説明

さく孔機用ロッド交換装置

【課題】ロッドの継ぎ足しや回収作業の際に、ロッド保持装置が軸方向の負荷を受けても、その負荷を緩和するさく孔機用ロッド交換装置を提供する。
【解決手段】このロッド交換装置10は、支軸5の前後に互いに離隔する一対のロッド保持部12F、12Rを有するロッド保持装置12を備えている。一対のロッド保持部12F、12Rは、軸方向の負荷を緩和する負荷緩和機構1を介して支軸5に連結されている。この負荷緩和機構1は、ロッド保持装置12が軸方向の負荷を受けたときに、一対のロッド保持部12F、12Rを軸方向に一体でスライド移動させることによってその負荷を緩和するとともに、その負荷から解放されたときには、ばね等の付勢手段の作用によって一対のロッド保持部12F、12Rを初期の中立位置に自動的に復帰させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル掘削工事において壁面の岩盤補強のために長尺のロックボルトを打設する場合等、長孔のさく孔を行うときに、さく孔機のロッドの継足しや回収を行うためのさく孔機用ロッド交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドリルジャンボやファンカットドリル等のさく孔機では、図6に例示するように、ガイドシェル20に搭載されたドリフタ(さく孔装置)22にシャンクロッド24を挿着する。そして、このシャンクロッド24にスリーブ等を介して所定長のロッド50を接続する。接続されたロッド50には、その先端にビット(不図示)を取付け、このビットにドリフタ22から打撃と回転を伝達するとともに、送り機構でドリフタ22に送りを与えて岩石に所望のさく孔をする。
【0003】
ここで、さく孔長がロッドより長い長孔さく孔を行う場合には、さく孔の途中でロッド交換装置を用いる(例えば特許文献1ないし2参照)。この種のロッド交換装置は、ロッド保持装置を備えて構成されている。例えば、図6に示すロッド交換装置100は、ガイドシェル20に平行な支軸105上に配設されるとともに前後に互いに離隔する一対のロッド保持部12F、12Rを有するロッド保持装置120を備えている。
【0004】
ロッド保持装置120の各ロッド保持部12F、12Rは、ロッド50を把持するためのツース14と、そのツース14を開閉する油圧シリンダ13とを有しており、ドリフタ22の回転と送り機構を利用して、接続すべきロッド50のねじ込み及びねじ切りを行い、接続すべきロッド50をロッド保持装置120によって継ぎ足し可能であり、また、目標とするさく孔長に達してさく孔が終わると、再びロッド保持装置120を用いて継ぎ足されたロッド50を切り離し、そのロッドを回収可能になっている。
【特許文献1】特開昭59−138693号公報
【特許文献2】特開2001−323770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のロッド交換装置では、ロッド保持装置によるロッドの継ぎ足しや回収作業の際に、操作を誤ると、さく孔装置の送り機構から受ける軸方向の負荷をロッド保持装置が受け、ロッド保持装置の変形や破損などの原因となるという問題があった。また、接続すべきロッドの継ぎ足しや回収作業の際は、シャンクロッドの螺旋形状に合わせて、さく孔装置の回転と送り操作を同時に行う必要があり、操作が面倒であるという問題がある。また、ロッドの継ぎ足しや回収作業の際、さく孔装置の回転と送り機構の送りとの同調が狂い、ロッドの螺旋形状と合わなくなると、円滑な継ぎ足し作業が困難となっていた。
【0006】
さらに、継ぎ足されたロッドを格納する際、ロッド保持装置でのロッドを保持する軸方向での保持位置を誤ると、ロッドを格納するためのマガジン(図6の例での符号18)などにロッドが干渉するおそれがあり、このような干渉を防ぐためには保持位置を再度修正する必要がある。そのため、余分な作業時間が掛るという問題もある。このような問題点に対し、従来は、甚大な変形や破損を避けるために、比較的に修復が容易な破損部分を予め準備したり、根本的な機械強度を向上させたりしていたものの、修復作業が生じたり、ランニングコストの増加や、質量の増加などに繋がったりしていた。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、ロッドの継ぎ足しや回収作業の際に、ロッド保持装置が、さく孔装置の送り機構等から受ける軸方向の負荷を受けても、その負荷を緩和するとともに、その負荷から解放されたときには、元の位置に自動的に復帰するさく孔機用ロッド交換装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、さく孔機に用いられ、さく孔装置が搭載されるガイドシェルに平行な支軸上に配設されるとともに、前後に互いに離隔する一対のロッド保持部を有するロッド保持装置を備えるロッド交換装置であって、前記一対のロッド保持部は、軸方向の負荷を緩和する負荷緩和機構を介して前記支軸に連結されており、当該負荷緩和機構は、前記軸方向の負荷を受けたときに、当該一対のロッド保持部の位置を、前記負荷を緩和するように一体でスライド移動させるとともに、その負荷から解放されたときには、当該一対のロッド保持部を初期の中立位置に復帰させるようになっていることを特徴としている。
【0009】
本発明に係るさく孔機用ロッド交換装置によれば、ロッド保持装置は、その一対のロッド保持部が、例えばさく孔装置の送り機構等から受ける、軸方向の負荷を緩和する負荷緩和機構を介して支軸に連結されているので、ロッドの継ぎ足しや回収作業の際に、ロッド保持装置が、さく孔装置の送り機構等から受ける軸方向の負荷を受けても、その負荷を緩和することができる。そして、この負荷緩和機構は、前記軸方向の負荷を受けたときに、当該一対のロッド保持部の位置を、前記負荷を緩和するように一体でスライド移動させるとともに、その負荷から解放されたときには、当該一対のロッド保持部を初期の中立位置に復帰させるようになっているので、その負荷から解放されたときには、ロッド保持装置の位置を元の位置に自動的に復帰させることができる。
【0010】
ここで、本発明に係るさく孔機用ロッド交換装置において、前記負荷緩和機構は、前記軸方向の負荷として、前記さく孔装置のシャンクロッドの螺旋形状によるねじ送りの力が作用したときに、そのねじ送りの力によって前記一対のロッド保持部を一体でスライド移動させるようになっており、その一体でスライド移動される可動範囲は、ロッドのねじを切り離すことのできる可動範囲以上であることは好ましい。このような構成であれば、ロッドの連結や切り離しを行う際に、さく孔装置の回転操作のみで連結や切り離しが可能であり、送り機構による送り操作が不要である。したがって、操作性を向上させる上で好適である。また、ロッドの螺旋形状に合わせた回転と送り速度の調整が不要となるため、これに伴うトラブルを回避する上で好適である。
【0011】
また、本発明に係るさく孔機用ロッド交換装置において、前記一対のロッド保持部同士の間に且つ前記軸方向の両側に対向して一対の付勢手段が備えられており、当該一対の付勢手段相互は、前記軸方向両側からの付勢力での押し合いによる均衡を保つことによって前記一対のロッド保持部を前記中立位置に保持するようになっていることは好ましい。
このような構成であれば、負荷緩和機構をコンパクトな構成とする上で好適である。
【0012】
また、本発明に係るさく孔機用ロッド交換装置において、前記ロッド保持装置で保持するロッドの前後両端それぞれを案内するロッド案内部を更に備え、各ロッド案内部は、ロッドを格納するときに、前記ロッド保持装置で保持しているロッドが前記軸方向の負荷を受けて、その負荷を緩和するように前記一対のロッド保持部の位置が一体でスライド移動されるときに、その保持しているロッドを前記ロッド交換装置に付設されるロッド格納装置に収容されるべき適切な格納位置に案内する案内面を有することは好ましい。
このような構成であれば、ロッド交換装置に付設されるロッド格納装置にロッドを収容する際に、ロッド保持装置自身の作動力、および上記ロッド案内部の案内面の作用によって、ロッド格納装置に収容されるべき適切な格納位置までロッドの軸方向の位置を自動的に修正することができる。そのため、作業性を一層向上させる上でより好適である。
【発明の効果】
【0013】
上述のように、本発明に係るさく孔機用ロッド交換装置によれば、ロッドの継ぎ足しや回収作業の際に、ロッド保持装置が、さく孔装置の送り機構等から受ける軸方向の負荷を受けても、その負荷を緩和するとともに、その負荷から解放されたときには、元の位置に自動的に復帰することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、上記図6に例示した従来のさく孔機と同様の構成については同一の符号を付して説明する。
図1は本発明の一実施形態のロッド交換装置を備えたさく孔機の説明図であり、同図(a)はその要部の正面図、(b)は平面図である。また、図2は、ロッド交換装置のロッド保持装置を説明する図であり、同図(a)はその要部の平面図であり、同図では負荷緩和機構部分を、支軸の軸線を含む縦断面で図示し、また、同図(b)は同図(a)でのA−A断面図を示している。
【0015】
図1に示すように、このさく孔機は、不図示のブームの先端部に支持されるガイドシェル2にドリフタ(さく孔装置)22が搭載されている。そして、このドリフタ22が公知の送り機構(不図示)によってガイドシェル2に沿って前後方向(図1(b)での左右方向)に移動するようになっている。このドリフタ22には、シャンクロッド24が挿着される。そして、シャンクロッド24には、その先端に所定長のロッド50がスリーブ等を介して接続され、さらに、ロッド50の先端にはビット(不図示)が取付けられる。
【0016】
また、ガイドシェル2の先端部には、フートパット15およびセントラライザ16が設けられており、このセントラライザ16がロッド50の先端部をさく孔軸線CX上に支持するようになっている。そして、ドリフタ22からロッド50を介してビットに打撃と回転を伝達すると共に、送り機構でドリフタ22に送りを与えることにより岩盤へのさく孔が行われる。
そして、このさく孔機は、ロッド交換装置(ロッドチェンジャ)10が、ガイドシェル2の側部に、前後に離隔する一対のブラケット26を介して設けられており、これにより、所要さく孔長がロッド50の長さより長い場合には、さく孔作業の際にロッド50の継足し及び回収を行えるようになっている。
【0017】
詳しくは、このロッド交換装置10は、前後一対のブラケット26に、フレーム28がピン27でそれぞれ枢支されている。一対のフレーム28は、スイングシリンダ30の伸縮によってピン27を中心に回動可能であり、これにより、継足しや回収するロッド50の中心位置を、図1に示す退避位置およびさく孔軸線CX上に移動させることができる。そして、前後一対のフレーム28は、前後のキャリア軸29を介して、ガイドシェル2に平行な支軸5で連結されており、この支軸5上にロッド保持装置12が配設されている。このロッド保持装置12は、スライドシリンダ32の伸縮によって前後のキャリア軸29を中心に回動可能であり、これにより、図1に示す退避位置およびロッド格納装置18の格納位置に、継足しや回収するロッド50の中心位置をそれぞれ移動させることができる。
【0018】
以下、上記ロッド保持装置12についてより詳しく説明する。
このロッド保持装置12は、ドリフタ22が搭載されるガイドシェル20に平行な支軸5上に配設されている。そして、前後に互いに離隔して一対をなす前方ロッド保持部12Fおよび後方ロッド保持部12Rを有して構成されている。一対のロッド保持部12F、12Rそれぞれは、先端部にロッド50を保持するためのツース14を備え、各ツース14は、保持用シリンダ13の伸縮によって開閉され、継足しや回収するロッド50を把持するようになっている。そして、これら一対のロッド保持部12F、12Rは、ロッド保持装置12がドリフタ22の送り機構等から受ける軸方向の負荷を緩和する負荷緩和機構1を介して上記支軸5に連結されている。
【0019】
ここで、支軸5は、図2に示すように、前方案内軸5F、および後方案内軸5Rが連結シャフト4によって相互に連結されて一体をなしている。そして、この支軸5上には、略円筒状の前方ばねケース2Fおよび後方ばねケース2Rが外側から嵌合しており、さらに、前方ばねケース2Fおよび後方ばねケース2R相互は、スライダ3によって相互に連結されている。
【0020】
このスライダ3は略円筒状をなし、その内周面には、横断面が矩形をなす角形スプライン(雌スプライン)が軸方向に沿って4条形成されている。そして、スライダ3の内側には、上記連結シャフト4が嵌合しているが、この連結シャフト4は、上記スライダ3の4条の角形スプライン(雌スプライン)と相補形状をなす角形スプライン(雄スプライン)を外形に有しており、相互にスプライン嵌合しつつ挿通されている(図2(b)参照)。これにより、このロッド保持装置12は、スライダ3および連結シャフト4相互の角形スプラインによって、支軸5の円周方向には回転せず、支軸5の軸方向に限って一対のロッド保持部12F、12Rを一体でスライド移動可能な構造になっている。
【0021】
さらに、前方ばねケース2Fおよび後方ばねケース2Rの内部には、付勢手段として、円筒コイルばねである前方ばね6Fおよび後方ばね6Rが、一対のロッド保持部12F、12R同士の間に且つ支軸5の軸方向の両側に対向して一対備えられている。また、各ばねケース2F、2R内には、前方規制コマ8Fおよび後方規制コマ8Rが収容されている。
【0022】
そして、上記前方ばね6Fおよび後方ばね6Rは、所定の予圧(プリロード)が付加された状態で、各ばねケース2F、2R内に収容されている。一対のばね6F、6R相互は、支軸5の軸方向両側からの付勢力での押し合いによる均衡を保つことによって、一対のロッド保持部12F、12Rを、中立位置(この例では中心振り分けとなる位置)に保持するようになっている。ここで、これら前方ばね6Fおよび後方ばね6Rの所定の予圧は、ロッド保持装置12を含む可動部品とこれによって保持するロッド50との合計の質量を、上記中立位置に維持する力以上に設定している。
【0023】
さらに、前方案内軸5F、および後方案内軸5Rには、軸方向のスライド移動範囲の所定の位置に、周方向に張り出す鍔部として前方ストッパ7Fおよび後方ストッパ7Rがそれぞれ設けられている。これにより、ロッド保持装置12のスライド移動は、その移動範囲が、軸方向の所定の範囲内に規制された可動領域が与えられている。ここで、この可動領域は、ロッドの継ぎ足しおよび回収作業の操作性などを加味し、ロッド端部のねじ長さ以上であることが望ましく、本実施形態の例では、ロッド保持装置12のスライド移動される可動範囲(ストローク)は、ロッド50のねじを切り離すことのできる可動範囲以上に設定されており、また、上記前方ばね6Fおよび後方ばね6Rが許容し得るたわみ量を超えない範囲内でスライド移動される可動範囲が設定されている。
【0024】
さらに、このロッド交換装置10は、図1に示すように、ロッド保持装置12で保持するロッド50の前後両端それぞれを案内するロッド案内部9F、9Rを備えている。各ロッド案内部9F、9Rは、ロッド50を格納するときに、ロッド保持装置12で保持しているロッド50が、支軸5の軸方向の負荷を受けて、その負荷を緩和するように一対のロッド保持部12F、12Rの位置がスライド移動されるときに、その保持しているロッド50をロッド交換装置10に付設されるロッド格納装置18に収容されるべき適切な格納位置に案内する案内面9mを有している。
【0025】
上記構成により、この負荷緩和機構1を有するロッド保持装置12は、前方ばね6Fまたは後方ばね6Rのいずれか一方の円筒コイルばねに所定の予圧として加えられている圧縮力を超えた負荷が加わらない限り、上述したロッド保持装置1の中立位置を維持し続ける。一方、ロッド保持装置12に、ドリフタ22の送り機構等から受ける軸方向の負荷が作用した場合に、その負荷がいずれか一方の円筒コイルばねに所定の予圧として加えられている圧縮力を超えた負荷であるときには、ロッド保持装置1は支軸5の軸方向に、前方ストッパ7Fおよび後方ストッパ7R等によって規制される可動領域まで一体でスライド移動することができるので、これにより、一対のロッド保持部12F、12Rを、支軸5の軸方向にスライド移動させることでその負荷を緩和するとともに、その負荷から解放されたときには、一対のばね6F、6Rの作用によって一対のロッド保持部12F、12Rを前記中立位置に復帰させることが可能になっている。
【0026】
次に、このロッド交換装置の動作、および作用・効果について図1、図2、および図3〜図5を適宜参照して説明する。
このさく孔機でさく孔作業を行う場合には、ガイドシェル2をブームでさく孔位置に移動させ、それから、ドリフタ22を駆動してさく孔する。そして、所要さく孔長がロッド50の長さより長い場合には、ロッド50によるさく孔を行った後、上述のロッド交換装置10でロッド50の継足しを行う。
【0027】
このロッド交換装置10でのロッド50の継足しは次の手順で行う。
まず、ドリフタ22を空打ちしてドリフタ22のシャンクロッド24とロッド50の後端との接続部のねじを緩める。次いで、セントラライザ16で前方のロッド50をクランプし、ドリフタ22を逆転させてシャンクロッド24と後方のロッド50との接続部のねじを切り離す。その後、ドリフタ22をガイドシェル2上で後方へ移動させる。
【0028】
次に、退避位置において継ぎ足すべきロッド50を把持し、ロッド交換装置10のフレーム28を回動させて、そのロッド50を退避位置からさく孔軸線CX上へ移動させる。継ぎ足すべきロッド50がさく孔軸線CX上に位置決めされたら、ドリフタ22を正転させてシャンクロッド24とロッド50後端のねじを接続し、さらに、ツース14の保持用シリンダ13を若干縮小して一対のロッド保持部12F、12Rで保持するロッド50を回転可能な程度に保持し、後方のロッド50の前端のねじを、前方のロッド50後端のねじと接続する。そして、ロッド50を接続した後は、一対のロッド保持部12F、12Rのツース14を開き、フレーム28を回動させて退避位置に戻す。
【0029】
ここで、従来のロッド交換装置では、ドリフタ22を正転しつつ送り機構で前進させる必要があったが、このロッド交換装置10は、負荷緩和機構1は、前記軸方向の負荷(ガイドシェル20の送り方向の負荷)として、ドリフタ22のシャンクロッド24の螺旋形状によるねじ送りの力が作用したときに、そのねじ送りの力によって一対のロッド保持部12F、12Rを軸方向に一体でスライド移動させることができるため、ロッド50の連結を行う際に、ドリフタ22の回転操作のみでロッド50の連結が可能であり、送り機構による送り操作が不要である。
【0030】
そして、再度さく孔を行って所定のさく孔長に達したらロッド50の回収を行う。ロッド50の回収は次の手順で行う。
まず、ドリフタ22で空打ちを行って、ロッド50の接続部のねじを緩める。次いで、ドリフタ22をロッド50一本分の距離だけ後退させる。次いで、一対のロッド保持部12F、12Rのツース14をさく孔軸線X上に移動させ、後方のロッド50を保持する。次いで、ドリフタ22を若干正転させてシャンクロッド24のねじを軽く締め、次いで、一対のロッド保持部12F、12Rのツース14を、保持用シリンダ13を若干伸長した状態にして、後方のロッド50を回転可能な程度に保持(ハーフクランプ)するとともに、前方のロッド50の後端部をセントラライザ16でクランプする。
【0031】
次いで、ドリフタ22を逆転させるとともに後退させて、まず、後方のロッド50の前端のねじを前方のロッド50後端から切り離す。次いで、ドリフタ22の前後進で位置あわせを行い、一対のロッド保持部12F、12Rで後方のロッド50をしっかりと保持する。次いで、ドリフタ22を逆転させて、ドリフタ22のシャンクロッド24を後方のロッド50後端から切り離す。このとき、このロッド交換装置10によれば、ドリフタ22のシャンクロッド24の螺旋形状によるねじ送りの力が作用したときに、負荷緩和機構1は、そのねじ送りの力によって一対のロッド保持部12F、12Rを一体でスライド移動させることができる。そして、その一体でスライド移動される可動範囲は、ロッドのねじを切り離すことのできる可動範囲以上であるため、ドリフタ22を回転させるだけでドリフタ22のシャンクロッド24を後方のロッド50後端から切り離すことができる。そして、切り離しがなされたら、ドリフタ22を後退させ、その後、ロッド交換装置10のフレーム28を回動してロッド50をさく孔軸線X上から退避位置へ移動させ、付設されるロッド格納装置18に収容して回収が終了する。
【0032】
このロッド交換装置10によれば、ロッド保持装置12は、図2に示すように、その一対のロッド保持部12F、12Rが、ドリフタ22の送り機構等から受ける、軸方向の負荷を緩和する負荷緩和機構1を介して支軸5に連結されているので、ロッド50の継ぎ足しや回収作業の際に、ロッド保持装置12が、ドリフタ22の送り機構等から支軸5の軸方向の負荷を受けても、その負荷を緩和することができる。
そして、この負荷緩和機構1は、支軸5の軸方向の負荷、つまり、ガイドシェル20の送り方向の負荷を受けたときに、一対のロッド保持部12F、12Rの位置を、ガイドシェル20の送り方向に一体でスライド移動させる可動領域を有するので、負荷を緩和するように移動させ、ロッド50の継ぎ足しおよび回収時にドリフタ22などから負荷が加わってもそれを逃がすことができる。
【0033】
つまり、図3に示すように、ガイドシェル20の送り方向での前方から後方への負荷を受けたときには、一対のロッド保持部12F、12Rの位置を、ガイドシェル20の送り方向後方の可動領域の範囲で、その負荷を緩和するように一体でスライド移動可能である。また、図4に示すように、ガイドシェル20の送り方向での後方から前方への負荷を受けたときには、一対のロッド保持部12F、12Rの位置を、ガイドシェル20の送り方向前方の可動領域の範囲で、その負荷を緩和するように一体でスライド移動可能である。
【0034】
そのため、ロッド保持装置12の変形や破損を避けることができる。したがって、ロッド保持装置12を修理するための稼働停止時間やコストを抑えることができる。そして、その負荷から解放されたときには、一対のロッド保持部12F、12Rを初期の中立位置に復帰させるようになっているので、その負荷から解放されたときには、ロッド保持装置12の位置を元の位置に自動的に復帰させることができる。
【0035】
また、このロッド交換装置10によれば、負荷緩和機構1は、前記軸方向の負荷(ガイドシェル20の送り方向の負荷)として、ドリフタ22のシャンクロッド24の螺旋形状によるねじ送りの力が作用したときに、そのねじ送りの力によって一対のロッド保持部12F、12Rを一体でスライド移動させて前記軸方向の負荷を緩和可能なので、ロッド50とシャンクロッド24相互のロッド50切り離し等を行う際に、ドリフタ22の回転操作のみでロッド50の切り離しが可能であり、送り機構による送り操作が不要である。したがって、操作性を向上させることができる。また、ロッド50の螺旋形状に合わせた回転と送り速度の調整が不要となるため、これに伴うトラブルを回避することができる。
【0036】
また、このロッド交換装置10によれば、負荷緩和機構1は、前記軸方向の負荷を受けたときに、一対のロッド保持部12F、12Rを、支軸5の軸方向に一体でスライド移動させることでその負荷を緩和するとともに、その負荷から解放されたときには、付勢手段である一対のばね6F、6Rの作用によって、一対のロッド保持部12F、12Rを、前記中立位置に復帰させる構成なので、負荷緩和機構1をコンパクトな構成とすることができる。さらに、付勢手段が、一対のロッド保持部12F、12R同士の間に且つ支軸5の軸方向の両側に対向して一対備えられており、一対のばね6F、6R相互は、支軸5の軸方向両側からの付勢力での押し合いによる均衡を保つことによって一対のロッド保持部12F、12Rを前記中立位置に保持するようになっているので、負荷緩和機構を一層コンパクトな構成とすることを可能としている。
【0037】
さらに、このロッド交換装置10によれば、ロッド保持装置12で保持するロッド50の前後両端それぞれを案内するロッド案内部9F、9Rを更に備えており、各ロッド案内部9F、9Rは、ロッドを格納するときに、ロッド保持装置12で保持しているロッド50が、支軸5の軸方向の負荷を受けて、その負荷を緩和するように一対のロッド保持部12F、12Rの位置が移動されるときに、その保持しているロッド50をロッド交換装置10に付設されるロッド格納装置18に収容されるべき適切な格納位置に案内する案内面9mを有するので、例えば図1に示すように、ロッド50の前方端部がロッド案内部9Fに当接したときには、図5に示すように後方にスライド移動させることによって、ロッド50の軸方向の位置を自動的に修正することができる。したがって、ロッド格納装置18にロッド50を収容する際も、ロッド保持装置12自身の作動力、およびロッド案内部9F、9Rの案内面9mの作用によって、ロッド格納装置18に収容されるべき適切な格納位置にロッド50の軸方向の位置を自動的に修正可能なので、作業性を一層向上させることができる。
なお、本発明に係るロッド交換装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態であるロッド交換装置を備えたさく孔機の説明図であり、同図(a)はその正面図、(b)は平面図である。
【図2】本発明の一実施形態であるロッド交換装置のロッド保持装置を説明する図であり、同図(a)は要部の平面図であり、負荷緩和機構の部分を支軸の軸線を含む縦断面で図示し、同図(b)は同図(a)でのA−A断面図である。
【図3】本発明の一実施形態であるロッド保持装置に、軸方向後方向けて負荷が作用した状態を説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態であるロッド保持装置に、軸方向前方向けて負荷が作用した状態を説明する図である。
【図5】本発明の一実施形態であるロッド格納装置にロッドを収容する際に、軸方向後方向けて負荷が作用した例を説明する図である。
【図6】従来のロッド交換装置を備えたさく孔機の一例を説明する図であり、同図(a)はその正面図、(b)は平面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 負荷緩和機構
2F 前方ばねケース
2R 後方ばねケース
3 スライダ
4 連結シャフト
5 支軸
5F 前方案内軸
5R 後方案内軸
6F 前方ばね
6R 後方ばね
7F 前方ストッパ
7R 後方ストッパ
8F 前方規制コマ
8R 後方規制コマ
9F ロッド前方案内部
9R ロッド後方案内部
10 ロッド交換装置
12 ロッド保持装置
12F 前方ロッド保持部
12R 後方ロッド保持部
13 保持用シリンダ
14 ツース
15 フートパット
16 セントラライザ
18 マガジン(ロッド格納装置)
20 ガイドシェル
22 ドリフタ(さく孔装置)
24 シャンクロッド
26 ブラケット
27 ピン
28 フレーム
29 キャリア軸
30 スイングシリンダ
32 スライドシリンダ
50 ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
さく孔機に用いられ、さく孔装置が搭載されるガイドシェルに平行な支軸上に配設されるとともに、前後に互いに離隔する一対のロッド保持部を有するロッド保持装置を備えるロッド交換装置であって、
前記一対のロッド保持部は、軸方向の負荷を緩和する負荷緩和機構を介して前記支軸に連結されており、当該負荷緩和機構は、前記軸方向の負荷を受けたときに、当該一対のロッド保持部の位置を、前記負荷を緩和するように一体でスライド移動させるとともに、その負荷から解放されたときには、当該一対のロッド保持部を初期の中立位置に復帰させるようになっていることを特徴とするさく孔機用ロッド交換装置。
【請求項2】
前記負荷緩和機構は、前記軸方向の負荷として、前記さく孔装置のシャンクロッドの螺旋形状によるねじ送りの力が作用したときに、そのねじ送りの力によって前記一対のロッド保持部を一体でスライド移動させるようになっており、その一体でスライド移動される可動範囲は、ロッドのねじを切り離すことのできる可動範囲以上であることを特徴とする請求項1に記載のさく孔機用ロッド交換装置。
【請求項3】
前記一対のロッド保持部同士の間に且つ前記軸方向の両側に対向して一対の付勢手段が備えられており、当該一対の付勢手段相互は、前記軸方向両側からの付勢力での押し合いによる均衡を保つことによって前記一対のロッド保持部を前記中立位置に保持するようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載のさく孔機用ロッド交換装置。
【請求項4】
前記ロッド保持装置で保持するロッドの前後両端それぞれを案内するロッド案内部を更に備え、各ロッド案内部は、ロッドを格納するときに、前記ロッド保持装置で保持しているロッドが前記軸方向の負荷を受けて、その負荷を緩和するように前記一対のロッド保持部の位置が一体でスライド移動されるときに、その保持しているロッドを前記ロッド交換装置に付設されるロッド格納装置に収容されるべき適切な格納位置に案内する案内面を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のさく孔機用ロッド交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−185578(P2009−185578A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29020(P2008−29020)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(594149398)古河ロックドリル株式会社 (50)
【Fターム(参考)】