説明

ごみ処理装置の悪臭警報システム

【課題】 加熱室や炭化室から漏れた悪臭を高精度に検出して警報を出すことを可能にしたごみ処理装置の悪臭警報システムを提供する。
【解決手段】 被処理物を加熱処理する乾燥炉1及び炭化室2と、被処理物から発生するガスを燃焼させるガス燃焼炉4とを備えたごみ処理装置において、乾燥炉1及び炭化室2の外側を監視し、微粒子を検出する微粒子検出装置8と、微粒子検出装置8の検出信号に基づいて警報を発する警報盤9とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみ処理装置の悪臭警報システムに関し、特に微粒子センサを用いた悪臭検出に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ごみ処理施設においてダイオキシン等の環境汚染物質への対策の観点から、被処理物を予め熱分解(乾留)する処理が行われている。例えば、加熱室及び炭化室と燃焼室とを有し、生ごみを効率的に加熱処理し、炭化室から炭が排出され、発生する揮発ガスや熱分解ガスを燃焼室で無害化することが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−5418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、加熱室や炭化室は生ごみを攪拌する機構を内蔵しており、回転部分があるため完全に密閉することができず、加熱室や炭化室から悪臭が漏れ出すという問題点があった。
【0004】
本発明は、このように問題点を解決するためになされたものであり、加熱室や炭化室から漏れた悪臭を高精度に検出して警報を出すことを可能にしたごみ処理装置の悪臭警報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るごみ処理装置の悪臭警報システムは 被処理物を加熱処理する熱処理室と、前記被処理物から発生するガスを燃焼させる燃焼室とを備えたごみ処理装置において、前記熱処理室の外側を監視し、微粒子を検出する微粒子検出装置と、該微粒子検出装置の検出信号に基づいて警報を発する警報手段とを備えたものである。
また、本発明に係るごみ処理装置の悪臭警報システムにおいて、前記微粒子検出装置は、前記熱処理室の内部を攪拌する攪拌装置が前記熱処理室の壁面を貫通した貫通部の近傍を少なくとも監視するものである。
また、本発明に係るごみ処理装置の悪臭警報システムにおいて、前記微粒子検出装置は、前記熱処理室の外側に配設されたサンプリング管と、該サンプリング管によって収集された気流中から微粒子を検出する微粒子センサとを備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、被処理物を加熱処理する熱処理室から悪臭が発生して漏れ出すときには、粉塵のような微粒子も同時に発生して漏れ出しており、更に、悪臭と微粒子量とには相関関係があるという知見のもとになされたものであり、微粒子検出装置により微粒子を検出し、警報手段がその検出信号に基づいて警報を発するようにしたことにより、熱処理室から漏れた悪臭を高精度に検出して警報を出すことが可能になっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
実施形態1.
図1は本発明の実施形態1に係るごみ処理装置の悪臭警報システムの構成を示すブロック図である。ごみ処理装置は、乾燥炉1、炭化炉2、熱風炉3、ガス燃焼炉4、熱交換器5、バグフィルタ6及び煙突7を備えている。乾燥炉1は円筒状の形状からなり、スクリューコンベア11が装備されている。スクリューコンベア11は、乾燥炉1の側壁を貫通して配置された回転軸12と、回転軸12に固着されたスクリュー13と、乾燥炉1の外側に配置され、回転軸12を回転させる駆動モータ14とから構成されており、搬入された被処理物を攪拌しながら図の左側から右側に搬送する。炭化炉2は、円筒状の形状からなり、乾燥炉1と同様に、スクリューコンベア21が装備されており、スクリューコンベア21は、炭化炉2の側壁を貫通して配置された回転軸22と、回転軸22に固着されたスクリュー23と、炭化炉2の外側に配置され、回転軸22を回転させる駆動モータ24とから構成されており、乾燥炉1で乾燥された被処理物を攪拌しながら図の右側から左側に搬送する。
【0008】
熱風炉3は、炭化炉2及び乾燥炉1にそれぞれ熱風を供給するものであり、詳細は図示されていないが、ここでは、炭化炉2に熱風を供給し、その炭化炉2に供給され熱風を更に乾燥炉1に供給する、という構成が採用されている。乾燥炉1では上記の熱風により被処理物を乾燥させる処理を行い、炭化炉2では上記の熱風により乾燥炉1で乾燥された被処理物を炭化させる処理を行う。ガス燃焼炉4は、乾燥炉1及び炭化炉2の被処理物から発生するガスをバーナで燃焼させるものであり、熱交換器5はガス燃焼炉4の燃焼ガスを冷却してバグフィルタ6に送り出す。バグフィルタ6は燃焼ガスを集塵処理して煙突7から排出する。なお、乾燥炉1及び炭化炉2は本発明の熱処理室に相当し、ガス燃焼炉4は本発明の燃焼室に相当し、スクリューコンベア21は本発明の攪拌装置に相当するものである。
【0009】
ここで、図1のごみ処理装置の動作の概要について説明する。乾燥炉1のスクリューコンベア11及び炭化炉2のスクリューコンベア21が駆動されており、熱風炉3からの熱風が炭化炉2及び乾燥炉1に供給されている状態で、被処理物が乾燥炉1に挿入されると、被処理物を熱風により乾燥させながら、スクリューコンベア11により攪拌しつつ図1の右側に搬送していく。そして、被処理物を搬送手段(図示せず)により乾燥炉1から炭化炉2に搬送する。被処理物が炭化炉2に挿入されると、被処理物を熱風により炭化させながら、スクリューコンベア21により攪拌しつつ図1の左側に搬送していく。そして、炭化された被処理物(炭化物)を取り出す。また、乾燥炉1及び炭化炉2の被処理物から発生したガスはガス燃焼炉4で燃焼され、その燃焼ガスは熱交換器5で冷却された後に、バグフィルタ6で集塵処理されて煙突7から排出される。
【0010】
上記のように動作するごみ処理装置は、更に微粒子検出装置8及び警報盤9を備えている。微粒子検出装置8はサンプリング管81及び微粒子センサ82から構成されており、サンプリング管81は乾燥炉1及び炭化炉2の外周囲に上記の回転軸12,22に平行にそれぞれ複数本が配置されている。また、サンプリング管81には微細な孔(図示せず、例えば直径2〜3mm)が等間隔に設けられており、ガスや微粒子を採取する。警報盤9は例えば管理室等に配置され、微粒子検出装置8の検出信号に基づいて警報を発するものであり、本発明の警報手段に相当する。
【0011】
図2は上記の微粒子センサ82の詳細を示したブロック図である。微粒子センサ82は、吸引ファン83、ダストフィルタ84、ファインフィルタ85及び微粒子検出部86から構成されている。吸引ファン83を回転駆動することにより、サンプリング管81の微細な孔からその周囲の空気を吸引させ、ダストフィルタ84によりその吸引した空気からダストを除去してサンプリングエアーとして微粒子検出部86に供給する。微粒子検出部86はサンプリングエアーが供給されると、サンプリングエアーに含まれる微粒子にレーザ光を照射し、それによって得られる総散乱光を受光素子で検知することにより微粒子量を検出している(なお、この検出方法は従来の煙の検出方法と同じである。)。また、ダストフィルタ84でダストが除去された空気を更にファインフィルタ85を透過させてクリーンエアを生成し、それを微粒子検出部86に対して供給しており、これにより微粒子検出部86内の光学系を常時保護することで、サンプリングエアーによる汚損を排除し、長期間にわたり微弱な散乱光を好感度で捕らえることが可能になっている。
【0012】
ところで、乾燥炉1及び炭化炉2において加熱された被処理物が発生する悪臭が漏れ出したときには、煤のような微粒子も一緒に発生して漏れ出し、その漏れ出した微粒子は悪臭を含んだ空気とともに、サンプリング管81から吸引されて微粒子センサ82に送り出される。微粒子センサ82では、上述のように、ダストフィルタ84を介して微粒子検出部86にサンプリングエアーとして供給される。微粒子検出部86は、サンプリングエアーに含まれる微粒子量を検出して警報盤9に出力する。警報盤9は、微粒子検出装置8により検出された微粒子量と悪臭とに相関があることから、微粒子量が所定量以上検出された場合には悪臭が発生したものとして警報を発する。なお、警報盤9は、複数の基準値を設けておいてその基準値との関係で、その警報の発生を複数段階に分けるようにしてもよい。また、微粒子検出装置8側で、複数の基準値を設けておいて、検出した微粒子量とその基準値との関係で、複数段階の警報信号を警報盤9に出力するようにしてもよい。
【0013】
以上のように本実施形態1においては、微粒子検出装置8により微粒子を検出し、警報盤9がその検出信号に基づいて警報を発するようにしたことにより、乾燥炉1及び炭化炉2から漏れた悪臭を高精度に検出して警報を出すことが可能になっている。このため、近隣の住民等から通報される前に、ごみ処理装置の停止等の対応を素早く行うことが可能になる。また、微粒子検出装置8は、サンプリング管81と微粒子センサ82とを備えており、監視領域を広域に設定することが可能になっている。また、悪臭の検出手段として本実施形態1においては微粒子検出装置8を用いているが、これはガスセンサ(半導体センサ)と比べて、(a)経時的な安定性に優れている、(b)高感度である、(c)サンプリング式が採用でき、広域監視が可能である等、優れた特性があることによる。
【0014】
実施形態2.
なお、上記の実施形態1においては、サンプリング管81を乾燥炉1及び炭化炉2の全長に亘って配置して監視する例について図示したが、回転軸12が乾燥炉1の側壁を貫通した貫通部1a及び回転軸22が炭化炉2の側壁を貫通した貫通部2bから悪臭(微粒子)が漏れやすいので、サンプリング管81の長さを短くし、その周辺部分だけ監視するようにしてもよい。また、サンプリング管81の配置は任意であり、悪臭(微粒子)を含んだ空気流は上昇する傾向があるので、例えば乾燥炉1及び炭化炉2の上部にそれぞれ複数本並列に配置するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るごみ処理装置の警報システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の微粒子センサの詳細を示したブロック図である。
【符号の説明】
【0016】
1 乾燥炉、2 炭化炉、3 熱風炉、4 ガス燃焼炉、5 熱交換器、6 バグフィルタ、7 煙突、8 微粒子検出装置、9 警報盤、11 スクリューコンベア、12 回転軸、13 スクリュー、14 駆動モータ、21 スクリューコンベア、22 回転軸、23 スクリュー、24 駆動モータ、81 サンプリング管、82 微粒子センサ、83 吸引ファン、84 ダストフィルタ、85 ファインフィルタ、86 微粒子検出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を加熱処理する熱処理室と、前記被処理物から発生するガスを燃焼させる燃焼室とを備えたごみ処理装置において、
前記熱処理室の外側を監視し、微粒子を検出する微粒子検出装置と、
該微粒子検出装置の検出信号に基づいて警報を発する警報手段と
を備えたことを特徴とするごみ処理装置の悪臭警報システム。
【請求項2】
前記微粒子検出装置は、
前記熱処理室の内部を攪拌する攪拌装置が前記熱処理室の壁面を貫通した貫通部の近傍を少なくとも監視することを特徴とする請求項1記載のごみ処理装置の悪臭警報システム。
【請求項3】
前記微粒子検出装置は、
前記熱処理室の外側に配設されたサンプリング管と、
該サンプリング管によって収集された気流から微粒子を検出する微粒子センサと
を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のごみ処理装置の悪臭警報システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−32950(P2007−32950A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−218207(P2005−218207)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】