説明

がんの予防剤又は治療剤、その医薬品組成物及び食品組成物

【課題】肝がん細胞及び白血病細胞の増殖を抑制し、がん細胞増殖抑制剤、ウイルス感染細胞の増殖を抑制し、がん発症の阻止予防に有効に使用できる細胞増殖抑制剤を提供する。
【解決手段】
細胞増殖抑制剤の有効成分として、ヘベス果皮の粉砕物、搾汁、あるいはその抽出成分を用いることにより、がんの予防剤、治療剤、医用組成物を提供する。食用植物に由来する本発明の細胞増殖抑制剤およびこれを含む医用組成物は、副作用が少なく長期に服用又は摂取が可能である。また、種々の機能性の食品組成物・飲食品を提供することも出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がん細胞またはがん発症性ウイルス感染細胞の増殖を抑制するための予防剤又は治療剤であり、より詳細には天然の植物成分を有効成分とするがん細胞またはがん発症性ウイルス感染細胞の増殖抑制剤、及びそれからの医用(医薬品)組成物(以下、医用組成物と称する。)、及び食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
日本人の死亡原因の第一位はがんであり、がん予防とがん治療は国民の健康上極めて重要な課題である。特に九州は、がんの中でも、成人T細胞白血病(Adult T-cell leukemia: 以下、ATLと称する)を始めとする白血病、及び肝がんの発生率が高いとされている地域である。その理由の一つとして、九州にはヒトレトロウイルスHTLV−1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)に感染している人(HTLV−1キャリア)が多いことが挙げられる。ATLの発生にはHTLV−1が強く関係しており、HTLV−1感染者だけにATLが発生することが知られている。近年白血病の治療は非常に進歩しており、完治する白血病もある中で、ATLは最も難治療性の白血病である。加えて、他のウイルスと異なって、一旦HTLV−1に感染すると、一生涯身体の中にそのウイルスが存在し続ける。また、肝がんもC型肝炎ウイルス(Hepatitis C Virus:HCV)による持続感染が原因となって発症することが知られている。従って、がん細胞の増殖を抑制するというだけでなく、がんを発症する可能性のあるウイルス感染細胞の増殖を抑制することによってがんの発症を抑制することも重要である。
【0003】
特許文献1には、レモン果皮抽出物がヒト急性前骨髄性白血病細胞HL60 に対して細胞致死効果を有すること、また、特許文献2では夏ミカン果皮抽出物がヒト肺腺がん、ヒト胃がんおよびヒト肝臓がんに対してがん細胞致死効果を有することなど、柑橘類が上記のがん細胞に対して細胞増殖抑制効果を示すことから、それらのがん細胞の治療に有効であるということが報告されている。
【0004】
しかしながら、非特許文献1によると、柑橘類の種属が異なると含まれる成分は異なる。また、非特許文献2によると、種々の柑橘類よりすべて同様の方法で成分を抽出し、同様の方法で細胞に処理した場合でも細胞に対する効果は異なる。従って、ある種の柑橘類が、がん細胞の治療に有効であることが、直ちに他の柑橘類で応用することができることにはならない。
【0005】
【特許文献1】特開2001−199881号
【特許文献2】特開2004−131432号
【非特許文献1】Kwai et al., "Antiproliferative effects of the readily extractable fractions prepare dfrom various citrus jices on several cancer cell lines”J Agric. Food Chem. 1999 47:2509-12.
【非特許文献2】Nogata et al., "Flavonoid composition of fruit tissues of citrus species "Biosci Biotechnol Biochem. 2006 70:178-92.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、天然の植物成分に由来する、がん細胞(肝がん細胞、白血病細胞)又はがん発症性ウイルス感染細胞(HTLV−1感染細胞)の増殖を抑制するための剤を提供することを目的とする。さらに本発明は、かかる剤を有効成分とする医用組成物を提供することを目的とする。特に、がん細胞またはがん発症性ウイルス感染細胞の増殖を特異的に抑制することのできる医用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねていたところ、ヘベス果皮の溶媒抽出物に、特異的に肝がん細胞及び白血病細胞の増殖を抑制する作用があること、加えてATL等の原因となるHTLV−1感染細胞の増殖を抑制する作用があることを見出した。即ち、当該抽出物が上記の作用に基づき、肝がんや白血病に対する抗がん剤、更にATLや肝がんの発症予防剤などの医用組成物として有効であることを確信した。
本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、下記の態様を有するものである:
項1.ヘベス果皮及び/又はその加工処理物を有効成分とする、肝がん細胞、白血病細胞、及びHTLV−1感染細胞よりなる群から選択される少なくとも1つの細胞に対する細胞増殖抑制剤。
項2.ヘベス果皮の加工処理物が、果実の搾汁残渣、果皮の粉砕物、果皮の搾汁、及び果皮の抽出物よりなる群から選択される少なくとも1つである、項1記載の細胞増殖抑制剤。
項3.果皮の抽出物が、ヘベス果皮を水及びアルコールの少なくとも1つの溶媒で抽出して得られる抽出物である項2記載の細胞増殖抑制剤。
項4.白血病細胞が、ヒト急性前骨髄性白血病細胞、ヒトT細胞性白血病細胞、および成人T細胞白血病細胞よりなる群から選択される少なくとも1つである項1乃至3のいずれか1項に記載の細胞増殖抑制剤。
項5.項1乃至4のいずれかに記載する細胞増殖抑制材料を含む医用組成物。
項6.抗がん剤である、項5に記載する医用組成物。
項7.成人T細胞白血病の発症予防剤若しくは治療剤である、項5に記載する医用組成物。
項8.ヘベス果皮及び/又はその加工処理物を有効成分とする、肝がん細胞、白血病細胞、及びHTLV−1感染細胞よりなる群から選択される少なくとも1つの細胞に対する細胞増殖抑制剤を含む食品組成物。
項9.ヘベス果皮及び/又はその加工処理物を有効成分とする、肝がん、白血病、HTLV−1感染症に対する予防又は改善用の飲食品。
【発明の効果】
【0008】
本発明の細胞増殖抑制剤は、天然植物であるヘベス果皮の加工処理物(例えば、ヘベス果皮の粉砕物、搾汁又は抽出物)を有効成分とするものであって、肝がん細胞、及び白血病細胞に対して増殖抑制作用を有する。このため、本発明の細胞増殖抑制剤およびこれを有効成分とする医用組成物は、既にがん化した細胞に対しても作用しその増殖を抑制することによって、肝がんの改善または治療、及び白血病の改善または治療に有効に用いることができる。
さらに本発明の細胞増殖抑制材料は、HTLV−1感染細胞に対しても増殖抑制作用を有する。このため、本発明の細胞増殖抑制材料及びこれを有効成分とする医用組成物は、HTLV−1感染によるがんの発症、とくに成人T細胞白血病の発症を阻止し予防するために有効に用いることができる。また、本発明の細胞増殖抑制剤及びこれを有効成分とする医用組成物は、HTLV−1感染細胞が関与する疾患(HTLV−1関連脊髄症、HTLV−1関連ぶどう膜炎、HTLV−1関連気管支・肺障害など)の発症を阻止し予防するために有効に用いることができる。
また、本発明の細胞増殖抑制剤の有効成分(果実の搾汁残渣、ヘベス果皮の粉砕物、搾汁又は抽出物)は天然の食用植物に由来するものである。従って、本発明の細胞増殖抑制剤およびこれを含む医用組成物は、副作用が少なく長期にわたって服用または摂取することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
ヘベスは、ミカン科(Rutaceae)ミカン属(Citrus)に分類される、直立性の果樹である。学名は、ミカン科 Citrus属(カンキツ属) junos区(ユズ区) tanaka silbes
である。来歴は明らかではないが、江戸時代末期に宮崎県日向市の山渓に自生していたものを、長曽我部平兵衛氏が自宅の庭先に移植したことから、地域に広まったといわれている。果形は扁球形で、成熟した果実は70〜80g、カボスやユズと比較し小さいが、種子がほとんどなく、果汁も多い。現在宮崎県日向市を中心に、その周辺地域で栽培されている。なお、ヘベスには複数の呼称があり、ヘベズ、へべず、へべす、平兵衛酢などを挙げることが出来るが、上記の学名に属するものを本発明において使用することが出来る。なお、本発明において、ヘベスについては、原産地を特に制限するものではなく、いずれも使用することができる。
【0010】
本発明はヘベスの果皮を用いることを特徴とする。後述するように、各種機能性が公知となっているカボス果皮に比較し、ヘベス果皮は、高いがん細胞増殖抑制作用をもっている。このことから、ヘベスの果皮のがん細胞増殖抑制作用は、カボスの果皮とは異なる成分組成あるいは機序によるものと推定でき、現状は未利用資源としての域を脱しないヘベスの果皮部分の有効活用の可能性を大いに期待させるものである。
【0011】
ここで、ヘベス果皮はそのままでも使用できるが、好ましくは加工処理を施したもの(加工処理物)が用いられる。加工処理物としては、へべス果実の(果皮を含む)搾汁残渣、ヘベス果皮の粉砕物(生、乾燥物)、ヘベス果皮を搾って得られる搾汁またはヘベス果皮を任意の溶媒で抽出して得られる抽出物を例示することができる。ヘベス果皮の加工処理物として、好ましくは抽出物である。
乾燥粉砕物は、へべス果実の(果皮を含む)搾汁残渣、ヘベス果皮を例えばそのまま乾燥した後粉砕するか、又は果皮を細く切断した後乾燥するなどの方法によって調製することができる。その乾燥には、本発明の薬効効果を損なわない方法であれば特に制限されず、真空凍結乾燥、熱風乾燥、遠赤外線乾燥、減圧乾燥、マイクロ波減圧乾燥及び過熱蒸気乾燥等を広く用いることができる。好ましくは成分変化の少ない真空凍結乾燥である。
【0012】
ヘベス果皮の抽出物は、例えば葉をそのまま若しくは破砕物とした後抽出操作に供するか、また乾燥後、必要に応じて粉砕して抽出操作に供するなどの方法によって調製することができる。また、果皮を搾って得られる搾汁も抽出材料として使用することができ、これらは必要に応じて濃縮または乾燥して抽出操作に供することができる。
【0013】
ヘベス果皮の抽出に用いる溶媒としては、特に制限されず、水、極性有機溶媒または非極性有機溶媒のいずれであってもよい。好ましくは水または水と相溶性のある極性溶媒を挙げることができる。水と相溶性のある極性溶媒としては、メタノール、エタノール(変性エタノールを含む)、プロパノール及びブタノール等の炭素数1〜4の低級アルコール;エチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのグリコール類;エチルエーテル、アセトン、アセトニトリルを挙げることができる。かかる極性溶媒として、好ましくは低級アルコールであり、特に好ましくはエタノールである。
これらの溶媒は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて使用することもできる。例えば、アセトンとエチルエーテルの混合溶媒(好ましくはアセトン:エチルエーテル=1:1(v/v)混合液)、上記極性有機溶媒と水との混合溶媒(含水溶媒)を挙げることができる。含水溶媒として好ましくは、低級アルコールと水との混合物(含水アルコール)、より好ましくはエタノールと水との混合物(含水エタノール)を挙げることができる。含水アルコール中のアルコール濃度も特に制限されないが、例えば5〜90容量%、好ましくは30〜90容量%、より好ましくは50〜90容量%を挙げることができる。
【0014】
抽出方法としては、一般に用いられている方法をいずれも採用することができる。例えば、溶媒中にヘベス果皮(そのまま若しくは粗末、細切物)、又はそれらの乾燥粉砕物(粉末など)を浸漬する方法;撹拌しながら抽出を行い、ろ過して抽出液を得る方法;またはパーコレーション法等を挙げることができる。なお、特に制限はされないが、例えば、抽出溶媒として80容量%の割合でエタノールを含む含水エタノールを用いる場合は、安定して抽出できる方法として室温下攪拌抽出を行うことが好ましい。
【0015】
得られた抽出物は、必要に応じて、ろ過または遠心分離などの操作により固形物を除去することも好ましい方法の一つである。次工程で行われる操作に応じて、そのまま用いるか、または溶媒を留去して一部濃縮若しくは乾燥して用いてもよい。また濃縮あるいは乾燥後、さらに適正な洗浄溶媒、例えば、非溶解性溶媒で洗浄精製して用いても、またこれを更に適当な溶剤に溶解若しくは懸濁して用いることもできる。更に、本発明においては、例えば、上記のようにして得られた溶媒抽出液を、減圧乾燥、凍結乾燥等の通常の手段によりヘベス果皮乾燥抽出エキスとして使用することもできる。
【0016】
斯くして得られるヘベス果皮の粉砕物、搾汁液若しくは抽出物は、後述の実施例に記載するように、肝がん細胞及び白血病細胞の増殖を抑制する作用を有している。ここで白血病細胞としては全てヒトの白血病細胞で、急性前骨髄性白血病細胞、急性リンパ性 (T細胞性) 白血病細胞、ATL細胞を挙げることができる。このため、本発明の細胞増殖抑制剤は、肝がんや白血病(例えば、急性前骨髄性白血病、T細胞性白血病、ATL)に対する抗がん剤の有効成分として用いることができる。
【0017】
また、本発明の細胞増殖抑制材料は、肝がん細胞、及び白血病細胞の増殖を抑制する作用を有する食品組成物有効成分として用いることができる。
【0018】
更に、肝がん、白血病、HTLV−1感染症に対する予防又は改善用の飲食品、例えば、栄養補助食品、機能性食品、特定保健用食品などの有効成分として用いることができる。
【0019】
さらに、へべス果実の(果皮を含む)搾汁残渣、ヘベス果皮の粉砕物、搾汁若しくは抽出物は、ATL発症性のウイルス感染細胞である、ヒトレトロウイルスHTLV−1感染細胞(HTLV−1感染細胞)の増殖を抑制する作用を有している。このため、本発明の細胞増殖抑制剤は、ATLの発症を阻止し予防するための医用組成物の有効成分として利用することができる。
【0020】
なお、HTLV−1感染細胞が関与する病気として、HAM(HTLV−1関連脊髄症)、HAU(HTLV−1関連ぶどう膜炎)、HAB (HTLV−1関連気管支・肺障害)が知られている。このため本発明の細胞増殖抑制剤は、HTLV−1感染細胞の増殖を抑制することによって、これらの病気(HTLV−1関連脊髄症、HTLV−1関連ぶどう膜炎、HTLV−1関連気管支・肺障害)の発症を阻止し予防するための医用組成物の有効成分として、有効に利用することができる。
【0021】
なお、本発明でいう細胞増殖抑制作用とは、細胞全体としての数(総細胞数)が減少する作用が認められればよく、細胞の発育・成長を阻止する作用や細胞を死滅させる作用などの作用機序の別を問わない。
【0022】
本発明の細胞増殖抑制剤は、上記ヘベス果皮の粉砕物、搾汁若しくは抽出物そのものを単独で固体又は液体状で利用することもできるが、それに加えて薬学的若しくは食品上許容される担体または添加剤を配合して、固体又は液体状の医用組成物として調製することができる。
【0023】
本発明は、前述する細胞増殖抑制剤を有効成分とする医用組成物を提供するものでもある。かかる本発明の医用組成物は、上記本発明の細胞増殖抑制材料(ヘへべス果実の果皮を含む搾汁残渣、ベス果皮の粉砕物、搾汁若しくは抽出物)の作用(肝がん細胞増殖抑制作用、白血病細胞増殖抑制作用、HTLV−1感染細胞増殖抑制作用)に基づいて、肝がんに対する改善作用、白血病に対する予防若しくは改善作用、ATL発症予防作用、またはHTLV−1感染細胞が関与する疾患(例えばHTLV−1関連脊髄症、HTLV−1関連ぶどう膜炎、HTLV−1関連気管支・肺障害)の発症予防作用を有している。
【0024】
本発明の医用組成物は、その形態として特に制限されないが、経口に適した形態であることが好ましい。例えば、経口投与用固体組成物(固形医薬製剤)としては錠剤(糖衣錠を含む)、丸剤、カプセル剤、細粒剤、顆粒剤等の形態を、また経口投与用液状組成物(液状医薬製剤)としては乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤などの形態を例示することができる。これらの製剤は、有効成分である細胞増殖抑制剤(へべス果実の果皮を含む搾汁残渣、ヘベス果皮の粉砕物、搾汁若しくは抽出物)に加えて、各種製剤に応じて賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色料、矯味矯臭剤、pH調整剤等を適宜配合し、常法に従って調製することができる。
【0025】
なお、本発明の医用組成物には、上記細胞増殖抑制材料(へべス果実の果皮を含む搾汁残渣、ヘベス果皮の粉砕物、搾汁液若しくは抽出物)に加えて、がん細胞増殖抑制作用(肝がん細胞増殖抑制作用、または白血病細胞増殖抑制作用)を有する他の成分が含まれていても良い。
【0026】
本発明の医用組成物の投与量は、特に限定されず、所望の治療効果、投与法、治療期間、被験者の年齢、性別その他の条件などに応じて広範囲より適宜選択される。投与経路によっても異なるが、例えば体重60Kgのヒトに対する投与量は、1回投与あたりの上記細胞増殖抑制剤(へべス果実の果皮を含む搾汁残渣、ヘベス果皮の粉砕物、搾汁若しくは抽出物)の量(ヘベス果皮の乾燥重量に換算して)として、約600〜6000mg/(60Kg体重)の範囲から好ましく選択することができる。
【0027】
本発明が提供する医用組成物に含まれる細胞増殖抑制剤(へべス果実の果皮を含む搾汁残渣、ヘベス果皮の粉砕物、搾汁若しくは抽出物)の量は、その製剤形態や適用疾患の種類などによって種々異なり、一概に規定することはできないが、上記投与量(1投与あたり)に応じて適宜設定することができる。
【0028】
本発明の食品組成物も、その形態は特に制限されない。例えば、前述する細胞増殖抑制材料を、必要に応じて食品上配合が許容される担体や添加剤とともに、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉末剤、トローチ剤、または溶液(ドリンク)等の形態に調製してなるサプリメント(機能性食品)の形態を有するものであってもよい。とくに、長期にわたる投与・摂取が求められる場合、あるいは、乳幼児や高齢者などの中で嗜好性が強い場合には、食品組成物の態様で供することが好ましい場合も多い。
【0029】
本発明の食品組成物は、上記細胞増殖抑制材料(へべス果実の果皮を含む搾汁残渣、ヘベス果皮の粉砕物、搾汁若しくは抽出物)を含有することによって、その肝がん細胞増殖抑制作用、白血病細胞増殖抑制作用、またはHTLV-1感染細胞増殖抑制作用を有している。
【0030】
このため、肝がん、白血病、HTLV−1感染症に対する予防又は改善用の飲食品、例えば、栄養補助食品、機能性食品、特定保健用食品などの有効成分として用いることができる。特定保健用食品(条件付き特定保健用食品も含まれる)の中には、上記有効成分(へべス果実の果皮を含む搾汁残渣、ヘベス果皮の粉砕物、搾汁若しくは抽出物)を含有することにより、肝がんに対する改善作用、白血病に対する予防若しくは改善作用、ATL発症予防作用、またはHTLV−1感染細胞が関与する疾患(HTLV−1関連脊髄症、HTLV−1関連ぶどう膜炎、HTLV-1関連気管支・肺障害等)の発症予防作用を有し、このため肝がん改善作用、白血病予防若しくは改善作用、ATL発症予防、またはHTLV−1感染細胞が関与する疾患(HTLV−1関連脊髄症、HTLV−1関連ぶどう膜炎、HTLV−1関連気管支・肺障害等)の発症予防作用のために用いられる食品が含まれる。
【0031】
本発明が対象とする食品組成物としては、例えば乳飲料、乳酸菌飲料、果汁入り清涼飲料、清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料、野菜飲料、野菜・果実飲料、アルコール飲料、粉末飲料、コーヒー飲料、紅茶飲料、緑茶飲料、麦茶飲料などの飲料類;カスタードプリン、ミルクプリン、スフレプリン、果汁入りプリン等のプリン類、ゼリー、ババロア及びヨーグルト等のデザート類;アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、ミルクアイスクリーム、果汁入りアイスクリーム及びソフトクリーム、アイスキャンディー、シャーベット、氷菓等の冷菓類;チューインガムや風船ガム等のガム類(板ガム、糖衣状粒ガム);マーブルチョコレート等のコーティングチョコレートの他、イチゴチョコレート、ブルーベリーチョコレート及びメロンチョコレート等の風味を付加したチョコレート等のチョコレート類;ハードキャンディー(ボンボン、バターボール、マーブル等を含む)、ソフトキャンディー(キャラメル、ヌガー、グミキャンディー、マシュマロ等を含む)、ドロップ、タフィ等のキャラメル類;ハードビスケット、クッキー、おかき、煎餅等の焼き菓子類(以上、菓子類);コンソメスープ、ポタージュスープ等のスープ類;味噌、醤油、ドレッシング、ケチャップ、たれ、ソース、ふりかけなどの各種調味料;ストロベリージャム、ブルーベリージャム、マーマレード、リンゴジャム、杏ジャム、プレザーブ等のジャム類;赤ワイン等の果実酒;シロップ漬のチェリー、アンズ、リンゴ、イチゴ、桃等の加工用果実;ハム、ソーセージ、焼き豚等の畜肉加工品;魚肉ハム、魚肉ソーセージ、魚肉すり身、蒲鉾、竹輪、はんぺん、薩摩揚げ、伊達巻き、鯨ベーコン等の水産練り製品;うどん、冷麦、そうめん、ソバ、中華そば、スパゲッティ、マカロニ、ビーフン、はるさめ及びワンタン等の麺類;その他、各種総菜及び麩、田麩等の種々の加工食品を挙げることができる。好ましくは飲料、麺類、ふりかけ、菓子類である。
【0032】
上記食品組成物に含まれる上記細胞増殖抑制材料(へべス果実の果皮を含む搾汁残渣、ヘベス果皮の粉砕物、搾汁若しくは抽出物)の量、または摂取量は、特に限定されず、食品組成物の種類、目的とする機能・効能、並びにその他の諸条件などに応じて広範囲より適宜選択される。摂取量は、食品組成物の種類によっても異なるが、体重60Kgのヒトに対して1回摂取あたりの細胞増殖抑制材料(ヘベス果皮の粉砕物、搾汁若しくは抽出物)の量(ヘベス果皮の乾燥重量に換算して)として、約600〜6000mg/(60kg体重)の範囲から適宜選択するのが望ましい。
【0033】
以下に、本発明を実施するための最良の形態として実施例を挙げて、本発明の内容をより詳細を説明する。但し、本発明は実施例だけに限定されるものではない。なお、特に言及しない限り、下記の実施例において「%」は「w/w%」を意味するものとする。
【実施例1】
【0034】
ヘベス果皮・果肉・種子の乾燥粉末物の調製
ヘベス果皮・果肉・種子を凍結温度-30℃、乾燥温度30℃、乾燥時間24時間で真空凍結乾燥(真空凍結乾燥機、FTS SYSTEM、Dura-Top MP&Dura-Dry MP)し、超遠心粉砕機(MRK&RETSCH、EM-1型)で0.5mmのスクリーンを通して粉砕して、ヘベス果皮・果肉・種子の乾燥粉末物を調製した。
【実施例2】
【0035】
ヘベス果皮・果肉・種子の抽出エキスの調製
実施例1で調製したヘベス果皮・果肉・種子の乾燥粉末物に、それぞれ80容量%の割合でエタノールを含む含水エタノールを加え室温で30秒間激しく撹拌した後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮して溶媒を留去し、さらに真空凍結乾燥処理し完全に溶媒を留去し乾燥物を回収した。この乾燥物をDMSO(dimethylsulfoxide)に再懸濁しヘベス果皮・果肉・種子の抽出エキスを調製した。
【実施例3】
【0036】
がん細胞増殖抑制試験
実施例2で調製したヘベス果皮・果肉・種子の抽出エキスを用いて、各種のがん細胞の増殖抑制作用を調べた。
(1)ヒト急性前骨髄性白血病細胞(HL60)に対する増殖抑制作用
ヘベス果皮・果肉・種子の抽出エキスのヒト急性前骨髄性白血病細胞(HL60)に対する増殖抑制作用を、WST-8アッセイを用いて評価した。なお、WST−8アッセイは生細胞の数を測定する方法である。すなわち、WST−8アッセイで用いるWST−8〔2-(2-Methoxy-4-nitrophenyl)-3-(4-nitrophenyl)-5-(2,4-disulfophenyl)
-2H-tetrazolium,monosodium salt〕は、細胞共存下、細胞内脱水素酵素により還元され、水溶性のホルマザンを生成するが、この生成されたホルマザン量が生細胞の数と比例することから、ホルマザンの吸光度(測定波長450nm/対照波長650nm)を直接測定することにより、生細胞数の測定ができるという試験法である。
【0037】
測定は、まず、抽出エキスの終濃度を62.5μg/ml、125μg/ml、250μg/ml、または500μg/mlになるようにDMSOで希釈し(被験試料)、1μlずつ96穴プレートに分注した。ここにヒト急性前骨髄性白血病細胞(HL60)の懸濁液(1×105cells/ml)を100μlずつ加えて混合し、37℃、5%CO2存在下、相対湿度100%で48時間培養した。次いでWST-8混合試薬(商品名:Tetra Color ONE、SEIKAGAKU CORPORATION社製)を10μl加えてさらに4時間培養後、650nmを対照波長として450nmの吸光度を測定した。なお、上記被験試料に代えて、抽出エキスを添加しないDMSOのみを用いて、上記と同様にして生存HL60細胞数を、吸光度(波長450nm)として測定した。吸光度測定値からコントロールに対する百分率で抽出試料の各濃度における被検細胞の細胞増殖抑制率を算出した。抑制率が50%になる値をIC50(50%抑制濃度)とした。
この結果を表1及び図1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
表1からわかるように、ヘベス果皮・果肉・種子の抽出エキスは、果皮>種子>果肉の順にヒト急性前骨髄性白血病細胞(HL60細胞)の増殖を抑制することがわかる。
【0040】
(2)肝がん細胞(Huh−7、HLE、HLF)に対する増殖抑制作用
ヘベス果皮・果肉・種子の抽出エキスの各種ヒト肝がん細胞(Huh−7、HLE、HLF)に対する増殖抑制作用を、上記と同様に、WST-8アッセイを用いて評価した。具体的には、3種類の肝がん細胞(Huh−7、HLE、HLF)の懸濁液(1×104cells/ml)をそれぞれ100μlずつ96穴プレートに分注し、37℃、5%CO2存在下、相対湿度100%で24時間培養し細胞の接着を確認した。次いで、各ウェルに予め、終濃度が125μg/ml、250μg/ml及び500μg/ml、1,000μg/mlになるようにDMSOで濃度を調整しておいた抽出エキスを1μlずつ添加して(被験試料)、37℃、5%CO2存在下、相対湿度100%で48時間培養した。これにWST-8混合試薬(商品名:Tetra Color ONE、SEIKAGAKU CORPORATION社製)を10μl加えてさらに4時間培養後、650nmを対照波長として450nmの吸光度を測定した。
なお、上記被験試料に代えて、抽出エキスを添加しないDMSOのみを用いて、上記と同様にして生存細胞数を吸光度(波長450nm)として測定した。吸光度測定値からコントロールに対する百分率で抽出試料の各濃度における被検細胞の細胞増殖抑制率を算出した。抑制率が50%になる値をIC50(50%抑制濃度)とした。
結果を表2及び図1に示す。
【0041】
【表2】

【0042】
表2及び図1の結果から、抽出エキスにおいて、ヘベス果皮は肝がん細胞の増殖を抑制することがわかる。
【0043】
(3)HTLV−1感染細胞(HUT102, MT2)、及び成人T細胞白血病細胞(ATL細胞)(ED,Su9T01, S1T)に対する増殖抑制作用
ヘベス果皮・果肉・種子の抽出エキスの、HTLV−1感染細胞(HUT102,MT2)、及びATL細胞(ED,Su9T01,S1T)に対する増殖抑制作用を、MTTアッセイを用いて評価した。なお、HTLV−1(Human T cell leukemia virus type 1)は、ヒトで初めて発見されたレトロウイルスのことで、成人T細胞白血病(ATL:Adult T cellleukemia)などを引き起こすとされている。なお、MTTアッセイは、WST-8アッセイ同様、生細胞の数を測定する方法である。すなわち、MTTアッセイで用いるMTT〔3-(4,5-Dimethyl-2-thiazolyl)-2,5-diphenyl-2H tetrazoliumbromide〕は黄色の化合物で、生細胞のミトコンドリアの呼吸鎖に作用し、存在する酵素によってテトラゾリウム環が開裂し、青色のホルマザンを生成する。この生成されたホルマザン量が生細胞の数と比例することから、ホルマザンの吸光度を直接測定することにより、生細胞数の測定ができるというものである。
【0044】
測定は、まず、HTLV−1感染細胞(HUT102, MT2)、ATL細胞(ED, Su9T01, S1T)(合計5種類のがん細胞)の懸濁液(1×105cells/ml)をそれぞれ90μlずつ96穴プレートに分注した。これに、終濃度が31.25、62.5、125、250、500、1000μg/mlになるようにメディウムで調整した抽出エキスを10μlずつ添加して(被験試料)、37℃、5%CO2存在下、相対湿度100%で72時間培養した。次いで、MTT試薬(商品名MTT lyophilized、同仁化学研究所製)を10μl加えてさらに4時間培養した後、100μlずつ溶解液(0.04M/HCl/イソプロピルアルコール)を加えよくピペッティングし、色素を溶解した。その後650nmを対照波長とし570nmの吸光度を測定した(日本モレキュラーデバイス株式会社製 商品名:Emax)。コントロールとして、乾燥抽出物を調製した溶媒であるDMSOのみを加えたものを用い、吸光度を測定した。吸光度測定値からコントロールに対する百分率で抽出試料の各濃度における被検細胞の細胞増殖抑制率を算出した。抑制率が50%になる値をIC50(50%抑制濃度)とした。
【0045】
5種類のがん細胞(HUT102, MT2,ED, Su9T01, S1T)に各種濃度のヘベス果皮およびカボス果皮の抽出エキスを添加して72時間培養した後のIC50(%)を、表3及び図3に示す。

【0046】
【表3】

【0047】
これらの結果から、HTLV−1感染細胞であるMT2を除いて、増殖抑制活性強度は果皮>果肉>種子という結果になった。MT2細胞については果肉>果皮>種子という結果になった。
【実施例4】
【0048】
ヘベス果皮およびカボス果皮(比較例1)の乾燥粉末物の調製
ヘベス果皮およびカボス果皮を実施例1同様に処理し、乾燥粉末物を調製した。
【実施例5】
【0049】
ヘベス果皮およびカボス果皮(比較例2)の抽出エキスの調製
実施例4で調製したヘベス果皮およびカボス果皮の乾燥粉末物を実施例2同様に処理し、抽出エキスを調製した。
【実施例6】
【0050】
がん細胞増殖抑制試験
実施例5で調製したヘベス果皮およびカボス果皮(比較例3)の抽出エキスを用いて、各種のがん細胞の増殖抑制作用を調べた。
(1)ヒト急性前骨髄性白血病細胞(HL60)に対する増殖抑制作用
ヘベス果皮およびカボス果皮の抽出エキスのヒト急性前骨髄性白血病細胞(HL60)に対する増殖抑制作用を、WST-8アッセイを用いて評価した。なお、WST-8アッセイは生細胞の数を測定する方法である。すなわち、WST-8アッセイで用いるWST-8 〔2-(2-Methoxy-4-nitrophenyl)-3-(4-nitrophenyl)-5-(2,4-disulfophenyl)-2H-tetrazolium,monosodium salt〕は、細胞共存下、細胞内脱水素酵素により還元され、水溶性のホルマザンを生成するが、この生成されたホルマザン量が生細胞の数と比例することから、ホルマザンの吸光度(測定波長450nm/対照波長650nm)を直接測定することにより、生細胞数の測定ができるという試験法である。
【0051】
まず、抽出エキスの終濃度を62.5μg/ml、125μg/ml、250μg/ml、または500μg/mlになるようにDMSOで希釈し(被験試料)、1μlずつ96穴プレートに分注した。ここにヒト急性前骨髄性白血病細胞(HL60)の懸濁液(1×105cells/ml)を100μlずつ加えて混合し、37℃、5%CO2存在下、相対湿度100%で48時間培養した。次いでWST-8混合試薬(商品名:Tetra Color ONE、SEIKAGAKU CORPORATION社製)を10μl加えてさらに4時間培養後、650nmを対照波長として450nmの吸光度を測定した。なお、上記被験試料に代えて、抽出エキスを添加しないDMSOのみを用いて、上記と同様にして生存HL60細胞数を、吸光度(波長450nm)として測定した。吸光度測定値からコントロールに対する百分率で抽出試料の各濃度における被検細胞の細胞増殖抑制率を算出した。抑制率が50%になる値をIC50(50%抑制濃度)とした。
結果を表4及び図4に示す。

【0052】
【表4】

【0053】
表1の結果から、抽出エキスにおいて、カボス果皮はヘベス果皮よりもヒト急性前骨髄性白血病細胞(HL60細胞)増殖抑制活性が高いことがわかった。
【0054】
(2)肝がん細胞(Huh−7、HLE、HLF)に対する増殖抑制作用
ヘベス果皮およびカボス果皮の抽出エキスの各種ヒト肝がん細胞(Huh−7、HLE、HLF)に対する増殖抑制作用を、上記と同様に、WST-8アッセイを用いて評価した。具体的には、3種類の肝がん細胞(Huh−7、HLE、HLF)の懸濁液(1×104cells/ml)をそれぞれ100μlずつ96穴プレートに分注し、37℃、5%CO2存在下、相対湿度100%で24時間培養し細胞の接着を確認した。次いで、各ウェルに予め、終濃度が125μg/ml、250μg/ml及び500μg/ml、1,000μg/mlになるようにDMSOで濃度を調整しておいた抽出エキスを1μlずつ添加して(被験試料)、37℃、5%CO2存在下、相対湿度100%で48時間培養した。これにWST-8混合試薬(商品名:Tetra Color ONE、SEIKAGAKU CORPORATION社製)を10μl加えてさらに4時間培養後、650nmを対照波長として450nmの吸光度を測定した。
なお、上記被験試料に代えて、抽出エキスを添加しないDMSOのみを用いて、上記と同様にして生存細胞数を吸光度(波長450nm)として測定した。吸光度測定値からコントロールに対する百分率で抽出試料の各濃度における被検細胞の細胞増殖抑制率を算出した。抑制率が50%になる値をIC50(50%抑制濃度)とした。
こ結果を表5及び図5に示す。
【0055】
【表5】

【0056】
以上の結果から、抽出エキスにおいて、カボス果皮はヘベス果皮よりも肝がん細胞増殖抑制活性が高い傾向にあることがわかった。
【0057】
(3)HTLV−1感染細胞(HUT102, MT2)、及びATL細胞(ED, Su9T01, S1T)に対する増殖抑制作用
ヘベス果皮およびカボス果皮の抽出エキスの、HTLV−1感染細胞(HUT102,MT2)、及びATL細胞(ED,Su9T01,S1T)に対する増殖抑制作用を、実施例3(3)と同様、MTTアッセイを用いて評価した。なお、抽出物エキスの終濃度は15.63、31.25、62.5、125、250、500、1000、2000μg/mlの計8点でアッセイを行った。
【0058】
5種類のがん細胞(HUT102, MT2,ED, Su9T01, S1T)に各種濃度のヘベス果皮およびカボス果皮の抽出エキスを添加して72時間培養した後のIC50(%)を、表6及び図6に示す。
【0059】
【表6】

【0060】
これらの結果から、ATLのED細胞およびSu9T01細胞に関してはカボス果皮よりもヘベス果皮の方が細胞増殖抑制活性は2〜3倍強い作用を持つことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のがん細胞またはがん発症性ウイルス感染細胞に対する増殖抑制用組成物は、工業的にはあまり利用されていないヘベス果皮から得られる。即ち、その粉砕物、搾汁、または抽出物などを有効成分とし、従来から治療が難しいとされている肝がんや白血病(中でも治療が難しい成人T細胞白血病)の改善及び予防に有効に利用することができるものである。とくに、本発明の組成物は、天然の食用植物に由来する成分を有効成分とするため、医薬品や長期にわたって服用される飲食物としても安全に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】ヘベス果皮・果肉・種子抽出エキスのヒト急性前骨髄性白血病細胞(HL60)の増殖抑制効果を示すグラフである。
【図2】ヘベス果皮・果肉・種子抽出エキスのヒト肝がん細胞(Huh−7、HLE、HLF)増殖抑制効果を示すグラフである。
【図3】ヘベス果皮・果肉・種子抽出エキスのヒトHTLV−1感染細胞(HUT102, MT2)及びATL細胞(ED, Su9T01, S1T)増殖抑制効果を示すグラフである。
【図4】ヘベス果皮・カボス果皮抽出エキスのヒト急性前骨髄性白血病細胞(HL60)の増殖抑制効果を示すグラフである。
【図5】ヘベス果皮・カボス果皮抽出エキスのヒト肝がん細胞(Huh−7、HLE、HLF)増殖抑制効果を示すグラフである。
【図6】ヘベス果皮・カボス果皮抽出エキスのヒトHTLV−1感染細胞(HUT102, MT2)及びATL細胞(ED, Su9T01, S1T)増殖抑制効果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘベス果皮及び/又はその加工処理物を有効成分とする、肝がん細胞、白血病細胞、及びHTLV−1感染細胞よりなる群から選択される少なくとも1つの細胞に対する細胞増殖抑制剤。
【請求項2】
ヘベス果皮の加工処理物が、果実の搾汁残渣、果皮の粉砕物、果皮の搾汁、及び果皮の抽出物よりなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1記載の細胞増殖抑制剤。
【請求項3】
果皮の抽出物が、ヘベス果皮を水及びアルコールの少なくとも1つの溶媒で抽出して得られる抽出物である請求項2記載の細胞増殖抑制剤。
【請求項4】
白血病細胞が、ヒト急性前骨髄性白血病細胞、ヒトT細胞性白血病細胞、および成人T細胞白血病細胞よりなる群から選択される少なくとも1つである請求項1乃至3のいずれかに記載の細胞増殖抑制剤。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載する細胞増殖抑制材料を含む医用組成物。
【請求項6】
抗がん剤である、請求項5記載の医用組成物。
【請求項7】
成人T細胞白血病の発症予防剤若しくは治療剤である、請求項5に記載する医用組成物。
【請求項8】
ヘベス果皮及び/又はその加工処理物を有効成分とする、肝がん細胞、白血病細胞、及びHTLV−1感染細胞よりなる群から選択される少なくとも1つの細胞に対する細胞増殖抑制剤を含む食品組成物。
【請求項9】
ヘベス果皮及び/又はその加工処理物を有効成分とする、肝がん、白血病、HTLV−1感染症に対する予防又は改善用の飲食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−67760(P2009−67760A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−240718(P2007−240718)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(306024609)財団法人宮崎県産業支援財団 (23)
【出願人】(391011700)宮崎県 (63)
【出願人】(506366518)日向農業協同組合 (2)
【出願人】(301079154)合資会社 日向農園 (1)
【Fターム(参考)】