説明

きわめて少量の粒子を検出するための方法およびデバイス

本発明は、きわめて少量の粒子を検出するための方法およびデバイスに関する。本発明による方法は、抗原抗体反応生成物の検出に基づき、フェムトモルまたはアトモル範囲に至るまでの、きわめて高い検出感度を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗原抗体反応生成物の検出によってきわめて少量の粒子を検出するための方法およびデバイスを提供し、前記方法はフェムトモルまたはアトモル範囲に至るまで高い検出感度を有する。
【背景技術】
【0002】
少量の粒子の検出のためのいくつかの方法、例えば、ネフェロ法および濁度法のほか動的光散乱法(DLS)と呼ばれる方法が当技術分野で周知である。
ネフェロ法および濁度法においては、小粒子の照射により広角の散乱光が生じるチンダル効果が使用される。光の散乱は、散乱媒質を通過した後の入射光ビーム強度の減少を測定することによって、または横方向に偏向した光の強度を測定することによって測定されうる。前者のケースは、濁度測定法または吸光測定法と呼ばれ、後者のケースは正確には比濁分析、またはチンダロメトリー(tyndallometry)と呼ばれる。
【0003】
動的光散乱法(DLS)と呼ばれる方法は別の方法を提供する。これらの方法においては、粒子を取囲む光球上の1個だけ(または数個)の点が観察されるが、さらに、ブラウン運動によって引き起こされる輝度変調が分析される。きわめて小さなモニタリング量に焦点を当てることによって、一部の粒子からの散乱光の重なりによる干渉を削減しようと試みられる。したがって、粒子はきわめて迅速にきわめて小さな照射量を通過するため、分析オプトエレクトロニクスは有意な変動周波数を検出しなければならない。大量の情報が複雑な信号処理によって提供され、そのため以上の方式は条件つきでのみ定量的分析に有用である。
【0004】
従来技術の検出方法は、さらに不利点を示す。第1に言及されるべきは、上記の方法の検出感度は近年大幅に増大しているが、高感度を有する検出方法に対する最も多様な分野で依然として強い必要性があることである。さらに、従来技術の検出方法は依然として比較的大量のサンプルを必要とし、これは特に医療技術の方法において被検査人にストレスを及ぼしうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、従来技術の方法よりも高感度を示す少量の粒子を検出するための方法を提供することである。さらに、かかる方法は、少ない希釈のサンプルおよび/またはより最小量のサンプルを必要とし、より大きな規模でサンプル分析に適切であり、かつ基本訓練後には特別の事前経験のない人員によって実行可能でもあることが必要である。さらに、本発明の目的は、少量の粒子を検出するためのデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、抗原抗体沈殿物の検出によって少量の粒子の検出の方法を提供することによって達成され、この方法は、所定の最大の粒径を有する粒子を実質的に含有するサンプル流体を提供し、粒子は少なくとも2つの抗体結合部位を有するステップと、所定の最大の粒径を有する粒子を実質的に含有する抗体を含有する流体を提供するステップと、サンプル流体を、少なくとも2つの抗体結合部位を有する粒子の存在下に抗体が抗原抗体沈殿物を形成しうる反応流体を生じる抗体を含有する流体と接触させるステップと、光ビームを反応流体を通じて方向づけるステップと、レーザーによって発生される光が反応流体を含有する測定セルを通過している場合に生成される光錐の明暗境界での吸光を光検出器で測定することによってシグナルを検出し、シグナル強度は形成された抗原抗体沈殿物のサイズおよび数に依存するステップとを含んで成る。
【0007】
本発明はさらに、光源と、測定セルと、レーザーによって発生される光が流体中に粒子を含有する測定セルを通過している場合に生成される光錐の明暗境界での吸光の測定を行うために設計されている光検出器とを含んで成る少量の粒子の検出のためのデバイスを提供する。前方への散乱光は円錐を形成し、かつ光検出器はその明暗境界をターゲットとしている。レーザーおよび光検出器は、レーザービームがきわめて狭く光検出器によって通過するように斜めであるが、実質的に軸方向に配列されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明をもたらす多数の実験においては、感度が従来技術の同等の方法の感度を1000倍上回る方法を開発しえた。この感度の強い増大は、レーザーによって発生される光が反応流体を含有する測定セルを通過している場合に生成される光錐の明暗境界での吸光を光検出器で測定することによって検出される分析的サンプル調製の修飾によるものである。
【0009】
さらに、本発明は、削減される測定セルの量を約30〜50倍にすることが可能である。一方、従来技術の方法においては、例えば、1.6mlの範囲の量での測定セルが、マイクロリットル(例えば、40μl)の範囲の量を有する測定セルを使用することができる本発明による方法では必要である。これは重要な利点であるが、それは各サンプルを希釈し、同じ透明度、粘度等を有する均一のマトリクスを得る必要があり、本発明による方法においては、従来技術の方法におけるよりも強くなくサンプルが希釈されなければならないためである。
【0010】
さらに、本発明による方法により、必要とされる最小量のサンプルを削減することが可能である。一方、従来技術の方法は100μl以上を必要として、本発明による方法においては、何倍も少ない量のサンプルで十分である(例えば、3.5μl)。
本出願においては、「粒子」という語は、支持媒質のものとは異なる屈折率を有する三次元の実在物を指す。
本出願で使用される「沈殿」という語は、可溶性抗原の特異抗体との反応が、最初の反応により反応混合物の混濁が生じ、その後に抗原抗体複合体の沈殿が生じる、使用される抗原および抗体よりも使用される溶媒において低い可溶性を有する抗原抗体複合体を生ずる工程を示す。
【0011】
本発明による方法は、少量の粒子が検出されることを可能にする。例えば、本発明による方法を使用することによって、1リットル当たりフェムトグラムまたはアトグラムの範囲での検出限界が低分子量物質で、すなわち、500g/mol未満の分子量を有する物質で達成されうるが、現在まで、検出限界が通常、1リットル当たりマイクログラム、ナノグラム、またはピコグラムの範囲にある。検出限界は、500g/molを超える範囲の分子量を有する物質で高く、例えば、検出限界は、150,000g/molの分子量を有する物質(例えば、IgG抗体)で約300フェムトグラム/リットルである。これは、サンプル流体が1リットル当たりフェムトグラムまたはアトグラムの大きさで粒子を含有しうることを意味する。
【0012】
本発明による第1の部分的ステップにおいては、所定の最大の粒径を有する粒子を実質的に含有するサンプル流体が提供される。例えば、これを達成するには2つの方法がある。第1のオプションによれば、最初に所定の最大の粒径を有する粒子のみを実質的に含有する流体が提供され、その後、所定の最大の粒径を有する粒子を実質的に含有するサンプルが流体に添加される。第2のオプションによれば、サンプル流体は最初に流体を提供し、サンプルを流体に添加し、その後、所定の粒径を越える粒子を除去することによって獲得されうる。
【0013】
所定の最大の粒径の粒子のみを実質的に含有するサンプル流体および他の流体における粒子の最大粒径は、所望の用途によって選択されうる。多くの共通抗体とともに、20−450nmより大きい、より好ましくは、100−300nm、かつ特に200nmより大きい粒子が分離されうる。この分離は、例えば、20−450nm、より好ましくは、100−300nm、かつ特に200nmの適切な対応する細孔径を有するフィルタ、当業者に周知の他の方法によって達成されうる。仮に凝集が、概算として、表面とみなされる場合は、フィルタサイズを半分にすることは、二次比率で検出可能な反応生成物を生ずる分子の数に影響を及ぼしている。例えば、100−nmフィルタが200−nmフィルタの代わりに使用される場合は、200−nmフィルタを使用する場合に必要とされる抗原抗体分子の数の約4分の1のみがここで互いと反応し、検出可能な結果を達成する必要がある。さらに、例えば、25−nmフィルタを使用すると抗原抗体抗原三量体を検出することが可能となる。かかる小さな細孔径を有するフィルタを使用する場合、一部の分子はすでに検出可能な反応をもたらすため、細心に注意しなければならない。
【0014】
架橋結合反応が生じるために、サンプル流体に含まれる粒子は、少なくとも2つの抗体結合部位を有する必要があり、したがって、抗原として作用しうる。図1(a)乃至(d)は、細菌、ウイルス、毒素、およびタンパク質など外因性物質または粒子が抗原として作用し、「鍵と鍵穴原理」(図1(b))に従って抗体と反応することを示す概略図である。次いで、IgG抗体など二価抗体は2つの抗原に結合する(図1(c))。各抗原は一部の抗体に結合しうるため、本発明による方法によって検出される架橋(沈殿)が生じる(図1(d))。類似の沈殿が、高い結合価を有する抗体で生じる。使用される抗原が多数の抗体結合部位を提供する場合は、架橋反応がより確実に進行する利点がある。
【0015】
本発明による方法は、少なくとも2つの抗体結合部位がある限りすべての抗原に適している。好ましくは、試験される粒子は約10ナノメートルよりも大きく、かつ同時に選択される最大の粒径よりも小さくなければならない。10nmよりも小さい分子はハプテンとして作用しうる。ハプテンは不完全な抗原であり、すなわちその分子は免疫応答を起こし、または凝集を誘発するには十分に大きくない。これら低分子量物質は実際には抗体のパラトープ結合部位に対してきわめて特異的であるが、第2の抗体がそれらに結合しうるこの結合部位から十分に突出することはない。それらは架橋反応を起こす可能性なしに特定の抗体を遮断する。細菌などより大きな抗原は測定前に化学的または物理的に破壊されなければならず、これは当業者に周知の一部の方法で、例えば、超音波、酸、塩基、または界面活性剤によって達成されうる。これは、このようにして多数の断片が単一の細菌から獲得されうるとともに、個々の細菌をもはや接着させる必要がないという利点を提供する。したがって得られた断片―例えば、表面タンパク質―は、次により小さな抗原を示し、適切な抗体との特異的に測定可能な反応を起こしうる。
【0016】
さらに、抗原は実質的に使用されるバッファー中で可溶性であり、かつ使用されるデバイスおよびフィルタの壁に対して低い吸着親和性を有さなければならない。
本発明による方法は、抗体を含有する流体を提供するステップをさらに含んで成る。
【0017】
本発明による方法においては、原則として所望のすべての抗体が使用されうる。本発明による方法に特に有利である抗体は、例えば、二価免疫グロブリンG(IgG)または十価免疫グロブリンM(IgM)である。当業者に周知の方法によれば、したがって、明確な特異性を有する抗体が獲得されうる。異なるクラスの抗体に属する他の抗体も、検出される粒子の型に応じて使用されうる。ここで抗体はモノクローナルまたはポリクローナルでありうる。モノクローナル抗体を使用する場合、異なる抗原に対する2つのモノクローナル抗体が導入され、沈殿を生じうる。抗原に関して上記と同じようにして、バッファー中で可溶性であり、かつ使用されるデバイスおよびフィルタの壁に対して低い吸着親和性を有さなければならない。
【0018】
本発明による方法においては、望ましくない、あまりに過剰な抗原または抗体が異なる方法で、例えば、適切な希釈系列によって回避されうる。さもないと、かかるあまりに過剰な抗原または抗体は、沈殿の阻害(いわゆる「阻止帯現象」)をもたらしうるが、これは過剰な抗体の存在下、各エピトープ(抗原結合部位)が単一の抗体に一価にのみ結合し、架橋がもはや不可能であるためであり、またはあまりに過剰な抗原の存在下、しばしば抗体分子および2つの抗原分子から三量体が形成されるためである。
【0019】
サンプル流体の調製および抗体を含有する流体の調製のためには、原則としてすべての気体または液体を流体として使用することができる。好ましくは、流体は液体である。しばしば液体は水、または、特に例えば生化学反応に基づく分析方法におけるPBS(リン酸緩衝液)など従来技術で周知のバッファー溶液である。原則として、液体は他の透明な液体、例えば、液体炭化水素、酸、または塩基でもありうる。
【0020】
本発明による方法においては、次のステップでは、サンプル流体は抗体を含有する流体と接触され、ここで抗原の存在下、抗体は抗原抗体沈殿物を形成し、これは次に、例えば、本発明によるデバイスで検出されうる。
【0021】
その上、サンプル中のハプテンの存在を検出する関心がしばしば存在する。ハプテンは不完全な抗原であり、すなわち、小さすぎて1つ以上の抗体に結合しない。具体的には、ハプテンは医薬品、薬剤、農薬、環境毒物、ステロイドホルモン、またはマイコトキシンでありうる。ハプテンは特異的に抗体に結合する。しかし、それらは連鎖反応を起こす可能性なしに抗体のパラトープ結合部位のみを遮断する。最小のサイズの免疫原(完全な抗原)は、5〜10kDa、すなわち、>30アミノ酸残基または長さ>3nmであり、このサイズで開始するため、少なくとも2つの抗体分子が適切に利用可能なエピトープ結合部位によってこれらの抗原と結合し、かつしばしば沈殿をもたらす連鎖反応を起こしうる。
【0022】
ハプテンの測定は、例えば、親水性高分子マルチスペーサー(hmM)または当業者によって周知の関連化合物により達成されうる。親水性高分子マルチスペーサーは従来技術で周知であり、アルブミンなど親水性高分子から成る。同じハプテン分子または異なるハプテン分子が、従来技術で周知のスペーサーを介してこの親水性高分子に化学的に結合されている。親水性高分子マルチスペーサーが少なくとも2つの同一のハプテン分子を有する場合は、これは沈殿用に使用されうる。かかる分子は、置換反応に基づく抗体スクリーニング検査に使用されうる。したがって、ハプテンは、以下に例示される置換反応に基づく測定のコンセプトをもたらし、ここで反応ピークは陰性試験でのみ確認され、すなわち、反応生成物の検出は陰性試験によってのみ生じる。
【0023】
血液または唾液サンプルがハプテン、例えばコカインについて試験される場合、コカインに対する抗体が希釈血液または唾液滴に添加される。約1分後、少量の合成調製コカイン−hmMが添加され、すなわち親水性高分子がスペーサーによってコカインに結合される。
【0024】
サンプル中に存在する場合、コカインはハプテンとして作用し、かつ抗体結合部位を遮断する。コカインのその後の添加は影響を示さない。サンプル中にコカインが存在しなかった場合、抗体結合部位は遮断されず、コカイン−hmMの添加により本発明による方法、例えば、以下に記載されるQ−MAPデバイスで粒子成長として測定される連鎖の形成がもたらされる。
【0025】
本発明による方法においては、光ビーム、特にレーザービームなどコヒーレント光が試験される液体を通じて照射される。以下において、本発明による方法が記載されると同時にレーザービームについて言及するが、これは本発明による方法においても使用される当業者に周知の他の光源を除外するものではない。例えば、レーザービームは、以下に詳しく記載され、Q−MAP(アトモル沈殿生成物の定量的測定)とも呼ばれる本発明によるデバイス由来でありうる。あるいはしかし、本発明の開示から開始する場合、当業者によって開発されうる本発明の開示に基づく他のデバイスが使用されうる。
【0026】
レーザーは、試験される液体を通じてビームを放射し、その中に存在する粒子の数およびサイズを測定するために使用される。これは、レーザーによって発生される光が反応流体を含有する測定セルを通過している場合に生成される光錐の明暗境界での吸光を光検出器で測定することによって行われ(ここで光検出器は調節可能なシグナル増幅および調節可能な動作基点を有する)、デバイスは「分子光バリア」として作用するようになっている。以下に記載されるQ−MAPデバイスは、例えば、20nm〜5μmの粒径を検出するが、この測定により検出される粒子の構成または組成に関する情報を得ることはできない。レーザーおよび光検出器はほぼ同軸である。レーザービームは光検出器によってきわめて限定的に通過する。前方に散乱される光は円錐を形成し、光検出器はその明暗境界をターゲットとしている。
【0027】
測定セルにおける流体中に存在し、レーザービームを通過する各粒子はシグナルを生成し、シグナルの数は測定セルにおける粒子の統計的分布に対応する。最小の粒子であっても、粒子がレーザーの焦点における光錐を通過する場合、それらは暗影を投じるように光を遮断する。最初の輝度(粒子暗影なし)の変化が測定される。高速のコンピュータ、例えば、ペンティアム(登録商標)(Pentium(登録商標))コンピュータは、毎秒10,000粒子までの通過を識別することができる。小さな粒子は大きな粒子よりも速く移動し、経過時間は粒径の直接尺度である。
【0028】
いくつかの粒子が同時にレーザービームに存在する場合は、最大の粒子のみが測定される。粒子がレーザービームを通過する異なる速度を使用することにより、対応する粒径は当業者に周知のストークス・アインシュタインの式によって計算されうる。この測定においては、絶対的な粒径ではなく、むしろ粒径の変化(粒子成長によって引き起こされる)が重要である。使用される特定のフィルタは、粒子成長の開始を判定する尺度として使用される。フィルタ細孔が大きいほど、沈殿物は「暗騒音」から区別されるために大きく成長しなければならない。100−200nmフィルタでは、検出可能なシグナルを生成するのに十分な成長粒子はほとんどない。粒子は統計的に分布されているため、粒子成長はつねに測定セルの中心にあるレーザー焦点においても発生する。
【0029】
粒子がレーザービームを通過する速度は、粒子がビームを通過するのに必要な経過時間(輝度変化の開始から終了まで)を測定することによって検出される。
ここでは、澄明な液において、個別の粒子がレーザービーム中に存在する可能性があればあるほど、または溶液が汚染されていればいるほど、シグナルは重ね合わされ、感度の低下をもたらすことが確認されうる。
シグナル強度は、抗原抗体沈殿物のサイズおよび数によって決まる。
一定濃度の抗体では、シグナル測定の減少は抗原の濃度に直接関係している。
【0030】
本発明による検出手順においては、以下のとおり進行することができる。すなわち、試験される流体のすべてが所定の細孔径を有するフィルタを通じて測定セルへ注入され、サンプル流体または抗体流体の個別の観察において、所定の粒径よりも小さい粒子を示すシグナルのみが評価に現れることになる。本発明による方法においては、使用される抗体および使用される抗原は前記サイズ限界以下の粒径を有し、したがって、分離に使用されるフィルタの細孔径よりも小さく(例えば、200nmよりも小さい)、それらは分離中に除去されない。
【0031】
NaCl溶液に基づくサンプル流体で記録されたかかる画像の例が図2(a)に示されている。これらの画像においては、粒径はx軸に沿って示されており、粒子の数はy軸に沿って示されている。図2(a)に示されているように、所定の最大の粒径までの粒子のみが存在しており、大きな粒径で存在する粒子は少ない。類似した検出結果が、所定の粒径の粒子のみを実質的に含有するろ過された抗体流体について得られる(図示せず)。
【0032】
サンプル流体および抗体流体の同時の個別の注入後、反応が測定セルで起こり、微小沈殿物を生じ、抗原抗体沈殿物のサイズおよび数の検出が行われる。
かかる測定の結果が例として図2(b)に示されており、ここで例えば200nmの所定の粒径限界よりも大きい粒子が出現すると見なされる。したがって、より大きな粒子の形成は、反応が起こったことを示す。それとは反対に、大きな粒子を産生する反応が起こらない場合は、検査された液体は対応する抗原を含まない。
【0033】
測定は、サンプル流体および抗体流体を反応セルへ充填した後いつでも開始されうる。本発明の実施形態によれば、測定は、例えば、測定セルの充填後60秒より早く開始されないが、これは注入速度のわずかな変動が測定セルにおける対流の差をもたらしうるためである。例えば、さらに60秒後に最大の沈殿が達成される。その後に起こる測定シグナルの減少は、構成される異なる抗原濃度の概算の定量的検出または評価を可能にする。ここでは両方の反応物の開始濃度が重要である。これらの開始濃度が高いほど、沈殿の減少が最大に検出可能になるまでの時間が長くなる。
【0034】
本発明による方法を実施する場合、最大限の純度の流体、例えば、その使用前に、検出中の暗騒音を除去または最小限にするために、例えば200mmの適切な細孔径のフィルタでろ過した流体を使用することが有利である。また、本発明による方法で使用されるデバイスの材料は、できるだけ少量の粒子を放出しなければならない。例えば、測定セルは、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)で製造されうる。同時に、測定期間は使用される材料(例えば、測定セル)をずっと継続する形態で放出粒子から避けるために、できるだけ短く維持されうる。
【0035】
また、使用される抗原または抗体溶液の濃度は、発生する抗原抗体反応があまりにも多くの沈殿物、または大きすぎる沈殿物を産生しないように低くなければならず、さもなければ、いくつかの粒子がビームに同時に存在しうるとともに、経過時間を検出するのがきわめて困難になるためである。本発明による方法の最高感度は、フェムトモルおよびアトモル範囲である。
【0036】
本発明による方法により定量的または半定量的情報が得られることも特に有利である。
例えば、2つの方法を使用して定量的記録を評価することができる。評価の第1の方法においては、時間t1およびt2(例えば、t1=120秒およびt2=180秒)で測定された濃度曲線下面積(F)が測定され、十分な近似値Fが、
=(Ft1+Ft2)/2
によって、面積について得られ、この値から次いで粒子数の定量的値を得ることができる。これらきわめて低い濃度では、粒子成長は線形であり、すなわち、濃度の倍加が、例えば、測定シグナルの面積の2倍をもたらす。
【0037】
定量的情報を得るための別のおよび/または追加の方法は、二分子反応の動力学的限界に達するまでの溶液の希釈に基づく。100アトモル以下の濃度では、反応粒子の平均自由工程はきわめて大きくなり(>100μm)、検出可能な沈殿は所定の測定期間内には起こらない。10ナノモル以上の濃度では、過度に多数の、かつ過度に大きな反応生成物のため立体障害が起こり始め、さらに、上記説明された「阻止帯現象」が有効になる。例えば、10マイクロモル溶液では、粒子の平均自由工程は単に100nmである。
【0038】
この物理的終点で検出される希釈の程度は、粘度が高い希釈剤、例えば、PBS(リン酸緩衝液)では無関係である、温度および対流にのみ依存する。これら2つのパラメータが一定に維持される場合は、開始溶液の希釈の程度は検査される溶液の濃度の直接尺度である。
サンプルの濃度の正確な定量的測定が、問題になっている既知濃度のタンパク質を含有する溶液の測定によって本発明による方法で可能であり、当業者に周知の手順がこの目的に使用される。
【0039】
方法の別の実施形態によれば、測定セルにおける流体の連続的および/または多重任意抽出サンプル測定を行うことができる。このようにして、具体的には反応の終点を判定し、記録の平均値を計算することが可能である。好ましくは、すでに抗体を添加する前に、かつ/またはサンプルを添加する前に、粒径が所定の値以上である粒子を実質的に含まない分散媒が測定にかけられ、この測定の結果は沈殿物の測定の基準値として提示される。
【0040】
本発明による方法においては、比較的少量の流体で十分であり、使用される流体から過剰な所定値の粒径を有する物質を除去するためになされる努力が削減されうる。例えば、使用される流体は、前記物質を除去するフィルタを有するバイパスを通じた弁配置によっても進路変更されうる。使用される流体のろ過は、測定を妨害する物質がその中に確実に残らないようにするために、サンプルを導入する前の所定の期間にわたって実行されうる。所定の値を超える粒径を有するサンプル中の物質は、より詳しくは、供給点またはこれらの点の配置上流へ組込まれるフィルタによって除去されうる。したがって、得られるサンプル流体はさらに、サンプル導入後の一定時間の間にろ過され、サンプルとともに流体に入り、または導管のシステムから達しうる妨害物質を除去することができる。
【0041】
方法の別の実施形態によれば、抗原の検出につながった、またはつながらなかった抗体の導入後の分散媒は別の抗体の導入前に再ろ過される。これは、その間に分散媒に入り、測定を妨害しうる物質を除去するために役立つ。このようにして、さらに、サンプルの考えうる別の成分の分析を可能にするために、検出反応生成物を使用された流体から除去することが可能である。
【0042】
本発明による方法は、水分析(成分および有害物質の検出)、食品技術(微生物、成分の検出)の分野、生物学的または医学的検査(例えば、特定のDNAまたはRNA配列、特定の細菌またはアレルゲン(アレルギー検査)の検出)における各種用途に適している。用途は、親水性高分子マルチスペーサー、分岐DNAセンサー、または定量的PCRの分野でも可能である。本発明による方法は、より詳しくは、BSE検査における感染性プリオンタンパク質PrPScの検出にも使用されうる。本発明による方法においては、きわめて少量のこのプリオンタンパク質が検出されうるため、本発明による方法は血液中の感染性プリオンタンパク質PrPScの検出にも適している。
【0043】
さらに、本発明によるQ−MAP測定法は、各種表面で異なるタンパク質の吸着挙動を試験するための迅速で簡単な可能性を提供する。したがって、磨き上げた表面が「タンパク質吸着値」について非破壊的に点検され、ここで評価値からの逸脱が表面欠損を示しうる。したがって、このようにして、表面欠損が、例えば、薄い蒸着金属表面上で簡単かつ迅速な方法で検出されうる。
さらに、表面上の所定のタンパク質の完全な固定化が試験されるが、これは、例えば、DNA分析および生体素子技術の分野においてきわめて重要である。
【0044】
本発明による方法の別の可能な用途は、表面上の化学薬品によって及ぼされる影響を判定する用途である。具体的には、試験前後には、例えば、表面処理によって生じる変化の検出が想定されうるが、これは、腐食表面が腐食されていない表面よりも大きな表面積を有し、したがって、大量の抗原物質―例えば、タンパク質―がこの表面上で吸着するためである。溶液中の残存する遊離タンパク質の量は、例えば、このようにして検出されうる。さらの別の用途は、本発明による方法により、ホースおよびパイプの内表面の状態が点検されうることに基づく。
【0045】
本発明による方法の手順の終了後、抗原抗体沈殿物は、例えば、プロテイナーゼK(例えば、プリオン、およびアミノ酸を含有しない物質)によって破壊されない物質の場合に、プロテイナーゼKで溶解され、次いで別の処理または試験ステップにかけられうる。
以上に詳しく記載されているように、定量的検出も実行可能であることは、本発明による方法の別の重要な利点である。また、方法は完全に自動化されうるが、これは労働コストの明確な削減をもたらし、比較的費用効果的でありうる方法が提供される。
【0046】
さらに、本発明による方法は、体液または排泄物中、および特に血液中のきわめて少量の病原体の検出を可能にする。これは重要な利点を示すが、それは少量の血液、例えば少量の血液滴(約10−20μl)が、医師または訓練を受けた看護師を必要とせずに指の先端または耳たぶから容易に採取されるためである。かかる検査は、例えば、所定の細菌による感染が存在するかどうかの情報が簡単かつ迅速に得られるように、薬局もしくは老人ホームまたはリハビリ施設において容易に実行される。サンプル採取、および本発明による方法が実現される本発明によるデバイスの操作は、医学的に訓練を受けた、または高い技能を持った人員を必要としないことが特に有利である。あるいは、薬剤または薬物など血液中の他の物質が、もちろん、特異抗体を用いるかかる検査で検出されうる。
【0047】
市販の測定器具においては、抗原の抗体に割合は2−3倍の差があってはならないが、Q−MAPによる測定は、抗原と抗体との理想の混合比からの逸脱が100倍の場合でも可能である。(一定濃度の抗体では、抗原の理想濃度は1%に低下され、かつ10,000%に上昇された。同じことは、逆に言えば、一定濃度の抗原で行われた。)分子の低い立体障害によって引き起こされるフェムトモルおよびアトモル範囲での「ハイデルベルガー(Heidelberger)曲線」からのこの興味深い逸脱により、時間のかかる希釈系列が不必要になる。
【0048】
本発明による方法は、保存血液の検査(HIVまたは肝炎に関して)およびBSE検査サンプルについて特に興味のあるプールしたサンプルの試験に特に適している。本発明による方法により、1時間当たり約50の測定が実行されうるが、これは1日当たり8〜10時間作業する場合、1日当たり少なくとも400の検査、または1年当たり80,000以上の測定が実行されることを意味する。したがって、1年当たり800,000−8,000,000のサンプルが、各測定のために10−100のサンプルがプールされている場合、単一の測定装置だけで検査されうる。
【0049】
保存血液を検査する場合、例えば、(10種類の疾患に対する)10種類の抗体が血液に同時に添加され、この血液が使用されうるかどうか確認することができる。陽性反応の場合には、汚染が、例えば、HIVまたは肝炎によるかどうか問題ではないため、保存血液は破棄されなければならない。どの物質が実際に陽性反応を起こしたかを知ることに加えて興味がある場合、抗体を個別に導入することができる。例えば、保存血液の100個の容器から血液をプールし、かつ10種類の抗体を同時に使用することによって、100個の容器すべてからの血液が使用に適しているかどうかを約60秒要する1回の測定で解明することができる。
【0050】
かかる少量の生成物が十分であり、かつフェムトモルまたはアトモル範囲に至るまで適切に高い感度を有するかについての検査が現在まで従来技術で周知ではなく、これは重要な進歩を示す。
【0051】
また、本発明は、コンピュータ可読媒体に保存されたプログラムコード手段を含んで成るコンピュータプログラム生成物を含んで成り、コンピュータプログラム生成物がコンピュータ、ネットワークデバイス、またはデバイス、特に分析的検出デバイスで実行される場合に本発明による方法を行うことが可能である。本発明はさらに、サーバーからダウンロード可能のプログラムコードを含んで成るコンピュータプログラム生成物を提供し、コンピュータプログラム生成物がコンピュータ、ネットワークデバイス、またはデバイス、特に分析的検出デバイス(例えば、本出願に記載された検出デバイス)で実行される場合に本発明による方法を行うことが可能である。
【0052】
本発明はさらに、Q−MAP(アトモル沈殿生成物の定量的測定)デバイスとも呼ばれる少量の粒子を検出するためのデバイスに関する。
かかるデバイスは、光源、好ましい光源として使用されているレーザーを含んで成る。
かかるデバイスの測定セルは、実質的に粒子を放出することがなく、光ビーム、特にレーザービームの通過を可能にする材料で製造されるべきである。かかる材料は当業者に周知である。測定セルは、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)で製造されうる。測定セルは、100μl未満、好ましくは、30−50μl、かつより詳しくは、40μlの容積を有する。
【0053】
本発明によるデバイスは、より詳しくは、調節可能なシグナル増幅および調節可能な動作基点に適した光検出器を含んで成る。
光検出器は、例えば、熱検出器、光ダイオード、特に光伝導体検出器、光電検出器、アバランシェダイオード、ダイオードアレイ、光電子増倍管より成る群から選択されうる。
本発明による検出デバイスは、より詳しくは、20nm〜5μmの粒子の測定が可能である。
【0054】
また、本発明は、検出される所定の粒子、例えば、タンパク質またはホルモン、少なくとも2つの抗体結合部位を有する所定の粒子の質的および/または定量的検出のためのキットも提供する。キットは、以上に記載されているように、検出デバイス、所定の粒子に特異的に結合可能である少なくとも1つの抗体、およびサンプルを受入れるための少なくとも1つの適切な流体を含んで成る。かかるキットは、ユーザーの特定のニーズのために設計されうるとともに、適合要素、および即時にかつきわめて容易に本キットで本発明による検出を行うことが可能なユーザーのための対応する説明書を含有する。例えば、かかるキットは、少量の血液中の特定の病原体を検出するために、または上記の用途における表面試験のために使用されうる。
【0055】
図3の詳細な説明
以下、本発明による方法を行うための装置の添付の概略的、例示的であるが限定的でない図面を用いて本発明をより詳しく説明する。
サンプル交換装置1は、異なる抗原溶液(例えば、血液サンプル)および異なる抗体溶液をそれぞれの混合容器2および3へ注入することができ、サンプルをいくつかの考えうる病原菌について連続的に検査することができる。それぞれ、抗原および抗体溶液のための混合容器2および3は、それぞれの溶液の希釈のためだけではなく、バッファー(PBS)または抗体溶液での測定セルの洗浄にも有用である。
【0056】
フィルタ4は交換可能であり、例えば、200nmの細孔径を有する。弁5は切り替えることができ、溶液は別々に、またはいっしょに測定セル6へ流れることができ、ここで検出デバイスによる検出が連続的、1回、または多数回、任意に行われる。
ポンプ7は、例えば、すべての溶液を引き上げる小さな真空ポンプである。これは弁5で調整され、測定後に測定セルの内容物を汚物容器8にポンピングする。この容器には、例えば、潜在的に有害な物質が瞬時に無害になりうるように、消毒または殺菌液体が提供されうる。
【0057】
導入される抗体がサンプルからの抗原と反応し、抗原抗体沈殿物を形成する場合は、所定の値を超える粒径を有する粒子が形成される。これらの沈殿物は、分散媒中に依然として存在しうる所定の値以下の粒径を有する粒子からのシグナルと大きく異なるシグナルを生成する。したがって、これらの反応生成物は検出デバイスによって独自に検出される。したがって、検出結果から、特定の物質がサンプル中に存在しているということになり、かつ必要に応じて、その濃度も上記の方法に従って測定されうる。
【0058】
第1の抗体液体の注入後、検出デバイスが所定の粒径以上の粒子を検出しない場合、または使用される抗体と特異的に反応することがない別の抗原がサンプル中に存在すると考えられる場合は、次に別の抗体溶液を導入することができる。これの前に、検出されていた沈殿物を、必要に応じて、測定セルから洗い流すことができる。
以下の実施例は、本発明の説明に役立つ。しかし、実施例の主題に本発明の保護の範囲を限定することは決して意図されていない。
【実施例】
【0059】
実施例1:BSE血液検査
ドイツにおける牛のストック数は約1500万である。200〜300万のBSE検査(ELISAおよびウェスタンブロット)が死んだ動物の脳に関してドイツでは毎年行われている。目下、BSEクイック検査(ELISAおよびウェスタンブロット)は6−8時間要する。本発明による方法により、BSE病原体を2分以内に1滴の血液だけで生きた動物において検出することができ、費用はわずかでしかなくなる。
【0060】
実施例2:新しい変種のクロイツフェルト・ヤコブ病(nvCJD)についての保存血液の点検
一部の行動が、血液を介したnvCJD伝染の考えうるリスクに対して集団を保護するために起こる。最も有望なステップは、肝炎およびエイズによる感染について各献血を検査することであろう。しかし、病原体は病人に微量に生じる。確実な検査は従来技術において存在しない。本発明による方法は、血液または血液製剤における病原体を検出することが可能である。
【0061】
実施例3:食品産業における用途
マイコトキシンは一部の真菌のきわめて毒性の分解生成物である。マイコトキシンはハプテンであり、したがって、上記の測定方法で質的および量的に検出されうる。
例えば、多量のコーヒー、紅茶、小麦粉、またはナッツのすべてのスクリーニング検査には、約2分で直ちに実行されうる定性試験で十分であろう。
肉のサンプルを約15の利用可能なホルモンについて検査し、動物がホルモン非合法に肥育されていたかどうか解明することができる。ホルモンもハプテンであり、かつ本発明による方法でも質的および量的に検出されうる。例えば、ホルモン検査も妊娠検査および甲状腺検査において必要である。
【0062】
大きな屠殺場は1か月当たり2000−3000頭の牛を処理し、したがって、非合法の肥育を発見するために約50−100の無作為サンプルが必要である。目下、ホルモン検査の価格(15種類のホルモンを含む)は、肉片当たり600ユーロである。したがって、1か月当たり5−10の無作為のサンプルのみが肉屋では検査され、非合法の肥育を発見するには、はるかに少なすぎる。大きな屠殺場との会談では、本発明による方法に基づき少ない費用(肉片当たり60−70ユーロ)で10倍の検査を行うことに関心が示された。従来のホルモン検査にはこの価格を達成する可能性がない。
【0063】
実施例4:農薬の検出
チューブリンモノマーは、エネルギーベクターGTPとの反応によって長鎖に成長する小さな個別のタンパク質小球体である。阻害剤および他の毒素はこの鎖成長を妨害または阻止する。個別の鎖は巻き込まれてロープ状の構造物、いわゆるプロトフィラメントを形成する。これらのプロトフィラメントは、次にいっしょになり、細胞分裂において決定的な役割を果たす微細管を形成する。モノマーの鎖形成を妨害することによって、細胞分裂を制御し、害虫を殺すことができる。
【0064】
逆に言えば、この方法は、食品中の植物農薬残留物を検出する可能性も提供し、したがって、消費者保護の増強を提供する。上記の鎖成長、およびその予防は、本発明による方法で直接測定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】(a)乃至(d)は、二価抗体を使用して抗原抗体を形成する工程を示す概略図である。
【図2】(a)は、粒子を含んで成るサンプル流体が、200nmの細孔径を有するフィルタによるろ過後(ただし抗体を添加する前)に試験された本発明による方法を使用する検出の結果を示し(シグナルは、使用されたフィルタ細孔径よりも小さい直径を有する粒子に対応し、x軸は粒径を示し、y軸は粒子の数を示す。)、(b)は、サンプル流体および抗体流体の溶液の同時の個別の注入時に得られ、両方の流体が200nmの細孔径を有するフィルタでろ過されている反応混合物が検査された検出の結果を示す(この反応混合物においては、反応が起こり、使用されたフィルタの細孔径よりも大きい直径を有する微小沈殿物が形成され、x軸は粒径を示し、y軸は粒子の数を示す。)。
【図3】本発明による方法を実施するための装置を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原抗体沈殿物の検出によって少量の粒子を検出するための方法であって、
所定の最大の粒径を有する粒子を実質的に含有するサンプル流体を提供し、前記粒子が少なくとも2つの抗体結合部位を有するステップと、
所定の最大の粒径を有する粒子を実質的に含有する抗体を含有する流体を提供するステップと、
前記サンプル流体を、少なくとも2つの抗体結合部位を有する粒子の存在下に前記抗体が抗原抗体沈殿物を形成しうる反応流体を生じる抗体を含有する流体と接触させるステップと、
光ビームを前記反応流体を通じて方向づけるステップと、
レーザーによって発生される光が前記反応流体を含有する測定セルを通過している場合に生成される光錐の明暗境界での吸光を光検出器で測定することによってシグナルを検出し、前記シグナル強度が形成された抗原抗体沈殿物のサイズおよび数に依存するステップとを含んで成る方法。
【請求項2】
前記サンプル流体が1リットル当たりほぼフェムトグラムまたはアトグラムの大きさで粒子を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、前記所定の最大の粒径を有する粒子を実質的に含有するサンプル流体を提供するステップが、
a)流体を供給するステップと、
サンプルを前記流体へ導入するステップと、
所定の粒径を超える粒子を分離し、所定の最大の粒径を有する粒子のみを実質的に含有するサンプル流体を得るステップ、または
b)所定の最大の粒径を有する粒子を実質的に含有する流体を供給するステップと
所定の最大の粒径を有する粒子を実質的に含有する流体へサンプルを導入し、所定の最大の粒径を有する粒子を実質的に含有するサンプル流体を得るステップとを含んで成る方法。
【請求項4】
前記所定の最大の粒径を超えるサイズを有する粒子の分離がろ過によってもたらされ、フィルタは好ましくは20乃至450nm、より好ましくは100−300nm、かつ特に200nmの細孔径を有する、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
少なくとも2つのモノクローナル抗体または1つのポリクローナル抗体が抗体として使用される、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記抗体が免疫グロブリンGまたは免疫グロブリンMより成る群から選択される、請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、粒子の量が定量的または半定量的に検出されることを可能にする、請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
一定の抗体濃度で、測定シグナルの減少が抗原の濃度と直接関係している、請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
コンピュータ可読媒体に保存されたプログラムコード手段を含んで成るコンピュータプログラム生成物であって、前記コンピュータプログラム生成物がコンピュータ、ネットワークデバイス、またはデバイス、特に、分析的検出デバイスで実行される場合に請求項1乃至8のいずれかに記載の方法を行うためのコンピュータプログラム生成物。
【請求項10】
サーバーからダウンロード可能なプログラムコードを含んで成るコンピュータプログラム生成物であって、前記コンピュータプログラム生成物がコンピュータ、ネットワークデバイス、またはデバイス、特に、分析的検出デバイスで実行される場合に請求項1乃至8のいずれかに記載の方法を行うためのコンピュータプログラム生成物。
【請求項11】
少量の粒子の検出のためのデバイスであって、
レーザーと、
測定セルと、
レーザーによって発生される光が流体中に前記粒子を含有する測定セルを通過している場合に生成される光錐の明暗境界での吸光の測定を行うために設計されている光検出器とを含んで成り、前記光検出器が調節可能なシグナル増幅および調節可能な動作基点を有するデバイス。
【請求項12】
検出すべき所定の粒子の質的および/または量的検出のためのキットであって、前記所定の粒子が少なくとも2つの抗体結合部位を有し、前記キットが、
前記所定の粒子に特異的に結合可能である少なくとも1つの抗体と、
前記サンプルを受入れるための少なくとも1つの適切な流体とを含んで成り、かつ
レーザーと、
測定セルと、
レーザーによって発生される光が流体中に前記粒子を含有する測定セルを通過している場合に生成される光錐の明暗境界での吸光の測定を行うために設計されている光検出器とを含んで成るデバイスとを含んで成るキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−506954(P2007−506954A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527395(P2006−527395)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052109
【国際公開番号】WO2005/031325
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(506100196)
【出願人】(506100200)
【Fターム(参考)】