説明

うつ病、および/または常習性薬物の使用に伴う禁断症状の治療のための、HPPD阻害薬の使用

本発明は、とりわけ、うつ病の治療および/または予防に使用される医薬の製造における、動物において4−ヒドロキシフェニルピルビン酸デオキシゲナーゼ(HPPD)を阻害しうる化合物の使用を提供する。本発明はまた、該動物においてドーパミン依存性連合学習障害を引き起こす常習性薬物に伴う禁断症状の治療において使用される医薬の製造における、動物においてHPPDを阻害しうる化合物の使用を提供する。特別な具体例において、該HPPD阻害剤は、化合物1;2;および3.22として示される化合物からなる群より選択される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、とりわけ、うつ病の治療、および/または、ドーパミン依存性連合学習障害を引き起こす常習性薬物に伴う禁断症状の治療のための、4−ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)阻害薬の使用に関するものである。具体的には、上記 HPPD阻害薬は化合物1、化合物2、および化合物3.22からなる群から選択される化合物である。
【0002】
臨床的うつ病とは、悲しみ、うつ、または絶望が、個人の社会的機能および/または日常生活の活動までが妨げられる程度まで進行した状態である。臨床的うつ病は、現在、アメリカそして他の国においても障害の主要な原因となっており、世界保健機関によると、世界的に見て、西暦2020年には障害の2番目(心臓病に次いで)の原因になると予期されている。
【0003】
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、および三環系抗うつ薬といった抗うつ薬の有効性はそれ自体ではわずかあり、治療のためには、より効果的な治療法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故、うつ病を軽減できる薬剤の提供が望まれる。本明細書の全体において、「うつ病」という用語は、双極性障害や単極性障害を含む。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概して言うなら、本発明はそのために、とりわけ、うつ病の治療に用いられる薬剤を提供しようとするものであり、上記薬剤はここで述べられる問題を克服および/または改善するものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1はチロシン代謝を示す経路の一部を表したものである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
それ故に、本発明は、他に提供するものもあるが、動物において4−ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼを阻害し、その結果ドーパミンの合成および/または代謝回転の増加を達成するための組成物、およびその使用を提供するものである。
【0008】
本発明によれば、うつ病の治療および/または予防に用いられる薬剤を製造するために、動物において4−ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)を阻害することが可能な少なくとも一つの化合物の使用が提供される。ある特定の具体例においては、上記薬剤は、ここで開示されている化合物1、2、および3.22からなる群から選択される化合物を含む。ある特定の具体例においては、上記薬剤は化合物1と表記される化合物を含む。
【0009】
本発明はさらに、上述したような使用において、上記薬剤が選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)および/または三環系抗うつ薬(三環系薬剤)を含むものを提供する。ある特定の具体例においては、上記SSRIは、シタロプラム、エシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、およびセルトラリン、またはこれらの混合物からなる群より選択され、上記三環系薬剤は、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドスレピン、ドチエピン、ドキセピン、マプロチリン、ミアンセリン、トラゾドン、トリミプラミン、アモキサピン、イミプラミン、ロフェプラミン、およびノルトリプチリン、またはこれらの混合物からなる群より選択される。
【0010】
ある特定の具体例においては、上記SSRIは上記HPPD阻害薬を含む薬剤とは別に投与されてもよい。
【0011】
ある特定の具体例においては、上記三環系薬剤は上記HPPD阻害薬を含む薬剤とは別に投与されてもよい。
【0012】
本発明はさらに、化合物1、2、および3.22からなる群から選択される薬学的有効量の化合物、または薬学的に許容されるこれらの塩と、薬学的有効量の選択的セロトニン再取り込み阻害薬および/または三環系抗うつ薬と、そしてこれらを動物に投与する手段とを含むキットを提供するものである。
【0013】
本発明はさらに、有効成分として化合物1、2、および3.22からなる群から選択される薬学的有効量の化合物、またはその薬学的に許容されるこれらの塩と、薬学的有効量の選択的セロトニン再取り込み阻害薬および/または三環系抗うつ薬と共に、薬学的に許容される希釈剤またはキャリアを含む医薬組成物を提供するものである。ある特定の具体例においては、上記SSRIは、シタロプラム、エシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、およびセルトラリン、またはこれらの混合物からなる群より選択され、上記三環系薬剤は、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドスレピン、ドチエピン、ドキセピン、マプロチリン、ミアンセリン、トラゾドン、トリミプラミン、アモキサピン、イミプラミン、ロフェプラミン、およびノルトリプチリン、またはこれらの混合物からなる群より選択される。
【0014】
本発明の別の態様では、ドーパミン依存性連合学習障害を引き起こす常習性薬物に伴う禁断症状の治療にHPPD阻害薬の使用が提供される。このような常習性薬物とは、コカイン、およびアンフェタミンといった精神刺激薬や、麻薬性鎮痛薬、アヘン剤、ニコチン、エタノール、テトラヒドロカンナビノール、およびフェンシクリジンを含む。
【0015】
ニコチンは一時的に覚醒の度合いや記憶を向上させる興奮剤であるが、同時に強い身体的および精神的な化学的依存(依存症)を形成する。ニコチンは、巻きたばこ、葉巻、および噛みタバコという方法によって使用される、もっとも多用されている常習性薬物の一つである。
【0016】
喫煙は、特に肺がん、肺気腫、および循環器疾患をといった、多くの健康問題の主要な要因であると医学研究によって究明されている。禁煙によって、たばこの健康被害の多くは最小限に食い止めることが出来る。
【0017】
多くの喫煙者は喫煙をやめようと望んでいるが、ニコチンに対する依存は治療が難しいので、彼らは薬物療法の助けを必要としている。たばこ依存の治療のための薬理学的な選択肢は、ニコチン置換療法や最近ではブプロピオンの徐放錠の使用に限定されるが、ブプロピオン徐放錠はそれ自体が限定的な有効性持っている。
【0018】
本発明は、HPPD阻害薬を、とりわけ、脳でのドーパミンの産生を増加する興奮剤として用いる使用を提供するものである。この興奮剤としての効果は、渇望を減らし、脳の報酬閾値を下げ、そして憂うつな気分、イライラ感、集中力の低下、および食欲の増加といった、ニコチン禁断症状を少しでも軽減することで、たばこを含む製品に対する禁欲の達成を助けることに活用される。
【0019】
コカインは、常習性薬物のもう一つの例である。コカインは興奮剤であり、「陶酔的な幸福感」や「活力増強」といったものを生み出す。コカインは身体的および精神的な依存を引き起こす能力があるが、やめるのが難しい。アメリカ合衆国において、コカインは2番目に広く使用される快楽のための麻薬である。
【0020】
現在、コカインに依存している患者を助け、そして彼らの常習性を断つための、許認可されたまたは効果的な薬剤は無い。患者が断つ事に失敗する主要な要因の一つには、その深刻な禁断症状が挙げられる。本発明は、とりわけ、ドーパミンの脳内濃度または代謝回転を増加するためにHPPD阻害薬の使用を提供するものであり、その結果としてコカイン禁断による有害な症状を軽減し、禁断が成功する可能性を高める。
【0021】
そのために本発明は、とりわけ、ドーパミン依存性連合学習障害を引き起こす常習性薬物に伴う禁断症状の治療のために用いられる薬剤を提供しようとするものであり、この薬剤は、ここで述べた問題を薬理的に克服および/または改善するものである。
【0022】
それ故に、本発明は、とりわけ、動物において4−ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼを阻害し、その結果ドーパミンの合成および/または代謝回転の増加を達成するための組成物、およびその使用を提供するものである。
【0023】
そのため本発明は、動物においてドーパミン依存性連合学習障害を引き起こす常習性薬物に伴う禁断症状の治療に用いられる薬剤の製造において、上記動物においてヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)を阻害することが可能な少なくとも一つの化合物の使用を提供するものである。ある特定の具体例において、上記常習性薬物は、コカイン、アンフェタミン、アヘン剤、ニコチン、エタノール、テトラヒドロカンナビノール、およびフェンシクリジンからなる群から選択される麻薬である。ある特定の具体例では、上記麻薬はニコチンである。さらにまた別の具体例では、上記麻薬はコカインである。
【0024】
本発明はさらに、上記薬剤が化合物1、2、および3.22と表記される群から選択される化合物を含む、上述した使用を提供する。
【0025】
本発明はさらに、上記薬剤が同じように動物において4−ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)を阻害することが可能なさらなる化合物を含む、上述した使用を提供する。
【0026】
本発明はさらに、上記薬剤がニコチン置換療法を含む、上述した使用を提供する。このようなニコチン置換療法は当業者にとっては公知であり、ガム、パッチ、タブレット、糖衣錠、スプレー、および吸入器などを含む。
【0027】
本発明はさらに、上記薬剤がブプロピオンを含む、上述した使用を提供する。
【0028】
本発明はさらに、上記薬剤がニコチン置換療法と併用される、上述した使用を提供する。
【0029】
本発明はさらに、上記薬剤がブプロピオンと併用される、上述した使用を提供する。
【0030】
ある特定の具体例において、上記ニコチン置換療法は上記HPPD阻害薬を含む上記薬剤とは別に投与されてもよい。
【0031】
ある特定の具体例において、上記ブプロプリオンは上記HPPD阻害薬を含む上記薬剤とは別に投与されてもよい。
【0032】
さらに別の態様では、本発明は、1、3.22、および2からなる群から選択される薬学的有効量の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、薬学的有効量のニコチン置換療法および/またはブプロピオンと、これらを動物に投与する手段とを含むキットを提供するものである。
【0033】
さらに別の態様では、本発明は、有効成分として化合物1、3.22、および2からなる群から選択される薬学的有効量の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、薬学的有効量のニコチン置換療法および/またはブプロピオンとともに、薬学的に許容される希釈剤またはキャリアとを含む医薬組成物を提供するものである。
【0034】
本発明はさらに、経口的または非経口的投与に適した形態の、上述した医薬組成物を提供するものである。
【0035】
本発明はさらに、タブレット、トローチ剤、硬カプセル剤、水性懸濁液、油性懸濁液、乳剤、分散可能な粉末、分散可能な顆粒、シロップ剤、およびエリキシル剤からなる群から選択される、経口的投与に適した口当たりがいい形態の、上述した医薬組成物を提供するものである。
【0036】
本発明はさらに、経口的使用を意図され、そして硬または軟ゼラチンカプセルの形態である、上述した医薬組成物を提供するものである。
【0037】
本発明はさらに、非経口的投与に適した形態の、上述した医薬組成物を提供するものである。
【0038】
つまり、本発明において使用されるこのようなHPPD阻害薬の上記組成物は、薬学の分野において公知の様々な形態をとってもよく、そしてヒトおよびその他の温血動物への投与という薬学的目的のために特別に適合させたものでもよい。
【0039】
本発明の組成物は、この分野においてよく知られている、従来の薬学的賦形剤を用いて従来の方法によって得られるものであってもよい。
【0040】
従って、経口的使用を意図される組成物は、例えば、着色剤、甘味剤、香味剤、防腐剤を、通常一つまたはそれ以上含み、有効成分が、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、またはカオリンといった不活性の固形の希釈剤と混ざっている、硬ゼラチンカプセルの形態であってもよい。
【0041】
経口的使用のための組成物はさらに、有効成分と、水またはラッカセイ油、流動パラフィン、またはオリーブ油などの油とが混ざっている、軟ゼラチンカプセルの形態であってもよい。
【0042】
タブレット製剤に使用される、薬学的に許容される適した賦形剤とは、例えば、ラクトース、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、または炭酸カルシウムといった不活性の希釈剤や、コーンスターチ、またはアルギン酸といった造粒および崩壊剤や、ゼラチン、またはでんぷんといった結合剤や、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクといった平滑剤や、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸プロピルといった防腐剤や、アスコルビン酸といった酸化防止剤などが含まれる。
【0043】
タブレット製剤は、タブレット製剤の分散と、そして続けて起きる消化管内での有効成分の吸収とを調整するため、あるいは、安定性および/または外見を向上するために、コーティングされていなくても、またはコーティングされていてもよく、どちらの場合においても、当業者に公知の従来からあるコーティング剤と工程を用いればよい。
【0044】
水性懸濁液は、一般的に、微粉末状の有効成分とともに、薬学的に許容される、1つまたはそれ以上の、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、およびアラビアゴムなどの懸濁化剤、レシチンなどの分散剤または湿潤剤、またはアルキレンオキサイドと脂肪酸(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)との縮合物、またはヘプタデカエチレンオキシセタノールなどの、エチレンオキサイドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物、またはモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールなどの、エチレンオキサイドと、脂肪酸およびヘキシトールから生成される部分エステルとの縮合物、または例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタンなどの、エチレンオキサイドと、脂肪酸およびヘキシトール無水物から生成される部分エステルとの縮合生成物を含む。
【0045】
水性懸濁液は、典型的には、保存料(p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピルなど)、酸化防止剤(アスコルビン酸など)、着色剤を1つまたはそれ以上とともに、通常、香味剤および/または甘味剤(スクロース、サッカリン、アスパルテームなど)をも含む。
【0046】
油性懸濁液は、有効成分を植物油(ラッカセイ油、オリーブオイル、ゴマ油、ココナツオイルなど)または鉱物油(流動パラフィンなど)で懸濁することによって調製されていてもよい。
【0047】
油性懸濁液は、蜜蝋、ハードパラフィンまたはセチルアルコールなどの増粘剤を含んでいてもよい。
【0048】
口当たりの良い経口製剤を提供するために、上述したような甘味剤、および香味剤を加えてもよい。
【0049】
これらの組成物は、アスコルビン酸のような酸化防止剤を添加することによって、保存されてもよい。
【0050】
水を添加することによって作られる水性懸濁液を製剤するのに適した分散可能な粉末や顆粒は、一般的に、有効成分とともに、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤、および、1つまたはそれ以上の保存料を含む。
【0051】
適した分散剤または湿潤剤、および懸濁化剤は既に上述したものにより例示される。
【0052】
さらに、甘味剤、香味剤、および着色剤といった、薬学的に許容される賦形剤も一般的に含まれる。
【0053】
本発明の医薬組成物は、水中油型乳剤の形態であってもよい。
【0054】
これの油相は、オリーブオイルまたはラッカセイ油などの植物油、または例えば流動パラフィンなど鉱物油、またはこれらのいずれかの混合物であってもよい。
【0055】
適した乳化剤は、例えば、アラビアゴムまたはトラガカントゴムなどの天然ゴムか、大豆、レシチンなどの天然のリン脂質、または脂肪酸とヘキシトール無水物から生成されるエステルまたは部分エステル(例えばモノオレイン酸ソルビタン)、およびモノオレイン酸ポリエチレンソルビタンなどの、上記部分エステルとエチレンオキサイドから生成される縮合物であってもよい。
【0056】
乳剤は、甘味剤、香味剤、および防腐剤をも含んでいてもよい。
【0057】
シロップ剤とエリキシル剤は、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、アスパルテーム、またはスクロースなどの甘味剤を用いて調製されていてもよく、さらに、粘滑剤、保存料、香味剤、および/または着色剤を含んでいてもよい。
【0058】
上記医薬組成物はさらに、滅菌された、注射可能な水性または油性懸濁液の形態であってもよく、これは、上で述べた、適した分散剤または湿潤剤、および懸濁化剤を、1つまたはそれ以上用いて、公知の製造工程に従って調製されてもよい。
【0059】
さらに、滅菌された注射可能な製剤とは、滅菌された注射可能な溶液または懸濁液が、非毒性の非経口投与が許容される希釈剤または溶剤中に含まれているであってもよく、その例としては1,3−ブタンジオール中の溶液が挙げられる。
【0060】
用量
一回分の用量の形態を製造するための1つまたはそれ以上の賦形剤と組み合わされる有効成分の使用量は、処置を受ける対象に応じて、およびその特定の投与の経路に応じて、必然的に変わるものである。
【0061】
一般的に、ヒトに経口投与されることを意図された製剤は、適切で利便的な量の賦形剤と組み合わせて、例えば、体重1kg当たり0.01mgから10mgの有効成分を含む。
【0062】
一単位の用量を含む形態は、一般的に約0.1mgから約500mgの有効成分を含む。
【0063】
より具体的には、化合物2を含む製剤は、例えば、ヒトへの経口投与を意図した場合では、適切で利便的な量の賦形剤と組み合わせて、例えば、体重1kg当たり0.01mgから10mgの有効成分を一般的に含む。
【0064】
一単位の用量を含む形態の化合物2を含む製剤は、一般的に約0.1mgから約100mgの有効成分を含む。
【0065】
しかしながら、周知の医療行為に従い、治療中の病状または病気の本質および重症度や、併用されている療法や、治療を受けている患者の年齢、体重、遺伝子型および性別などを考慮に入れて、投与される有効成分の量を変化させる必要がありうることは容易に理解されることである。
【0066】
一般的に治療に用いる場合、本発明の組成物は、そのHPPD阻害薬(または、これと等価な量の薬学的に許容されるこれらの塩)の用量が一般的に0.00002から10mg/kg/日、または0.001から500mg/日の範囲となるように投与されることが想定され、より具体的には、0.05から10mg/日、および0.1〜5mg/日、または用量を分割して与える必要があるならば、1日当たり、体重1kg当たり0.01mgから10mgの有効成分を含む量が投与されることが想定される。
【0067】
より具体的には、治療に用いられ、化合物3.22または2を含む組成物の場合、本発明の組成物は、そのHPPD阻害薬(または、これと等価な量の薬学的に許容されるこれらの塩)の用量が、一般的に0.0002から1mg/kg/日または0.01から100mg/日の範囲となるように投与されることが想定される。さらに具体的には、0.05から10mg/日および0.1から5mg/日、または用量を分割して与える必要があるならば、1日当たり、体重1kg当たり0.01から1mgの有効成分を含む量が投与される。本明細書中における範囲はすべてそれぞれの端点を含んだものである。例えば、0.01から100までの範囲の場合、0.01および100の値は含まれる。
【0068】
HPPD阻害薬(または薬学的に許容されるこれらの塩)の間欠的な投薬も望ましい。
【0069】
患者の総合的な状態の評価に加えて、標準的な臨床的な化学検査および血液検査によって、この患者に対するHPPD阻害薬の投与の影響を監視してもよい。
【0070】
本発明のさらに別の態様では、化合物1、2、および3.22からなる群から選択される薬学的に有効量の化合物か、または上述の組成物を、動物に投与することを含む、うつ病の治療および/または予防するための方法を提供するものである。
【0071】
本発明のさらに別の態様では、化合物1、3.22、および2からなる群から選択される薬学的に有効量の化合物か、または上述の組成物を、動物に投与することを含む、上記動物においてドーパミン依存性連合学習障害の発生の原因となる麻薬に対する依存症に由来する禁断症状に苦しむ上記動物のための治療方法を提供するものである。
【0072】
本発明の好ましい具体例においては、上記動物はヒトである。
【0073】
本発明に適用されうるHPPD阻害薬は、式Iの化合物(式Iという用語は化合物1と置き換えてもよい):
【化1】


[式中、TはTであり:
【化2】


(式中、GはCまたはNであり、GがNの場合、EおよびRのいずれか一つだけ存在し;
Dは水素またはRであり;
Eは水素またはRであり;あるいは
DとEは一緒になってRにより一置換または多置換されうるC−Cアルキレンであり;
AはRにより一置換または多置換されうるC−Cアルキレンであり;または、DおよびEはC−Cアルキレン以外であるときは、Aはさらに、カルボニル、酸素または−N−R−であってもよく;
、R、R、R、RおよびRは、互いにそれぞれ独立して、水素、C−Cアルキル、フェニル、C−Cアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ヒドロキシカルボニルまたはC−Cアルコキシカルボニルであり;
あるいはRとRは一緒になって、酸素および/またはカルボニル基および/または硫黄にて中断可能なC−Cアルキレン鎖を構成するが、ただしこの場合は、酸素原子と硫黄原子は少なくとも一つのメチレン基で隔てられており;
はC−Cアルキル、アルコキシカルボニルまたはC−Cアルキルカルボニルであり;
036はヒドロキシ、またはOであり、ここでMはアルカリ金属陽イオン、アンモニウム陽イオン、ハロゲン、C−C12アルキルスルホニルオキシ、アミノ、C−Cアルキルチオ、C−C12アルキルスルフィニル、C−C12アルキルスルホニル、C−C12ハロアルキルチオ、C−C12ハロアルキルスルフィニル、C−C12ハロアルキルスルホニル、C−Cアルコキシ−C−Cアルキルチオ、C−Cアルコキシ−C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルコキシ−C−Cアルキルスルホニル、C−C12アルケニルチオ、C−C12アルケニルスルフィニル、C−C12アルケニルスルホニル、C−C12アルキニルチオ、C−C12アルキニルスルフィニル、C−C12アルキニルスルホニル、C−Cアルコキシカルボニル−C−Cアルキルチオ、C−Cアルコキシカルボニル−C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルコキシカルボニル−C−Cアルキルスルホニル、(C−Cアルコキシ)P(O)O、C−Cアルキル−(C−Cアルコキシ)P(O)O、H(C−Cアルコキシ)P(O)O、R037038N、R039040NNH、R041042NC(O)O−、R043044NC(O)NH−、C−C18アルキルカルボニルオキシ、C−C18アルケニルカルボニルオキシ、C−C18アルキニルカルボニルオキシ、C−Cシクロアルキルカルボニルオキシ、C−C12アルコキシカルボニルオキシ、C−C12アルキルチオカルボニルオキシまたはC−C12アルキルチオカルバモイルであり、ここでアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、ハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、またはシアノによって置換可能であり;
あるいはR036はフェノキシ、フェニルチオ、フェニルスルフィニル、フェニルスルホニル、フェニルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルオキシ、ベンゾイルオキシ、またはベンゾイル−C−Cアルコキシであり、ここでフェニル基は一回またはそれ以上の回数ハロゲン、ニトロ、シアノ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシおよび/またはC−Cハロアルコキシによって置換可能であり;
あるいは、R036は基Het07−チオ、Het08−スルフィニル、Het09−スルホニル、Het010−(CO)OまたはHet011−N(R047)であり;
Het07、Het08、Het09、Het010およびHet011は、互いにそれぞれ独立して、5から10の員環を持つ単環系または環付加反応された二環系であり、これらの環系は芳香族または部分的に飽和していてもよく、さらに、窒素、酸素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を1から4個含んでいてもよく、それぞれの環系は酸素原子を2個まで、および硫黄原子を2個までは含んでいてもよく、さらにこれらの環系自体はC−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、ジ(C−Cアルキル)アミノスルホニル、ジ(C−Cアルキル)アミノ、ハロゲン、シアノ、ニトロまたはフェニルによって置換可能であり、複素環中の窒素原子上の置換基はハロゲン以外のものであり;
037、R038、R039、R040、R041、R042、R043、R044およびR047は互いにそれぞれ独立して水素またはC−Cアルキルであり;
あるいはR037とR038は一緒になって、あるいはR039とR040は一緒になって、あるいはR041とR042は一緒になって、あるいはR043とR044は一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノまたはチオモルホリノであり、これらはメチル基によって一置換または多置換可能である);
あるいはTはTであり:
【化3】


(式中、R34は水素、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニルまたはベンジルであり、当該フェニル基は一回またはそれ以上の回数C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシおよび/またはニトロによって置換可能であり;
35は水素、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニルまたはベンジルであり、このフェニル基は一回またはそれ以上の回数C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシおよび/またはニトロによって置換可能であり;
36はヒドロキシ、またはOであり、ここでMはアルカリ金属陽イオン、アンモニウム陽イオン、ハロゲン、C−C12アルキルスルホニルオキシ、アミノ、C−Cアルキルチオ、C−C12アルキルスルフィニル、C−C12アルキルスルホニル、C−C12ハロアルキルチオ、C−C12ハロアルキルスルフィニル、C−C12ハロアルキルスルホニル、C−Cアルコキシ−C−Cアルキルチオ、C−Cアルコキシ−C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルコキシ−C−Cアルキルスルホニル、C−C12アルケニルチオ、C−C12アルケニルスルフィニル、C−C12アルケニルスルホニル、C−C12アルキニルチオ、C−C12アルキニルスルフィニル、C−C12アルキニルスルホニル、C−Cアルコキシカルボニル−C−Cアルキルチオ、C−Cアルコキシカルボニル−C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルコキシカルボニル−C−Cアルキルスルホニル、(C−Cアルコキシ)P(O)O、C−Cアルキル−(C−Cアルコキシ)P(O)O、H(C−Cアルコキシ)P(O)O、R3738N、R3940NNH、R4142NC(O)O−、R4344NC(O)NH−、C−C18アルキルカルボニルオキシ、C−C18アルケニルカルボニルオキシ、C−C18アルキニルカルボニルオキシ、C−Cシクロアルキルカルボニルオキシ、C−C12アルコキシカルボニルオキシ、C−C12アルキルチオカルボニルオキシまたはC−C12アルキルチオカルバモイルであり、ここでアルキル、アルケニルおよびアルキニル基はハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニルまたはシアノによって置換可能であり;
あるいはR36はフェノキシ、フェニルチオ、フェニルスルフィニル、フェニルスルホニル、フェニルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルオキシ、ベンゾイルオキシまたはベンゾイル−C−Cアルコキシであり、このフェニル基は一回またはそれ以上の回数ハロゲン、ニトロ、シアノ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシおよび/またはC−Cハロアルコキシによって置換可能であるか、あるいはR36は、基Het−チオ、Het−スルフィニル、Het−スルホニル、Het10−(CO)OまたはHet11−N(R47)であり;
ここでHet、Het、Het、Het10およびHet11は、互いにそれぞれ独立して、5から10の員環を持つ単環系または環付加反応された二環系であり、これらの環系は芳香族または部分的に飽和していてもよく、さらに、窒素、酸素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を1から4個含んでいてもよく、それぞれの環系は酸素原子を2個まで、および硫黄原子を2個までは含んでいてもよく、さらにこれらの環系自体はC−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、ジ(C−Cアルキル)アミノスルホニル、ジ(C−Cアルキル)アミノ、ハロゲン、シアノ、ニトロまたはフェニルによって置換可能であり、複素環中の窒素原子上の置換基はハロゲン以外のものであり;
37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、R44およびR47は互いにそれぞれ独立して、水素またはC−Cアルキルであり;
37とR38は一緒になって、あるいはR39とR40は一緒になって、あるいはR41とR42は一緒になって、あるいはR43とR44は一緒になってピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノまたはチオモルホリノであり、これらはメチル基によって一置換または多置換可能である);
あるいはTはTであり:
【化4】

(式中、R49はC−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cシクロアルキルまたはハロゲン置換C−Cシクロアルキルであり;
01は化学結合、S、SOまたはSOであるか、あるいは−CO−であり;
50は水素またはC−Cアルキレンであり、下記置換基:ハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ−C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシ−C−Cアルコキシ−C−Cアルコキシ、(3−オキセタニル)−オキシ、C−Cアルキル置換(3−オキセタニル)−オキシ、ベンジルチオ、ベンジルスルフィニル、ベンジルスルホニル、フェニル、フェノキシ、フェニルチオ、フェニルスルフィニルまたはフェニルスルホニルによって置換可能であり、これらのフェニルおよびベンジルを含む基は1つまたはそれ以上のC−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシおよび/またはニトロ基によって置換可能であり;
あるいはR50はフェニルであり、当該フェニル含有基は1つまたはそれ以上のC−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシおよび/またはニトロ基によって置換可能であり;
あるいはR50はC−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ置換C−Cシクロアルキル、C−Cアルキル置換C−Cシクロアルキル、3−オキセタニルまたはC−Cアルキル置換3−オキセタニルである);
あるいはTはTであり:
【化5】

(式中、R045はC−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cシクロアルキルまたはハロゲン置換C−Cシクロアルキルである)]およびそれらの薬学的に許容される塩、異性体および鏡像異性体を含む。
【0074】
式Iの上記化合物は、アミン類、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の塩基、または第4級アンモニウム塩基とこれらの化合物が形成する塩も含まれる。塩を形成するアルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物のうち、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウムの水酸化物については特筆すべきであるが、ナトリウムおよびカリウムの水酸化物は殊更に特筆すべきである。
【0075】
例えば、アンモニウム塩を形成するのに適したアミンは、アンモニアの他;例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミンの4つの異性体、n−アミルアミン、イソアミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、メチルエチルアミン、メチルイソプロピルアミン、メチルヘキシルアミン、メチルノニルアミン、メチルペンタデシルアミン、メチルオクタデシルアミン、エチルブチルアミン、エチルヘプチルアミン、エチルオクチルアミン、ヘキシルヘプチルアミン、ヘキシルオクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−アミルアミン、ジイソアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、エタノールアミン、n−プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、N,N−ジエタノールアミン、N−エチルプロパノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、アリルアミン、n−ブテニル−2−アミン、n−ペンテニル−2−アミン、2,3−ジメチルブテニル−2−アミン、ジブテニル−2−アミン、n−ヘキセニル−2−アミン、プロピレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリ−n−アミルアミン、メトキシエチルアミンおよびエトキシエチルアミンなどの第1級、第2級および第3級のC−C18アルキルアミン類、C−Cヒドロキシアルキルアミン類およびC−Cアルコキシアルキルアミン類;例えば、ピリジン、キノリン、イソキノリン、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、インドリン、キヌクリジンおよびアゼピンなどの複素環アミン類;例えば、アニリン類、メトキシアニリン類、エトキシアニリン類、o−、m−およびp−トルイジン、フェニレンジアミン類、ベンジジン類、ナフチルアミン類、および、o−、m−およびp−クロロアニリン類などの第1級アリールアミン類があるが、とりわけ、トリエチルアミン、イソプロピルアミンおよびジイソプロピルアミンである。
【0076】
式IのTがTである化合物は、エノール化した形態または塩の形態が好ましいため、式Iは、エノール化した形態の式Ia、Ib、IcおよびIdを含み、ここでMは、水素または金属イオンまたはアンモニウムイオンである。
【化6】

【0077】
式Iの化合物は、例えば、R1、DおよびAを有する炭素原子のごとき不斉炭素を含んでいてもよいので、すべての立体異性体も包含される。
【0078】
式Iの上記化合物が動物においてHPPD阻害薬の作用を保持すれば、有機置換基Qは、所望のいかなる構造の不活性置換基でもよい。これらの化合物について、そのような条件を満たすかどうかを試す試験方法は、本明細書中で記述される実験方法に従って行われてもよい。
【0079】
好ましくは、Qは、一置換または多置換されたフェニル、ピリジル、ヘテロアリール基であり、2−ベンゾイル、2−イソニコチノイルおよび2−ニコチノイルの誘導体が特に好ましく、式Iの上記化合物が動物においてHPPD阻害薬の作用を保持すれば、これらの基の置換パターンは自由に選ぶことが可能である。
【0080】
ある特定の具体例においては、上記HPPD阻害薬は式Iの化合物:
[式中、QはQであり:
【化7】


(式中、AまたはAは、それぞれメチン、C(Ra)またはN(O)から選ばれ(好ましくは、AまたはAの少なくとも一つはメチンであり);
pは0または1であり;
Raは水素、C−Cアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、C−Cハロアルケニルオキシ、C−Cアルキニルオキシ、C−Cアルキルカルボニルオキシ、C−Cアルキルスルホニルオキシ、トシルオキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、C−Cアルキルアミノ、ジ−C−Cアルキルアミノ、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cハロアルキル、ホルミル、シアノ、ハロゲン、フェニルまたはフェノキシであり;フェニルはC−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロによって置換可能であり;
あるいはRaは3ないし10員の単環系であるか、あるいはRaまたはRaと一緒になって、酸素、硫黄、SO、SO、NRa、カルボニルおよび/または=NORaによって中断可能な環付加反応された単環系または二環系であり、環系は、環付加されていなければ、置換基Aの炭素原子に直接に、またはC−Cアルキレン、−CH=CH−、−C=C−、−CHO−、−CHN(C−Cアルキル)−、−CHS−、−CHSO−または−CHSO−基を介して結合しており、環系は酸素原子を2個まで、および硫黄原子を2個まで含んでいてもよく、環系自体はC−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cハロアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cハロアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、C−Cアルキニルオキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cハロアルキルチオ、C−Cアルケニルチオ、C−Cハロアルケニルチオ、C−Cアルキニルチオ、C−Cアルコキシ−C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルカルボニル−C−Cアルキルチオ、C−Cアルコキシカルボニル−C−Cアルキルチオ、シアノ−C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルフィニル、C−Cハロアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、C−Cハロアルキルスルホニル、アミノスルホニル、C−Cアルキルアミノスルホニル、ジ(C−Cアルキル)アミノスルホニル、ジ(C−Cアルキル)アミノ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、フェニルおよび/またはベンジルチオによって一置換、二置換、または三置換可能であり、フェニル環のフェニルおよびベンジルチオはC−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロによって置換可能であり、複素環中の窒素原子上の置換基はハロゲン以外であり;
あるいはRaは基−X−Xまたは基−X−X−Xであり;
ここで、Xは、ハロゲンおよび/またはXによって一置換または多置換可能な、C−Cアルキレン、C−CアルケニレンまたはC−Cアルキニレン鎖であり、鎖の中の不飽和結合は直接に置換基Xに結合しておらず;
はヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cシクロアルキルオキシ、C−Cアルコキシ−C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシ−C−Cアルコキシ−C−CアルコキシまたはC−Cアルキルスルホニルオキシであり;
は酸素、−O(CO)−、−(CO)O−、−O(CO)O−、−N(C−Cアルキル)−O−、−O−N(C−Cアルキル)−、チオ、スルフィニル、スルホニル、−SON(C−Cアルキル)−、−N(C−Cアルコキシ)SO−、−N(C−Cアルキル)SO−、−N(C−Cアルコキシ−C−Cアルキル)SO−または−N(C−Cアルキル)−であり;
Raは水素、C−Cアルキル、C−Cアルキルチオ−C−Cカルボニル、C−Cアルキルスルフィニル−C−Cカルボニル、C−Cアルキルスルホニル−C−Cカルボニル、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルキルカルボニル、フェニルカルボニルまたはフェニルであり、フェニル基は、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキルカルボニル、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルキルアミノ、ジ−C−Cアルキルアミノ、C−Cアルキル−S−、C−Cアルキル−SO−、C−Cアルキル−SO、C−Cアルキル−S(O)O、C−Cハロアルキル−S−、C−Cハロアルキル−SO、C−Cハロアルキル−SO、C−Cハロアルキル−S(O)O、C−Cアルキル−S(O)NH、C−Cアルキル−S(O)N(C−Cアルキル)、ハロゲン、ニトロまたはシアノによって置換可能であり;
RaはC−Cアルキルであり;
Raは水素、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cハロアルケニル、C−Cアルコキシカルボニルまたはフェニルで置換されたビニル、C−Cアルキニル、C−Cハロアルキニル、トリメチルシリル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニルまたはフェニルで置換されたエチニル、C−Cアレニル、C−Cシクロアルキル、ハロゲンで置換されたC−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、C−Cアルキニルオキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cハロアルケニルオキシ、シアノ−C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシ−C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ−C−Cアルコキシ、C−Cアルキルスルフィニル−C−Cアルコキシ、C−Cアルキルスルホニル−C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニル−C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、C−Cハロアルキルチオ、C−Cハロアルキルスルフィニル、C−Cハロアルキルスルホニル、C−Cアルコキシカルボニル−C−Cアルキルチオ、C−Cアルコキシカルボニル−C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルコキシカルボニル−C−Cアルキルスルホニル、ベンジル−S−、ベンジル−SO−、ベンジル−SO−、C−Cアルキルアミノ、ジ−C−Cアルキルアミノ、C−Cアルキルアミノスルホニル、ジ(C−Cアルキルアミノ)スルホニル、ベンジルオキシ、ベンジル、フェニル、フェノキシ、フェニルチオ、フェニルスルフィニルまたはフェニルスルホニルであり、フェニル含有基はC−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロによって置換可能であり、あるいはRaはOS−C−Cアルキル、OSO−C−Cアルキル、OSO−C−Cアルキル、OS−C−Cハロアルキル、OSO−C−Cハロアルキル、OSO−C−Cハロアルキル、N(C−Cアルキル)−S−C−Cアルキル、N(C−Cアルキル)−SO−C−Cアルキル、N(C−Cアルキル)−SO−C−Cアルキル、シアノ、カルバモイル、C−Cアルコキシカルボニル、ホルミル、ハロゲン、チオシアノ、アミノ、ヒドロキシ−C−Cアルキル、C−Cアルコキシ−C−Cアルキル、C−Cアルキル−S−C−Cアルキル、C−Cアルキル−SO−C−Cアルキル、C−Cアルキル−SO−C−Cアルキル、シアノ−C−Cアルキル、C−Cアルキルカルボニルオキシ−C−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル−C−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニルオキシ−C−Cアルキル、C−Cチオシアノ−C−Cアルキル、ベンゾイルオキシ−C−Cアルキル、C−Cオキシラニル、C−Cアルキルアミノ−C−Cアルキル、ジ(C−Cアルキル)アミノ−C−Cアルキル、C−C12アルキルチオカルボニル−C−Cアルキルまたはホルミル−C−Cアルキルであり、あるいはRaは、5ないし10員の単環系または環付加反応された二環系であり、これらの環系は芳香族または部分的に飽和していてもよく、さらに、窒素、酸素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を1から4個含んでいてもよく、上記環系は、C−Cアルキレン、−CH=CH−、−C=C−、−CHO−、−CHN(C−Cアルキル)−、−CHSO−または−CHSO−基を介してピリジン環と結合しており、それぞれの環系は酸素原子を2個まで、および硫黄原子を2個までは含んでいてもよく、上記環系自体は、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cハロアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cハロアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、C−Cアルキニルオキシ、メルカプト、C−Cアルキルチオ、C−Cハロアルキルチオ、C−Cアルケニルチオ、C−Cハロアルケニルチオ、C−Cアルキニルチオ、C−Cアルコキシアルキルチオ、C−Cアセチルアルキルチオ、C−Cアルコキシカルボニルアルキルチオ、C−Cシアノアルキルチオ、C−Cアルキルスルフィニル、C−Cハロアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、C−Cハロアルキルスルホニル、アミノスルホニル、C−Cアルキルアミノスルホニル、ジ(C−Cアルキル)アミノスルホニル、ジ(C−Cアルキル)アミノ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、フェニルおよび/またはベンジルチオによって一置換、二置換、または三置換可能であり、フェニル環のフェニルおよびベンジルチオはC−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロによって置換可能であり、複素環中の窒素原子上の置換基はハロゲン以外であり;
あるいはRaは基−X−Xまたは基−X−X−Xであり;
ここで、Xは、ハロゲンおよび/またはXによって一置換または多置換可能な、C−Cアルキレン、C−CアルケニレンまたはC−Cアルキニレン鎖であり、鎖中の不飽和結合は直接置換基Xに結合しておらず;
はヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cシクロアルキルオキシ、C−Cアルコキシ−C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシ−C−Cアルコキシ−C−CアルコキシまたはC−Cアルキルスルホニルオキシであり;
は酸素、−O(CO)−、−(CO)O−、−O(CO)O−、−N(C−Cアルキル)−O−、−O−N(C−Cアルキル)−、チオ、スルフィニル、スルホニル、−SON(C−Cアルキル)−、−N(C−Cアルキル)SO−、−N(C−Cアルコキシ−C−Cアルキル)SO−または−N(C−Cアルキル)−であり;
およびXは互いにそれぞれ独立して、C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニル基であり、これらは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ホルミル、ニトロ、シアノ、メルカプト、カルバモイル、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルケニル、C−Cハロアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cハロアルキニル、C−Cシクロアルキル、ハロゲン置換されたC−Cシクロアルキル、C−Cアルケニルオキシ、C−Cアルキニルオキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cハロアルケニルオキシ、シアノ−C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシ−C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシ−C−Cアルコキシ−C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ−C−Cアルコキシ、C−Cアルキルスルフィニル−C−Cアルコキシ、C−Cアルキルスルホニル−C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニル−C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルキルカルボニル、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、C−Cハロアルキルチオ、C−Cハロアルキルスルフィニル、C−Cハロアルキルスルホニル、C−Cアルキルと置換可能なオキシラニル、C−Cアルキルと置換可能な(3−オキセタニル)−オキシ、ベンジルチオ、ベンジルスルフィニル、ベンジルスルホニル、C−Cアルキルアミノ、ジ(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキル−S(O)O−、C−Cアルキル−N(C−Cアルキル)SO−、チオシアノ、フェニル、フェノキシ、フェニルチオ、フェニルスルフィニルおよび/またはフェニルスルホニルである置換基で一置換または多置換されるものであり;
フェニルまたはベンジル含有基は1つまたはそれ以上の、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシおよび/またはニトロ基によって置換可能であり;
あるいはXおよびXはお互いにそれぞれとは独立に、一回またはそれ以上の回数C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシおよび/またはニトロと置換可能なフェニルであり;
あるいはXおよびXは互いにそれぞれ独立して、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ−またはC−Cアルキル置換されたC−Cシクロアルキル、3−オキセタニルまたはC−Cアルキル置換された3−オキセタニルであり;
あるいはXおよびXは互いにそれぞれ独立して、5から10の員環を持つ単環系または環付加反応された二環系であり、これらの環系は芳香族または部分的に飽和していてもよく、さらに、窒素、酸素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含んでいてもよく、上記環系と置換基XまたはXに直接に、またはC−Cアルキレン、C−Cアルケニル−C−Cアルキレン、C−Cアルキニル−C−Cアルキレン、−N(C−Cアルキル)−C−Cアルキレン、−SO−C−Cアルキレンまたは−SO−C−Cアルキレン基を介して結合していて、それぞれの環系は酸素原子を2個まで、および硫黄原子を2個まで含んでいてもよく、そして上記環系自体はC−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cハロアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cハロアルキニル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、C−Cアルキニルオキシ、メルカプト、C−Cアルキルチオ、C−Cハロアルキルチオ、C−Cアルケニルチオ、C−Cハロアルケニルチオ、C−Cアルキニルチオ、C−Cアルコキシアルキルチオ、C−Cアセチルアルキルチオ、C−Cアルコキシカルボニルアルキルチオ、C−Cシアノアルキルチオ、C−Cアルキルスルフィニル、C−Cハロアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、C−Cハロアルキルスルホニル、アミノスルホニル、C−Cアルキルアミノスルホニル、ジ(C−Cアルキル)アミノスルホニル、ジ(C−Cアルキル)アミノ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、フェニルおよび/またはベンジルチオによって、一置換、二置換、または三置換可能であり、フェニル環上のフェニルおよびベンジルチオは、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロによって置換可能であり、そして、複素環中の窒素原子上の置換基はハロゲン以外のものであり;
Raは水素、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cハロアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cハロアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、C−Cハロアルキルチオ、C−Cハロアルキルスルフィニル、C−Cハロアルキルスルホニル、C−Cアルキルアミノ、ジ−C−Cアルキルアミノ、C−Cアルキルアミノスルホニル、ジ−C−Cアルキルアミノスルホニル、フェニル、フェニルチオ、フェニルスルフィニル、フェニルスルホニルまたはフェノキシであり、フェニルは、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロによって置換可能であり、あるいはRaは−N(C−Cアルキル)−S−C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)−SO−C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)−SO−C−Cアルキル、シアノ、ハロゲン、アミノ、C−Cアルコキシ−C−Cアルキル、C−Cアルキル−S−C−Cアルキル、C−Cアルキル−SO−C−CアルキルまたはC−Cアルキル−SO−C−Cアルキルであり;
Raは水素、C−Cアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、C−Cハロアルケニルオキシ、C−Cアルキニルオキシ、C−Cアルキルカルボニルオキシ、C−Cアルキルスルホニルオキシ、トシルオキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、C−Cアルキルアミノ、ジ−C−Cアルキルアミノ、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cハロアルキル、ホルミル、シアノ、ハロゲン、フェニルまたはフェノキシであり、フェニルはC−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロによって置換可能であり;
あるいはRaは5ないし10員の単環系であるか、あるいはRaと一緒になって、環付加された二環系であり、これらの環系は窒素、酸素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含んでいてもよく、上記環系は、環付加反応されていなければ、置換基Aを含む環と、直接的に、またはC−Cアルキレン、−CH=CH−、−C=C−、−CHO−、−CHN(C−Cアルキル)−、−CHS−、−CHSO−または−CHSO−基を介して結合しており、上記環系は酸素原子を2個まで、および硫黄原子を2個までは含んでいてもよく、上記環系自体は、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cハロアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cハロアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、C−Cアルキニルオキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cハロアルキルチオ、C−Cアルケニルチオ、C−Cハロアルケニルチオ、C−Cアルキニルチオ、C−Cアルコキシ−C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルカルボニル−C−Cアルキルチオ、C−Cアルコキシカルボニル−C−Cアルキルチオ、シアノ−C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルフィニル、C−Cハロアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、C−Cハロアルキルスルホニル、アミノスルホニル、C−Cアルキルアミノスルホニル、ジ(C−Cアルキル)アミノスルホニル、ジ(C−Cアルキル)アミノ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、フェニルおよび/またはベンジルチオによって、一置換、二置換、または三置換可能であり、フェニル環のフェニルおよびベンジルチオはC−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロによって置換可能であり、複素環中の窒素原子上の置換基はハロゲン以外であり;
Raは水素、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cハロアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cハロアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、C−Cハロアルキルチオ、C−Cハロアルキルスルフィニル、C−Cハロアルキルスルホニル、C−Cアルキルアミノ、ジ−C−Cアルキルアミノ、C−Cアルキルアミノスルホニル、ジ−C−Cアルキルアミノスルホニル、フェニル、フェニルチオ、フェニルスルフィニル、フェニルスルホニルまたはフェノキシであり、フェニルはC−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロによって置換可能であり、あるいはRaは−N(C−Cアルキル)−S−C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)−SO−C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)−SO−C−Cアルキル、シアノ、ハロゲン、アミノ、C−Cアルコキシ−C−Cアルキル、C−Cアルキル−S−C−Cアルキル、C−Cアルキル−SO−C−CアルキルまたはC−Cアルキル−SO−C−Cアルキルである)]および薬学的に許容されるこれらの化合物の塩/N−オキサイド類/異性体/鏡像異性体である。
【0081】
上記置換基の定義付けに現れるアルキル基は、直鎖または分岐鎖であってもよく、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルまたはtert−ブチルである。アルコキシ、アルケニルおよびアルキニル基は、上述のアルキル基から誘導される。アルケニルおよびアルキニル基は不飽和結合を一つ持つもの、または多不飽和のものであってもよい。アルコキシは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシまたはtert−ブトキシである。アルコキシカルボニルは、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニルまたはtert−ブトキシカルボニルであり;好ましくはメトキシカルボニルまたはエトキシカルボニルである。
【0082】
ハロゲンは一般的に、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。例えばハロアルキルまたはハロフェニルなど、他に意味するものに関しても同じことがいえる。
【0083】
1から6個の炭素原子の鎖長を持つハロアルキル基としては、例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1−フルオロエチル、2−フルオロエチル、2−クロロエチル、2−フルオロプロプ−2−イル、ペンタフルオロエチル、1,1−ジフルオロ−2,2,2−トリクロロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロエチルおよび2,2,2−トリクロロエチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロ−n−プロピルおよびパーフルオロ−n−ヘキシルなどが挙げられる。
【0084】
アルケニルおよびアルキニル基は不飽和結合を一つ持つもの、または多不飽和のものであることも可能であり、その結果、1つまたはそれ以上の二重結合、または三重結合を有するアルキル、アルケニル、およびアルキニル鎖が包含される。アルケニルは、例えば、ビニル、アリル、イソブテン−3−イル、CH=CH−CH−CH=CH−、CH=CH−CH−CH−CH=CH−またはCH−CH=CH−CH−CH=CH−などが挙げられる。好ましいアルキニルとしてはプロパルギルが例示され、好ましいアレニルはCH=C=CH−である。
【0085】
アルキレン鎖は、1つまたはそれ以上の、特にメチル基といった、C−Cアルキル基と置換可能である。そのようなアルキレン鎖やアルキレン基は、置換していないことが好ましい。これと同じことは、C−Cシクロアルキル、C−Cオキサシクロアルキル、C−Cチアシクロアルキル、C−Cジオキサシクロアルキル、C−Cジチアシクロアルキルまたは、例えば、RaおよびRaのラジカルの酸素および硫黄を含む複素環系の、一部として存在するC−Cオキサチアシクロアルキル、にも適用される。
【0086】
酸素、−N(C−Cアルキル)−、硫黄、スルフィニルおよび/またはスルホニルによって中断可能なC−Cアルキレン、C−CアルケニレンまたはC−Cアルキニレン架橋、または、ハロゲンおよび/またはXまたはXによって一置換または多置換可能なC−Cアルキレン、C−CアルケニレンまたはC−Cアルキニレン鎖であり、さらに鎖の不飽和結合が置換基XまたはXに直接結合していないという意味でのXまたはXとは、例えば、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−、−CH(CH)−、−CHCH(CH)−、−CHCH(CH)CH−、−CHCH(Cl)CH−、−CHCH(OCH)CH−、−CHO−、−OCH−、−CHOCH−、−OCHCH−、−OCHCHCH−、−CHOCHCH−、−CHOCH(CH)CH−、−SCH−、−SCHCH−、−SCHCHCH−、−CHS−、−CHSCH−、−CHS(O)CH−、−CHSOCH−、−CHSCHCH−、−CHS(O)CHCH−、−CHSOCHCH−、−CHSONH−、−CHN(CH)SOCHCH−、−N(SOMe)CHCH−、−CHC(O)NH−または−CHNHC(O)CH−という意味であると当然のことながら理解される。酸素によって中断されてもされなくてもよいC−Cアルケニレン鎖とは、例えば、−CH=CH−CH−、−CH=CH−CHCH−または−CH=CHCHOCH−という意味であると当然のことながら理解され、そして、酸素によって中断されてもされなくてもよいC−Cアルキニレン鎖とは、例えば、−CC−、−CCCH−、−CCCHO−、−CCCHOCH−または−OCCCH−という意味であると当然のことながら理解される。
【0087】
酸素、硫黄、S(O)、SO、N(Ra)、カルボニルおよびC(=NORa)から選ばれるもので一回または三回まで中断されてもよく、置換基Aの炭素原子と、またはQまたはQの基と直接に、あるいは酸素、−N(C−Cアルキル)−、硫黄、スルフィニルおよび/またはスルホニルによって中断されてもよいC−Cアルキレン、C−CアルケニレンまたはC−Cアルキニレン架橋を介して結合している、3ないし10員の単環系または二環系のRaまたはRaは、例えば、1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル、1−エチル−1H−ピラゾール−3−イル、1−プロピル−1H−ピラゾール−3−イル、1H−ピラゾール−3−イル、1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3−イル、4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル、1H−ピラゾール−1−イル、3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル、3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル、3−イソオキサゾリル、5−メチル−3−イソオキサゾリル、3−メチル−5−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、1H−ピロル−2−イル、1−メチル−1H−ピロル−2−イル、1H−ピロル−1−イル、1−メチル−1H−ピロル−3−イル、2−フラニル、5−メチル−2−フラニル、3−フラニル、5−メチル−2−チエニル、2−チエニル、3−チエニル、1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル、1H−イミダゾール−2−イル、1−メチル−1H−イミダゾール−4−イル、1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル、4−メチル−2−オキサゾリル、5−メチル−2−オキサゾリル、2−オキサゾリル、2−メチル−5−オキサゾリル、2−メチル−4−オキサゾリル、4−メチル−2−チアゾリル、5−メチル−2−チアゾリル、2−チアゾリル、2−メチル−5−チアゾリル、2−メチル−4−チアゾリル、3−メチル−4−イソチアゾリル、3−メチル−5−イソチアゾリル、5−メチル−3−イソチアゾリル、1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル、2−メチル−2H−1,2,3−トリアゾール−4−イル、4−メチル−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル、1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル、1,5−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル、3−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル、5−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル、4,5−ジメチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル、4H−1,2,4−トリアゾール−4−イル、5−メチル−1,2,3−オキサジアゾル−4−イル、1,2,3−オキサジアゾル−4−イル、3−メチル−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾル−3−イル、4−メチル−3−フラザニル、3−フラザニル、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾル−2−イル、5−メチル−1,2,3−チアジアゾル−4−イル、1,2,3−チアジアゾル−4−イル、3−メチル−1,2,4−チアジアゾル−5−イル、5−メチル−1,2,4−チアジアゾル−3−イル、4−メチル−1,2,5−チアジアゾル−3−イル、5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル、1−メチル−1H−テトラゾル−5−イル、1H−テトラゾル−5−イル、5−メチル−1H−テトラゾル−1−イル、2−メチル−2H−テトラゾル−5−イル、2−エチル−2H−テトラゾル−5−イル、5−メチル−2H−テトラゾル−2−イル、2H−テトラゾル−2−イル、2−ピリジニル、6−メチル−2−ピリジニル、4−ピリジニル、3−ピリジニル、6−メチル−3−ピリミジニル、5−メチル−3−ピリミジニル、3−ピリミジニル、4,6−ジメチル−2−ピリミジニル、4−メチル−2−ピリミジニル、2−ピリミジニル、2−メチル−4−ピリミジニル、2−クロロ−4−ピリミジニル、2,6−ジメチル−4−ピリミジニル、4−ピリミジニル、2−メチル−5−ピリミジニル、6−メチル−2−ピラジニル、2−ピラジニル、4,6−ジメチル−1,3,5−トリアジン−2−イル、4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン−2−イル、1,3,5−トリアジン−2−イル、4−メチル−1,3,5−トリアジン−2−イル、3−メチル−1,2,4−トリアジン−5−イル、3−メチル−1,2,4−トリアジン−6−イル、
【化8】

のごときものであると理解され、そこで、各々のR26はメチルであり、各々のR27は互いに独立に水素、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオまたはトリフルオロメチルであり、そしてXは酸素または硫黄である。
【0088】
さらに環付加された(縮合付加)単環、または二環系は、例えば、二つの隣接したRaとRa2、またはRaとRaの置換基によって形成し、中断されないか、または酸素、硫黄、S(O)、SO、−N(Ra)−、カルボニルおよびC(=NORa)から選ばれるものによって一回、または多くても三回まで中断され、さらに1つまたはそれ以上の置換基でさらに置換可能なものであり、例としては、
【化9】


の化学式を持つ環付加反応された、二座配位子環系であると理解され、ここで特に、R46は水素、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−CアルコキシまたはC−Cアルキルチオであり;R47は水素、ハロゲン、C−CアルキルまたはC−Cアルコキシであり;およびR50、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58およびR59は水素またはC−Cアルキルであり;そしてX10は酸素またはNOR59である。
【0089】
関連分野において、式IのHPPD阻害薬がいくつも報告されている。
【0090】
本発明のある特定の具体例において、上記HPPD阻害薬は式Iの化合物を含み、
式中、TはTであり;
およびRは水素であり;
AはC−Cアルキレンであり;
DおよびEは一緒になってC−Cアルキレンであり;
QはQであり、ここで、
はメチン、CRaまたは=N−(O)であるが、しかし好ましくは=N−(O)であり;
pは0であり;
Raは水素、C−Cアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、C−Cハロアルケニルオキシ、C−Cアルキニルオキシ、C−Cアルキルカルボニルオキシ、C−Cアルキルスルホニルオキシ、トシルオキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、C−Cアルキルアミノ、ジ−C−Cアルキルアミノ、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cハロアルキル、ホルミル、シアノ、ハロゲン、フェニルまたはフェノキシであり;フェニルは、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロによって置換可能であり;
Raは水素、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cハロアルケニル、C−Cアルコキシカルボニルまたはフェニルによって置換されたビニル、C−Cアルキニル、C−Cハロアルキニル、トリメチルシリルやヒドロキシやC−CアルコキシやC−Cアルコキシカルボニルまたはフェニルによって置換されたエチニル、C−Cアレニル、C−Cシクロアルキル、ハロゲンによって置換されたC−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、C−Cアルキニルオキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cハロアルケニルオキシ、シアノ−C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシ−C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ−C−Cアルコキシ、C−Cアルキルスルフィニル−C−Cアルコキシ、C−Cアルキルスルホニル−C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニル−C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、C−Cハロアルキルチオ、C−Cハロアルキルスルフィニル、C−Cハロアルキルスルホニル、C−Cアルコキシカルボニル−C−Cアルキルチオ、C−Cアルコキシカルボニル−C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルコキシカルボニル−C−Cアルキルスルホニル、ベンジル−S−、ベンジル−SO−、ベンジル−SO−、C−Cアルキルアミノ、ジ−C−Cアルキルアミノ、C−Cアルキルアミノスルホニル、ジ(C−Cアルキルアミノ)スルホニル、ベンジルオキシ、ベンジル、フェニル、フェノキシ、フェニルチオ、フェニルスルフィニルまたはフェニルスルホニルであり、フェニル含有基はC−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロによって置換可能であり、あるいはRaはOS−C−Cアルキル、OSO−C−Cアルキル、OSO−C−Cアルキル、OS−C−Cハロアルキル、OSO−C−Cハロアルキル、OSO−C−Cハロアルキル、N(C−Cアルキル)−S−C−Cアルキル、N(C−Cアルキル)−SO−C−Cアルキル、N(C−Cアルキル)−SO−C−Cアルキル、シアノ、カルバモイル、C−Cアルコキシカルボニル、ホルミル、ハロゲン、チオシアノ、アミノ、ヒドロキシ−C−Cアルキル、C−Cアルコキシ−C−Cアルキル、C−Cアルキル−S−C−Cアルキル、C−Cアルキル−SO−C−Cアルキル、C−Cアルキル−SO−C−Cアルキル、シアノ−C−Cアルキル、C−Cアルキルカルボニルオキシ−C−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル−C−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニルオキシ−C−Cアルキル、C−Cチオシアノ−C−Cアルキル、ベンゾイルオキシ−C−Cアルキル、C−Cオキシラニル、C−Cアルキルアミノ−C−Cアルキル、ジ(C−Cアルキル)アミノ−C−Cアルキル、C−C12アルキルチオカルボニル−C−Cアルキルまたはホルミル−C−Cアルキルであり、あるいはRaは基−X−Xまたは基−X−X−Xであり;ここで、X、XおよびXは上述した通りであり;
RaおよびRaは水素であり、Raは上述した通りである。
【0091】
本発明の、さらに別の具体例では、上記HPPD阻害薬は式Iの化合物を含み、
式中、TはTであり;
およびRは水素であり、Aはメチレンであり、DおよびEは合わせてエチレンであり、Aは=N−(O)であり;ここでpは0であり;
QはQであり、RaおよびRaは水素であり、RaはC−Cハロアルキル、特にトリフルオロメチルであり、RaはC−Cアルコキシ−C−Cアルコキシ−C−Cアルキル、特にメトキシエトキシメチルである。
【0092】
HPPDを阻害する化合物は関連分野においてはよく知られており、試験化合物のHPPDを阻害する能力を特定するために適用することができる数々のテストが存在する。例えば、本出願の実施例の中で記述されているインビトロのスクリーニングアッセイを用いてもよいし、既知のHPPD酵素を選択し、試験阻害化合物を適用するという、国際公開第02/46387号パンフレットの実施例11中で記述されている方法のような、他のインビトロのスクリーニング方法を適用してもよい。
【0093】
本発明のさらに別の具体例においては、上記HPPD阻害薬は2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルベンゾイル)−1,3−シクロヘキサンジオン(化合物2)である。化合物2という用語は式IIと置き換えてもよい。当然のことながら、2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルベンゾイル)−1,3−シクロヘキサンジオン(化合物2)には1つまたはそれ以上の互変異性型が存在し、このうちの一つは式(II)(すなわち化合物2)に示されており、これらの互変異性型はケト・エノール互変異性によって容易に相互変換される。
【化10】

【0094】
当然のことながら、本発明は2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルベンゾイル)−1,3−シクロヘキサンジオンのそのような互変異性型、またはこれらの混合物の使用を含む。
【0095】
2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルベンゾイル)−1,3−シクロヘキサンジオンは酸性であり、多くの種類の塩基と容易に塩を形成する。
【0096】
本発明に係る医薬組成物の中の有効成分としての使用に適した2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルベンゾイル)−1,3−シクロヘキサンジオンの特に適した塩は、例えば、アルカリ金属(カリウムやナトリウムなど)、アルカリ土類金属(カルシウムやマグネシウムなど)、およびアンモニウムの塩などの、例えば、薬学的に許容される塩基の付加塩、または有機塩基を供与する生理学的に許容される陽イオンを含む塩(メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、およびモルホリンを含む塩など)を含む。
【0097】
2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルベンゾイル)−1,3−シクロヘキサンジオンは、構造的に類似の材料の製造のための、既知の有機化学的な従来工程を用いて得てもよい。
【0098】
従って、2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルベンゾイル)−1,3−シクロヘキサンジオンは、例えば、アセトンシアノヒドリンと、トリエチルアミンのような適した塩基との存在下で、2−ニトロ−4−トリフルオロメチルベンゾイルクロライドとシクロヘキサン−1,3−ジオンを反応させることによって、好適に得てもよい。
【0099】
原料の2−ニトロ−4−トリフルオロメチルベンゾイルクロライドそのものは、対応する安息香酸を用いて、例えば、Reagents for Organic Synthesis(J. Wiley and Sons社、1967;編集者: Fieser L. F. and Fieser M.; Vol 1、 767−769ページ)に記述されているように、塩化チオニルまたは塩化オキサリルと反応させることによって得てもよく、そして、一般的には特別な精製なしで用いられる。
【0100】
同様に、2−ニトロ−4−トリフロロメチル安息香酸は、例えば、J. Amer. Chem. Soc.、1954、76、1051の中でHaupsteinらよって記述されるような方法で得てもよく、または、当業者にとっては公知の一般的な方法のひとつによって得てもよい。
【0101】
本発明の、さらに別の具体例では、上記HPPD阻害薬または前駆体は、下記の表Aに表記される構造をもつ化合物である。
【表1−1】


【表1−2】


【表1−3】


【表1−4】


【表1−5】

【0102】
本明細書中に記述されている化合物に加え、HPPDを阻害する化合物の前駆体である化合物を用いることも可能である。
【0103】
「前駆体」とは、そのものはHPPD阻害薬ではないが、代謝されることによって、本発明に従って用いられるHPPD阻害薬を生成する化合物である。例えば、表A中の化合物番号3.01と表記されている化合物は、化合物番号3.15と表記されている化合物の前駆体である。
【0104】
従って、本明細書を通して、「HPPD阻害薬」は、動物においてHPPDを阻害することが可能なそれらの化合物、および動物の体内で代謝されてHPPD阻害する化合物を生成することが可能なそれらの化合物のあらゆる前駆体を含む。
【0105】
HPPDの阻害に加えて、または、替えて、チロシン異化経路のほかのステップが阻害されてもよいことは当然である。例えば、チロシンアミノトランスフェラーゼなど、上記経路の中でHPPDの「上流」にあるような酵素/化合物の阻害薬が使われてもよく、そして/または、同様に、ホモゲンチジン酸オキシダーゼなど、上記経路の中でHPPDの「下流」にあるような酵素/化合物の阻害薬も使われてもよい。
【0106】
さらに、本発明は、上記薬剤が抗炎症剤との組み合わせで投与される、上記の薬剤の使用を提供するものである。
【0107】
さらに、本発明は、上記薬剤が抗炎症剤を含むものである、上記薬剤の使用を提供するものである。
【0108】
さらに、本発明は、上記薬剤が、第一のHPPD阻害薬と、追加的HPPD阻害薬とを含み、上記第一の阻害薬は上記追加的阻害薬とは違うものであり、上記第一のHPPD阻害薬と追加的HPPD阻害薬は、うつ病の治療および/または予防、および/または、動物においてドーパミン依存性連合学習障害を引き起こす常習性薬物に伴う、上記動物における禁断症状の治療を行うための量で存在する、上記薬剤の使用を提供する。
【0109】
ある特定の具体例において、上記第一、および追加的HPPD阻害薬は上記の阻害薬から選ばれる。
【0110】
さらに別の具体例において、上記第一および/または第二の化合物は前駆体化合物を含む。
【0111】
本発明のさらに別の態様において、薬学的に有効量の第一のHPPD阻害薬および追加的HPPD阻害薬を含むキットであって、上記第一阻害薬が上記追加的阻害薬とは違うものであるキットを提供するものである。ある特定の具体例において、上記第一および追加的HPPD阻害薬は上記の阻害薬から選ばれ、上記第一のHPPD阻害薬と追加的HPPD阻害薬は、うつ病の治療および/または予防、および/または動物においてドーパミン依存性連合学習障害を引き起こす常習性薬物に伴う上記動物における禁断症状の治療を行うための量で存在する。
【0112】
さらに別の具体例において、上記第一の阻害薬は2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルベンゾイル)−1,3−シクロヘキサンジオン(化合物2)を含む。さらに別の具体例においては、上記第一阻害薬は上記の3.22と表記された化合物を含む。
【0113】
本発明は、以下の非限定的な実施例、および図を用いて説明される。図は以下の通りである。図1はチロシン代謝を示す経路の一部を表したものである。
【0114】
実施例
【実施例1】
【0115】
うつ病の治療/予防、およびコカインなどの常習性薬物の禁断に伴う禁断症状の治療のためのメカニズムとしての、ドーパミン量の増加、およびドーパミンの代謝回転の説明。
10匹のマウスに、0.1mg/Kgの2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルベンゾイル)−1,3−シクロヘキサンジオンを経口投与した。
対照として、10匹のマウスに投薬の賦形剤を経口投与した。
24時間後、血漿中のチロシン量を測定した。ドーパミン量、およびドーパミン代謝回転の解析も行った。
結果として、2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルベンゾイル)−1,3−シクロヘキサンジオンが投与されたマウスは血漿中のチロシン量の上昇が観察された。
さらに、対照の平均値と比較したとき、ドーパミン量は16%上昇し、ドーパミン代謝回転は27%上昇していた。
【実施例2】
【0116】
10匹のマウスに、0.1mg/Kgの2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルベンゾイル)−1,3−シクロヘキサンジオンを経口投与した。
対照として、9匹のマウスに投薬の賦形剤を経口投与した。
6時間後、血漿中のチロシン量を測定した。ドーパミン量、およびドーパミン代謝回転の解析も行った。
結果として、2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルベンゾイル)−1,3−シクロヘキサンジオンが投与されたマウスは血漿中のチロシン量の上昇が観察された。
さらに、対照の平均値と比較したとき、ドーパミン量は15%上昇し、ドーパミン代謝回転は15%上昇していた。
【実施例3】
【0117】
10匹のラットに、2mg/Kgの2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルベンゾイル)−1,3−シクロヘキサンジオンを経口投与した。
対照として、10匹のラットに投薬の賦形剤を経口投与した。
24時間後、血漿中のチロシン量が測定された。ドーパミン量、ドーパミン代謝回転、およびノルアドレナリン量の解析も行った。
結果として、2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルベンゾイル)−1,3−シクロヘキサンジオンが投与されたラットは血漿中のチロシン量の上昇が観察された。
さらに、対照群と比較したとき、投与処理されたものはドーパミン代謝回転が25%上昇していた。
さらに、対照の平均値と比べたときに、76%のノルアドレナリンの上昇がみられ、投与処理されたラットの大脳皮質および視床下部では21%のノルアドレナリンの上昇がみられた。
【実施例4】
【0118】
ニコチンなどの常習性薬物に伴う禁断症状の治療のメカニズムとしての、HPPD阻害薬の刺激作用の解析。
12匹のラットに、2mg/Kgの2−(2−ニトロ−4−トリフルオロメチルベンゾイル)−1,3−シクロヘキサンジオンを経口投与した。
対照として、12匹のラットに投薬の賦形剤を経口投与した。
4時間後、活動度および移動度を測定するために、実験動物を赤外光線を備えた自動活動モニターシステムを持つ活動ケージに1時間入れて置いた。
この活動データの解析の結果、対照群と比較したとき、平均後ろ足立ち回数、中央での後ろ足立ち回数、および後ろ足立ち時間は、それぞれ、91%、63%および79%の上昇が観察された。これに加え、対照群と比較したとき、活動回数、活動時間、移動時間はそれぞれ、約43%、27%および49%の減少が観察された。後ろ足立ち活動の増加は、試験物質がこの行動に対して軽い刺激作用があることを示している。後ろ足立ちにかける時間の増加は、実験動物が移動に費やす時間の減少という結果につながり、これが複数の移動度の指標が減少した理由である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
うつ病の治療および/または予防に使われる薬剤の製造における、動物において4−ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)を阻害することが可能な少なくとも一つの化合物の使用。
【請求項2】
前記薬剤が化合物1、2、3.22からなる群から選ばれる化合物を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記薬剤が化合物1と表記されている化合物を含む、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記薬剤が選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)および/または三環系抗うつ薬(三環系薬剤)を含む、前出請求項のいずれか一つに記載の使用。
【請求項5】
前記SSRIが、シタロプラム、エシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、およびセルトラリン、またはこれらの混合物からなる群から選択され、前記三環系薬剤が、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドスレピン、ドチエピン、ドキセピン、マプロチリン、ミアンセリン、トラゾドン、トリミプラミン、アモキサピン、イミプラミン、ロフェプラミン、およびノルトリプチリン、またはこれらの混合物からなる群より選択される、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
化合物1、2、3.22からなる群から選ばれる薬学的有効量の化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的有効量の選択的セロトニン再取り込み阻害薬および/または三環系抗うつ薬と、これらを動物に投与する手段とを含むキット。
【請求項7】
有効成分として化合物1、2、3.22からなる群から選ばれる薬学的有効量の化合物またはその薬学的に許容されるこれら塩と、薬学的有効量の選択的セロトニン再取り込み阻害薬および/または三環系抗うつ薬と、薬学的に許容される希釈剤またはキャリアとを含む医薬組成物。
【請求項8】
前記SSRIが、シタロプラム、エシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、およびセルトラリン、またはこれらの混合物からなる群より選択され、前記三環系薬剤が、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドスレピン、ドチエピン、ドキセピン、マプロチリン、ミアンセリン、トラゾドン、トリミプラミン、アモキサピン、イミプラミン、ロフェプラミン、およびノルトリプチリン、またはこれらの混合物からなる群より選択される、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
動物においてドーパミン依存性連合学習障害を引き起こす常習性薬物に伴う禁断症状の治療に用いられる薬剤の製造における、前記動物においてヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)を阻害することが可能な少なくとも一つの化合物の使用。
【請求項10】
前記常習性薬物はコカイン、アンフェタミン、アヘン剤、ニコチン、エタノール、テトラヒドロカンナビノール、およびフェンシクリジンからなる群から選択される薬剤である、請求項9に記載の使用
【請求項11】
前記薬剤は、化合物1、2、3.22からなる群から選ばれる化合物を含む、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記薬剤は、動物において、4−ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)を阻害することが可能な化合物をさらに含む、請求項9〜11のいずれかに記載の使用。
【請求項13】
前記薬剤がニコチン置換療法を含む、請求項9〜12のいずれかに記載の使用。
【請求項14】
前記薬剤がブプロピオンを含む、請求項9〜13のいずれかに記載の使用。
【請求項15】
前記薬剤がニコチン置換療法と併用される、請求項9〜14のいずれかに記載の使用。
【請求項16】
前記薬剤がブプロピオンと併用される、請求項9〜15のいずれかに記載の使用。
【請求項17】
化合物1、3.22、および2からなる群から選択される薬学的有効量の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、薬学的有効量のニコチン置換療法および/またはブプロピオンと、これらを動物に投与する手段とを含むキット。
【請求項18】
有効成分として、化合物1、3.22、および2からなる群から選択される薬学的有効量の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、薬学的有効量のニコチン置換療法および/またはブプロピオンを、薬学的に許容される希釈剤またはキャリアとともに含む医薬組成物。
【請求項19】
経口的投与、または非経口的投与に適した形態の、請求項7、8、および18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
タブレット、トローチ剤、硬カプセル剤、水性懸濁液、油性懸濁液、乳剤、分散可能な粉末、分散可能な顆粒、シロップ剤、およびエリキシル剤からなる群から選択される、経口的投与に適した口当たりがいい形態の、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
経口的使用が意図され、硬ゼラチンカプセルまたは軟ゼラチンカプセルの形態である、請求項19または20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
非経口的投与に適した形態である、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項23】
化合物1、2、および3.22からなる群より選択される薬学的に有効量の化合物、または請求項7、8、18〜22のいずれかに記載の組成物を動物に投与することを含む、うつ病の治療および/または予防するための方法。
【請求項24】
化合物1、3.22、および2からなる群より選択される薬学的に有効量の化合物、または請求項7、8、18〜22のいずれかに記載の組成物を動物に投与することを含む、前記動物においてドーパミン依存性連合学習障害の発生の原因となる薬剤に対する依存症に由来する禁断症状に苦しむ前記動物を治療するための方法。
【請求項25】
前記動物がヒトである、請求項23または24に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−501532(P2010−501532A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525092(P2009−525092)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003099
【国際公開番号】WO2008/020150
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(500371307)シンジェンタ リミテッド (141)
【Fターム(参考)】