体が、主にGI機能に対する悪影響に関与していることを示唆している。
【0004】
オピオイドの副作用が主に末梢受容体によって媒介されるのに対し、鎮痛は中枢で始まるので、末梢選択的拮抗薬は、鎮痛の有益な中枢効果を妨げることなくまたは中枢神経系禁断症状を引き起こすことなく、望ましくないGI関連副作用を潜在的に遮断することができる。
【0005】
μ、δ、およびκで示される3種の主なオピオイド受容体サブタイプの中で、最も臨床的に使用されるオピオイド鎮痛薬は、鎮痛を行いGI運動を変化させるためにμオピオイド受容体活性化を介して作用すると考えられる。したがって、末梢選択的μオピオイド拮抗薬は、オピオイド誘発性腸機能障害を治療するのに有用であると予測される。好ましい薬剤は、in vitroでのμオピオイド受容体との有意な結合と、GI動物モデルではin vivoで活性であることを実証することになる。
【0006】
術後イレウス(POI)は、腹部またはその他の手術の後に生ずるGI管の運動低下という障害である。POIの症状は、OBDの場合に類似している。さらに、手術患者は手術中および手術後にオピオイド鎮痛薬でしばしば治療されるので、POIの持続期間は、オピオイドの使用に関連したGI運動の低下によって悪化し得る。したがって、OBDの治療に有用なμオピオイド拮抗薬は、POIの治療でも有益であることが予測される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、μオピオイド受容体拮抗薬活性を保持する新規な化合物を提供する。
【0008】
したがって本発明は、式(I)の化合物、または医薬品として許容されるその塩を提供する:
【0009】
【化1】

(式中、
は、水素または−CH−Rであり;
は、C4〜10アルキル、C3〜12シクロアルキル、またはフェニルであり、ここで、C3〜12シクロアルキルおよびフェニルはそれぞれ、1個または2個のハロで任意選択で置換されており;
は、−C(O)R、−C(O)NHR、−C(O)OR、−S(O)、および−C(O)Rから選択され;
は、−OR、−S(O)、および−C(O)Rから選択される1個または2個の置換基で置換されたC1〜6アルキルであり;
およびRは、それぞれ独立して、−ORおよび−S(O)から選択される1個または2個の置換基で置換されたC1〜6アルキルであり;
はC1〜3アルキルであり;
は、1個または2個のハロで任意選択で置換されたフェニルであり;
は、水素またはC1〜3アルキルであり;
はC1〜3アルキルであり;
は、水素、C1〜3アルキル、およびベンジルから選択され;
mは1または2であり;
但し、Rが水素である場合、Rは−C(O)Rである)。
【0010】
本発明は、本発明の化合物および医薬品として許容される担体を含む、医薬品組成物も提供する。
【0011】
本発明は、μオピオイド受容体活性に関連した疾患または状態、例えばオピオイド誘発性腸機能障害や術後イレウスなどの胃腸管の運動低下障害を治療する方法であって、治療有効量の本発明の化合物または医薬品組成物を哺乳動物に投与するステップを含む方法も提供する。
【0012】
本発明の化合物は、リサーチツールとして、即ち生物学的な系またはサンプルを試験しまたはその他の化合物の活性を試験するツールとして、使用することもできる。したがって、その方法態様の別のものでは、本発明は、生物学的な系またはサンプルを試験するためのまたはμオピオイド受容体活性を有する新しい化合物を発見するためのリサーチツールとして、式(I)の化合物または医薬品として許容されるその塩もしくは溶媒和物を使用する方法であって、生物学的な系またはサンプルと本発明の化合物とを接触させるステップ、およびこの生物学的な系またはサンプルに対してこの化合物により引き起こされた影響を決定するステップを含む方法を提供する。
【0013】
別の異なる態様では、本発明は、本発明の化合物を調製するのに有用な、本明細書に記述される合成プロセスおよび中間体も提供する。
【0014】
本発明は、医学療法に使用される、本明細書に記述される本発明の化合物、ならびに哺乳動物におけるμオピオイド受容体活性に関連した疾患または状態、例えば胃腸管の運動低下障害を治療するための製剤または薬剤の製造での、本発明の化合物の使用も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、式(I)の8−アザビシクロ[3.2.1]オクタンμオピオイド受容体拮抗薬、または医薬品として許容されるその塩もしくは溶媒和物を提供する。以下の置換基および値は、本発明の様々な態様の代表的な例を提供するものとする。これらの代表的な値は、そのような態様をさらに定義するものとし、その他の値を除外しまたは本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0016】
特定の態様では、Rが水素または−CH−Rである。
【0017】
別の特定の態様では、Rが水素である。
【0018】
特定の態様では、Rが−CH−Rであり、ここで、RはC4〜10アルキル、C3〜12シクロアルキル、またはフェニルであり、C3〜12シクロアルキルおよびフェニルはそれぞれ、1個または2個のハロで任意選択で置換されている。
【0019】
別の特定の態様では、Rが−CH−Rであり、ここで、RはC4〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、またはフェニルであり、C3〜6シクロアルキルおよびフェニルはそれぞれ、1個または2個のハロで任意選択で置換されている。
【0020】
その他の特定の態様では、Rが−CH−Rであり、ここで、RはC4〜6アルキルまたはC3〜6シクロアルキルであり、C3〜6シクロアルキルは、任意選択で1個または2個のフルオロで置換されている。この態様での代表的なR基には、限定するものではないが1−エチルプロピル、tert−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、4,4−ジフルオロシクロヘキシル、4−フルオロシクロヘキシル、および2,4−ジフルオロフェニルなどが含まれる。さらに別の態様では、Rが−CH−Rであり、ここで、Rは1−エチルプロピル、tert−ブチル、シクロヘキシル、または4,4−ジフルオロシクロヘキシルである。
【0021】
特定の態様では、Rは、−C(O)R、−C(O)NHR、−C(O)OR、−S(O)、および−C(O)Rから選択される。
【0022】
別の特定の態様では、Rは、−C(O)R、−C(O)NHR、−C(O)OR、および−S(O)から選択される。
【0023】
別の特定の態様では、Rは、−C(O)R、−C(O)NHR、および−S(O)から選択される。
【0024】
特定の態様では、Rが−C(O)Rであり、ここで、Rは、−OR、−S(O)、および−C(O)Rから選択される1個または2個の置換基で置換されたC1〜6アルキルである。
【0025】
特定の態様では、Rが−C(O)Rであり、ここで、Rは、−ORおよび−S(O)から選択される1個または2個の置換基で置換されたC1〜6アルキルである。さらに別の特定の態様では、Rが−C(O)Rであり、ここで、Rは、1個もしくは2個の−OHで置換されまたは1個の−S(O)CHで置換されたC1〜3アルキルである。この態様での代表的なR基には、限定するものではないが−C(O)CHOH、−C(O)CH(OH)CHOH、および−C(O)CHS(O)CHが含まれる。さらに別の特定の態様では、Rが−C(O)Rであり、ここで、Rは、−C(O)Rで置換されたC1〜3アルキルである。
【0026】
さらに別の特定の態様では、Rが−C(O)Rであり、ここで、Rは、フルオロおよびクロロから選択される1個または2個の置換基で任意選択で置換されたフェニルである。
【0027】
特定の態様では、Rが水素またはC1〜3アルキルである。別の特定の態様では、Rが水素またはメチルである。さらに別の特定の態様では、Rが水素である。
【0028】
特定の態様では、RがC1〜3アルキルである。別の特定の態様では、Rがメチルである。
【0029】
特定の態様では、Rが水素、C1〜3アルキル、またはベンジルである。別の特定の態様では、Rが水素またはベンジルである。
【0030】
特定の態様では、mが1または2である。別の特定の態様では、mが1である。
【0031】
さらに別の態様では、本発明は、式(Ia)の化合物、または医薬品として許容されるその塩を提供する:
【0032】
【化2】

(式中、
は、C4〜10アルキル、C3〜12シクロアルキル、またはフェニルであり、ここで、C3〜12シクロアルキルおよびフェニルはそれぞれ、1個または2個のハロで任意選択で置換されており;
は、−C(O)R、−C(O)NHR、−C(O)OR、および−S(O)から選択され;
、R、およびRは、それぞれ独立して、−ORおよび−S(O)から選択される1個または2個の置換基で置換されたC1〜6アルキルであり;
はC1〜3アルキルであり;
は水素またはC1〜3アルキルであり;
はC1〜3アルキルであり;
mは1または2である)。
【0033】
さらに別の態様では、本発明は、式(Ib)または(Ic)の化合物を提供する:
【0034】
【化3】

(式中、R、R、R、およびmは、上記にて定義された値のいずれかをとる)。
【0035】
本発明はさらに、本明細書の実施例1〜26の化合物を提供する。
【0036】
本明細書で使用される化学命名規則を、式1の化合物に関して例示し:
【0037】
【化4】

これは3−endo−(8−{2−[((S)−2,3−ジヒドロキシプロピオニル)−(2−エトキシブチル)−アミノ]エチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミドである。あるいは、AutoNomソフトウェア(MDL Information Systems,GmbH、フランクフルト、ドイツ)で実行されるようなIUPAC規則を使用して、化合物を、3−((1R,3R,5S)−8−{2−[((S)−2,3−ジヒドロキシ−プロピオニル)−(2−エチルブチル)アミノ]エチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシ−ベンズアミドと示す。したがって、本明細書で使用される名称はIUPAC表記に対応しており、8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン基に対する置換フェニル基のendo配向が明示される。本発明の化合物の全ては、endo配向にある。便宜上、本明細書で使用される「8−アザビシクロオクタン」という用語は、8−アザビシクロ[3.2.1]オクタンを意味する。
【0038】
ビシクロ基に関するendo立体配置の他に、本発明の化合物は、置換基RおよびRにキラル中心を含有してもよい。したがって本発明は、他に指示しない限り、ラセミ混合物、純粋な立体異性体、およびそのような異性体の立体異性体高富化混合物を含む。8−アザビシクロオクタン基に対する配向と置換基Rおよび/またはRでのキラリティーとの両方も含めて、化合物の立体配座が指定された場合、当業者なら、全体として組成物のあらゆる有用性がその他の異性体の存在によって排除されないことを条件として、他に指示しない限り、少量のそのようなその他の立体異性体が本発明の組成物中に存在し得ることが理解されよう。
【0039】
(定義)
本発明の化合物、組成物、および方法に関して記述する場合、以下の用語は、他に指示しない限り以下の意味を有する。
【0040】
「アルキル」という用語は、直鎖状または分岐状またはこれらの組合せであってもよい1価の飽和炭化水素基を意味する。他に定義されない限り、そのようなアルキル基は、典型的には1から10個の炭素原子を含有する。代表的なアルキル基には、例として、メチル、エチル、n−プロピル(n−Pr)、イソプロピル(i−Pr)、n−ブチル(n−Bu)、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、2,2−ジメチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2−エチルブチル、2,2−ジメチルペンチル、および2−プロピルペンチルなどが含まれる。
【0041】
「シクロアルキル」という用語は、単環式または多環式であってもよい1価の飽和または部分飽和炭素環式基を意味する。他に指示しない限り、そのようなシクロアルキル基は、典型的には3から12個の炭素原子を含有する。代表的なシクロアルキル基には、例として、シクロプロピル(c−プロピル)、シクロブチル(c−ブチル)、シクロペンチル(c−ペンチル)、シクロヘキシル(c−ヘキシル)、シクロヘプチル(c−ヘプチル)、シクロオクチル(c−オクチル)、アダマンチル、およびシクロヘキセニルなどが含まれる。
【0042】
「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを意味する。
【0043】
「化合物」という用語は、合成によって調製されまたはin vivo代謝などの任意のその他の方法で調製された化合物を意味する。
【0044】
「治療有効量」という用語は、治療の必要がある患者に投与したときに、治療を行うのに十分な量を意味する。
【0045】
本明細書で使用される「治療」という用語は:
(a)疾患、障害、または病状が生じるのを予防する、即ち患者の予防的治療;
(b)疾患、障害、または病状を改善する、即ちその他の治療薬の効果を打ち消すことも含めた、患者の疾患、障害、または病状の排除またはそれらの退行を引き起こすこと;
(c)疾患、障害、または病状を抑制する、即ち患者の疾患、障害、または病状の発症を遅くしまたは停止させること;または
(d)患者の疾患、障害、または病状の症状を緩和すること
を含む、哺乳動物(特にヒト)などの患者の疾患、障害、または病状の治療を意味する。
【0046】
「医薬品として許容される塩」という用語は、哺乳動物などの患者への投与にふさわしい酸または塩基から調製された塩を意味する。そのような塩は、医薬品として許容される無機または有機酸から、および医薬品として許容される塩基から得ることができる。典型的には、本発明の化合物の医薬品として許容される塩は、酸から調製される。
【0047】
医薬品として許容される酸から得られる塩には、限定するものではないが酢酸、アジピン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、シュウ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、キシナホイック酸(1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸)、およびナフタレン−1,5−ジスルホン酸などが含まれる。
【0048】
「アミノ保護基」という用語は、アミノ窒素での望ましくない反応を防止するのに適した保護基を意味する。代表的なアミノ保護基には、限定するものではないがホルミル;アシル基、例えばアセチルおよびトリ−フルオロアセチルなどのアルカノイル基;tert−ブトキシカルボニル(Boc)などのアルコキシカルボニル基;ベンジルオキシカルボニル(Cbz)および9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)などのアリールメトキシカルボニル基;ベンジル(Bn)、トリチル(Tr)、および1,1−ジ−(4’−メトキシフェニル)メチルなどのアリールメチル基;トリメチルシリル(TMS)およびtert−ブチルイジメチルシリル(TBDMS)などのシリル基;および同様のものが含まれる。
【0049】
(概略的な合成手順)
本発明の化合物は、以下の概略的な方法および手順を使用して、容易に入手可能な出発材料から調製することができる。本発明の特定の態様が以下のスキームに例示されるが、当業者なら、本発明の全ての態様は、本明細書に記述される方法を使用して、または当業者に知られているその他の方法、試薬、および出発材料を使用することによって、調製できることが理解されよう。典型的なまたは好ましいプロセス条件(即ち、反応温度、時間、反応物質のモル比、溶媒、圧力など)が与えられた場合、他に指示しない限りその他のプロセス条件も使用できることが理解されよう。最適な反応条件は、使用される特定の反応物質または溶媒に応じて変えてよいが、そのような条件は、通常の最適化手順によって当業者が決定することができる。
【0050】
さらに、当業者に明らかであるように、従来の保護基は、ある官能基が望ましくない反応を受けるのを防止する必要があると考えられる。特定の官能基に対する適切な保護基、ならびに保護および脱保護に適した条件の選択は、当技術分野で周知である。例えば、数多くの保護基とそれらの導入および除去は、T. W. GreeneおよびG. M. Wuts、Protecting Groups in Organic Synthesis、第3版、Wiley、NewYork、1999年およびそこに引用されている参考文献に、記載されている。
【0051】
合成の一方法では、Rが−C(O)Rまたは−C(O)Rと定義される式(Id)の本発明の化合物は、スキームAに例示されるように調製される(以下のスキームに示される置換基および変数は、他に指示しない限り、上記にて提供された定義を有する)。
【0052】
スキームA
【0053】
【化5】

スキームAにおいて、RはRもしくはRを表し、R9aはR、Rの保護形態、もしくはRを表し、Lはクロロなどの脱離基を表し、またはR9aC(O)−Lは、カルボン酸もしくはカルボン酸塩を表す。例えば、Rが−CHOHである化合物を調製するために、有用な試薬は塩化アセトキシアセチルであり、R9aが−CHOC(O)CHでありLがクロロであるものである。R9aがRの保護形態である場合、反応は、図示されていない脱保護ステップも含む。
【0054】
スキームAの反応に最適な反応条件は、当業者に周知のように、試薬R9aC(O)−Lの化学的性質に応じて変えてもよい。例えば、Lがクロロなどのハロ脱離基である場合、反応は、典型的には中間体(II)と約1から約2当量の間の式R9aC(O)−Lの化合物とを、ジクロロメタンなどの不活性希釈液中で接触させることによって実施される。任意選択で反応は、塩基、例えば約2から約6当量の間のN,N−ジイソプロピルエチルアミンやトリエチルアミンなどの塩基の存在下で実施される。適切な不活性希釈液には、1,1,2,2−テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、およびジメチルアセトアミドなども含まれる。反応は、典型的には約−50℃から約30℃の範囲の温度で、約15分から約16時間、または反応が実質的に終了するまで実施される。
【0055】
試薬R9aC(O)−Lがカルボン酸またはカルボン酸塩の場合、反応は、典型的には、中間体(II)と約1から約5当量の間の酸R9aC(O)OHまたはカルボン酸塩、例えばR9aC(O)OLiとを、不活性希釈液中で、任意選択で共に上述のような過剰な塩基の存在下で、およびN,N−カルボニルジイミダゾール(CDI)やN,N,N’,N’−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、または1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDC)などの約1から約6当量の間の活性化剤の存在下で接触させることによって実施される。反応は、典型的には約25℃から約100℃の範囲の温度で約2時間から約16時間、または反応が実質的に終了するまで実施される。
【0056】
が−C(O)NHR、−C(O)OR、またはS(O)である本発明の化合物は、R9aC(O)-Lの代わりにそれぞれ試薬R−N=C=O、ROC(O)−L’、およびR-S(O)−L’(L’は、ハロ脱離基を表す)を使用した同様のプロセスによって調製してもよい。
【0057】
式(II)の中間体を調製するための概略的手順を、スキームBに例示する
スキームB
【0058】
【化6】

(式中、Pはアミノ保護基を表す)。スキームBで、中間体(IV)は、アルデヒド(III)との反応によって還元的にN−アルキル化され、その結果、保護中間体(V)が得られる。反応は、典型的には、中間体(V)と約1から約2当量の間の式(III)のアルデヒドとを、ジクロロメタンなどの適切な不活性希釈液中で、約0.9から約2当量の間の還元剤の存在下で接触させることによって実施される。反応は、典型的には約0℃から周囲温度の範囲の温度で約半時間から約3時間、または反応が実質的に終了するまで実施される。典型的な還元剤には、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、およびシアノ水素化ホウ素ナトリウムが含まれる。生成物(V)は、従来の手段によって単離される。(V)の脱保護は、標準的な手順を使用する。例えば、保護基PがBocの場合、(V)は、典型的にはトリフルオロ酢酸などの酸で処理され、その結果、中間体(II)が得られる。保護基がベンジルオキシカルボニル(Cbz)である場合、(V)は、例えば水酸化パラジウム担持炭素触媒による触媒水素化によって脱保護される。
【0059】
が−CH−Rである式(III’)の中間体を調製するための例示的なプロセスを、スキームCに例示する:
スキームC
【0060】
【化7】

(式中、全ての変数は、上記にて定義された値をとる)。最初に、アミノ保護基を従来の手順によって中間体(IV)に添加して、中間体(VII)を形成し、これを例えば三酸化硫黄ピルジウム錯体の存在下で酸化することにより、式(III’)の中間体が得られる。
【0061】
8−アザビシクロオクチル−2−ヒドロキシベンズアミド中間体(IV)は、以下のスキームDのステップ(c)で示される、二環式ビニルボロネート(XII)とベンジルオキシ−ブロモ−ベンズアミド(X)とのSuzukiカップリングによって調製してもよい。
【0062】
スキームD
【0063】
【化8】

ベンズアミド中間体(X)は、ステップ(a)で示される経路によって3−ブロモ−2−フルオロ−ベンゾニトリル(VIII)から調製してもよく、その場合、(VIII)は、まずベンジルアルコールとの反応によって中間体(IX)(Bnは保護基ベンジルを示す)に変換される。次いでニトリル(IX)を加水分解して、対応するアミドにすることにより、中間体(X)が得られる。加水分解反応は、(IX)と過剰な水とを、一般にパーキン触媒と呼ばれる白金ジアルキルホスホナイト触媒の存在下で接触させることによって行ってもよい。反応は、典型的には還元温度で約2から約20時間、または反応が実質的に終了するまで行われる。
【0064】
二環式ビニルボロネート(XII)は、ステップ(b)に示されるように、保護ビシクロオクテン中間体(XI)(Pは、アミノ保護基を表し、典型的にはBocまたはベンジルであり、−OTfは、スルホン酸トリフルオロメタン(一般に、トリフレート)を表す)とビス(ピナコレート)ジボロンとの反応によって調製してもよい。反応は、典型的には(XII)と約1から約1.2当量の間のビス(ピナコレート)ジボロンとを、触媒量のパラジウム触媒およびホスフィンリガンド、例えば[1,1’−ビス(ジデニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(Pd(dppf)Cl)および1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)の存在下で接触させることによって、実施される。反応は、典型的には約40から約80℃の間の温度で約4から約20時間の間、または反応が実質的に終了するまで実施される。
【0065】
ステップ(b)で使用される保護ビシクロオクテン中間体(XI)(Pはベンジルである)は、8−ベンジル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オン
【0066】
【化9】

から、オクタノンと約1から約1.5当量の間のN−フェニル−ビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)および約1から約1.5当量の間のナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドなどの塩基とを接触させることによって、都合良く調製される。反応は、典型的には約−20から約−10℃の温度で約半時間から約2時間、または反応が実質的に終了するまで実施される。
【0067】
がBocである中間体(XI)を調製するには、まず、ベンジル保護オクタノンを、ジ−tert−ブチルジカーボネート(一般にBocO)との反応によってBoc保護形態に変換し、触媒水素化を行う。次いでBoc保護オクタノンを、N−フェニル−ビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)および上述の塩基と反応させる。Boc中間体の反応は、典型的には約−70℃未満の温度で約2から約5時間の間、または反応が実質的に終了するまで実施される。
【0068】
最後に、二環式ビニルボロネート(XII)およびベンズアミド中間体(X)を結合して、保護中間体(XIII)が得られ、これを1つまたは複数のステップで還元し脱保護することにより、8−アザビシクロオクチル−2−ヒドロキシベンズアミド中間体(IV)が得られる。反応は、典型的には(XII)と約1当量の中間体(X)とを、パラジウム触媒、例えば塩化ビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(PdCl(PPh)の存在下で接触させることによって、実施される。反応は、典型的には還流温度で約4から約20時間の間、または反応が実質的に終了するまで実施される。PがBocである場合、典型的には、Boc保護基はトリフルオロ酢酸による従来の処理によって最初に除去され、次いでビシクロオクテンが同時にパラジウム触媒水素化によって還元され脱保護される。ベンジル保護基がPに使用される場合、両方のベンジル基の二重結合の還元および除去は、単一の水素化ステップで実現することができる。
【0069】
Boc保護中間体(XII’)を使用する、中間体(IV)を調製するための代替プロセスを、スキームEに例示する:
スキームE
【0070】
【化10】

(Suzukiカップリングとニトリルからアミドへの変換の順序は、逆にされる)。スキームEに示されるように、また以下の実施例に記述されるように、2−ベンジルオキシ−3−ブロモ−ベンゾニトリル中間体(IX)は、二環式ボロネート(XII’)に結合されて、ニトリル中間体(XIV)を形成する。後続のステップでは、Boc基がニトリル中間体から脱保護され、シアノ基は加水分解され、最後に二重結合が還元され、ベンジル保護基が除去されて、2−ヒドロキシベンズアミド(IV)を形成する。
【0071】
中間体(IV)を調製するためのさらに別の代替プロセスを、スキームFに例示する。
【0072】
スキームF
【0073】
【化11】

まず、ベンジル保護ビシクロオクテン中間体(XI’)を、2−ブトキシ−3−ブロモ−ベンゾニトリル、中間体(IX)のブトキシ類似体と反応させて、ニトリル中間体(XV)を形成する。反応は、典型的には、中間体(XI’)と約1から約1.5当量の間の2−ブトキシ−3−ブロモ−ベンゾニトリルとを、テトラヒドロフランなどの不活性希釈剤中で、約1から約1.5当量の間の塩化イソプロピルマグネシウムおよび遷移金属触媒の存在下で接触させることによって、実施される。反応は、典型的には還流温度で約半時間から約3時間、または反応が実質的に終了するまで行われる。中間体(XV)を酸性溶液中で還流して、同時にシアノ基をアミドに加水分解し、tert−ブチルヒドロキシ保護基を除去することにより、中間体(XVI)が得られる。最後に(XVI)は、同時にビシクロオクテンを還元しベンジルアミノ保護基を除去するパラジウム触媒の存在下で、約10から約15当量の間のギ酸アンモニウムと反応させることにより、単一ステップでベンズアミド生成物(IV)に変換される。
【0074】
本発明の代表的な化合物またはその中間体を調製するための特定の反応条件およびその他の手順に関するさらなる詳細は、以下の実施例に記述する。
【0075】
したがって、ある方法態様において、本発明は、式(Id)の化合物またはその塩もしくは保護誘導体を提供するために、式(II)の化合物と式R9aC(O)−Lの化合物とを反応させるステップと、保護基を任意選択で除去するステップとを含む、式(Id)の化合物またはその塩もしくは保護誘導体を調製するためのプロセスを提供する。
【0076】
追加の態様では、本発明は、式(II)の化合物および式(IV)の化合物であって、変数Rおよびmが、上記にて開示された本発明の態様で記述される値のいずれかをとるものを提供する。
【0077】
(医薬品組成物)
本発明の8−アザビシクロオクタン−2−ヒドロキシベンズアミド化合物は、典型的には医薬品組成物または製剤の形で患者に投与される。そのような医薬品組成物は、経口、直腸、膣、鼻、吸入、局所(経皮を含む)、および非経口投与形態を含むがこれらに限定するものではない、任意の許容される投与経路によって患者に投与してもよい。
【0078】
したがって、その組成物態様の1つにおいて、本発明は、医薬品として許容される担体または賦形剤と、治療有効量の式(I)の化合物または医薬品として許容されるその塩とを含む、医薬品組成物を対象とする。任意選択で、そのような医薬品組成物は、望みに応じてその他の治療薬および/または製剤を含有してもよい。組成物について論じるとき、「本発明の化合物」は、本明細書において「活性剤」と呼んでもよい。本明細書で使用される「本発明の化合物」という用語は、式(I)の化合物、ならびに式(Ia)、(Ib)、(Ic)、および(Id)に具体化された種を含むものとする。「本発明の化合物」には、さらに、他に指示しない限り医薬品として許容される化合物の塩および溶媒和物が含まれる。
【0079】
本発明の医薬品組成物は、典型的には治療有効量の本発明の化合物、または医薬品として許容されるその塩を含有する。典型的には、そのような医薬品組成物は、活性剤を約0.1から約95重量%、好ましくは約5から約70重量%、より好ましくは活性剤を約10から約60重量%含有することになる。
【0080】
任意の従来の担体または賦形剤を、本発明の医薬品組成物中に使用してもよい。特定の担体もしくは賦形剤、または担体もしくは賦形剤の組合せに何を選択するかは、特定の患者または医学的状態のタイプまたは病状を治療するのに使用される投与形態に依存することになる。これに関し、特定の投与形態に適した医薬品組成物の調製は、製薬分野の当業者の十分範囲内にある。したがって、本発明の医薬品組成物で使用される担体または賦形剤は、市販されている。他の例示として、従来の配合技法が、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第20版、LippincottWilliams & White、Baltimore、Maryland(2000年); およびH.C. Anselら、PharmaceuticalDosage Forms and Drug Delivery Systems、第7版、Lippincott Williams & White、Baltimore、Maryland(1999年)に記載されている。
【0081】
医薬品として許容される担体として働くことができる材料の代表的な例には、限定するものではないが下記の材料:ラクトース、グルコース、およびスクロールなどの糖;コーンスターチおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;微結晶性セルロースなどのセルロース、およびナトリウムカルボキシメチルセルロースやエチルセルロース、セルロースアセテートなどのその誘導体;粉末トラガカント;モルト;ゼラチン;タルク;ココアバターや坐薬蝋などの賦形剤;ピーナツ油や綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;グリセリンやソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコールなどのポリオール;オレイン酸エチルやラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質なしの水;等張食塩水;リンガー溶液;エチルアルコール;リン酸緩衝溶液;および医薬品組成物中に用いられるその他の無毒の適合性ある物質が含まれる。
【0082】
医薬品組成物は、典型的には、活性剤と、医薬品として許容される担体および1種または複数の任意選択の成分とを、完全にかつ密に混合しまたはブレンドすることによって調製される。次いで得られた均一にブレンドされた混合物を、従来の手順および装置を使用して、錠剤、カプセル、および丸薬などに成形しまたは充填する。
【0083】
本発明の医薬品組成物は、好ましくは単位剤形に包装される。「単位剤形」という用語は、患者に投薬するのに適切な、物理的に切り離された単位を指し、即ち単独でまたは1種もしくは複数の追加の単位と組み合わせて所望の治療効果を発揮するよう計算された、所定量の活性剤を含有する単位を指す。例えば、そのような単位剤形は、カプセル、錠剤、および丸薬などであってもよく、または非経口投与に適した単位パッケージであってもよい。
【0084】
一実施形態では、本発明の医薬品組成物は、経口投与に適している。経口投与に適した医薬品組成物は、カプセル、錠剤、丸薬、ロゼンジ、カシェ、糖衣錠、粉末、顆粒の形;または水性または非水性液を用いた溶液もしくは懸濁液;または水中油もしくは油中水液体エマルジョン;またはエリキシルもしくはシロップなどの形をとってもよい。
【0085】
固体剤形(即ち、カプセル、錠剤、および丸薬などとして)での経口投与を目的とする場合、本発明の医薬品組成物は、典型的には、活性剤と、クエン酸ナトリウムやリン酸二カルシウムなどの1種または複数の医薬品として許容される担体とを含むことになる。任意選択でまたは追加として、そのような固体剤形は:デンプン、微結晶性セルロース、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸などの充填剤または増量剤;カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、および/またはアカシアなどの結合剤;グリセロールなどの保湿剤;寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、あるシリケート、および/または炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;パラフィンなどの溶解遅延剤;第4級アンモニウム化合物などの吸収加速剤;セチルアルコールおよび/またはモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤;カオリンおよび/またはベントナイトクレイなどの吸収剤;タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、および/またはこれらの混合物などの潤滑剤;着色剤;および緩衝剤を含んでもよい。
【0086】
離型剤、湿潤剤、コーティング剤、甘味料、香料もしくは芳香剤、保存剤、および酸化防止剤を、本発明の医薬品組成物中に存在させることもできる。医薬品として許容される酸化防止剤の例には:アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、および亜硫酸ナトリウムなどの水溶性酸化防止剤;パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、レシチン、没食子酸プロピル、およびα−トコフェロールなどの油溶性酸化防止剤;クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、ソルビトール、酒石酸、およびリン酸などの金属キレート剤が含まれる。錠剤、カプセル、および丸薬などのコーティング剤には、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸、メタクリル酸エステルコポリマー、セルロースアセテートトリメリテート、カルボキシメチルエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートなど、腸溶コーティングに使用されるものが含まれる。
【0087】
本発明の医薬品組成物は、例として、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを様々な割合で;またはその他のポリマーマトリックス、リポソーム、および/または微小球を使用して、活性剤の遅延または制御放出が得られるように配合してもよい。さらに、本発明の医薬品組成物は、不透明剤を任意選択で含有してもよく、また、活性成分のみを、または優先的に胃腸管のある部分で、任意選択で遅延的な手法で放出するように配合してもよい。使用することができる包埋組成物の例には、ポリマー物質および蝋が含まれる。活性成分は、1種または複数の上述の賦形剤と共に適切な場合にはマイクロカプセル化された形をとることもできる。
【0088】
経口投与に適した液体剤形には、例示として、医薬品として許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルが含まれる。液体剤形は、典型的には、活性剤と、例えば水やその他の溶媒などの不活性希釈液と、可溶化剤と、乳化剤、例えばエチルアルコールやイソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、およびこれらの混合物とを含む。懸濁液は、活性成分の他に、懸濁剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステルなど、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、およびトラガカント、およびこれらの混合物を含有する。
【0089】
本発明の化合物は、非経口的に(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、または腹腔内注射により)投与することもできる。非経口的投与では、活性剤を、典型的には、例として滅菌水溶液、生理食塩液、プロピレングリコールやポリエチレングリコールなどの低分子量アルコール、植物油、ゼラチン、およびオレイン酸エチルなどの脂肪酸エステルを含めた非経口投与に適したビヒクルと混合する。非経口製剤は、1種または複数の酸化防止剤、可溶化剤、安定化剤、保存剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝材、または分散剤を含有してもよい。これらの製剤は、滅菌注射媒体、滅菌剤、濾過、放射線、または熱の使用によって、滅菌してもよい。
【0090】
あるいは、本発明の医薬品組成物は、吸入による投与のために配合される。吸入による投与に適した医薬品組成物は、典型的にはエアロゾルまたは粉末の形をとることになる。そのような組成物は、一般に、定量吸入器、乾燥粉末吸入器、ネブライザ、または同様の送達デバイスなど、周知の送達デバイスを使用して投与される。
【0091】
加圧容器を使用した吸入によって投与する場合、本発明の医薬品組成物は、典型的には活性成分および適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、またはその他の適切な気体などを含むことになる。さらに医薬品組成物は、本発明の化合物および粉末吸入器で使用するのに適した粉末を含む、カプセルまたはカートリッジ(例えば、ゼラチン製)の形をとってもよい。適切な粉末ベースには、例として、ラクトースまたはデンブンが含まれる。
【0092】
本発明の化合物は、知られている経皮送達システムおよび賦形剤を使用して、経皮的に投与することもできる。例えば活性剤は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノラウレート、およびアザシクロアルカン−2−オンなどの透過促進剤と混合することができ、パッチまたは同様の送達システムに組み込むことができる。ゲル化剤、乳化剤、および緩衝剤を含めた追加の賦形剤は、必要に応じて、そのような経皮組成物で使用してもよい。
【0093】
必要なら、本発明の化合物を、1種または複数のその他の治療薬と組み合せて投与してもよい。この実施形態では、本発明の化合物は、その他の治療薬と物理的に混合して両方の薬剤を含有する組成物を形成し;または、各薬剤を別々の異なる組成物に存在させ、それを同時にまたは順次患者に投与する。
【0094】
例えば、式Iの化合物を、従来の手順および装置を使用して第2の治療薬と組み合わせ、それによって、式Iの化合物および第2の治療薬を含む組成物を形成することができる。さらに、治療薬は、医薬品として許容される担体と組み合わせて、式Iの化合物、第2の治療薬、および医薬品として許容される担体を含む医薬品組成物を形成してもよい。この実施形態では、組成物の成分を典型的には混合またはブレンドして、物理的な混合物を生成する。次いで物理的混合物を、本明細書に記述される経路のいずれかを使用して、治療有効量で投与する。あるいは治療薬は、患者に投与する前は別々に異なるままであってもよい。この実施形態では、薬剤は、投与前は一緒に物理的に混合せず、同時にまたは別々の時間に別々の組成物として投与する。そのような組成物は、別々に包装することができ、またはキットとして一緒に包装してもよい。キット内の2種の治療薬は、同じ投与経路によってまたは異なる投与経路によって投与してもよい。
【0095】
本発明の化合物に適合する任意の治療薬は、第2の治療薬として使用してもよい。特に、μオピオイド受容体拮抗薬以外のメカニズムを介して働く運動促進薬を、本発明の化合物と組み合せて使用してもよい。例えば、5−HT受容体作動薬、例えばテガセロッド、レンザプリド、モサプリド、プルカロプリド、1−イソプロピル−1H−インダゾール−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−(4−アセチルピペラジン−1−イル)エチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}アミド、1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}アミド、および4−(4−{[(2−イソプロピル−1H−ベンゾイミダゾール−4−カルボニル)アミノ]メチル}−ピペリジン−1−イルメチル)ピペリジン−1−カルボン酸メチルエステルと、医薬品として許容されるその塩を、第2の治療薬として使用してもよい。
【0096】
追加の有用な運動促進薬、および胃腸障害のためのその他の薬剤には、限定するものではないが5−HT受容体作動薬(例えば、プモセトラグ)、5−HT1A受容体拮抗薬(例えば、AGI 001)、α−2−δリガンド(例えば、PD−217014)、塩化物チャネル開口薬(例えば、ルビプロストン)、ドーパミン拮抗薬(例えば、イトプリド、メタクロプラミド、ドムペリドン)、GABA−B作動薬(例えば、バクロフェン、AGI 006)、κオピオイド作動薬(例えば、アシマドリン)、ムスカリンMおよびM拮抗薬(例えば、アコチアミド)、モチリン作動薬(例えば、ミテムシナル)、グアニル酸シクラーゼ活性剤(例えば、MD−1100)、およびグレリン作動薬(例えば、Tzp 101、RC 1139)が含まれる。
【0097】
さらに、本発明の化合物は、オピオイド治療薬と組み合わせることができる。そのようなオピオイド薬には、限定するものではないがモルヒネ、ペチジン、コデイン、ジヒドロコデイン、オキシコンチン、オキシコドン、ヒドロコドン、スフェンタニル、フェンタニル、レミフェンタニル、ブプレノルフィン、メタドン、およびヘロインが含まれる。
【0098】
そのような治療薬の、数多くの追加の例は、当技術分野で知られており、任意のそのような知られている治療薬を、本発明の化合物と組み合せて用いてもよい。(1種または複数の)二次的な薬剤を含む場合には、治療有効量で、即ち本発明の化合物と同時投与したときに治療上有益な効果を発揮する任意の量で、存在する。本発明の化合物と組み合せて投与される、その他の治療薬の適切な用量は、典型的には約0.05μg/日から約100mg/日の範囲内である。
【0099】
したがって、本発明の医薬品組成物は、任意選択で上述の第2の治療薬を含む。
【0100】
以下の例は、本発明の代表的な医薬品組成物を示す:
製剤例A:経口投与用硬質ゼラチンカプセル
本発明の化合物(50g)、噴霧乾燥ラクトース(200g)、およびステアリン酸マグネシウム(10g)を、完全にブレンドする。得られた組成物を、硬質ゼラチンカプセル内に充填する(カプセル当たり組成物260mg)。
【0101】
製剤例B:経口投与用硬質ゼラチンカプセル
本発明の化合物(20mg)、デンプン(89mg)、微結晶性セルロース(89mg)、およびステアリン酸マグネシウム(2mg)を、完全にブレンドし、次いでNo.45メッシュU.S.シーブに通す。得られた組成物を、硬質ゼラチンカプセル内に充填する(カプセル当たり組成物200mg)。
【0102】
製剤例C:経口投与用ゼラチンカプセル
本発明の化合物(10mg)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(50mg)、およびデンプン粉末(250mg)を、完全にブレンドし、次いでゼラチンカプセル内に充填する(カプセル当たり組成物310mg)。
【0103】
製剤例D:経口投与用錠剤
本発明の化合物(5mg)、デンプン(50mg)、および微結晶性セルロース(35mg)を、No.45メッシュU.S.シーブに通し、完全に混合する。ポリビニルピロリドンの溶液(水中に10重量%、4mg)を、得られた粉末と混合し、次いでこの混合物をNo.14メッシュU.S.シーブに通す。このように生成された顆粒を50〜50ECで乾燥し、No.18メッシュU.S.シーブに通す。次いで事前にNo.60メッシュU.S.シーブに通したナトリウムカルボキシメチルデンプン(4.5mg)、ステアリン酸マグネシウム(0.5mg)、およびタルク(1mg)を顆粒に添加する。混合後、混合物を錠剤機で圧縮することにより、100mgの重量の錠剤が得られる。
【0104】
製剤例E:経口投与用錠剤
本発明の化合物(25mg)、微結晶性セルロース(400mg)、フュームド二酸化ケイ素(10mg)、およびステアリン酸(5mg)を完全にブレンドし、次いで圧縮して、錠剤を形成する(錠剤当たり組成物440mg)。
【0105】
製剤例F:経口投与用の、1本の溝が付いた錠剤
本発明の化合物(15mg)、コーンスターチ(50mg)、クロスカルメロースナトリウム(25mg)、ラクトース(120mg)、およびステアリン酸マグネシウム(5mg)を完全にブレンドし、次いで圧縮して、1本の溝が付いた錠剤を形成する(錠剤当たり組成物215mg)。
【0106】
製剤例G:経口投与用懸濁液
以下の成分を完全に混合して、懸濁液10mL当たり活性成分100mgを含有する経口投与用懸濁液を形成する:
【0107】
【数1】

製剤例H:乾燥粉末組成物
微粉化した本発明の化合物(1mg)をラクトース(25mg)とブレンドし、次いでゼラチン吸入カートリッジ内に充填する。カートリッジの内容物を、粉末吸入器を使用して投与する。
【0108】
製剤例J:注射用製剤
本発明の化合物(0.1g)を0.1Mクエン酸ナトリウム緩衝溶液(15mL)とブレンドする。得られた溶液のpHを、1N塩酸水溶液または1N水酸化ナトリウム水溶液を使用してpH6に調節する。次いで滅菌生理食塩液をクエン酸緩衝液に溶かしたものを添加して、全体積を20mLにする。
【0109】
特定の投与形態に適した任意の形(即ち、遊離塩基、医薬用塩、または溶媒和物)の本発明の化合物を、上記にて論じた医薬品組成物に使用できることが理解されよう。
【0110】
(有用性)
本発明の8−アザビシクロオクタン化合物は、μオピオイド受容体で拮抗薬であり、したがって、μオピオイド受容体によって媒介されたまたはμオピオイド受容体活性に関連した病状、即ちμオピオイド受容体拮抗薬による治療によって改善される病状を、治療するのに有用であることが予測される。特に本発明の化合物は、オピオイド鎮痛薬の使用に関連した悪影響、即ち、まとめてオピオイド誘発性腸機能障害と呼ばれる便秘、胃内容排出低下、腹痛、膨満、吐き気、および胃食道逆流などの症状を治療するのに、有用であることが予測される。本発明のμオピオイド受容体拮抗薬は、術後イレウス、腹部またはその他の手術後に生じる胃腸管の運動低下障害を治療するのに、有用であることも予測される。さらに、μオピオイド受容体拮抗薬化合物は、オピオイド誘発性の吐き気および嘔吐を後退させるのに使用できることが示唆されてきた。さらに、いくらかの中枢浸透を示すこれらのμオピオイド受容体拮抗薬は、麻薬、アルコール、もしくはギャンブルに対する依存性もしくは中毒を治療するのに、または肥満を予防し、治療し、かつ/または改善するのに有用と考えられる。
【0111】
本発明の化合物は、動物モデルで胃腸(GI)管の運動性を増大させるので、この化合物は、ヒトを含めた哺乳動物での運動低下によって引き起こされたGI管の障害を、治療するのに有用であることが予測される。そのようなGI運動障害には、例示として、慢性の便秘、便秘型過敏性腸症候群(C−IBS)、糖尿病性および特発性胃不全麻痺、および機能性消化不良が含まれる。
【0112】
したがって一態様では、本発明は、医薬品として許容される担体および本発明の化合物を含む治療有効量の医薬品組成物を哺乳動物に投与するステップを含む、哺乳動物の胃腸管の運動性を増大させる方法を提供する。
【0113】
GI管の運動低下障害、またはμオピオイド受容体によって媒介されたその他の状態を治療するのに使用する場合、本発明の化合物は、典型的には毎日1回の服用または毎日複数回の服用で経口投与されることになるが、その他の投与形態を使用してもよい。例えば、特に術後イレウスの治療に使用される場合、本発明の化合物は非経口的に投与してもよい。用量当たり投与される活性剤の量、または1日当たり投与される総量は、典型的には、治療がなされる状態、選択される投与経路、投与された実際の化合物およびその相対的活性、個々の患者の年齢、体重、および応答、および患者の症状の重症度を含めた関連ある状況に照らして、医師によって決定されることになる。
【0114】
GI管の障害もしくは運動低下、またはμオピオイド受容体によって媒介されたその他の障害を治療するのに適した用量は、活性剤が約0.0007から約20mg/kg/日に及ぶことになり、約0.0007から約1.4mg/kg/日が含まれる。平均70kgのヒトでは、活性剤が1日当たり約0.05から約100mgに達することになる。
【0115】
本発明の一態様では、本発明の化合物は、オピオイド誘発性腸機能障害を治療するのに使用される。オピオイド誘発性腸機能障害を治療するのに使用される場合、本発明の化合物は、典型的には、毎日1回の服用または1日当たり複数回の服用で経口投与されることになる。好ましくは、オピオイド誘発性腸機能障害を治療するための用量は、1日当たり約0.05から約100mgに及ぶことになる。
【0116】
本発明の別の態様では、本発明の化合物は、術後イレウスを治療するのに使用される。術後イレウスの治療に使用される場合、本発明の化合物は、典型的には、毎日1回の服用または1日当たり複数回の服用で経口的にまたは静脈内から投与されることになる。好ましくは、術後イレウスを治療するための用量は、1日当たり約0.05から約100mgに及ぶことになる。
【0117】
本発明は、治療有効量の本発明の化合物または本発明の化合物を含む医薬品組成物を哺乳動物に投与するステップを含む、μオピオイド受容体活性に関連した疾患または状態を有する哺乳動物を治療する方法も提供する。
【0118】
上述のように、本発明の化合物は、μオピオイド受容体拮抗薬である。したがって、本発明はさらに、本発明の化合物を哺乳動物に投与するステップを含む、哺乳動物のμオピオイド受容体に拮抗する方法を提供する。
【0119】
本発明のμオピオイド受容体拮抗薬は、任意選択で、1種または複数の別の治療薬と組み合せて、特に非μオピオイドメカニズムを介して作用する運動促進剤と組み合せて投与される。したがって別の態様では、本発明の方法および組成物は、さらに、治療有効量の別の運動促進剤を含む。
【0120】
さらに、本発明の化合物は、μオピオイド受容体を有する生物学的な系もしくはサンプルを調査もしくは試験するための、またはμオピオイド受容体活性を有する新しい化合物を発見するための、リサーチツールとしても有用である。μオピオイド受容体を有する任意の適切な生物学的な系またはサンプルは、in vitroまたはin vivoで実施され得るような試験に用いてもよい。そのような試験に適した代表的な生物学的な系またはサンプルには、限定するものではないが細胞、細胞抽出物、原形質膜、組織サンプル、および哺乳動物(マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ブタなど)などが含まれる。μオピオイド受容体を含む生物学的な系またはサンプルと本発明の化合物とを接触させる効果は、放射性リガンド結合アッセイおよび本明細書に記述される機能アッセイまたは当技術分野で知られているその他の機能アッセイなど、従来の手順および装置を使用して決定される。そのような機能アッセイには、限定するものではないが細胞内環状アデノシン一リン酸(cAMP)のリガンド媒介性変化、酵素アデニリルシクラーゼの活性のリガンド媒介性変化、GTP類似体からGDP類似体への受容体触媒交換を介した、単離された膜への[35S]GTPγS(グアノシン5’−O−(γ−チオ)トリホスフェート)やGTP−Euなどのグアノシン三リン酸(GTP)類似体の組込みのリガンド媒介性変化、および遊離細胞内カルシウムイオンのリガンド媒介性変化が含まれる。そのような試験のための、本発明の化合物の適切な濃度は、典型的には約1ナノモルから約500ナノモルに及ぶ。
【0121】
本発明の化合物を、μオピオイド受容体活性を有する新しい化合物を発見するためのリサーチツールとして使用する場合、試験化合物または試験化合物の群に関する結合または機能データを、本発明の化合物に関するμオピオイド受容体の結合または機能データと比較して、存在する場合には優れた結合または機能活性を有する試験化合物を特定する。本発明のこの態様は、個別の実施形態として、問題の試験化合物が特定されるように比較データの作成(適切なアッセイを使用する)および試験データの分析の両方を含む。
【0122】
その他の性質の中で、本発明の化合物は、μオピオイド受容体に対して強力な結合を示し、μ受容体機能アッセイでは作動性を殆どまたは完全に示さないことがわかった。したがって本発明の化合物は、強力なμオピオイド受容体拮抗薬である。さらに本発明の化合物は、動物モデルにおいて、中枢神経系活性に比べて主に末梢活性があることが実証された。したがってこれらの化合物は、鎮痛の有益な中枢効果を妨げることなく、GI運動のオピオイド誘発性の低下を覆すと予測することができる。これらの性質、ならびに本発明の化合物の有用性は、当業者に周知の様々なin vitroおよびin vivoアッセイを使用して実証することができる。代表的なアッセイについて、以下の実施例でさらに詳細に記述する。
【実施例】
【0123】
以下の合成および生物学的実施例は、本発明を例示するために提供され、本発明の範囲をいかなる方法によっても限定するものではないと解釈すべきである。以下の実施例において、以下の略語は、他に指示しない限り以下の意味を有する。以下に定義されていない略語は、一般に許容されるその意味を有する。
AcOH = 酢酸
Boc = tert−ブトキシカルボニル
(Boc) = ジカルボン酸ジ−tert−ブチル
DCM = ジクロロメタン
DIPEA = N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMF = N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO = ジメチルスルホキシド
EtOAc = 酢酸エチル
EtOH = エタノール
HATU = N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート
TFA = トリフルオロ酢酸
THF = テトラヒドロフラン
試薬(第2級アミンを含む)および溶媒を供給業者(Aldrich、Fluka、Sigmaなど)から購入し、さらに精製することなく使用した。反応は、他に指示しない限り、窒素雰囲気下で行った。反応混合物の進行を、薄層クロマトグラフィー(TLC)、分析用高性能液体クロマトグラフィー(分析HPLC)、および質量分光法によってモニタし、その詳細を以下に示し、反応の特定の実施例で別々に示した。反応混合物は、各反応で具体的に記述したように後処理し;一般にその混合物は、抽出およびその他の精製方法、例えば温度および溶媒依存性の結晶化および沈殿などによって精製した。さらに、反応混合物を分取HPLCによって通常通り精製した:全体的なプロトコルを以下に示す。反応生成物の特徴付けを、質量およびH−NMR分光分析によって通常通り実施した。NMR測定の場合、サンプルを重水素化溶媒(CDOD、CDCl、またはDMSO−d)に溶解し、H−NMRスペクトルを、Gemini 2000機器(400MHz)で、標準的な観察条件下で獲得した。化合物の質量分光同定を、Applied Biosystems(Foster City、CA)モデルAPI 150 EX機器またはAgilent(Palo Alto、CA)モデル1200 LC/MSD機器を用いてエレクトロスプレーイオン化法(ESMS)により行った。
【0124】
(調製1)
2−ベンジルオキシ−3−ブロモベンゾニトリル
0℃のDMF(60mL、800ミリモル)に懸濁した水素化ナトリウム(1.44g、60.0ミリモル)を含有するフラスコに、ベンジルアルコール(6.21mL、60.0ミリモル)を5分間にわたり添加した。反応混合物を0℃で30分間撹拌し、次いで3−ブロモ−2−フルオロベンゾニトリル(10.0g、50.0ミリモル)をDMF(20mL)に溶かしたものを添加した。反応混合物を室温に温め、80℃で2時間撹拌し、室温に冷却し、酢酸エチル(150mL)および水(150mL)で抽出した。有機層を、水(150mL)およびブライン(150mL)で洗浄し、収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗製生成物を、酢酸エチル:ヘキサン(1:3;50mL)で懸濁した。得られた懸濁液を1時間激しく撹拌し、乾燥した。母液を濃縮し結晶化した。結晶を合わせ、真空乾燥することにより、標題の化合物(10.3g)が得られた。1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz) δ(ppm): 8.04 (dd, J=1.6, 8.2 Hz, 1H), 7.87 (dd, J=1.6, 7.6 Hz, 1H), 7.56-7.51(m, 2H), 7.47-7.37 (m, 3H), 7.29 (t, J=7.9Hz, 1H), 5.20 (s,1H).
(調製2)
2−ベンジルオキシ−3−ブロモベンズアミド
調製1の生成物(10.3g、0.0357モル)を、エタノール(20mL、0.4モル)、水(3.2mL、0.18モル)、および1,4−ジオキサン(4mL、0.05モル)に溶解した。ヒドリド(ジメチルホスホニオス酸−kP)[水素ビス(ジメチルホスフィニト−kP)]白金(II)(30mg、0.00007モル)を添加し、反応混合物を一晩加熱還流した。この高温溶液に、水(約25mL)を添加した。反応混合物を室温に冷却した。得られた結晶を濾過し、酢酸エチルに溶解し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させることにより、固体(9.1g)が得られた。最初の濾液を約30mLまで蒸発させ、0℃で2時間冷却した。得られた結晶を濾過し、乾燥することによって、追加の生成物(1.65g)が得られた。1H NMR (DMSO- d6, 300 MHz) δ(ppm): 7.79 (br, 1H) 7.71 (dd, J=1.6, 8.0 Hz, 1H), 7.62 (br, 1H), 7.52-7.46 (m,3H), 7.40-7.30 (m, 3H), 7.29 (t, J=7.8Hz, 1H), 4.96 (s,1H).
(調製3)
3−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン−8−カルボン酸tert−ブチルエステル
3−オキソ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸tert−ブチルエステル(15.8g、70.0ミリモル)およびTHF(150mL)の溶液を、−78℃に冷却し、1.0MのナトリウムヘキサメチルジシラザンをTHF(84mL)に溶かした溶液を、5分間にわたって滴下した。反応混合物を1時間撹拌し、次いでN−フェニルビス(トリフルオロメタン−スルホンイミド)(25.0g、70.0ミリモル)を添加し、反応混合物を1時間撹拌した。溶液を室温に温め、1.0N NaOH(100mL)を添加し、反応混合物を15分間撹拌した。溶媒約75mLを蒸発させた。得られた溶液を酢酸エチル:ヘキサン(100mL:100mL)および水(100mL)で希釈し、1.0N NaOHで抽出し洗浄した(2×200mL)。有機層を、飽和NaCl溶液(200mL)で洗浄した。有機層を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、標題の化合物(18.2g)が暗色の油として得られ、これをさらに精製することなく使用した。
【0125】
(調製4)
3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン−8−カルボン酸tert−ブチルエステル
調製3の生成物(7.65g、0.0214モル)を、1,4−ジオキサン(75mL、0.96モル)に溶解した。反応混合物に、ビス(ピナコラート)ジボロン(5.71g、0.0225モル)、および酢酸カリウム(6.30g、0.0642モル)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン(0.5g、0.8ミリモル)、および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)であってジクロロメタンとの錯体(1:1)(0.5g、0.6ミリモル)を添加した。反応混合物を窒素でパージし、80℃で一晩撹拌し、室温に冷却した。溶液をCeliteに通して濾過し、濃縮した。粗製生成物を、ヘキサン中(5〜10%)酢酸エチルで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製した結果、標題の化合物(4.2g)が油として得られた。
【0126】
(調製5)
3−endo−(8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド
a.3−(8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン−3−イル)−2−ベンジルオキシベンズアミド(A)および3−(8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド(B)
フラスコに、2−ベンジルオキシ−3−ブロモベンズアミド(1.60g、5.23ミリモル)、3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン−8−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.75g、5.23ミリモル)、THF(30mL)、2.0M炭酸ナトリウム水溶液(10.4mL)、および塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(92mg、0.13ミリモル)を添加した。得られた混合物を窒素でパージし、一晩加熱還流し、室温に冷却した。次いで反応混合物を濃縮し、DCM(25mL)で希釈し、水(25mL)で洗浄した。有機層を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。反応混合物に、DCM(10mL)およびTFA(10mL)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌し、濃縮し、分取HPLCで精製することにより、標題の化合物の混合物がそれらのTFA塩として得られた。(A): (m/z): [M+H]+ C21H22N2O2の計算値,335.17; 実測値 336.0; (B): (m/z): [M+H]+ C14H16N2O2の計算値,245.12; 実測値 245.6.
b.3−endo−(8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド
窒素雰囲気中のフラスコに、10%Pd/C(0.1:0.9、パラジウム:カーボンブラック、0.040g)を添加した。先のステップの生成物、3−(8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン−3−イル)−2−ベンジルオキシベンズアミドTFA塩(0.400g、0.892ミリモル)および3−(8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミドTFA塩(0.220g、0.614ミリモル)をメタノール(10mL)に溶かしたものを添加し、反応混合物を水素雰囲気中で一晩撹拌し、Celiteに通して濾過し、濃縮し、分取HPLCで精製することにより、標題の化合物がそのTFA塩として得られた(0.346g)。(m/z): [M+H]+ C14H18N2O2の計算値,247.14; 実測値 247.2.
(調製6)
3−endo−(8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド
a.3−(2−ベンジルオキシ−3−シアノフェニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン−8−カルボン酸tert−ブチルエステル
フラスコに、2−ベンジルオキシ−3−ブロモベンゾニトリル(1.29g、4.47ミリモル)、3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン−8−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.50g、4.47ミリモル)、およびTHF(30mL)、2.0M炭酸ナトリウム水溶液(8.95mL)、および塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(78mg、0.11ミリモル)を添加した。反応混合物を窒素でパージし、一晩加熱還流し、室温に冷却し、濃縮した。得られた溶液をDCM(25mL)で希釈し、水(25mL)で洗浄した。有機層を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗製生成物を、ヘキサン中(0〜50%)酢酸エチルで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製することにより、部分的に精製された生成物(1.2g)が得られた。(m/z): [M+H]+ C26H28N2O3の計算値416.21; (-tert-ブチル 361.2); 実測値 361; (-Boc 317.2); 実測値 317.
b.3−(8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン−3−イル)−2−ベンジルオキシベンズアミド
先のステップの生成物(1.20g、0.00287モル)をDCM(10mL)に溶かしたものに、TFA(10mL)を添加した。反応混合物を1時間撹拌し、濃縮し、エタノールで希釈し(2×20mL)、濃縮した。エタノール(10mL)および水(4mL)を添加し、その後、ヒドリド(ジメチルホスホニオス酸−kP)[水素ビス(ジメチルホスフィニト−kP)]白金(II)(20mg、0.05ミリモル)を添加した。反応混合物を75℃で一晩加熱し、室温に冷却し、濃縮し、分取HPLCで精製することにより、標題の化合物がそのTFA塩として得られた(0.520g)。(m/z): [M+H]+ C21H22N2O2の計算値,335.17; 実測値 336.0.
c.3−endo−(8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド
窒素雰囲気中のフラスコに、10%Pd/C(0.1:0.9、パラジウム:カーボンブラック、0.050g)を添加した。先のステップの生成物(0.520g、1.16ミリモル)を添加し、反応混合物を水素雰囲気中で一晩撹拌し、Celiteに通して濾過し、濃縮し、分取HPLCで精製することにより、標題の化合物がそのTFA塩として得られた(0.310g)。(m/z): [M+H]+ C14H18N2O2の計算値,247.14; 実測値 247.2.
(調製7)
3−endo−(8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド
a.8−ベンジル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン
トリフルオロ−メタンスルホン酸8−ベンジル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン−3−イルエステル(13.2g、0.0380モル)を、1,4−ジオキサン(200mL、2モル)に溶解し、ビス(ピナコラート)ジボロン(10.1g、0.0399モル)、酢酸カリウム(11.2g、0.114モル)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.8g、0.002モル)、および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)であってジクロロメタンとの錯体(1:1)(0.9g、0.001モル)を添加した。反応混合物を窒素でパージし、80℃で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、Celiteに通して濾過し、ジクロロメタンで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製することにより、標題の中間体が褐色の油(6.0g)として得られた。
【0127】
b.8−ベンジル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン−3−イル)−2−ベンジルオキシベンズアミド
フラスコに、2−ベンジルオキシ−3−ブロモベンズアミド(3.8g、12ミリモル)、先のステップの生成物(4.0g、12ミリモル)、THF(80mL)、および2.0M炭酸ナトリウム水溶液(24.6mL)を添加し、その後、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(220mg、0.31ミリモル)を添加した。反応混合物を窒素でパージし、一晩加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、濃縮し、酢酸エチル(50mL)で希釈し、水(50mL)で洗浄した。有機層を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、ジクロロメタン:メタノール(0.5%トリエチルアミンで1%から4%の勾配)で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製することにより、部分的に精製された生成物(5.1g)が得られた。(m/z): [M+H]+ C28H28N2O2の計算値,445.22; 実測値 445.2.
c.3−endo−(8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド
窒素雰囲気中のフラスコに、パールマン触媒(0.1:0.4、水酸化パラジウム:カーボンブラック、0.500g)を添加し、次いで先のステップの生成物(4.0g、0.0094モル)およびトリフルオロ酢酸(0.92mL)をメタノール(40mL)に溶かしたものを添加した。反応混合物をを水素中(30psi)で一晩撹拌し、Celiteに通して濾過し、濃縮し、分取HPLCで精製することにより、標題の化合物がそのTFA塩(530mg)として得られ、3−exo−(8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド(90mg)が得られた。(m/z): [M+H]+ C14H18N2O2の計算値,247.14; 実測値 247.2.
(調製8)
3−endo−(8−[2−(2−エチルブチルアミノ)エチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イルー2−ヒドロキシベンズアミド)
a.2−(2−エチルブチルアミノ)エタノール
エタノール(45mL)中の3−ブロモメチル−ペンタン(6.0g、36.4ミリモル)およびエタノールアミン(13ml、218ミリモル)の混合物を、75℃で16時間加熱した。反応混合物を濃縮し、得られた残留物をDCM(70mL)で希釈した。有機層を水(70mL)で分配し、水層をDCMで抽出した。合わせた有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮することによって、標題の化合物が油として得られた(4.90g)。1H NMR (d6-DMSO, 400 MHz) δ (ppm):3.44 (t, J=5.6 Hz, 2H), 2.54 (t, J= 6.0 Hz, 2H), 2.40 (d, J= 5.6 Hz, 2H),1.31-1.25 (m, 5H), 0.83 (t, J= 6.8 Hz, 6H).
b.(2−エチルブチル)−(2−ヒドロキシエチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
先のステップの生成物(3.0g、20.7ミリモル)をDCM(30mL)に溶かした0℃の溶液に、ジカルボン酸ジ−tert−ブチル(4.06g、18.6ミリモル)の溶液を5分間にわたり滴下した。得られた溶液を室温に温め、窒素雰囲気中で一晩撹拌した。粗製反応混合物をDCM(50mL)で希釈し、1N HCl水溶液(2×50mL)、飽和NaHCO(2×50mL)、およびブライン(2×50mL)で順次洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、標題の化合物(5.4g)が得られた。1H NMR (d6-DMSO, 400 MHz) δ(ppm): 4.62 (br s, 1H) 3.44 (t, J= 6.0 Hz, 2H), 3.2 (m, 2H), 3.09 (d, J=7.2 Hz,2H), 1.50 (m, 溶媒と重複, 1H), 1.38 (s, 9H), 1.25-1.87 (m, 4H), 0.83 (t, J=7.2 Hz,6H).
c.(2−エチルブチル)−(2−オキソエチル)カルバミン酸tert−ブチルエステル
先のステップの生成物(3.4g、13.9ミリモル)をDCM(20mL)に溶かした0℃の溶液に、DMSO(1.63g、20.9ミリモル)、DIPEA(4.48g、34.7ミリモル)、および三酸化硫黄ピリジウム錯体(5.5g、34.7ミリモル)を順次添加した。反応混合物を16時間撹拌し、DCM(20mL)で希釈し、1N HCl水溶液(50mL)、飽和NaHCO(50mL)、およびブライン(50mL)で順次洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗製材料をシリカゲルに通して濾過し、DCMで溶出した。濃縮後、標題の化合物が濃いオレンジ色の油(2.34g)として得られた。(m/z): [M+H]+ C13H25NO3の計算値,244.18; 実測値, 244.0.
d.2−[3−endo−(3−カルバモイル−2−ヒドロキシフェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル]−エチル−(2−エチルブチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
フラスコに、3−endo−(8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミドTFA塩(0.260g、0.722ミリモル)、(2−エチルブチル)−(2−オキソエチル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(0.211g、0.866ミリモル)、およびDIPEA(126μL、0.72ミリモル)をDCM(8.7mL)に溶かしたものを添加し、その後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.184g、0.866ミリモル)を添加した。反応混合物を濃縮し、分取HPLCで精製することにより、標題の化合物がそのTFA塩(0.360g)として得られた。(m/z): [M+H]+ C27H43N3O4の計算値,474.33; 実測値 474.4.
e.3−endo−(8−[2−(2−エチルブチルアミノ)エチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル−2−ヒドロキシベンズアミド
先のステップの生成物(0.360g、0.760ミリモル)をDCM(10mL)に溶解した。トリフルオロ酢酸(10mL)を添加し、反応混合物を2時間撹拌し、濃縮し、水(5mL)およびアセトニトリル(5g)に溶解した。得られた溶液を冷凍し凍結乾燥することにより、標題の化合物(220mg)が得られ、これをさらに精製することなく使用した。(m/z): [M+H]+ C22H35N3O2の計算値,374.27; 実測値 373.8.
(調製9)
3−endo−(8−2−[(4,4−ジフルオロシクロヘキシルメチル)アミノ]−エチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド
a.(4,4−ジフルオロシクロヘキシル)メタノール
4,4−ジフルオロシクロヘキサンカルボン酸エチルエステル(7.1g、37ミリモル)をTHF(50mL)に混合した、0℃に冷却された反応混合物に、2.0Mのテトラヒドロアルミン酸リチウムをTHF(18.5mL)に溶かした溶液に10分間にわたり滴下した。反応混合物を0℃で1時間撹拌した。水(5mL)を滴下し、その後、1.0N NaOH(5mL)を滴下した。反応混合物をCeliteに通して濾過し、THFを蒸発させ、得られた水溶液をブライン(50mL)で希釈し、酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機層を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、標題の化合物が透明な油(5.6g)として得られ、これをさらに精製することなく使用した。
【0128】
b.メタンスルホン酸4,4−ジフルオロシクロヘキシルメチルエステル
先のステップの生成物(5.5g、0.037モル)およびトリエチレンジアミン(4.11g、0.0366モル)をDCM(50mL)に溶かした、0℃に冷却された溶液に、塩化メタンスルホニル(3.12mL、0.0403モル)を滴下した。反応混合物を0℃で30分間撹拌し、室温に温め、水(100mL)で洗浄した。有機層を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、標題の化合物が白色固体(8.5g)として得られ、これをさらに精製することなく使用した。
【0129】
c.2−[(4,4−ジフルオロシクロヘキシルメチル)アミノ]エタノール
先のステップの生成物(8.4g、0.037モル)およびエタノールアミン(20mL、0.4モル)をエタノール(20mL)に溶かした溶液を、65℃で一晩撹拌した。反応混合物を濃縮し、酢酸エチル(50mL)および水(150mL)で抽出した。有機層を水(100mL)で洗浄し、次いでブライン(50mL)で洗浄した。有機層を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、標題の化合物(3.3g)が得られた。
【0130】
d.(4,4−ジフルオロシクロヘキシルメチル)−(2−ヒドロキシエチル)カルバミン酸tert−ブチルエステル
先のステップの生成物(3.0g、16ミリモル)およびDIPEA(2.70mL)をDCM(80mL)に溶かした溶液に、ジ−tert−ブチルジカーボネート(2.7g、12ミリモル)をDCM(20mL)に溶かした溶液に滴下した。反応混合物を1時間撹拌し、0.1N HCl(150mL)で洗浄し、次いで水(100mL)で洗浄した。有機層を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、標題の化合物が黄色の油(4.0g)として得られた。
【0131】
e.(4,4−ジフルオロシクロヘキシルメチル)−(2−オキソエチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
DIPEA(4.75mL)および先のステップの生成物(4.0g、0.0136モル)をDCM(20mL)に溶かした、−20℃に冷却した溶液に、三酸化硫黄−ピリジン錯体(4.34g、0.0273モル)をDMSO(20g)に溶かした溶液に添加した。反応混合物を1時間撹拌し、次いでDCM(50mL)を添加した。反応混合物を10%AcOH水溶液(100mL)および水(100mL)で洗浄した。有機層を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、油が得られた。粗製生成物を、ヘキサン中10から40%の酢酸エチルで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製することにより、標題の化合物が油(2.8g)として得られた。
【0132】
f.3−endo−(8−2−[(4,4−ジフルオロシクロヘキシルメチル)アミノ]−エチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド
3−endo−(8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミドTFA塩(0.10g、0.278ミリモル)(調製6)、先のステップの生成物(0.130g、0.447g)、およびDIPEA(70.7μL、0.406ミリモル)をDCM(5mL)に溶かした溶液に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.0946g、0.447ミリモル)を添加した。反応混合物を1時間撹拌し、次いで濃縮した。DCM(5mL)を添加し、その後、トリフルオロ酢酸(5mL、0.06モル)を添加した。反応混合物を30分間撹拌し、濃縮し、分取HPLCで精製することによって、標題の化合物がそのTFA塩(0.102g)として得られた。(m/z): [M+H]+ C23H33F2N3O2の計算値,422.25; 実測値 422.0.
(調製10)
3−endo−(8−[2−(2,2−ジメチルプロピルアミノ)エチル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド
a.2,2−ジメチルプロピル−(2−オキソエチル)−カルバミン酸ベンジルエステル
ピバルデヒド(1.00mL、0.00921モル)をDCM(30mL)に溶かした溶液に、2,2−ジエトキシ−エタナミン(1.35mL、0.00921モル)を添加し、その後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.15g、0.0101モル)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いでDIPEA(1.43g、0.0110モル)を添加した。反応混合物を0℃に冷却し、クロロギ酸ベンジル(1.88g、0.0110モル)を滴下した。反応混合物を1時間撹拌し、濃縮し、6M TFA水溶液(20mL)を添加した。反応混合物を2時間撹拌し、TFAを真空中で除去した。得られた水溶液を、飽和NaCl(15mL)で希釈した。生成物を酢酸エチル(25mL)で抽出した。有機層を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗製生成物を、ヘキサン中10〜20%の酢酸エチルで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製することにより、油(2.2g)が得られ、これをフラッシュカラムクロマトグラフィーでさらに精製することにより、標題の化合物が黄色の油(0.72g)として得られた。
【0133】
b.2−[3−endo−(3−カルバモイル−2−ヒドロキシフェニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル]−エチル−(2,2−ジメチル−プロピル)カルバミン酸ベンジルエステル
3−endo−(8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミドTFA塩(0.10g、0.278ミリモル)(調製6)、先のステップの生成物(80.4mg、0.305ミリモル)をDCM(5mM、0.08モル)に溶かした溶液に、DIPEA(48.3μL、0.27ミリモル)を添加し、その後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(70.6mg、0.333ミリモル)を添加した。反応混合物を1時間撹拌し、濃縮し、分取HPLCで精製することにより、標題の化合物がそのTFA塩(0.15g)として得られた。(m/z): [M+H]+ C29H39N3O4の計算値,494.29; 実測値 494.6.
c.3−endo−(8−[2−(2,2−ジメチルプロピルアミノ)エチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド
先のステップの生成物(0.150g、0.247ミリモル)をメタノール(5mL、0.1モル)に溶かした溶液に、10%Pd/C(0.1:0.9、パラジウム:カーボンブラック、15mg)を添加した。反応混合物を水素雰囲気中で2時間撹拌し、Celiteに通して濾過し、濃縮することにより、標題の化合物が白色固体(0.12g)として得られた。(m/z): [M+H]+ C22H35N3O2の計算値,360.26; 実測値 360.4.
(調製11)
3−endo−(8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド
a.3−ブロモ−2−tert−ブトキシ−ベンゾニトリル
3−ブロモ−2−フルオロ−ベンゾニトリル(40.0g、0.200モル)およびテトラヒドロフラン(200mL)の混合物を0℃に冷やし、5分間撹拌した。カリウムtert−ブトキシド(130mL、0.210モル)の溶液を0℃で滴下し、反応をそのまま90分間にわたり撹拌しながらRTに温めた。反応を、水(200mL)および2M NaCO(100mL)でクエンチ処理し、EtOAc(3×200mL)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥し、溶媒を回転式蒸発で除去することにより、標題の化合物が薄黄色の油として得られた。
【0134】
b.3−(8−ベンジル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン−3−イル)−2−tert−ブトキシ−ベンゾニトリル
3−ブロモ−2−tert−ブトキシ−ベンゾニトリル(30.73g、0.121モル)をTHF(100mL)に溶かした0℃の溶液に、2Mの塩化イソプロピルマグネシウムをTHF(60mL)に溶かした溶液を滴下した。反応混合物を1時間撹拌し、次いでテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(2.33g、0.002モル)を添加し、その後、トリフルオロ−メタンスルホン酸8−ベンジル−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン−3−イルエステル(35.00g、0.101モル)をTHF(23mL)に溶かした溶液を添加した。反応混合物を80℃で1時間還流し、RTに冷却し、ブラインで洗浄し、EtOAcで抽出した(2×)。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を蒸発させることにより、標題の化合物(39.2g)が得られ、これをさらに精製することなく使用した。(m/z): [M+H]+ C25H28N2Oの計算値373.22; 実測値 373.2.
c.3−(8−ベンジル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン−3−イル)−2−ヒドロキシ−ベンズアミド
トリフルオロ酢酸(50mL)および硫酸(20mL)を、粗製の3−(8−ベンジル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン−3−イル)−2−tert−ブトキシ−ベンゾニトリル(37.53g、0.101モル)に添加し、反応混合物を65℃で一晩加熱し、氷水に注ぎ、pH7に中和した。水層をEtOAcで抽出し(3×)、溶媒を蒸発させた。反応混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(10分 7%MeOH:DCM、10分 10%MeOH:DCM、30分間かけて20%MeOH:DCMに上昇)で精製することにより、標題の化合物(22.15g)が得られた。(m/z): [M+H]+ C21H22N2O2の計算値335.17; 実測値 335.4
d.3−endo−(8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド
エタノール(1.23L)をパラジウム(6.15g、0.058モル)(10%Pd、50%水)にゆっくり添加した。反応混合物を5分間撹拌し、3−(8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−2−エン−3−イル)−2−ヒドロキシ−ベンズアミド(6.15g、0.018モル)をEtOH(40mL)に溶かした溶液を添加し、次いでギ酸アンモニウム(12.30g、0.195モル)をゆっくり添加した。反応混合物を60℃で約3時間加熱し、セライトに通して濾過し、EtOHで洗浄した。溶媒を回転式蒸発で除去することにより、標題の化合物のギ酸塩(5.46g)が得られた。(m/z): [M+H]+ C14H18N2O2247.14の計算値; 実測値 247.4. 1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ (ppm):8.54 (s, 1H), 8.45 (s, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.75 (d, J=7.8Hz, 1H), 7.48 (d,J=7.32Hz, 1H), 6.82 (t, J=7.64Hz, 1H), 3.92 (s, 2H), 3.35 (m, 2H), 2.37 (m,2H), 1.95 (m, 2H), 1.80 (m, 4H).2次元核オーバーハウザー効果分光法(NOESY)データを分析し、endo配置と矛盾しないことがわかった。
【0135】
(調製12)
3−endo−(8−2−[(4,4−ジフルオロ−シクロヘキシルメチル)−アミノ]−エチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシ−ベンズアミド
a.(4,4−ジフルオロ−シクロヘキシルメチル)−(2−ヒドロキシ−エチル)−カルバミン酸ベンジルエステル
クロロギ酸ベンジル(4.8mL、33.2ミリモル)を、2−[(4,4−ジフフオロ−シクロヘキシルメチル)−アミノ]−エタノール(6.41g、33.2ミリモル)およびDIPEA(5.8mL)をDCM(200mL)に溶かした溶液に添加し、反応混合物を1時間撹拌した。反応混合物を0.1N HCl(150ml)で洗浄し、次いで水(100mL)で洗浄した。有機層を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、標題の生成物が透明な油(9.1g)として得られ、これを一晩、部分的に結晶化した。
【0136】
b.(4,4−ジフルオロ−シクロヘキシルメチル)−(2−オキソ−エチル)−カルバミン酸ベンジルエステル
DIPEA(9.68mL、0.056モル)および先のステップの生成物(9.1g、0.028モル)をDCM(40mL)に溶かした溶液を−20℃に冷却し、三酸化硫黄−ピリジン錯体(8.85g、0.056モル)をジメチルスルホキシド(20mL)に溶かしたものを添加した。反応混合物を1時間撹拌し、DCM(50mL)を添加した。反応混合物を10%AcOH水溶液(100mL)で洗浄し、次いで水(100mL)で洗浄した。有機層を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、油が得られた。粗製生成物を、ヘキサン中10〜40%酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより、標題の化合物が油(6.3g)として得られた。
【0137】
c.2−[(3−endo−(3−カルバモイル−2−ヒドロキシ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル]−エチル−(4,4−ジフルオロ−シクロヘキシルメチル)−カルバミン酸ベンジルエステル
トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(142mg、0.67ミリモル)を、3−endo−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル−2−ヒドロキシ−ベンズアミドTFA塩(220mg、0.61ミリモル)、(4,4−ジフルオロ−シクロヘキシルメチル)−(2−オキソ−エチル)−カルバミン酸ベンジルエステル(218mg、0.67ミリモル)、およびDIPEA(110μL、0.61モル)をDCM(10mL)に溶かした溶液に添加した。反応混合物を1時間撹拌し、濃縮し、分取HPLCで精製することにより、TFA塩(0.260g)が得られた。粗製生成物をDCM(10mL)で溶解し、1M NaHCO(10mL)で洗浄した。有機層を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、標題の化合物(215mg)が得られた。(m/z): [M+H]+ C31H39F2N3O4の計算値,556.29; 実測値 556.2.
d.3−endo−(8−2−[(4,4−ジフルオロ−シクロヘキシルメチル)−アミノ]−エチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシ−ベンズアミド
先のステップの生成物(215mg、0.39モル)をメタノール(10mL)に溶かした溶液を、水酸化パラジウム(20mg、0.14ミリモル)に添加した。反応を水素雰囲気中で一晩撹拌した。反応をセライトに通して濾過し、濃縮することにより、標題の化合物(160mg)が得られた。(m/z): [M+H]+ C23H33F2N3O2の計算値,422.25; 実測値 422.2.
(調製13)
3−endo−[8−(3−アミノ−プロピル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル]−2−ヒドロキシ−ベンズアミド
a.3−endo−[3−(3−カルバモイル−2−ヒドロキシ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル]−プロピル−カルバミン酸ベンジルエステル
トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(249mg、1.17ミリモル)を、3−endo−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル−2−ヒドロキシ−ベンズアミドギ酸塩(286mg、0.98ミリモル)および(3−オキソ−プロピル)−カルバミン酸ベンジルエステル(223mg、1.08ミリモル)をDMF(3mL)に混合した混合物に添加した。反応混合物を1時間撹拌し、濃縮し、分取HPLCで精製することにより、標題の化合物がそのTFA塩(460mg)として得られた。(m/z): [M+H]+ C25H31N3O4の計算値438.23; 実測値 438.2.
b.3−endo−[8−(3−アミノ−プロピル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル]−2−ヒドロキシ−ベンズアミド
先のステップの生成物(460mg、0.83ミリモル)をメタノール(10mL)に溶かした溶液に、パールマン触媒、湿式(0.1:0.4:0.5、水酸化パラジウム:カーボンブラック:水、46mg、0.03ミリモル)を添加した。反応混合物を水素雰囲気中に置き、一晩撹拌し、セライトに通して濾過し、濃縮することにより、標題の化合物がそのTFA塩(310mg)として得られた。(m/z): [M+H]+ C17H25N3O2の計算値304.19; 実測値 304.2.
(調製14)
3−endo−8−[2−(シクロヘキシルメチル−アミノ)−エチル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル−2−ヒドロキシ−ベンズアミド
トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(453mg、2.14ミリモル)を、シクロヘキシルメチル−(2−オキソ−エチル)−カルバミン酸ベンジルエステル(309mg、1.06ミリモル)、3−endo−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル−2−ヒドロキシ−ベンズアミドホルメート(250mg、0.86ミリモル)、およびDMF(5mL)の混合物に添加した。反応混合物を2時間撹拌し、酢酸エチル(10mL)および飽和NaHCO(10mL)で抽出した。有機層を収集し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた固体をメタノール(10mL)で溶解し、窒素雰囲気中に置いた。パールマン触媒、湿式(0.1:0.4:0.5、水酸化パラジウム:カーボンブラック:水、0.25mg)を添加し、反応混合物を水素雰囲気中で一晩撹拌し、セライトに通して濾過し、濃縮することにより標題の中間体が得られ、これをさらに精製することなく使用した(270mg)。(m/z): [M+H]+ C23H35N3O2の計算値386.27; 実測値 386.6.
(実施例1)
3−endo−(8−{2−[((S)−2,3−ジヒドロキシプロピオニル)−(2−エチルブチル)−アミノ]エチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド
3−endo−(8−[2−(2−エチルブチルアミノ)エチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル−2−ヒドロキシベンズアミドTFA(20mg、0.033ミリモル)(調製8)、リチウム(S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボキシレート(5.56mg、0.0366ミリモル)、およびDIPEA(17μL、0.10ミリモル)をDMF(0.3mL)に溶かした溶液に、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(13.9mg、0.0366ミリモル)を添加した。反応混合物を2時間撹拌し、濃縮した。酢酸(0.5mL)および水(0.5mL)を添加し、反応混合物を75℃で一晩撹拌し、室温に冷却し、分取HPLCで精製することにより、標題の化合物がそのTFA塩(8.0mg)として得られた。(m/z): [M+H]+ C25H39N3O5の計算値462.29; 実測値: 462.3. 1H NMR (CD3OD 400MHz) 7.7(dd, 1H),7.6(d,1H), 6.9(t,1H), 4.6 (t,1H), 4.2 (m,1H), 4.1-4.0 (m,2H), 3.8 (3,2H),3.7-3.6 (m,1H), 3.6-3.3 (m,3H), 3.3-3.2 (m,2H), 2.8-2.6 (m,2H), 2.4-2.2 (m,4H),2.2-2.0 (m,2H), 1.7-1.6 (m,1H), 1.5-1.3 (m,4H), 1.1-0.9 (m,6H).
(実施例2)
3−endo−(8−2−[(2−エチルブチル)−(2−ヒドロキシアセチル)アミノ]−エチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド
3−endo−(8−[2−(2−エチルブチルアミノ)エチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル−2−ヒドロキシベンズアミドTFA(65mg、0.11ミリモル)(調製8)およびDIPEA(22μL、0.13ミリモル)をDCM(2mL)に溶かした溶液に、塩化アセトキシアセチル(14μL、0.13ミリモル)を添加した。反応混合物を1時間撹拌し、濃縮した。メタノール(5mL)を添加し、その後、6N NaOH(200μL)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、濃縮し、分取HPLCで精製することにより、標題の化合物がそのTFA塩(33mg)として得られた。(m/z): [M+H]+ C24H37N3O4の計算値432.28; 実測値: 432.8.
(実施例3)
3−endo−(8−2−[(2−エチルブチル)−(2−メタンスルホニルアセチル)アミノ]−エチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド
3−endo−(8−[2−(2−エチルブチルアミノ)エチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル−2−ヒドロキシベンズアミドTFA(20mg、0.033ミリモル)(調製8)、メタンスルホニル−酢酸(5.05mg、0.0366ミリモル)、およびDIPEA(17μL、0.10ミリモル)をDMF(10.3mL)に溶かした溶液に、N,N,N’N’−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(15mg、0.040ミリモル)を添加した。反応混合物を2時間撹拌し、濃縮し、分取HPLCで精製することにより、標題の化合物がそのTFA塩(8.8mg)として得られた。(m/z): [M+H]+ C25H39N3O5Sの計算値494.26; 実測値: 494.6.
(実施例4)
3−endo−(8−2−[(4,4−ジフルオロシクロヘキシルメチル)−(2−ヒドロキシアセチル)−アミノ]エチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド
3−endo−(8−2−[(4,4−ジフルオロシクロヘキシルメチル)アミノ]エチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミドTFA塩(15mg、0.028ミリモル)(調製9)およびDIPEA(12μL、0.071ミリモル)をDCM(5mL)に溶かした溶液に、塩化アセトキシアセチル(4.6μL、0.0439ミリモル)を添加した。反応混合物を1時間撹拌し、濃縮した。メタノール(2mL)を添加し、その後、6N NaOH(60μL)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、濃縮し、分取HPLCで精製することにより、標題の化合物がそのTFA塩(9.2mg)として得られた。(m/z): [M+H]+ C25H35F2N3O4の計算値480.26; 実測値: 480.2.
(実施例5)
3−endo−(8−2−[(2,2−ジメチルプロピル)−(2−ヒドロキシアセチル)アミノ]−エチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド
3−endo−(8−2−[(4,4−ジフルオロ−シクロヘキシルメチル)アミノ]エチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミドTFA塩の代わりに3−endo−(8−[2−(2,2−ジメチルプロピルアミノ)エチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミドTFA塩(調製10)を使用した実施例4の手順に従い、標題の化合物がそのTFA塩として調製された。(m/z): [M+H]+ C23H35N3O4の計算値418.26; 実測値: 418.8.
(実施例6)
3−endo−(8−{2−[((S)−2,3−ジヒドロキシプロピオニル)−(2,2−ジメチルプロピル)アミノ]エチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル−2−ヒドロキシベンズアミド
3−endo−(8−[2−(2−エチルブチルアミノ)エチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル−2−ヒドロキシベンズアミドTFAの代わりに3−endo−(8−[2−(2,2−ジメチル−プロピルアミノ)エチル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシ−ベンズアミドTFA(調製10)を使用した実施例1の手順に従い、標題の化合物がそのTFA塩として調製された。(m/z): [M+H]+ C24H37N3O5の計算値448.27; 実測値: 448.2.
(実施例7)
3−endo−(8−{2−[シクロヘキシルメチル−(2−ヒドロキシアセチル)アミノ]−エチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド
a.酢酸[シクロヘキシルメチル−(2−ヒドロキシエチル)カルバモイル]−メチルエステル
2−(シクロヘキシルメチルアミノ)−エタノール(600mg、3.8ミリモル)をDCM(6mL)に溶かした0℃の溶液に、DIPEA(588mg、4.6ミリモル)を添加し、次いで塩化アセトキシアセチル(467mg、3.44ミリモル)を5分間かけて添加した。得られた混合物を室温に温め、窒素雰囲気中で一晩撹拌し、DCMで希釈し、1N HCl水溶液、飽和NaHCO、およびブラインで順次洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、標題の化合物(914mg)が得られた。(m/z): [M+H]+ C13H23NO4の計算値,258.16; 実測値, 258.0.
b.酢酸[シクロヘキシルメチル−(2−オキソ−エチル)−カルバモイル]−メチルエステル
先のステップの生成物(916g、3.56ミリモル)をDCM(10mL)に溶かした0℃の溶液に、DMSO(417mg、5.34ミリモル)、DIPEA(1.12g、8.9ミリモル)、および三酸化硫黄ピリジウム錯体(1.42g、8.9ミリモル)を順次添加した。反応混合物を72時間撹拌し、DCMで希釈し、1N HCl水溶液およびブラインで順次洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗製材料をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中、20から100% EtOAc)で精製することにより、標題の中間体が得られた。濃縮後、標題の化合物が、濃いオレンジ色の油(260mg)として得られ、次のステップでさらに精製することなく使用した。
【0138】
c.酢酸({2−[3−endo−(3−カルバモイル−2−ヒドロキシフェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル]エチル}シクロヘキシルメチル−カルバモイル)−メチルエステル
3−endo−(8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミドTFA塩(32mg、0.09ミリモル)をDCM(0.3mL)に溶かした懸濁液に、酢酸[シクロヘキシルメチル−(2−オキソ−エチル)−カルバモイル]−メチルエステル(34mg、0.13ミリモル)およびDIPEA(23mg、0.18ミリモル)を添加した。反応混合物を30分間撹拌し、次いでトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(28mg、0.13ミリモル)を添加し、混合物を1時間撹拌した。反応混合物をDCM(1mL)で希釈し、飽和重炭酸ナトリウム(2mL)で洗浄した。有機層を濃縮することにより、標題の化合物が得られ、これをさらに精製することなく次にステップで使用した。(m/z): [M+H]+ C27H39N3O5の計算値,486.29; 実測値, 486.4.
d.3−endo−(8−{2−[シクロヘキシルメチル−(2−ヒドロキシアセチル)アミノ]−エチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド
先のステップからの油状残留物をエタノール(0.3mL)に溶解し、LiOH・HO(10mg、0.5ミリモル)を水(0.08mL)に溶かした溶液で2時間処理した。溶媒を濃縮し、残留物を50%酢酸水溶液(1.2mL)に溶解し、濾過し、分取HPLCで精製することにより、標題の化合物がそのTFA塩(22.7mg)として得られた。(m/z): [M+H]+ C25H37N3O4の計算値,444.28; 実測値, 445.0.
(実施例8)
3−endo−(8−2−[(4,4−ジフルオロ−シクロヘキシルメチル]−((S)−2,3−ジヒドロキシ−1−オキソ−プロピル)−アミノ]−エチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシ−ベンズアミド
3−endo−(8−2−[(4,4−ジフルオロ−シクロヘキシルメチル)−アミノ]−エチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシ−ベンズアミド(60.0mg、0.14ミリモル)およびリチウム(S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボキシレート(32mg、0.21ミリモル)をDMF(2mL)に溶かした溶液に、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(65mg、0.17ミリモル)を添加した。反応混合物を一晩撹拌し、濃縮した。得られた固体を、70℃の1:1のAcOH:水で一晩撹拌し、分取HPLCで精製することにより、標題の化合物がそのTFA塩(65mg)として得られた。(m/z): [M+H]+ C26H37F2N3O5の計算値510.27; 実測値 510.6.
(実施例9)
3−endo−(8−2−[(4,4−ジフルオロ−シクロヘキシルメチル)−(2−メタンスルホニル−アセチル)−アミノ]−エチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル−2−ヒドロキシ−ベンズアミド
3−endo−(8−2−[(4,4−ジフルオロ−シクロヘキシルメチル)−アミノ]−エチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシ−ベンズアミド(310mg、0.74ミリモル)をDMF(2.1mL)に溶かした溶液に、DIPEA(154μL、0.88ミリモル)を添加し、その後、メタンスルホニル−酢酸(112mg、0.81ミリモル)を添加し、次いでN,N,N’,N’−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(336mg、0.88ミリモル)を添加した。反応混合物を一晩撹拌し、濃縮し、分取HPLCで精製することにより、標題の化合物がそのTFA塩(199mg)として得られた。1H NMR (CD3OD, 400 mHz) δ(ppm) 7.69 (dd, J= 8.0 Hz, 1.5 Hz, 1H), 7.70-7.64 (m, 2H), 7.44-7.34 (m, 3H),7.32 (dd, J= 7.5 Hz, 1.8 Hz, 1H), 6.84 (t, J=7.8 Hz, 1H), 6.6-6.1 (m, 1H), 4.12(dd, J=17.8 Hz, 8.4 Hz, 2H), 3.80-3.68 (m, 2H), 3.18-3.06 (m, 1H), 2.46-2.30(m, 2H), 2.29-2.14 (m, 2H), 2.03-1.93 (m, 1H). (m/z): [M+H]+ C26H37F2N3O5Sの計算値542.24; 実測値 542.6.
(実施例10および11)
適切な8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシ−ベンズアミド誘導体を使用した実施例9のプロセスに従い、以下の化合物のTFA塩を調製した:
実施例10:3−endo−(8−2−[(2,2−ジメチル−プロピル)−(2−メタンスルホニル−アセチル)−アミノ]−エチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシ−ベンズアミド(m/z): [M+H]+ C24H37N3O5Sの計算値480.25; 実測値 480.0.
実施例11:3−endo−(8−2−[シクロヘキシルメチル−(2−メタンスルホニル−アセチル)−アミノ]−エチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシ−ベンズアミド(m/z): [M+H]+ C26H39N3O5Sの計算値506.26; 実測値 506.2
(実施例12)
3−endo−(8−2−[シクロヘキシルメチル−((S)−2,3−ジヒドロキシ−1−オキソ−プロピル)−アミノ]−エチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシ−ベンズアミド
適切な8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシ−ベンズアミド誘導体を使用した実施例8のプロセスに従い、標題の化合物のTFA塩を調製した。(m/z): [M+H]+ C26H39N3O5の計算値474.29; 実測値 474.2.
(実施例13)
3−endo−[8−(3−ベンゾイルアミノ−プロピル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル]−2−ヒドロキシ−ベンズアミド
塩化ベンゾイル(5.56μL、0.05ミリモル)を、3−endo−[8−(3−アミノ−プロピル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル]−2−ヒドロキシ−ベンズアミドTFA(20mg;0.05ミリモル)およびDIPEA(16μL、0.10ミリモル)をアセトニトリル(0.50mL)およびDCM(0.50mL)に溶かした溶液に添加した。反応混合物を30分間撹拌し、濃縮し、分取HPLCで精製することにより、標題の化合物がそのTFA塩(16mg)として得られた。(m/z): [M+H]+ C24H29N3O3の計算値408.22; 実測値 408.2.
(実施例14から18)
適切な酸塩化物を使用して実施例13の手順に従い(実施例14から16)、または3−endo−[8−(3−アミノ−プロピル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル]−2−ヒドロキシ−ベンズアミドTFAおよび適切な酸を使用して実施例9の手順に従い(実施例17および18)、表1の化合物のTFAを調製した。
【0139】
【表1】

(実施例19)
N−{2−[3−endo−(3−カルバモイル−2−ヒドロキシ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル]−エチル}−N−(2−エチル−ブチル)−スクシンアミド酸
無水コハク酸(32mg、0.32ミリモル)に、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(120mg、0.32ミリモル)を添加し、その後、3−endo−8−[2−(2−エチル−ブチルアミノ)−エチル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル−2−ヒドロキシ−ベンズアミド(58.9mg、016ミリモル)およびDIPEA(81mg、0.63ミリモル)をDMF(0.5mL)に溶かした溶液を添加した。得られた混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、1:1 AcOH;HO(1.5mL)に溶解し、濾過し、分取HPLCで精製することにより、標題の化合物がそのTFA塩(43.8mg)として得られた。(m/z): [M+H]+ C26H39N3O5の計算値474.29; 実測値 474.2.
(実施例20から26)
実施例19の概略的手順に従い、表2の化合物のTFA塩を調製した:
【0140】
【表2】

(アッセイ1)
ヒトμ、ヒトδ、およびモルモットκオピオイド受容体に関する放射性リガンド結合アッセイ
a.膜調製
ヒトμオピオイドまたはモルモットκ受容体cDNAを安定的にトランスフェクトしたCHO−K1(チャイニーズハムスター卵巣)細胞を、10%FBS、100単位/mlペニシリン−100μg/mLストレプトマイシン、および800μg/mLジェネテシンが補われたHam’s−F12培地からなる培地で、5%COの加湿インキュベータ内で、37℃で成長させた。受容体発現レベル(それぞれ、Bmax約2.0および約0.414ピコモル/mgタンパク質)は、膜放射性リガンド結合アッセイで[H]−ジプレノルフィン(比活性度約50〜55Ci/ミリモル)を使用して決定した。
【0141】
細胞を、80〜95%の密集度(<25継代培養)に成長させた。細胞系継代では、細胞単層を室温で5分間インキュベートし、5mM EDTAが補われたPBS 10ml中に、機械的に撹拌することによって収集した。再懸濁後、細胞を40mLの新鮮な成長培地に移し、1000rpmで5分間遠心分離し、適切な分割比で新鮮な成長培地に再懸濁した。
【0142】
膜調製では、細胞を、5mMのEDTAをPBSに溶かした溶液と共に穏やかに機械的に撹拌することによって収集し、その後、遠心分離を行った(2500gで5分間)。ペレットを、アッセイ緩衝液(50mM 4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)(HEPES))、pH7.4に再懸濁し、氷上のポリトロンディスラプタで均質化した。得られたホモジネートを遠心分離し(1200gで5分間)、ペレットを廃棄し、上澄みを遠心分離した(40000gで20分間)。ペレットを、アッセイ緩衝液に再懸濁することにより1回洗浄し、その後、追加の遠心分離を行った(40000gで20分間)。最終的なペレットをアッセイ緩衝液(1当量 T−225フラスコ/1mLアッセイ緩衝液)に再懸濁した。タンパク質濃度を、Bio−Rad Bradfordタンパク質アッセイキットを使用して決定し、膜を、−80℃に凍結した一定分量中に、必要となるまで保存した。
【0143】
ヒトδオピオイド受容体(hDOP)膜を、Perkin Elmerから購入した。[H]−ナトリンドール放射性リガンド結合アッセイで飽和分析によって決定された、これら膜に関して報告されたKおよびBmaxは、それぞれ0.14nM(pK=9.85)および2.2pmol/mgタンパク質であった。タンパク質濃度は、Bio−Rad Bradfordタンパク質アッセイキットを使用して決定した。膜を、必要になるまで−80℃に凍結した一定分量中に保存した。
【0144】
b.放射性リガンド結合アッセイ
放射性リガンド結合アッセイは、0.025%ウシ血清アルブミン(BSA)が補われたアッセイ緩衝液中に適切な量の膜タンパク質(μ、δ、およびκに関してそれぞれ約3、約2、および約20μg)を含有する、全アッセイ体積が200μLである、Axygen 1.1mLディープウェル96ウェルポリプロピレンアッセイプレートで行った。放射性リガンドのK値の決定に関する飽和結合試験は、0.001nM〜5nMに及ぶ8〜12の異なる濃度の[H]−ジプレノルフィンを使用して行った。化合物のpKi値決定用の置換アッセイは、μ、δ、およびκに関してそれぞれ0.5、1.2、および0.7nMである[H]−ジプレノルフィンと、10pM〜100μMに及ぶ化合物の11の濃度を用いて行った。
【0145】
結合データは、一部位競合に関する3−パラメータモデルを使用する、GraphPad Prismソフトウェアパッケージ(GraphPad Software,Inc.、San Diego、CA)による非線形回帰分析によって分析した。曲線最小値を、10μMナロキソンの存在下で決定される非特異的結合の値に固定した。試験化合物のK値は、Prismで、最も良く適合するIC50値および放射性リガンドのK値から、Cheng−Prusoff方程式(K=IC50/(1+([L]/K))(式中、[L]=[H]−ジプレノルフィンの濃度)を使用して計算した。結果を、10を底にしたK値の対数に負号をつけたもの、pKとして表す。
【0146】
これらのアッセイでより高いpK値を有する試験化合物は、μ、δ、またはκオピオイド受容体に関してより高い結合親和性を有する。実施例1〜26の化合物を、これらのアッセイで試験した。化合物の全ては、ヒトμオピオイド受容体で約8.4から約10.7の間のpK値を有していた。例えば実施例1、2、および6の化合物は、それぞれ10.0、10.0、および9.6のpK値を有していた。本発明の化合物は、ヒトδおよびモルモットκオピオイド受容体で約7.5から約10.2の間のpK値も示した。
【0147】
(アッセイ2)
ヒトμオピオイド受容体を発現するCHO−K1細胞から調製された膜における、μオピオイド受容体の作動薬媒介性活性化
このアッセイでは、試験化合物の効力および内因活性の値を、ヒトμオピオイド受容体を発現するCHO−K1細胞から調製された膜での受容体活性化後に存在する結合[35S]GTPγSの量を測定することによって決定した。
【0148】
a.μオピオイド受容体膜調製:
ヒトμオピオイド受容体(hMOP)膜を、上述のように調製し、またはPerkin Elmerから購入した。[H]−ジプレノルフィン放射性リガンド結合アッセイで飽和分析によって決定された、購入した膜に関して報告されたpKおよびBmaxは、それぞれ10.06および2.4pmol/mgタンパク質であった。タンパク質濃度は、Bio−Rad Bradfordタンパク質アッセイキットを使用して決定した。膜を、必要になるまで−80℃に凍結した一定分量中に保存した。
【0149】
b.ヒトμ[35S]GTPγSヌクレオチド交換アッセイ
膜を上述のように調製し、アッセイの開始前に、一定分量をアッセイ緩衝液(50mM HEPES、pH7.4、25℃)で200μg/mLの濃度に希釈し、次いでPolytronホモジナイザを使用して10秒間均質化した。試験化合物を、DMSOに溶かした10mM原液として受け取り、0.1%BSAを含有するアッセイ緩衝液中に400μMになるよう希釈し、連続(1:5)希釈して、次いで40pM〜80μMに及ぶ化合物の10の濃度を生成した。GDPおよび[35S]GTPγSを、それぞれアッセイ緩衝液中に40μMおよび0.4nMに希釈した。アッセイは、膜タンパク質10μg、10pM〜20μMに及ぶ試験化合物、10μM GDP、および10mM MgClに希釈した0.1nM [35S]GTPγS、25mM NaCl、および0.0125%BSA(最終アッセイ濃度)を含有する全体積200μLで行った。DAMGO(Try−D−Ala−Gly−(メチル)Phe−Gly−オール)濃度−応答曲線(12.8pM〜1μMに及ぶ)を、各プレートに含めた。
【0150】
アッセイプレートは、NaCl/MgCl/GDP溶液50μL、試験化合物50μL、および[35S]GTPγS 50μLを添加した後、アッセイの直前に調製した。アッセイは、膜タンパク質50μLを添加することによって開始し、室温で30分間インキュベートさせた。反応を、Packard Filtermateハーベスタを使用して、0.3%ポリエチレンイミンで事前に遮断された96ウェルGF/Bフィルタプレートで濾過し、氷冷アッセイ緩衝液(3×200μl)で洗浄することによって停止させた。プレートを一晩乾燥し、その後、Packard Topcount機器で液体シンチレーションを介して結合されたカウントを決定した。ビヒクル:1%の最終アッセイ濃度を超えないDMSO。
【0151】
結合[35S]GTPγSの量は、試験化合物によるμオピオイド受容体の活性化の程度に比例する。パーセンテージとして表される内因活性(IA)は、試験化合物による活性化に関して観察された結合[35S]GTPγSの量と、全的作動薬であると推定されるDAMGOによる活性化に関して観察された量(IA=100)との比であると決定した。このアッセイで試験された本発明の化合物は、約10未満の内因活性を実証した。例えば、実施例1、3、および6の化合物は、それぞれ−1、−4、および9のIA値を有していた。このように、本発明の化合物は、ヒトμオピオイド受容体で拮抗薬として働くことが示された。
【0152】
(アッセイ3)
in vivo効力のラットモデル
このアッセイでは、試験化合物の効力を、末梢活性を評価する胃腸通過のモデルで評価した。この試験は、Institutional Animal Care and Use Committee at Theravance,Inc.によって認可され、全米科学アカデミーによって刊行されたthe Guide for the Care and Use of Laboratory Animals((著作権)1996年)に従うものであった。
【0153】
a.ラット胃内容排出アッセイ
試験化合物を、ラット胃内容排出アッセイで評価して、ロペラミド誘発性遅延胃内容排出を逆転させるその能力について決定した。ラットを、0.001から約30ミリグラム/キログラム(mg/kg)に及ぶ用量で静脈内、皮下、筋肉内、または経口投与経路で試験化合物またはビヒクルを投与する前に、一晩絶食させた。試験化合物の投与の後、1mg/kgの用量でロペラミドの、またはビヒクルの皮下投与を行った。ロペラミドまたはビヒクル投与後5分で、栄養がなく吸収性がないチャコールの食餌を経口強制投与し、実験が継続する60分間は動物が自由に水を摂取できるようにした。次いで動物を、二酸化炭素窒息を介して安楽死させ、その後、開胸術を行い、胃を慎重に切除した。胃を、下部食道括約筋および幽門括約筋で結さつし、組織除去中にさらなる内容排出が起こらないようにした。次いで胃の重量を、結さつ除去後に測定した。
【0154】
b.データ分析および結果
データを、GraphPad Prismソフトウェアパッケージ(GraphPad Software,Inc.、San Diego、CA)を使用して分析した。%反転曲線を、S字用量応答(様々な勾配がある)モデルを使用して、非線形回帰分析によって構成し、最も良く適合するID50値を計算した。曲線最小値および最大値を、それぞれロペラミド対照値(0%反転を示す)およびビヒクル対照(100%リバーサルを示す)に固定した。結果を、ID50、即ちロペラミドの効果の50%リバーサルに必要な用量を、キログラム当たりのミリグラム数を単位として表す。経口投与された実施例1、4、および6の化合物は、それぞれ、胃内容排出モデルで0.11mg/kgm、0.014mg/kg、および0.42mg/kgのID50値を示した。
【0155】
本発明について、その特定の実施形態を参照しながら述べてきたが、当業者なら、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができることおよび均等物に置き換えることができることを理解すべきである。さらに、本発明の目的、精神、および範囲に対し、特定の状況、材料、組成物、プロセス、1つまたは複数のプロセスステップを適合させるため、多くの変更を行うことができる。そのような変更の全ては、本明細書に添付される特許請求の範囲内にあるものとする。さらに、上記にて引用された全ての刊行物、特許、および特許文献は、参照により個々に組み込まれるかのように、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、または医薬品として許容されるその塩:
【化12】

(式中、
は、水素または−CH−Rであり;
は、C4〜10アルキル、C3〜12シクロアルキル、またはフェニルであり、ここで、C3〜12シクロアルキルおよびフェニルはそれぞれ、1個または2個のハロで任意選択で置換されており;
は、−C(O)R、−C(O)NHR、−C(O)OR、−S(O)、および−C(O)Rから選択され;
は、−OR、−S(O)、および−C(O)Rから選択される1個または2個の置換基で置換されたC1〜6アルキルであり;
およびRは、それぞれ独立して、−ORおよび−S(O)から選択される1個または2個の置換基で置換されたC1〜6アルキルであり;
はC1〜3アルキルであり;
は、1個または2個のハロで任意選択で置換されたフェニルであり;
は、水素またはC1〜3アルキルであり;
はC1〜3アルキルであり;
は、水素、C1〜3アルキル、およびベンジルから選択され;
mは1または2であり;
但し、Rが水素である場合、Rは−C(O)Rである)。
【請求項2】
前記式(I)の化合物が、式(Ia)の化合物、または医薬品として許容されるその塩である、請求項1に記載の化合物:
【化13】

(式中、
は、−C(O)R、−C(O)NHR、−C(O)OR、および−S(O)から選択され;
、R、およびRは、それぞれ独立して、−ORおよび−S(O)から選択される1個または2個の置換基で置換されたC1〜6アルキルである)。
【請求項3】
が、C4〜6アルキルまたはC3〜6シクロアルキルであり、ここで、C3〜6シクロアルキルが、1個または2個のフルオロで任意選択で置換されている、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、1−エチルプロピル、tert−ブチル、シクロヘキシル、または4,4−ジフルオロシクロヘキシルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
前記式(Ia)の化合物が、式(Ic)の化合物である、請求項2に記載の化合物。
【化14】

【請求項6】
が、1個もしくは2個の−OHまたは1個の−S(O)CHで置換されたC1〜3アルキルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
3−endo−(8−{2−[((S)−2,3−ジヒドロキシプロピオニル)−(2−エチルブチル)−アミノ]エチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド;
3−endo−(8−2−[(2−エチルブチル)−(2−ヒドロキシアセチル)アミノ]−エチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド;
3−endo−(8−2−[(2−エチルブチル)−(2−メタンスルホニルアセチル)アミノ]エチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド;
3−endo−(8−2−[(4,4−ジフルオロシクロヘキシルメチル)−(2−ヒドロキシアセチル)−アミノ]エチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド;
3−endo−(8−2−[(2,2−ジメチルプロピル)−(2−ヒドロキシアセチル)アミノ]−エチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド;
3−endo−(8−{2−[((S)−2,3−ジヒドロキシプロピオニル)−(2,2−ジメチルプロピル)アミノ]エチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド;
3−endo−(8−{2−[シクロヘキシルメチル−(2−ヒドロキシアセチル)アミノ]−エチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド;
3−endo−(8−2−[(4,4−ジフルオロシクロヘキシルメチル)−((S)−2,3−ジヒドロキシ−1−オキソ−プロピル)−アミノ]−エチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド;および
3−endo−(8−2−[(4,4−ジフルオロシクロヘキシルメチル)−(2−メタンスルホニルアセチル)−アミノ]−エチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2−ヒドロキシベンズアミド;
から選択される、請求項1の化合物、および医薬品として許容されるこれらの塩。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物と、医薬品として許容される担体とを含む、医薬品組成物。
【請求項9】
式(Id)の化合物、または医薬品として許容されるその塩もしくは保護誘導体を調製するための方法であって
【化15】

(式中、
は、水素または−CH−Rであり;
は、C4〜10アルキル、C3〜12シクロアルキル、またはフェニルであり、ここで、C3〜12シクロアルキルおよびフェニルはそれぞれ、1個または2個のハロで任意選択で置換されており;
は、RまたはRであり;
は、−OR、−S(O)、および−C(O)Rから選択される1個または2個の置換基で置換されたC1〜6アルキルであり;
は、1個または2個のハロで任意選択で置換されたフェニルであり;
は、水素またはC1〜3アルキルであり;
はC1〜3アルキルであり;
は、水素、C1〜3アルキル、およびベンジルから選択され;
mは1または2であり;
但し、Rが水素である場合、Rは−C(O)Rである)、
(a)式(II)の化合物
【化16】

と、式R9aC(O)−Lの化合物(式中、R9aは、R、Rの保護形態、もしくはRであり、Lは離脱基を表し、またはR9aC(O)−Lはカルボン酸を表す)とを反応させるステップと、
(b)反応の生成物を任意選択で脱保護して、式(I)の化合物または医薬品として許容されるその塩もしくは保護誘導体を得るステップと
を含む方法。
【請求項10】
が−CH−Rであり、RがRであり、R9aがRまたはRの保護形態である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式(II)の化合物:
【化17】

(式中、
は、水素または−CH−Rであり;
は、C4〜10アルキル、C3〜12シクロアルキル、またはフェニルであり、ここで、C3〜12シクロアルキルおよびフェニルはそれぞれ、1個または2個のハロで任意選択で置換されており;
mは1または2である)。
【請求項12】
が−CH−Rである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
式(IV)の化合物。
【化18】

【請求項14】
治療で使用するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
μオピオイド受容体拮抗薬を用いた治療によって改善される哺乳動物の疾患または病状の治療で使用するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
前記疾患または病状が、オピオイド誘発性腸機能障害または術後イレウスである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
オピオイド誘発性腸機能障害または術後イレウスの治療で使用される薬剤を製造するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項18】
医薬品として許容される担体および請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物を含む治療有効量の医薬品組成物を哺乳動物に投与するステップを含む、μオピオイド受容体拮抗薬を用いた治療によって改善される病状を有する哺乳動物を治療する方法。
【請求項19】
前記病状が、オピオイド誘発性腸機能障害および術後イレウスから選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物および医薬品として許容される担体を哺乳動物に投与するステップを含む、哺乳動物のオピオイド誘発性腸機能障害または術後イレウスを治療する方法。
【請求項21】
(a)生物学的な系またはサンプルと、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物とを接触させるステップと、
(b)前記化合物によって引き起こされる、生物学的な系またはサンプルに対する影響を決定するステップと
を含む、μオピオイド受容体を含む生物学的な系またはサンプルを試験する方法。

【公表番号】特表2010−537978(P2010−537978A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522921(P2010−522921)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/010100
【国際公開番号】WO2009/029256
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(500154711)セラヴァンス, インコーポレーテッド (129)
【Fターム(参考)】