説明

がんの治療方法

本発明は、4-キナゾリンアミンおよびこれを含有する医薬組成物の投与による、哺乳動物のがんの治療方法に関する。特にその方法は、N-{3-クロロ-4-[(3-フルオロベンジル)オキシ]フェニル}-6-[5-({[2-(メタンスルホニル)エチル]アミノ} メチル)-2-フリル]-4-キナゾリンアミンならびにその塩および溶媒和物の投与による、チロシンキナーゼEGFRおよび/またはerbB2が介在するがんの治療方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4-キナゾリンアミン類およびこれを含有する医薬組成物の投与による、哺乳動物のがんの治療方法に関する。特にその方法は、N-{3-クロロ-4-[(3-フルオロベンジル)オキシ]フェニル}-6-[5-({[2-(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)-2-フリル]-4-キナゾリンアミンならびにその塩および溶媒和物の投与による、チロシンキナーゼEGFRおよび/またはerbB2が介在するがんの治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
がん治療のために有効な化学療法は腫瘍学分野で継続中の目標である。一般的に、がんは細胞分裂、分化およびアポトーシス性細胞死を制御する正常な過程の脱制御による結果である。アポトーシス(プログラムされた細胞死)は、胚発生、ならびに退行性神経疾患、心血管疾患およびがんなどの各種の疾病の発病機序において必須の役割を持っている。最も一般的に研究されている経路はアポトーシスのキナーゼ調節が関与するものであるが、これは細胞表面の成長因子受容体から核への細胞シグナル伝達の1つである(Crews and Erikson, Cell, 74:215-17, 1993)。注目すべき特定の経路の1つはerbBファミリーの成長因子受容体からの細胞シグナル伝達である。
【0003】
erbBファミリー間には顕著な相互作用があり、これらの受容体が介在する細胞の作用を調節している。EGFRに結合する6種類のリガンドとして、EGF、トランスフォーミング増殖因子、アムフィレギュリン、ヘパリン結合性EGF、ベータセルリンおよびエピレギュリンが含まれる(Alroy & Yarden, FEBS Letters, 410:83-86, 1997; Burden & Yarden, Neuron, 18: 847-855, 1997; Klapperら、ProcNatlAcadSci, 4994-5000, 1999)。別のクラスのリガンド、ヘレギュリンはHER3および/またはHER4に直接結合する(Holmesら、Science, 256:1205, 1992; Klapperら、1997, Oncogene, 14:2099-2109; Pelesら、Cell, 69:205, 1992)。特異的リガンドの結合はerbBファミリーのメンバー内での受容体のホモ-またはヘテロ二量体化を誘発する(Carraway & Cantley, Cell, 78:5-8, 1994; Lemmon & Schlessinger, TrendsBiochemSci, 19:459-463, 1994)。その他のErbB受容体メンバーとは対照的に、HER2についてはまだ可溶性リガンドが確認されていなく、これはヘテロ二量体化の後転写活性化されるものと見られる。erbB-2受容体とEGFR、HER3、またはHER4受容体とのヘテロ二量体化がホモ二量体化よりも好ましい(Klapperら、1999; Klapperら、1997)。受容体の二量体化の結果、受容体の触媒部位へのATPの結合、受容体のチロシンキナーゼの活性化、およびC末端のチロシン残基の自己リン酸化がもたらされる。リン酸化されたチロシン残基が次にGrb2、Shc、およびホスホリパーゼCなどのタンパク質のためのドッキング部位となり、これが次に、Ras/MEK/ErkおよびPI3K/Akt経路などの下流シグナル伝達経路を活性化し、これによって転写因子、ならびに増殖、細胞運動性、血管新生、細胞生存および分化などの生物学的応答に関与するその他のタンパク質を調節する(Alroy & Yarden, 1997; Burgering & Coffer, Nature, 376:599-602, 1995; Chanら、AnnRevBiochem, 68:965-1014,1999; Lewisら、AdvCanRes, 74:49-139,1998; Liuら、Genes and Dev, 13:786-791, 1999; Muthuswamyら、Mol&CellBio, 19,10:6845-6857,1999; Riese & Stern, Bioessays, 20:41-48, 1998)。
【0004】
がん細胞中でerbBファミリー受容体を標的とし、その活性化をブロックするために、モノクローナル抗体(Mab)、免疫コンジュゲート、抗EGFワクチン、およびチロシンキナーゼインヒビターを含むいくつかの戦略が開発された((Sridharら、Lancet, 4,7:397-406,2003)中で概説されている)。erbB2含有ヘテロ二量体が最も安定であってシグナル伝達にとって好ましい開始事象であるので、erbB2およびEGFRの両方の同時遮断が魅力的な治療戦略の1つである。がんについての臨床前モデルで効力を持つ、一連の6-フラニルキナゾリンerbB-2/EGFR TK二重インヒビターが合成された(Cockerillら、BiorgMedChemLett, 11:1401-1405,2001 ; Rusnakら、CanRes, 61:7196-7203, 2001a; Rusnakら、MolCanTher, 1:85-94,2001b)。GW572016は6-フラニルキナゾリンであり、経口活性で、EGFRおよびerbB2キナーゼの両方の可逆的二重キナーゼインヒビターである(Rusnakら、2001b)。ヒト異種移植片研究において、GW572016は用量依存性キナーゼ阻害を示し、EGFRまたはerbB2を過剰発現する腫瘍細胞を選択的に阻害する(Rusnakら、2001b; Xiaら、Oncogene, 21:6255-6263, 2002)。
【発明の開示】
【0005】
ここで本発明者らは、N-{3-クロロ-4-[(3-フルオロベンジル)オキシ]フェニル}-6-[5-({[2-(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)-2-フリル]-4-キナゾリンアミン(GW572016)ならびにその塩および/または溶媒和物の投与を含む、新規がん治療方法を確定した。
【0006】
発明の概要
本発明の第1の態様中、哺乳動物のEGFRおよび/またはerbB2を過剰発現するがんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I")の化合物の投与を含んでなる方法が提供される:
【化1】

【0007】
本発明の第2の態様中、哺乳動物のEGFRを過剰発現するがんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I")の化合物の投与を含んでなる方法が提供される:
【化2】

【0008】
本発明の第3の態様中、哺乳動物のerbB2を過剰発現するがんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I")の化合物の投与を含んでなる方法が提供される:
【化3】

【0009】
本発明の第4の態様中、哺乳動物のEGFRおよびerbB2を過剰発現するがんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I")の化合物の投与を含んでなる方法が提供される:
【化4】

【0010】
本発明の第5の態様中、哺乳動物の腎がんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の投与を含んでなる方法が提供される:
【化5】

【0011】
本発明の第6の態様中、哺乳動物の膀胱がんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の投与を含んでなる方法が提供される:
【化6】

【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
発明の詳細な説明
本明細書で使用する用語「新生物」とは、細胞または組織の異常増殖物を称し、良性物、すなわち非がん性増殖物、および悪性物、すなわちがん性増殖物を含むものと解釈すべきである。用語「新生物性」は新生物またはこれに関係することを意味する。
【0013】
本明細書で使用する用語「有効な量」とは、例えば研究者または医師が模索中の組織、器官系、動物またはヒトの生物学的もしくは医学的応答を誘発する薬剤または医薬の量を意味する。さらに、用語「治療上有効な量」とは、その量を受容しなかった対応する対象体に比較して、治療、治癒、予防、または疾病、障害、もしくは副作用の改善の向上、あるいは疾病もしくは障害の進行速度の低下の結果をもたらす量を意味する。この用語は正常な生理学的機能を強化するのに有効な量もその範囲内に含む。
【0014】
当分野で周知のように、腫瘍は転移性であることが多く、その場合、最初の(原発)腫瘍増殖位置から1以上の解剖学的に別の部位に拡散する。本明細書で使用する場合、対象体中の「腫瘍」への言及には原発腫瘍のみでなく、転移性腫瘍増殖も含まれる。
【0015】
「erbB-1」としても知られている「EGFR」並びに「erbB-2」は、erbBファミリーのタンパク質チロシンキナーゼ膜貫通成長因子受容体である。タンパク質チロシンキナーゼは細胞増殖および分化の調節に関与する各種タンパク質中の特異的チロシン残基のリン酸化を触媒する(A.F. Wilks, Progress in Growth Factor Research, 1990, 2, 97-111; S.A. Courtneidge, Dev. Supp.l, 1993, 57-64; J.A. Cooper, Semin. Cell Biol., 1994, 5(6), 377-387; R.F. Paulson, Semin. Immunol., 1995, 7(4), 267-277; A.C. Chan, Curr. Opin. Immunol., 1996, 8(3), 394-401)。I型受容体チロシンキナーゼのerbBファミリーとして、ErbB1(表皮成長因子受容体(EGFRもしくはHER1)としても知られている)、erbB2(Her2としても知られている)、erbB3、およびerbB4が含まれる。これらの受容体チロシンキナーゼは上皮、間葉、および神経組織で広範に発現し、そこで細胞増殖、生存、および分化の調節にある役割を持つ(Sibilia and Wagner, Science, 269: 234 (1995); Threadgillら、Science, 269: 230 (1995))。野生型erbB2もしくはEGFRの発現の増大、または構成的に活性化された受容体変異体の発現は、in vitroで細胞をトランスフォームする(Di Fioreら、1987; DiMarco et al, Oncogene, 4: 831 (1989); Hudziakら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 84:7159 (1987); Qianら、Oncogene, 10:211 (1995))。erbB2またはEGFRの発現の増大は、いくつかの乳房がんおよび多様なその他の悪性物でのより不良な臨床結果と相関性があった(Slamonら、Science, 235: 177 (1987); Slamonら、Science, 244:707 (1989); Bacusら、Am. J. Clin. Path, 102:S13 (1994))。
【0016】
本明細書で使用する、EGFRおよび/またはerbB2を「過剰発現する」細胞とは、同型の細胞上に見られるはずの受容体の平均の数に比較して、有意に増大した数の機能性EGFRおよび/またはerbB2受容体を持つ細胞である。例えば、EGFRおよび/またはerbB2の過剰発現は、以下を含む各種のがん型で報告されている:乳房(Verbeekら、FEBS Letters 425:145 (1998); 結腸(Grossら、Cancer Research 51:1451 (1991)); 肺(Damstrupら、Cancer Research 52:3089 (1992); 腎細胞(Stummら、Int. J. Cancer 69:17 (1996), Sargentら、J. Urology 142: 1364 (1989)); および膀胱(Chowら、Clin. Cancer Res. 7:1957 (2001); Bueら、Int. J. Cancer, 76:189 (1998); (Mellon J, Lunec J., J Uro 1996;155:321-6; Orlando C, Sestini R., J Urol 1996;156:2089-2093), Turkeriら、Urology 51: 645 (1998))。ErbB2の過剰発現は、限定するわけではないが以下のような当分野で知られている任意の好適な方法によって評価するこてができる:画像化、遺伝子増幅、存在する細胞表面受容体の数、タンパク質発現、およびmRNA発現。例えば以下を参照されたい:Piffanelliら、Breast Cancer Res.Treatment 37:267 (1996)。
【0017】
本明細書で使用する用語「溶媒和物」とは、溶質(本発明では式(I)の化合物またはその塩)と溶媒によって形成される多様な化学量論的複合体である。本発明の目的のためのこれらの溶媒は溶質の生物学的活性を妨害することがあってはならない。好適な溶媒の例として、限定するわけではないが、水、メタノール、エタノールおよび酢酸が含まれる。好ましくは、使用する溶媒は製薬上許容される溶媒である。製薬上許容される好適な溶媒の例として限定するわけではないが、水、エタノールおよび酢酸が含まれる。最も好ましくは、使用する溶媒は水である。
【0018】
本明細書で開示するがん治療方法には式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の投与が含まれる:
【化7】

【0019】
別の実施形態中、化合物は式(I')の化合物またはその無水物もしくは水和物形態である。式(I')の化合物は式(I)の化合物の二トシル酸塩である。
【化8】

【0020】
1実施形態中、化合物は式(I')の化合物の無水二トシル酸塩である。別の実施形態中、化合物は式(I")の化合物であり、これは式(I')の化合物の一水和二トシル酸塩である。
【化9】

【0021】
式(I)の化合物の一水和二トシル酸塩は化学名がN-{3-クロロ-4-[(3-フルオロベンジル)オキシ]フェニル}-6-[5-({[2-(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)-2-フリル]-4-キナゾリンアミン(GW572016)二トシル酸一水和物であり、ラパチニブ(lapatinib)としても知られている。
【0022】
式(I)の化合物の遊離塩基、HCl塩、および二トシル酸塩は、上に言及した国際特許出願番号PCT/EP99/00048(1999年1月8日出願、WO 99/35146として1999年7月15日公開)および国際特許出願番号PCT/US01/20706(2001年6月28日出願、WO 02/02552として2002年1月10日公開)の操作法にしたがい、また下記の適切な実施例にしたがって、調製することができる。式(I)の化合物の二トシル酸塩を調製するためのこれらの操作法の1つを手順1にしたがって提供する。
【0023】
手順1
【化10】

【0024】
手順1中、式(III)の化合物の二トシル酸塩の調製は、4段階によって進行させる: 段階1: 指定した二環式化合物とアミンの反応による指定したヨードキナゾリン誘導体の生成; 段階2: 対応するアルデヒド塩の調製; 段階3: キナゾリン二トシル酸塩の調製; および段階4:一水和二トシル酸塩の調製。
【0025】
典型的には、本発明の塩は製薬上許容される塩である。用語「製薬上許容される塩」の中に包含される塩とは、本発明の化合物の非毒性塩である。本発明の化合物の塩として、本発明の化合物の置換基上の窒素から誘導される酸付加塩が含まれる。代表的な塩として以下のものの塩が含まれる:酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、炭酸水素、硫酸水素、酒石酸水素、ホウ酸、臭化物、カルシウムエデト酸、カムシル酸、炭酸、塩化物、クラブラン酸、クエン酸、二塩酸、エデト酸、エジシル酸、エストール酸、エシル酸、フマル酸、グルセプト酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコリルアルサニル酸、ヘキシルレソルシン酸、ヒドラバミン、臭酸、塩酸、ヒドロキシナフトエ酸、ヨウ化物、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マンデル酸、メシル酸、メチル臭化物、メチル硝酸、メチル硫酸、マレイン酸一カリウム、粘液酸、ナプシル酸、硝酸、N-メチルグルカミン、シュウ酸、パモ酸(エンボン酸)、パルミチン酸、パントテン酸、リン酸/二リン酸、ポリガラクチュロン酸、カリウム、サリチル酸、ナトリウム、ステアリン酸、塩基性酢酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、テオクル酸、トシル酸、トリエトヨウ化物、トリメチルアンモニウムおよび吉草酸。製薬上許容されないその他の塩も、本発明の化合物の調製において有用であることがあり、それらは本発明の別の態様を形成する。
【0026】
本発明のがん治療方法での使用のために、式(I)の化合物ならびにその塩もしくは溶媒和物の治療上有効な量を原化学物質として投与することは可能であるが、活性成分を医薬組成物として提供することも可能である。したがって、本発明ではさらに、本発明のがん治療方法で投与することができる、医薬組成物が提供される。その医薬組成物は治療上有効な量の式(I)の化合物ならびにその塩もしくは溶媒和物と、1種以上の製薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む。担体(群)、希釈剤(群)または賦形剤(群)は、製剤のその他の成分と適合性があるという意味で許容されるものでなければならず、またその受益対象に有害であってはならない。
【0027】
医薬製剤は、単位用量について既定量の活性成分を含有する単位剤形で提供される。こうした1単位には、治療する病状、投与経路、ならびに患者の年齢、体重および状態に応じて、式(I)の化合物を例えば0.5mg〜1g、好ましくは1mg〜700mg、より好ましくは5mg〜100mg含有させるか、あるいは医薬製剤を、単位用量について既定量の活性成分を含有する単位剤形で提供することができる。好ましい単位剤形は活性成分を本明細書中、上に記載した1日の用量または未満用量、あるいはその適切な分割量、含有する。さらに、こうした医薬製剤は製薬分野で周知の方法のいずれによっても調製することができる。
【0028】
式(I)の化合物は、どんな適切な経路によっても投与することができる。好適な経路として、経口、経直腸、経鼻、局所(バッカルおよび舌下を含む)、経膣および腸管外(皮下、筋内、静脈、皮内、髄腔内、および硬膜外を含む)が含まれる。好ましい経路は、例えば配合物の受益体の症状によって変更することができるものと理解すべきである。
【0029】
本発明の方法は、がん治療のその他の治療方法とともに使用することもできる。特に、抗新生物療法では、上記のものの外に、別の化学療法剤、ホルモン、抗体薬、ならびに外科的および/または放射線治療との併用療法を想定している。抗新生物療法は例えば以下に記載されている:国際出願番号PCT US 02/01130(2002年1月14日出願)。この出願の抗新生物療法の開示の範囲について、参照として本明細書に組み入れる。こうして、本発明にしたがう併用療法には、式(I)の化合物の少なくとも1種の投与と、その他の抗新生物薬を含むその他の治療薬の任意の使用が含まれる。こうした薬剤の組み合わせは一緒にまたは別々に投与することができ、別々に投与する場合は、同時にまたは連続的に任意の順番で、時間的に近接および離してのどちらでも実施することができる。式(I)の化合物およびその他の医薬として活性な薬剤(群)の量ならびに相対的な投与のタイミングは、所望の併用治療効果を達成するように、選択されることとなる。
【0030】
経口投与に適応させた医薬製剤は以下のような個別単位で提供することができる:カプセルもしくは錠剤; 粉剤もしくは顆粒; 溶液または水性もしくは非水性液体中の懸濁液; 可食性フォームもしくはホイップ; あるいは水中油液状エマルジョンもしくは油中水液状エマルジョン。
【0031】
例えば、錠剤もしくはカプセルの形態の経口投与用には、活性薬物成分を経口用の非毒性で、製薬上許容される、エタノール、グリセロール、水などの不活性担体と配合することができる。粉剤は、化合物を好適な細粒度に粉砕し、同様に粉砕した可食性炭水化物、例えばでんぷんもしくはマンニトール、などの医薬担体と混合することによって、調製する。香味剤、保存剤、分散剤および着色剤も存在させてもよい。
【0032】
カプセルは、上記の粉末混合物を調製し、成形したゼラチンシートに充填することによって、調製することができる。充填操作の前に、粉末混合物に、コロイドシリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは固体ポリエチレングリコールなどの流動促進剤および潤滑剤を添加することができる。寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムなどの崩壊剤または可溶化剤を添加して、カプセルが摂取されたときに医薬の利用性を向上させることもできる。
【0033】
その上、所望または必要な場合は、混合物に好適な結合剤、潤滑剤、崩壊剤および着色剤を組み込むこともできる。好適な結合剤として以下が含まれる:でんぷん、ゼラチン、グルコースもしくはベータラクトースなどの天然糖、コーン甘味料、アカシア、トラガカントもしくはアルギン酸ナトリウムなどの天然もしくは合成ガム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなど。これらの剤形で使用する潤滑剤として以下が含まれる:オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなど。崩壊剤として限定するわけではないが、でんぷん、メチルセルロース、アガー、ベントナイト、キサンタンガムなどが含まれる。錠剤は、例えば粉末混合物を調製し、顆粒化もしくはスラグ(slug)化し、潤滑剤および崩壊剤を添加し、加圧して錠剤にすることによって、製剤化することができる。粉末混合物は、好適に粉砕した化合物と希釈剤もしくは上記の基剤、および場合によって以下のものと混合することによって、調製することができる:カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、もしくはポリビニルピロリドンなどの結合剤、パラフィンなどの溶解遅延剤、第四級塩などの吸収促進剤および/またはベントナイト、カオリンもしくはリン酸二カルシウムなどの吸着剤。粉末混合物は、シロップ、でんぷんペースト、アラビアゴム粘液またはセルロース性またはポリマー物質の溶液などの結合剤とともに湿潤化し、スクリーンを強制通過させることによって、顆粒化することができる。顆粒化の別法として、粉末混合物を錠剤機にかけて、その結果不完全に形成されたスラグを破砕して顆粒にすることができる。顆粒はステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱物油の添加によって、潤滑化して、錠剤成形ダイに貼りつくのを防止することができる。次に潤滑化した混合物を圧縮して錠剤にすることができる。本発明の化合物を自由流動性の不活性担体と配合して、顆粒化またはスラグ化の段階を経由しないで、直接錠剤に圧縮することもできる。シェラックのシールコート、糖もしくはポリマー材料のコートおよびワックスの光沢コートからなる、透明もしくは不透明保護コーティングを施すこともできる。別種の単位剤形を識別するために、これらのコーティング剤に染料を添加することができる。
【0034】
溶液、シロップおよびエリキシルなどの経口液剤を単位剤形として調製して、所定の量が既定量の化合物を含有するようにすることができる。シロップは好適に香味を付けた水性溶液に化合物を溶解させることによって調製することができ、一方エリキシルは非毒性のアルコール性ビヒクルの使用によって調製する。懸濁液は化合物を非毒性ビヒクルに分散させることによって製剤化することができる。エトキシル化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテルなどの可溶化剤および乳化剤、保存剤、ペパーミントオイルなどの香味添加剤、あるいは天然甘味剤またはサッカリンもしくはその他の人工甘味剤などを添加することもできる。
【0035】
必要に応じて、経口投与用の単位剤形製剤をマイクロカプセルに封入することができる。この製剤は、例えばコーティングまたは粒子状物質のポリマー、ワックスなどへの埋め込みによって、放出を延期または持続させるように調製することができる。
【0036】
本発明に従って使用する薬剤を、小型単層小胞、大型単層小胞および多層小胞などのリポソーム送達方式の形態で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどの多様なリン脂質から形成することができる。
【0037】
本発明に従って使用する薬剤を、その化合物分子を連結させる個性的な担体としてモノクローナル抗体を使用することによって、送達することもできる。化合物を、標的化が可能な薬物担体として、可溶性ポリマーに連結することもできる。こうしたポリマーとして以下が含まれる:ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリシン。さらに、化合物を、薬物の制御放出を達成させるのに有用な、例えば以下のような生分解性ポリマーの1クラスに連結させることができる:ポリ乳酸、ポルエプシロン(polepsilon)カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレートおよびヒドロゲルの架橋もしくは両親媒性ブロックコポリマー。
【0038】
経皮投与に適応させた医薬製剤を、受益対象の表皮と長期間の密着を持続させることを目的として、個別パッチとして存在させることができる。例えば、活性成分を、Pharmaceutical Research, 3(6), 318(1986)に一般的に記載されている、イオントフォレシス(iontophoresis)によって、パッチから送達することができる。
【0039】
局所投与用に適応させた医薬製剤を、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、アエロゾルまたはオイルとして製剤化することができる。
【0040】
眼、または例えば口および皮膚などのその他の外部組織の治療用には、製剤は好ましくは局所軟膏またはクリームとして施用する。軟膏に製剤化する場合、活性成分をパラフィンまたは水混和性軟膏基剤のいずれかとともに使用する。あるいは、活性成分を水中油クリーム基剤または油中水基剤とともにクリームに製剤化することができる。
【0041】
眼への局所投与に適応させた医薬製剤として、活性成分を好適な担体、特に水性溶媒に溶解または懸濁させた点眼剤が含まれる。
【0042】
口内への局所投与に適応させた医薬製剤として、キャンディ、トローチおよびうがい薬が含まれる。
【0043】
直腸投与に適応させた医薬製剤は、坐剤または浣腸剤として提供することができる。
【0044】
鼻への投与に適応させた、担体が固体である場合の医薬製剤として、例えば粒子サイズが20〜500ミクロンの範囲の粗粉剤が含まれ、吸い込みが実施される様相で、すなわち鼻に密着させた粉剤容器から鼻腔を経由する急速吸入によって、これを投与する。担体が液体である場合の鼻スプレーまたは点鼻剤としての投与のために好適な製剤として、活性成分の水性または油性溶液が含まれる。
【0045】
吸入による投与に適応させた医薬製剤として、微粒子ダストまたはミストが含まれ、これを各種の型の定量加圧エアロゾル、ネブライザーまたは吹き込み器によって製造することができる。
【0046】
膣投与に適応させた医薬製剤として、ペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、フォームまたはスプレー製剤が含まれる。
【0047】
腸管外投与に適応させた医薬製剤として、抗酸化剤、バッファー、静菌剤、および製剤を想定する受益対象の血液と等張性にする溶質を含有する水性および非水性滅菌注射溶液、ならびに懸濁剤および濃化剤を含む水性および非水性滅菌懸濁液が含まれる。製剤は単位投与または数次投与容器、例えば密封アンプルおよびバイアルとして提供することができ、フリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存して、使用直前に滅菌液体担体、例えば注射用の水の添加のみでよいようにすることができる。即席注射溶液および懸濁液を滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0048】
上に特に記載した成分の外に、該当する製剤のタイプに関連する分野で常套的なその他の薬剤を製剤に含ませる、例えば経口投与に好適な製剤に香味剤を含ませることができるものと理解すべきである。
【0049】
記載したように、特定の式(I)の化合物の治療上有効な量を、哺乳動物に投与する。典型的には、本発明の投与薬剤の治療上有効な量は、例えば以下を含む多数の要因によって決められる:哺乳動物の年齢および体重、治療を要する的確な症状、症状の重篤度、製剤の性質、ならびに投与の経路。究極的には担当する医師または獣医の裁量によるものとなる。
【0050】
典型的には、式(I)の化合物を、1日に受益対象(哺乳動物)の体重について0.1〜100 mg/kgの範囲、さらに通常は1日に体重について1〜10 mg/kgの範囲を与えることとなる。
【0051】
上記のように、本発明は、N-{3-クロロ-4-[(3-フルオロベンジル)オキシ]フェニル}-6-[5-({[2-(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)-2-フリル]-4-キナゾリンアミン(GW572016)ならびにその塩および/または溶媒和物の投与を含む、がん治療方法を目的としている。
【0052】
膀胱がんはヨーロッパでは5番目に多い、また合衆国では4番目に多い悪性腫瘍である(Jensen O, Esteve J. Eur J Cancer 1990;26:1167-256; Jemal A, Thomas A. Cancer Statistics, 2002. CA Cancer J Clin 2002;52:23-47)。世界中で大多数の膀胱がんが移行性細胞型(TCC)であり、これが尿路上皮腫瘍の90〜95%を占める。これらの腫瘍は、腎盂、尿管、膀胱(90%)、および尿道の3分の2近傍を含む、尿路に沿ったあらゆるところで発生する。臨床的に局在した筋侵襲TCCを呈する患者の中で、20〜80%が、外科的または放射線療法からなる適切な局所治療によって治癒することができる。その他の患者では局所的再発または転移性疾患のいずれかが進行し、治癒の見込みはほとんどない(de Mulder p, van der Meijden A. Bladder Cancer. In: Oxford Textbook of Oncolog. 2nd ed. Oxford, NY: Oxford University Press; 2002)。
【0053】
尿路上皮腫瘍の治療において、MVAC(メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシンおよびシスプラチン)ならびにCMVを含む多くの細胞毒性薬剤が評価されてきたが、これらが現行では、それぞれ合衆国およびヨーロッパにおいて、一次治療の標準とみなされている(Loehrer P, Einhorn L. J Clin Oncol 1992;10:1066-1073); von der Maase H, Hansen S., J Clin Oncol 2000;18:3068-3077)。ゲムシタビン/シスプラチン(GC)はMVACに代わる処方薬であり、これはより安全性が高く、特にゲムシタビンは一次治療法として承認されているので、使用されることが多くなっている。
【0054】
尿管上皮の局所進行性または転移性TCCの二次治療法はあまりよく確定されていない。再発膀胱がんおよび/または白金に基づく化学療法後に疾患が悪化するその他の尿路上皮がんの患者については承認された療法がない。最も普通に使用されている薬剤はタキサン、ゲムシタビン、マイトマイシン、およびアントラシクリンである。応答率は7%〜27%であり、無増悪期間(TTP)および全生存率(OS)は通常短い。膀胱がんの予後不良および利用可能な療法の不備のため、この症例には満たされていない医療上の実際のニーズがあり、また、有効な療法のためのさらなる研究が求められている。
【0055】
膀胱がんでのEGFR(erbB1)およびerbB2の過剰発現は、進行した段階および高悪性度の腫瘍と相関するとされた(Mellon J, Lunec J., J Uro 1996;155:321-6; Orlando C, Sestini R., J Urol 1996;156:2089-2093)。erbB1およびerbB2はそれぞれが初発膀胱がんサンプルの72.2%および44.5%で発現する。erbB1およびerbB2の両方の発現がサンプルの33.9%で見られる(Chow N-H, Chan S-H., Clin Cancer Res 2001;7:1957-1962)。GW572016は、したがってerbB1およびerbB2の両方の強力で選択的な二重インヒビターとして、尿管上皮の局所進行性または転移性TCCの患者のために、有効で、十分許容され、好都合な治療の選択肢を提供することができる。
【0056】
本発明の1実施形態中、哺乳動物の尿路上皮がんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物およびその塩もしくは溶媒和物の投与を含む方法が提供される。別の実施形態中、その化合物は式(I')の化合物、好ましくは式(I")の化合物である。本発明の1実施形態中、哺乳動物の膀胱がんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物およびその塩もしくは溶媒和物の投与を含む方法が提供される。別の実施形態中、その化合物は式(I')の化合物、好ましくは式(I")の化合物である。さらに別の本発明の1実施形態中、哺乳動物の進行性または転移性膀胱がんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物およびその塩もしくは溶媒和物の投与を含む方法が提供される。さらに別の本発明の1実施形態中、哺乳動物の移行性細胞膀胱がんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物およびその塩もしくは溶媒和物の投与を含む方法が提供される。
【0057】
膵がんは西側世界ではがんによる死亡原因の10位以内に入る1つである。外科的切除で外観では改善される。ただし、膵がんの患者の10パーセント程度しか、この術式に適さない。大部分の治療の失敗は、局所再発、肝転移、またはその両方によるものであり、そして、手術後1〜2年以内に発病する。進行性膵がんには治療の選択肢がほとんどなく、そして予後は不良である。膵がんの患者の2%未満しか、5年間生存しない。局所進行性膵がんを呈する患者は、化学放射線療法、一般的にはフルオロウラシル(FU)もしくはゲムシタビンを基礎とする処方様式、によるか、ゲムシタビン単独で治療する。遠隔転移の腫瘍では、小さな無作為化試験で、FUを基礎とする処方に比較して、がんに関連する症候に統計的に有意な改善(4.8%に対して23.8%の臨床的に有利な応答)と全生存率の中度の改善(4.4ヶ月に対して5.6ヶ月)が見られたので、ゲムシタビンが治療の標準となった。ゲムシタビンとFUの併用によるか、またはゲムシタビンをBAY12-9566、マリマスタット、もしくはファルネシルトランスフェラーゼインヒビター、ティピフアルニブに換えることによる、全生存率を改善するための最近の無作為化比較試験では、ゲムシタビンで治療した膵がん患者の生存率は改善されなかった。erbB1発現は約30%、erbB2発現は約70%である。
【0058】
本発明の1実施形態中、哺乳動物の膵がんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物およびその塩もしくは溶媒和物の投与を含む方法が提供される。別の実施形態中、その化合物は式(I')の化合物、好ましくは式(I")の化合物である。
【0059】
2003年、合衆国の前立腺がん罹患数の概算によれば、220,000を超える新たな診断症例があり、その結果28,000を超える死亡に至るものと見られる。英国、イタリー、スペイン、フランス、およびドイツでは、110,000を超える前立腺がんの症例が診断され、この疾患によって46,000を超える死亡者が出た。その上、前立腺がんは世界中の男性で4番目に多いがんである。前立腺がん患者の半数近くが、放射線または前立腺切除による一定の局所療法の後に、進行性疾患を再発する。進行性前立腺がん患者はアンドロゲン除去によって効果的に治療されるが、疾患の悪化に対する効果は一時的なものである。これらの患者は結局はアンドロゲン除去に非応答性となって、その後ホルモン不応性前立腺がん(HRPC)に分類される[Crawford, 1989; Eisenberger, 1994]。HRPC患者の標準的選択肢は二次ホルモン療法または化学療法である。微小管の統合性に影響する薬剤が関与する併用化学療法処方は活性を持ち、副作用も容認できるようである。しかし、高い前立腺特異的抗原(PSA)応答率であるにもかかわらず、応答期間の中央値はおよそ6ヶ月に限られる。生存率の有利性はまだ証明されていない。化学療法およびステロイドによって、症状緩和の進展および生活の質の向上は獲得されたが、生存率を向上させるためには、革新的方法が必要である。前立腺がんの治療のための新規な方法として、腫瘍細胞の生存にとって重要な経路を標的とする治療法の使用が含まれる。転移性HRPCの治療のためには、ミトキサントロン/プレドニゾンまたはエストラムスチンが普通使用される。そのほか、転移性HRPCのための一次療法として、プレドニゾンとの併用で、ドセタキセル(75mg/m2、3週間毎)が2004年5月19日、承認された。現状では、ホルモン感受性前立腺がんで、LHRH多重アゴニストおよび抗アンドロゲンが使用されている。化学療法薬剤のいくつかの小試験を実施途中である。アンドロゲン遮断の使用およびこの療法に関連する毒性を遅延させる能力は、本件でのerbB1/2インヒビターの臨床的に重要な利点と成り得るものである。前立腺がんではerbB1およびerbB2の両方が発現される。研究の大部分で、標準的ホルモン療法に不応性になるにしたがって、前立腺がんの悪化とともに、発現の増大を示した(41-100% erbB1; 20-80% erbB2)。ErbB1またはErbB2のいずれかを標的とする臨床研究では、前立腺がんにおいては有望とはなっていない。erbB1およびerbB2の両方の発現は前立腺がんのホルモン不応性疾患への悪化と相関性があるので、erbB受容体の二重インヒビターは、いずれかの受容体のみを特異的に阻害する薬物よりも、有効な治療選択肢を提供するものと見られる。
【0060】
本発明の1実施形態中、哺乳動物の前立腺がんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物およびその塩もしくは溶媒和物の投与を含む方法が提供される。別の実施形態中、その化合物は式(I')の化合物、好ましくは式(I")の化合物である。本発明の1実施形態中、哺乳動物のホルモン不応性前立腺がんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物およびその塩もしくは溶媒和物の投与を含む方法が提供される。別の実施形態中、その化合物は式(I')の化合物、好ましくは式(I")の化合物である。
【0061】
結腸直腸がんは西側社会では4番目によく見られるタイプのがんであり、北アメリカでは2番目のがんによる死亡原因である。合衆国での結腸直腸がんの年間発生数は約148,300(男性で72,600、女性で75,700の罹患)で、死亡数は56,600(男性で27,800、女性で28,800)である。全人口中の結腸直腸がんの生涯リスクは約5〜6パーセントである。家族性リスクを持つ患者、2人以上の結腸直腸がんの1または2親等(または両方の)親族がいる者、は、結腸直腸がんの全患者の約20パーセントであるが、結腸直腸がんの年間総罹病の約5〜10パーセントが常染色体優性で遺伝する。
【0062】
外科的切除単独で治癒可能性を持つが、局所または遠隔性再発が多くの患者で発症し、最も高い再発リスクを持つものは、フルオロウラシルに基づく全身的アジュバント化学療法を受けるように助言される。この療法は多くの共同グループ試験および分析で、有益であることが示されたものである。
【0063】
erbB2は原発腫瘍で中度から高度に発現する。erbB2のin vitro発現は、腺腫からがん腫系への悪化、腫瘍段階、侵襲潜在性と関連性があり、また独立した生存の予後因子である。erbB1発現はerbB2よりも低い(60%に対して40%)。ただし、増殖での役割はerbB2よりも強力である。erbB1およびerbB2およびerbB3の同時発現は~30%(全悪性度)である。
【0064】
本発明の1実施形態中、哺乳動物の結腸直腸がんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物およびその塩もしくは溶媒和物の投与を含む方法が提供される。別の実施形態中、その化合物は式(I')の化合物、好ましくは式(I")の化合物である。1実施形態中、がんは結腸がんである。別の実施形態中、がんは直腸がんである。
【0065】
世界での肺がんの年間発生数は124万人である。その上、毎年、世界で110万人が肺がんで死亡するものと推計される[Parkin, 2001]。これらの患者の約4分の3が非小細胞肺がん(NSCLC)となり、大部分が診断時に局所進行性または転移性疾患となる。現状ではこれらの患者には治癒性の療法はない。したがって、NSCLC患者の化学療法の目標は症状の緩和による生活の質の拡大である。進行性NSCLCの一次併用化学療法は、20-50%の応答率をもたらし、その他の患者でも疾患の安定化を達成させることができる。NSCLCの現行の標準的一次療法として、ビノレルビンもしくはゲムシタビンと併用したシスプラチンまたはパクリタキセルもしくはドセタキセルと併用したカルボプラチンが含まれる[Schiller, 2002; Fossella, 2003]。Schillerらによって報告された4つの白金二重試験での無増悪期間(TTP)および総生存率(OS)は類似しており、それぞれ4ヶ月および8ヶ月である。Fossellaらは、カルボプラチンおよびドセタキセルの併用によって、TTPおよびOSが5ヶ月および9ヶ月であったことを報告している。
【0066】
二次化学療法の使用は、所望の便益(生存の延長または生活の質の向上のいずれか)と薬物に関連する毒性との間のバランスをとらなければならない。ドセタキセル、ビノレルビン、ゲムシタビン、イリノテカン、パクリタキセル、およびプレメトレキセドは、NSCLCの患者の二次治療として活性を示した。現状では、その前の白金に基づく化学療法の失敗の後、局所進行性または転移性非小細胞肺がん患者の治療のために、ドセタキセルのみが処方される。EGFRインヒビターもまた考慮された。USで、白金に基づくものおよびドセタキセルでの化学療法の両方に失敗した後、局所進行性または転移性NSCLC患者のために、ゲフィニチブ(Iressa(登録商標))単独療法の使用が承認された。再発したNSCLC患者でのエルロチニブ(Tarceva(登録商標))のフェーズIII研究からの予測結果では、全生存率の改善が達成されることが示された。erbB1を標的とするモノクローナル抗体である、セチュキシマブ(Erbitux(登録商標))が、CRCで最近承認され、継続的試験でNSCLCでのその活性が調査されている。
【0067】
本発明の1実施形態中、哺乳動物の肺がんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物およびその塩もしくは溶媒和物の投与を含む方法が提供される。別の実施形態中、その化合物は式(I')の化合物、好ましくは式(I")の化合物である。1実施形態中、がんは非小細胞肺がんである。
【0068】
USでは1年間に約14,300人の女性が卵巣がんで死亡する。これは女性では5番目に多いがんであり、性器がんでの死亡原因の筆頭である。卵巣がんについての5年生存率は、限局された疾患を持つ女性では約95%である。しかし、女性の約60%は診断時に進行段階(III/IV期)の卵巣がんであり、遠隔疾患を伴う5年生存率はわずかに31%である。年齢および人種が卵巣がんの発生率および生存に影響し、65歳およびそれ以上の女性では、より高い疾患発生率(65歳未満の女性について11.2/100,000に比較して56.3/100,000)および有意に低い5年生存率(65.8%に比較して32.9%)である。
【0069】
USでは、Gynecologic Oncology Group(GOG)によって最初に実施された一連の無作為化試験から、進行性上皮卵巣がんの女性の標準的療法が開発された。1996年、このグループは、以前に未治療の進行性IIIおよびIV期の疾患を持つ患者で、シスプラチンとパクリタキセルに対するシスプラチンとシクロホスファミドの無作為化比較の結果を報告した。この試験の以下の結果に基づいて、シスプラチンプラスパクリタキセル処方が優れていると判定された: 全体としての応答率の向上(73% v 60%; P = .01); 臨床的完全応答率の増加(54% v 32%); 無増悪生存期間の増加(PFS; 18.1 v 13.6ヶ月; P < .001); および、最も重要なのは、全生存期間の中央値の増加(38 v 24ヶ月; P < .001)。この研究の結果はその後、IIBからIV期の上皮卵巣がん患者でのヨーロッパ-カナダ人の試験によって確認された。この場合、シスプラチンプラスパクリタキセルに対してシスプラチンプラスシクロホスファミド処方を同様に無作為に割り当てたものである。後者の研究では、シスプラチンと併用して、パクリタキセルを3時間注入で投与したが、一方GOG試験では、パクリタキセルを24時間注入で投与した。処方計画でのこれらの差異はあるものの、両方の研究で、以前に未治療の進行性卵巣がん患者でシスプラチンプラスパクリタキセルでの初期治療の優位性が証明された。シスプラチンの類似体であるカルボプラチンは、親化合物シスプラチンよりも非血液学的毒性が低く、カルボプラチンプラスパクリタキセルの併用も、活性な処方であることがわかった。
【0070】
erbB1は腫瘍サンプルで共通して発現するが、erbB-2はそれより少ない。erbB1およびerbB2の同時発現も一般的である。異種移植動物モデルおよび患者サンプル中では、erbB1は、低生存性および化学療法抵抗性の独立した予後マーカーである。erbB1の過剰発現は約70%、一方erbB2の過剰発現は約30〜60%である。erbB1およびerbB2の同時発現も一般的であり、約30〜60%である。erbB1の発現は多変量解析で、生存およびDFSの独立した予後因子であるが、erbB2の予後への意味はかなり低い。卵巣がん細胞系では、erbB1増殖依存性についての証拠がある。
【0071】
本発明の1実施形態中、哺乳動物の卵巣がんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物およびその塩もしくは溶媒和物の投与を含む方法が提供される。別の実施形態中、その化合物は式(I')の化合物、好ましくは式(I")の化合物である。
【0072】
外陰がんは外陰部、外部女性性器、に罹患する、女性の稀ながんであり、中年またはそれ以降の女性で、より一般的である。外陰がんのための標準療法として、手術、放射線療法および/または化学療法があり、典型的には、早期段階の疾患にはフルオロウラシルの局所投与、後期または転移性疾患では単剤療法もしくは他の薬剤との併用でのシスプラチンの投与である。
【0073】
本発明の1実施形態中、哺乳動物の外陰がんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物およびその塩もしくは溶媒和物の投与を含む方法が提供される。別の実施形態中、その化合物は式(I')の化合物、好ましくは式(I")の化合物である。
【0074】
子宮頚部のがんは、世界の女性で2番目に多いがんであり、発展途上国の女性ではがんに関連した死亡の筆頭である。世界で毎年、約500,000例の子宮頚がんが診断される。合衆国では定期検診によって浸潤性子宮頚がんの発病数は減少し、1年間に、約13,000例の浸潤性子宮頚がんおよび50,000例の上皮内子宮頚がん(すなわち限局されたがん)が診断される。浸潤性子宮頚がんは、中高年の女性および社会経済的地位が低い女性の方でより多い。後者では定期的な検診と早期治療を受ける機会が少ないからである。アフリカ系アメリカ、ヒスパニックおよび先住アメリカ人の女性でも、発生率がより高い。子宮頚がんのための標準療法として、手術、放射線療法および/または化学療法であり、典型的には、単剤療法もしくは他のフルオロウラシルなどの他の薬剤との併用でのシスプラチンの投与が指示される。
【0075】
本発明の1実施形態中、哺乳動物の子宮頚がんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物およびその塩もしくは溶媒和物の投与を含む方法が提供される。別の実施形態中、その化合物は式(I')の化合物、好ましくは式(I")の化合物である。 子宮内膜がんにおけるerbB2の関与は過剰発現によるものであり、これは遺伝子増幅を伴う場合と伴わない場合がある。免疫組織化学によって定量して、子宮内膜がんの10パーセントから15%が、正常子宮内膜上皮に比較して、erbB2の過剰発現を表示する。いくつかの研究で、子宮内膜がん中、過剰発現を示す腫瘍の一部で、erbB2遺伝子増幅が報告されている。erbB2の過剰発現は高悪性度および/または進行段階の腫瘍の一部に限定されるようである。過剰発現と予後の悪化の相関性は観察されたが、erbB2発現と臨床転帰との相関性は確実ではない(Am J Obstet Gynecol 164:15-21, 1991; Gynecol Oncol 47:179-185, 1992; Gynecol Oncol 53:84-92, 1994.)。
【0076】
本発明の1実施形態中、哺乳動物の子宮内膜がんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物およびその塩もしくは溶媒和物の投与を含む方法が提供される。別の実施形態中、その化合物は式(I')の化合物、好ましくは式(I")の化合物である。
【0077】
腎細胞がん(RCC)はUSで6番目のがん死亡原因であり、成人の悪性腫瘍の3%になる。USでは2000年に、約31,200例が診断され、約12,000人が死亡している。その他の世界では、その率には10倍以上の差がある。スカンジナビアおよびその他の北欧の地域での発病率が最も高いが、イングランドおよびウェールズではそれよりも低い。インド、中国人および日本人、ならびに中米および南米で、最低の率が報告されている。発病率は過去25年間、着実に上がっている。erbB1の過剰発現の範囲は40%から80%を超えるまでである。過剰発現は腫瘍の段階および生存と相関性がある。進行性および転移性RCCの患者について、生存を延長させるためのIL-2および/またはIFN-アルファによるサイトカイン療法は、約15%の応答率と、この療法からの実質的な毒性によって、まだ異論が残っている。その応答期間は6〜10ヶ月の範囲であった。RCCは本質的に化学療法およびホルモン療法には抵抗性である。なぜならば、10%を超える患者の応答に一貫して成功した薬剤はないからである。
【0078】
本発明の1実施形態中、哺乳動物の腎がんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物およびその塩もしくは溶媒和物の投与を含む方法が提供される。別の実施形態中、その化合物は式(I')の化合物、好ましくは式(I")の化合物である。
【0079】
1実施形態中、腎細胞がんは腎細胞上皮腫である。
【0080】
中皮腫は胸内膜または腹内膜のがんである。表皮成長因子受容体(EGFR)の過剰発現は、肺、乳房および中皮腫を含む多くの固形腫瘍に共通する所見である。過剰発現は予後不良ならびに放射線および化学療法に対する抵抗性に相関性があることが示されている。最近の証拠から、EGFRのアップレギュレーションおよび活性化が早期発がん作用において重要な役割を持つらしいことが示唆される。中皮腫の原因であることが知られている発がん性アスベスト繊維はEGFRの発現をアップレギュレートすることが知られている。MET 5A細胞のアスベストへの曝露は、炎症、増殖および肺防御に固有の多数の遺伝子の調節において重要な転写因子の1つである、核因子-kB(NF-kB)の活性化をもたらす。アスベストが介在するEGFR/NF-kBシグナル伝達経路の変調は、悪性中皮腫の化学的予防および治療のための新規治療戦略の開発において重要であるかもしれない(Faux, EGFR Induced Activation of NF-kB in Mesothelial Cells by Asbestos Is Important in cell survival, Proceedings of the American Association for Cancer Research, AACR, Vol. 42, March 2001)。
【0081】
本発明の1実施形態中、哺乳動物の中皮腫の治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物およびその塩もしくは溶媒和物の投与を含む方法が提供される。別の実施形態中、その化合物は式(I')の化合物、好ましくは式(I")の化合物である。
【0082】
胃食道接合部を含む食道から発生するがんは、合衆国では比較的一般的でなく、2003年に新たに13,900例と13,000の死亡が報告されている。リスクは年齢とともに増大し、診断時の平均年齢は67歳である。食道がんはアメリカ人ではがんによる死亡原因の7番目である。世界では、食道がんはがんによる死亡原因の6番目である。食道がんの90パーセント超が扁平上皮がんまたは腺がんのいずれかである。全腺がんの約4分の3が遠位食道に見られ、一方扁平上皮がんは中位から下部3分の1の間でより均等に分布する。全体として、50パーセントを超える患者が発症時に切除不能または転移性疾患となっている。全体としての5年生存率は不良で、現状では14パーセントである。食道の扁平上皮がんおよび腺がんの両方が化学療法に応答性であるが、現状で承認されている処方計画はない。erbB1の発現(腺がんで30%、扁平上皮がんで70%)は食道がん患者の予後の指標となるものと見られる。erbB2の発現は食道およびGE接合部の腺がんで約25%である。
【0083】
本発明の1実施形態中、哺乳動物の食道がんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物およびその塩もしくは溶媒和物の投与を含む方法が提供される。別の実施形態中、その化合物は式(I')の化合物、好ましくは式(I")の化合物である。
【0084】
いくつかの臨床病理学的研究で、免疫組織化学を使用し、悪性唾液腺腫瘍中のEGFRおよびerbB2の過剰発現が試験された。腺様のう胞がん(ACC)については、EGFR過剰発現の頻度は0〜85%と変動し、同様にerbB2過剰発現の頻度は0〜100%と幅広く変動する。これらの頻度は一般的に限定されたサンプルサイズでの小シリーズに基づいたものであ。実験室での染色および評価方法、ならびに抗体の選択の差異などのその他の因子も同様に、この結果の不均一性に寄与している。最近公開された137唾液腺がんの大シリーズ(Glissonら、ClinCanRes, 10:944-46, 2004)では、全体のerbB2過剰発現の頻度(腫瘍細胞の少なくとも10%の2+から3+の完全膜染色を過剰発現陽性と評価する)は、唾液腺がんの全組織学的サブタイプ中、17%(137中23)だった。erbB2の過剰発現はACCでは稀であることがわかり(4%、70中3)、一方唾液管がんでは過剰発現は一般的だった(83%、12中10)。この知見は、唾液管サブタイプの典型的高悪性度の組織学的特徴および攻撃的な行動、ならびに乳房がんとのその組織発生学的類似性と一致している。
【0085】
本発明の1実施形態中、哺乳動物の唾液腺がんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物およびその塩もしくは溶媒和物の投与を含む方法が提供される。別の実施形態中、その化合物は式(I')の化合物、好ましくは式(I")の化合物である。
【0086】
肝細胞がん(HCC)は世界で最も多いがんの1つであり、年間120万例である。この発病率は蔓延したC型肝炎感染によって急速に増加している。USでは2003年に約17,300例あり、14,400が死亡している。手術は少数の切除可能な疾患患者の治療選択肢である。限局されたHCCの療法として、手術、高周波アブレーション、エタノール注入または肝動脈化学塞栓術が含まれる。確立されたアジュバント療法はなく、腫瘍の大多数が再発する。再発または転移性HCCについて予後は不良で、生存期間の中央値は6ヶ月である。進行性HCCでは単剤または併用剤としてのドキソルビシンが一般的な治療法である。しかし、応答率は低く、この症例で生存率を向上させる療法はない。化学塞栓術または化学療法を伴う肝動脈塞栓術も一般的に実施される。HCCでのerbB1の過剰発現が報告されており、様々な程度の過剰発現が報告されている。腫瘍でのerbB1発現は、過激な増殖、予後不良および化学療法に対する抵抗性と相関性がある。肝細胞系でのerbB1およびerbB2の発現は重要な増殖調節因子である。
【0087】
本発明の1実施形態中、哺乳動物の肝細胞がんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物およびその塩もしくは溶媒和物の投与を含む方法が提供される。別の実施形態中、その化合物は式(I')の化合物、好ましくは式(I")の化合物である。
【0088】
EGFRは、グリオーマ(Bredel et al, ClinCanRes, 5:1786-1792, 1999)を含む脳の悪性腫瘍で過剰発現することが多い(Heimberger et al, ClinCanRes, 8:3496-3502, 2002)。したがって、erbB1およびerbB2の両方の強力で選択的な二重インヒビターであるGW572016が、グリオーマを含む脳のがんの患者のための有効で、十分耐容し得て、好都合な治療選択肢を提供するものと見られる。
【0089】
本発明の1実施形態中、哺乳動物の脳のがんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物およびその塩もしくは溶媒和物の投与を含む方法が提供される。別の実施形態中、その化合物は式(I')の化合物、好ましくは式(I")の化合物である。
【0090】
1実施形態中、脳のがんはグリオーマである。
【0091】
メラノーマは皮膚がんの非常に深刻な形態である。これはメラニンという皮膚の色素を形成する細胞であるメラニン細胞で発病する。メラノーマは皮膚がんの全症例の約4%にすぎないが、これは皮膚がんに関連する死亡の大部分の原因である。典型的には、メラノーマは手術によって治療し、高リスクの症例ではその後、例えばインターフェロンα-2bによる免疫療法による。
【0092】
本発明の1実施形態中、哺乳動物のメラノーマの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物およびその塩もしくは溶媒和物の投与を含む方法が提供される。別の実施形態中、その化合物は式(I')の化合物、好ましくは式(I")の化合物である。
【0093】
前記の本発明のがん治療方法中、式(I)、(I')、および(I")の化合物は上記記載の通りである。
【0094】
以下の実施例は説明のみを意図するものであって、本発明の範囲をどんな意味でも限定するつもりはない。
【0095】
(実施例)
本明細書で使用する場合、これらの方法、手順および実施例で使用する記号および常法は、最新の科学文献、例えば以下で使用されているものと一致させている:Journal of the American Chemical SocietyまたはJournal of Biological Chemistry。標準的1文字または3文字短縮語は一般的にアミノ酸残基を示すために使用し、これは別に明記する以外はL-配置を想定している。別に明記する以外は、すべての出発物質を市販業者から取得し、それ以上の精製をしないで使用した。特に、以下の短縮語を実施例および明細書全体で使用する場合がある:
【表1】

【0096】
別に指示する以外は、全温度を℃(摂氏度)で表現する。別に明記する以外は、全反応を不活性雰囲気中、室温で実施する。
【0097】
GW572016Fはラパタニブで、その化学名はN-{3-クロロ-4-[(3-フルオロベンジル)オキシ]フェニル}-6-[5-({[2-(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)-2-フリル]-4-キナゾリンアミン二トシル酸一水和物である。
【実施例1】
【0098】
GW572016Fの調製
段階 1
【化11】

【0099】
トルエン(5 vol)中の3H-6-ヨードキナゾリン-4-オン(化合物A)の撹拌懸濁液を、20〜25℃で、トリ-n-ブチルアミン(1.2 eq.)で処理し、その後90℃まで加熱した。オキシ塩化リン(1.1 eq)を添加し、次に反応混合物を還流加熱した。反応混合物を50℃に冷却し、トルエン(5 vol)を添加した。化合物C(1.03 eq.)を固体として添加し、そのスラリーを90℃に再加温し、1時間撹拌した。スラリーを第2容器に移し、第1容器をトルエン(2 vol)で洗い流し、反応混合物に加えた。反応混合物を70℃に冷却し、スラリーを撹拌しながら、内容物を68〜72℃に維持して、1.0 M水性水酸化ナトリウム溶液(16 vol)を1時間かけて滴下した。混合物を65〜70℃で1時間撹拌し、その後1時間かけて20℃まで冷却した。懸濁液を20℃で2時間撹拌し、生成物をろ過によって回収し、水(3 x 5 vol)およびエタノール(IMS, 2 x 5 vol)で順次洗浄し、その後50〜60℃で真空乾燥した。
【0100】
容量(vol)は使用した化合物Aの量に対するものである。
【0101】
観測された収率パーセント: 白色または黄色結晶として90〜95%。
【0102】
段階 2
【化12】

【0103】
N-{3-クロロ-4-[(3-フルオロベンジル)オキシ]フェニル}-6-ヨード-4-キナゾリンアミン-化合物D(1 wt)、ホウ酸-化合物E(0.37 wt, 1.35 equiv)、および活性炭上の10%パラジウム(0.028 wt ,50%水 wet)の混合物をIMS(15vol)中でスラリー化した。生成した懸濁液を5分間撹拌し、ジイソプロピルエチルアミン(0.39 vol, 1.15 equiv)で処理し、その後反応が完了する(HPLC分析によって判定)まで約3時間、約70℃で加熱した。混合物をテトラヒドロフラン(THF, 15 vol)で希釈し、その後熱ろ過して、触媒を除去した。容器をIMS(2 vol)で洗い流した。
【0104】
65℃に維持したろ過溶液に、水(1.5 vol)中のp-トルエンスルホン酸一水和物(1.5 wt, 4 equiv)の溶液を5〜10分かけて添加した。結晶化後、懸濁液を60〜65℃で1時間撹拌し、1時間で約25℃まで冷却し、この温度でさらに2時間撹拌した。ろ過によって固体を回収し、IMS(3 vol)で洗浄し、その後約50℃で真空乾燥して、所望の化合物Fを黄色-橙色結晶状固体(約5%w/w EtOHを含有するエタノール溶媒和物として単離)として取得した。
【0105】
段階 3
【化13】

【0106】
化合物F#(1 wt)および2-(メチルスルホニル)エチルアミン塩酸(0.4 wt, 1.62 equiv.)をTHF(10 vol)中に懸濁させた。酢酸(0.354 vol., 4 equiv.)およびジイソプロピルエチルアミン(DIPEA, 1.08 vol., 4.01 equiv.)を順次添加した。生成した溶液を30〜35℃で約1時間撹拌し、その後約22℃まで冷却した。次に、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(0.66 wt, 2.01 equiv.)を、約15分間の連続添加として添加した(この時点でいくらか泡立ちが見られる)。生成した混合物を約22℃で約2時間撹拌し、その後HPLC分析用にサンプルを採った。水性水酸化ナトリウム(25% w/w, 3 vol.)、その後水(2 vol.)の添加によって、反応を停止させ、約30分撹拌した(苛性物の添加時に、いくらかの泡立ちが見られた)。
【0107】
次に水性相を分離し、THF(2 vol)で抽出し、その後まとめたTHF抽出物を25% w/v水性塩化アンモニウム溶液(2 x 5 vol)2で2回洗浄した。水(1 vol)1中のp-トルエンスルホン酸一水和物(p-TSA, 0.74 wt, 2.5 equiv.)の溶液を調製し、約60℃に加温し、GW572016F(化合物G)(0.002 wt)核種を添加した。
【0108】
p-TSA溶液にGW572016の遊離塩基のTHF溶液を少なくとも30分かけて添加し、その間バッチ温度を60±3℃に維持した。生成した懸濁液を約60℃で1〜2時間撹拌し、1時間で20〜25℃まで冷却し、この温度で約1 hr熟成させた。ろ過によって固体を回収し、95:5 THF:水(3 x 2 vol)で洗浄し、約35℃で真空乾燥して、GW572016F-化合物Gを明黄色結晶状固体として取得した。予測収量を理論値の80%として、117% w/w。
【0109】
1 最少反応容積、約1 vol。
【0110】
2 最大反応容積、約17 vol。
【0111】
# アッセイ用に補正。
【0112】
段階 4
【化14】

【0113】
テトラヒドロフラン(THF, 14 vol)および水(6 vol)中のN-{3-クロロ-4-[(3-フルオロベンジル)オキシ]フェニル}-6-[5-({[2-(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)-2-フリル]-4-キナゾリンアミンの二トシル酸一水和塩-化合物G(1 wt)の懸濁液を約55〜60℃に30分間加熱して溶液とし、これをろ過によって清澄化し、反応系をTHF/水(7:3比, 2 vol)で結晶化容器に洗い入れた。生成した溶液を還流加熱し、大気圧でテトラヒドロフラン(9 vol, 95% w/w, 水との共沸混合物)を蒸留除去した。
【0114】
溶液にN-{3-クロロ-4-[(3-フルオロベンジル)オキシ]フェニル}-6-[5-({[2-(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)-2-フリル]-4-キナゾリンアミン二トシル酸一水和物(0.002 wt)を播種した。結晶化が確立された後、反応温度を55℃より上に維持しながら、水(6 vol)を添加した。混合物を約2時間かけて5〜15℃まで冷却した。固体をろ過によって回収し、テトラヒドロフラン/水(3:7比, 2 vol)で、その後テトラヒドロフラン/水(19:1比, 2 vol)で洗浄し、45℃で真空乾燥して、N-{3-クロロ-4-[(3-フルオロベンジル)オキシ]フェニル}-6-[5-({[2-(メタンスルホニル)エチル] アミノ}メチル)-2-フリル]-4-キナゾリンアミン二トシル酸一水和物を明黄色結晶状固体として取得した。
【実施例2】
【0115】
細胞増殖の50%を阻害するGW 572016Fの濃度(IC50)の決定
ヒト膀胱細胞系、HT-1197、HT-1376およびT24、ならびに卵巣細胞系、SKOV3を、American Type Culture Collectionから取得した。細胞を組織培養フラスコ中、10%ウシ胎仔血清(FBS, HyClone # SH30071.03)を含むRPMI 1640(Invitrogen # 22400-089)中に維持し、IC50決定のためのプレーティングまで、5% CO2雰囲気中、37℃でインキュベートした。IC50決定のために、細胞を96ウェル組織培養皿で適切な培地中、1ウェルについて5,000細胞でプレーティングし、インキュベーターにもどして一晩置いた。最初の播種後、約24時間目に、細胞をGW 572016の二トシル酸塩型、GW 572016Fに曝露した。5% FBS、50マイクログラム/mlゲンタマイシンおよび0.3% DMSOを含有する50% RPMIおよび50%低グルコースDMEM培地中の細胞に、GW 572016Fの3倍連続希釈物を添加した。最終濃度を30マイクロモルから0.00152マイクロモルの範囲とした。化合物曝露の3日後、増殖培地を吸引によって除去した。細胞バイオマスを、0.1 ml/ウェルのメチレンブルー(Sigma #M9140, in 50:50,エタノール:水中、0.5%)で染色後、室温で少なくとも30分のインキュベーションによって、評価した。染色液を吸引し、脱イオン化水への浸漬によってプレートを洗浄後、風乾した。可溶化溶液 (1.0% N-ラウリルサルコシン、ナトリウム塩, Sigma #L5121 in PBS) 0.1 mlの添加によって、細胞から染色物を放出させた。プレートを室温で40分インキュベートした。Tecan Spectraマイクロプレートリーダー中、620 nMで吸収を読み取った。細胞増殖のパーセント阻害を未処理の対照ウェルに対して算出した。LevenbergおよびMarquardt(Mager, 1972)の方法ならびに等式: y = Vmax * [1 - (xn/(Kn + xn))]、式中"K"はIC50に等しい、を使用して、IC50値を内挿した。
【0116】
結果を、その他の細胞系の結果とともに、表1に報告する。その他の細胞系を調製し、実施例2に示したものと同様の方法にしたがって、GW572016Fに曝露した。全細胞系はAmerican Type Culture Collectionから取得可能なものであり、これを、化合物曝露の期間中、対数的増殖をする密度で、プレーティングした。
【表2】

【実施例3】
【0117】
尿路上皮管の局所進行性または転移性移行細胞がん患者の単剤での二次治療として、経口投与したラパチニブの臨床研究
白金に基づく療法後に悪化した、局所進行性または転移性尿路上皮腫瘍の58名の患者に、疾患の悪化または離脱まで、毎日1回、ラパチニブ1250 mgを受けさせた。それぞれ4および8週間間隔で、安全性および効力評価(独立の精査)を実施した。離脱時の患者も評価し、その後死亡まで2ヶ月ごとに追跡した。30名の患者からのデータを、中間解析(研究中の16週間)で精査し、これを本明細書に提示する。
【0118】
年齢中央値は62歳である。大部分の患者(67%)が内臓転移していた。全患者にerbB1および/またはerbB2の発現(免疫組織化学によって1+、2+または3+)が確認されていた。19名の患者(63%)のみに、二次療法を意図して、ラパチニブを受けさせた。3名の患者(10%)には腫瘍の縮小があり、評価の開始時に部分的応答(PR)とみなした。しかし、8週間目には1名のみにPRが確認された。8名の患者(27%)では安定した疾患(SD)、5名では細胞減数が注目された。3名の患者(10%)には臨床効果(SD 6ヶ月)が見られた。5名の患者(17%)には疾患の悪化があり、11名の患者(37%)は8週目以前に離脱した。3名の患者(10%)では評価不能であった。疾患の悪化が、最も多い離脱の理由である。
【0119】
経口ラパチニブによる二次治療は有望な活性を示し、一般的に局所進行性または転移性尿路上皮腫瘍の患者に十分寛容性があった。
[実施例3A]
【0120】
尿路上皮管の局所進行性または転移性移行細胞がん患者の単剤での二次治療として、経口投与したラパチニブの臨床フェーズII研究
方法: 一次療法の終点はRECIST応答率(独立したX線精査による)によった。重要な資格基準として、膀胱のステージIIIBもしくはIV TCC、一次白金に基づく処方後の悪化、測定可能な疾患、erbB1および/またはerbB2の発現(免疫組織化学によって1+、2+もしくは3+)ならびに70以上のKarnofsky行動状態を含んだ。疾患が悪化するか許容できない毒性が出るまで、経口ラパチニブ(1250 mg、毎日)を投与した。腫瘍および安全性の評価をそれぞれ8および4週間毎に実施した。基準時点および8週間毎に、心機能をモニターした。多様なバイオマーカー(TUNEL、p53、pAkt、Her3、pHer3、pErk、IGF-1R、Rb、pS6)について腫瘍組織を分析した。
【0121】
結果: 59名の膀胱の局所進行性または転移性TCC患者を登録した。治験医は2名(3%)の部分的応答(PR)および12名(20%)の安定した疾患(SD)を報告した。独立したX線精査では1名(2%)のPRおよび18名(31%)のSDが報告された。治験医および独立した精査に基づいて、6名および3名の患者がそれぞれ4および6ヶ月持続性のSDだった。8週目、10名の患者が20%まで腫瘍増殖し、4名の患者が細胞性塞栓、そして10名の患者が細胞減少であった。腫瘍縮小の大部分が短命であった。しかし、1名の患者は研究中、> 56週間生存した。TTPの中央値は8.6週間(95% CI, 8.00, 11.29)、全生存期間の中央値は17.9週間 (95% CI, 13.14, 30.29)であった。erbB1またはerbB2が2+および3+の患者で、臨床効果が増大する傾向が観察された。事前分析で、以下のバイオマーカーがラパチニブに不応性の患者を予測することが示唆されている: 高pHer3、高pErkならびに変異p53および高pHer3の両方。対照的に、高pAktおよび高IGF-1Rの患者はラパチニブに感受性であった。 10%頻度の副作用(AE)は下痢(39%)、発疹(32%)、悪心(27%)、嘔吐(22%)、無力症(12%)および疲労感(10%)。2名以上の患者に発生したグレード3/4 AEは嘔吐(7%)および下痢(3%)である。1名の患者には無症候性の心駆出率のグレード2の低下があった。
【0122】
結論: 要約すると、治験医および独立した精査のそれぞれによって評価して、患者の14%および12%での臨床効果(CR + PR + SD 16週間)によって証明されたように、膀胱の再発、進行性または転移性TCCの患者で、ラパチニブが十分寛容性であり、単独療法での活性を提示した。8.6週間のTTP中央値は二次設定での種々の化学療法に匹敵する。免疫組織化学でerbB1またはerbB2が2〜3+の患者に臨床効果がある傾向にあった。
【実施例4】
【0123】
固形腫瘍患者での経口投与したラパチニブの臨床研究
81名の患者(pt)(結腸27、肺7、未知の初発(AUP)腺がん6、H&N 5、腎6、乳房6、卵巣4、およびその他15(表II参照))を投与量漸増様式で1日1回(qd)または2回(bid)のラパチニブで治療した。40 ptに175〜1800 mg qdを投与し、41 ptに500、750、または900 mg bidを投与した。ptを毎月評価し、疾患が悪化するか寛容できない副作用が出るまで、治療した。臨床応答を8週毎に判定した。
【0124】
erbB1を過剰発現している頭頚部扁平上皮細胞がんで1名のCR(16+ mos持続)が観察された。erbB1またはerbB2のいずれかを最も過剰発現している各種の腫瘍がある22 ptで、期間の中央値が4 mos(1〜13+ヶ月の範囲)のSDが体験された。> 4 mosの治療を継続している患者に、ラパチニブを 1200 mg/日の用量で投与した。22名のSD ptの内、非小細胞肺がんおよび肺に転移したAUPで、両者ともに以前の療法で悪化している2名には、それぞれラパチニブを12+および8+ mos続けた。間質性肺炎の症例はなかった。
【0125】
この過酷な事前治療集団での臨床活性の証拠から、ラパチニブのQD投与は十分寛容性があった。結果を表IIで説明する。4ヶ月を超えてラパチニブを受けさせた患者のみを表2に入れた。
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物のEGFRおよび/またはerbB2を過剰発現するがんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I")の化合物の投与を含んでなる方法:
【化1】

【請求項2】
がんが膵がんである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
がんが前立腺がんである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
がんがホルモン不応性前立腺がんである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
がんが結腸直腸がんである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
がんが結腸がんである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
がんが直腸がんである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
がんが非小細胞肺がんである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
がんが卵巣がんである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
がんが外陰がんである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
がんが子宮頚がんである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
がんが子宮内膜がんである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
がんが中皮腫である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
がんが食道がんである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
がんが唾液腺がんである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
がんが肝細胞がんである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
がんが脳のがんである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
がんがグリオーマである、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
がんがメラノーマである、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
哺乳動物のEGFRを過剰発現するがんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I")の化合物の投与を含んでなる方法:
【化2】

【請求項21】
哺乳動物のerbB2を過剰発現するがんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I")の化合物の投与を含んでなる方法:
【化3】

【請求項22】
哺乳動物のEGFRおよびerbB2を過剰発現するがんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I")の化合物の投与を含んでなる方法:
【化4】

【請求項23】
哺乳動物の腎がんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の投与を含んでなる方法:
【化5】

【請求項24】
式(I)の化合物が式(I')の化合物またはその無水もしくは水和物形態である、請求項23に記載の方法。
【化6】

【請求項25】
式(I)の化合物が式(I")の化合物である、請求項23に記載の方法。
【化7】

【請求項26】
腎がんが腎細胞がんである、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
哺乳動物の尿路上皮がんの治療方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の投与を含んでなる方法:
【化8】

【請求項28】
式(I)の化合物が式(I')の化合物またはその無水もしくは水和物形態である、請求項27に記載の方法。
【化9】

【請求項29】
式(I)の化合物が式(I")の化合物である、請求項27に記載の方法。
【化10】

【請求項30】
尿路上皮がんが膀胱がんである、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
尿路上皮がんが進行性または転移性尿路上皮がんである、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
尿路上皮がんが移行性細胞がんである、請求項27に記載の方法。

【公表番号】特表2008−501690(P2008−501690A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515483(P2007−515483)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/019053
【国際公開番号】WO2005/120504
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(501412463)スミスクライン ビーチャム (コーク) リミテッド (11)
【Fターム(参考)】