説明

「黒色腫阻害活性物質」(MIA)を阻害する方法

【課題】固形腫瘍、白血病、変性疾患、免疫抑制疾患から成る群から選択される疾患の予防または治療に使用される薬物を提供する。
【解決手段】黒色腫阻害活性物質(Melanoma lnhibitory Activity、MIA)の活性を阻害するペプチド、抗体(抗体No.1:抗α4−インテグリン(A4−PUJ1、UBI)、抗体No.2:抗α4−インテグリン(P1H4、ケミコン(Chemicon))、抗体No.3:抗α5−インテグリン(A5−PUJ5、UBI)、抗体No.4:抗α5−インテグリン(P1D6、ケミコン(Chemicon))から成る群から選択される少なくとも1種)および抗体フラグメント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は「黒色腫阻害活性物質」(MIA)の活性を阻害するペプチドおよび抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
黒色腫阻害活性物質(Melanoma lnhibitory Activity、MIA)ポリペプチドは1989年に黒色腫腫瘍細胞の成長を阻害する因子として発見された。黒色腫阻害活性物質(MIA)タンパク質は、ヒト黒色腫細胞株HTZ−19の組織培養上清から精製された成長阻害活性物質の中に見出された(Bogdahn et al., Cancer Res. 1989; 49: 5358−5363)。MIAの抗増殖作用はまた、他の腫瘍細胞および末梢血単核球においても実証された(Jachimczak et al., 2000, Proceeding of AACR, 41: 115)。
【0003】
さらに、in situハイブリダイゼーション実験と、同様に免疫組織化学法が、MIAを骨格系の成長域内の発生胚に局在し、またMIAは軟骨細胞の周辺で発現し、分泌され、蓄積する。
【0004】
発生中のマウスでは、発現は骨格系の形成と相関し、生後に次第に消失し、例外として乳腺系の成熟中に再び発現する。
【0005】
しかし、腫瘍の場合には、MIAは調べた悪性黒色腫のすべてによって発現し血清中に分泌されることが見出されたが、基底細胞がんおよび扁平上皮細胞がんを含む他の皮膚腫瘍や、または正常メラニン細胞およびケラチン生成細胞では見られなかった。
【0006】
「黒色腫阻害活性物質」(MIA)は131アミノ酸前駆体分子として翻訳され、分泌シグナルの切断後、成熟した107アミノ酸タンパク質へ加工される。MIAは、転移性黒色腫ステージIIIおよびIVを有する患者において、臨床的に有用なパラメータを提供する(Bosserhoff et al., Cancer Res. 1997; 57: 3149−3153; Bosserhoff et al., Hautarzt. 1998; 49: 762−769; Dreau et al., Oncol.Res. 1999; 11: 55−61; Deichmann et al., J.Clin.Oncol. 999; 17: 1891−1896)。MIAは黒色腫細胞株の増殖をin vitroで阻害することによって抗腫瘍活性を導くと説明された(Blesch et al., Cancer Res. 1994; 54: 5695−5701; Bogdahn et al., Cancer Res.1989; 49: 5358−5363)。しかし、他の研究は、腫瘍抑制因子と一致しない発現パターンを明らかにしている。野生型MIA タンパク質遺伝子の発現は正常皮膚およびメラニン細胞では検出されなかったが、メラニン細胞腫瘍の進行と関連していた(Bosserhoff et al., Cancer Res. 1997; 57: 3149−3153; van Groningen et al., Cancer Res. 1995; 55: 6237−6243)。より近年では、MIA タンパク質 は黒色腫細胞のフィブロネクチンおよびラミニンへの接着を特異的に阻害し、それによってこれらの細胞外マトリクス(ECM)成分へのインテグリンの結合部位をマスキングしてin vivoの浸潤および転移を促進することが示唆された(Bosserhoff et al., Cancer Res. 1997; 57: 3149−3153; Bosserhoff et al., J.Pathol. 1999; 187: 446−454; Guba et al., Br.J.Cancer 2000; 83: 1216−1222)。このように、in vitroの成長阻害活性は、そのタンパク質が細胞株の組織培養シャーレ表面へのin vitroの接着に干渉する能力を反映する(Blesch et al., Cancer Res. 1994; 54: 5695−5701)。
【0007】
Weilbach et al. (1990 Cancer Res. 50; 6981−86)はさらに、MIAがS期を延長することおよび細胞をG2コンパートメントで停止させることによって細胞増殖を阻害することを実証した。
【0008】
ヒト rMIAは、IL−2−またはPHA−誘導性末梢血単核球(PBMCs)増殖を用量依存的に阻害する。さらに、自家性または同種異系LAK細胞毒性はMIAによって阻害されている(Jachimczak et al., 2000, Proceeding of AACR, 41: 115).
【0009】
Blesch et al. (1994 Cancer Res. 54; 5695−5701) は、MIAが悪性黒色腫細胞に対し強力な腫瘍細胞成長阻害因子として作用することを確認し、さらにこの観察を他の神経外胚葉性腫瘍に拡張し、MIAは未来の抗がん治療物質として魅力的でありうると結論した。
【0010】
MIA発現の黒色腫進行との臨床的相関はBosserhoff et al.(1997, Cancer Res. 57; 3149−53; 1997, Anticancer Res. 19; 2691−3)によって発見され、MIA濃度の上昇が黒色腫ステージIおよびIIの13−23%に、しかし疾患ステージIIIまたはステージIVの100%に示された。
【0011】
Van Groningen et al. (1995 Cancer Res. 55; 6237−43)は、非転移性細胞株におけるMIAmRNA発現、および黒色腫転移病変における色素沈着とMIAmRNA発現の逆相関を見出した。
【0012】
溶液中の 組み換えヒト MIAの3次元構造が近年、多次元NMR分光法によって決定され、MIAはSH3領域様折りたたみを取ることが知られる最初の細胞外タンパク質であることが明らかになった。これらの研究はまた、MIAの結合折りたたみと、インテグリン結合で示唆されている部分フィブロネクチンペプチドとの間の特異的相互作用の証拠を与えた。MIAは、局所腫瘍環境内でインテグリンとECM分子との間の特異的相互作用を阻害することによって浸潤および転移を促進するタンパク質のますます大きくなっているファミリーに属するように見える。
【0013】
さらに、ヒトMIAタンパク質の1.4オングストローム分解能結晶構造が、多波長異常分散法(MAD)を用いたX線タンパク質結晶構造解析によって決定された(Lougheed et al., PNAS 2001 May 8;98 (10):5515−5520)。その構造は従来のMIAのSH3様折りたたみを支持する。
【0014】
プロリンに富むペプチドはSH3領域のリガンドであるという考えは、いくつかの実験によって支持されている(たとえばRen et al., Science 259, 1157−1161, 1993; Gout et al., Cell 75, 25−26, 1993を参照)。Yuと共同研究者は(Cell 76, 933−945, 1994)、SH3−リガンド相互作用の特異性は非プロリンペプチド残基の非保存タンパク質側鎖との相互認識に起因する可能性があること示している。Musacchio et al. (Nat.Struct.Biol 1(8), 546−551, 1994)は、そのような特異的相互作用をSH3領域タンパク質の複合体において見出すことができなかった。
【0015】
Lougheed et al. (PNAS 2001 May 8;98 (10):5515−5520)は、MIAがプロリンに富むペプチドと結合する能力をファージディスプレイを用いることによって試験したが、偏向ポリプロリンらせんファージディスプレイライブラリから有意なペプチド結合物質を特定することはできなかった。
【0016】
これらのデータとは対照的に、下記に説明する本発明は主に、SH3領域への結合のための共通配列を持たない、高含量のプロリンを有するリガンドに基づく。
【発明の開示】
【0017】
本発明の一実施例は、「黒色腫阻害活性物質」(MIA)の活性を阻害する、配列ID番号1から57の配列を有するペプチドから成る群から選択されるペプチドである。
【0018】
これらのペプチドは好ましくは MIAへの結合によってMIAを阻害する。
【0019】
好ましい一実施例では、当該ペプチドは配列リスト群:Aに記載の高含量のプロリンおよび/または配列リスト群Bに記載の高含量のTrp、His、Tyrを含む。驚くべきことに、リガンドペプチドは、PXXPのようなSH3領域共通結合配列モチーフを必ずしも含まない。しかし、配列リスト群Bのペプチドはアミノ酸Trp、His、Tyrの高い含量を示し、タンパク質MIAとの追加のπ相互作用を可能にする。
【0020】
さらに本発明は、1個の追加のアミノ酸が存在するかまたはペプチドのアミノ酸の1個が欠失しているペプチドを包含する。
【0021】
別の一実施例では、本発明は1個のアミノ酸が1個の天然アミノ酸で置換されているペプチドを包含する。天然アミノ酸とは、天然タンパク質およびペプチド中に通常存在する20種類のアミノ酸である。
【0022】
さらに1個以上のアミノ酸を1個の非天然アミノ酸で置換することができる。そのような非天然アミノ酸は天然アミノ酸を基礎とするが、1個以上の原子がC、H、N、S、O、P、F、Cl、Br、I、Seから選択された最大50原子を含む官能基で置換されている。
【0023】
そのような天然に存在しないアミノ酸残基の例は、trans−3−メチルプロリン、2,4−メタノプロリン、cis−4−ヒドロキシプロリン、trans−4−ヒドロキシプロリン、N−メチルグリシン、アロスレオニン、メチルスレオニン、ヒドロキシエチルシステイン、ヒドロキシエチルホモシステイン、ニトログルタミン、ホモグルタミン、ピペコリン酸、tert−ロイシン、ノルバリン、2−アザフェニルアラニン、3−アザフェニルアラニン、4−アザフェニルアラニン、および4−フルオロフェニルアラニンである。天然に存在しないアミノ酸残基をタンパク質に組み込むためにはいくつかの方法が当該分野で知られている。
【0024】
別の一実施例では、当該ペプチドは修飾することができる。適当な修飾は、グリコシル化、アセチル化、ヒドロキシル化(ヒドロキシプロリン)、カルボキシル化(γ−カルボキシグルタメート)、リン酸化、アルキル化、ミリストイル化(N末端)、パルミトイル化およびプレニル化から成る群から選択される。
【0025】
本発明のペプチドは薬物として特に有用であり、したがって、本発明のペプチドの少なくとも1つを含む薬物もまた本発明の一部を成す。
【0026】
MIAの阻害はまた、抗体または抗体フラグメントを介して達成することができる。したがって、そのような抗体または抗体フラグメント含む薬物もまた本発明の一部である。
【0027】
特に有用なのは、抗インテグリン抗体リストの抗体No.1から4に記載の、インテグリンに結合する抗体または抗体フラグメントである:抗α4−インテグリン(A4−PUJ1、UBI)、抗α4−インテグリン(P1H4、ケミコン(Chemicon))、抗α5−インテグリン(A5−PUJ5、UBI)、抗α5−インテグリン(P1D6、ケミコン(Chemicon))。これらの抗体または抗体フラグメントはα4および5−インテグリンに対して向けることができる。そのような抗体はUBI(ニューヨーク州レークプラシッド(Lake Placid, NY), USA)およびケミコンインターナショナル社(Chemicon International, Inc.)(カリフォルニア州テメキュラ(Temecula, CA), USA)から市販されている。抗体フラグメントは、抗体の適当な部分を含むが大きさがより小さいペプチドである。適当なフラグメントはFabフラグメントまたはScFvフラグメントである。
【0028】
ペプチド、抗体、または抗体フラグメントは下記から成る群から選択された物質と組み合わせることができる:
a)免疫刺激物質:インターロイキン−2(Atkins et al., Proc Am Soc Clin Oncol. 1997; 16:494)、インターフェロン−α(Rosenberg et al., J Clin Oncol.1999;17:968−975) インターフェロン−γ、インターロイキン−12、GM−CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)
b)化学治療剤:タキサン(タキソール(ブリストル・マイヤーズスクイブ(Bristol−Myers Squibb))、タキソテール (アベンティス(Aventis))、テモダール(シェリング・プラウ(Schering−Plough))、イントロン−A(シェリング・プラウ(Schering−Plough))、ニトロソ尿素、ダカルビジン、フォテムスチン、ロムスチン(CCNU)、アンスラサイクリン、 ビンカアルカロイド(ビンブラスチン、ビンデシン)、シスプラチン(DDP) (DelPrete et al., Cancer Treat Rep. 1983; 12:1343.; Legha, et al., Cancer. 1989; 64: 2024−2029; Cocconi et al., N Eng J Med. 1992; 327:516−523)
c)遺伝子導入に適当な遺伝子治療薬: インターロイキン−7 (Schmidt−Wolf et al., Hum Gene Ther. 1994 Sep;5(9):1161−8)、インターロイキン−2 (Stewart et al., Gene Ther 1999 Mar;6(3):350−63)、インターロイキン−4 (Arienti et al., Hum Gene Ther 1999, Dec 10;10(18):2907−16)、インターロイキン−12 (Kang et al., Hum Gene Ther 2001 Apr 10;12(6):671−84)、インターフェロン−γ(Nemunaitis et al., Cancer Gene Ther 1999, Jul−Aug;6(4):322−30; Fujii et al., Cancer Gene Ther 2000 Sep;7(9):1220−30)、GM−CSF (Kusumoto et al., Cancer Immunol Immunother 2001 Sep;50(7):373−81, Loudon et al., J Gene Med 2001, Sep−Oct;3(5):458−67)、p53 (Dummer et al., Cancer Gene Ther 2000 Jul;7(7):1069−76)、MHCクラスI(Nabel Gjet al., Proc Natl Acad Sci U S A 1996 Dec 24;93(26):15388−93)、HSV−tk(単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ)(Klatzmann et al., Hum Gene Ther 1998 Nov 20;9(17):2585−94; Morris et al., Gene Ther 2000 Feb 10;11(3):487−503)、B7 (Fenton et al., Hum Gene Ther 1995 Jan;6(1):87−106)
d)抗血管新生剤および/または抗浸潤剤
e)ワクチン: キャンサーバクス(Morton et al.,. Ca Cancer J Clin. 1996; 46:225−244)、メラシン、シェリング・プラウ/コリクサ(Schering−Plough/Corixa)(Mitchell et al., Proc Annu Meet Am Assoc Cancer Res. 1995; 36:223)
【0029】
ペプチド、抗体、または抗体フラグメント単独または上記の物質と組み合わせて、腫瘍の予防または治療のための医薬の調製に用いることができる。
【0030】
好ましくは、ペプチド、抗体、または抗体フラグメントは全身的に投与される(たとえば静脈注射または皮下注射または経口で)。それらはまた、腫瘍または他の疾患に冒された部位または器官に局所的に投与することもできる。適当な用量は1〜50mg/kg/dayの範囲にある。
【0031】
薬物送達を最適化するための好ましい一実施例では、ペプチドは生分解性高分子に封入することができる。そのような方法は当業者に既知である。適当な高分子には、ポリエステル(Jeong et al., 2001, J. Pharma. Sci., 90: 10; Lewis et al., 1990, Drug Pharm. Sci. 45: 1; Wada et al., 1990, J. Pharm. Sci. 79: 919, Okada et al., 1994, J. Control. Release 28: 121, Leong et al., 1985, Biomed. Mater. Res. 19: 941; E. Ron et al., Reserve University. R. Langer, PNAS 90: 4176, 1993)、ポリアミノ酸 (Anderson et al., 1979, Polymer Preprints 20; Bennet et al., 1991, J. Control. Release 16: 43)、シアノアクリル酸ポリアルキル (Couvreur et al., 1992, Adv. Drug Del. Rev. 10: 141)、ポリファゼン(Allcock et al., 1990, Chem. Eng. News 62: 22, Allcock et al., 1990, J. Am. Chem. Soc. 112: 783)、ポリラクチドとアスパラギン酸の共重合体(Kwon et al., 1990, J. Control. Release 11: 269)、またはポリエチレンオキサイド(Youxin & Kissel, 1993, J. Control. Release 27: 243)が挙げられる。
【0032】
さらに好ましいのは、生分解性両親媒性ミクロスフィア (Bouillot et al., 1999, Int. J. Pharma., 181:159−172)、両親媒性共重合体、たとえばポリオキシエチレンミクロスフィア、ポリオキシプロピレンミクロスフィア、 ヒト血清アルブミン(HSA)ナノ粒子(Lin et al., 1999, Int. J. of Pharma., 185: 93−101)、ポリラクチドミクロスフィア、 ポリエチレングリコール(Matsumoto et al., 1999 Int. J. of Pharma., 185 (1999) 93−101)、ポリエチレンオキサイド(Jeong et al., 1999 Journal of Controlled Release 62: 109−114)、ポリホスファゼン・ナノ粒子 (Caliceti et al., 2000, Int. J. of Pharma., 211: 57−65), および/またはその組み合わせおよび/または誘導体である。
【0033】
本発明のペプチド、抗体および抗体フラグメントは、下記から成る群から選択される疾患の予防または治療に用いることができる:
1.固形腫瘍、たとえば皮膚のがん(黒色腫を含む)、頭部および頸部がん、肉腫(骨肉腫および軟骨肉腫を含む)、網膜芽腫、乳がん、卵巣がん、小細胞気管支性/肺がん、非小細胞気管支性/肺がん、食道がん、大腸がん、結腸直腸がん、胃がん、小腸がん、肝がん、腎臓のがん、膵がん、胆のうがん、子宮頸部がん、子宮内膜がん、中皮腫、前立腺がん、精巣がん、脳がん
2.白血病、たとえば骨髄性白血病(急性および慢性)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫
3.変性疾患、たとえば関節炎、軟骨および骨の変性/傷害
4.免疫抑制疾患、たとえば HIV感染、骨髄抑制性疾患、毛細血管拡張性運動失調症、ディジョージ症候群、ブルトン病、先天性無ガンマグロブリン血症、複合型免疫不全疾患、ウィスコット・アルドリッチ症候群、補体不全、白血球減少症。
【0034】
本発明のペプチド、抗体および抗体フラグメントはさらに、前駆体細胞(たとえば間葉性幹細胞、血球、軟骨細胞、神経細胞)の誘導および/または拡大に用いることができる。
【0035】
微生物的に精製されたMIAで96ウェルプレートを被覆し、下記のモノクローナル抗体の1μg/mlと共に30分間インキュベートした:α2−、α3−、α4−、α5−、α6−、αv−およびβ1−インテグリン阻害抗体、α2−、α4−、α5−、α6−、αv−およびβ1−インテグリン非阻害抗体、HLA−DR、E−カドヘリン、上皮成長因子受容体またはβ−ガラクトシダーゼ抗体および2種類の異なるMIA抗体。PBS/BSAで5回洗浄後、各モノクローナル抗体の結合はホースラディッシュペルオキシダーゼ結合抗マウスIgG抗血清によって検出され、次いでABTS (ロシュ(Roche))を用いて視覚化し、30分後にOD405nmにて定量した。
【実施例】
【0036】
実施例1
ファージディスプレイ
ファージディスプレイスクリーニングを、ヘプタペプチドおよびドデカペプチドファージディスプレイライブラリ(バイオラブズ、カリフォルニア州ビバリー(BioLabs, Beverly, CA)USA)を用いて取扱説明書にしたがって実施した。組み換えヒトMIAで、高タンパク質結合96ウェルプレートのウェルを、ウェル当たり10マイクログラムの濃度で被覆した。結合ファージはMIA被覆プレート中での60分間室温にてのインキュベートによって選択した。各回の選択について、ウェル当たり2x1011個のファージを加えた。結合しないファージはTBS(トリス緩衝生理食塩水)で10分間5回洗浄することによって除去した;結合したファージはrhMIA(組み換えヒトMIA)を100μg/mlの濃度で加えることによって溶出した。溶出したファージは増幅し、バイオパニングを4回繰り返した。結合クローンはファージ挿入部を配列決定することによって特徴づけた。
【0037】
結果
ファージディスプレイ スクリーニングの結果は、複数のプロリンを含むヘプタペプチドを有するクローンの割合が高いことを明らかにした。単離され配列決定された40のクローンのうち、11 (27.5%)が2個以上のプロリンを含んだ。ドデカペプチド ファージディスプレイライブラリを用いて、ペプチド配列ID番号16 (pdp12)を含む5つの配列が同定された(Stoll et al. 2001; EMBO J. 20: 340−349, 表II)。
【0038】
実施例2
MIAイムノアッセイ
MIAで96ウェルプレートを被覆し、下記の抗体の1μg/mlと共に30分間インキュベートした: 抗α 2−インテグリン (P1E6、DAKO、ハンブルグ、ドイツ)、抗α 2−インテグリン (A2−11E10、UBI、ニューヨーク州レークプラシッド(Lake Placid、NY)、USA)、抗α 3−インテグリン (P1B5、DAKO、Hamburg、Germany)、抗α 4−インテグリン (A4−PUJ1、UBI、Lake Placid、NY、USA)、抗α 4−インテグリン (B−5G10、UBI、ニューヨーク州レークプラシッド(Lake Placid、NY)、USA)、抗α 4−インテグリン (P4C2、ケミコン(Chemicon))、抗α 4−インテグリン (P1H4、ケミコン(Chemicon))、抗α 4−インテグリン (AB1924、ケミコン(Chemicon))、抗α 5−インテグリン (A5−PUJ5、UBI(ニューヨーク州レークプラシッド(Lake Placid、NY)USA)、抗α 5−インテグリン (P1D6、ケミコン(Chemicon))、抗α 5−インテグリン (AB1949、ケミコン(Chemicon))、抗α 6−インテグリン (A6−ELE、UBI(ニューヨーク州レークプラシッド(Lake Placid、NY)USA)、抗α 6−インテグリン (provided by Dr. E. Klein、Wurzburg)、抗α−v−インテグリン (P3G8 、ケミコン(Chemicon))、抗α−v−インテグリン (AB1930、ケミコン(Chemicon))、抗α−v−β 3−インテグリン (Lv 230)、抗 α−v β 3−インテグリン (LM609、ケミコン(Chemicon))、抗β 1−インテグリン (6S6、ケミコン(Chemicon))、抗β 1−インテグリン (AB1952、ケミコン(Chemicon))、抗HLA−DR− (CR3743、DAKO、ハンブルグ、ドイツ)、抗E−カドヘリン抗体 (MLCA、ユーロ・ダイアグノスティカ、ドイツ)および抗EGF受容体抗体 (クローンF4、シグマ(Sigma)、ダイゼンホーフェン(Deisenhofen)、ドイツ)および2種類の異なる抗MIA 抗体 (Dr. B. Kaluza、ロシュ(Roche))。PBS(リン酸緩衝生理食塩水)/3%BSA(ウシ血清アルブミン)で5回洗浄後、各モノクローナル抗体の結合はホースラディッシュペルオキシダーゼ結合抗マウスIgG抗血清によって検出され、次いでABTS (2.2'−アジノ−ジ−(3−エチルベンズチアゾリンスルホナート)) (ロシュ(Roche))を用いて視覚化し、30分後にOD405nmにて定量した。特異性の対照として同種の分析を行うのに変性MIAを用いた。
【0039】
結果
驚くべきことに、MIAに結合するすべてのペプチド/タンパク質がある種のインテグリンのための結合部位として働き、MIAとこれらのインテグリンのリガンド結合ポケットが三次元ホモロジーを共有する可能性を提起する。この可能性に対応して、我々は、インテグリンの結合ポケットを不活性化するモノクローナル抗体 (Hemler, et al., 1987 J. Biol. Chem. 262, 11478−11485)がMIAと交差反応するかどうかを調べた。並行して、結合ポケットの外のエピトープを認識する抗インテグリン抗体(Bergelson, et al., 1992, Science 255, 1718−1720; Teixido, et al., 1992, J. Biol. Chem. 267, 1786−1791; Falcioni, et al., 1986, Cancer Res. 46, 5772−5778)およびインテグリン以外の細胞表面エピトープ(E−Cad、EGF−RecおよびHLA−DR)を認識する抗体を用いて対照を実施した。2種類のモノクローナル抗MIA抗体を用いて陽性対照反応を実施した。これらの免疫反応からの結果によって、α4−およびα5−インテグリンの結合ポケットを不活性化する4種類の抗体(抗α4−インテグリン(A4−PUJ1、UBI)、抗α4−インテグリン(P1H4、ケミコン(Chemicon))、抗α5−インテグリン(A5−PUJ5、UBI)、および抗α5−インテグリン(P1D6、ケミコン(Chemicon)))は、他のすべてのインテグリンおよび細胞表面分子抗体と対照的に、MIAと特異的に交差反応することが明らかになった(出版用に提出、2002; Bosserhoff et al.)、図1参照。これらの結果は、α4β1−およびα5β1−インテグリン受容体の活性化された結合ポケットはMIAと顕著な3次元ホモロジーを共有することを強く示唆する。
【0040】
MIAタンパク質の3次元構造および正確な折りたたみの重要性を実証するため、還元MIAタンパク質を用いて同じ分析を繰り返した。MIA折りたたみに2個のシステイン結合が必須であることが知られているため、還元条件はそのタンパク質の変性に結びつく。未変性MIAと交差反応する抗体は変性したMIAタンパク質と結合することができなかった。さらに、抗インテグリン抗体の同一の組を用いてウェスタンブロット分析を実施した。ここでも、未変性MIAタンパク質を検出する抗体はどれも還元条件下でMIAと反応しなかった(出版用に提出、2002; Bosserhoff et al.)。
【0041】
実施例3
In vivo転移分析
配列ID番号:16および配列ID番号:22がB16 黒色腫細胞のin vivoの転移能力 に及ぼす影響を測定するため、実験的転移分析を用いた (Bosserhoff et al., 2001, Melanoma Res. 11, 417−421)。単分散腫瘍細胞の静脈注射(個体当たり1x105細胞)を同系C57Bl6マウスに実施した(各ペプチドおよび対照についてn=12)。ペプチド (550 μg/個体)またはPBSを毎日注射した。18日後マウスを屠殺し、肺を摘出し、PBSで洗浄し、ホルマリンで固定し、肺表面上の視認できる腫瘍塊を計数しそして腫瘍面積を測定した。
【0042】
結果
in vitroおよびin vivoの両方のMIA発現レベルは、高度に浸潤性の表現型と厳密に相関した(Bosserhoff et al., 1996, J. Biol. Chem. 271, 490−495; Bosserhoff et al.,1999, J. of Pathology 187, 446−454)。さらにin vivo試験は、黒色腫の浸潤および転移にMIAが必要であることを示している(Bosserhoff et al., 2001, Melanoma Res. 11, 417−421., Guba, et al., 2000, Br. J. Cancer 83, 1216−1222)。我々はしたがって、MIAと相互作用するフィブロネクチンエピトープを同定した我々の実験に基づいてMIA阻害ペプチドを設計することを目指した(Stoll et al., 2001; EMBO J. 20: 340−349)。MIAと交差反応することが以前に示されたフィブロネクチン由来ペプチドを、ボイデンチャンバー分析で、MIAの存在下および非存在下で黒色腫細胞浸潤に及ぼす影響について試験した。結果は明らかに、ペプチド配列ID番号:22、23、および24がblockMIA機能を阻害すること、さらに、配列ID番号:23および24が腫瘍細胞接着も阻害することを示した。加えて、我々はファージディスプレイ スクリーニングから得られたペプチド 配列のいくつかを試験し、ペプチド 配列ID番号:16が治療的MIA阻害の潜在的に興味深い候補であることを見出した。それは黒色腫細胞接着には影響を示さず、しかしMIA機能を強力に阻害した。
【0043】
我々は次いで、ペプチド配列ID番号:16および22の、in vivoの転移の成長に及ぼす影響を、B16/C57Bl6モデルを用いて試験した。黒色腫の黒い肺結節の数は治療群と未治療対照群の間で有意に変化しなかった(193±13(対照);249±26(配列ID番号:22);198±19(配列ID番号:16))。しかし、結節の大きさには有意な変化が見られた。そのペプチドで治療された動物は、対照動物と比較して有意に小さい腫瘍結節を生じた(119.9±9.95(対照);87.15±5.32、p=0.0042(配列ID番号:22);78.1±5.03、p=0.0003(配列ID番号:16))。
【0044】
実施例4
組み換えMIA タンパク質の発現および精製
ヒトMIA(G25からQ131)の108残基を発現している発現プラスミドpQE40−MIAを導入された大腸菌(Escherichia coli)M15(pREP4)細胞を吸光度O.D.600nm=0.6まで増殖させ、1mMイソプロピル−1−チオ−_−D−ガラクトピラノシドによって4時間誘導し、超音波で細胞破砕した。タンパク質は、以前に出版された通り、大腸菌(E.coli)封入体から再生された(Jaenicke, R. & Rudolph, R. (1986) Methods Enzymol. 131:218−50, 218−250)。再折りたたみヒトMIAを疎水性相互作用クロマトグラフィーに供し、S−セファロースファストフロー(シグマ)(S−Sepharose Fast Flow (Sigma))でさらに精製した。最後に、ゲル濾過を スーパーデックス200プレップグレード(シグマ)(Superdex 200 Prep Grade (Sigma))で実施した。ヒトMIAを含む画分を合わせて濃縮した。精製タンパク質はSDS−PageおよびHPLCによって検査され、純度95%であることが示された。
【0045】
実施例5
MIAのタンパク質結晶構造へのペプチドのドッキング
タンパク質MIAへのペプチドのバーチャルドッキングのために、配列ID番号:1〜55のペプチド配列と、pdbコード1I1Jの結晶構造(Lougheed et al., 2001, PNAS USA 98, 5515−5520)を用いている。ペプチドとタンパク質の両方は、分子画像ソフトSYBYL(トライポス(Tripos Inc.)セントルイス、USA)を用いてイオン化している。タンパク質MIAのドッキング部位はそのタンパク質にアミノ酸Leu27、Gln28、Asp29、Tyr30、Ala32、Arg42、Leu52、Arg57、Leu58、Phe59、Gly57、Tyr78、Phe79、Pro80、Ser81、Ser82、Ile83、およびArg85を当てはめて定義されている。ドッキングはプログラム4スキャン(4Scan)(4SC GmbH、マルティンスリート、ドイツ)を用いて実施した。各ペプチドについて結合エネルギーおよび結合に関与するペプチドリガンドとタンパク質の両方のアミノ酸を分析している。ペプチドリガンドは結合エネルギーで並べている。
【0046】
結果
驚くべきことに、配列ID番号:1〜57のリガンドペプチドは必ずしも、PXXPのようなSH3−領域共通結合配列モチーフを含まない。
【0047】
以前に公表された結果とは対照的に、MIAタンパク質への結合に関与するアミノ酸配列モチーフ(リガンド)は、配列ID番号:01〜11、配列ID番号:13〜20、配列ID番号:22〜31、配列ID番号:35〜36、配列ID番号:38、配列ID番号:40〜44、配列ID番号:46〜49、配列ID番号:51〜57において、少なくとも1個のプロリンアミノ酸残基を有する「プロリン間配列モチーフ」と定義することができる。
【0048】
MIAのタンパク質結晶構造(コード1I1J; Lougheed, et al., 2001, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98, 5515−5520)へのペプチド配列ID番号:1〜55のバーチャルドッキングに基づいて、「プロリン間配列モチーフ」の機能的役割およびペプチドの結合部位の両方を特定することができる。
【0049】
すべてのペプチドは、配列ID番号:22、43、48を除き、水素結合とファンデルワールス結合の両方によってその全長にわたってMIAと結合し相互作用する。プロリン アミノ酸残基(リガンド) はこれらの両極のペプチド間ねじれ角に達するのに関与し、それによってリガンドの結合を支持する。プロリンは主に、水素結合でなくファンデルワールス複合体相互作用に関与する。
【0050】
ペプチドは好ましくは、タンパク質表面のArg42、Asp29、およびGln28 (ヒト MIA)の3つのアミノ酸残基に結合する。この「MIA結合3つ組」との結合はリガンドの立体構造のねじれを強化する。驚くべきことに、Arg42残基(MIA)はSH3−タンパク質ファミリー内で保存されていない。
【0051】
配列グループAのペプチド(配列ID番号:1〜24)は、配列グループB(12.0%)と比較してより高い含量のプロリン(22.4%)を含み、したがってタンパク質への結合のためのより高い立体構造的可塑性を示す。
【0052】
配列グループBのペプチド(配列ID番号:25〜57)はこのことを、アミノ酸 Trp、His、およびTyrのより高い含量で埋め合わせている。配列グループBのペプチド(配列ID番号:25〜57)の、上記のMIA結合3つ組との結合は、アミノ酸残基Tyr30(MIA)のこれらのアミノ酸側鎖(リガンド)とのπ相互作用によって強化される。配列グループBのペプチド(配列ID番号:25〜57)は8.5%Trp、7.9%His、および3.0%Tyrを含む(グループA:2.5%Trp、3.8%His、0.8%Tyr)。
【0053】
本発明の配列グループAおよびBのペプチド群は高含量のLeu (11%)、Ser (10%)、およびThr (9%)を含む。
【0054】
配列リスト
MIAの機能の阻害は、好ましくは下記のアミノ酸配列を含む分子を用いることによって達成される:
配列リスト群:A
- 配列ID番号:01 VPHIPPN
- 配列ID番号:02 MPPTQVS
- 配列ID番号:03 QMHPWPP
- 配列ID番号:04 QPPFWQF
- 配列ID番号:05 TPPQGLA
- 配列ID番号:06 IPPYNTL
- 配列ID番号:07 AVRPAPL
- 配列ID番号:08 GAKPHPQ
- 配列ID番号:09 QQLSPLP
- 配列ID番号:10 GPPPSPV
- 配列ID番号:11 LPLTPLP
- 配列ID番号:12 QLNVNHQARADQ
- 配列ID番号:13 TSASTRPELHYP
- 配列ID番号:14 TFLPHQMHPWPP
- 配列ID番号:15 VPHIPPNSMALT
- 配列ID番号:16 RLTLLVLIMPAP
- 配列ID番号:17 RKLPPRPRR
- 配列ID番号:18 VLASQIATTPSP
- 配列ID番号:19 TPLTKLPSVNHP
- 配列ID番号:20 PPNSFSSAGGQRT
- 配列ID番号:21 EQDSRQGQELTKKGL
- 配列ID番号:22 ETTIVITWTPAPR
- 配列ID番号:23 TSLLISWDAPAVT
- 配列ID番号:24 NSLLVSWQPPRAR
配列ID番号:01から配列ID番号:24はStoll et al., 2001, EMBO J. 20: 340−349によって公表されたペプチドを指し、ここで配列ID番号:01から配列ID番号:16はファージディスプレイによって得られた。
配列ID番号:17から配列ID番号:24は本研究で試験した他のペプチドであり、対照ペプチド(配列ID番号:20および配列ID番号:21)、PI3キナーゼSH3領域結合ペプチド(配列ID番号:17)およびフィブロネクチン由来ペプチド(配列ID番号:22から配列ID番号:24)を含む。
配列リスト群: B
- 配列ID番号:25 YNLPKVSSNLSP
- 配列ID番号:26 MPPTQVSKFRLI
- 配列ID番号:27 ANIDATPLFLRA
- 配列ID番号:28 LLRTTETLPMFL
- 配列ID番号:29 SALEPLV
- 配列ID番号:30 GSPTPNA
- 配列ID番号:31 APSHATH
- 配列ID番号:32 TTVGHSD
- 配列ID番号:33 THFSTFT
- 配列ID番号:34 SLLLDTS
- 配列ID番号:35 SVAMKAHKPLLP
- 配列ID番号:36 NTIPGFASKSLD
- 配列ID番号:37 VSNYKFYSTTSS
- 配列ID番号:38 VSRHQSWHPHDL
- 配列ID番号:39 HLNILSTLWKYR
- 配列ID番号:40 HNASPSWGSPVM
- 配列ID番号:41 SHPWNAQRELSV
- 配列ID番号:42 HHWPFWRTLPLS
- 配列ID番号:43 WHTKFLPRYLPS
- 配列ID番号:44 NNTSFTVVPSVP
- 配列ID番号:45 SHLSTWKWWQNR
- 配列ID番号:46 FHWHPRLWPLPS
- 配列ID番号:47 WHWTYGWRPPAM
- 配列ID番号:48 FHWRYPLPLPGQ
- 配列ID番号:49 WHWPLFIPNTTA
- 配列ID番号:50 WHNGIWWHYGVR
- 配列ID番号:51 HHLNYLWPWTRV
- 配列ID番号:52 FWHRWSTFPEQP
- 配列ID番号:53 WHMSYFWTRPPQ
- 配列ID番号:54 FHLNWPSRADYL
- 配列ID番号:55 WHKNTNWPWRTL
- 配列ID番号:56 ALSPSQSHPVRS
- 配列ID番号:57 GTQSTAIPAPTD
配列ID番号:25から配列ID:番号57はファージディスプレイによって得られた。
抗インテグリン抗体リスト
MIAの機能の阻害はまた下記の抗α4−および抗α5−インテグリン−抗体不活性化の使用によって達成されることが好ましい:
抗体NO.1:抗α4−インテグリン(A4−PUJ1、UBI)
抗体NO.2:抗α4−インテグリン(P1H4、ケミコン(Chemicon))
抗体NO.3:抗α5−インテグリン(A5−PUJ5、UBI)
抗体NO.4:抗α5−インテグリン(P1D6、ケミコン(Chemicon))
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は抗α4−および抗α5−インテグリン阻害抗体のMIAとの特異的交差反応を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MIAと結合する抗体または抗体フラグメントを含む薬物。
【請求項2】
抗体がα4およびα5−インテグリンに対する抗体から成る群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の薬物。
【請求項3】
抗体が
抗体No.1:抗α4−インテグリン(A4−PUJ1、UBI)
抗体No.2:抗α4−インテグリン(P1H4、ケミコン(Chemicon))
抗体No.3:抗α5−インテグリン(A5−PUJ5、UBI)
抗体No.4:抗α5−インテグリン(P1D6、ケミコン(Chemicon))
から成る群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2の薬物。
【請求項4】
さらに免疫刺激物質、化学治療剤、遺伝子治療剤、抗血管新生剤、抗浸潤剤およびワクチン剤から成る群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1から3のいずれか1つに記載の薬物。
【請求項5】
固形腫瘍、白血病、変性疾患、免疫抑制疾患から成る群から選択される疾患の予防または治療に使用される、請求項からのいずれか1つに記載の薬物
【請求項6】
固形腫瘍が黒色腫および他のMIA過剰発現腫瘍である、請求項5に記載の薬物。
【請求項7】
MIAの阻害に使用される、α4−および/またはα5−インテグリンに対して向けられた抗体または抗体フラグメント。
【請求項8】
前駆体細胞の刺激および/または誘導に使用される、α4−および/またはα5−インテグリンに対して向けられた抗体または抗体フラグメント。

【図1】
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【公開番号】特開2008−247909(P2008−247909A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95093(P2008−95093)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【分割の表示】特願2003−564077(P2003−564077)の分割
【原出願日】平成14年1月29日(2002.1.29)
【出願人】(504282740)アンティセンス ファルマ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (8)
【Fターム(参考)】